(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】チューブ容器用包材およびチューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/10 20060101AFI20241209BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B65D35/10 Z
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2018080005
(22)【出願日】2018-04-18
【審査請求日】2021-02-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】勝 又 淑 江
(72)【発明者】
【氏名】大 村 寛 美
【合議体】
【審判長】神山 茂樹
【審判官】岩谷 一臣
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-234719(JP,A)
【文献】特開2015-066724(JP,A)
【文献】特開2008-281836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D35/00-37/00,B65D65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の貼り合わせ端部を有するチューブ容器用包材において、
外面から内面に向かって順に配置されたヒートシール性を有する外面印刷基材層/内面
印刷基材層/内面シーラント層を備え、
前記外面印刷基材層の外面のうち、前記一対の貼り合わせ端部以外の領域に印刷インク
を用いて外面印刷部を設け、
前記内面印刷基材層の内面または外面のうち、前記
一対の貼り合わせ端部を含む領域に印刷インクを用いて内面印刷部を設け、
前記外面印刷部と、前記内面印刷部は互いに
関連する模様を有し、これにより、前記一対の貼り合わせ端部を含む前記チューブ容器用包材の
少なくとも一周分に渡って
規則性をもった模様を外方に現す、
チューブ容器用包材。
【請求項2】
前記外面印刷基材層と前記内面印刷基材層との間に外面シーラント層を設けた、請求項
1記載のチューブ容器用包材。
【請求項3】
前記内面印刷基材層はガスバリア特性をもつ、請求項1または2記載のチューブ容器用
包材。
【請求項4】
ガスバリア層を更に備えた、請求項1乃至3のいずれか記載のチューブ容器用包材。
【請求項5】
一対の貼り合わせ端部を有するチューブ容器用包材からなり、前記一対の貼り合わせ端
部を接合してなるチューブ容器において、
チューブ容器用包材は、外面から内面に向かって順に配置された外面印刷基材層/内面
印刷基材層/内面シーラント層を備え、
前記外面印刷基材層の外面のうち、前記一対の貼り合わせ端部以外の領域に印刷インク
を用いて外面印刷部を設け、
前記内面印刷基材層の内面または外面のうち、前記
一対の貼り合わせ端部を含む領域に印刷インクを用いて内面印刷部を設け、
前記外面印刷部と、前記内面印刷部は互いに
関連する模様を有し、これにより、
前記一対の貼り合わせ端部を含む前記チューブ容器用包材の
少なくとも一周分に渡って
規則性をもった連続した模様を外方に現す、
チューブ容器。
【請求項6】
前記外面印刷基材層と前記内面印刷基材層との間に外面シーラント層を設けた、請求項
5記載のチューブ容器。
【請求項7】
前記内面印刷基材層はガスバリア特性をもつ、請求項5または6記載のチューブ容器。
【請求項8】
ガスバリア層を更に備えた、請求項5乃至7のいずれか記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器用包材およびチューブ容器に係り、意匠性を向上させることができるチューブ容器用包材およびチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ容器としては、外面から内面に向けて順次積層配置されたヒートシール性をもつ印刷基材層と、基材層と、内面シーラント層とを有するチューブ容器用包材を含むものが知られている。またヒートシール性をもつ印刷基材層には、その外面に外面印刷が施されている。また印刷基材層と内面シーラント層は、ポリエチレン等のヒートシール性をもつ材料からなる。
【0003】
