(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】記録装置および記録装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 29/60 20060101AFI20241209BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20241209BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B65H29/60 B
B65H43/00
B65H31/24
(21)【出願番号】P 2020165465
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 直樹
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214433(JP,A)
【文献】特開2013-052929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/60
B65H 43/00
B65H 31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の長尺の用紙を供給する供給手段と、
前記供給手段から引き出された用紙を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって搬送された用紙に画像を記録する記録
手段と、
前記記録
手段で記録された用紙を排紙する第1排紙経路と、
前記記録
手段で記録された用紙を排紙する、前記第1排紙経路とは異なる第2排紙経路と、
前記第1排紙経路または前記第2排紙経路のいずれか
に前記用紙を排紙するように制御する制御手段と、
を備え、
前記第2排紙経路により排紙される方向は、前記第1排紙経路により排紙される方向に比べて前記搬送ローラの搬送方向との角度差が小さく、
前記制御手段は、画像を記録する指示が前記第1排紙経路に排紙することを示している場合であっても、前記搬送ローラによって搬送される前記用紙が所定値以上の厚さを有する用紙である場合には、前記画像が記録された前記用紙を前記第2排紙経路を用いて排紙する
ように制御することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記画像を記録する指示は、前記記録装置に記録を指示するホスト装置から送られる指示であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録装置は、記録された用紙を前記第1排紙経路で排紙するか、前記第2排紙経路で排紙するかの排紙先を、前記記録装置の操作部で設定することが可能であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記記録装置の操作部で設定されている排紙先よりも前記ホスト装置から送られる指示に含まれる排紙先を優先するように制御するように構成され、
前記搬送ローラによって搬送される前記用紙が、所定値以上の厚さを有する用紙である場合には、前記ホスト装置から送られる指示に含まれる排紙先が前記第1排紙経路に排紙することを示している場合であっても、前記画像が記録された前記用紙を前記第2排紙経路を用いて排紙することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録装置は、前記搬送ローラによって搬送される前記用紙の種類を示す情報が、所定値以上の厚さを有する用紙である場合には、前記操作部において前記第1排紙経路を設定できないように構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録手段は、前記記録装置の背面側から前面側に向かって搬送される用紙に画像を記録し、
前記第2排紙経路は、前記記録装置の前面側に排紙するための経路であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記第1排紙経路は、前記記録装置の上面に設置された積載部に排紙するための経路であることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第1排紙経路は、U字形状の経路であり、前記用紙が反転して搬送されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記第1排紙経路を通過する際の搬送抵抗は、前記第2排紙経路を通過する際の搬送経路よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1排紙経路と前記第2排紙経路を切り替える排紙切替フラッパを備え、
前記排紙切替フラッパは、前記第1排紙経路及び前記第2排紙経路のいずれかに用紙を排紙する位置に移動することを特徴とする
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記排紙切替フラッパは、前記制御手段によって排紙経路が決定された後に、移動が必要な位置に移動することを特徴とする
請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記第1排紙経路には、排紙ローラが配され、前記第2排紙経路には、排紙ローラが配されていないことを特徴とする
