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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20241209BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241209BHJP
【FI】
H04N23/63
H04N23/60 500
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020084135
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021010160
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2019123133
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大輪 寧司
(72)【発明者】
【氏名】石川 拓海
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 和紀
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 稔
(72)【発明者】
【氏名】大森 勇司
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130598(JP,A)
【文献】特開2006-157347(JP,A)
【文献】特開2018-006827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/40-23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させるとともに、前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記静止画の撮影における露光時間の長さに基づいて、前記繰り返し表示する画像の輝度を低下させ、
前記制御手段は、前記静止画の撮影における前記露光時間の長さが増加すると、前記輝度の低下量が増加するように、前記輝度の低下量を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像素子と、
前記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させるとともに、前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御する制御手段と、を有する撮像装置であって、
前記制御手段は、前記繰り返し表示する画像の輝度を低下させ、
前記制御手段は、静止画の撮影によって更新できないライブビュー表示のフレーム数、静止画の撮影によってライブビュー表示を更新できない期間の長さ、および静止画の撮影における露光時間の長さのいずれか一つに加え、表示する画像から得られる情報、表示する画像の種類、静止画撮影モード、前記撮像装置の動きのいずれか一つを考慮して前記輝度の低下量を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記表示する画像から得られる情報が画像全体もしくは主被写体の輝度であり、前記制御手段は、前記輝度が増加すると、前記輝度の低下量が増加するように、前記輝度の低下量を決定することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記表示する画像から得られる情報が主被写体の動き量であり、前記制御手段は、前記動き量が増加すると、前記輝度の低下量が増加するように、前記輝度の低下量を決定することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示する画像の種類が、前記表示する画像が静止画撮影で得られた画像から生成された画像か、動画の撮影で得られた画像から生成された画像であり、前記制御手段は、前記表示する画像が動画の撮影で得られた画像から生成された画像である場合、静止画撮影で得られた画像から生成された画像である場合よりも、前記輝度の低下量が大きくなるように、前記輝度の低下量を決定することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記静止画撮影モードが、連写速度の異なる複数の静止画撮影モードを含み、前記制御手段は、第1の静止画撮影モードよりも連写速度が高い第2の静止画撮影モードについて前記輝度の低下量が増加するように、前記輝度の低下量を決定することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記撮像装置の動きが増加すると、前記輝度の低下量が増加するように、前記輝度の低下量を決定することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記撮像装置の動きが所定の一定時間継続して閾値を超える場合に、前記繰り返し表示する画像の輝度を低下させることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記撮像装置の動きが所定の一定時間継続して第1の閾値を超えると、前記繰り返し表示する画像の輝度を低下させることを開始し、前記撮像装置の動きが所定の一定時間継続して前記第1の閾値より小さい第2の閾値を下回ると、前記繰り返し表示する画像の輝度を低下させることを終了する、特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像装置の動きが、前記撮像装置の角速度であることを特徴とする請求項およびからのいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像素子と、
前記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させるとともに、前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記静止画の撮影における露光時間の長さに基づいて、前記繰り返し表示する画像に特定の色を有する調整画像を合成することにより、前記繰り返し表示する画像の色合いを変化させ
前記制御手段は、前記静止画の撮影における前記露光時間の長さに基づいて、前記特定の色および/または前記調整画像の合成比率を決定し、
前記制御手段は、前記静止画の撮影における前記露光時間の長さが増加すると前記調整画像の合成比率が増加するように、前記調整画像の合成比率を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
撮像素子と、
前記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させるとともに、前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御する制御手段と、を有する撮像装置であって、
前記制御手段は、前記繰り返し表示する画像に特定の色を有する調整画像を合成することにより、前記繰り返し表示する画像の色合いを変化させ、
前記制御手段は、前記静止画の撮影における露光時間の長さに基づいて、前記特定の色および/または前記調整画像の合成比率を決定し、
前記制御手段は、さらに、表示する画像から得られる情報、表示する画像の種類、静止画撮影モード、前記撮像装置の動きを考慮して前記調整画像の合成比率を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
前記表示する画像から得られる情報が画像全体もしくは主被写体の輝度であり、前記制御手段は、前記輝度が増加すると前記調整画像の合成比率が増加するように、前記調整画像の合成比率を決定することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記表示する画像から得られる情報が主被写体の動き量であり、前記制御手段は、前記動き量が増加すると前記調整画像の合成比率が増加するように、前記調整画像の合成比率を決定することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記表示する画像の種類が、前記表示する画像が静止画撮影で得られた画像から生成された画像か、動画の撮影で得られた画像から生成された画像であり、前記制御手段は、前記表示する画像が動画の撮影で得られた画像から生成された画像である場合、静止画撮影で得られた画像から生成された画像である場合よりも前記調整画像の合成比率が大きくなるように、前記調整画像の合成比率を決定することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記静止画撮影モードが、連写速度の異なる複数の静止画撮影モードを含み、前記制御手段は、第1の静止画撮影モードよりも連写速度が高い第2の静止画撮影モードについて前記調整画像の合成比率が増加するように、前記調整画像の合成比率を決定することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記撮像装置の動きが増加すると前記調整画像の合成比率が増加するように、前記調整画像の合成比率を決定することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記特定の色が、黒色もしくは無彩色であり、前記無彩色である場合には、前記静止画の撮影における前記露光時間の長さに基づく明るさを有することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記特定の色が、黒色もしくは無彩色であり、前記無彩色である場合には、画像全体もしくは主被写体の輝度、主被写体の動き量、前記表示する画像が静止画撮影で得られた画像から生成された画像か動画の撮影で得られた画像か、および静止画撮影モードのいずれかと、に基づく明るさを有することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項20】
撮像素子を有する撮像装置が実行する制御方法であって、
記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合
前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させることと
前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御することと、を有し、
前記制御することは、
前記静止画の撮影における露光時間の長さに基づいて、前記繰り返し表示する画像の輝度を低下させることと
前記静止画の撮影における前記露光時間の長さが増加すると、前記輝度の低下量が増加するように、前記輝度の低下量を決定することと、
を含むことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項21】
撮像素子を有する撮像装置が実行する制御方法であって、
前記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、
前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させることと、
前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御することと、
前記繰り返し表示する画像の輝度を低下させることと、を有し
前記輝度を低下させることは、静止画の撮影によって更新できないライブビュー表示のフレーム数、静止画の撮影によってライブビュー表示を更新できない期間の長さ、および静止画の撮影における露光時間の長さのいずれか一つに加え、表示する画像から得られる情報、表示する画像の種類、静止画撮影モード、前記撮像装置の動きのいずれか一つを考慮して前記輝度の低下量を決定することを含む、ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項22】
撮像素子を有する撮像装置が実行する制御方法であって、
前記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、
前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させることと、
