(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】調味液の温度管理装置
(51)【国際特許分類】
A47J 43/044 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A47J43/044
(21)【出願番号】P 2024564488
(86)(22)【出願日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2024027692
【審査請求日】2024-11-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503287915
【氏名又は名称】株式会社一蘭
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 竜介
(72)【発明者】
【氏名】水谷 泰崇
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-136070(JP,A)
【文献】特開2021-023604(JP,A)
【文献】国際公開第2010/050043(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0083304(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109199146(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/044
A47J 43/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽に貯留されて、加熱される調味液の温度を管理する温度管理装置であって、
前記貯留槽に貯留されている前記調味液を撹拌する撹拌機と、
前記貯留槽に貯留されている前記調味液の温度を測定する温度センサと、
前記撹拌機と前記温度センサとを保持する保持部と、
前記貯留槽の上方に配置されて、前記調味液の蒸気を遮る遮蔽板と、
を有してなり、
上方視において、前記貯留槽の中心から外縁に向かう方向は第1方向であり、前記第1方向の反対の方向は第2方向であり、
前記遮蔽板は、
上方視において、前記貯留槽の前記中心側に配置される第1遮蔽部と、
前記第1遮蔽部の前記第1方向に、前記第1遮蔽部と隣接して配置される第2遮蔽部と、
を備えて、
前記撹拌機と前記温度センサそれぞれの一部は、前記遮蔽板よりも上方に配置されて、
前記第1遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置される、
ことを特徴とする調味液の温度管理装置。
【請求項2】
前記第2遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して平行に配置される、
請求項1記載の調味液の温度管理装置。
【請求項3】
前記第2遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置されて、
前記第1遮蔽部の水平方向に対する第1傾斜角度は、前記第2遮蔽部の水平方向に対する第2傾斜角度と、異なる、
請求項1記載の調味液の温度管理装置。
【請求項4】
前記第1遮蔽部は、前記第1遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される、
請求項1記載の調味液の温度管理装置。
【請求項5】
前記第2遮蔽部は、前記第2遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される、
請求項4記載の調味液の温度管理装置。
【請求項6】
前記第1遮蔽部の水平方向に対する第1傾斜角度は、前記第2遮蔽部の水平方向に対する第2傾斜角度よりも大きい、
請求項5記載の調味液の温度管理装置。
【請求項7】
上方視において、前記第2遮蔽部の前記第1方向の端部は、前記貯留槽の外部に配置される、
請求項6記載の調味液の温度管理装置。
【請求項8】
前記撹拌機は、
前記調味液に浸漬されて、前記調味液を撹拌するプロペラ羽と、
前記プロペラ羽に動力を供給する動力部と、
前記プロペラ羽と前記動力部とに接続されて、前記動力部の前記動力を前記プロペラ羽に伝達するシャフトと、
を備えて、
前記温度センサは、
前記調味液に浸漬されて、前記調味液の温度を測定するセンサ部と、
前記保持部に保持される接続部と、
前記センサ部と前記接続部とに接続されて、前記調味液内において、前記センサ部を保持可能なロッドと、
を備えて、
前記動力部と前記接続部とは、前記遮蔽板よりも上方に配置される、
請求項1記載の調味液の温度管理装置。
【請求項9】
前記動力部は、前記第1遮蔽部の上方に配置されて、
前記接続部は、前記第2遮蔽部の上方に配置される、
請求項8記載の調味液の温度管理装置。
【請求項10】
前記第1遮蔽部は、前記第1遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第2方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される、
請求項1記載の調味液の温度管理装置。
【請求項11】
前記第2遮蔽部は、前記第2遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される、
請求項10記載の調味液の温度管理装置。
【請求項12】
前記遮蔽板は、下方に凸の湾曲板である、
請求項1記載の調味液の温度管理装置。
【請求項13】
前記第1遮蔽部は、前記第2遮蔽部と一体に成形される、
請求項1記載の調味液の温度管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味液の温度管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食物(例えば、ラーメン、そば、うどんなど)の調味液を貯留して、加熱する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている装置では、調味液がスープ貯留装置から加熱タンクに送液されて、所定量の調味液が加熱タンクから丼ぶりに供給される。調味液はスープ貯留装置と加熱タンクそれぞれで加熱されて、調味液の温度が管理される。
【0003】
ここで、調味液が水分と油分とを含む場合、水分と油分とが混ぜられた状態で温度が管理されなければ、調味液の品質は維持されない。そのため、例えば、調味液は、スープ貯留装置(貯留槽)内で、撹拌されながら、所定の温度に維持される。調味液を撹拌するために、撹拌機が使用される。調味液の温度を測定するために、温度センサが使用される。撹拌機と温度センサそれぞれの一部は、貯留槽の上方に配置される。
