(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】持ち運び可能X線後方散乱システム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/203 20060101AFI20241209BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G01N23/203
G01T1/20 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020126058
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-07-26
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サファイ, モルテザ
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517672(JP,A)
【文献】特表2012-512396(JP,A)
【文献】国際公開第2016/081881(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
G01T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線後方散乱検出装置(10)であって、
ハウジング外装(12a)を備えたハウジング(12)であって、少なくとも複数の電子回路(14)、X線源(22)、及び一体化された高圧電源(16)を含む構成要素を包含するように構成されたハウジング(12)、
電磁場を生成するように構成された光電子増倍管(18)であって、少なくとも1つの前記光電子増倍管が前記ハウジング(12)の外側に位置付けられ、少なくとも1つの前記光電子増倍管が前記ハウジング外装(12a)の近傍に位置付けられている、光電子増倍管(18)、
前記ハウジング外装の近傍に位置付けられたシンチレータ検出器(26)、及び
前記光電子増倍管(18)の近傍に位置付けられた少なくとも1つの偏向ヨーク(20)であって、前記ハウジング外装(12a)の近傍に位置付けられた少なくとも1つの偏向ヨーク(20)を備え
、
前記偏向ヨークが前記光電子増倍管に一体化されている、X線後方散乱検出装置。
【請求項2】
前記偏向ヨークが、所定の対抗する電磁場を生成するように構成され、前記所定の対抗する電磁場が、前記光電子増倍管によって生成される前記電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される、請求項1に記載のX線後方散乱検出装置。
【請求項3】
前記光電子増倍管が、前記光電子増倍管に接続された複数の偏向ヨークを備える、請求項
1又は2に記載のX線後方散乱検出装置。
【請求項4】
前記偏向ヨークが、冷却デバイス、高電圧ケーブル、通信ケーブル、制御ユニット、ケーブル管理デバイス、又はそれらの組み合わせのうちの2つ以上を含む複数の構成要素を不要にする、請求項1から
3のいずれか一項に記載のX線後方散乱検出装置。
【請求項5】
前記X線後方散乱検出装置が物理的な設置面積を有し、前記物理的な設置面積は持ち運び可能な設置面積を更に含み、前記X線後方散乱検出装置は持ち運び可能である、請求項1から
4のいずれか一項に記載のX線後方散乱検出装置。
【請求項6】
前記偏向ヨークが、前記偏向ヨークの周りに巻き付けられた所定量のワイヤーを備える、請求項1から
5のいずれか一項に記載のX線後方散乱検出装置。
【請求項7】
前記偏向ヨークが所定の対抗する電磁場を生成するように構成され、前記対抗する電磁場は所定の対抗する電磁場の値を有する、請求項1から
6のいずれか一項に記載のX線後方散乱検出装置。
【請求項8】
一体化された前記X線源と前記一体化された高圧電源が、ハウジング外装を備えた前記ハウジング内で一体化されている、請求項1から
7のいずれか一項に記載のX線後方散乱検出装置。
【請求項9】
X線後方散乱検出装置を作製する方法(100)(200)(300)であって、
複数のX線後方散乱検出構成要素をハウジング(12)の中に一体化すること(102)であって、前記ハウジングがハウジング外装(12a)を備え、前記複数のX線後方散乱検出構成要素が、高圧電源(16)、複数の電子回路(14)、及びX線生成源(22)を含む、複数のX線後方散乱検出構成要素をハウジング(12)の中に一体化すること(102)、
シンチレータ(26)を前記ハウジング外装の近傍に位置付けること(104)、
光電子増倍管(18)を前記シンチレータの近傍に位置付けること(106)、及び
少なくとも1つの偏向ヨーク(20)を前記光電子増倍管の近傍に位置付けること(108)を含
み、
前記偏向ヨークが前記光電子増倍管に一体化されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、目標構造物及び基板の表面下領域の非破壊試験及び非破壊検査の分野に関する。特に、本開示は、例えば複合材料層の接合強度を含む特性について、中間層を非破壊検査するための、小角X線後方散乱技法を使用する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、特定の産業における接合された複合材料の検査に関する規制ガイドラインは、試験されている材料を破壊する試験技法の使用を要求する。これにより、かなりの出費が必要となり、例えば航空機や他の輸送体などの複合材部品を含む大きな構造物は、運航を取りやめ、破壊検査され、次いで、航空機が運航に戻ることができる前に再作業されることが必要となる。
【0003】
基板を評価するための非破壊検査システムが、ある産業において有用であることが分かってきた。例えば、日常的な保守及び検査を必要とする様々な構成要素及び基板材料へのアクセスが、多大な労力を必要とせずに又は構成要素若しくは基板材料を部分的に若しくは完全に破壊することなく、アクセスすることが困難である産業である。非破壊試験方法又はシステムが、現在使用されている必須の破壊方法に取って代わるために、非破壊試験方法は、破壊試験中に行われる物理的な特定と少なくとも等しいか又はそれを超える、検査される物体の表面又は表面下の一貫して信頼でき且つ再現可能な解析を保証する必要がある。
