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特許7599844空気清浄器具および空調吹出口の風向調整装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】空気清浄器具および空調吹出口の風向調整装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0073 20190101AFI20241209BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20241209BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
F24F1/0073
F24F1/0007 401D
F24F13/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020091345
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021188763
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】598112279
【氏名又は名称】佐伯 午郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 午郎
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-213805(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107642893(CN,A)
【文献】中国実用新案第208170675(CN,U)
【文献】国際公開第2019/102523(WO,A1)
【文献】特開2017-166817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0073
F24F 13/20
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機の吹出し口から吹出された空気の風向を調整する空気清浄器具であって、
前記吹出し口の前方に配置され、前記吹出し口から吹出される空気を受け、厚み方向に貫通する孔が複数設けられる面板部と、
前記面板部を前記吹出し口の前方に取り付ける取付部と、
前記孔の夫々を塞ぐように設けられる複数のフィルタと、を備え、
前記孔は、前記フィルタを取り外した状態においては、前記空気清浄器具を前記面板部の一方の面側と他方の面側の何れの側から見た場合であっても目視可能な状態で前記面板部に貫通形成されており、複数の孔の開口面積の総和が前記面板部の主面部の表面積の半分以上であり、
前記複数のフィルタには、空気を清浄可能な成分が加工される、
空気清浄器具。
【請求項2】
前記複数のフィルタのうちの少なくとも2つのフィルタの夫々には、空気を清浄可能な異なる成分が加工される、
請求項1に記載の空気清浄器具。
【請求項3】
前記フィルタに重ねられる枠状の紙を更に備え、
前記紙は、前記フィルタと重なる領域から外側に延出し、指で把持可能な把持部を有する、
請求項1又は2に記載の空気清浄器具。
【請求項4】
前記孔同士の距離は、所定の間隔を有する、
請求項1から3のうち何れか一項に記載の空気清浄器具。
【請求項5】
前記孔が設けられる前記面板部の領域の夫々を仕切る突部を更に備える、
請求項1から4のうち何れか一項に記載の空気清浄器具。
【請求項6】
空調機の吹出し口から吹出された空気の風向を調整する風向調整装置であって、
前記吹出し口の前方に配置され、前記吹出し口から吹出される空気を受け、厚み方向に貫通する孔であって空気を清浄可能な成分が加工されたフィルタによって塞がれる孔が複
数設けられる面板部と、
前記面板部を前記吹出し口の前方に取り付ける取付部と、を備え、
前記孔は、前記フィルタを取り外した状態においては、前記風向調整装置を前記面板部の一方の面側と他方の面側の何れの側から見た場合であっても目視可能な状態で前記面板部に貫通形成されており、複数の孔の開口面積の総和が前記面板部の主面部の表面積の半分以上である
