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  • 特許-機械式駐車装置の出庫予約変更システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の出庫予約変更システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20241209BHJP
   E04H 6/00 20060101ALI20241209BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20241209BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241209BHJP
【FI】
E04H6/18 601B
E04H6/00 A
G06Q10/02
G06Q50/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019168280
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046677
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢貴
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】門 良成
【審判官】桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-3975(JP,A)
【文献】特開2019-87255(JP,A)
【文献】特開2003-269000(JP,A)
【文献】実開平4-132159(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18
E04H 6/00
G06Q 50/10
G06Q 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車装置の出庫予約を含む専用アプリケーションがインストールされた移動体通信端末と、
前記機械式駐車装置の出庫予約を管理する管理パーソナルコンピュータと、
該管理パーソナルコンピュータが接続され且つ前記機械式駐車装置の作動を制御する制御装置と、
前記移動体通信端末が通信回線を介して接続され且つ前記管理パーソナルコンピュータと連携する管理サーバと
を備え、
前記管理パーソナルコンピュータから管理サーバを介して移動体通信端末に出庫予約実行前確認通知が送信される通知機能と、
該通知機能による出庫予約実行前確認通知の送信後、利用者に出庫予約の遅延の有無を選択させる遅延確認機能と
を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システムであって、
前記遅延確認機能において利用者が出庫予約の遅延を選択した場合に他の利用者の出庫予約との重複の有無を判定するチェック機能を備え、
該チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する代替時間提示機能を備え、
前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する時間設定機能を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の出庫予約変更システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、機械式駐車装置は、地上に建設された建屋内部や、地下に形成された空間内部に多数の車両を立体的に格納するものであり、エレベータ式、垂直循環式等、様々な方式の機械式駐車装置が採用されており、利用者として契約者を対象とするマンション等の集合住宅や、不特定多数の利用者を対象とするデパート等の施設に設けられている。
【0003】
そして、前記機械式駐車装置においては、利用者が予約して車両を入出庫することが行われている。
【0004】
尚、前記機械式駐車装置と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-168985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特に車両の出庫に関し、利用者の都合により既に予約されている時間より数分程度出庫を遅らせたいような場合、たとえその時間が数分であったとしても、出庫予約時間を遅延させるには、一旦出庫予約自体の取り消しを行い、新たに出庫予約を行う必要があった。
【0007】
しかしながら、前述のように、出庫予約時間を数分遅らせるためだけに出庫予約自体を一旦取り消して、わざわざ出庫予約を新たに行うのでは、手間と時間が掛かって効率が悪く、改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、出庫予約の変更を容易に行うことができ、利用者の利便性を向上し得る機械式駐車装置の出庫予約変更システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、機械式駐車装置の出庫予約を含む専用アプリケーションがインストールされた移動体通信端末と、
前記機械式駐車装置の出庫予約を管理する管理パーソナルコンピュータと、
該管理パーソナルコンピュータが接続され且つ前記機械式駐車装置の作動を制御する制御装置と、
