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特許7599922複数の熱処理をワークピースおよび関連するターボ機械構成要素に適用するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】複数の熱処理をワークピースおよび関連するターボ機械構成要素に適用するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/00 20060101AFI20241209BHJP
   F01D 25/10 20060101ALI20241209BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
C21D9/00 N
F01D25/10
F01D25/12
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020193629
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2021095635
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】16/712,130
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダグラス・アーネット
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・コンラッド・シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・レイモンド・ハンスリット
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-308798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0202650(US,A1)
【文献】特開2009-024258(JP,A)
【文献】特開2001-221003(JP,A)
【文献】特開2014-149133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/00
F01D 25/10
F01D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースの熱処理のためのシステム(200)であって、当該システム(200)が、
前記ワークピースを取り囲むサイズの内部(204)を有し、前記内部(204)内に真空又は加圧雰囲気を維持するように構成されたエンクロージャ(202)と、
複数の熱アプリケータ(210)と
を備えており、前記複数の熱アプリケータ(210)が、
前記内部(204)の第1の部分と熱連通し、第1の熱処理を前記内部(204)の前記第1の部分内の前記ワークピースの第1の部分に適用するように構成された第1の熱アプリケータ(210)、及び
前記内部(204)の前記第1の部分とは異なる前記内部(204)の第2の部分と熱連通し、第2の熱処理を前記内部(204)の前記第2の部分内の前記ワークピースの第2の部分に適用するように構成された第2の熱アプリケータ(210)であって、前記第1の熱アプリケータ(210)から動作上独立している前記第2の熱アプリケータ(210)
を含んでおり、前記複数の熱アプリケータ(210)の各々が、
前記内部(204)の前記第1の部分又は前記第2の部分と熱連通する少なくとも1つの加熱要素と、
前記ワークピースの前記第1の部分又は前記第2の部分と流体連通する少なくとも1つの冷却流体インジェクタであって、前記第1の熱アプリケータ(210)の前記少なくとも1つの冷却流体インジェクタが、前記第2の熱アプリケータ(210)の前記少なくとも1つの冷却流体インジェクタとは異なる冷却流体を注入する少なくとも1つの冷却流体インジェクタと
を含んでいる、システム(200)。
【請求項2】
前記ワークピース、前記内部(204)の前記第1の部分内のベース部分(116)と、前記内部(204)の前記第2の部分内の翼形部部分(102)とを有するターボ機械構成要素(100)を備える、請求項1に記載のシステム(200)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの加熱要素、グラファイト、モリブデン、モリブデン-ランタン合金、炭化ケイ素又は二ケイ化モリブデンの1つを含む誘導加熱コイルを含む、請求項に記載のシステム(200)。
【請求項4】
前記第1の熱アプリケータ(210)の前記少なくとも1つの冷却流体インジェクタ又は前記第2の熱アプリケータ(210)の前記少なくとも1つの冷却流体インジェクタ、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N)又は空気の1つを注入する、請求項に記載のシステム(200)。
【請求項5】
前記第1の熱アプリケータ(210)で適用される前記第1の熱処理、前記ワークピースの前記第1の部分を第1の温度に加熱することと、第1の時間スパンにわたって前記第1の温度に前記ワークピースの前記第1の部分を維持することと、第1の冷却速度で前記ワークピースの前記第1の部分を冷却することとを含み、
前記第2の熱アプリケータ(210)で適用される前記第2の熱処理、前記ワークピースの前記第2の部分を前記第1の温度とは異なる第2の温度に加熱することと、前記第1の時間スパンとは異なる第2の時間スパンにわたって前記第2の温度に前記ワークピースの前記第2の部分を維持することと、前記第1の冷却速度とは異なる第2の冷却速度で前記ワークピースの前記第2の部分を冷却することとを含む、
請求項1に記載のシステム(200)。
【請求項6】
前記エンクロージャ(202)の前記内部(204)、環境(206)から複数のワークピースを取り囲むサイズであり、前記第1の熱アプリケータ(210)、前記第1の熱処理を前記複数のワークピースの各々の第1の部分に適用するようにさらに構成され、前記第2の熱アプリケータ(210)、前記第2の熱処理を複数の第2の熱アプリケータ(210)により前記複数のワークピースの各々の第2の部分に適用するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム(200)。
【請求項7】
前記複数の熱アプリケータ(210)、前記内部(204)の前記第1の部分及び前記第2の部分とは異なる前記内部(204)の前記第3の部分内に、前記第1の熱処理及び前記第2の熱処理とは独立して、第3の熱処理を前記内部(204)の前記第3の部分内の前記ワークピースの第3の部分に適用するように構成された第3の熱アプリケータ(210)をさらに含む、請求項1に記載のシステム(200)。
【請求項8】
前記ワークピース、前記内部(204)の前記第1の部分内のベース部分(116)と、前記内部(204)の前記第2の部分内の翼形部部分(102)と、前記内部(204)の前記第3の部分内の先端部分(112)とを有するターボ機械構成要素(100)を備える、請求項に記載のシステム(200)。
【請求項9】
前記第2の熱アプリケータ(210)に対する前記第1の熱アプリケータ(210)の位置は、前記第1の熱処理が前記内部(204)の前記第1の部分のみに影響を及ぼし、前記第2の熱処理が前記内部(204)の前記第2の部分のみに影響を及ぼすようにする、請求項1に記載のシステム(200)。
【請求項10】
前記エンクロージャ(202)、最大.013ミリバールの圧力に前記真空を維持するように構成される、請求項1に記載のシステム(200)。
【請求項11】
