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特許7599899情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241209BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241209BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 356
G06F3/12 303
H04N1/00 127B
H04N1/00 912
B41J29/38 401
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020175788
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067205
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲治
(72)【発明者】
【氏名】内田 達郎
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-122137(JP,A)
【文献】特開2009-122857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
報処理装置であって、
第1の印刷設定項目の設定値と第2の印刷設定項目の設定値を、複数のユーザに共通する共通の設定値であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムの管理者によって設定される共通設定して記憶し
前記第1の印刷設定項目の他の設定値と、前記第2の印刷設定項目の他の設定値を、前記管理者とは異なるユーザに対応するデフォルトの設定値として記憶する記憶手段と、
前記デフォルトの設定値が記憶され、前記管理者が前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記第1の印刷設定項目の設定値を前記共通の設定値として記憶された前記第1の印刷設定項目の前記設定値に制限する機能を有効にする制御手段と、
前記ユーザが前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記機能が有効にされていることに基づいて、前記共通設定値として記憶された第1の印刷設項目の前記設定値前記デフォルトの設定値として記憶された前記第2の印刷設定項目の前記他の設定値を表示に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記管理者は、管理者権限を有するユーであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の印刷設定項目は、カラーモード、印刷レイアウト、印刷部数、スタンプ機能のうちの1つに関連する項目であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記機能に関連するオブジェクトであって、前記機能が有効にされていることを示す前記オブジェクトを前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記機能が有効にされている場合に、前記共通の設定値として記憶された前記第1の印刷設定項目の前記設定値に基づいて印刷データを生成する生成手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
報処理装置の制御方法であって、
第1の印刷設定項目の設定値と第2の印刷設定項目の設定値を、複数のユーザに共通する共通の設定値であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムの管理者によって設定される共通の設定値として記憶し、前記第1の印刷設定項目の他の設定値と、前記第2の印刷設定項目の他の設定値を、前記管理者とは異なるユーザに対応するデフォルトの設定値として記憶部に記憶し、
前記デフォルトの設定値が記憶され、前記管理者が前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記第1の印刷設定項目の設定値を前記共通の設定値として記憶された前記第1の印刷設定項目の前記設定値に制限する機能を有効にし、
前記ユーザが前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記機能が有効にされていることに基づいて、前記共通設定値として記憶された第1の印刷設項目の前記設定値前記デフォルトの設定値として記憶された前記第2の印刷設定項目の前記他の設定値表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
情報処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記制御方法は、
第1の印刷設定項目の設定値と第2の印刷設定項目の設定値を、複数のユーザに共通する共通の設定値であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムの管理者によって設定される共通の設定値として記憶し、前記第1の印刷設定項目の他の設定値と、前記第2の印刷設定項目の他の設定値を、前記管理者とは異なるユーザに対応するデフォルトの設定値として記憶部に記憶し、
前記デフォルトの設定値が記憶され、前記管理者が前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記第1の印刷設定項目の設定値を前記共通の設定値として記憶された前記第1の印刷設定項目の前記設定値に制限する機能を有効にし、
