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特許7599949空気圧式アクチュエータ、圧力波発生器および圧力波発生器の動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】空気圧式アクチュエータ、圧力波発生器および圧力波発生器の動作方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20241209BHJP
   F15B 15/22 20060101ALI20241209BHJP
   F16K 31/42 20060101ALI20241209BHJP
   G01V 1/116 20060101ALN20241209BHJP
【FI】
F15B15/14 305
F15B15/22 E
F16K31/42 A
G01V1/116
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2020556299
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019060795
(87)【国際公開番号】W WO2019211204
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】00553/18
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520124822
【氏名又は名称】ピー-ウェイブ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】P-Wave AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100094318
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 行一
(72)【発明者】
【氏名】リュエッグ, ハンス
【審査官】西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-500366(JP,A)
【文献】米国特許第05224392(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/14
F15B 15/22
F16K 31/42
G01V 1/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧式アクチュエータ(4b)を動作させる第1の方法を実施するための空気圧式アクチュエータ(4b)において、
前記空気圧式アクチュエータ(4b)は、
第1容積(41)内のガス状作動媒体に抗して作用する第1ピストン表面(91)であって、前記第1容積(41)内の圧力が、前記第1ピストン表面(91)に第1方向のアクチュエータ力を生じさせる、第1ピストン表面(91)と、
第2容積(42)内で前記ガス状作動媒体に抗して作用する第2ピストン表面(92)であって、前記第2容積(42)内の圧力が、前記第1方向とは反対の第2方向のアクチュエータ力を前記第2ピストン表面(92)に生じさせる、第2ピストン表面と、
を備え、
前記第1の方法は、
・充填弁によって、圧力下にあるガス状作動媒体で前記第1容積(41)を充填するステップと、
・スロットルを介した前記第1容積(41)と前記第2容積(42)との間の圧力補償であって、これにより、前記第1ピストン表面(91)と前記第2ピストン表面(92)との間の表面積差に起因して、前記空気圧式アクチュエータを前記第1方向に移動させるステップと、
・前記ガス状作動媒体の少なくとも一部を前記第1容積(41)から排出するステップと、
・前記第2容積(42)内よりも前記第1容積(41)内のより急速な圧力降下によって、前記空気圧式アクチュエータを前記第2方向に移動させるステップと、
を含み、
圧力下にあるガス状作動媒体で前記第1容積(41)を充填するステップは、充填弁によって行われ、
前記空気圧式アクチュエータ(4b)は、
前記第1容積(41)と前記第2容積(42)との間のスロットルと、
前記第1容積(41)に前記ガス状作動媒体を導入し、前記第1容積(41)から前記ガス状作動媒体を排出するための前記第1容積(41)の入口/出口開口部(45)と、
を備え、
前記第1ピストン表面(91)は、前記第2ピストン表面(92)よりも大きく、
前記充填弁は、前記第1容積(41)を充填するために配置される、空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項2】
ピストン閉鎖要素(95)が、前記入口/出口開口部(45)を閉鎖するために配置される、請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項3】
前記ピストン閉鎖要素(95)は、また、前記第1容積(41)に対してガス状作動媒体充填導管(48:101)を分離するように配置される、請求項2に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項4】
前記第1ピストン表面(91)と前記第2ピストン表面(92)とは、同一のピストン(93)に形成されている、請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項5】
前記第1ピストン表面(91)および前記第2ピストン表面(92)は、別個のピストン(93)上に形成され、それらの運動は互いに機械的に結合される、請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項6】
前記第1ピストン表面(91)と、前記入口/出口開口部(45)を閉鎖するためのピストン閉鎖要素(95)とが、同一ピストン(93)に形成されている、請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項7】
前記入口/出口開口部を開放することによって前記第1容積(41)から前記ガス状作動媒体を急速に排出するためのシリンダ排出弁(46)であって、前記シリンダ排出弁(46)は、
前記ガス状作動媒体に曝されると前記シリンダ排出弁(46)を閉鎖するための力が生じるピストン表面(52)と、
前記ガス状作動媒体に曝されると前記シリンダ排出弁(46)の開放方向の力が生じる弁表面(53)であって、前記ピストン表面(52)よりも小さい弁表面(53)と、
を備える、請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項8】
前記ガス状作動媒体が前記ピストン表面(52)に作用する排出弁容積(51)から前記ガス状作動媒体を排出するための排出パイロット弁(47)を備える、請求項7に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項9】
ガス状作動媒体充填導管(48)が、前記排出弁容積(51)および前記第1容積(41)に同一圧力のガス状作動媒体を充填するために配置される、請求項8に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項10】
前記ガス状作動媒体充填導管(48)の、前記第1容積(41)にガス状作動媒体が供給される区間(101)は、前記シリンダ排出弁(46)を通って延びる、請求項9に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項11】
前記ピストン(93)の直線案内は、前記ピストン(93)が後部閉鎖ガイド(98)を包囲し、前記後部閉鎖ガイドに沿って移動方向に直線的に移動可能であり、前記ピストン(93)から離れる移動方向に延在する中空円筒形のピストン接続要素(94)が、前記後部閉鎖ガイド(98)に締結される軸受要素(14)を包囲し、前記第2容積(42)が、前記ピストン(93)と、前記ピストン接続要素(94)の内側と、前記軸受要素(14)と、前記後部閉鎖ガイド(98)との間に形成される、請求項6に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)。
【請求項12】
主要爆発チャンバ(2)を備えた圧力波発生器(1)を請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)を使用して作動させる第2の方法を動作させるための圧力波発生器(1)において、
前記空気圧式アクチュエータ(4b)は、
第1容積(41)内のガス状作動媒体に抗して作用する第1ピストン表面(91)であって、前記第1容積(41)内の圧力は、前記第1ピストン表面(91)に第1方向のアクチュエータ力を生じさせる、第1ピストン表面(91)と、
第2容積(42)内の前記ガス状作動媒体とは反対に作用する第2ピストン表面(92)であって、前記第2容積(42)内の圧力が、前記第1方向とは反対の第2方向のアクチュエータ力を前記第2ピストン表面(92)に生じさせる、第2ピストン表面(92)と、
を備え、
前記第2の方法は、
・充填弁によって、圧力下にあるガス状作動媒体で第1容積(41)を充填するステップと、