前記エンクロージャ(202).0バール~12バールの圧力に前記加圧雰囲気を維持するように構成される、請求項1に記載のシステム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ワークピースの熱処理に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、複数の熱処理をターボ機械構成要素などのワークピースに適用するためのシステムおよび方法を提供する。加えて、本開示は、関連する構造特性を有するターボ機械構成要素およびターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の航空機および/または発電プラントシステム、例えば特定のジェット航空機、または原子力、単純サイクルおよび複合サイクル発電プラントシステムでは、設計および動作にタービン(ターボ機械とも呼ばれる)を用いている。これらのタービンの一部は、動作中に流体の流れに曝露される翼形部(例えば、静止または回転タービンブレード)を用いる。これらの翼形部は、流体の流れと空気力学的に相互作用し、発電の一部としてこれらの流体の流れからシャフト動力を生成するように構成される(例えば、推力の生成、運動エネルギーから機械的エネルギーへの転換、熱エネルギーから機械的エネルギーへの転換など)。この相互作用および変換の結果として、これらの翼形部の材料特性ならびに空気力学的特徴および損失がシステムとタービンの動作、性能、推力、効率、および動力に影響を及ぼす。
【0003】
様々な用途におけるタービン翼形部、具体的にはタービンブレードは、極度の応力および高温環境に曝露される。応力および曝露温度は、部品全体を通して異なっている。動作中、単一のターボ機械構成要素の様々な領域は、別の領域の即時応力と比較して、ある領域の様々な機械的要因、例えば、長期的な機械的クリープになる傾向があり得る。この問題は、ターボ機械構成要素に対して展開する前に均一な処理を適用する従来の熱処理システムから部分的に発生する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様は、ワークピースの熱処理のためのシステムを提供し、システムは、ワークピースを取り囲むサイズの内部を有し、内部内に真空または加圧雰囲気を維持するように構成されたエンクロージャと、内部の第1の部分と熱連通し、第1の熱処理を内部の第1の部分内のワークピースの第1の部分に適用するように構成された第1の熱アプリケータ、および内部の第1の部分とは異なる内部の第2の部分と熱連通し、第2の熱処理を内部の第2の部分内のワークピースの第2の部分に適用するように構成された第2の熱アプリケータであって、第1の熱アプリケータから動作上独立している第2の熱アプリケータを含む複数の熱アプリケータとを含む。
【0005】
本開示の第2の態様は、ワークピースの熱処理のためのシステムを提供し、システムは、ワークピースを取り囲むサイズの内部を有し、内部内に真空または加圧雰囲気を維持するように構成されたエンクロージャと、内部の第1の部分と熱連通し、第1の熱処理を内部の第1の部分内のワークピースの第1の部分に適用するように構成された第1の熱アプリケータ、内部の第1の部分とは異なる内部の第2の部分と熱連通し、第2の熱処理を内部の第2の部分内のワークピースの第2の部分に適用するように構成された第2の熱アプリケータであって、第1の熱アプリケータから動作上独立している第2の熱アプリケータ、ならびに内部の第1の部分および第2の部分とは異なる内部の第3の部分と熱連通し、第3の熱処理を内部の第3の部分内のワークピースの第3の部分に適用するように構成された第3の熱アプリケータであって、第1および第2の熱アプリケータから動作上独立している第3の熱アプリケータを含む複数の熱アプリケータとを含む。
【0006】
本開示の第3の態様は、超合金材料で形成されたワークピースの熱処理のための方法を提供し、方法は、環境からエンクロージャの内部でワークピースを取り囲むことであって、エンクロージャは、内部内に真空または加圧雰囲気を維持し、ワークピースは、ベース部分、およびベース部分に結合された翼形部部分を含むことと、ワークピースのベース部分と熱連通する第1の熱アプリケータを使用して、第1の熱処理をワークピースのベース部分に適用することであって、第1の熱処理は、ワークピースの翼形部部分への影響が制限されていることと、エンクロージャの内部およびワークピースの翼形部部分と熱連通する第2の熱アプリケータを使用して、第2の熱処理をワークピースの翼形部部分に適用することであって、第2の熱処理は、ワークピースのベース部分への影響が制限されていることとを含む。
【0007】
本開示の第4の態様は、ロータに取り付けるように構成されたベース部分と、ベース部分に結合された第1の端部、および第1の端部の反対側の第2の端部を有する翼形部部分であって、翼形部部分のクリープ抵抗は、ベース部分よりも大きく、翼形部部分の破壊靭性は、ベース部分よりも小さい翼形部部分と、翼形部部分の第2の端部に結合された先端部分であって、先端部分のクリープ抵抗は、翼形部部分よりも小さく、かつベース部分よりも大きく、先端部分の破壊靭性は、ベース部分よりも小さく、かつ翼形部部分よりも大きい先端部分とを含む、ターボ機械構成要素を提供する。
【0008】
本開示の第5の態様は、内部流路を有するターボ機械を提供し、ターボ機械は、ロータと、ロータに結合され、内部流路内に位置決めされた複数の回転可能なブレード構造であって、複数のブレード構造の少なくとも1つは、ロータに結合された内側半径方向表面を有するベース部分、ベース部分に結合された内側半径方向端部、および内側半径方向端部の反対側の外側半径方向端部を有する翼形部部分であって、翼形部部分のクリープ抵抗は、ベース部分よりも大きく、翼形部部分の破壊靭性は、ベース部分よりも小さい翼形部部分、ならびに翼形部部分の外側半径方向端部に結合された先端部分であって、先端部分のクリープ抵抗は、翼形部部分よりも小さく、かつベース部分よりも大きく、先端部分の破壊靭性は、ベース部分よりも小さく、かつ翼形部部分よりも大きい先端部分を含む複数の回転可能なブレード構造とを含む。
【0009】
本開示の第6の態様は、超合金材料で形成されたターボ機械構成要素を熱処理するための方法を提供し、方法は、第1の熱処理をターボ機械構成要素のベース部分に適用することであって、ベース部分は、ロータに取り付けるように構成され、第1の熱処理は、ベース部分を第1の温度に加熱すること、第1の時間スパンにわたって第1の温度にベース部分を保持すること、および第1の冷却速度でベース部分を冷却することを含むことと、第1の熱処理とは独立して、第2の熱処理をターボ機械構成要素の翼形部部分に適用することであって、翼形部部分は、ベース部分に結合された第1の端部、および第1の端部の反対側の第2の端部を有し、第2の熱処理は、翼形部部分を第1の温度とは異なる第2の温度に加熱すること、第1の時間スパンとは異なる第2の時間スパンにわたって第2の温度に翼形部部分を保持すること、および第1の冷却速度とは異なる第2の冷却速度で翼形部部分を冷却することを含むことと、第1の熱処理および第2の熱処理とは独立して、第3の熱処理をターボ機械構成要素の先端部分に適用することであって、先端部分は、翼形部部分に結合され、第3の熱処理は、先端部分を第1の温度および第2の温度とは異なる第3の温度に加熱すること、第1の時間スパンおよび第2の時間スパンとは異なる第3の時間スパンにわたって第3の温度に先端部分を保持すること、ならびに第1の冷却速度および第2の冷却速度とは異なる第3の冷却速度で翼形部部分を冷却することとを含む。
【0010】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題および/または検討されていない他の問題を解決するように設計されている。
【0011】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を図示する添付の図面と併せて、本開示の様々な態様に関する以下の詳細な説明から、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態による、ターボ機械の一部の三次元部分切断斜視図である。
図2】本開示の様々な実施形態による、例示的なターボ機械構成要素の形態のワークピースの三次元描写である。
図3】本開示の様々な実施形態による、ターボ機械構成要素の形態のワークピースの熱処理のためのシステムの概略図である。
図4】本開示の様々な実施形態による、ターボ機械構成要素の形態のワークピース内の粒子分布の例示的な図である。
図5】本開示の様々な実施形態による、ターボ機械構成要素の形態のワークピースの別の部分内の粒子分布の例示的な図である。