ところで、チューブ容器は上述したチューブ容器用包材の一対の貼り合わせ端部同士を重ね合わせ、この一対の貼り合わせ端部同士を接合することにより得られる。この場合、チューブ容器の一対の貼り合わせ端部は、接合される部分であるため、この一対の貼り合わせ端部に外面印刷が施されることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、とりわけ貼り合わせ端部における意匠性を向上させることができるチューブ容器用包材およびチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一対の貼り合わせ端部を有するチューブ容器用包材において、外面から内面に向かって順に配置されたヒートシール性を有する外面印刷基材層/内面印刷基材層/内面シーラント層を備え、前記外面印刷基材層の外面のうち、前記貼り合わせ端部以外の領域に印刷インクを用いて外面印刷部を設け、前記内面印刷基材層の内面または外面のうち、前記貼り合わせ端部を含む領域に印刷インクを用いて内面印刷部を設けた、チューブ容器用包材である。
【0007】
本発明は、前記外面印刷基材層と前記内面印刷基材層との間に外面シーラント層を設けた、チューブ容器用包材である。
【0008】
本発明は、前記外面印刷部の模様と前記内面印刷部の模様は、互いに連続する、チューブ容器用包材である。
【0009】
本発明は、前記内面印刷基材層はガスバリア特性をもつ、チューブ容器用包材である。
【0010】
本発明は、ガスバリア層を更に備えた、チューブ容器用包材である。
【0011】
本発明は、一対の貼り合わせ端部を接合してなるチューブ容器において、外面から内面に向かって順に配置された外面印刷基材層/内面印刷基材層/内面シーラント層を備え、前記外面印刷基材層の外面のうち、前記貼り合わせ端部以外の領域に印刷インクを用いて外面印刷部を設け、前記内面印刷基材層の内面または外面のうち、前記貼り合わせ端部を含む領域に印刷インクを用いて内面印刷部を設けた、チューブ容器である。
【0012】
本発明は、前記外面印刷基材層と前記内面印刷基材層との間に外面シーラント層を設けた、チューブ容器である。
【0013】
本発明は、前記外面印刷部の模様と前記内面印刷部の模様は、互いに連続する、チューブ容器である。
【0014】
本発明は、前記内面印刷基材層はガスバリア特性をもつ、チューブ容器である。
【0015】
本発明は、ガスバリア層を更に備えた、チューブ容器である。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、とりわけ一対の貼り合わせ端部において意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1Aは第1の実施の形態によるチューブ容器用包材の積層体を示す側断面図。
【
図1B】
図1Bは第2の実施の形態によるチューブ容器用包材の積層体を示す側断面図。
【
図4】
図4はチューブ容器を含む包装製品を示す側断面図。
【
図5】
図5はチューブ容器用包材の外面印刷部と内面印刷部の配置関係を示す平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<本発明の第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態によるチューブ容器用包材およびチューブ容器について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
【0019】
まず
図2乃至
図4により、本発明によるチューブ容器用包材10を使用して作成されたチューブ容器20について述べる。
【0020】
チューブ容器20はチューブ容器用包材10を含む筒状胴部21と、筒状胴部21に対して圧縮成形により樹脂を設けることにより作製された肩部13および口部14とを備えている。またチューブ容器20の口部14にキャップ16が装着される。
【0021】
このような構成からなるチューブ容器20は、以下のような製造工程を経て得られる。
【0022】
まず、
図2に示すように、本発明によるチューブ容器用包材10を用い、そのチューブ容器用包材10の一対の貼り合わせ端部(以下、両端部ともいう)11、11’を重ね合わせて、その重合部分の外面と内面とをヒートシールして貼り合わせてヒートシール部12を形成することにより、筒状胴部21を製造する。次いで、
図3に示すように、上記の筒状胴部21を金型内に装着し、筒状胴部21の一方の開口部21Aに、例えば、圧縮成形法等の通常の方法によって、肩部13および口部14を形成する。このようにして筒状胴部21の一方の開口部21Aに、肩部13および口部14が一体に成形されてチューブ容器20が作製される。そしてチューブ容器20の口部14にキャップ16が装着される。
【0023】
次にチューブ容器20の筒状胴部21の他方の開口部21Bから、例えば、練り歯磨き、その他の内容物17が適量分だけ充填される。その後、他方の開口部21Bを溶着して底シール部18を形成して、内容物17を充填包装したチューブ容器20を含む包装製品20Aが得られる。