・スロットルを介した前記第1容積(41)と前記第2容積(42)との間の圧力補償ステップであって、これにより、前記第1ピストン表面(91)と前記第2ピストン表面(92)との表面積差に起因して、前記空気圧式アクチュエータを前記第1方向に移動させ、これにより、閉鎖要素(9)を閉鎖方向に移動させ、前記主要爆発チャンバ(2)を閉鎖する、圧力補償ステップと、
・前記主要爆発チャンバ(2)に爆発性混合物を充填するステップと、
・前記主要爆発チャンバ(2)内で爆発を点火し、前記第1容積(41)の入口/出口開口部を開放することによって、前記ガス状作動媒体の少なくとも一部を前記第1容積(41)から排出し、これによって前記主要爆発チャンバ(2)を開放するステップと、
・前記第2容積(42)内よりも前記第1容積(41)内のより急速な圧力降下によって、前記空気圧式アクチュエータを前記第2方向に移動させ、これによって、出口(15)に対して前記主要爆発チャンバ(2)を開放するために閉鎖要素を前記開放方向に移動させ、爆発ガスを、前記出口(15)を通して前記主要爆発チャンバ(2)から排出するステップと、
を繰り返して実行し、
前記圧力波発生器(1)は、
主要爆発チャンバ(2)と、
閉鎖位置において前記主要爆発チャンバ(2)を前記出口に対して閉鎖し、開放位置において前記主要爆発チャンバ(2)から前記出口への爆発ガスの流れを可能にする閉鎖要素(9)と、
前記主要爆発チャンバ(2)内の爆発を点火する点火手段と、
請求項1に記載の空気圧式アクチュエータ(4b)と、
を有し、
前記閉鎖要素(9)は、前記空気圧式アクチュエータ(4b)によって、前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させることができ、特に前記開放位置から前記閉鎖位置に移動させることもできる、圧力波発生器(1)。
【請求項13】
前記圧力波発生器(1)は、前記主要爆発チャンバ(2)内の圧力が所定の閾値を超えたときに前記閉鎖要素(9)の開放移動を作動させるように設計された制御部(20)を備える、請求項12に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項14】
前記点火手段は、エネルギを絶えず供給することができる点火手段である、請求項13に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項15】
前記圧力波発生器(1)は、前記閉鎖要素(9)の開放移動を作動させ、前記開放移動の発動後の設定可能な点火遅延時間の完了後に、前記主要爆発チャンバ(2)内の爆発を点火するように設計された制御部(20)を備える、請求項12に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項16】
前記点火手段は、火花発生点火手段である、請求項15に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項17】
空気圧式アクチュエータ(4b)を動作させる方法において、
前記空気圧式アクチュエータ(4b)は、
第1容積(41)内のガス状作動媒体に抗して作用する第1ピストン表面(91)であって、前記第1容積(41)内の圧力が、前記第1ピストン表面(91)に第1方向のアクチュエータ力を生じさせる、第1ピストン表面(91)と、
第2容積(42)内で前記ガス状作動媒体に抗して作用する第2ピストン表面(92)であって、前記第2容積(42)内の圧力が、前記第1方向とは反対の第2方向のアクチュエータ力を前記第2ピストン表面(92)に生じさせる、第2ピストン表面と、
を備え、
前記方法は、
・圧力下にあるガス状作動媒体で前記第1容積(41)を充填するステップと、
・スロットルを介した前記第1容積(41)と前記第2容積(42)との間の圧力補償であって、これにより、前記第1ピストン表面(91)と前記第2ピストン表面(92)との間の表面積差に起因して、前記空気圧式アクチュエータを前記第1方向に移動させるステップと、
・前記ガス状作動媒体の少なくとも一部を前記第1容積(41)から排出するステップと、
・前記第2容積(42)内よりも前記第1容積(41)内のより急速な圧力降下によって、前記空気圧式アクチュエータを前記第2方向に移動させるステップと、
を含み、
圧力下にあるガス状作動媒体で前記第1容積(41)を充填するステップが、充填弁によって行われる、方法。
【請求項18】
主要爆発チャンバ(2)を備えた圧力波発生器(1)を、空気圧式アクチュエータ(4b)を使用して作動させる方法において、
前記空気圧式アクチュエータ(4b)は、
第1容積(41)内のガス状作動媒体に抗して作用する第1ピストン表面(91)であって、前記第1容積(41)内の圧力は、前記第1ピストン表面(91)に第1方向のアクチュエータ力を生じさせる、第1ピストン表面(91)と、
第2容積(42)内の前記ガス状作動媒体とは反対に作用する第2ピストン表面(92)であって、前記第2容積(42)内の圧力が、前記第1方向とは反対の第2方向のアクチュエータ力を前記第2ピストン表面(92)に生じさせる、第2ピストン表面(92)と、
を備え、
前記方法は、
・圧力下にあるガス状作動媒体で第1容積(41)を充填するステップと、
・スロットルを介した前記第1容積(41)と前記第2容積(42)との間の圧力補償ステップであって、これにより、前記第1ピストン表面(91)と前記第2ピストン表面(92)との表面積差に起因して、前記空気圧式アクチュエータを前記第1方向に移動させ、これにより、閉鎖要素(9)を閉鎖方向に移動させ、前記主要爆発チャンバ(2)を閉鎖する、圧力補償ステップと、
・前記主要爆発チャンバ(2)に爆発性混合物を充填するステップと、
・前記主要爆発チャンバ(2)内で爆発を点火し、前記ガス状作動媒体の少なくとも一部を前記第1容積(41)から排出し、これによって前記主要爆発チャンバ(2)を開放するステップと、
・前記第2容積(42)内よりも前記第1容積(41)内のより急速な圧力降下によって、前記空気圧式アクチュエータを前記第2方向に移動させ、これによって、出口(15)に対して前記主要爆発チャンバ(2)を開放するために閉鎖要素を前記開放方向に移動させ、爆発ガスを、前記出口(15)を通して前記主要爆発チャンバ(2)から排出するステップと、
を繰り返して実行し、
圧力下にあるガス状作動媒体で前記第1容積(41)を充填するステップが、充填弁によって行われる、方法。
【請求項19】
前記主要爆発チャンバ(2)内の爆発の点火は、前記主要爆発チャンバの開放前に行われ、前記主要爆発チャンバを開放するために、前記主要爆発チャンバ(2)内の圧力が測定され、前記圧力が所定の閾値を超えるとすぐに前記主要爆発チャンバ(2)の開放が作動される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記主要爆発チャンバ(2)における爆発の点火は、前記主要爆発チャンバの開放後に行われ、ここで、前記主要爆発チャンバ(2)の開放が最初に作動され、所定の点火遅延時間の完了後に前記主要爆発チャンバにおける爆発が点火される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
補助爆発チャンバ(3)と、前記補助爆発チャンバ(3)から主要爆発チャンバ(2)へ爆発を導くための点火導管(8)とを追加で備える圧力波発生器(1)であって、点火導管(8)に点火導管弁(7)が配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項22】
前記点火導管弁(7)は、電気的に作動される弁である、請求項21に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項23】
前記点火導管弁(7)は、前記閉鎖要素(9)の移動によって機械的に作動可能である、請求項21に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項24】
前記点火導管弁(7)の要素は、前記閉鎖要素(9)の一部によって形成されるか、または前記閉鎖要素(9)に固定的に接続される、請求項21に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項25】
前記閉鎖要素(9)は、点火導管(8)として作用するか又は前記点火導管(8)の一部である開口部又は凹部を含み、前記開口部は、前記閉鎖位置から前記開放位置への前記閉鎖要素(9)の移動によって解放可能である、請求項24に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項26】
前記閉鎖要素(9)は、前記補助爆発チャンバ(3)内での爆発によって前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させることができる、請求項21に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項27】
前記補助爆発チャンバ(3)内の爆発を活性化するための火花発生点火手段と、前記補助爆発チャンバ(3)を充填するための第2充填導管(13)とを備え、前記第2充填導管(13)は前記点火導管(8)と同一ではない、請求項26に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項28】