前記ユーザが前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記機能が有効にされていることに基づいて、前記共通の設定値として記憶された第1の印刷設定項目の前記設定値と、前記デフォルト設定値として記憶された前記第2の印刷設定項目の前記他の設定値を表示部に表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記管理者は、管理者権限を有するユーザであることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第1の印刷設定項目は、カラーモード、印刷レイアウト、印刷部数、スタンプ機能のうちの1つに関連する項目であることを特徴とする請求項7又は8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記制御方法は、前記機能に関連するオブジェクトであって、前記機能が有効にされていることを示す前記オブジェクトを前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記制御方法は、前記機能が有効にされている場合に、前記共通の設定値として記憶された前記第1の印刷設定項目の前記設定値に基づいて印刷データを生成することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワークで接続された画像処理装置の設定が変更可能な情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンなどの情報処理装置から印刷装置(プリンタ)に印刷するために、一般的にプリンタドライバと呼ばれるソフトウェアが使用される。プリンタドライバは任意のアプリケーションから印刷を行う時に動作し、独自のユーザインタフェースにより各種印刷設定を指定することが可能である。
管理者などが一般ユーザに対して一部の印刷設定の利用に制限をかけたいという要望があり、従来プリンタドライバに印刷設定のロック機能を設けて、管理者は一般ユーザの利用できる機能を制限することが行われてきた。
特許文献1では所望の指示した印刷設定を固定化するロック機能について述べられている。このロック機能は印刷レイアウトやカラー/モノクロなど、印刷設定の種類ごとに設定することが可能である。印刷設定のロックを行うと、該当する設定項目の設定値がその時に設定されている設定値でロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-54778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、管理者がプリンタドライバの印刷設定にロックをかける前に、一般ユーザがデフォルトの印刷設定を変更して、プリンタを使用していた場合が考えられる。この場合には、管理者がプリンタドライバのロック機能を利用して、印刷設定のロックを行うと、ユーザが変更した印刷設定にロックされてしまい、管理者の意図した印刷機能の制限をかけることが出来ないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、報処理装置であって、第1の印刷設定項目の設定値と第2の印刷設定項目の設定値を、複数のユーザに共通する共通の設定値であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムの管理者によって設定される共通設定して記憶し前記第1の印刷設定項目の他の設定値と、前記第2の印刷設定項目の他の設定値を、前記管理者とは異なるユーザに対応するデフォルトの設定値として記憶する記憶手段と、前記デフォルトの設定値が記憶され、前記管理者が前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記第1の印刷設定項目の設定値を前記共通の設定値として記憶された前記第1の印刷設定項目の前記設定値に制限する機能を有効にする制御手段と、前記ユーザが前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにログインしている状態で、前記機能が有効にされていることに基づいて、前記共通設定値として記憶された第1の印刷設項目の前記設定値前記デフォルトの設定値として記憶された前記第2の印刷設定項目の前記他の設定値を表示に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザが情報処理装置のオペレーティングシステムにログインしている状態で、第1の印刷設定項目の設定値を共有の設定値として記憶された第1の印刷設定項目の設定値に制限する機能が有効にされていることに基づいて、共通の設定値として記憶された第1の印刷設定項目の設定値と、デフォルト印刷設定として記憶された第2の印刷設定項目の他の設定値を表示部に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷システムの全体構成
図2】コンピュータのハードウェア構成
図3】プリンタのハードウェア構成
図4】コンピュータの印刷処理に関するソフトウェア構成
図5】印刷処理のフローを示す概念図
図6】プリンタドライバの印刷設定UI
図7】ロック機能のロック設定UI
図8】ロック機能のロック設定に応じた印刷設定項目を示す図
図9】印刷設定UI起動時のUI処理部の処理のフローチャート
図10】描画処理部の処理のフローチャート
図11】他の実施例のコンピュータの印刷処理に関するソフトウェア構成
図12】他の実施例のロック機能のロック設定UI