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記記録手段は、インクを吐出することにより用紙に画像を記録するインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録手段により画像が記録された後の用紙をカットするカッターをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項15】
ロール状の長尺の用紙を供給する供給手段と、
前記供給手段から引き出された用紙を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって搬送された用紙に画像を記録する記録
手段と、
前記記録
手段で記録された用紙を排紙する第1排紙経路と、
前記記録
手段で記録された用紙を排紙する、前記第1排紙経路とは異なる第2排紙経路と、
前記第1排紙経路または前記第2排紙経路のいずれか
に前記用紙を排紙するように制御する制御手段と、
を備えた記録装置の制御方法であって、
前記第2排紙経路により排紙される方向は、前記第1排紙経路により排紙される方向に比べて前記搬送ローラの搬送方向との角度差が小さく、
画像を記録する指示を受信する工程と、
前記受信した指示が前記第1排紙経路に排紙することを示している場合であっても、前記搬送ローラによって搬送される前記用紙が所定値以上の厚さを有する用紙である場合には、前記画像が記録された前記用紙を前記第2排紙経路を用いて排紙する工程と、
を有する
ように制御することを特徴とする記録装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の排紙経路を有する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大判のインクジェット記録装置では、ロール状の用紙を使用して記録が行われている。また、この種の記録装置では、複数の排出経路を有する装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、記録の過程で発生したカット屑、用紙のカール量、サイズ、および仕様などに応じて、用紙の排紙先を切り替える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排紙経路を複数持つ記録装置では、排紙条件に応じて排紙経路を選択的に決定することが求められる。特許文献1の技術を用いても、特許文献1で考慮されていない排紙条件では、適切な排紙経路に切り替えられない虞がある。
【0005】
本発明は、適切な排紙経路を用いて排紙を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る記録装置は、ロール状の長尺の用紙を供給する供給手段と、前記供給手段から引き出された用紙を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラによって搬送された用紙に画像を記録する記録手段と、前記記録手段で記録された用紙を排紙する第1排紙経路と、前記記録手段で記録された用紙を排紙する、前記第1排紙経路とは異なる第2排紙経路と、前記第1排紙経路または前記第2排紙経路のいずれかに前記用紙を排紙するように制御する制御手段と、を備え、前記第2排紙経路により排紙される方向は、前記第1排紙経路により排紙される方向に比べて前記搬送ローラの搬送方向との角度差が小さく、前記制御手段は、画像を記録する指示が前記第1排紙経路に排紙することを示している場合であっても、前記搬送ローラによって搬送される前記用紙が所定値以上の厚さを有する用紙である場合には、前記画像が記録された前記用紙を前記第2排紙経路を用いて排紙するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、適切な排紙経路を用いて排紙を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】記録装置を含む制御系の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図6】操作パネルに表示される排紙先設定画面を示す図である。
【
図7】操作パネルに表示される排紙先非対応画面を示す図である。
【
図8】記録装置ドライバにおいて表示される排紙先選択画面の例を示す図である。
【
図9】排紙先を切替える制御に関するフローチャートである。
【
図10】操作パネルで表示される排紙先非対応エラー画面の例を示す図である。
【
図11】排紙先切替の制御を示すフローチャートである。
【
図12】排紙先切替の制御を示すフローチャートである。
【
図13】操作パネルに表示される搬送調整画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。尚、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0010】
<記録装置の説明>
図1から
図5を用いて本実施形態に適用される記録装置を説明する。本実施形態の記録装置は、用紙を供給するため用紙供給部と、用紙供給部から供給された用紙に画像を記録する記録部と、画像が記録された用紙を排紙する排紙経路を複数有する排紙部と、を備えたインクジェット記録装置である。排紙部は、記録装置上面部と記録装置前面部との2か所に排紙経路を有し、いずれかに選択的に排紙するように構成されている。
【0011】
