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特許7599911液体吐出ヘッド、その製造方法及び液体吐出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、その製造方法及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241209BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14
B41J2/16 503
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020182084
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072569
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】上村 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン 道子
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171911(JP,A)
【文献】特開2018-079577(JP,A)
【文献】特開2017-056584(JP,A)
【文献】特開2002-154209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が吐出される吐出口を備え、第1の基板と第2の基板が接合された構成を有する液体吐出ヘッドであって、
前記第1の基板と前記第2の基板の間の接合面を貫通し液体が流れる第1の流路と、
前記接合面を貫通し前記第1の流路を流れる液体とは異なる液体が流れる第2の流路と、
前記第1の基板と前記第2の基板の少なくとも一方に設けられ、かつ、前記第1の流路と前記第2の流路を隔てる隔壁の内部に隔壁内空間を形成する、前記接合面に開口する凹部と、
を備え、
前記隔壁内空間は、前記第1の流路と前記第2の流路とが伸びる方向に沿って延びており、
前記隔壁内空間の内圧は、前記第1の流路及び前記第2の流路での液体の圧力のいずれよりも低いことを特徴とする、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記接合面に、当該接合面の両側の前記第1の基板と前記第2の基板を接合する基板接合部材が配置されている、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記隔壁内空間の内部において、前記接合面の両側の前記第1の基板と前記第2の基板の各々の少なくとも一部が露出している、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記隔壁内空間に流れ込んだ液体を貯える、前記隔壁内空間に連通した液貯め部を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドの使用時において重力方向下側となる、前記隔壁内空間の底面は、前記液貯め部に向かって、前記使用時における重力方向下向きに傾斜して形成されている、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記液貯め部を冷却する冷却機構を備える、請求項4または5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記隔壁内空間は密閉された空間である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記隔壁内空間と前記液貯め部とは全体として密閉された空間を構成する、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第1の流路と前記第2の流路とが伸びる方向に対して交差する方向において、前記隔壁内空間は、前記第1の流路と前記第2の流路との中間に位置する、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記隔壁内空間に連通して吸引するポンプを備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記液貯め部に接続することによって前記隔壁内空間に連通して吸引するポンプと、
前記液貯め部に設けられたセンサと、
