(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】販売支援装置、その制御プログラム及び販売支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20241209BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2021004307
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宮城 大輔
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-162244(JP,A)
【文献】特開2019-150123(JP,A)
【文献】特開2018-206372(JP,A)
【文献】特開2006-350751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列部に陳列される商品の重量を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測される前記商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得する減少量取得手段と、
前記陳列部の位置を基準として定められたエリア内を撮影する第1カメラと、
前記第1カメラで撮影された画像に基づいて、前記陳列部の位置を基準として定められた前記エリア内に居る客を追跡する追跡手段と、
前記陳列部の開口面及び前記開口面より外側の空間を撮影する第2カメラと、
前記商品を取り出した取出者の候補となっている前記追跡手段により追跡された前記エリア内に居る客の中で、前記第2カメラで撮影された画像に基づいて、
前記陳列部内に客が手を伸ばす行動を監視し、前記重量が減少方向に変化した商品を前記陳列部から取り出した客を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された
客である前記追跡手段により追跡された前記客の識別情報と、前記減少量取得手段により取得した前記減少量に基づく前記商品の販売に係る情報とを、前記販売に係る情報を前記客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置に出力する出力手段と、
を具備する販売支援装置。
【請求項2】
前記計測手段により計測される前記商品の重量が増加方向に変化した場合にその増加量を取得する増加量取得手段と、
前記増加量が不当である場合に警報する警報手段と、
をさらに具備し、
前記増加量の不当は、前記計測手段により計測された前回の前記商品の重量が減少していないにも拘わらず前記計測手段により計測される前記商品の重量が増加方向であること、又は、前記計測手段により計測される前記商品の重量が前記計測手段により計測された前回減少した前記商品の重量よりも大きい増加方向であること、である、
請求項1記載の販売支援装置。
【請求項3】
前記増加量取得手段により取得した前記増加量が不当ではない場合に、前記重量が増加方向に変化した商品を前記陳列部に戻した客を特定する第2特定手段、
をさらに具備し、
前記出力手段は、前記第2特定手段により特定された前記客の識別情報と、前記増加量取得手段により取得した増加量に基づく前記商品の取り消しに係る情報とを、前記販売管理装置に出力する、
請求項2記載の販売支援装置。
【請求項4】
販売支援装置が実行する販売支援方法であって、
陳列部に陳列された商品の重量を計測する計測手段により計測される前記商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得し、
前記陳列部の位置を基準として定められたエリア内を撮影する第1カメラで撮影された画像に基づいて、前記陳列部の位置を基準として定められた前記エリア内に居る客を追跡し、
前記商品を取り出した取出者の候補となっている前記追跡された前記エリア内に居る客の中で、前記陳列部の開口面及び前記開口面より外側の空間を撮影する第2カメラで撮影された画像に基づいて、
前記陳列部内に客が手を伸ばす行動を監視し、前記重量が減少方向に変化した商品を前記陳列部から取り出した客を特定し、
前記特定された
客である前記追跡された前記客の識別情報と、前記減少量に基づく前記商品の販売に係る情報とを、前記販売に係る情報を前記客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置に出力する、
販売支援方法。
【請求項5】
コンピュータを、
陳列部に陳列された商品の重量を計測する計測手段により計測される前記商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得する減少量取得手段、
前記陳列部の位置を基準として定められたエリア内を撮影する第1カメラで撮影された画像に基づいて、前記陳列部の位置を基準として定められた前記エリア内に居る客を追跡する追跡手段、
前記商品を取り出した取出者の候補となっている前記追跡手段により追跡された前記エリア内に居る客の中で、前記陳列部の開口面及び前記開口面より外側の空間を撮影する第2カメラで撮影された画像に基づいて、
前記陳列部内に客が手を伸ばす行動を監視し、前記重量が減少方向に変化した商品を前記陳列部から取り出した客を特定する特定手段、及び、
前記特定手段により特定された
客である前記追跡手段により追跡された前記客の識別情報と、前記減少量取得手段により取得した減少量に基づく前記商品の販売に係る情報とを、前記販売に係る情報を前記客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置に出力する出力手段、
として機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売支援装置、その制御プログラム及び販売支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の店舗内における行動からその消費者が購入した商品を自動で登録することで、会計時の商品登録を不要にした店舗システムが種々提案されている。その1つとして、棚から商品が取り出された際にその棚に近くで商品を取り出す行動をした消費者を当該商品の購買者として特定する店舗システムがある。例えばコンビニエンスストア、小規模な売店等でこの種の店舗システムを導入することにより、無人店舗化を図ることができる。
この種の店舗システムでは、誰がどの商品を購入したかは特定できる。しかしながら、どの程度の量を購入したかまでは特定できない。このため、単位重量当たりの単価が定められた量り売り商品の販売には対応していなかった。例えば無人店舗向けに、量り売り商品の販売を支援する技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、量り売り商品の販売を支援することができる販売支援装置、その制御プログラム及び販売支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
販売支援装置は、計測手段と、減少量取得手段と、特定手段と、出力手段と、を備える。計測手段は、陳列部に陳列される商品の重量を計測する。減少量取得手段は、計測手段により計測される商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得する。特定手段は、重量が減少方向に変化した商品を陳列部から取り出した客を特定する。出力手段は、特定手段により特定された客の識別情報と、減少量取得手段により取得した減少量に基づく商品の販売に係る情報とを、販売に係る情報を客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る陳列什器の外観を模式的に示す斜視図。
【
図2】陳列什器の要部回路構成と、店舗システムの概略構成とを表したブロック図。
【
図3】ユーザインタフェースユニットの要部回路構成を示すブロック図。
【
図4】商品監視ユニットの要部回路構成を示すブロック図。
【
図5】商品管理データベースに含まれるデータレコードの構成を模式的に示す図。
【
図6】メイン処理ユニットの要部回路構成を示すブロック図。
【
図7】追跡データベースに含まれるデータレコードの構成を模式的に示す図。
【
図8】会員管理データベースに含まれるデータレコードの構成を模式的に示す図。
【
図9】追跡エリア内におけるエリアの設定状況を表す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、棚型の陳列什器を用いる店舗システムを例に説明する。さらには、店舗システムは、店舗に陳列される量り売り商品を客が購入する取引を処理する例を説明する。
【0008】
図1は本実施形態に係る陳列什器110の外観を模式的に示す斜視図である。
陳列什器110は、量り売り商品の販売を支援する販売支援装置の一例である。陳列什器110は、棚1を主体とする。棚1は、量り売り商品に特化した棚である。棚1は、一面を開口した中空の直方体をなす。棚1は、複数の棚板11、複数のキャスタ12、複数のハンドル13及び支持部材14を含む。
【0009】
棚板11は、内部空間に取り付けられている。棚板11の数及び位置は任意であるが、
図1では3つとした例を示す。棚板11上には、図示のように量り売り商品を収容した容器が陳列される。かくして棚1は、量り売り商品を陳列するための陳列部となる。
キャスタ12は、棚1の底部に取り付けられている。このキャスタ12により陳列什器110は、床上を容易に移動させることが可能である。
ハンドル13は、棚1の開口面に直交する2つの側壁外面にそれぞれ取り付けられている。ハンドル13は、陳列什器110を移動させる際に作業者により把持される。ハンドル13の数及び位置は任意である。また、ハンドル13は、無くてもよい。
支持部材14は、棚1の天板外面に、上方に突出する状態で取り付けられている。支持部材14は、2つの追跡カメラ2、監視カメラ3及びプロジェクタ4を支持する。
【0010】
2つの追跡カメラ2は、後述する購買エリア、検出エリア、予備エリア及び確認エリアを内包する撮影エリア内に存在する人物を撮影する。2つの追跡カメラ2が、それぞれに撮影エリア内を撮影するのでもよいし、撮影エリア内の一部のエリアは1つの追跡カメラ2のみで撮影するのでもよい。追跡カメラ2は、いずれか一方のみであってもよいし、別の1つ又は複数の追跡カメラ2が追加して設けられてもよい。追跡カメラ2の位置も任意である。追跡カメラ2により撮影された画像は、人物の追跡のために利用される。この追跡に関しては後述する。追跡カメラ2としては、光学カメラ、赤外線カメラ、TOF(time of flight)カメラ、ステレオカメラ等の周知のカメラデバイスを用いることができる。追跡カメラ2としては、TOFカメラ又はステレオカメラ等、被写体までの距離を計測するのに適するカメラデバイスが好適である。
【0011】
監視カメラ3は、棚1の開口面及び当該開口面よりも棚1の外側の空間を撮影する。監視カメラ3により撮影された画像は、棚1内に人物が手を伸ばす行動を監視するために利用される。この監視に関しては後述する。監視カメラ3としては、光学カメラ、赤外線カメラ、TOFカメラ、ステレオカメラ等の周知のカメラデバイスを用いることができる。監視カメラ3としては、TOFカメラ又はステレオカメラ等、被写体までの距離を計測するのに適するカメラデバイスが好適である。
プロジェクタ4は、床面に任意の画像を投影する。
図1に示される線PL及び文字PCは、プロジェクタ4により投影された画像に含まれる。なお、線PLで表される範囲に相当する大きさのマットを敷くなどの措置を講じることを前提に、プロジェクタ4を省略することも可能である。
【0012】
棚1の開口面の両側端には、ユーザインタフェースユニット(以下、UIユニットと称する)5がそれぞれ取り付けられている。UIユニット5は、タッチパネル51及びリーダ52を備え、ユーザインタフェース動作を行う。タッチパネル51及びリーダ52については後述する。なお、以下において2つのUIユニット5を区別する必要がある場合には、
図1中の左側に示されるUIユニット5を「第1のUIユニット5」とし、他方のUIユニット5を「第2のUIユニット5」とする。
【0013】
図2は陳列什器110の要部回路構成と、店舗システム100の概略構成とを表したブロック図である。
図2において、
図1に示されるのと同一の要素については、同一の符号を付している。
陳列什器110、販売管理装置120及び決済装置130が通信ネットワーク140を介して通信可能とされることで店舗システム100が構成される。
【0014】
