(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】冷凍ユニット及び超電導マグネット装置
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20241209BHJP
H10N 60/81 20230101ALI20241209BHJP
【FI】
F25B9/00 H
H10N60/81
(21)【出願番号】P 2020113684
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-02-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 航生
(72)【発明者】
【氏名】澤 史雄
(72)【発明者】
【氏名】末松 妃菜子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政彦
(72)【発明者】
【氏名】栗山 透
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-287838(JP,A)
【文献】特開平02-004172(JP,A)
【文献】特開2017-183526(JP,A)
【文献】特開2006-308213(JP,A)
【文献】特開平03-261184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00
H10N 60/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物を収容する輻射シールドと、前記被冷却物及び前記輻射シールドを収容する真空容器と、この真空容器に取り付けられる極低温冷凍機とを有し、
前記真空容器が、前記極低温冷凍機を収納するスリーブを備え、
前記極低温冷凍機が、前記輻射シールドを冷却する第1冷却部と、前記被冷却物を冷却する第2冷却部とを備え、
前記第2冷却部における外表面の少なくとも一部には、前記外表面と前記スリーブとの空隙を埋め得る柔らかな良熱伝導性の金属からなる被膜層が、メッキ、コールドスプレーまたは溶着を含む施工により形成され、
前記スリーブにおける
前記第2冷却部との接触面には、前記被膜層に対向する位置に離形剥離層がコーティング施工により形成され、前記離形剥離層は、前記被膜層との着脱時に前記被膜層を剥離可能とするとともに、前記
離形剥離層が前記被膜層と接触した際に前記スリーブと前記第2冷却部間の熱伝導性を確保可能な膜厚で形成され、
前記第2冷却部と前記スリーブが、前記被膜層及び前記離形剥離層を介して熱的に且つ着脱可能に接合されて構成されたことを特徴とする冷凍ユニット。
【請求項2】
前記被膜層は、モース硬度3以下の柔らかさの金属にて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍ユニット。
【請求項3】
前記被膜層は、インジウム、アルミニウム、金、銀、錫、または亜鉛の少なくとも1つから選択して構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍ユニット。
【請求項4】
前記離形剥離層は、フッ素系またはシリコーン系の有機物を塗布するコーティング施工にて形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷凍ユニット。
【請求項5】
前記極低温冷凍機の第2冷却部と前記真空容器のスリーブとの接触面がテーパ形状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷凍ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷凍ユニットにおける極低温冷凍機の第2冷却部が冷却する被冷却物が、超電導コイルであることを特徴とする超電導マグネット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷凍ユニット、及びこの冷凍ユニットが適用されて超電導コイルを冷却する超電導マグネット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝導冷却方式の超電導マグネット装置では、クライオスタットなどのように、真空容器にスリーブを設けて極低温冷凍機を装着する構造が知られている。つまり、真空容器の内部には超電導コイルが収容されている。この超電導コイルは、真空容器内に配置されて真空断熱されることで熱の侵入が抑えられる。また、超電導コイルと真空容器の間に輻射シールドが配置されることで、超電導コイルへの熱侵入量が更に低減される。
【0003】
ここで、輻射シールドは第1スリーブを介して、極低温冷凍機の第1冷却ステージに熱接触し、超電導コイルは第2スリーブを介して、極低温冷凍機の第2冷却ステージに熱接触している。このため、極低温冷凍機は、第1スリーブを介して輻射シールドを、第2スリーブを介して超電導コイルをそれぞれ冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6509473号公報