を備え、前記センサによって前記ポンプの駆動が制御される、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記ポンプの入口側に複数方向開閉弁を備えることにより、前記ポンプが複数の前記隔壁内空間に連通可能である、請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記複数方向開閉弁は、液体に発生した気泡を貯めるための気泡貯め空間にも連通する、請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
液体が吐出される吐出口を備え、複数の基板を接合して構成される液体吐出ヘッドであって、
前記複数の基板の間の接合面を貫通し液体が流れる第1の流路と、
前記接合面を貫通し前記第1の流路を流れる液体とは異なる液体が流れる第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を隔てる隔壁の内部に設けられて前記接合面に開口する隔壁内空間と、
前記隔壁内空間に流れ込んだ液体を貯える、前記隔壁内空間に連通した液貯め部と、
を備え、
前記隔壁内空間は、前記液体吐出ヘッドの使用時において前記接合面よりも重力方向下側に位置する前記基板において、前記液貯め部に向かって、前記液体吐出ヘッドの使用時における重力方向下向きに傾斜して形成されていることを特徴とする、液体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記隔壁内空間に前記隔壁内空間を部分的に分離する分離壁を備える、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項16】
前記第1の流路と、前記第2の流路には、異なる色のインクが流れるように構成されている、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項17】
請求項7または8に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記接合面の両側に配置されるべき前記第1の基板と前記第2の基板を相互に真空接合することを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを保持する保持部と、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を接合して構成された液体吐出ヘッドと、その製造方法と、液体吐出ヘッドを用いる液体吐出装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッドには、複数の吐出口を備えてそれぞれの吐出口から異なる種類の液体を吐出するものがある。その一例は、インクジェット記録装置において用いられ、複数の色の記録液すなわちインクを吐出する、インクジェット記録ヘッドである。このような液体吐出ヘッドでは、吐出されるべき異なる種類の液体が混じることを抑制する必要がある。しかしながら基板を積層してそこに液体の流路が形成される液体吐出ヘッドでは、基板間に生じる隙間などの欠陥を介して異なる種類の液体が混じることがある。これは、インクジェット記録ヘッドの場合であれば、異なる色のインクが吐出前に混合することを意味するから、記録画質の低下をもたらす。特許文献1は、液体の種類ごとに流路を分離する隔壁に分離溝を設け、この分離溝に封止材を注入することにより、基板間の隙間からの液体の浸透や拡散を防止することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-148926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、分離溝に注入した封止材の経年劣化などによって液体吐出ヘッドを構成する基板間に隙間が生じることがあり、依然として、吐出されるべき異なる種類の液体が混じる恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、例えば異なる色のインクなどの、吐出されるべき異なる種類の液体が混じることを抑制することができる液体吐出ヘッドと、その製造方法と、そのような液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出ヘッドは、液体が吐出される吐出口を備え、第1の基板と第2の基板が接合された構成を有する液体吐出ヘッドであって、第1の基板と第2の基板の間の接合面を貫通し液体が流れる第1の流路と、接合面を貫通し第1の流路を流れる液体とは異なる液体が流れる第2の流路と、第1の基板と第2の基板の少なくとも一方に設けられ、かつ、第1の流路と第2の流路を隔てる隔壁の内部に隔壁内空間を形成する、接合面に開口する凹部と、を備え、隔壁内空間は、第1の流路と第2の流路とが伸びる方向に沿って延びており、隔壁内空間の内圧は、第1の流路及び第2の流路での液体の圧力のいずれよりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