販売管理装置120は、陳列什器110に陳列される量り売り商品の販売を管理する装置である。販売管理装置120は、指示部としての機能を有する。指示部は、量り売り商品の代金を決済するように決済装置130に指示する機能である。決済装置130は、陳列什器110に陳列される量り売り商品の販売に関する決済を行う決済装置である。決済装置130は、決済部としての機能を有する。決済部は、量り売り商品の代金を決済する機能である。
通信ネットワーク140としては例えば、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。陳列什器110、販売管理装置120及び決済装置130は、一例として1つの店舗に設けられる。この場合に通信ネットワーク140としては典型的には、店舗内LANが利用される。
【0015】
陳列什器110は、
図1にも示された追跡カメラ2、監視カメラ3、プロジェクタ4及びUIユニット5に加えて、複数の重量計6、通信ユニット7、什器内通信路8、商品監視ユニット9及びメイン処理ユニット10を含む。
なお、追跡カメラ2、監視カメラ3及びプロジェクタ4は、メイン処理ユニット10に接続されている。また、UIユニット5は、什器内通信路8に接続されている。
【0016】
複数の重量計6は、棚板11に設けられ、容器に収容されて棚板11に陳列される量り売り商品の重量を計測する。重量計6は、計測した重量を表した計測データを商品監視ユニット9へと出力する。重量計6は、量り売り商品毎に用意されている。重量計6は、計測手段の一例である。
【0017】
通信ユニット7は、通信ネットワーク140を介したデータ授受のための無線通信を行う。通信ユニット7としては、通信ネットワーク140がLANである場合、例えばIEEE802.11規格に準拠した周知の通信デバイスを利用できる。ただし通信ユニット7としては、有線通信を行う通信デバイスを用いてもよい。
什器内通信路8は、UIユニット5、通信ユニット7、商品監視ユニット9及びメイン処理ユニット10がデータを授受することを可能とする。什器内通信路8としては、例えばLANが利用される。
【0018】
商品監視ユニット9は、重量計6から与えられる計測データに基づいて、棚1での量り売り商品の陳列状況を監視するための情報処理を行う情報処理ユニットである。
メイン処理ユニット10は、追跡カメラ2及び監視カメラ3により撮影された画像に基づいて、棚1から量り売り商品を取り出した人物を特定し、当該量り売り商品の代金をその人物に決済させるための情報処理を行う情報処理ユニットである。
【0019】
図3はUIユニット5の要部回路構成を示すブロック図である。
図3において、
図1及び
図2に示されるのと同一の要素については、同一の符号を付している。
UIユニット5は、
図1に示されるタッチパネル51及びリーダ52に加えて、プロセッサ53、メインメモリ54、補助記憶ユニット55、サウンドユニット56、通信ユニット57及び伝送路58を含む。
プロセッサ53と、タッチパネル51、リーダ52、メインメモリ54、補助記憶ユニット55、サウンドユニット56及び通信ユニット57とは、伝送路58を介して通信可能とされている。
【0020】
タッチパネル51は、操作画面等の各種の画面を表示する表示デバイスである。タッチパネル51は、操作画面に応じた操作を受ける操作デバイスである。
リーダ52は、客が所持する媒体から会員ID(identifier)を読み取る。リーダ52としては、カード表面又は表示デバイスに表示されたバーコード又は2次元コードのような可視コードを読み取る周知のデータ読取デバイスを用いることができる。リーダ52としては、周知の磁気カードリーダ、IC(integrated circuit)カードリーダ又は非接触カードリーダなどの別のタイプの周知のデータ読取デバイスを用いることもできる。リーダ52としては、複数のタイプの読取デバイスを備えてもよい。
【0021】
プロセッサ53、メインメモリ54及び補助記憶ユニット55が伝送路58により接続されていることによって、UIユニット5を制御するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ53は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ53は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、UIユニット5としての各種の機能を実現するための情報処理を実行する。プロセッサ53は、例えばCPU(central processing unit)である。
【0022】
メインメモリ54は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ54は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ54は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。メインメモリ54は、プロセッサ53が情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ54は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ53によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(read only memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(random access memory)である。
【0023】
補助記憶ユニット55は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット55としては、例えばEEPROM(登録商標)(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、あるいはSSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを用いた記憶ユニットを利用できる。補助記憶ユニット55は、プロセッサ53が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ53での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶ユニット55は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
【0024】
サウンドユニット56は、音声及びメロディなどの各種サウンドを出力する。
通信ユニット57は、什器内通信路8を介したデータ通信のインタフェースである。通信ユニット57としては、例えばLANを介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
伝送路58は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0025】
なお補助記憶ユニット55は、情報処理プログラムの1つであるUIプログラム551を記憶する。UIプログラム551は、アプリケーションプログラムであり、UIユニット5を陳列什器110のユーザインタフェースとして機能させるための情報処理について記述されている。
【0026】
図4は商品監視ユニット9の要部回路構成を示すブロック図である。
図4において、
図1及び
図2に示されるのと同一の要素については、同一の符号を付している。
商品監視ユニット9は、プロセッサ91、メインメモリ92、補助記憶ユニット93、通信ユニット94、インタフェースユニット95及び伝送路96を含む。
【0027】
プロセッサ91と、メインメモリ92、補助記憶ユニット93、通信ユニット94及びインタフェースユニット95とは、伝送路96を介して通信可能とされている。プロセッサ91、メインメモリ92及び補助記憶ユニット93が伝送路96により接続されていることによって、商品監視ユニット9を制御するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ91は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ91は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、商品監視ユニット9としての各種の機能を実現するための情報処理を実行する。プロセッサ91は、例えばCPUである。
【0028】
メインメモリ92は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ92は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ92は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。メインメモリ92は、プロセッサ91が情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ92は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ91によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0029】
補助記憶ユニット93は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット93としては、例えばEEPROM、HDD、あるいはSSD等の周知の記憶デバイスを用いた記憶ユニットを利用できる。補助記憶ユニット93は、プロセッサ91が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ91での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶ユニット93は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
【0030】
通信ユニット94は、什器内通信路8を介したデータ通信のインタフェースである。通信ユニット94としては、例えばLANを介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
インタフェースユニット95には、複数の重量計6がそれぞれ接続される。インタフェースユニット95は、プロセッサ91と重量計6との間でのデータの授受をインタフェースする。インタフェースユニット95としては、例えばUSB(universal serial bus)ボードなどの種々のインタフェースボードのような周知のデバイスを用いることができる。インタフェースユニット95は、複数が設けられてもよい。
伝送路96は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0031】
なお補助記憶ユニット93は、情報処理プログラムの1つである商品監視プログラム931を記憶する。商品監視プログラム931は、アプリケーションプログラムであり、商品監視ユニット9としての機能を実現するための後述する情報処理について記述されている。また補助記憶ユニット93は、その記憶領域の一部が商品管理データベース932の記憶領域として用いられる。商品管理データベース932は、陳列什器110に陳列されている量り売り商品を管理するためのデータベースである。
【0032】
図5は商品管理データベース932に含まれるデータレコードDRAの構成を模式的に示す図である。
商品管理データベース932は、複数の重量計6にそれぞれ関連付けられた複数のデータレコードDRAの集合である。データレコードDRAは、フィールドFA,FB,FC,FDを含む。フィールドFAには、関連付けられた重量計6を他の重量計と識別するための重量計IDがセットされる。フィールドFBには、関連付けられた重量計6に載せられる量り売り商品を他の量り売り商品と識別するための商品コードがセットされる。商品コードは、量り売り商品をSKU(stock keeping unit)毎に識別するために定められた識別コードであり、例えばJAN(Japanese article number)コードが用いられる。フィールドFCには、フィールドFBにセットされた商品コードで識別される量り売り商品の単位重量あたりの単価がセットされる。フィールドFDには、関連付けられた重量計6による前回の計測値がセットされる。なお、データレコードDRAには、上記とは別の任意のデータがセットされるフィールドが含まれてもよい。
【0033】
図6はメイン処理ユニット10の要部回路構成を示すブロック図である。
図6において、
図1及び
図2に示されるのと同一の要素については、同一の符号を付している。
メイン処理ユニット10は、プロセッサ101、メインメモリ102、補助記憶ユニット103、通信ユニット104、インタフェースユニット105及び伝送路106を含む。