【0004】
X線は、典型的には、30ペタヘルツから30エクサヘルツ(3×1016Hzから3×1019Hz)の範囲内の周波数、及び100eVから100keVの範囲内のエネルギーに対応する、0.01から10ナノメートルの範囲内の波長を有する、電磁放射線の形態である。X線後方散乱システムは、目標物体を検査するためにX線の間接的な検出を使用するX線撮像システムの一種である。X線後方散乱システムは、典型的には、X線管、コリメータ、及び検出器を備える。X線管は、X線を生成し放射する。コリメータは、X線をフィルタして、特定の方向に対して実質的に平行に移動するX線の一部分を使用して、X線ビームを生成する。
【0005】
X線ビームが目標物体にぶつかると、X線ビームの内のX線の一部又は全部が、目標物体によって様々な方向に散乱する。特に、X線は、目標物体の表面から及び/又は目標物体の表面下から散乱し得る。散乱したX線は、後方散乱と呼ばれる。後方散乱が検出器に衝突すると、検出されたX線後方散乱を使用して、調査されている目標物体についての画像データを生成することができる。例えば、X線ビームが特定の目標物体の表面又は内部の特定の場所に向けられたときに検出される後方散乱を使用して、特定の物体の表面又は内部の特定の場所に対応する画像内の画素についての強度値を生成することができる。非破壊材料評価向けのX線の使用は、検査されている部品、構成要素、基板などを破壊することなしに、検査を可能にする。
【0006】
少なくとも様々な構成要素の重量及び構成により、典型的なX線後方散乱システムは、典型的には大きく、扱いが面倒であり、物体からのX線後方散乱を収集するための典型的には平面的形状を有する固定焦点を有する静止した検出器を使用する。
【発明の概要】
【0007】
本態様によれば、ハウジングを含むX線後方散乱検出装置が開示される。該ハウジングは、少なくとも複数の電子回路及び一体化された高圧電源を含む、構成要素を包含するように構成されている。該装置は、少なくとも1つの光電子増倍管を更に含む。光電子増倍管は、電磁場を生成するように構成され、前記光電子増倍管は、ハウジングから外側に位置付けられ、前記少なくとも1つの光電子増倍管は、ハウジングの近傍に更に位置付けられる。
【0008】
該装置は更に、少なくとも1つの偏向ヨークを含む。偏向ヨークは、光電子増倍管の近傍に配置される。
【0009】
更なる一態様によれば、偏向ヨークは、所定の対抗する電磁場を生成するように構成され、前記対抗する電磁場は、光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される。
【0010】
別の一態様では、光電子増倍管が、偏向ヨークを一体化する。
【0011】
別の一態様では、光電子増倍管が、光電子増倍管に接続された複数の偏光ヨークを備える。
【0012】
更なる一態様では、偏光ヨークの存在が、複数の構成要素の必要性を取り除く。前記複数の構成要素は、冷却デバイス、高電圧ケーブル、通信ケーブル、制御ユニット、ケーブル管理デバイス、又はそれらの組み合わせのうちの2つ以上を含む。
【0013】
別の一態様では、偏光ヨークが、所定の強度及び値を有する対抗する電磁場を生成するように構成される。
【0014】
別の一態様では、X線後方散乱検出装置が、本開示のX線後方散乱検出装置に対して持ち運び可能X線後方散乱検出装置の設置面積を実現するのに十分な設置面積を有する。
【0015】
別の一態様では、X線後方散乱検出装置を作製する方法が開示される。該方法は、複数のX線後方散乱検出構成要素を単一のハウジングであってよいハウジングの中に一体化することを含む。該ハウジングは、ハウジング外装を含む。複数のX線後方散乱検出構成要素は、高圧電源、複数の電子回路、及びX線生成源を含む。該方法は、少なくとも1つのシンチレータ検出器をハウジング外装の近傍に位置付けること、少なくとも1つの光電子増倍管をシンチレータ検出器の近傍に位置付けること、及び少なくとも1つの偏向ヨークを光電子増倍管の近傍に位置付けることを更に含む。「シンチレータ」と「シンチレータ検出器」という用語は、一般的に及び列挙された部分26を特に言及するときに、同等且つ相互交換可能に本明細書で使用される。
【0016】
別の一態様では、X線後方散乱検出装置を作製する方法が開示される。該方法は、複数のX線後方散乱検出構成要素をハウジング外装を含むハウジングの中に一体化することを含む。複数のX線後方散乱検出構成要素は、高圧電源、複数の電子回路、及びX線生成源を含む。該方法は、少なくとも1つのシンチレータ検出器をハウジング外装の近傍に位置付けること、少なくとも1つの光電子増倍管(18)をシンチレータ検出器の近傍に位置付けること、及び少なくとも1つの偏向ヨーク(20)を光電子増倍管の近傍に位置付けることを更に含む。
【0017】
別の一態様では、方法が、少なくとも1つの偏向ヨークを光電子増倍管に接続することを更に含む、偏光ヨークは、所定の対抗する電磁場を生成するように構成される。対抗する電磁場は、光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される。該方法は更に、所定の対抗する電磁場を生成することを含む。前記所定の対抗する電磁場は、光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される。
【0018】
別の一態様では、方法が、複数の偏向ヨークを光電子増倍管に接続することを更に含む。
【0019】
別の一態様では、方法が、複数の偏向ヨークを複数の光電子増倍管に接続することを更に含む。
【0020】