出されるべき異なる種類の液体が液体吐出ヘッドにおいて混じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体吐出ヘッドの構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図3】第2の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図4】第3の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図5】第4の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図6】第5の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図7】圧力低下機構の一例を説明する図である。
図8】第6の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図9】第7の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図10】第8の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図11】液体吐出装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、複数の実施形態におけるそれぞれの特徴を組み合わせることもできる。
【0010】
本発明に基づく液体吐出ヘッドを説明する前に、液体吐出ヘッドの一般的な構成を説明する。図1は一般的な液体吐出ヘッドの一例の構成を示す図であって、図1(a)は液体吐出ヘッドの一部破断斜視図であり、図1(b)は液体吐出ヘッドの要部の模式断面図である。図1に示す液体吐出ヘッド20は、異なる2種類の液体、例えば異なる色のインクをそれぞれの吐出口から吐出するものであり、シリコン基板1と支持基板2とを接合して構成されている。シリコン基板1と支持基板2を接合しているので、液体吐出ヘッド20は2枚の基板から構成されているといえるが、支持基板2自体を複数の基板を接合して構成することもできる。その場合、液体吐出ヘッド20は、3枚以上の基板を積層し接合して構成されたものとなる。
【0011】
図1(a)において左右方向をX方向とし、シリコン基板1と支持基板2が接合する方法をZ方向とし、X方向とZ方向の両方に直交する方向をY方向とする。異なる2種類の液体を第1の液体及び第2の液体とすれば、ここに示す例では、X方向での左側に第1の液体の吐出口3aが配置し、右側に第2の液体の吐出口3bが配置する。実際には第1の液体の吐出口3aは複数設けられてY方向に沿って配置し、同様に第2の液体の吐出口3bは複数設けられてY方向に沿って配置する。液体吐出ヘッド20の通常の使用時には吐出口3a,3bは重力方向下向きとされるから、Z方向での図示下向き方向が重力方向となる。シリコン基板1は支持基板2に対して図示Y方向で下側に配置されている。さらにシリコン基板1の一方の表面(図において下側の表面)には、例えば電気熱変換体である複数の記録素子4が形成されている。支持基板2はシリコン基板1の他方の表面に接合している。シリコン基板1の一方の表面には保護層31が設けられており、記録素子4は保護層31によって覆われている。さらにシリコン基板1の一方の表面には、吐出口3a,3bが形成された吐出口形成部材32が設けられている。吐出口3a,3bは、それぞれ記録素子4に向き合う位置に配置されており、吐出口3aと記録素子4とに挟まれた領域が第1の液体のための圧力室34aであり、吐出口3bと記録素子4とに挟まれた領域が第2の液体のための圧力室34bである。圧力室34a,34bに液体を供給し、その状態で記録素子4を駆動することにより圧力室34a,34b内の液体が例えば発泡し、そのエネルギーによって吐出口3a,3bから液体が液滴として吐出する。
【0012】
吐出されるべき液体を圧力室34a,34bに供給するために、支持基板2及びシリコン基板1に流路が設けられる。ここで示す液体吐出ヘッド20では、第1の液体の圧力室34aに対し、吐出口3aごとに設けられてシリコン基板1を貫通する貫通流路21a,23aが接続し、貫通流路21a,23aの一方から圧力室34aに液体が供給される。そして、吐出口3aから吐出されなかった液体は、貫通流路21a,23aの他方から回収される。これにより、圧力室34a内に常に液体の流れが形成されるようになっている。吐出口3aごとの貫通流路21a,23aは、それぞれ、吐出口3aに共通に支持基板2においてY方向に延びて形成されている流路溝22a,24aに連通する。同様に第2の液体の圧力室34bに対し、シリコン基板1を貫通する貫通流路21b,23bが接続し、貫通流路21b,23bは、支持基板2に形成された流路溝22b,24bに連通する。