【0034】
プロセッサ101と、メインメモリ102、補助記憶ユニット103、通信ユニット104及びインタフェースユニット105とは、伝送路106を介して通信可能とされている。プロセッサ101、メインメモリ102及び補助記憶ユニット103が伝送路106により接続されていることによって、メイン処理ユニット10を制御するためのコンピュータが構成される。
【0035】
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、メイン処理ユニット10としての各種の機能を実現するための情報処理を実行する。プロセッサ101は、例えばCPUである。
【0036】
メインメモリ102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ102は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ102は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。メインメモリ102は、プロセッサ101が情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ102は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ101によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0037】
補助記憶ユニット103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット103としては、例えばEEPROM、HDD、あるいはSSD等の周知の記憶デバイスを用いた記憶ユニットを利用できる。補助記憶ユニット103は、プロセッサ101が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ101での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶ユニット103は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
【0038】
通信ユニット104は、什器内通信路8を介したデータ通信のインタフェースである。通信ユニット104としては、例えばLANを介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
インタフェースユニット105には、2つの追跡カメラ2、監視カメラ3及びプロジェクタ4がそれぞれ接続される。インタフェースユニット105は、プロセッサ101と追跡カメラ2、監視カメラ3及びプロジェクタ4との間でのデータの授受をインタフェースする。インタフェースユニット105としては、例えばUSBボードなどの種々のインタフェースボードのような周知のデバイスを用いることができる。インタフェースユニット105は、複数が設けられてもよい。
伝送路106は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0039】
なお補助記憶ユニット103は、それぞれが情報処理プログラムの1つである追跡プログラム1031及び客対応プログラム1032を記憶する。追跡プログラム1031は、アプリケーションプログラムであり、人物の追跡のための後述する情報処理について記述されている。客対応プログラム1032は、アプリケーションプログラムであり、客対応のための後述する情報処理について記述されている。また補助記憶ユニット103は、その記憶領域の一部が追跡データベース1033及び会員管理データベース1034の記憶領域として用いられる。追跡データベース1033は、追跡の対象となっている人物を追跡するためのデータを管理するためのデータベースである。会員管理データベース1034は、追跡されている会員を管理するためのデータベースである。
【0040】
図7は追跡データベース1033に含まれるデータレコードDRBの構成を模式的に示す図である。
追跡データベース1033は、追跡対象となった人物にそれぞれ関連付けられたデータレコードDRBの集合である。データレコードDRBは、フィールドFE,FF,FG,FH,FI,FJ,FKを含む。データレコードDRBは、フィールドFL以降のフィールドを含む場合もある。フィールドFEには、関連付けられた人物を他の人物と識別するために割り付けられた追跡IDがセットされる。追跡IDは、追跡の対象となっている人物に一時的に割り付けられるものであって、個人を特定するためのデータではない。フィールドFFには、関連付けられた人物を行動監視の対象とするか否かを表す監視フラグがセットされる。本実施形態では、監視フラグは、オン状態である場合に行動監視の対象とすることを表すこととする。フィールドFGには、関連付けられた人物が、第1のUIユニット5に対応する認証エリアの中に位置しているか否かを表す第1の認証フラグがセットされる。フィールドFHには、関連付けられた人物が、第2のUIユニット5に対応する認証エリアの中に位置している否かを表す第2の認証フラグがセットされる。本実施形態では、第1の認証フラグ及び第2の認証フラグは、オン状態である場合に認証エリア内に位置していることを表すこととする。フィールドFIには、関連付けられた人物が後述する予備エリアの中に位置しているか否かを表す予備フラグがセットされる。本実施形態では、予備フラグは、オン状態である場合に予備エリアの中に位置していることを表すこととする。フィールドFJには、関連付けられた人物が後述する追跡エリアから退出したか否かを表す退出フラグがセットされる。本実施形態では、退出フラグは、オン状態である場合に退出したことを表すこととする。フィールドFKは、関連付けられた人物に関する一回の位置検出の結果を表す検出データがセットされる。関連付けられた人物の移動にともなって、移動後の位置検出の結果を表す検出データをセットしたフィールドがフィールドFL以降に順次に追加される。なお、データレコードDRBには、上記とは別の任意のデータがセットされるフィールドが含まれてもよい。
【0041】
図8は会員管理データベース1034に含まれるデータレコードDRCの構成を模式的に示す図である。
会員管理データベース1034は、追跡対象となっており、かつ会員認証を終えた人物にそれぞれ関連付けられたデータレコードDRCの集合である。このため会員管理データベース1034に含まれるデータレコードDRCの数は、該当する人物の人数に応じて変動する。会員管理データベース1034が、データレコードDRCを1つも含まない状況も生じ得る。データレコードDRCは、フィールドFM,FNを含む。フィールドFMには、関連付けられた人物に予め付与された会員IDがセットされる。フィールドFNには、関連付けられた人物を追跡するための追跡IDがセットされる。なお、データレコードDRCには、上記とは別の任意のデータがセットされるフィールドが含まれてもよい。
【0042】
商品監視ユニット9又はメイン処理ユニット10のハードウェアとしては、例えば汎用の情報処理装置を用いることができる。そして商品監視ユニット9又はメイン処理ユニット10の譲渡は一般に、補助記憶ユニット93又は補助記憶ユニット103に商品監視プログラム931又は追跡プログラム1031及び客対応プログラム1032がそれぞれ記憶され、商品管理データベース932又は追跡データベース1033及び会員管理データベース1034が記憶されない状態にて行われる。しかし、商品監視プログラム931又は追跡プログラム1031及び客対応プログラム1032が補助記憶ユニット93又は補助記憶ユニット103に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット93又は補助記憶ユニット103に記憶された状態のハードウェアと、商品監視プログラム931又は追跡プログラム1031及び客対応プログラム1032が個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット93又は補助記憶ユニット103に商品監視プログラム931又は追跡プログラム1031及び客対応プログラム1032が書き込まれることによって、商品監視ユニット9又はメイン処理ユニット10が構成されてもよい。補助記憶ユニット93又は補助記憶ユニット103に商品監視プログラム931又は追跡プログラム1031及び客対応プログラム1032の譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。商品管理データベース932又は追跡データベース1033及び会員管理データベース1034は、プロセッサ91又は101が商品監視プログラム931又は追跡プログラム1031及び客対応プログラム1032に基づく情報処理を実行することで、補助記憶ユニット93又は補助記憶ユニット103内に構成される。なお、商品監視プログラム931及び商品管理データベース932の少なくとも一方が、メインメモリ92に記憶されてもよい。追跡プログラム1031、客対応プログラム1032、追跡データベース1033及び会員管理データベース1034のうちの少なくとも一部がメインメモリ102に記憶されてもよい。
【0043】
次に以上のように構成された店舗システム100の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。
【0044】
陳列什器110は、通常の物販店舗において、陳列されている量り売り商品を店頭等に一時的に設置して無人販売する用途が想定される。陳列什器110はこのため、キャスタ12及びハンドル13を備え、店員等によって容易に移動できるように構成されている。ただし、陳列什器110は、企業の社屋内などの任意の場所に設置されてもよいし、常設されてもよく、その用途は上記の例には限定されない。常設されるのであれば、キャスタ12及びハンドル13が省略されてもよい。陳列什器110が備える電気的要素は、電源ケーブルを用いて商用電源等からの給電により動作するのでもよいし、陳列什器110に搭載したバッテリからの給電により動作するのでもよい。
【0045】
本実施形態では、棚板11上の1つの重量計6による計測エリアに1つの量り売り商品を陳列するものとする。そして、店員などの管理者は、UIユニット5での予め定められた操作によって、どの計測エリアにどの量り売り商品が陳列されるかを指定する。例えばプロセッサ53は、計測エリアを選択するためのGUI(graphical user interface)画面をタッチパネル51に表示させ、当該GUI画面へのタッチによる計測エリアの指定を受ける。またプロセッサ53は、管理者により翳された商品バーコードをリーダ52によって読み取らせる。そしてプロセッサ53は、指定された計測エリアに、リーダ52によって読み取られた商品バーコードに表された商品コードで識別される量り売り商品が陳列されていると指定されたこととする。この指定を受けてUIユニット5にてプロセッサ53は、指定された計測エリアに対応する重量計6の重量計IDがフィールドFAにセットされたデータレコードDRAを商品管理データベース932から見つけ出し、該当のデータレコードDRAのフィールドFBに指定された量り売り商品の商品コードをセットする。プロセッサ53は、管理者により予め指定された単位重量あたりの単価を、上記の商品コードをセットしたデータレコードDRAのフィールドFCにセットする。このときプロセッサ53は例えば、該当の計測エリアに対応する重量計6の計測値を取得する。プロセッサ53は、同データレコードDRAのフィールドFDには、上記の取得した計測値をセットしてもよいし、0等のあらかじめ定められた値を暫定的にセットしてもよい。
【0046】
なお、商品管理データベース932は、棚板11への量り売り商品の陳列状況に合致していればよく、その更新の方法は任意であってよい。例えば、外部の任意の販売支援装置からの指示に応じて、プロセッサ53が商品管理データベース932を更新してもよい。また、プロセッサ53は、通信ユニット57、什器内通信路8及び通信ネットワーク140を介して販売管理装置120又は他の任意のサーバ装置にアクセスし、商品コードに関連付けられた単位重量あたりの単価を取得してもよい。
【0047】
陳列什器110が客対応を行う動作状態にあるとき、メイン処理ユニット10にてプロセッサ101は、追跡プログラム1031に従った情報処理(以下、追跡処理と称する)を実行する。
ところで追跡処理は主として、追跡対象となっている人物(以下、追跡人物と称する)の追跡エリア内での現在位置を特定し、当該位置が追跡エリア内に陳列什器110に相対的に定められるいくつかのエリアのいずれのエリア内であるかを確認する処理である。そこで、追跡処理の説明に先立って、追跡エリア内に定められるエリアについて説明する。
