(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、及び情報処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241209BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241209BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G06F3/12 354
G06F3/12 332
G06F3/12 308
G06F3/12 351
G06F3/12 356
G06F3/12 310
G06F3/12 350
G06F3/12 385
H04N1/00 567B
B41J29/38 401
(21)【出願番号】P 2020182779
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤土 行信
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240269(JP,A)
【文献】特開2010-198497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータを、
複数の給紙部から給紙することが可能な記録装置における給紙部それぞれに対応し、載置されている用紙に関する用紙種類の情報と、用紙幅の情報とが少なくとも含まれる印刷設定情報を取得する取得手段と、
前記記録装置が有する給紙部のうち、用紙種類と、用紙幅との両方が一致する給紙部をまとめて指定可能なGUI用の表示項目を作成する第1作成手段と、
ユーザが、前記表示項目を介して、出力先として前記一致する給紙部を指定したときに印刷ジョブを作成する第2作成手段であって、前記印刷ジョブには、該一致する給紙部の中から前記記録装置が自動で給紙部を選択するためのコマンドが含まれる、前記第2作成手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータをさらに、
前記記録装置が有する給紙部において、用紙種類と、用紙幅との両方が一致する給紙部があるか、前記印刷設定情報を用いて判定する判定手段
として機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記判定手段による判定結果が真の場合に、前記第1作成手段は、前記印刷設定情報を用いて、前記表示項目を作成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記記録装置が有する給紙部それぞれに載置される用紙は、ロール紙と、カット紙とを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記GUIは、印刷レイアウトがプレビュー表示されるプレビュー表示部と、出力先の記録装置を選択するための第1プルダウンリストと、給紙用紙を選択するための第2プルダウンリストと、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータをさらに、
指定された用紙の残量と、出力に必要な用紙長との大小関係に基づいて、該残量が不足している旨の警告用GUIを表示手段に表示させる表示制御手段
として機能させるための
請求項1乃至5の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記表示項目を介して、出力先として前記一致する給紙部が指定されたとき、前記表示制御手段は、該一致する給紙部のそれぞれに載置されている用紙の残量の合計が、前記必要な用紙長より短い場合に、前記警告用GUIを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
複数の給紙部から給紙することが可能な記録装置における給紙部それぞれに対応し、載置されている用紙に関する用紙種類の情報と、用紙幅の情報とが少なくとも含まれる印刷設定情報を取得する取得手段と、
前記記録装置が有する給紙部のうち、用紙種類と、用紙幅との両方が一致する給紙部をまとめて指定可能なGUI用の表示項目を作成する第1作成手段と、
ユーザが、前記表示項目を介して、出力先として前記一致する給紙部を指定したときに印刷ジョブを作成する第2作成手段であって、前記印刷ジョブには、該一致する給紙部の中から前記記録装置が自動で給紙部を選択するためのコマンドが含まれる、前記第2作成手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
複数の給紙部から給紙することが可能な記録装置における給紙部それぞれに対応し、載置されている用紙に関する用紙種類の情報と、用紙幅の情報とが少なくとも含まれる印刷設定情報を取得するステップと、