前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御することと、を有し、
前記制御することは、
前記静止画の撮影における露光時間の長さに基づいて、前記繰り返し表示する画像に特定の色を有する調整画像を合成することにより、前記繰り返し表示する画像の色合いを変化させることと、
前記静止画の撮影における前記露光時間の長さに基づいて、前記特定の色および/または前記調整画像の合成比率を決定することと、
前記静止画の撮影における前記露光時間の長さが増加すると前記調整画像の合成比率が増加するように、前記調整画像の合成比率を決定することと、を含む、
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項23】
撮像素子を有する撮像装置が実行する制御方法であって、
前記撮像素子による動画の撮影と、該撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、
前記撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させることと、
前記静止画の撮影によって前記ライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御することと、を有し、
前記制御することは、
前記繰り返し表示する画像に特定の色を有する調整画像を合成することにより、前記繰り返し表示する画像の色合いを変化させることと、
前記静止画の撮影における露光時間の長さに基づいて、前記特定の色および/または前記調整画像の合成比率を決定することと、
さらに、表示する画像から得られる情報、表示する画像の種類、静止画撮影モード、前記撮像装置の動きを考慮して前記調整画像の合成比率を決定することと、を含む、
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項24】
撮像装置が有するコンピュータを、請求項1から19のいずれか1項に記載の撮像装置の制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子を用いる撮像装置には、ライブビュー(以下LVと表記)表示機能を有するものがある。ライブビュー表示機能は、撮影と表示とを高速に、かつ継続的に実行することにより、ユーザが現在の撮影範囲を確認することを可能にする機能である。LV表示は、撮像装置の筐体の背面やファインダー内に設けられる表示装置で行われる。LV表示に用いる画像(LV用画像)は、解像度(画素数)などが記録用の静止画と異なる。そのため、撮像素子の駆動制御(駆動モードともいう)は、表示用の動画(LV用画像)を撮影する場合と、記録用の静止画を撮影する場合とで異なる。以下、便宜上、LV用画像を撮影する場合の駆動モードを動画モード、記録用の静止画を撮影する場合の駆動制御を静止画モードと呼ぶ。動画モードと静止画モードとの切り替えには切り替え動作が必要である。
【0003】
例えば、LV用画像と記録用画像とを同じ撮像素子で撮影する構成において、静止画撮影にLV表示を行う場合を考える。LV画像の更新間隔は一定であることが望ましいが、静止画の撮影開始タイミングや露光時間によっては、静止画駆動の期間が予定されていた表示用駆動の期間と重複することがある。
【0004】
静止画撮影を優先し、LV画像の撮影をスキップする場合、直前に撮影したLV画像を繰り返し表示するか、LV画像の代わりに黒画像を表示(ブラックアウト)する。特許文献1では、LV表示期間以外に黒画像を表示する構成において、LV画像の表示輝度を通常よりも高くすることで、黒画像の間に表示されるLV画像が暗く感じられることを改善することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018―006827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、LV画像が撮影できない場合に黒画像を表示する構成では、黒画像とLV画像の輝度差が大きいため、視認性が低下したり、目が疲れやすくなったりする。この問題は、特許文献1のようにLV画像を通常よりも高い輝度で表示すると、さらに大きくなる。また、黒画像の代わりに過去のLV画像を繰り返し表示した場合、LV表示における移動被写体の動きが不自然になる。
【0007】
本発明はこのような従来技術の課題を緩和するためになされたものである。本発明は、静止画撮影によってLV画像の撮影が行えない場合でも、視認性の低下を抑制しつつ、滑らかなLV表示が可能な撮像装置およびその制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、撮像素子と、撮像素子による動画の撮影と、撮影で得られた動画の表示とによってライブビュー表示を実行している際に静止画の撮影指示が検出された場合、撮像素子に静止画の撮影を優先して実行させるとともに、静止画の撮影によってライブビュー表示の更新ができない期間については同一の画像を繰り返し表示するように制御する制御手段と、を有し、制御手段は、静止画の撮影における露光時間の長さに基づいて、繰り返し表示する画像の輝度を低下させ、制御手段は、静止画の撮影における露光時間の長さが増加すると、輝度の低下量が増加するように、輝度の低下量を決定することを特徴とする撮像装置によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、静止画撮影によってLV画像の撮影が行えない場合でも、視認性の低下を抑制しつつ、滑らかなLV表示が可能な撮像装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る撮像装置の機能構成例を示すブロック図
図2】第1実施形態における動画撮影中の静止画撮影時の動作に関するタイミングチャート
図3】第1実施形態におけるLV画像の輝度調整動作に関するフローチャート
図4】第2実施形態におけるLV画像の輝度調整動作に関するフローチャート
図5】第3実施形態におけるLV画像の輝度調整動作に関するフローチャート
図6】実施形態に係る撮像装置の別の機能構成例を示すブロック図
図7】第4実施形態におけるLV画像の調整動作に関するフローチャート
図8】第5実施形態におけるLV画像の調整動作に関するフローチャート
図9】第6実施形態におけるLV画像の調整動作に関するフローチャート
図10】第7実施形態におけるLV画像の調整動作に関するフローチャート
図11】第8実施形態におけるLV画像の調整動作に関するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定しない。また、実施形態には複数の特徴が記載されているが、その全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
以下の実施形態では本発明をデジタルカメラのような撮像装置に適用した例について説明する。しかし、本発明は1つの撮像センサを用いて動画撮影中に静止画撮影可能な撮像機能を有する任意の電子機器に対して適用可能である。このような電子機器には、ビデオカメラ、コンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤ、PDAなど)、携帯電話機、スマートフォン、ゲーム機、ロボット、ドローン、ドライブレコーダが含まれる。これらは例示であり、本発明は他の電子機器にも適用可能である。
【0013】
●(第1実施形態)
図1は本発明に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラ1の機能構成例を示すブロック図である。
撮像素子100は例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサであり、光電変換部を有する画素が複数配列されている。撮像素子100は、撮像レンズ120が撮像面に形成する光学像を複数の画素で電気信号に変換し、複数の画素データから構成される画像データを生成する。撮像素子100が生成した画像データは、データ転送部105を介して一時記憶部(バッファメモリ)107に書き込まれる。
【0014】
画像処理部101は、動画データおよび静止画データに予め定められた画像処理を適用し、表示用や記録用の画像データ(ライブビュー画像データ、記録用および表示用の静止画データ)を生成する。画像処理部101は、一時記憶部107に記憶された画像データに対してさまざまな画像処理を適用する。静止画の撮影が画像データに適用する画像処理には、前処理、色補間処理、補正処理、データ加工処理などが含まれる。前処理には、ノイズ低減、信号増幅、基準レベル調整、欠陥画素補正などが含まれる。色補間処理は、画素から読み出した画像データに含まれていない色成分の値を補間する処理であり、デモザイク処理とも呼ばれる。補正処理には、ホワイトバランス調整、画像の輝度を補正する処理、撮像レンズ120の光学系の収差を補正する処理、色を補正する処理などが含まれる。データ加工処理には、スケーリング処理、符号化および復号処理、ヘッダ情報生成処理などが含まれる。なお、これらは静止画の撮影が実施可能な画像処理の例示であり、画像処理部101が実施する画像処理を限定するものではない。画像処理部101は、生成した画像データを一時記憶部107に書き込む。LV画像データを生成した場合、画像処理部101はデータ転送部105を介して表示部102に出力する。
【0015】
なお、画像処理部101は、生成したLV画像データに対して検出処理や評価値算出処理を適用してもよい。検出処理は、特徴領域(たとえば顔領域や人体領域)やその動きの検出、人物の認識処理などである。また、評価値算出処理は、位相差AF(自動焦点検出)用の1対の像信号、コントラストAF用の評価値、自動露出制御(AE)に用いる評価値など、制御部104の動作に用いる評価値を算出する処理である。なお、これらは画像処理部101が実施可能な画像処理の例示であり、画像処理部101が実施する画像処理を限定するものではない。
【0016】
表示部102は、データ転送部105を介して一時記憶部107からLV画像データを受け取る。表示部102は、LV画像データに対し、表示デバイス103に表示するための加工処理を必要に応じて適用する。加工処理には例えば表示デバイスの表示画面とLV画像のアスペクト比が異なる場合の縁部の処理(レターボックス処理など)がある。また、撮影時間などの補助情報を合成する処理、OSD画像などのGUI画像の合成や、信号形式の変換なども加工処理に含まれる。
【0017】
表示部102は、必要な加工処理を適用したLV画像データを、表示デバイス103に出力する。表示デバイス103は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイである。LV画像データ(動画データを)表示する表示デバイス103は、電子ビューファインダー(EVF)として機能する。
【0018】
撮影指示部111は、ユーザが静止画撮影の指示をデジタルカメラ1に与えるための入力部材である。撮影指示部111はデジタルカメラ1に設けられたレリーズボタンでもよいし、リモコンなど他の入力部材であってもよい。撮影指示部111を通じたユーザ指示は制御部104によって検出される。
【0019】
制御部104は、CPUを有し、例えばROM113に記憶されたプログラムをRAM112に読み込んで実行する。なお、CPUの代わりにプログラマブルプロセッサであるFPGA(field-programmable gate array)を用いてもよい。制御部104は、各機能ブロックの動作を制御することにより、デジタルカメラ1の機能を実現する。ROM113は例えば書き換え可能な不揮発性メモリであり、制御部104のCPUが実行可能なプログラム、設定値、GUIデータなどを記憶する。RAM112は、制御部104のCPUが実行するプログラムを読み込んだり、プログラムの実行中に必要な値を保存したりするために用いられる。後述する、撮像素子100からの読み出し動作の制御も制御部104が主体となって行う。また、制御部104はシステムタイマーを含み、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する。
【0020】
