(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】ガラス板の製造方法、および該方法により製造されたガラス板並びにその使用
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20241209BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20241209BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20241209BHJP
C03B 33/09 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
C03B17/06
B23K26/073
B23K26/53
C03B33/09
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020179411
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10 2019 129 036.8
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウス-ペーター クーレク
(72)【発明者】
【氏名】マーティン クアツ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オアトナー
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ クラウセン
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-335928(JP,A)
【文献】特表2017-508691(JP,A)
【文献】特表2017-528322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B17/06
C03B25/00-25/12
C03B33/00-33/14
B23K26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板(2)の製造方法であって、以下の段階:
・ ガラス溶融物(10)から、15μm~
100μmの範囲の所定のガラス厚(d)を有する連続するガラスリボン(4)を熱間成型する段階、
・ 前記ガラスリボン(4)を前記所定のガラス厚(d)に依存して選択された冷却速度で冷却する段階、
・ 少なくとも1つの超短パルスレーザー(16)を用いてレーザービーム(20)を生成する段階、
・ ビーム形成光学系を用いて、前記レーザービーム(20)の焦点領域(22)を、その焦点領域(22)がガラスリボン(4)のガラス厚よりも大きくなるように生成する段階、
・ 前記レーザービーム(20)によって、フィラメント状の傷(14)が好ましくはガラスリボン(4)の一方の側面(51)から反対側の側面(52)へと延在するようにフィラメント状の傷(14)からの目標破断線(12)を前記ガラスリボン(4)に導入する段階、
その際、前記フィラメント状の傷(14)は前記目標破断線(12)に沿って間隔をあけて導入され、
その際、前記ガラスリボン(4)を横切る横方向の目標破断線(121)と、各々厚くなった耳部(13)を有する縁を有する前記ガラスリボン(4)に対して縦の両側の縦方向の目標破断線(122)とが生成される、
・ 前記縦方向の目標破断線(122)に沿った耳部(13)を分離して、端部(30)を形成する段階、並びに
・ 前記ガラスリボン(4)を横切って走る横方向の目標破断線(
121)のところで分けることによりガラス板(2)を分離して、端部(30)を形成する段階、
を有
し、前記ガラスリボン(4)が、(1/d)・4500ケルビン/(秒・μm)~(1/d)・9000ケルビン/(秒・μm)[前記dはガラスリボン(4)の厚さを示す]の範囲である冷却速度で冷却されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記ガラスリボン(4)
が、100ケルビン/秒以上、特に好ましくは150ケルビン/秒以上、または200ケルビン/秒以上の冷却速度で冷却されることを特徴とする、請求項1に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項3】
前記ガラスリボン(4)の冷却を、ガラス転移温度の範囲で目標破断線(12)を導入する前に、有利には軟化点を下回る温度で、特に好ましくはガラス転移温度を下回る温度で行い、且つその際、前記ガラスリボン(4)の冷却を任意に追加的に、目標破断線(12)を導入する間および/またはその後に行うことを特徴とする、請求項
1または2に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項4】
前記冷却を、冷却炉(27)内で、殊に発熱体を用いて行うことを特徴とする、請求項1から
3までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項5】
前記レーザービーム(20)のビームのプロファイルが、レーザービーム(20)の広がりが目標破断線(12)の方向で、該目標破断線(12)を横切る方向よりも大きくなるように形成されることを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項6】
ビーム形成光学系(18)によって、水平の優先方向を有するビームのプロファイル、好ましくは楕円形のビームのプロファイル(32)、または液滴状のビームのプロファイル(33)、または二重ビームの形状でのビームのプロファイル、または菱形のビームのプロファイル(35)、またはダンベル形のビームのプロファイル(36)、またはくさび形のビームのプロファイル(37)、または主ビームと、より弱い強度または広がりを有する周辺部とを有するビームのプロファイル(38)が生成されることを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項7】
前記ビーム形成光学系(18)を用いて、レーザービーム(20)が、その焦点領域(22)において、前記レーザービーム(20)の目標破断線に沿った方向での広がりが、目標破断線に垂直な方向での広がりよりも1.3~5倍の範囲、有利には1.5~4倍の範囲で大きくなるように形成されることを特徴とする、請求項1から
6までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項8】
前記フィラメント状の傷(14)が、進行方向に対して垂直な鏡像に関して非対称なビームのプロファイルを有するレーザービーム(20)を用いて導入されることを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項9】
前記フィラメント状の傷(14)が並び合って、最大でガラス厚(d)の大きさの間隔をあけて導入され、有利には互いに隣り合うフィラメント状の傷(14)の間の平均間隔1μm~10μmの範囲、好ましくは3μm~8μmの範囲で導入されることを特徴とする、請求項1から
8までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項10】
