(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】バランスボード
(51)【国際特許分類】
A63B 22/16 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A63B22/16
(21)【出願番号】P 2020174538
(22)【出願日】2020-10-16
(62)【分割の表示】P 2020110711の分割
【原出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敬介
(72)【発明者】
【氏名】末次 諒子
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0184953(US,A1)
【文献】登録実用新案第3173999(JP,U)
【文献】国際公開第2009/057518(WO,A1)
【文献】米国特許第05603334(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00464280(EP,A1)
【文献】特開2009-106538(JP,A)
【文献】特開2017-169899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面(20)が上面に設けられるボード本体(2)と、該ボード本体(2)の左右中央の下面に設けられ、載置面(F)と接触してボード本体(2)を傾動可能に支持する支持体(27)と、乗台面(20)から上方に向かって膨張して乗台面(20)で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ(4)と、乗台面(20)から下方に向って膨張することで、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する下エアバッグ(3)と、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御する制御手段(7)とを有し、
載置面(F)と支持体(27)との接触部を支点にして、ボード本体(2)が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されており、
制御手段(7)は、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御してユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニングモードを実行できるように構成されており、
トレーニングモードにおいて、下エアバッグ(3)の膨縮を制御して、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作を1回以上実行するように構成されて
おり、
トレーニングモードの終了間際に実行される休憩動作において、下エアバッグ(3)を膨張させるとともに、上エアバッグ(4)を膨張させるように構成されているバランスボード。
【請求項2】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面(20)が上面に設けられるボード本体(2)と、該ボード本体(2)の左右中央の下面に設けられ、載置面(F)と接触してボード本体(2)を傾動可能に支持する支持体(27)と、乗台面(20)から上方に向かって膨張して乗台面(20)で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ(4)と、乗台面(20)から下方に向って膨張することで、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する下エアバッグ(3)と、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御する制御手段(7)とを有し、
載置面(F)と支持体(27)との接触部を支点にして、ボード本体(2)が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されており、
制御手段(7)は、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御してユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニングモードを実行できるように構成されており、
トレーニングモードにおいて、下エアバッグ(3)の膨縮を制御して、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作を1回以上実行するように構成されており、
トレーニングモードの終了間際に実行される休憩動作において、下エアバッグ(3)を膨張させるとともに、上エアバッグ(4)を膨縮させるように構成されてい
るバランスボード。
【請求項3】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面(20)が上面に設けられるボード本体(2)と、該ボード本体(2)の左右中央の下面に設けられ、載置面(F)と接触してボード本体(2)を傾動可能に支持する支持体(27)と、乗台面(20)から上方に向かって膨張して乗台面(20)で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ(4)と、乗台面(20)から下方に向って膨張することで、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する下エアバッグ(3)と、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御する制御手段(7)とを有し、
載置面(F)と支持体(27)との接触部を支点にして、ボード本体(2)が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されており、
制御手段(7)は、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御してユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニングモードを実行できるように構成されており、
トレーニングモードにおいて、下エアバッグ(3)の膨縮を制御して、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作を1回以上実行するように構成されており、
トレーニングモードの終了間際に実行される休憩動作において、下エアバッグ(3)を膨張させるとともに、上エアバッグ(4)を膨縮させるように構成されており、
休憩動作の開始から所定時間が経過するまでの間の膨縮間隔が、前記所定時間の経過から休憩動作の終了までの間の膨縮間隔よりも小さくなるように設定されてい
るバランスボード。
【請求項4】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面(20)が上面に設けられるボード本体(2)と、該ボード本体(2)の左右中央の下面に設けられ、載置面(F)と接触してボード本体(2)を傾動可能に支持する支持体(27)と、乗台面(20)から上方に向かって膨張して乗台面(20)で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ(4)と、乗台面(20)から下方に向って膨張することで、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する下エアバッグ(3)と、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御する制御手段(7)とを有し、
載置面(F)と支持体(27)との接触部を支点にして、ボード本体(2)が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されており、
制御手段(7)は、上エアバッグ(4)および下エアバッグ(3)の膨縮を制御してユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニングモードを実行できるように構成されており、
トレーニングモードにおいて、下エアバッグ(3)の膨縮を制御して、ボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作を1回以上実行するように構成されており、
下エアバッグ(3)は、一対の上シート体(31)と下シート体(32)の周縁部が溶着により接合されて四角袋状に形成されており、