図6】本開示の様々な実施形態による、複数のターボ機械構成要素の形態の複数のワークピースの熱処理のためのシステムの概略図である。
図7】本開示の様々な実施形態による、ワークピースの熱処理のためのシステム用のコントローラの例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の図面は、原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面では、類似する符号は、図面間で類似する要素を表す。
【0014】
最初の問題として、現在の技術を明確に説明するために、本開示の様々なシステム、構成要素、および他の実施形態内の関連する機械構成要素を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0015】
加えて、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則通りに使用することができ、このセクションの開始時にこれらの用語を定義することが有用であることがわかる。これらの用語およびその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」とは、タービンエンジンを通る作動流体、または例えば、燃焼器を通る空気の流れ、もしくはタービンの構成要素システムの1つを通る冷却剤などの流体の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れの反対の方向を指す。「前方」および「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前方または圧縮機端部を指し、「後方」はエンジンの後部またはタービン端部を指す。
【0016】
多くの場合、中心軸線に関して異なる半径方向位置に配置された部品を記述することが要求される。「半径方向」という用語は、軸線に垂直な移動または位置を指す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸に近接して位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向内側」または「内方」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側」または「外方」にあると述べることができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸線周りの移動または位置を指す。このような用語は、タービンの中心軸に関連して適用することができることが理解されよう。
【0017】
加えて、以下に記載のように、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則通りに使用することができる。「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の場所または重要性を示すことを意図するものではない。
【0018】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意選択の」または「任意選択で」は、後で述べられる事象または状況が、起こる場合も起こらない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こる事例と、起こらない事例とを含むことを意味する。
【0019】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に」、「係合される」、「接続される」、または「結合される」と言及される場合には、他の要素または層に対して直接上に、係合され、接続され、または結合されてもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、ある要素が別の要素または層に対して「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係について説明するために使用される他の語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間に」に対して「直接~の間に」、「~に隣接して」に対して「直接~に隣接して」など)。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のいずれかおよび1つまたは複数のすべての組み合わせを含む。
【0020】
上に示したように、本開示は、複数の熱処理をワークピースに適用するためのシステムおよび方法を提供し、さらなる実施形態は、ターボ機械構成要素および関連する構造を提供する。本明細書で使用する場合、「熱処理」という用語は、所望の材料特性をもたらすための、所定の温度、時間スパン、および加熱または冷却速度での加熱および冷却の組み合わせを指す。様々な実施形態において、システムは、ワークピースを取り囲むサイズの内部を有するエンクロージャであって、エンクロージャの内部内に真空または加圧雰囲気を生成するように構成されたエンクロージャを含み得る。複数の熱アプリケータが、内部の第1および第2の部分と熱連通し得る。第1および第2の熱アプリケータが、内部の第1および第2の部分を独立して加熱および冷却することができる。第1の熱アプリケータは、第1の熱処理を内部の第1の部分内のワークピースの第1の部分に適用し得る。第2の熱アプリケータは、第1の熱処理とは独立して、第2の熱処理を内部の第2の部分内のワークピースの第2の部分に連続的または同時に適用し得る。本開示による方法は、例えば、本明細書で論じられるシステムの1つまたは複数の実施形態を使用して、第1および第2の熱処理をワークピースの第1および第2の部分に適用することを含み得る。本開示のさらなる実施形態は、ターボ機械構成要素、ターボ機械、および/または複数の熱処理から生じる異なる特性を有する異なる部分を備えた他の構造を提供する。
【0021】
図面を参照すると、図1は、本開示の様々な実施形態による、ターボ機械10(例えば、蒸気タービン)の斜視部分切断図を示す。ターボ機械10の図は、高圧(HP)、中圧(IP)、または低圧(LP)タービンを表すことができ、本開示の実施形態はHPおよびIPタービンに特に適用可能であり得ることが理解される。ターボ機械10は、回転シャフト14と、複数の軸方向に間隔を置いたロータホイール18とを含むロータ12を含む。複数の回転ブレード20が、各ロータホイール18に機械的に結合される。より具体的には、ブレード20は、各ロータホイール18を囲んで円周方向に延びる列に配置される。シャフト14の周りに円周方向にある複数の静止ノズル22を含む静的ノズルセクション21が示されており、ノズル22は、ブレード20の隣接する列の間に軸方向に位置決めされる。静止ノズル22は、ブレード20と協働してターボ機械10の段を形成し、ターボ機械10を通る流路の一部を画定する。示すように、静的ノズルセクション21は、ロータ12を少なくとも部分的に囲む(この切断図に示されている)。
【0022】
図示のターボ機械10は、2つのタービン段のセットに供給を行う軸方向中心にある入口口を含む二重流のターボ機械10であることが理解される。軸方向タービン、例えば、第1の軸方向端部から燃焼ガスを流入させ、ガスがタービンに機械的仕事を行った後にその燃焼ガスを第2の軸方向端部に流出させる軸方向入口ガスタービンに様々な教示を適用することができることが理解される。動作中、蒸気24などの動作流体は、ターボ機械10の入口26に入り、静止ノズル22を通って流れる。ノズル22は、蒸気24をブレード20に向ける。蒸気24は残りの段を通過し、ブレード20に力を与え、シャフト14を回転させる。ターボ機械10の少なくとも1つの端部は、ロータ12から離れて軸方向に延びてもよく、限定はしないが、発電機、および/または別のタービンなどの負荷または機械(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0023】