前記補助爆発チャンバ(3)内で爆発を引き起こすために、エネルギを永続的に供給することができる点火手段を備え、前記点火導管(8)が、前記主要爆発チャンバ(2)から前記補助爆発チャンバ(3)を充填するように配置される、請求項26に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項29】
前記閉鎖要素(9)は、それ自体のアクチュエータによって前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させることができる、請求項21に記載の圧力波発生器(1)。
【請求項30】
主要爆発チャンバ(2)と補助爆発チャンバ(3)とを有する請求項21に記載の圧力波発生器(1)を動作させる方法において、
・前記主要爆発チャンバ(2)及び前記補助爆発チャンバ(3)のそれぞれに爆発性混合物を充填するステップと、
・前記補助爆発チャンバ(3)内で爆発を点火するステップと、
・前記補助爆発チャンバ(3)から点火導管(8)を通して前記爆発を導くステップであって、この導くステップが点火導管弁(7)によって中断される、ステップと、
・出口(15)に対して閉鎖要素(9)を開放することによって前記主要爆発チャンバ(2)を開放するステップと、
・前記点火導管弁(7)を開放し、これによって前記爆発を前記主要爆発チャンバ(2)内に導き、前記主要爆発チャンバ(2)内で爆発を点火するステップと、
・前記出口(15)を介して前記主要爆発チャンバ(2)から爆発ガスを排出するステップと、
を含み、これらのステップを繰り返して実行する、方法。
【請求項31】
主要爆発チャンバ(2)および補助爆発チャンバ(3)を有する請求項21に記載の圧力波発生器(1)を動作させる方法において、
・前記主要爆発チャンバ(2)に爆発性混合物を充填するステップと、
・閉鎖要素(9)を開放方向に移動させるステップと、
・前記閉鎖要素(9)を移動させることによって点火導管弁(7)を開放し、これによって前記爆発性混合物を前記主要爆発チャンバ(2)から前記補助爆発チャンバ(3)内に導くステップと、
・前記補助爆発チャンバ(3)内で爆発を点火するステップと、
・前記補助爆発チャンバ(3)から点火管(8)を介して前記主要爆発チャンバ(2)に爆発を導くステップと、
・前記閉鎖要素(9)を開放方向にさらに移動させて、閉鎖要素(9)を開放することによって出口(15)に対して前記主要爆発チャンバ(2)を開放し、爆発ガスを、前記出口(15)を通して前記主要爆発チャンバ(2)から排出するステップと、
を含み、これらのステップを繰り返して実行する、方法。
【請求項32】
補助爆発チャンバ(3)内での爆発の点火が、常にエネルギを供給できる点火手段を介して生じる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記充填弁は、加圧空気弁(49)である、請求項17に記載の方法。
【請求項34】
前記ガス状作動媒体の少なくとも一部を前記第1容積(41)から排出するステップは、前記第1容積(41)の入口/出口開口部を開放することによって行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項35】
空気圧式アクチュエータ(4b)を作動させる方法において、前記空気圧式アクチュエータ(4b)は、
第1容積(41)内のガス状作動媒体に抗して作用する第1ピストン表面(91)であって、前記第1容積(41)内の圧力は、前記第1ピストン表面(91)に第1方向のアクチュエータ力を生じさせる、第1ピストン表面(91)と、
第2容積(42)内の前記ガス状作動媒体とは反対に作用する第2ピストン表面(92)であって、前記第2容積(42)内の圧力が、前記第1方向とは反対の第2方向のアクチュエータ力を前記第2ピストン表面(92)に生じさせる、第2ピストン表面(92)と、
を備え、
前記方法は、
・充填弁によって、圧力下にあるガス状作動媒体で第1容積(41)を充填するステップと、
・スロットルを介した前記第1容積(41)と前記第2容積(42)との間の圧力補償ステップであって、これにより、前記第1ピストン表面(91)と前記第2ピストン表面(92)との表面積差に起因して、前記空気圧式アクチュエータを前記第1方向に移動させる、圧力補償ステップと、
・前記ガス状作動媒体の少なくとも一部を前記第1容積(41)から排出するステップと、
・前記第2容積(42)内よりも前記第1容積(41)内のより急速な圧力降下によって、前記空気圧式アクチュエータを前記第2方向に移動させるステップと、
を含み、
前記充填弁および入口/出口開口部のみで、前記空気圧式アクチュエータの前後の運動を実現する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に記載の、爆発、特に高強度の圧力衝撃を発生させるための空気圧アクチュエータ、装置、および方法に関する。特に、本発明は、独立請求項の前文に記載の圧力波発生器及び圧力波発生器を動作させる方法に関する。
【0002】
国際公開第2007/028264号、特に国際公開第2010/025574号に記載されているような圧力波発生器では、互いに分離されたチャンバ内で補助爆発および主要爆発が点火される。補助爆発は、直接的な方法で、または他のラッチ/バー機構を介して、主要爆発チャンバの閉鎖を解放する役割を果たし、その結果、後続の主要爆発は、十分な力で閉鎖に作用せず、したがって、これを損なうか、または損傷させる。したがって、補助爆発と主要爆発との間に爆発遅延が生じる。このような遅延は、例えば、補助チャンバから主要チャンバに爆発が導かれる遅延導管によって、またはチャンバ内に存在する別個の点火装置を介して両方のチャンバ内での遅延点火によって生じる。
【0003】
前述の2つの文献WO2007/028264およびWO2010/025574は、点火および爆発遅延の構造および設計に関して、ならびに圧力波発生器の例示的な実施形態および機能する方法に関して言及されている。
【0004】
特に、文献WO2010/025574の圧力波発生器では、補助爆発チャンバおよび主要爆発チャンバは、可動ピストンを介して互いに密封される。ピストンはさらに、主要爆発チャンバ内で生成される圧力波のための排出開口部を閉鎖する。圧力波発生器の補助爆発チャンバおよび主要爆発チャンバは、爆発の点火直前に、典型的には過圧で、爆発性ガス混合物が充填される。補助爆発チャンバおよび主要爆発チャンバにおけるガス爆発により、1000バールまでの非常に高い圧力および4000℃までの温度が生じる。一般に、圧力は500バールより高く、温度は2000℃より高い。
【0005】
一方では、主要爆発チャンバがあまりに早く開放されないようにするために(さもなければ爆発エネルギを最適に利用することができず)、他方では、あまりに遅く開放されないようにするために(これにより装置を破壊する可能性がある)、開放は非常に迅速に生じされるべきである。このため、ピストンの迅速な開放を可能にするが、圧力波発生器に関して生じるような、支配的な条件、動作周波数および力に対処することができるアクチュエータが必要である。
【0006】
したがって、本発明の可能な目的は、圧力波発生器と共に使用するのに適し、これらの要求を少なくとも部分的に満たす空気圧式アクチュエータを提供することである。
【0007】
主要爆発チャンバにおける点火は、補助爆発チャンバから到来する点火プラグまたは点火導管によって生じさせることができる。しかしながら、点火プラグに関しては、これが主要爆発チャンバ内の爆発によって大きな負荷がかかるという問題、および/または特定のガス-空気混合物、例えばメタン-空気混合物を高圧で全く点火することができないという問題が存在する。点火導管の場合、特定の状況下では、特に長い点火導管において、これは可燃性ガス(例えば、メタン、エタンなど)または酸化剤(例えば、酸素、空気など)でのみ充填することができるので、爆発をさらに導くことができないという問題がある。
【0008】
本発明の別の課題は、主要爆発チャンバにおける爆発点火の改善された制御を可能にする、冒頭に述べた形式の圧力波発生器および圧力波発生器の動作方法を提供することである。
【0009】
別の可能な目的は、補助爆発チャンバと主要爆発チャンバとの間の改良されたシールを実現する前述のタ形式の圧力波発生器を提供することである。
【0010】
これらの目的の少なくとも一つは、特許請求の範囲に記載の空気圧式アクチュエータ、圧力波発生器、または空気圧式アクチュエータもしくは圧力波発生器を動作させる方法によって達成される。
【0011】
本発明の第1態様によると、特に第2態様による圧力波発生器で使用するための空気圧式アクチュエータにおいて、
【0012】
・第1容積内のガス状作動媒体に抗して作用する第1ピストン表面であって、第1容積内の圧力が、第1ピストン表面に第1方向のアクチュエータ力を生じさせる、第1ピストン表面、
【0013】
・第2容積内で作動媒体に抗して作用する第2ピストン表面であって、第2容積内の圧力が、第1方向とは反対の第2方向のアクチュエータ力を第2ピストン面に生じさせる、第2ピストン表面
【0014】
・第1容積と第2容積との間のスロットル
【0015】
・作動媒体を第1容積にもたらし、第1容積から排出するための第1容積の入口/出口開口部
【0016】
・第1ピストン表面は、第2ピストン表面よりも大きい。
【0017】