加圧空気が供給された下エアバッグ(3)は、まず下シート体(32)が膨張して、当該下シート体(32)の膨張下端が載置面(F)に接触したのち、上シート体(31)が膨張してボード本体(2)を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持するバランスボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体のバランス感覚および体幹筋の筋力向上のためのトレーニングを行うバランスボードに関する。
【背景技術】
【0002】
身体バランスおよび体幹筋のトレーニングを行う器具であるバランスボードは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のバランスボード運動具(バランスボード)は、使用者が乗るための着地板(ボード本体)と、着地板の下面に一体に設けられる半球部とで構成されている。着地板は、円形板の対向縁にそれぞれ矩形板が一体に設けられた形状であり、各矩形板部分には溝が形成されている。着地板の下面には、先の半球部より曲率の小さな半球部を備えるアタッチメントが装着できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のバランスボード運動具は、バランス感覚および体幹筋の筋力が向上してくると、中立姿勢に容易に維持することができるようになり、一定以上のトレーニング効果を期待できないものであった。
【0005】
本発明の目的は、より負荷の大きなトレーニングの実施を可能として、より効果的にトレーニングを行うことができるバランスボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバランスボードは、立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面20が上面に設けられるボード本体2と、該ボード本体2の左右中央の下面に設けられ、載置面Fと接触してボード本体2を傾動可能に支持する支持体27とを有する。載置面Fと支持体27との接触部を支点にして、ボード本体2が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されている。ボード本体2の上面に、乗台面20から上方に向かって膨張して乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4が設けられている。
【0007】
本発明のバランスボードは、乗台面20の左右に上エアバッグ4がそれぞれ設けられている。加圧空気を生成するエアポンプ5と、該エアポンプ5で生成された加圧空気を左右のエアバッグ4に分配する分配器6と、エアポンプ5および分配器6を制御して左右の上エアバッグ4の膨縮を制御する制御手段7とを備えている。制御手段7は、左右の上エアバッグ4を同時に膨縮させる制御を行うように構成されている。
【0008】
本発明のバランスボードは、乗台面20の左右に上エアバッグ4がそれぞれ設けられている。加圧空気を生成するエアポンプ5と、該エアポンプ5で生成された加圧空気を左右のエアバッグ4に分配する分配器6と、エアポンプ5および分配器6を制御して左右の上エアバッグ4の膨縮を制御する制御手段7とを備えている。制御手段7は、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させる制御を行うように構成されている。
【0009】
本発明のバランスボードは、乗台面20の左右に上エアバッグ4がそれぞれ設けられている。加圧空気を生成するエアポンプ5と、該エアポンプ5で生成された加圧空気を左右のエアバッグ4に分配する分配器6と、エアポンプ5および分配器6を制御して左右の上エアバッグ4の膨縮を制御する制御手段7とを備えている。制御手段7は、左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させる制御を行うように構成されている。
【0010】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面20が上面に設けられるボード本体2と、該ボード本体2の左右中央の下面に設けられ、載置面Fと接触してボード本体2を傾動可能に支持する支持体27とを有し、ボード本体2は、載置面Fと支持体27との接触部を支点にして、中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されているバランスボードを対象とする。支持体27の配設位置を除くボード本体2の下面に、該ボード本体2から下方に向かって膨張してボード本体2を中立姿勢に近づけた状態に保持する下エアバッグ3が設けられていることを特徴とする。
【0011】
ボード本体2の左右に、支持体27を間に挟む状態で一対の下エアバッグ3・3が設けられている。
【0012】
ボード本体2の乗台面20に、ボード本体2から上方に向かって膨張して乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4が設けられている。
【0013】
下エアバッグ3および上エアバッグ4のそれぞれが、独立して膨縮できるように構成されている。
【0014】
下エアバッグ3が膨張されてボード本体2が載置面Fから離間した姿勢に保持された状態で、上エアバッグ4が膨張されるように構成されている。
【0015】
下エアバッグ3が収縮されたまま、上エアバッグ4が膨張されるように構成されている。
【0016】
下エアバッグ3の上半部が上エアバッグ4として構成されて、下エアバッグ3が上エアバッグ4を兼ねている。
【0017】
下エアバッグ3がボード本体2の下面から突出する突出寸法に比べて、上エアバッグ4が乗台面20から突出する突出寸法が小さくなるように設定されている。
【0018】
ボード本体2の左右に、上下貫通状に貫通孔12がそれぞれ開設されており、該貫通孔12の内部に、下エアバッグ3が配設されている。
【0019】
ボード本体2は、乗台面20が設けられる上ケース10と、支持体27が設けられる下ケース11とを備えている。上ケース10の左右には、貫通孔12の上半部を構成する周回状の上孔壁18がそれぞれ設けられ、下ケース11の左右には、上孔壁18に対応して貫通孔12の下半部を構成する周回状の下孔壁25がそれぞれ設けられている。下エアバッグ3は、上下一対のシート体31・32の周縁部が接合されて形成され、前記接合部分が周回状のフランジ部33とされている。フランジ部33が、上孔壁18の下端面34と下孔壁25の上端面35とで上下に挟持された状態で、貫通孔12に下エアバッグ3が配設されている。
【0020】
ボード本体2の内部に、ボード本体2の構造強度を増強する補強フレーム13が内装されており、該補強フレーム13が、上ケース10と下ケース11とで挟持固定されている。
【0021】
乗台面20は、左右の端部から中央に向かってそれぞれ下り傾斜するように形成されて、乗台面20の左右中央に谷部21が形成されている。乗台面20の谷部21に、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46が配設されている。
【0022】
乗台面20とボード本体2の下面を除くボード本体2の周側面28に、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46が配設されている。
【0023】
ボード本体2の下面における左端寄り、および/または右端寄りに、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46が配設されている。
【0024】
ボード本体2は、正面視偏平V字状に形成されて、屈曲部分の下部が支持体27とされている。ボード本体2の左端と支持体27との間、およびボード本体2の右端と支持体27との間の下面は、それぞれ内凹み湾曲状の湾曲凹面70とされている。湾曲凹面70に操作部46が配設されている。
【0025】
加圧空気を生成するエアポンプ5と、該エアポンプ5で生成された加圧空気を上下のエアバッグ3・4に分配する分配器6と、エアポンプ5および分配器6を制御して上下のエアバッグ3・4の膨縮を制御する制御手段7とを備えている。エアポンプ5、分配器6、および制御手段7が、支持体27の上方におけるボード本体2の内部に配設されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明のバランスボードにおいては、ボード本体2の上面に、乗台面20から上方に向かって膨張して乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4を設けたので、上エアバッグ4を膨縮させて足裏あるいは臀部を押圧することにより、ユーザーのバランスを強制的に不安定にして、トレーニングの強度を増強できる。
【0027】
本発明のバランスボードにおいては、左右の上エアバッグ4を同時に膨縮させることにより、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせることができる。
【0028】