【0004】
調味液は、撹拌と同時に加熱される。そのため、調味液の一部は蒸気となる。蒸気は、貯留槽の上方に昇る。そのため、貯留槽の上方に配置される撹拌機と温度センサそれぞれの一部は、蒸気に曝される。その結果、蒸気がこれらの表面で結露して、同表面に結露水が付着する。このとき、結露水は、撹拌機などに付着した埃などを含み得る。埃を含んだ結露水は、落下して、調味液と混ざり得る。このように、埃を含んだ結露水は、調味液の品質を低下させる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、貯留槽内の加熱された調味液の蒸気の上昇を遮ると共に、蒸気の結露水の貯留槽内への落下を防止して、結露水による貯留槽内の調味液の品質の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る調味液の温度管理装置は、貯留槽に貯留されて、加熱される調味液の温度を管理する温度管理装置であって、貯留槽に貯留されている調味液を撹拌する撹拌機と、貯留槽に貯留されている調味液の温度を測定する温度センサと、撹拌機と温度センサとを保持する保持部と、貯留槽の上方に配置されて、調味液の蒸気を遮る遮蔽板と、を有してなり、上方視において、貯留槽の中心から外縁に向かう方向は第1方向であり、第1方向の反対の方向は第2方向であり、遮蔽板は、上方視において、貯留槽の中心側に配置される第1遮蔽部と、第1遮蔽部の第1方向に、第1遮蔽部と隣接して配置される第2遮蔽部と、備えて、撹拌機と温度センサそれぞれの一部は、遮蔽板よりも上方に配置されて、第1遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、貯留槽内の加熱された調味液の蒸気の上昇を遮ると共に、蒸気の結露水の貯留槽内への落下を防止して、結露水による貯留槽内の調味液の品質の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る調味液の温度管理装置の実施の形態を示す、同温度管理装置の斜視図である。
【
図2】上記温度管理装置が備える遮蔽板を示す、同温度管理装置の部分拡大側面図である。
【
図3】上記温度管理装置により温度が管理される調味液が貯留される貯留槽の開口部に配置される貯留蓋の上面図である。
【
図4】上記温度管理装置の遮蔽板の形状を示す、同遮蔽板の模式側面断面図である。
【
図5】上記温度管理装置の遮蔽板の別の形状を示す、同遮蔽板の模式側面断面図である。
【
図6】上記温度管理装置の遮蔽板のさらに別の形状を示す、同遮蔽板の模式側面断面図である。
【
図7】上記温度管理装置の遮蔽板のさらに別の形状を示す、同遮蔽板の模式側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る調味液の温度管理装置の実施の形態は、以下に図面と共に説明される。
【0011】
本実施の形態は、寸胴に貯留されて加熱されているラーメンのスープの温度を管理する温度管理装置を用いて説明される。温度管理装置は、ラーメン店の店内の厨房に設置される。ここで、ラーメンは、本発明における飲食物の例である。ラーメンのスープは、本発明における調味液の例である。寸胴は、本発明における調味液が貯留される貯留槽の例である。
【0012】
なお、本発明における調味液は、ラーメンのスープに限定されない。
【0013】
以下の説明において、「下方」は、重力方向である。「上方」は、下方の反対方向である。
【0014】
●調味液の温度管理装置●
●調味液の温度管理装置の構成
図1は、本発明に係る調味液の温度管理装置(以下「本装置」という。)の実施の形態を示す、本装置の斜視図である。同図は、本装置に寸胴が載置されている様子を示す。
図2は、本装置が備える遮蔽板を示す、本装置の部分拡大側面図である。同図の2点鎖線は、位置調整部と寸胴とを示す。
【0015】
本装置1は、スープSの温度を管理する。本装置1は、筐体2と、加熱部3と、位置調整部4と、保持部5と、撹拌機6と、温度センサ7と、遮蔽板8と、を備える。
【0016】
筐体2は、加熱部3と位置調整部4とを支持する。筐体2は、上面21と、下面22と、側面23と、移動体24(例えば、キャスタ)と、を備える。移動体24は、本装置1を移動させる。移動体24は、下面22に取り付けられる。
【0017】
加熱部3は、寸胴100に貯留されているスープSを加熱する。加熱部3は、IH(Induction Heating)ヒータである。加熱部3は温度センサ7の測定結果に基づいて、寸胴100を加熱する温度を制御する。加熱部3は、外部電源(不図示)に接続される。加熱部3は、上面21に配置される(支持される)。
【0018】
加熱部3は、寸胴100に貯留されているスープSの温度が、所定の温度(上限温度:例えば100℃)を超過することなく、所定の温度(目標温度:例えば95℃)に収束するように、加熱部3の加熱出力を制御する。
【0019】
ここで、目標温度は、例えば、スープSの沸点、スープSの種類、寸胴100に貯留されているスープSの量、本装置1が設置される厨房内の室温の推移、などに基づいて、ユーザにより設定される。目標温度は、スープSの沸点(上限温度)よりも低い。
【0020】
位置調整部4は、寸胴100に対する撹拌機6と温度センサ7との上下方向における位置を調整する。位置調整部4は、レール部41と、位置固定部42と、ストッパ43と、を備える。
【0021】
レール部41(例えば、スガツネ工業株式会社製のアルミフレームFSL-L型)は、撹拌機6と温度センサ7それぞれの上下方向への移動をガイドする。撹拌機6と温度センサ7それぞれがレール部41に沿って移動することにより、撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部は、寸胴100の内部と外部との間で進退可能である。
【0022】
位置固定部42(例えば、スガツネ工業株式会社製のフリースライドロックFSL-V36)は、レール部41に対する保持部5の位置を固定する。位置固定部42は、スライド部と、規制操作部と、を備える。スライド部は、レール部41の内部に配置されて、レール部41の内部を上下方向に移動可能である。規制操作部は、レール部41の内部におけるスライド部の移動を規制する。
【0023】
ここで、位置固定部42は、保持部5と連結する。すなわち、位置固定部42の規制操作部が操作されて、位置固定部42がレール部41のレールに沿って移動すると、保持部5もレール部41のレールに沿って移動する。ユーザが規制操作部を操作して、スライド部のレール内での移動が可能となると、位置固定部42は、レール部41のレールに沿って移動可能となる。ユーザが規制操作部を操作して、スライド部のレール内での移動が不可能となると、位置固定部42は、レール部41のレールに沿って移動不可能となる。