一実施形態では、ターボ機械10は、5つの段を含むことができる。5つの段は、L0、L1、L2、L3、およびL4と呼ばれる。段L4は、第1の段であり、5つの段のうちの最小(半径方向に)である。段L3は、第2の段であり、軸方向の次の段である。段L2は、第3の段であり、5つの段の中間に示されている。段L1は、第4の段であり、最後から2番目の段である。段L0は、最後の段であり、最大(半径方向に)である。5つの段は一例としてのみ示されており、各タービンは5つよりも多いまたは少ない段を有してもよいことを理解されたい。また、本明細書で説明するように、本開示の教示は、多段タービンを必要としない。他の実施形態では、ターボ機械10は、推力を発生するために使用される航空機エンジンまたは産業用ガスタービンを備えてもよい。本開示の実施形態は、ブレード20、ならびに/または各ブレード20および/もしくは他の構成要素の異なる部分に適用される複数の熱処理の結果として様々な特性を特徴とする他の構造を備えたターボ機械10を含み得る。
【0024】
図2を参照すると、様々な実施形態によるターボ機械構成要素(または単に、構成要素)100の概略三次元描写が示されている。構成要素100は、デバイス、例えば、ターボ機械10(図1)の流路(FP)内に載置するように適合された静的または回転可能なブレードを表してもよい。場合によっては、構成要素100は、タービン(例えば、ターボ機械10)の段の静止ノズルの環に含まれる静的ノズルとすることができる。タービン(例えば、ターボ機械10)の動作中、静的ノズルの形態の構成要素100は、作動流体(例えば、ガスまたは蒸気)の流れを1つまたは複数の可動ブレード(例えば、ブレード20)に向けるために静止したままであり得、これらの可動ブレードにロータシャフト(例えば、シャフト14)の回転を開始させる。構成要素100が可動ブレード(例えば、ブレード20)として提供されるか、またはノズルなどの静的構成要素として提供されるかに関係なく、本開示の実施形態は、構成要素100を熱処理するように動作可能であり得る。構成要素100は、複数の同様または別個のノズル(例えば、構成要素100または他のノズル)と結合(ファスナ、溶接、スロット/溝などを介して機械的に結合)し、タービンの段でノズルの環を形成するように構成されることが理解される。構成要素100は、場合によっては、単一の合金または超合金材料で形成され得る。「高性能合金」としても知られる超合金材料は、一般に、様々な機械的基準のセット、例えば、機械的強度、表面安定性、耐食性などを満たす1つまたは複数の合金を指す。超合金材料の分類には、例えば、ニッケル基、コバルト基、および/または鉄基超合金材料が含まれ得る。特にニッケル基超合金材料は、本明細書で論じられるように、熱の適用下でガンマプライム相析出物を形成することが可能であり得る。
【0025】
タービン構成要素100は、負圧側面104と、負圧側面104に対向する正圧側面106(図2では部分的に不明瞭である)とを有する翼形部102を含む。構成要素100はまた、正圧側面106と負圧側面104との間の前縁108と、前縁108に対向し、正圧側面106と負圧側面104との間の後縁110とを含むことができる。翼形部102は、中空の内部(図示せず)を有することができ、したがって翼形部102は、内部に中空の内部を取り囲む輪郭壁を含むことができる。「軸方向幅」という用語は、「翼弦方向幅」と呼ばれることもあり、軸Aに沿って翼形部102を直接通る1つの基準点(例えば、前縁108)から別の基準点(例えば、負圧側面104の一部)までの距離を指し得る。軸方向幅は、場合によっては、正圧側面106上の1つの場所と翼形部102に対する対応する場所との間の軸Aに沿った軸方向距離を指し得る。例えば、軸方向幅は、軸Aに沿って翼形部102の前縁108から後縁110と接線方向に整列した点までの距離として測定することができる。半径方向軸「r」に沿った翼形部102のスパンは、構成要素100の翼形部部分Pを構成し得る。本明細書で論じられる様々な実施形態において、翼形部部分Pは、構成要素100の1つまたは複数の他の部分と比較して、別個の材料特性を含むように形成され得る。
【0026】
示すように、構成要素100は、例えば、翼形部102と接続された先端112を含むことができる。場合によっては、先端112は、例えば、構成要素100の構造的支持のための外輪の包含および/または外輪への結合のために、シュラウド114を含み得る。先端112は、負圧側面104、正圧側面106、後縁110、および前縁108に沿って翼形部102と接続することができる。翼形部102からの半径方向軸「r」に沿った、該当する場合はシュラウド114を含む先端112のスパンは、構成要素100の先端部分Pを構成し得る。本明細書で論じられる様々な実施形態において、先端部分Pは、構成要素100の1つまたは複数の他の部分、例えば、翼形部部分Pと比較して、別個の材料特性を含むように形成され得る。
【0027】
構成要素100はまた、例えば、先端112の反対側の場所で翼形部102に結合されたベース116を含み得る。様々な実施形態において、フィレット118が、翼形部102をベース116に接続する。フィレット118は、初期構造から機械加工を介して形成されてもよく、場合によっては、フィレット118は、溶接、ろう付けなどにより形成されてもよい。回転可能な構造、例えば、ブレード20(図1)の場合、構成要素100のベース116は、構成要素100をターボ機械10の他の部分、例えば、ホイールおよびダイヤフラムアセンブリに機械的に結合するための任意の現在知られているまたは後に開発される構成要素によって、ターボ機械10(図1)のシャフト14(図1)に機械的に結合するように構造化され得る。半径方向軸「r」に沿った翼形部102とベース116の対向する端部との間のベース116のスパンは、構成要素100のベース部分Pを構成し得る。本明細書で論じられる様々な実施形態において、ベース部分Pは、構成要素100の1つまたは複数の他の部分、例えば、翼形部部分Pおよび先端部分Pと比較して、別個の材料特性を含むように形成され得る。
【0028】
図1および図2を参照すると、構成要素100は、第1の段(L4)または第2の段(L3)内に位置決めされ得る。特定の実施形態では、構成要素100は、第2の段ノズル(L3)に位置決めされてもよく、構成要素100にわたる集中流プロファイルは、第2の段(L3)内、または第2の段(L3)から後続の段への入射する流体の流れを減少させる。様々な実施形態において、ターボ機械10は、ターボ機械10の第2の段(L3)のみ、またはターボ機械10の第1の段(L4)および第2の段(L3)のみに構成要素100のセットを含むことができる。構成要素100の各部分P、P、Pは、本明細書で論じられるように、異なる熱処理を受けることによって異なる特性を有し得る。したがって、本開示のさらなる実施形態は、少なくとも1つのブレード20、ノズル、および/または複数の熱処理を使用して処理され、したがって各領域において異なる材料特性を特徴とする他の構造を有するターボ機械10を含み得る。
【0029】
図3を参照すると、本開示の実施形態は、ワークピースの熱処理のためのシステム200を提供する。図3以降の説明では、システム200で処理されるワークピースは、例示的に、構成要素100の一実施形態であることが示されている。しかし、システム200は、例えば、本明細書に記載のシステム200の様々なサブ構成要素にほとんどまたは全く修正を加えることなく、様々な他のワークピースに対して熱処理を実施するために動作可能であり得ることが理解される。説明を明確にするために、システム200内の例示的なワークピースが示されており、本明細書では構成要素100と呼ばれる。構成要素100は、例えば、所望の位置(場合によっては固定位置であり得る)に構成要素100を保持するように適合された1つまたは複数の結合構成要素(図示せず)によって、エンクロージャ202の内面に機械的に結合され得る。構成要素100は、外部環境206から構成要素100を取り囲むサイズの内部204を有するエンクロージャ202によって取り囲まれ得る。エンクロージャ202は、内部204からすべての空気粒子を除去することが可能な真空チャンバの形態をとることができ、例示的な実施態様では、内部204内のすべての圧力を実質的に排除することができる。例示的な実施態様では、エンクロージャ202は、最大約0.013ミリバールの圧力を維持することが可能な真空チャンバであり得る。エンクロージャ202が加圧雰囲気を維持するように構成される代替の実施態様では、内部204は、約1.0バール~12バールの圧力に維持されてもよい。外部環境206は、周囲温度、圧力、および化学組成(例えば、室温、大気圧、および大気組成)を有し得る。エンクロージャ202は、シール、すなわち、内部204を環境206から流体的に分離することが可能な任意のシール構成要素を含むように製造することができる。したがって、構成要素100は、環境206の温度、圧力、組成などによる干渉なしに、システム200内で熱処理を受けることができる。エンクロージャ202は、例えば、エポキシベースのシール、ガラス対金属シール、セラミック対金属シールなどを含むように製造されることによって、1つまたは複数のシール構成要素によって環境206からシールされ得る。