空調吹出口の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気清浄器具および空調吹出口の風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機の吸い込み口にフィルタを装着する技術が開示されている(例えば特許文献1)。フィルタを装着する目的としては、例えば空調機から吹出される空気の清浄、除菌、抗菌、または消臭などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/097647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調対象空間の空気の清浄を向上させたい場合、種類の異なるフィルタを使用することが考えられる。これらのフィルタの取り付け位置としては、空調機の吸い込み口が考えられる。そして、吸い込み口に例えば種類の異なる複数のフィルタを切り貼りして並べることが考えられる。しかしながら種類の異なる複数のフィルタを吸い込み口に切り貼りして並べる場合、貼り付け作業が煩雑となる。また、空調機の吹出し口から吹出される吹出し空気が空調対象空間にいるユーザに直撃し、ユーザが不快感を覚えることも考えられる。また、吹出し空気の吹出し方向以外にはフィルタに加工された成分が届きにくいことも考えられる。
【0005】
本開示は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、空調対象空間の空気の清浄を簡易に向上させ、かつ空調機の吹出し空気がユーザに直接あたることを緩和可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち、本開示の一側面に係る空気清浄器具は、空調機において空気調和された空気が吹出される吹出し口の前方に配置され、前記吹出し口から吹出される空気を受け、厚み方向に貫通する孔が複数設けられる面板部と、前記面板部を前記吹出し口の前方に取り付ける取付部と、前記孔の夫々を塞ぐように設けられる複数のフィルタと、を備え、前記複数のフィルタには、空気を清浄可能な成分が加工される。
【0008】
ここで、空気を清浄可能な成分は、フィルタに捕捉された不純物の機能を抑制する成分を含む。また、フィルタを通過した空気に含まれる不純物の機能を抑制する成分を含む。また、空気を清浄可能な成分は、人間の精神に良い影響を与える成分を含む。
【0009】
当該構成によれば、複数のフィルタの夫々を通過した吹出し空気が空調対象空間に供給される。よって、空調対象空間の空気の清浄効果は増大する。
【0010】
また、当該構成によれば、面板部に設けられた孔をフィルタで塞ぐという簡易な構成で吹出し空気の清浄を向上させることができる。
【0011】
また、当該構成によれば、吹出し空気はフィルタを通過することでその速度が減速され
る。よって、空調機の吹出し空気がユーザに直接あたることは緩和される。よって、空調対象空間にいるユーザが強い風を受けることで感じる不快感は低減される。また、当該構成によれば、空調機が室内の上方に設置されている場合、空気よりも重い比重の成分がフィルタに加工されていると、当該成分は室内の下部へ沈降する。よって、当該成分は室内に好適に拡散される。
【0012】
また、当該構成によれば、吹出し空気の一部はフィルタを通過せずに面板部の面上に沿って進む。その後、この吹出し空気は空調対象空間に供給される。よって、空調機の吹出し空気がユーザに直接あたることを緩和される。よって、ユーザが直接吹出し空気を受けることで感じる不快感は低減される。また、吹出し空気の一部はフィルタを通過せずに面板部の面上に沿って進んだ後、室内に拡散される。よって、吹出し空気の吹出し方向以外にもフィルタに加工された成分が届けられる。
【0013】
上記一側面に係る空気清浄器具において、前記複数のフィルタのうちの少なくとも2つのフィルタの夫々には、空気を清浄可能な異なる成分が加工されてもよい。
【0014】
当該構成によれば、異なる清浄機能を有する複数のフィルタの夫々を通過した吹出し空気が空調対象空間に供給される。よって、空調対象空間の空気の清浄効果は増大する。
【0015】
上記一側面に係る空気清浄器具において、前記フィルタに重ねられる枠状の紙を更に備え、前記紙は、前記フィルタと重なる領域から外側に延出し、指で把持可能な把持部を有してもよい。
【0016】
当該構成によれば、把持部をつまんでフィルタを容易に取り外すことができる。よって、フィルタの設置・交換作業は容易である。
【0017】
また、当該構成によれば、可撓性のフィルタが枠状の紙に固定される。よって、フィルタと紙とが一体となった物の剛性はフィルタ単体の剛性よりも向上している。よって、フィルタの設置・交換作業においてフィルタが変形することは抑制される。よって、フィルタの設置・交換作業は容易となる。
【0018】
上記一側面に係る空気清浄器具において、前記孔同士の距離は、所定の間隔を有してもよい。
【0019】
当該構成によれば、フィルタの夫々を通過した吹出し空気が混合することは抑制される。よって、複数のフィルタの夫々に種類の異なる空気清浄機能を有する成分が加工される場合、空調対象空間に異なる清浄機能を提供することが可能となる。
