(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】乳母車
(51)【国際特許分類】
B62B 9/00 20060101AFI20241209BHJP
B62B 7/08 20060101ALI20241209BHJP
B62B 9/12 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B62B9/00
B62B7/08
B62B9/12 A
(21)【出願番号】P 2024502377
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007915
(87)【国際公開番号】W WO2023162145
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】黒巣 広子
(72)【発明者】
【氏名】坂 友香
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6973843(JP,B1)
【文献】特開2013-244942(JP,A)
【文献】実開平03-008969(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00 - 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前脚及び後脚を含む
折り畳み可能な乳母車本体と、
乳母車本体に取り付けられたかごと、
を備え、
前記乳母車本体は、前記前脚及び前記後脚を含む本体フレームと、前記本体フレームに支持され、座部支持体と背部支持体とを有するシート支持ユニットを含み、
乳母車本体が展開状態にある場合に、前記背部支持体は、前記本体フレームに対して揺動可能であり、
前記かごは、前記座部支持体の下方に位置する底壁部と、前記底壁部の後縁部に接続する後壁部と、を含み、
前記後壁部は前記背部支持体に取り付けられている、乳母車。
【請求項2】
前記後壁部の上縁部の少なくとも一部が、前記座部支持体の後端部よりも上方に位置している、請求項1に記載の乳母車。
【請求項3】
前記かごは、前記底壁部の側縁部に接続する側壁部を更に有し、
前記側壁部の少なくとも一部は、前記後壁部に接続し、前記乳母車の側面視において、前記後脚と前記後壁部との間に広がっている、請求項1又は2に記載の乳母車。
【請求項4】
前脚及び後脚を含む乳母車本体と、
乳母車本体に取り付けられたかごと、
を備え、
前記乳母車本体は、前記前脚及び前記後脚を含む本体フレームと、前記本体フレームに支持され、座部支持体と背部支持体とを有するシート支持ユニットを含み、
前記背部支持体は、前記本体フレームに対して揺動可能であり、
前記かごは、前記座部支持体の下方に位置する底壁部と、前記底壁部の後縁部に接続する後壁部と、を含み、
前記後壁部は前記背部支持体に取り付けられ、
前記後壁部を前記背部支持体に取り付けるための取り付け紐が、前記背部支持体の幅方向外側を通過して前記背部支持体の上面に接続している
、乳母車。
【請求項5】
前記背部支持体が前記本体フレームに対して最も倒れた状態において、前記取り付け紐が、前記後脚の下端部分に保持された後輪の回転軸よりも前方に位置している、請求項4に記載の乳母車。
【請求項6】
前脚及び後脚を含む乳母車本体と、
乳母車本体に取り付けられたかごと、
を備え、
前記乳母車本体は、前記前脚及び前記後脚を含む本体フレームと、前記本体フレームに支持され、座部支持体と背部支持体とを有するシート支持ユニットを含み、
前記背部支持体は、前記本体フレームに対して揺動可能であり、
前記かごは、前記座部支持体の下方に位置する底壁部と、前記底壁部の後縁部に接続する後壁部と、を含み、
前記後壁部は前記背部支持体に取り付けられ、
前記後壁部の上縁部に幅方向に延びる挿通路が形成されており、
前記挿通路にゴム紐が挿通されている
、乳母車。
【請求項7】
前記挿通路内に板材が配置されており、
前記ゴム紐は前記板材の後方に位置している、請求項6に記載の乳母車。
【請求項8】
前脚及び後脚を含む乳母車本体と、
乳母車本体に取り付けられたかごと、
を備え、
前記乳母車本体は、前記前脚及び前記後脚を含む本体フレームと、前記本体フレームに支持され、座部支持体と背部支持体とを有するシート支持ユニットを含み、
前記背部支持体は、前記本体フレームに対して揺動可能であり、
前記かごは、前記座部支持体の下方に位置する底壁部と、前記底壁部の後縁部に接続する後壁部と、を含み、
前記後壁部は前記背部支持体に取り付けられ、
前記背部支持体の両側方において前記本体フレームに接続し、前記背部支持体の背面側を通過して、前記背部支持体を背面側から支持するリクライニング部材を更に備え、
前記後壁部の上縁部は、前記背部支持体の背面側における前記リクライニング部材の経路よりも下方に位置している
、乳母車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごを備えた乳母車に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児を連れ出す際に用いられる乳母車が広く普及している。JP2018-202982Aに開示されているように、乳母車の座席は、座部と背部を有し、座部に対する背部の傾斜角度を変化させることでリクライニング可能とすることが知られている。
【0003】
上述のような乳母車には、荷物を収容するためのかごが設けられることがある。かごは、座席の下方において、座席を支持する前脚や後脚に取り付けられている。これにより、座席の下方の空間を、有効に利用することができる。
【0004】
乳母車の操作中に乳母車が後方に傾くと、かごに収容された荷物が転落することがある。これを防止するため、かごの後壁を高くすると、リクライニング機能を阻害する虞がある。すなわち、かごの後壁と座席の背部とが干渉して、背部を所望のように傾倒させることができない虞がある。
【発明の開示】
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、リクライニング機能を阻害することなく、かごに収容された荷物が転落する虞を低減させることを目的とする。
【0006】
