IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

特許7599884断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法
<>
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図1
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図2
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図3
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図4
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図5
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図6
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図7
  • 特許-断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/40 20060101AFI20241209BHJP
   E04B 9/04 20060101ALI20241209BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20241209BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
E04C2/40 A
E04B9/04 E
B32B7/027
E04B1/80 100P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020162389
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055036
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】下町 浩二
(72)【発明者】
【氏名】中垣 康平
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-287291(JP,A)
【文献】実開昭56-076808(JP,U)
【文献】特開2006-144509(JP,A)
【文献】特開平09-125553(JP,A)
【文献】特開平10-252983(JP,A)
【文献】特開平10-280578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00-1/36
E04B 1/38-1/61
E04B 1/62-1/99
E04B 2/56-2/70
E04B 2/72-2/82
E04B 2/88-2/96
E04B 5/00-5/48
E04B 9/00-9/36
E04C 2/00-2/54
E04F 13/00-13/30
E04F 15/00-15/22
E04D 1/00-3/40
E04D 13/00-15/07
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材の片面全面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板であって、上記断熱材の一部が、上記板材に固定されたガイド体によって一定方向にスライド可能な部位となり、上記ガイド体は、上記断熱材から分離された分離部からなることを特徴とする断熱複合板。
【請求項2】
請求項に記載の断熱複合板において、上記分離部として上記断熱材の両縁が用いられていることを特徴とする断熱複合板。
【請求項3】
請求項に記載の断熱複合板において、上記分離部として上記断熱材の中央側であって当該断熱材の厚さ未満の部分が用いられていることを特徴とする断熱複合板。
【請求項4】
請求項または請求項に記載の断熱複合板において、上記分離部と上記断熱材におけるスライド可能な部位との各々の接触面の全部または一部は、上記断熱材の厚さ方向に対して非平行であり、上記分離部の上記非平行な接触面は上記板材に対向することを特徴とする断熱複合板。
【請求項5】
板材の片面全面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板であって、上記断熱材の全部が、上記板材に固定されたガイド体によって一定方向にスライド可能な部位となり、
上記ガイド体は、上記断熱材とは別に設けられたガイド部材からなり、上記ガイド部材は、上記一定方向と平行に上記断熱材に形成された溝部に係合することを特徴とする断熱複合板。
【請求項6】
