(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】散水装置及び散水方法
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20241209BHJP
F24F 1/03 20190101ALI20241209BHJP
F24F 1/037 20190101ALI20241209BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/00 E
F24F1/03
F24F1/037
F24F3/14
(21)【出願番号】P 2020162002
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠司
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-089634(JP,A)
【文献】特開平11-257690(JP,A)
【文献】特開2006-138511(JP,A)
【文献】特開2013-122343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 1/03
F24F 1/037
F24F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置された外調機あるいは空調機が空気を加湿する加湿器を
備えており、前記加湿器を利用して散水を行う散水装置であって、
前記加湿器に供給される加湿用の水を、
前記外調機あるいは空調機の上部に対して散水する散水器を備えたことを特徴とする散水装置。
【請求項2】
前記外調機あるいは空調機の外気取入れ側のダクト及び外気給気側のダクトの上部に対して前記散水を行うことを特徴とする請求項1記載の散水装置。
【請求項3】
屋外に設置された屋外設置設備もしくは建物の外部に対して前記散水を行うことを特徴とする請求項
1又は2記載の散水装置。
【請求項4】
前記加湿用の水を、前記加湿器もしくは前記散水器のいずれに供給するかを切り替える切替手段を設けたことを特徴とする請求項1
~3のいずれか一項に記載の散水装置。
【請求項5】
前記切替手段は、外気の温度が設定値よりも上昇したときに、前記散水器に対して加湿用の水を供給することを特徴とする請求項
4記載の散水装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の散水装置を利用して散水を行う散水方法であって、
外気の温度が設定値よりも上昇したときに、
前記切替手段を切り替えて、前記散水器に前記加湿用の水を供給し、前記外調機あるいは空調機の上部に散水することを特徴とする散水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置された空調設備,受変電設備,蓄電設備,太陽光発電設備などに散水する散水装置及び散水方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外設置設備、例えば空調設備の外調機は、建物の屋上に設置されていることが多いが、屋外に設置された空調機やダクト冷水配管は、直射日光にさらされており、冷房の空調負荷が大きい炎天下の猛暑日に、更なる空調負荷を生じさせている。このような空調機器に対して省エネルギー化を図るための手法の一つとして、打ち水ないし散水を行うようにしたものが提案されている。
例えば、下記特許文献1には、コンパクト且つ簡易な構成で省エネを図ることを目的としたドレン水散水装置及び空調装置が開示されている。これは、空調用室内機のドレン水が導入される水量調整部と、空調用室外機の熱交換器上に配置されて前記水量調整部に接続される散水管とを備えており、ドレン水を散水管から室外機の熱交換器に散水するようにしている。下記特許文献2にも、同様にドレン水を室外機の外表面に散布するようにした空気調和機が開示されている。下記特許文献3には、室外機の熱交換器からの放熱における蒸発潜熱による冷却効果を散水量に対して効率よく得ることを目的とした室外機の補助冷却装置が開示されている。補助冷却装置は、保湿部材とノズルとを備えており、ノズルで保湿部材に散水し、保湿部材で、室外機の熱交換器を濡れた状態に維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-150564号公報
【文献】特開2005-114200号公報
【文献】特開2007-240107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1及び2に記載の背景技術では、ドレン水がないとき、あるいは少量のときは、良好な冷却効果が得られない。また、特許文献3記載の背景技術では、補助冷却装置を別途設ける必要があり、装置構成が複雑となる,補助冷却を行う電力も必要となる,といった課題がある。