本実施形態による乳母車は、
前脚及び後脚を含む乳母車本体と、
乳母車本体に取り付けられたかごと、
を備え、
前記乳母車本体は、前記前脚及び前記後脚を含む本体フレームと、前記本体フレームに支持され、座部支持体と背部支持体とを有するシート支持ユニットを含み、
前記背部支持体は、前記本体フレームに対して揺動可能であり、
前記かごは、前記座部支持体の下方に位置する底壁部と、前記底壁部の後縁部に接続する後壁部と、を含み、
前記後壁部は前記背部支持体に取り付けられている。
【0007】
本発明によれば、リクライニング機能を阻害することなく、かごに収容された荷物が転落する虞を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、乳母車の全体構成を説明するための斜視図である。
【
図2】
図2は、ハンドルが第1位置(背面押し位置)に配置された状態で
図1の乳母車を示す側面図である。
【
図3A】
図3Aは、ハンドルが第2位置(対面押し位置)に配置され且つ背部支持体が背面側に傾斜した状態で
図1の乳母車を示す側面図。
【
図3B】
図3Bは、ハンドルが第2位置(対面押し位置)に配置され且つ背部支持体が立ち上がった状態で
図1の乳母車を示す側面図である。
【
図4】
図4は、折り畳まれた状態で
図1の乳母車を示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図1の乳母車の一部分を下方から示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1の乳母車の背部支持体及びリクライニング機構を取り出して示す平面図である。
【
図9】
図9は、かごの取り付け方法を示す図であって、かごの前方部分と前脚と後方から見た斜視図である。
【
図10】
図10は、かごの取り付け方法を示す図であって、かごの後方部分と後脚と後方から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、かごの取り付け方法を示す図であって、乳母車の背部支持体の上面とかごの後壁部の上縁部とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に示された一具体例を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。
【0010】
図1~
図11は本発明による乳母車の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1~
図4には、乳母車の一具体例の全体構成が示されている。また、
図5及び
図6は、乳母車を部分的に示す斜視図である。
【0011】
本実施の形態の乳母車10は、本体フレーム12と、本体フレーム12に対して揺動可能な背部支持体51を有するシート支持ユニット50と、本体フレーム12に接続し背部支持体51を背面側から支持するリクライニング部材56と、を有している。
図1に示すように、乳母車10は、更に、かご80を有している。かご80は、後述するシート支持ユニット50の下方に取り付けられている。これにより、シート支持ユニット50の下方の空間を、荷物を収容するための空間として有効に利用することができる。
【0012】
本実施の形態の一具体例である
図1~
図4に示された乳母車10は、折り畳み可能な乳母車本体11を有している。乳母車本体11は、本体フレーム12と、本体フレーム12に支持されたシート支持ユニット50と、を有している。本体フレーム12は、前脚14及び後脚16と、前後に揺動可能なハンドル40と、を有している。前脚14及び後脚16の下端には、それぞれ前輪18及び後輪19が回転可能に設けられている。前輪18及び後輪19は、それぞれ、前輪18及び後輪19の下端に接続された前輪保持部材18a及び後輪保持部材19aによって保持されている。前輪保持部材18aと前輪18は、キャスターを構成し、水平方向に延びる回転軸18bの周りを回転可能であると共に、鉛直方向に延びる旋回軸の周りを旋回可能となっている。また、後輪保持部材19aと後輪19も、キャスターを構成し、水平方向に延びる回転軸19bの周りを回転可能であると共に、鉛直方向に延びる旋回軸の周りを旋回可能となっている。
【0013】
図示された例では、ハンドル40は、第1位置と第2位置との間を揺動可能となっている。図示された例において、ハンドル40の第1位置は背面押し位置であり(
図1及び
図2参照)、ハンドル40の第2位置は対面押し位置である(
図3A及び
図3B参照)。
図2に示すように、ハンドル40は、背面押し位置である第1位置において、鉛直方向に対して傾斜し後方に延び上がっている。背面押し位置である第1位置にハンドル40を配置した場合、操作者(保護者)は乳幼児の背面側からハンドル40を把持して乳母車10を操縦する。このとき、乳幼児は、乳母車10の走行中、進行方向の前方を向いて景色を楽しむことができる。
図3A及び
図3Bに示すように、ハンドル40は、対面押し位置である第2位置において、鉛直方向に対して傾斜し前方に延び上がっている。対面押し位置である第2位置にハンドル40を配置した場合、操作者は乳幼児に対面する前脚14の側の位置からハンドル40を把持して乳母車10を操縦する。このとき、乳母車10の後脚16の側が進行方向の前方となるようにして乳母車10を走行させることができる。
【0014】
ところで、本明細書中において、乳母車およびその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車およびその構成要素に乗車する乳幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向」とは、
図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向であって、
図2における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乗車した乳幼児が向く側であり、
図1における紙面の左下側並びに
