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  • 特許-車両用充電コネクタ取り付け装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】車両用充電コネクタ取り付け装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241209BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20241209BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20241209BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241209BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
H01M10/46 101
B60L53/30
B60L53/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021014379
(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公開番号】P2022117725
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船橋 達治
(72)【発明者】
【氏名】山澤 英丈
(72)【発明者】
【氏名】水越 隆
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-217314(JP,A)
【文献】特開2012-213285(JP,A)
【文献】特開2015-015781(JP,A)
【文献】特開2018-110494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に接続されることで電力を供給する充電コネクタを取り付け可能な第1取り付け部と第2取り付け部を備えた車両用充電コネクタ取り付け装置であって、
第2取り付け部で充電コネクタを取り付ける態様は、第1取り付け部で充電コネクタを取り付ける態様とは異なるものであり、
第1取り付け部で充電コネクタを取り付ける箇所と、第2取り付け部で充電コネクタを取り付ける個所が異なり、
第1取り付け部は、充電コネクタのコネクタ部側に備えた爪部が掛け合わされた箇所を用いて充電コネクタを取り付けるものであり、
第2取り付け部は、充電コネクタの本体部を支えるようにして充電コネクタを取り付けるものであり、
第1取り付け部を備えた部材は、電気自動車と接続されるコネクタ部を被覆する被覆部を備え、
前記第1取り付け部を備えた部材は、第2取り付け部を構成する部材に着脱可能である車両用充電コネクタ取り付け装置。
【請求項2】
第1取り付け部を備えた部材は、第2取り付け部を備えた部材に対して回動可能に取り付けられ、かつ、所定の回動位置でのみ第2取り付け部を備えた部材から着脱可能となる請求項に記載の車両用充電コネクタ取り付け装置。
【請求項3】
第2取り付け部は、
第1取り付け部を備えた部材が第2取り付け部を備えた部材に取り付けられた状態では、充電コネクタの本体部を支えるようにして充電コネクタを取り付けることが不可能であり、
第1取り付け部を備えた部材が第2取り付け部を備えた部材から取り外された状態とすることで、充電コネクタの本体部を支えるようにして充電コネクタを取り付けることが可能となる請求項又はに記載の車両用充電コネクタ取り付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電コネクタ取り付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の充電設備において、充電器や充電コンセントとは別に充電コネクタを取り付け可能な充電コネクタ取り付け装置を設ける事がある。具体的には特許文献1に開示されているように、充電コネクタのコネクタ部側に形成した爪部を係止することで充電コネクタを取り付ける構造や、特許文献2に開示されているように、充電コネクタの本体を載置することで充電コネクタを取り付ける構造がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-48367号公報
【文献】特開2014-90540号公報
【0004】
ところで、充電コネクタを充電コネクタ取り付け装置に取り付ける際には、充電コネクタを取り付け位置まで移動させるための空間が必要となる。しかしながら、従来の充電コネクタの取り付け方法は一つの取り付け構造に対して一通りのみであるため、充電コネクタの高低位置や周囲の干渉物の有無等の設置環境に対応させにくく、充電コネクタを取り付けることが不可能、又は充電コネクタを取り付けたり取り外したりするための動作が行いにくいという事態が生じることが想定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、使用環境などに合わせて充電コネクタの取り付け方法を選択できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、車両に接続されることで電力を供給する充電コネクタを取り付け可能な第1取り付け部と第2取り付け部を備えた車両用充電コネクタ取り付け装置であって、第2取り付け部で充電コネクタを取り付ける態様は、第1取り付け部で充電コネクタを取り付ける態様とは異なるものであり、第1取り付け部で充電コネクタを取り付ける箇所と、第2取り付け部で充電コネクタを取り付ける個所が異なる車両用充電コネクタ取り付け装置とする。
【0007】
また第1取り付け部は、充電コネクタのコネクタ部側に備えた爪部が掛け合わされた箇所を用いて充電コネクタを取り付けるものであり、第2取り付け部は、充電コネクタの本体部を支えるようにして充電コネクタを取り付けるものである構成とすることが好ましい。