第1の液体に関し、貫通流路21aと流路溝22aは全体として連続した1つの流路5aを構成し、貫通流路23aと流路溝24aも全体として連続した1つの流路25aを構成し、これらの流路5a,25aはシリコン基板1と支持基板2との接合面を貫通する。同様に第2の液体に関し、貫通流路21bと流路溝22bは流路5bを構成し、貫通流路23bと流路溝24bも流路25bを構成し、流路5b,25bはシリコン基板1と支持基板2との接合面を貫通する。接合面から見れば、シリコン基板1と支持基板2は、接合面の両側に位置する基板であるといえる。以下の説明では、液体吐出ヘッド20において流路5aと流路5bとが隔壁6を介して隣接しているものとする。流路5aと流路5bとは隔壁6を介してして隣接しているので、その一方が本発明における第1の流路であり、他方が第2の流路である。隔壁6は、シリコン基板1において貫通流路21a,21bを隔てる隔壁部分16と、支持基板2において流路溝22a,22bを隔てる隔壁部分26とから構成されている。図1(b)は、吐出口3a,3b、流路5a,5b及び隔壁6を含む、液体吐出ヘッド20の要部を示している。
【0013】
第1の液体の流路5aと第2の液体の流路5bは、いずれも、シリコン基板1と支持基板2との接合面を貫通する。ここでシリコン基板1と支持基板2との接合面、より具体的には隔壁部分16,26の相互の接合面を介した液体の漏れや浸透がなければ、第1の液体と第2の液体とが混じることはない。実際には接合不良などの欠陥があったときに、シリコン基板1と支持基板2との接合面を介して液体が漏れたり浸透したりして第1の液体と第2の液体が混じることがある。第1の液体と第2の液体が混じると、例えば、明度の高い色のインクに黒色インクが混じると、明度の高いインクを吐出して記録を行う場合に、記録品質の低下が起こる。そこで、液体吐出ヘッド20では、隔壁6の内部にシリコン基板1と支持基板2との接合面に開口する隔壁内空間7を形成し、隔壁内空間7の内圧を流路5a,5bでの液体の圧力のいずれよりも低くする。シリコン基板1と支持基板2との接合面を介して液体が浸透してきても、隔壁内空間7の内圧が流路5a,5bでの液体の圧力より低いため、浸透してきた液体は隔壁内空間7に引き込まれてそこで堰き止められる。これにより、液体吐出ヘッド20は、第1の液体と第2の液体が流路5a,5bにおいて混じることを抑制している。以下、本発明に基づく液体吐出ヘッドの実施形態について説明する。なお、第1の液体と第2の液体の両方が隔壁内空間7に流れ込んだときにはこれらの液体が混じり合うことになるが、隔壁内空間7において混じり合った液体が吐出口3a,3bから吐出されることはないので、記録品質の低下の問題は起こらない。
【0014】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドを示している。図2(a)は、第1の実施形態の液体吐出ヘッドの要部を示す模式断面図であり、図2(b)は図2(a)のa-a線での断面図である。図2(a)は、液体吐出ヘッドにおける、図1(b)に示すものと同じ範囲を示している。支持基板2側の隔壁部分26の内部に隔壁内空間7が形成されており、隔壁内空間7は、シリコン基板1と支持基板2との接合面に達するように形成されている。すなわち隔壁内空間7は、シリコン基板1と支持基板2の接合面において、支持基板2の側に開口している。そして隔壁内空間7は、図2(b)に示すように、流路溝22a,22bの中間となる位置で流路溝22a,22bに沿ってY方向に延びている。隔壁内空間7は、密閉されており、隔壁内空間7の内圧は、流路5a,5bにおける液体の圧力のいずれよりも低くなっている。その結果、シリコン基板1と支持基板2との接合面に流路5a,5bの間を連通するような微細な欠陥があったとしても、この欠陥を介して浸透してきた液体は隔壁内空間7に引き込まれ、そこで堰き止められる。流路5aを流れる液体と流路5bを流れる液体とが混じることを抑制することができる。
【0015】
次に、図2(a)及び図2(b)に示した液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。貫通流路21a,21b,23a,23bが既に形成されているシリコン基板1と、流路溝22a,22b,24a,24bが既に形成されている支持基板2とを用意する。支持基板2においてシリコン基板1との接合面となる表面にポジ型のフォトレジストを塗布し、図2(b)に示す形状で露光を行い、現像することで、エッチングマスクを形成する。次に、支持基板2に対し、プラズマを用いたドライエッチングを行うことで、シリコン基板1との接合面から支持基板2の内部に向かうように隔壁内空間7が形成される。ドライエッチングのマイクロローディング効果を利用すれば、隔壁内空間7の形成と同時に流路溝22a,22b,24a,24bの形成を行うこともできる。その後、例えば100Pa(絶対圧)以下の環境でシリコン基板1と支持基板2とを真空接合することで、液体吐出ヘッドが組み立てられる。真空接合とは、大気圧よりも低い圧力の下で接合を行うことを言う。液体吐出ヘッドは一般に大気圧(0.1013MPa)で使用され、かつ、各流路5a,5bでの圧力は大気圧よりも高いと考えられるから、密閉された隔壁内空間7の圧力は流路5a,5bでの液体の圧力よりも確実に低い。