本発明のバランスボードにおいては、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させることにより、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させつつ、ユーザーの重心位置をバランスボード1の重心位置の直上から変位させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせることがでできる。
【0029】
本発明のバランスボードにおいては、左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させることにより、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させつつ、ユーザーの重心位置をバランスボード1の重心位置の直上から変位させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせることができる。左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させるので、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させる場合に比べて、ユーザーのバランスをより不安定にさせることができる。
【0030】
バランスボードにおいては、支持体27の配設位置を除くボード本体2の下面に、該ボード本体2から下方に向かって膨張してボード本体2を中立姿勢に近づけた状態に保持する下エアバッグ3を設けた。このようなバランスボード1によれば、トレーニングを一時中断して休憩をとりたいとき、下エアバッグ3を膨張させることにより、ボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持することができる。従って、本発明のバランスボードによれば、乗台面20上において立位姿勢の場合には両脚で体重を支えることができ、また、座位姿勢の場合には傾斜していない座面に座ることができるので、ボード本体2に乗った状態のまま楽に休憩することができる。
【0031】
ボード本体2の左右に、支持体27を間に挟む状態で一対の下エアバッグ3・3が設けられていると、ボード本体2を支持体27と一対の下エアバッグ3・3との3点で支持した状態でぐらつくことなく保持することができるので、ボード本体2に乗った状態のままより安定した状態で楽に休憩することができる。
【0032】
ボード本体2の乗台面20に、ボード本体2から上方に向かって膨張して乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4が設けられていると、該上エアバッグ4を膨縮させることで乗台面20上の足裏、あるいは臀部にマッサージ刺激を付与することができるので、トレーニングに加えマッサージを行える付加価値の高いバランスボード1を提供できる。
【0033】
下エアバッグ3および上エアバッグ4のそれぞれが、独立して膨縮できるように構成されていると、上下のエアバッグ3・4の膨縮動作を個別に制御することができるので、両エアバッグ3・4の動作バリエーションを多様なものにすることができる。
【0034】
そのうえで、下エアバッグ3が膨張されてボード本体2が載置面Fから離間した姿勢に保持された状態で、上エアバッグ4が膨張されるように構成されていると、安定した状態で立位姿勢あるいは座位姿勢で休憩している最中に、足裏あるいは臀部にマッサージ刺激を付与することができる。
【0035】
また、下エアバッグ3が収縮されたまま、上エアバッグ4が膨張されるように構成されていると、上エアバッグ4の膨張によってトレーニング中に強制的に身体のトレーニング状態を作り出すことができるので、より強度の高いトレーニング負荷を身体に付与することができる。
【0036】
下エアバッグ3の上半部が上エアバッグ4として構成されて、下エアバッグ3が上エアバッグ4を兼ねていると、装置全体の構造を簡素化できるので、エアバッグを備えるバランスボード1を安価に提供できる。また、下エアバッグ3は、ボード本体2を載置面Fから離間した姿勢に保持すると同時に、足裏あるいは臀部にマッサージ刺激を付与することができる。
【0037】
下エアバッグ3がボード本体2の下面から突出する突出寸法に比べて、上エアバッグ4が乗台面20から突出する突出寸法が小さくなるように設定されていると、マッサージ刺激をマイルドなものとして、足裏あるいは臀部が無理に押圧されるのを防止できる。
【0038】
ボード本体2の左右に開設した貫通孔12の内部に、下エアバッグ3が配設されていると、膨縮動作に伴って下エアバッグ3がずれ動くのを貫通孔12で規制できるので、下エアバッグ3を規定の位置に保持することができる。
【0039】
下エアバッグ3のフランジ部33が、ボード本体2を構成する上ケース10の上孔壁18の下端面34と、下ケース11の下孔壁25の上端面35とで上下に挟持された状態で、貫通孔12に下エアバッグ3が配設されていると、上下のケース10・11を蓋合わせ状に接合するだけで、貫通孔12の内部に下エアバッグ3を組み付けることができるので、バランスボード1の組立に要する手間と時間を軽減できる。また、下エアバッグ3を固定するための構造を別途設ける必要がない分、装置全体のコストを削減することができる。
【0040】
ボード本体2に、ボード本体2の構造強度を増強する補強フレーム13が内装されていると、ボード本体2が変形するのを抑制できるので、該変形に起因するバランスボード1の破損を防止できる。また、補強フレーム13が、上ケース10と下ケース11とで挟持固定されていると、上下のケース10・11を蓋合わせ状に接合するだけで3者10・11・13を一体化できるので、バランスボード1の組立に要する手間と時間を軽減できる。
【0041】
左右の端部から中央に向かってそれぞれ下り傾斜するように形成された乗台面20の谷部21に、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46が配設されていると、操作部46と足裏あるいは臀部との接触を可及的に防止できるので、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのを抑制できる。また、着座時の体重や衝撃が操作部46に直接作用するのを極力避けることができる。
【0042】
乗台面20とボード本体2の下面を除くボード本体2の周側面28に、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46が配設されていると、操作部46と足裏あるいは臀部との接触を防止できるので、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのを防止できる。また、ボード本体2の周側面28に足裏あるいは臀部が接触することはないので、操作部46が足裏あるいは臀部で覆われるのを回避でき操作性が向上する利点もある。
【0043】
ボード本体2の下面における左端寄り、および/または右端寄りに、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46が配設されていると、操作部46に足裏あるいは臀部が接触することがないので、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのを確実に防止できる。また、とくに座位姿勢の場合には、ボード本体2の両端部を左右の手で掴んで上半身を安定させ、その指先で操作部46を操作することができるので、操作部46の操作性を向上できる。
【0044】
正面視偏平V字状に形成されたボード本体2の左右の下面に設けた内凹み湾曲状の湾曲凹面70に操作部46が配設されていると、ユーザーがバランスを崩して左右いずれかの端部が載置面Fと接触したときでも、操作部46と載置面Fとが当接することがないので、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのをより確実に防止できる。また、荷重されることによる操作部46の破損を回避できる。
【0045】
バランスボード1が備えるエアポンプ5、分配器6、および制御手段7が、支持体27の上方におけるボード本体2の内部に配設されていると、これら重量物をバランスボード1の傾動支点付近に配設できるので、これら装置がバランスボード1の左右の重量配分に与える影響を最小化できる。また、ボード本体2で外部への音漏れを軽減できるので、エアポンプ5等の作動音を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の実施例1に係るバランスボードの要部を示す縦断正面図である。
【
図2】実施例1に係るバランスボードの全体を示す平面図である。
【
図3】実施例1に係るバランスボードの縦断側面図である。
【
図4】実施例1に係るバランスボードの制御系を概念的に示すブロック図である。