図1は、記録装置100の概略斜視図である。記録装置100は、複数(具体的には2つ)の用紙供給部200を有する。各用紙供給部200には、ロール状に巻回した長尺シート状の用紙が、記録媒体としてそれぞれセットされている。記録装置100の上部には、スタッカ28が配されている。記録装置100の前面には、操作部である操作パネル2が配されている。ユーザは、操作パネル2に備えられている各種のスイッチなどを用いて、用紙1のサイズ指定、オンライン/オフラインの切り換え、または排紙先の設定など、記録装置100に対する各種コマンドなどを入力することができる。
図1では、用紙1がスタッカ28に向けて排紙されている状態を示している。即ち、
図1は、記録装置100において記録装置上面部を用いた上面排紙を行っている状態の概略図を示している。
【0012】
図2は、記録装置100の概略断面図である。
図2では、
図1と同様に、上面排紙を行っている状態の断面を示している。
図2に示すように、各用紙供給部200には、記録媒体として、ロール状に巻回したロール状用紙Rがそれぞれセットされている。上下に配された各用紙供給部200にセットされたロール状用紙Rは、選択的に引き出され、引き出された用紙1に画像が記録される。尚、本明細書において用紙1とロール状用紙Rとは、同じ記録媒体を指しているが、説明の便宜上、表現を分けている。即ち、本明細書では、ロール状に巻回して用紙供給部200に格納されている状態の記録媒体をロール状用紙Rといい、用紙供給部200から引き出された状態の記録媒体を用紙1という。記録装置100において上下に配された用紙供給部200にセットされた2本のロール状用紙Rから選択的に引き出された用紙1に、画像が記録される。そして記録が完了した用紙1は、記録装置上部に設けられたスタッカ28に排紙される。
【0013】
図2を用いて、一連の制御を概略的に説明する。用紙供給部200にロール状用紙Rがセットされると、ロール状用紙Rが、用紙搬送部(搬送機構)300に向けて引き出され、用紙1の給紙が開始される。この動作は、用紙供給部200により自動で行われたり、ユーザが手動でロール状用紙Rから用紙1を引き出したりすることで、実現される。用紙供給部200によってロール状用紙Rから引き出された用紙1は、用紙搬送部300によって、用紙搬送経路に沿って、画像を記録可能な記録部400に搬送される。
【0014】
記録部400へ導かれた用紙1は、搬送ローラ14によって搬送方向F1へ搬送される。ニップローラ15は、搬送ローラ14の回転に応じて従動回転可能である。記録部400におけるインクジェット式の記録ヘッド18は、光学センサ401を備えている。用紙1は、光学センサ401によって検知可能な位置まで搬送される。用紙1が搬送されると、光学センサ401によって用紙1の乱反射値、正反射値、および記録媒体の厚さの値(以下、紙厚)などが取得される。記録装置100は、これらの値に基づいて、自動的に用紙1の種類を判定することができる。あるいは、ユーザに手動で操作パネル2から用紙の種類を入力させ、記録装置100は、その入力内容に基づいて用紙1の種類の判定を行ってもよい。このように、記録装置100は、搬送ローラ14によって搬送される用紙1の種類を特定可能に構成されている。
【0015】
記録部400は、インクジェット式の記録ヘッド18からインクを吐出することによって、用紙1に画像を記録する。記録ヘッド18は、電気熱変換素子(ヒータ)またはピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を用いて、吐出口からインクを吐出する。尚、記録ヘッド18は、インクジェット方式のみに限定されない。また記録部400の記録方式も、例えば、シリアルスキャン方式あるいはフルライン方式などであってもよい。シリアルスキャン方式の場合には、用紙1の搬送動作と、用紙1の搬送方向と交差する方向における記録ヘッド18の走査を伴った画像の記録動作とを交互に繰り返すことで、画像の記録が行われる。フルライン方式の場合には、用紙1の搬送方向と交差する方向に延在する長尺な記録ヘッド18を用い、用紙1を連続的に搬送しつつ画像の記録動作を行うことで、画像の記録が行われる。
【0016】
記録装置100においては、画像の記録状態の品質を向上するために、記録ヘッド18の調整を実施することが可能である。シリアルスキャン方式の場合には、用紙1の搬送方向と交差する方向に記録ヘッド18を走査させながら画像を記録するため、吐出タイミングがズレると記録した画像にムラが発生する。このため、記録ヘッド18の吐出タイミングの調整が行われる。吐出タイミングの調整は、ヘッド調整用パターンを用紙1に記録し、その結果を自動で取得し、または、操作パネル2から手動で入力することで、実施される。記録ヘッド18の調整では、この他、記録ヘッド18の用紙1の搬送方向に対しての傾きを調整することで画像品質を向上させる調整がある。また、用紙1の幅方向端部に対する吐出位置を調整することで、用紙1の幅端部に余白がない画像を記録することを可能にさせる調整がある。
【0017】
また、記録装置100においては、搬送ローラ14の調整を実施することも可能である。即ち、記録装置100では、搬送方向の画像品質の向上および画像長さの精度の向上のために、搬送量の調整を実施可能である。搬送量にズレがあると、記録した画像にスジが発生したり、画像の長さにズレが発生する。これらの調整も、搬送調整用パターンを用紙1に記録し、その結果を自動で取得し、または、操作パネル2から手動で入力することで、実施される。
【0018】
搬送方向F1において記録ヘッド18の下流側にはカッター21が配置されている。カッター21は、記録終了時に切断動作を行い、用紙1をカットする。搬送方向F1においてカッター21のさらに下流側には、