【文献】特開2017-183526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、極低温冷凍機を長期的に運用する場合には定期的なメンテナンスが必要である。その際、特許文献1には、スリーブ内に極低温冷凍機を着脱することで、真空容器内の真空を破ることなく極低温冷凍機を交換可能とする装着構造が記載されている。極低温冷凍機の交換時には、冷却ステージとスリーブとの熱接触が解除される。この特許文献1の装着構造を第2冷却ステージと第2スリーブとの間の着脱構造に適用しようとすると、通常運転時に第2冷却ステージの温度が4Kであるのに対し、第2冷却ステージと第2スリーブとの間に数Kの温度差が生じることが予想される。この場合、超電導コイルは、その運転限界温度が5K台であるため運転できなくなってしまう。
【0006】
この温度差が生じる原因として、極低温冷凍機の第2冷却ステージや第2スリーブの熱接触部に通常用いられる無酸素銅などの材料には微細な凹凸があり、この微細な凹凸によって上記熱接触部に空隙が生じて熱伝導の有効面積が極めて小さくなってしまうからである。熱接触部の空隙が真空の場合には、熱接触部の伝熱が熱伝導と放射のみになるため、極低温冷凍機の第2冷却ステージと第2スリーブとの間に更に大きな温度差が生じてしまう。
【0007】
また、特許文献2では、第1冷却ステージと第1スリーブのフランジとの間に、熱接触を向上させるために熱伝導シートが挿入されている。但し、この熱伝導シートのインジウムは、フランジ側に移行し易く繰り返して使用できないために、フランジ側に熱伝導剥離層が配置されている。
【0008】
しかしながら、この特許文献2においては、
図5に示すように、第1冷却ステージ101と第1スリーブのフランジ102との熱接触部に熱伝導シート(インジウムシート)103を介在させた場合でも、第1冷却ステージ101と第1スリーブのフランジ102との間に依然として空隙104が存在する。その結果、通常運転時に第1冷却ステージ101と第1スリーブとの間に数K程度の大きな温度差が生じてしまう。特に、熱接触部に生ずる空隙104が真空の場合には、第1冷却ステージ101から第1スリーブのフランジ102への伝熱が、熱接触部の熱伝導と放射のみになるため、第1冷却ステージ101と第1スリーブのフランジ102との間に更に大きな温度差が生じてしまうという課題がある。
【0009】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、極低温冷凍機の第2冷却部と真空容器に設けられて被冷却物に熱接触するスリーブとの温度差を低減でき、更に、第2冷却部とスリーブとの着脱性を向上させることができる冷凍ユニット及び超電導マグネット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態における冷凍ユニットは、被冷却物を収容する輻射シールドと、前記被冷却物及び前記輻射シールドを収容する真空容器と、この真空容器に取り付けられる極低温冷凍機とを有し、前記真空容器が、前記極低温冷凍機を収納するスリーブを備え、前記極低温冷凍機が、前記輻射シールドを冷却する第1冷却部と、前記被冷却物を冷却する第2冷却部とを備え、前記第2冷却部における外表面の少なくとも一部には、前記外表面と前記スリーブとの空隙を埋め得る柔らかな良熱伝導性の金属からなる被膜層が、メッキ、コールドスプレーまたは溶着を含む施工により形成され、前記スリーブにおける前記第2冷却部との接触面には、前記被膜層に対向する位置に離形剥離層がコーティング施工により形成され、前記離形剥離層は、前記被膜層との着脱時に前記被膜層を剥離可能とするとともに、前記離形剥離層が前記被膜層と接触した際に前記スリーブと前記第2冷却部間の熱伝導性を確保可能な膜厚で形成され、前記第2冷却部と前記スリーブが、前記被膜層及び前記離形剥離層を介して熱的に且つ着脱可能に接合されて構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の実施形態における超電導マグネット装置は、前記実施形態に記載の冷凍ユニットにおける極低温冷凍機の第2冷却部が冷却する被冷却物が、超電導コイルであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、極低温冷凍機の第2冷却部と真空容器に設けられて被冷却物に熱接触するスリーブとの温度差を低減でき、更に、第2冷却部とスリーブとの着脱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る冷凍ユニットが適用された超電導マグネット装置を示す模式図。
【
図2】
図1の第2冷却ステージと第2スリーブとの熱接触部を示し、(A)が第2冷却ステージと第2スリーブが非接触の場合を、(B)が第2冷却ステージと第2スリーブとが接触している場合をそれぞれ示す要部断面図。
【
図4】第2実施形態に係る冷凍ユニットが適用された超電導マグネット装置の第2冷却ステージと第2スリーブとの熱接触部を示し、(A)が第2冷却ステージと第2スリーブが非接触の場合を、(B)が第2冷却ステージと第2スリーブとが接触している場合をそれぞれ示す断面図。
【
図5】従来の第1冷却ステージと第1スリーブのフランジとの熱接触部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(
図1~
図3)