【
図5】実施例1に係るバランスボードの縦断正面図である。
【
図6】本発明の実施例2に係るバランスボードの縦断正面図である。
【
図7】実施例2に係るバランスボードの要部を示す縦断正面図である。
【
図8】実施例2に係るバランスボードの制御系を概念的に示すブロック図である。
【
図9】実施例2に係るバランスボードの操作部を示す正面図である。
【
図10】トレーニングモードの一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】本発明の実施例3に係るバランスボードの要部を示しており、(a)は正面図であり、(b)は底面図である。
【
図12】本発明の参考例に係るバランスボードの縦断正面図である。
【
図13】参考例に係るバランスボードの要部を示す縦断正面図である。
【
図14】参考例に係るバランスボードの制御系を概念的に示すブロック図である。
【
図15】参考例に係るバランスボードの操作部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(実施例1)
図1から
図5に、本発明に係るバランスボードの実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。バランスボード1は、
図2に示すように平面視が左右に長い略長方形状で短辺が湾曲状に丸められており、
図5に示すように正面視が偏平V字状を呈する盤状に形成されている。
【0048】
図2においてバランスボード1は、プラスチック成型品からなるボード本体2と、該ボード本体2から下向きに膨張する下エアバッグ3および上向きに膨張する上エアバッグ4などを備えている。また、ボード本体2には、上下のエアバッグ3・4へ送給される加圧空気を生成するエアポンプ5と、該エアポンプ5で生成された加圧空気を上下のエアバッグ3・4に分配する分配器6と、エアポンプ5および分配器6を制御して上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する制御手段7などが内蔵されている。
【0049】
図5に示すようにボード本体2は、上ケース10と下ケース11を備えた蓋合わせ状の構造体からなり、その左右には上下方向に貫通する一対の貫通孔12が開設されている。ボード本体2には、補強フレーム13が内装されている。上ケース10は左右の端部から中央に向かってそれぞれ下り傾斜する断面波型状の上壁16と、上壁16の周囲縁から下向きに延設される上周壁17と、貫通孔12の周囲縁から下向きに延設されて、同孔12の上半部を構成する上孔壁18とを備えており、各壁16・17・18の内面側には格子状に上補強リブ19が設けられている(
図1参照)。上ケース10の上壁16の上面が立位姿勢における足裏、あるいは座位姿勢における臀部を受止める乗台面20とされている。乗台面20は波型湾曲面となっており、その左右中央に谷部21が形成される。
【0050】
下ケース11は左右の端部から中央に向かってそれぞれ下り傾斜する下壁23と、下壁23の周囲縁から上向きに延設される下周壁24と、貫通孔12の周囲縁から上向きに延設されてその下半部を構成する下孔壁25とを備えており、各壁23・24・25の内面側には格子状に下補強リブ26が設けられている(
図1参照)。下ケース11の左右中央の下面には、下ケース11から下向きに突出する支持体27が設けられている。支持体27は部分球殻状に形成されており、該支持体27は下壁23と滑らかに連続するように下ケース11と一体に形成されている。中立姿勢にあるボード本体2は、支持体27で床面(載置面)Fから浮き離れる状態で支持されており、支持体27と床面Fとの接触点(接触部)を支点にして全方位方向に揺動できる。
【0051】
上ケース10と下ケース11とを下蓋合わせ状に接合したとき、上周壁17と下周壁24とでボード本体2の前後左右に周側面28が形成される。ボード本体2に内装される補強フレーム13は、貫通孔12を含むボード本体2の平面形状よりもひとまわり小さい形状であり(
図2参照)、その正面視が上下のケース10・11の接合線に沿う波型湾曲状に形成された金属板材からなる。補強フレーム13は、上補強リブ19および下補強リブ26に挟持された状態で上下のケース10・11の間に固定されている。補強フレーム13の左右中央には、後述する機器ボックス43が嵌め込まれる前後方向に長い長方形状の取付孔29が開設されている。
【0052】
図1に示すように下エアバッグ3は、一対の上下のシート体31・32の周縁部が溶着により接合されて四角袋状に形成されており、前記溶着部分が周回状のフランジ部33とされている。上下のシート体31・32は、下エアバッグ3が収縮している状態において、貫通孔12の孔形状と略一致する形状に形成されている(
図5参照)。下エアバッグ3は、フランジ部33が上孔壁18の下端面34と下孔壁25の上端面35とで上下に挟持された状態で、各貫通孔12の内部に配設されている。これにより、一対の下エアバッグ3は、支持体27を間に挟む状態でボード本体2の左右に設けられる。
【0053】
本実施例の下エアバッグ3は、その上半部が上エアバッグ4として構成され、下エアバッグ3が上エアバッグ4を兼ねており、下シート体32が下エアバッグ3を構成し、上シート体31が上エアバッグ4を構成している。下エアバッグ3にエアポンプ5で生成された加圧空気を供給して膨張させると、上シート体31は貫通孔12の上開口部から上方に突出し、下シート体32は貫通孔12の下開口部から下方に突出する。下方に突出した下エアバッグ3(下シート体32)は床面Fに当接する程度に膨張する。このように、下エアバッグ3が上エアバッグ4を兼ねているので、分配器6は左右の下エアバッグ3・3のいずれか一方あるいは両方へと加圧空気を供給できるように構成されている。
【0054】
下シート体32は、上シート体31よりも柔軟性に富む素材で構成されており、下シート体32が上シート体31よりも大きくかつ速く膨張する。そのため、下エアバッグ3(下シート体32)がボード本体2の下面から突出する突出寸法と、上エアバッグ4(上シート体31)が乗台面20から突出する突出寸法とを比較すると、下エアバッグ3よりも上エアバッグ4の方が、その突出寸法が小さくなる。また、下エアバッグ3が膨張し床面Fに当接したのち上エアバッグ4が膨張する。
【0055】
貫通孔12および乗台面20を含む上ケース10の上面略全体には、足裏あるいは臀部の乗台面20への肌当たりを和らげるため、伸縮性を有するウレタンシートからなるクッションシート38が接着固定されており、クッションシート38の上面は伸縮性を有するダブルラッセル生地からなる表面カバー39で覆われている。また、貫通孔12の下開口部は、伸縮性に富むメッシュ生地からなる開口カバー40で覆われている。
【0056】
図3に示すように、先のエアポンプ5、分配器6、制御手段7などは、支持体27の上方すなわち左右方向の中央におけるボード本体2の内部に配設されている。具体的には、各機器5・6・7は、上向きに開口する四角箱状の機器ボックス43の内部に収容されており、機器ボックス43の上開口にはボックス蓋44が装着される。分配器6と各下エアバッグ3とは、エアポンプ5で生成された加圧空気を送給するためのエアホース45で接続されており(
図4参照)、機器ボックス43には、該エアホース45、外部電源に接続される電源コード(図示していない)、およびエアポンプ5に吸気され、分配器6から排気される空気のための内外に連通する開口が設けられている。前記電源コードはボード本体2の後面において、上下の周壁17・24間の周側面28からボード本体2の外部に導出されている。機器ボックス43は、取付孔29に嵌め込まれ、上壁16および下補強リブ26で挟持された状態で上下のケース10・11の間に固定されている。
【0057】
ボックス蓋44には、制御手段7に動作信号を送信するための操作部46が一体に設けられており、該操作部46は、上ケース10の左右中央の前寄りに開設された露出窓47を介してバランスボード1の上面すなわち乗台面20の谷部21に露出されている。クッションシート38の前縁中央には、露出窓47に対応して切欠き48が設けられている。
図2に示すように操作部46には、電源ボタン51と両側膨縮ボタン52とが前列左右に設けられており、左側膨縮ボタン53と右側膨縮ボタン54とが後列左右に設けられている。
【0058】
前記電源コードを外部電源に接続すると、制御手段7は電源ボタン51の動作信号を受け付けるスリープモードで起動する。制御手段7はスリープモードにおいて電源ボタン51が押されると制御モードに移行し、各膨縮ボタン52~54の動作信号を受け付ける状態となる。制御手段7が制御モードの状態において、両側膨縮ボタン52を押すことにより両下エアバッグ3・3の膨縮操作を行うことができ、左側膨縮ボタン53を押すことにより左側の下エアバッグ3の膨縮操作を行うことができ、右側膨縮ボタン54を押すことにより右側の下エアバッグ3の膨縮操作を行うことができる。