別の一態様では、基板を非破壊検査する方法が開示される。該方法は、X線後方散乱検出装置を基板の近傍に位置付けることを含む。一体化されたX線後方散乱検出装置は、一体化されたX線源、一体化されたコリメータ、一体化された高圧電源、少なくとも1つのシンチレータ検出器、少なくとも1つの光電子増倍管であって、電磁場を生成するように構成された光電子増倍管、及び、光電子増倍管の近傍に位置付けられた少なくとも1つの偏向ヨークであって、所定の対抗する電磁場を生成するように構成された偏向ヨークを含む。該方法は更に、X線ビームを基板に供給することを含む。該方法は、ある量のX線後方散乱をシンチレータ検出器に収集すること、画像信号を生成すること、及び画像信号を読み出し(readout)に送ることを更に含む。
【0021】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な態様において単独で実現することができ、又は、更に別の態様において組み合わせることができるが、これらの詳細は、以下の説明及び添付図面を参照することによって確認することができる。
【0022】
本開示の変形例について概説してきたが、以下では添付の図面を参照する。図面は必ずしも正寸で描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本態様による、持ち運び可能X線後方散乱検出装置の非限定的な図である。
【
図2】本態様による、持ち運び可能X線後方散乱検出装置の非限定的な図である。
【
図3】本態様による、航空機の形態を採る輸送体の非限定的な図である。
【
図4】本態様による、胴体内装の形態を採る輸送体の内装部分の非限定的な図である。
【
図5】本態様による、方法の概略を示す非限定的なフローチャートである。
【
図6】本態様による、方法の概略を示す非限定的なフローチャートである。
【
図7】本態様による、方法の概略を示す非限定的なフローチャートである。及び
【
図8】本態様による、方法の概略を示す非限定的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
X線後方散乱解析は、評価者がX線を使用して、X線ビームを物体に向け、X線が目標物体からの「後方散乱」として散乱した際に、検出デバイスの読み値としてX線後方散乱を間接的に収集することによって、物体を間接的に検査することを可能にする、X線撮像の一種である。収集されたX線後方散乱から生成された信号が、適切なソフトウェアを介して解釈されたときに、X線後方散乱技法は、例えば、例えば目標物体の表面及び/又は目標物体の表面下などの目標物体の領域を特徴付ける、不具合又はそれ以外のものを検出する目的で、目標物体の視認可能な画像を生み出すことができる。
【0025】
目標物体の形状に応じて、X線後方散乱システムは、目標物体の特徴を特定するための適切な解像度を有さないかもれしない。例えば、X線検出器によって生成されX線撮像システムに送信された信号から生成された画像は、目標物体の検出を失敗させ得る特定のサイズの異常を信頼可能に検出することを可能にするための所望のコントラストを提供しないかもしれない(例えば、画像は、十分にシャープではなく、十分にクリアではないかもしれない)。更に、典型的なX線後方散乱システムは、典型的には大きく、扱いが面倒であり、物体からのX線後方散乱を収集するための典型的には平面的形状を有する固定焦点を有する静止した検出器を使用する。
【0026】
典型的なX線後方散乱プロトコル及びシステムでは、X線ビームが、例えばラスターパターンなどの選択されたパターンで目標物体に対して移動されてよい。それによって、画像データは、目標物体の表面又は内部の種々の場所に対して生成され得る。次いで、画像データは、X線後方散乱システムによって検査される目標物体の場所内に、不具合、異常、欠陥などが存在するかどうかを判定するための、計算ソフトウェア及びハードウェアを使用して解釈され得る、1以上の画像を生成することができる。
【0027】
典型的なサイズ又はX線後方散乱検出器の「設置面積」は、X線後方散乱検査体制の実際の有用性を制限し得る。ある場合では、典型的なX線後方散乱検出システムが、1000ポンド以上の重さであり、典型的には機器の現場における静止した試験を必要とし得る。すなわち、大きな構造物向けのインシトゥ・非破壊検査は、典型的には、検査機器(例えば、装置)の設置面積(本明細書では「物理的な設置面積」と同等に呼ばれる)及びサイズ、方法、並びにシステムによって、複雑になる。更に、目標物体の表面が、複雑な幾何学的形状を有するか、又は目標表面がアクセス困難な場所に存在する場合、X線後方散乱検出器は、採用することが難しくなり得る。
【0028】
更に、X線後方散乱システム向けの典型的な設計は、必要とされる量及び強度のX線の形態を採る放射される電磁放射線(EMR)を生成することにおいて使用される、複数の構成要素を必要とする。例えば、X線後方散乱検出器向けに典型的に必要とされる160,000ボルトのX線管を動作させるために必要とされる大きな電源が、典型的には、機器の中に一体化される。更に、冷却デバイス、高電圧ケーブル、通信ケーブル、制御ユニット、ケーブル管理デバイスなどの構成要素が、典型的には、X線後方散乱検出器の中に更に一体化され、システムの複雑さ、重量、全体サイズ、又は「設置面積」を更に増加させる。更に、そのような構成要素が動作のために給電されるときに、そのような構成要素は、後方散乱を検出する(1以上の)シンチレータ検出器の記録値及び読み値と干渉し得るシステムの「ノイズ」に寄与し得る電子署名(electronic signature)を生成する。
【0029】