板材の片面全面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板であって、上記断熱材の全部が、上記板材に固定されたガイド体によって一定方向にスライド可能な部位となり、
上記ガイド体は、上記断熱材とは別に設けられたガイド部材からなり、上記ガイド部材は、上記断熱材の両縁を支持することを特徴とする断熱複合板。
【請求項7】
板材の片面全面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板であって、上記断熱材の全部または一部が、上記板材に固定されたガイド体によって一定方向にスライド可能に設けられており、
上記スライド可能な部位の上記一定方向の一方の端側に、当該スライド可能な部位から離脱可能に端部離脱部を有するか、または上記全部がスライド可能とされる上記断熱材の上記一定方向の一方の端側に、当該断熱材から離脱可能に端部離脱部を有することを特徴とする断熱複合板。
【請求項8】
板材の片面全面に断熱材を重ね合わせてなり、上記断熱材の全部または一部が、上記板材に固定されたガイド体によって一定方向にスライド可能に設けられている断熱複合板を用い、断熱材の全部または一部を上記一定方向にスライドさせる工程と、上記スライドによって断熱材の端から張り出た板材の部分に、次の断熱複合板における断熱材の全部または一部のスライドによって板材の端から張り出た当該断熱材の部分を重ね合わせる工程と、を含むことを特徴とする室内断熱工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石こうボード等の板材の片面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、石こうボードの他方の片面に断熱材を貼り合わせた断熱複合石こうボードが知られている。このような断熱複合石こうボードを用いて室内天井を施工する場合、天井下地材である野縁にビス留めされる縁部においては、隣り合う断熱複合石こうボード間の突き合わせの隙間は、上記野縁によって塞がれることになる。一方、上記野縁の延設方向に隣り合う断熱複合石こうボード間の突き合わせの隙間の箇所は、上記野縁では塞がれない。複合材とする石こうボードに化粧石こうボードを用いた場合、クロス貼り等はされないため、このようなクロス貼りで上記隙間が塞がれることもない。このため上記隙間から室内の空気が建物躯体側に入り込み易くなり、特に冬期において、建物躯体側で結露が生じ易い。
【0003】
ところで、特許文献1には、表面材に発泡シートを貼り合わせた複合断熱材が開示されている。この複合断熱材の端部には、上記表面材或いは上記発泡シートが単層となる箇所が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-244609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように断熱複合石こうボードを作製した場合、当該断熱複合石こうボードの端部における化粧石こうボードまたは断熱材の単層箇所において、上記化粧石こうボードまたは断熱材が破損するという問題がある。
【0006】
この発明は、板材の片面全面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板において、板材または断熱材の単層箇所が、施工の直前まで生じないようにできる断熱複合板およびこれを用いた室内断熱工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の断熱複合板は、板材の片面全面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板であって、上記断熱材の全部または一部が、上記板材に固定されたガイド体によって一定方向にスライド可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記断熱材の未スライド状態において、当該断熱複合板には板材または断熱材の単層箇所が生じないことになる。すなわち、当該断熱複合板における板材または断熱材の単層箇所が施工の直前まで生じないようにできるので、上記板材や上記断熱材の端側が破損するのを抑制することができる。一方、施工時には、上記断熱材のスライドによって、隣り合う断熱複合板の端側で単層の断熱材の部位と単層の板材の部位とを重ね合わせ、隣り合う断熱複合板の突き合わせ箇所に隙間が生じるのを防止して建物躯体側での結露発生を抑制することができる。また、防湿シートの施工も不要にし得る。
【0009】
上記ガイド体は、上記断熱材から分離された分離部からなり、上記断熱材の一部がスライド可能な部位となってもよい。これによれば、上記ガイド体自体も断熱性を有することになり、断熱性能の低下を回避することができる。
【0010】
上記分離部として上記断熱材の両縁が用いられていてもよい。これによれば、両縁の分離部によって、上記スライド可能な部位を円滑にガイドすることができる。また、上記断熱材の両縁が下地材にビス留めされる施工法では、上記分離部の上記板材への固定が簡易的に行われても問題はないので、断熱複合板の製作容易化が図れる。