【0059】
例えば、9側膨縮ボタン52を押すと、制御手段7はエアポンプ5を駆動し、分配器6を制御して各エアホース45を介して加圧空気を両下エアバッグ3・3へと送給する。加圧空気が供給された各下エアバッグ3は、まず下シート体32が膨張しその膨張下端が床面Fに接触する。さらに下シート体32が床面Fに接触したのち上シート体31が膨張する。下エアバッグ3が膨張している状態で両側膨縮ボタン52を押すと、制御手段7はエアポンプ5を停止し分配器6の排気弁を開放して、上下のシート体31・32の復元力で下エアバッグ3を収縮させる。なお、上シート体31の膨張タイミングは、下シート体32が床面Fに接触するより前であってもよい。左側膨縮ボタン53および右側膨縮ボタン54の動作は、左右いずれかの対応するエアバッグ3が上記動作で膨縮操作される。
【0060】
両側膨縮ボタン52で下エアバッグ3・3を膨張させると、ボード本体2を支持体27と両下エアバッグ3・3(下シート体32)の3点で、床面Fから離間した姿勢つまり中立姿勢に近づけた状態で保持できる。さらに、乗台面20で受止めた足裏あるいは臀部を押圧してマッサージ刺激を付与できる。また、左側膨縮ボタン53あるいは右側膨縮ボタン54でいずれか一方の下エアバッグ3を膨張させると、ボード本体2を支持体27と下エアバッグ3(下シート体32)の2点で中立姿勢に近づけた状態で保持でき、さらに、乗台面20で受止めた足裏あるいは臀部の一方を押圧してマッサージ刺激を付与できる。
【0061】
上記実施例1のバランスボード1によれば、支持体27の配設位置を除くボード本体2の下面に、該ボード本体2から下方に向かって膨張してボード本体2を中立姿勢に近づけた状態に保持する下エアバッグ3を設けたので、トレーニングを一時中断して休憩をとりたいとき、下エアバッグ3を膨張させることにより、ボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持することができる。従って、乗台面20上において立位姿勢の場合には両脚で体重を支えることができ、また、座位姿勢の場合には傾斜していない座面に座ることができるので、ボード本体2に乗った状態のまま楽に休憩することができる。
【0062】
ボード本体2の左右に、支持体27を間に挟む状態で一対の下エアバッグ3・3を設けたので、ボード本体2を支持体27と一対の下エアバッグ3・3との3点で支持した状態でぐらつくことなく保持することができ、ボード本体2に乗った状態のままより安定した状態で楽に休憩することができる。
【0063】
ボード本体2の乗台面20に、ボード本体2から上方に向かって膨張して乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4を設けたので、該上エアバッグ4を膨縮させることで乗台面20上の足裏、あるいは臀部にマッサージ刺激を付与することができ、トレーニングに加えマッサージを行える付加価値の高いバランスボード1を提供できる。
【0064】
そのうえで、下エアバッグ3が膨張されてボード本体2が床面Fから離間した姿勢に保持された状態で、上エアバッグ4が膨張されるように構成したので、安定した状態で立位姿勢あるいは座位姿勢で休憩している最中に、足裏あるいは臀部にマッサージ刺激を付与することができる。
【0065】
下エアバッグ3の上半部が上エアバッグ4として構成されて、下エアバッグ3が上エアバッグ4を兼ねるように構成したので、装置全体の構造を簡素化でき、エアバッグを備えるバランスボード1を安価に提供できる。また、下エアバッグ3は、ボード本体2を床面Fから離間した姿勢に保持すると同時に、足裏あるいは臀部にマッサージ刺激を付与することができる。
【0066】
下エアバッグ3がボード本体2の下面から突出する突出寸法に比べて、上エアバッグ4が乗台面20から突出する突出寸法が小さくなるように設定したので、マッサージ刺激をマイルドなものとして、足裏あるいは臀部が無理に押圧されるのを防止できる。
【0067】
ボード本体2の左右に開設した貫通孔12の内部に、下エアバッグ3を配設したので、膨縮動作に伴って下エアバッグ3がずれ動くのを貫通孔12で規制でき、下エアバッグ3を規定の位置に保持することができる。
【0068】
下エアバッグ3のフランジ部33を、上ケース10の上孔壁18の下端面34と、下ケース11の下孔壁25の上端面35とで上下に挟持した状態で、貫通孔12に下エアバッグ3を配設したので、上下のケース10・11を蓋合わせ状に接合するだけで、貫通孔12の内部に下エアバッグ3を組み付けることができ、バランスボード1の組立に要する手間と時間を軽減できる。また、下エアバッグ3を固定するための構造を別途設ける必要がない分、装置全体のコストを削減することができる。
【0069】
ボード本体2に、ボード本体2の構造強度を増強する補強フレーム13を内装したので、ボード本体2が変形するのを抑制でき、該変形に起因するバランスボード1の破損を防止できる。バランスボード1の耐久性を向上することができる。また、補強フレーム13を、上ケース10と下ケース11とで挟持固定したので、上下のケース10・11を蓋合わせ状に接合するだけで3者10・11・13を一体化でき、バランスボード1の組立に要する手間と時間を軽減できる。
【0070】
左右の端部から中央に向かってそれぞれ下り傾斜するように形成された乗台面20の谷部21に、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46を配設したので、操作部46と足裏あるいは臀部との接触を可及的に防止でき、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのを抑制できる。また、着座時の体重や衝撃が操作部46に直接作用するのを極力避けることができる。
【0071】
バランスボード1が備えるエアポンプ5、分配器6、および制御手段7を、支持体27の上方におけるボード本体2の内部に配設したので、これら重量物をバランスボード1の傾動支点付近に配設でき、これら装置がバランスボード1の左右の重量配分に与える影響を最小化できる。また、ボード本体2で外部への音漏れを軽減できるので、エアポンプ5等の作動音を抑えることができる。
【0072】
(実施例2)
図6から
図9に、本発明に係るバランスボードの実施例2を示す。本実施例では、
図6に示すように、下エアバッグ3と上エアバッグ4を個別に設けた点が実施例1と異なる。また、貫通孔12に替えて下エアバッグ3を収容する下凹部66と、上エアバッグ4を収容する上凹部67を設けるようにした。
図7に示すように上エアバッグ4は、一対の上下のシート体63・64の周縁部が溶着により接合されて四角袋状に形成されており、前記溶着部分が周回状のフランジ部65とされている。下ケース11の下壁23には、下エアバッグ3が配設される下凹部66が上向きに凹み形成されており、下エアバッグ3の上シート体31が下凹部66の底面に接着固定されている。上ケース10の上壁16には、上エアバッグ4が配設される上凹部67が下向きに凹み形成されており、上エアバッグ4の下シート体64が上凹部67の底面に接着固定されている。下エアバッグ3の上下のシート体31・32は同一の素材で構成され、上エアバッグ4の上下のシート体63・64は同一の素材で構成されており、下エアバッグ3を形成する素材は、上エアバッグ4を形成する素材よりも柔軟性に富む素材で構成されている。
【0073】
図8に示すように分配器6は、両下エアバッグ3・3および両上エアバッグ4・4にそれぞれ個別に加圧空気を送給できるようにエアホース45で接続されている。操作部46はボックス蓋44とは別体で構成されており、上下の周壁17・24の前側において両周壁17・24に跨って形成された露出窓47からボード本体2の前面に露出されている(
図9参照)。操作部46には2段3列のボタン群が設けられており、上段中央が左右の上下のエアバッグ3・4のすべてを膨縮操作する全体膨縮ボタン55である。また、上段左が左側の上エアバッグ4を膨縮操作する左上膨縮ボタン56、下段左が左側の下エアバッグ3を膨縮操作する左下膨縮ボタン57であり、上段右が右側の上エアバッグ4を膨縮操作する右上膨縮ボタン58、下段右が右側の下エアバッグ3を膨縮操作する右下膨縮ボタン59である。さらに、下段中央はトレーニングボタン60である。該トレーニングボタン60については、後述する。制御手段7は、電源コードを外部電源に接続すると、制御モードで起動する。その他の点は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の各実施例においても同じとする。
【0074】