【0024】
ストッパ43は、レール部41に沿って、上下方向に移動可能な位置固定部42の移動範囲を規制する。ストッパ43は、上下方向において、レール部41の上端部と、レール部41の中央部と、に配置されている。スライド部がストッパ43に当接することにより、スライド部の移動は規制される。すなわち、ストッパ43は、レールに沿って移動可能な位置固定部42の移動範囲を規定する。
【0025】
ここで、レール部41のレールに沿って移動可能な位置固定部42の移動方向は、上下方向である。すなわち、レールの一端(上端部)に配置されたストッパ43は、位置固定部42の上限位置を規定して、レールの他端(中央部)に配置されたストッパ43は、位置固定部42の下限位置を規定する。つまり、ストッパ43は、位置固定部42に連結する撹拌機6と温度センサ7との上限位置と下限位置とを規定する。換言すれば、ユーザは、位置固定部42がストッパ43に当接するまで位置固定部42を移動させることで、位置固定部42に連結する撹拌機6と温度センサ7とを、上下方向の所定の位置に位置決めできる。すなわち、位置固定部42が下限位置のストッパ43に当接することにより、後述される撹拌機6のプロペラ羽63の上下方向の位置と、後述される温度センサ7のセンサ部73の上下方向の位置とが、位置決めされる。
【0026】
なお、前述の説明において、レールの上端部に配置されたストッパ43は、レールのエンドキャップ(例えば、スガツネ工業株式会社製のエンドキャップFSL-EC)である。
【0027】
保持部5は、撹拌機6と温度センサ7とを保持する。保持部5は、板状である。保持部5の一端部は、位置固定部42に固定されている。保持部5の他端部は、後述される撹拌機6の動力部61と、後述される温度センサ7の接続部71と、を保持する。
【0028】
ここで、保持部5は、位置固定部42に連結する。すなわち、位置固定部42の規制操作部が操作されて、位置固定部42がレール部41のレールに沿って移動すると、撹拌機6と温度センサ7もレール部41のレールに沿って移動する。
【0029】
撹拌機6は、寸胴100に貯留されているスープSを撹拌する。撹拌機6は、外部電源(不図示)に接続される。撹拌機6は、動力部61と、シャフト62と、プロペラ羽63と、を備える。
【0030】
動力部61は、プロペラ羽63に動力を供給する。動力部61は、保持部5に保持される。動力部61は、寸胴100の開口部の上方に配置される。動力部61は、後述される第1遮蔽部81の上方に配置される。
【0031】
シャフト62は、動力部61とプロペラ羽63とに接続されて、動力部61の動力をプロペラ羽63に伝達する。シャフト62は、動力部61から下方に突出するように、配置される。シャフト62は、後述される遮蔽板8の第1貫通孔81h(
図3参照)に挿通される。シャフト62の下部は、スープSに浸漬される。
【0032】
プロペラ羽63は、スープSを撹拌する。プロペラ羽63は、シャフト62の下端部に配置される。プロペラ羽63は、動力部61の動力により、回転する。プロペラ羽63は、寸胴100の内部に配置されて、スープSに浸漬される。
【0033】
温度センサ7は、寸胴100に貯留されているスープSの温度を測定する。温度センサ7は、金属シース内に一対の熱電対線が収容されたシース熱電対(例えば、K型熱電対やT型熱電対)である。温度センサ7は、接続部71と、ロッド72と、センサ部73と、信号線74と、を備える。
【0034】
接続部71は、保持部5に保持される部分である。接続部71は、寸胴100の開口部の上方に配置される。接続部71は、後述される第2遮蔽部82の上方に配置される。接続部71は、信号線74を介して、加熱部3の制御部に接続される。
【0035】
ロッド72は、センサ部73と信号線74とを収容する。ロッド72は、接続部71の下方に配置される。ロッド72は、一対の熱電対線を収容する棒状の金属シースである。ロッド72は、後述される遮蔽板8の第2貫通孔82h(
図3参照)に挿通される。ロッド72の下部は、スープSに浸漬される。
【0036】
センサ部73は、スープSの温度を測定して、測定結果を示す信号を加熱部3に送信する。センサ部73は、ロッド72の下端部に収容される。センサ部73は、スープSに浸漬される。
【0037】
信号線74は、温度センサ7からの信号を、加熱部3に送信する。信号線74の一端部は、センサ部73に接続される。信号線74の他端部は、加熱部3に接続される。
【0038】
遮蔽板8は、寸胴100の上方に配置されて、スープSの蒸気Vを遮る。遮蔽板8は、寸胴100と、動力部61および接続部71と、の間に配置される。遮蔽板8は、第1遮蔽部81と、第2遮蔽部82と、連結部83と、を備える。
【0039】
以下の説明において、「第1方向」は、上方視において、寸胴100の中心から外縁に向かう方向である。「第2方向」は、上方視において、第1方向の反対の方向である。
【0040】
第1遮蔽部81は、上方視において、寸胴100の中心側に配置される。第1遮蔽部81は、板状である。第1遮蔽部81は、第1遮蔽部81と寸胴100との間隔が、第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。すなわち、第1遮蔽部81は、水平方向に対して傾いて配置される。第1遮蔽部81は、動力部61の下方に配置される。第1遮蔽部81は、第1上面81aと、第1下面81bと、第1貫通孔81hと、を備える。
【0041】
第1上面81aは、動力部61(上方)に向けられる第1遮蔽部81の面である。
【0042】
第1下面81bは、第1上面81aの反対側の面である。第1下面81bは、寸胴100(下方)に向けられる第1遮蔽部81の面である。
【0043】
第1貫通孔81hは、第1遮蔽部81を上下方向に貫通する貫通孔である。第1貫通孔81hには、シャフト62が挿通される。
【0044】
第2遮蔽部82は、上方視において、寸胴100の外縁側に配置される。具体的には、第2遮蔽部82は、第1遮蔽部81の第1方向に、第1遮蔽部81と連接して配置される。第2遮蔽部82は、板状である。第2遮蔽部82は、第2遮蔽部82と寸胴100との間隔が、第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。すなわち、第2遮蔽部82は、水平方向に対して傾いて配置される。第1遮蔽部81の水平方向に対する第1傾斜角度は、第2遮蔽部82の水平方向に対する第2傾斜角度よりも大きい。上方視において、第2遮蔽部82の第1方向の端部は、寸胴100の外部に配置される。第2遮蔽部82は、接続部71の下方に配置される。第2遮蔽部82は、第2上面82aと、第2下面82bと、第2貫通孔82hと、を備える。
【0045】
「第1傾斜角度」は、第1遮蔽部81が水平に対して傾けられて配置される角度である。
【0046】