本態様によれば、特定の構成要素をハウジング内に収容し、更なる構成要素をハウジングの外側の場所に追いやる、改善されたX線後方散乱検出装置が開示される。更に、本態様は、(1以上の)シンチレータ検出器に関連付けられた光電子増倍管の近傍に偏光ヨーク提供し、位置付けることによって、特定の一体化された構成要素のノイズ消去を提供する。偏光ヨークは、所望且つ所定の消去効果をEMR信号に提供し、例えば画像のコントラストなどを改善することによって改善された読み出し画像の解像度をもたらす改善されたシンチレータ読み値をもたらすノイズ消去を提供するように適合される。少なくとも所定の部分的な電磁消去効果であり得る所定の電磁消去効果は、X線後方散乱検出装置の動作中にX線後方散乱検出装置の給電されている構成要素によって生成される1以上の電磁場に対して所望且つ所定の電磁消去若しくは対抗効果(複数可)を生成する目的で、例えば、偏向ヨークの周りに巻き付けられた所定量のワイヤーを提供する(若しくは、偏向ヨークに所定量の他の材料を提供する、ヨークに提供される材料は、調整可能な電磁場であり得る所定の電磁場を生成するように構成されている)又は他の材料を提供することによって、偏向ヨークを製造すること、適合させること、修正することなどによって実現され得る。本目的では、「所定の電磁消去効果」、「電磁消去効果」、及び「電磁対抗効果」という用語が、同等な用語である。それらは、所定の電磁場及び所定の対抗する電磁場を説明するときに、相互交換可能に使用されることが意図されている。本明細書で現在企図されているように、電磁場及び対抗する電磁場は、電磁場の値及び対抗する電磁場の値を有し、それらは何れも所定値であり得る。
【0030】
更に、ハウジング内及び外の構成要素の配向は、少なくとも以前に必要とされていた冷却デバイス、高電圧ケーブル、通信ケーブル、制御ユニット、ケーブル管理デバイスなどの除去を含んで、複数の構成要素の必要性を無くす。X線後方散乱検出器システムからそのような構成要素を除去することによって、該システムの全体的な複雑さが低減され、該システムは、大幅に単純化され、該システムの全体的な重量及び設置面積は、約200から約300ポンドの範囲内の全体的な重量まで大幅に低減される。この重量低減は、本開示のX線後方散乱システムが「持ち運び可能」システムとして分類されるように、例えば、重量支持ロボット又は他の操作される機械的位置決めデバイスによって、本開示のX線後方散乱システムが操作されることを可能にする。すなわち、本態様によれば、本出願において使用される「持ち運び可能」という用語は、非破壊X線後方散乱システム及び/又は装置(例えば、本開示の方法で使用されるシステム及び/又は装置を含む)の重量が、約200ポンドから約300ポンドの範囲内であることを指す。
【0031】
更に、X線後方散乱システムから幾つかの電子構成要素及び他の給電される構成要素を除去することによって、大幅に改善されたX線後方散乱の撮像が実現される。更に、給電される構成要素の数が低減されると、シンチレーション検出器と干渉し得るEMRが、光電子増倍管の近傍に配置される又は光電子増倍管と組み合わされる偏向ヨークの配置によって、特定され、把握され、且つ消去される。
【0032】
本明細書で開示されるシンチレータ検出器は、本開示のX線後方散乱の方法、システム、及び装置と併せて使用されるものであってよく、X線後方散乱検出器に配置され又はさもなければX線後方散乱検出器の中に組み込まれる発光物質を含んだ発光層を含む。発光物質は、後方散乱したX線を吸収し、X線放射を視認可能な光に変換する。視認可能な光に敏感な検出器内に存在する光検出器は、シンチレータからの光を、視覚的画像に解釈される電気信号に変換する。例えば、発光コーティングは、発光物質の少なくとも1つの薄い連続的な層又は発光物質の層であってよい。
【0033】
本X線後方散乱検出器の基板は、X線後方散乱検出器が高度に可撓性であり得るように、非限定的に、目標基板の表面の幾何学的形状を含んで、(本明細書で同等に「目標物体」と称される)目標基板の幾何学的形状を、例えば、補完し、それに厳密に近似し、且つ/又は実質的に合致する、所望される非平面的な幾何学的形状に位置付けられ、さもなければ形作られ得る発光物質を、X線後方散乱検出器の基板が含む程度に、材料から作製され寸法決めされてよい。目標基板の幾何学的形状は、平面的な幾何学的形状を含んでよく、又は、目標基板の幾何学的形状が、例えば、凹形状、凸形状、1以上の不規則形状、複雑な非平面的形状、及びそれらの組み合わせなどを含む、非平面的な幾何学的形状を含んでよい。
【0034】
全体的なX線後方散乱システムの低減された重量が所望される、本態様によれば、本開示のX線後方散乱検出装置、システム、及び方法は、可撓性検出器基板の少なくとも1つの表面を実質的にカバーする発光物質の連続的な薄い層を含む、非常に薄い検出器基板を使用することよって更なる利益を受けることができる。検出器基板及び発光物質層を含む、本開示のX線後方散乱検出装置は、好適には約50μmから約100μmの範囲内の全体的な可撓性検出器の厚さに選択され且つ製造されてよいが、必要であれば、より薄い発光物質層を使用することもできる。
【0035】
本態様によれば、X線後方散乱技法、並びに、本開示のX線後方散乱の方法、装置、及びシステムの使用を介して可能となるX線後方散乱の撮像の解像度及びコントラストは、システム内の様々な源から放射される所定量のEMRに効果的に対抗し又はそれを「消去」するように構成された、偏向ヨークを使用することによって大幅に改善される。
【0036】
したがって、本開示の非破壊X線後方散乱検出の装置、システム、及び方法は、装置の様々な構成要素によって装置及びシステムの中に導入される存在している電磁放射線を、測定し又はさもなければ特定して考慮することによって、改善された検査撮像信号伝達及び結果としての画像を提供する。電磁放射線と潜在的に干渉するレベル又は量が特定されると、偏光ヨークは、外部システム及び装置の中に導入される干渉する電磁放射線の存在によって引き起こされるそのようなシステムの「ノイズ」を「打ち消す」又はさもなければ中立化する目的で、対抗するレベルの電磁放射線を生成するように調整される。
【0037】
更なる本態様によれば、調整される偏光ヨークは、例えば、ある量又は程度の金属又は他の材料の「巻線」を提供することなどによって、必要不可欠な対抗する電磁放射力を提供する材料を用いて且つそのような配向に構築される。更なる本態様は、ハウジングの内側に(特定のレベルの電磁放射線を放射することができる)様々なシステム構成要素を位置付けることによって、干渉する電磁放射線の存在を改良するために更に役立つ。装置のハウジングは、普通であればシンチレータと干渉し得るはず又は普通であれば装置の計算機能によって解釈されるべきシンチレータによって送信される信号と干渉するはずの、及び普通であればコントラストを低減させる「ノイズ」に寄与するはず又は普通であれば出力を見るシステム若しくは装置において見られ得る撮像信号の解像度に悪影響を当て得るはずの、外部電磁放射線を低減させる目的で、シールディング又は他の材料の1以上の層を含んでよい。
