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特許7599845撮像装置、撮像システム、移動体および撮像装置の駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像システム、移動体および撮像装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/78 20230101AFI20241209BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20241209BHJP
【FI】
H04N25/78
H04N25/70
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020094025
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190823
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝教
(72)【発明者】
【氏名】村井 肇
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-040855(JP,A)
【文献】特開2004-078332(JP,A)
【文献】特開2019-186910(JP,A)
【文献】特開2016-092662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/78
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により画素信号を生成する画素回路が行列状に配置された画素領域と、
参照電圧を出力するランプ電圧生成回路と、
画素が設けられた列に対応して設けられ、前記画素信号に応じた入力信号と前記ランプ電圧生成回路から出力される前記参照電圧との比較に基づいて比較結果信号を出力する、コンパレータ回路と、
を備え、
前記ランプ電圧生成回路は、前記コンパレータ回路の基準電圧を設定するためのオフセット電圧を出力する第1の期間と、時間的に変化するスロープ状の電圧波形を有する参照電圧を出力する第2の期間と、を有し、
前記ランプ電圧生成回路は、前記第2の期間における参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量が第1の電圧量である第1の駆動状態と、前記第2の期間における参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量が第1の電圧量よりも小さい第2の電圧量である第2の駆動状態と、をとることができ、
前記第2の駆動状態におけるオフセット電圧は、前記第1の駆動状態におけるオフセット電圧に、前記第1の電圧量に対する前記第2の電圧量の比を掛けた値よりも小さく、
前記ランプ電圧生成回路は、容量素子の蓄積電荷に応じた電圧を前記参照電圧として出力し、前記第2の駆動状態では前記第1の駆動状態と比較して、前記容量素子への供給電流が小さく設定され、かつ、前記オフセット電圧を生成するための前記容量素子への電流供給期間が短く
前記ランプ電圧生成回路は、前記第1の期間のうちに、第1のグループのコンパレータ回路の基準電圧を設定するための第1のリセット期間に対応し第1のオフセット電圧を出力する期間と、第2のグループのコンパレータ回路の基準電圧を設定するための第2のリセット期間に対応し前記第1のオフセット電圧よりも大きい第2のオフセット電圧を出力する期間と、を有する、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第2の期間における参照電圧の最大値と前記オフセット電圧との差は、前記第1の駆動状態と前記第2の駆動状態において略等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の期間における参照電圧の最大値と前記オフセット電圧との差は、前記第1の駆動状態と前記第2の駆動状態のいずれにおいても、前記画素回路からノイズ信号を読み出したときの前記入力信号のバラツキよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の駆動状態における第1のオフセット電圧は、前記第1の駆動状態における第1のオフセット電圧に、前記第1の電圧量に対する前記第2の電圧量の比を掛けた値よりも小さく、
前記第2の駆動状態における第2のオフセット電圧は、前記第1の駆動状態における第2のオフセット電圧に、前記第1の電圧量に対する前記第2の電圧量の比を掛けた値よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の期間における参照電圧の最大値と前記第2のオフセット電圧との差は、前記第1の駆動状態と前記第2の駆動状態において略等しい、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
画素が設けられた列に対応して設けられ、前記画素回路から出力される画素信号を増幅するアンプ回路をさらに有し、
前記コンパレータ回路には、前記アンプ回路による増幅後の画素信号が前記入力信号として入力される、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記アンプ回路は、前記画素回路から出力される画素信号を、第1のゲインと第2のゲインで増幅し、
前記コンパレータ回路は、前記第1のゲインで増幅された画素信号と、前記第2のゲインで増幅された画素信号とをそれぞれ前記入力信号として、前記比較結果信号を出力する、
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の期間は、前記画素回路からノイズ信号を読み出したときの前記入力信号に基づいて前記コンパレータ回路が前記比較結果信号を出力する期間であり、