全体膨縮ボタン55を押すと、制御手段7は分配器6を制御してまず左右の下エアバッグ3に加圧空気を供給する。所定量の加圧空気を左右の下エアバッグ3に送給すると、制御手段7は分配器6を制御して左右の上エアバッグ4に加圧空気を供給する。両エアバッグ3・4が膨張している状態で全体膨縮ボタン55を押すと、制御手段7はエアポンプ5を停止し分配器6の排気弁を開放して、上下のシート体63・64の復元力で上エアバッグ4を収縮させる。所定時間経過したら制御手段7は分配器6の排気弁を開放して、上下のシート体31・32の復元力で下エアバッグ3を収縮させる。他の膨縮ボタン56~59を押すと、ボタンに対応した上下のエアバッグ3・4が膨張操作され、あるいは収縮操作される。これにより、下エアバッグ3のみ膨張させることができ、また上エアバッグ4のみ膨張させることもできる。左右も同様に所望の上下のエアバッグ3・4のみ膨張させることができる。
【0075】
実施例2に係るバランスボード1には、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせるように左右の上エアバッグ4を膨縮させるトレーニングモードが搭載されており、トレーニングボタン60を押すことによりトレーニングモードが起動される。トレーニングモードにおいては、左右の下エアバッグ3を収縮させた状態のまま左右の上エアバッグ4を膨縮させて、乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧することにより、ユーザーのバランスを強制的に不安定にして、トレーニングの強度を増強できる。トレーニングモードは、左右の上エアバッグ4を同時に膨縮させる弱設定と、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させる中設定と、左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させる強設定の、トレーニング強度が異なる3種の強度設定を備えている。
【0076】
トレーニングモードは、同モードが停止している状態からトレーニングボタン60を押すごとに弱設定、中設定、強設定と強度が変更され、強設定時においてトレーニングボタン60を押すことで同モードが停止される。制御手段7は、トレーニングボタン60が押されてモード停止状態から弱設定に切替わると、スピーカー(図示していない)から短音(ピッ)の報知音を出力し、弱設定から中設定に切替わると、スピーカーから2連音(ピピッ)の報知音を出力し、中設定から強設定に切替わると、スピーカーから3連音(ピピピッ)の報知音を出力し、強設定からモード停止状態に切替わると、スピーカーから4連音(ピピピピッ)の報知音を出力する。
【0077】
弱設定においては、左右の上エアバッグ4を同時に膨縮させることで、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせる。ここでいう同時に膨縮とは、左右の上エアバッグ4の膨張あるいは収縮のタイミングが完全に一致することのみを意味するのではなく、左右いずれか一方の上エアバッグ4が膨張あるいは収縮しているときに、残る他方も膨張あるいは収縮していることを意味する。
【0078】
中設定においては、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させることで、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させつつ、ユーザーの重心位置をバランスボード1の重心位置の直上から変位させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせる。ここでいう交互に膨縮とは、左膨縮(左の上エアバッグ4の膨縮)、右膨縮(右の上エアバッグ4の膨縮)、左膨縮、右膨縮、のように一方を1回膨縮させたのち残る他方を1回膨縮させる制御に限らず、左膨縮、左膨縮、右膨縮、右膨縮、のように、一方を2回(複数回)膨縮させたのち残る他方を同一回膨縮させる制御であってもよく、また、左右の上エアバッグ4の膨縮回数が1対1の関係で繰り返されなくてもよい。
【0079】
強設定においては、左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させることで、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させつつ、ユーザーの重心位置をバランスボード1の重心位置の直上から変位させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせる。中設定では、左右いずれか一方のみが膨縮するように制御したが、強設定では左右いずれか一方または両方が不規則に膨縮するのでユーザーのバランスをより不安定にさせることができる。一例として、左膨縮、右膨縮、右膨縮、左右同時膨縮、右膨縮、左膨縮、左右同時膨縮、左膨縮、右膨縮、のように膨縮を制御する。また、一方の上エアバッグ4の膨張過程あるいは収縮過程と他方の上エアバッグ4の収縮過程あるいは膨張過程とが重なっていてもよい。
【0080】
制御手段7は、トレーニングモードのいずれかの設定が選択されたとき、所定時間(例えば10分)の間、予め登録された動作を実行するように構成されている。経過時間は制御手段7に内蔵された計時部で計時される。トレーニングモードの設定は、トレーニングボタン60を押して所望の強度を選択し、選択状態を所定時間(例えば3秒)維持したときに決定される。ここで、トレーニングモードの弱設定に係る動作の一例を
図10のタイミングチャートを用いて説明する。トレーニングモードでは、3回のトレーニング動作と各トレーニング動作後の休憩動作とを行う。制御手段7は、トレーニング動作においては、左右の上エアバッグ4を所定時間(例えば10秒)膨張させ、その後所定時間(例えば10秒)収縮させる動作を繰り返す。休憩動作においては、左右の上エアバッグ4が膨張していればこれを収縮させるとともに左右の下エアバッグ3を同時に膨張させ、所定時間(例えば10秒)経過後に収縮させる。なお、ここでいう同時に膨縮とは、先の上エアバッグ4と場合と同様の意味である。
【0081】
トレーニングボタン60で弱設定が選択され決定されると、制御手段7はスピーカーから長音(ピー)の報知音を出力して、トレーニングモードの開始をユーザーに報知するとともにエアポンプ5を駆動し、トレーニング動作を開始する(時点t1)。トレーニングモードの開始から所定時間(例えば3分)が経過すると、制御手段7はスピーカーから長音(ピー)の報知音を出力して、トレーニング動作から休憩動作へと移行する(時点t2)。この休憩動作が終了すると、制御手段7はトレーニング動作に移行し(時点t3)、トレーニングモードの開始から所定時間(例えば6分)が経過すると、制御手段7はスピーカーから長音(ピー)の報知音を出力して、再度トレーニング動作から休憩動作へと移行する(時点t4)。この休憩動作が終了すると、制御手段7は最後のトレーニング動作に移行し(時点t5)、トレーニングモードの開始から所定時間(例えば9分30秒(トレーニングモードの終了時間の30秒前))が経過すると、制御手段7は、スピーカーから2連短音(ピッピッ)の報知音を出力して、トレーニング動作から最終の休憩動作へと移行する(時点t6)。トレーニングモードの終了時間になると、制御手段7は下のエアバッグ3を収縮させ、さらにエアポンプ5の駆動を停止し、最後にスピーカーから2連短音を2回(ピッピッ、ピッピッ)の報知音を出力してトレーニングモードを終了する(時点t8)。このように、トレーニングモードにおいて、同モードが終了する所定時間前に、下エアバッグ3を膨張させてボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作を設けたことにより、体感を通じてトレーニングモードが終了間際であることをユーザーに認識させることができる。
【0082】
最終の休憩動作時(時点t6~時点t8)には、左右の下エアバッグ3を膨張させた状態で、左右の上エアバッグ4を同時に複数回膨縮させることによって、足裏あるいは臀部にマッサージ刺激を付与して、トレーニングで緊張している足裏や臀部を安定した状態で揉みほぐすことができる。このとき、上エアバッグ4が、先ずトレーニング終了間際のユーザーの早い呼吸のタイミングにあわせたような、早い(短い)膨縮間隔で動作させることができ(時点t6~時点t7)、その後、所定時間(例えば15秒)が経過すると、上記膨縮間隔よりも遅い(長い)膨縮間隔の動作とすることができる(時点t7~時点t8)。これにより、トレーニング後の呼吸の仕方を案内することができ、ユーザーをリラックス状態に誘導できる。なお、左右の上エアバッグ4は交互に複数回膨縮させることもできる。
【0083】
上記のようにトレーニング動作の終了後にそれぞれ休憩動作を行うので、左右の下エアバッグ3でバランスボード1を安定させ一時的な休憩時間を設けることができ、トレーニングモードの終了前に最終の休憩動作を行うので、間もなくトレーニングモードが終了することをユーザーに認識させることができる。また、休憩動作への移行時にスピーカーから報知音を出力することで、トレーニングモードの開始からの経過時間をユーザーに認識させることができ、最終の休憩動作への移行時の報知音を他の移行時の報知音と異ならせることで、間もなくトレーニングモードが終了することをユーザーに的確に認識させることができる。