【0038】
更に、ハウジングの外側の光電子増倍管の近傍に位置付けられた偏向ヨークの対抗する影響と相まって、ハウジング内又は外側の特定のシステム及び装置の構成要素の配向は、例えば、冷却デバイス、高電圧ケーブル、通信ケーブル、制御ユニット、ケーブル管理デバイスなど、又はそれらの組み合わせを含む、様々なシステム及び装置の構成要素の必要性を取り除く。少なくとも1つの前述の構成要素の存在を除去することによって、そのような構成要素が、生成されなければならない対抗するEMRの量を低減させる場合に、普通であれば存在し得るはずの干渉する電磁放射線の生成を低減させ、本システムによって生成される撮像信号及び視認可能な画像の解像度及びコントラストを更に向上させる。
【0039】
本明細書で開示される方法、システム、及び装置は、非平面的な又は非平面的な目標の幾何学的形状を含む目標表面を含む、目標表面を評価及び検査するための間接的な非破壊X線後方散乱技法を含む、非破壊X線検査技法を大幅に改善する。本明細書で使用される際に、「非平面的な」表面の文脈における「非平面的な」という用語は、完全には横たわっていない又は単一平面内に限定することができない少なくとも1つのエリアを有する表面と規定される。本態様によれば、そのような非平面的な目標及び目標表面は、非限定的なやり方で、凹形状、凸形状、不規則形状、複雑な起伏を含む起伏を含む形状、他の複雑な形状、及びそれらの組み合わせを含む、幾何学的形状を更に含む。
【0040】
本態様によれば、X線後方散乱検出器の基板は、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリ‐4‐ビニルフェノール、及びそれらの組み合わせを含む、有機炭素含有材料などの材料から作製されてよい。
【0041】
本態様によれば、発光物質をX線後方散乱検出器の基板(可撓性基板であってよい)上に配置して、シンチレータ上に約200nmから約50μmの範囲内の平均厚さを有する発光物質層を実現することができる。また更に、例えば、例えばインクジェット印刷方法を含む、薄膜を堆積させるための積層造形法を介して、発光物質層を、薄い可撓性のX線後方散乱検出器の基板上に堆積させることができる。インクジェット印刷技法を使用して、発光物質を可撓性基板上に堆積させるときに、発光物質は、発光インクジェット印刷インクの形態でインクジェットプリンターに提供される。インクジェット印刷インクの形態を採り得る任意の発光物質を使用して、発光層を作製することができる。例えば、特に好適な発光物質層は、ユウロピウムを用いてドープされた酸化ガドリニウム(Gd2O3:Eu3
+)、オキシ硫酸ガドリニウム(GdOS)、ヨウ化セシウム(Csl)、及びタングステン酸カルシウム(CaWO4)に基づく、インクジェットプリンターで堆積又は「印刷」される調合物を含んでよい。
【0042】
非限定的な本態様が、
図1で示されている。
図1で示されているように、持ち運び可能非破壊X線後方散乱検査システム10は、ハウジング外装12aを有するハウジング12であって、電子回路14、高圧電源16、X線放射源22、及びフィラメント23を含む、システム構成要素を包含するように構成されたハウジング12を備える(フィラメント23とX線放射源22は、合わせて、X線放射源を含む)。図示されていないが、X線放射源は更に、開孔を有するコリメータ内に配置されたX線放射管を含むと理解される。動作では、X線24が、X線放射源22(例えば、X線管又はX線管の部分であってよい)から放射され、コリメータは、開孔が位置を変え、放射されるX線24を目標基板28上の種々の位置に向けるように回転し得る。
図1で示されているように、目標基板は、目標基板の表面28a及び目標基板の表面下28bを備える。「X線源」及び「X線放射源」及び「X線生成源」という用語は、本明細書で概して同等に使用され、「22」として挙げられる「部分」に言及するときに同等に使用される。
【0043】
本態様によれば、
図1は、ハウジング12から外側に位置付けられ且つハウジング外装12aの近傍に位置付けられた幾つかのシステム構成要素を更に示している。ハウジング12から外側に位置付けられ且つハウジング外装12aの近傍に位置付けられた、そのような構成要素は、複数の偏向ヨーク20を有する複数の光電子増倍管18を含み、複数の偏向ヨーク20は、シンチレータ26の近傍に位置付けられた光電子増倍管18の近傍に位置付けられるように示されている。
【0044】
図2は、非限定的なやり方で、更なる本態様によるX線後方散乱システム30を更に示す図である。
図2で示されているように、持ち運び可能X線後方散乱システム30であってよいX線後方散乱システム30は、X線源22(
図1などで示されているものなど、但し
図2では明瞭に示されていない)から目標基板34に向けて、X線ビーム33の形態を採るX線放射を導くように構成され得る、持ち運び可能X線後方散乱検出器32を含む。
図2で更に示されているように、反射したX線ビーム36は、目標基板34からシンチレータ35への後方散乱として導かれる。信号が、シンチレータにおいて及び/又はシンチレータによって生成され、次いで、持ち運び可能X線後方散乱検出器32からコンピュータ38に送信される。コンピュータ38は、そのようにして受信した信号を解釈し、シンチレータから受信したその信号を撮像信号39に変換する。次いで、撮像信号39は、視覚的な読み出し40に導かれる。視覚的な読み出し40は、例えば、コンピュータモニタや把持式デバイスなどの形態を採り得る。それらから、視覚的画像が見られたり、記録されたりすることが可能である。視覚的な読み出しは、システム30の近傍に位置付けられ得るか、又はシステムから遠隔の距離に位置付けられ、例えばWi-FiやBlueToothなどの無線技術を介してシステムと通信する。
【0045】
