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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20241209BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241209BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241209BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/38 206
B41J29/00 H
B41J29/38 301
G03G21/00 500
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021008889
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112883
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 慎
(72)【発明者】
【氏名】江田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】志村 嘉洋
(72)【発明者】
【氏名】大田 雄也
(72)【発明者】
【氏名】今野 留美
(72)【発明者】
【氏名】清田 優子
(72)【発明者】
【氏名】山内 悠雅
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-132966(JP,A)
【文献】特開2012-236281(JP,A)
【文献】特開2018-126868(JP,A)
【文献】特開2013-186435(JP,A)
【文献】特開2018-089869(JP,A)
【文献】特開2020-104384(JP,A)
【文献】特開2019-093550(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0133721(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段から出力されたシート上の画像を検査する検査手段と、
ユーザに情報を表示する表示画面を有し、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記検査手段によりシートの画像を検査するモードとして、
前記検査手段がシートを正常であると判定した場合は正常と判定された正常シートを第1の排出先に排出し、前記検査手段がシートを正常でないと判定した場合は正常でないと判定された不良シートを前記第1の排出先とは別の第2の排出先に排出し、且つ、該不良シートに後続するシートについては前記検査手段による検査結果に基づいて排出先を決定する第1モードと、
前記検査手段がシートを正常であると判定した場合は正常と判定された正常シートを前記第1の排出先に排出し、前記検査手段がシートを正常でないと判定した場合は正常でないと判定された不良シート及び該不良シートに後続するシートを前記第2の排出先に排出して、該不良シートに対応する画像から画像形成を再開する第2モードと、
を含む複数のモードを選択的に実行可能であり、
前記操作部は、複数のシートを1つの束として綴じる綴じ処理を設定するためのボタンを含む設定画面を前記表示画面に表示可能であり、
前記操作部は、前記第1モードが選択されている場合は、前記ボタンを選択できない状態の前記設定画面を表示し、前記第2モードが選択されている場合は、前記ボタンを選択できる状態の前記設定画面を表示することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記操作部は、前記第1モードが選択されている場合は、前記設定画面に前記ボタンを表示しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段から出力されたシート上の画像を検査する検査手段と、
ユーザに情報を表示する表示画面を有し、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記検査手段によりシートの画像を検査するモードとして、
前記検査手段がシートを正常であると判定した場合は正常と判定された正常シートを第1の排出先に排出し、前記検査手段がシートを正常でないと判定した場合は正常でないと判定された不良シートを前記第1の排出先とは別の第2の排出先に排出し、且つ、該不良シートに後続するシートについては前記検査手段による検査結果に基づいて排出先を決定する第1モードと、
前記検査手段がシートを正常であると判定した場合は正常と判定された正常シートを前記第1の排出先に排出し、前記検査手段がシートを正常でないと判定した場合は正常でないと判定された不良シート及び該不良シートに後続するシートを前記第2の排出先に排出して、該不良シートに対応する画像から画像形成を再開する第2モードと、
を含む複数のモードを選択的に実行可能であり、
前記操作部は、複数のシートを1つの束として綴じる綴じ処理を設定するためのボタンを含む設定画面を前記表示画面に表示可能であり、