前記ランプ電圧生成回路は、前記画素回路から前記ノイズ信号を含む光電変換量に応じた画素信号を読み出したときの前記入力信号に基づいて前記コンパレータ回路が前記比較結果信号を出力する期間である、第3の期間をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と、
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項10】
移動体であって、
請求項1からのいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置から出力される信号から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする移動体。
【請求項11】
光電変換により画素信号を生成する複数の画素回路が行列状に配置された画素領域と、
参照電圧を出力するランプ電圧生成回路と、
列毎に設けられる複数のコンパレータ回路と、
を備える撮像装置の駆動方法であって、
前記ランプ電圧生成回路が出力するスロープ状の電圧波形を有する参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量を設定するステップと、
前記ランプ電圧生成回路がオフセット電圧を前記コンパレータ回路に出力し、前記コンパレータ回路が前記オフセット電圧に基づいて基準電圧を設定するステップと、
前記ランプ電圧生成回路が時間的に変化するスロープ状の電圧波形を有する参照電圧を前記コンパレータ回路に出力し、前記コンパレータ回路が、前記画素信号に応じた入力信号と前記ランプ電圧生成回路から出力される前記参照電圧との比較に基づいて比較結果信号を出力するステップと、
を含み、
第1の駆動状態では、前記電圧変化量を設定するステップにおいて、参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量を第1の電圧量に設定し、
第2の駆動状態では、前記電圧変化量を設定するステップにおいて、参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量を、前記第1の電圧量よりも小さい第2の電圧量に設定し、
前記第2の駆動状態におけるオフセット電圧は、前記第1の駆動状態におけるオフセット電圧に、前記第1の電圧量に対する前記第2の電圧量の比を掛けた値よりも小さく、
前記ランプ電圧生成回路は、容量素子の蓄積電荷に応じた電圧を前記参照電圧として出力し、前記第2の駆動状態では前記第1の駆動状態と比較して、前記容量素子への供給電流が小さく設定され、かつ、前記オフセット電圧を生成するための前記容量素子への電流供給期間が短く
前記基準電圧を設定するステップにおいて、前記ランプ電圧生成回路が、第1のグループのコンパレータ回路の基準電圧を設定するための第1のリセット期間に対応し第1のオフセット電圧を出力する期間と、第2のグループのコンパレータ回路の基準電圧を設定するための第2のリセット期間に対応し前記第1のオフセット電圧よりも大きい第2のオフセット電圧を出力する期間と、を有する、
ことを特徴とする撮像装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像システム、移動体および撮像装置の駆動方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置においてノイズ信号を除去するために、ノイズ信号(以下、N信号と記載する)と、ノイズ信号を含む光電変換量に応じた画素信号(以下、S信号と記載する)を読み出し、その差分信号を画像信号として読み出す構成が知られている。
【0003】
特許文献1は、時間的に変化するスロープ波形のランプ信号と、画素から読み出されて増幅されたアナログ信号を、N信号とS信号に時間を分けて比較動作する駆動方法が記載されている。さらに、ランプ信号の時間的変化と同時にカウンタ値のカウントアップを開始し、ランプ信号とアナログ信号が等しくなった時のカウンタ値によってA/D変換され
る駆動方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011―24109号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
N信号と比較されるランプ信号は、N信号の列毎の電圧バラツキや電圧変動を鑑みてA/D変換できるように、ランプ信号電圧幅を有する。さらに、ランプ信号の単位時間あたりの電圧変化量をN信号およびS信号に共通で一律に変更することによってA/D変換ゲ
インを変更できる。すなわち、A/D変換ゲインによって、ランプ信号電圧幅が変化する
【0006】
具体的に、ランプ信号によってA/D変換ゲインを大きくする場合、ランプ信号電圧幅
が小さくなる。そのため、N信号において、N信号の列毎の電圧バラツキや電圧変動が、ランプ信号電圧幅よりも大きくなることがある。すなわち、ランプ信号とN信号の比較動作が正しく行われず、正しい値がA/D変換されないことがある。つまり、縦線やざらつ
きなどと言った画質劣化を招くことになる。
【0007】
一方で、ランプ信号電圧幅を大きくするために、単位時間あたりの電圧変化量を一定のまま、ランプ信号が時間的に変化する時間を延ばした場合、1水平期間を延ばすことになり、高速読み出しすることができなくなる。
【0008】
本発明の目的は、高品質な画像信号を高速読み出し可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を鑑みてなされ、上記目的を以下の構成によって達成される。
【0010】
本発明の第一の態様は、
光電変換により画素信号を生成する画素回路が行列状に配置された画素領域と、
参照電圧を出力するランプ電圧生成回路と、
画素が設けられた列に対応して設けられ、前記画素信号に応じた入力信号と前記ランプ電圧生成回路から出力される前記参照電圧との比較に基づいて比較結果信号を出力する、コンパレータ回路と、
を備え、
前記ランプ電圧生成回路は、前記コンパレータ回路の基準電圧を設定するためのオフセット電圧を出力する第1の期間と、時間的に変化するスロープ状の電圧波形を有する参照電圧を出力する第2の期間と、を有し、