本開示のシステム及び装置を使用して、本開示の方法に従って非破壊検査される目標基板は、任意の材料から作製され得る。例えば、持ち運び可能X線後方散乱システムは、金属材料、非金属材料、及びそれらの組み合わせを、非破壊検査することができる。例えば、非金属材料の非限定的な例は、複合材料並びに金属材料及び/又は非金属材料の間に存在する材料及び材料層を含む。それらは、例えば、複合材積層材料を含む複合材料内又はその近傍に存在する接着層(例えば、硬化され得る接着材料、及び例えば材料接合ラインの形態を採り得る接着材料など)を含む。すなわち、本態様によれば、持ち運び可能X線後方散乱の方法、システム、及び装置は、インシトゥ及びリアルタイムで、複合材料内の接合ライン又は複合材料(又は他の非金属材料)と金属材料との間の接合ラインを含む、目標基板の材料内の接合ラインを非破壊検査するように構成され得る。
【0046】
目標基板は、(本明細書で「部分(又は部品)」と同等に称される)離散構成要素、並びに、本態様に従ってインシトゥ及びリアルタイムで非破壊検査され得る、より大きなアセンブリやサブアセンブリなどの中に組み込まれた構成要素を含み得る。本開示の非破壊検査の方法、システム、及び装置から利益を受ける物体の非網羅的なリストは、例えば、建物、橋、トラス、石油製品や他の化学製品(例えば水を含む)のパイプラインに関連して使用されるパイプ、配管、及びパイプラインを含む、配管、パイプ、及びパイプライン、ダクトなどを含む、静止した構造物の製造において使用される、金属及び非金属の部品を含む。並びに、該リストは、例えば、有人及び無人の航空機、有人及び無人の宇宙船、有人及び無人の回転翼航空機、有人及び無人の地上車、有人及び無人の水面輸送体、有人及び無人の水面下輸送体、人工衛星などを含む、輸送体を含む。
【0047】
図3は、航空機の形態を採る輸送体50の非限定的な図である。輸送体/航空機は、胴体52を備える。
図4は、本態様によれば、フレーム94及びストリンガ96を示している、胴体52の胴体内装92aの非限定的な図を示している。本態様によれば、フレーム及びストリンガ並びに胴体自体の表面及び表面下領域が、目標表面として非破壊検査されてよい。
図3及び/又は
図4で例示されている目標表面は、
図1及び
図2の何れかで示されている持ち運び可能X線後方散乱システムを使用して、非破壊検査されてよい。
【0048】
図5は、
図1、
図2、
図3、及び
図4の何れかで示されている持ち運び可能X線後方散乱システムを使用する、目標表面を非破壊検査するための本態様による非限定的な方法を概略的に示すフローチャートである。
図5で示されているように、方法100は、複数のX線後方散乱検出器の構成要素をハウジング12の中に一体化すること(102)を含むように、本態様に従って概略的に示されている。前記ハウジングは、ハウジング外装12aを備え、前記複数のX線後方散乱検出器の構成要素は、高圧電源16、複数の電子回路14、及びX線生成源22を含む該方法は、少なくとも1つのシンチレータ26をハウジング外装12aの近傍に位置付けること(104)、少なくとも1つの光電子増倍管18をシンチレータ26の近傍に位置付けること(106)、及び少なくとも1つの偏向ヨーク20を光電子増倍管18の近傍に位置付けること(108)を更に含む。
【0049】
図6は、
図1、
図2、
図3、及び
図4の何れかで示されている持ち運び可能X線後方散乱システムを使用し、並びに
図5で概略的に示された方法を組み込んでいる、目標表面を非破壊検査するための本態様による非限定的な方法を概略的に示すフローチャートである。
図6で示されているように、方法200は、複数のX線後方散乱検出器の構成要素をハウジング12の中に一体化すること(102)を含むように、本態様に従って概略的に示されている。前記ハウジングは、ハウジング外装12aを備え、前記複数のX線後方散乱検出器の構成要素は、高圧電源16、複数の電子回路14、及びX線生成源22を含む。該方法は、少なくとも1つのシンチレータ26をハウジング外装の近傍に位置付けること(104)、少なくとも1つの光電子増倍管18をシンチレータ26の近傍に位置付けること(106)、及び少なくとも1つの偏向ヨーク20を光電子増倍管18の近傍に位置付けること(108)を更に含む。
図6で示されているように、方法200は、少なくとも1つの偏向ヨークを光電子増倍管に接続すること(210)を更に含む。前記偏向ヨークは、所定の対抗する電磁場を生成するように構成され、前記対抗する電磁場は、光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される。該方法は、所定の対抗する電磁場を生成すること(212)を更に含む。所定の対抗する電磁場は、光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される。該方法は更に、光電子増倍管によって生成された電磁場に少なくとも部分的に対抗すること(214)を含む。
【0050】
図7は、
図1、
図2、
図3、
図4の何れかで示されている持ち運び可能X線後方散乱システムを使用し、並びに
図5と
図6の何れかで概略的に示された方法を組み込んでいる、目標表面を非破壊検査するための本態様による非限定的な方法を概略的に示すフローチャートである。
図7で示されているように、方法300は、複数のX線後方散乱検出器の構成要素をハウジング12の中に一体化すること(102)を含むように、本態様に従って概略的に示されている。ハウジングは、ハウジング外装12aを備え、複数のX線後方散乱検出器の構成要素は、高圧電源16、複数の電子回路14、及びX線生成源22を含む。該方法は、少なくとも1つのシンチレータ26をハウジング外装の近傍に位置付けること(104)、少なくとも1つの光電子増倍管18をシンチレータの近傍に位置付けること(106)、及び少なくとも1つの偏向ヨーク20を光電子増倍管の近傍に位置付けること(108)を更に含む。