データ転送部105は例えば複数のDMA(Direct Memory Access)コントローラ(DMAC)で構成される。各種の画像データは、DMACにより、バス106を介して一時記憶部107に一時記憶される。また、一時記憶部107に記憶された画像データは、DMACによってバス106に読み出され、データ転送部105に接続されている各部へ供給される。
【0021】
また、データ転送部105は、撮像素子100が動画データ(ここでは表示用のLV画像データ)の撮影および読み出しに用いる垂直同期信号(撮像表示V同期信号)110を生成し、撮像素子100に供給する。例えば、動画のフレームレートが60フレーム/秒の場合、データ転送部105は1/60秒周期の撮像表示V同期信号を生成する。
【0022】
動画の撮影中に静止画撮影の指示が検出された場合、制御部104はデータ転送部105による撮像表示V同期信号の生成を一時停止させてから、撮像素子100の読み出しモードを動画読み出しモードから静止画読み出しモードに切り替える。そして制御部104は、静止画の撮影タイミングに応じた同期信号(静止画同期信号)を生成して撮像素子100に供給する。
【0023】
制御部104は、1フレーム分の静止画撮影が終了すると、撮像素子100の読み出しモードを静止画読み出しモードから動画読み出しモードに切り替える。そして、制御部104は、データ転送部105に撮像表示V同期信号110の生成を再開させる。
【0024】
バス106は、例えば独立したシステムバスとデータバスとを有する。バス106に接続された機能ブロックは、双方向の通信が可能である。
一時記憶部107は、メモリ制御部とメモリから構成され、制御部104またはデータ転送部105の指示に応じて、メモリにデータを書き込んだり、メモリからデータを読み出して出力する。一時記憶部107は、動画データや静止画データのバッファとしても用いられる。
【0025】
記録部108は、画像処理部101が生成した記録用の静止画データや動画データを、制御部104の制御に従ってメモリカードなどの記録媒体に記録する。また、記録部108は、制御部104の制御に従って、記録媒体に記録された画像データを読み出して出力する。制御部104は、読み出した画像データを一時記憶部107に記憶する。
【0026】
本実施形態のデジタルカメラは、電源スイッチによって起動されると、撮影スタンバイ状態になる。撮影スタンバイ状態で制御部104はLV表示を継続的に実行し、静止画または動画の撮影指示が操作部109を通じて入力されるのを待機する。撮影スタンバイ状態において制御部104は、画像処理部101から得られる評価値に基づく露出制御や焦点調節などを実行することができる。撮影スタンバイ状態で静止画の撮影指示が入力されると、制御部104は静止画の撮影処理を開始する。撮影で得られた静止画のデータは画像処理部101による処理のあと、一時記憶部107に格納される。
【0027】
また、静止画の撮影指示の継続入力を制御部104は静止画の連写指示と認識し、撮影指示の入力が終了するか、連写枚数が予め定められた上限に達するまで、繰り返し静止画の撮影処理を実行する。なお、静止画の撮影指示の継続入力を静止画の連写処理と認識するのは、モード選択ダイヤルにより連写モードが設定されている場合だけであってもよい。
【0028】
静止画の撮影指示の入力が終了すると、制御部104は一時記憶部107に格納されていた静止画データを所定形式のデータファイルに含めてメモリカードや記録部108などに記録する。撮影スタンバイ状態において静止画の撮影指示が入力されてから、実際に静止画撮影が開始されるまでの時間をレリーズタイム(またはレリーズタイムラグ)と呼ぶ。また、制御部104は、静止画の連写時における、連続する2回の撮影タイミングの間隔を、連写間隔と呼ぶ。
【0029】
図2は、本実施形態のデジタルカメラにおける、静止画連写とライブビュー表示(LV表示)の動作に関するタイミングチャートであり、右方向に時間が経過している。図2(a)と図2(b)とは、静止画撮影時の露光時間が異なる。
【0030】
図2は、ライブビュー表示(動画表示)を行いながら静止画撮影を行う場合の撮影ならびに表示動作のタイミング制御を模式的に示した図である。横軸が時間軸であり、図面左から右方向に時間が進む。ここでは、静止画撮影の指示が連続的に入力される連写撮影の場合を示している。
【0031】
撮像表示V同期(信号)は、撮像素子100からLV画像の露光およびデータ読み出しを開始するタイミングを示す垂直同期信号の出力タイミングを示している。上述の通り、垂直同期信号は、LV画像(動画)のフレームレートに応じた周期で出力される。
【0032】
静止画同期(信号)は、撮像素子100で静止画データを読み出すタイミングを示す信号である。制御部104は、撮影指示部111から静止画撮影の指示が入力されている間、所定のタイミングで静止画同期信号を生成する。本実施形態では、最初に静止画撮影の指示を検出すると、制御部104は一定時間(レリーズタイム)T0後に静止画同期信号を出力する。その後、静止画撮影の指示が連続して入力されている場合、制御部104は予め定められた連写間隔T1で静止画同期信号を出力する。
【0033】
センサ出力画像は、撮像素子100において撮像および画像データ(LV画像データ、静止画データ)の読み出しが行われる期間と、LV画像(動画)読み出しと静止画読み出しとを切り替える期間(読み出しモード切り替え期間)を示している。表示1~表示9がLV画像の撮像および読み出し期間(動画駆動期間または第1の駆動期間)、静止画1~静止画2が静止画の撮像および読み出し期間(静止画駆動期間または第2の駆動期間)を示す。また、201および202は撮像素子100の駆動モード切り替え期間を示す。201はLV画像(動画)取得用の駆動モード(動画モード)から静止画取得用の駆動モード(静止画モード)への切り替え期間、202は静止画モードから動画モードへの切り替え期間を示す。撮像素子100の駆動モードの切り替えは、例えば制御部104が撮像素子100の設定を変更することによって行う。
【0034】
表示用の動画であるLV画像と、記録用の静止画とは、解像度や露光時間が異なる。特に、LV画像の解像度は静止画データの解像度より低いため、読み出す画像データの量が少ない。また、図2の例では、静止画の露光時間T2が動画の露光時間より長い。そのため、動画駆動期間は静止画駆動期間よりも短い。なお、表示1~表示9のうち、表示5、8で示す動画駆動期間には実際にはLV画像データの読み出しが行われないため、斜線が付されている。
【0035】
画像処理は、画像処理部101における画像処理期間を示す。表示1、2、3、4、6、7、9、静止画1、2は、処理の対象となるセンサ出力画像を示している。画像処理期間は、撮像素子100から読み出された画像データが一時記憶部107を介して画像処理部101に供給され、画像処理後に再び一時記憶部107に記憶されるまでの期間である。
【0036】
LV画像に関しては、1画面分の画像データが全て一時記憶部107に記憶されるのを待たずに画像処理部101への供給が開始される。一方、静止画に関しては、撮像素子100から読み出された1画面分の静止画データが一時記憶部107に全て記憶されてから画像処理部101への供給が開始される。ただし、これは必須でなく、LV画像と同様、撮像素子100から一時記憶部107への記憶動作と、一時記憶部107から画像処理部101への供給動作とを並行して実施してもよい。なお、データ転送部105は、一時記憶部107に記憶された画像データのみを画像処理部101に供給する。一時記憶部107に記憶されずに画像処理部101に供給される画像データはない。
【0037】
表示V同期は、表示デバイス103の垂直同期信号である。なお、撮像表示V同期に対する表示V同期の遅れを短くすることにより、LV表示のリアルタイム性が向上する。
【0038】
表示は、表示デバイス103における表示期間と、表示される画像を示している。なお、表示4、表示7がそれぞれ2フレーム連続で出力されているのは、表示5、8に対応するLV画像データが生成されないからである。
【0039】
次に図2(b)について説明する。静止画の露光時間T2が図2(a)では撮像表示V同期、表示V同期の1周期以内に収まっていたのに対して、図2(b)では2周期にまたがる程度に長い点で異なる。静止画の露光時間T2が長くなった影響により、静止画1の画像処理期間が203から213に遅れている。この結果、図2(b)では表示6を表示することができず、表示4を3フレーム連続して表示することになる。このように、静止画の露光時間によって、LV画像の連続表示フレーム数が変化する。
【0040】
図2では、静止画の露光時間T2が撮像表示V同期、表示V同期の1周期以内に収まる場合と、2周期にまたがる場合について例示した。しかし、静止画の露光時間T2がさらに長くなると、LV画像の連続表示フレーム数が4以上に増加する。
【0041】
図3は、同一のLV画像が2フレーム以上連続して表示される場合の輝度調整動作に関するフローチャートである。LV画像の輝度調整は画像処理部101でLV画像を生成する際に行ってもよいし、表示部102においてLV画像を加工する際に行ってもよい。図3に示す動作は、制御部104が実行する。
【0042】
図3(a)は、LV表示を更新できない期間について、繰り返し表示するLV画像の輝度調整を行う動作に関するフローチャートである。制御部104は、例えば静止画の撮影動作を開始するごとに、本動作を繰り返し実行する。
【0043】
S301で制御部104は、LV画像の更新が可能か否かを判定する。例えば制御部104は、現在表示中のLV画像より後に撮影されたLV画像について、画像処理部101における画像処理、もしくは表示部102における加工処理が予め定めた段階まで完了していれば、LV画像の更新が可能と判定してもよい。あるいは、制御部104は、静止画撮影の露光期間もしくは静止画データの画像処理期間が次の表示V同期のタイミングと重複している場合には、LV画像の更新が不能と判定することができる。なお、判定方法に特に制限は無く、他の任意の方法を採用しうる。制御部104は、現在表示中のLV画像より新しいLV画像が表示可能であると判定されればS302へ、判定されなければS303へ、処理を進める。
【0044】
S302で制御部104は、新たなLV画像を表示部102を通じて表示デバイス103に表示させる。これは、撮影スタンバイ状態におけるLV画像の更新処理と同様である。なお、本実施形態において制御部104は、静止画撮影が開始された後にLV画像が更新できる状態になったことをもって(1フレーム分の)静止画撮影が終了したと判定し、LV画像の輝度調整動作を終了する。しかし、静止画データの撮像素子100からの読み出し完了など、他の条件に基づいて(1フレーム分の)静止画撮影が終了したと判定してもよい。
【0045】
S303で制御部104は、連続表示するLV画像を輝度調整する。本実施形態では、同一のLV画像について、1回目の表示については輝度調整せず、連続表示(2回目以降の表示)については1回目よりも低い輝度で表示されるようにする。例えば、ここでは元画像(輝度を調整していないLV画像)の画素値(RGB値または輝度値)に対して所定のGain(例えば1未満かつ0より大きい下限値以上の係数)を乗算することにより、輝度を調整する。前述の通り、輝度の調整は画像処理部101で行っても、表示部102で行ってもよい。例えば元画像データ(直近のLV画像データ)が表示部102に保持されている場合や、画像処理部101が処理を提供した後の画像データが一時記憶部107に保持されている場合には、表示部102で輝度調整を行えばよい。制御部104は、画像処理部101または表示部102に対して、次に表示するLV画像に対する輝度調整(低下)の実行を指示する。Gainの値は制御部104が指定してもよいし、画像処理部101または表示部102が保持もしくは決定してもよい。
【0046】
S304で、制御部104は、次の表示V同期から輝度調整したLV画像が表示されるように、表示部102を制御する。そして、制御部104は処理をS301に戻し、LV画像の更新が可能と判定されるまで、S303およびS304の処理を繰り返し実行する。なお、図3(a)の例では、元画像に対する輝度の低下量は連続表示フレーム数によらず一定である。そのため、直近のLV画像データが表示部102に保持されている場合など、既に輝度調整済みのLV画像データが存在する場合には、S303の処理をスキップしてもよい。
【0047】