【0005】
一方、空調設備には、冬季の加湿用の加湿器が設置されていることがある。空調設備に付属する加湿装置は、空調設備内部で上水を散布あるいは蒸発せしめて流体空気の湿度を上げる装置であるが、加湿に利用されるのは冬期の数か月のみで、冷房時期の有効活用ができれば好都合である。
【0006】
加えて、屋外には、受変電設備や蓄電設備、太陽光発電設備などの電気設備も設置される場合があり、これら電気設備に対する昨今の気象変動による夏季の高温対策も必要となる。例えば、
a,屋外設置の受変電設備の設置条件は、例えば、周囲の温度が-20℃~+40℃以内で、かつ、温度の24時間の平均値が+35℃以下となっており、高温下ではケーブルの許容電流値の低下を招く恐れがある。してみると、例えば、周囲温度40℃以上で外函に対して散水を行うようにすると好都合である。
b,蓄電設備(蓄電池)は、周辺温度の上昇により短寿命となる。してみると、蓄電池保護のためには、周囲温度が予め決めた設定値以上となった場合に外函に対して散水を行うようにすると好都合である。
c,太陽光発電設備はある温度を超えると発電効率が低下する。してみると、太陽光発電設備の効率的運用のためには、周囲温度が予め決めた設定値以上となった場合に外函に対して散水を行うようにすると好都合である。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、その目的は、空調装置の加湿器の有効利用を図るとともに、簡便な構成でありながら、効率的に夏季における空調負荷を削減し、省エネルギー化や夏場の電力供給のピークカットを実現することである。他の目的は、屋外に設置された各種設備に対しても、効果的な高温対策を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の散水装置は、屋外に設置された外調機あるいは空調機が空気を加湿する加湿器を備えており、前記加湿器を利用して散水を行う散水装置であって、前記加湿器に供給される加湿用の水を、前記外調機あるいは空調機の上部に対して散水する散水器を備えたことを特徴とする。
【0009】
主要な形態の一つによれば、前記外調機あるいは空調機の外気取入れ側のダクト及び外気給気側のダクトの上部に対して前記散水を行うことを特徴とする。あるいは、屋外に設置された屋外設置設備もしくは建物の外部に対して前記散水を行うことを特徴とする。他の形態によれば、前記加湿用の水を、前記加湿器もしくは前記散水器のいずれに供給するかを切り替える切替手段を設けたことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記切替手段は、外気の温度が設定値よりも上昇したときに、前記散水器に対して加湿用の水を供給することを特徴とする。
【0010】
本発明の散水方法は、前記散水装置を利用して散水を行う散水方法であって、外気の温度が設定値よりも上昇したときに、前記切替手段を切り替えて、前記散水器に前記加湿用の水を供給し、前記外調機あるいは空調機の上部に散水することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外調機あるいは空調機の上部、前記外調機あるいは空調機の外気取入れ側のダクト及び外気給気側のダクトの上部、更には屋外に設置される屋外設置設備もしくは建物の外部に対して、空調装置の加湿器に供給される加湿用の水を散水することとしたので、夏季における加湿器の有効利用を図るとともに、簡便な構成でありながら、効率的に夏季における空調負荷を削減し、省エネルギー化や夏場の電力供給のピークカットを実現することができ、更には、屋外設置設備に対して効果的な高温対策を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例の散水装置の構成を示す図である。(A)は手動切替式の実施例1を示し、(B)は自動切替式の実施例2を示す。
【
図2】本発明の実施例3の散水装置の構成を示す図である。
【
図3】前記実施例における散水器の設置の様子を示す図である。
【
図4】本発明の実施例4の散水装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
最初に、
図1(A)を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。
図1(A)には、本発明を適用した空調装置の構成が示されている。本実施例は、手動で弁を切り替えるようにした例である。同図において、空調装置のうち、屋外に設置されている外調機100は、吸気口102からダクト104を通じて外気を取り込んでおり、ダクト106を通じて送気口108から送出し、更にダクト(図示せず)を介して屋内の空調機(図示せず)に供給されるようになっている。外調機100には、加湿器110が設けられており、この加湿器110で加湿された空気が、ファン120によって前記送気口108に送られるようになっている。