図13】他の実施例のパスワードを変更する為の設定UI
図14】他の実施例のプリンタドライバの印刷設定UI
図15】他の実施例のUI処理部のロック情報保存処理のフローチャート
図16】ロック機能設定のデータ構造
図17】他の実施例のロック機能設定の適用範囲指定画面
図18】他の実施例の描画処理部の処理
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0009】
(1)印刷システムの構成
印刷システムの全体構成
図1に、実施例1の情報処理装置であるコンピュータ1000とプリンタ2000が接続された印刷システムの全体構成を示す。なお、ここで、コンピュータは情報処理装置である。コンピュータ1000とプリンタ2000はUSBもしくはLAN等のネットワーク等で接続されており、それぞれが互いに通信可能となっている。
【0010】
コンピュータのハードウェア構成
図2に、情報処理装置としてのコンピュータ1000のハードウェア構成のブロック図を示す。
CPU1041とメモリ1042により構成される制御部1040は、コンピュータ1000の全体を制御する。表示部1010はディスプレイなどの出力装置、操作部1020はマウスやキーボード、もしくはタッチパネルなどの入力装置を示す。また、記憶部1030はハードディスクやSSDなどの記憶媒体であり、コンピュータ1000が動作する際に必要な各種ソフトウェアが保存されている。それらのソフトウェアは必要に応じてメモリ1042にロードされ、CPU1041によって実行される。ネットワーク通信部1050はネットワークに接続して外部装置とのデータの入出力を行う。USB通信部1060は外部装置とUSB接続によるデータの入出力を行う。本実施例におけるソフトウェア処理は、全て記憶部1030に記憶されたソフトウェアを制御部1040におけるメモリ1042にロードしてCPU1041が実行することによって実現される。ここで、CPUはCentral Processing Unitの略である。
【0011】
プリンタのハードウェア構成
図3に、印刷装置であるプリンタ2000のハードウェア構成のブロック図を示す。
CPU2041とメモリ2042により構成される制御部2040は、プリンタ2000の全体を制御する。表示部2010は液晶パネルなどの出力装置、操作部2020はタッチパネルや各種ボタンによる入力装置を示す。また、記憶部2030はハードディスクやSSDなどの記憶媒体であり、プリンタ2000が動作する際に必要な各種ソフトウェアが保存されている。これらのソフトウェアは必要に応じてメモリ2042にロードされ、CPU2041によって実行される。ネットワーク通信部2050はネットワークに接続して外部装置とのデータの入出力を行う。USB通信部2060は外部装置とUSB接続によるデータの入出力を行う。印刷部2070は制御部2040の指示に従って記憶部2030やメモリ2042に保存されたデジタルデータを物理用紙に印刷する。印刷の方法はインク方式、トナー方式、その他の方式を用いることができる。
【0012】
コンピュータのソフトウェア構成
図4に、コンピュータ1000における印刷処理に関するソフトウェア構成のブロック図を示す。
アプリケーション1100は文書作成ソフトや表計算ソフトなどの任意のソフトウェアを指しており、印刷機能を有するものとする。ユーザはアプリケーション1100の用意する印刷機能を実行することで、現在コンピュータ1000の表示部1010に表示されている情報などをプリンタ2000に対して印刷することができる。
プリンタドライバ1200はプリンタ2000を使用して実現可能な印刷設定をUI表示したり、印刷時にはプリンタ2000が解釈可能な描画データ(PDL:Page Description Language)を生成したりする。
UI処理部1220は、印刷設定の表示や変更を行い、描画処理部1210は、PDLを生成する。
また、プリンタドライバ1200は管理者ユーザが指定した印刷設定項目の設定値の変更を制限するロック機能を持ち、制限情報(以下「ロック情報」)1230として管理する。
OS1300はOperating Systemの略であり、コンピュータ1000の基本動作を司るソフトウェアである。アプリケーション1100やプリンタドライバ1200はいずれもOS1300によって管理されており、いずれもOS1300に対してインストールされることで使用可能となる。
GDI1310はディスプレイ表示や印刷などの描画に関するインタフェースを外部に提供するOS1300内部のコンポーネントである。ここで、GDIは、Graphics Device Interfaceの略である。
スプーラ1320は印刷データをプリンタ2000へ送信する処理を行う。OS1300は、プリンタドライバ1200の設置の際にプリンタキューと呼ばれるオブジェクトを生成し、OS1300はプリンタキューとしてプリンタドライバ1200とプリンタ2000を紐づけて管理する。
OS1300は使用する複数のユーザを管理する。OS1300は印刷設定をDEVMODE構造体(Windows(登録商標)では印刷設定の変数をDEVMODEと呼び、以下簡略化の為この用語を使う。)で管理しており、ユーザ毎のデフォルトの印刷設定としてプリンタキュー毎に複数のユーザDEVMODE1330をOS1300が管理する。ユーザDEVMODE1330はアプリケーションで利用する印刷設定の初期値として利用される。
OS1300は全ユーザ共通のデフォルトの印刷設定としてプリンタキュー毎に一つのグローバルDEVMODE1340をOS1300が管理する。グローバルDEVMODE1340はユーザが初めて利用する印刷設定の初期値としても利用される。
【0013】
(保存領域とユーザ権限)