図2における紙面の左側が前側となる。一方、「上下方向」とは乳母車の走行面に直交する方向である。したがって、走行面が水平面である場合、「上下方向」とは鉛直方向をさす。また、「横方向」とは幅方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。さらに、背部支持体51等に関連して用いられる「背面側」とは、乳母車10に乗車する乳幼児に対面する側とは反対側のことを意味している。したがって、「背面側」とは、通常、後側または下側となる。
【0015】
まず、乳母車10の全体構成として、乳母車本体11について説明する。
図1に示すように、図示された乳母車本体11は、全体的に、横方向中心に位置し前後方向及び上下方向に沿った面を中心として概ね対称な構成を有している。乳母車本体11は、
図1に示すように、それぞれ左右に配置された一対の前脚14と、それぞれ左右に配置された一対の後脚16と、を有している。本体フレーム12は、それぞれ左右に配置された第1リンクL1、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4を更に有している。前脚14、後脚16及び第1~第4リンクL1~L4は、乳母車本体11を折り畳み可能および展開可能に構成するリンクとして機能する。図示された例において、第1リンクL1は、アームレスト21としても機能する。すなわち、アームレスト21によって第1リンクL1が構成されている。
【0016】
図2に示すように、前脚14の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。後脚16の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。また、
図3A及び
図3Bに示すように、第2リンクL2の上方部分が、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の後方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。
図5に示すように、図示された例において、第2リンクL2は、主リンク材22と、主リンク材22の上端に固定された上接続材23と、を有している。主リンク材22は、例えば金属製パイプからなる。上接続材23は、例えば、樹脂成形物からなる。第2リンクL2は、上接続材23において、アームレスト21の後端部分に回動可能(揺動可能)に接続している。
【0017】
図1~
図3Bに示すように、第3リンクL3は、前脚14と回動可能(揺動可能)に接続している。第4リンクL4は、後脚16と回動可能(揺動可能)に接続している。第3リンクL3は、第2リンクL2及び第4リンクL4の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。第4リンクL4は、第2リンクL2及び第3リンクL3の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。第2リンクL2は、第3リンクL3及び第4リンクL4の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。
【0018】
図1及び
図5に示すように、図示された例において、第3リンクL3をなす部材として、フレーム材24と、フレーム材24に固定された前接続材25及び後接続材26とが設けられている。フレーム材24は、例えば、曲げ加工した金属製パイプからなる。前接続材25及び後接続材26は、例えば樹脂成形物からなる。フレーム材24は、前後方向に延びる一対の側部24aと、一対の側部24aを前方にて連結する連結部24bと、を有してU字状をなしている。前接続材25は、一端部分を前脚14と回動可能に接続され、他端部分を側部24aの前方部分に固定されている。後接続材26は、側部24aの後端部分に固定されている。この例において、右側に位置するフレーム材24の側部24aと、この右側の側部24aに固定された右側の前接続材25及び後接続材26とによって、右側の第3リンクL3が形成されている。同様に、左側に位置するフレーム材24の側部24aと、この左側の側部24aに固定された左側の前接続材25及び後接続材26とによって、左側の第3リンクL3が形成されている。
【0019】
図5に示すように、図示された例において、第4リンクL4は、後脚16に回動可能に接続された主軸材28と、主軸材28の上端部分に固定された端部材29と、を有している。主軸材28は、例えば金属製パイプからなる。端部材29は、例えば樹脂成形物からなる。主軸材28は、下端部分において後脚16の中間部分と回動可能に接続されている。端部材29は、第2リンクL2及び第3リンクL3と回動可能に接続されている。図示された例において、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、同一の軸部材30を用いて、互いに回動可能に接続されている。この軸部材30は、第2リンクL2の主リンク材22、第4リンクL4の端部材29、及び、第3リンクL3をなす後接続材26を貫通している。この構成により、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、軸部材30の中心軸線と一致する軸線を中心として、互いに回動可能となっている。
【0020】
乳母車本体11は、揺動可能なハンドル40を更に有している。図示された例において、ハンドル40は、乳母車本体11のその他の構成要素に揺動可能に取り付けられたハンドル本体41と、ハンドル本体41に設けられた保持体42と、を有している。図示された乳母車本体11において、ハンドル40は、側面視において垂直軸よりも後方に傾斜する第1位置(背面押し位置)と、垂直軸よりも前方に傾斜する第2位置(対面押し位置)と、の間を揺動可能となっている。
【0021】
図1に示すように、ハンドル本体41は、互いに略平行に延びる一対のハンドル延出部41aと、一対のハンドル延出部41a間を連結する中間部41bと、を含んでいる。ハンドル本体41は、全体として略U字状の形状を有している。ハンドル40は、U字の両端部において、乳母車本体11のその他の構成要素と回動可能(揺動可能)に接続されている。図示された例において、ハンドル本体41は、軸部材30を用いて、他の構成要素と回動可能に接続されている。すなわち、第2リンクL2、第3リンクL3、第4リンクL4、ハンドル40及び後述する背部フレーム材31は、軸部材30によって画成される同一の軸線を中心として、互いに対して回動可能となっている。ハンドル40に設けられた保持体42が、本体フレーム12の第1位置保持部材36(