前記ランプ電圧生成回路は、前記第2の期間における参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量が第1の電圧量である第1の駆動状態と、前記第2の期間における参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量が第1の電圧量よりも小さい第2の電圧量である第2の駆動状態と、をとることができ、
前記第2の駆動状態におけるオフセット電圧は、前記第1の駆動状態におけるオフセット電圧に、前記第1の電圧量に対する前記第2の電圧量の比を掛けた値よりも小さい、
ことを特徴とする撮像装置である。
【0011】
本発明の第二の態様は、
光電変換により画素信号を生成する複数の画素回路が行列状に配置された画素領域と、
参照電圧を出力するランプ電圧生成回路と、
列毎に設けられる複数のコンパレータ回路と、
を備える撮像装置の駆動方法であって、
前記ランプ電圧生成回路が出力するスロープ状の電圧波形を有する参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量を設定するステップと、
前記ランプ電圧生成回路がオフセット電圧を前記コンパレータ回路に出力し、前記コンパレータ回路が前記オフセット電圧に基づいて基準電圧を設定するステップと、
前記ランプ電圧生成回路が時間的に変化するスロープ状の電圧波形を有する参照電圧を前記コンパレータ回路に出力し、前記コンパレータ回路が、前記画素信号に応じた入力信号と前記ランプ電圧生成回路から出力される前記参照電圧との比較に基づいて比較結果信号を出力するステップと、
を含み、
第1の駆動状態では、前記電圧変化量を設定するステップにおいて、参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量を第1の電圧量に設定し、
第2の駆動状態では、前記電圧変化量を設定するステップにおいて、参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量を、前記第1の電圧量よりも小さい第2の電圧量に設定し、
前記第2の駆動状態におけるオフセット電圧は、前記第1の駆動状態におけるオフセット電圧に、前記第1の電圧量に対する前記第2の電圧量の比を掛けた値よりも小さい、
ことを特徴とする撮像装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高品質な画像信号を高速読み出し可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る撮像装置のブロック図である。
図2】実施形態に係るランプ回路の回路図である。
図3】第1の実施形態に係るランプ回路の駆動タイミングチャート図である。
図4】ランプゲイン毎オフセット電圧の設定方法を説明する概略説明図である。
図5】第2の実施形態に係るランプ回路の駆動タイミングチャート図である。
図6】第3の実施形態に係るランプ回路の駆動タイミングチャート図である。
図7】第4の実施形態に係る撮像システムの構成例を表す図である。
図8】第5の実施形態に係る撮像システムおよび移動体の構成例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る撮像装置を実施するための最良の形態について、図面を参照にして具体的に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかる撮像装置100の構成ブロック図を示す。撮像装置は、画素領域1、列アンプ回路2、列コンパレータ回路3、列A/D変換回路4、列メモリ回路5、水平駆動回路6、垂直駆動回路7、データ信号演算回路8、出力回路9、ランプ回路10を含む。
【0016】
画素領域1には、光電変換素子と画素回路が行列状に複数配置される。水平方向に配置される複数の画素回路は、行毎に垂直駆動回路7から供給される行制御信号PV(1)・・・PV(m)(mは自然数)によって制御される。画素回路は、光電変換によって得られる電荷に基づく画素信号を生成して出力する。画素回路からの信号は、列毎の垂直読み出し線V(1)・・・V(n)(nは自然数)および増幅回路を介して読み出される。画素回路からは行単位で、ノイズ信号(以下、N信号と記載する)と、ノイズを含む光電変換量に応じた画素信号(以下、S信号と記載する)のアナログ信号が読み出される。列毎の垂直読み出し線から読み出された画素信号は、列アンプ回路2に入力される。
【0017】
列アンプ回路2は、垂直読み出し線を介して列毎に読み出された画素信号を、所定のゲイン倍に増幅する。列アンプ回路2による増幅後の画素信号は、入力信号として列コンパレータ回路3に入力される。
【0018】
列コンパレータ回路3は、列アンプ回路2から入力されるアナログの入力信号と、ランプ回路10から入力される時間的に変化するスロープ状の電圧波形のランプ信号(参照電圧)とを比較する。列コンパレータ回路3は、入力信号とランプ信号の比較に基づいて比較結果信号を出力する。例えば、列コンパレータ回路3は、入力信号の電圧がランプ信号の電圧より低いときはLレベルを出力し、高いときにはHレベルを出力する。なお、ランプ信号は複数列に対して共通であり、ランプ回路10から供給される。
【0019】
列A/D変換回路4は、ランプ信号の時間的変化と同時にカウントアップするカウンタを有し、列コンパレータ回路3における比較結果に基づき、ランプ信号とアナログ信号が等しくなったタイミングにおけるカウンタ値のデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は列メモリ回路5にN信号とS信号に分けて保存される。
【0020】
列メモリ回路5に保存されたデジタル信号は水平駆動回路6からの駆動制御信号によって、順次、行単位でデータ信号演算回路8に読み出される。データ信号演算回路8は、入力されたデジタル信号からS信号とN信号の差分を演算するなどの信号演算処理を行い、出力回路9を通じて外部に画像信号として出力する。