前記移動体通信端末が通信回線を介して接続され且つ前記管理パーソナルコンピュータと連携する管理サーバと
を備え、
前記管理パーソナルコンピュータから管理サーバを介して移動体通信端末に出庫予約実行前確認通知が送信される通知機能と、
該通知機能による出庫予約実行前確認通知の送信後、利用者に出庫予約の遅延の有無を選択させる遅延確認機能と
を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システムであって、
前記遅延確認機能において利用者が出庫予約の遅延を選択した場合に他の利用者の出庫予約との重複の有無を判定するチェック機能を備え、
該チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する代替時間提示機能を備え、
前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する時間設定機能を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システムに係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の機械式駐車装置の出庫予約変更システムによれば、出庫予約の変更を容易に行うことができ、利用者の利便性を向上し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の機械式駐車装置の出庫予約変更システムの実施例を示す制御ブロック図である。
図2】本発明の機械式駐車装置の出庫予約変更システムの実施例を示すフローチャートである。
図3】本発明の機械式駐車装置の出庫予約変更システムの実施例におけるプッシュ通知スケジュールを示す図である。
図4】本発明の機械式駐車装置の出庫予約変更システムの実施例における移動体通信端末の表示画面を示す図であって、(a)は出庫予約実行前確認画面の図、(b)は出庫予約スヌーズ確認メッセージを示す画面の図、(c)は出庫予約スヌーズ受付完了メッセージを示す画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1図4は本発明の機械式駐車装置の出庫予約変更システムの実施例である。
【0017】
本実施例の機械式駐車装置の出庫予約変更システムは、図1に示す如く、移動体通信端末10と、管理パーソナルコンピュータ20と、制御装置30と、管理サーバ40とを備えている。
【0018】
前記移動体通信端末10は、利用者によって所持され且つ機械式駐車装置の出庫予約を含む専用アプリケーションがインストールされた端末であって、例えば、スマートフォンである。但し、車両に搭載されたカーナビゲーションシステムに機械式駐車装置の出庫予約を含む専用アプリケーションをインストールして、該カーナビゲーションシステムを移動体通信端末10とすることも可能である。因みに、マンション等の集合住宅の場合、利用者は、管理者と機械式駐車装置の利用契約を行っている。
【0019】
前記管理パーソナルコンピュータ20は、機械式駐車装置の出庫予約を管理するようになっており、ハブ50を介して出庫用予約表示装置60が接続されている。尚、前記管理パーソナルコンピュータ20は、機械式駐車装置の入庫予約も管理するようになっており、ハブ50を介して入庫用予約表示装置70が接続されている。
【0020】
前記制御装置30は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)であり、管理パーソナルコンピュータ20がハブ50を介して接続され且つ前記機械式駐車装置の作動を制御するようになっている。
【0021】
前記管理サーバ40は、前記移動体通信端末10が3Gや4G等の通信回線を介して接続され且つ前記管理パーソナルコンピュータ20とルータ80を介して接続され、該管理パーソナルコンピュータ20と連携するようになっている。
【0022】
そして、本実施例の場合、図2に示す如く、通知機能と、遅延確認機能と、チェック機能と、代替時間提示機能と、時間設定機能とを備えている。
【0023】
前記通知機能は、前記管理パーソナルコンピュータ20から管理サーバ40を介して移動体通信端末10に出庫予約実行前確認通知が送信される機能である。前記出庫予約実行前確認通知は、通常のメールであっても、プッシュ通知であっても良い。プッシュ通知は、LINE(登録商標)等のメッセージを受信する仕組みに用いられる機能であって、対象となるスマートフォンやカーナビゲーションシステム等の移動体通信端末10に対してのみ送信が可能であり、メールアドレスを使用せずに送信でき、移動体通信端末10の設定により、送信されたメッセージ内容をロック画面に表示することも可能となる。
【0024】
前記遅延確認機能は、前記通知機能による出庫予約実行前確認通知の送信後、利用者に出庫予約の遅延の有無を選択させる機能である。ここで、出庫予約の遅延は、一般によく知られているアラームの鳴動時間を当初の時間から設定時間後にずらす目覚まし時計の機能と類似しているため、「スヌーズ」と称している。
【0025】
前記チェック機能は、前記遅延確認機能において利用者が出庫予約の遅延を選択した場合に他の利用者の出庫予約との重複の有無を判定する機能である。
【0026】
前記代替時間提示機能は、前記チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する機能である。
【0027】