図2中のE1またはE2位置(方向)に回動可能な排紙切替フラッパ22が配置されている。排紙切替フラッパ22は、排紙先方向指示制御部(図示せず)の制御に基づいて、E1またはE2位置に回動して、位置を切り替えるように構成されている。上面排紙を行う場合、排紙切替フラッパ22は、E1側に位置している。E1側に位置する排紙切替フラッパ22によって、用紙1は、上面排紙部500に案内される。排紙切替フラッパ22を通過した用紙1は、上面排紙部500によって、記録部400の重力方向の上部に設置されるスタッカ28へ排紙される。上面排紙部500とスタッカ28との間には、排紙ローラ25および排紙ニップコロ26を含む上面排紙経路502が備えられている。上面排紙経路502は、排紙経路が湾曲形状であることで排紙方向を反転させ、カットされた用紙を、排紙ローラ25および排紙ニップコロ26で把持して排紙方向F2に排紙する。排紙された用紙は、スタッカ28に収容され、トレイ29および積載紙1aの上部に積載される。記録装置100の上部のスタッカ28に、排紙された用紙を収容することで、記録装置100の下部にバスケットを設けて用紙を収容する場合に比べて、大容量積載を行うことができる。排紙方向F2は、搬送ローラによる搬送方向F1に対して、角度差が大きい。例えば、搬送方向F1を0度とした場合、排紙方向F2は、
図2では、120度程度の角度であり、角度差は、120度程度である。
【0019】
図3は、記録装置100の概略斜視図を示す図である。
図3は、記録装置100において記録装置の前面部を用いた前面排紙を行っている状態の概略図を示している。前面排紙動作においては、記録が完了した用紙1は、記録装置前面部に設けられた前面排紙支持部161から直線状に排紙される。即ち、前面排紙では、排紙経路が湾曲形状ではなく、概略直線形状となっている。
【0020】
図4は、記録装置100の概略断面図である。
図4では、
図3と同様に、前面排紙を行っている状態の断面を示している。
図4では、搬送方向F1においてカッター21の下流側に配置された排紙切替フラッパ22が、E2位置に回動した状態になっている。排紙切替フラッパ22がE2位置にある場合、排紙切替フラッパ22によって用紙1は、前面排紙経路162に案内される。排紙切替フラッパ22を通過した用紙1は、前面排紙支持部161の上部の前面排紙経路162を通って記録装置前面に排紙される。記録終了後カットされた用紙は、前面排紙経路162を通る場合、用紙の自重によって排紙され、記録装置下部から引き出し可能な前面排紙収容部30へ収容される。前面排紙経路162には、上面排紙経路502と異なり、排紙ローラおよび排紙ニップコロは、配されていない。前面排紙経路162は、概略直線状になっており、搬送方向F1に対する排紙方向の角度差は、
図4に示すように、10度程度である。
【0021】
図5は、本実施形態の記録装置100を含む制御系の構成例を説明するためのブロック図である。記録装置100は、CPU201、入力インターフェイス202、RAM203、ROM204、および操作パネル2を有する。また、記録装置100は、用紙供給部200、用紙搬送部300、記録部400、上面排紙部500、および排紙切替フラッパ22を有する。記録装置100には、他の構成も含み得るが、ここではそれらの記載は省略する。
【0022】
CPU201は、ROM204に記憶された制御プログラムに従って、用紙供給部200、用紙搬送部300、記録部400、上面排紙部500、および排紙切替フラッパ22を含む記録装置100の各部を制御する。本実施形態における制御プログラムは、ROM204に記憶されている。CPU201には、操作パネル2から、用紙1の種類、幅、および種々の設定情報などが入力インターフェイス202を介して入力される。またCPU201は、RAM203に対して、用紙1に関する厚みなど情報の書き込みおよび読み出しをする。
【0023】
CPU201には、外部のホスト装置700の記録装置ドライバ701から画像データおよび排紙先の設定などを含む設定情報が、入力インターフェイス202を介して入力される。ホスト装置700は、画像データの供給源であり、具体的には、記録に係る画像等のデータの作成および各種処理等を行うコンピュータの他、画像読み取り用のリーダ部等であってもよい。
【0024】
次に、本実施形態の記録装置100における排紙経路の切り替え動作を説明する。記録装置100は、排紙された用紙1の排紙先を、記録装置100の上部に設置されるスタッカ28へ排紙する上面排紙と、記録装置100の前面に排紙する前面排紙と、から選択することができる。具体的には、ユーザが、操作パネル2による操作によって、上面排紙か前面排紙かを選択することができる。
【0025】
<操作パネルの設定画面>
図6は、操作パネル2に表示される排紙先設定画面601を示す図である。ユーザは、排紙先設定画面601において、「上面排紙」と「前面排紙」とを選択的に指定して、排紙先を設定することができる。排紙先は、用紙1の種類ごとにそれぞれ設定することができる。尚、用紙1の種類は、前述したように、操作パネル2を介してユーザが入力することで設定されてもよいし、光学センサ401を用いて検出することで設定されてもよい。用紙1の種類は、用紙供給部200に収容されている用紙ごとに設定される。
【0026】
尚、上面排紙経路502は、排紙経路がU字形状の経路となっており、
図2に示すように、用紙1が反転して搬送されることになる。このため、用紙1の搬送抵抗が大きくなる。特に、用紙1の種類を示す情報が、所定値以上の厚さの用紙であった場合、上面排紙経路502を通紙する際の搬送抵抗が大きくなり、搬送ができなくなる虞がある。このように、紙厚によっては、上面排紙経路502を通ることが不可能な用紙がある。一方で、前面排紙経路162は、