前記記録装置が有する給紙部のうち、用紙種類と、用紙幅との両方が一致する給紙部をまとめて指定可能なGUI用の表示項目を作成するステップと、
ユーザが、前記表示項目を介して、出力先として前記一致する給紙部を指定したときに印刷ジョブを作成するステップであって、前記印刷ジョブには、該一致する給紙部の中から前記記録装置が自動で給紙部を選択するためのコマンドが含まれる、ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続印刷の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ある1つの印刷ジョブに基づく印刷出力にて、ページ数が多い場合や、用紙残量が少ない場合などに、複数の給紙口を跨いで(つまり、複数の給紙口から)給紙、印刷することで、連続して(即ち、中断せずに)出力物を出力する画像出力装置が知られている。複数の給紙口を跨いで連続して出力物を出力する技術として、特許文献1は、連続印刷に際して給紙口の用紙のサイズが異なる場合、サイズ毎に異なるフォームを適用することで合成印刷を行う技術を開示する。
【0003】
また他の技術として、給紙口に載置される定型カット紙のサイズを指定することで、画像出力装置側で複数の給紙口に対して同一の用紙サイズが設定されている場合に、印刷を停止せず継続する技術が知られている。
【0004】
しかし、上述のカット紙のサイズを指定することで印刷を継続する方法は、ロール紙を印刷するプリンタ(ロール紙プリンタとする)に対しては適用できない。その理由は、ロール紙プリンタの場合、ロール紙をカットする位置に応じて用紙サイズが可変になるため、用紙サイズが一意に決まらないためである。
【0005】
この問題を解決するため、印刷する画像のサイズに合うように、ロール紙プリンタ等の画像出力装置側で給紙口を自動的に選択するためのコマンドを使用して、情報処理装置が印刷ジョブを作成する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、複数の給紙口で異なるサイズの用紙が載置される画像出力装置において複数の給紙口から給紙する連続印刷を実行する場合、ユーザが指定したサイズや種類の用紙が使われない等、印刷設定が適切に反映されない場合がある。従って、出力物において、ユーザの意図しない画像欠けや大きな余白が生じてしまう課題がある。また、用紙の種類によってインク使用量が異なるため、異なる種類の用紙間で出力物の色が変わってしまう課題もある。
【0008】
そこで本発明の一実施形態は、上記の課題に鑑み、複数の給紙口から給紙する連続印刷を実行可能な記録装置を用いる場合に、印刷の失敗を抑制して、ユーザの意図に適合した出力物を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、情報処理装置のコンピュータを、複数の給紙部から給紙することが可能な記録装置における給紙部それぞれに対応し、載置されている用紙に関する用紙種類の情報と、用紙幅の情報とが少なくとも含まれる印刷設定情報を取得する取得手段と、前記記録装置が有する給紙部のうち、用紙種類と、用紙幅との両方が一致する給紙部をまとめて指定可能なGUI用の表示項目を作成する第1作成手段と、ユーザが、前記表示項目を介して、出力先として前記一致する給紙部を指定したときに印刷ジョブを作成する第2作成手段であって、前記印刷ジョブには、該一致する給紙部の中から前記記録装置が自動で給紙部を選択するためのコマンドが含まれる、前記第2作成手段と、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、複数の給紙口から給紙する印刷を実行可能な記録装置を用いる場合に、印刷の失敗を抑制して、ユーザの意図に適合した出力物を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】画像出力装置100のハードウェア構成を示すブロック図
【
図3】PC101のハードウェア構成を示すブロック図
【
図6】PC101に接続されるディスプレイに表示される印刷設定用GUI画面
【
図7】PC101が画像出力装置100における印刷設定情報を取得する処理のフローチャート
【
図8】PC101が自動フラグ値を生成、記憶する処理のフローチャート
【
図9】自動フラグを用いて生成される給紙情報に基づく表示
【
図10】PC101が印刷ジョブを作成し、画像出力装置100に送信する処理のフローチャート
【
図11】ページデータの幅サイズをロール紙の用紙幅サイズと同じになるように伸長する態様を示す図
【
図12】印刷ジョブに含まれる全ページを、ユーザが所望するサイズの用紙に出力可能かの判定を伴う印刷実行処理のフローチャート
【