【0016】
図2(c)及び図2(d)は、いずれも、第1の実施形態の液体吐出ヘッドの別の例を示している。第1の実施形態においては、隔壁内空間7は、シリコン基板1と支持基板2との接合面に開口しているのであれば、図2(c)に示すように、支持基板2側ではなくシリコン基板1側の隔壁部分16に設けられていてもよい。さらには、図2(d)に示すように、接合面を挟んでシリコン基板1と支持基板2の両方にまたがるように隔壁内空間7を形成することも可能である。上記の説明では、接合面に開口する隔壁内空間7を支持基板2に形成するときにドライエッチングを用いているが、シリコン基板1に隔壁内空間7を形成するときにもドライエッチングを用いることができる。さらに、シリコン基板1及び支持基板2に隔壁内空間7を形成する加工方法としては、ドライエッチング以外にも、ウェットエッチングやその他の加工方法を用いることができる。シリコン基板1と支持基板2とを接合する方法として、真空接合以外の方法を用いることができ、具体的な接合方法として、接着剤などの接合材料を介在させる方法を用いることも、接着剤などを用いない直接接合方法を用いることもできる。
【0017】
(第2の実施形態)
図3は本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドを示しており、図3(a)は液体吐出ヘッドの断面図であり、図3(b)は図3(a)でのb-b線での断面図である。第2の実施形態の液体吐出ヘッドは、図2(a)及び図2(b)に示す液体吐出ヘッドにおいて、隔壁内空間7に連通する液貯め部8を設けたものである。液貯め部8は、隔壁内空間7に比べて大きな空間として、支持基板2の内部において、シリコン基板1と支持基板2との接合面に開口するように設けられている。隔壁内空間7と液貯め部8は全体として密閉されており、その内圧は、流路5a,5bでの液体の圧力よりも低くなっている。隔壁内空間7の圧力が低いことによって隔壁内空間7に流れ込みそこで堰き止められた液体は、次いで、液貯め部8に流れてそこに貯えられる。第1の実施形態の液体吐出ヘッドでは、隔壁内空間7が液体によって満たされると液体の混合を抑制する効果が失われるが、第2の実施形態では、隔壁内空間7だけでなく液貯め部8が液体で満たされるまで、液体の混合を抑制する効果が維持される。したがって、第2の実施形態の液体吐出ヘッドによれば、異なる液体が混じることを抑制する効果がより長期間にわたって発揮されるようになる。第2の実施形態の液体吐出ヘッドも、第1の実施形態の場合と同様に、ドライエッチングにより支持基板2に隔壁内空間7及び液貯め部8を形成し、その後、シリコン基板1と支持基板2とを真空接合することにより、組み立てることができる。
【0018】
3種類以上の液体を吐出する液体吐出ヘッド、例えば3色や4色のインクを吐出する液体吐出ヘッドでは、異なる液体の流路を隔てる隔壁6の数は2以上となり、隔壁内空間7の数も2以上となる。隔壁内空間7を2以上有する液体吐出ヘッドでは、隔壁内空間7ごとに液貯め部8を設けてもよいし、複数の隔壁内空間7に共通に1つの液貯め部8を設けてもよい。また、上述の例では、支持基板2に液貯め部8を設けているが、隔壁内空間7と液貯め部8の全体としての密閉が保たれるのであれば、シリコン基板1や支持基板2の外部に液貯め部8を設けてもよい。また、図2(c)あるいは図2(d)に示す液体吐出ヘッドにおいても隔壁内空間7に連通する液貯め部8を設けることができる。
【0019】
(第3の実施形態)
図4は本発明の第3の実施形態の液体吐出ヘッドを示しており、図4(a)は液体吐出ヘッドの断面図であり、図4(b)は図4(a)でのc-c線での断面図であり、図4(c)は図4(b)のd-d線での断面図である。d-d線はY方向に延びている。第3の実施形態の液体吐出ヘッドは、第2の実施形態のものと同様に隔壁内空間7に連通する液貯め部8を備えているが、シリコン基板1に隔壁内空間7及び液貯め部8が設けられている点で、第2の実施形態のものとは異なっている。また、シリコン基板1と支持基板2との接合面において隔壁内空間7の幅(X方向に沿う幅)は、液貯め部8に近いほど広くなっている。液貯め部8に近づくほど広くなる隔壁内空間7をドライエッチングで形成すると、エッチング時のマイクロローディング効果により、幅の広いところほど深くシリコン基板1がエッチング除去される。液体吐出ヘッドの使用時には支持基板2に対してシリコン基板1が重力方向下側に位置するから、隔壁内空間7の底面は、図4(c)に示すように、液貯め部8に向かって、使用時における重力方向下向きに傾斜して形成されることになる。ここでいう隔壁内空間7の底面とは、隔壁内空間7において、使用時に重力方向下側となる面のことである。このように隔壁内空間7が傾斜することによって、隔壁内空間7に流れ込んできた液体を効率よく液貯め部8に導くことが可能になる。