図1は、第1実施形態に係る冷凍ユニットが適用された超電導マグネット装置を示す模式図である。この
図1に示す冷凍ユニットとしての超電導マグネット装置10は、被冷却物としての超電導コイル1を、極低温冷凍機13を用いて伝導冷却方式により極低温に冷却するものであり、真空容器11、輻射シールド12、上記極低温冷凍機13及びスリーブ14を有して構成されている。
【0015】
真空容器11は、超電導コイル1及び輻射シールド12を内部に収容すると共に、極低温冷凍機13を支持している。超電導コイル1は、真空容器11内で更に輻射シールド12の内部に収容される。超電導コイル1は、真空容器11内に配置されることで、真空断熱により熱の侵入が抑えられる。また、超電導コイル1は、輻射シールド12内に配置されることで、熱の侵入量が更に低減される。
【0016】
真空容器11に支持されて取り付けられる極低温冷凍機13は、輻射シールド12を冷却する第1冷却部としての第1冷却ステージ15と、超電導コイル1を冷却する第2冷却部としての第2冷却ステージ16と、を有して構成される。ここで、第1冷却ステージ11は、極低温冷凍機13の第1段コールドヘッド17に結合され、また、第2冷却ステージ16は、極低温冷凍機13の第2段コールドヘッド18に例えばねじ結合されて構成される。
【0017】
スリーブ14は、真空容器11に設けられて極低温冷凍機13を収納するものであり、第1スリーブ21及び第2スリーブ22を有してなる。第1スリーブ21は、真空容器11に支持される。また、第2スリーブ22は、
図2に示すように、スタットボルト23及びナット24、並びに皿ばね25を用いて輻射シールド12に支持される。
図1及び
図2に示すように、第1スリーブ21が極低温冷凍機13の第1冷却ステージ15及び第1段コールドヘッド17等を収納し、第2スリーブ22が極低温冷凍機13の第2冷却ステージ16及び第2段コールドヘッド18等を収納する。また、第2スリーブ22は、皿ばね25の弾性力によって、
図2(B)に示すように第2冷却ステージ16に押し付けられて接触する。
【0018】
図1に示すように、極低温冷凍機13の第1冷却ステージ15は、第1スリーブ21を介して輻射シールド12に熱接触し、この輻射シールド12を冷却する。また、
図1及び
図2に示すように、極低温冷凍機13の第2冷却ステージ16は、接触状態の第2スリーブ22を介して超電導コイル1に熱接触し、この超電導コイル1を冷却する。
【0019】
ところで、本第1実施形態では、
図2に示すように、極低温冷凍機13の第2冷却ステージ16と第2スリーブ22とは、被膜層26及び離型剥離層27を介して熱的に且つ着脱可能に接合される。
【0020】
つまり、被膜層26は、第2冷却ステージ16の外表面の少なくとも一部、例えば第2スリーブ22との接触面28に形成される。この被膜層26は、第2冷却ステージ16の接触面28(
図3)の微細な凹凸により形成される接触面28との空隙29を埋め得る程に柔らかな良熱伝導性の金属から構成される。この金属は、具体的には銅、ニッケル、ロジウムまたはルテニウムなどであるが、第2冷却ステージ16の材質として銅(モース硬度3)が用いられる場合には、この銅よりも柔らかなモース硬度3以下の金属であるインジウム、アルミニウム(例えば高純度アルミニウム)、金、銀、錫または亜鉛の少なくとも1つから選択される。
【0021】
第2冷却ステージ16と第2スリーブ22のそれぞれが例えば無酸素銅で構成される場合、これらの第2冷却ステージ16と第2スリーブ22との接触部には、それぞれの接触面における微細な凹凸によって空隙29が生じ、熱接触の有効面積が極めて小さくなって、第2冷却ステージ16と第2スリーブ22との間に大きな温度差が生じてしまう。これに対し、本第1実施形態の如く、第2冷却ステージ16の接触面28に上述の柔らかな良熱伝導性の金属からなる被膜層26が形成されることで、この被膜層26が空隙29を埋めることができる。これにより、第2冷却ステージ16と第2スリーブ22との接触伝熱特性を改善することが可能になる。
【0022】
更に、被膜層26は、上述の柔らか良熱伝導性の金属がメッキ、コールドスプレーまたは溶着を含む施工によって第2冷却ステージ16の接触面28に形成される。これらの施工によって被膜層26が形成されることで、被膜層26の密着性が高くなる。また、被膜層26の膜厚は、潰れ代を考慮して10μm~500μmに設定される。なお、被膜層26が形成される第2冷却ステージ16の接触面28と、この接触面28に対向して第2スリーブ22に形成され接触面28に接触する接触面30は、平面の場合に限らず、曲面または凹凸面であってもよい。
【0023】
離型剥離層27は、第2スリーブ22における被膜層26に対向する位置、例えば接触面30にコーティング施工により形成される。離型剥離層27が存在しない場合、第2冷却ステージ16と第2スリーブ22との着脱時に、第2冷却ステージ16に形成された被膜層26が第2スリーブ22側へ移行する恐れがある。ところが、第2スリーブ22の接触面30に離型剥離層27が形成されることで、被膜層26の第2スリーブ22への移行を防止でき、被膜層26が第2スリーブ22から剥離し易くなる。
【0024】