前記目標破断線(12)の導入が、まず前記ガラスリボン(4)を横切って、横方向の目標破断線(121)を生成し、次いで前記ガラスリボン(4)に対して縦に、縦方向の目標破断線(122)を生成する順で行われることを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項11】
複数の超短パルスレーザー(16)を使用し、その際、少なくとも1つの第1の超短パルスレーザー(16)が横方向の目標破断線(121)を導入し、且つ少なくとも1つの第2の超短パルスレーザー(16)が縦方向の目標破断線(122)を導入することを特徴とする、請求項1から
10までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項12】
前記ガラスリボン(4)の軸の位置が、好ましくは少なくとも1つの押し付けロール、押し付けエッジを用いて、または吸引によって、前記焦点領域内に固定されていることを特徴とする、請求項1から
11までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項13】
前記縦方向の目標破断線(122)のところでの前記耳部(13)の分離、およびガラスリボンを横切って走る前記横方向の目標破断線(121)のところで分けることによるガラス板(2)の分離を機械的に行うことを特徴とする、請求項1から
12までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法。
【請求項14】
請求項1から
13までのいずれか1項に記載の方法により製造されるガラス板の使用であって、電子部品用の絶縁性の中間基板またはスペーサーのための、光電子部品の封入のための、薄膜セル、例えば薄膜電池または薄膜太陽電池用の支持体としての、ディスプレイ用およびマイクロ流体セル用の複合基板としての前記使用。
【請求項15】
請求項1から
13までのいずれか1項に記載のガラス板(2)の製造方法のための装置(1)であって、
・ ガラス溶融物(10)から15μm~
100μmの範囲の所定のガラス厚(d)を有する連続するガラスリボン(4)を熱間成型するための装置(8)、
・ ガラスリボン(4)を横切る横方向の目標破断線(121)を形成するため、および各々厚くなった耳部(13)を有する縁を有するガラスリボン(4)に対して縦の両側の縦方向の目標破断線(122)を形成するために、前記ガラスリボン(4)の所定の体積において深さ方向の互いに間隔をあけたフィラメント状の傷(14)を生成するための、少なくとも1つの超短パルスレーザー(16)、およびガラス厚(d)よりも大きくなるように調節可能である焦点領域(22)を有するレーザービーム(20)を生成するビーム形成光学系(18)、
・ 前記ガラスリボン(4)上の目標破断線(12)の所定の進路に沿ったレーザービーム(20)の位置決めのための移動装置(24)、および
・ 前記ガラスリボン(4)にフィラメント状の傷(14)を導入する
前に、所定のガラス厚(d)に依存して選択された冷却速度で前記ガラスリボン(4)を冷却するように配置され且つ調整されている冷却装置(26)
を含む、前記装置(1)。
【請求項16】
分離装置(28)が、前記耳部(13)を前記縦方向の目標破断線(122)に沿って、且つ前記ガラス板を、前記ガラスリボン(4)を横切って走る横方向の目標破断線(121)のところで分けることにより、好ましくは機械的に分離して、それぞれ端部(30)を形成するように配置され且つ調整されていることを特徴とする、請求項
15に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記ガラスリボン(4)を移動させるための移動装置(24)が、前記ガラスリボン(4)の位置を焦点領域内に固定するための少なくとも1つの押し付けロール、押し付けエッジ、または吸引装置を備えることを特徴とする、請求項
15または16に記載のガラス板(2)の製造装置(1)。
【請求項18】
ビーム形成光学系(18)が、少なくとも1つの以下の特徴:
・ レーザービーム(20)のビームのプロファイルが、前記目標破断線(12)の方向での前記レーザービーム(20)の広がりが、該目標破断線(12)を横切る方向よりも大きくなるように形成されるように前記ビーム形成光学系(18)が調整されていること、
・ レーザービーム(20)が、その焦点領域(22)内で、前記ガラスリボン(4)上で前記移動装置によって媒介されるレーザービーム(20)の移動方向に沿った方向でのレーザービーム(20)の広がりが、目標破断線に垂直な方向での広がりよりも、1.3~5倍の範囲、有利には1.5~4倍の範囲で大きくなるように形成されるように、前記ビーム形成光学系(18)が調整されていること、
を有することを特徴とする、請求項
15から
17までのいずれか1項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスガラスリボン上で目標破断線を導入し、引き続き工程に起因して厚くなった耳部、つまりガラスリボンの縦方向での両縁で隆起して厚くなった部分を分離し、並びにガラス板をガラスリボンの横方向に分離するための、レーザーフィラメンテーションによる超薄ガラス板、つまりガラス厚15μm~2mmを有するガラスの製造に関する。ここで、いわゆるガラスシートも前記超薄ガラス板に含まれる。
【背景技術】
【0002】
ガラスリボンにおける耳部の切断および横方向の個別化のための、および場合によりガラスの後の分離と組み合わせた、レーザーフィラメンテーションによって、例えば、殊に耳部および横方向の刻みについて達成可能な切断速度が作業者により実施される分離および保管工程によって制限されるホイール切断の場合よりも、切断工程におけるより高いガラスリボン速度もしくは引張速度および切断速度が可能である。さらに、レーザーフィラメンテーションは粒子の少ない方法であるため、ガラスにおける汚染および引っかき傷が少ない。
【0003】
超短パルスレーザーによるフィラメントを導入することによるガラス板の分離は自体公知である。相応の方法はとりわけ国際公開第2018/020145号(WO2018/020145A1)、国際公開第2017/055576号(WO2017/055576 A1)、米国特許出願公開第2018/0057390号明細書(US2018/0057390A1)、および米国特許出願公開第2017/0120374(US2017/0120374A1)号明細書内に記載されている。
【0004】
超薄ガラスの場合、反りおよび厚さのばらつきなどに関して特定の幾何学的な係数を守るには、特定の最小引っ張り速度を必要とするので、高い引っ張り速度の際は著しい冷却速度がもたらされる。高い冷却速度は通常、ガラスの内部応力をもたらし、それによりガラス切断の際の端部強度が低下するので、高い冷却速度は通常は不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/020145号
【文献】国際公開第2017/055576号
【文献】米国特許出願公開第2018/0057390号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0120374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、超薄ガラス板を製造するための特に経済的な方法であって、様々な冷却速度を考慮して、殊に高い冷却速度にも関わらず、その方法で製造されたガラス板の端部強度が高いことを確実にする前記方法を提供することである。前記の課題は、独立請求項の対象によって解決される。本発明の有利な態様は、それぞれ従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明はガラス板の製造方法であって、以下の段階:
