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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】補強ボード及び補強ボードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20241209BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20241209BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B62D25/06 D
B32B5/18 101
B32B15/08 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023203410
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2019188290の分割
【原出願日】2019-10-14
(65)【公開番号】P2024022627
(43)【公開日】2024-02-16
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 圭一郎
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-139418(JP,U)
【文献】特開2013-180687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/06
B32B 5/18
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードであって、
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層と、を有し、
前記第2の金属層が金属溶射層又は金属蒸着膜である補強ボード。
【請求項2】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードであって、
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層と、を有し、
前記発泡樹脂層と前記第2の金属層の間に、通気性を有する面材が配置されている補強ボード。
【請求項3】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードであって、
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記補強ボードの上面のうち前記上側凹部以外の部分からなり、前記ルーフパネルに密着する上側密着部と、を有し
前記上側密着部が、平面視格子状をなしている補強ボード。
【請求項4】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードであって、
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層と、
前記補強ボードの上面のうち前記上側凹部以外の部分からなり、前記ルーフパネルに密着する上側密着部と、を有し、
前記上側密着部の表面において前記第2の金属層が設けられる割合よりも、前記上側凹部の内面において前記第2の金属層が設けられる割合の方が、大きくなっている補強ボード。
【請求項5】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードであって
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層と、を有し、
前記第2の金属層は、前記上側凹部の内面にのみ設けられている補強ボード。
【請求項6】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードであって
前記発泡樹脂層の上面に凹部が設けられることにより、前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、を有する補強ボード。
【請求項7】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードの製造方法であり、
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層と、を有する補強ボードの製造方法であって、
プレスにより前記補強ボードを成形する1対の分割金型のうち前記補強ボードの上面を成形する一方の前記分割金型に、前記補強ボードのうち前記ルーフパネルと密着する上側密着部を奥面で成形する成形凹部を設けておき、
前記第2の金属層としての非通気性の金属箔からなるか、又は、非通気性のベース層に前記第2の金属層としての金属溶射層もしくは金属蒸着層が積層されてなる膜体に、前記膜体の開裂の起点となる開裂起点部を形成しておき、
前記プレスにあたって、前記発泡樹脂層を含むボード材に前記膜体を重ねたものを、前記1対の分割金型の間に配置する際に、前記ボード材よりも前記膜体を前記一方の分割金型側に配置し、前記成形凹部と前記開裂起点部とを重ねる、補強ボードの製造方法。
【請求項8】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードの製造方法であり、
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層と、を有する補強ボードの製造方法であって、
前記発泡樹脂層を含むボード材の上面を3次元形状に成形してから、前記ボード材の上面に金属を溶射して通気性を有する前記第2の金属層を形成する、補強ボードの製造方法。
【請求項9】
車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードの製造方法であり、
前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、
前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、
前記非通気層に含まれる第1の金属層と、
前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層と、を有する補強ボードの製造方法であって、
前記第2の金属層を、面材に金属を溶射することで該面材に積層し、
前記発泡樹脂層に上側から前記面材及び前記第2の金属層を重ねたものを、1対の分割金型でプレスして前記補強ボードを成形する、補強ボードの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の補強ボードの製造方法であって、
前記1対の分割金型のうち、前記補強ボードの上面を成形する一方の前記分割金型に、前記補強ボードの前記上側凹部を成形する成形突部を設けておき、