【0024】
次に
図1Aにより、チューブ容器20を作製するチューブ容器用包材10について述べる。チューブ容器用包材10は、
図1Aに示すように、外面から内面に向かって順に配置されたヒートシール性を有する外面印刷基材層1と、外面シーラント層2と、内面印刷基材層3と、内面シーラント層5とを有する積層体を備えている。このうち、外面印刷基材層1の外面には、印刷インクを用いて所望の模様を含む外面印刷部1aが形成され、内面印刷基材層3の内面には印刷インクを用いて所望の模様を含む内面印刷部3aが形成されている。なお、内面印刷基材層3の外面に印刷インクを用いて、内面印刷部3aを設けても良い。
【0025】
また、外面シーラント層2と内面印刷基材層3とはドライラミネート(DL)により接合され、外面印刷基材層1と外面シーラント層2とは押し出しラミネート(EC)により接合されている。さらに内面印刷基材層3と内面シーラント層5とはドライラミネート(DL)により接合されている。
【0026】
本明細書において、「外面」、「内面」とはチューブ容器用包材10を用いてチューブ容器20を作製した場合における「外面」および「内面」を意味する。
【0027】
次にチューブ容器用包材10を構成する各部分の材料について述べる。
【0028】
外面印刷基材層1、外面シーラント層2および内面シーラント層5は例えばポリエチレン(PE)を含んでいてもよい。具体的には、外面印刷基材層1、外面シーラント層2および内面シーラント層5を以下の材料から作製してもよい。
【0029】
外面印刷基材層1、外面シーラント層2および内面シーラント層5として、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフイン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。
【0030】
また内面印刷基材層3としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)層を用いることができ、PET層3に印刷を施すことによってPET層3に印刷インキからなる内面印刷部3aを設けることができる。
【0031】
また内面印刷基材層3としてPET層を用いる代わりに、ナイロン(Ny)層を用いてもよく、表面に金属蒸着膜を有しガスバリア特性をもったポリエチレンテレフタレート(PET)層を用いてもよく、表面に金属蒸着膜を有しガスバリア特性をもったナイロン(Ny)層を用いてもよい。
【0032】
次にヒートシール性を有する外面印刷基材層1の外面に設けられた外面印刷部1a、および内面印刷基材層3の内面に設けられた内面印刷部3aについて述べる。
【0033】
図5に示すように、外面印刷部1aはチューブ容器用包材10のうち一対の貼り合わせ端部(両端部)11,11’以外の領域に設けられている。このように外面印刷部1aを一対の貼り合わせ端部11,11’以外の領域に設ける理由は、一対の貼り合わせ端部11,11’はチューブ容器20を作製する際、互いの外面と内面を重ね合わせて接合する部分だからである。
【0034】
従ってチューブ容器用包材10のうち一対の貼り合わせ端部11,11’には、外面印刷部1aが設けられることはない。
【0035】
このように作製されたチューブ容器20の一対の貼り合わせ端部11,11’には外面印刷部1aが設けられていないため、外面印刷部1aはこの一対の貼り合わせ端部11,11’において不連続となる。
【0036】
他方、内面印刷基材層3の内面に設けられた内面印刷部3aは、少なくとも一対の貼り合わせ端部11,11’を含む領域に形成されている。この場合、外面印刷基材層1の外面に設けられた外面印刷部1aと、内面印刷基材層3の内面に設けられた内面印刷部3aが同様の模様をもつことにより、一対の貼り合わせ端部11,11’を含むチューブ容器20の全周に渡って連続した同様の模様を外方に現すことができる。なお、
図5において、切断線Lにより切断される前の連続する複数のチューブ容器用包材10が示されている。
【0037】
上記実施の形態において、内面印刷部3aは少なくとも一対の貼り合わせ端部11,11’を含む領域に形成されているが、必要によりチューブ容器用包材10の全域に渡って内面印刷部3aを形成してもよい。
【0038】
次にチューブ容器用包材の製造方法について
図1Aにより述べる。
【0039】
まず内面印刷基材層3の内面に印刷が施されて、このようにして内面印刷基材層3の内面に印刷インキからなる内面印刷部3aが設けられる。
【0040】
次に内面印刷基材層3の内面側にドライラミネート(DL)により内面シーラント層5が接合される。