図3A及び
図3B参照)と係合することで、ハンドル40を
図2に示された第1位置に維持することができる。ハンドル40に設けられた保持体42が、本体フレーム12の第2位置保持部材37(
図2参照)と係合することで、ハンドル40を
図3A及び
図3Bに示された第2位置に維持することができる。
【0022】
また、
図1に示すように、乳母車本体11は、横方向に延びる構成要素として、一対の前脚14間を連結する前方連結材15と、一対の後脚16間を連結する後方連結材17と、を有している。前方連結材15は、フットレストとして機能する。また、一対の後接続材26間には、中央連結材27が設けられている。前方連結材15、後方連結材17及び中央連結材27によって、乳母車10の横方向への変形を抑制することができる。さらに、一対の第1リンクL1間に可撓性を有したガード部材38が取り外し可能に設けられている。
【0023】
以上の構成を有した乳母車本体11は、各構成部材を相対回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、第1位置に配置されたハンドル40をいったん後上方に引き上げ、その後、下方に押し下げることによって、第4リンクL4を後脚16に対し
図2において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、第1リンクL1および第3リンクL3は第2リンクL2に対し
図2において時計回り方向に回動する。このような操作により、側面視においてハンドル40と前脚14とが略平行な配置を維持しながら互いに接近するとともに、ハンドル40の位置が下げられるようになる。以上のようにして、
図4に示すように、乳母車本体11を折り畳むことができる。
図4の折り畳まれた状態では、乳母車10の前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。一方、乳母車本体11を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
【0024】
なお、乳母車本体11は、二つの構成部材の相対回動を規制する状態維持機構(図示せず)を有している。この状態維持機構を操作することで、乳母車本体11の折り畳み動作が可能となる。なお、図示された例において、ハンドル40は、状態維持機構に連結した遠隔操作装置43を有している。
図1に示すように、遠隔操作装置43は、ハンドル本体41の中間部41bに設けられている。遠隔操作装置43を操作することで、状態維持機構が動作し、乳母車本体11の折り畳み動作が可能となる。
【0025】
ところで、図示された乳母車本体11は、
図1~
図3Bに示すように、背部フレーム材31及び上方フレーム材32と、背部フレーム材31と上方フレーム材32とを連結する連結フレーム材33と、を更に有している。背部フレーム材31及び上方フレーム材32は、共にU字状に形成されている。そして、
図1に示すように、フレーム材24及び背部フレーム材31には、ベース布材34が張った状態で保持されている。
図6に示すように、ベース布材34は、フレーム材24の一対の側部24a及び連結部24bに取り付けられている。また、
図6及び
図7に示すように、背部フレーム材31は、一対の側方フレーム部31aと、一対の側方フレーム部31aの先端間を連結する連結フレーム部31bと、を有している。そして、ベース布材34は、一対の側方フレーム部31aおよび連結フレーム部31bに取り付けられている。
【0026】
ベース布材34は、フレーム材24、背部フレーム材31、上方フレーム材32及び連結フレーム材33とともに、
図2に二点鎖線で示されたクッション性を有した座席材70を支持する。図示された例において、乳母車本体11に含まれる構成要素のうちのフレーム材24、背部フレーム材31、上方フレーム材32、連結フレーム材33及びベース布材34が、座席材70を支持するシート支持ユニット50を構成している。そして、乳母車本体11に含まれる他の構成要素が本体フレーム12を構成している。シート支持ユニット50を構成する構成要素のうち、背部フレーム材31及びベース布材34の背部フレーム材31によって保持された領域34aが、乳幼児の背部を支持する背部支持体51を構成する。また、フレーム材24及びベース布材34のフレーム材24によって保持された領域34bが、乳幼児の臀部を支持する座部支持体52を構成する。以下では、ベース布材34の背部フレーム材31によって保持された領域34aを「背部領域34a」とも呼ぶ。また、ベース布材34のフレーム材24によって保持された領域34bを「座部領域34b」とも呼ぶ。なお、
図4において、背部フレーム材31、上方フレーム材32及び連結フレーム材33の図示を省略している。
【0027】
図5に示すように、背部フレーム材31は、その両端部において、図示された例では一対の側方フレーム部31aの基端部において、軸部材30に貫通されている。すなわち、背部支持体51の基端部が、軸部材30を介して、座部支持体52の後端部に接続している。そして、背部フレーム材31は、フレーム材24やその他の構成要素に対して回動可能(揺動可能)となっている。すなわち、軸部材30を介して、背部支持体51は、座部支持体52に対して回動可能(揺動可能)に接続されている。背部支持体51が座部支持体52に対して揺動することで、シート支持ユニット50の(したがって、座席材70の)リクライニングが可能となる。
図3A、
図5及び
図6に示された状態において、背部支持体51は傾斜してリクライニングした状態にあり、乳幼児は座席材70上で横臥することができる。
図3Bに示された状態において、背部支持体51は起立した状態にあり、乳幼児は座席材70上に着座することができる。
【0028】
上方フレーム材32は、その両端部において、第1リンクL1の後端部分と回動可能(揺動可能)に接続されている。上方フレーム材32の第1リンクL1に対する回動軸線は、第2リンクL2の第1リンクL1に対する回動軸線と同一線上に位置している。背部フレーム材31及び上方フレーム材32の間には、横方向に離間して一対の連結フレーム材33が設けられている。連結フレーム材33は、その両端において、背部フレーム材31及び上方フレーム材32と回動可能に接続している。