前記第2の金属層を形成するにあたり、前記面材の上面のうち前記プレスにおいて前記一方の分割金型の前記成形突部と対向する部分にのみ前記金属を溶射する、補強ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のルーフパネルの下面に貼り合わされる補強ボード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ルーフパネルを補強する補強ボードとして、発泡樹脂層を有し、ルーフパネルに上面全体が貼り合わされるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-179343号公報(段落[0021]、図3,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の補強ボードに対し、断熱性能の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、車両のルーフパネルの下面に貼り合わされ、発泡樹脂層を含む積層構造をなした補強ボードであって、前記ルーフパネルと前記補強ボードの間に隙間を形成する上側凹部が上面に形成され、前記発泡樹脂層に下側から積層された非通気層と、前記非通気層に含まれる第1の金属層と、を有する補強ボードである。
【0006】
発明の第2態様は、前記非通気層は、非通気性の前記第1の金属層を含むか、又は、前記第1の金属層が非通気性のベース層に金属溶射もしくは金属蒸着により積層された構造を含む、第1態様に記載の補強ボードである。
【0007】
発明の第3態様は、前記発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層を有する、第1態様又は第2態様に記載の補強ボードである。
【0008】
発明の第4態様は、前記第2の金属層は、前記ルーフパネルからの輻射熱を反射する熱反射層となっている、第3態様に記載の補強ボードである。
【0009】
発明の第5態様は、前記補強ボードの上面のうち前記上側凹部以外の部分からなり、前記ルーフパネルに密着する上側密着部を有し、前記上側密着部の表面において前記第2の金属層が設けられる割合よりも、前記上側凹部の内面において前記第2の金属層が設けられる割合の方が、大きくなっている、第3態様又は第4態様に記載の補強ボードである。
【0010】
発明の第6態様は、前記第2の金属層は、前記上側凹部の内面にのみ設けられている、第3態様から第5態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードである。
【0011】
発明の第7態様は、前記発泡樹脂層と前記第2の金属層の間に、通気性を有する面材が配置されている、第3態様から第6態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードである。
【0012】
発明の第8態様は、前記上側凹部の深さは、2mm以上になっている、第1態様から第7態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードである。
【0013】
発明の第9態様は、前記補強ボードの下面は、突部及び凹部が設けられていない略フラット形状になっている、第1態様から第8態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードである。
【0014】
発明の第10態様は、前記補強ボードの上面のうち前記上側凹部以外の部分からなり、前記ルーフパネルに密着する上側密着部を有し、前記上側密着部が、平面視格子状をなしている、第1態様から第9態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードである。
【0015】
発明の第11態様は、第3態様から第7態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードの製造方法であって、プレスにより前記補強ボードを成形する1対の分割金型のうち前記補強ボードの上面を成形する一方の前記分割金型に、前記補強ボードのうち前記ルーフパネルと密着する上側密着部を奥面で成形する成形凹部を設けておき、前記第2の金属層としての非通気性の金属箔からなるか、又は、非通気性のベース層に前記第2の金属層としての金属溶射層もしくは金属蒸着層が積層されてなる膜体に、前記膜体の開裂の起点となる開裂起点部を形成しておき、前記プレスにあたって、前記発泡樹脂層を含むボード材に前記膜体を重ねたものを、前記1対の分割金型の間に配置する際に、前記ボード材よりも前記膜体を前記一方の分割金型側に配置し、前記成形凹部と前記開裂起点部とを重ねる、補強ボードの製造方法である。
【0016】
発明の第12態様は、第3態様から第7態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードの製造方法であって、前記発泡樹脂層を含むボード材の上面を3次元形状に成形してから、前記ボード材の上面に金属を溶射して通気性を有する前記第2の金属層を形成する、補強ボードの製造方法である。
【0017】
発明の第13態様は、第3態様から第6態様のうち何れか1の態様に記載の補強ボードの製造方法であって、前記第2の金属層を、面材に金属を溶射することで該面材に積層し、前記発泡樹脂層に上側から前記面材及び前記第2の金属層を重ねたものを、1対の分割金型でプレスして前記補強ボードを成形する、補強ボードの製造方法である。
【0018】
発明の第14態様は、第13態様に記載の補強ボードの製造方法であって、前記1対の分割金型のうち、前記補強ボードの上面を成形する一方の前記分割金型に、前記補強ボードの前記上側凹部を成形する成形突部を設けておき、前記第2の金属層を形成するにあたり、前記面材の上面のうち前記プレスにおいて前記一方の分割金型の前記成形突部と対向する部分にのみ前記金属を溶射する、補強ボードの製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
発明の第1態様の補強ボードでは、上側凹部により、ルーフパネルと補強ボードの間に隙間が形成されるので、断熱性能を向上させることが可能となると共に、ルーフパネルからの輻射熱に対する遮熱性能を発揮することも可能となる。また、非通気層が設けられることで、補強ボードの断熱性能をさらに向上させることが可能となる。また、非通気層を有することで、例えば補強ボードをプレス成形により製造する場合に、積層に用いる接着用のバインダが非通気層側(下側)の外面から染み出すことを防止可能となり、バインダが成形金型に付着することを防止可能となる。また、第1の金属層が設けられることで、補強ボードの断熱性能を一層向上させることが可能となる。なお、非通気層は、非通気性の第1の金属層を含んでいてもよいし、第1の金属層が非通気性のベース層に金属溶射又は金属蒸着により積層された構造を含んでいてもよい(発明の第2態様)。
【0020】
発明の第3態様では、発泡樹脂層の上下に金属層が配置されるので、補強ボードの断熱性能をさらに向上させることが可能となる。
【0021】
発明の第4態様では、発泡樹脂層に上側から積層された第2の金属層により、車両のルーフパネルからの輻射熱を反射することが可能となり、遮熱性能を向上させることが可能となる。
【0022】
発明の第5態様では、上側密着部の表面において第2の金属層が設けられる割合よりも、上側凹部の内面において第2の金属層が設けられる割合が大きくなっている。即ち、ルーフパネルと接触する上側密着部では、ルーフパネルと接触しない上側凹部よりも第2の金属層の配置されている割合が小さくなっている。従って、ルーフパネルからの熱が、第2の金属層を通して補強ボード(特に補強ボードの上面側)に伝わることを抑制可能となる。これにより、補強ボードの断熱性能をより向上させることができる。第2の金属層は、上側凹部の内面にのみ設けられていることが好ましい(発明の第6態様)。上側凹部の深さは、2mm以上であることが好ましい(発明の第8態様)。