【0015】
加湿器110には、給水管(給水設備)130から電磁弁132,手動弁140を介して加湿用の水が供給されている。電磁弁132は、散水/加湿切替スイッチ134によって切替えられるようになっている。そして、散水/加湿切替スイッチ134によって、前記ダクト104に設置された温度調節器141による散水制御と、室内ないし屋内に設置された湿度調節器142による加湿制御とに切り替えられるようになっている。また、ファン連動接点144の信号に基づいて、空調機停止中に電磁弁132が閉となるように、インターロック制御が行われるようになっている。
【0016】
前記手動弁140は、散水器150に接続されている。散水器150は、外調機100の上部と、外気取入れ側のダクト104の上部と、外気給気側のダクト106の上部に、それぞれ散水可能に設けられている。手動弁140は、給水管130の水を、冬季は加湿器110に供給するように、夏季は散水器150に供給するように、作業者によって手動で切り替えられる。
【0017】
次に、本実施例の全体の動作を説明する。外調機100では、ファン120の回転によって、吸気口102からダクト104を通じて外気が取り込まれ、これがダクト106を通じて送気口108から室内の空調機に供給される。この場合において、外気の温度は、ダクト104の温度調節器141によって制御され、室内に供給される空気の湿度は、湿度調節器142によって制御される。温度調節器141,湿度調節器142が、温度検出器,湿度検出器,制御動作指示調節器による構成であっても同様である。
【0018】
ここで、冬季の暖房運転中においては、手動弁140が加湿器110側に切り替えられる。そして、空調機が運転されてファン連動接点144がONとなれば、ファン120が回転するとともに、インターロックが解除され、電磁弁132の制御が可能となる。この状態で、室内湿度が、湿度調節器142に設定された値よりも低下したときは、電磁弁132が「開」となり、給水管130から手動弁140を通じて、矢印F1で示すように、加湿器110に水が供給される。また、これにより、外調機100で取り込んだ空気が加湿器110で加湿されて室内の空調機に供給されるようになる。
【0019】
一方、夏季の冷房運転中においては、手動弁140が散水器150側に切り替えられる。そして、そして、空調機が運転されてファン連動接点144がONとなれば、ファン120が回転するとともに、インターロックが解除され、同様に電磁弁132の制御が可能となる。この状態で、外気温度が、温度調節器141に設定された値よりも上昇したときは、電磁弁132が「開」となり、給水管130から手動弁140を通じて、矢印F2で示すように、散水器150に水が供給される。これにより、外調機100やダクト104,106に散水器150で散水され、冷却されるようになる。なお、散水器150への水の供給は、給水管130における配管の直圧で行ってもよいし、給水管130にポンプを設けて行ってもよい。
【0020】
以上のように、本実施例によれば、散水器150を屋外の炎天下に置かれた空調設備である外調機100やダクト104に設け、夏季の外気温上昇時に加湿用の水を散水することとしたので、外調機100やダクト104を散水の蒸発による潜熱で奪うことで冷却して温度を下げることができる。これにより、これまで空調装置により処理されていた直射日光による空調負荷を削減でき、省エネルギー化や夏場の電力供給のピークカットを実現できる。加えて、夏季利用されていない加湿用の配管を利用することで、新たに送水用の配管を増設する必要がなく、初期設備費用を削減することが可能である。
【実施例2】
【0021】
次に、
図1(B)を参照しながら、本発明の実施例2について説明する。なお、上述した実施例と同一ないし対応する構成要素には、同一の符号を用いることとする。前記実施例は、手動切替式であるが、本実施例は、自動切替式の例である。同図において、加湿用の給水管130は、加湿用電磁弁160と散水用電磁弁162とにそれぞれ配管されている。そして、加湿用電磁弁160は、加湿器110に配管されており、散水用電磁弁162は、散水器150に配管されている。
【0022】
上述した温度調節器141は、散水用電磁弁162,補助リレー164,ファン連動接点144に接続されており、湿度調節器142は、補助リレー164に接続されており、この補助リレー164が、散水/加湿切替スイッチ134と加湿用電磁弁160に接続されている。散水/加湿切替スイッチ134が散水側となっているときは、温度調節器141と接続される散水用電磁弁162が制御可能となり、加湿用電磁弁160は常に「閉」となる、一方、散水/加湿切替スイッチ134が加湿側となっているときは、湿度調節器142と接続される加湿用電磁弁160が制御可能となり、散水用電磁弁162は常に「閉」となる。