【0030】
内部204は、内部の構成要素100の位置、および/または内部204と熱および/または流体連通する様々な加熱および冷却構成要素の位置に基づいて、複数の部分に細分化され得る。例えば、内部204は、構成要素100の第1の部分(例えば、ベース部分P)を収容するサイズの第1の部分S1、構成要素100の第2の部分(例えば、翼形部部分P)を収容するサイズの第2の部分S2、および/または構成要素100の第3の部分(例えば、先端部分P)を収容するサイズの第3の部分S3を含んでもよい。様々なさらなる実施形態では、内部204は、2つの部分(例えば、第1および第2の部分S1、S2)のみを含み得るか、または3つを超える部分、例えば、5つの部分、10個の部分、100個の部分などを有し得る。例によれば、ベース部分Pは、内部204の第1の部分S1を横切ることができ、翼形部部分Pは、内部204の第2の部分S2を横切ることができ、先端部分Pは、内部204の第3の部分S3を横切ることができる。さらなる例では、各部分S1、S2、S3は、内部の熱アプリケータの位置および/もしくは数、各部分S1、S2、S3内の内部204の形状に基づいて、かつ/またはバリア、断熱仕切り、および/もしくは他のサブ構成要素などの分割特徴により互いに区別され得る。システム200は、異なる熱処理を内部204の各部分S1、S2、S3に位置する構成要素100の異なる部分P、P、Pに適用するように構成することができる。
【0031】
構成要素100に対して様々な熱処理を実施するために、システム200は、様々な場所でエンクロージャ202の内部204と熱連通する熱アプリケータ210を含むことができる。熱アプリケータ210は、様々な形態をとることができるが、エンクロージャ202の内部204内のそれぞれの場所の加熱および/または冷却のために構成されて実装され得る。例によれば、1つまたは複数の熱アプリケータ210は、例えば、1つまたは複数の冷却要素214と組み合わせた1つまたは複数の加熱要素212を含み得、これらの各々は、構成要素100のサブセクションと熱連通し得る。熱アプリケータの加熱要素212は、例えば、誘導加熱コイルおよび/または他のタイプの電気加熱要素を含み得る。誘導加熱冷却の場合、加熱要素212は、グラファイト、モリブデン、モリブデン-ランタン合金、炭化ケイ素、二ケイ化モリブデン、および/または誘導加熱コイルで使用するために動作可能な任意の現在知られているまたは後に開発される材料で形成されてもよい。加熱要素212はまた、非電気加熱デバイス、例えば、ファンヒータ、ガスベースのヒータ、熱交換器、および/または内部204のそれぞれの部分S1、S2、S3内の温度を上昇させることが可能な任意の他のデバイスを含む、任意の他の現在知られているまたは後に開発される加熱デバイスを含んでもよい。
【0032】
熱アプリケータ210はまた、内部204のそれぞれの部分S1、S2、S3内の温度を低下させるように構成された1つまたは複数の冷却要素214を含み得る。様々な実施形態において、冷却要素214は、内部204と流体連通する冷却流体インジェクタの形態をとることができる。そのような場合、冷却要素214は、例えば、内部204内に注入されたときに熱を吸収することが可能な不活性ガスを有する冷却流体供給部216と流体連通してもよい。そのようなガスは、例えば、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N)、および/または空気を含み得る。さらなる例では、冷却要素214は、例えば、ヒートポンプ、固体冷媒回路などの1つまたは複数を含んでもよい。熱アプリケータ210の加熱および冷却要素212、214は、例示的に、互いに構造的に独立しているように示されているが、加熱要素212および/または冷却要素214は、内部204内の構成要素100を加熱および/または冷却するための単一の要素に組み合わせることができることが理解される。
【0033】
加熱要素212および冷却要素214は、内部204内の構成要素100の独立した加熱および冷却のために構成され得る。すなわち、加熱要素212は、加熱要素212と冷却要素214が共にシステム200の1つの熱アプリケータ210を構成しているにもかかわらず、冷却要素214とは独立して動作することが可能であり得、逆もまた同様である。加えて、各熱アプリケータ210は、内部204の1つの部分S1、S2、またはS3のみに位置決めされ得る。動作中、システム200の実施形態は、熱アプリケータ210を使用して、異なるタイプの熱処理を構成要素100の異なる部分P、P、Pに適用することができる。
【0034】
構成要素100に適用される様々な熱処理を制御するために、システム200は、システム200の熱アプリケータ210に通信可能に結合されたコントローラ220を含み得る。本明細書でさらに詳細に論じられるように、コントローラ220は、熱アプリケータ210の様々な動作設定を電気的に制御するように構成されたコンピューティングデバイスの形態をとることができる。例によれば、コントローラ220は、様々な加熱要素212に電気的に結合され、内部204内の1つまたは複数の加熱要素212の熱エネルギー出力を制御することができる。加熱要素212が誘導加熱コイルの形態をとる例では、各加熱要素212は、動作中に加熱温度、加熱時間、加熱速度などの変数を修正するために、コントローラ220を介して電気的に調整可能であり得る。加熱要素212が他の形態をとる実施形態では、コントローラ220ならびに/または加熱要素212とコントローラ220との間の様々な結合および/もしくは変換構成要素は、電気信号を適用可能なタイプの加熱要素212の動作への修正に変換するために必要に応じて修正され得る。さらに別の実施形態では、加熱要素212は、コントローラ220によらずに手動で動作および/または調整することができる。
【0035】
コントローラ220はまた、少なくとも1つの冷却流体供給部216から抽出される冷却流体の量を制御するために、冷却流体供給部および/または弁222のセットに結合され得る。各弁は、様々な流体継手を介してそれぞれの冷却要素214(例えば、冷却流体インジェクタ)に提供される冷却流体の量を制御することができる。例えば、1つの弁222は、それぞれの冷却流体供給部216から第1の通路224を介して内部204の第1の部分S1内の冷却要素214に送達される冷却流体の量を制御することができる。別の弁222は、別の冷却流体供給部216から第2の通路226を介して内部204の第2の部分S2内の冷却要素214に送達される冷却流体の量を制御することができる。さらに別の弁222は、別の冷却流体供給部216から第3の通路228を介して内部204の第3の部分S3内の冷却要素214に送達される冷却流体の量を制御することができる。各冷却流体供給部216は、異なる冷却ガスが内部204の各部分S1、S2、S3に注入されるように、別個のガスを含み得る。例によれば、第1の部分S1は、冷却要素214からヘリウムのみを受け取ることができ、第2の部分S2は、冷却要素214から窒素のみを受け取ることができ、第3の部分S3は、冷却要素214から空気のみを受け取ることができる。弁222は、内部204の異なる部分S1、S2、S3に向けられる冷却流体の量を制御するための双方向弁として具体化され得る。さらなる実施形態における弁222は、各通路224、226、228内の弁のシステム、および/またはシステム200の各冷却要素214に提供される冷却流体の量を制御するように構成された多方向弁を含み得る。弁222は、動作中の冷却温度および/または冷却速度などの変数を修正するために、コントローラ220を介して電気的または電気機械的に調整可能であり得る。この場合、コントローラ220は、システム200が動作するとき、および本明細書で論じられるような様々な動作方法論に従って、各熱アプリケータ210の動作を管理することができる。さらに別の実施形態では、冷却ガス供給部216およびそれらのそれぞれの弁222は、コントローラ220によらずに手動で動作または調整することができる。