実施形態において、空気圧式アクチュエータは、特に入口/出口開口部を閉鎖することによる最終位置減衰を含む。したがって、これにより、入口/出口開口部は、第1容積に対して閉鎖される。
【0018】
実施形態において、ピストン閉鎖要素は、入口/出口開口部を閉鎖するために配置される。これにより、最終位置減衰は、ピストン自体の要素によって簡単に実現することができる。
【0019】
空気圧式アクチュエータを動作させる方法では、以下のステップが実行される。
【0020】
・特に充填弁、例えば加圧空気弁によって、加圧されたガス状作動媒体で第1容積を充填するステップ
【0021】
・スロットルを介した第1容積と第2容積との間の圧力補償であって、これにより、第1ピストン面と第2ピストン面との間の表面積差に起因して、アクチュエータを第1方向に移動させる圧力補償
【0022】
・特に入口/出口開口部を開放することによって、作動媒体の少なくとも一部を第1容積から排出するステップ
【0023】
・第2容積よりも第1容積におけるより急速な圧力降下によって、アクチュエータを第2方向に移動させるステップ
【0024】
したがって、単純な手段(充填弁および入口/出口開口部のみ)で、アクチュエータの前後の運動を実現することができる。これは、一方ではピストン表面間の表面積差の結果であり、他方では2つの容積間の絞りの結果である。
【0025】
入口/出口開口部は、第1容積内の急速な圧力降下を生じさせるために、比較的大きく設計することができる。
【0026】
実施形態において、ピストン閉鎖要素も、作動媒体充填導管を第1容積に対して分離するように配置される。これにより、充填導管内の高圧衝撃を回避することができる。
【0027】
実施形態において、2つの容積は、シリンダの共通の作動空間の一部として実現され、その中に単一のピストンが配置され、そのピストン上に2つのピストン表面が形成される。
【0028】
ここで、(現在は共通の)シリンダに対するピストンの密封は重要ではない。ピストンとシリンダとの間に間隙が存在してもよい。これは、2つの容積間の絞りの機能を有する。したがって、この間隙を介して圧力補償が行われる。これにより、設計のさらなる簡略化が可能である。したがって、この実施形態におけるスロットルは、シリンダとピストンとの間の間隙よって形成される。この場合、ピストンの通常の密封は不要である。
【0029】
他の実施形態において、2つの容積およびピストン表面は、別個のシリンダ内の別個のピストン上に載り、2の別個のピストンは、機械的に結合され、本書では、それらの運動も結合される。
【0030】
前方に引かれた部品の端部
【0031】
実施形態において、第1ピストン表面およびピストン閉鎖要素は、同一ピストン上の入口/出口開口部を閉鎖するように設計される。これにより、特に単純で信頼性のある設計が可能である。
【0032】
実施形態において、空気圧式アクチュエータは、入口/出口開口部を開放することによって第1容積から作動媒体を急速に排出するためのシリンダ排出弁を備える。シリンダ排出弁は、作動媒体を受けるとシリンダ排出弁を閉鎖する力が生じるピストン表面と、作動媒体を受けるとシリンダ派出弁の開放方向の力が生じる弁表面とを備え、弁表面はピストン表面よりも小さい。これにより、2つの表面が同じ圧力を受けることによって、シリンダ排出弁を閉鎖位置にもたらし、そこに保持することができる。
【0033】
実施形態において、空気圧式アクチュエータは、作動媒体を排出弁容積から排出するための排出パイロット弁を備え、作動媒体は、ピストン表面に作用する。これにより、圧力の短時間の一時的な非平衡を2つの表面上に生成されることができ、これによりシリンダ排出弁が開放される。
【0034】
実施形態において、排出弁容積ならびに第1容積を同一圧力の作動媒体で充填するための作動媒体充填導管が設けられる。これにより、一方では、2つの容積内で同一圧力を達成することができ、他方では、スロットルとして作用する2つの容積間の充填導管によって一時的な非平衡を実現することができる。
【0035】
作動媒体内の圧力は、例えば50バール~100バールである。
【0036】
実施形態において、第1容積に作動媒体が供給される作動媒体充填導管の区間は、シリンダ排出弁、特に弁の遮断体を通って延びる。例えば、この区間は、弁の併催位置において弁を通る小さい貫流も可能にする遮断体の通路である。
【0037】
実施形態において、作動媒体充填導管の、第1容積に作動媒体が供給される区間は、圧力波発生器のハウジングを通って延びる。
【0038】
実施形態において、ピストンの直線案内は、後部閉鎖ガイドを包囲し、後部閉鎖ガイドに沿って移動方向に直線的に移動可能であるピストンと、後部閉鎖ガイドに締結される軸受要素を包囲し、ピストンから離れる移動方向に延在する中空円筒形ピストン接続要素とによって形成される。ここで、第2容積は、ピストンと、ピストン接続要素の内側と、軸受要素と、後方閉鎖ガイドとの間に形成される。典型的には、後部閉鎖ガイドは、ハウジングに固定的に接続される。
【0039】
これにより、中空円筒形ピストン接続要素の延長として、中空円筒形要素を駆動することができ、これは一定の用途において有利である。これは、例えば、中空円筒形閉鎖要素を有する後述の圧力波発生器の場合である。
【0040】
圧力波発生器であって、主要爆発チャンバと、閉鎖位置において出口に対して主要爆発チャンバを閉鎖し、開放位置において主要爆発チャンバから出口への爆発ガスの流れを可能にする閉鎖要素と、主要爆発チャンバ内の爆発を点火するための点火手段とを備える。ここで、圧力波発生器は、特に上述したような空気圧式アクチュエータを備え、空気圧式アクチュエータを用いて、閉鎖要素を閉鎖位置から開放位置に移動させることができ、特に開放位置から閉鎖位置に移動させることもできる。これにより、爆発及び対応する圧力波を繰り返し発生させることができる圧力波発生器が実現される。
【0041】
実施形態において、圧力波発生器は、主要爆発チャンバ内の圧力が所定の閾値を超えたときに閉鎖要素の開放移動を作動させるように設計された制御部を備える。これにより、主要爆発チャンバの開口部を、爆発の伝播速度に影響を及ぼす条件の変化に自動的に適合させることができる。点火と最大爆発圧力との間の持続時間が既知である場合、主要爆発チャンバの開放は、一定の開放遅延時間後に生じさせることもできる。この場合、圧力測定を省略することができる。この用途は、爆発が比較的ゆっくりと伝播する条件に対して提供され、したがって、開放移動は点火後に開始することができる。
【0042】
実施形態において、点火手段は、エネルギを絶えず供給することができる点火手段、特にグロープラグである。したがって、主要爆発チャンバにおける爆発の点火は、この点火手段またはグロープラグによって生じる。これにより、ガス混合物の圧力、温度及び組成に応じたガス混合物の自発的な発火が生じる。
【0043】
したがって、実施形態において、圧力波発生器は、主要爆発チャンバ内で爆発を能動的に点火するように設計または自発的な発火時点を検出するように設計された制御部を備え、制御部は、点火後の設定可能な点火遅延時間の完了後に、閉鎖要素の開放移動を作動させるようにさらに設計される。
【0044】
実施形態において、圧力波発生器は、閉鎖要素の開放移動を発動し、開放移動の発動後の設定可能な点火遅延時間の完了後に、主要爆発チャンバ内の爆発を点火するように設計された制御部を備える。この用途において、爆発が比較的迅速に伝播するので、開放移動が点火前に既に開始することになる条件に対して想定される。この場合、主要爆発チャンバにおける爆発の点火は、点火プラグによって生じさせることができる。
【0045】
実施形態において、点火時間、すなわち、点火と主要爆発チャンバ内の最大圧力に達するまでの時間は、30msから150ms範囲にある。
【0046】
実施形態において、例えば排出電磁弁を発動させることによる閉鎖要素の開放移動の発動と、閉鎖要素の最大開放との間の持続時間は、20msから60msの範囲にある。
【0047】
主要爆発チャンバを有する圧力波発生器を作動させる方法は、空気圧式アクチュエータを使用して生じ、空気圧式アクチュエータは、以下を備える。
【0048】
・第1容積内のガス状作動媒体に抗して作用する第1ピストン表面であって、第1容積内の圧力が、第1ピストン表面に第1方向のアクチュエータ力を生じさせる、第1ピストン表面
【0049】
・第2容積内で作動媒体に抗して作用する第2ピストン表面であって、第2容積内の圧力が、第1方向とは反対の第2方向のアクチュエータ力を第2ピストン面に生じさせる、第2ピストン表面
【0050】
この方法は、以下のステップを繰り返して実行する。
【0051】
a)特に充填弁、例えば加圧空気弁を介して、圧力下にあるガス状作動媒体で第1容積を充填するステップ
【0052】
b)絞りを介した第1容積と第2容積との間の圧力補償ステップであって、これにより、第1ピストン表面と第2ピストン表面との表面積の差に起因して、アクチュエータを第1方向に移動させ、これにより閉鎖要素を閉鎖方向に移動させ、主要爆発チャンバを閉鎖する、圧力補償ステップ
【0053】
c)主要爆発チャンバに爆発性混合物を充填するステップ
【0054】
d)主要爆発チャンバ内で爆発を点火し、特に第1容積の入口/出口開口部を開放することによって、作動媒体の少なくとも一部を第1容積から排出するステップ
【0055】