図4に示すように排紙経路が概略直線形状であるため、用紙1が所定値以上の厚さであっても、前面排紙経路162を通紙する際の搬送抵抗は小さくなり、搬送は正常に行われる。
【0027】
そこで、本実施形態では、用紙1が所定値以上の厚さの場合、操作パネル2の排紙先設定画面601にて上面排紙が選択されると、
図7に示す画面を表示させる。より詳細には、記録装置100のCPU201は、用紙搬送部300に給紙されている用紙の種類(または用紙の厚さ情報)を、RAM203から取得する。そして、用紙の種類が所値以上の厚さの場合、
図7に示す画面を操作パネル2に表示させる。
【0028】
図7は、操作パネル2に表示される排紙先非対応画面705を示す図である。排紙先非対応画面705では、「選択された用紙は上面排紙できません」というメッセージを表示させている。このように、用紙1が所定値以上の厚さの場合、操作パネル2の排紙先設定画面601にて上面排紙が選択されると、設定ができない旨の画面を表示する。
図7の排紙先非対応画面705において、ユーザは操作パネル2の「OK」を選択することで、
図6の排紙先設定画面601に戻る。そして、ユーザは、前面排紙を選択することになる。尚、本例では、ユーザが排紙先設定画面601を選択した後に、その選択が適切でない場合に、エラー画面を表示させる例を示しているが、これに限られない。例えば、用紙1が所定値以上の厚さである場合、
図6の排紙先設定画面601において、上面排紙をグレーアウトするなどして、UI画面上で選択できないように構成されていてもよい。
【0029】
本実施形態において用紙1の所定値以上の厚さとは、一例として、120μm以上であるものとする。尚、本例では、上面排紙を選択できない判断基準は、紙厚である場合を例に挙げたが、これに限られない。用紙の種類によって、上面排紙が適さない場合には、紙厚に関わらず、上面排紙が選択できないように構成されてもよい。例えば、用紙1の材質により静電気が発生し、搬送抵抗が大きくなるような場合に、上面排紙が選択できないように構成されてもよい。
【0030】
以上は、記録装置100側での排紙先の設定の説明である。一方で、排紙先の設定は、記録する画像データを供給するホスト装置700の記録装置ドライバ701からも設定することができる。
【0031】
<記録装置ドライバの設定画面>
図8は、ホスト装置700の記録装置ドライバ701においてホスト装置700の表示部(不図示)に表示される排紙先選択画面810の例を示す図である。
図8に示すように、記録装置ドライバ701の排紙先選択画面810では、「上面排紙」および「前面排紙」の他に、「記録装置設定に従う」を選択することができる。「記録装置設定に従う」を選択した場合、操作パネル2の排紙先設定画面601での設定に従うことを指定することになる。
【0032】
ホスト装置700から、記録対象の画像データを記録装置100に送る場合、ユーザによって設定された排紙先の設定とともに、画像データが記録装置ドライバ701から記録装置100に送られる。ここで、前述したように、排紙先の設定には、記録装置ドライバ701における設定と、操作パネル2における設定との2通りの設定がある。そして、ユーザは、いずれにおいても排紙先を設定可能であるため、記録対象の画像データを記録する場合、記録装置ドライバ701による設定と操作パネル2による設定とが異なる場合がある。本実施形態では、排紙先の設定が異なる場合、記録装置ドライバ701における設定が優先される。1台の記録装置を複数人のユーザが使用する場合に、ユーザから送信される画像データの排紙先がそれぞれが異なることが想定される。このため、各ユーザの排紙先の指定に対応した排紙を可能にするために、記録装置ドライバ701の設定が優先される。しかしながら、前述したように、上面排紙が選択できないようなケースにおいて、記録装置ドライバ701で「上面排紙」が設定された場合、記録装置ドライバ701の設定に従って上面排紙をしてしまうと、搬送ができなくなる虞がある。以下では、記録装置ドライバ701の設定と操作パネル2における設定とが異なるケースを含む各種の処理をフローチャートを用いて説明する。
【0033】
<画像データを記録する際の排紙先の切り替え制御>
図9は、画像データを記録する際の排紙先を切替える制御に関するフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、記録装置100のCPU201が、ROM204などに記憶されているプログラムをRAM203に読み出して実行することによって実施される。尚、各処理の説明における記号「S」は、フローチャートにおけるステップであることを意味する(以下、本明細書において同様である)。
【0034】
S901において、記録装置100は、ホスト装置700の記録装置ドライバ701から送信された画像データを受信して取得する。記録装置100のCPU201は、S901で画像データを受信すると、S902において記録装置ドライバ701の排紙先の設定を確認する。具体的には、S902においてCPU201は、記録装置ドライバ701の設定が、「記録装置設定に従う」であるかを判定する。即ち、画像データとともに記録装置ドライバ701から受信した設定情報に含まれる排紙先の指定が、「記録装置設定に従う」ことを示すかを判定する。記録装置ドライバ701の設定が、「記録装置設定に従う」である場合、S904に進み、そうでない場合、S903に進む。
【0035】