【0021】
上記の各回路は、制御回路(不図示)から供給される制御信号に基づいてその動作が制御される。
【0022】
なお、本発明は本実施形態に限定されることなく、例えば、列アンプ回路2を省略した形態にしてもよい。この場合、列コンパレータ回路3には、画素回路からの画素信号が入力信号として入力される。さらに、列メモリ回路5はS信号とN信号の差分値を保存する形態にしてもよい。
【0023】
図2は、ランプ回路(ランプ電圧生成回路)10の回路構成を示す。
【0024】
オペアンプOP1は、+入力端子に入力電圧VRが入力され、-入力端子は、一方の端子が電源VSSに接続された抵抗素子R1の他方の端子に接続される。抵抗素子R1の他方の端子は、ゲート端子がオペアンプOP1の出力端子に接続されたトランジスタM2のソースまたはドレインの一方の端子に接続される。そして、トランジスタM2のソースまたはドレインの他方の端子は、ソースまたはドレインの一方の端子が電源VDDに接続されたトランジスタM1のゲート端子とソースまたはドレインの他方の端子に接続される。さらに、トランジスタM2のソースまたはドレインの他方の端子は、ソースまたはドレインの一方の端子が電源VDDに接続されたトランジスタM3のゲート端子も接続される。トランジスタM3のソースまたはドレインの他方の端子は、ゲート端子がEN信号によって制御されるトランジスタM4のソースまたはドレインの一方の端子に接続される。トランジスタM4のソースまたはドレインの他方の端子は、一方の端子がVSS電源に接続された容量C1の他方の端子に接続される。容量C1の他方の端子はランプ信号出力VRAMPであり、ゲート端子がRES信号によって制御されソースまたはドレインの一方の端子が電源VSSに接続されたトランジスタM5のソースまたはドレインの他方の端子に接続される。
【0025】
続いて、ランプ回路10の制御方法について簡単に説明をする。
【0026】
トランジスタM1には、入力電圧VRと容量素子R1に対応した電流I1が流れ、電流量は入力電圧VRと抵抗素子R1によって調整することができる。すなわち、電流I1はI1=VR/R1で表すことができる。そして、トランジスタM3にはトランジスタM1
に流れる電流I1がミラーされ、トランジスタM1とトランジスタM3の駆動能力比率(B=M3/M1とする)に応じた電流I2がトランジスタM3に流れる。電流I2はI2
=B・I1=B・VR/R1で表すことができる。
【0027】
続いて、容量C1はEN信号によって電流I2が供給または停止され、電流が供給されることで容量に電荷が蓄積され、蓄積された電荷に応じた電圧がランプ信号出力VRAMPとして出力される。また、ランプ信号出力VRAMPは、RES信号に応じてトランジスタM5を介してVSS電源にリセットされる。
【0028】
すなわち、ランプ信号出力VRAMPは、電流I2の電流量と電流が供給されている時間によって調整され、時間的に変化するスロープ状の電圧波形になる。
【0029】
図3は、1水平期間における駆動タイミングチャートである。図3を参照して、実際の撮像装置におけるランプ回路動作について具体的に説明をする。なお、1水平期間とは、列アンプ回路2や列コンパレータ回路3などの列回路に行単位で信号を読み出す期間のことである。1水平期間を少なくとも行数分繰り返すことで全行の信号を読み出すことができる。
【0030】
まず、時刻t0以前において、EN信号はLレベルであり、トランジスタM4はオフ状態である。また、RES信号はHレベルでありトランジスタM5はオン状態である。すなわち、容量C1の両端は短絡状態かつ電流I2が供給されないため、ランプ信号出力はVSS電圧になる。
【0031】
時刻t0において、EN信号がLレベルからHレベルに変化して、トランジスタM4はオフ状態からオン状態に変化する。なお、トランジスタM5はオン状態のままである。すなわち、容量C1に電流I2が供給されるが、容量C1の両端は短絡状態のままであるため、ランプ信号出力VRAMPはVSS電圧のままである。
【0032】
時刻t1において、RES信号がHレベルからLレベルに変化して、トランジスタM5
はオン状態からオフ状態に変化する。これにより、容量C1の両端は開放されるため、電流I2に応じて容量C1に電荷が蓄積される。そして、時刻t1から時刻t2直前まで容量C1に電荷が蓄積されるため時間的に変化する電圧がランプ信号出力VRAMPとして出力される。
【0033】
時刻t2において、EN信号がHレベルからLレベルに変化して、トランジスタM4はオン状態からオフ状態に変化する。よって、容量C1に対する電流I2の供給が停止され、容量C1に保持された電圧がランプ信号出力VRAMPとして時刻t2から時刻t3直前まで出力される。
【0034】
なお、時刻t2から時刻t3直前は、列コンパレータ回路3をリセットするリセット期間であり、この期間におけるランプ信号出力VRAMPが時刻t3以降の列コンパレータ回路3の回路動作の基準電圧となる。すなわち、リセット期間は、ランプ信号出力(以下、リセット期間のランプ信号出力をオフセット電圧VOFと記載する)と、同期間における列アンプ回路2から出力される信号のリセット電圧V0が相対的に等しくなる回路動作が行われる。さらに言い換えると、リセット期間は、列コンパレータ回路3の基準電圧を設定するためのオフセット電圧VOFを、ランプ回路10が出力する第1の期間である。
【0035】
次に、時刻t3において、RES信号がLレベルからHレベルに変化して、トランジスタM5はオフ状態からオン状態に変化する。よって、容量C1の両端が短絡状態になるのでランプ信号出力VRAMPはVSS電圧になる。
【0036】
時刻t4以降、時刻t0から時刻t3までと同様に、EN信号とRES信号を制御した回路動作を順次繰り返す。
【0037】