e)第2容積内よりも第1容積内の圧力降下がより急速であることにより、アクチュエータを第2方向に移動させ、これにより、主要爆発チャンバを出口に対して開放するために閉鎖要素を開放方向に移動させ、爆発ガスを出口を通して主要爆発チャンバから排出するステップ
【0056】
ステップa)、b)、c)は、同時にまたは時間的に重複して行うことができる。ステップd)は、典型的には、ステップa)、b)、c)の後に行われる。ステップd)とともに、入口/出口開口部の開口部によって発動される主要爆発チャンバの開口部は、ステップe)に直接結合する。
【0057】
実施形態において、主要爆発チャンバ内の爆発の点火は、主要爆発チャンバの開放前に実行され、主要爆発チャンバを開放するために、主要爆発チャンバ内の圧力が測定され、圧力が所定の閾値を超えるとすぐに主要爆発チャンバの開放が発動される。
【0058】
実施形態において、主要爆発チャンバの爆発の点火は、主要爆発チャンバの開放後に実行され、主要爆発チャンバの開放が最初に発動され、所定の点火遅延時間の完了後に主要爆発チャンバの爆発が点火される。
【0059】
本発明の第2態様によれば、請求項22の特徴を有する圧力波発生器が提供される。
【0060】
したがって、圧力波発生器は、主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバを備える他、
【0061】
・閉鎖位置において主要爆発チャンバを出口に対して閉鎖し、開放位置において主要爆発チャンバから出口への爆発ガスの流れを可能にする閉鎖要素
【0062】
・補助爆発チャンバから主要爆発チャンバに爆発を導く点火導管であって、点火導管内に点火導管弁が配置されるもの
【0063】
を含む。
【0064】
したがって、点火導管弁は、補助爆発チャンバから主要爆発チャンバへの、爆発への導管を遮断または解放する働きをする。
【0065】
これにより、主要爆発チャンバにおける爆発が開始される時点を制御することができる。特に、これにより、主要爆発チャンバへの爆発の伝達を遅らせることができる。これにより、点火導管を比較的短く設計することができ、そして、これにより、長い点火導管が一つのガスのみで充填されるので、爆発性混合物で充填されないという問題を解消することができる。10cmの長さの点火導管であっても、この問題は、最初に点火導管を通って伝播するのではなく、封入されたガスが点火導管から排出後にのみ、爆発に導くことができる。
【0066】
実施形態において、点火導管弁は、電気的に発動される弁である。電気的に作動する弁は、電磁石(電磁弁)によって作動させることができる。弁は、直接的に、または空気圧パイロット弁を介して間接的に電気的に作動させることができる。
【0067】
これにより、一定の限度内で、主要爆発チャンバ内の爆発時点の自由な選択が可能である。点火導管弁は、爆発時点を決定し、点火導管は、爆発を伝達し、主要爆発チャンバ2内で点火するためのエネルギを提供する。
【0068】
実施形態において、点火導管弁は、閉鎖要素の運動によって機械的に発動可能である。点火導管弁は、機械的に作動される弁である。「発動可能」とは、閉鎖要素の移動が点火導管弁の開放および/または閉鎖を生じさせることを意味する。これにより、主要爆発チャンバにおける点火の遅延を簡単な手段で生じさせることができる。
【0069】
さらに、点火導管弁の開放が閉鎖要素の開放に確実に結合されることを保証することができ、その結果、主要爆発は、閉鎖要素が既に開放されているときにのみ作動することができる。これは、安全性に関連する態様であり、閉鎖要素の開放に対する主要爆発チャンバ内の点火の、そのような正の依存性が存在しない場合、制御の誤差は、閉鎖要素が開放されずに主要爆発が起動されることになり得る。これは、次に、主要爆発チャンバの圧力強度に対して非常に高い要求を生じる。
【0070】
実施形態において、点火導管弁の要素は、閉鎖要素の一部によって形成されるか、または閉鎖要素に固定的に接続される。これにより、点火導管弁の機械的実現が可能になり、この実現は、追加の可動部品をほとんど有さないので、誤動作を起こしにくい。
【0071】
実施形態において、閉鎖要素は、点火導管として作用または点火導管の一部である開口部を備え、その開口部は、閉鎖位置から開放位置への閉鎖要素の移動によって解放可能である。これにより、点火導管弁の特に簡単な実現が可能である。
【0072】
従って、この開口部又は凹部は、点火導管弁、特にスライダ弁の一部としても作用する。開口部又は凹部は、主要爆発チャンバと補助爆発チャンバとの間の閉鎖要素の壁を貫通する通路を形成することができる。これに代えて又は加えて、閉鎖要素の壁の表面に凹部を形成することができ、この凹部は、閉鎖要素の開放移動が与えられると、主要爆発チャンバと補助爆発チャンバとの間の接続を形成する。
【0073】
実施形態において、閉鎖要素は、補助爆発チャンバ内の爆発によって閉鎖位置から開放位置にもたらされる。これにより、簡単な手段、すなわち点火導管及び点火導管弁を介して、主要爆発チャンバ内の爆発に伴う閉鎖要素の移動の同期化が可能である。
【0074】
実施形態において、圧力波発生器は、補助爆発チャンバの爆発を引き起こす火花発生点火手段、特に点火プラグと、補助爆発チャンバを充填する第2充填導管とを備えるが、第2充填導管は点火導管と同一ではない。これにより、補助爆発チャンバは、特に点火導管弁が閉鎖している間、充填中に存在する主要爆発チャンバに直接接続することなく充填することができる。
【0075】
火花発生点火手段は、断続的に(電気)エネルギを供給され、これによって、特に混合ガスを点火するための火花を発生する。
【0076】
スパーク発生点火手段は、補助爆発を作動させるために、補助爆発チャンバの充填中にはエネルギが供給されないが、充填後に初めてエネルギが供給される。
【0077】
特に、本発明の第2態様による、主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバを備えた圧力波発生器の動作方法では、次のステップを実行することができる。
【0078】
・主要爆発チャンバ及び補助爆発チャンバにそれぞれ爆発性混合気体を充填するステップ
【0079】
・特に火花発生点火手段を用いて補助爆発チャンバで爆発を点火するステップ
【0080】
・補助爆発チャンバから点火導管を通して爆発を導くステップであって、この導くステップが、点火導管弁によって遮断される、ステップ
【0081】
・閉鎖要素を開放することによって主要爆発チャンバを出口に対して開放するステップ
【0082】
・点火導管弁を開放し、これにより、主要爆発チャンバに爆発を導き、主要爆発チャンバで爆発を点火するステップ
【0083】
・主要爆発チャンバの出口から爆発ガスを排出するステップ
【0084】
実施形態において、圧力波発生器は、補助爆発チャンバの爆発を点火するための、充填後に常にエネルギを供給することができる点火手段、特にグロープラグであって、点火導管が主要爆発チャンバから補助爆発チャンバを充填するように配置されている点火手段を備える。「常にエネルギを供給することができる」が意味することは、点火手段は、点火プラグのように、衝撃的にのみエネルギが供給されることはないが、連続的にエネルギを供給することができ、例えば、数秒又は数分以上の供給時間中に加熱可能であることである。これにより、それを加熱し、動作温度に維持することができる。例えば、供給時間または加熱時間は、少なくとも5秒または少なくとも10秒または少なくとも30秒または少なくとも1分でもよい。
【0085】
点火手段には、主要爆発チャンバの充填後にエネルギを供給することができ、これによって、典型的には800℃を超える、または約1000℃もしくは1300℃までの高い動作温度にすることができるが、点火手段は依然として爆発性混合物と接触している。点火導管の開放時に初めて、爆発ガス混合物が主要爆発チャンバから点火導管を通って補助爆発チャンバに流入し、グロープラグとの接触時に点火される。この場合、補助爆発チャンバは比較的小さく設計することができる。特に、それは、グロープラグのグロー要素が配置される短いパイプ区域のみを備えることができる。
【0086】
本発明の第2態様による、主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバを有する圧力波発生器の動作のための別の方法では、以下のステップを実行することができる。
【0087】
・主要爆発チャンバに爆発性混合物を充填するステップ
【0088】
・閉鎖要素を開放の方向に移動させるステップ
【0089】
・特に閉鎖要素を移動させることによって点火導管弁を開放し、これによって爆発性混合物を主要爆発チャンバから補助爆発チャンバに導くステップであって、補助爆発チャンバは、点火手段の加熱要素が配置される空間のみを含むことができる、ステップ
【0090】
・補助爆発チャンバ内で、特に、常にエネルギを供給される点火手段を用いて爆発を点火するステップ
【0091】
・補助爆発チャンバから点火管を介して主要爆発チャンバに爆発を導くステップ
【0092】
・閉鎖要素を開放することによって出口に対して主要爆発チャンバを開放するために閉鎖要素を開放方向にさらに移動させ、出口を通して主要爆発チャンバから爆発ガスを排出するステップ
【0093】
実施形態において、閉鎖要素は、それ自体のアクチュエータ、特に空気圧アクチュエータによって、閉鎖位置から開放位置にもたらされる。これにより、主要爆発及び閉鎖要素の開放移動の独立した作動を実現することができる。