一方、図3(b)~図3(d)は、元画像に対して適用するゲインを動的に変更する例を示している。制御部104は、図3(b)~図3(d)のいずれかの動作を、図3(a)のS303の動作に代えて実行することができる。
【0048】
図3(b)のS311で、制御部104は、静止画撮影によってLV画像の更新ができず、直近のLV画像が連続表示されるフレーム数(回数)N(N≧1)を取得する。ここで、2回目の表示がN=1に相当する。制御部104は、例えば静止画撮影が開始されてからの表示V同期の回数をNとして得ることができるが、他の方法で取得してもよい。
【0049】
S312で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-An×NとしてGainの値を決定するものとする。Anは固定係数であり、例えば、予め定められたNの最大数に基づいて、Gainの値が下限値以上1未満の値になるようにAnの値を決定することができる。または、An×Nの実値が1を超えた場合には1未満の最大値とするようにしてもよい。Gainの値は、Nが大きいほど小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。したがって、同一LV画像の連続表示回数が増加するほど、元画像より暗くなるような輝度調整が行われる。なお、Gainの下限値は0より大きい任意の値であってよいが、例えば0.2~0.3程度とすることができる。下限値は予め実験的に定めることができる。
【0050】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0051】
図3(c)のS321で、制御部104は、静止画撮影によってLV画像の更新ができず、直近のLV画像が連続表示される期間Tc[msec]を取得する。制御部104は、例えば静止画撮影を開始してから発生する最初の表示V同期からの経過時間を計測することにより、期間Tcを取得することができるが、他の方法で取得してもよい。
【0052】
S322で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-Ac×TcとしてGainの値を決定するものとする。Acは固定係数であり、例えば、予め定められたTcの最大数に基づいて、Gainの値が下限値以上1未満の値になるようにAcの値を決定することができる。または、Ac×Tcの実値が1を超えた場合には1未満の最大値とするようにしてもよい。Gainの値は、Tcが長い(大きい)ほど小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。したがって、静止画撮影によってLV画像の更新ができない時間が長くなるほど、元画像より暗くなるような輝度調整が行われる。
【0053】
S323で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0054】
図3(d)のS331で、制御部104は、静止画撮影の露光時間Ts[sec]を取得する。制御部104は、例えば露光開始からの時間を測定することにより露光時間Tsを取得することができるが、他の方法で取得してもよい。
【0055】
S332で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-As×TsとしてGainの値を決定するものとする。Asは固定係数であり、例えば、予め定められたTsの最大数に基づいて、Gainの値が下限値以上1未満の値になるようにAsの値を決定することができる。または、As×Tsの実値が1を超えた場合には1未満の最大値とするようにしてもよい。また、1-As×TsがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Gainの値は、露光時間Tsが長いほど小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。また、したがって、静止画撮影の露光時間Tsが長くなるほど、元画像より暗くなるような輝度調整が行われる。
【0056】
S323で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0057】
なお、図3(b)~図3(d)で説明した動作におけるGainの値は、1フレーム分の静止画撮影が開始されてから終了するまでの期間で固定であってもよい。この場合、図3(b)のS311および図3(c)のS321において制御部104は、例えば静止画撮影の露光時間と、想定される画像処理期間と、表示V同期のタイミングと、表示周期とに基づいてNおよびTcをそれぞれ取得することができる。また、図3(d)のS331では露出条件として決定されているシャッタースピードの逆数として得られる露光時間Tsを用いればよい。
【0058】
図3を用いて説明したように、本実施形態のデジタルカメラは、静止画撮影によってLV表示の更新ができない期間について、黒画像ではなく直近のLV画像を繰り返し表示する。そのため、黒画像を表示する場合のようなLV画像の大きな輝度変化がない。さらに、繰り返し表示するLV画像の輝度を、本来の輝度よりも低下させることで、次にLV画像が更新された際の移動被写体の状態の差が目立ちにくくなる。そのため、LV画像の更新停止中や更新再開時におけるLV表示の視認性を改善することができる。
【0059】
●(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、元画像の輝度調整に用いるGainの値を、LV画像の連続表示フレーム数Nに加え、表示するLV画像から得られる情報などの他の情報を考慮して決定する。
【0060】
図4(a)~図4(f)は本実施形態にしたがってGainの値を決定する動作に関するフローチャートである。図4(a)~図4(f)において図3(b)と同様の処理を行うステップには同じ参照数字を付してある。
【0061】
図4(a)は、LV画像の輝度情報を考慮してGainの値を決定する例を示している。S311で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S402で制御部104は、連続表示するLV画像(輝度補正前)の全体に関する輝度Yを取得する。輝度Yは、画像処理部101から露出制御用の評価値として得られる輝度情報であってよい。輝度Yは例えば画像全体の平均輝度とすることができる。また、輝度Yは画像全体の輝度ヒストグラムのような情報であってもよい。この場合、制御部104は、予め定められた方法で、輝度ヒストグラムからGain値の決定に反映させる輝度情報を生成することができる。輝度Yが取り得る値の範囲は0から255といったものでもよいし、0から1に正規化されてもよい。
【0062】
S403で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-An×N×By×YとしてGainの値を決定するものとする。Anは固定係数であり、例えば、予め定められたNの最大数に基づいて、An×Nの値が0より大きく1未満の値になるようにAnの値を決定することができる。または、An×Nの実値が1を超えた場合には1未満の最大値とするようにしてもよい。また、Byは固定係数であり、例えば、予め定められた輝度Yの最大値に基づいて、By×Yの値が0より大きく1以下の値になるようにByの値を決定することができる。または、By×Yの実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。なお、1-An×N×By×YがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Nが大きいほど、また輝度Yが大きいほど、Gainの値は小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。
【0063】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0064】
図4(b)は、LV画像の輝度情報を考慮してGainの値を決定する別の例を示している。S311で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S412で制御部104は、連続表示するLV画像(輝度補正前)の主被写体領域に関する輝度Ytを取得する。輝度Ytは、画像処理部101から露出制御用の評価値として得られる輝度情報であってよい。輝度Ytは例えばLV画像で検出された主被写体領域(顔領域や人体領域など、予め定められた特徴に合致する領域)の平均輝度とすることができる。また、輝度Ytは主被写体領域の輝度ヒストグラムのような情報であってもよい。この場合、制御部104は、予め定められた方法で、輝度ヒストグラムからGain値の決定に反映させる輝度情報を生成することができる。輝度Ytが取り得る値の範囲は0から255といったものでもよいし、0から1に正規化されてもよい。
【0065】
S413で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-An×N×Bt×YtとしてGainの値を決定するものとする。Anについては図4(a)の場合と同様である。また、Btは固定係数であり、例えば、予め定められた輝度Ytの最大値に基づいて、Bt×Ytの値が0より大きく1以下の値になるようにBtの値を決定することができる。または、Bt×Ytの最大値を1とし、実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。なお、1-An×N×Bt×YtがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Nが大きいほど、また輝度Ytが大きいほど、Gainの値は小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。
【0066】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0067】
図4(c)は、主被写体の動きを考慮してGainの値を決定する例を示している。S311で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S422で制御部104は、連続表示するLV画像(輝度補正前)の主被写体領域に関する動き量Vtを取得する。ここで、動き量Vtは、連続表示するLV画像と、その1つ前のLV画像とで検出された主被写体領域の位置変化であり、画像処理部101で求めることができる。そのため、制御部104は画像処理部101から主被写体の動き量Vtを取得できる。
【0068】
S423で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-An×N×Bv×VtとしてGainの値を決定するものとする。Anについては図4(a)の場合と同様である。また、Bvは固定係数であり、例えば、予め定められた動き量Vtの最大値に基づいて、Bv×Vtの値が0より大きく1以下の値になるようにBvの値を決定することができる。または、Bv×Vtの最大値を1とし、実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。なお、1-An×N×Bv×VtがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Nが大きいほど、また動き量Vtが大きいほど、Gainの値は小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。
【0069】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0070】
図4(d)は、静止画から生成したLV画像を表示することが可能な場合における、Gainの値を決定する動作に関して示している。例えば、静止画撮影によってLV画像の撮影が行えない場合、静止画撮影で得られた静止画からLV画像を生成することが考えられる。この場合、一時記憶部107に格納されている静止画データから、画像処理部101または表示部102がLV画像(元画像)を生成する。
【0071】