前記第1モードが選択され、且つ、前記操作部により前記綴じ処理が設定されている場合は、前記綴じ処理を含むジョブを中止し、前記第2モードが選択され、且つ、前記操作部により前記綴じ処理が設定されている場合は、前記綴じ処理を含むジョブの実行を許容することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
記綴じ処理を含むジョブの実行を中止する場合は、少なくとも前記画像形成手段による画像形成動作を中止することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
記綴じ処理を含むジョブの実行を中止する場合は、その旨を報知することを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第1の排出先は、前記シート上の画像が読み取られる位置よりも下流に配置されたスタッカに備えられることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第2の排出先は、前記シート上の画像が読み取られる位置よりも下流に配置された後処理装置であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記第2の排出先は、前記スタッカに備えられることを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを検査する機能を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を印刷したシートを検査する機能を備える画像形成システムが知られている。シートの検査では、搬送されたシートの画像を検査装置が読み取り、読み取られた画像の解析によりシートが正常であるか否かが判定される。検査装置は、例えばバーコードや罫線の欠け、画像抜け、印刷不良、ページ抜け、色ずれなどを検出することが可能である。検査したシートが正常でない「不良シート」であると判定された場合には、当該不良シートは正常シートが排出される排出先とは別の排出先に排出される。これにより不良シートが正常シートに混入することが防がれ、オペレータが不良シートを廃棄することが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-126868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、不良シートが発生した場合の排出等の処理については複数考えられる。例えば、第1の方法として、不良シートのみを別の排出先に排出すると共に、ジョブにおける後続シートの印刷動作を継続する方法が考えられる。また、第2の方法として、正常シートは正常シート用の排出先に排出し、不良シートおよび当該不良シートより後の給紙済みのシートを別の排出先に排出する方法が考えられる。この第2の方法では、ジョブにおける給紙済みの全てのシートの排出が完了した後、不良シートに対応する時点からジョブ動作が再開されるとする。そして、これら2つの方法をユーザが選択できるようにすることが考えられる。
【0005】
一方、画像形成システムにおいては、中綴じ製本処理やステイプル処理など、複数のシートを綴じる処理が実施される場合がある。このような綴じる処理を含むジョブを、上記第1方法で処理した場合、正常シートは正常シート用の排出先に排出され、不良シートは別の排出先に排出される。しかし、不良シートの後続のシートからジョブが継続されるため、正常シートだけの束が成果物として得られる。すなわち、不良シートに対応するページ(一部のシート)が抜けた束が成果物として出力されてしまう。このような場合は、ユーザが望む成果物を提供できない。
【0006】
本発明は、一部のシートが抜けた束が綴じられた成果物として出力されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段から出力されたシート上の画像を検査する検査手段と、ユーザに情報を表示する表示画面を有し、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、を備え、前記検査手段によりシートの画像を検査するモードとして、前記検査手段がシートを正常であると判定した場合は正常と判定された正常シートを第1の排出先に排出し、前記検査手段がシートを正常でないと判定した場合は正常でないと判定された不良シートを前記第1の排出先とは別の第2の排出先に排出し、且つ、該不良シートに後続するシートについては前記検査手段による検査結果に基づいて排出先を決定する第1モードと、前記検査手段がシートを正常であると判定した場合は正常と判定された正常シートを前記第1の排出先に排出し、前記検査手段がシートを正常でないと判定した場合は正常でないと判定された不良シート及び該不良シートに後続するシートを前記第2の排出先に排出して、該不良シートに対応する画像から画像形成を再開する第2モードと、を含む複数のモードを選択的に実行可能であり、前記操作部は、複数のシートを1つの束として綴じる綴じ処理を設定するためのボタンを含む設定画面を前記表示画面に表示可能であり、前記操作部は、前記第1モードが選択されている場合は、前記ボタンを選択できない状態の前記設定画面を表示し、前記第2モードが選択されている場合は、前記ボタンを選択できる状態の前記設定画面を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一部のシートが抜けた束が綴じられた成果物として出力されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成システムの概略装置構成および制御構成を示すブロック図である。