【0036】
1つの非限定的な例によれば、コントローラ220は、複数の熱アプリケータ210に通信可能に結合され得る。各熱アプリケータ210は、内部204のそれぞれの部分S1、S2、S3に位置決めされ得る。したがって、熱アプリケータ210は、それぞれの量の加熱および冷却を構成要素100の異なる部分、例えば、ベース部分P、翼形部部分P、および/または先端部分Pに適用することができる。動作中、内部204の第1の部分S1内の熱アプリケータ210は、第1の熱処理を構成要素100の選択された部分、例えば、ベース部分Pに適用することができる。第1の熱処理は、構成要素100の選択された部分を第1の温度に加熱することと、第1の時間スパンにわたって第1の温度を維持することと、その後、第1の冷却速度で構成要素100を冷却することとを含み得る。1つの非限定的な例によれば、第1の熱処理は、構成要素を最大摂氏約1100度(℃)の温度に加熱することと、約5時間の時間スパンにわたって温度を維持することと、その後、最大75℃/秒の冷却速度で構成要素を冷却することとを含み得る。連続的または同時に、内部204の第2の部分S2内の熱アプリケータ210は、第2の熱処理を構成要素100の別の選択された部分、例えば、翼形部部分Pに適用することができる。第2の熱処理は、それ自体、選択された部分を第2の温度に加熱することと、第2の時間スパンにわたって第2の温度を維持することと、その後、第2の冷却速度で構成要素100を冷却することとを含み得る。例によれば、第2の熱処理は、構成要素を少なくとも摂氏約1240度(℃)の温度に加熱することと、約3時間の時間スパンにわたって第2の温度を維持することと、その後、最大150℃/秒の冷却速度で構成要素を冷却することとを含み得る。したがって、第1および第2の温度、時間スパン、および冷却速度は、互いに異なる場合があり、構成要素100の各部分P、Pにおいて異なる材料特性を形成する。さらなる例では、本開示の実施形態は、第3の熱処理を構成要素100の別の部分、例えば、先端部分Pに適用するために、内部204の第3の部分S3において熱アプリケータ210を同時および/または連続的に使用することを含み得る。第3の熱処理は、他の熱処理と同様に、その動作パラメータの観点から定義することができる。具体的には、第3の熱処理は、選択された部分を第3の温度(例えば、約1100~1240℃)に加熱することと、第3の時間スパン(例えば、約3~5時間)にわたって第3の温度を維持することと、その後、第3の冷却速度(例えば、毎秒約75℃~毎秒約150℃)で構成要素100を冷却することとを含み得、これらの各々は、第1および第2の熱処理の対応するパラメータとは異なり得る。
【0037】
各熱処理の所望のパラメータからの逸脱を防止するために、システム200は、構成要素100が各熱処理を受けるとき、熱処理の所望のパラメータからの逸脱を防止するように構造化され得る。動作中、内部204の部分S1、S2、S3内の熱アプリケータ210の位置は、各熱処理が、それぞれの領域の外側の構成要素100の部分に実質的に影響を及ぼさないようにし得る。例えば、内部204のそれぞれの部分S1、S2に位置決めされた2つの隣接する熱アプリケータ210は、距離D1-2、例えば、少なくとも50センチメートル離れていてもよい。同様に、内部204のそれぞれの部分S2、S3に位置決めされた2つの隣接する熱アプリケータ210は、距離D2-3、例えば、少なくとも25センチメートル離れていてもよい。異なる部分S1、S2、S3における隣接する熱アプリケータ210間の離間距離は、構成要素100の隣接する部分が隣接する熱処理によって影響を受けるのを防止するのに十分な任意の量であり得る。様々な実施形態によれば、「実質的に影響を及ぼさない」は、材料組成の最大2パーセントが、構成要素100の他の部分に適用される熱処理によって誘発される特性を含む構成要素100の部分として解釈され得る。そのような特性には、本明細書の他の場所で論じられるように、例えば、クリープ抵抗、破壊靭性、析出物の分布などが含まれ得る。「実質的に影響を及ぼさない」という用語はまた、構成要素100の非対象部分に同じ温度変化を引き起こさず、構成要素100の対象部分に所望の温度変化を引き起こす熱処理を指す場合がある。
【0038】
ここで図3図5を共に参照すると、システム200を介して複数の熱処理を構成要素100の異なる部分(例えば、部分P、P、P)に適用することにより、構成要素100の単一のユニットにおいて様々な材料特性をもたらすことができる。図4は、第1の熱処理を適用した後のマイクロメートル(μm)スケールでのベース部分Pの例示的な粒子組成を示し、図5は、第2の熱処理を適用した後のμmスケールでの翼形部部分Pの例示的な粒子組成を示す。図4の例では、第1の温度、加熱時間、および冷却速度を伴う第1の熱処理は、粗い粒子サイズおよび分布を有する材料であり得る。図5の例では、第1の温度よりも大きい第2の温度、第1の冷却速度よりも大きい第2の冷却速度、および第2の加熱時間を伴う第2の熱処理は、より均一な分布に配置された微細な粒子サイズをもたらし得る。そのような例では、構成要素100のベース部分P図4)は、約0.25μm~約0.75μmの平均超合金粒子サイズを特徴とし得る。冶金学では、1μmを超える直径を有するため、粒子サイズは「粗い」と見なされ得る。対照的に、構成要素100の翼形部部分Pは、粗い超合金粒子と「微細な」超合金粒子、すなわち、最大1μmの直径を有するものの組み合わせを特徴とし得る。図5は、粗い直径、例えば、約2μmを有する粒子と、微細な直径、例えば、約0.4μmを有する粒子の組み合わせを示している。構成要素100の翼形部部分P中の粗い超合金粒子は、例えば、材料組成の最大約10パーセントを構成し得る。残りの微細な超合金粒子は、「ガンマプライム相析出物」として公知であり得る。
【0039】
各熱処理から生じる異なる材料特性は、著しく異なる材料特性に関連している可能性がある。適用される熱処理および結果として生じる特性は、特定の構成要素100の様々な部分および/またはサブ構成要素に対するそれらの適合性に基づいて選択され得る。例えば、第2の熱処理を受けた構成要素100の部分は、第1の熱処理および/または他の熱処理を受けた構成要素100の他の部分よりも、クリープ抵抗、すなわち、長期間にわたって加えられる小さな応力およびひずみに耐える能力を特徴とし得る。クリープ抵抗、または「クリープ強度」は、所定の期間、最も頻繁には1万時間または10万時間後に材料が破損する原因となる応力の量(例えば、キロパスカル(kPa)で測定)によって測定および表現することができる。したがって、第2の熱処理は、翼形部部分Pおよび/または流路FP(図2)と流体連通する構成要素100の任意の部分に特に適している場合がある。
【0040】
第1の熱処理を受けた構成要素100の部分は、第2の熱処理を受けたものと比較して、異なる材料の長所および短所を特徴とし得る。例えば、第1の熱処理を受けた構成要素100の部分は、異なるタイプの熱処理を受ける部分の破壊靭性よりも大きい破壊靭性を特徴とし得る。破壊靭性とは、破壊が発生するまでに蓄積され得る材料の靭性を指す。破壊靭性は、例えば、ジュール/平方センチメートル(J/cm)の単位で測定することができ、破壊時に表面積あたりに吸収されるエネルギーの量を指す。第1の熱処理は、他の構成要素、例えば、ロータ12(図1)に取り付けるための結合構成要素など、より高い即時応力および/またはひずみを経験する構成要素100の任意の部分に適し得る。