【0048】
図9は追跡エリア内におけるエリアの設定状況を表す平面図である。
図9に表すように、購買エリアARA、検出エリアARB、予備エリアARC、確定エリアARD及び2つの認証エリアAREが、それぞれ陳列什器110の位置を基準として論理的に定められる。確定エリアARDの全域を内包する矩形のエリアが追跡エリアである。各エリアを具体的にどのエリアとするかは、例えば追跡プログラム1031の作成者などによって任意に定められてよい。つまり、各エリアの個々の大きさ、あるいは複数のエリア間の大きさの比などは、
図9に示す状態から変更されても構わない。また、メンテナンス作業者又は店舗管理者などの任意の操作者による指示に応じて、各エリアの大きさなどを変更可能としてもよい。このようにすれば、陳列什器110の設置場所の構造などを考慮して各エリアを調整することが可能となる。
【0049】
購買エリアARAは、陳列什器110から量り売り商品を取り出そうとする客が位置すべきエリアである。プロジェクタ4は、購買エリアARAの外縁に
図1に示す線PLが概ね一致するように画像を投影する。上述のように購買エリアARAの大きさを変更可能とするならば、プロジェクタ4は、画像の投影倍率を変更可能としておく。そしてプロジェクタ4は、上記のメンテナンス作業者又は店舗管理者などによる操作によって、あるいは例えばメイン処理ユニット10のプロセッサ101からの指示に応じて、投影倍率を変更する。例えば、購入する全ての量り売り商品を棚1から取り出す間、客は購買エリアARA内に留まることが、店舗システム100により提供されるサービスの利用上のルールとされる。
【0050】
検出エリアARBは、追跡人物を新規に検出するエリアである。検出エリアARBは例えば、購買エリアARAへと進入する人物が通過するエリアとして定められる。つまり検出エリアARBは例えば、購買エリアARAの周囲の帯状のエリアである。検出エリアARBは、一部が購買エリアARAと重複していてもよい。
【0051】
予備エリアARC及び確定エリアARDは、追跡人物が追跡エリアから退出したことを判定するためのエリアである。予備エリアARC及び確定エリアARDは、いずれも購買エリアARAから離れて行く人物が通過するエリアとして定められる。そして予備エリアARCが、確定エリアARDよりも購買エリアARAに近い。
図9の例では、予備エリアARCの一部と、確定エリアARDの一部とが、互いに重複している。重複エリアARFが、予備エリアARCと確定エリアARDとが重複したエリアである。予備エリアARCと確定エリアARDとは、重複せずに互いに接していてもよい。なお予備エリアARCは、確定エリアARDからは離間している。しかしながら、確定エリアARDの一部と予備エリアARCの一部とが、互いに重複していてもよい。また、確定エリアARDと予備エリアARCとが、重複せずに互いに接していてもよい。
【0052】
2つの認証エリアAREは、前述したように2つのUIユニット5にそれぞれ対応する。なお以下において、2つの認証エリアAREを区別する必要がある場合、第1のUIユニット5に対応する認証エリアAREを第1の認証エリアAREと称し、第2のUIユニット5に対応する認証エリアAREを第2の認証エリアAREと称する。
図9の例では対応するUIユニット5を中心とした円形のエリアを認証エリアAREとしている。
【0053】
2つの追跡カメラ2は、それぞれが、あるいは分担して、追跡エリアを少なくとも含んだ撮影エリアを撮影するように、撮影方向及び視野サイズが設定される。そしてプロセッサ101は、追跡カメラ2で撮影された画像に基づいて人物の現在位置を判定するための情報処理(以下、検出処理と称する)を、後述する追跡処理とは別に実行する。プロセッサ101は例えば、追跡カメラ2で撮影された画像に基づき、当該画像に映り込んでいる人物の検出を試みる。そしてプロセッサ101は、人物を検出できたならば、その人物の位置を判定する。画像から当該画像に映り込んでいる人物の位置を判定する処理としては、周知の種々の処理を適宜に用いることができる。また追跡カメラ2として、TOFカメラ又はステレオカメラなどの距離測定機能を備えたカメラデバイスを用いているのならば、プロセッサ101は、当該機能での測定結果を加味して人物の現在位置を判定してもよい。プロセッサ101は、予め定められた間隔で周期的に検出処理を実行する。
【0054】
図10及び
図11は追跡処理のフローチャートである。
図10のACT11としてプロセッサ101は、追跡の対象となる人物が新規に検出されるのを待ち受ける。プロセッサ101は例えば、上記の検出処理により検出エリア内に位置するとして検出された人物が追跡対象となっていないならばYESと判定し、ACT12へと進む。なお、プロセッサ101は、このようにACT12へと進んだ場合には、当該の追跡処理は継続したままで、別のスレッドで追跡処理を開始する。つまり、追跡の対象となる人物が複数存在する状況においては、それらの人物のそれぞれに関して追跡処理を並行して実行する。そしてプロセッサ101は、検出処理により検出エリア内に位置するとして検出された人物が他の追跡処理での追跡人物ではない場合に、当該人物が追跡対象となっていないと判断する。
【0055】
ACT12としてプロセッサ101は、新規に検出された人物に対し、他の追跡人物の追跡IDと重複しないように追跡IDを決定する。
ACT13としてプロセッサ101は、新規に検出された人物を追跡人物として管理するべく追跡データベース1033を更新する。プロセッサ101は例えば、新たなデータレコードDRBを追跡データベース1033に追加する。プロセッサ101は、当該の新たなデータレコードDRBのフィールドFEには、ACT12にて決定した追跡IDをセットする。プロセッサ101は、当該の新たなデータレコードDRBのフィールドFF~FJの各フラグは、いずれもオフとする。プロセッサ101は、当該の新たなデータレコードDRBのフィールドFKには、新規に検出された人物について検出処理により判定された現在位置と現在日時とを表した検出データをセットする。プロセッサ101は、当該の新たなデータレコードDRBには、フィールドFL以降のフィールドを含めない。
これにより、新規に検出された人物が追跡人物とされる。前述のように、複数の追跡処理が並行して実行される場合があり、陳列什器110にとっての追跡人物は同時に複数が存在し得るが、以下の説明で単に「追跡人物」と記す場合は、説明中の追跡処理の対象となっている追跡人物を指す。
【0056】
ACT14としてプロセッサ101は、追跡人物が移動したか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の移動を確認できないならばNOと判定し、ACT15へと進む。
ACT15としてプロセッサ101は、追跡人物がロストされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の追跡が継続されているならばNOと判定し、ACT14へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT14及びACT15としては、追跡人物が移動するか、ロストされるのを待ち受ける。
【0057】
プロセッサ101は例えば、検出処理の結果が新たに得られる毎に、新たに検出された人物の現在位置と、追跡人物に関連付けられたデータレコードDRBにセットされている検出データに表された位置とに基づいて、新たに検出された人物の中から追跡人物を特定する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置と、追跡人物に関連付けられたデータレコードDRBの末尾にセットされている検出データに表された位置との関係から、追跡人物が移動したか否かを判断する。例えばプロセッサ101は、上記の2つの位置の離間距離が予め定められた閾値以上であるならば、追跡人物が移動したと判定する。そしてプロセッサ101は、追跡人物が移動したならばACT14にてYESと判定し、ACT16へと進む。
【0058】
ACT16としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が購買エリアARA内であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が購買エリアARA外であるならばNOと判定し、ACT17へと進む。
ACT17としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が検出エリアARB外であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が検出エリアARB内であるならばNOと判定し、ACT14へと戻る。
かくしてプロセッサ101は、ACT14乃至ACT17としては、追跡人物が購買エリアARA内へと移動するか、購買エリアARAとは逆方向に移動して検出エリアARBから出るのを待ち受ける。
【0059】
プロセッサ101は、追跡人物が購買エリアARA内に入ること無しに検出エリアARBから出たならば、ACT17にてYESし、ACT18へと進む。
ところでプロセッサ101は例えば、追跡データベース1033にて追跡人物に関連付けられたデータレコードDRBが、予め定められた期間に渡って更新されない場合をロストとする。そしてプロセッサ101は、ACT14及びACT15の待受状態にてロストが生じると、ACT15にてYESと判定し、そのままACT18へと進む。
【0060】
ACT18としてプロセッサ101は、追跡人物を追跡人物から除外するように追跡データベース1033を更新する。プロセッサ101は例えば、追跡人物の追跡IDがフィールドFEにセットされているデータレコードDRBを追跡データベース1033から削除する。そしてプロセッサ101は、これをもって追跡処理を終了する。
【0061】
陳列什器110に陳列された量り売り商品を購入しようとする人物は、検出エリアARBを通過して購買エリアARAへと進むことになる。追跡人物がそのように移動した場合、プロセッサ101はACT16にてYESと判定し、ACT19へと進む。
ACT19としてプロセッサ101は、追跡人物の追跡IDがフィールドFEにセットされているデータレコードDRBのフィールドFFにセットされた監視フラグをオンとする。
【0062】
ACT20としてプロセッサ101は、追跡人物の追跡IDがフィールドFEにセットされているデータレコードDRBの末尾に、新たな検出データをセットしたフィールドを追加する。プロセッサ101は、新たな検出データは、最新の検出処理で判定された追跡人物の現在位置と現在時刻とを表したデータとする。このように、追跡人物の移動に伴って検出データが追加されることによって、追跡人物の移動軌跡が記録されることとなる。
【0063】
ACT21としてプロセッサ101は、追跡人物が移動したか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の移動を確認できないならばNOと判定し、ACT22へと進む。
ACT22としてプロセッサ101は、追跡人物がロストされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の追跡が継続されているならばNOと判定し、ACT21へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT21及びACT22としては、追跡人物が移動するか、ロストされるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、追跡人物が移動したことをACT14と同様にして確認したならばACT21にてYESと判定し、ACT23へと進む。
【0064】
ACT23としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が購買エリアARA内であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が購買エリアARA内であるならばYESと判定し、ACT24へと進む。
ACT24としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が第1又は第2の認証エリアARE内であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が第1又は第2の認証エリアARE内であるならばYESと判定し、ACT25へと進む。つまりプロセッサ101は、購買エリアARAと第1又は第2の認証エリアAREとが重複するエリア内に追跡人物が位置しているならば、ACT25へと進む。
【0065】