図2】プリンタエンジンの概略構成を示す断面図である。
図3】シート画像を検査装置が検査する様子を表す模式図である。
図4】第1、第2モードの動作概要、排紙状態を示す模式図である。
図5】排紙モード設定画面の例を示す図である。
図6】通常のジョブ設定画面の例を示す図である。
図7】第1モードが設定された場合のジョブ設定画面の例を示す図である。
図8】ジョブ指定処理を示すフローチャートである。
図9】ジョブ処理を示すフローチャートである。
図10】エラー処理を示すフローチャートである。
図11】エラー画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの概略装置構成(ハードウェア)および制御構成を示すブロック図である。この画像形成システム1000は、主として印刷装置100、ホストコンピュータ101および検査装置150から構成されている。印刷装置100、ホストコンピュータ101および検査装置150は、それぞれ通信回線105によって互いに接続されている。ホストコンピュータ101、印刷装置100、検査装置150は、それぞれ1台としたが、複数台設置することもできる。
【0012】
ホストコンピュータ101は、不図示の入力装置によるユーザからの入力情報を取得し、プリントジョブを作成して印刷装置100へ送信する。印刷装置100は、コントローラ110、操作パネル120およびプリンタエンジン130を有する。プリンタエンジン130は、カメラユニット230を備えている。コントローラ110は、各種データ処理を行い、印刷装置100の動作を制御する。ここではコントローラ110が、印刷装置100に内蔵されるようにしたが、コントローラ110を印刷装置100に対して独立に設け、通信回線によって接続された構成とすることもできる。
【0013】
操作パネル120は、例えば、タッチパネル方式でユーザからの各種操作を受け付け、且つ、各種情報をユーザに対して表示する操作パネルである。プリンタエンジン130は、コントローラ110により制御され、生成した画像データを印刷用紙であるシートに物理的に印刷する。プリンタエンジン130については、図2で詳細に説明する。
【0014】
検査装置150は、カメラユニット230によって撮影されたシートの撮影画像を用いて画像検査する装置である。検査装置150は、通信回線105に接続され、ホストコンピュータ101から検査項目設定や比較元画像などを受け取る。
【0015】
次に、コントローラ110の構成について説明する。コントローラ110は、ネットワーク通信コントローラ111、不揮発メモリ112、RAM113、CPU114、HDD115および通信ポート116を備えており、各モジュールはそれぞれシステムバス117を介して相互に接続されている。ネットワーク通信コントローラ111は、通信回線105に接続された外部ネットワークとの通信制御を行う。不揮発メモリ112は、不揮発性の記憶装置であり、起動時の制御プログラムなどを記憶している。RAM113は、各種制御プログラムを読み出して記録する。CPU114は、RAM113に読み出された制御プログラムを実行し、画像信号や各種デバイスを統括的に制御する。HDD115は、画像データや各種設定データなどの大容量のデータを一時的または長期的に保持する。通信ポート116は、検査装置150から検査結果を示す電気信号を受信するためのポートである。
【0016】
システムバス117は、コントローラ110と、印刷装置100内の各デバイスとを互いに接続する。なお、RAM113は、CPU114の主メモリ、ワークメモリとしても機能する。また、制御プログラム及びオペレーティングシステムは、不揮発メモリ112の他にもHDD115にも格納される場合がある。また、図示しないNVRAMを備え、該NVRAMによって操作パネル120からの印刷装置のモード設定情報を記憶するようにしてもよい。
【0017】
図2は、印刷装置100のプリンタエンジン130の概略構成を示す断面図である。プリンタエンジン130は、主に画像形成ユニット200、画像定着ユニット210、インサータ220、カメラユニット230、スタッカ240、およびフィニッシャ(後処理装置)250のそれぞれが有する構成要素により実現される。シート搬送方向における最上流に画像形成ユニット200が配置され、最下流にフィニッシャ250が配置されている。
【0018】
画像形成ユニット200および画像定着ユニット210が画像形成手段を構成する。画像形成ユニット200は、4つの現像ステーション204~207、その下方に配置された中間転写ベルト208、シート搬送パス203、および、給紙デッキ201、202を備えている。中間転写ベルト208とシート搬送パス203とが接触する位置に2次転写ローラが配置されており、ここが2次転写位置209となる。
【0019】