S311で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S432で制御部104は、表示するLV画像の種類を判定する。具体的には、制御部104は、表示するLV画像が静止画から生成されたものか否かを判定する。なお、(動画モードで撮像された)直近のLV画像を繰り返し表示するか、それよりも後に撮影された静止画から生成したLV画像を表示するかは、予め定められた条件にしたがって制御部104が決定することができる。制御部104は例えば静止画データに対する画像処理が所定割合以上完了していれば、静止画から生成したLV画像を表示し、完了していなければ(動画モードで撮像された)直近のLV画像を表示すると決定することができる。
【0072】
そして、制御部104は、Gainの値を決定する際に用いる係数Bsの値を決定する。ここでは、制御部104は、静止画から生成されたLV画像を表示する場合の係数Bsを0<Bs<1の範囲で予め定めた固定値とし、静止画から生成されていない(動画モードで撮像された)LV画像を表示する場合には係数Bs=1とする。
【0073】
S433で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-An×N×BsとしてGainの値を決定するものとする。Anについては図4(a)の場合と同様である。なお、1-An×N×BsがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Nが大きいほどGainの値は小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。また、表示するLV画像が静止画から生成される場合よりも、動画モードで撮影されたLV画像を繰り返し表示する場合には、さらにGainの値が小さくなる。これは、LV画像の生成に使用する静止画が、動画モードで撮影されたLV画像よりも後に撮影されているためである。
【0074】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0075】
図4(e)は、静止画撮影モードを考慮してGainの値を決定する例を示している。ここでは、静止画撮影モードが、1枚撮影(単写)、低速連写、高速連写のいずれかであるものとする。S311で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。
【0076】
S442で制御部104は、設定されている静止画撮影モードを例えばRAM112から取得する。また、静止画撮影モードごとの係数Gmは、例えばテーブルとしてROM113に予め記憶されている。制御部104は、ROM113に記憶されたテーブルから、現在の静止画撮影モードに対応するGmの値を取得する。係数Gmは0より大きく1以下の値であり、単写を最低速の連写と見なした場合、連写速度の低下に対し、係数Gmの値は変わらないか小さくなるように定められている。ここでは一例として、1枚撮影では係数Gm=0.4、低速連写では係数Gm=0.6、高速連写では係数Gm=0.8であるものとする。
【0077】
S443で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-An×N×GmとしてGainの値を決定するものとする。Anについては図4(a)の場合と同様である。なお、1-An×N×GmがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Nが大きいほど、また連写速度が高いほど、Gainの値は小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。
【0078】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
【0079】
図4(f)は、デジタルカメラ1の動きを考慮してGainの値を決定する例を示している。図6は、デジタルカメラ1の動きを測定する動き測定部114をデジタルカメラ1に設けた構成を示すブロック図であり、図1と同じ構成には同じ参照数字を付してある。
動き測定部114はデジタルカメラ1の動きを示す信号を制御部104に出力する。動き測定部114は例えばデジタルカメラ1の動きとして角速度の大きさを測定するジャイロセンサであってよい。なお、動き測定部114は手ブレ補正用に設けられた動きセンサあってもよい。
【0080】
S311で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S452で制御部104は、デジタルカメラ1の動きとして角速度Ωm[deg/sec]を示す信号を動き測定部114から取得する。角速度Ωmの更新は、LV画像の更新のタイミングで実行される。なお、動き測定部114が複数の回転軸について角速度を出力する場合、制御部104は複数の角速度から所定の方法で1つの代表角速度を求める。例えば代表角速度は複数の角速度のうち最大のものであってもよいし、複数の角速度の平均値や合計値であってもよい。動き測定部114が複数の回転軸について角速度を出力する場合、以下における角速度Ωmは代表角速度を意味するものとする。
【0081】
S453で制御部104は、元画像に適用するGainの値を決定する。ここでは、制御部104が、Gain=1-An×N×Bp×ΩmとしてGainの値を決定するものとする。Anについては図4(a)の場合と同様である。また、Bpは固定係数であり、例えば、予め定められた角速度Ωmのとりうる値の範囲において、Bp×Ωmの値が0より大きく1以下の値になるようにBpの値を決定することができる。あるいは、Bp×Ωmが上限値1を超える場合には値を1に補正(クリップ)してもよい。なお、1-An×N×Bp×ΩmがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Nが大きいほど、あるいは角速度Ωmが大きいほど、Gainの値は小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。
【0082】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
なお、ここでは動き測定部114を用いてデジタルカメラ1の動きを測定するものとしたが、LV画像からデジタルカメラ1の動きを測定してもよい。例えば、S412で主被写体領域の動きを検出するのと同様にして画像全体の動きを検出し、デジタルカメラ1の動きとして用いてもよい。
【0083】
また、ここでは第1実施形態の図3(b)に示した動作について、他の情報を考慮してGainの値を決定する場合を図4(a)~(f)で説明した。しかし、本実施形態の構成は、図3(c)および図3(d)の構成と組み合わせても実施可能である。
【0084】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、他の情報を考慮してGainの値を決定することで、よりきめ細かな輝度調整を行うことができる。そのため、視認性の向上により効果的な輝度調整を実現することができる。
【0085】
●(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、連続表示フレーム数が増加するにつれて輝度の低下量を変化させる構成であり、第1および第2実施形態の構成(連続表示中のLV画像の輝度が固定である構成)と組み合わせることができる。ここでは、第1実施形態の図3(b)と組み合わせた構成について説明する。図5において図3(b)と同様の処理を行うステップには同じ参照数字を付してある。
【0086】
S311で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。
S503で制御部104は、ループ回数Kを1に初期化する。
【0087】
S504で制御部104は、Gainの値を求める。ここでは、制御部104が、Gain=1-Ck×KとしてGainの値を決定するものとする。Ckは固定係数であり、例えば、予め定められたNの最大数に基づいて、Ck×Nの値が0より大きく1未満の値になるようにCkの値を決定することができる。または、Ck×Kの実値が1を超えた場合には1未満の最大値とするようにしてもよい。1-Ck×KがGainの下限値を下回る場合には、Gainを下限値とする。Kが大きいほど、Gainの値は小さくなる(輝度の低下量が大きくなる)。したがって、同一のLV画像が繰り返し表示される期間では、フレームごとに表示輝度が低下する。
【0088】
S313で制御部104は、図3(a)で説明したように、連続表示するLV画像を輝度調整する。
S506で制御部104は、KがNに等しくなったか否かを判定し、等しくなったと判定されれば処理を終了し、判定されなければ処理をS507に進める。S507で制御部104は、Kを1増加させて、処理をS504に戻す。このように、LV画像の繰り返し表示の回数がS311で取得したNになるまで、1フレームごとにLV画像の輝度が低減される。
【0089】
なお、ここでは第1実施形態の図3(b)に示した動作について、連続表示回数の増加にしたがってGainの値を変化させる構成について説明した。しかし、本実施形態の構成は、図3(c)および図3(d)の構成と組み合わせても実施可能である。この場合、期間Tcや露光時間Tsが複数のフレームにわたる場合、フレームごとに低下量を調整すれば良い。
【0090】
本実施形態によれば、第1および第2実施形態の効果に加え、同じLV画像が繰り返し表示されるごとに徐々にGainの値を変化(低減)させることで、よりきめ細かな輝度調整を行うことができる。そのため、視認性の向上により効果的な輝度調整を実現することができる。
【0091】
●(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、連続表示するLV画像を輝度を、デジタルカメラ1の動きを考慮して制御する構成であり、図6に示した、動き測定部114を有する構成のデジタルカメラ1において実施可能である。本実施形態では、デジタルカメラ1の動きとして、図4(f)(第2実施形態)で説明した角速度Ωm[deg/sec]を用いるものとする。
【0092】
図7は、本実施形態における、LV画像の輝度調整動作に関するフローチャートである。なお、図7においてS607で実行する画像輝度調整処理として、制御部104は図3(a)もしくは図5のフローチャートに示した処理のいずれかを実行することができる。この際、制御部104は、図3(a)とS303と図5のS313の動作として、図4(f)のフローチャートに示した動作を実行する。
【0093】
本実施形態は、基準角速度Ωp[deg/sec]を設定し、動き測定部114から基準値(値)を超える角速度Ωmが所定の一定時間継続して得られたことに応答してGainの値を決定する。基準角速度Ωpは0以上とし、ここでは一例として50[deg/sec]であるものとする。基準角速度Ωpは例えばROM113に記憶しておくことができる。
【0094】
S601で制御部104は、タイマの動作を開始させる。タイマは制御部104が内蔵するものであってもよいし、制御部104の外部に存在するものであってもよい。タイマは例えばデジタルカメラ1が用いるクロック信号のパルス数をカウントするカウンタであってよい。また、実際にはシステムクロックから現在の時刻を取得してRAM112に記憶する動作であってもよい。
【0095】
S602で制御部104は、動き測定部114から角速度Ωmを取得する。角速度Ωmの更新は、LV画像の更新のタイミングで実行される。
S603で制御部104は、取得した角速度Ωmが基準角速度Ωp(閾値)より大きいか否かを判定する。制御部104は、角速度Ωmが基準角速度Ωpより大きいと判定されればS605を、角速度Ωmが基準角速度Ωpより大きいと判定されなければS604を実行する。
【0096】
S604で制御部104は、タイマを初期化する。これにより、角速度Ωmが基準角速度Ωpより大きい期間の計測が終了する。その後、制御部104はS601を再度実行する。なお、タイマがフリーランカウンタの場合、制御部104はS604でカウンタの値を初期値(例えば0)にし、S602から再度実行してもよい。
【0097】
S605で制御部104はタイマによる計測時間Tを取得する。制御部1045は、タイマの種類により、カウント値、経過時間などを計測時間Tとして取得することができる。
【0098】
S606で制御部104は、計測時間Tが予め定められた基準時間T3より大きいか否かを判定する。制御部104は、計測時間Tが予め定められた基準時間T3より大きいと判定されればS607を、計測時間Tが予め定められた基準時間T3より大きいと判定されなければS602を実行する。基準時間T3は0以上とし、ここでは一例として500[msec]であるものとする。基準時間T3は例えばROM113に記憶しておくことができる。