ACT25としてプロセッサ101は、追跡人物が第1の認証エリア内に位置しているならば第1の認証フラグをオンとし、追跡人物が第2の認証エリア内に位置しているならば第2の認証フラグをオンとする。そしてプロセッサ101はこののち、ACT20へと戻り、追跡人物の移動後の位置に関する検出データを追加した上で、ACT21の待受状態に戻る。
【0066】
プロセッサ101は、追跡人物の現在位置が、購買エリアARA内であるものの、第1又は第2の認証エリアARE外であるならば、ACT24にてNOと判定し、ACT26へと進む。
ACT26としてプロセッサ101は、第1の認証フラグ及び第2の認証フラグをともにオフとする。そしてプロセッサ101はこののち、ACT20へと戻り、追跡人物の移動後の位置に関する検出データを追加した上で、ACT21の待受状態に戻る。
【0067】
プロセッサ101は、追跡人物が購買エリアARAから出ると、ACT23にてNOと判定し、
図11中のACT27へと進む。
ACT27としてプロセッサ101は、ACT20と同様に、検出データをセットしたフィールドを追加する。つまりプロセッサ101は、追跡人物の上記の移動を記録するべく、追跡人物に関連付けられたデータレコードDRBに新たな検出データを追加する。
【0068】
ACT28としてプロセッサ101は、追跡人物が移動したか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の移動を確認できないならばNOと判定し、ACT29へと進む。
ACT29としてプロセッサ101は、追跡人物がロストされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の追跡が継続されているならばNOと判定し、ACT28へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT28及びACT29としては、追跡人物が移動するか、ロストされるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、追跡人物が移動したことをACT14と同様にして確認したならばACT28にてYESと判定し、ACT30へと進む。
【0069】
ACT30としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が購買エリアARA内であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が購買エリアARA内であるならばYESと判定し、
図10中のACT20へと戻る。つまりプロセッサ101は、追跡人物が購買エリアARA内に戻ったならば、追跡人物の上記の移動を記録するべく新たな検出データを追加した上で、ACT21及びACT22の待受状態に移行する。
【0070】
プロセッサ101は、追跡人物が購買エリアARAに戻らないならば、
図11中のACT30にてNOと判定し、ACT31へと進む。
ACT31としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が予備エリアARC内であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が予備エリアARC外であるならばNOと判定し、ACT27へと戻る。つまりプロセッサ101は、追跡人物の上記の移動を記録するべく新たな検出データを追加した上で、ACT28及びACT29の待受状態に戻る。
【0071】
プロセッサ101は、追跡人物が購買エリアARAから出て、購買エリアARAに戻ること無しに予備エリアARC内へと移動した場合は、ACT31にてYESと判定し、ACT32へと進む。
ACT32としてプロセッサ101は、追跡人物の追跡IDがフィールドFEにセットされているデータレコードDRBのフィールドFIにセットされた予備フラグをオンとする。
【0072】
ACT33としてプロセッサ101は、追跡人物が移動したか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の移動を確認できないならばNOと判定し、ACT34へと進む。
ACT34としてプロセッサ101は、追跡人物がロストされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の追跡が継続されているならばNOと判定し、ACT33へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT33及びACT34としては、追跡人物が移動するか、ロストされるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、追跡人物が移動したことをACT14と同様にして確認したならばACT33にてYESと判定し、ACT35へと進む。
【0073】
ACT35としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が確定エリアARD内であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が確定エリアARD外であるならばNOと判定し、ACT36へと進む。
ACT36としてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が予備エリアARC内であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、追跡人物の現在位置が予備エリアARC内であるならばYESと判定し、ACT33へと戻る。
かくしてプロセッサ101は、ACT33乃至ACT36としては、追跡人物が確定エリアARD内へと移動するか、確定エリアARDとは逆方向に移動して予備エリアARCから出るか、あるいはロストされるのを待ち受ける。
【0074】
プロセッサ101は、追跡人物が確定エリアARDに入ること無しに予備エリアARCから出たならば、ACT36にてNOと判定し、ACT37へと進む。
ACT37としてプロセッサ101は、追跡人物の追跡IDがフィールドFEにセットされているデータレコードDRBのフィールドFIにセットされた予備フラグをオフとする。そしてプロセッサ101はこののち、ACT27に戻る、つまりプロセッサ101は、追跡人物の上記の移動を記録するべく新たな検出データを追加した上で、ACT28及びACT29の待受状態に移行する。
【0075】
追跡人物が、陳列什器110から離れるべく、予備エリアARCを通過して確定エリアARDへと進むと、プロセッサ101はACT35にてYESと判定し、ACT38へと進む。
ACT38としてプロセッサ101は、ACT20と同様に、検出データをセットしたフィールドを追加する。つまりプロセッサ101は、追跡人物の上記の移動を記録するべく、追跡人物に関連付けられたデータレコードDRBに新たな検出データを追加する。プロセッサ101はこの後、ACT39へと進む。
プロセッサ101は、
図10中のACT21及びACT22の待受状態、
図11中のACT28及びACT29の待受状態、あるいは
図11中のACT33及びACT34の待受状態のいずれかにおいて、追跡人物の追跡がロストしたことを確認したならば、ACT22、ACT29又はACT34にてYESと判定し、
図11中のACT39へと進む。
【0076】
ACT39としてプロセッサ101は、追跡人物の追跡IDがフィールドFEにセットされているデータレコードDRBのフィールドFFにセットされた監視フラグをオフとする。
ACT40としてプロセッサ101は、追跡人物の追跡IDがフィールドFEにセットされているデータレコードDRBのフィールドFJにセットされた退出フラグをオンとする。そしてプロセッサ101は、これをもって追跡処理を終了する。
【0077】
以上のようにプロセッサ101が追跡処理を実行することで、追跡データベース1033に基づいて、追跡人物のそれぞれがどのエリアに位置しているかと、移動軌跡とを確認することが可能となる。またプロセッサ101は、このような追跡の結果に基づいて、追跡人物が棚1から離れたことを検出している。
【0078】
一方で、陳列什器110が客対応を行う動作状態にあるとき、商品監視ユニット9においてプロセッサ91は、商品監視プログラム931に従った情報処理(以下、監視処理と称する)を実行する。監視処理は、陳列什器110に陳列された量り売り商品の取り出しを監視するための情報処理である。
図12は監視処理のフローチャートである。
【0079】
ACT41としてプロセッサ91は、陳列什器110に陳列された量り売り商品の重量が減少したか否かを確認する。そしてプロセッサ91は、該当の事象が確認できないならばNOと判定し、ACT42へと進む。
ACT42としてプロセッサ91は、陳列什器110に陳列された量り売り商品の重量が増加したか否かを確認する。そしてプロセッサ91は、該当の事象が確認できないならばNOと判定し、ACT41へと戻る。
かくしてプロセッサ91はACT41及びACT42としては、量り売り商品の重量が減少又は増加するのを待ち受ける。
【0080】
陳列什器110に陳列されていた量り売り商品を客が陳列什器110からトング、おたま等の取出器具で取り出した場合、陳列什器110に陳列された量り売り商品の重量が減少することになる。そしてこの場合には、該当の量り売り商品が置かれていた計測エリアの重量計6での計測値が減少することになる。また、陳列什器110から一旦取り出した量り売り商品が陳列什器110に戻されると、陳列什器110に陳列された量り売り商品の重量が増加することになる。そしてこの場合には、該当の量り売り商品が置かれていた計測エリアの重量計6での計測値が増加することになる。
【0081】
プロセッサ91は、いずれかの重量計6の計測値が減少したならば、ACT41にてYESと判定し、ACT43へと進む。なおプロセッサ91は例えば、重量計6から取得した計測値が、同じ重量計6に商品管理データベース932にて関連付けられたデータレコードDRAのフィールドFDにセットされた前回計測値よりも小さく、かつその差分値が規定値以上である場合に、重量計6の計測値が減少したと判定する。
【0082】
ACT43としてプロセッサ91は、重量が減少した量り売り商品を判定する。プロセッサ91は例えば、上記のように減少した計測値を測定した重量計6の重量計IDがフィールドFAにセットされたデータレコードDRAを商品管理データベース932から見つけ出す。そしてプロセッサ91は、該当するデータレコードDRAのフィールドFBにセットされた商品コードで識別される量り売り商品として、重量が減少した量り売り商品を判定する。
【0083】
ACT44としてプロセッサ91は、量り売り商品の減少をメイン処理ユニット10に対して通知する。プロセッサ91は例えば、量り売り商品の減少を通知するための通知データを、通信ユニット94からメイン処理ユニット10に宛てて什器内通信路8へと送出する。プロセッサ91は上記の通知データには、減少の通知であることを識別する識別データと、重量が減少した量り売り商品の商品コードと、減少した計測値(減少量)とを含める。
【0084】
プロセッサ91は一方で、いずれかの重量計6の計測値が増加したならば、ACT42にてYESと判定し、ACT45へと進む。なおプロセッサ91は例えば、重量計6から取得した計測値が、同じ重量計6に商品管理データベース932にて関連付けられたデータレコードDRAのフィールドFDにセットされた前回計測値よりも大きく、かつその差分値が規定値以上である場合に、重量計6の計測値が増加したと判定する。
【0085】
ACT45としてプロセッサ91は、重量が増加した量り売り商品を判定する。プロセッサ91は例えば、上記のように増加した計測値を測定した重量計6の重量計IDがフィールドFAにセットされたデータレコードDRAを商品管理データベース932から見つけ出す。そしてプロセッサ91は、該当するデータレコードDRAのフィールドFBにセットされた商品コードで識別される量り売り商品として、重量が増加した量り売り商品を判定する。
【0086】
ACT46としてプロセッサ91は、量り売り商品の増加をメイン処理ユニット10に対して通知する。プロセッサ91は例えば、量り売り商品の増加を通知するための通知データを、通信ユニット94からメイン処理ユニット10に宛てて什器内通信路8へと送出する。プロセッサ91は上記の通知データには、増加の通知であることを識別する識別データと、重量が増加した量り売り商品の商品コードと、増加した計測値(増加量)とを含める。
【0087】
プロセッサ91は、ACT44又はACT46での通知を終えたならば、いずれの場合もACT47へと進む。
ACT47としてプロセッサ91は、計測値が変化した重量計6に商品管理データベース932にて関連付けられたデータレコードDRAのフィールドFDにセットされた前回計測値を変化後の計測値に更新する。そしてプロセッサ91はこののち、ACT41及びACT42の待受状態に戻る。
【0088】