給紙デッキ201、202は、それぞれ各種シートを収容する。給紙デッキ201、202は、それぞれ収容されたシート束の最上部のシートを1枚ずつ分離してシート搬送パス203へ搬出する。現像ステーション204~207は、それぞれ、例えば、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の有色トナーを用いてトナー像を形成する。形成されたトナー像はそれぞれ、中間転写ベルト208に一次転写され、重畳されたカラー画像が形成される。
【0020】
中間転写ベルト208は、図2の時計回りに回転し、中間転写ベルト208に転写されたトナー像は、シート搬送パス203から搬送されてきたシートへ2次転写位置209で転写される。トナー像が転写されたシートは、下流側の画像定着ユニット210へ搬出される。
【0021】
画像定着ユニット210は、シートに転写されたトナー画像を当該シートに定着する。画像定着ユニット210は、画像形成ユニット200のシート搬送パス203に接続されたシート搬送パス214と、シート搬送パス214に設けられた第1の定着ユニット211及び第2の定着ユニット213を備えている。
【0022】
画像定着ユニット210は、また、第1の定着ユニット211の下流側で分岐され、第2の定着ユニット213をバイパスするシート搬送パス212を備えている。また、画像定着ユニット210は、シート搬送パス214の下流側のシート搬送パス215、、シート搬送パス214から分岐したシート反転パス216、および、シート反転パス216に接続された両面搬送パス217を備えている。定着ユニット211、213はいずれも、加圧ローラおよび加熱ローラを備え、ローラ間をシートが通過するとき、トナーを溶融・圧着することによってシートにトナー像を定着させる。
【0023】
画像形成ユニット200から搬入され、第1の定着ユニット211でトナー像が定着されたシートは、シート搬送パス212を通ってシート搬送パス215へと搬送される。シートの種類によって定着のためにさらに溶融・圧着が必要な場合は、シートは第1の定着ユニット211を通過した後、第2の定着ユニット213へと搬送され、追加の溶融・圧着が施される。その後、シートはシート搬送パス214を通ってシート搬送パス215へと搬送される。
【0024】
画像形成モードが両面印刷モードである場合、シートは、シート反転パス216へ搬入され、当該シート反転パス216で表裏反転された後、両面搬送パス217へ搬送され、その後、2次転写位置209まで搬送され、ここで2面目に画像が転写される。
【0025】
画像定着ユニット210の下流側に配置されたインサータ220は、シート搬送パスに新たな(挿入用の)シートを挿入するためのユニットである。インサータ220は、インサータトレイ221およびインサータパス222を備えている。インサータ220は、画像定着ユニット210のシート搬送パス215に接続されたシート搬送パス223に、インサータトレイ221からインサータパス222を介してシートを合流させる。これにより、画像定着ユニット210から搬入される一連のシート群に、任意の位置で新たなシートを挿入させて後続装置へ搬送することが可能となる。インサータトレイ221は、一連のシート群に挿入するためのシートを収容する。
【0026】
インサータ220を通過したシートは、インサータ220の下流側に配置されたカメラユニット230へ搬送される。カメラユニット230は、インサータ220のシート搬送パス223に接続されたシート搬送パス233、および、シート搬送パス233の上下に互いに対向するように設けられたカメラ231、232を備えている。カメラ231はシートの上面を読み取るためのカメラであり、カメラ232はシートの下面を読み取るためのカメラである。カメラユニット230は、シート搬送パス233に搬入されたシートが所定の位置に到達したタイミングで、カメラ231、232を用いてシート上の画像を読み取り、読み取ったシート画像を図示しない検査装置150(図1参照)へ送る。
【0027】
カメラユニット230の下流側に配置されたスタッカ240は、大容量のシートを積載することができる大容量スタッカである。スタッカ240は、シート搬送パス244、245、247、248、249、および、シートを積載するトレイとしてのスタックトレイ241を有する。スタックトレイ241は、リフトテーブル242と、イジェクトテーブル243とを有する。
【0028】
カメラユニット230を通過したシートは、シート搬送パス244を経てスタッカ240に搬入される。スタッカ240に搬入されたシートは、シート搬送パス244からシート搬送パス245を経由してスタックトレイ241のリフトテーブル242に積載される。シート束が積載されていない状態のリフトテーブル242は、図2中、上側の位置にある。リフトテーブル242は、シート束の積載が進むとシート束の高さ分だけ下降し、常に積載するシート束の上端が一定の高さになるように制御される。
【0029】
シート束の積載が完了するか満積載になった場合、リフトテーブル242は、イジェクトテーブル243の位置まで下降する。リフトテーブル242とイジェクトテーブル243とは、シート束を支持するバーが互い違いの位置に存在するように構成されている。このため、リフトテーブル242が下降してイジェクトテーブル243より低い位置に到達した時点で、シート束はイジェクトテーブル243に積み替えられた状態となる。
【0030】