【0011】
或いは、上記分離部として上記断熱材の中央側であって当該断熱材の厚さ未満の部分が用いられてもよい。これによれば、上記分離部の個数を1個にできるので、断熱複合板の製作を容易化し得る。
【0012】
上記分離部と上記断熱材におけるスライド可能な部位との各々の接触面の全部または一部は、上記断熱材の厚さ方向に対して非平行であり、上記分離部の上記非平行な接触面は上記板材に対向してもよい。これによれば、上記断熱材が上記板材の下側に位置する姿勢において、上記スライド可能な部位が下方に落下するのを防止することができる。
【0013】
上記ガイド体は、上記断熱材とは別に設けられたガイド部材からなり、上記ガイド部材は、上記断熱材の縁側を支持するか、または上記一定方向と平行に上記断熱材に形成された溝部に係合し、上記断熱材の全部がスライド可能とされてもよい。これによれば、上記ガイド部材が必要になるものの、上記分離部を作製する工程を不要にできる。
【0014】
上記スライド可能な部位の上記一定方向の一方の端側に、当該スライド可能な部位から離脱可能に端部離脱部を有するか、または、上記全部がスライド可能とされる上記断熱材の上記一定方向の一方の端側に、当該断熱材から離脱可能に端部離脱部を有してもよい。これによれば、断熱複合板の設置開始側で離脱させた上記端部離脱部を設置終端側の板部の無断熱材箇所に配置することを、現場での断熱材の切断作業無しで行うことができる。
【0015】
また、この発明の室内断熱工法は、断熱材の全部または一部を上記一定方向にスライドさせる工程と、上記スライドによって断熱材の端から張り出た板材の部分に、次の断熱複合板における断熱材の全部または一部のスライドによって板材の端から張り出た当該断熱材の部分を重ね合わせる工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、板材の片面全面に断熱材を重ね合わせた断熱複合板において、板材または断熱材の単層箇所が、施工直前まで生じないようにして、上記板材や上記断熱材の端側で破損が生じるのを軽減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】同図(A)、(B)、(C)は、実施形態の断熱複合板の平面図、側面図、正面図である。
図2図1の断熱複合板の施工前の積み上げ状態を示した斜視図である。
図3図1の断熱複合板のスライド可能な部位をスライドさせた状態を示した斜視図である。
図4図1の断熱複合板を天井に取り付ける施工方法を示した説明図であり、断熱材のスライド可能部位をドットで示し、分離部はクロスハッチングで示している。
図5】同図(A)は、図1の断熱複合板において、スライド可能な部位の外れを示した説明図であり、同図(B)および同図(C)は、上記外れを防止できる変形例を示した説明図である。
図6】他の実施形態の断熱複合板およびその作製方法を示した説明図である。
図7】同図(A)、(B)、(C)は、他の実施形態の断熱複合板の平面図、側面図、正面図である。
図8】同図(A)は、他の実施形態の断熱複合板を示した説明図であり、同図(B)は化粧石こうボード側の正面図であり、同図(C)は化粧石こうボード側の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1(A)、図1(B)および図1(C)に示すように、実施形態の断熱複合板1は、片面が化粧処理された化粧石こうボード(板材)2の反対側の片面全面に、断熱材3を重ね合わせた構造を有する。
【0019】
上記化粧石こうボード2は、例えば、ジプトーン柄の天井用板材であり、厚さ9.5mm×幅455mm×長さ910mm等の大きさを有する。
【0020】
また、上記断熱材3は、例えば、ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム等からなり、その厚さは、30mm等である。
【0021】
上記断熱材3は、中央側において上記化粧石こうボード2に対してスライド可能に設けられたスライド可能部位3aと、このスライド可能部位3aの両縁側に位置する2本の分離部3bとからなる。
【0022】
上記スライド可能部位3aは、上記化粧石こうボード2に固定されておらず、一定方向(例えば、断熱材3の長辺方向)にスライドする。一方、上記分離部3bは、接着剤等によって、上記化粧石こうボード2に固定されており、上記スライド可能部位3aを上記一定方向にガイドするためのガイド体4として機能する。すなわち、この実施形態では、上記ガイド体4は、上記断熱材3の両縁(分離部3b)からなっている。なお、分離部3bは、上記断熱材3の両縁をカッター等で切断することで形成できる。
【0023】
また、この実施形態では、上記断熱材3の上記スライド可能部位3aの上記一定方向の一方の端側は、当該スライド可能部位3aから離脱可能な端部離脱部3cとなっている。なお、端部離脱部3cも、上記断熱材3の端をカッター等で切断することで形成できる。