【0008】
また、第1取り付け部を備えた部材は、電気自動車と接続されるコネクタ部を被覆する被覆部を備え、前記第1取り付け部を備えた部材は、第2取り付け部を構成する部材に着脱可能である構成とすることが好ましい。
【0009】
また、第1取り付け部を備えた部材は、第2取り付け部を備えた部材に対して回動可能に取り付けられ、かつ、所定の回動位置でのみ第2取り付け部を備えた部材から着脱可能となる構成とすることが好ましい。
【0010】
また、第2取り付け部は、第1取り付け部を備えた部材が第2取り付け部を備えた部材に取り付けられた状態では、充電コネクタの本体部を支えるようにして充電コネクタを取り付けることが不可能であり、第1取り付け部を備えた部材が第2取り付け部を備えた部材から取り外された状態とすることで、充電コネクタの本体部を支えるようにして充電コネクタを取り付けることが可能となる構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、使用環境などに合わせて充電コネクタの取り付け方法を選択できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における充電コネクタとコネクタ取り付け部を上方から見た斜視図である。
図2】充電コネクタをホルダに装着した直後の状態を示す図である。
図3図2に示した状態に位置させた状態から手を離した後に充電コネクタが移動した後の状態を示す図である。
図4】第2取り付け部を用いて充電コネクトを取り付けている例を示す図である。
図5】キャップ状の部材の取り外し例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1から図4に示すことから理解されるように、本実施形態の車両用充電コネクタ取り付け装置1は、車両に接続されることで電力を供給する充電コネクタ7を取り付け可能な第1取り付け部と第2取り付け部を備えている。また、この車両用充電コネクタ取り付け装置1は、第2取り付け部で充電コネクタ7を取り付ける態様は、第1取り付け部で充電コネクタ7を取り付ける態様とは異なるものであり、第1取り付け部で充電コネクタ7を取り付ける箇所と、第2取り付け部で充電コネクタ7を取り付ける個所が異なる。このため、使用環境などに合わせて充電コネクタ7の取り付け方法を選択できる。
【0014】
ここで、充電コネクタ7と車両用充電コネクタ取り付け装置1の関係について説明する。充電コネクタ7は電気自動車などの車両に接続されることで電力を供給するものである。この充電コネクタ7は電気自動車などと接続されるコネクタ部71が先端に備えられており、電力を供給する際には、このコネクタ部71が車両と接続されて、そこから電力が供給される。
【0015】
充電コネクタ7には爪部72が設けられており、この爪部72が車両に掛け合わされることで、車両とコネクタ部71が接続された状態が容易に解除できないようにすることができる。図1に示すことから理解されるように、実施形態の爪部72は、車両と接続されるコネクタ部71側に設けられている。なお、充電コネクタ7に形成した操作部73を操作して爪部72を動作させることで爪部72と車両との係止を解除することができる。実施形態の操作部73は充電コネクタ7の移動時に把持される本体部74に備えられている。
【0016】
充電コネクタ7の不使用時に、この充電コネクタ7を取り付けておくために、車両用充電コネクタ取り付け装置1が用いられる。実施形態の車両用充電コネクタ取り付け装置1は、充電コネクタ7を複数の態様で取り付けることを可能とするため、第1取り付け部と第2取り付け部を備えている。
【0017】
図1及び図2に示すことから理解されるように、実施形態の第1取り付け部は、キャップ状の部材30に構成されている。この第1取り付け部を用いれば、充電コネクタ7のコネクタ部71側に備えた爪部72が掛け合わされた箇所で充電コネクタ7を取り付けることができる。なお、図1から図3に示すことから理解されるように、実施形態のキャップ状の部材30は、充電コネクタ7を取り付けた状態で向きを変えることができる。
【0018】
図4に示すことから理解されるように、実施形態の第2取り付け部は、充電コネクタ7の本体部74を支えるようにして充電コネクタ7を取り付けるものである。より具体的には、コネクタ部71を上側に向けた状態で充電コネクタ7を取り付けるものである。本体部74を内側に差し込んで支えることができるようにするため、実施形態の第2取り付け部は、中空の箱状に構成している。なお、この第2取り付け部は、充電コネクタ7の取り付けや取り外しの際に、充電コネクタ7の反コネクタ部71側に備えられたケーブル75が出入りできるように、開口部51が設けられている。
【0019】
この第2取り付け部を構成する保持部材50は、固定部52を用いて所望の構造物に取り付けて固定することができる。なお、図1に示す固定部52は、雄ねじなどを挿通可能な穴である。
【0020】
この例のように、第1取り付け部は、充電コネクタ7のコネクタ部71側に備えた爪部72が掛け合わされた箇所を用いて充電コネクタ7を取り付けるものであり、第2取り付け部は、充電コネクタ7の本体部74を支えるようにして充電コネクタ7を取り付けるものとするのが好ましい。
【0021】
図2及び図3に示すことから理解されるように、実施形態の第1取り付け部は、充電コネクタ7を吊り下げるように取り付けるものであるが、この第1取り付け部には、充電コネクタ7のコネクタ部71の先端を覆うことが可能な被覆部31を備えている。この被覆部31でコネクタ部71を覆うようにすると、防水性や防塵性を確保することができる。
【0022】
実施形態では、第1取り付け部として使用可能な部分はキャップ状の部材30に備えられている。このキャップ状の部材30に備えられた部分を、第1取り付け部として機能させる場合には、第2取り付け部とすることが可能な箱状の保持部材50にキャップ状の部材30が取りつけられる。