【0029】
連結フレーム材33は、背部フレーム材31の先端部、すなわち連結フレーム部31bに接続している。
図3Aに示された背部支持体51が座部支持体52とともに寝た状態において、連結フレーム材33は、背部支持体51をなす背部フレーム材31に対して立ち上がっている。連結フレーム材33は、乳幼児の頭部を後方から覆って保護する。一方、
図3Bに示された背部支持体51が起立した状態において、連結フレーム材33は、背部フレーム材31の先端から上方に延び上がり、ヘッドレストとして機能するようになる。
【0030】
図3A及び
図3Bに示すように、乳母車本体11は、更に、リクライニング機構55を有している。リクライニング機構55は、背部支持体51の背面側への傾倒を規制することで、背部支持体51を座部支持体52に対して所定の傾斜位置に維持する。図示された例において、リクライニング機構55は、本体フレーム12に接続したリクライニング部材56を有している。リクライニング部材56は、本体フレーム12に接続するとともに背部支持体51の背面側に位置することで、背部支持体51を背面側から支持する。
【0031】
図示されたリクライニング部材56は、細長い紐状またはベルト状の部材として構成されている。リクライニング部材56は、一端を本体フレーム12に接続された状態で他端を背部支持体51に対して固定されることで、背部支持体51の背面側への自由な傾倒を規制する。とりわけ図示された例では、リクライニング部材56は左右一対の紐状またはベルト状の部材として構成されている。各リクライニング部材56は、その一端を対応する側の第1リンクL1の後方部分に、とりわけ第1リンクL1と第2リンクL2との接続位置に、接続している。
【0032】
図示されたリクライニング機構55は、リクライニング部材56を背部支持体51に対して固定する固定具57を更に有している。図示された例において、固定具57は、一対のリクライニング部材56を背部支持体51の背面側において互いに固定している。これにより、背部支持体51は、一対のリクライニング部材56の間に設けられ、更なる背面側への揺動を規制される。図示された固定具57は、一対のリクライニング部材56を解放可能に保持することができる。より具体的には、固定具57は、各リクライニング部材56が移動可能に通過した貫通孔を形成されている。そして、固定具57は、各リクライニング部材56の長手方向に沿った任意の位置に着脱可能となっている。
【0033】
図7は、背部支持体51及びリクライニング機構55を、乳母車本体11及びシート支持ユニット50から取り出して示した平面図である。
図7は、背部支持体51の背面側を示す。
図7に示すように、ベース布材34の背面側にカバー部材35が設けられている。カバー部材35は、横方向に細長く延びている。カバー部材35は、両端において、ベース布材34との間に端部開口35aを形成している。各端部開口35aから対応する側のリクライニング部材56が挿入されている。カバー部材35は、横方向における中心に中央開口35bを形成されている。カバー部材35とベース布材34との間の経路に端部開口35aから挿入された一対のリクライニング部材56は、中央開口35bから延び出している。固定具57は、中央開口35bから延び出した一対のリクライニング部材56に固定されている。固定具57は、中央開口35bを通過不可能な大きさを有している。ベース布材34に対してカバー部材35を設けることで、横方向に延びるリクライニング部材56の経路を形成することができる。これにより、リクライニング部材56を用いて背部支持体51の揺動位置を安定して保持することができる。
図7に示すように、各リクライニング部材56は、筒状カバー58によって覆われていてもよい。
【0034】
以上に説明したシート支持ユニット50及びリクライニング機構55を有する乳母車10においては、固定具57を操作することで、背部支持体51の座部支持体52に対する相対傾斜角度を容易に変更することができる。
図1、
図3A、
図5及び
図6に示された状態では、中央開口35b内にリクライニング部材56が引き入れられ、背部支持体51が背面側へ傾倒している。
図3Bに示された状態では、中央開口35b内からリクライニング部材56が引き出され、背部支持体51が起立している。
【0035】
次に、かご80について説明する。
図1~
図3Bに示すように、かご80は、シート支持ユニット50の下方に設けられている。
図8は、かご80を後方から見た斜視図である。
【0036】
図8に示すように、かご80は、柔軟な布地を縫製することにより形成されている。かご80が柔軟な材料で形成されていることにより、かご80を乳母車本体11に取り付けたまま、乳母車本体11を折り畳むことができる。図示された例では、かご80は、かご80に収容された荷物を支持することができるよう、十分に強度の高い布地で作製されている。強度の高い布地とは、引裂強さや破裂強さ、摩耗強さの高い布地をいう。もちろん、かご80は、布地以外の材料を含んでいてもよい。また、かご80は、布地以外の材料で形成されていてもよい。
【0037】
かご80は、かご80の底面を形成する底壁部81を有する。底壁部81は、シート支持ユニット50の座部支持体52の下方において、本体フレーム12に取り付けられている。図示された例では、底壁部81は、全体として四角形状を有しており、全体として前後方向に延びる一対の側縁部81aと、全体として幅方向に延びる前縁部81b及び後縁部81cと、を有する。前縁部81bは一対の側縁部81aの前端部を接続し、後縁部81cは一対の側縁部81aの後端部を接続する。
【0038】
また、図示された例では、かご80は、一対の側壁部85と前壁部90と後壁部95とを有する。一対の側壁部85は、全体として前後方向に延びている。一対の側壁部85は、互いから幅方向に離間している。側壁部85の下縁部は、底壁部81の対応する側縁部81aに接続している。前壁部90及び後壁部95は、全体として幅方向に延びている。前壁部90及び後壁部95の下縁部は、それぞれ、底壁部81の前縁部81b及び後縁部81cに接続している。各側壁部85の前縁部及び後縁部は、それぞれ前壁部90及び後壁部95に接続している。側壁部85、前壁部90及び後壁部95は、底壁部81から上方に延びている。側壁部85と前壁部90と後壁部95とによって、周状の壁が形成されている。このような周状の壁によって、かご80に収容された荷物がかご80から落下する虞が低減される。