図7で示されているように、方法300は、少なくとも1つの偏向ヨークを光電子増倍管に接続すること(210)を更に含む、前記偏光ヨークは、所定の対抗する電磁場を生成するように構成されている。前記対抗する電磁場は、光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される。方法300は更に、所定の対抗する電磁場を生成すること(212)を含む。前記所定の対抗する電磁場は、光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される。方法300は更に、光電子増倍管によって生成された電磁場に少なくとも部分的に対抗すること(214)を含む。
図7で示されているように、概略的に示される方法は、任意選択的に、複数の偏向ヨークを光電子増倍管に接続すること(312)を更に含む。本方法、システム、及び装置が、複数の光電子増倍管を採用するときに、
図7で概略的に示される方法は、任意選択的に、複数の偏向ヨークを複数の光電子増倍管に接続すること(314)を更に含んでよい。
【0051】
図8は、
図1、
図2、
図3、及び
図4の何れかで示されている持ち運び可能X線後方散乱検出システムを使用し、並びに
図5、
図6、及び
図7の何れかで概略的に示された方法を組み込んでいる、目標表面を非破壊検査するための本態様による非限定的な方法を概略的に示すフローチャートである。
図8で示されているように、方法400は、X線後方散乱検出装置を基板の近傍に位置付けること(402)を含むように、本態様に従って概略的に示されている。X線後方散乱検出装置は、ハウジングを備え、ハウジングは、ハウジング外装を備え、X線後方散乱検出装置は、ハウジング内に、一体化されたX線源、一体化されたコリメータ、及び一体化された高圧電源を含む、様々な構成要素を含む。方法400は、ハウジング外装の外側に、少なくとも1つの光電子増倍管であって、電磁場を生成するように構成された光電子増倍管、光電子増倍管の近傍に位置付けられた少なくとも1つの偏向ヨークであって、所定値を有する所定の対抗する電磁場を生成するように構成された偏向ヨーク、及び少なくとも1つのシンチレータ検出器を位置付けること(404)を更に含む。本態様によれば、
図8で示されているように、方法400は、所定の電磁場を生成すること(406)、少なくとも部分的に対抗する電磁場であり得る、所定の対抗する電磁場を生成すること(408)、並びに、X線ビームを基板に供給すること(410)、ある量のX線後方散乱をシンチレータ検出器に収集すること(412)、画像信号を生成すること(414)、及び画像信号を読み出しに送信すること(416)を更に含む。
【0052】
更なる本態様によれば、検出器が、光子エネルギーを収集し記録し、画像データ信号の形態を採る画像データを生成し、本開示の持ち運び可能X線後方散乱検出システム及び本開示の持ち運び可能X線後方散乱検出装置が、画像データ信号を生成し、購入可能なものなどのコンピュータ撮像システム又は更に修正され得るコンピュータ撮像システムに送信する。
【0053】
更なる非限定的な一態様によれば、発光物質層を(1以上の)シンチレータ上に堆積させることは、約200nmから約50μmの範囲内の平均厚さを有する実質的に均一な発光物質層を堆積させることができる任意の方法によって実現され得る。1つの本態様によれば、発光物質をインクジェット印刷することは、例えば、Dimitrix Materials Printer DMP 2831(Fujifilm Dimatrix, Inc.)を使用して実現することができる。好適な一態様では、インクジェットプリンターが、約10pLの滴体積及び約250μmのノズル間の間隔を有する、16ノズル圧電プリントヘッドを有し得る。印刷することは、約5kHzの最大ジェット周波数で行われ得る。
【0054】
更なる非限定的な本態様によれば、有用なポリマーベースの発光インクは、発光物質としての、ユウロピウムを用いてドープされた酸化ガドリニウム(Gd2O3:Eu3
+)であってよい。発光物質は、可撓性検出器基板に接着するために必要な接着特性を有する可撓性発光インクを生成するために、ポリマーマトリクスとしての熱可塑性エラストマー共重合体と組み合わされてよい。1つの有用な熱可塑性エラストマー共重合体は、例えば、245.33g/molの平均分子量を有し且つエチレン‐ブチレンのスチレンに対する比が68:32である、スチレン‐エチレン/ブチレン‐スチレン(SEBS)Calprene CH-6120 (テキサス州ヒューストンのDynasol)を含む。
【0055】
本態様によれば、開示される方法及びシステムは、本開示の持ち運び可能X線後方散乱検出器を目標の近傍に位置付ける。目標は、目標表面形状を有してよく、持ち運び可能X線後方散乱検出器は、X線を放射するように構成されたX線放射源と、X線放射源と通信するコリメータとを含んでよい。コリメータは、X線放射源から放射されたX線放射の少なくとも一部分を使用してX線ビームを生成するように構成される。持ち運び可能X線後方散乱検出器は、X線ビームが目標基板にぶつかったことに応じて生成された後方散乱を検出するように構成される。持ち運び可能X線後方散乱検出器は、好適には連続的なX線シンチレータ基板であるX線シンチレータ基板、及び、(例えば、可撓性X線シンチレータ基板であってよい)X線シンチレータ基板を実質的にカバーするように構成されたX線発光物質の少なくとも1つの層を含む。
【0056】
本開示の方法、システム、及び装置は、検査することが困難であり、さもなければアクセスすることが困難であり得る、構成要素や部品などの目標に対して進化した非破壊検査技法を提供する。そのような物体は、輸送体内の構成要素及び部品、並びに、静止した物体及びシステム内の構成要素及び部品を含み得る。それらは、例えば、非限定的に、パイプライン内で使用されるパイプ、貯蔵タンク、建物、橋、鉄道、トラス内の構造的支持体などを含む。輸送体及び輸送体内の構成要素の非破壊検査は、例えば、非限定的に、有人及び無人の航空機、有人及び無人の宇宙船、有人及び無人の回転翼航空機、有人及び無人の地上車、有人及び無人の水面輸送体、有及び無人の水面下輸送体、並びにそれらの組み合わせの中に組み込まれた構成要素及びアセンブリを含む。
【0057】
更に、本開示は下記の条項による実施形態を含む。
条項1.