【0023】
発明の第7態様では、発泡樹脂層と第2の金属層との間に面材が配置されるので、補強ボードの剛性を向上させることが可能となる。また、面材を有することで、例えば補強ボードをプレス成形により製造する場合に、接着用のバインダが第2の金属層側の外面から染み出して成形金型へ付着することを防止可能となる。しかも、面材が通気性を有するので、補強ボードの吸音性を向上させることが可能となる。
【0024】
補強ボードの下面は、突部又は凹部が設けられた形状となっていてもよいし、突部及び凹部が設けられていない略フラット形状となっていてもよい(発明の第9態様)。
【0025】
発明の第10態様では、上側密着部を平面視格子状とすることで、補強ボードの剛性を向上させることが可能となり、このような上側密着部をルーフパネルに接着させることで、ルーフパネルへの補強性能の向上が図られる。
【0026】
発明の第11態様では、非通気性の金属箔からなるか、又は、非通気性のベース層に金属を溶射もしくは蒸着してなる膜体を、発泡樹脂層を有するボード材に重ね、それらを1対の分割金型でプレスすることで、補強ボードを成形する。ここで、膜体とボード材を1対の分割金型の間に配置する際に、膜体の開裂起点部を、一方の分割金型において補強ボードの上側密着部を奥面で成形する成形凹部に重ね合わせる。このような配置でプレスを行うことで、開裂起点部を起点として膜体を開裂させ、その裂け目から発泡樹脂層を成形凹部内で補強ボードの上面側に出して(相対的に突出させて)、上側密着部を形成することが可能となる。これにより、補強ボードの上面において、上側密着部の上面(頂面部)に比べて上側凹部内に、第2の金属層を形成し易くすることが可能となる。
【0027】
発明の第12態様では、発泡樹脂層を含むボード材の上面を3次元形状に成形してから、ボード材の上面に金属を溶射して第2の金属層を形成する。このように金属溶射により第2の金属層を形成することで、第2の金属層に通気性を持たせることが容易となる。また、ボード材の上面を3次元形状に成形してから第2の金属層を形成するので、第2の金属層を補強ボードの上面の所望の箇所(例えば、上側凹部の内面)に形成することが容易となる。なお、第2の金属層をボード材に積層してから、それらをプレス成形してもよい(発明の第13態様)。
【0028】
発明の第13態様では、第2の金属層が金属溶射により形成されるので、第2の金属層に通気性を持たせることが容易となる。ここで、第2の金属層が通気性を持つ構成では、接着用のバインダを用いる場合、バインダが第2の金属層を通して外側に染み出る虞がある。そのため、補強ボードをプレス成形により製造する場合、成形金型にバインダが付着する虞がある。これに対し、本態様では、第2の金属層が金属溶射により形成されるので、第2の金属層を多数の金属粒子を幾重にも堆積させて形成することができ、第2の金属層を通してのバインダの染み出しを抑制可能となる。これにより、成形金型へのバインダの付着を抑制することが可能となる。また、このようにバインダを用いる場合、面材によっても第2の金属層側からバインダが染み出すことを抑制でき、第2の金属層が通気性を有する構成でも、バインダが外側に漏れ出ることを抑制できる。
【0029】
発明の第14態様によれば、第2の金属層を、補強ボードの上側凹部の内面のみに形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】(A)本開示の一実施形態に係る補強ボードが取り付けられた車両の斜視図、(B)車両の天井部の断面図
図2】ルーフパネル及び補強ボードの断面図
図3】補強ボードの一部破断斜視図
図4】発泡シートに積層される金属箔の一部破断斜視図
図5】上型と下型の間にセットされる積層体の断面図
図6】加熱プレスで成形された補強ボードの断面図
図7】各実験例を示すテーブル
図8】実験装置の断面図
図9】(A)他の実施形態に係る補強ボードの一部破断斜視図、(B)上型と下型の間にセットされるシート群の一部破断斜視図
図10】他の実施形態に係る補強ボードの断面図
図11】他の実施形態に係る補強ボードの断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1(A)に示されるように、本実施形態の補強ボード10は、車両90のルーフパネル91に取り付けられる。具体的には、図1(B)に示されるように、補強ボード10は、ルーフパネル91と内装用の成形天井92との間に配置され、ルーフパネル91の下面91M(車内側を向く面)に接着材93(図2参照)を介して貼り合わされる。なお、ルーフパネル91は、中央部が車両90の外側(上側)へ膨出するように湾曲し、ルーフパネル91の下面91Mは、湾曲凹面となっている。そして、補強ボード10は、ルーフパネル91の下面91Mに沿う形状になっている。
【0032】
図2に示されるように、補強ボード10は、積層構造をなしている。具体的には、補強ボード10は、発泡樹脂層21と、発泡樹脂層21の表裏(上下)の両面に貼り合わされた1対の補強層22,22と、を有している。各補強層22は、例えば、非金属の繊維シートで構成される。なお、各補強層22は、例えば、バインダにより発泡樹脂層21に貼り合わされる。
【0033】
補強ボード10には、金属層が設けられている。具体的には、発泡樹脂層21に補強層22を介して下側(車室側)から積層された下側金属層23と、発泡樹脂層21に補強層22を介して上側(ルーフパネル側)から積層された上側金属層24と、が設けられている。即ち、下側金属層23と上側金属層24は、それぞれ各補強層22に対して発泡樹脂層21と反対側(外側)から積層されている。なお、本実施形態では、上側の補強層22と上側金属層24との間に、面材25が更に設けられている。本実施形態では、下側金属層23、上側金属層24が、それぞれ特許請求の範囲に記載の「第1の金属層」、「第2の金属層」に相当する。
【0034】
なお、各補強層22、各金属層23,24、面材25は、例えば、バインダにより一体化されている。発泡樹脂層21と各補強層22とを接着する上述のバインダと、各補強層22と下側金属層23及び面材25とを接着するバインダとは、同じものであってもよい。例えば、この場合、このバインダは、補強層22に染み込んでいてもよい。また、面材25が通気性を有する場合には、このバインダにより面材25と上側金属層24とが接着されていてもよい。また、バインダは、発泡樹脂層21に染み込んでいてもよい。
【0035】
下側金属層23は、本実施形態では、補強ボード10の最下層を構成しているが、下側金属層23の下側に、更に1又は複数の層(例えば、樹脂層や繊維層等)が積層されていてもよい。本実施形態では、下側金属層23は、非通気性の金属箔からなる。即ち、補強ボード10は、発泡樹脂層21に下側から下側金属層23を含む非通気層70が積層された構成となっている。なお、下側金属層23は、例えば、金属蒸着により形成された金属蒸着層であってもよいし、金属溶射により形成された金属溶射層であってもよい。これらの場合、金属蒸着又は金属溶射が行われて金属蒸着層又は金属溶射層が積層されるベース層を、非通気性とすればよい。これにより、ベース層と下側金属層23とを含む非通気層70を形成することができる。ベース層は、単層構造であってもよいし、複数層からなる積層構造であってもよい。ベース層は、例えば、樹脂層であってもよいし、繊維層であってもよい。また、ベース層は、面材25であってもよい。ベース層は、下側金属層23の下側に配置されていてもよいし、上側に(即ち、下側金属層23と補強層22の間に)配置されていてもよい。なお、下側金属層23が例えば非通気性の金属箔からなる場合、下側金属層23を非通気性シートからなるベース層に積層すれば、金属箔の厚みを薄くしつつ、補強ボード10の断熱性能を向上させることが可能となる。