・ ガラス溶融物から15μm~2mmの範囲の所定のガラス厚を有するガラスリボンを連続的、殊に連続的に引き出して熱間成型する段階、
・ 所定のガラス厚に依存して選択される冷却速度で前記ガラスリボンを冷却する段階、ここで有利には、ガラス厚がより低いもしくはより少ないと冷却速度が高められ、つまり有利には、ガラス厚が少なくなるほどより高い冷却速度が選択され、且つガラス厚が高くなるほど低い冷却速度が選択される、
・ 少なくとも1つの超短パルスレーザーによるレーザービームを生成する段階、
・ 前記レーザービームの焦点領域を、その焦点領域がガラスリボンのガラス厚よりも大きくなるように、ビーム形成光学系を用いて生成する段階、
・ 前記レーザービームによって、フィラメント状の傷が好ましくはガラスリボンの一方の側面から反対側の側面へと延在するように、フィラメント状の傷からの目標破断線をガラスリボンに導入する段階、その際、前記フィラメント状の傷が目標破断線に沿って間隔をあけて導入され、且つその際、ガラスリボンを横切る横方向の目標破断線、および各々厚くなった耳部を有する縁を有するガラスリボンに対して縦の両側の縦方向の目標破断線が生成される、
・ 前記縦方向の目標破断線に沿った耳部を分離して、好ましくは所定の端部強度を有する端部を形成する段階、並びに、
・ 前記ガラスリボンを横切って走る横方向の目標破断線のところでの分離によりガラス板を分離して、好ましくは所定の端部強度を有する端部を形成する段階、
を有する方法を提供する。
【0008】
前記レーザービームは、ビーム形成光学系によって殊にベッセルビームとして形成され得る。
【0009】
ガラス板を製造するための上記の方法に対応する装置は好ましくは、
・ ガラス溶融物から15μm~2mmの範囲の所定のガラス厚を有する連続的なガラスリボンを熱間成型するための装置、
・ ガラスリボンを横切る横方向の目標破断線を形成するため、および各々厚くなった耳部を有する縁を有するガラスリボンに対して縦の両側に縦方向の目標破断線を形成するために、ガラスリボンの所定の体積において深さ方向の互いに間隔をあけたフィラメント状の傷を生成するための、少なくとも1つの超短パルスレーザー、およびビームの形状としてガラス厚よりも大きく調節される焦点領域を生成するベッセルビームを生成するビーム形成光学系、
・ ガラスリボン上の目標破断線の所定の進路に沿ったレーザービームの位置決めのための移動装置、
・ ガラスリボンにフィラメント状の傷を導入する前、その間、および/またはその後に、所定のガラス厚に依存して選択された冷却速度でガラスリボンを冷却し、その際有利には、ガラスの厚さが小さいほど高い冷却速度が選択されるように、配置され且つ調整されている冷却装置
を含む。さらに分離装置を備えることができ、該分離装置は、耳部を縦方向の目標破断線に沿って、且つガラス板を、ガラスリボンを横切って走る横方向の目標破断線のところで分離することにより、好ましくは機械的に分離して、それぞれ端部を形成するように配置され且つ調整されている。
【0010】
移動装置によるレーザービームの位置決めは、ガラスリボンの移動、少なくとも1つの超短パルスレーザーの移動、ビーム形成光学系の移動または調節の少なくとも1つの段階によって行うことができる。
【0011】
その際、好ましいガラス厚は100μm以下、70μm未満、50μm以下、30μm以下、または20μm未満である。
【0012】
ガラスリボンを有利には、ダウンドロー法で、好ましくは毎分1メートル~毎分50メートルの範囲の速度で速やかに引き出す。しかし、前記方法はダウンドロー法に限定されない。オーバーフローフュージョン法または薄いガラスリボンを製造するために適したさらなる方法で引き出すことも可能である。
【0013】
フィラメント状の傷からの目標破断線の導入を好ましくは、1つの実施態様によれば、ダウンドロー法の際に、ガラスリボンが水平に方向転換した後に行う。
【0014】
ガラスリボンを好ましくは速やかに冷却し、殊に40K/秒以上の冷却速度を使用できる。殊に冷却速度は明らかにより大きく、好ましくは100K/秒以上、特に好ましくは150K/秒以上、またはさらには200K/秒以上であってもよい。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、ガラスリボンは厚さに依存した冷却速度で、好ましくは(1/d)・4500ケルビン/(秒・μm)~(1/d)・9000ケルビン/(s・μm)の範囲である冷却速度で冷却され、ここでdはガラスリボンの厚さを示す。従って、有利には、ガラスリボンの所定の厚さがより小さいと冷却速度が高められるか、もしくはガラスリボンの所定の厚さがより大きいと冷却速度が下降/低下される。
【0016】
引き続きガラスリボンから耳部を信頼性高く且つ容易に分離でき且つ個々のガラス板の分離を達成するために、ガラスリボンの冷却を好ましくは、ガラス転移温度の範囲において目標破断線を導入する前に、有利には軟化点を下回る温度で、特に好ましくはガラス転移温度を下回る温度で行う。前記方法を最適化するために、ガラスリボンの冷却を任意に追加的に、目標破断線の導入の間および/またはその後にも行うことができる。
【0017】
前記方法の好ましい実施態様において、冷却を、冷却炉内で、殊に発熱体を用いて、または冷却流体、殊に空気、他のガス状媒体またはエアロゾルの吹きつけまたは噴霧によって行う。後者の場合、冷却速度は例えば冷却流体の流量を制御することによって、工程パラメータのガラス温度および送り速度に合わせて/決定して、ガラスリボンにおける望ましくない応力を防止できる。
【0018】
特に好ましい態様によれば、ビーム形成光学系を介して、ガラス中の強度分布、ひいてはフィラメント状の傷の形状も狙い通りに調節される。このために、ビームのプロファイルを、相応のビーム形成光学系によって有利には、レーザービームの光の強度、もしくはその広がりが、目標破断線の方向において、それを横切る方向よりも大きくなるように調節する。
【0019】
前記方法のさらに好ましい実施形態において、ビーム形成光学系により、水平の優先方向を有するビームのプロファイル、好ましくは楕円形の、ランセット形の、液滴形の、2つの互いに間隔をあけたビーム(例えば2重ベッセルビーム)の、菱形の、ダンベル形の、くさび形の、または点の形のビームのプロファイル、または主ビームと、より弱い強度を有する周辺部とを有するビームのプロファイルも生成される。それにより、耳部の分離およびガラス板の個別化後に、特に高い端部品質もしくは端部強度を有するほぼ任意の輪郭をもたらすことができる。
【0020】
超短パルスレーザーの速度および繰り返し速度は、好ましくは、フィラメント状の傷が、最大でもガラス厚の大きさである間隔をあけて隣り合って導入されるように調節される。有利には、フィラメント状の傷は互いに1μm~10μm、好ましくは3μm~8μmの範囲の平均間隔を有する。
【0021】
ガラス板を製造するための方法の好ましい実施態様において、目標破断線の導入は、まずガラスリボンを横切る方向であり、それにより横方向の目標破断線が生成され、次いで各々厚くなった耳部を有する縁を有するガラスリボンに対して縦の両側で、縦方向の目標破断線を生成する順で行う。このようにして、ガラスリボンは、横方向の目標破断線の導入後にまだ耳部を一緒に保持することにより、機械的に安定化される。