X線後方散乱検出装置(10)であって、
ハウジング外装(12a)を備えたハウジング(12)であって、少なくとも複数の電子回路(14)、X線源(22)、及び一体化された高圧電源(16)を含む構成要素を包含するように構成されたハウジング(12)、
電磁場を生成するように構成された光電子増倍管(18)であって、少なくとも1つの前記光電子増倍管が前記ハウジング(12)の外側に位置付けられ、少なくとも1つの前記光電子増倍管が前記ハウジング外装(12a)の近傍に位置付けられている、光電子増倍管(18)、
前記ハウジング外装の近傍に位置付けられたシンチレータ検出器(26)、及び
前記光電子増倍管(18)の近傍に位置付けられた少なくとも1つの偏向ヨーク(20)であって、前記ハウジング外装(12a)の近傍に位置付けられた少なくとも1つの偏向ヨーク(20)を備える、X線後方散乱検出装置。
条項2.
前記偏向ヨークが、所定の対抗する電磁場を生成するように構成され、前記所定の対抗する電磁場が、前記光電子増倍管によって生成される前記電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項3.
前記光電子増倍管が、前記偏向ヨークを一体化する、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項4.
前記光電子増倍管が、前記光電子増倍管に接続された複数の偏向ヨークを備える、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項5.
前記偏向ヨークが、冷却デバイス、高電圧ケーブル、通信ケーブル、制御ユニット、ケーブル管理デバイス、又はそれらの組み合わせのうちの2つ以上を含む複数の構成要素を不要にする、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項6.
前記X線後方散乱検出装置が物理的な設置面積を有し、前記物理的な設置面積は持ち運び可能な設置面積を更に含み、前記X線後方散乱検出装置は持ち運び可能である、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項7.
前記偏向ヨークが、前記偏向ヨークの周りに巻き付けられた所定量のワイヤーを備える、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項8.
前記偏向ヨークが所定の対抗する電磁場を生成するように構成され、前記対抗する電磁場は所定の対抗する電磁場の値を有する、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項9.
一体化された前記X線源と前記一体化された高圧電源が、ハウジング外装を備えた前記ハウジング内で一体化されている、条項1に記載のX線後方散乱検出装置。
条項10.
X線後方散乱検出装置を作製する方法(100)(200)(300)であって、
複数のX線後方散乱検出構成要素をハウジング(12)の中に一体化すること(102)であって、前記ハウジングがハウジング外装(12a)を備え、前記複数のX線後方散乱検出構成要素が、高圧電源(16)、複数の電子回路(14)、及びX線生成源(22)を含む、複数のX線後方散乱検出構成要素をハウジング(12)の中に一体化すること(102)、
シンチレータ(26)を前記ハウジング外装の近傍に位置付けること(104)、
光電子増倍管(18)を前記シンチレータの近傍に位置付けること(106)、及び
少なくとも1つの偏向ヨーク(20)を前記光電子増倍管の近傍に位置付けること(108)を含む、方法。
条項11.
少なくとも1つの偏向ヨークを光電子増倍管に接続すること(210)であって、前記偏光ヨークが、所定の対抗する電磁場を生成するように構成され、前記対抗する電磁場が、前記光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される、少なくとも1つの偏向ヨークを光電子増倍管に接続すること(210)、
所定の対抗する電磁場を生成すること(212)であって、前記所定の対抗する電磁場が、前記光電子増倍管によって生成される電磁場に少なくとも部分的に対抗するように構成される、所定の対抗する電磁場を生成すること(212)、及び
前記光電子増倍管によって生成された電磁場に少なくとも部分的に対抗すること(214)を更に含む、条項10に記載の方法。
条項12.
複数の偏向ヨークを前記光電子増倍管に接続すること(312)を更に含む、条項10に記載の方法。
条項13.
複数の偏向ヨークを複数の光電子増倍管に接続すること(314)を更に含む、条項10に記載の方法。
条項14.
基板を非破壊検査する方法(400)であって、
X線後方散乱検出装置を基板の近傍に位置付けること(402)であって、前記X線後方散乱検出装置が、ハウジング外装を備えたハウジングを備え、前記X線後方散乱検出装置が更に、前記ハウジング内に、
X線源と、
高圧電源とを備える、X線後方散乱検出装置を基板の近傍に位置付けること(402)、
前記ハウジング外装の外側に、
電磁場を生成するように構成された光電子増倍管と、
前記光電子増倍管の近傍に位置付けられた偏向ヨークであって、所定の対抗する電磁場を生成するように構成された偏向ヨークと、
シンチレータ検出器と、を位置付けること(404)、
所定の電磁場を生成すること(406)、
所定の少なくとも部分的に対抗する電磁場を生成すること(408)、
X線ビームを前記基板に供給すること(410)、
ある量のX線後方散乱を前記シンチレータ検出器に収集すること(412)、
画像信号を生成すること(414)、及び
前記画像信号を読み出しに送信すること(416)を含む、方法。
条項15.
前記X線源と前記高圧電源が、ハウジング外装を備えた前記ハウジング内に位置付けられている、条項14に記載の方法。
条項16.
前記シンチレータ検出器、前記光電子増倍管、及び前記偏向ヨークが、前記ハウジング外装の近傍に位置付けられ、更に前記ハウジングの外側に位置付けられている、条項14に記載の方法。
条項17.
少なくとも1つの偏向ヨークを前記光電子増倍管に接続すること(418)を更に含む、条項14に記載の方法。
条項18.
複数の偏向ヨークを前記光電子増倍管に接続すること(420)を更に含む、条項14に記載の方法。
条項19.
複数の偏向ヨークを複数の光電子増倍管に接続すること(422)を更に含む、条項14に記載の方法。
条項20
前記X線後方散乱検出装置が、持ち運び可能X線後方散乱検出装置である、条項14に記載の方法。
【0058】
本開示は、当然ながら、本開示の態様の本質的な特徴から逸脱しない限り、本明細書に具体的に提示された方法とは他の方法で実施することが可能である。本明細書の実施例は、あらゆる点で、全て例示的且つ非限定的であるとみなすべきであり、特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内に入る全ての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。