ここで、図4に示したデータの保存領域とユーザ権限について説明する。OS1300は、プリンタキューというプリンタオブジェクトを生成することによりコンピュータ1000を利用する複数のユーザを管理する。このため、OS1300はこのプリンタオブジェクトの全ユーザ共通の設定を管理する「管理者ユーザ」とその他の「一般ユーザ」の2つのユーザ権限が用意されている。
管理者ユーザは対象のプリンタオブジェクトについて全ユーザが共通で利用する設定、例えば全てのユーザに最初に適用する印刷設定値(グローバルDEVMODE)、を保持しておく全ユーザ共通領域にデータを書き込むことが可能な権限を持っている。
一方、一般ユーザは全ユーザ共通領域のデータの読み取りが可能な権限を持っている。
なお、管理者ユーザ、一般ユーザ共に、自由に読み書きを行える各ユーザ専用領域を持っており、対象のプリンタオブジェクトに関する各ユーザのデフォルトの印刷設定(ユーザDEVMODE)はこの各ユーザ専用領域に保存されている。なお、管理者ユーザは、コンピュータ1000にネットワークを介して、若しくは直接データの操作を行う。
【0014】
(2)印刷処理
印刷処理のフロー
次に、図5を用いて印刷処理の一般的なフローについて説明する。
アプリケーション1100は印刷処理の実行の前にプリンタドライバ1200のUI処理部1220を呼び出してユーザに印刷設定を入力させる。ユーザはプリンタドライバ1200のUI処理部1220が表示するユーザインタフェース(以下「UI」という。)を用いて任意の印刷設定を設定できる。
その後、UI処理部部1220から取得した印刷設定と共にGDI1310に対して印刷の内容である描画命令を呼び出す。
GDI1310は取得した印刷設定と描画命令をプリンタドライバ1200の解釈可能な命令に変換して描画処理部1210を呼び出す。
プリンタドライバ1200の描画処理部1210はGDI1310から取得した印刷設定と描画命令をプリンタ2000の解釈可能なPDLに変換して、スプーラ1320に渡す。
スプーラ1320はそのPDLをプリンタ2000に送信する。
プリンタ2000は取得したPDLを画像データに変換して印刷部2070を使用して実際の物理用紙に印刷する。
【0015】
印刷設定UI
図6に、UI処理部1220が表示する印刷設定UI1400の例を示す。
ユーザはこの印刷設定UI1400を操作することで、所望の印刷設定を設定できる。印刷設定UI1400はOS1300の設定画面から呼び出された時は全てのアプリケーション1100からの印刷時のデフォルトの印刷設定を指定するために使用される。なお、このデフォルトの印刷設定は、全ユーザの初期値として利用されるグローバルデフォルト印刷設定(グローバルDEVMODE)と、ユーザ毎のデフォルト値として利用されるユーザデフォルト印刷設定(ユーザDEVMODE)との2種類がある。これら2つのデフォルト印刷設定は、それぞれ別にOS1300によって管理される。そして、アプリケーション1100から呼び出された時はそのアプリケーションで使用する一時的な印刷設定を指定するためにこれらが使用される。
それでは、以下にそれぞれの印刷設定項目について説明する。
原稿サイズ1402は印刷される原稿データの用紙サイズを示しており、アプリケーション1100が印刷を行う用紙サイズを示す。
出力用紙サイズ1403は実際に排紙される出力用紙の用紙サイズを示しており、通常は「原稿サイズと同じ」が使用される。それ以外の具体的な出力用紙サイズが選択されたときには、原稿サイズと出力用紙サイズのサイズ比に応じてプリンタドライバもしくはプリンタによって拡縮されて印刷される。
部数1404は同じ印刷物を複数部数印刷するときに使用される。
ページレイアウト1405は1枚の物理用紙に何ページ分の原稿ページを印刷するかを示している。通常は「1in1」であるが、「Nin1」(Nは既定の整数値)を指定すると、1枚の物理用紙にNページ分の原稿ページが縮小、集約されて印刷される。
倍率1406は任意のパーセントを指定して拡縮印刷を行う際に使用する。
カラーモード1407は主にカラーデータを白黒印刷するときに使用される。
スタンプ1408はアプリケーション1100が指示する描画データとは別に追加で任意の文字列の印刷を行うことのできる機能である。「マル秘」や「Confidential」などのプリセットされたスタンプから選ぶこともできる。
お気に入り1401は上記と異なり印刷設定項目ではなく、上記の印刷設定項目をまとめて一括で指定するための機能である。あらかじめプリセットされたお気に入りを使用することも、新規のお気に入りを作成して使用することもできる。
機能ロック1409も印刷設定項目ではなく、上記の印刷設定項目で選択された設定値をロックするための機能である。
[OK]ボタン1410は上記で設定した印刷設定を保存して印刷設定UIを閉じるボタンである。
[キャンセル]ボタン1411は上記で設定した印刷設定を破棄して印刷設定UIを閉じるボタンである。
[適用]ボタン1412は印刷設定UI1400を開いたまま上記で設定した印刷設定を保存するボタンである。
【0016】
ロック設定UI
図6の機能ロック1409を使用する際に[ロック設定]ボタンを押下した時に表示されるロック設定UI1500を図7に示す。
主に管理者ユーザが一般ユーザに対して使用可能な設定項目を制限する目的で使用される。したがって、OSの管理者権限を持つ管理者ユーザのみが図6の[ロック設定]ボタンを押下し、表示される図7のロック設定UI1500を編集可能である。そのため[ロック設定]ボタンが押下されるとまず不図示のパスワード入力画面が表示され、管理者ユーザがパスワードを入力し、認証されたことにより、図7のロック設定UI1500が表示され、編集可能となる。
部数のロック1501は部数1404をロックして変更できないようにする。