【0020】
なお、図3の実施形態では、支持基板2に比べて液体吐出ヘッドの使用時において重力方向下側となるシリコン基板1に、傾斜を有する隔壁内空間7を設けている。そのため、隔壁内空間7の圧力を流路5a,5bの液体の圧力より低くしなくても、シリコン基板1と支持基板2との接合面を浸透してきた液体を隔壁内空間7で堰き止めて液貯め部8に貯えることができる。したがって第3の実施形態に関しては、隔壁内空間7の圧力を流路5a,5bの液体の圧力より低くすることは必須ではない。
【0021】
(第4の実施形態)
上述した各実施形態では、真空接合によってシリコン基板1と支持基板2を接合することにより隔壁内空間7の内部の圧力を大気圧よりも十分低くしている。しかしながら隔壁内空間7の内圧を下げる方法は真空接合以外にもあり、その1つとして圧力低下機構を用いるものがある。圧力低下機構としては、密閉された空間内の気体を冷却することによってあるいは吸着することによって圧力を低下させるものと、空間内の気体を外部に排気するポンプを用いるものとがある。後者の圧力低下機構を用いた場合には、排気用のポンプが接続するので、隔壁内空間7は密閉状態とはならない。図5は本発明の第4の実施形態の液体吐出ヘッドを示しており、図5(a)は液体吐出ヘッドの断面図であり、図5(b)は図5(a)でのe-e線での断面図である。第4の実施形態の液体吐出ヘッドは、第2の実施形態の液体吐出ヘッドと同様のものであるが、液貯め部8を支持基板2の外部に設け、かつ液貯め部8をペルチェ素子などからなる冷却機構42により冷却できるようにしたものである。隔壁内空間7と液貯め部8との間は引き出し管41によって接続し、隔壁内空間7、液貯め部8及び引き出し管41の全体が密閉されている。冷却機構42により液貯め部8を冷却すると、液貯め部8の内部の気体の圧力が低下し、それに伴って液貯め部8に連通する隔壁内空間7の内圧も低下する。第4の実施形態の液体吐出ヘッドでは、冷却機構42による液貯め部8の冷却により、隔壁内空間7の圧力を流路5a,5bの液体の圧力よりも低くすることができ、上述の各実施形態と同様に、第1の液体と第2の液体とが混じることを抑制することができる。
【0022】
第4の実施形態において、シリコン基板1あるいは支持基板2に液貯め部8を設け、そこに冷却機構42を設けることも可能である。この場合は、引き出し管41が設けられないことになる。引き出し管41は断熱の機能も有するので、引き出し管41を設けない場合には、吐出されるべき液体が過度に冷却されることを抑制するために、断熱構造を別途設けてもよい。また、隔壁内空間7と引き出し管41との接続部に逆流防止弁などの逆流防止機構を設けてもよい。逆流防止機構を設けることにより、冷却機構42が稼働しないときに隔壁内空間7の内圧が上昇したり、液貯め部8内の液体が隔壁内空間7に逆流したりすることを抑制することができる。
【0023】
(第5の実施形態)
図6は本発明の第5の実施形態の液体吐出ヘッドを示しており、図6(a)は液体吐出ヘッドの断面図であり、図6(b)は図6(a)でのf-f線での断面図である。第5の実施形態の液体吐出ヘッドは、図2(a)及び図2(b)に示した液体吐出ヘッドと同様のものであるが、隔壁内空間7に接続するポンプ9を備える点で、図2(a)及び図2(b)に示したものと異なっている。ポンプ9は、隔壁内空間7に連通して隔壁内空間7の内部の気体を吸引して外部に排出することで、隔壁内空間7内の圧力を流路5a,5bでの液体の圧力よりも低く維持する。ポンプ9は、例えば、支持基板2の外部に設けられる。ポンプ9を設けたことにより隔壁内空間7は密閉された空間とはならないが、本実施形態でも第1の液体と第2の液体とが混じることを抑制することができる。図2(c)あるいは図2(d)に示す構成においても、ポンプ9を接続して隔壁内空間7の圧力を流路5a,5bでの液体の圧力よりも低く維持することができる。
【0024】
(第6の実施形態)