【0020】
上記一側面に係る空気清浄器具において、前記孔が設けられる前記面板部の領域の夫々を仕切る突部を更に備えてもよい。
【0021】
吹出し口から吹出された吹出し空気の一部はフィルタを通過せずにフィルタ近傍で滞留する。よって、滞留空気には、フィルタに加工された成分が混合される。そして、このように成分を含んだ滞留空気は、突部により別のフィルタの成分を含んだ滞留空気と混合することは抑制される。そして、滞留空気は面板部上を通過して空調対象空間へ供給される。よって、複数のフィルタの夫々に種類の異なる空気清浄機能を有する成分が加工される場合、空調対象空間に異なる清浄機能を提供することが可能となる。
【0022】
また、当該構成によれば、突部が面板部と一体に形成される場合、面板部の平面度の低下は抑制される。よって、フィルタが設けられた紙と面板部との間を接着剤などで封止す
ることなく、フィルタが設けられた紙と面板部との間に隙間が生じることは抑制される。よって、吹出し空気がフィルタを通過せずに隙間から空調対象空間に漏れることは簡易に抑制される。よって、当該構成の清浄機能の低下は簡易に抑制される。また、フィルタが設けられた紙と面板部との間に接着剤を設けずに済むため、フィルタが設けられた紙を面板部上に簡易に設置・交換できる。
【0023】
また、当該構成によれば、フィルタを面板部に固定する場合に、突部を利用することができる。よって、フィルタの設置は容易となる。
【0024】
また、本開示の一側面に係る空調吹出口の風向調節装置は、空調機において空気調和された空気が吹出される吹出し口の前方に配置され、前記吹出し口から吹出される空気を受け、厚み方向に貫通する孔であって空気を清浄可能な成分が加工されたフィルタによって塞がれる孔が複数設けられる面板部と、前記面板部を前記吹出し口の前方に取り付ける取付部と、を備える。
【0025】
当該構成によれば、複数の孔がフィルタによって塞がれる場合、複数のフィルタの夫々を通過した吹出し空気が空調対象空間に供給される。よって、空調対象空間の空気の清浄効果は増大する。
【0026】
また、当該構成によれば、面板部に設けられた孔をフィルタで塞ぐという簡易な構成で吹出し空気の清浄を向上させることができる。
【0027】
また、当該構成によれば、複数の孔がフィルタによって塞がれる場合、吹出し空気はフィルタを通過することでその速度が減速される。よって、空調機の吹出し空気がユーザに直接あたることは緩和される。よって、空調対象空間にいるユーザが強い風を受けることで感じる不快感は低減される。また、当該構成によれば、空調機が室内の上方に設置されている場合、空気よりも重い比重の成分がフィルタに加工されていると、当該成分は室内の下部へ沈降する。よって、当該成分は室内に好適に拡散される。
【0028】
また、当該構成によれば、複数の孔がフィルタによって塞がれる場合、吹出し空気の一部はフィルタを通過せずに面板部の面上に沿って進む。その後、この吹出し空気は空調対象空間に供給される。よって、空調機の吹出し空気がユーザに直接あたることを緩和される。よって、ユーザが直接吹出し空気を受けることで感じる不快感は低減される。また、吹出し空気の一部はフィルタを通過せずに面板部の面上に沿って進んだ後、室内に拡散される。よって、吹出し空気の吹出し方向以外にもフィルタに加工された成分が届けられる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、空調対象空間の空気の清浄を簡易に向上させ、かつ空調機の吹出し空気がユーザに直接あたることを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施形態に係る空気清浄器具を空調機に設置した場合の概要図を示している。
図2図2は、空気清浄器具の分解斜視図の一例である。
図3図3は、リブの部分拡大図の一例である。
図4図4は、清浄プレートにフィルタが装着された状態の一例である。
図5図5は、第1変形例に係るプレートの概要を例示している。
図6図6は、第2変形例に係るプレートの概要を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本開示の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0032】
図1は、本実施形態に係る空気清浄器具1を空調機50に設置した場合の概要図を示している。なお、空調機50のタイプは、天井に埋め込むタイプを例示するが、壁に埋め込むタイプ、天井から吊り下げるタイプ、壁面に据え付けるタイプであってもよい。
【0033】