レイアウトのロック1502は印刷レイアウトに関する印刷設定項目、すなわち出力用紙サイズ1403、ページレイアウト1405、そして倍率1406をロックして変更できないようにする。
カラーモードのロック1503はカラーモード1407をロックして変更できないようにする。
スタンプのロック1504はスタンプ1408をロックして変更できないようにする。
[OK]ボタン1505は上記で指定されたロック情報1230を保存し、上記で指定された印刷設定項目をロックしてロック設定UI1500を閉じるボタンである。
[キャンセル]ボタン1506は本UIでの操作内容を破棄してロック設定UI1500を閉じるボタンである。
それぞれのロック設定に応じた印刷設定項目を示したのが図8である。
ロック設定UI1500で部数のロック1501がされている場合は、印刷設定UI1400の部数1404がロックされる。ロック設定UI1500でレイアウトのロック1502がされている場合は、印刷設定UI1400の出力用紙サイズ1403、ページレイアウト1405、倍率1406がロックされる。ロック設定UI1500でカラーモードのロック1503がされている場合は、印刷設定UI1400のカラーモード1407がロックされる。ロック設定UI1500で、スタンプのロック1504がされている場合は、印刷設定UI1400のスタンプ1408がロックされる。
【0017】
(3)UI処理部の起動時の処理
次に、UI処理部1220が、印刷設定UI1400を表示し起動時に行う処理について図9を用いて説明する。
ここで説明する処理は全て記憶部1030に保存されたUI処理部1220のソフトウェアがメモリ1042にロードされてCPU1041によって実行される。
まずS1001で、UI処理部1220は起動する際に、OS1300からユーザデフォルト印刷設定が管理されているユーザDEVMODE1330を取得する。
次にS1002で、取得したユーザDEVMODE1330を印刷設定UI1400に反映する。
続いてS1003で、UI処理部1220は、ロック情報1230からロックされた設定項目を取得する。
その後、S1004において、UI処理部1220はロックされた設定項目が存在するかを確認する。ロックされた設定項目が存在しない場合は、S1009に進みUI処理部1220は印刷設定UI1400を表示し、処理を終了する。
一方、ロックされた項目が存在する場合は、S1005に進む。
S1005では、UI処理部1220はグローバルDEVMODE1340からロックされた設定項目値を取得する。例えば、ロック設定UI1500でページレイアウトのロック1502がロックされていた場合は出力用紙サイズ、ページレイアウト、倍率の設定値を取得する。
続くS1006では、UI処理部1220はUIにグローバルDEVMODE1340から取得したロックされた設定項目値を印刷設定UI1400に反映する。例えば、ロック設定UI1500でページレイアウトのロック1502がロックされ、OS1300から渡されたユーザDEVMODEの部数が「1部」、出力用紙サイズが「A4」、ページレイアウトが「1in1」、倍率を指定するが「指定しない」とする。そして、グローバルDEVMODE1340の部数が「3部」、出力用紙サイズが「原稿サイズと同じ」、ページレイアウトが「2in1」、倍率を指定するが「指定しない」とする。この場合、印刷設定UI1400には部数が「1部」、出力用紙サイズが「原稿サイズと同じ」、ページレイアウトが「2in1」、倍率を指定するが「指定しない」が表示される。
次にS1007で、UI処理部1220はロックされた設定項目のUI入力を全て無効にする。
そしてS1008で、UI処理部1220は他にロックされた設定項目があるかを確認する。他にロックされた設定項目がある場合はS1005に戻って前述の処理を繰り返す。他にロックされた設定項目が無い場合は、S1009に進みUI処理部1220は印刷設定UI1400を表示して、処理を終了する。
以上のように、ユーザデフォルト印刷設定が設定されていたとしても、ロック設定UI1500でロックされた設定項目については、全ユーザ共通のデフォルト印刷設定が印刷設定UI1400に反映される。
【0018】
(4)描画処理部の処理
以上の図9のフローチャートで、例えばカラーモードが「白黒」にロックされていたとしてもアプリケーション1100で実際に印刷する時にはカラーモードを「カラー」を指定することが可能である。このような場合に、設定値を描画処理部1210がロックされた設定項目を設定値にセットする処理について次に説明する。
描画処理部1210が印刷設定を変更を制限する制限情報であるロック情報に基づき全ユーザ共通のデフォルト印刷設定値に変更してPDLを生成する処理について図10を用いて説明する。ここで説明する処理は全て記憶部1030に保存された描画処理部1210のソフトウェアがメモリ1042にロードされてCPU1041によって実行されることにより実現される。
まずS2001で、描画処理部1210は、OS1300からアプリケーションで設定された印刷設定値(以下「アプリケーションDEVMODE」)と描画データを取得する。
次にS2002で、描画処理部1210はプリンタドライバ1200内のロック情報1230から、ロックされた設定項目を取得する。
その後S2003で、描画処理部1210はロックされた設定項目が存在するかを確認する。ロックされた設定項目が存在しない場合は(S2003でNo)、S2007へ進み、描画処理部1210はアプリケーションDEVMODEと描画データを元にPDLを生成する。一方、ロックされた設定項目が存在する場合(S2003でYes)、S2004に進み、描画処理部1210はグローバルDEVMODE1340からロックされた設定項目値を取得する。