S904においてCPU201は、操作パネル2の排紙先設定が、「上面排紙」であるかを判定する。操作パネル2の設定が「上面排紙」である場合は、用紙1の厚みは、所定値以上(例えば120μm以上)ではないことになる。前述したように、用紙1の厚みが所定値以上の場合には、操作パネル2の設定は、「上面排紙」に設定することができないからである。このため、操作パネル2の設定が「上面排紙」である場合には、上面排紙を実施することが可能な状態である。つまり、S904では、上面排紙が可能であることの確認も実質的に実施していることになる。操作パネル2の設定が「上面排紙」である場合、S905に進み、操作パネル2の設定が「上面排紙」でない場合、即ち、「前面排紙」である場合、S908に進む。
【0036】
S905においてCPU201は、排紙切替フラッパ22の位置が、E1位置であるかを判定する。即ち、排紙切替フラッパ22が、上面排紙を実施する位置であるかを判定する。排紙切替フラッパ22の位置が、E1位置である場合、用紙1を上面排紙経路502へ送ることができるため、S906に進み、上面排紙で記録が開始される。そして、本フローを終了する。一方、排紙切替フラッパ22の位置がE1でない場合は、排紙切替フラッパ22の位置がE2にある状態であるので、S907に進み、CPU201は、排紙切替フラッパ22の位置をE1位置に移動させる。S907で排紙切替フラッパ22のE1位置への移動が完了すると、S906に進み、上面排紙で記録が開始される。そして、本フローを終了する。尚、本実施形態では、排紙切替フラッパ22は、実際に記録が実施される段階で移動が行われる。このため、S904で操作パネル2の設定が「上面排紙」であったとしても、排紙切替フラッパ22の位置がE1でない場合もあり得るので、S905のような判定制御が行われている。
【0037】
S904において操作パネル2の排紙先設定が「前面排紙」であった場合は、S908に進む。S908においてCPU201は、排紙切替フラッパ22の位置がE2位置であるかを判定する。即ち、排紙切替フラッパ22が、前面排紙を実施する位置であるかを判定する。排紙切替フラッパ22の位置が、E2位置である場合、用紙1を前面排紙経路162へ送ることができるため、S909に進み、前面排紙で記録が開始される。そして、本フローを終了する。一方、排紙切替フラッパ22の位置がE2でない場合は、排紙切替フラッパ22の位置がE1にある状態であるので、S910に進み、CPU201は、排紙切替フラッパ22の位置をE2位置に移動させる。S907で排紙切替フラッパ22のE2位置への移動が完了すると、S909に進み、前面排紙で記録が開始される。そして、本フローを終了する。
【0038】
次に、S902において、記録装置ドライバ701の排紙先の設定が、「記録装置設定に従う」ではないと判定した場合の処理を説明する。S903においてCPU201は、記録装置ドライバ701の排紙先の設定が、「上面排紙」であるかを判定する。上面排紙である場合、S911に進み、上面排紙でない場合、即ち、「前面排紙」である場合、S908に進む。
【0039】
S903で、記録装置ドライバ701の設定が「上面排紙」であると判定すると、S9911においてCPU201は、操作パネル2の排紙先の設定が、「上面排紙」であるかを判定する。記録装置ドライバ701および操作パネル2のどちらも「上面排紙」である場合、上面排紙で記録が行われることになる。即ち、操作パネル2の設定が「上面排紙」である場合は、前述したように、用紙1は所定値以上(120μm以上)の厚さではなく、上面排紙が可能な状態である。このため、S911で操作パネル2の排紙先の設定が、「上面排紙」であると判定した場合、S905に進む。S905以降の処理は、上記で説明した通りである。
【0040】
一方、S911において操作パネル2の排紙先の設定が、「上面排紙」でないと判定された場合、即ち、操作パネル2の排紙先の設定が、「前面排紙」であると判定された場合、S912に進む。S912に進む状況は、記録装置ドライバ701の排紙先の設定が「上面排紙」であり、かつ、操作パネル2の排紙先の設定が「前面排紙」である場合である。即ち、記録装置ドライバ701の設定と操作パネル2の設定とが異なる場合である。記録装置ドライバ701の設定と操作パネル2の設定とが異なる場合は、前述の通り記録装置ドライバ701の設定である上面排紙が優先されることになる。しかしながら、この時点では、CPU201は、用紙1が「上面排紙」を実施できるかを確認できていない状態である。そこで、S912においてCPU201は、用紙の紙厚が所定値以上(120μm以上)であるかを判定する。用紙の紙厚が所定値以上でない場合、用紙は厚紙でなく、上面排紙ができる用紙である。このため、S912で用紙の紙厚が所定値以上でないと判定した場合、S905以降の処理に進む。S905以降の処理は、上記で説明した通りである。一方、用紙の紙厚が所定値以上である場合、用紙は厚紙であるため、上面排紙を実施することができない。このため、S913に進み、CPU201は、操作パネル2に、
図10に示すエラー画面を表示する。
【0041】
図10は、S913において操作パネル2で表示される排紙先非対応エラー画面1001の例を示す図である。上面排紙を実施することができないと判定すると、CPU201は、排紙先非対応エラー画面1001を操作パネル2に表示する。ユーザは、排紙先非対応エラー画面1001において、「前面排紙に変更して記録」または「キャンセル」を選択することができる。S914でCPU201は、ユーザによる操作が、「前面排紙に変更して記録」であるかを判定する。「前面排紙に変更して記録」の場合、排紙先を「前面排紙」に変更し、S908に進む。S908以降の処理は、前述した排紙切替フラッパの動作となるので、説明を省略する。一方、ユーザによる操作が、「前面排紙に変更して記録」でない場合、即ち、「キャンセル」が選択された場合、CPU201は、S915に進み、記録をキャンセルする。