【0094】
また、これによっても、高エネルギを用いて主要爆発を点火するためにのみ補助爆発が使用され、閉鎖要素を駆動するためには使用されないことによって、補助爆発チャンバの密封を比較的簡単に設計することができる。
【0095】
上述の装置および方法に共通するのは、点火導管を介して、点火プラグまたはグロープラグによって作動される補助爆発チャンバ内の爆発を介して、主要爆発チャンバ内の爆発が、主要爆発チャンバ内の急速な爆発または爆轟を直ちにもたらすような高エネルギによって発動可能であるという点である。点火プラグによる主要爆発チャンバ内での点火は、ガス混合物に応じて、最初にゆっくりとした爆発を導く。
【0096】
これにより、比較的弱い爆発性のガス混合物を使用することができる。例えば、プロパンガス等の流体ガスを用いることができる。これは、その取り扱いにおいてより安全であり、例えば天然ガスまたはエタンよりも厳しくない規制規定に従う。
【0097】
本発明の第1態様による空気圧式アクチュエータは、一つの主要爆発チャンバのみを有する圧力波発生器と共に、または第2態様による圧力波発生器と共に、または主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバと共に、または他の用途で使用することができる。
【0098】
実施形態において、閉鎖要素は、移動方向に移動可能であり、少なくとも一つの平面が存在し、前記平面は、移動方向に直交し、補助爆発チャンバおよび主要爆発チャンバと交差する。これにより、主要爆発チャンバと補助爆発チャンバとの間に良好な密封を実現することができる。装置のコンパクトな構造も実現できる。これにより、比較的小さい質量を有する閉鎖要素を実現することもできる。
【0099】
補助爆発チャンバに対する主要爆発チャンバの前述の配置は、実施形態において、点火導管を有することなく、さらに、点火導管弁を有することなく、実現することもできる。本発明の第3態様によれば、以下の特徴を有する圧力波発生器が提供される。
【0100】
主要爆発チャンバと補助爆発チャンバとを有する圧力波発生器であって
【0101】
・閉鎖位置において、主要爆発チャンバを出口に対して閉鎖し、開放位置において主要爆発チャンバから出口への爆発ガスの流れを可能にする閉鎖要素であって、
【0102】
・閉鎖要素は、補助爆発チャンバ内の爆発によって閉鎖位置から開放位置にもたらせることができる。
【0103】
・閉鎖要素は、移動方向に移動可能であり、少なくとも一つの平面が存在し、前記平面は、移動方向に直交し、補助爆発チャンバおよび主要爆発チャンバと交差する。
【0104】
実施形態において、この少なくとも一つの平面で考えると、補助爆発チャンバは、閉鎖要素によって主要爆発チャンバから分離される。これにより、特に単純な設計と、二つの爆発チャンバ間の良好な密封とを実現することができる。さらに、閉鎖要素を通る点火導管の配置、およびスライダ弁の一部としての閉鎖要素の機能が、ここで可能である。
【0105】
実施形態において、爆発が補助爆発チャンバから主要爆発チャンバに伝播することができる単一の接続部は、ガススプリングを通って延びている。これは、ガススプリングのガスまたは作動媒体が爆発の伝播を止めることを意味する。
【0106】
互いに分離された一つ又は複数の主要爆発チャンバと、互いに分離された一つ又は複数の補助爆発チャンバとが存在し得る。主要爆発チャンバは、複数の補助爆発チャンバに割り当てることができ、逆もまた同様であり、または主要爆発チャンバは正確に一つの補助爆発チャンバに割り当てることができる。
【0107】
実施形態において、主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバは、互いに同心円状に配置される。
【0108】
ここで、主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバは、環状または円環体状に(torus-shaped)設計することができる。特に、主要爆発チャンバは、少なくとも閉鎖要素の移動方向に延びる部分において、補助爆発チャンバを包囲することができる。
【0109】
主要爆発チャンバと補助爆発チャンバは、移動方向に対して対称に配置される。
【0110】
実施形態において、主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバは、移動方向に対して回転対称に配置される。
【0111】
ここで、主要爆発チャンバおよび補助爆発チャンバは、単一のチャンバとして、または幾つかのチャンバとして、少なくとも圧力波発生器の円周に沿って考慮される扇形内に存在することができる。
【0112】
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項から導かれる。ここで、方法クレームの特徴は、適切な場合、装置クレームと組み合わせることができ、逆もまた同様である。
【0113】
以下、添付の図面に示される好ましい実施形態によって、本発明の主題を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1図1は、圧力波発生器を通る縦断面を示す。
図2図2は、圧力波発生器を通る横断面を示す。
図3図3は、他の実施形態を通る縦断面を示す。
図4図4は、更なる実施形態の縦断面の一区間を示す。
図5図5は、更なる実施形態を通る縦断面を示す。 なお、図中、基本的に同一の部分には同一の符号を付している。
【0115】
【発明の詳細な説明】
【0116】
図1及び図2は、主要爆発チャンバ2及び補助爆発チャンバ3を有する圧力波発生器1を示す。主要爆発チャンバ2を出口15に対して閉鎖する閉鎖要素9が配置されている。閉鎖要素9は、主要爆発チャンバ2を出口15に対して開放するために、補助爆発チャンバ3内の爆発によって駆動される。ガススプリング4は、閉鎖要素9の、この開放移動を制動するように構成されている。このような圧力波発生器1の基本的な機能は、冒頭に引用されたWO2007/028264およびWO2010/025574に説明されている。
【0117】
閉鎖要素9は、閉鎖要素9の直線的な開閉運動を可能にする軸受要素14上で案内される。閉鎖要素9は、中空円筒状に成形され、ハウジング16に固定的に接続された軸受要素14を取り囲む。二重矢印によって表される移動方向は、典型的には、圧力波発生器1の縦方向に等しく、爆発ガスが出口15から流出する流出方向にも等しい。図1は、閉鎖位置にある閉鎖要素9を示し、すなわち、主要爆発チャンバ2は、出口15に対して閉鎖されている。
【0118】
出口15は、爆発ガスの方向付けられた排出または導出に役立つ。これにより圧力波を生成することができる。
【0119】
第1充填導管12は主要爆発チャンバ2を充填するために配置され、第2充填導管13は補助爆発チャンバ3を充填するために配置されている。第2充填導管13は、軸受要素14を通って補助爆発チャンバ3に導かれる。2つの充填導管は、図示のように、燃料弁10又は酸化剤弁11を通って共通に送ることができる。あるいは、充填導管および爆発チャンバの各々は、個々の燃料弁または酸化剤弁によって送ることができるので、それぞれ他の充填導管および爆発チャンバとは独立して送ることができる。
【0120】
2つの爆発チャンバは、互いに別々に充填することができる。例えば、ここでは、燃焼ガスを最初に比較的低い圧力、例えば2バールで充填し、続いて酸化剤、例えば空気を高い圧力、例えば20バールで充填することができる。
【0121】
補助爆発チャンバ3を点火するための点火プラグ5は、軸受要素14内に配置される。このために、図1の実施形態によれば、点火プラグ5は、(典型的には装置の縦軸の方向に)対称軸の区域の中心に配置され、接続開口部6を通って補助爆発チャンバ3に接続できる。
【0122】
補助爆発チャンバ3内の爆発に対して遅れて主要爆発チャンバ2内の爆発を点火するために、点火導管8が存在する。図1には、点火導管8の2つの変形例が描かれており、圧力波発生器1の実現においては、通常、1つのみが存在する。
【0123】
・点火導管8は、閉鎖要素9の開口部として実現することができ、この開口部は、閉鎖要素9の開放移動が与えられると解放される。これは、閉鎖要素9と圧力波発生器1の別の部分との相互作用によって生じさせることができる。ここで、これは、実施例として、軸受要素14であり、これは、閉鎖要素9とともに、点火導管弁7としてスライダ弁71を形成し、スライダ弁71は、軸受要素14に沿って移動される閉鎖要素9によって開放する。
【0124】
・点火導管は、その上に配置された点火導管弁7を有する導管8'(破線で示す)として実現することができる。これは、電磁弁72または一般に電気的に作動される弁でもよい。
【0125】
図示されていない実施形態によれば、点火導管弁7は、閉鎖要素9の開放移動時に機械的に発動される。このために、機械的な伝達装置を存在させてもよい。これは、点火導管弁7の開放が、設定に応じて、閉鎖要素9の異なる位置で行われるように調整可能でもよい。ここで、点火導管弁7の開放は、閉鎖要素9の開放に確実に結合できるので、主要爆発は、閉鎖要素9が既に開放されているときにのみ発動される。
【0126】
点火導管弁7の存在によって、補助爆発チャンバ3から主要爆発チャンバ2への爆発の伝達時点を制御することができる。