また、スタッカ240は、排紙トレイとしてのエスケープトレイ246を有する。エスケープトレイ246は、検査装置150によって、正常でないと判定されたシート(以下、不良シートと称する)を排出するために使用されるトレイである。つまり、エスケープトレイ246は、不良シートの排出先となる。なお、不良シートとは、シートに転写された画像が、シートに本来形成されるべき画像とは異なる画像となったシートである。例えば、バーコード等の画像の一部が欠落したシートや、印刷内容が本来形成されるべき画像とは異なったシートが含まれる。
【0031】
検査済みのシートの排出先は、フラッパ259、260によって切り替えられる。不良シートは、シート搬送パス244からシート搬送パス247を経由してエスケープトレイ246へ搬送される。また、スタッカ240の下流側に設けられたフィニッシャ250へシートを搬送する場合には、シート搬送パス248を経由してシートが搬送される。シートを反転するための反転部249は、シート搬送パス244に接続されている。
【0032】
反転部249は、シートをスタックトレイ241に積載する場合に使用される。すなわち、シートがスタックトレイ241に積載される場合は、シートがリフトテーブル242上にフリップして積載されるメカニカルな構成となっているため、シートの上下の向きが逆になる。このため、入力時点でのシートの向きと出力時点でのシートの向きを同じにする必要がある場合は、スタックトレイ241に積載する前に反転部249で一度シートが反転される。シートをエスケープトレイ246や、後続のフィニッシャ250へ搬送する場合は、積載時にフリップせずにそのままシートが排出されるので、反転部249での反転動作は行われない。
【0033】
スタッカ240の下流側に配置されたフィニッシャ250は、搬送されてきたシートに対し、ユーザによって指定された機能に応じてフィニッシング処理を加えるための後処理装置である。フィニッシャ250は、例えば、ステイプル処理(1個所・2箇所綴じ)、パンチ処理(2穴・3穴)、中とじ製本処理等のフィニッシング機能を有する。
【0034】
フィニッシャ250は、スタッカ240のシート搬送パス248に接続されたシート搬送パス253、254、257と、排紙トレイ251、252と、中とじ製本トレイ258とを備えている。フィニッシャ250に搬入されたシートは、例えば、シート搬送パス253を経由して排紙トレイ251に排出される。ただし、シート搬送パス253ではステイプル等のフィニッシング処理は行われない。ステイプル等のフィニッシング処理を行う場合は、シートは、シート搬送パス254を経由して処理部255に搬入される。処理部255に搬入されたシートに対し、ユーザによって指定されたフィニッシング処理が施され、その後、シートは、排紙トレイ252へ排出される。
【0035】
排紙トレイ251、252は、それぞれ昇降可能であり、排紙トレイ251を下降させ、処理部255でフィニッシング処理を施したシートを排紙トレイ251へ積載するように動作することも可能である。中とじ製本処理が指定された場合は、中とじ処理部256で、シート中央にステイプル処理が施され、その後、シートが二つ折りされ、シート搬送パス257を経由して中とじ製本トレイ258へ出力される。中とじ製本トレイ258は、ベルトコンベア構成になっており、中とじ製本トレイ258上に積載された中とじ製本束は、図2の左向に向けて搬出される。
【0036】
検査装置150は、予め設定された検査項目に従い、送られてきたシート画像を検査する。検査項目は種々あるが、ここでは一例として、バーコード可読検査と表裏照合検査を行う例を説明する。
【0037】
図3(a)、(b)は、送信されたシート画像を検査装置150が検査する様子を表す模式図である。図3(a)に示すシート画像401は、シート上面を読み取ったシート画像、つまりカメラ231によって撮影された画像である。図3(b)に示すシート画像402は、シート下面を読み取ったシート画像、つまりカメラ232によって撮影された画像である。図3(a)、(b)中、検査エリア410、421、422は、検査の対象となる検査エリアである。
【0038】
まず、検査装置150は、検査エリア410内に存在するバーコードが可読か否かを判定する。そして検査装置150は、可読であった場合はバーコードが正常に印刷され、不可読であった場合はバーコードの印刷に不良があると判定する。
【0039】
次に、検査装置150は、OCR(Optical Character Recognition)によって、検査エリア421、422に含まれる数値を文字データとして抽出する。ここで印刷が正常に行われた場合には、シートの表裏(上面と下面)で同じ数値が印字されるように印刷ジョブのオリジナルデータが構成されているものとする。これによりシートの表裏に意図通りの印刷がされているかどうかを判定することができる。検査エリア421、422から抽出した数値が同じである場合には印刷が正常であり、異なる場合には印刷に不良があると判定される。
【0040】
検査装置150はこれらの検査を行い、いずれかの検査で印刷に不良があると判定された場合には、当該シートを「不良シート」と判定し、いずれの検査においても不良が検出されなかった場合には当該シートを「正常シート」と判定する。
【0041】