陳列什器110が客対応を行う動作状態にあるとき、メイン処理ユニット10にてプロセッサ101は、前述の検出処理及び追跡処理とは別に、客対応プログラム1032に従った情報処理(以下、客対応処理と称する)を実行する。
図13及び
図14は客対応処理のフローチャートである。
【0089】
図13中のACT51としてプロセッサ101は、会員IDが通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT52へと進む。
ACT52としてプロセッサ101は、減少通知がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT53へと進む。
ACT53としてプロセッサ101は、増加通知がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT54へと進む。
ACT54としてプロセッサ101は、退出フラグがオンされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT51へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT51乃至ACT54としては、会員ID、減少又は増加が通知されるか、退出フラグがオンされるのを待ち受ける。
【0090】
さて、会員登録を済ませた客に対しては、他の客と識別するための会員IDが付与されている。また、会員登録済みの客は、現金の授受を伴わない決済方法での決済のための決済情報を登録しておくことができる。なお、会員登録済みの客についての各種個人情報、会員ID及び決済情報は、販売管理装置120又は決済装置130により管理されるか、あるいは別の会員サーバによって管理される。
【0091】
会員登録済みである客は、陳列什器110に陳列された量り売り商品の購入に関しての決済を、登録済みの決済情報を用いて行いたい場合には、会員IDをUIユニット5に読み取らせる。例えば客は、客が所持する携帯情報端末の表示デバイスに会員IDを表したバーコードを表示させ、当該バーコードをUIユニット5のリーダ52に読み取らせる。なお、UIユニット5における会員IDの読取方法は、別の任意の方法であってよい。
【0092】
UIユニット5においてプロセッサ53は、リーダ52によって会員IDが読み取られると、UIプログラム551に基づく情報処理により、当該会員IDをメイン処理ユニット10に通知する。プロセッサ53は例えば、会員IDの通知であることを識別するための識別データと会員IDとを含んだ通知データを、通信ユニット57からメイン処理ユニット10に宛てて什器内通信路8へと送出する。
【0093】
なお、例えばUIユニット5に正対した状態で会員IDをUIユニット5に読み取らせることを客に課し、認証エリアAREの大きさを適切に定めれば、UIユニット5にて会員IDを読み取るときに複数の追跡人物について同じ認証フラグがオンとなっていることはなくなる。しかしながらプロセッサ53は、例えば監視カメラ3により撮影された画像又は別のTOFカメラ等により撮影された画像に基づくなどして、会員IDを読み取らせる行動を行った追跡人物を特定し、その追跡人物の追跡IDを通知してもよい。
【0094】
メイン処理ユニット10にてプロセッサ101は、会員IDの通知のための通知データが通信ユニット104により受信されると、ACT51にてYESと判定し、ACT55へと進む。
ACT55としてプロセッサ101は、通知された会員IDをUIユニット5に読み取らせた客に相当する追跡人物の追跡IDを取得する。プロセッサ101は例えば、会員IDが第1のUIユニット5から通知されたならば、第1の認証フラグがオン状態とされているデータレコードDRBを追跡データベース1033から見つけ出す。プロセッサ101はまた、会員IDが第2のUIユニット5から通知されたならば、第2の認証フラグがオン状態とされているデータレコードDRBを追跡データベース1033から見つけ出す。そしてプロセッサ101は、該当するデータレコードDRBのフィールドFEにセットされた追跡IDを取得する。なおプロセッサ101は、会員IDを通知したUIユニット5に対応する認証フラグがオン状態とされているデータレコードDRBが複数見つかったならば、予め定められたルールに従って1つのデータレコードDRBを選択する。プロセッサ101は例えば、末尾のフィールドにセットされている検出データが表す位置が認証エリアの中心により近いデータレコードDRBを選択する。
【0095】
ACT56としてプロセッサ101は、通知された会員IDについての認証処理を行う。プロセッサ101は例えば、会員登録済みの客についての各種個人情報、会員ID及び決済情報を監視している装置に問い合わせて、通知された会員IDが会員に付与された正規の会員IDであることを確認する。
【0096】
ACT57としてプロセッサ101は、上記の認証に成功したか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、認証に成功したならばYESと判定し、ACT58へと進む。
ACT58としてプロセッサ101は、会員IDをUIユニット5に読み取らせた会員の管理のためのデータレコードDRCを含むように会員管理データベース1034を更新する。つまりプロセッサ101は例えば、通知された会員IDをフィールドFMにセットするとともに、ACT55で取得した追跡IDをフィールドFNにセットした新たなデータレコードDRCを会員管理データベース1034に追加する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT51乃至ACT54の待受状態に戻る。
【0097】
かくしてプロセッサ101は、追跡人物を、通知された会員IDにより識別される会員として識別しているのである。会員は、会員登録により個人が特定されている。つまりプロセッサ101は、追跡人物の個人を識別しているのである。
【0098】
プロセッサ101は、ACT56での認証に失敗したならば、ACT57にてNOと判定し、ACT59へと進む。
ACT59としてプロセッサ101は、エラー処理を実行する。エラー処理は、認証に失敗したことを客に通知するための処理である。プロセッサ101は例えば、認証に失敗したことを客に通知するための予め定められたエラー画面の表示を、会員IDを読み取ったUIユニット5に指示する。あるいはプロセッサ101は例えば、上記のエラー画面の表示を、会員IDを表したバーコードを表示した携帯情報端末に指示する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT51乃至ACT54の待受状態に戻る。
【0099】
プロセッサ101は、前述した減少通知のための通知データが通信ユニット104により受信されると、ACT52にてYESと判定し、
図14中のACT60へと進む。
ACT60としてプロセッサ101は、重量が減少した量り売り商品を陳列什器110から取出器具で取り出した取出者を判定する。プロセッサ101は例えば、フィールドFFにセットされた監視フラグがオンであるデータレコードDRBを全て追跡データベース1033から抽出し、該当するデータレコードDRBのフィールドFEにセットされた追跡IDで識別される追跡人物をいずれも取出者の候補とする。客は、陳列什器110から取出器具で量り売り商品を取り出す場合には、該当の量り売り商品を取るための取出器具に腕を伸ばし、取出器具を用いて量り売り商品を取った後、持ち帰り用の容器に量り売り商品を入れるために腕を引く。そこでプロセッサ101は例えば、監視カメラ3により撮影された画像に基づいて、取出者の候補となっている追跡人物の中で、上記のような行動を行った追跡人物を特定し、当該追跡人物を取出者として判定する。
【0100】
より具体的には、プロセッサ101は例えば、量り売り商品を取るための上記の行動が行われる期間を考慮して予め定められた監視期間に監視カメラ3により撮影された複数の画像の変化を解析することで、上記の行動を行った人物を特定し、さらにその人物の位置を判定する。プロセッサ101は、上記の抽出したデータレコードDRBのうちから、末尾のフィールドにセットされた検出データに示される位置が上記の特定した位置に最も近いデータレコードDRBを選択する。そしてプロセッサ101は、該当のデータレコードDRBの末尾のフィールドにセットされた検出データに示される位置と上記の特定した位置との離間距離が規定距離よりも短い場合に、該当のデータレコードDRBのフィールドFEにセットされている追跡IDで識別される追跡人物を取出者として判定する。プロセッサ101は、該当する追跡人物が見つからなければ、取出者不明として判定する。なお、プロセッサ101は、上記の選択したデータレコードDRBにおける末尾のフィールドにセットされた検出データに示される位置と重量が減少した量り売り商品の陳列位置との関係及び監視カメラ3により撮影された画像に基づいて取出者の腕の長さを測定し、当該長さが規定長さよりも長い場合には、取出者不明として判定してもよい。
【0101】
多くの場合は腕を引く際に、量り売り商品の取り出しが生じ、重量計6の計測値に変化が生じる。ただし、棚板11の振動などのために重量計6の計測値が安定するまでに若干の時間を要するため、重量計6が新たな計測値を出力するまでにはタイムラグが生じる。つまり、プロセッサ101が減少通知を受けるときには、取出者が量り売り商品を取り出す動作の多くは終了している。つまり上記の監視期間は、プロセッサ101が減少通知を受ける前に始まる。そこでプロセッサ101は例えば、監視カメラ3により撮影された画像を、一定期間は補助記憶ユニット103などにバッファしておく。そしてプロセッサ101は、減少通知を受けた後に、バッファされた画像のうちの監視期間に関する画像を解析するようにする。あるいは、ACT60としての処理は、客対応処理とは別スレッドの処理としてプロセッサ101が実行してもよい。
【0102】
ACT61としてプロセッサ101は、取出者の判定に成功したか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、取出者を判定できたならばYESと判定し、ACT62へと進む。
ACT62としてプロセッサ101は、取出者として判定した追跡人物について会員認証済みであるか否かを確認する。プロセッサ101は、ACT60で選択したデータレコードDRBのフィールドFEにセットされているのと同一の追跡IDがフィールドFNにセットされているデータレコードDRCを会員管理データベース1034から探す。そしてプロセッサ101は、該当するデータレコードDRCが見つかったならばYESと判定し、ACT63へと進む。
【0103】
ACT63としてプロセッサ101は、販売管理装置120に対して、重量が減少した量り売り商品の販売に係る登録を要求する。プロセッサ101は例えば、当該要求のための要求データを、通信ユニット104から販売管理装置120に宛てて什器内通信路8へと送出する。そうすると、当該要求データは、通信ユニット7により中継されて、通信ネットワーク140を介して販売管理装置120へと伝送される。なおプロセッサ101は上記の要求データには、登録要求であることを識別する識別データと、重量が減少した量り売り商品の商品コード、減少した計測値及び会員IDとを含める。プロセッサ101は、前述の受信された通知データに含まれた商品コードを、そのまま重量が減少した量り売り商品の商品コードとして要求データに含める。プロセッサ101は、前述の受信された通知データに含まれた減少した計測値を、そのまま減少した計測値として要求データに含める。プロセッサ101は、ACT62にて見つけたデータレコードDRCのフィールドFMにセットされている会員IDを要求データに含める。
【0104】
販売管理装置120は、上記の要求データを受けたならば、要求データに含まれた商品コードで識別される量り売り商品を、要求データに含まれた減少した計測値分だけ、要求データに含まれた会員IDで識別される会員に対して販売する量り売り商品として登録するための登録処理を行う。当該の登録処理は、既存のPOS端末などの取引処理装置で行われているのと同様な処理であってよい。
【0105】
プロセッサ101は、会員認証済みではないことをACT62にて確認したならばNOと判定し、ACT64へと進む。プロセッサ101は、例えばACT60で選択したデータレコードDRBのフィールドFEにセットされているのと同一の追跡IDがフィールドFNにセットされているデータレコードDRCを会員管理データベース1034から見つけ出すことができないならば会員認証済みではないと判定する。
【0106】