【0022】
さらに、端部強度は、より薄いガラスの場合、より高い冷却速度に伴い減少すること、および逆に端部強度はより厚いガラスの場合、冷却速度が小さくなると増加することが判明した。前記方法の好ましい実施態様において、以下の式を満たす、冷却に依存した端部強度KGKを有する縁部を備えたガラス板が製造される:
(1) KGK=KG/K、もしくは
(2) KG=KGK・K。
前記式中、KGはMPaでの強度の値を示し、且つKはケルビン/秒での冷却速度を示す。殊に、本願で開示される分離方法で、少なくとも30μmのガラス厚について0.2MPa・秒/ケルビンを上回る、好ましくは0.5MPa・s/ケルビンを上回る係数KGKを達成できる。少なくとも50μmのガラス厚については、冷却に依存する端部強度KGKは0.5MPa・秒/ケルビンを上回る、好ましくは0.9MPa・秒/ケルビンを上回ることができる。少なくとも100μmのガラス厚については、さらなる実施態様によれば、冷却に依存する端部強度KGKは1.5MPa・秒/ケルビンを上回る、好ましくは2MPa・秒/ケルビンを上回る。
【0023】
さらに好ましい実施態様において、ガラスリボンを動かすための移動装置は有利には少なくとも、ガラスリボンの位置を焦点領域内に固定するための押し付けロール、押し付けエッジまたは吸引装置を備える。従って、ガラスリボンは、超短パルスレーザーの焦点の位置、およびフィラメント状の傷からの目標破断位置の配置に関して固定されており、ベッセルビームの焦点の領域からガラスリボンが外れることが回避される。
【0024】
殊に、前記の固定により、上記の欠点を回避しながら製造工程の速度も高めることができ、そのことは前記方法の経済性に良い影響を及ぼす。
【0025】
縦方向の破断線のところでの耳部の分離、およびガラスリボンを横切って走る横方向の横方向の破断線のところで分離することによるガラス板の分離を、有利には機械的に行う。目標破断線のところでの分離が一般に機械的な作用をほとんど必要としないことが示されている。多くの場合、ガラスリボンの搬送の際の移動および応力が、目標破断位置を分離するために既に十分である。
【0026】
本開示による超薄ガラス板を製造するための方法で、特に高い切断速度、殊に5m/秒まで、特に好ましくは3m/秒~5m/秒の切断速度も達成できる。
【0027】
レーザーフィラメンテーションによれば、ガラスリボンにおける耳部の切断および横方向の個別化のために、つまり耳部の分離および個別のガラス板の分離もしくはいわゆる全体切断(FBC: Full Body Cut)のために、上記のとおり、分離力は非常にわずかにしか必要とされないか、または必要とされない。殊に、温度をもたらすことによる熱応力の誘導、つまり、温度差の誘導は必要ではなく、従って例えばいわゆる熱劈開法、および急峻な温度低下による、殊に冷却衝撃による熱衝撃切断は必要ではない。
【0028】
本願の開示による方法で、ガラス厚を考慮して、種々の冷却速度で、殊に高い冷却速度でも高い端部強度が達成される。
【0029】
従って、厚さに依存する冷却速度は欠点ではなく、課題の解決策の要素である。
【0030】
前記方法は、特に粒子が少なく、且つ特に安定な端部強度、ひいては高められた予定収率をもたらす。
【0031】
ガラスリボンの低減された製造コストおよび前記方法で達成された安定な品質により、前記方法はさらに特に経済的である。
【0032】
前記方法によれば、15μm~2mmのガラス厚を有する、好ましくは100μm以下、50μm以下または30μm以下のガラス厚を有する、好ましくは6ppm/Kを上回る熱膨張係数を有するガラス板が製造可能であり、その際、前記ガラス板は好ましくは7を上回るワイブル係数(DIN EN 843-5による)および130MPaを上回る、多くの場合150MPaすら上回る、または200MPaすら上回る特徴的な破壊応力を有する。好ましい実施態様において、前記の特徴的な破壊応力は150MPa~250MPaの範囲である。1.68メートルの端部長の際の5%の分位点σ5%@1.68について、90MPaを上回る、多くの場合130MPaすら上回る値がもたらされる。
【0033】
ガラス板は好ましくはフィラメント状の傷を有する粗い面と、その間にあるフィラメント状の傷を有さない平坦な面とを有し、その際、前記平坦な面の前記粗い面に対する面積比は好ましくは3:10~2:1である。
【0034】
本発明による方法により製造できる超薄ガラス板を、非常に様々な用途のために使用できる。好ましくは、それらは、電子部品用の絶縁性の中間基板またはスペーサーのために、光電子部品の封止のために、薄膜セル、例えば薄膜電池または薄膜太陽電池用の支持体として、ディスプレイ用およびマイクロ流体セル用の複合基板として使用される。
【0035】
前記の様々な用途は、化学薬品耐性、温度変化耐性および熱耐性、気密性、高い電気絶縁性、適合された膨張係数、曲げ性、高い光学的品質および光透過性、またはさらには、薄ガラスの両側で非常にわずかな粗さを有する高い表面品質、並びに前記分離方法により達成される高い端部強度などの特性に基づく。
【0036】
本発明を次に、添付の図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はそこに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】
図2はビーム形成光学系のビームのプロファイルを示す。
【
図3】
図3はガラスリボンを個別化されたガラス板へ分離するための配置を示す。
【
図4】
図4は冷却速度のガラス厚依存性のグラフである。
【
図5】
図5は端部強度および冷却速度のガラス厚依存性のグラフである。
【
図6】
図6は冷却速度に依存する端部強度の係数の、ガラス厚依存性のグラフである。
【
図7】
図7は破壊応力の関数としての故障確率のワイブルグラフを示す。
【
図8】
図8は破壊応力の関数としての故障確率のワイブルグラフを示す。
【
図9】
図9はガラス板の縁領域の顕微鏡写真を示す。
【
図11】
図11は、目標破断線に沿った焦点領域22の強度の推移43および目標破断線に対して垂直な焦点領域22の強度の推移44の模式的なグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、15μm~2mmの範囲内の所定のガラス厚dを有するガラス板2を製造するための装置1の例示的な実施態様を示す。連続したガラスリボン4が、熱間成型装置8の一部である下向きのスリット状のノズル6を通じて、ガラス溶融物10から引き出される。ここで、ガラスリボン用の熱間成型方法として、好ましくはいわゆるダウンドロー法が使用され、且つフィラメント状の傷14からの目標破断線12の導入、つまりレーザーフィラメンテーションは、好ましくはダウンドロー法の際に直接的に、特に好ましくはガラスリボン4が水平に方向転換された後に行われる。
【0039】
ガラスリボン4に、少なくとも1つの超短パルスレーザー16で制御されたフィラメント状の傷14からの目標破断線12を導入し、その際、そのレーザーパルスはビーム形成光学系18によって近似ベッセルビーム20を生成し、それによってガラスリボン4を通り抜ける焦点領域22を生成する。殊に、ビーム形成光学系18がレーザービーム20の焦点を合わせて、ガラス中で出力密度を高めることができる。ビーム形成光学系18を介して、強度分布、ひいてはフィラメント状の傷14の形態も狙い通りに調節できる。