【0024】
上記の断熱複合板1であれば、上記断熱材3における上記スライド可能部位3aの未スライド状態において、当該断熱複合板1には、上記化粧石こうボード2または上記断熱材3の単層箇所は生じない。例えば、図2に示すように、当該断熱複合板1における施工前の積み上げ状態において、上記化粧石こうボード2や上記断熱材3の単層箇所が生じないようにできる。これにより、上記化粧石こうボード2や上記断熱材3の端が施工前に破損するのを軽減することができる。一方、施工時には、図3に示すように、上記スライド可能部位3aをスライドさせて部分的な単層状態を形成することができる。
【0025】
上記ガイド体4が上記断熱材3から分離された分離部3bからなると、上記ガイド体4自体も断熱性を有することになり、断熱性能の低下を回避できる。
【0026】
また、上記分離部3bが上記断熱材3(スライド可能部位3a)の両縁に位置すると、これら両縁の分離部3bによって、上記スライド可能部位3aを円滑にガイドすることができる。
【0027】
次に、上記の断熱複合板1を用いた室内断熱工法について説明していく。この工法は、断熱材3の一部であるスライド可能部位3aを上記一定方向にスライドさせる工程と、上記スライドによってスライド可能部位3aの端から張り出た化粧石こうボード2の端部に、次の断熱複合板1におけるスライド可能部位3aのスライドによって化粧石こうボード2の端から張り出たスライド可能部位3aの部分を重ね合わせる工程と、を含む。
【0028】
一例として、図4に示すように、天井を構築する場合、部屋の天井側に組まれた野縁(軽量鉄骨下地等)8に対して、その延設方向に、天井ボードとしての断熱複合板1を複数枚配置していく。このとき、始端に配置する断熱複合板1については、上記スライド可能部位3aのスライドは行わず、部屋の内側方向に位置する端部離脱部3cを取り外す。この天井施工では、断熱複合板1は、化粧石こうボード2を下側にして配置され、野縁8への固定は、分離部3bが位置する断熱複合板1の縁側において、室内側から化粧石こうボード2にビスを打ち込むことにより行う。上記断熱複合板1が野縁8にビスによって留め付けられる施工法では、上記ビスによって上記分離部3bが上記野縁8に固定される。このため、上記分離部3bが上記化粧石こうボード2に接着材の点付けで接着される簡易的な固定が行われても問題はなく、断熱複合板1の製作の容易化が図れる。
【0029】
次に、上記端部離脱部3cを離脱させたことで上記断熱材3(スライド可能部位3a)から張り出した上記化粧石こうボード2の端の部分に、次に配置する断熱複合板1の上記スライドによって化粧石こうボード2の端から張り出た断熱材3(スライド可能部位3a)の部分を重ね合わせる。
【0030】
以後同様に、断熱複合板1の上記スライドによって断熱材3から張り出した化粧石こうボード2の端の部分に、次に配置する断熱複合板1の上記スライドによって化粧石こうボード2の端から張り出た断熱材3の部分を重ね合わせる。
【0031】
そして、終端に配置する断熱複合板1については、断熱複合板1の上記スライドによって生じた化粧石こうボード2上の無断熱材箇所に、始端に配置した断熱複合板1から離脱させた端部離脱部3cを嵌め込む。このように端部離脱部3cを設けておくと、上記作業を、現場での断熱材の切断作業無しで行うことができる。
【0032】
なお、野縁8の延設方向に直交する方向に並ぶ断熱複合板1の突き合わせ箇所には、上記野縁8が存在するので、このような並びの断熱複合板1の突き合わせ箇所の隙間は上記野縁8で塞がれることになる。
【0033】
ところで、上記断熱複合板1では、図5(A)に示すように、その運搬や施工に際して、上記スライド可能部位3aが断熱複合板1から外れるおそれがある。そこで、断熱複合板1として、図5(B)に示す構成が採用されてもよい。すなわち、分離部3bとスライド可能部位3aとの各々の接触面の全部が、断熱材3の厚さ方向に対して非平行(傾斜)であり、分離部3bの接触面が化粧石こうボード2に斜めに対向する構造が用いられてもよい。
【0034】
或いは、断熱複合板1として、図5(C)に示す構成が採用されてもよい。すなわち、分離部3bとスライド可能部位3aとの各々の接触面の一部が、断熱材3の厚さ方向に対して非平行(直交等)であり、分離部3bの上記非平行な接触面の部分が化粧石こうボード2に対向する構造が用いられてもよい。
【0035】
また、上記の室内断熱工法では、断熱複合板1を用いて天井を構築する例を示したが、これに限らず、断熱複合板1を用いて室内壁を構築することもできる。すなわち、壁ボードとしての断熱複合板1を、例えば、その高さ方向(長辺方向)に複数枚配置する際に、その突き合わせ箇所に隙間を生じさせず、且つ、施工前の段階で上記化粧石こうボード2または上記断熱材3の単層状態を生じさせないようにできる。以下の他の実施形態でも同様である。