【0039】
ところで、乳母車は、大きな段差を超える際等に後方に傾けられることが多い。このため、かごに収容した荷物は、後方に落下しまうことが多い。したがって、かごの後壁部を高くすることが望まれている。言い換えると、後壁部の上下方向の寸法を大きくすることが望まれている。図示された例では、後壁部95の高さは前壁部90の高さよりも高い。また、
図3A及び
図3Bから理解されるように、後壁部95の上縁部95aの少なくとも一部は、座部支持体52の後端部よりも上方に位置している。言い換えると、後壁部95の上縁部95aの少なくとも一部は、第3リンクL3と第2リンク部材L2及びハンドル40とを回動可能に接続する軸部材30よりも上方に位置している。これにより、かご80に収容された荷物がかご80の底壁部81と座部支持体52との間から後方に落下してしまう虞が、効果的に低減される。
【0040】
かご80の底壁部81、側壁部85及び前壁部90は、本体フレーム12に取り付けられている。
図9に示す例では、底壁部81の前縁部81b(したがって、前壁部90の下縁部)は、接続具82を介して前脚14に接続している。より具体的には、底壁部81の前縁部81bの両端部に、接続具82としての取り付け紐が取り付けられている。取り付け紐82は、前輪保持部材18aに形成された貫通穴18cに挿通されて、前輪保持部材18aに接続されている。また、
図10に示す例では、底壁部81の後縁部81c(したがって、後壁部95の下縁部)は、接続具83を介して後脚16に接続している。図示された例では、底壁部81の後縁部81cの両端部に、接続具83としての取り付け紐が取り付けられている。取り付け紐83は、後輪保持部材19aに形成された貫通穴19cに挿通されて、後輪保持部材19aに接続されている。各取り付け紐82,83の自由端は、寸法を大きくすることによって、貫通穴18c,19cから抜け出ることを防止されている。また、図示された例では、底壁部81の後縁部81c(したがって、後壁部95の下縁部)は、更なる接続具84を介して後方連結材17に接続されている。図示された例では、底壁部81の後縁部81cの中央部に、接続具84としての取り付け布が取り付けられている。取り付け布84は、後方連結材17に巻き付けられることによって、後方連結材17に接続されている。取り付け布84には留め具84aとしての面ファスナーが設けられている。取り付け布84は、面ファスナー84aを用いて後方連結材17に巻き付けられた状態に維持される。
【0041】
また、
図10に示す例では、側壁部85の上縁部は、接続具86を介して後脚16に接続されている。具体的には、側壁部85の上縁部の中央部に、接続具86としての取り付け紐が取り付けられている。取り付け紐86は、後脚16と第4リンクL4との接続部に巻き付けられることによって、後脚16に接続されている。取り付け紐86の自由端には留め具86aとしての環状部材が取り付けられている。取り付け紐86は、環状部材86aを用いて後脚16と第4リンクL4との接続部に巻き付けられた状態に維持される。
【0042】
また、
図9に示す例では、前壁部90の上縁部は、接続具91を介して前脚14に接続されている。具体的には、前壁部90の上縁部の両端部に、接続具91としての取り付け紐が取り付けられている。取り付け紐91は、前接続材25と前脚14との接続部に巻き付けられることによって、前脚14に接続されている。取り付け紐91の自由端には留め具91aとしての環状部材が取り付けられている。取り付け紐91は、環状部材91aを用いて前接続材25と前脚14との接続部に巻き付けられた状態に維持される。
【0043】
ところで、後壁部95の高さを高くすると、シート支持ユニット50をリクライニングさせる際に、その背部支持体51と後壁部95とが干渉して、背部支持体51を所望の位置まで倒すことができない虞がある。例えば、後壁部95の上縁部95aの両端をシート支持ユニット50の両側方において本体フレーム12に接続すると、シート支持ユニット50をリクライニングさせる際に、本体フレーム12に対して揺動する背部支持体51と本体フレーム12に対して移動しない後壁部95とが干渉する虞がある。このような点を考慮して、後壁部95は、背部支持体51に取り付けられている。これにより、後壁部95の上縁部95aが背部支持体51と共に移動する。このため、シート支持ユニット50をリクライニングさせる際に後壁部95と背部支持体51とが干渉することが、防止される。また、後壁部95の上縁部95aと背部支持体51との間の隙間を、背部支持体51の傾倒角度によらず一定の大きさに保つことができる。なお、後壁部95の上縁部95aと背部支持体51との間の隙間が大きすぎると、かご80に収容された荷物が、当該隙間を通じて落下する虞がある。また、後壁部95の上縁部95aと背部支持体51との間の隙間が小さすぎると、当該隙間を通じてかご80から荷物を出し入れすることが困難である。したがって、後壁部95の上縁部95aと背部支持体51との間の隙間の大きさが背部支持体51の傾倒角度によらず一定に保たれることにより、かご80に収容された荷物が上記を通じて落下する虞を低減させることができ、且つ、背部支持体51の傾倒角度によらず、上記隙間を通じてかご80から荷物を出し入れすることが容易である。
【0044】
図8及び
図11に示す例では、後壁部95の上縁部95aの両端部に、接続具96としての取り付け紐が取り付けられている。具体的には、取り付け紐96は、ベース布材34の背部領域34aに取り付けられた環状紐34cに巻き付けられることによって、背部支持体51に接続されている。取り付け紐96の自由端には留め具96aとしての環状部材が設けられている。取り付け紐96は、環状部材96aを用いて環状紐34cに巻き付けられた状態に維持される。なお、
図11は、背部支持体51の上面側を示す平面図である。背部支持体51の上面側は、