ACT64としてプロセッサ101は、第1の警報動作を行う。第1の警報動作は、陳列什器110から取り出した量り売り商品の決済を行うように取出者に促すための動作である。プロセッサ101は第1の警報動作としては、例えば予め定められた画面を表示するようにUIユニット5に指示する。プロセッサ101は第1の警報動作としては、例えば予め定められた音声メッセージを出力するようにUIユニット5に指示する。プロセッサ101は第1の警報動作として、これらとは別の任意の動作を行ってもよいし、複数種の動作を行ってもよい。画面又は音声メッセージ等のコンテンツは、陳列什器110が設置されている店舗の事情により適宜に定められてよい。店員が駐在するチェックアウトコーナー又はセルフタイプのチェックアウトコーナーが設けられた店舗の場合は、例えば当該のチェックアウトコーナーで決済するように取出者に促すコンテンツとする。また、陳列什器110に陳列されている量り売り商品の購入を会員のみに限る店舗の場合は、例えば量り売り商品を店員に返却するよう取出者に促すコンテンツとする。この第1の警報動作により、店舗システム100により提供されるサービスを理解していない客が棚1から量り売り商品を取り出した場合に、その客にその後の行動を適切に行わせることが可能となる。
【0107】
なお、会員以外の客が、陳列什器110に陳列されている量り売り商品を店員が駐在するチェックアウトコーナー又はセルフタイプのチェックアウトコーナーで決済することを許容する場合は、会員認証を終えていない追跡人物が棚1から量り売り商品を取り出したことは、異常状態には該当しない。従ってこの場合の第1の警報動作は、異常状態に対する警報ではない。陳列什器110に陳列されている量り売り商品の購入を会員のみに限る店舗の場合は、会員認証を終えていない追跡人物が棚1から量り売り商品を取り出したことは、異常状態に該当する。従ってこの場合の第1の警報動作は、異常状態に対する警報に相当する。
【0108】
プロセッサ101は、ACT60で取出者を判定することができなかった場合には、ACT61にてNOと判定し、ACT65へと進む。プロセッサ101がACT60で前述のように取出者不明として判定した場合は、このケースに該当する。また、何らかの障害によって追跡処理により追跡されていない人物が量り売り商品を取り出した場合が、このケースに該当する。
【0109】
ACT65においてプロセッサ101は、第2の警報動作を行う。第2の警報動作は、第1の警報動作と同様な動作であってよい。ただし第2の警報動作は、第1の警報動作とはコンテンツを異ならせる。例えば第2の警報動作におけるコンテンツは、例えば店員へ相談するように取出者又は周囲に居る人物に促すコンテンツとする。あるいは第2の警報動作は、店員が使用する端末装置に対する画面表示又は音声メッセージ出力の指示であってもよい。この場合の第2の警報動作におけるコンテンツは、例えば状況確認及び対処を店員に促すコンテンツとする。客は、追跡処理により正しく追跡されているかどうかは分からないから、当該客が棚1から量り売り商品を取り出したことにより生じる異常状態は客の責任ではないし、異常とされる理由を客が理解することはできない。しかしながら当該客は、第2の警報に従って店員に相談し、店員が異常状態に適正に対処することにより異常状態を解消できる。
プロセッサ101は、ACT63、ACT64又はACT65を終えたならば、
図13中のACT51乃至ACT54の待受状態に戻る。
【0110】
プロセッサ101は、前述した増加通知のための通知データが通信ユニット104により受信されると、
図13中のACT53にてYESと判定し、
図14中のACT66へと進む。
ACT66としてプロセッサ101は、量り売り商品の重量の増加が正当か否かを確認する。客が、陳列什器110から一旦取り出した量り売り商品を陳列什器110の別の量り売り商品が収容されている容器に戻す場合がある。この場合、別の量り売り商品の重量が増加するが、このような重量の増加は正当ではない。すなわち、前回の計測値が減少していないにも拘わらず、重量計6から増加方向の計測値を取得した場合、プロセッサ101は、不当であると判定する。また客が、陳列什器110から一旦取り出した量り売り商品を同じ容器に戻す際に、別の商品も一緒に戻す場合がある。この場合も、量り売り商品の重量が増加するが、このような重量の増加も正当ではない。すなわち、前回減少した計測値よりも大きい増加方向の計測値を取得した場合、プロセッサ101は、不当であると判定する。
【0111】
プロセッサ101は、量り売り商品の重量の増加が正当ではないことをACT66にて確認したならばNOと判定し、ACT67へと進む。ACT67としてプロセッサ101は、第3の警報動作を行う。第3の警報動作は、量り売り商品に関して不当な戻し作業が行われたことを店員等に通知し、それへの対応を促すための動作である。プロセッサ101は第3の警報動作としては、例えば店員が使用する端末装置に対して、画面表示又は音声メッセージ出力を指示する。プロセッサ101は第3の警報動作として、これとは別の任意の動作を行ってもよいし、複数種の動作を行ってもよい。画面又は音声メッセージ等のコンテンツは、陳列什器110が設置されている店舗の事情により適宜に定められてよい。
プロセッサ101は、量り売り商品の重量の増加が正当であることをACT66にて確認したならばYESと判定し、ACT68へと進む。
【0112】
ACT68としてプロセッサ101は、量り売り商品を陳列什器110に戻した戻し者を判定する。プロセッサ101は例えば、フィールドFFにセットされた監視フラグがオンであるデータレコードDRBを全て追跡データベース1033から抽出し、該当するデータレコードDRBのフィールドFEにセットされた追跡IDで識別される追跡人物をいずれも戻し者の候補とする。客は、陳列什器110に量り売り商品を戻す場合には、該当の量り売り商品を戻すための取出器具に腕を伸ばし、取出器具を用いて量り売り商品を戻した後、取出器具を置いて腕を引く。そこでプロセッサ101は例えば、監視カメラ3により撮影された画像に基づいて、戻し者の候補となっている追跡人物の中で、上記のような行動を行った追跡人物を特定し、当該追跡人物を戻し者として判定する。
【0113】
より具体的には、プロセッサ101は例えば、量り売り商品を戻すための上記の行動が行われる期間を考慮して予め定められた監視期間に監視カメラ3により撮影された複数の画像の変化を解析することで、上記の行動を行った人物を特定し、さらにその人物の位置を判定する。プロセッサ101は、上記の抽出したデータレコードDRBのうちから、末尾のフィールドにセットされた検出データに示される位置が上記の特定した位置に最も近いデータレコードDRBを選択する。そしてプロセッサ101は、該当のデータレコードDRBの末尾のフィールドにセットされた検出データに示される位置と上記の特定した位置との離間距離が規定距離よりも短い場合に、該当のデータレコードDRBのフィールドFEにセットされている追跡IDで識別される追跡人物を戻し者として判定する。プロセッサ101は、該当する追跡人物が見つからなければ、戻し者不明として判定する。なお、プロセッサ101は、上記の選択したデータレコードDRBにおける末尾のフィールドにセットされた検出データに示される位置と増加した量り売り商品の陳列位置との関係及び監視カメラ3により撮影された画像に基づいて戻し者の腕の長さを測定し、当該長さが規定長さよりも長い場合には、戻し者不明として判定してもよい。
【0114】
量り売り商品が戻される場合も、上記の監視期間は、量り売り商品が取り出される場合と同様に、プロセッサ101が増加通知を受ける前に始まる。そこでプロセッサ101は例えば、監視カメラ3により撮影された画像を、一定期間は補助記憶ユニット103などにバッファしておく。そしてプロセッサ101は、増加通知を受けた後に、バッファされた画像のうちの監視期間に関する画像を解析するようにする。あるいは、ACT68としての処理は、客対応処理とは別スレッドの処理としてプロセッサ101が実行してもよい。
【0115】
ACT69としてプロセッサ101は、戻し者の判定に成功したか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、戻し者を判定できたならばYESと判定し、ACT70へと進む。
ACT70としてプロセッサ101は、戻し者として判定した追跡人物について会員認証済みであるか否かを確認する。プロセッサ101は、ACT68で選択したデータレコードDRBのフィールドFEにセットされているのと同一の追跡IDがフィールドFNにセットされているデータレコードDRCを会員管理データベース1034から探す。そしてプロセッサ101は、該当するデータレコードDRCが見つかったならばYESと判定し、ACT71へと進む。
【0116】
ACT71としてプロセッサ101は、販売管理装置120に対して、量り売り商品の増加した計測値分の販売の取り消しを要求する。プロセッサ101は例えば、当該要求のための要求データを、通信ユニット104から販売管理装置120に宛てて什器内通信路8へと送出する。そうすると、当該要求データは、通信ユニット7により中継されて、通信ネットワーク140を介して販売管理装置120へと伝送される。なおプロセッサ101は上記の要求データには、取り消し要求であることを識別する識別データと、取り消しの対象となる量り売り商品の商品コード、増加した計測値及び会員IDとを含める。プロセッサ101は、前述の受信された通知データに含まれた商品コードを、そのまま取り消しの対象となる量り売り商品の商品コードとして要求データに含める。プロセッサ101は、前述の受信された通知データに含まれた増加した計測値を、そのまま増加した計測値として要求データに含める。プロセッサ101は、ACT70にて見つけたデータレコードDRCのフィールドFMにセットされている会員IDを要求データに含める。
【0117】
販売管理装置120は、上記の要求データを受けたならば、要求データに含まれた商品コードで識別される量り売り商品を、要求データに含まれた増加した計測値分だけ、要求データに含まれた会員IDで識別される会員が購入するとして登録された量り売り商品の重量から引き去るための取り消し処理を行う。
【0118】
プロセッサ101は、会員認証済みではないことをACT70にて確認したならば、NOと判定し、ACT72へと進む。プロセッサ101は、例えばACT68で選択したデータレコードDRBのフィールドFEにセットされているのと同一の追跡IDがフィールドFNにセットされているデータレコードDRCを会員管理データベース1034から見つけ出すことができないならば会員認証済みではないと判定する。店舗システム100により提供されるサービスを理解していない客が棚1から量り売り商品を取り出したことに応じて行われた第1の警報動作に当該客が驚いて慌てて量り売り商品を棚1に戻してしまった場合が、このケースに該当する。
【0119】
プロセッサ101はまた、ACT68で戻し者を判定することができなかった場合には、ACT69にてNOと判定し、ACT72へと進む。プロセッサ101がACT68で前述のように戻し者不明として判定した場合は、このケースに該当する。また、何らかの障害によって追跡処理により追跡されていない人物が量り売り商品を戻した場合が、このケースに該当する。
【0120】
ACT72としてプロセッサ101は、第4の警報動作を行う。第4の警報動作は、不正な量り売り商品戻しが行われたことを店員等に通知し、それへの対応を促すための動作である。プロセッサ101は第4の警報動作としては、例えば店員が使用する端末装置に対して、画面表示又は音声メッセージ出力を指示する。プロセッサ101は第4の警報動作として、これとは別の任意の動作を行ってもよいし、複数種の動作を行ってもよい。画面又は音声メッセージ等のコンテンツは、陳列什器110が設置されている店舗の事情により適宜に定められてよい。
【0121】
プロセッサ101は、ACT67、ACT71又はACT72を終えたならば、
図13中のACT51乃至ACT54の待受状態に戻る。
【0122】
プロセッサ101は、追跡データベース1033に含まれるデータレコードDRBのいずれかにおいて、フィールドFJにセットされた退出フラグがオフからオンに変更されたならば、
図13中のACT54にてYESと判定し、ACT73へと進む。
ACT73としてプロセッサ101は、オンに変更された退出フラグが関連付けられている追跡人物について会員認証済みであるか否かを確認する。プロセッサ101は、上記のオンに変更された退出フラグがフィールドFJにセットされているデータレコードDRBを追跡データベース1033から選択する。そしてプロセッサ101は、選択したデータレコードDRBのフィールドFEにセットされているのと同一の追跡IDがフィールドFNにセットされているデータレコードDRCを会員管理データベース1034から探す。そしてプロセッサ101は、該当するデータレコードDRCが見つかったならばYESと判定し、ACT74へと進む。
【0123】