【0099】
このように、本実施形態では、静止画の撮影中にデジタルカメラ1の一定以上の動きが一定時間継続したときに、LV画像の輝度を調整する。より具体的には、デジタルカメラ1がパンニングしながら静止画撮影していると考えられる場合に、LV画像の輝度を調整する。一方、パンニングしていない、通常の静止画撮影時にはLV画像の輝度を調整しない。これにより、動体の撮影中にのみ効果的な輝度調整を実施し、視認性の向上を実現することができる。
【0100】
なお、一般的にパンニングは一定方向への動きであることを考慮して、角速度の大きさに加え、動きの主方向が逆転しないことをタイマによる時間計測を継続する条件として追加してもよい。
【0101】
●(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は第4実施形態における基準角速度Ωpにヒステリシスを持たせたものである。図8は、本実施形態における、LV画像の輝度調整動作に関するフローチャートであり、図7と同様の処理を行うステップには同じ参照数字を付してある。
【0102】
本実施形態では2つの基準速度Ωq1(第1の閾値)および基準速度Ωq2(第2の値)を用いる。基準速度Ωq1は基準速度Ωq2より大きい。なお、基準速度Ωq1および基準速度Ωq2は予めROM113に記憶しておくことができる。
【0103】
制御部104はS602で角速度Ωmを取得したのち、S703を実行する。
S703で制御部104は、取得した角速度Ωmが基準角速度Ωq1より大きいか否かを判定する。制御部104は、角速度Ωmが基準角速度Ωq1より大きいと判定されればS605を、角速度Ωmが基準角速度Ωq1より大きいと判定されなければS604を実行する。
【0104】
制御部104はS605でタイマによる計測時間Tを取得し、S606で計測時間Tが基準時間T3より大きいか否かを判定する。制御部104は、計測時間Tが基準時間T3より大きいと判定されればS707を、計測時間Tが基準時間T3より大きいと判定されなければS601を実行する。
【0105】
S707で制御部104は、角速度Ωmが基準角速度Ωq2より大きいか否かを判定する。制御部104は、角速度Ωmが基準角速度Ωq2より大きいと判定されればS711を、角速度Ωmが基準角速度Ωq2より大きいと判定されなければS709を実行する。
【0106】
S709およびS710で制御部104は、S605およびS606と同様にタイマによる計測時間Tが基準時間T3より大きいか否かを判定する。制御部104は、計測時間Tが基準時間T3より大きいと判定されればS601を、計測時間Tが基準時間T3より大きいと判定されなければS607を実行する。
【0107】
一方、S711で制御部104はS604と同様にタイマを初期化し、その後S607を実行する。
S607でLV画像の輝度を調整した後、制御部104はS712を実行し、S602と同様に動き測定部114から角速度Ωmを取得する。その後、制御部104はS707を実行する。
【0108】
基準角速度が1つの場合、デジタルカメラ1の動きが基準角速度付近で遷移した場合、輝度調整されたLV画像と輝度調整されないLV画像が頻繁に入れ替わることが起こりうる。この場合、LV画像の視認性が低下する恐れがある。
【0109】
本実施形態では、大きさの異なる2つの基準角速度を用い、LV画像の輝度調整を行う条件を満たした場合には、より小さな基準角速度を用いて輝度調整の継続要否を判定するようにした。そのため、輝度調整が一旦行われた後、基準角速度が1つの場合よりも輝度調整が中止されづらくなり、デジタルカメラ1の動きが最初に用いる(大きい方の)基準角速度付近で遷移した場合における視認性の低下を抑制することができる。
【0110】
●(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、図1に示したデジタルカメラ1で実施可能であるため、デジタルカメラ1の構成に関する説明は省略する。図9は、本実施形態におけるLV画像の輝度調整動作に関するフローチャートである。第6~第8実施形態は、静止画撮影によってLV画像を更新できない期間に繰り返し表示されるLV画像に特定色の画像を合成することにより、LV画像の明るさおよび/または色合いを調整する。特定色が無彩色の場合には、LV画像の輝度を調整することと実質的に等しい。
【0111】
図9(a)に示すフローチャートは、LV表示を更新できるか否かによってLV画像の明るさおよび/または色合い調整を行う場合の動作を示している。制御部104は、静止画の撮影動作の開始とともにこの動作を実行する。図9(a)において、第1実施形態と同一の動作を行うステップについては図3(a)と同じ参照番号を付してある。
【0112】
S301で制御部104は、LV画像の更新が可能か否かを判定し、更新可能と判定されればS302を、判定されなければS903へ、処理を進める。例えば制御部104は表示V同期のタイミングで、現在表示中のLV画像より後に撮影されたLV画像について画像処理部101における画像処理もしくは表示部102における加工処理が予め定めた段階まで完了していれば、LV画像の更新が可能と判定できる。
【0113】
S302で制御部104は、新たなLV画像を表示部102を通じて表示デバイス103に表示させる。
【0114】
S903で制御部104は、連続表示するLV画像の明るさおよび/または色合いを調整する。本実施形態では連続表示するLV画像(元画像)データと、特定の色(合成色Iとする)を有する調整画像データとを合成した合成LV画像データを表示することにより、連続表示されるLV画像の明るさおよび/または色合いを調整する。調整画像データは、合成色Iの画素のみから構成される、LV画像データと同じ解像度(画素数)の画像であってよい。
【0115】
合成LV画像データを生成する際の調整画像データの合成比率α(0<α<1)は、固定値であってもよいし、何らかの条件に基づいて動的に決定される値であってもよい。同様に、合成色Iは固定(例えば黒色)であっても、何らかの条件に基づいて動的に決定されてもよい。合成色Iは無彩色であっても有彩色であってもよい。
【0116】
S904で制御部104は、次の表示V同期から明るさおよび/または色合いが調整されたLV画像が表示されるように、表示部102を制御する。そして、制御部104は処理をS301に戻し、LV画像の更新が可能と判定されるまで、S903およびS904の処理を繰り返し実行する。
【0117】
なお、図9(a)の例では、合成比率αは同一元画像を連続表示する回数(連続表示フレーム数)によらず一定である。一方、図9(b)~図9(d)は、合成比率αおよび合成色Iを、動的に決定する例を示している。制御部104は、図9(b)~図9(d)のいずれかの動作を、図9(a)のS903の動作に代えて実行することができる。
【0118】
図9(b)のフローチャートは、合成比率αおよび合成色Iを、LV表示が更新されないフレーム数に応じて決定する例を示している。
S911で制御部104は、静止画撮影によってLV画像の更新ができず、直近のLV画像(元画像)を連続して表示する回数(フレーム数)Nを取得する。制御部104は、例えば、撮影前に決定された静止画の露出時間と、静止画の画像処理に要するであろう時間などに基づいて、回数N(以下、連続表示フレーム数Nという)を求めることができるが、他の方法を用いて取得してもよい。
【0119】
S912で制御部104は、合成色Iと、合成色Iの画像の合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104は、合成色I=Yn×(1-An×N)、合成比率α=An×Nとして決定するものとする。Anは固定係数であり、合成比率α=An×Nが0より大きく、1以下となるようなAnを用いる。例えば、Nが最大値のときに特定の合成比率α(≦1)となるようにAnを決定することができる。あるいは、An×Nが1を超える場合にはAn×N=1としてもよい。
【0120】
ここでは、合成色Iについても合成比率α(=An×N)に応じた無彩色としている、黒色などの固定色としてもよい。Ynは所定の基準輝度値である。合成色Iは、Nが大きいほど基準輝度値Ynに近い輝度を有する無彩色となる。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を連続表示フレーム数Nに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方を固定としてもよい。
【0121】
S913で制御部104は、S912で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、直近に用いたLV画像データ(元画像データ)に対して合成色Iを有する画像を合成比率αに従って合成し、更新用のLV画像データを生成する。より具体的には、画像処理部101または表示部102は、
更新用の画像データ=元画像データ×(1-α)+合成色Iの画像×α
として更新用の画像データを生成する。
【0122】
例えば、合成色Iが黒色の場合、元画像データを(1-α)、黒色画像データをαの比率で合成するため、元画像を全体的に暗くした画像のデータが更新用の画像データとして生成され、また表示される。つまり、合成色Iが黒色の場合、連続表示フレーム数Nが大きいほど、連続して表示されるLV画像が暗く表示される。また合成色Iがフレーム数Nに基づく場合、連続して表示されるLV画像は、元画像よりも合成色Iの画像に近い色合いで表示される。つまり、LV画像の連続表示フレーム数Nが大きいほど、LV画像の色合いは合成色Iに近くなる。
【0123】
図9(c)のフローチャートは、合成比率αおよび合成色Iを、LV表示が更新されない期間の長さに応じて決定する例を示している。S921で、制御部104は、静止画撮影によってLV画像の更新ができず、直近のLV画像が連続表示される期間Tc[msec]を取得する。制御部104は、例えば図9(a)のS911で説明した連続表示フレーム数Nにフレーム周期を乗じることにより期間Tcを取得することができるが、他の方法で取得してもよい。
【0124】
S922で制御部104は、合成色Iと、合成色Iの画像の合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104は、合成色I=Yc×(1-Ac×Tc)、合成比率α=Ac×Tcとして決定するものとする。Acは固定係数であり、合成比率α=Ac×Tcが0より大きく、1以下となるようなAcを用いる。例えば、Tcが最大値のときに特定の合成比率α(≦1)となるようにAcを決定することができる。あるいは、Ac×Tcが1を超える場合にはAc×Tc=1としてもよい。
【0125】
ここでは、合成色Iについても合成比率α(=Ac×Tc)に応じた無彩色としている、黒色などの固定色としてもよい。Ycは所定の基準輝度値である。合成色Iは、Tcが大きいほど基準輝度値Ycに近い輝度を有する無彩色となる。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を期間Tcに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方を固定としてもよい。
【0126】
S913における動作は先に説明した通りである。例えば合成色Iが黒色の場合、期間Tcが長いほど、連続して表示されるLV画像が暗く表示される。また合成色Iが期間Tcに基づく場合、連続して表示されるLV画像は、元画像よりも合成色Iの画像に近い色合いで表示される。つまり、直近のLV画像が連続表示される期間(あるいはLV画像が更新されない期間)Tcが長いほど、LV画像の色合いは合成色Iに近くなる。
【0127】
図9(d)のフローチャートは、合成比率αおよび合成色Iを、静止画の露光時間Tsの長さに応じて決定する例を示している。S931で、制御部104は、静止画撮影の露光時間Ts[sec]を取得する。制御部104は、例えば静止画撮影の開始前に決定された露出条件に基づいて露光時間Tsを取得することができるが、他の方法で取得してもよい。
【0128】