【0036】
上側金属層24は、ルーフパネル91からの輻射熱(具体的には、赤外線等の電磁波)を反射する熱反射層となっている。本実施形態では、上側金属層24は、補強ボード10の最上層を構成しているが、例えば、上側金属層24の上側に、透明な層等が積層されていてもよい。この構成によっても、ルーフパネル91からの熱を、上記透明な層を透過させることで、上側金属層24で反射させることが可能となる。上側金属層24は、非通気性であっても、通気性を有していても、何れであってもよい。また、上側金属層24は、補強ボード10が成形される際に、発泡樹脂層21、補強層22、面材25と積層一体化されてもよいし、発泡樹脂層21、補強層22、面材25を成形して積層一体化した後に、金属溶射等の後加工により形成されてもよい。
【0037】
図2及び図3に示されるように、補強ボード10の上面には、上側凹部32が形成されている。本実施形態では、上側凹部32は、複数設けられていて、上側凹部32の底面は、略フラットになっている。また、補強ボード10の上面のうちそれら複数の上側凹部32以外の部分、言い換えれば、上側凹部32の底面に対して上側に突出する上側突部30の突出先端面である頂面部30Mは、ルーフパネル91と密着する。そして、頂面部30Mがルーフパネル91に接着されることで、ルーフパネル91に補強ボード10が貼り合わされ、このとき、上側凹部32によってルーフパネル91と補強ボード10との間に、隙間Sが形成される。なお、本実施形態では、頂面部30Mが、特許請求の範囲に記載の「上側密着部」に相当する。
【0038】
本実施形態では、頂面部30Mは、その全体がルーフパネル91の下面91Mに対応した形状となっていて、頂面部30Mの全体がルーフパネル91の下面91Mと上記接着材93を介して隙間無く密着するように接着される(図2参照)。即ち、本実施形態では、頂面部30Mの全体に接着材93が積層される。なお、本実施形態では、補強ボード10の下面は、突部及び凹部が設けられていない略フラット形状となっている。言い換えれば、本実施形態の補強ボード10は、板状のボード本体部11の上に、頂面部30Mを上端面に有する上側突部30が設けられた形状となっている。
【0039】
本実施形態では、図3に示されるように、頂面部30M(上側突部30)は、平面視格子状をなしている。具体的には、本実施形態では、上側突部30は、車両90の前後方向と車幅方向にそれぞれ延びるように配置される略平行な複数の土手状の突条31が交差した形状となっている。上側突部30が格子状をなしていることにより、互いに交差する突条31の各延在方向において補強ボード10の剛性を向上させることが可能となる。また、このような頂面部30Mをルーフパネル91と接着させることで、ルーフパネル91への補強性能の向上が図られる。
【0040】
本実施形態では、後述のように、発泡樹脂層21が厚み方向に上側から圧縮されることで、複数の上側凹部32が賦形される。これにより、発泡樹脂層21のうち上側凹部32と厚み方向で重ならない部分が、相対的に肉厚となり、上面に上述の頂面部30Mを形成する。発泡樹脂層21のうち頂面部30Mと厚み方向で重なる部分は、上側凹部32と重なる部分に比べて、見掛け密度が低くなっていて、例えばほとんど圧縮されていない。
【0041】
上側凹部32の深さ(即ち、上側突部30の突出量)は、2mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることが更に好ましい。上側突部30を2mm以上とすることで、例えば、車両が振動した場合でも、補強ボード10とルーフパネル91の間に隙間を確保し易くなり、ルーフパネル91から補強ボード10への接触による伝熱が抑制できる。なお、ボード本体部11の厚み(補強ボード10の下面と上側凹部32の底面との距離)は、3~20mmが好ましい。ここで、本実施形態の例では、上側凹部32の深さ(上側突部30の突出量)は、2mm以上であり、接着材93の厚みに比べ、十分大きい寸法となっている。なお、一般的な接着材93の厚みは、0.5mm以下であり、この程度の隙間では、ルーフパネル91と補強ボード10との距離が近くなるため、補強ボード10に遮熱性能を付与するための隙間としては不十分となる。
【0042】
本実施形態では、頂面部30Mの表面において上側金属層24が設けられる割合よりも、上側凹部32の内面において上側金属層24が設けられる割合の方が、大きくなっている。具体的には、本実施形態では、図2及び図3に示されるように、上側金属層24が、上側凹部32内にのみ設けられていて、頂面部30M上には設けられていない。上側金属層24は、上側凹部32の底面(本実施形態では、底面全体)に配置され、ルーフパネル91と密着せずに、ルーフパネル91との間に隙間Sを隔てて配置される。そのため、本実施形態では、上側突部30は、発泡樹脂層21とその上側の補強層22及び面材25のうち、上側金属層24よりも上側に突出した部分により構成されている。上側突部30では、上側の面材25が補強ボード10の上面に露出し、ルーフパネル91と接着材93を介して貼り合わされる(即ち、頂面部30Mを構成する)。なお、上側金属層24は、上側凹部32の底面の一部にのみ設けられていてもよいが、上側凹部32の底面全体に設けられていることが好ましい。また、上側凹部32の側面(上側突部30の側面)に設けられていてもよい。
【0043】
なお、補強ボード10の発泡樹脂層21、各補強層22、金属層23,24、面材25の詳細については、以下のようになっている。
【0044】
発泡樹脂層21は、ポリウレタンフォームや、ポリエチレン系樹脂等のオレフィン系樹脂フォーム等で構成することができ、ポリウレタンフォームであることが好ましい。ポリウレタンフォームとしては、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム等が使用でき、軽量で剛性の高い半硬質ポリウレタンフォームが好ましい。また、発泡樹脂層21は、連続気泡構造であっても、独立気泡構造であってもよいが、賦形容易性の観点から、連続気泡構造であることが好ましい。
【0045】
補強層22は、例えば、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、炭素繊維、天然繊維(例えば、セルロースナノファイバー)、ザイロン(登録商標)等のシートで構成することができる。また、補強層22を構成する繊維は、織物、編み物、不織布等の形態であってもよい。この中でも、ガラス繊維シートが、補強ボード10の補強性能や制振性能の観点から好ましく、ガラスマット(特にチョップストランドマット)がより好ましい。補強層22の目付量は、成形性(特に上側凹部32及び上側突部30の成形性)と、軽量化の観点から、400g/m以下が好ましい。また、補強層22の目付量は、補強性能の観点から、60g/m以上が好ましい。
【0046】