【0040】
焦点領域は好ましくはガラス厚dより長く調節され、ガラスリボン4の所定の体積において、深い方向に(互いに間隔をあけて)フィラメント状の傷14を生成し、好ましくはガラスリボン4の一方の側面51から反対側の側面52へと、つまり好ましくはガラスリボン4の厚さd全体にわたって導入する。
【0041】
本発明の目的のための超短パルスレーザーとして、例えば波長1064nm、平均出力12W(1064nm、100kHz、1バーストあたり1パルスで)、繰り返し速度100kHz、バースト周波数50MHzおよびパルス持続時間約10ps(1064nm且つ100kHzで)を有するNd:YAGレーザーが適している。
【0042】
さらなる実施態様によれば、1030nmを有するYb:YAG-レーザーを使用できる。一般に、前記レーザーは周波数を2倍化(SHG)または周波数を3倍化(THG)したバージョンとして使用できる。パルス長は、1つの実施態様によれば300fs~20psの範囲、または400fs~10ps未満の範囲である。繰り返し速度は、50kHz~1MHz、好ましくは100kHz~500kHzの範囲であってよい。パルスエネルギーは100μJを上回る、200μJを上回る、またはさらには400μJを上回ることができる。バーストパルスの数は≦2、≦4、または≦8である。
【0043】
さらに、ガラスリボン2の製造装置1は好ましくは、ガラスリボン4を移動させるための例えば搬送ロール、殊に延伸ロールによる移動装置24、超短レーザー16、および/またはガラスリボン4上で目標破断線12の所定の進路に沿ってレーザービーム20の位置決めをするためのビーム形成光学系18を含む。
【0044】
その際、レーザービーム20がガラスリボン4上を導かれてもよいし、ガラスリボン4がレーザービーム20に対して導かれてもよい。両方の態様の組み合わせも可能である。レーザービーム20をガラスリボン4の移動方向に対して垂直に動かすために、例えばガルバノスキャナを使用するか、または偏向ミラーを、ガラスリボンを横切る可動軸上で搬送することができる。
【0045】
この場合、ガラスリボン4を横切る横方向の目標破断線121と、各々厚くなった耳部13を有する縁を有するガラスリボン4に対して縦の両側の縦方向の目標破断線122とが形成される。
【0046】
本発明は、本開示によるレーザー支援法で生成される端部での破壊力のばらつきを、ガラス厚に適合された冷却速度で低減できるという知見にも基づく。
【0047】
従って、ガラス板2の製造装置1は、さらに冷却装置26を有し、該冷却装置は、ガラスリボン4にフィラメント状の傷14を導入する前に、所定のガラス厚dに依存して選択された冷却速度でガラスリボン4を冷却し、その際有利には、ガラスの厚さが小さいほど高い冷却速度が選択されるように、配置され且つ調整されている。
【0048】
好ましくはガラスリボン4の冷却を、ガラス転移温度の範囲で目標破断線12を導入する前に、好ましくは軟化点未満の温度で、特に好ましくはガラス転移温度を下回る温度で行う。
【0049】
有利な実施態様において、ガラスリボン4の冷却を冷却炉27内で、殊に発熱体を用いて調整して実施する。場合により、均質な冷却を、冷却媒体の、殊に空気、エアロゾルの吹きつけまたは噴霧によって促進することもできる。
【0050】
1つの実施態様によれば、ガラス板2の製造装置1はさらに分離装置28を含み、該分離装置は、縦方向の目標破断線122に沿った耳部13を好ましくは機械的に分離して端部30を形成し、且つガラスリボン4を横切って走る横方向の目標破断線121のところで分離することによりガラス板2を好ましくは機械的に分離して、端部30を形成するように配置され且つ調整されている。例えば、前記分離装置は、目標破断線上を導かれる球状のローラーを備えた配置を含むことができる。熱源、例えばレーザーを備えて、目標破断線のところで熱応力を誘導することもできる。場合により、ガラスを目標破断線のところで分離するために機械的な作用はもはや必要とされない。
【0051】
また、ビーム形成光学系18を介して、ガラス中での強度分布、ひいてはフィラメント状の傷14の形状も狙い通りに調節できる。
【0052】
さらなる好ましい実施態様において、ガラスリボン4を移動するための移動装置24は、軸の位置、もしくはガラスリボン4の位置を焦点領域内のビームの方向に固定するために、少なくとも1つの押し付けロール、押し付けエッジ、または吸引装置を備え、それによってガラスリボン4は、個々のガラス板2の形状および端部の品質が損なわれかねないガラス板2の個別化および耳部13の分離に関して歪まない。殊に固定により、製造工程の速度も高められ、上述の欠点を回避でき、そのことが該方法の経済性に良い影響を及ぼす。
図1に示された例の場合、ガラスリボン4の垂直位置を固定するための装置として、一対の押し付けロール15が示され、それは超短パルスレーザー16の照射点付近でガラスリボンの位置をレーザービーム20の入射方向に固定する。
【0053】
ガラス板2を製造するための好ましい実施態様において、ビームのプロファイルは、相応のビーム形成光学系18によって、好ましくは、強度プロファイルがベッセルビームの形で、もしくは光軸上で非常に高められた強度を有してベッセルビームの形に類似して形成されるように調節される。ビーム形成光学系は、線状の焦点への焦点合わせをもたらす。そのような焦点合わせを達成するために、例えば1つ以上のアキシコンまたは回折光学素子(DOE)またはそれらと他の光学素子との組み合わせが、ビーム形成光学素子として適している。
【0054】
殊に、ビームのプロファイルは好ましくは、目標破断線12の方向でのレーザービームの広がりが、前記破断線に対して横方向、殊に垂直な方向よりも大きくなるように調節される。このようにして、目標破断線に沿いに積算されるビーム量は、目標破断線に対して垂直に走る、ビームの中心を横切る線沿いよりも大きい。換言すれば、ビーム形成光学系は有利には、断面を有する光束を生成し、該断面は、線状に並ぶフィラメント状の傷14の方向において、この方向を横切る方向よりも広がっており、個々のフィラメント状の傷14は、ガラスリボン4の表面を横切って、有利にはガラスリボン4の表面に対して垂直な縦方向に続くレーザービーム20の広がる方向に走る。このために、ビーム形成光学系18は好ましくはより大きな光束・断面の広がりに関して調節可能であり、且つそのより大きな断面の広がりの方向は有利には、線状に並ぶフィラメント状の傷14の進路上を追跡する。
【0055】
前記方法のさらに好ましい実施態様において、ビーム形成光学系18によって、水平の優先方向を有する非対称なビームのプロファイルが生成される。
図2は、このためのビームのプロファイルの種々の可能性を示す。部分図(a)は、楕円形のビームのプロファイル32を示す。これは、その長い半軸が各々の目標破断線に沿って配列するように配列されている。従って、目標破断線に沿ったビームのプロファイルの広がりA
pは、目標破断線に対して垂直な広がりA
sよりも大きい。部分図(b)は、液滴状のビームのプロファイル33を示す。部分図(c)による実施態様の場合、レーザービームは2つのビームに分割される。従って、ビームのプロファイル34は、二重ビームの形で、間隔をあけた2つのビームを有する。部分図(d)は菱形のビームのプロファイル35を示す。