【0041】
次に内面印刷基材層3の外面側に外面シーラント層2がポリエチレンを用いたドライラミネート(DL)により接合される。他方、外面印刷基材層1の外面に印刷が施され、このようにして外面印刷基材層1の外面に印刷インキからなる外面印刷部1aが設けられる。次に外面シーラント層2の外面に外面印刷基材層1の内面が押し出しラミネート(EC)により接合される。このようにしてチューブ容器用包材10が得られる。
【0042】
このようにして得られたチューブ容器用包材10は円筒状に形成され、上述のようにその両端部11,11’が重ね合わされて、両端部11,11’においてチューブ容器用包材10の外面と内面がヒートシールされて筒状胴部21が作製される。
【0043】
この場合、チューブ容器用包材10の外面側に設けられた外面印刷基材層1および外面シーラント層2と、内面側に設けられた内面シーラント層5とが溶融して接合され、筒状胴部21が得られる。
【0044】
次に、筒状胴部21が金型内に挿着され、筒状胴部21に圧縮成形法を用いて肩部13と口部14が形成されて、チューブ容器20が得られる(
図2および
図3参照)。
【0045】
次にこのようにして得られたチューブ容器20の口部14にキャップ16が装着され、キャップ16が装着されたチューブ容器20は複数まとめてダンボール箱内に収納される。その後、キャップ16が装着された複数のチューブ容器20は、ダンボール箱毎搬送される。
【0046】
以上のように本実施の形態によれば、外面印刷部1aは一対の貼り合わせ端部11,11’以外の領域に設けられ、一対の貼り合わせ端部11,11’を含む領域に内面印刷部3aが設けられ、これら外面印刷部1aと内面印刷部3aは同様の模様を含むため、チューブ容器20の全周に渡って連続した同様の模様を形成することができる。
【0047】
<第2の実施の形態>
次に
図1Bにより本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0048】
図1Bに示す第2の実施の形態は、チューブ容器用包材10の内面印刷基材層3にドライラミネートによりガスバリア層4を貼り付け、このガスバリア層4に内面シーラント層5をドライラミネートにより貼り付けたものである。
図1Bに示す第2の実施の形態において、他の構成は
図1A、
図2乃至
図5に示す第1の実施の形態と同様である。
図1Bに示す第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
第2の実施の形態において、チューブ容器用包材10は内面印刷基材層3と内面シーラント層5との間に配置されたガスバリア層4を更に有し、このガスバリア層4としては、金属箔、または基材フィルムとこの基材フィルム上に蒸着された蒸着膜とを有するものを用いることができる(
図1B参照)。
【0050】
具体的には、ガスバリア層として用いられる金属箔には、例えば、アルミニウム箔があげられる。また、蒸着膜が設けられる基材フィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
【0051】
なお、本発明においては、基材フィルムとして、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することが好ましいものである。
【0052】
また基材フィルム上に蒸着された蒸着膜としては、アルミ蒸着膜を用いることができ、ガスバリア層として基材フィルムとアルミ蒸着膜とを含むVM-PETを用いることができる。
【0053】
なお、上記第1および第2の実施の形態において、外面印刷基材層1と内面印刷基材層3との間に、外面シーラント層2を設けた例を示したが、外面印刷基材層1が十分なヒートシール機能をもつ場合、外面シーラント層2は必ずしも設ける必要はない。
【実施例】
【0054】
次に本発明の具体的実施例について述べる。
【0055】
(実施例1)
実施例1は上記第1の実施の形態に対応するものである。
【0056】
チューブ容器用包材10として、以下のような層構成をもつ積層体を準備した。
【0057】
外面印刷部1a/LDPE層1(20μm)/LLDPE層2(100μm)/PET層3(12μm)/内面印刷部3a/LLDPE層5(210μm)
ここでLDPE層1は低密度ポリエチレンからなり、外面印刷基材層を構成する。またLLDPE層2は直鎖低密度ポリエチレンからなり、外面シーラント層を構成する。またPET層3はポリエチレンテレフタレートからなり、内面印刷基材層を構成する。さらにLLDPE層5は直鎖低密度ポリエチレンからなり、内面シーラント層を構成する。
【0058】