「第2傾斜角度」は、第2遮蔽部82が水平に対して平行に、または、傾けられて配置される角度である。第1遮蔽部81の水平方向に対する第1傾斜角度は、第2遮蔽部82の水平方向に対する第2傾斜角度と、異なる。
【0047】
第2上面82aは、接続部71(上方)に向けられる第2遮蔽部82の面である。
【0048】
第2下面82bは、第2上面82aの反対側の面である。第2下面82bは、寸胴100(下方)に向けられる第2遮蔽部82の面である。
【0049】
第2貫通孔82hは、第2遮蔽部82を上下方向に貫通する貫通孔である。第2貫通孔82hには、ロッド72が挿通される。
【0050】
連結部83は、第1遮蔽部81および第2遮蔽部82と、撹拌機6と、を連結する。連結部83は、上下方向に沿う板状である。連結部83は、撹拌機6に対する第1遮蔽部81と第2遮蔽部82との位置を固定する。連結部83の上端83aは、動力部61の下端部に取り付けられる。連結部83の下端83bは、第1上面81aと第2上面82aとに取り付けられる。
【0051】
以下、本装置で使用される貯留槽と貯留蓋とが説明される。
【0052】
図3は、本装置1により温度が管理されるスープSが貯留される寸胴100の開口部に配置される貯留蓋200の上面図である。以下の説明において、
図1および
図2は、
図3と共に、適宜参照される。
【0053】
寸胴100は、スープSが貯留される貯留槽である。寸胴100の上端部は、上方に開口する開口部である。
【0054】
貯留蓋200は、寸胴100の開口部に配置されて、寸胴100の開口部を覆う。貯留蓋200は、加熱されたスープSの蒸気Vを遮る。貯留蓋200は、2分割されている。貯留蓋200は、第1蓋部210と、第2蓋部220と、を備える。
【0055】
第1蓋部210は、上方視において、寸胴100の開口部のうち、撹拌機6と温度センサ7とが配置される側を覆う蓋である。すなわち、第1蓋部210は、上方視において、遮蔽板8が配置された側の寸胴100の開口部の一部を覆う。第1蓋部210の形状は、上方視において、半円状である。第1蓋部210は、切欠部211と、凹部212と、取手213と、寸胴100から丼ぶりにスープSを送液する1または複数のチューブが挿通される切欠部(不図示)と、寸胴100のスープSの液量を計測する液面計が挿入される孔(不図示)と、を備える。
【0056】
切欠部211は、スリット状である。第1蓋部210の円弧状の外縁の一部は、第2方向に向けてスリット状に切り欠かれて、切欠部211が形成される。切欠部211の上方には、遮蔽板8が配置される。上下方向において、切欠部211が形成されている位置には、撹拌機6と温度センサ7とが配置される。切欠部211には、シャフト62とロッド72とが挿通される。
【0057】
凹部212は、第1蓋部210の弦状の外縁に配置されて、同外縁から第1方向に凹む。
【0058】
取手213は、ユーザが第1蓋部210を持ち上げるため、ユーザに把持される。取手213は、第1蓋部210の上面に配置される。
【0059】
第2蓋部220は、上方視において、寸胴100の開口部のうち、撹拌機6と温度センサ7とが配置されていない部分を覆う蓋である。第2蓋部220は、寸胴100の開口部のうち、第1蓋部210で覆われていない部分を覆う。第2蓋部220の形状は、上方視において、半円状である。第2蓋部220は、凸部221と、取手222と、を備える。
【0060】
凸部221は、第2蓋部220の弦状の外縁に配置されて、同外縁から第1方向に突出する。水平方向において、第1蓋部210と第2蓋部220が第1蓋部210に突き合わせられたとき、凸部221は、凹部212に嵌合する。
【0061】
取手222は、ユーザが第2蓋部220を持ち上げるとき、ユーザに把持される。取手222は、第2蓋部220の上面に配置される。
【0062】
●本装置の使用例
以下、本装置の使用例が説明される。
【0063】
図4は、本装置1の遮蔽板の形状を示す模式側面断面図である。
同図は、寸胴100の内部にスープSが貯留されて、寸胴100の内部に撹拌機6と温度センサ7とが配置されていることを示す。以下の説明において、
図1-3は、
図4と共に、適宜参照される。
【0064】
先ず、ユーザは、位置調整部4の操作により、撹拌機6と温度センサ7とを上方に退避させる。前述のとおり、上下方向において、ユーザによる位置調整部4の操作により、撹拌機6と温度センサ7との位置決めが可能である。
【0065】
次いで、ユーザは、寸胴100を加熱部3に配置する。ユーザは、寸胴100の内部に、スープSを流し込む。
【0066】
次いで、ユーザは、位置調整部4の操作により、撹拌機6と温度センサ7とを下方に移動する。ユーザは、位置固定部42がレール部41の中央部に配置されたストッパ43に当接するまで、位置固定部42を操作する。レール部41に対する位置固定部42の位置が固定されることで、撹拌機6と温度センサ7それぞれの下端は、寸胴100の内部で所定の高さに位置決めされる。撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部は、寸胴100内のスープSに浸漬される。
【0067】
次いで、ユーザは、寸胴100の開口部に、第1蓋部210と第2蓋部220とを配置する。第1蓋部210は、寸胴100の開口部のうち、撹拌機6と温度センサ7とが配置される側を覆う。切欠部211には、シャフト62とロッド72とが挿通される。第2蓋部220は、寸胴100の開口部のうち、第1蓋部210で覆われていない部分を覆う。
【0068】
スープSが寸胴100に補給されるとき、ユーザは、第2蓋部220を寸胴100から取り外す。ユーザは、補給用のスープSを、第2蓋部220で覆われていた寸胴100の開口部の一部から、寸胴100の内部に、直接、流し込む。補給用のスープSは、寸胴100の開口部を通過して、寸胴100の内部に供給される。次いで、スープSの補給が完了すると、ユーザは、寸胴100の開口部を第2蓋部220で覆う。
【0069】
次いで、ユーザは、撹拌機6を動作させて、スープSを撹拌する。温度センサ7は、スープSの温度を測定する。加熱部3は、測定された温度に基づいて、加熱部3の加熱出力を制御する。
【0070】
ここで、信号線74は、温度センサ7に測定された寸胴100に貯留されているスープSの温度に応じた信号を、加熱部3に送信する。すなわち、寸胴100の内部に貯留されたスープSの温度は、寸胴100の内部に配置された信号線74の一端側の温度(T1)と、加熱部3に接続されている信号線74の他端側の温度(T2)と、の温度差(T1-T2)に応じて生ずる熱起電力の大きさに基づいて、測定される。
【0071】
寸胴100に貯留されたスープSは、撹拌されながら、所定の温度に維持される。ユーザは、適宜、第2蓋部220を寸胴100から取り外して、寸胴100の内部のスープSを取り出す。