【0084】
トレーニングモードの中設定または強設定に係る動作は、トレーニング動作時の左右の上エアバッグ4が、中設定では交互に膨縮し、強設定ではランダムに膨縮する点が異なるのみであるのでその説明は省略する。なお、上記各所定時間、各報知音等は例示であり、これら以外の所定時間、報知音であってもよい。
【0085】
上記実施例2のバランスボード1によれば、下エアバッグ3および上エアバッグ4のそれぞれを、独立して膨縮できるように構成したので、上下のエアバッグ3・4の膨縮動作を個別に制御することができ、両エアバッグ3・4の動作バリエーションを多用なものにすることができる。
【0086】
そのうえで、下エアバッグ3を収縮したまま、上エアバッグ4を膨張するように構成したので、上エアバッグ4の膨張によってトレーニング中に強制的に身体のトレーニング状態を作り出すことができ、より強度の高いトレーニング負荷を身体に付与することができる。
【0087】
ボード本体2の前側の周側面28に、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46を配設したので、操作部46と足裏あるいは臀部との接触を防止でき、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのを防止できる。また、ボード本体2の周側面28に足裏あるいは臀部が接触することはないので、操作部46が足裏あるいは臀部で覆われるのを回避でき操作性が向上する利点もある。
【0088】
上記の実施例では電源ボタン51を省略したが、実施例1のように電源ボタン51を設けて、制御手段7をまずスリープモードで起動させ、電源ボタン51を押すことで制御モードに移行させるようにすることもできる。
【0089】
上記の実施例2に係るバランスボードは、以下のように表現できる。
【0090】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面20が上面に設けられるボード本体2と、該ボード本体2の左右中央の下面に設けられ、載置面Fと接触してボード本体2を傾動可能に支持する支持体27と、乗台面20から上方に向かって膨張することで、乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4と、乗台面20から下方に向かって膨張することで、ボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する下エアバッグ3と、これら上下のエアバッグ3・4の膨縮を制御する制御手段7とを有し、
載置面Fと支持体27との接触部を支点にして、ボード本体2が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されており、
制御手段7は、上下のエアバッグ3・4の膨縮を制御してユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニングモードを実行できるように構成されており、
トレーニングモードにおいて、制御手段7が、上エアバッグ4の膨縮を制御して、乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧することにより、ユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニング動作と、トレーニング動作に次いで、下エアバッグ3の膨縮を制御して、ボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作とを1回以上実行するように構成されているバランスボード。
【0091】
上記のような構成のバランスボードによれば、トレーニング動作に次いで休憩動作、つまり下エアバッグ3を膨張させてボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作を設けたので、バランスボード1を安定させ、安心感が得られる状態で休憩することができる。また、休憩動作により体感を通じてトレーニングモードが終了間際であることをユーザーに認識させることができる。
【0092】
トレーニングモードの終了間際に実行される休憩動作において、下エアバッグ3を膨張させるとともに、上エアバッグ4を膨張させるように構成されているバランスボード。
【0093】
上記のような構成のバランスボードによれば、トレーニング動作と休憩動作とを複数回行う場合、休憩動作中に上エアバッグ4を膨張させることで、この休憩動作が最終の休憩動作すなわちトレーニングモードの終了間際であることをユーザーに明確に認識させることができる。また、トレーニングで緊張している足裏や臀部に安定した状態で刺激を付与したのちトレーニングモードを終了させることができる。
【0094】
トレーニングモードの終了間際に実行される休憩動作において、下エアバッグ3を膨張させるとともに、上エアバッグ4を膨縮(膨張と収縮)させるように構成されているバランスボード。
【0095】
上記のような構成のバランスボードによれば、トレーニング動作と休憩動作とを複数回行う場合、休憩動作中に上エアバッグ4を膨縮させることで、この休憩動作が最終の休憩動作すなわちトレーニングモードの終了間際であることをユーザーにより明確に認識させることができる。また、トレーニングで緊張している足裏や臀部に安定した状態でマッサージ刺激を付与して揉みほぐし、リラックスさせた状態でトレーニングモードを終了させることができる。
【0096】
トレーニングモードの終了間際に実行される休憩動作において、下エアバッグ3を膨張させるとともに、上エアバッグ4を膨縮(膨張と収縮)させるように構成されており、
休憩動作の開始から所定時間が経過するまでの間の膨縮間隔が、前記所定時間の経過から休憩動作の終了までの間の膨縮間隔よりも小さくなるように設定されているバランスボード。
【0097】
上記のような構成のバランスボードによれば、休憩動作において、先ずトレーニング終了間際のユーザーの早い呼吸のタイミングにあわせたような小さい(短い)間隔で上エアバッグ4を膨縮させ、その後、所定時間が経過したところで、上エアバッグ4を先の膨縮間隔よりも大きい(長い)間隔で膨縮させることで、トレーニング後の呼吸の仕方を案内することができ、ユーザーをリラックス状態に誘導できる。
【0098】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面20が上面に設けられるボード本体2と、該ボード本体2の左右中央の下面に設けられ、載置面Fと接触してボード本体2を傾動可能に支持する支持体27と、乗台面20から上方に向かって膨張することで、乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4と、乗台面20から下方に向かって膨張することで、ボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する下エアバッグ3と、これら上下のエアバッグ3・4の膨縮を制御する制御手段7とを有し、
載置面Fと支持体27との接触部を支点にして、ボード本体2が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されており、
制御手段7は、上下のエアバッグ3・4の膨縮を制御してユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニングモード(トレーニングモード)を実行できるように構成されており、
トレーニングモードにおいて、制御手段7が、上エアバッグ4の膨縮を制御して、乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧することにより、ユーザーのバランスを強制的に不安定にするトレーニング動作と、トレーニング動作の中途において、下エアバッグ3の膨縮を制御して、ボード本体2を中立姿勢に近づけた状態で揺動不能に保持する休憩動作とを実行するように構成されているバランスボード。
【0099】
上記のような構成のバランスボードによれば、トレーニング動作の中途において休憩動作を行うので、左右の下エアバッグ3でバランスボード1を安定させ、安心感が得られる状態でトレーニング中に休憩することができる。また、トレーニングの開始から休憩動作が開始されるまでの間の時間を把握していれば、トレーニングの経過時間を知ることができる。なお、このような構成のバランスボードに、トレーニング動作に次いで休憩動作を実行する構成を組み合わせることもできる。
【0100】
(実施例3)
図11に、本発明に係るバランスボードの実施例3を示す。本実施例では操作部46の配設位置が実施例1とは異なる。具体的には、