下側金属層23としては、上述のように、例えば、非通気性の金属箔や、非通気性のベース層に付着した金属蒸着層もしくは金属溶射層が挙げられる。金属箔としては、アルミニウム箔や銅箔等が挙げられ、その厚みは、断熱性能や遮音性能、成形性等の観点から、10μm以上が好ましく、軽量化の観点から、200μm以下が好ましい。上記ベース層としては、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂の非通気性シートからなるものが挙げられる。ベース層の厚みとしては、断熱性能や遮音性能、成形性等の観点から、10μm以上が好ましく、軽量化の観点から、200μm以下が好ましい。金属蒸着層や金属溶射層の目付量は、断熱性能や遮音性能の観点から、50g/m以上が好ましく、軽量化の観点から、300g/m以下が好ましい。ここで、金属蒸着層や金属溶射層を構成する金属は、アルミニウムや亜鉛、銅等が挙げられ、これらの金属を単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい(例えば、これらの中の金属の合金を用いてもよい)。なお、非通気層70は、通気性を有する金属箔と非通気性の層とを含む構成であってもよい。
【0047】
上側金属層24は、非通気性であっても、通気性を有していてもよい。上側金属層24が非通気性の場合、断熱性能や遮音性能をより高めることができ、通気性を有する場合、ルーフパネル91側からの音を吸音することができる。非通気性の上側金属層24としては、金属箔が挙げられる。また、通気性を有する上側金属層24としては、金属蒸着により形成された金属蒸着層、金属溶射により形成された金属溶射層、通気性を有する金属箔(例えば、多数の貫通孔が形成されたもの)等が挙げられる。金属箔としては、下側金属層23を構成する金属箔として例示したものと同様のものを使用することができる。
【0048】
面材25は、通気性を有していてもよいし、非通気性であってもよい。面材25としては、例えば、不織布等の通気性を有するシートが挙げられ、成形性やバインダのバリア性(染み出し防止性)の観点から、その目付量は、70g/m以上が好ましく、軽量化の観点から、300g/m以下が好ましい。補強ボード10を製造するにあたり、予め面材25と上側金属層24とが一体に成形されたシートを用いる場合(例えば、面材25に上側金属層24が金属蒸着又は金属溶射により形成されてなるシートを用いる場合等)には、面材25としては、不織布等の通気性を有するシートやポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂の非通気性シートが挙げられる。
【0049】
補強ボード10は、例えば、以下のようにして製造される。補強ボード10を製造するには、まず、複数のシートを用意する。具体的には、図4に示されるように、本実施形態では、例えば長方形状をなし、半硬質ポリウレタンフォームからなり発泡樹脂層21を構成する発泡シート21S、補強層22を構成するガラス繊維シートである繊維シート22S、例えば非通気性の金属箔からなり下側金属層23と上側金属層24を構成する1対の膜体23S,24S、不織布からなる面材25を用意する。発泡シート21S及び繊維シート22Sには、熱硬化性樹脂のバインダを塗布して染み込ませておく。また、発泡シート21Sとしては、見掛け密度が10~80kg/mのものが好ましく、厚みが5~30mmのものが好ましい。なお、膜体23S,24Sの少なくとも一方を、非通気性のベース層に金属溶射層又は金属蒸着層を積層したシートで構成してもよい。
【0050】
ここで、図4に示されるように、1対の膜体23S、24Sのうち、上側金属層24を構成する一方の膜体24Sには、膜体24Sの開裂の起点となる開裂起点部40を形成しておく。本実施形態では、開裂起点部40は、格子状をなしている(図4において破線で示されている)。開裂起点部40は、例えば複数の切れ目41が一直線に並んで膜体24Sを横断してなる破線部42が交差することで形成されている。詳細には、開裂起点部40は、長方形状の膜体24Sの長辺方向に略平行に延びて略等間隔に配置された複数の破線部42と、膜体24Sの短辺方向に略平行に延びて略等間隔に配置された複数の破線部42とが、交差してなる。これら破線部42の間隔は、開裂起点部40が次述の上型51の成形凹部51Uと重なる配置となるように設定される。なお、破線部42の切れ目41は、例えば、スリット状をなし、破線部42は、切れ目41の延在方向に延びている。
【0051】
図5には、補強ボード10を成形する1対の分割金型が示されている。一方の分割金型である上型51の成形面51Mには、上側凹部32を成形する成形突部51Tが設けられている。言い換えれば、成形面51Mのうち成形突部51Tの突出先端面以外の部分は、上側突部30を成形する成形凹部51Uになっている。成形凹部51Uは、格子状になっている。詳細には、成形凹部51Uの奥面は、ルーフパネル91の下面91Mに対応した形状(下面91Mと密着する形状)となっていて、頂面部30Mを成形する。また、本実施形態では、1対の分割金型のうち他方の分割金型である下型52の成形面52Mは、突部及び凹部が設けられていない略フラット形状となっている。なお、本実施形態では、上型51と下型52の成形面51M,52Mは、全体的には、ルーフパネル91の下面91Mに沿った形状となっている。
【0052】
そして、発泡シート21Sの表裏の両面にそれぞれ繊維シート22Sを重ねると共に、各繊維シート22Sにそれぞれ外側から金属箔の膜体23S,24Sを重ねる。その際、繊維シート22Sと膜体24Sの間に面材25を配置する。そして、このようにして積層されたボード状の積層体20Sを、膜体24S側が上型51側になるようにして、上型51と下型52で挟んで、加熱プレスする。このとき、上型51の成形凹部51Uに膜体24Sの開裂起点部40を対向させて重ねる(詳細には、この対向方向から見て成形凹部51U内に開裂起点部40が収まるように配置される。)。そして、加熱プレスにより、発泡樹脂層21、各補強層22、下側金属層23、上側金属層24が形成され、これら及び面材25がバインダにより接着される。このとき、一方の膜体24Sは、開裂起点部40を起点として、開裂し、その裂け目43から、発泡樹脂層21とその上に積層された補強層22及び面材25が成形凹部51U内で飛び出し(相対的に突出し)、その飛び出し部分により上側突部30(頂面部30M)が形成される(図6参照)。また、同時に上側凹部32も成形される。詳細には、上型51が下型52に近づけられると、上型51の成形面51Mの成形突部51Tが、下型52の成形面52Mとによって、積層体20S(特に発泡シート21S)を圧縮し、膜体24Sのうち成形突部51Tと対向する部分が下側に押される。一方、積層体20S(特に発泡シート21S)のうち成形凹部51Uの奥面と対向する部分は、積層体20S(特に発泡シート21S)のうち成形突部51Tと対向する部分よりも圧縮されない(例えば、ほとんど圧縮されない)。従って、発泡シート21Sの弾発力により膜体24Sのうち成形凹部51Uの奥面と対向する部分が上側に保持される。これにより、膜体24Sが引き伸ばされ、膜体24Sにおいて最も強度が弱くなっている開裂起点部40で、膜体24Sが裂けることとなる。そして、その裂け目43から、発泡シート21Sが(詳細には、面材25及び上側の補強層22も)飛び出すこととなる。これにより、補強ボード10の上面において、上側金属層24を、頂面部30Mに比べて上側凹部32内に形成し易くすることが可能となり、本実施形態の例では、上側金属層24が、上側凹部32内にのみ形成される。本実施形態の補強ボード10の製造方法では、積層体20Sにおいて膜体24Sのみが開裂する。また、加熱プレスにより、積層体20Sが、ルーフパネル91の下面91Mに沿った形状に成形され、ボード本体部11も成形される。以上により、補強ボード10が得られる。なお、上型51と下型52の上下を逆にして、積層体20Sの膜体24Sを下側に配置してもよい。本実施形態では、積層体20Sのうち、発泡シート21S、1対の繊維シート22S及び面材25が重なったものが、特許請求の範囲に記載の「ボード材」に相当する。