【0036】
(実施形態2)
次に他の実施形態の断熱複合板について説明していく。図6は、この実施形態の断熱複合板1Aおよびその製作方法の一例を示している。この製作例では、断熱材3の中央側の長辺方向に、例えば、断面が略台形の柱状の分離部3bを、例えば、電熱線の移動によって形成する。この分離部3bは、上記断熱材3の厚さ未満の厚さで存在する。上記断熱材3において、上記分離部3b以外の部位がスライド可能部位3aとなる。
【0037】
次に、上記分離部3bに接着剤を塗布し、断熱材3上に化粧石こうボード2を重ね合わせる。上記接着剤によって、上記化粧石こうボード2と上記分離部3bとが一体化し、上記分離部3bがガイド体4として機能する断熱複合板1Aが制作される。また、この断熱複合板1Aは、上記断熱材3の上記スライド可能部位3aの長辺方向一方の端側に、当該スライド可能部位3aから離脱可能な端部離脱部3cを有する。
【0038】
上記断熱複合板1Aにおいては、上記断熱材3は上記化粧石こうボード2側を上底とし、この上底を下底よりも小さくしているので、上記分離部3bと上記スライド可能部位3aとの各々の接触面(台形の脚となる部分)が、上記断熱材3の厚さ方向に対して傾斜し、上記分離部3bの接触面が上記化粧石こうボード2に斜めに対向する構造となる。なお、終端に配置する断熱複合板1Aの無断熱材箇所に、始端に配置した断熱複合板1から離脱させた端部離脱部3cの凹箇所を分離部3bに嵌め込むことが難しい場合には、上記端部離脱部3cを湾曲させて上記凹箇所の開口側を拡げればよい。
【0039】
(実施形態3)
次に、他の実施形態の断熱複合板について説明していく。図7(A),図7(B)および図7(C)に示すように、この実施形態の断熱複合板1Bにおいては、ガイド体4は、断熱材3とは別に設けられた例えば樹脂製等の4個のガイド部材4Aからなる。このガイド部材4Aは、断面がコ字形状であり開口側を化粧石こうボード2の内側に向けて、当該化粧石こうボード2の長辺側の縁に接着剤等によって固定されている。また、上記ガイド部材4Aは、化粧石こうボード2の上記一定方向の各端から離れて設けられる。上記断熱材3は、その長辺側の縁側をガイド部材4Aに支持されて上記一定方向(断熱材3の長辺方向)にスライドする。なお、断熱材3の長辺方向の縁側の表裏両面は、上記ガイド部材4Aの肉厚分相当の削り処理が施されている。
【0040】
上記断熱複合板1Bであれば、断熱材3の全部がスライド可能部位となる。また、断熱複合板1Bは、断面がコ字形状であるガイド部材4Aを有するので、当該断熱複合板1Bの運搬や施工に際して、上記スライド可能部位3aが断熱複合板1から外れるおそれを低減できる。なお、断熱複合板1Bにおいて、上記全部がスライド可能とされる上記断熱材3の上記一定方向の一方の端側に、当該断熱材3から離脱可能に端部離脱部を有してもよい。この場合、上記端部離脱部を係止するようにガイド部材4Aを別途設けておいてもよい。
【0041】
(実施形態4)
次に、他の実施形態の断熱複合板について説明していく。図8(A),図8(B)および図8(C)に示すように、この実施形態の断熱複合板1Cにおいては、ガイド体4は、断熱材3とは別に設けられた例えば樹脂製等の4個のガイド部材4Bからなる。このガイド部材4Bは、断面が略L字形状であり、このL字における一方の片部が化粧石こうボード2に接着材等で固着され、他方の片部が断熱材3の側に斜めに立ち上がっている。上記ガイド部材4Bは、化粧石こうボード2の端から所定距離離れて設けられる。また、上記断熱材3の化粧石こうボード2側の面には、上記一定方向と平行に上記ガイド部材4Bが通る2本の溝部3dが形成されている。各溝部3dに上記一定方向上の2個のガイド部材4Bが係合されることで、上記断熱材3が化粧石こうボード2に対して上記一定方向にスライド可能となる。
【0042】
上記断熱複合板1Cであれば、断熱材3の全部がスライド可能部位となる。また、断熱複合板1Cにおいては、略L字形状のガイド部材4Bの他方の片部が斜めに立ち上げられているので、当該断熱複合板1Cの運搬や施工に際して、上記スライド可能部位3aが断熱複合板1Cから外れるのを抑制できる。なお、断熱複合板1Cにおいて、上記全部がスライド可能とされる上記断熱材3の上記一定方向の一方の端側に、当該断熱材3から離脱可能に端部離脱部を有してもよい。この場合、上記端部離脱部を係止するようにガイド部材4Bを別途設けておいてもよい。
【0043】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 :断熱複合板
1A :断熱複合板
1B :断熱複合板
1C :断熱複合板
2 :化粧石こうボード(板材)
3 :断熱材
3a :スライド可能部位
3b :分離部
3c :端部離脱部
3d :溝部
4 :ガイド体
4A :ガイド部材
4B :ガイド部材
8 :野縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8