図11に示すように下ケース11(ボード本体2)の下面は、その左端と支持体27との間、およびその右端と支持体27との間が、それぞれ内凹み湾曲状の湾曲凹面70とされており、右側の湾曲凹面70の右端寄りに操作部46が設けられている。操作部46は前側から電源ボタン51、両側膨縮ボタン52、左側膨縮ボタン53、右側膨縮ボタン54が記載順に設けられている。各ボタン51~54は、下壁23に開設されたボタン孔71に埋設配置されている。なお、操作部46は左側の湾曲凹面70の左端寄りに設けられていてもよく、また、左右の湾曲凹面70に分けて設けられていてもよい。
【0101】
上記実施例3のバランスボード1によれば、ボード本体2の下面における右端寄りに、上下のエアバッグ3・4の膨縮状態を制御する操作部46を配設したので、操作部46に足裏あるいは臀部が接触することがなく、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのを確実に防止できる。また、とくに座位姿勢の場合には、ボード本体2の両端部を左右の手で掴んで上半身を安定させ、その指先で操作部46を操作することができるので、操作部46の操作性を向上できる。
【0102】
正面視偏平V字状に形成されたボード本体2の左右の下面に設けた内凹み湾曲状の湾曲凹面70に操作部46を配設したので、ユーザーがバランスを崩して左右いずれかの端部が床面Fと接触したときでも、操作部46と床面Fとが当接することがなく、意図せず上下のエアバッグ3・4が膨縮動作するのをより確実に防止できる。また、着座時の体重や衝撃が操作部46に直接作用するのを極力避けることができる。
【0103】
上記のような操作部46の配設形態は、実施例2のような下エアバッグ3と上エアバッグ4が個別に設けられたバランスボード1にも適用できる。この場合には、操作部46に左右の上下のエアバッグ3・4のすべてを膨縮操作する全体膨縮ボタン55、左側の上エアバッグ4を膨縮操作する左上膨縮ボタン56、左側の下エアバッグ3を膨縮操作する左下膨縮ボタン57、右側の上エアバッグ4を膨縮操作する右上膨縮ボタン58、右側の下エアバッグ3を膨縮操作する右下膨縮ボタン59、左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させて足裏あるいは臀部を押圧し、ユーザーのバランスを強制的に不安定にして、トレーニングの強度を増強できるトレーニングボタン60を配置することができる。
【0104】
上記の実施例2においては、左右の下エアバッグ3は、それぞれエアホース45で分配器6と接続したが、分配器6から導出されるエアホース45を中途部で分岐して、分岐したエアホース45を各下エアバッグ3に接続してもよい。左右の下エアバッグ3を連結して一体化し、ひとつのエアホース45で加圧空気を供給することもできる。
【0105】
また、上記の各実施例では、下エアバッグ3は左右にそれぞれ配置したが、いずれか一方の下エアバッグ3と支持体27の2点でもある程度は安定してボード本体2を中立姿勢に近づけた状態に保持できるので、一方の下エアバッグ3を省略することができる。
【0106】
(参考例)
図12から
図15に、本発明に係るバランスボードの参考例を示す。従来のバランスボード運動具では、半球部の曲率の使い分け、あるいは伸縮性ゴムの装着によりトレーニングの負荷を変更することができる。しかし、従来のバランスボード運動具は、バランス感覚および体幹筋の筋力が向上してくると、中立姿勢に容易に維持することができるようになり、一定以上のトレーニング効果を期待できないものであった。そこで本参考例は、より負荷の大きなトレーニングの実施を可能として、より効果的にトレーニングを行うことができるバランスボードを提供することを目的とする。
【0107】
本参考例では、
図12に示すように実施例2のバランスボード1から下エアバッグ3が省略されている。これに伴い、下ケース11の下凹部66も省略され、また、操作部46のボタンの構成が異なっている。
図15に示すように操作部46は、上段左が左上膨縮ボタン56であり、上段右が右上膨縮ボタン58であり、下段左が両側膨縮ボタン52であり、下段右がトレーニングボタン60である。本参考例の両側膨縮ボタン52は両上エアバッグ4・4の膨縮操作を行うことができる。
【0108】
上記の実施例2および参考例に係るバランスボードは以下のように表現できる。
【0109】
立位姿勢の足裏、あるいは座位姿勢の臀部を受止める乗台面20が上面に設けられるボード本体2と、該ボード本体2の左右中央の下面に設けられ、載置面Fと接触してボード本体2を傾動可能に支持する支持体27とを有し、
載置面Fと支持体27との接触部を支点にして、ボード本体2が中立姿勢から少なくとも左右方向に傾動できるように構成されており、
ボード本体2の上面に、乗台面20から上方に向かって膨張して乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4が設けられているバランスボード。
【0110】
上記のような構成のバランスボード1においては、ボード本体2の上面に、乗台面20から上方に向かって膨張して乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧する上エアバッグ4を設けたので、上エアバッグ4を膨縮させて足裏あるいは臀部を押圧することにより、ユーザーのバランスを強制的に不安定にして、トレーニングの強度を増強できる。
【0111】
乗台面20の左右に上エアバッグ4がそれぞれ設けられており、
加圧空気を生成するエアポンプ5と、該エアポンプ5で生成された加圧空気を左右のエアバッグ4に分配する分配器6と、エアポンプ5および分配器6を制御して左右の上エアバッグ4の膨縮を制御する制御手段7とを備えており、
制御手段7は、左右の上エアバッグ4を同時に膨縮させる制御を行うように構成されているバランスボード。
【0112】
上記のように、左右の上エアバッグ4を同時に膨縮させることにより、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせることができる。
【0113】
制御手段7は、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させる制御を行うように構成されているバランスボード。
【0114】
上記のように、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させることにより、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させつつ、ユーザーの重心位置をバランスボード1の重心位置の直上から変位させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせることがでできる。
【0115】
制御手段7は、左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させる制御を行うように構成されているバランスボード。
【0116】
上記のように、左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させることにより、ユーザーの足裏、あるいは臀部と乗台面20との接触面積を減少させつつ、ユーザーの重心位置をバランスボード1の重心位置の直上から変位させて、ユーザーのバランスを強制的に不安定にさせることができる。左右の上エアバッグ4をランダムに膨縮させるので、左右の上エアバッグ4を交互に膨縮させる場合に比べて、ユーザーのバランスをより不安定にさせることができる。
【0117】
上記の各実施例や参考例においては、支持体27は断面がV字状あるいは下突円弧状の前後に長い突条体で形成し、床面Fに線接触させることにより、左右にのみ傾動できる形態であってもよい。ボード本体2の平面視形状および正面視形状は上記実施例の形状に限られない。乗台面20は上突円弧面、下突円弧面、あるいはフラット面で構成することができる。上エアバッグ4は左右にひとつずつ設けたが、乗台面20で受止めた足裏、あるいは臀部を押圧することにより、ユーザーのバランスを強制的に不安定にできるのであれば、左右いずれか一方のみ設ける形態であってもよい。また、左右方向の中央部に1個の上エアバッグ4を設ける形態、あるいは3個以上の上エアバッグ4を設ける形態であってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 バランスボード
2 ボード本体
3 下エアバッグ
4 上エアバッグ
5 エアポンプ
6 分配器
7 制御手段
10 上ケース
11 下ケース
12 貫通孔
13 補強フレーム
18 上孔壁
20 乗台面
21 谷部
25 下孔壁
27 支持体
28 周側面
31 上シート体
32 下シート体
33 フランジ部
34 下端面
35 上端面
46 操作部
70 湾曲凹面
F 載置面(床面)