時刻t5から時刻t6直前までが、N信号とスロープ状のランプ信号を比較動作するN信号変換期間(第2の期間)であり、時刻t8から時刻t9直前までが、S信号とスロープ状のランプ信号を比較動作するS信号変換期間(第3の期間)である。N信号変換期間は、列コンパレータ回路3が画素回路から読み出されるN信号とランプ信号とを比較する期間であり、ランプ回路10がこの比較動作のためのランプ信号(参照電圧)を出力する期間ともいえる。S信号変換期間は、列コンパレータ回路3が画素回路から読み出されるS信号(N信号を含む光電変換量に応じた画素信号)とランプ信号とを比較する期間であり、ランプ回路10がこの比較動作のためのランプ信号(参照電圧)を出力する期間ともいえる。
【0038】
S信号は光電変換量に応じた信号でありN信号よりも大きいため、S信号変換期間におけるランプ信号電圧幅は、N信号変換期間と比較して広くする必要がある。具体的には、S信号変換期間をN信号変換期間よりも時間を長くして、N信号時のランプ信号電圧幅VNRよりもS信号時のランプ信号電圧幅VSRを広くする。
【0039】
さらに、時刻t5から時刻t6直前までのN信号変換期間における、列アンプ回路2から出力されるアナログ信号をVNとする。列コンパレータ回路3は、VN電圧に対してリセット電圧V0との差分電圧にオフセット電圧VOFを加算した電圧(VN-V0+VOF)に対して、同期間のランプ信号との比較動作をする。
【0040】
また、時刻t8から時刻t9直前までのS信号変換期間における、列アンプ回路2から出力されるアナログ信号をVSとする。列コンパレータ回路3は、VS電圧に対してリセット電圧V0との差分電圧にオフセット電圧VOFを加算した電圧(VS-V0+VOF)に対して、同期間のランプ信号との比較動作をする。
【0041】
このように、リセット期間のランプ信号出力にオフセット電圧VOFを設定することにより、列アンプ回路2の出力信号が電圧変動などによって各信号変換期間にリセット電圧V0よりも小さくなったとしても、列コンパレータ回路3で正確に比較動作できる。
【0042】
時刻t0から時刻t9直前までの回路動作を、繰り返すことによって、画素領域のN信号とS信号を行単位で順次読み出していく。
【0043】
上記において、オフセット電圧VOFおよびランプ信号電圧幅は、制御回路が供給するEN信号およびRES信号のタイミングを変えることで制御可能である。また、ランプ電圧の傾き(単位時間あたりのランプ電圧の変化量)は、制御回路からランプ回路10に供給されるランプ制御電圧によって制御可能である。
【0044】
以上説明したランプ回路動作において、リセット期間とN信号変換期間のランプ信号の設定方法について、図4を用いてさらに詳細を説明する。
【0045】
図4の(A)(B)に、図3で示したランプ信号波形に基づき、ランプゲインをX倍としたときのランプ信号波形と、ランプゲインY倍としたときのランプ信号波形を示す。図4(B)は、ランプ回路10におけるEN信号およびRES信号のタイミングを図4(A)のときと変えずにランプゲインのみを変更した場合のランプ信号波形を示す。ゲインY倍はゲインX倍よりも大きい値(Y>X)であると仮定し、ランプゲインX倍を基本ゲインとして、ラインゲインをX倍からY倍に変更すると仮定する。
【0046】
ランプゲインは、時間的に変化するスロープ状のランプ電圧の傾き(単位時間あたりのランプ電圧の変化量)であり、A/D変換ゲインに対応する。例えば、ランプゲインを大
きくする場合、ランプ電圧の傾きを小さくして、A/D変換ゲインを大きくする。このよ
うに、本実施形態に係る撮像装置は、ランプ電圧(参照電圧)の単位時間あたりの変化量を第1の電圧量とする第1の駆動状態と、第1の電圧量よりも小さい第2の電圧量とする第2の駆動状態をとることができる。第1の駆動状態がランプゲインX倍の状態に相当し、第2の駆動状態がランプゲインY倍(Y>X)に相当する。第1の駆動状態と第2の駆動状態においてA/D変換ゲインを異ならせることができる。
【0047】
まず、ランプゲインX倍のランプ信号において、図4(A)に示すようにリセット期間時のオフセット電圧をVOFXとし、N信号変換期間におけるランプ信号電圧幅をVNXとする。さらに、N信号変換期間のランプ信号電圧幅とオフセット電圧の差分電圧をΔVXとする(ΔVX=VNX-VOFX)。
【0048】
また、ランプゲインY倍のランプ信号において、図4(B)に示すようにリセット期間時のオフセット電圧をVOFYとし、N信号変換期間におけるランプ信号電圧幅をVNYとする。さらに、N信号変換期間のランプ信号電圧幅とオフセット電圧の差分電圧をΔVYとする(ΔVY=VNY-VOFY)。
【0049】
まず、ランプゲインX倍において、N信号変換期間におけるランプ信号電圧幅VNXを、N信号の列毎の電圧バラツキや電圧変動を鑑みて十分に大きく設定する必要がある。具体的に、N信号の列毎の電圧バラツキや電圧変動の電圧変動量をΔVNとすると、差分電圧ΔVXはΔVNよりも大きく設定する。このようにすることで、確実にN信号とランプ信号が比較動作することができる。
【0050】
次に、ランプゲインをX倍の設定からY倍に変更する場合を検討する。ランプゲインをY倍に変更すると、オフセット電圧VOFYはVOFY=X/Y・VOFX、N信号変換
期間におけるランプ信号電圧幅VNYはVNY=X/Y・VNXになり、差分電圧ΔVY
はΔVY=X/Y・ΔVXになる。すわわち、各電圧は一律でX/Y倍される。
【0051】
ここで着目すべきは、N信号の列毎の電圧バラツキや電圧変動ΔVNはランプゲインによらない点である。すなわち、電圧変動量ΔVNに対して、ランプゲインX倍において、差分電圧ΔVXはΔVX>ΔVNを満たすように設定される。一方で、ランプゲインY倍において、差分電圧ΔVY(=X/Y・ΔVX)はΔVN>ΔVYとなり、N信号の電圧
変動ΔVNが差分電圧ΔVYより大きくなってしまう場合がある。そうすると、ランプゲインY倍においては、N信号とランプ信号の比較動作が正しく行うことができない。つまり、N信号のA/D変換が正しく行われないため、縦スジやざらつきといった画質劣化の
課題が発生することになる。
【0052】
この課題に対して、N信号変換期間を延長してN信号電圧幅VNYを大きくして差分電圧ΔVYを、ランプゲインX倍の時の差分電圧ΔVXに近くすることが考えられる。これにより、ΔVY>ΔVNとできるので、N信号とランプ信号の比較動作ができるようになる。しかしながら、1水平時間を延ばすことになるため、ランプゲインX倍とランプゲインY倍で読み出しスピードが変わってしまうため高速読み出し動作に対応できない、という新たな課題が発生する。