検査装置150はこの他にも、シート印字位置検査、シート重複検査、シート抜け検査、色ずれ検査、色味検査、読み取った画像とオリジナルデータとのフル画像比較検査など、様々な検査が可能である。しかし採用される検査内容はこれらに限定されない。なお、検査装置150に対する前述の検査エリアや検査内容の設定は、通信回線105を通じてホストコンピュータ101などから設定される。フル画像比較検査が行われる場合には、検査装置150は比較元画像をホストコンピュータ101などから受け取る。また別の構成として、検査装置150が操作部を有し、ユーザが当該操作部から検査エリアや検査内容を設定可能な構成としてもよい。
【0042】
検査されたシートを排出する排紙モード(排出モード)について、図4図5で説明する。排紙モードには、第1モードと第2のモードとがある。第1モードは、正常シートを第1の排出先に排出すると共に、不良シートのみを第2の排出先に排出するモードである。第2モードは、正常シートを第1の排出先に排出すると共に、不良シートおよびそれより後のシート(不良シートの後続シートの全て)を第2の排出先に排出するモードである。なお、第2モードにおいて第2の排出先へ排出されるのは、不良シートおよびそれより後のシートのうち、給紙済みのシートに限定してもよい。
【0043】
いずれの排紙モードにおいても、正常シートは第1の排出先に排出され、不良シートは、第1の排出先とは別の排出先である第2の排出先に排出される。ここで説明する例では、第1の排出先は、スタッカ240のリフトテーブル242であるとする。第2の排出先はエスケープトレイ246であるとする。なお、第2の排出先はフィニッシャ250であってもよい。第1の排出先または第2の排出先の少なくとも一方を、設定手段としての操作パネル120を介してユーザが選択できるようにしてもよい。
【0044】
図4(a)、(b)はそれぞれ、第1モードの動作概要、排紙状態を示す模式図である。図4(c)、(d)はそれぞれ、第2モードの動作概要、排紙状態を示す模式図である。
【0045】
各排紙モードでは、図4(a)、(c)に示すように、各シートに対して検査装置150による画像検査が行われる。図4(a)、(c)中の斜め下向きの矢印は、シートが正常シートと判定されたため、リフトテーブル242に排出されることを示している。図4(a)、(c)中の斜め上向きの矢印は、シートが不良シートと判定されたたため、不良シートおよびその後続シートがエスケープトレイ246に排出されることを示している。
【0046】
図4(a)に示す例では、1~3枚目と5枚目のシートが正常シート、4枚目が不良シートである。第1モードでは、不良シートが発生するとそれがエスケープトレイ246に排出されるが、ジョブは継続される。従って、例えば図4(a)に示す例のように、ジョブにおける5枚のシートのうち4枚目のシートのみが不良シートと判定された場合、図4(b)に示すように、1,2,3,5枚目の正常シートはリフトテーブル242へ排出される。一方、4枚目の不良シートはエスケープトレイ246に排出され、その状態でジョブが終了する。この場合、リフトテーブル242に積載された成果物には4枚目のシートが含まれない。つまり、得られる成果物は、4枚目のシートが抜けたシート束であり、ユーザが求める成果物とは異なったものとなる(図4(b))。
【0047】
図4(c)に示す例では、1~3枚目のシートが正常シート、4枚目のシートが不良シートである。第2モードでは、不良シートが発生するとそれがエスケープトレイ246に排出されると共に、不良シート以降のシート(後続の全シート)は検査されることなくエスケープトレイ246に排出される。また、第2モードでは、ジョブにおける全てのシートの排出が完了した後、不良シートに対応する時点からジョブ動作が再開される。第2モードで不良シートが発生した場合、ジョブにおける全シートが排出された後、ジョブが自動的に再開される。あるいは、ジョブは、再実行の指示により再開されるようにしてもよい。
【0048】
図4(c)に示す例では、5枚目のシートは検査されないため、排出先に関しては不良シートと同様に扱われる。また、ジョブ再開後の4、5枚目のシートは正常シートである。
【0049】
このように、ジョブの再開により、不良シート以降のシートが正常シートと判定されれば、リフトテーブル242に積載される。従って、1回目のジョブにおいて例えば4枚目のシートが不良シートと判定された場合においても、最終的にはリフトテーブル242に、1~5枚の全てのシートが揃った状態となる。つまり、得られる成果物は、シートの抜けがない、ユーザが求める成果物と一致したものとなる(図4(d))。
【0050】
図5は、排紙モード設定画面の例を示す図である。この排紙モード設定画面450は、ホストコンピュータ101または操作パネル120に表示される。従って、ユーザは、排紙モードを、ホストコンピュータ101または操作パネル120を介して設定することができる。排紙モード設定画面450には、第1モード設定ボタン451と第2モード設定ボタン452とがある。ユーザは、いずれかのボタンを選択した状態で、決定ボタン453を押下することで、排紙モードを設定できる。設定された排紙モードは不揮発メモリ112に記憶される。
【0051】