【0053】
本実施形態の補強ボード10では、上側凹部32により、ルーフパネル91と補強ボード10の間に十分な隙間Sが形成されるので、断熱性能を向上させることが可能となると共に、ルーフパネル91からの輻射熱に対する遮熱性能を発揮することも可能となる。また、非通気層70が設けられることで、さらに補強ボード10の断熱性能を向上させることが可能となる。また、非通気層70を有することで、補強ボード10をプレス成形により製造する場合に、接着用のバインダが非通気層70側(下側)の外面から染み出すことを防止可能となり、バインダが分割金型(本実施形態の例では下型52)に付着することを防止可能となる。また、下側金属層23が設けられることで、補強ボード10の断熱性能を一層向上させることが可能となる。しかも、発泡樹脂層21の上下に金属層23,24が配置されるので、補強ボード10の断熱性能をさらに向上させることが可能となる。
【0054】
本実施形態では、発泡樹脂層21に上側から積層された上側金属層24により、車両90のルーフパネル91からの輻射熱を反射することが可能となり、遮熱性能を向上させることが可能となる。また、本実施形態では、頂面部30Mの表面において上側金属層24が設けられる割合よりも、上側凹部32の内面において上側金属層24が設けられる割合が大きくなっている。即ち、ルーフパネル91と接触する頂面部30Mでは、ルーフパネル91と接触しない上側凹部32よりも上側金属層24の配置されている割合が小さくなっている。従って、ルーフパネル91からの熱が、上側金属層24を通して補強ボード10(特に補強ボード10の上面側)に伝わることを和らげることが可能となる。これにより、補強ボードの断熱性能をより向上させることができる。また、上側金属層24は、上側凹部32の内面にのみ設けられていることが好ましい。この構成では、補強ボード10のうちルーフパネルと接触する部分(頂面部30M)に、上側金属層24が設けられないので、ルーフパネル91の熱が、面材25よりも熱伝導率の大きい上側金属層24を通じて補強ボード10自体に伝熱することを防止可能となる。これにより、補強ボード10自体が暖められて熱を蓄積することが防止され、補強ボード10の断熱性能をより向上させることができる。また、発泡樹脂層21と上側金属層24との間に面材25が配置されるので、補強ボード10の剛性を向上させることが可能となる。さらに、面材25を有することで、補強ボード10をプレス成形により製造する場合に、接着用のバインダが上側金属層24側の外面から染み出して分割金型(上型51)へ付着することを防止可能となる。しかも、面材25が通気性を有するので、補強ボード10の吸音性を向上させることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態の補強ボード10の製造方法では、金属箔からなるか、又は、金属層を含む積層シートからなる膜体24Sを、発泡シート21Sに上から重なる面材25にさらに上から重ね、それらを上型51と下型52で加熱プレスすることで、補強ボード10を成形する。ここで、膜体24Sと面材25と発泡シート21S等を上型51と下型52の間に配置する際に、膜体24Sの開裂起点部40を、上型51において上側突部30を成形する成形凹部51Uに重ね合わせる。このような配置で加熱プレスを行うことで、開裂起点部40を起点として膜体24Sを開裂させ、その裂け目43から発泡樹脂層21(発泡シート21S)を成形凹部51U内で相対的に突出させて頂面部30M(上側突部30)を形成することができる。これにより、補強ボード10の上面において、頂面部30M上に比べて上側凹部32内に、上側金属層24を形成し易くすることが可能となり、補強ボード10のうち頂面部30Mを除いた部分のみに(上側凹部32内のみに)、上側金属層24を形成することが可能となる。さらに、上側金属層24を上側凹部32の底面のみに形成することも可能となる。また、本実施形態の補強ボード10の製造方法によれば、膜体24Sが開裂した際に、発泡シート21Sの弾発力により膜体24Sが上型51の成形面(詳細には、成形突部51T)に押し付けられるので、膜体24Sがカールしたり、皺になったりすることを防止可能となる。
【0056】
また、膜体24Sと発泡シート21Sとの間に面材25を配置することで、バインダが染み出て一方の分割金型(本実施形態の例では上型51)に付着することを防止可能となる。また、膜体24Sとして、開裂起点部40以外の部分が非通気性となったものを用いることで、バインダが一方の分割金型(本実施形態の例では上型51)に付着することを抑制可能となる。また、本実施形態では、下側に配置される膜体23Sが非通気性であるため、バインダが他方の分割金型(本実施形態の例では下型52)に付着することも防止することができる。
【0057】
[確認実験]
以下、確認実験によって補強ボードの断熱効果を確認した。評価を行った実験例の詳細については、図7及び以下の通りである。
【0058】
1.補強ボードの構成
<実験例1>
実験例1の試験サンプルとして、上記実施形態の補強ボード10と同様の積層構造を有し(図2参照)、ルーフパネル91としての鉄板91T(図8参照)との間に上側凹部32により7mmの隙間を形成する補強ボード10を用いた。具体的には、実験例1の補強ボード10は、縦200mm×横300mmであり、補強ボード10のうち最も厚肉になった部分の厚み(即ち、上側突部30とボード本体部11の合計の厚み)が16mmであり、ボード本体部11の厚み(補強ボード10の下面と上側凹部32の底面との距離)が9mmである。また、上側突部30は、平面視格子状であり、隣接する突条31の中央部同士の間隔が100mmであり、突条31の幅(突条31の上端面の幅)が30mmであり、上側凹部32の深さ(上側突部30の上端面である頂面部30Mとボード本体部11の上面との距離)が7mmである。
【0059】
発泡樹脂層21は、厚み約17mmの連続気泡構造の半硬質ポリウレタンフォーム(見掛け密度:22kg/m)で構成されている(なお、この厚みは、上述の上型51と下型52によるプレス成形前の厚みである。以下の実験例においても同様である。)。また、各補強層22は、目付量150g/mのガラスマットで構成される。また、下側金属層23は、厚み100μmのアルミ箔で構成され、上側金属層24は、厚み100μmのアルミ箔で構成され、面材25は、100g/mの不織布で構成されている。なお、上側金属層24は、上側凹部32の内面のみに(詳細には、上側凹部32の底面全体を含む部分に)設けられている。
【0060】
<実験例2>
実験例2では、下側金属層23と上側金属層24のうち、下側金属層23のみが設けられている。その他の構成は、実験例1と同じである。
【0061】
<実験例3>
実験例3では、下側金属層23と上側金属層24のうち、上側金属層24のみが設けられている。その他の構成は、実験例1と同じである。