上記チューブ容器用包材10において、外面印刷部1aは一対の貼り合わせ端部11,11’以外に対応する領域に形成され、内面印刷部3aは貼り合わせ端部11,11’に対応する領域に形成されている。
【0059】
外面印刷部1aと内面印刷部3aは、同様の模様をもち、このことによりチューブ容器用包材10から作製されたチューブ容器20において全周に渡って連続する同一模様を形成することができる。
【0060】
この場合、チューブ容器20の一対の貼り合わせ端部11,11’がとりわけ目立ったり、一対の貼り合わせ端部11,11’を介して内容物が外方に覆われることはなく、とりわけ一対の貼り合わせ端部11,11’におけるチューブ容器20の意匠性を高めることができる。
【0061】
また実施例1におけるチューブ容器用包材10について、一対の貼り合わせ端部11,11’の接合強度、チューブ容器用包材10と、肩部13および口部14との間の接合強度を測定した。
【0062】
比較例として、外面印刷部1aを有するが内面印刷部3aを有しない点が異なるのみであり他は実施例1と同様のチューブ容器用包材(比較例1)と、外面印刷部1aを有しないが内面印刷部3aを有する点が異なるのみであり他は実施例1と同様のチューブ容器用包材(比較例2)を準備した。
【0063】
これら比較例1,2としてのチューブ容器用包材について、肩部13および口部14との間の接合強度を測定した。
【0064】
実施例1に係るチューブ容器用包材は、肩部13および口部14に対して比較例1,2としてのチューブ容器用包材と略同一の接合強度をもつことが判った。また、比較例1によるチューブ容器は、一対の貼り合わせ端部において、模様は不連続となった。他方、比較例2によるチューブ容器の模様は、外面印刷特有の光沢感はもっていなかった。
【0065】
(実施例2)
実施例2は上記第2の実施の形態に対応するものである。
【0066】
チューブ容器用包材10として、以下のような層構成をもつ積層体を準備した。
【0067】
外面印刷部1a/LDPE層1(20μm)/LLDPE層2(100μm)/PET層3(12μm)/内面印刷部3a/VMPTET層4(12μm)/LLDPE層5(210μm)
ここでLDPE層1は低密度ポリエチレンからなり、外面印刷基材層を構成する。またLLDPE層2は直鎖低密度ポリエチレンからなり、外面シーラント層を構成する。またPET層3はポリエチレンテレフタレートからなり、内面印刷基材層を構成する。さらにLLDPE層5は直鎖低密度ポリエチレンからなり、内面シーラント層を構成する。またVMPTET層4は外面にアルミ蒸着膜を有するポリエチレンテレフタレートからなり、ガスバリア層4を構成する。
【0068】
上記チューブ容器用包材10において、外面印刷部1aは一対の貼り合わせ端部11,11’以外に対応する領域に形成され、内面印刷部3aは貼り合わせ端部11,11’に対応する領域に形成されている。
【0069】
外面印刷部1aと内面印刷部3aは、同様の模様をもち、このことによりチューブ容器用包材10から作製されたチューブ容器20において全周に渡って連続する同一の模様を形成することができる。
【0070】
この場合、チューブ容器20の一対の貼り合わせ端部11,11’がとりわけ目立ったり、一対の貼り合わせ端部11,11’を介して内容物が外方に覆われることはなく、とりわけ一対の貼り合わせ端部11,11’におけるチューブ容器20の意匠性を高めることができる。
【0071】
また実施例2におけるチューブ容器用包材10について、一対の貼り合わせ端部11,11’の接合強度、チューブ容器用包材10と、肩部13および口部14との間の接合強度を測定した。
【0072】
比較例として、外面印刷部1aを有するが内面印刷部3aを有しない点が異なるのみであり他は実施例2と同様のチューブ容器用包材(比較例3)と、外面印刷部1aを有しないが内面印刷部3aを有する点が異なるのみであり他は実施例2と同様のチューブ容器用包材(比較例4)を準備した。
【0073】
これら比較例3,4としてのチューブ容器用包材について、肩部13および口部14との間の接合強度を測定した。
【0074】
実施例2に係るチューブ容器用包材は、肩部13および口部14に対して比較例3,4としてのチューブ容器用包材と略同一の接合強度をもつことが判った。また、比較例3によるチューブ容器は、一対の貼り合わせ端部において、模様は不連続となった。他方、比較例4によるチューブ容器の模様は、外面印刷特有の光沢感はもっていなかった。
【符号の説明】
【0075】
1 外面印刷基材層
1a 外面印刷部
2 外面シーラント層
3 内面印刷基材層
3a 内面印刷部
4 ガスバリア層
5 内面シーラント層
10 チューブ容器用包材
11,11’ 一対の貼り合わせ端部
20 チューブ容器