図13】用紙残量が不足する旨を通知する警告メッセージ
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また、以下の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが、本発明の解決手段として必須のものとは限らない。
【0013】
[第1実施形態]
<印刷システムの構成>
図1は、本実施形態における印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、画像出力装置100は、ネットワーク102を介して、印刷ジョブを作成可能な情報処理装置(以下PC)101と通信可能である。尚、画像出力装置は、画像記録装置、プリンタとも呼ばれる。PC101は、画像出力装置100に給紙されている用紙の幅に関する情報を取得することと、画像出力装置100に対して印刷ジョブを送信することとにより、画像処理装置100に印刷を実行させることができる。
【0014】
尚、本実施形態では、印刷システムが画像出力装置を1つ有する構成とするが、印刷システムが有する画像出力装置の数は1つに限定されず、2つ以上でもよい。同様に、PCについても1つとしたが、2つ以上であってもよい。また、PCが持つ機能が画像出力装置に組み込まれていれば、印刷システムが画像出力装置のみで構成されていてもよい。
【0015】
<画像出力装置のハードウェア構成>
図2は、画像出力装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像出力装置100は、CPU200により制御される。CPU200は、ROM201や外部メモリ208に記憶された制御プログラム等に基づいて動作する。CPU200は、システムバス203を介して、印刷部I/F205に接続される印刷部(具体的にはプリンタエンジン)207に、出力情報としての画像信号を出力する。
【0016】
CPU200は、入力部204を介してPC101との通信処理が可能となっており、画像出力装置100の状態を示す情報、及び、印刷処理の状況を示す情報などを、PC101に通知できる。また、CPU200は、入力部204を介して、印刷部207に出力する出力データそのもの、或いは、該出力データを生成するために必要なデータ(例えば、印刷設定情報と、画像データとを含む印刷ジョブ等)を受信できる。
【0017】
RAM202は、CPU200の主メモリや、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。RAM202は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、不揮発性メモリ等として用いられる。
【0018】
ハードディスク(HDD)、ICカード等の外部メモリ208は、メモリコントローラ206によりアクセスを制御される。外部メモリ208は、必要に応じて任意に接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ、画像出力装置に登録された用紙に関する情報、及び用紙属性情報等が記憶される。また、操作部209はパネルを有し、各種情報を表示できるようになっており、またユーザは、該パネルを介して画像出力装置100への指示を行うことができる。
【0019】
<PCのハードウェア構成>
図3は、
図1に示したPC101のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。PC101は、CPU300と、ROM301と、RAM302と、ネットワークI/F303と、キーボードコントローラ304と、ディスプレイコントローラ305と、ディスクコントローラ306と、を有する。
【0020】
CPU300は、ディスクコントローラ306を介して外部メモリ310から制御プログラム、システムプログラム、アプリケーションプログラム等の各種プログラムを読み出し、該読み出した各種プログラムをRAM302に展開する。CPU300は、RAM302に展開した各種プログラムを実行することで、以下で説明する各処理を行ったり、ディスプレイ309の表示制御を行ったりする。尚、CPU300は、外部メモリ310ではなくROM301から制御プログラム等を読み出してもよいし、CPU300に代えて、ASICなどの専用回路を用いてもよい。CPU300や専用回路は、ハードウェア回路やハードウェアプロセッサの一例である。
【0021】
RAM302は、図示していないオプションRAM等によりその容量を拡張できるように構成されており、主としてCPU300のワークエリアとして利用される。
【0022】