【0062】
<実験例4>
実験例4は、上記実施形態の補強ボード10と同様の積層構造を有するが、上側凹部32が設けられていない点が、実験例1と異なる。実験例4の補強ボードの厚み(ボード本体部11の厚み)は、9mmである。なお、発泡樹脂層21は、厚み約10mmの連続気泡構造の半硬質ポリウレタンフォームで構成されている。各補強層22、各金属層23,24、各面材25については、実験例1と同様である。本実験例の補強ボードは、ルーフパネル91としての鉄板91Tに全面的に貼り合わされる。
【0063】
<実験例5>
実験例5では、下側金属層23と上側金属層24のうち、上側金属層24のみが備えられている。その他の構成は、実験例4と同じである。
【0064】
<実験例6>
実験例6では、下側金属層23と上側金属層24を両方とも備えられていない(実験例6は、従来品の構成となっている)。その他の構成は、実験例4と同様である。
【0065】
<実験例7>
実験例7では、補強ボード10と、ルーフパネル91としての鉄板91T(図8参照)との間の隙間(即ち、上側凹部32の深さ)を5mmとし、補強ボード10のうち最も厚肉になった部分の厚みを14mm、ボード本体部11の厚みを9mmとしている。なお、発泡樹脂層21は、厚み約15mmの連続気泡構造の半硬質ポリウレタンフォームで構成されている。その他の構成は、実験例1と同じである。
【0066】
<実験例8>
実験例8では、補強ボード10と、ルーフパネル91としての鉄板91T(図8参照)との間の隙間(即ち、上側凹部32の深さ)を2mmとし、補強ボード10のうち最も厚肉になった部分の厚みを11mm、ボード本体部11の厚みを9mmとしている。なお、発泡樹脂層21は、厚み約12mmの連続気泡構造の半硬質ポリウレタンフォームで構成されている。その他の構成は、実験例1と同じである。
【0067】
2.評価方法
<断熱性能>
図8に示されるように、断熱性能の試験は、温度23℃、湿度50%の雰囲気下に設置した立方体状の試験ボックス60に、赤外線照射装置62で赤外線を照射することにより行った。試験ボックス60は、中空の断熱部材からなり、上面のみが開口61によって開放されている。そして、開口61を、鉄板91T(厚み0.6mm)で外側から(上方から)閉塞した。鉄板91Tの下面には、開口61に嵌合するサイズ(実験例1参照)の補強ボードの試験サンプル10Aを貼り合わせておき、試験サンプル10Aを、開口61内に配置した。また、開口61は、試験ボックス60の内側から(下方から)成形天井92(厚み5mm)にて閉塞されている。成形天井92は、試験サンプル10Aと間隔をあけて配置される。なお、成形天井92は、例えば、試験ボックス60の上面壁を脱着可能としておき、試験ボックス60の上面壁を外して上面壁に下側から取り付ければよい。試験ボックス60の一辺は約500mmである。
【0068】
そして、赤外線照射装置62により、鉄板91Tに試験ボックス60の外側から(上方から)赤外線を照射した。赤外線の強度は、鉄板91Tの上面のうち、補強ボードの試験サンプル10Aの中心と厚み方向で重なる位置Aの温度(鉄板温度)が、100±0.5℃の範囲内になるように設定した。そして、試験ボックス60内で、位置Aから真下に90mm(成形天井92の下面から真下に50mm)となる位置Bの温度(天井下温度)を測定し、鉄板温度から天井下温度を引いた差を、補強ボードの試験サンプル10Aの断熱効果として評価した。また、従来品の実験例6の天井下温度に対する、実験例1~5,7,8の天井下温度の低下温度(差)を、従来品に対する断熱効果として評価した。
【0069】
3.評価結果
図7に示されるように、鉄板91Tとの間に隙間を設けた実験例1~3,7~8の補強ボードでは、従来品の実験例6の補強ボードよりも、断熱効果が発揮されていることが確認された。特に、下側金属層23と上側金属層24を両方備えた実験例1では、鉄板温度に対する天井下温度の低下温度が、51.4℃、従来品の実験例6に対する低下温度が4.9℃となり、優れた断熱性能が発揮された。また、下側金属層23と上側金属層24のうち一方の金属層のみを備えた実験例2,3の中では、下側金属層23が設けられた実験例2の方が、断熱性能がずっと良好であった。また、実験例1に対して、隙間を5mmに変更した実験例7は、実験例1の断熱性能にはやや劣るものの優れた断熱性能が発揮された。同様に、隙間を2mmに変更した実験例8においても、断熱性能が発揮された。実験例1,7~8の結果より、隙間を5mm以上とすることで、優れた断熱性能が発揮されることが分かる。
【0070】
鉄板91Tに全面的に接着して鉄板91Tとの間に隙間を設けなかった実験例4,5は、それぞれ同じ積層構造を有する実験例1,3に比べて、断熱性能が低くなった。これは、上側金属層24が鉄板91Tと密着することで、鉄板91Tからの熱が伝熱し易くなるためと考えられる。なお、金属層として上側金属層24のみを備える実験例5は、従来品よりも断熱性が悪くなっている。このことから、鉄板91Tと上側金属層24とが直接接すると、鉄板91Tの熱が熱伝導率の高い上側金属層24を介して補強ボードに伝わり、補強ボード自体が暖められ、断熱性能が悪くなったと考えられる。このため、上側突部30(特に、鉄板91Tと接する上側突部30の上面である頂面部30M)上には、上側金属層24が配置されないことが好ましい。
【0071】
以上のように、鉄板91Tとの間に隙間をあけて配置され、金属層として少なくとも下側金属層23を備えた実験例1,2,7,8の補強ボードでは、断熱性能が優れている。特に、鉄板91Tとの間の隙間を5mm以上とした実験例1,2,7の補強ボードでは、断熱性能が非常に優れていることが確認できた。
【0072】
なお、実験例1,2,7,8が「実施例」に相当し、実験例3~6が「比較例」に相当する。
【0073】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、上側金属層24を、積層体20S(上記実施形態における膜体24Sを除いたもの)の成形の後に、即ち、積層体20Sの上面を3次元形状に成形した後に、例えば金属溶射等により、形成してもよい。この場合、上側金属層24を、補強ボード10の上面において上側凹部32の内面にのみ形成することが容易となる。上側金属層24を上側凹部32の内面にのみ形成することで、補強ボード10のうちルーフパネル91と接触する頂面部30Mに上側金属層24が設けられないので、補強ボード10の断熱性能をより向上させることが可能となる。本実施形態の補強ボード10の製造方法では、成形された積層体20Sの上面のうち頂面部30Mとなる部分をマスキングテープ等で保護して金属溶射を行えば、この部分に金属粒子が付着することをより確実に防ぐことが可能となる。本実施形態では、金属溶射により上側金属層24を形成することで、上側金属層24に通気性を持たせることが容易となる。また、積層体20Sの上面を3次元形状に成形してから上側金属層24を形成するので、上側金属層24を補強ボード10の上面の所望の箇所(例えば、上側凹部32の内面)に形成することが容易となる。なお、積層体20S(膜体24Sを除いたもの)の成形の後に、金属箔を上側凹部32の内面に配置して、上側金属層24を形成してもよい。また、膜体23Sを除いた積層体20Sの成形の後に、金属溶射又は金属箔により下側金属層23を形成してもよい。
【0074】