【0041】
ガンマ相析出物は、合金組成、例えば、ニッケル(Ni)を強化するために使用される金属で構成され得る。ガンマプライム相析出物は、粒子が位置する金属間化合物であり、例えば、超合金材料内の格子面またはエッジである。ガンマプライム相析出物が凝集すると、それらは整列して立方体構造を形成することによって、エネルギー状態を低下させる。そのような構造は、ガンマ相析出物の実質的に均一な分布のない構造と比較して、より大きい破壊靭性を提供し得る。これらの特性を考慮すると、第1および第2の熱処理は、例えば、第1の熱処理が熱処理された材料内にガンマプライム相析出物の均一な分布を生成せず、第2の熱処理が熱処理された材料内にガンマプライム相析出物の均一な分布を生成するという点で異なり得る。例えば、図4のベース部分Pに示すように、ガンマプライム相析出物の均一な分布がないことは、その中の粗い超合金粒子の主な(例えば、50パーセントを超える)濃度のために、より大きい延性を提供することができる。このような特性により、第3の熱処理で処理された材料のクリープ抵抗は、第2の熱処理で処理された材料よりも小さいが、第1の熱処理で処理された材料よりも大きくなり得る。加えて、第3の熱処理で処理された材料は、第1の熱処理で処理された材料よりも低いが、第2の熱処理で処理された材料よりも大きい破壊靭性を特徴とし得る。
【0042】
該当する場合、システム200の第3の熱アプリケータ210は、第3の熱処理を構成要素100の別の部分(例えば、先端部分P、これは先端112、場合によっては、シュラウド114を含み得る)に適用し、第1または第2の熱処理とは異なる材料特性を得ることができる。第3の熱処理は、内部204の一部(例えば、第3の部分S3)を第1の熱処理の温度よりも高い温度に上昇させることと、第1の冷却速度よりも大きいが第2の冷却速度よりも低い冷却速度で第3の部分S3内の構成要素100を冷却することとを含み得る。第3の熱処理は、構成要素100の処理された部分に別個の特性、例えば、ガンマプライム相粒子の不均一な分布を伴う微細な粒子と粗い粒子の混合物を持たせることができる。一例によれば、第3の熱処理が適用される構成要素100の部分は、例えば、20パーセント~約40パーセントの粗い超合金粒子の濃度、および約60パーセント~約80パーセントの微細な超合金粒子の濃度を含むことができる。
【0043】
図6を参照すると、システム200のさらなる実施形態が示されている。システム200のエンクロージャ202は、例えば、環境206から複数の構成要素100を一度に取り囲んでシールするようなサイズの内部204を含み得る。そのような場合、エンクロージャ202は、内部204内に真空または加圧雰囲気を形成することが可能なままであり得る。例として4つの構成要素100が示されているが、エンクロージャ202のサイズに基づいて、任意の可能な数の構成要素100が内部204内に含まれ得る。熱アプリケータ210は、複数の向きから、かつエンクロージャ202の内部204内の複数の場所で、構成要素100と熱連通するように配置され得る。一例では、コントローラ220が、加熱要素212およびその冷却要素214を含む各熱アプリケータ210に結合され、第1、第2、および/または第3の熱処理を複数の構成要素100に適用することができる。さらなる例では、各熱アプリケータ210は、独立しておよび/または手動で動作することができる。そのような熱処理は、各構成要素100およびそれらのそれぞれの部分(例えば、その部分P、P、P)に対して同時に、ならびに/または連続する構成要素100および/もしくはその部分に関して連続的に実施され得る。図6に示されるシステム200の実施形態は、複数の熱処理を単一の構成要素100に適用するように構成された実施形態よりも大きい拡張性を提供し得る。加えて、システム200のエンクロージャ202は、本明細書の他の場所、例えば、図3に関して論じられるように、各熱処理が同じ構成要素100および/または他の構成要素の他の部分に実質的に影響を及ぼさないようなサイズにすることができる。
【0044】
図7は、例えば、いくつかの実施形態におけるコントローラ220の様々な特徴をよりよく例示するために、本開示の実施形態によるシステム200を含む例示的な環境を示す。一実施形態によれば、コントローラ220は、複数の熱処理をワークピースの異なる部分、例えば、構成要素100に適用するために、本明細書に記載の様々なプロセスステップを実施することができるコンピュータインフラストラクチャを含む。特に、コントローラ220のコンピュータインフラストラクチャは、熱処理システム232を備えるコンピューティングデバイス230を含み得、これによりコンピューティングデバイス230は、本開示のプロセスステップを実施することによって、様々な熱処理を構成要素100に適用することができる。
【0045】
コンピューティングデバイス230は、メモリ242と、プロセッサ(PU)236と、入力/出力(I/O)インターフェース240と、バス244とを含むものとして示されている。さらに、コンピューティングデバイス230は、外部I/Oデバイス/リソース246および記憶システム248と通信するように示されている。当技術分野で知られているように、一般に、プロセッサ236は、メモリ242および/または記憶システム248に記憶されている熱処理システム232などのコンピュータプログラムコードを実行する。コンピュータプログラムコードを実行している間に、プロセッサ236は、メモリ242、記憶システム248、および/またはI/Oインターフェース240からの/へのデータ300の読み出しおよび/または書き込みを行ってもよい。データ300は、例えば、様々な熱処理のパラメータを定義するための複数のレシピを含み得る。第1のレシピ302は、第1の熱処理のパラメータ(例えば、第1の加熱温度、第1の温度を保持するための時間スパン、第1の冷却速度など)を定義することができる。データ300の第2のレシピ304は、第2の熱処理のパラメータ(例えば、第2の加熱温度、第2の温度を保持するための第2の時間スパン、第2の冷却速度など)を定義することができる。データ300の第3のレシピ306は、第3の熱処理のパラメータ(例えば、第3の加熱温度、第3の温度を保持するための第3の時間スパン、第3の冷却速度など)を定義することができる。バス244は、コンピューティングデバイス230の構成要素の各々の間の通信リンクを提供する。I/Oデバイス246は、ユーザがコンピューティングデバイス230と相互作用することを可能にする任意のデバイス、またはコンピューティングデバイス230が1つまたは複数の他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする任意のデバイスを備えることができる。入力/出力デバイス(限定はしないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含む)を、直接または介在するI/Oコントローラを通してシステムに結合することができる。
【0046】
いずれにしても、コンピューティングデバイス230は、ユーザがインストールしたコンピュータプログラムコードを実行することが可能な任意の汎用コンピューティング製品(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、ハンドヘルドデバイスなど)を備えることができる。しかし、コンピューティングデバイス230および熱処理システム232は、本開示の様々なプロセスステップを実施し得る、様々な考えられる同等のコンピューティングデバイスの代表的なものにすぎないことが理解される。この点において、他の実施形態では、コンピューティングデバイス230は、特定の機能を実施するためのハードウェアおよび/またはコンピュータプログラムコードを含む任意の特定用途向けコンピューティング製品、特定用途向けおよび汎用のハードウェア/ソフトウェアの組み合わせを含む任意のコンピューティング製品などを備えてもよい。いずれの場合も、プログラムコードおよびハードウェアは、それぞれ標準的なプログラミング技術およびエンジニアリング技術を使用して作成することができる。