空気清浄器具1は、清浄プレート2(本開示の「面板部」の一例)と、清浄プレート2を空調機50の吹出し口51の前方に配置するアーム5と、を備える。このように清浄プレート2が配置されることで、清浄プレート2は吹出し口51から吹出される吹出し空気を受けることができる。また、清浄プレート2には、孔8が設けられており、孔8の吹出し口51側はフィルタ10A、10B、10C、10D(詳細は後述する)によって覆われている。なお、以降の説明においてフィルタ10A、10B、10C、10Dは、単にフィルタ10と呼ぶこともある。
【0034】
このような清浄プレート2に吹出し口51から吹出された空気が到達すると、吹出し空気の一部はフィルタ10A、10B、10C、10Dを通過する。そして、吹出し空気は、フィルタ10A、10B、10C、10Dにおいて清浄された後、室内へ拡散される。
【0035】
なお、アーム5の途中にはヒンジ3が設けられている。清浄プレート2は、ヒンジ3を中心として長軸方向の周りに回転可能である。よって、吹出し口51に対する清浄プレート2の角度は変更可能である。
【0036】
図2は、空気清浄器具1の分解斜視図の一例である。図2に示されるような清浄プレート2は、プラスチック又はその他の合成樹脂で形成されており、その全体形状は、ほぼ長方形で浅底の容器のような形状をしている。また、清浄プレート2は、その主面部13の一側縁を除き、長手方向の両端縁及び残りの一側縁が、主面部13に対し直角に立設された壁部14A、14Bを有する。また、清浄プレート2は、当該壁部14A、14Bが形成されていない一側縁に、主面部13に連続しかつ緩やかに湾曲する湾曲部15を有する。このような壁部14A、14Bが設けられることで、空調機50の吹出し口51から吹出された空気は、湾曲部15へ誘導される。
【0037】
また、清浄プレート2は、長手方向に所定の間隔を空けて孔8が設けられている。所定間隔は、例えば数センチ程度である。また、孔8の形状は、例えば矩形状であり、個数は四つである。また、複数の孔8の開口面積の総和は、主面部13の表面積の半分以上である。なお、複数の孔8の開口面積の総和は、主面部13の表面積の半分未満であってもよい。
【0038】
また、孔8同士の間には、主面部13の短手方向に延びるリブ6が設けられている。また、リブ6の途中にはリブ6と直交するリブ7が設けられている。このようなリブ6により、主面部13は長手方向において四つの領域に仕切られることになる。また、リブ6およびリブ7により清浄プレート2の全体の剛性や孔8同士の間の清浄プレート2の部分の剛性は向上する。よって、主面部13の平面度が低下することは抑制される。なお、リブ7は、壁部14Aにも設けられている。また、リブ6およびリブ7は、本開示の「突部」の一例である。なお、リブ6およびリブ7は清浄プレート2と一体に形成されているが、リブ6またはリブ7は、清浄プレート2とは別体の凸状の部材であってもよい。
【0039】
図3は、リブ7の部分拡大図の一例である。図3に示されるように、リブ7には、主面部13と接する部分の一部に切り欠き71が設けられている。切り欠き71の高さは、フィルタ10とプレート11(後述する)とが重なった物が挿し込み可能な程度の寸法である。
【0040】
また、空気清浄器具1は、フィルタ10A、10B、10C、10Dを備える。フィルタ10A、10B、10C、10Dは、例えば可燃性の不織布から形成され、孔8の夫々を覆う。
【0041】
フィルタ10A、10B、10C、10Dの夫々には、空気を清浄する異なる種類の成分が加工されている。空気を清浄する成分は、例えば消臭芳香機能を有するトドマツの粉体(本開示の「空気を清浄可能な成分」の一例)を含む。このような成分が加工されたフィルタ10によれば、二酸化窒素、VOC(Volatile Organic Com
pounds)の無害化、アンモニア臭の除去などの清浄効果を奏する。つまり、このよ
うなフィルタ10は、フィルタに捕捉された不純物の機能を抑制する。また、このようなフィルタ10は、フィルタを通過した空気に含まれる不純物の機能を抑制する。また、このようなフィルタ10は、人間の精神に良い影響を与える成分が加工されているといえる。
【0042】
また、フィルタ10A、10B、10C、10Dのうちの少なくとも一つは、トドマツに含まれる成分(本開示の「空気を清浄可能な成分」の一例)が含侵されてもよい。このようなフィルタ10によれば、ストレス軽減、花粉症対策、または森林浴などの効果を奏する。つまり、このようなフィルタ10は、フィルタに捕捉された不純物の機能を抑制する。また、このようなフィルタ10は、人間の精神に良い影響を与える成分を含む。なお、人間の精神に良い影響を与える成分は、トドマツに含まれる成分の他にアロマ等が例示される。
【0043】