キーボードコントローラ304は、キーボード308や、図示していないポインティングデバイスからのキー入力を制御する。ディスプレイコントローラ305は、ディスプレイ309の表示を制御する。ディスクコントローラ306は、HD、CD-ROM、DVD-ROM、UDB、MO等の外部メモリ310とのアクセスを制御する。また、CPU300は、ネットワークI/F303を介してPC101との通信処理が可能である。
【0023】
尚、本実施形態では、特に断らない限り、CPU300がメインバス311を介して、メインバス311に接続されている各部を制御する。
【0024】
<印刷システムのソフトウェア構成>
図4は、
図1に示す印刷システムのソフトフェア構成の一例を示す機能ブロック図である。まず、画像出力装置100のソフトウェア構成について説明する。画像出力装置100は、デバイス情報記憶部405と、印刷ジョブ受信部406と、印刷実行部407と、を有する。これらのモジュールは、CPU200、ROM201、RAM202等の画像出力装置100のハードウェア構成要素によって実現される。
【0025】
デバイス情報記憶部405は、給紙状況やデバイス設定状況が反映された画像出力装置100の状態を表す情報(画像出力装置100の状態情報とする)を記憶する。印刷ジョブ受信部406は、PC101から送信された印刷ジョブを受信し、該受信した印刷ジョブと、デバイス情報記憶部405が記憶した情報との整合性を確認する。整合性を確認した結果、問題がなければ、印刷実行部407は、印刷ジョブ受信部406が受信した印刷ジョブに基づく印刷処理を実行する。
【0026】
次に、PC101のソフトウェア構成について説明する。PC101は、印刷設定情報データベース(印刷設定情報DBと略記する)400と、情報取得部401と、情報比較部402と、情報表示部403と、印刷ジョブ送信部404と、を有する。これらのモジュールは、プリンタドライバと連携して印刷を実行するアプリケーションの機能モジュールの一部である。例えば、印刷設定情報DB400は、ROM301、RAM302、または外部メモリ310等のPC101のハードウェア構成要素によって実現される。また、情報取得部401、情報比較部402、情報表示部403、印刷ジョブ送信部404は、CPU300等のPC101のハードウェア構成要素によって実現される。
【0027】
印刷設定情報DB400には、情報取得部401によって取得される画像出力装置100の状態情報と、PC101にインストールされているプリンタドライバやOSから取得される情報とが記憶されている。情報表示部403は、印刷設定情報DB400に記憶された印刷設定情報に基づいて、印刷設定情報を表示するためのGUI画面を作成し、該作成したGUI画面をディスプレイ309に表示する。また、情報表示部403は、このGUI画面を介するユーザ入力によって変更される印刷設定値を、印刷設定情報DB400に記憶する。さらに、情報表示部403は、印刷ジョブの作成と、該作成した印刷ジョブの画像出力装置100への送信とを、印刷ジョブ送信部404に依頼する。情報比較部402は、印刷設定情報DB400に記憶されている情報と、後述するGUI600を介して入力される印刷設定値とを比較する等の情報の検証を行う。そして、情報比較部402は、この検証結果に基づき、警告情報の表示を情報表示部403に依頼する。これにより、例えば、用紙残量が不足する旨を通知するメッセージがディスプレイ309に表示される。尚、これについては、第2実施形態で詳しく説明する。
【0028】
<印刷設定情報>
図5は、印刷設定情報DB400に記憶されている印刷設定情報を保持するテーブルの一例を示す図である。
図5に示すテーブルは、設定項目として、ID500と、プリンタ名501と、給紙部である給紙口502と、用紙幅503と、用紙種類504と、自動フラグ505と、用紙残量506と、を有する。このテーブルにおけるレコード(行)には、印刷設定情報を一意に識別するためのID毎の印刷設定情報が記述されており、該印刷設定情報は、後述するGUI画面600(
図6参照)を作成するために用いられる。特に、自動フラグ505のカラム(列)において、GUI画面600にて「ロール紙自動」と表示するか否かを示すフラグ値が記述されることは、本実施形態の重要な特徴の一つである。尚、GUI画面600及びロール紙自動については、後述する。
【0029】
尚、
図5に示すように本実施形態では、7種類の設定項目を設けているが、勿論、これら以外の設定項目を採用してよく、テーブル内の設定項目の種類を増やしてもよい。また、ここでは、1つのテーブルで全ての印刷設定情報を管理する形態を示したが、特定の設定項目に関する設定値毎のテーブル(例えば、プリンタ1に対応する第1テーブルと、プリンタ2に対応する第2テーブル)を用意してもよい。
【0030】
図6は、ユーザが印刷設定を行うための印刷用アプリケーションのGUI画面の一例を示す図であって、出力先のプリンタとして、