(2)上記実施形態では、補強ボード10を製造するにあたり、別体となった膜体24Sと面材25とをプレス成形することで、一体化された上側金属層24と面材25とを得たが、プレス成形前に予め上側金属層24を面材25に積層一体化しておいてもよい。この場合、例えば、面材25の少なくとも片面に金属溶射により上側金属層24を形成してもよいし、面材25に貼り合わせた金属箔により上側金属層24を形成してもよい。前者のように、金属溶射により上側金属層24を面材25に積層すれば、上側金属層24を面材25にバインダで接着して積層する場合に比べて、バインダを削減することができる。
【0075】
具体的には、上側金属層24を、積層体20S(膜体24Sを除いたもの)のプレス成形の前に形成する場合、例えば、まず、面材25に金属溶射を行って上側金属層24を形成する。そして、発泡シート21Sに上側から面材25及び上側金属層24を重ねたものを、上型51と下型52によりプレス成形して補強ボード10を成形する。この場合、上側金属層24は、面材25の上側に配置してもよいし、下側に配置してもよい。また、この場合、面材25のうち上側凹部32に厚み方向で重なる部分への金属溶射層の目付量を、頂面部30Mを構成する部分の金属溶射の目付量よりも大きくすることで、プレス成形後に上側金属層24に極端に薄い部分が形成されることを防止可能となる。また、補強ボード10の上面を成形する上型51に、補強ボード10の上側凹部32を成形する成形突部を設けておき、面材25の上面のうちプレス成形の際に上型51の上記成形突部と対向する部分にのみ金属を溶射するようにしてもよい。この場合、上側金属層24を上側凹部32の内面のみに容易に形成することが可能となる。また、上側金属層24を金属溶射により形成することで、上側金属層24に通気性を持たせることが容易となる。ここで、上側金属層24が通気性を持つ構成では、積層体20Sの成形時に接着用のバインダを用いる場合、バインダが上側金属層24を通して外側に染み出る虞がある。そのため、補強ボード10をプレス成形により製造する場合に、バインダが分割金型(上型51)に付着する虞がある。これに対し、本実施形態では、上側金属層24が金属溶射により形成されるので、上側金属層24を多数の金属粒子をランダムに幾重にも堆積させて形成することが可能となり、上側金属層24を通してのバインダの染み出しを抑制可能となる。これにより、分割金型へのバインダの付着を抑制することが可能となる。また、面材25によっても、上側金属層24側の外面からバインダが染み出すことを抑制でき、上側金属層24が通気性を有する構成でも、バインダが外側に漏れ出ることを抑制できる。なお、下側金属層23を、積層体20S(膜体23Sを除いたもの)のプレス成形の前に、例えば金属溶射等により形成してもよい。
【0076】
(3)上記実施形態において、複数の上側突部30を設ける場合、上側突部30が、突条となっていてもよいし、円柱状又は角柱状であってもよいし、上側にすぼまる円錐台形状又は角錐台形状であってもよい。上側突部30が突条をなす場合、例えば、複数の土手状の突条(上側突部30V)が、車両90の前後方向又は車幅方向に延びて、互いに平行に並べられていてもよい(図9(A)参照)。この場合、補強ボード10を製造する際には、上型51の成形凹部51Uを上側突部30Vに対応した複数の溝とすると共に、上側金属層24となる膜体24Sには、開裂起点部40Vとして、それら複数の溝に沿った複数の破線部42を形成すればよい(図9(B)参照)。なお、この場合、例えば、破線部42の代わりに、破線部42よりもわずかに短く膜体24Sを横断しない長さのスリットを設けてもよい。
【0077】
(4)上記実施形態では、上側金属層24が、上側凹部32内にのみ設けられていたが、図10に示されるように、頂面部30M上にも設けられていてもよい。この場合、上側金属層24が、補強ボード10の上面全体に設けられてもよい(図10参照)。また、上側金属層24が、上側凹部32内にのみ設けられる場合、上側凹部32の底面のみに設けられていてもよいし、上側凹部32の側面(上側突部30の側面)に設けられてもよいし、それら底面と側面の両方に設けられてもよい(図11参照)。また、補強ボード10には、上側金属層24が設けられていなくてもよい。
【0078】
(5)上記実施形態において、1対の補強層22,22のうち少なくとも一方の補強層22が設けられずに、下側金属層23と上側金属層24の少なくとも一方が発泡樹脂層21に直に積層されていてもよい。また、繊維からなる補強層22の代わりに、例えば、樹脂からなる層が設けられていてもよい。
【0079】
(6)上記実施形態において、補強ボード10の下面に、突部又は凹部が設けられていてもよい。この場合、例えば、補強ボード10の下面において上側突部30と厚み方向で重なる部分に、凹部が設けられていてもよい。この構成では、発泡樹脂層21が上側に隆起することで、それら上側突部30と上記凹部とが形成されてもよく、この場合、発泡樹脂層21の厚み(目付量)が、全面に亘って略均一となっていてもよい。なお、本実施形態の補強ボード10を製造するには、下型52の成形面52Mに、補強ボード10の上記凹部を成形する対向突部を、上型51の成形凹部51Uと対向するように設ければよい。この場合、プレス成形の際に、この対向突部により発泡シート21Sを下側から成形凹部51U内に押し上げることができるので、膜体24Sを開裂起点部で開裂させ易くすることが可能となる。
【0080】
(7)上記実施形態では、接着材93が頂面部30M上にのみ配置されたが、補強ボード10の上面全体に配置されてもよい(即ち、接着材93が頂面部30Mと上側凹部32の全体を覆ってもよい)。補強ボード10の上面全体に接着材93が存在することで、補強ボード10にルーフパネル91の熱が伝わり難くなり、補強ボード10の断熱性能が更に向上する。また、補強ボード10の上面全体に接着材93が配置されることで、補強ボード10の剛性が向上する。なお、接着材93は透明な層であってもよい。これにより、上側金属層24でルーフパネル91からの熱を反射することが可能となる。
【0081】
(8)上記実施形態では、頂面部30M(上側突部30)が、平面視格子状であったが、平面視ハニカム状であってもよい。この構成であっても、車両90の前後方向及び車幅方向における補強ボード10の剛性を向上させることが可能となる。
【0082】
(9)上記実施形態では、補強ボード10が、積層体20Sを加熱プレスすることで成形されたが、積層体20Sをコールドプレスすることで成形されてもよい。この場合、バインダとしてホットメルト等の接着材を用いればよい。
【0083】
(10)上記実施形態では、上側突部30の上端面(即ち、頂面部30M)の全体が、ルーフパネル91と密着したが、頂面部30Mが、ルーフパネル91に部分的に密着してもよい。
【0084】
(11)上記実施形態の補強ボード10には、面材25が設けられていたが、面材25が設けられていなくてもよい。この場合、上側の金属層24は上側の補強層22に直に積層される。また、下側金属層23と下側の補強層22との間に面材(例えば面材25と同様のもの)が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 補強ボード
21 発泡樹脂層
23 下側金属層
24 上側金属層
30M 頂面部
32 上側凹部
90 車両
91 ルーフパネル
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11