【0023】
冬季においては、空調機が運転されてファン連動接点144がONとなれば、ファン120が回転するとともに、インターロックが解除され、電磁弁160の制御が可能となる。この状態で、室内湿度が、湿度調節器142に設定された値よりも低下したときは、加湿用電磁弁160が「開」となり、散水用電磁弁162は常に「閉」であることから、給水管130から、矢印F1で示すように、加湿器110に水が供給され、外調機100で取り込んだ空気が加湿器110で加湿されて室内の空調機に供給されるようになる。
【0024】
一方、夏季においては、空調機が運転されてファン連動接点144がONとなれば、ファン120が回転するとともに、インターロックが解除され、電磁弁162の制御が可能となる。この状態で、外気温度が、温度調節器141に設定された値よりも上昇したときは、散水用電磁弁162が「開」となり、加湿用電磁弁160は常に「閉」であることから、給水管130から、矢印F2で示すように、散水器150に水が供給され、外調機100やダクト104,106が散水器150で散水され、冷却されるようになる。
【0025】
以上のように、本実施例においても、夏季の外気温上昇時に加湿器用の水が散水されるので、外調機100やダクト104,106を散水の蒸発によって潜熱を奪うことで冷却することができ、温度を下げることができる。
【実施例3】
【0026】
次に、
図2及び
図3を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。本実施例は、建物の屋上に設置された外調機と、各階の屋内に設けられた空調機とによって空調装置が構成されている場合の例である。
図2には空調装置の全体の構成が示されており、
図3には、建物の設置例が示されている。これらの図において、建物の屋上には外調機200が設置されており、1階及び2階の屋内には、空調機300がそれぞれ設置されている。
【0027】
外調機200は、吸気口202からダクト204を通じて外気を取り込むようになっており、ダクト220から各階の空調機300に対して給気するようになっている。外調機200は、冷却コイル210,加熱冷却コイル212,加湿器214,ファン216を備えている。また、ダクト204,外調機200,ダクト220には、散水器230が設けられている。この散水器230に対しては、上述した実施例と同様にして、加湿器214の加湿用の水が供給されるようになっている。
【0028】
外調機200の送気側のダクト220は、各階の空調機300の吸気側のダクト304に接続されている。空調機300は、冷却コイル310,加熱冷却コイル312,加湿器314,ファン316を備えており、ダクト320を通じて送気口322から各階に送気が行われ、ダクト330を通じて還気口332から還気が行われるようになっている。また、各階には、吸気口340が設けられており、ダクト342を通じてファン350の吸込側に接続されている。また、ファン350の吐出側は、ダクト352を通じて排気口354に接続されている。これにより、ファン350を駆動すると、各階の空気が吸気口340から吸気され、排気口354から建物外に排気されるようになっている。ファン350も、屋上に設置されている。
【0029】
更に、建物の壁面ないし窓面には、各階毎に散水器360が設けられており、上述した実施例と同様にして、各階の空調機300の加湿器314の加湿用の水がそれぞれ供給されるようになっている。
【0030】
本実施例によれば、上記実施例と同様に、冬季であれば加湿器214に供給される加湿用の水が、夏季の暑い時期において散水器230に供給されるようになり、外調機200やダクト204,220に散水が行われて冷却されるようになる。更に本実施例によれば、冬季であれば加湿器314に供給される加湿用の水が、夏季の暑い時期において散水器360に供給されるようになり、建物の外壁も良好に冷却されるようになる。
【実施例4】
【0031】
次に、
図4を参照しながら、本発明の実施例4について説明する。本実施例は、空調装置400が建物の屋上に設置されており、各階には給気VAV(Variable Air Volume,可変風量制御装置)500と、還気VAV510がそれぞれ設けられている。空調装置400は、吸気口402からダクト404を通じて外気を取り込むようになっており、ダクト420から各階の給気VAV500に対して給気するようになっている。空調装置400は、冷却コイル410,加熱冷却コイル412,加湿器414,ファン416を備えている。また、排気用のダクト522には排気ファン524が設けられており、排気ファン524は、ダクト530を介して排気口532に配管されている。また、ダクト404,空調装置400の本体,ダクト420,ダクト522には、散水器430が設けられている。この散水器430に対しては、上述した実施例と同様にして、加湿器414の加湿用の水が供給されるようになっている。