ACT74としてプロセッサ101は、決済の開始を販売管理装置120に対して要求する。プロセッサ101は例えば、当該要求のための要求データを、通信ユニット104から販売管理装置120に宛てて什器内通信路8へと送出する。そうすると、当該要求データは、通信ユニット7により中継されて、通信ネットワーク140を介して販売管理装置120へと伝送される。なおプロセッサ101は上記の要求データには、決済開始の要求であることを識別する識別データと、ACT73にて見つけたデータレコードDRCのフィールドFMにセットされている会員IDとを要求データに含める。そしてプロセッサ101はこの後には、ACT51乃至ACT54の待受状態に戻る。
なおプロセッサ101は、会員認証済みではなく、該当するデータレコードDRCを見つけられなかったならば、ACT73にてNOと判定し、ACT74をパスしてACT51乃至ACT54の待受状態に戻る。
【0124】
販売管理装置120は、上記の要求データを受けたならば、要求データに含まれた会員IDで識別される会員に関して登録済みの量り売り商品に関する代金を決済するように決済装置130に指示する。決済装置130は、当該指示を受けたならば、該当の会員に関して登録されている決済情報を用いて上記の代金を決済する。この決済のための処理は、クレジット決済、あるいは電子マネー決済などの周知の決済のための処理であってよい。
【0125】
以上の説明から明らかなように、陳列什器110の商品監視ユニット9は、
図12のACT41、ACT43及びACT44の処理を実行することにより、減少量取得手段を構成する。すなわち商品監視ユニット9のプロセッサ91は、計測手段すなわち重量計6により計測される商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得する。
【0126】
陳列什器110のメイン処理ユニット10は、
図14のACT60乃至ACT62の処理を実行することにより、特定手段を構成する。すなわちメイン処理ユニット10のプロセッサ101は、重量が減少方向に変化した商品を陳列部すなわち棚1から取り出した客を特定する。
【0127】
陳列什器110のメイン処理ユニット10は、
図14のACT63の処理を実行することにより、出力手段を構成する。すなわちメイン処理ユニット10のプロセッサ101は、特定手段により特定された客の識別情報と、減少量取得手段により取得した減少量に基づく商品の販売に係る情報とを、販売に係る情報を客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置120に出力する。
【0128】
このように本実施形態によれば、陳列什器110の重量計6により計測される量り売り商品の重量が減少方向に変化した場合、その減少量が取得される。また、その減少方向に変化した量り売り商品を取り出した客が特定される。そして、特定された客の会員IDと、量り売り商品の商品コード及び減少量とが販売管理装置120に出力される。したがって、陳列什器110を設置することで、単位重量当たりの単価が定められた量り売り商品の販売を支援することができる。
【0129】
また、陳列什器110の商品監視ユニット9は、
図12のACT42、ACT45及びACT46の処理を実行することにより、増加量取得手段を構成する。すなわち商品監視ユニット9のプロセッサ91は、重量計6により計測される商品の重量が増加方向に変化した場合にその増加量を取得する。
【0130】
陳列什器110のメイン処理ユニット10は、
図14のACT66及びACT67の処理を実行することにより、警報手段を構成する。すなわちメイン処理ユニット10のプロセッサ101は、増加量が不当である場合に警報する。
【0131】
このように本実施形態によれば、客が、例えば陳列什器110から一旦取り出した量り売り商品を陳列什器110の別の量り売り商品が収容されている容器に戻してしまうと、別の量り売り商品の重量が増加する。このような不当な増加量が取得された場合、警報動作が行われる。したがって、客による不当な量り売り商品の戻し作業を抑止することができる。また、店員は、常に客を監視する必要がないため、店員の負担が軽減される。
【0132】
さらに、陳列什器110のメイン処理ユニット10は、
図14のACT66、ACT68及乃至ACT70の処理を実行することにより、第2特定手段を構成する。すなわちメイン処理ユニット10のプロセッサ101は、増加量取得手段により取得した増加量が正当である場合に、重量が増加方向に変化した商品を棚1に戻した客を特定する。そして、メイン処理ユニット10のプロセッサ101は、
図14のACT71処理を実行することにより、第2特定手段により特定された客の識別情報と、増加量取得手段により取得した増加量に基づく商品の取り消しに係る情報とを、販売管理装置120に出力する。
【0133】
このように本実施形態によれば、客が、陳列什器110から一旦取り出した量り売り商品を陳列什器110の同じ量り売り商品が収容されている容器に戻し、正当な増加量が取得された場合、会員IDで識別される会員が購入するとして登録された量り売り商品の重量から引き去るための取り消し処理の要求が販売管理装置120に出力される。したがって、会員認証済みの客であれば、棚1から一旦取り出した量り売り商品を、自由に棚1に戻すことが許容される。
【0134】
陳列什器110のメイン処理ユニット10は、
図10のACT11乃至ACT25及び
図11のACT27乃至ACT40の処理を実行することにより、追跡手段を構成する。すなわちメイン処理ユニット10のプロセッサ101は、棚1の位置を基準として定められたエリア内に居る客を追跡する。そして、メイン処理ユニット10のプロセッサ101は、
図14のACT60乃至ACT62の処理を実行することにより、エリア内に居る客の中で重量が減少方向に変化した商品を棚1から取り出す行為が可能な客を特定する。
【0135】
このように本実施形態によれば、購買エリアARAにいる客を追跡することで、陳列什器110において減少方向に変化した量り売り商品を取り出すことが可能な客が特定される。したがって、陳列什器110を設置することで、無人店舗化を図ることができる。
【0136】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
図1に示す陳列什器110の外観は一例であって、実施形態の陳列什器110は別の任意の形態で実現されてもよい。例えば、台型、あるいは上面開口型などの別のタイプであってもよい。また、開口面に開閉可能な扉を備えていてもよい。
【0137】
保温又は保冷を目的として、開口面を閉じることを可能とする扉を設けてもよい。
【0138】
追跡人物が棚1から離れたことを検出するための条件は適宜に変更が可能である。例えば、予備エリアARCを考慮することなく、追跡人物が単に確定エリアARDに入ったことに応じて棚1から離れたと検出してもよい。また例えば、購買エリアARAに一度位置した追跡人物の位置が購買エリアARA外となったことに応じて棚1から離れたと検出してもよい。
【0139】
追跡処理、監視処理又は客対応処理は、複数のコンピュータにより分散処理してもよい。追跡処理、監視処理及び客対応処理の全てを同一のコンピュータにより処理してもよい。追跡処理及び客対応処理は、それぞれ別々のコンピュータにより処理してもよい。追跡処理及び監視処理と客対応処理とをそれぞれ別々のコンピュータで処理するか、追跡処理と監視処理及び客対応処理とをそれぞれ別々のコンピュータで処理してもよい。
【0140】
販売管理装置120での登録処理の少なくとも一部を、プロセッサ91又はプロセッサ101が実行してもよい。決済装置130での決済処理の少なくとも一部を、プロセッサ91又はプロセッサ101が実行してもよい。客対応処理の少なくとも一部を、販売管理装置120にて実行してもよい。
【0141】
会員認証済みである場合でも、決済は店員が駐在するチェックアウトコーナー又はセルフタイプのチェックアウトコーナーで行うようにしてもよい。
【0142】
追跡IDに関連付けて量り売り商品を登録してもよい。そして、量り売り商品登録を開始した後に会員認証が行われた場合には、量り売り商品に会員IDを関連付けてもよい。あるいは、追跡エリア内に設置した決済装置で、決済装置に対応するエリアに位置する追跡人物に関連付けられた量り売り商品の決済を行ってもよい。
【0143】
追跡IDを用いずに、追跡対象の人物を会員IDで識別してもよい。
【0144】
会員の認証は、追跡カメラ2で撮影された画像に基づく顔認証などの生体認証によって行ってもよい。
【0145】
量り売り商品が食品である場合には、例えば商品管理データベース932に含まれるデータレコードDRAに単位重量あたりの栄養価を含めてもよい。そして、客が取り出した量り売り商品の減少した重量に応じた栄養価を販売管理装置120に出力してもよい。
【0146】
情報処理によりプロセッサ53,91又は101が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[1]
陳列部に陳列される商品の重量を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測される前記商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得する減少量取得手段と、
前記重量が減少方向に変化した商品を前記陳列部から取り出した客を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記客の識別情報と、前記減少量取得手段により取得した前記減少量に基づく前記商品の販売に係る情報とを、前記販売に係る情報を前記客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置に出力する出力手段と、
を具備する販売支援装置。
[2]
前記計測手段により計測される前記商品の重量が増加方向に変化した場合にその増加量を取得する増加量取得手段と、
前記増加量が不当である場合に警報する警報手段と、
をさらに具備する[1]記載の販売支援装置。
[3]
前記増加量取得手段により取得した前記増加量が正当である場合に、前記重量が増加方向に変化した商品を前記陳列部に戻した客を特定する第2特定手段、
をさらに具備し、
前記出力手段は、前記第2特定手段により特定された前記客の識別情報と、前記増加量取得手段により取得した増加量に基づく前記商品の取り消しに係る情報とを、前記販売管理装置に出力する、
[2]記載の販売支援装置。
[4]
前記陳列部の位置を基準として定められたエリア内に居る客を追跡する追跡手段、
をさらに具備し、
前記特定手段は、前記エリア内に居る客の中で前記重量が減少方向に変化した商品を前記陳列部から取り出す行為が可能な客を特定する、[1]記載の販売支援装置。
[5]
陳列部に陳列された商品の重量を計測する計測手段により計測される前記商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得し、
前記重量が減少方向に変化した商品を前記陳列部から取り出した客を特定し、
前記特定された前記客の識別情報と、前記減少量に基づく前記商品の販売に係る情報とを、前記販売に係る情報を前記客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置に出力する、
販売支援方法。
[6]
コンピュータを、
陳列部に陳列された商品の重量を計測する計測手段により計測される前記商品の重量が減少方向に変化した場合にその減少量を取得する減少量取得手段、
前記重量が減少方向に変化した商品を前記陳列部から取り出した客を特定する特定手段、及び、
前記特定手段により特定された前記客の識別情報と、前記減少量取得手段により取得した減少量に基づく前記商品の販売に係る情報とを、前記販売に係る情報を前記客の識別情報に関連付けて管理するための販売管理装置に出力する出力手段、
として機能させるための制御プログラム。
【符号の説明】
【0148】
1…棚、11…棚板、12…キャスタ、13…ハンドル、14…支持部材、2…追跡カメラ、3…監視カメラ、4…プロジェクタ、5…ユーザインタフェースユニット(UIユニット)、51…タッチパネル、52…リーダ、53…プロセッサ、54…メインメモリ、55…補助記憶ユニット、56…サウンドユニット、57…通信ユニット、58…伝送路、6…重量計、7…通信ユニット、8…什器内通信路、9…商品監視ユニット、91…プロセッサ、92…メインメモリ、93…補助記憶ユニット、94…通信ユニット、95…インタフェースユニット、96…伝送路、10…メイン処理ユニット、101…プロセッサ、102…メインメモリ、103…補助記憶ユニット、104…通信ユニット、105…インタフェースユニット、106…伝送路、100…店舗システム、110…陳列什器、120…販売管理装置、130…決済装置、140…通信ネットワーク。