続くS2005で、描画処理部1210はグローバルDEVMODE1340から取得したロックされた設定項目値をアプリケーションDEVMODEに反映する。例えば、ロック設定UI1500でカラーモードのロック1503を「白黒」にロックし、アプリケーション1100からカラーモードが「カラー」に指定されているとする。この時、OS1300から渡されたアプリケーションDEVMODEのカラーモードが「カラー」、グローバルDEVMODE1340のカラーモードが「白黒」となる。そして、描画処理部1210がPDLを生成する基となる印刷設定値(DEVMODE)は、グローバルDEVMODEを反映してカラーモードは「白黒」となる。
次にS2006で、描画処理部1210は他にロックされた設定項目があるかを確認する。
他にロックされた設定項目がある場合はS2004に戻って前述の処理を繰り返す。他にロックされた設定項目が無い場合は、S2007に進み、描画処理部1210は印刷設定値(DEVMODE)と描画データを元にPDLを生成する。
【0019】
以上のように管理者ユーザは、ロック設定UI1500でロックした印刷設定項目について、印刷設定UI1400で設定した設定値にロックすることができる。
【実施例2】
【0020】
実施例1のものでは、設定値の変更を制限する制限情報であるロック情報1230及び全ユーザ共通の印刷設定値(グローバルDEVMODE)については、管理者権限のある管理者ユーザのみが設定可能であった。実施例2のものでは、一部の一般ユーザに管理者権限を与えることにより各ユーザ専用(以下では「自ユーザ専用)という。)のロック情報の設定を可能とし、それに基づき印刷可能とする。
【0021】
コンピュータのソフトウェア構成
図11に、実施例2におけるコンピュータ1000における印刷処理に関するソフトウェア構成のブロック図を示す。なお、実施例1のソフトウェア構成を示す図4との相違点について説明し、共通の部分については説明を省略する。
ロック情報は2つの領域に分けられている。全ユーザ共通のロック情報1701は、印刷設定のロック情報であって全ユーザ共通のものが保存される。このロック情報1701には、管理者権限を有する管理者ユーザのみがアクセス可能である。自ユーザ専用のロック情報1702は、印刷設定のロック情報のうち以下に説明する許可されたユーザの個別のロック情報が保存される。このロック情報1702には、許可された一般ユーザが自身のロック情報1702のみにアクセス可能である。
【0022】
ロック設定UI
図6の機能ロック1409を使用する際に[ロック設定]ボタンを押下した時に表示されるロック設定UI1550を図12に示す。
このロック設定UI1550は、主に管理者ユーザが一般ユーザに対して使用可能な設定項目を制限する目的で使用されるものである。実施例1のロック設定UI1500(図7)との違いは、パスワードの入力フィールドが設けられていることである。実施例2では、管理者権限を持つ管理者ユーザではない一般ユーザであってもこの画面を用いて、ユーザ自身がロック設定項目を設定可能となる。このとき一般ユーザが設定したロック設定項目は、自ユーザ専用のロック情報1702に保存される。
パスワード1510に予め管理者ユーザが設定しておいたパスワード文字列を入力し、[設定]ボタン1511を押下する。そして、パスワードによる認証がされると、各機能のロックの状態1501~1504、及び[パスワードの変更]ボタン1512の操作が可能になる。
[パスワードの変更]ボタン1512は、管理者ユーザのみが操作できるボタンであって、このボタンを押下すると、図13で示すパスワードを変更するための設定UI1600が表示される。
【0023】
(パスワードを変更するUI)
管理者ユーザは新しいパスワード1601と新しいパスワードの確認1602の二つのコントロールに新たなパスワードを入力し、[OK]ボタン1603を押下する。その後、ロック設定で利用するパスワードが難読化されプリンタオブジェクト毎に全ユーザ共通の領域に保存される。
図12図13の説明では、一つのパスワードを用いる例を示した。そして本実施例で利用するパスワードは一般ユーザでも利用するパスワードになる。したがって、多くの一般ユーザがこのパスワードを利用することも想定されるため、セキュリティを考慮し、管理者ユーザが利用するパスワードと一般ユーザが利用するパスワードを区別してもよい。なお、本実施例では管理者ユーザと一般ユーザ共通の一つのパスワードを利用するものとする。
レイアウトのロック1502を有効にした場合の印刷設定UI1400の表示状態を図14に示す。拡大縮小も含めレイアウトに関係する、出力用紙サイズ1423、ページレイアウト1425、倍率指定1426の各コントロールの前にマーカーを表示する。また、各入力コントロールを無効状態で表示(グレーアウト)を行うことで、値をロックし変更できないように制御する。
【0024】
(5)ロック情報保存処理
次に、UI処理部1220が表示するロック設定UI1550の[OK]ボタン1505をユーザが押下した時に行うロック情報保存処理について、図15を用いて説明する。ここで説明する処理は全て記憶部1030に保存されたUI処理部1220のソフトウェアがメモリ1042にロードされてCPU1041によって実行される。
S3001で、UI処理部1220はロック設定UI1550の[OK]ボタン1505が押下されると、この処理を行っているユーザの権限の確認を行う。
S3002で、[OK]ボタン1505を押下したユーザの権限が管理者かどうか判断する。
一般ユーザ権限のユーザが[OK]ボタン1505を押下した場合(S3002でNo)、S3006に進む。