【0042】
次に、記録装置ドライバ701の設定が「前面排紙」である場合を説明する。即ち、S902でNOとなり、S903でもNOとなる場合を説明する。記録装置ドライバ701の設定が「前面排紙」の場合は、操作パネル2の排紙先設定に関わらず、前面排紙に決定される。これは、前述したように、記録装置ドライバ701の設定を優先するためであり、かつ、前面排紙による支障が生じないからである。即ち、記録装置ドライバ701の設定と操作パネル2の設定とが異なっていたとしても、前面排紙であれば用紙1の厚みが所定値以上であっても排紙可能である。このため、記録装置ドライバ701の設定である前面排紙が優先されることになる。S903でNOの場合、S908に進む。S908以降の処理は、前述した排紙切替フラッパの動作となるので、説明を省略する。
【0043】
このように、本実施形態では、記録装置ドライバ701から受信した画像データに基づく記録を実施する際に、記録装置ドライバ701の排紙先の設定が、「上面排紙」であっても、用紙1の種類によっては、上面排紙を実施しない制御が行われる。これにより、湾曲部を伴う排紙経路を用いて上面排紙を実施した場合に、例えば紙厚が大きいことに起因して搬送が適切に行われない現象が生じてしまうことを抑制することができる。
【0044】
<ヘッド調整用パターンを記録する際の排紙先の切り替え制御>
図11は、記録ヘッド18のヘッド調整用パターンの記録を行う場合における排紙先切替の制御を示すフローチャートである。前述したように、記録ヘッド18の調整をする場合、ヘッド調整用パターンを記録することで、調整が実施される。ヘッド調整用パターンを記録する場合、
図10で説明した排紙先の切り替え制御とは異なる切り替え制御が実施される。
【0045】
S1101においてCPU201は、ヘッド調整用パターンの記録指示を受ける。ヘッド調整用パターンの記録指示は、記録装置ドライバ701から受信して取得してもよいし、操作パネル2による操作に応じて取得してもよい。ヘッド調整用パターンの記録指示を受けると、S1102に進み、CPU201は、排紙先を、「前面排紙」に自動的に選択する。即ち、CPU201は、記録装置ドライバ701の排紙先設定、および、操作パネル2の排紙先設定に関わらず、前面排紙を自動的に決定する。上面排紙経路502のような、湾曲部を有する排紙経路において用紙1を反転させると、搬送抵抗により、用紙が斜行して用紙が撓んでしまったりすることで、記録済みの調整値が変わってしまうことがある。また、排紙ローラ25による搬送により、記録済みの調整値が変わってしまうこともある。また、上面排紙経路502の構成によっては、湾曲部を有する排紙経路において用紙1が通紙している状態、または、排紙ローラ25がカット前の用紙1を把持した状態で、用紙1に調整パターンが記録される状態も生じ得る。この場合にも、記録位置がずれてしまうこともあり得る。このため、記録ヘッド18の調整が適切に行われない虞がある。一方で、前面排紙経路162のような排紙経路が直線状である場合では、用紙1の搬送抵抗が小さく、用紙1の斜行が発生しにくい。そのため、記録済みの調整値が変わるような現象が生じ難い。従って、ヘッド調整用パターンの記録では、前面排紙経路162を通紙する前面排紙が選択される。S1102で前面排紙が選択されると、S1103~S1105の動作が行われるが、これらは、
図10で説明した排紙切替フラッパ22の動作(S908~S910)と同じ動作であるので説明を省略する。
【0046】
<搬送調整用パターンを記録する際の排紙先の切り替え制御>
図12は、搬送調整用パターン記録を行う際の排紙先切替の制御を示すフローチャートである。前述したように搬送調整用パターンの記録により、搬送ローラ14の搬送量の調整がなされる。また、上面排紙の場合には、排紙ローラ25による搬送影響も含めた形での搬送ローラ14の搬送量の調整が行われる。
【0047】
搬送量の調整に用いる搬送調整用パターンには、画質を優先して調整するパターンと、画像の長さを優先して調整するパターンとがある。これらのパターンの違いを簡単に説明する。画像の記録は、記録ヘッド18を走査して記録する動作と、用紙の搬送動作とを交互に繰り返し行うことで実施される。例えば、用紙1の搬送方向と交差する方向に記録ヘッド18を走査して画像を記録(1回目)し、その後、記録した長さ分だけ用紙1を搬送し、記録ヘッド18を走査して画像を記録する(2回目)。ここで、用紙1を搬送する搬送量が大きい(搬送長が長い)と、1回目と2回目との記録の間に隙間ができて、記録されないスジが生じる。一方、搬送量が小さい(搬送長が短い)と、1回目と2回目との記録が重なり、重なった部分の画像が濃くなったスジが生じる。画像優先パターンは、このスジを生じさせないように調整するパターンである。
【0048】
画像優先で調整をする場合、記録された画像の濃度を検出する調整パターンを記録し、記録された濃度をセンサで検出することで搬送量を調整する。一方、長さ優先は、例えば、100mmの画像を100mmで記録したい、といったように、画像の長さを調整するものである。長さ優先で調整をする場合、所定の長さの調整パターンを記録し、記録したパターンの長さを測定し、長さがズレている分だけ搬送量を調整する。いずれの場合であっても、搬送量は、実際の排紙経路を通過する場合の調整を行う必要がある。以下、搬送調整用パターンを記録する場合の排紙先の切り替え制御を