【0047】
同様に、コンピューティングデバイス230を備えたコントローラ220は、本開示を実施するための様々なタイプのコンピュータインフラストラクチャの例示にすぎない。例えば、一実施形態では、コンピュータコントローラ220は、本開示の様々なプロセスステップを実施するために、ネットワーク、共有メモリなどの任意のタイプの有線および/または無線通信リンクを介して通信する2つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、サーバクラスタ)を備える。通信リンクがネットワークを備えるとき、ネットワークは、1つまたは複数のタイプのネットワーク(例えば、インターネット、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、仮想専用ネットワークなど)の任意の組み合わせを含むことができる。ネットワークアダプタもまた、介在する専用ネットワークまたは公衆ネットワークを介して、データ処理システムが他のデータ処理システムまたはリモートプリンタもしくは記憶デバイスに結合することができるように、システムに結合することができる。モデム、ケーブルモデム、およびイーサネットカードは、現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのごく一部である。とにかく、コンピューティングデバイス間の通信は、様々なタイプの伝送技術の任意の組み合わせを利用することができる。
【0048】
コントローラ220は、エンクロージャ202、熱アプリケータ210などを制御および/または作用させることによって、本開示に従って様々な方法を実施するための熱処理プログラム250を実行する熱処理システム232を含むことができる。次に、熱処理プログラム250は、様々なモジュール252、例えば、限定はしないが、計算機、決定器、比較器などを含む、異なるアクションを実施するように構成された1つまたは複数のソフトウェア構成要素を含み得る。モジュール252は、例えば、データ300に反映されるような、コントローラ220に結合された熱アプリケータ210に様々なパラメータに従って構成要素100を加熱および冷却させるための、任意の現在知られているまたは後に開発されるアルゴリズムを実装することができる。示すように、コンピューティングデバイス230は、熱アプリケータ210に通信可能に結合され、例えば、データ300において各熱処理についての様々なパラメータによって定義される加熱および冷却を実施することができる。
【0049】
熱処理プログラム250のモジュール252は、場合によっては、計算、ルックアップテーブル、ならびにデータを処理、分析、および操作するためにメモリ242に記憶された同様のツールを使用してそれぞれの機能を実施し、例えば、特定の期間にわたって所望の温度を維持することができる。一般に、プロセッサ236は、メモリ242および/または記憶システム248に記憶することができる、熱処理プログラム250などのコンピュータプログラムコードを実行することができる。したがって、メモリ242および/または記憶システム248は、コントローラ220上のおよび/またはコントローラ220に関連する任意の適切なメモリまたは記憶デバイス(内部、外部、クラウドベースなど)を表すことができる。コンピュータプログラムコードを実行している間に、プロセッサ236は、メモリ242、記憶システム248、および/またはI/Oインターフェース240からの/へのデータの読み出しおよび/または書き込みを行ってもよい。バス244は、コンピューティングデバイス230の構成要素の各々の間の通信リンクを提供することができる。I/Oデバイス246は、ユーザがコンピューティングデバイス230と相互作用することを可能にする任意のデバイス、またはコンピューティングデバイス230が本明細書に記載の機器(例えば、システム200の他の部分)および/もしくは他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする任意のデバイスを備えることができる。
【0050】
本開示の技術的効果は、ワークピース、例えば、ターボ機械構成要素、およびそれに適用される様々な熱処理から生じる様々な特性を有するターボ機械構成要素の熱処理のためのシステムを提供することである。動作中、構成要素の応力および曝露温度は、構成要素全体を通して異なる場合がある。本開示の実施形態は、構成要素の意図される用途に応じて、様々な熱処理を構成要素に適用し、様々な量の破壊靭性およびクリープ抵抗を提供する。本開示の実施形態は、単一のワークピースの異なる領域、例えば、ターボ機械構成要素が、別の領域の即時応力と比較して、ある領域の様々な機械的要因、例えば、機械的クリープにより容易に耐えることを可能にする。したがって、本開示の実施形態はまた、異なる場所で異なる熱処理を受け、したがって異なる場所で異なる材料特性を有する複数の構成要素を含むターボ機械および/または他のデバイスを含む。
【0051】
本開示の利点は、不均一な量のクリープ抵抗および破壊靭性を有する構成要素を得るための単一の熱処理システムを提供し得る。そのようなシステムのコントローラは、様々な熱アプリケータを独立して動作させて異なる量および/または速度の加熱および冷却を適用し、最初は均質な構成要素内に様々な材料特性を作り出すことができる。そのような異なる特性は、場合によっては、ガンマプライム相析出物を含む、材料内の様々な粒子サイズおよび/または相の分布を含み得る。
【0052】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0053】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、および均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、または動作を包含することを意図している。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されており、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。当業者には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく多くの修正および変形が明らかであろう。本開示の原理および実際の用途を最良に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態の本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0054】
10 ターボ機械
12 ロータ
14 シャフト
18 ロータホイール
20 ブレード
21 静的ノズルセクション
22 静止ノズル
24 蒸気
26 入口
100 タービン機械構成要素
102 翼形部部分
104 負圧側面
106 正圧側面
108 前縁
110 後縁
112 先端部分
114 シュラウド
116 ベース部分
118 フィレット
200 システム
202 エンクロージャ
204 内部
206 外部環境
210 熱アプリケータ
212 加熱要素
214 冷却要素
216 冷却流体供給部、冷却ガス供給部
220 コンピュータコントローラ
222 弁
224 第1の通路
226 第2の通路
228 第3の通路
230 コンピューティングデバイス
232 熱処理システム
236 プロセッサ(PU)
240 入力/出力(I/O)インターフェース
242 メモリ
244 バス
246 外部I/Oデバイス、リソース
248 記憶システム
250 熱処理プログラム
252 モジュール
300 データ
302 第1のレシピ
304 第2のレシピ
306 第3のレシピ
A 軸
L0 段
L1 段
L2 段
L3 段
L4 段
S1 第1の部分
S2 第2の部分
S3 第3の部分
1-2 距離
2-3 距離
FP 流路
翼形部部分
ベース部分
先端部分
r 半径方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7