S3006で、UI処理部1220はロック設定UI1550で設定されている部数のロック1501、レイアウトのロック1502、カラーモードのロック1503、スタンプのロック1504の設定状態を反映した情報を生成する。そして、その情報を対象のプリンタオブジェクトの自ユーザ専用領域の自ユーザ専用のロック情報1702に保存し、処理を終了する。
ここで、自ユーザ専用領域について説明しておく。自ユーザ専用領域はOS1300によって、当該ユーザのみが自由に読み書き可能な記憶部1030の領域を指す。例えばマイクロソフト社のOS1300(Windows)の場合、レジストリHKEY_CURRENT_USERの配下がこれに該当する。この領域にはユーザ毎の設定などが保存され、後述するユーザデフォルト印刷設定(ユーザDEVMODE)も、この自ユーザ専用領域に保存される。
図16はロック情報1701,1702のデータ構造を示した図である。ロック情報はロック設定UI1550(図12)で設定されている部数のロック1501、レイアウトのロック1502、カラーモードのロック1503、スタンプのロック1504の各チェックボックスの設定状態を保持している。ロック情報は、各チェックボックスの"OFF","ON"を"0"、"1"の値で示したデータで、ユーザがどの設定項目をロックの対象にしたかを示している。図16の例では部数のロック1501はOFF、レイアウトのロック1502はON、カラーモードのロック1503もON、スタンプのロック1504はOFFの状態でロック設定UI1550が設定されていたことを示している。
【0025】
図14に戻り、管理者ユーザ権限のユーザが[OK]ボタン1505を押下した場合(S1302でYes)について、説明を行う。
管理者ユーザの場合、管理者・一般ユーザどちらの立場でロック設定項目を設定しているのかをはっきりさせる必要がある。但し、自ユーザ専用のロック情報1702は全ユーザ共通のロック情報1701の代わりとして用いられる設定であるので、全ユーザ共通のロック情報1701が存在しない状態で、自ユーザ専用のロック情報1702が設定された状態は、不安定な状態になる。
そこで、S3003でUI処理部1220は全ユーザ共通のロック情報1701の存在を確認する。
全ユーザ共通のロック情報1701が存在しない(S3003でNo)場合は、S3007に進む。
S3007で、全ユーザ共通のロック情報1701を先に行う。S3007での処理の詳細については、後述する。
一方、全ユーザ共通のロック情報1701の存在が既に存在している場合は(S3003でYes)、S3004に進む。
S3004では、UI処理部1220は図17に示す適用範囲指定画面1800の表示を行う。ここで管理者ユーザが、管理者ユーザの立場で全ユーザ共通のロック情報1701を作成・変更するのであれば全てのユーザ1801を選択する。また、管理者ユーザが、一般ユーザの立場で自ユーザ専用のロック情報1702を作成・変更するのであれば現在のユーザ1802を選択し、[OK]ボタン1803を押下する。
S3005で、UI処理部1220は適用範囲指定画面1800で、全てのユーザ1801が選択されたか否かを判断する。
管理者ユーザが適用範囲指定画面1800で現在のユーザ1802を選択(S3005でNo)したと判断された場合は、先の一般ユーザの場合と同じく、S3006へ進む。
S3006では、UI処理部1220はロック設定UI1500で設定されているロック設定項目を、対象のプリンタオブジェクトの自ユーザ専用のロック情報1702に保存する。
一方、管理者ユーザが適用範囲指定画面1800で全てのユーザ1801を選択(S3005でYes)したと判断された場合、S3007に進む。
S3007では、UI処理部1220はロック設定UI1550で設定されているロック設定項目を、対象のプリンタオブジェクトの全ユーザ共通領域であるロック情報1701に保存する。
ここで全ユーザ共通領域について、説明しておく。全ユーザ共通領域はOS1300によって全ユーザに対して読み取りが可能で、かつ管理者権限を有するユーザに書き込みが許された記憶部1030の領域を示す。例えばマイクロソフト社のOS1300(Windows)のプリンタオブジェクトの場合を例に示す。すると、レジストリHKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Print\Printers\<プリンタ名>\PrinterDriverDataの配下がこれに該当する。ここで、<プリンタ名>はプリンタオブジェクトの名称である。この領域には、このプリンタオブジェクトを利用する全ユーザ共通の印刷設定が保存され、このプリンタオブジェクトに対して管理者権限を持つユーザの書き込みが許される。後述するグローバル印刷設定もこの全ユーザ共通領域に保存される。
以上のようにして、ユーザがロック設定UI1550で設定したロック設定項目は管理者ユーザとして設定された場合には、全ユーザ共通のロック情報1701に保存される。一方、一般ユーザとしてロック設定項目が設定された場合には、自ユーザ専用のロック情報1702にそれぞれ保存される。
【0026】
(6)印刷時の描画処理部の処理
次に、図18を参照し、印刷時の描画処理部1210の印刷設定を決定する処理について説明する。なお、この処理は全て記憶部1030に保存された描画処理部1210のソフトウェアがメモリ1042にロードされてCPU1041によって実行されることにより行われる。
まずS4001で、描画処理部1210はGDI1310を介してアプリケーション1100で設定された印刷設定値(アプリケーションDEVMODE)を取得する。
次にS4002で、描画処理部1210はロック機能が正しく設定されているかどうかの確認を行う。ここでは、該当プリンタオブジェクトの全ユーザ共通の領域にロック機能が有効であることを示す値やパスワード、ロック情報などが正しく保存されているかどうか等の確認を行う。