図6は、通常のジョブ設定画面の例を示す図である。実行するジョブは、ユーザによって操作パネル120を介して指定される。ユーザがジョブを指定したい場合、ジョブ設定画面へ移行するための所定の操作を行ったことに応じて、操作パネル120にジョブ設定画面500が表示される。ジョブ設定画面500を通じてユーザが入力した情報をもとにプリンタジョブが生成される。ジョブ設定画面500には、束後処理設定ボタン501が表示される。束後処理設定ボタン501は、押下操作されることで、束後処理を有効にするためのボタンである。束後処理は、製本処理やステイプル処理など、複数のシートを1つの束として扱う処理である。本実施の形態では、束後処理として、複数のシートを1つの束として綴じる綴じ処理を例示する。束後処理を適用したい場合、ユーザは、束後処理設定ボタン501を押下することで、束後処理を含むジョブを生成させることができる。
【0052】
図7は、排紙モードとして第1モードが設定された場合に表示されるジョブ設定画面の例を示す図である。このジョブ設定画面700は、通常のジョブ設定画面500から束後処理設定ボタン501を非表示に(マスク)したものに相当する。排紙モードとして第1モードが設定された場合、束後処理設定ボタン501が表示されないので、ユーザは、束後処理を含むジョブを指定することができない。
【0053】
次に、図8で、ジョブ指定処理において、ジョブ設定画面に束後処理設定ボタン501を表示するかどうかを制御する処理を説明する。
【0054】
図8は、ジョブ指定処理を示すフローチャートである。この処理は、不揮発メモリ112またはHDD115に格納されたプログラムをCPU114がRAM113に展開して実行することにより実現される。この処理は、印刷装置100の電源が入れられると開始される。この処理において、CPU114は、本発明における制御手段としての役割を果たす。
【0055】
まず、ステップS101で、CPU114は、ユーザからの、ジョブ設定画面へ移行するための所定の操作があるまで待機し、所定の操作があると、ステップS102に進む。ステップS102では、CPU114は、検査装置150に対する前述した検査エリアや検査内容の設定に応じて、指定すべきジョブが、シートの検査を実施する検品ジョブであるか否かを判別する。
【0056】
ステップS102での判別の結果、指定すべきジョブが検品ジョブでない場合は、CPU114は、ステップS105で、操作パネル120にジョブ設定画面500(図6)を表示させる。従って、束後処理設定ボタン501は表示される。検品ジョブでないジョブの場合は、成果物から一部のシートが抜けるおそれがないからである。
【0057】
ステップS102での判別の結果、指定すべきジョブが検品ジョブである場合は、CPU114は、ステップS103で、不揮発メモリ112を参照し、設定されている排紙モードが第1モードであるか否かを判別する。そして、設定されている排紙モードが第1モードでなく第2モードである場合は、CPU114は、ステップS105を実行する。従って、束後処理設定ボタン501を含むジョブ設定画面500が表示される。これは、検品ジョブであっても成果物から一部のシートが抜けるおそれがないからである。
【0058】
ステップS103での判別の結果、設定されている排紙モードが第1モードである場合は、CPU114は、ステップS104で、操作パネル120にジョブ設定画面700(図7)を表示させる。従って、束後処理設定ボタン501は表示されない。つまり、CPU114は、束後処理を含むジョブを指定できないように、指定手段としての操作パネル120を制御する。これにより、束後処理を含む検品ジョブが第1モードで動作することなくなるので、成果物から一部のシートが抜けることが回避される。ステップS104、S105の後、CPU114は、図8に示す処理を終了する。
【0059】
本実施の形態によれば、CPU114は、第1モードが設定された場合、束後処理を含むジョブを指定できないように制御する(S104、図7)。これにより、一部のシートが抜けた束が綴じられた成果物として出力されないようにすることができる。
【0060】
一方、CPU114は、第2モードが設定された場合、束後処理を含むジョブを指定できるように制御する(S105、図6)。また、第2モードでは、ジョブにおける全てのシートの排出が完了した後、不良シートに対応する時点からジョブ動作が再開される。従って、第2モードでは束後処理の指定を可能とすると共に、再印刷によりシートの抜けがない成果物の出力を実現することができる。
【0061】
また、CPU114は、束後処理を含むジョブを指定できるように制御する場合は、ジョブ設定画面500(図6)に束後処理設定ボタン501を表示させる。一方、CPU114は、束後処理を含むジョブを指定できないように制御する場合は、ジョブ設定画面700(図7)に束後処理設定ボタン501を表示させない。これにより、ユーザが誤って束後処理を含むジョブを指定することを確実に防止すると共に、当該ジョブを指定できないことを認識させることができる。
【0062】
なお、第1モードが設定された場合に束後処理を含むジョブを指定できないように制御する手法は、束後処理設定ボタン501を表示させない方法に限定されない。例えば、このようなジョブの指定が入力されてもその指定を受け付けない(またはキャンセルする)と共に、その旨を報知するようにしてもよい。