図2(e)にダンベル形のビームのプロファイル36を示し、
図2(f)にくさび形のビームのプロファイル37を示す。最後に、
図2(g)は主ビームと、より弱いまたは小さい周辺部とを有するビームのプロファイル38を示す。部分図(b)、(e)、(f)および(g)の実施態様は、それらが進行方向において、それに垂直な方向よりも広がっているだけでなく、進行方向に対して垂直な鏡軸に関して非対称であることも共通している。そのような形状は、分離をさらに容易にし、且つより高い端部強度を達成するために非常に有利であることができる。これは、フィラメントの導入の間に非対称な条件も存在するからであり、既にビームで走査された部分の目標破断線に対して、進行方向に見てレーザービームの前にまだフィラメントが存在しないからである。従って一般に、特定の例に限定されることなく、フィラメント状の傷は、進行方向に対して垂直な鏡像に関して非対称なビームのプロファイルを有するレーザービーム20を用いて導入されることが想定される。
【0056】
それによって、生じるフィラメント状の傷14からの目標破断線12のより高い幾何学的な正確性を有する調節可能な形状がもたらされると共に、耳部13の分離およびガラス板2の個別化の後により高い端部強度がもたらされる。
【0057】
目標破断線の方向での割れ目の形成を促進するために、所望の破断の方向に広がりを有するレーザー光束の断面形状は目的に応じて選択される。
【0058】
図2(a)の楕円形の断面形状32は、例えば組み合わせられたシリンダーレンズを通じて、レーザービームの元の円形の断面形状から得られる。さらなるビームのプロファイルも、適したレンズを通じて、場合により回折光学素子(DOE)も使用して生成できる。
【0059】
ガラス板2を製造するための方法の好ましい実施態様においては、工程技術的に、目標破断線12の導入の順序が、まずガラスリボンに対して横方向であり、ここで横方向の破断線121をもたらし、次いで、各々厚くなった耳部を有する縁を有するガラスリボンに対して縦の両側で、縦方向の目標破断線122をもたらす条件で行い、なぜなら、その際、ガラスリボン4は耳部13によってまだ一緒に保持され、そのことにより機械的に安定化されるからである。
【0060】
図3は、ガラスリボン4を個別化されたガラス板2に分けるための、および耳部3を分離するための配置を示す。
【0061】
この方法のために好ましくは、連続的に引き出されたガラスリボン4を搬送するための移動装置24が備えられ、示された例においてはコンベヤベルト240を含む。目標破断線12を導入するために一般には、示される例に限定されることなく、有利には複数の超短パルスレーザー16が使用されることがあり、その際、少なくとも1つの第1の超短パルスレーザー16は横方向の目標破断線121を導入し、且つ少なくとも1つの第2の超短パルスレーザー16は縦方向の目標破断線122を導入する。殊に、示される例において、2つの縦方向の目標破断線122のために超短パルスレーザー16を使用することもできる。超短パルスレーザー16のビーム形成光学系18は、簡略化のために図面には示されていない。示された例のように、移動装置24はビーム偏向光学系241も含み得る。1つの実施態様によれば、その際、目標破断線121はビーム偏向光学系241によってガラスリボン4上を動くレーザービーム20によって導入される。ビーム形成光学系241は例えばガルバノスキャナを含み得る。
【0062】
示されたとおり、1つの好ましい実施態様においては、上記の目標破断線121、122を、最初に横方向、次いで縦方向に、連続するガラスリボン4に導入する。
【0063】
ガラスリボン4を横切って走る横方向の目標破断線121のところで分離もしくは割ることによる、個々のガラス板2の分離もしくはいわゆる全体切断(FBC: Full Body Cut)を、機械的な分離装置28によって行うことができ、このためにレーザーフィラメンテーションによれば特にわずかな分離力しか必要とされないか、または分離力が必要とされない。耳部13の切断、つまりガラスリボン4の縦方向の目標破断線122に沿った耳部の分離も、特にわずかな分離力によって、例えば簡単に引っ張ることによって、および/または加速ベルト29上で移動させることによって行うことができる。個々のガラス板2を移動方向に分離する加速ベルト29は、例えば、分離装置28の一部であってもよいし、または分離装置28であってよい。
【0064】
ガラス板2の分離または個別化の後、移動装置24を用いてそれらを検査ユニット39に運ぶことができる。検査ユニット39を用いて、とりわけ、ガラス板の寸法およびその端部品質を検査できる。
【0065】
殊に、良好な端部の品質を達成するために、応力を導入することによるガラスリボン4の熱による分離は必要とされないか、もしくは、温度の導入による熱的分離の誘導、つまり例えばCO2レーザーによる温度差の誘導、つまりいわゆる熱劈開法は分離のために必要とされず、且つ例えば急峻な温度低下による、例えば冷却衝撃による熱衝撃切断は必要とされない。
【0066】
その際、分離は例えば、球状のローラーで機械的応力を導入することによって、または球状のローラー上で目標破断線を導くことによって行うことができる。次いで、残りのガラスリボン4から分離された耳部13を、例えば破片容器内で、場合によりガラスリボンから除去して(破片貯蔵部/他の空間で)収容できる。
【0067】
本発明による方法の際、ガラスリボン4の冷却を、所定のガラス厚dに依存して選択される冷却速度で行い、その際、有利には、所定のガラス厚dが小さいほど冷却速度が高められるか、もしくは、所定のガラス厚が大きいほど冷却速度が下げられる。つまり、有利には、ガラスの厚さが小さいほど高い冷却速度が選択され、且つガラスの厚さが大きいほど低い冷却速度が選択される。
【0068】
図4は、ガラス厚に依存して選択された冷却速度のグラフである。殊に、
図4において、40K/秒~325K/秒の範囲における冷却速度の、Schott AGのAF32ガラスの例のガラスリボン4の25μm~110μmの範囲のガラス厚d依存性が示される(曲線(a))。
【0069】
Schott AGが名称AF32として提供しているガラスは、該方法のためによく適したアルカリ不含ガラスの類のアルカリ不含のアルミニウムホウケイ酸薄ガラスであり、以下の成分を質量%で有する:
SiO2 58~65
B2O3 6~10.5
Al2O3 14~25
MgO 0~3
CaO 0~9
BaO 3~8
ZnO 0~2、
ここで、MgO、CaOおよびBaOの含有率の合計は8~18質量%の範囲であることを特徴とする。
【0070】
その際、前記実施例の基礎をなすガラスは、以下の組成を質量%で有する:
SiO2 61
Al2O3 18
B2O3 10
CaO 5
BaO 3
MgO 3。
【0071】
前記ガラスAF32は、高い光透過率を有し、2430kg/m3の密度ρ、および0.3N/mの表面張力γ、2W/mKの熱伝導率λ、および1360J/kgKの比熱容量cpを有する。ガラスAF32の転移温度Tgは713℃である。前記ガラスAF32は、ケイ素の熱膨張係数に近い小さな熱膨張係数を有する。ダウンドロー法でさらに、1nm未満(RMS)の小さな粗さを有する特に平坦な表面を生成できる。適用温度は約600℃まで達する。
【0072】
本願で記載される方法のために適したさらなるガラスの類は、以下の成分を質量%で含有する:
SiO2 50~70