ロック機能が正しく設定されていない場合(S4002でNo)は、S4012へと進み、S4012において、ロック機能は利用せず、アプリケーション印刷設定で、印刷処理を行う。
ロック機能が正しく設定されている場合(S4002でYes)は、S4003へ進む。
続くS4003では、描画処理部1210は該当プリンタオブジェクトに対する自ユーザ専用のロック情報1702を取得する。
S4004で、自ユーザ専用のロック機能設定1700が存在しているか確認する。
自ユーザ専用のロック情報1702が存在していれば(S4004でYes)、S4005に進む。
S4005で、描画処理部1210はロック情報1702の内容を確認し、続いてS4006で、何らかの印刷機能制限が設定されているかどうか調べる。
ロック情報1702の各ロックの状態(図16の1701~1704)を確認し、一つでもロック機能がONになっている機能があれば、機能制限あり(S4006でYes)と判断し、S4011に進む。
【0027】
S4011では、S4001で受け取ったアプリケーションDEVMODEをロック情報1702に従って、書き換える作業を行う。まず、自ユーザ専用領域に保存されているユーザデフォルト印刷設定(ユーザDEVMODE)を取得する。続いて、ロック機能設定1700でロックが指示されている項目について、ユーザDEVMODEの設定値で、アプリケーションDEVMODEの設定値を上書きする処理を行う。
S4011の処理を具体例で説明すると、ロック情報1702でカラーモードのロック1703が指示されているとする。その場合、ユーザデフォルト印刷設定(ユーザDEVMODE)のカラーモードの設定値で、アプリケーションDEVMODEのカラーモードの設定値を上書きする。より具体的には、ユーザDEVMODEのカラーモードの設定値が「白黒」であれば、アプリケーションDEVMODEのカラーモードの設定値を「白黒」に書き換える。自ユーザ専用のロック情報1702でロックが指示された全ての項目について、ユーザDEVMODEの設定値でアプリケーションDEVMODEの設定値を置き換え、印刷に利用する印刷設定(DEVMODE)が確定する。
機能制限が無い(S4006でNo)場合は、S4012へ進み、アプリケーションDEVMODEで印刷処理を行う。
また、S4004で、自ユーザ専用のロック情報1702が無い場合(S4004でNo)、S4007に進む。
S4007で、描画処理部1210は該当プリンタオブジェクトに対する全ユーザ共通のロック情報1701を取得する。
続くS4008で、全ユーザ共通のロック情報1701が存在を確認する。
全ユーザ共通のロック情報1701が存在していれば(S4008でYes)、S4009に進む。
S4009では、描画処理部1210はロック情報1701の内容を確認し、続くS4001で、何らかの印刷機能制限の設定が有るかどうか調べる。ロック情報1701の各ロックの状態(図16の1701~1704)を確認し、一つでもロック機能がONになっている機能があれば、機能制限あり(S4010でYes)と判断し、S4013に進む。
【0028】
S4013では、S4001で受け取ったアプリケーション印刷設定を全ユーザ共通のロック機能設定1700に従って、書き換える作業を行う。全ユーザ共通領域に保存されているグローバルDEVMODEの取得し、全ユーザ共通のロック情報1701でロックが指示されている項目について、グローバルDEVMODEの設定値で、アプリケーションDEVMODEの設定値を上書きする処理を行う。
S4013の処理を具体例で説明する。全ユーザ共通のロック情報1701でレイアウトのロック情報1702が指示されているとする。この場合、グローバルDEVMODEでレイアウトに関連するページレイアウト、出力用紙サイズ、倍率の各設定値で、アプリケーションDEVMODEの該当する各設定値を上書きする。より具体的には、グローバルDEVMODEのレイアウトに関連するページレイアウトが「2in1」、出力用紙サイズが「原稿サイズと同じ」、倍率を指定するが「指定しない」であったとする。その場合、アプリケーション印刷設定のページレイアウトを「2in1」に、出力用紙サイズを「原稿サイズと同じ」に、倍率を指定するは「指定しない」にそれぞれ書き換える。全ユーザ共通のロック情報1701でロックが指示された全ての項目について、グローバルDEVMODEの設定値でアプリケーションDEVMODEの設定値を置き換え、印刷に利用する印刷設定が確定する。
機能制限が無い場合(S4010でNo)、及びロック情報1701が無い場合(S4008でNo)はS4012へ進み、アプリケーションDEVMODEに従って印刷処理を行う。
このようにして、描画処理部1210において印刷で利用する印刷設定を決定する。
以上で、印刷設定を決定する処理を終了する。
最後に、運用について述べる。以上に説明したように発明を実施することで、管理者が設定したロック機能を個々のユーザがパスワードを用いて変更できるようになる。このため、管理者はロック機能の適用対象外としたいユーザに対して、パスワードの開示行い。パスワードの開示を受けたユーザはロック設定UI1500で、パスワードを入力すると共に、各機能のロックの状態を解除することで、自身のロック機能を適用対象外とすることが可能になる。
【0029】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0030】
1000 コンピュータ
1200 プリンタドライバ
1210 描画処理部
1220 UI処理部
1400 印刷設定UI
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