【0127】
図2は、少なくとも閉鎖要素9の移動方向に延在する区間において、補助爆発チャンバ3を径方向に取り囲み、閉鎖要素9によって補助爆発チャンバから分離される主要爆発チャンバ2の同心配置を示す。
【0128】
閉鎖要素9は、軸受要素14を取り囲み、補助爆発チャンバ3は、閉鎖要素9と軸受要素14との間に形成される。閉鎖要素9を移動方向に沿って変位させると、補助爆発チャンバ3の容積が変化する。この変位によって同様に変化するガススプリング4の体積は、閉鎖要素9とハウジング16との間に形成される。ガススプリング4は、補助爆発チャンバ3から主要爆発チャンバ2への爆発の伝播に対するブロックとしても作用する。
【0129】
図3は、別の実施形態による圧力波発生器1を示す。主要爆発チャンバ2、閉鎖要素9、点火導管弁7またはスライダ弁71、点火導管8および出口15の要素の機能する方法は、図1の実施形態と本質的に同じである。
【0130】
しかしながら、補助爆発チャンバ3は、閉鎖要素9を駆動するためには配置されず、補助爆発を発生させるためだけに配置される。補助爆発のエネルギは、閉鎖要素9の開放移動によるスライダ弁71の解放後に、主要爆発チャンバ2内の爆発の点火を引き起こす。
【0131】
閉鎖要素9の開放移動は、能動ガススプリングまたは空気圧式アクチュエータ4bによって生じる。これは、内部で移動されるピストン93を有する円筒形の作業空間43を備え、その移動は、特に互いに固定して接続されることによって、特に単一部品の様式で、閉鎖要素9の移動に連結される。図3および図5の実施形態において、結合は、ピストン接続要素94によって生じる。これは、図3ではピストンロッドであり、図5では中空シリンダである。
【0132】
ピストン93は、作動空間43を第1容積41と第2容積42とに分割する。作動空間43のシリンダ内壁44とピストン93との間にはシールは存在しない。特に、以下でピストン間隙96と呼ばれる小さな間隙も存在し得る。これは、2つの容積間のガス交換を可能にし、ここでは特にスロットルとして作用する。他の実施形態において、第1容積41と第2容積42との間に別個の導管を配置することができ、この導管は、ピストン間隙96に加えて又はこれに代えて、ガス交換を可能にするスロットルを備えることができる。ピストンスロットル10のようなスロットルは、また、ピストン93を通る一つ又は複数のボアによって実現でき、これは同様に、2つの容積間のガス交換を可能にする。
【0133】
第1容積41内の作動媒体のガス圧は、閉鎖要素9の開放移動の方向とは反対の力を生じさせ、この場合、有効表面[積]は第1ピストン表面91である。
【0134】
第2容積42内の作動媒体のガス圧は、閉鎖要素9の開放移動の方向に力を生じさせ、ここで有効な表面積は、第2ピストン表面92である。
【0135】
ここで、第2ピストン表面92は、第1ピストン表面91よりも小さく、例えば、少なくとも5または10または20パーセント小さい。
【0136】
ピストン93は、ピストン閉鎖要素95を備え、このピストン閉鎖要素は、開放移動の過程で、第1容積41のシリンダ入口/出口45または入口/出口開口部を閉鎖する。シリンダ入口/出口45は、ここでは、作動空間43に対して同心円状に描かれているが、代替的に、横方向に配置することもできる。
【0137】
開放移動の制動又は最終位置減衰は、シリンダ入口/出口の閉鎖によって生じる。同時に、加圧空気弁49は、加圧空気充填導管48を介した圧力衝撃からも保護される。
【0138】
シリンダ入口/出口45は、シリンダ排出弁46によって開放可能である。作動媒体は、例えば、排出又は通気導管102を通って流れる。シリンダ排出弁46は、充填導管と比較して、比較的大きな弁横断面を有することができる。これにより、第1容積41内の急激な圧力低下を実現することができる。シリンダ排出弁46は、加圧空気充填導管48内の圧力によって閉鎖状態に保持される。この圧力は、排出パイロット弁47を開放することによって減少させることができる。したがって、閉鎖要素の開放移動は、排出パイロット弁の開放によって発動される。
【0139】
シリンダ排出弁46は、一実施例として、可動遮断体を有するシート弁である。遮断体は、ピストン表面52を備え、ピストン表面には、排出弁容積51内の加圧空気充填導管48からの加圧空気が衝突する。シリンダ入口/出口45内の圧力を受ける弁表面53は、ピストン表面52より小さい。ピストン表面52と弁表面53とに作用する力は互いに反対である。排出パイロット弁47が閉鎖されると、2つの表面におけるガス圧は同じであり、ピストン表面52にかかる力は弁表面53にかかる力よりも大きく、これは、遮断体又はシリンダ排出弁46は閉鎖位置に保持されることを意味する。
【0140】
加圧空気充填導管48は、加圧空気充填導管48の区間101を介して、第1容積41にも送る。加圧空気充填導管48は、加圧空気弁49を介して送られる。
【0141】
通気導管97は、周囲空気と中間シリンダとの間の圧力補償を生じさせる。中間シリンダは、閉鎖要素9の後端と活性ガススプリングまたは空気圧式アクチュエータ4bとの間にある。
【0142】
図3の実施形態の変形例において、作動空間43およびピストン93は、コンパクトに実現される。しかしながら、同様の機能は、別個の第1容積および第2容積、ならびに異なるピストン表面積を有する別個のピストンによっても実現することができる。ここで、スロットルを有する導管は、2つの容積間に配置され、2つのピストンの動きは機械的に結合される。これは、2つのピストンの一方の直線運動が、常に他方のピストンの直線運動も引き起こすことを意味する。
【0143】
図3及び他の図の実施形態において、ピストン経路は、例えば、20mm~150mm、特に30mm~80mmとすることができる。ピストンの直径は、例えば20mm~200mm、特に40mm~120mmとすることができる。
【0144】
図3は、圧力波発生器1と組み合わせた空気圧式アクチュエータ4bを示す。しかしながら、空気圧式アクチュエータ4bは、他の用途にも使用することができる。このために、ピストンロッド94を、別の要素に結合することができ、またはピストンロッドの動きを、別の要素の動きに結合することができる。
【0145】
図4は、図3の実施形態の変形である別の実施形態による圧力波発生器1の詳細を示す。主要爆発チャンバ2、閉鎖要素9、点火導管弁7またはスライダ弁71、点火導管8、出口15、および空気圧式アクチュエータ4bの要素の機能する方法は、図3の実施形態と本質的に同一である。
【0146】
この変形例において、補助爆発チャンバ3は、個別の充填導管13を有していない。それは比較的小さく設計されている。点火プラグ5の代わりに、それは、グロープラグを備えている。圧力波発生器1の動作時に、これは、点火時点で供給されるだけでなく、一定の方法で供給することができ、すなわち、永続的に、またはより長時間、例えば、数秒または数分にわたって発光することができる。これにより、主要爆発チャンバ2内で急速に伝播する爆発または爆裂(detonation)を引き起こすために、高温を有することができ、これにより再び十分なエネルギをガス混合物に導入することができる。ガス混合物および圧力に応じて、これは点火プラグでは不可能であるが、最初に燃焼を活性化するだけであり、これは一定時間(例えば30 - 50ms)後にのみ爆発を導く。主要爆発チャンバ2内での点火は、主要爆発チャンバ2の充填後にグロープラグにエネルギを供給すること、その作動温度にグロープラグをもたらすことによって生じる。これは、数秒、例えば5秒または10秒続く。閉鎖要素9の開放移動によって、スライダ弁71が点火導管8を解放すると、爆発性ガス混合物が主要爆発チャンバ2から補助爆発チャンバ3内に流入し、加熱されたグロープラグに接触する。これにより、補助爆発チャンバ3内で点火管8を介して主要爆発チャンバ2内でも爆発が引き起こされる。閉鎖要素9の開放移動は、既に上述したように、空気圧式アクチュエータ4bによって生じる。
【0147】
この変形例の動作において、以下の方法ステップを実行することができる。
【0148】
・排出パイロット弁47が閉鎖している場合、加圧空気弁49を開放する。これは、以下の効果を有する。加圧空気充填導管48内の圧力(例えば、70バール)がシリンダ排出弁46を閉鎖する。第1容積41は、加圧空気充填導管48を通して加圧空気にさらされるか、または加圧空気が衝突する。第2容積42もピストン間隙96を通ってさらされ、時間と共に両容積内に同じ圧力が存在する。第1ピストン表面91が第2ピストン表面92よりも大きいので、ピストン93、ひいては閉鎖要素9は、(開放移動の方向とは反対の)閉鎖位置に移動させられる。
【0149】
・加圧空気弁49を閉鎖する。閉鎖要素9は閉鎖位置に残る。
【0150】
・燃料弁10および酸化剤弁11を開放し、これによって主要爆発チャンバ2を充填し、実施形態によっては補助爆発チャンバ3も充填する。ここで、最初に燃料弁10を開放して酸化剤弁11を閉鎖し、制御された量の燃料を第1圧力で導入することができる。次いで、閉鎖した燃料弁10が与えられると、酸化剤弁11を開放することができ、ある量の酸化剤をより高い第2圧力まで導入することができる。酸化剤および燃料の量の割合は、第1圧力および第2圧力の比によって調節することができる。一般的には、燃焼又は爆発時の化学反応に応じた化学量論の比として選択される。例えば、プロパンは燃料として使用でき、空気は酸化剤として使用でき、量比または圧力比は1:15から1:24である。