【0072】
寸胴100に貯留されているスープSの一部は、加熱部3に加熱されて蒸気Vとなる。蒸気Vは、寸胴100の上方に昇り、貯留蓋200の裏面に到達する。貯留蓋200に到達した蒸気Vは、結露水Wになる。このような結露水Wは、例えば、寸胴100内に戻される。
【0073】
蒸気Vの一部は、第1蓋部210の切欠部211からさらに上方に昇り、遮蔽板8の下面(第1下面81b,第2下面82b)に到達する。遮蔽板8に到達した蒸気Vは、結露水Wとなる。例えば、蒸気Vが第1遮蔽部81の第1下面81bで結露することにより、第1下面81bには、結露水Wが付着する。結露水Wは、第1遮蔽部81の傾きに沿って、第2遮蔽部82に向けて、第1下面81bを移動する。第2遮蔽部82の第2傾斜角度が第1遮蔽部81の第1傾斜角度とは異なる場合、第2遮蔽部82の第2下面82bを移動する結露水Wの落下位置は、第2遮蔽部82の第2傾斜角度により、変わり得る。すなわち、第2遮蔽部82の第2傾斜角度が調整されることにより、結露水Wの落下位置は、調整される。
【0074】
第2遮蔽部82は、第2遮蔽部82と寸胴100との間隔が、第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。第2遮蔽部82は水平方向に対して傾いて配置されているため、結露水Wは第2遮蔽部82の端部まで移動して、同端部から落下する。上方視において、第2遮蔽部82の第1方向の端部は、寸胴100の外部に配置される。その結果、結露水Wは、寸胴100の外部に落下する。すなわち、結露水Wは、寸胴100の内部に戻ることはない。
【0075】
このように、遮蔽板8は、寸胴100のスープSの蒸気Vが遮蔽板8に到達して結露したとき、その結露水Wを寸胴100内のスープSに混入させない。第1遮蔽部81と第2遮蔽部82との水平に対する傾きの角度や、第1遮蔽部81と第2遮蔽部82との大きさなどは、結露水Wが寸胴100内のスープSに混入しないように設定される。
【0076】
また、スープSの蒸気Vを遮る第1遮蔽部81と第2遮蔽部82とは、寸胴100と、動力部61および接続部71と、の間に、配置される。そのため、動力部61と接続部71とは、スープSの蒸気Vに曝されない。その結果、蒸気Vによる結露水Wは、動力部61と接続部71それぞれの表面に付着し難い。仮に、結露水Wがこれらの表面に付着しても、結露水Wは、第1遮蔽部81の第1上面81aと、第2遮蔽部82の第2上面82aと、に落下する。その結果、動力部61などに付着した埃を含んだ結露水Wは、寸胴100内のスープSに混ざらない。すなわち、第1遮蔽部81と第2遮蔽部82とは、寸胴100の内部への異物の混入を防止する。
【0077】
このように、本装置1は、撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部への蒸気Vの上昇を遮ると共に、撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部から寸胴100内への結露水Wの落下を防止して、結露水Wによる寸胴100内のスープSの品質の低下を防止する。
【0078】
ここで、遮蔽板8の傾斜角度が大きいほど、結露水Wは、遮蔽板8の下端まで移動する。そのため、遮蔽板8の下面(第1下面81b,第2下面82b)から寸胴100への結露水Wの落下は、防止される。しかし、大きな面積を有する1枚の遮蔽板8が適切な傾斜角度で配置されると、寸胴100の上方には、遮蔽板8の配置のために、大きな空間が、必要となる。通常、寸胴100は、店舗の厨房などに配置される。寸胴100の上方の空間は、限られる。第1遮蔽部81の第1傾斜角度が第2遮蔽部82の第2傾斜角度よりも大きいとき、上方視において、比較的、蒸気Vが多い領域(寸胴100の中心側の領域)の結露水Wは、第2遮蔽部82に誘導されて、第2遮蔽部82を介して、落下する。その結果、本装置1は、1枚の遮蔽板8が配置される場合と比較して、より小さい空間内で、蒸気Vの上昇を遮りつつ、遮蔽板8の下面(第1下面81b,第2下面82b)から寸胴100内への結露水Wの落下を防止できる。
【0079】
●まとめ●
以上説明された実施の形態によれば、寸胴100に貯留されて加熱されるスープSの温度を管理する本装置は、保持部5と、撹拌機6と、温度センサ7と、遮蔽板8と、を備える。遮蔽板8は、寸胴100の上方に配置されて、スープSの蒸気Vを遮る。遮蔽板8は、第1遮蔽部81と、第1遮蔽部81と隣接して配置される第2遮蔽部82と、を備える。撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部は、遮蔽板8よりも上方に配置される。第1遮蔽部81は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置される。この構成によれば、蒸気Vが第1遮蔽部81の第1下面81bで結露することにより、第1遮蔽部81の第1下面81bに結露水Wが付着する。結露水Wは、第1遮蔽部81の傾きに沿って、第2遮蔽部82に向けて移動して落下する。第2遮蔽部82の傾斜角度が第1遮蔽部81の傾斜角度とは異なる場合、第2遮蔽部82の第2下面82bを移動する結露水Wの落下位置は、第2遮蔽部82の傾斜角度により、変わり得る。すなわち、第2遮蔽部82の傾斜角度が調整されることにより、結露水Wの落下位置は、調整される。また、遮蔽板8は、寸胴100内の加熱されたスープSの蒸気Vの上昇を遮る。遮蔽板8は、蒸気Vの結露水Wの寸胴100内への落下を防止して、結露水Wによる寸胴100内のスープSの品質の低下を防止する。
【0080】
また、以上説明された実施の形態によれば、第2遮蔽部82は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置される。第1遮蔽部81の水平方向に対する第1傾斜角度は、第2遮蔽部82の水平方向に対する第2傾斜角度と、異なる。この構成によれば、結露水Wは、第2遮蔽部82の端部まで移動して、同端部から落下する。第2遮蔽部82の傾斜角度が調整されることにより、結露水Wの落下位置は、調整される。
【0081】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、第1遮蔽部81は、第1遮蔽部81と寸胴100との間隔が第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。この構成によれば、結露水Wは、第1方向に向けて、誘導され得る。
【0082】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第2遮蔽部82は、第2遮蔽部82と寸胴100との間隔が第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。この構成によれば、第1方向に向けて、結露水Wの落下位置は、調整される。