図1の画像出力装置100に対応する「プリンタ1」が指定されているケースを示す。このGUI画面は、PC101に接続されているディスプレイ309に表示される。
【0031】
図6に示すように、GUI画面600は、ファイル一覧表示部601と、プレビュー表示部602と、印刷設定表示部603と、印刷実行ボタン604と、を有する。
【0032】
ファイル一覧表示部601には、印刷対象のドキュメントファイルの一覧、ドキュメントに含まれるページの一覧が表示され、ドキュメントに関する情報として、ファイル名、ページ数が表示される。ユーザは、ファイル一覧表示部601に表示されるドキュメント毎のページを選択することで、プレビュー表示対象を選択したり、印刷対象を限定したりすることができる。
【0033】
プレビュー表示部602には、ファイル一覧表示部601を介して選択されたページの印刷レイアウトがプレビュー表示される。
【0034】
印刷設定表示部603には、
図5に示すテーブルに保持されている情報に基づいて生成された印刷設定に関する情報が表示される。印刷設定表示部603は、出力先のプリンタを選択するための第1プルダウンリスト605と、給紙用紙を選択するための第2プルダウンリスト606と、印刷品位を選択するための第3プルダウンリスト607と、を有する。
【0035】
印刷実行ボタン604がユーザによって押下された場合、GUI画面600を介して設定された内容の印刷ジョブの作成と、該作成した印刷ジョブの画像出力装置100への送信とが実行される。
【0036】
尚、
図6に示すGUI画面は例示であり、GUI画面は、前述の要素以外のものを有してよい。
【0037】
<印刷設定情報の取得処理>
図7は、PC101にて実行される印刷設定情報を取得する処理の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、PC101にインストールされる印刷用アプリケーションの起動をトリガーとして開始される。
【0038】
ステップS700にて、情報取得部401は、PC101と接続されている1または複数の画像出力装置100と通信し、給紙状況などを含む画像出力装置100ごとの状態情報を取得する。前述したように、この状態情報は、デバイス情報記憶部405によって、予め画像出力装置100内に記憶されている。尚、以下では簡単のため「ステップS~」を「S~」と略記する。
【0039】
S701にて、情報取得部401は、S700で取得した画像出力装置100の状態情報を、印刷設定情報DB400に記憶されているテーブルに記述し、一連の処理は終了する。本ステップ後、
図5に示したテーブル内の7つの設定項目のうち、設定項目500~504、506の値が記述された状態になる。以上が、印刷設定情報の取得処理の内容である。
【0040】
<自動フラグ値の生成、記憶処理>
図8は、第2プルダウンリスト606に表示される給紙情報を生成するための準備処理としての、自動フラグ値を生成し記憶する処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、以下の処理が、第1プルダウンリスト605(
図6参照)を介して、ユーザによりプリンタが指定されると開始されるものとする。
【0041】
S800にて、情報比較部402は、第1プルダウンリスト605を介して指定されたプリンタのプリンタ名を取得する。
【0042】
S801にて、情報比較部402は、
図5のテーブル内のプリンタ名501のカラム(列)を検索することで、S800で取得したプリンタ名と同一の値が保持されているID500の値を取得する。例えば、S800で取得したプリンタ名が
図5に示した「プリンタ2」の場合、本ステップで取得するID500の値は、ID-E、ID-F、ID-G、ID-H、ID-Iである。
【0043】
S802にて、情報比較部402は、S801で取得したID500の値の中から、給紙口502の値が「ロール*」(*は任意の文字でよく、ロール*はロール紙がセットされていることを示す)のものを抽出する。例えば、S801で取得したID500の値が、
図5に示したID-E、ID-F、ID-G、ID-H、ID-Iの場合、本ステップで抽出するID500の値は、ID-E、ID-F、ID-G、ID-H、ID-Iである。
【0044】
S803にて、情報比較部402は、S802で抽出したID500の値の中で、用紙幅503と用紙種類504との両方の値が一致するものがあるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S804に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合、一連の処理は終了する。例えば、S802で抽出したID500の値が、