【0053】
本実施形態は、ランプゲインを変更しても高速動作かつ画質劣化しない駆動方法を開示する。本実施形態に係る駆動方法は、ランプゲインに応じてランプ信号のオフセット電圧VOFを調整する。
【0054】
具体的に、ランプゲインY倍の時のオフセット電圧VOFYを、ランプゲインX倍の時のオフセット電圧VOFXに対するランプゲイン比(X/Y)倍した電圧よりも小さくな
るように設定する(VOFY<X/Y・VOFX)。より詳細には、ランプゲインY倍の
時の差分電圧ΔVYを出来るだけランプゲインX倍の時の差分電圧ΔVXに近くなるようにオフセット電圧VOFYを設定する。
【0055】
言い換えると、ランプゲインがY倍の状態(第2の駆動状態)におけるオフセット電圧VOFYは、ランプゲインがX倍の状態(第1の駆動状態)におけるオフセット電圧VOFXに、ランプゲイン比(X/Y)を掛けた値よりも小さく設定される。ここで、ランプゲイン比(X/Y)は、第1の駆動状態における参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量(第1の電圧量)に対する、第2の駆動状態における参照電圧の単位時間あたりの電圧変化量(第2の電圧量)の比ともいえる。そして、第1の駆動状態および第2の駆動状態での、N信号変換期間における参照電圧の最大値とオフセット電圧との差(それぞれΔVX、ΔVY)、が略等しくなるように第2の駆動状態におけるオフセット電圧VOFYが設定される。なおここで、ΔVXとΔVYが「略等しい」とは、これらの値の差が、N信号の列毎の電圧バラツキや電圧変動(ΔVN)と比較して十分小さいこと(典型的には10分の1以下)を意味する。
【0056】
ランプゲインY倍の時のオフセット電圧VOFYを、ランプゲインX倍の時のオフセット電圧VOFXのランプゲイン比(X/Y)倍した電圧より小さくなるように設定するためには、ランプ回路10の容量C1への電荷蓄積時間を短くすればよい。ランプゲインX倍の時は、図3に示すように、EN信号とRES信号がともにオンである時刻t1から時刻t2の期間に容量C1に電荷が蓄積される。これに対して、ランプゲインY倍の時には、時刻t2’(ただし、t1<t2’<t2)にEN信号をオフとして、容量C1への電荷蓄積時間を短くする。これにより、オフセット電圧VOFYをオフセット電圧VOFXのランプゲイン比(X/Y)倍した電圧よりも小さくできる。
【0057】
このようにすることで、N信号の電圧変動量ΔVNに対してランプゲインY倍の時の差
分電圧ΔVYを大きくできる(ΔVN<ΔVY)。よって、ランプゲインY倍でもN信号とランプ信号の比較動作を正しく行うことができるので、N信号のA/D変換が正しく行
われ画質劣化は発生しない。また、1水平時間を延ばすこともないため、高速読み出し動作が可能である。したがって、本実施形態によれば、高速で画質劣化することのない高品質な撮像装置を提供することができる。
【0058】
(第2実施形態)
図5は、第2の実施形態におけるランプ回路10の駆動タイミングチャートを示す。図5の駆動タイミングチャートは、図3と同様に1水平期間における駆動タイミングを示す。
【0059】
なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、ランプ回路10の駆動方法が異なるが、装置構成は第1の実施形態と同様である。以下では、第1の実施形態との差分について説明をする。
【0060】
本実施形態の特徴の一つは、オフセット電圧として時刻t12から時刻t13直前のVOF1と、時刻t14から時刻t15直前のVOF2の2つの値を用意して、列に応じてリセット期間を設定してオフセット電圧を変更できる点である。すなわち、リセット期間が、第1のグループの列コンパレータ回路の基準電圧を設定するための第1のオフセット電圧を出力する期間と、第2のグループの列コンパレータ回路の基準電圧を設定するための第2のオフセット電圧を出力する期間と、を含む。
【0061】
例えば、偶数列における列コンパレータ回路のリセット期間に対応したランプ信号のオフセット電圧をVOF1として、奇数列における列コンパレータ回路のリセット期間に対応したランプ信号のオフセット電圧をVOF2とする。
【0062】
すべての列において列コンパレータ回路のオフセット電圧を同一とすると、列コンパレータ回路3のすべての列においてほぼ同時に比較結果が確定する。N信号変換時の列アンプ2の出力信号(N信号)の列毎のバラツキや電圧変動により、比較結果が確定するタイミングは厳密には異なるが、大きく異なることはなくほぼ同一である。すべての列においてほぼ同時に比較結果が確定すると、列コンパレータ回路3の全列に一斉に電流が流れる。電流が一斉に流れると大きな総和電流となり、電源電圧の変動を生じ、電源電圧変動に起因したクロストークなどによって画質劣化をさせることがある。
【0063】
一方、本実施形態では、列に応じてランプ信号のオフセット電圧を2つの値(第1のオフセット電圧VOF1、および第2のオフセット電圧VOF2)から設定する。これにより、N信号変換時に列コンパレータ回路3の比較結果が確定するタイミングがおよそ2つに分散される。したがって、全列の列コンパレータ回路3の電流が一斉に流れることがないので、電源電圧変動を緩和させて画質劣化しにくい駆動をすることができる。
【0064】
さらに、本実施形態においても、ランプゲインX倍からランプゲインY倍に変更する場合、第1の実施形態と同様にする必要がある。すなわち、ランプゲインY倍の時のランプ信号における第1および第2のオフセット電圧を、ランプゲインX倍の時の第1および第2のオフセット電圧に対してランプゲイン比(X/Y)倍した電圧よりも、小さくなるよ
うに設定する。より詳細には、ランプゲインがX倍とY倍の時で、N信号変換期間における参照電圧の最大値と第2のオフセット電圧との差が略等しくなるようにランプゲインY倍の時の第2のオフセット電圧が設定される。なお、同様に、ランプゲインがX倍とY倍の時で、N信号変換期間における参照電圧の最大値と第1のオフセット電圧との差が略等しくなるようにランプゲインY倍の時の第1のオフセット電圧が設定してもよい。