また、空気を清浄する成分は、例えば酸化触媒機能を有する成分(本開示の「空気を清浄可能な成分」の一例)を含む。このような成分が加工されたフィルタ10によれば、防カビ、抗菌、またはアンモニア消臭などの清浄効果を奏する。つまり、このようなフィルタ10は、フィルタに捕捉された不純物の機能を抑制する。また、このようなフィルタ10は、フィルタを通過した空気に含まれる不純物の機能を抑制する。
【0044】
また、フィルタ10A、10B、10C、10Dのうちの少なくとも一つは、ミネルパ(登録商標、本開示の「空気を清浄可能な成分」の一例)を使用したフィルタであってもよい。このようなフィルタ10によれば、消臭、抗菌、またはウィルスの活動の抑制などの清浄効果を奏する。つまり、このようなフィルタ10は、フィルタに捕捉された不純物の機能を抑制する。また、このようなフィルタ10は、フィルタを通過した空気に含まれる不純物の機能を抑制する。
【0045】
また、フィルタ10A、10B、10C、10Dのうちの少なくとも一つは、二酸化塩素顆粒(本開示の「空気を清浄可能な成分」の一例)を使用したフィルタであってもよい。このようなフィルタ10によれば、除菌、消臭、またはウィルスの活動の抑制などの清浄効果を奏する。つまり、このようなフィルタ10は、フィルタに捕捉された不純物の機能を抑制する。また、このようなフィルタ10は、フィルタを通過した空気に含まれる不純物の機能を抑制する。
【0046】
また、フィルタ10に加工される成分は、上記以外の空気を清浄する成分であってもよい。また、フィルタ10は、不燃性であってもよく、その素材は不織布に限定されない。
【0047】
また、空気清浄器具1は、プレート11を備える。プレート11は、枠状であり、例えば紙から形成される。また、プレート11の片面にはフィルタ10をプレート11に対して固定するための接着剤が設けられている。また、プレート11の一つの辺には、中心から離れる方向に延出し、指で把持可能な把持部12が設けられている。なお、プレート11には接着剤が設けられていなくともよく、例えばプレート11を折り曲げることでフィルタ10が挟持されてもよい。
【0048】
また、空気清浄器具1は、アーム5と清浄プレート2との接続部にもヒンジ16が設けられている。そして、清浄プレート2は、ヒンジ16を中心として長軸方向の周りに回転可能である。よって、吹出し口51に対する清浄プレート2の角度は、ヒンジ16によっても変更可能である。なお、アーム5、ヒンジ3(図1参照)、およびヒンジ16は、本開示の「取付部」の一例である。
【0049】
図4は、清浄プレート2にフィルタ10A、10B、10C、10Dが装着された状態の一例である。図4に示されるように清浄プレート2にフィルタ10A、10B、10C、10Dが装着されるためには、まずフィルタ10A、10B、10C、10Dが、プレート11の片面に固定される。次に、フィルタ10A、10B、10C、10Dが固定されたプレート11(以降カートリッジとよぶ)の把持部12がユーザの指により把持される。そして、カートリッジを湾曲部15から壁部14Bへ向けて主面部13上で滑らせるように動かす。この際、カートリッジがリブ7の切り欠き71に嵌るようにカートリッジを動かす。このようにして、リブ6により仕切られた主面部13の夫々の区域にフィルタ10A、10B、10C、10Dが設置される。なお、カートリッジを主面部13上で滑らせるのではなく、カートリッジを撓ませてリブ7の切り欠き71に嵌めてもよい。このようにカートリッジはリブ7により簡易に位置決めされ、主面部13上に固定される。
【0050】
[作用・効果]
上記のような空気清浄器具1によれば、異なる複数の種類の清浄機能を有するフィルタ10A、10B、10C、10Dを通過した吹出し空気が空調対象空間に供給される。よって、空調対象空間の空気の清浄効果は増大する。また、主面部13の半分以上に孔8が設けられている。よって、吹出し口51から吹出された吹出し空気の多くは孔8(フィルタ10付)を通過することになる。よって、空調対象空間にはフィルタ10によって清浄された多量の吹出し空気が供給される。このような点からも空調対象空間の空気の清浄効果は増大するといえる。
【0051】
また、上記のような空気清浄器具1によれば、清浄プレート2に設けられた孔8をフィルタ10で塞ぐという簡易な構成で吹出し空気の清浄を向上させることができる。
【0052】
また、上記のような空気清浄器具1によれば、孔8が数センチ程度の間隔を空けて設けられている。よって、フィルタ10A、10B、10C、10Dは夫々数センチ程度離れて配置されることになる。よって、例えばフィルタ10Aが芳香機能を有しており、一方でフィルタ10Aの隣に並ぶフィルタ10Bが消臭機能を有している場合であっても、フィルタ10Aおよびフィルタ10Bの夫々を通過した吹出し空気が混合することは抑制される。よって、異なる清浄機能が打ち消し合うことなく、空調対象空間に異なる清浄機能を提供することが可能となる。