図5に示したID-E、ID-F、ID-G、ID-H、ID-Iの場合を検討する。この場合、ID-E、ID-F、ID-Gについては、用紙幅の値が24インチ、用紙種類の値が普通紙であり、用紙幅503と用紙種類504との両方の値が一致する。従って、本ステップの判定結果が真となる。
【0045】
S804にて、情報比較部402は、S803で用紙幅503と用紙種類504との両方の値が一致すると判定されたID500の値に対応する自動フラグ505の値としてONを記述し、テーブルを更新する。尚、
図5は、本ステップの結果、ID-E、ID-F、ID-Gの各自動フラグの値としてONが記述されたことを示している。
【0046】
尚、前述したように本実施形態では、一連の処理の開始トリガーを、第1プルダウンリスト605を介するプリンタ指定としたが、開始トリガーはこれに限らない。例えば、PC101が画像出力装置100と通信した結果、
図5に示すテーブルの設定項目のうち、自動フラグ505以外の設定項目の値が記述されたタイミングで、自動フラグ値の生成、記憶処理が開始されてもよい。以上が、自動フラグ値の生成、記憶処理の内容である。
【0047】
<自動フラグ値に基づく給紙情報の表示>
図9は、給紙情報の表示例として、第1プルダウンリスト605でプリンタ2(
図5参照)が選択されている状態で、第2プルダウンリスト606内右側の▽が押下されたときに表示される給紙情報を示す図である。図示するように、第1プルダウンリスト605を介して選択されたプリンタ名(ここではプリンタ2)とプリンタ501の値とが一致するID500の値に紐づく用紙種類ごとの情報が表示される。
【0048】
この際、自動フラグ505の値が空白、つまり自動フラグ505の値が記述されていないID500の値に紐づく用紙種類に関しては、給紙口502の値に基づく内容の項目が用紙種類ごとに表示される。本例では、「ロール紙4 A2 普通紙」、「ロール紙5 24inch コート紙」と表示される。
【0049】
これに対し、自動フラグ505の値がそれぞれONとなっている給紙口に共通して載置される用紙種類に関しては、
図9に示すように、GUI用の1つの項目にまとめて表示される。ユーザは、この1つの表示項目を用いて、自動フラグ値がONの給紙口を一括して指定可能である。本例では、ID-E、ID-F、ID-Gそれぞれの自動フラグ値がONであることから、これらのID値に紐づく用紙種類に関する内容として、項目「ロール紙 自動:24inch 普通紙」が表示される。
【0050】
<印刷ジョブの作成処理>
図10は、PC101が印刷ジョブを作成し、該作成した印刷ジョブを画像出力装置100に送信する処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、ユーザによって印刷実行ボタン604が押下されると開始する。
【0051】
S1000にて、情報表示部403は、ユーザによる印刷実行ボタン604の押下を検出し、印刷ジョブの作成を印刷ジョブ送信部404に依頼する。
【0052】
S1001にて、印刷ジョブ送信部404は、ユーザにより印刷設定表示部603を介して設定された印刷設定値を取得する。
【0053】
S1002にて、印刷ジョブ送信部404は、S1001で取得した印刷設定値のうち、第2プルダウンリスト606を介して設定された値が「ロール紙 自動・・・」であるか判定する。「ロール紙 自動・・・」は、複数の給紙口を跨いで給紙する連続印刷を行うことを意味する。つまり、この連続印刷では、第1の給紙口からの給紙し印刷を行う際、印刷ジョブの途中で(印刷ジョブのすべての印刷が完了する前に)第1の給紙口の用紙が無くなっても、別の給紙口である第2の給紙口から給紙を行う。これにより、印刷を中断させずに印刷を完了することができる。本ステップの判定結果が真の場合、S1004に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合、S1003に進む。
【0054】
S1003にて、印刷ジョブ送信部404は、印刷ジョブに含ませる印刷設定情報の1つである給紙口設定コマンドを指定する。給紙口設定コマンドは、画像出力装置100で実際に使う給紙口を選択する際に利用される。本実施形態では、給紙口設定コマンドとして、ユーザにより第2プルダウンリスト606を介して設定された給紙口を直接指定するためのコマンドが指定される。
【0055】
S1004にて、印刷ジョブ送信部404は、自動フラグ505の値がONの給紙口を指定するための給紙口設定コマンドを指定する。
【0056】
S1005にて、印刷ジョブ送信部404は、出力対象の画像データに対するページ幅サイズが、指定されたロール紙の用紙幅サイズより小さいか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1006に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合、S1007に進む。