【0065】
このようにすることで、画質劣化することのない高品質な撮像装置を提供することできる。
【0066】
なお、本実施形態では、画素列を偶数列と奇数列の2つに分けて、それぞれに対して異なるオフセット電圧を設定しているが、画素列を列の偶奇以外の基準で分類してもよい。すなわち、画素列を第1の列グループと第2の列グループに分類して、それぞれの列グループの列コンパレータ回路に対して異なるオフセット電圧を設定する形態であれば、列のグループ分けの方法は特に限定されない。また、画素列を2つのグループに分類する以外に、3つ以上のグループに分類してそれぞれの列コンパレータ回路に対して異なるオフセット電圧を設定してもよい。
【0067】
(第3実施形態)
図6は、第3の実施形態におけるランプ回路10の駆動タイミングチャートを示す。図6の駆動タイミングチャートは、図3と同様に1水平期間における駆動タイミングを示す。
【0068】
なお、第3の実施形態は、第1および第2の実施形態と比較して、ランプ回路10の駆動方法が異なる。以下では、第1の実施形態との差分について説明をする。
【0069】
本実施形態の特徴の一つは、画素回路から読み出されたアナログ信号を、列アンプ回路2で高ゲインHgと低ゲインLgの異なる2つのゲインで読み出す点である。このようにすることで、低輝度の画素信号は高ゲインHgで読み、高輝度の画素信号は低ゲインLgで読み出し、データ信号演算回路8や撮像装置の外部の回路によって画像合成することでダイナミックレンジを拡張した画像を読み出すことができる。
【0070】
本実施形態においても、ランプゲインX倍からランプゲインY倍(Y>X)に変更する場合、第1の実施形態と同様にする。すなわち、ランプゲインY倍の時のランプ信号におけるオフセット電圧を、ランプゲインX倍の時のオフセット電圧に対してランプゲイン比(X/Y)倍した電圧よりも、小さくなるように設定する。
【0071】
なお、本発明は本実施形態に限定されることなく、列アンプ回路2からの読み出し順番を低ゲインLg、高ゲインHgの読み出し順番を変更し、S信号変換期間とN信号変換期間の読み出し順番を変更して駆動してもよい。さらに、異なる3つ以上の列アンプゲインで読み出すように駆動してもよい。
【0072】
さらに、本発明は上記全ての実施形態に限定されることなく、その他の回路構成によって実現されてもよい。
【0073】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態による撮像システムについて、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【0074】
上記第1乃至第3の実施形態で述べた撮像装置は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、医療用カメラなどの各種の機器が挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置(光電変換装置)とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。図7にはこれらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0075】
撮像システム2000は、図7に示すように、撮像装置100、撮像光学系2002、CPU2010、レンズ制御部2012、撮像装置制御部2014、画像処理部2016、絞りシャッター制御部2018、表示部2020、操作スイッチ2022、記録媒体2024を備える。
【0076】
撮像光学系2002は、被写体の光学像を形成するための光学系であり、レンズ群、絞り2004等を含む。絞り2004は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行なう機能を備えるほか、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッターとしての機能も備える。レンズ群及び絞り2004は、光軸方向に沿って進退可能に保持されており、これらの連動した動作によって変倍機能(ズーム機能)や焦点調節機能を実現する。撮像光学系2002は、撮像システムに一体化されていてもよいし、撮像システムへの装着が可能な撮像レンズでもよい。
【0077】
撮像光学系2002の像空間には、その撮像面が位置するように撮像装置100が配置されている。撮像装置100は、第1乃至第3の実施形態で説明した撮像装置であり、CMOSセンサ(画素部)とその周辺回路(周辺回路領域)とを含んで構成される。撮像装置100は、複数の光電変換部を有する画素が2次元配置され、これらの画素に対してカラーフィルタが配置されることで、2次元単板カラーセンサを構成している。撮像装置100は、撮像光学系2002により結像された被写体像を光電変換し、画像信号や焦点検出信号として出力する。
【0078】
レンズ制御部2012は、撮像光学系2002のレンズ群の進退駆動を制御して変倍操作や焦点調節を行うためのものであり、その機能を実現するように構成された回路や処理装置により構成されている。絞りシャッター制御部2018は、絞り2004の開口径を変化して(絞り値を可変として)撮影光量を調節するためのものであり、その機能を実現するように構成された回路や処理装置により構成される。
【0079】
CPU2010は、カメラ本体の種々の制御を司るカメラ内の制御装置であり、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を含む。CPU2010は、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムに従ってカメラ内の各部の動作を制御し、撮像光学系2002の焦点状態の検出(焦点検出)を含むAF、撮像、画像処理、記録等の一連の撮影動作を実行する。CPU2010は、信号処理部でもある。