【0083】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第1遮蔽部81の水平方向に対する第1傾斜角度は、第2遮蔽部82の水平方向に対する第2傾斜角度よりも大きい。この構成によれば、第1遮蔽部81は、第1遮蔽部81で生成された結露水Wを素早く移動させて、第2遮蔽部82に誘導できる。
【0084】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、上方視において、第2遮蔽部82の第1方向の端部は、寸胴100の外部に配置される。この構成によれば、結露水Wは、第2遮蔽部82の端部まで移動して、同端部から落下する。その結果、結露水Wは、寸胴100の外部に落下する。すなわち、結露水Wは、寸胴100の内部に戻らない。
【0085】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、撹拌機6は、動力部61と、シャフト62と、プロペラ羽63と、を備える。温度センサ7は、接続部71と、ロッド72と、センサ部73と、を備える。動力部61と接続部71とは、遮蔽板8よりも上方に配置される。この構成によれば、動力部61と接続部71とは、スープSの蒸気Vに曝されない。その結果、蒸気Vによる結露水Wは、動力部61と接続部71それぞれの表面に付着し難い。仮に、結露水Wがこれらの表面に付着しても、結露水Wは、第1遮蔽部81と第2遮蔽部82との上面(第1上面81a、第2上面82a)に落下する。その結果、動力部61と接続部71などに付着した埃を含んだ結露水Wは、寸胴100内のスープSに混ざらない。すなわち、第1遮蔽部81と第2遮蔽部82とは、寸胴100の内部への異物の混入を防止する。
【0086】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、動力部61は、第1遮蔽部81の上方に配置されて、接続部71は、第2遮蔽部82の上方に配置される。この構成によれば、第1遮蔽部81は、動力部61の形状に合わせて設計できる。第2遮蔽部82は、接続部71の形状に合わせて設計できる。
【0087】
●変形例●
次に、本装置1の変形例が、先に説明された実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる点を中心に、以下に説明される。以下の変形例の説明において、説明の便宜上、第1実施形態と同じ部材、および、共通している機能を有する部材には、第1実施形態と同じ符号が付されている。以下の変形例において、
図1~
図4は、適宜参照される。
【0088】
●第1変形例●
先ず、第1変形例が説明される。
【0089】
図5は、本装置の遮蔽板の別の形状を示す、同遮蔽板の模式側面断面図である。同図は、寸胴100の内部にスープSが貯留されて、寸胴100の内部に撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部が配置されていることを示す。
【0090】
第1変形例は、本装置における遮蔽板の別の例である。本装置1Aは、遮蔽板の形状が異なる点で、本装置1と相違する。
【0091】
遮蔽板8Aは、寸胴100の上方に配置されて、スープSの蒸気Vを遮る。遮蔽板8Aは、寸胴100と、動力部61および接続部71と、の間に配置される。
【0092】
遮蔽板8Aは、第1遮蔽部81Aと第2遮蔽部82Aとで、一体に成形される。遮蔽板8Aは、下方に凸の湾曲板である。第2遮蔽部82Aは、第1遮蔽部81Aの第1方向に、第1遮蔽部81Aと連続して配置される。第1遮蔽部81Aは、第1遮蔽部81Aと寸胴100との間隔が、第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。第2遮蔽部82Aは、第2遮蔽部82Aと寸胴100との間隔が、第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。上方視において、第2遮蔽部82の第1方向の端部は、寸胴100の外部に配置される。
【0093】
●第1変形例の使用例
蒸気Vの一部は、第1蓋部210の切欠部211からさらに上方に昇り、遮蔽板8Aの下面に到達する。遮蔽板8Aに到達した蒸気Vは、結露水Wとなる。例えば、蒸気Vが第1遮蔽部81Aの下面で結露することにより、第1遮蔽部81Aの下面に結露水Wが付着する。結露水Wは、第1遮蔽部81Aの傾きに沿って、第2遮蔽部82Aに向けて、第1遮蔽部81Aの下面を移動する。第1遮蔽部81Aと第2遮蔽部82Aとの間には、段差がない。その結果、結露水Wは、第1遮蔽部81Aから第2遮蔽部82Aへ、円滑に移動する。結露水Wは、第2遮蔽部82の端部まで移動して、同端部から落下する。上方視において、第2遮蔽部82の第1方向の端部は、寸胴100の外部に配置される。その結果、結露水Wは、寸胴100の外部に落下する。すなわち、結露水Wは、寸胴100の内部に戻ることはない。
【0094】
●まとめ(1)
以上説明された実施の形態によれば、遮蔽板8Aは、下方に凸の湾曲板である。この構成によれば、第1遮蔽部81Aと第2遮蔽部82Aとの間には、段差がない。その結果、結露水Wは、第1遮蔽部81Aから第2遮蔽部82Aへ、円滑に移動し得る。
【0095】
また、以上説明された実施の形態によれば、第1遮蔽部は、第2遮蔽部と一体に成形される。この構成によれば、遮蔽板8Aは、一枚の板部材で作成される。そのため、遮蔽板8の生産コストは軽減される。
【0096】
●第2変形例●
次に、第2変形例が説明される。
【0097】
図6は、本装置の遮蔽板のさらに別の形状を示す、同遮蔽板の模式側面断面図である。同図は、寸胴100の内部にスープSが貯留されて、寸胴100の内部に撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部が配置されていることを示す。
【0098】
第2変形例は、本装置における遮蔽板のさらに別の例である。本装置1Bは、遮蔽板の形状が異なる点で、本装置1と相違する。
【0099】
遮蔽板8Bは、寸胴100の上方に配置されて、スープSの蒸気Vを遮る。遮蔽板8Bは、寸胴100と、動力部61および接続部71と、の間に配置される。遮蔽板8Bは、第1遮蔽部81Bと第2遮蔽部82Bとを備える。
【0100】
第2遮蔽部82Bは、第1遮蔽部81Bの第1方向に、第1遮蔽部81Bと連接して配置される。第2遮蔽部82Bは、板状である。第2遮蔽部82Bは、板状であって、水平方向に対して平行に配置される。上方視において、第2遮蔽部82Bの第1方向の端部は、寸胴100の内側に配置される。
【0101】
●第2変形例の使用例