【0057】
S1006にて、印刷ジョブ送信部404は、指定されたロール紙の用紙幅サイズと等しくなるように、出力対象の画像データに対するページ幅サイズを伸長する。本ステップの詳細については、
図11を用いて後述する。
【0058】
S1007にて、印刷ジョブ送信部404は、その他の印刷設定情報を指定して、印刷コマンドを作成する。
【0059】
S1008にて、印刷ジョブ送信部404は、S1007で作成した印刷コマンドを含む印刷ジョブを作成し、該作成した印刷ジョブを画像出力装置100に送信する。
【0060】
<出力対象の画像データに対するページ幅サイズの伸長>
図11は、ロール紙1100の用紙幅サイズと等しくなるように、出力対象の画像データに対するページ幅サイズを伸長する処理(
図10のS1006)を説明するための図である。この伸長処理は構成上必須ではないが、該伸長処理を設けることで、例えば下記のような事例で意図通りの出力物が得られない問題を抑制できる。
【0061】
図9に示したように自動フラグ値がONの給紙口に関する情報をまとめて表示し、
図10のS1004にて、自動フラグ値がONの給紙口を指定するための給紙口設定コマンドを指定した場合を検討する。このような場合であって、かつ、出力対象の画像データに対するページ幅サイズと用紙幅サイズと間の差が、指定されたロール紙よりさらに小さい別のロール紙が存在する場合に、画像出力装置100側で当該別のロール紙が優先して選択される。従って、プレビュー表示部602で表示される内容通りの出力物が得られない問題が発生するので、該問題を解決するために、出力対象の画像データに対するページ幅サイズの伸長処理が必要となる。
【0062】
本実施形態では
図11に示すように、元のページ領域1101に余白領域1102を付加することで、出力対象の画像データに対するページ幅サイズを伸長する。これにより、出力対象の画像データに対するページ幅サイズが、ロール紙1100の用紙幅サイズと等しくなる。
【0063】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、複数の給紙口を跨いで給紙する連続印刷を実行する場合に、印刷の失敗を抑制して、ユーザの意図に適合した出力物を出力することが可能になる。
【0064】
[第2実施形態]
本実施形態では、作成した印刷ジョブを画像出力装置100に送信する際、PC101において、印刷ジョブの出力に必要な用紙量を算出する。その後、PC101は、算出した用紙量と画像出力装置100における用紙残量とに基づいて、用紙が不足している場合にはその旨のメッセージや、ロール紙の交換を促すメッセージを表示する。尚、以下では、前述の実施形態と同様の内容に関する説明は適宜省略し、前述の実施形態と異なる内容を主に説明する。
【0065】
図12は、印刷ジョブを画像出力装置100に送信する際に(
図10のS1008)実行される処理であって、該印刷ジョブに含まれる全ページのページデータを、ユーザが所望するサイズの用紙で出力可能かの判定を伴う一連の処理のフローチャートである。
【0066】
S1200にて、印刷ジョブ送信部404は、
図5に示すテーブル内を検索し、自動フラグ値がONのID値があるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1201に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合、S1209に進む。
【0067】
S1201にて、印刷ジョブ送信部404は、印刷ジョブに含まれる印刷設定情報、具体的には、ページ数の情報と、ページサイズの情報とに基づいて、出力に必要な用紙長を算出する。
【0068】
S1202にて、印刷ジョブ送信部404は、自動フラグ値がONのID値のうち未処理の1つに注目する(このID値を注目ID値と呼ぶ)。そして、印刷ジョブ送信部404は、直近で(つまりS1201または後述するS1204で)算出した出力に必要な用紙長と、注目ID値に対応する用紙残量との大小関係が、以下の式(1)となるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1203に進む一方、該判定結果が偽の場合、S1209に進む。
【0069】
【0070】
尚、自動フラグ値がONのID値が複数あり、本ステップで注目ID値を1つ決定する場合、画像出力装置100の各給紙口におけるロール紙の給紙状態に基づいて、注目する順番を決めてよい。つまり、ロール紙を印刷可能な状態にするには、ロール紙先端を所定位置に移動した上で巻き戻してテンションを上げるなどの準備処理が必要になることから、該準備処理が完了している給紙口を示すID値から優先して注目していくような実施形態が考えられる。或いは、