S932で制御部104は、合成色Iと、合成色Iの画像の合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104は、合成色I=Ys×(1-As×Ts)、合成比率α=As×Tsとして決定するものとする。Asは固定係数であり、合成比率α=As×Tsが0より大きく、1以下となるようなAsを用いる。例えば、Tsが最大値のときに特定の合成比率α(≦1)となるようにAsを決定することができる。あるいは、As×Tsが1を超える場合にはAs×Ts=1としてもよい。
【0129】
ここでは、合成色Iについても合成比率α(=As×Ts)に応じた無彩色としている、黒色などの固定色としてもよい。Ysは所定の基準輝度値である。合成色Iは、Tsが大きいほど基準輝度値Ysに近い輝度を有する無彩色となる。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を露光時間Tsに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方を固定としてもよい。
【0130】
S913における動作は先に説明した通りである。例えば合成色Iが黒色の場合、露光時間Tsが長いほど、連続して表示されるLV画像が暗く表示される。また合成色Iが露光時間Tsに基づく場合、連続して表示されるLV画像は、元画像よりも合成色Iの画像に近い色合いで表示される。つまり、静止画撮影の露光時間Tsが長いほど、LV画像の色合いは合成色Iに近くなる。
【0131】
図9(b)~図9(d)のフローチャートに示した動作は、図9(a)のS903に変えて実行するものとして説明した。この場合、表示V同期ごとにLV画像の調整が実行される。一方、図9(b)~図9(d)のフローチャートに示した動作を、静止画撮影指示に応じて実行してもよい。この場合、LV画像が更新可能な場合に対応するため、合成比率αの下限値は0とする。
【0132】
以上、図9で説明したように連続LV表示するフレーム画像の明るさおよび/または色合いを調整することで、被写体の動きが不自然になることも、完全なブラックアウト表示も回避できる。そのため、静止画撮影によってLV画像が更新できない期間において、視認性のよい滑らかなライブビュー表示が可能となる。
【0133】
●(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態は、LV画像の連続表示フレーム数Nに加え、表示するLV画像から得られる情報などの他の情報を考慮して合成色Iと、合成色Iの画像の合成比率αとを決定する。
【0134】
図10(a)~図10(f)は本実施形態にしたがって合成色Iと合成比率αとを決定する動作に関するフローチャートである。ここでは一例として、連続表示フレーム数Nと他の情報とに基づいて合成色Iと合成比率αとを決定する構成について説明する。なお、図10(a)~図10(f)において図9(b)と同様の処理を行うステップには同じ参照数字を付してある。
【0135】
図10(a)~図10(f)に示す動作は、図9(b)に示した動作と同様に、図9(a)のS903に代えて実行することができる。本実施形態に従って決定された合成色Iと合成比率αに基づく合成LV画像の生成は、画像処理部101または表示部102のいずれで行ってもよい。
【0136】
図10(a)は、LV画像の輝度情報を考慮して合成色Iと合成比率αとを決定する例を示している。S911で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S1002で制御部104は、例えば第2実施形態におけるS402と同様にして、連続表示するLV画像(輝度補正前)の全体に関する輝度Yを取得する。
【0137】
S1003で制御部104は、元画像に適用する合成色Iと合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104が、合成色I=Y×(1-An×N)、合成比率α=An×N×By×Yとして合成色Iと合成比率αとを決定するものとする。Anは固定係数であり、例えば、予め定められたNの最大数に基づいて、An×Nの値が0より大きく1以下の値になるようにAnの値を決定することができる。または、An×Nの実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。また、Byは固定係数であり、例えば、予め定められた輝度Yの最大値に基づいて、By×Yの値が0より大きく1以下の値になるようにByの値を決定することができる。または、By×Yの実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。
【0138】
この場合、合成比率αは輝度Yが高いほど、またNが大きいほど大きくなる。また、合成色Iは、輝度Yが高いほど明るく、かつ連続表示フレーム数Nが大きいほど輝度Yよりも暗い無彩色となる。なお、ここでは合成色Iを輝度Yと連続表示フレーム数Nに応じた無彩色としているが、黒色などの固定色としてもよい。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を輝度Yに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方は輝度Yに依存しない(連続表示フレーム数Nのみに依存する)ようにしてもよい。
【0139】
S913で制御部104は、S912で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、直近に用いたLV画像データ(元画像データ)に対して合成色Iを有する画像を合成比率αに従って合成し、更新用のLV画像データを生成する。より具体的には、画像処理部101または表示部102は、
更新用の画像データ=元画像データ×(1-α)+合成色Iの画像×α
として更新用の画像データを生成する。
【0140】
更新用の画像データは、元画像データよりも合成色Iの画像データに近い画像データとなる。合成比率αは輝度Yが高いほど大きくなるため、元画像の輝度Yが大きいほど、繰り返し表示されるLV画像は合成色Iの無彩色画像に近い画像となる。
【0141】
図10(b)は、LV画像の輝度情報を考慮して合成色Iと合成比率αとを決定する別の例を示している。S911で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S1012で制御部104は、例えば第2実施形態におけるS412と同様にして、連続表示するLV画像(輝度補正前)の主被写体領域に関する輝度Ytを取得する。
【0142】
S1013で制御部104は、元画像に適用する合成色Iと合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104が、合成色I=Yt×(1-An×N)、合成比率α=An×N×Bt×Ytとして合成色Iと合成比率αとを決定するものとする。Anについては図10(a)の場合と同様である。また、Btは固定係数であり、例えば、予め定められた輝度Ytの最大値に基づいて、Bt×Ytの値が0より大きく1以下の値になるようにBtの値を決定することができる。または、Bt×Ytの最大値を1とし、実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。
【0143】
この場合、合成比率αは輝度Ytが高いほど、またNが大きいほど大きくなる。また、合成色Iは、輝度Ytが高いほど明るく、かつ連続表示フレーム数Nが大きいほど輝度Ytよりも暗い無彩色となる。なお、ここでは合成色Iを輝度Ytと連続表示フレーム数Nに応じた無彩色としているが、黒色などの固定色としてもよい。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を輝度Ytに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方は輝度Ytに依存しない(連続表示フレーム数Nのみに依存する)ようにしてもよい。
【0144】
S913で制御部104は、S912で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、上述したようにして更新用の画像データを生成する。
【0145】
更新用の画像データは、元画像データよりも合成色Iの画像データに近い画像データとなる。合成比率αは輝度Ytが高いほど大きくなるため、元画像の主被写体領域の輝度Ytが大きいほど、繰り返し表示されるLV画像は合成色Iの無彩色画像に近い画像となる。
【0146】
図10(c)は、主被写体の動きを考慮して合成色Iと合成比率αとを決定する例を示している。S911で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S1022で制御部104は、例えば第2実施形態におけるS422と同様にして、連続表示するLV画像(明るさおよび/または色合いの調整前)の主被写体領域に関する動き量Vtを取得する。
【0147】
S1023で制御部104は、元画像に適用する合成色Iと合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104が、合成色I=Yv(1-An×N×Bv×Vt)、合成比率α=An×N×Bv×Vtとして合成色Iと合成比率αとを決定するものとする。ここで、Yvは予め定められた基準輝度値である。Anについては図10(a)の場合と同様である。また、Bvは固定係数であり、例えば、予め定められた動き量Vtの最大値に基づいて、Bv×Vtの値が0より大きく1以下の値になるようにBvの値を決定することができる。または、Bv×Vtの最大値を1とし、実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。
【0148】
この場合、合成比率αは動きVtが大きいほど、またNが大きいほど大きくなる。また、合成色Iは、動きVtが大きいほど暗く、かつ連続表示フレーム数Nが大きいほど輝度Yvよりも暗い無彩色となる。なお、ここでは合成色Iを動きVtと連続表示フレーム数Nに応じた無彩色としているが、黒色などの固定色としてもよい。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を主被写体領域に関する動き量Vtに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方は動き量Vtに依存しない(連続表示フレーム数Nのみに依存する)ようにしてもよい。
【0149】
S913で制御部104は、S912で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、上述したようにして更新用の画像データを生成する。
【0150】
更新用の画像データは、元画像データよりも合成色Iの画像データに近い画像データとなる。合成比率αは主被写体領域に関する動き量Vtが大きいほど大きくなるため、元画像の主被写体領域に関する動き量Vtが大きいほど、繰り返し表示されるLV画像は合成色Iの無彩色画像に近い画像となる。
【0151】
図10(d)は、静止画から生成したLV画像を表示することが可能な場合における、合成色Iと合成比率αとを決定する例を示している。例えば、静止画撮影によってLV画像の撮影が行えない場合、静止画撮影で得られた静止画からLV画像を生成することが考えられる。この場合、一時記憶部107に格納されている静止画データから、画像処理部101または表示部102がLV画像(元画像)を生成する。
【0152】
S911で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。そして、S1032で制御部104は、表示するLV画像の種類を判定する。具体的には、制御部104は、第2実施形態のS432と同様にして、表示するLV画像が静止画から生成されたものか否かを判定する。
【0153】
そして、制御部104は、合成色Iと合成比率αとを決定する際に用いる係数Bsの値を決定する。ここでは、制御部104は、静止画から生成されたLV画像を表示する場合の係数Bsを0<Bs<1の範囲で予め定めた固定値とし、静止画から生成されていない(動画モードで撮像された)LV画像を表示する場合には係数Bs=1とする。
【0154】
S1033で制御部104は、元画像に適用する合成色Iと合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104が、合成色I=Ybs(1-An×N×Bs)、合成比率α=An×N×Bsとして合成色Iと合成比率αとを決定するものとする。ここで、Ybsは予め定められた基準輝度値である。Anについては図10(a)の場合と同様である。