【0023】
第1取り付け部を備えた部材は、電気自動車と接続されるコネクタ部71を被覆する被覆部31を備え、前記第1取り付け部を備えた部材は、第2取り付け部を構成する部材に着脱可能であるように構成するのが好ましい。
【0024】
実施形態のキャップ状の部材30は、第2取り付け部とすることが可能な箱状の保持部材50に対して回動可能かつ取り付け取り外しが可能なように構成されている。より具体的には、キャップ状の部材30には、第2取り付け部とすることが可能な箱状の保持部材50に設けられた溝部53に差し込むことが可能な軸部32を二つ備えている。この軸部32は、キャップ状の部材30の外方に向けて突出するように設けられている。
【0025】
第2取り付け部は、第1取り付け部を備えた部材が第2取り付け部を備えた部材に取り付けられた状態では、充電コネクタ7の本体部74を支えるようにして充電コネクタ7を取り付けることが不可能であり、第1取り付け部を備えた部材が第2取り付け部を備えた部材から取り外された状態とすることで、充電コネクタ7の本体部74を支えるようにして充電コネクタ7を取り付けることが可能となるものとするのが好ましい。
【0026】
実施形態の軸部32は、箱状の保持部材50に設けられた溝部53より幅広となるようにした部分と、この溝部53より幅狭となるようにした部分がある。このようにすることで、軸部32の向きが溝部53に対して特定の関係になった場合にのみ、キャップ状の部材30を箱状の部材から取り外すことができ、この特定の関係にならなかった場合にはキャップ状の部材30を箱状の部材から取り外すことができないように構成されている。
【0027】
具体的には、溝部53の幅方向と軸部32の幅狭方向が同方向に向けばキャップ状の部材30を箱状の部材から取り外すことができるが、溝部53の幅方向と軸部32の幅広方向が同方向に向けばキャップ状の部材30は箱状の部材から取り外すことができないように構成されている。
【0028】
実施形態においては、保持部材50に設けられた溝部53は、上方向に開くように、且つ、裏方向に向けて開くように構成されている。ここでいう裏とは、保持部材50を構造物に固定する際に、構造物の面と接するように向かい合わせるような面側のことを意味している。したがって、充電コネクタ7をキャップ状の部材30に取り付けたり、取り外したりする動作時に、キャップ状の部材30が保持部材50から外れることを抑制することができる。これは、充電コネクタ7をキャップ状の部材30に取り付けたり、キャップ状の部材30から取り外したりするときには、溝部53が延びる方向にあまり力が加わらないからである。
【0029】
なお、溝部53の奥側末端には、溝部53の経路より幅広に形成した円形の軸回動部54を備えている。このため、軸回動部54に軸部32が差し込まれた状態においては、軸部32が回動できる。また、保持部材50に対するキャップ状の部材30の傾きを変えることができる。
【0030】
ところで、実施形態のキャップ状の部材30は、保持部材50に取りつけられる場合、充電コネクタ7の爪部72を取り付ける爪取り付け部33がキャップ状の部材30の中でも上側に位置するように取り付けられる。また、キャップ状の部材30は、被覆部31に備えられた開口34が斜め上方向を向くよう保持部材50に取り付けられる。実施形態においては、この状態が、キャップ状の部材30に力が付与されていない間は維持される。
【0031】
キャップ状の部材30は保持部材50に対して回動可能であり、充電コネクタ7を取り付けた状態では、充電コネクタ7にかかる重力により、被覆部31に備えられた開口34が斜め下方向に向くまで回動する。なお、キャップ状の部材30が回動した後、所定の角度で止まるようにするため、保持部材50には回動規制部が設けられている。
【0032】
実施形態においては、キャップ状の部材30に設けた被覆部31に備えられた開口34が斜め上方向を向く位置で回動を規制する第1回動規制部61を備えている。第1回動規制部61は充電コネクタ7を第2取り付け部に取り付ける際に充電コネクタ7の移動を抑制する機能も備えている。
【0033】
また、実施形態の保持部材50には他にも回動規制部を備えている。具体的には、充電コネクタ7が第1取り付け部に取り付けられた場合、第1取り付け部の被覆部31に備えられた開口34が斜め下方向を向く位置で回動を規制する第2回動規制部62である。なお、この第2回動規制部62は充電コネクタ7を第2取り付け部に取り付ける場合に、充電コネクタ7の移動を抑制する機能も備えている。
【0034】
ところで、保持部材50に備えられた第2取り付け部に対して、充電コネクタ7を取り付ける場合、キャップ状の部材30は保持部材50から取り外す。実施形態においては、保持部材50に取り付けられたキャップ状の部材30に対して充電コネクタ7を取り付け、その後、充電コネクタ7を持った状態で、充電コネクタ7とキャップ状の部材30を一体で保持部材50から離脱させることができる(図5参照)。このような流れで作業を行えば、キャップ状の部材30の保持部材50からの取り外しを片手だけで行うことができる。
【0035】
また、キャップ状の部材30を単独で保持部材50から取り外し、充電コネクタ7を保持部材50に取り付ける前や後にキャップ状の部材30を充電コネクタ7に取り付けるようにすることも可能である。
【0036】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、車両用充電コネクタ取り付け装置は、キャップ状の部材と箱状の保持部材の組み合わせではなく、他の態様とすることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 車両用充電コネクタ取り付け装置
7 充電コネクタ
31 被覆部
71 コネクタ部
72 爪部
74 本体部
図1
図2
図3
図4
図5