【0080】
撮像装置制御部2014は、撮像装置100の動作を制御するとともに、撮像装置100から出力された信号をA/D変換してCPU2010に送信するためのものであり、それら機能を実現するように構成された回路や制御装置により構成される。A/D変換機能は、撮像装置100が備えていてもかまわない。画像処理部2016は、A/D変換された信号に対してγ変換やカラー補間等の画像処理を行って画像信号を生成する処理装置であり、その機能を実現するように構成された回路や制御装置により構成される。表示部2020は、液晶表示装置(LCD)等の表示装置であり、カメラの撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像、撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態等を表示する。操作スイッチ2022は、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。記録媒体2024は、撮影済み画像等を記録するためのものであり、撮像システムに内蔵されたものでもよいし、メモリカード等の着脱可能なものでもよい。
【0081】
このようにして、第1乃至第3の実施形態による撮像装置100を適用した撮像システム2000を構成することにより、高性能の撮像システムを実現することができる。
【0082】
(第5の実施形態)
本発明の5の実施形態による撮像システム及び移動体について、図8A及び図8Bを用いて説明する。図8A及び図8Bは、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
【0083】
図8Aは、車載カメラに関する撮像システム2100の一例を示したものである。撮像システム2100は、撮像装置2110を有する。撮像装置2110は、上述の第1乃至第4の実施形態に記載の撮像装置のいずれかである。また、撮像システム2100は、画像処理部2112と、視差取得部2114と、距離取得部2116と、衝突判定部2118と、を有する。画像処理部2112は、撮像装置2110により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う処理装置である。視差取得部2114は、撮像装置2110により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う処理装置である。距離取得部2116は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する処理装置である。衝突判定部2118は、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する処理装置である。ここで、視差取得部2114や距離情報取得部2116は、対象物までの距離情報等の情報を取得する情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部2118はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。上述の処理装置は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールに基づいて演算を行う汎用のハードウェアによって実現されてもよい。また、処理装置はFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0084】
撮像システム2100は、車両情報取得装置2120と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム2100は、衝突判定部2118での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU2130が接続されている。すなわち、制御ECU2130は、距離情報に基づいて移動体を制御する移動体制御手段の一例である。また、撮像システム2100は、衝突判定部2118での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置2140とも接続されている。例えば、衝突判定部2118の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU2130はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置2140は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0085】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム2100で撮像する。図8Bに、車両前方(撮像範囲2150)を撮像する場合の撮像システム2100を示した。車両情報取得装置2120は、撮像システム2100を動作させ撮像を実行させるように指示を送る。上述の第1乃至第4の実施形態の撮像装置を撮像装置2110として用いることにより、本実施形態の撮像システム2100は、測距の精度をより向上させることができる。
【0086】
以上の説明では、他の車両と衝突しないように制御する例を述べたが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、撮像システムは、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(輸送機器)に適用することができる。移動体(輸送機器)における移動装置はエンジン、モーター、車輪、プロペラなどの各種の駆動源である。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1:画素領域 3:列コンパレータ回路 10:ランプ回路
VR:入力電圧 VRAMP:ランプ信号電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8