図7に示す背部支持体51の背面側とは反対の側である。
【0045】
図示された例では、後壁部95の上縁部95aは、背部支持体51に着脱可能に接続されている。具体的には、取り付け紐96は、環状紐34cに着脱可能に接続されている。これにより、後壁部95を背部支持体51から取り外して、かご80の後方におけるかご80内への又はかご80内からの荷物の通路を広げることができる。したがって、広げられた当該通路を通じて、大きな荷物をかご80から出し入れすることができる。
【0046】
また、
図11に示す例では、後壁部95の上縁部95aは、背部支持体51の上面に接続されている。具体的には、取り付け紐96が接続される環状紐34cが、ベース布材34の上面に取り付けられている。このため、取り付け紐96は、背部支持体51の幅方向外側を通過して背部支持体51の上面に接続している。図示された例では、取り付け紐96は、背部フレーム材31の一対の側方フレーム部31aの幅方向外側を通過してベース布材34の上面に接続している。これにより、後壁部95の上縁部95aを、背部支持体51の幅方向の寸法と同程度に広げた状態に維持することができる。この結果、かご80に収容された荷物が後脚16の間から後方に落下してしまう虞が、効果的に低減される。
【0047】
また、
図11に示す例では、後壁部95の上縁部95aは、背部支持体51の背面側におけるリクライニング部材56の経路よりも下方に位置している。これにより、シート支持ユニット50をリクライニングさせる際に、後壁部95によってリクライニング部材56の(とりわけ固定具57の)操作が阻害される虞が低減される。
【0048】
また、
図8に示す例では、後壁部95の上縁部95aに幅方向に延びる挿通路97が形成されている。より具体的には、後壁部95の上縁部95aは筒状に形成されており、筒状の上縁部95aの内部空間が、挿通路97をなしている。挿通路97にはゴム紐98が挿通されている。ゴム紐98の両端部は、後壁部95の上縁部95aの両端部に固定されている。ゴム紐98の伸縮に応じて、後壁部95の上縁部95aが伸縮する。これにより、後壁部95の上縁部95aを収縮させて上縁部95aとシート支持ユニット50との間の隙間を縮小させることにより、当該隙間を通じて荷物が落下する虞を低減させることができる。また、必要に応じて、上縁部95aを伸長させて上縁部95aとシート支持ユニット50との間の隙間を拡大させることにより、当該隙間を通じて荷物を出し入れすることができる。
【0049】
図示された例では、挿通路97内には板材99が配置されている。
図8から理解されるように、板材99の上下方向の寸法は、ゴム紐98の上下方向の寸法よりも大きい。板材99は、挿通路97内において、後壁部95に固定されている。板材99は、例えばポリプロピレンで作製され、可撓性を有している。ゴム紐98は板材99の後方に位置している。これにより、板材99を後方に引っ張ることで、ゴム紐98が後方に引っ張られて伸長し、後壁部95の上縁部95aが伸長する。つまり、板材99を後方に引っ張ることで、ゴム紐98を伸長させて、後壁部95の上縁部95aとシート支持ユニット50との間の隙間を拡大させることができる。上述したように板材99の上下方向の寸法はゴム紐98の上下方向の寸法よりも大きいので、後壁部95の上縁部95aを操作する際、ゴム紐98を掴むよりも板材99を掴む方が容易である。
【0050】
後壁部95の上縁部95aが背部支持体51に取り付けられていることにより、乳母車10の側面視において、後壁部95の上縁部95aは、座部支持体52の後方に位置している。また、後壁部95の下縁部が後脚16に接続されていることにより、乳母車10の側面視において、後壁部95は、背部支持体51と後脚16との間に広がっている。
【0051】
図示された例では、
図3Aに示すように、背部支持体51が本体フレーム12に対して最も倒れた状態において、後壁部95と背部支持体51とを接続する取り付け紐96は、後脚16の下端部分に保持された後輪19の回転軸19bよりも前方に位置している。これにより、かご80に収容された荷物の重心が後輪19の回転軸19bよりも後方となる虞が低減され、乳母車10が意図せず後方に転倒する虞が低減される。
【0052】
また、
図8に示す例では、側壁部85は、前方領域をなす前方側壁部87と、後方領域をなす後方側壁部88と、を有する。前方側壁部87の前縁部は、前壁部90に接続されている。後方側壁部88の後縁部は、後壁部95に接続されている。図示された例では、前方側壁部87と後方側壁部88との前後方向における接続位置は、後脚16と第4リンクL4との前後方向における接続位置と概ね同じである。前方側壁部87の高さは、前壁部90の高さと同じである。後方側壁部88の高さは、前方側壁部87の高さよりも高い。図示された例では、後方側壁部88は、後壁部95の上縁部95aまで延びている。後方側壁部88は、乳母車10の側面視において、後脚16と後壁部95との間に広がっている。このような後方側壁部88によって、かご80に収容された荷物が後方に落下してしまう虞が、さらに効果的に低減される。
【0053】
なお、図示された例では、かご80の底壁部81と前壁部90と後壁部95の下方領域とは、第1布材Iによって一体に形成されている。また、前方側壁部87と後方側壁部88の下方領域は、第2布材IIによって一体に形成されている。後方側壁部88の下方領域以外の領域と後壁部95の中間領域とは、第3布材IIIによって一体に形成されている。後壁部95の中間領域とは、後壁部95の上記下方領域と上縁部95aとの間の領域である。後壁部95の上縁部95aは、第4布材IVによって形成されている。筒状に形成された第4布材IVの内部空間が、挿通路97をなす。以上のように、底壁部81は、第1布材Iの一部によって形成されている。また前壁部90は、第1布材Iの一部によって形成されている。また、後方側壁部88は、第2布材IIの一部と第3布材IIIの一部とによって形成されている。また、後壁部95は、第1布材Iの一部と第3布材IIIの一部と第4布材IVとによって形成されている。
【0054】