【0032】
本例においても、散水器430を空調装置400やダクト404,420,522に設け、夏季の外気温上昇時に加湿器用の水を散水することとしたので、屋外の炎天下に置かれた空調装置400やダクト404,420,522を散水の蒸発によって潜熱を奪うことで冷却することができ、温度を下げることができる。
【0033】
<他の実施例> なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例1では、冷房運転中であって、温度調節器141で外気温度が設定値以上となったときに散水を行うこととしたが、冷房運転中あるいは冷房運転直前において、外気温や、外調機100やダクト104の表面温度が設定値以上となった場合にも、散水を行うようにしてよい。また、外気温度のみならず、外気湿度を考慮するようにしてもよい。湿度が高いときは、散水による冷却効果が低いと考えられるので、一定値以上の湿度となったとき、あるいは降雨時は散水を停止するといった具合である。
(2)前記実施例では、建物の屋上に設置された空調設備に対して散水を行うようにしたが、屋上以外の空調設備その他の各種設備に対しても、外函に散水を行うようにしてよい。また、建物の壁面や窓面のみならず、屋上,バルコニー,テラスに対して散水を行ってもよい。庇に対してミスト噴霧を行うようにしてもよい。
(3)また、散水は、屋外,屋内いずれの空調機の加湿用の水を利用してもよい。例えば、
a,屋外設置の外調機の加湿器で、外調機やその周辺に散水する場合,
b,屋内設置の外調機の加湿器で、壁面・窓面に散水する場合,
c,屋外設置の空調機の加湿器で、空調機やその周辺に散水する場合,
d,屋内設置の空調機の加湿器で、壁面・窓面に散水する場合,
など、各種の態様が考えられる。
(4)前記実施例では、建物の各階に設置した空調機の加湿器を利用して、各階の壁面や窓面に散水を行ったが、例えば、上層階に設置した加湿器を利用して、下層階の壁面や窓面に散水を行うようにしてもよい。
(5)屋外に設置される冷却水配管や冷水配管に対して散水を行うようにしてもよい。
(6)前記実施例では、我が国における夏季・冬季の外気温の変動を前提としたが、南半球では気温変動が夏季と冬季で逆の関係となる。
(7)前記実施例では、屋外ないし室外に設置した空調設備や建物の外部に対して散水を行ったが、屋外に設置された,受変電設備,蓄電設備,太陽光発電設備などの電気設備の外函や、その他の各種の屋外設置設備に対して散水を行って、夏季における高温対策としてよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、外調機あるいは空調機の上部、前記外調機あるいは空調機の外気取入れ側のダクト及び外気給気側のダクトの上部、更には室外に設置する空調設備,電気設備,建物の外部などの散水対象に対して、空調装置の加湿器に供給される加湿用の水を散水することとしたので、夏季における加湿器の有効利用を図るとともに、簡便な構成でありながら、効率的に夏季における空調負荷を削減し、省エネルギー化や夏場の電力供給のピークカットを実現することができ、屋外設置設備に対して効果的な高温対策を施すことも可能となることから、加湿器を有する各種の空調装置に好適である。
【符号の説明】
【0035】
100:外調機
102:吸気口
104,106:ダクト
108:送気口
110:加湿器
120:ファン
130:給水管
132:電磁弁
134:散水/加湿切替スイッチ
140:手動弁
141:温度調節器
142:湿度調節器
144:ファン連動接点
150:散水器
160:加湿用電磁弁
162:散水用電磁弁
164:補助リレー
200:外調機
202:吸気口
204,220:ダクト
210:冷却コイル
212:加熱冷却コイル
214:加湿器
216:ファン
230:散水器
300:空調機
304:ダクト
310:冷却コイル
312:加熱冷却コイル
314:加湿器
316:ファン
320:ダクト
322:送気口
330:ダクト
332:還気口
340:吸気口
342:ダクト
350:ファン
352:ダクト
354:排気口
360:散水器
400:空調装置
402:吸気口
404,420,522:ダクト
410:冷却コイル
412:加熱冷却コイル
414:加湿器
416:ファン
430:散水器
524:排気ファン
530:ダクト
532:排気口
500:給気VAV
510:還気VAV