蒸気Vの一部は、第1蓋部210の切欠部211からさらに上方に昇り、遮蔽板8Bの下面に到達する。遮蔽板8Bに到達した蒸気Vは、結露水Wとなる。例えば、蒸気Vが第1遮蔽部81Bの下面で結露することにより、第1遮蔽部81Bの下面に結露水Wが付着する。結露水Wは、第1遮蔽部81Bの傾きに沿って、第2遮蔽部82Bに向けて、第1遮蔽部81Bの下面を移動する。結露水Wは、第2遮蔽部82まで移動して、留まる。結露水Wは、第2遮蔽部82に集まって、同第2遮蔽部82から落下する。上方視において、第2遮蔽部82の第1方向の端部は、寸胴100の内側に配置される。その結果、結露水Wは、寸胴100の内部、または、第1蓋部210の表面に落下する。すなわち、結露水Wの一部は、寸胴100の内部に戻し得る。
【0102】
また、スープSの蒸気Vを遮る第1遮蔽部81Bと第2遮蔽部82Bとは、寸胴100と、動力部61および接続部71と、の間に、配置される。そのため、動力部61と接続部71とは、スープSの蒸気Vに曝されない。その結果、蒸気Vによる結露水Wは、動力部61と接続部71それぞれの表面に付着し難い。仮に、結露水Wがこれらの表面に付着しても、結露水Wは、第1遮蔽部81Bの上面と、第2遮蔽部82Bの上面と、に落下する。第2遮蔽部82Bは、水平方向に対して平行に配置される。その結果、動力部61などに付着した埃を含んだ結露水Wは、第2遮蔽部82Bの上面に留まって、寸胴100内のスープSに混ざらない。すなわち、第1遮蔽部81Bと第2遮蔽部82Bとは、寸胴100の内部への異物の混入を防止する。
【0103】
●まとめ(2)
以上説明された実施の形態によれば、第2遮蔽部82Bは、板状であって、水平方向に対して平行に配置される。この構成によれば、動力部61などに付着した埃を含んだ結露水Wは、第2遮蔽部82Bの上面に留まって、寸胴100内のスープSに混ざらない。すなわち、第1遮蔽部81Bと第2遮蔽部82Bとは、寸胴100の内部への異物の混入を防止する。
【0104】
●第3変形例●
次に、第3変形例が説明される。
【0105】
図6は、本装置の遮蔽板のさらに別の形状を示す、同遮蔽板の模式側面断面図である。同図は、寸胴100の内部にスープSが貯留されて、寸胴100の内部に撹拌機6と温度センサ7それぞれの一部が配置されていることを示す。
【0106】
第3変形例は、本装置における遮蔽板のさらに別の例である。本装置1Cは、遮蔽板の形状が異なる点で、本装置1と相違する。
【0107】
遮蔽板8Cは、寸胴100の上方に配置されて、スープSの蒸気Vを遮る。遮蔽板8Cは、寸胴100と、動力部61および接続部71と、の間に配置される。遮蔽板8Cは、第1遮蔽部81Cと第2遮蔽部82Cとを備える。
【0108】
第1遮蔽部81Cは、上方視において、寸胴100の中心側に配置される。第1遮蔽部81Cは、板状である。第1遮蔽部81Cは、第1遮蔽部81Cと寸胴100との間隔が、第2方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。すなわち、第1遮蔽部81は、水平方向に対して傾いて配置される。第1遮蔽部81は、動力部61の下方に配置される。
【0109】
第2遮蔽部82Cは、上方視において、寸胴100の外縁側に配置される。具体的には、第2遮蔽部82Cは、第1遮蔽部81Cの第1方向に、第1遮蔽部81Cと連接して配置される。第2遮蔽部82Cは、板状である。第2遮蔽部82Cは、第2遮蔽部82Cと寸胴100との間隔が、第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。すなわち、第2遮蔽部82Cは、水平方向に対して傾いて配置される。第2遮蔽部82Cは、接続部71の下方に配置される。上方視において、第2遮蔽部82Cの第1方向の端部は、寸胴100の内側に配置される。
【0110】
●第3変形例の使用例
蒸気Vの一部は、第1蓋部210の切欠部211からさらに上方に昇り、遮蔽板8Cの下面に到達する。遮蔽板8Cに到達した蒸気Vは、結露水Wとなる。例えば、蒸気Vが第1遮蔽部81Cの下面で結露することにより、第1遮蔽部81Cの下面に結露水Wが付着する。結露水Wは、第1遮蔽部81Cの傾きに沿って、第1遮蔽部81Cの端部に向けて、第1遮蔽部81Cの下面を移動する。結露水Wは、第1遮蔽部81Cの端部から落下する。上方視において、第1遮蔽部81Cの第2方向の端部は、寸胴100の内側に配置される。その結果、結露水Wは、寸胴100の内部、または、第1蓋部210の表面に落下する。すなわち、結露水Wの一部は、寸胴100の内部に戻し得る。
【0111】
例えば、蒸気Vが第2遮蔽部82Cの下面で結露することにより、第2遮蔽部82Cの下面に結露水Wが付着する。結露水Wは、第2遮蔽部82Cの傾きに沿って、第2遮蔽部82Cの端部に向けて、第2遮蔽部82Cの下面を移動する。結露水Wは、第2遮蔽部82Cの端部から落下する。上方視において、第2遮蔽部82Cの第1方向の端部は、寸胴100の内側に配置される。その結果、結露水Wは、寸胴100の内部、または、第1蓋部210の表面に落下する。すなわち、結露水Wの一部は、寸胴100の内部に戻し得る。
【0112】
●まとめ(3)
以上説明された実施の形態によれば、第1遮蔽部81Cは、第1遮蔽部81Cと寸胴100との間隔が、第2方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。この構成によれば、第1遮蔽部81Cで結露した結露水Wは、第1遮蔽部81Cの端部から落下する。上方視において、第1遮蔽部81Cの第2方向の端部は、寸胴100の内側に配置される。その結果、結露水Wは、寸胴100の内部、または、第1蓋部210の表面に落下する。すなわち、結露水Wの一部は、寸胴100の内部に戻し得る。
【0113】
また、以上説明された実施の形態によれば、第2遮蔽部82Cは、第2遮蔽部82Cと寸胴100との間隔が、第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置される。この構成によれば、第2遮蔽部82Cで結露した結露水Wは、第2遮蔽部82Cの端部から落下する。その結果、結露水Wは、寸胴100の外部、または、寸胴100の内部もしくは第1蓋部210の表面、に落下する。
【0114】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、動力部は、第1遮蔽部の上方に配置されていなくてもよい。接続部は、第2遮蔽部の上方に配置されていなくてもよい。すなわち、例えば、動力部と接続部とは、第1遮蔽部と第2遮蔽部とのいずれか一方の上方に配置されていればよい。
【0115】
また、本発明において、遮蔽板は、貯蔵蓋と組み合わされて使用されなくてもよい。すなわち、例えば、遮蔽板は、寸胴に貯蔵蓋が配置されていない状態でも使用される。
【0116】