【0053】
また、上記のような空気清浄器具1によれば、空調機50の吹出し口51から吹出された空気がフィルタ10を通過することで吹出し空気の速度は減速される。よって、空調機50の吹出し空気がユーザに直接あたることは緩和される。よって、空調対象空間にいるユーザが強い風を受けることで覚える不快感は低減される。
【0054】
また、上記のような空気清浄器具1によれば、主面部13の短手方向の縁には、短手方向に沿う壁部14Aが立設されている。また、主面部13の長手方向の縁であって、湾曲部15とは反対方向の縁には長手方向に沿って壁部14Bが立設されている。また、フィルタ10A、10B、10C、10Dの間には、夫々主面部13の短手方向に沿ってリブ6が立設されている。よって、主面部13に当たった吹出し空気は主面部13の長軸方向に流れることは抑制され、短軸方向に主面部13の表面に沿って進む。そして、湾曲部15の上を通過して空調対象空間へ供給される。よって、空調対象空間にいるユーザに直接吹出し空気が当たることは緩和される。よって、ユーザが直接風を受けることで覚える不快感は低減される。また、吹出し空気の一部はフィルタ10を通過せずに主面部13の面上に沿って進んだ後、室内に拡散される。よって、吹出し空気の吹出し方向以外にもフィルタ10に加工された成分が届けられる。
【0055】
また、フィルタ10A、10B、10C、10Dの夫々の近傍に滞留する吹出し空気は、フィルタ10A、10B、10C、10Dの夫々に加工された成分を含んでいる。また、フィルタ10A、10B、10C、10Dの夫々は、リブ6により仕切られている。よって、フィルタ10A、10B、10C、10Dの何れか一つに加工された成分を含む滞留空気が別のフィルタ10に加工された成分を含む滞留空気と混合することは抑制される。そして、これらの滞留空気は、主面部13の湾曲部15の方向(長軸方向に)に進んだ後に、空調対象空間に供給される。よって、異なる清浄機能が打ち消し合うことなく、空調対象空間に供給される。
【0056】
また、上記のような空気清浄器具1は簡易な構造である。そして、空気清浄器具1は空調機50の吹出し口51の前方に配置されている。よって、清浄効果が増大されつつも空調機50の吸い込み空気の圧力損失は簡易に低減される。
【0057】
また、上記の空気清浄器具1によれば、カートリッジ(フィルタ10およびプレート11)はリブ7の切り欠き71に嵌められることによって簡易に主面部13に固定されている。よって、フィルタ10の設置・交換作業は容易となる。また、プレート11には、指で把持可能な把持部12が設けられている。よって、フィルタ10を交換したい場合には、把持部12をつまんで取り外せばよいことになる。このようなことからも、フィルタ10の設置・交換作業は容易といえる。さらに、フィルタ10は不織布から形成され、プレート11は紙から形成されている。よって、取り外したフィルタ10およびプレート11は可燃性のごみとして廃棄することができる。つまりフィルタ10の交換・廃棄処理は容易である。
【0058】
また、上記の空気清浄器具1によれば、フィルタ10は不織布から形成されるため可撓性を有するが、フィルタ10は紙からなる枠状のプレート11に固定されている。よって、フィルタ10とプレート11とが一体となったカートリッジの剛性はフィルタ10単体の剛性よりも向上している。よって、フィルタ10の設置・交換作業においてフィルタ10が変形することは抑制される。よって、フィルタ10の設置・交換作業は容易といえる。
【0059】
また、上記の空気清浄器具1によれば、リブ6およびリブ7により主面部13の平面度の低下は抑制される。よって、プレート11と主面部13との間に隙間が生じることは抑制される。また、主面部13の平面度が確保されることで、プレート11と主面部13との間を接着剤などで接着せずにプレート11と主面部13との間に隙間が生じることは抑制される。よって、吹出し空気がフィルタ10を通過せずに隙間から空調対象空間に漏れることは簡易に抑制される。よって、吹出し空気の清浄機能の低下は簡易に抑制される。また、プレート11と主面部13との間に接着剤を設けずに済むため、プレート11を主
面部13上に簡易に設置・交換できる。
【0060】
また、上記の空気清浄器具1によれば、空調機50が室内の天井に設置されている。よって、空気よりも重い比重の二酸化塩素がフィルタ10に加工されていると、二酸化塩素は室内の下部へ沈降する。よって、二酸化塩素は室内に好適に拡散される。
【0061】
[変形例1]