■■以上に説明してきた一実施の形態において、乳母車10は、前脚14及び後脚16を含む乳母車本体11と、乳母車本体11に取り付けられたかご80と、を備えている。乳母車本体11は、前脚14及び後脚16を含む本体フレーム12と、本体フレーム12に支持され、座部支持体52と背部支持体51とを有するシート支持ユニット50を含む。背部支持体51は、本体フレーム12に対して揺動可能である。かご80は、座部支持体52の下方に位置する底壁部81と、底壁部81の後縁部81cに接続する後壁部95と、を含む。後壁部95は背部支持体51に取り付けられている。
【0055】
■■このような本実施の形態によれば、後壁部95によって、かご80に収容された荷物がかご80から後方に落下する虞を低減させることができる。また、かご80の後壁部95の上下方向の寸法を大きくしても、シート支持ユニット50をリクライニングさせる際に背部支持体51と後壁部95とが干渉して背部支持体51を所望の位置まで倒すことができない、ということがない。なぜなら、後壁部95が背部支持体51に取り付けられていることにより、シート支持ユニット50をリクライニングさせる際に背部支持体51と共に後壁部95の上縁部95aが移動するからである。
【0056】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、後壁部95の上縁部95aの少なくとも一部が、座部支持体52の後端部よりも上方に位置している。これにより、かご80に収容された荷物がかご80の底壁部81と座部支持体52との間から後方に落下してしまう虞が、効果的に低減される。
【0057】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、乳母車本体11は、第1リンクL1と、第1リンクL1と接続し第1リンクL1に対して回動可能な前脚14と、第1リンクL1と接続し第1リンクL1に対して回動可能な後脚16と、第1リンクL1と接続し第1リンクL1に対して回動可能なハンドル40と、を有する。これにより、乳母車本体11を折り畳んで、乳母車10の寸法を小さくすることができる。
【0058】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、かご80は、底壁部81の側縁部81aに接続する側壁部85を更に有する。側壁部85の少なくとも一部は、後壁部95に接続し、乳母車10の側面視において、後脚16と後壁部95との間に広がっている。これにより、かご80に収容された荷物が後方に落下してしまう虞が、さらに効果的に低減される。
【0059】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、後壁部95を背部支持体51に取り付けるための取り付け紐96が、背部支持体51の幅方向外側を通過して背部支持体51の上面に接続している。図示された例では、背部支持体51は、幅方向に離間した一対の側方フレーム部31aを有するフレーム材31と、フレーム材31に張設されたベース布材34と、を含む。後壁部95を背部支持体51に取り付けるための取り付け紐96が、一対の側方フレーム部31aの幅方向外側を通過してベース布材34の上面に接続している。これにより、後壁部95の上縁部95aを、背部支持体51の幅方向の寸法と同程度に広げた状態に維持することができる。この結果、かご80に収容された荷物が後脚16の間から後方に落下してしまう虞が、効果的に低減される。
【0060】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、背部支持体51が本体フレーム12に対して最も倒れた状態において、取り付け紐96が、後脚16の下端部分に保持された後輪19の回転軸19bよりも前方に位置している。これにより、かご80に収容された荷物の重心が後輪19の回転軸19bよりも後方となる虞が低減され、乳母車10が意図せず後方に転倒する虞が低減される。
【0061】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、後壁部95の上縁部95aに幅方向に延びる挿通路97が形成されている。挿通路97にゴム紐98が挿通されている。これにより、ゴム紐98の伸縮に応じて、後壁部95の上縁部95aが伸縮させることができる。この結果、後壁部95の上縁部95aを収縮させて上縁部95aとシート支持ユニット50との間の隙間を縮小させることにより、当該隙間を通じて荷物が落下する虞を低減させることができる。また、必要に応じて、上縁部95aを伸長させて上縁部95aとシート支持ユニット50との間の隙間を拡大させることにより、当該隙間を通じて荷物を出し入れすることができる。
【0062】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、挿通路97内に板材99が配置されている。ゴム紐98は板材99の後方に位置している。これにより、板材99を後方に引っ張ることでゴム紐98を伸長させることができる。したがって、ゴム紐98を伸長させて上縁部95aとシート支持ユニット50との間の隙間を拡大させることが容易である。
【0063】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、乳母車10は、背部支持体51の両側方において本体フレーム12に接続し、背部支持体51の背面側を通過して、背部支持体51を背面側から支持するリクライニング部材56を更に備えている。後壁部95の上縁部95aは、背部支持体51の背面側におけるリクライニング部材56の経路よりも下方に位置している。これにより、シート支持ユニット50をリクライニングさせる際に、後壁部95によってリクライニング部材56の操作が阻害されることが防止される。
【0064】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
10:乳母車、11:乳母車本体、12:本体フレーム、14:前脚、16:後脚、18:前輪、18b:回転軸、19:後輪、19b:回転軸、40:ハンドル、41a:ハンドル延出部、50:シート支持ユニット、51:背部支持体、52:座部支持体、56:リクライニング部材、80:かご、81:底壁部、85:側壁部、90:前壁部、95:後壁部、95a:上縁部、96:取り付け紐、97:挿通路、98:ゴム紐、99:板材、L1:第1リンク、L2:第2リンク、L3:第3リンク、L4:第4リンク