この離型剥離層27は、例えばアルキルシランカップリング剤及びフッ素系樹脂からなるコーティング剤を塗布してコーティングする第1コーティング施工により形成される。または、離型剥離層27は、銅製の第2スリーブ22へのプラズマ照射後にフッ素系有機物あるいはシリコーン系有機物を塗布してコーティングする第2コーティング施工により形成される。
【0025】
離型剥離層27は、上述のように材質が非金属であって熱伝導率が低いことから、その膜厚は薄く設定される。即ち、離型剥離層27は、第1コーティング施工により形成される場合には10μm程度の膜厚に設定され、第2コーティング施工により形成される場合には数nm~1μm程度の膜厚に設定される。
【0026】
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)及び(2)を奏する。
(1)極低温冷凍機13の第2冷却ステージ16と、この第2冷却ステージ16を収納し超電導コイル1に熱接触する第2スリーブ22とが、被膜層26及び離型剥離層27を介して熱的に且つ着脱可能に接合されている。被膜層26は、第2冷却ステージ42の接触面28との空隙29を埋め得る程に柔らかな良熱伝導性の金属からなる。更に被膜層26は、第2スリーブ22の接触面28にメッキ、コールドスプレーまたは溶着を含む施工により形成されるので、密着性が高い。これらのことから、この被膜層26によって、極低温冷凍機13の第2冷却ステージ16と第2スリーブ22との接触伝熱特性を向上させることができる。これにより、第2冷却ステージ16と第2スリーブ22との温度差が低減されて、第2冷却ステージ16により第2スリーブ22を介して超電導コイル1を良好に冷却することができる。
【0027】
(2)離型剥離層27は、被膜層26を剥離させるものであり、第2スリーブ22における被膜層26に対向する接触面30にコーティング施工により薄い膜厚で形成されている。従って、極低温冷凍機13の第2冷却ステージ16と第2スリーブ22との着脱性を向上させることができると共に、これら第2冷却ステージ16と第2スリーブ22間の熱伝導性を確保して両者(第2冷却ステージ16と第2スリーブ22)間の温度差の増大を抑制することができる。
【0028】
[B]第2実施形態(
図4)
図4は、第2実施形態に係る冷凍ユニットが適用された超電導マグネット装置の第2冷却ステージと第2スリーブとの熱接触部を示し、(A)が第2冷却ステージと第2スリーブが非接触の場合を、(B)が第2冷却ステージと第2スリーブとが接触している場合をそれぞれ示す断面図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0029】
本第2実施形態の冷凍ユニットとしての超電導マグネット装置40が第1実施形態と異なる点は、極低温冷凍機13の第2冷却ステージ42と、この第2冷却ステージ42を収納すると共に超電導コイル1に熱接触する第2スリーブ44との接触構造である。
【0030】
つまり、第2冷却ステージ42が第2スリーブ44に接触する接触面45と、第2スリーブ44が第2冷却ステージ42に接触する接触面46とは、共に同一の傾斜角を備えたテーパ形状に形成されている。そして、第2冷却ステージ42の接触面45に被膜層26が、第1実施形態と同様にして形成される。また、第2スリーブ44の接触面46に離型剥離層27が、第1実施形態と同様にして形成される。
【0031】
従って、本第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)を奏する。
【0032】
(3)被膜層26が形成される第2冷却ステージ42の接触面45と、離型剥離層27が形成される第2スリーブ44の接触面46とがテーパ形状に形成されたことで、第2冷却ステージ42と第2スリーブ44との接触面積を平面形状の場合よりも拡大させることができる。これにより、被膜層26及び離型剥離層27を介した第2冷却ステージ42と第2スリーブ44との接触伝熱特性を第1実施形態の場合よりも向上させることができる。この結果、第2冷却ステージ42と第2スリーブ44との温度差を第1実施形態の場合よりも低減でき、超電導コイル1をより好適に冷却することができる。
【0033】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0034】
例えば、極低温冷凍機13では、第2冷却ステージ16を省略し、第2段コールドヘッド18がスリーブ14の第2スリーブ22に接触する構成とし、このように接触する第2冷却部としての第2段コールドヘッド18の接触面に被膜層26が、第2冷却ステージ42の接触面に離型剥離層27がそれぞれ形成されてもよい。
【0035】
また、第1及び第2実施形態では、被冷却物が超電導コイル1である超電導マグネット装置10、40の場合を述べたが、冷凍ユニットが冷却する被冷却物が、地中や海底などの採取試料、あるいは生物の標本などであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…超電導コイル(被冷却物)、10…超電導マグネット装置(冷凍ユニット)、11…真空容器、12…輻射シールド、13…極低温冷凍機、14…スリーブ、15…第1冷却ステージ、16…第2冷却ステージ、42…第2スリーブ、26…被膜層、27…離型剥離層、28…接触面、29…空隙、30…接触面、40…超電導マグネット装置(冷凍ユニット)、42…第2冷却ステージ、44…第2スリーブ、45、46…接触面