図5は、第1変形例に係るプレート11Aの概要を例示している。図5(A)は、プレート11Aが組み立てられる前の状態の一例である。図5(B)は、プレート11Aにフィルタ10が設置されたプレート11Aが組み立てられた状態の一例である。プレート11Aは、プレート11と同様に紙から形成される。そして、図5(A)に示されるように、プレート11Aには、孔21A、21Bが設けられている。また、プレート11Aの上部には、半弧状の切り込み17および18が設けられている。一方、プレート11Bの下部には、爪19が設けられている。
【0062】
フィルタ10は、孔21Aに重なるようにプレート11Aに載置される。その後、プレート11Aは、図5(A)に示される矢印の通り折り曲げられて組み立てられ、図5(B)に示されるような形態となる。なお、プレート11Aが組み立てられる場合に、切り込み17は紙面の奥側へ押し出される。このようにすることで、図5(B)に示されるように指で把持可能な把持部12Aが出来上がる。また、爪19は、図5(B)に示されるように切り込み18の中にはめ込まれる。このように組み立てられることで、フィルタ10は接着剤などを使用せずにプレート11Aに挟み込まれて簡易に固定される。そして、フィルタ10が固定されたプレート11Aは、上述の実施形態と同様に切り欠き71に嵌め込まれることで、主面部13に固定される。なお、主面部13に固定された場合、プレート11Aの面110が上面となる。また、プレート11の一部には、ストライプのラインが施されていてもよい。
【0063】
[変形例2]
図6は、第2変形例に係るプレート11Bおよびプレート11Cの概要を例示している。図6(A)に示されるプレート11Bには、帯状の紙20が孔21Aの一部を塞ぐように設けられている。このように帯状の紙20が設けられることで、フィルタ10を通過した吹出し空気であって、孔21Aを通過する吹出し空気の量は制限される。よって、吹出し空気が空調対象空間にいるユーザに直撃し、ユーザが不快感を覚えることは抑制される。また、帯状の紙20がフィルタ10を受けることで、吹出し空気に押されたフィルタ10が撓んで孔21Aから抜け落ちることは抑制される。よって、フィルタ10の固定は強化される。また、図6(B)に示されるプレート11Cでは、孔21Bにも帯状の紙20が設けられている。このようなプレート11Cによれば、プレート11Bの機能に加えて、フィルタ10に当たる吹出し空気の量は制限される。よって、吹出し空気が空調対象空間にいるユーザに直撃し、ユーザが不快感を覚えることはさらに抑制される。なお、帯状の紙20により形成される形態は、図6(A)、図6(B)に示される例に限定されない。例えば帯状の紙20により十字状のフレームが形成され、孔21A、21Bの一部を塞いでもよい。
【0064】
[その他変形例]
上記のプレート11は紙製であったが、プレート11の材料は紙に限定されない。また、プレート11には把持部12が設けられていなくともよい。また、プレート11は設けられていなくともよく、フィルタ10がプレート11を介さずに孔8の縁に接着剤などで直接固定され、孔8を覆ってもよい。また、フィルタ10は、例えば接着剤などが使用されずに切り欠き71に嵌められることで、主面部13上に直接固定されてもよい。また、例えばフィルタ10A、10B、10Cは芳香機能が加工されたフィルタであり、フィル
タ10Dは消臭機能が加工されたフィルタであるというように、フィルタ10A、10B、10C、10Dのうちの少なくとも一つのフィルタが他のフィルタと異なる清浄機能を有していてもよい。また、フィルタ10A、10B、10C、10Dのうちの少なくとも2つのフィルタに空気を清浄可能な成分が加工されていれば、残りのフィルタには空気を清浄可能な成分が加工されていなくともよい。また、フィルタ10A、10B、10C、10Dには、空気を清浄可能な同一成分が加工されていてもよい。また、フィルタ10A、10B、10C、10Dの夫々には、同一の空気清浄機能を発揮する異なる成分が加工されてもよい。また、孔8の数は上記の数に限定されない。また、孔8の大きさは同一であっても異なっていてもよい。また、孔8の形状は矩形状に限定されない。また、フィルタ10の形状は、上記の矩形状に限定されず、例えば多角形状、円盤形状等であってもよい。
【0065】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0066】
1 :空気清浄器具
2 :清浄プレート
3、16 :ヒンジ
5 :アーム
6、7 :リブ
8 :孔
10、10A、10B、10C、10D :フィルタ
11、11A、11B、11C :プレート
12、12A :把持部
13 :主面部
14A、14B :壁部
15 :湾曲部
17、18 :切り込み
19 :爪
20 :帯状の紙
21A、21B :孔
50 :空調機
51 :吹出し口
71 :切り欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6