【0151】
・次の2つの方法の変形例のうちの一つ(詳細は後述)。
【0152】
・点火プラグ5を発動させ、その後、開放移動を発動させること、更に、点火導管弁7を開放させ、主要爆発チャンバ2内の爆発を引き起こすことによって、補助爆発チャンバ3内で補助爆発を引き起こすこと
【0153】
・あるいは:開放移動を発動させ、これにより、点火導管弁7を通ってグロープラグに達する混合ガスによる主要爆発チャンバ2内の爆発を後で引き起こすこと
【0154】
・いずれの場合も、開放移動の発動は、シリンダ排出弁46を開放することによって生じ、特に、排出パイロット弁47を開放し、加圧空気充填導管48内の圧力を低下させることによって生じさせることができる。第1容積41内の圧力は、シリンダ排出弁46の開放によって低下する。第2容積42内の圧力も同様に低下するが、ピストン間隙96の絞り効果のために、第1容積41内よりもゆっくりと低下する。これにより、第2ピストン表面82に対する力は、第1ピストン表面91に対する力よりも大きくなる。これは、ピストン93の運動、したがって閉鎖要素9の開放移動を生じさせる。
【0155】
・ピストン93または閉鎖要素9が停止する前に、ピストン閉鎖要素95はシリンダ入口/出口45を閉鎖する。第1容積41内に残る空気は圧縮され、ピストン93及び閉鎖要素9の動きを制動する。加圧空気弁49が圧力ピークによって荷重がかかることを防止する。
【0156】
・爆発ガスは、閉鎖要素9によって解放された開口部から流出する。
【0157】
・特に排出パイロット弁47を閉鎖することによって、シリンダ排出弁46を閉鎖する。これはピストン表面によって生じさせることができるが、このピストン表面を介して、加圧空気充填導管48内の加圧空気が、加圧空気がシリンダ排出弁46又はその遮断体に対して反対方向に作用する表面よりも大きい、シリンダ排出弁46又はその遮断体を閉鎖位置に押し付ける。シリンダ遮断弁46の閉鎖後、第2容積42との圧力補償後にピストン93を後退させ、これにより閉鎖要素9を閉鎖位置にもたらすために、第1容積41内の圧力は、依然として十分に高い(例えば20バール)。
【0158】
・その後、この方法は、加圧空気弁49の開放から再び開始することができる。
【0159】
上述の方法の変形例は、点火プラグまたはグロープラグを有する装置の変形例である。相違点は、以下の点にある。
【0160】
・点火プラグを有する変形例では、補助爆発チャンバ3内の点火は、開放移動の発動前、例えば50ms前に生じる。この時点で、十分なエネルギを有する爆発が補助爆発チャンバ3内で発生しており、それにより、開放移動による点火導管弁7またはスライダ弁71の開放の過程で、主要爆発チャンバ2内で必要な急速な爆発を引き起こす。
【0161】
・グロープラグを備えた変形例において、点火導管弁7又はスライダ弁71を開放したときにガス混合物がグロープラグに流れる場合、これは、主要爆発チャンバ2内での急速な爆発に十分なエネルギを既にもたらすことができる。
【0162】
両方の変形例において、導入された点火エネルギのおかげで、それは、爆発が主要爆発チャンバ2内で伝播するまで(例えば約2ms)しか続かない。開放移動が既に行われている間に、主要爆発チャンバ2内に爆発圧力が高まって行く。主要爆発チャンバ2と出口15との間の閉鎖要素9の開口も最大になる時点で爆発圧力が最大になるとき、ガス流の最大エネルギが出口15に生じる。
【0163】
他の実施形態において、点火プラグ5またはグロープラグ5bは、ガス混合物に点火するために、または主要爆発チャンバ2内で爆発を引き起こすために配置される。これらの実施形態には、特に、補助爆発チャンバ3および点火導管82がない。主要爆発チャンバ2内での爆発の点火は、制御部20によって、閉鎖要素の開放方向への移動と同期される。ここで、主要爆発チャンバ2内で爆発が伝播し、主要爆発チャンバ2内の圧力が上昇する速度に応じて、閉鎖要素9の移動は、主要爆発チャンバ2内での点火の前または後に生じさせることができる。
【0164】
例えば、主要爆発チャンバ2内の爆発は、比較的ゆっくりと伝播することができる。ある状況下での開放は、点火後まで生じない。詳細には、本書において、主要爆発チャンバ(2)を有する圧力波発生器(1)を動作させるために、例示的な以下のステップが繰り返し実行される。
【0165】
・主要爆発チャンバ(2)に爆発性混合物を充填するステップ
【0166】
・主要爆発チャンバ(2)内で爆発を点火するステップ
【0167】
・主要爆発チャンバ(2)内の圧力を測定し、圧力が所定の閾値を超えるとすぐに、特に空気圧アクチュエータ、特に本書に記載の空気圧アクチュエータ(4b)によって、主要爆発チャンバ(2)の開口を発動させるステップ
【0168】
・空気圧アクチュエータ(4b)によって、出口(15)に対して主要爆発チャンバ(2)を開放するための開放方向に閉鎖要素(9)を移動させ、出口(15)を通して主要爆発チャンバ(2)から爆発ガスを排出するステップ
【0169】
・空気圧アクチュエータ(4b)によって閉鎖要素(9)を閉鎖方向に移動させることによって主要爆発チャンバ(2)を閉鎖するステップ
【0170】
あるいは、爆発が主要爆発チャンバ2内で比較的急速に伝播する場合、ある状況下では、点火前に開口を既に発動させることができる。詳細には、本書において、主要爆発チャンバ(2)を有する圧力波発生器(1)を動作させるために、例示的な以下のステップが繰り返し実行される。
【0171】
・主要爆発チャンバ(2)に爆発性混合物を充填するステップ
【0172】
・閉鎖要素(9)を、特に空気圧アクチュエータ、特に本書に記載の空気圧アクチュエータ(4b)によって開放方向に移動させるステップ
【0173】
・所定の点火遅延時間の完了後に、主要爆発チャンバ(2)内で爆発を点火するステップ
【0174】
・閉鎖要素(9)を開放の方向に更に移動させて、主要爆発チャンバ(2)を出口(15)に対して開放し、爆発ガスを出口(15)を通して主要爆発チャンバ(2)から排出するステップ
【0175】
・空気圧アクチュエータ(4b)によって閉鎖要素(9を閉鎖方向に移動させることによって主要爆発チャンバ(2)を閉鎖するステップ
【0176】
爆発が比較的ゆっくりと伝播するか又は急速に伝播するかは、とりわけ、適用される爆発性(ガス)混合物、その圧力及び温度、並びに適用される点火手段グロー(プラグ又はスパークプラグ)等に依存する。
【0177】
空気圧式アクチュエータ4bを使用すると、上述のように、開放方向への閉鎖要素の移動は、第2方向への空気圧式アクチュエータの移動によって生じる。閉鎖方向における閉鎖要素の移動は、第1方向における空気圧式アクチュエータの移動によって生じる。
【0178】
図5は、一つの主要爆発チャンバ2のみを有するので、補助爆発チャンバ3および点火導管8を有しない実施形態を示す。図5はまた、図3のものとは異なる代替の空気圧式アクチュエータ4bを示す。図5に示されている完全な空気圧式アクチュエータ、または例えば個々の要素のみが示されている。
【0179】
・ピストンスロットル100、および/または
【0180】
・ピストン接続要素94として、ピストンロッドの代わりに中空シリンダを有する閉鎖要素9、および/または
【0181】
・加圧空気充填導管の区域101を有するシリンダ排出弁46は、例えば図3に示すような補助爆発チャンバ3を有する圧力波発生器1と組み合わせることができる。
【0182】
機能する方法は、基本的に図3の実施形態のものと同じであるが、個々の要素の実現において以下の違いがある。
【0183】
ピストン93を閉鎖要素9に接続するピストン接続要素94は、中空シリンダによって形成される。ピストン93は、一般的なシリンダ、特に円形シリンダとして設計することができ、これに沿って移動方向に直線的に移動可能な後部閉鎖ガイド98を包囲する。ピストン接続要素94は、ハウジング16に固定的に接続された軸受要素14を取り囲む。第2容積42は、後部閉鎖ガイドとピストン93と中空シリンダまたはピストン接続要素94の内側との間にある。
【0184】
第1容積41と第2容積42との間の絞りは、ピストン93を貫通する一つ以上のボアによってピストン絞り100として実現される。しかし、追加または代替で、ピストンスロットルの機能は、ピストン93と後部閉鎖ガイド98との間の間隙によっても引き受けることができる。
【0185】
第1容積41に作動媒体が供給される加圧空気充填導管48の区域101は、ハウジング16を貫通するのではなく、例えばボアとしてのシリンダ排出弁46の遮断体を貫通し、シリンダ排出弁46のピストンスロットルと呼ぶこともできる。したがって、第1容積41には、排出弁容積51を介して作動媒体が供給される。
【0186】
最終位置減衰なしで済ますことができる。図5の実施形態において、最終位置減衰が実現される場合、これは、図3のように、シリンダ入口/出口45内に移動する突出閉鎖要素95によって、またはシリンダ入口/出口45が第1容積41内に横方向に導かれ、開放移動が与えられると、シリンダ入口/出口45上を摺動するピストン93による閉鎖によって、生じさせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5