第2あるいは第3の実施形態で示したような隔壁内空間7に連通する液貯め部8を備える液体吐出ヘッドにおいてもポンプ9を接続して隔壁内空間7の圧力を流路5a,5bでの液体の圧力よりも低くすることができる。図7は、第6の実施形態の液体吐出ヘッドを説明する断面図であり、引き出し管41を介して液貯め部8が隔壁内空間7に接続されるときの、液貯め部8に対するポンプ9の接続形態を示している。ポンプ9は配管44を介して液貯め部8に接続しており、それにより、ポンプ9は隔壁内空間7に連通し、隔壁内空間7は、液貯め部8と引き出し管41を介して吸引され排気される。このとき液貯め部8に貯まっている液体がポンプ9によって吸引されて外部に排出されるようにしてもよい。さらに図7に示したものでは、配管44が液貯め部8に取り付けられる位置に開閉弁45が設けられ、液貯め部8の内部にはセンサ43が設けられている。センサ43が液面センサであるときは、液貯め部8に一定量の液体が流れ込んで貯まったことをセンサ43で検出して開閉弁45の開閉とポンプ9の駆動の制御を行なうことができる。ポンプ9の駆動の制御は、例えば、ポンプ9の電源のオン/オフの制御によって行われる。センサ43が圧力センサであるときは、センサ43が検出した圧力に応じてポンプ9の駆動を制御し、ポンプ9の駆動に同期させて開閉弁45の開閉の制御を行なうことができる。液貯め部8での液面や圧力以外の管理指標を用いて、ポンプ9の駆動の制御を行なうことができ、複数の管理指標を組み合わせてポンプ9の駆動の制御を行なうこともできる。ここでは引き出し管41を介して液貯め部8が隔壁内空間7に接続しているが、シリコン基板1あるいは支持基板2に形成された液貯め部8に対してポンプ9を接続してもよい。
【0025】
(第7の実施形態)
上述の各実施形態の液体吐出ヘッドにおいてポンプ9を設ける場合、ポンプ9の入口側、すなわち隔壁内空間7または液貯め部8とポンプ9とが接続する位置に三方弁などに複数方向開閉弁を設けることができる。図8は本発明の第7の実施形態の液体吐出ヘッドを示している。図8(a)は、隔壁内空間7に対して引き出し管41を介してポンプ9を接続する場合に、引き出し管41の途中に複数方向開閉弁48を設けたものであり、複数方向開閉弁48には別の配管47が接続している。図8(b)は、液貯め部8にポンプ9を接続する場合に、液貯め部8とポンプ9との間に複数方向開閉弁48を設けたものであり、この複数方向開閉弁48にも配管47が接続している。図8(a)及び図8(b)のいずれの場合にも、複数方向開閉弁48に接続される配管47は、他の隔壁内空間7または液貯め部8に接続することができる。複数方向開閉弁48に複数の隔壁内空間7や液貯め部8を接続することにより、単一のポンプ9がこれらの複数の隔壁内空間7や液貯め部8に連通可能となり、ポンプ9を用いて複数の隔壁内空間7や液貯め部8から吸引を行うことが可能になる。この場合、圧力や液貯め部8での液面レベルに基づいて複数方向開閉弁48の開放方向を制御することにより、特定の1つの隔壁内空間7または液貯め部8からの吸引を行ってもよいし、全ての隔壁内空間7及び液貯め部8からの吸引を行ってもよい。さらには、ある時点では複数の隔壁内空間7の吸引が行われ、別の時点では複数の液貯め部8の吸引が行われるようにしてもよい。
【0026】
ポンプ9の入口側に設けられる複数方向開閉弁48に対して少なくとも1つの隔壁内空間7または液貯め部8が接続するのであれば、複数方向開閉弁48は、例えば配管47を介し、隔壁内空間7でも液貯め部8でもない空間に連通していてもよい。例えば、液体吐出ヘッド内に、流路5a,5bなどで液体に発生した気泡を貯めるための気泡貯め空間が設けられている場合に、気泡貯め空間とポンプ9とが複数方向開閉弁48を介して連通するようにしてもよい。この場合、複数方向開閉弁48の開放方向の制御により、ポンプ9が気泡貯め空間に連通するときと、ポンプ9が隔壁内空間7または液貯め部8と連通するときとを切り替えられるようにする。これにより、ポンプ9の作用による、流路5a,5bなどの内部の気泡の吸出しと、減圧された隔壁内空間7への液体の引き込みとを切り替えて行うことが可能になる。
【0027】
(第8の実施形態)
図9は、第8の実施形態の液体吐出ヘッドを説明する図であって、図9(a)及び図9(c)は液体吐出ヘッドの模式断面図であり、図9(b)は図9(a)のg-g線での断面図であり、図9(d)は図9(c)のh-h線での断面図である。液体吐出ヘッドにおいてシリコン基板1と支持基板2との接合に基板接合部材10を用いることがある。図9は、図2(a)及び図2(b)に示す液体吐出ヘッドにおいてシリコン基板1と支持基板2との接合に基板接合部材10を用いた場合を示している。基板接合部材10は、例えばドライフィルムによって構成される。このとき、図9(a)及び図9(b)に示すように、シリコン基板1における開口(すなわち貫通流路21a、21b)の部分が除去された形状で基板接合部材10がパターニングされているとする。その場合、隔壁内空間7の内部にはシリコン基板1は露出せず、隔壁内空間7は、支持基板2と基板接合部材10との界面に存在する欠陥を介して浸透してくる液体しか引き込むことができない。