前記時間設定機能は、前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する機能である。
【0028】
尚、前記出庫予約実行前確認通知は、機械式駐車装置の出庫動作開始N分前に前記移動体通信端末10に送信されるようになっている。例えば、図3に示す如く、出庫予約時間がH時12分であった場合、出庫動作は出庫予約時間からK分(図3の例では5分)前に開始されるようになっており、出庫動作開始時間から更にN分(図3の例では5分)前に出庫予約実行前確認通知が前記移動体通信端末10に送信されるようになっている。但し、K分、N分は、5分に限らず、機械式駐車装置に応じて適宜変更し得ることは言うまでもない。
【0029】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0030】
先ず、通知機能により、管理パーソナルコンピュータ20から管理サーバ40を介して移動体通信端末10に出庫予約実行前確認通知が、通常のメール或いはプッシュ通知として送信される(図2のステップS10参照)。例えば、図3に示す如く、出庫予約時間がH時12分であって、出庫動作が出庫予約時間からK分(図3の例では5分)前に開始されるようになっている場合、出庫動作開始時間から更にN分(図3の例では5分)前に出庫予約実行前確認通知が前記移動体通信端末10に送信される。即ち、図3の例では、H時2分に前記出庫予約実行前確認通知が移動体通信端末10に送信されることとなる。
【0031】
続いて、メールに添付されているリンクをタップするか、或いは専用アプリケーションを起動すると(図2のステップS20参照)、スヌーズ実施ページが表示される(図2のステップS30参照)。
【0032】
前記スヌーズ実施ページには、例えば、図4に示す如く、出庫予約に関する予約実行前確認として、車両名が表示されると共に、「H時12分に予約されています。」、「出庫予約時間を遅らせる場合、スヌーズボタンをタップして下さい。」、「予約を取り消す場合、取消ボタンをタップして下さい。」といったメッセージが表示される。
【0033】
前記通知機能による出庫予約実行前確認通知の送信後、遅延確認機能において、利用者は出庫予約の遅延の有無を選択する(図2のステップS40参照)。スヌーズを実施したい場合、図4(a)に示す如く、利用者はスヌーズボタンをタップする(図2のステップS50参照)。スヌーズを実施しない場合、図4(a)に示されるHomeボタンをタップすれば、既に予約されているH時12分に出庫が行われる。
【0034】
前記利用者がスヌーズボタンをタップすると、管理パーソナルコンピュータ20により出庫予約時間をT分(例えば、5分)だけ遅延した時間が算出される(図2のステップS60参照)。
【0035】
この後、T分だけ遅延された出庫予約時間が他の利用者の出庫予約と重複しているか否かの判定がチェック機能により行われる(図2のステップS70参照)。出庫予約の重複がある場合、出庫予約時間を他の利用者の出庫予約より後に再設定する操作が行われる(図2のステップS80参照)。出庫予約の重複がない場合、T分だけ遅延された出庫予約時間がそのまま採用される。
【0036】
再設定された出庫予約時間(或いはT分だけ遅延された出庫予約時間)は、代替時間提示機能により、図4(b)に示す如く、「予約をスヌーズした場合はH時○○分となります。スヌーズしますか?」というメッセージとして提示され(図2のステップS90参照)、利用者による入力待ちの状態となる(図2のステップS100参照)。
【0037】
前記代替時間提示機能において提示された時間を利用者が受け入れる場合、図4(b)に示す如く、「はい」をタップすると、時間設定機能により出庫予約の時間が変更され(図2のステップS110参照)、図4(c)に示す如く、「スヌーズを受け付けました。」というメッセージが表示される。利用者は「OK」をタップすれば良い。
【0038】
本実施例の場合、特に車両の出庫に関し、利用者の都合により既に予約されている時間より数分程度出庫を遅らせたいような状況で、出庫予約時間を遅延させるのに一旦出庫予約自体の取り消しを行う必要はなく、新たに出庫予約を行う必要もなくなり、手間と時間が掛からず効率も良くなる。
【0039】
こうして、出庫予約の変更を容易に行うことができ、利用者の利便性を向上し得る。
【0040】
そして、本実施例の場合、前記遅延確認機能において利用者が出庫予約の遅延を選択した場合に他の利用者の出庫予約との重複の有無を判定するチェック機能を備えている。このように構成すると、他の利用者の出庫予約を考慮した上で、出庫を円滑に進めることができる。
【0041】
又、前記チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する代替時間提示機能を備えている。このように構成すると、出庫の遅延に関して利用者の選択肢を広げることができる。
【0042】
更に又、前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する時間設定機能を備えている。このように構成すると、利用者の意向に沿って出庫予約の時間を変更することができる。
【0043】
尚、本発明の機械式駐車装置の出庫予約変更システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 移動体通信端末
20 管理パーソナルコンピュータ
30 制御装置
40 管理サーバ
50 ハブ
60 出庫用予約表示装置
70 入庫用予約表示装置
80 ルータ
図1
図2
図3
図4