図12を用いて説明する。
【0049】
S1201において、CPU201は、操作パネル2の搬送調整画面におけるユーザによる選択事項を判定する。尚、ここでは、搬送調整画面は、操作パネル2に表示される例を説明するが、記録装置ドライバ701に搬送調整画面が表示されてもよい。
【0050】
図13は、操作パネル2に表示される搬送調整画面1301を示す図である。搬送調整を実施する場合には、ユーザは、搬送調整画面1301から、「画質優先(上面排紙)」、「画質優先(前面排紙)」、「長さ優先(上面排紙)」、および「長さ優先(前面排紙)」から所望の対象を選択する。上面排紙経路502と前面排紙経路162では、搬送抵抗に差があり、搬送量も異なる。そのため、本実施形態では、上面排紙経路502の搬送量または前面排紙経路162の搬送量を調整する際は、それぞれの排紙経路を用紙1が通紙する状態で搬送調整用パターンの記録が行われる。これにより、それぞれの排紙経路における搬送量を正しく調整することができる。
【0051】
S1201では、CPU201は、「画質優先(上面排紙)」または「長さ優先(上面排紙)」が選択されたか判定する。「画質優先(上面排紙)」または「長さ優先(上面排紙)」が選択された場合、S1202に進み、そうでない場合、S1208に進む。
【0052】
S1202においてCPU201は、紙厚が所定値以上(120μm以上)であるか判定する。紙厚が所定値以上でない場合、用紙は厚紙ではないため、上面排紙ができる。従って、S1204に進み、CPU201は、画質優先、または、長さ優先の搬送調整用パターンの記録指示を送信する。その後、S1205~S1207の動作が行われるが、これらはS905~S907と同様の動作であるので、説明は省略する。一方、紙厚が所定値以上である場合、用紙は厚紙であるため、上面排紙ができない。このため、S1203に進み、操作パネル2に、
図7に示すように排紙先非対応画面705を表示し、「選択された用紙は上面排紙できません」といったメッセージを表示させる。ユーザが操作パネル2の「OK」を選択することで、
図13に示す搬送調整画面1301に戻る。
【0053】
搬送調整画面1301から「画質優先(前面排紙)」または「長さ優先(前面排紙)」が選択されると、S1201からS1208に遷移し、CPU201は、画質優先、または、長さ優先の搬送調整用パターンの記録指示を送信する。そして、S1209~S1211の動作が行われるが、これらはS908~S910と同様であるので、説明は省略する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、用紙の種類(紙厚)、または、調整したい対象に応じて適切な排紙先を決定することができる。このため、適切な排紙経路を用いて排紙が行われることになるので、搬送が適切に行われないような排紙の不具合を抑制し、また、調整精度の向上による画像品質を向上させることができる。
【0055】
<<その他の実施形態>>
上述した実施形態では、排紙切替フラッパ22の移動制御は、実際に用紙の搬送が行われるタイミングで実施されるような制御が行われる例を説明したが、これに限られない。操作パネル2での排紙経路が選択された場合、その選択されたタイミングで排紙切替フラッパ22が移動するような制御が行われてもよい。そして、記録装置ドライバ701の設定が、操作パネル2の設定と異なる場合など、排紙切替フラッパ22を移動する必要が生じる場合に、排紙切替フラッパ22を追加的に移動させるように制御してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、
図10に示すように、排紙先非対応エラー画面1001は、操作パネル2に表示され、操作パネル2上でユーザが操作をする例を説明したが、これに限られない。記録装置ドライバ701にて、
図10と同等のエラー画面を表示し、記録装置ドライバ701上で指示を入力する形態としてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、
図6に示す操作パネル2の排紙先設定画面601の操作において、用紙1の紙厚が所定値以上の場合には、上面排紙を選択した場合に、エラー画面が表示される例を説明したが、これに限られない。排紙先設定画面601の操作において、用紙1の紙厚が所定値以上の場合に、上面排紙を選択した場合に、エラー画面が表示されてなくてもよい。つまり、上記の状態においても上面排紙が選択できてもよい。この場合、記録指示を受けて上面排紙が指定されている場合に、紙厚を都度確認する形態でもよい。具体的には、
図9のフローチャートにおいて、S904でYESの場合、および、S911でYESの場合に、S912~S915に続く処理を行ってもよい。
【0058】
また、上述した実施形態のフローチャートでは、上面排紙を選択する際に、紙厚が所定値以上であるかを判定していたが、用紙の種類が所定の種類であるかを判定してもよい。例えば用紙の材質により静電気が発生し、搬送抵抗が大きくなるような用紙を予め所定の種類の用紙として設定しておき、所定の種類の用紙でない場合に、上面排紙を実施できるように判定処理をしてもよい。また、紙厚に基づく判定を行う場合であっても、用紙の種類と紙厚とを対応付けておき、実際の判定処理は、用紙の種類が所定の種類であるかを判定するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 用紙
18 記録ヘッド
22 排紙切替フラッパ
100 記録装置
161 前面排紙支持部
162 前面排紙経路
502 上面排紙経路