したがって、シリコン基板1と基板接合部材10との界面に存在する欠陥を介して第1の液体と第2の液体とが混じる可能性が残る。そこで第8の実施形態では、図9(c)及び図9(d)に示すように、支持基板2においてシリコン基板1との接合に用いられる面に、感光性を有しドライフィルム化した基板接合部材10をテンティングする。次に、図9(d)に示す形状で基板接合部材10の露光を行い、現像を行うことによって、流路溝22a,22bの部分だけでなく隔壁内空間7の部分の基板接合部材10を除去する。これにより、隔壁内空間7と基板1との境界面には基板接合部材10が存在しなくなり、シリコン基板1の表面の一部が隔壁内空間7の内部に露出する。シリコン基板1と基板接合部材10との境界面を介して浸透した液体を隔壁内空間7に引き込んで堰き止めることが可能になる。
【0028】
本実施形態において基板接合部材10の層を転写によって形成してもよい。また、隔壁内空間7の位置に対応して基板接合部材10を除去する場合、隔壁内空間7に対応する部分の基板接合部材10を完全に除去する必要はなく、接合時にシリコン基板1の少なくとも一部の表面が隔壁内空間7に露出していればよい。図9を用いて説明したものでは支持基板2の側に隔壁内空間7が形成されているが、シリコン基板1に隔壁内空間7が形成されている場合にも本実施形態は適用可能である。その場合も、隔壁内空間7の内部にシリコン基板1の表面の少なくとも一部と支持基板2の表面の少なくとも一部とが露出するように、基板接合部材10の層を形成する。第2乃至第4の実施形態に示すように液貯め部8を有する液体吐出ヘッドにおいてシリコン基板1と支持基板2との接合に基板接合部材10を用いる場合も、同様にシリコン基板1と支持基板2の両方が隔壁内空間7の内部に露出するようにすればよい、
【0029】
(第9の実施形態)
図10は、第9の実施形態の液体吐出ヘッドを説明する図であって、図10は液体吐出ヘッドの模式断面図であり、図10(b)は図10(a)のi-i線での断面図である。
第8の実施形態のように基板接合部材10を用いてシリコン基板1と支持基板2とを接合する場合、基板接合部材10の材質などによっては接合時に基板接合部材10が隔壁内空間7の内部に入り込む可能性がある。隔壁内空間7が基板接合部材10によって埋められてしまえば、第1の液体と第2の液体とが混ざらないようにする、という本発明の効果を発揮することができなくなる。そこで第9の実施形態の液体吐出ヘッドでは、隔壁内空間7の内部に複数の分離壁11を設け、隔壁内空間7への基板接合部材10の入り込みを最小限にとどめている。分離壁11は、隔壁内空間7の延びる方向(Y方向)に延在する尾根状あるいはリッジ状の形状を有して隔壁内空間7を部分的に分離する。このように分離壁11を設けた場合、シリコン基板1と支持基板2とを接合するときに、隣接する2つの分離壁11によって挟まれた空間には基板接合部材10は入り込みにくい。そしてこのような空間が残存することにより、浸透してきた液体を引き入れ堰き止めるという隔壁内空間7の機能が維持され、第1の液体と第2の液体との混合を防止することができる。
【0030】
(液体吐出装置)
上述した各実施形態の液体吐出ヘッドは、液体吐出装置に好ましく用いられるものである。図11は液体吐出装置の一例の斜視図である。この液体吐出装置は、吐出口から液体としてインクを吐出して記録媒体53に記録を行うインクジェット記録装置として構成されたものである。液体吐出装置は、記録媒体53を搬送する搬送部51と、記録媒体53の搬送方向と略直交して配置される保持部52とを備えており、本発明に基づく液体吐出ヘッド20が、記録媒体53と向かい合うように保持部52の下面に取り付けられている。記録媒体53は例えばカット紙であるが、カット紙以外にも連続したロール紙などであってもよい。液体吐出ヘッド20は、異なる2色以上のインク、好ましくはシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のインクを吐出して記録媒体53に対するフルカラーでの記録を可能にする。この液体吐出装置は、本発明に基づく液体吐出ヘッド20を用いることにより、液体吐出ヘッド20の内部で異なる色のインクが混じることがないので、記録媒体53に対し、より画像品質の良好なフルカラーでの記録を行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 シリコン基板
2 支持基板
3 吐出口
5a,5b,35a,35b,36a,36b,37a,37b 流路
6,26 隔壁部分
7 隔壁内空間
20 液体吐出ヘッド
図1
図2
図3
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図11