Al2O3 10~20
B2O3 5~15
CaO 4~8
BaO 0.5~5
SrO 4~8。
【0073】
1つの実施例において、ガラスは以下の成分で製造される:
SiO2 60質量%
B2O3 10質量%
Al2O3 15質量%
SrO 6質量%
CaO 6質量%
BaO 2質量%
並びに1質量%のさらなる成分。
【0074】
さらなる実施例によれば、ガラスリボンは有利には50μm±10μmの厚さで引き出される。例えばオーバーフローフュージョン法が適している。
【0075】
薄いガラスリボンに加工され且つ本願で記載される目標破断線の導入により良好に分割されるので本発明のためによく適しているガラスのさらなる類は、以下の成分を質量%で有する:
SiO2 30~85
B2O3 3~20
Al2O3 0~15
Na2O 3~15
K2O 3~15
ZnO 0~12
TiO2 0.5~10
CaO 0~0.1。
【0076】
この類のガラスからの例は、以下の組成を質量%で有する:
SiO2 64.0
B2O3 8.3
Al2O3 4.0
Na2O 6.5
K2O 7.0
ZnO 5.5
TiO2 4.0
Sb2O3 0.6
Cl- 0.1。
【0077】
この組成を有するガラス板は一般に以下の特徴を有する:
α(20-300) 7.2×10-6/K
Tg 557℃
密度 2.5g/cm3。
【0078】
化学強化可能であり且つ本願で記載される方法で加工するために特に適しているガラスのさらなる類は、以下の成分を質量%で有する:
SiO2 50~65
Al2O3 15~20
B2O3 0~6
Li2O 0~6
Na2O 8~15
K2O 0~5
MgO 0~5
CaO 0~7、好ましくは0~1
ZnO 0~4、好ましくは0~1
ZrO2 0~4
TiO2 0~1、好ましくは本質的にTiO2不含。
【0079】
さらに、ガラス中に0~1質量%のP2O5、SrO、BaO、並びに0~1質量%の清澄剤SnO2、CeO2またはAs2O3または他の清澄剤が含有され得る。
【0080】
1つの実施態様によれば、上記範囲からの組成を有するガラスから、以下の厚さを有するガラス板が製造される: 35μm±5μm、50μm±5μm、75μm±5μm、100μm±10μm。上記の類のガラスは、ダウンドロー法によっても、オーバーフローフュージョン法によっても、本願で記載される方法によって目標破断線の導入により容易に且つガラス板における高い強度を達成して分割できる、薄いガラスリボンへと引き出すことができる。場合により、所望のガラス厚の達成が引き出し法において可能ではないか、困難である場合、化学的または機械的に薄くすることで前記の所望のガラス厚を達成できる。
【0081】
この類からのガラスの例は、以下の組成を質量%で有する:
SiO2 60.7
Al2O3 16.9
Na2O 12.2
K2O 4.1
MgO 3.9
ZrO2 1.5
SnO2 0.4
CeO2 0.3。
【0082】
ここで挙げられた全てのガラスはダウンドローによって、30~100μmの範囲の厚さを有するガラスリボンに良好に加工できる。
【0083】
示された例に限定されることなく、15μm~2mmの範囲の所定のガラス厚dを有するガラスリボン4は、本発明の方法によれば好ましくは(
図4については40K/秒)50K/秒以上、好ましくは100ケルビン/秒以上、特に好ましくは150ケルビン/秒以上、または200ケルビン/秒以上の冷却速度で冷却される。
【0084】
図4によるグラフに示されるとおり、ガラスリボンの厚さが30μmの場合、好ましくは150ケルビン/秒~300ケルビン/秒の範囲の冷却速度が選択され、ガラスリボンの厚さが50μmの場合、好ましくは90ケルビン/秒~180ケルビン/秒の範囲の冷却速度が選択され、且つガラスリボンの厚さ100μmの場合、好ましくは45ケルビン/秒~90ケルビン/秒の範囲の冷却速度が選択される。
【0085】
従って、示された例または本願で記載されるガラス組成に限定されることなく、ガラスリボンは好ましくは150ケルビン/秒・30μm/d~300ケルビン/秒・30μm/dの範囲である冷却速度で冷却され、前記式中、dはガラスリボンの厚さを示す。ここで、
図4において曲線(b)は(1/d)・300ケルビン/秒・30μmの上限、曲線(c)は(1/d)・150ケルビン/秒・30μmの下限を示す。この好ましい範囲を代替的に以下のように表すことができる: ガラスリボンは好ましくは
(1/d)・4500ケルビン・μm/秒(曲線(c))~(1/d)・9000ケルビン・μm/秒(曲線(b))
[式中、dはガラスリボンの厚さを示す]
の範囲である冷却速度で冷却される。
【0086】
本発明による方法で、意外なことに、
図5および6に例示的に示されるとおり、ガラス厚を考慮に入れて、高い冷却速度の場合にも高い端部強度を有するガラス板を達成できる。
【0087】
図5は端部強度と冷却速度とのガラス厚依存性のグラフであり、
図6は冷却速度に依存する端部強度の係数のガラス厚依存性のグラフを示す。
【0088】
図5に、Schott AGのガラスAF32の例での、85MPa~155MPaの範囲の端部強度(曲線(f))および40~230ケルビン/秒の範囲の冷却速度(曲線(e))の、20μm~110μmの範囲のガラス厚依存性のグラフを示す。
図5に示されるとおり、ガラス厚30μm且つ冷却速度150ケルビン/秒の際、端部強度は約90MPaであり、ガラス厚50μm且つ冷却速度120ケルビン/秒の場合、端部強度は約140MPaであり、ガラス厚100μm且つ冷却速度70ケルビン/秒の場合、端部強度は約155MPaである。全ての端部強度はガラスの使用のために十分である。これは殊に、より薄いガラスはより低い端部強度を示すが、厚さが少ないことに基づいて非常に高い柔軟性を示すからである。厚さが少ないことに基づき、ガラスを曲げる際に端部で生じる応力も小さい。
【0089】
この関係は、「冷却に依存する端部強度」(KGK)[MPa・K/秒]の係数によっても記述できる:
KGK=KG/K
[式中、KGはMPaでの端部強度であり、KはK/秒での冷却速度を示す]。
【0090】
図6に、0.3~2.5MPa・秒/Kの範囲の冷却に依存する端部強度の係数の、Schott AGのガラスAF32の例での20μm~110μmの範囲のガラス厚依存性のグラフを示す。本願に開示される分離方法で、冷却速度に対する端部強度の係数は一般に、示される例に限定されることなく、層厚に対して線形の関係を有することが示される。
【0091】
ガラスAF32についての例において、
図6の値から
KG
K=KG/K (KG
K=-0.16974+0.02434・d)
[式中、dはマイクロメートルでのガラスの厚さを示す]
の関係が得られる。
【0092】
少なくとも30μmのガラス厚について、冷却速度に依存する端部強度KGKは好ましくは0.2MPa・秒/ケルビンを上回り、特に好ましくは0.5MPa・秒/ケルビンを上回る。上記の関係をKG=K・KGKに置き換えることにより、少なくとも30μmのガラス厚の際、且つ
・ 冷却速度(K)150MPa・秒/Kの際に係数「冷却に依存する端部強度」(KGK)0.6MPa・秒/Kで、端部強度(KG)90MPa、
・ 冷却速度(K)150MPa・秒/Kの際に係数「冷却に依存する端部強度」(KGK)0.2MPa・秒/Kで、端部強度(KG)30MPa、および
・ 冷却速度(K)300MPa・秒/Kの際に係数「冷却に依存する端部強度」(KGK)0.5MPa・秒/Kで、端部強度(KG)150MPa