図5に示すテーブルの用紙残量506の値を考慮して、用紙残量が多いものから順番に注目していってもよい。
【0071】
S1203にて、印刷ジョブ送信部404は、まだS1202で注目していない(つまり未処理の)自動フラグ値がONのID値があるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1204に進む一方、該判定結果が偽の場合、S1205に進む。
【0072】
S1204にて、印刷ジョブ送信部404は、注目ID値に対応の給紙口に載置されている用紙では出力できないページ数を算出する。そして、この算出したページ数と、S1201でも利用したページサイズの情報とに基づいて、残りのページ数を出力するために必要な用紙長を算出する。S1202~S1204のループ処理では全体として、出力先として指定された複数の給紙口のそれぞれに載置されている用紙の残量の合計が、出力に必要な用紙長より大きいかの判定を行っている。
【0073】
S1203でNOの場合、画像出力装置100においてユーザが所望するサイズの用紙が不足しているため、このまま印刷を続行すると、該所望するサイズとは異なるサイズの用紙で出力されてしまい、ユーザの意図しない出力物が出力されてしまう可能性がある。従ってこの場合、S1205にて、印刷ジョブ送信部404は、ディスプレイ309への警告用GUIの表示を情報表示部403に依頼する。
【0074】
図13は、S1205で表示される警告用GUIの一例として、GUI1300を示す。GUI1300は、ユーザに警告するメッセージを表示する領域1301を有する。また、GUI1300は、印刷を続行する際に押下される第1ボタン1302と、画像出力装置100に用紙を追加した後で印刷を開始する際に押下される第2ボタン1303と、印刷を中止する際に押下される第3ボタン1304と、を有する。
【0075】
図12の説明に戻る。S1206にて、印刷ジョブ送信部404は、ユーザによる印刷続行指示があるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1209に進む一方、該判定結果が偽の場合、S1207に進む。本実施形態では、第1ボタン1302の押下が検出された場合、印刷続行指示があるとみなして、S1209に進む。一方、第2ボタン1303または第3ボタン1304の押下が検出された場合、印刷中止指示が無いとみなして、S1207に進む。
【0076】
S1207にて、印刷ジョブ送信部404は、ユーザによる印刷中止指示があるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1210に進む一方、該判定結果が偽の場合、S1208に進む。本実施形態では、第3ボタン1304の押下が検出された場合、印刷中止指示があるとみなして、S1210に進む。一方、第2ボタン1303の押下が検出された場合、印刷中止指示が無い(言い換えると、用紙追加後に印刷を開始する旨の指示がある)とみなして、S1208に進む。
【0077】
S1207でNOの場合、画像出力装置100に不足用紙を追加した後に印刷を開始するオプションをユーザが選択したことを意味する。従ってこの場合、PC101は、ユーザが不足用紙を画像処理装置100に追加するまで待機する。詳しくは、S1208にて、印刷ジョブ送信部404は、不足用紙の追加の結果、印刷設定情報DB400に記憶されている
図5に示すテーブルが更新されたか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、画像出力装置100における用紙状態が変化したとみなし、S1200に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合、ループ処理を行う。
【0078】
S1209にて、印刷ジョブ送信部404は、作成した印刷ジョブを画像出力装置100に送信して、画像出力装置100に印刷処理を実行させる。
【0079】
S1210にて、印刷ジョブ送信部404は、作成した印刷ジョブを削除するジョブキャンセル処理を実行する。
【0080】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、画像出力装置においてユーザ指定の用紙残量が少ない場合に、警告用GUIを表示し、ユーザに警告を通知する。これにより、ユーザは画像出力装置の用紙を交換したり、印刷を中止したりすることができるため、印刷の失敗を抑制できる。
【0081】
[その他の実施形態]
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 画像出力装置
101 情報処理装置(PC)
401 情報取得部
403 情報表示部
404 印刷ジョブ送信部