さらに、本発明において、第1蓋部の凹部と、第2蓋部の凸部それぞれの形状は、先に説明された形状に限定されない。すなわち、例えば、第1蓋部は凸部であり、第2蓋部は凹部であってもよい。第1蓋部の凹部と、第2蓋部の凸部と、の形状は、互いに嵌合できる形状であればよい。
【0117】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明された各実施形態から把握される本発明の実施態様が、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載される。
【0118】
本発明に係る調味液の温度管理装置は、
貯留槽(例えば、寸胴100)に貯留されて、加熱される調味液(例えば、スープS)の温度を管理する温度管理装置(例えば、本装置1)であって、
前記貯留槽に貯留されている前記調味液を撹拌する撹拌機(例えば、撹拌機6)と、
前記貯留槽に貯留されている前記調味液の温度を測定する温度センサ(例えば、温度センサ7)と、
前記撹拌機と前記温度センサとを保持する保持部(例えば、保持部5)と、
前記貯留槽の上方に配置されて、前記調味液の蒸気(例えば、蒸気V)を遮る遮蔽板(例えば、遮蔽板8)と、
を有してなり、
上方視において、前記貯留槽の中心から外縁に向かう方向は第1方向であり、前記第1方向の反対の方向は第2方向であり、
前記遮蔽板は、
上方視において、前記貯留槽の前記中心側に配置される第1遮蔽部(例えば、第1遮蔽部81)と、
前記第1遮蔽部の前記第1方向に、前記第1遮蔽部と隣接して配置される第2遮蔽部(例えば、第2遮蔽部82)と、
を備えて、
前記撹拌機と前記温度センサそれぞれの一部は、前記遮蔽板よりも上方に配置されて、
前記第1遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置される、
ことを特徴とする。
【0119】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第2遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して平行に配置されてもよい。
【0120】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第2遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置されて、
前記第1遮蔽部の水平方向に対する第1傾斜角度は、前記第2遮蔽部の水平方向に対する第2傾斜角度と、異なってもよい。
【0121】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第1遮蔽部は、前記第1遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置されてもよい。
【0122】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第2遮蔽部は、前記第2遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置されてもよい。
【0123】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第1遮蔽部の水平方向に対する第1傾斜角度は、前記第2遮蔽部の水平方向に対する第2傾斜角度よりも大きくてもよい。
【0124】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
上方視において、前記第2遮蔽部の前記第1方向の端部は、前記貯留槽の外部に配置されてもよい。
【0125】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記撹拌機は、
前記調味液に浸漬されて、前記調味液を撹拌するプロペラ羽(例えば、プロペラ羽63)と、
前記プロペラ羽に動力を供給する動力部(例えば、動力部61)と、
前記プロペラ羽と前記動力部とに接続されて、前記動力部の前記動力を前記プロペラ羽に伝達するシャフト(例えば、シャフト62)と、
を備えて、
前記温度センサは、
前記調味液に浸漬されて、前記調味液の温度を測定するセンサ部(例えば、センサ部73)と、
前記保持部に保持される接続部(例えば、接続部71)と、
前記センサ部と前記接続部とに接続されて、前記調味液内において、前記センサ部を保持可能なロッド(例えば、ロッド72)と、
を備えて、
前記動力部と前記接続部とは、前記遮蔽板よりも上方に配置されてもよい。
【0126】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記動力部は、前記第1遮蔽部の上方に配置されて、
前記接続部は、前記第2遮蔽部の上方に配置されてもよい。
【0127】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第1遮蔽部は、前記第1遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第2方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置されてもよい。
【0128】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第2遮蔽部は、前記第2遮蔽部と前記貯留槽との間隔が、前記第1方向に向かうにつれて小さくなるように、傾いて配置されてもよい。
【0129】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記遮蔽板は、下方に凸の湾曲板であってもよい。
【0130】
本発明に係る調味液の温度管理装置において、
前記第1遮蔽部は、前記第2遮蔽部と一体に成形されていてもよい。
【符号の説明】
【0131】
1 温度管理装置
2 筐体
3 加熱部
4 位置調整部
5 保持部
6 撹拌機
61 動力部
62 シャフト
63 プロペラ羽
7 温度センサ
71 接続部
72 ロッド
73 センサ部
8 遮蔽板
81 第1遮蔽部
82 第2遮蔽部
100 寸胴
200 貯留蓋
S スープ
V 蒸気
W 結露水
【要約】
撹拌機と温度センサそれぞれの一部への蒸気の上昇を遮ると共に、撹拌機と温度センサそれぞれの一部から調味液内への結露水の落下を防止して、結露水による調味液の品質の低下を防止する。
本発明に係る調味液の温度管理装置(1)は、保持部(5)と、撹拌機(6)と、温度センサ(7)と、遮蔽板(8)と、を備える。遮蔽板は、上方視において、寸胴(100)の中心側に配置される第1遮蔽部(81)と、第1遮蔽部の第1方向に、第1遮蔽部と隣接して配置される第2遮蔽部(82)と、を備える。撹拌機と温度センサそれぞれの一部は、遮蔽板よりも上方に配置される。第1遮蔽部は、板状であって、水平方向に対して傾いて配置される。