がもたらされる。
【0093】
少なくとも50μmのガラス厚について、冷却に依存する端部強度KGKは好ましくは0.5MPa・秒/ケルビンを上回り、特に好ましくは0.9MPa・秒/ケルビンを上回る。従って、少なくとも50μmのガラス厚について、且つ
・ 冷却速度(K)90MPa・秒/Kの際に係数「冷却に依存する端部強度」(KGK)0.5MPa・秒/Kで、端部強度(KG)45MPaがもたらされ、並びに
・ 冷却速度(K)180MPa・秒/Kの際に係数「冷却に依存する端部強度」(KGK)0.9MPa・s/Kで、端部強度(KG)162MPaがもたらされる。
【0094】
少なくとも100μmのガラス厚について、冷却速度に依存する端部強度KGKは好ましくは1.5MPa・秒/ケルビンを上回り、特に好ましくは2MPa・秒/ケルビンを上回る。従って、少なくとも100μmのガラス厚について、且つ
・ 冷却速度(K)45MPa・秒/Kの際に係数「冷却に依存する端部強度」(KGK)1.5MPa・秒/Kで、端部強度(KG)67.5MPaがもたらされ、並びに
・ 冷却速度(K)90MPa・秒/Kの際に係数「冷却に依存する端部強度」(KGK)2MPa・s/Kで、端部強度(KG)180MPaがもたらされる。
【0095】
従って、冷却速度の選択を通じて、所定のガラス厚について狙い通りに所定/特定のガラス板の端部強度をもたらすことができる。
【0096】
本発明による方法によれば、ガラス板は15μm~2mmのガラス厚、好ましくは100μm以下、50μm以下、または30μm以下のガラス厚を有して、また6ppm/ケルビンを上回る熱膨張係数を有して製造可能であり、その際、ガラス板は好ましくは7を上回る、殊に8を上回るワイブル係数(DIN EN 843-5による)、および150MPaを上回る、有利には180MPaを上回る端部強度もしくは破壊応力を有する。
【0097】
【0098】
前記表は、種々のガラス厚30μm、50μmおよび100μmを有する、ダウンドロー法によって製造されレーザー切断されたSchottのAF32ガラスについて、特徴的な破壊応力および強度分布のワイブル係数を示す。
【0099】
ワイブル係数が高いほど、加工物、つまり本願ではガラス板はより均質になり且つより故障しにくくなる。高いワイブル係数は、本願に開示された方法で製造されたガラス板2の特別な特徴である。
【0100】
図7および
図8は破壊応力の関数としての故障確率のワイブルグラフを例として示す。
図7のグラフは、表の見出し「AF32_50μm」についてのデータが採取された測定値を示す。従って、50μmの厚さを有するガラスAF32からのガラス板が試験された。
図8は、表の見出し「設定1-AF32_100μm」についての測定値を示す。それに応じて、このために厚さ100μmを有するAF32ガラス板が試験された。
【0101】
本発明により製造されたガラス板は、典型的には、フィラメント状の傷のところでの分離により生じる粗い面と、その間にある本質的に平坦な面とを有する。前記の平坦な面の粗い面に対する面積比は一般に3:10~2:1である。これについて、
図9における顕微鏡写真は、この開示による方法で、並び合って間隔をあけられたフィラメント状の傷14からの目標破断線を導入すること、および引き続き前記目標破断線のところでガラスリボンを分離することにより製造された、ガラス板2の端部30を境界とする側面51の例を示す。フィラメント状の傷14も、端部30のところで半開きのチャネルとしてまだ見られる。これらのチャネルが端部30のところで粗い面41を形成する。これらの粗い面の間に平坦な面40が延在する。
【0102】
端部30の構造は、
図10の例でも明らかである。
図10は厚さ30μmを有するガラス板2の端部30を上から見た顕微鏡写真を示す。一方の側面51から反対側の側面52へと延在するフィラメント状の傷14の周期的な構造が粗い面を形成し、その間に比較的平坦な面40が延在することが明らかにわかる。
【0103】
上記で既に議論したとおり、高いワイブル係数を有する特に固い端部30は、ビームのプロファイルを、レーザービーム20の光強度が、目標破断線12の方向で、それを横切る方向よりも大きくなるように調節することにより達成される。これは、目標破断線に沿った方向でのビームのプロファイルが、それに垂直な方向よりもさらに広がっていることによって達成される。目標破断線に対して垂直な方向の広がりA
sおよび目標破断線に対して平行な方向の広がりA
pは、
図2の部分図(a)の例に示されている。
図11は、目標破断線に沿った焦点領域22の強度の推移43および目標破断線に対して垂直な焦点領域22の強度の推移44の模式的なグラフをさらに示す。広がりA
sおよびA
pとして、その中で光の強度がその最大値I
maxから係数1/eだけ低下した値I
1/eに低下する広がりとみなすことができる。示されるとおり、A
sはA
pよりも小さい。一般に、示される例に限定されることなく、1つの好ましい実施態様においては適したビーム形成光学系18を用いて、レーザービーム20は、その焦点領域22において、目標破断線に沿った方向での、もしくは移動装置によって媒介されるレーザービーム20のガラスリボン4上での移動方向に沿った方向でのレーザービーム20の広がりA
pが、目標破断線に対して垂直な方向の広がりA
sよりも、1.3~5倍の範囲、有利には1,5~4倍の範囲で大きくなるように形成されることが想定される。ビームのプロファイルがあまりに変形する場合、光の強度の広すぎる分布が生じることがあり、それはガラスにおけるフィラメント状の傷の効果的な形成に反する。
【0104】
本開示が図面において具体的に示される実施例に限定されるのではなく、特許請求の範囲の特徴の範囲内で多様に変更され得ることが当業者には明らかである。例えば、例(b)、(f)および(g)だけでなく、鏡面対象ではない、殊に進行方向に対して垂直な鏡像に関して非対称なビームのプロファイルを有する、ビームのプロファイルの非常の多くのさらなる形状が可能である。例えば、横方向の目標破断線を導入するためのレーザービーム20の移動は、
図3に示される以外にも、光学系を機械的に動かすことによって、殊に超短パルスレーザー16全体をビーム形成光学系と共にガラスリボン4上で動かすことによっても行うことができる。このために、レーザーを例えば往復台を用いて横桁上で動かしてもよいし、またはビームを、動くミラー付きの偏向プリズムまたはミラーを用いて種々の横方向の位置でガラスリボンに向けてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 ガラス板2の製造装置
2 ガラス板
4 ガラスリボン
6 スリット状のノズル
8 熱間成型装置
10 ガラス溶融物
12 目標破断線
121 横方向の目標破断線
122 縦方向の目標破断線
13 耳部
14 フィラメント状の傷
15 押し付けロール
16 超短パルスレーザー
18 ビーム形成光学系
20 レーザービーム
22 焦点領域
24 移動装置
26 冷却装置
27 冷却炉
28 分離装置
29 加速ベルト
30 端部
32~38 ビームのプロファイル
39 検査ユニット
40 平坦な面
41 粗い面
43 目標破断線に沿った焦点領域22の強度の推移
44 目標破断線に垂直な焦点領域22の強度の推移
51、52 ガラスリボン4の側面
240 コンベヤベルト
241 偏向光学系
d ガラス厚