【0155】
この場合、合成比率αは表示するLV画像が静止画から生成される場合よりも、動画モードで撮影されたLV画像を繰り返し表示する場合の方が大きくなる。また、表示するLV画像が静止画から生成される場合よりも、動画モードで撮影されたLV画像を繰り返し表示する場合には、合成色Iがより暗い無彩色となる。これは、LV画像の生成に使用する静止画が、動画モードで撮影されたLV画像よりも後に撮影されているためである。なお、ここでは合成色Iを基準輝度値Ybsに基づく無彩色としているが、黒色などの固定色としてもよい。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を、表示するLV画像が静止画から生成されたか動画から生成されたかに応じた係数Bsに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方は係数Bsに依存しない(連続表示フレーム数Nのみに依存する)ようにしてもよい。
【0156】
S913で制御部104は、S912で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、上述したようにして更新用の画像データを生成する。
【0157】
更新用の画像データは、元画像データよりも合成色Iの画像データに近い画像データとなる。また、合成比率αはLV画像が動画から生成される場合の方が静止画から生成される場合よりも大きくなる。そのため、LV画像が動画から生成される場合の方が静止画から生成される場合よりも繰り返し表示されるLV画像は合成色Iの無彩色画像に近い画像となる。
【0158】
図10(e)は、静止画撮影モードを考慮して合成色Iと合成比率αとを決定する例を示している。ここでは、静止画撮影モードが、1枚撮影(単写)、低速連写、高速連写のいずれかであるものとする。S911で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。
【0159】
S1042で制御部104は、設定されている静止画撮影モードを例えばRAM112から取得する。また、静止画撮影モードごとの係数Gmは、例えばテーブルとしてROM113に予め記憶されている。ここでは第2実施形態と同様に、1枚撮影では係数Gm=0.4、低速連写では係数Gm=0.6、高速連写では係数Gm=0.8であるものとする。
【0160】
S1043で制御部104は、元画像に適用する合成色Iと合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104が、合成色I=Ym(1-An×N×Gm)、合成比率α=An×N×Gmとして合成色Iと合成比率αとを決定するものとする。ここで、Ymは予め定められた基準輝度値である。Anについては図10(a)の場合と同様である。
【0161】
この場合、合成比率αは係数Gmが大きいほど、すなわち連写速度が大きいほど大きくなる。また、係数Gmが大きいほど、すなわち連写速度が大きいほど、合成色Iがより暗い無彩色となる。なお、ここでは合成色Iを基準輝度値Ymに基づく無彩色としているが、黒色などの固定色としてもよい。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を、撮影モードに応じた係数Gmに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方は係数Gmに依存しない(連続表示フレーム数Nのみに依存する)ようにしてもよい。
【0162】
S913で制御部104は、S912で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、上述したようにして更新用の画像データを生成する。
【0163】
更新用の画像データは、元画像データよりも合成色Iの画像データに近い画像データとなる。また、合成比率αは係数Gmが大きいほど大きくなる。上述の例では撮影速度が速い撮影モードであるほど係数Gmが大きくなるため、繰り返し表示されるLV画像が合成色Iの無彩色画像に近い画像となる。なお、連写モード以外の撮影モードについても同様の方法で対応可能である。
【0164】
図10(f)は、デジタルカメラ1の動きを考慮して合成色Iと合成比率αとを決定する例を示している。S911で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。
【0165】
そして、S1052で制御部104は、デジタルカメラ1の動きとして角速度Ωm[deg/sec]を示す信号を例えば図6に示した動き測定部114から取得する。角速度Ωmの更新は、LV画像の更新のタイミングで実行される。なお、動き測定部114が複数の回転軸について角速度を出力する場合、制御部104は複数の角速度から所定の方法で1つの代表角速度を求める。例えば代表角速度は複数の角速度のうち最大のものであってもよいし、複数の角速度の平均値や合計値であってもよい。動き測定部114が複数の回転軸について角速度を出力する場合、以下における角速度Ωmは代表角速度を意味するものとする。
【0166】
S1053で制御部104は、元画像に適用する合成色Iと合成比率αとを決定する。ここでは、制御部104が、合成色I=Yv(1-An×N×Ωm)、合成比率α=An×N×Bp×Ωmとして合成色Iと合成比率αとを決定するものとする。ここで、Yvは予め定められた基準輝度値である。Anについては図10(a)の場合と同様である。また、Bpは固定係数であり、例えば、予め定められた角速度Ωmのとりうる値の範囲において、Bp×Ωmの値が0より大きく1以下の値になるようにBpの値を決定することができる。あるいは、Bp×Ωmが上限値1を超える場合には値を1に補正(クリップ)してもよい。
【0167】
この場合、合成比率αは角速度Ωmが大きいほど大きくなる。また、角速度Ωmが大きいほど、合成色Iがより暗い無彩色となる。なお、ここでは合成色Iを基準輝度値Yvに基づく無彩色としているが、黒色などの固定色としてもよい。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を、角速度Ωmに基づいて決定するものとしたが、いずれか一方は角速度Ωmに依存しない(連続表示フレーム数Nのみに依存する)ようにしてもよい。
【0168】
S913で制御部104は、S912で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、上述したようにして更新用の画像データを生成する。
【0169】
更新用の画像データは、元画像データよりも合成色Iの画像データに近い画像データとなる。また、合成比率αは角速度Ωmが大きいほど大きくなるため、角速度Ωmが大きいほど、繰り返し表示されるLV画像が合成色Iの無彩色画像に近い画像となる。
【0170】
なお、ここでは動き測定部114を用いてデジタルカメラ1の動きを測定するものとしたが、LV画像からデジタルカメラ1の動きを測定してもよい。例えば、S1012で主被写体領域の動きを検出するのと同様にして画像全体の動きを検出し、デジタルカメラ1の動きとして用いてもよい。
【0171】
また、ここでは第6実施形態の図9(b)に示した動作について、他の情報を考慮して合成色Iと合成比率αとを決定する場合を図10(a)~(f)で説明した。しかし、本実施形態の構成は、図9(c)および図9(d)の構成と組み合わせても実施可能である。
【0172】
本実施形態によれば、第6実施形態の効果に加え、他の情報を考慮して合成色Iと合成比率αとを決定する。そのため、繰り返し表示されるLV画像に対する明るさおよび/または色合いの調整をよりきめ細かく行うことができる。そのため、LV画像が更新されない期間のライブビュー表示の視認性をより向上させることができる。
【0173】
●(第8実施形態)
次に、本発明の第実施形態について説明する。本実施形態は、同一元画像に基づくLV画像の連続表示回数の増加とともにLV画像の明るさおよび/または色合いを変化させる構成である。本実施形態は、第6および第7実施形態の構成(連続表示中のLV画像の明るさおよび/または色合いが固定の構成)と組み合わせることができる。ここでは、第6実施形態の図9(b)の構成と組み合わせた場合について説明する。図11において図9(b)と同様の処理を行うステップには同じ参照数字を付してある。本実施形態に従って決定された合成色Iと合成比率αに基づく合成LV画像の生成は、画像処理部101または表示部102のいずれで行ってもよい。
【0174】
S911で制御部104はLV画像の連続表示フレーム数Nを取得する。
S1103で制御部104は、ループ回数Kを1に初期化する。
【0175】
S1104で制御部104は、合成色Iおよび合成比率αを決定する。ここでは、制御部104が、合成色I=Yk×(1-Ck×K)、合成比率α=Ck×Kとして合成色Iと合成比率αとを決定するものとする。ここで、Ykは予め定められた基準輝度値である。なお、ここでは合成色Iを基準輝度値Ykに基づく無彩色としているが、黒色などの固定色としてもよい。なお、合成色Iは有彩色であってもよい。
【0176】
Ckは固定係数であり、K=NのときのCk×Kの値(合成比率α)が0より大きく1以下の目標値になるようにCkの値を決定することができる。または、Ck×Kの実値が1を超えた場合には1とするようにしてもよい。KがNに近づくほど合成比率αは大きくなる。また、合成色Iは暗い無彩色となる。したがって、同一のLV画像が繰り返し表示される期間では、フレームごとにLV画像の明るさが減少する。ここでは合成比率α、合成色Iの両方を、同一の元画像に基づくLV画像が表示されるフレームごとに異ならせるものとしたが、いずれか一方は固定値としてもよい。
【0177】
S913で制御部104は、S1104で決定した合成色Iと合成比率αとを画像処理部101または表示部102に通知する。画像処理部101または表示部102は、上述したようにして更新用の画像データを生成する。
【0178】
S1105で制御部104は、ループ回数Kが、S911で取得した連続表示フレーム数Nに等しくなったか否かを判定し、等しくなったと判定されれば処理を終了し、判定されなければ処理をS1106に進める。S1106で制御部104は、ループ回数Kを1増加させて、S1104から再度実行する。このように、LV画像の繰り返し表示の回数がS911で取得したNになるまで、1フレームごとに異なる合成LV画像が表示される。
【0179】
なお、ここでは第6実施形態の図9(b)に示した動作について、連続表示回数の増加にしたがって合成比率αおよび/または合成色Iを変化させる構成について説明した。しかし、本実施形態の構成は、図9(c)および図9(d)の構成と組み合わせても実施可能である。この場合、期間Tcや露光時間Tsが複数のフレームにわたる場合、フレームごとに合成比率αおよび/または合成色Iを変化させればよい。
【0180】
本実施形態によれば、第6および第7実施形態の効果に加え、同じLV画像が繰り返し表示されるごとに、LV画像の明るさおよび/または色合いを徐々に変化させるようにした。そのため、LV画像が更新されない期間におけるライブビュー表示の変化をより滑らかに制御することができる。そのため、第6および第7実施形態よりもさらに高品質なライブビュー表示を実現することができる。
【0181】
(その他の実施形態)
上述の実施形態で説明したLV画像の輝度調整動作は、画像処理部101でLV画像を生成する際に実施してもよいし、表示部102においてLV画像を表示デバイス103に表示する際に実施してもよい。
【0182】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0183】
本発明は上述した実施形態の内容に制限されず、発明の精神および範囲から離脱することなく様々な変更及び変形が可能である。したがって、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0184】
100…センサ、101…画像処理部、102…表示部、103…表示デバイス、104…制御部、105…データ転送部、106…バス、107…一時記録部、108…記録部
図1
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図10
図11