【0063】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、ジョブを指定する段階で、第1モードが設定されている場合に、束後処理を含むジョブの指定が禁止された。これに対し、本発明の第2の実施の形態では、束後処理を含む検品ジョブが指定された場合に、第1モードでのジョブの実行が中止(禁止)されるように制御される。本実施の形態におけるその他の基本的な構成は第1の実施の形態と同様である。
【0064】
図9は、ジョブ処理を示すフローチャートである。この処理は、不揮発メモリ112またはHDD115に格納されたプログラムをCPU114がRAM113に展開して実行することにより実現される。この処理は、ジョブが投入されると開始される。この処理において、CPU114は、本発明における制御手段としての役割を果たす。
【0065】
本実施の形態では、検査装置150の操作部から検査エリアや検査内容を設定可能であり、ホストコンピュータ101が検査エリアや検査内容の設定を把握できないようなシステムを想定している。この場合は、ホストコンピュータ101ではなく、印刷装置100の判断で、束後処理を含むジョブが第1モードで実行されることを回避する必要がある。
【0066】
まず、ステップS200では、CPU114は、投入されたジョブが検品ジョブであるか否かを判別する。そして、投入されたジョブが検品ジョブでない場合は、CPU114は、ステップS211で印刷処理を実行すると共に、ステップS212でフィニッシャ250への排紙処理を実行する。ステップS213では、ジョブにおける次に処理すべきページがあるか否かを判別する。そしてCPU114は、次に処理すべきページがある場合は、処理をステップS211に戻し、次に処理すべきページがなくなると、図9に示す処理を終了する。従って、ステップS211~S212では、ジョブの全ページに関する印刷および排紙処理が実施される。
【0067】
ステップS200での判別の結果、投入されたジョブが検品ジョブである場合は、CPU114は、ステップS201で、投入されたジョブが束後処理を含むか否かを判別する。そして、投入されたジョブが束後処理を含まない場合は、成果物から一部のシートが抜けるおそれがないため、CPU114は、処理をステップS203に進める。投入されたジョブが束後処理を含む場合は、CPU114は、ステップS202で、不揮発メモリ112を参照し、設定されている排紙モードが第1モードであるか否かを判別する。
【0068】
そして、設定されている排紙モードが第1モードでなく第2モードである場合は、成果物から一部のシートが抜けるおそれがないため、CPU114は、処理をステップS203に進める。しかし、設定されている排紙モードが第1モードである場合は、成果物から一部のシートが抜けるおそれがあるため、CPU114は、ステップS220で、後述するエラー処理(図10)を実行する。
【0069】
CPU114は、ステップS203で、シートへの印刷処理を行い、ステップS204で、印刷したシートの画像に対する検査装置150による検査処理を実施する。ステップS205では、CPU114は、検査装置150による画像検査の結果、検査したシートが不良シートであるか否かを判別する。そして、検査したシートが不良シートでなく正常シートである場合は、CPU114は、ステップS210で、当該シートをフィニッシャ250へ排出し、処理をステップS214に進める。なお、本実施の形態では、第1の排出先としてフィニッシャ250を例示するが、第1の実施の形態と同様に、スタッカ240のリフトテーブル242としてもよい。
【0070】
ステップS214では、CPU114は、処理すべき次のシートがなくなったか否かを判別する。そしてCPU114は、処理すべき次のシートがあれば処理をステップS203に戻す。処理すべき次のシートがなくなった場合は、CPU114は、図9に示す処理を終了する。
【0071】
ステップS205での判別の結果、検査したシートが不良シートである場合は、CPU114は、ステップS206で、不揮発メモリ112を参照し、設定されている排紙モードが第1モードであるか否かを判別する。そして、排紙モードが第1モードである場合は、CPU114は、ステップS207で、不良シートを、第2の排出先であるスタッカ240のエスケープトレイ246に排出し、処理をステップS214に進める。排紙モードが第1モードでなく第2モードである場合は、CPU114は、ステップS208で、不良シートおよびそれより後のシート(不良シートの後続シートの全て)をスタッカ240のエスケープトレイ246に排出する。この場合、不良シートの後続シートについては、印刷や検査が実施されずにエスケープトレイ246に排出される。従って、最初に発生した不良シートとそれより後のシートの全てがエスケープトレイ246に排出される。ステップS209では、CPU114は、不良シートに対応する時点からジョブ動作を再開し、処理をステップS214に進める。
【0072】
図10は、図9のステップS220で実行されるエラー処理を示すフローチャートである。この処理へ移行するのは、束後処理を含む検品ジョブが投入され且つ、第1モードが設定されている場合である。仮に、この場合に印刷処理および検査処理を実行すると、不良シートが除かれることから、一部のページが抜けた束が成果物として出力されるおそれがある。これはユーザが望まない成果物である。そこで、当該ジョブを中止するためにCPU114はエラー処理を行う。
【0073】
ステップS300では、CPU114は、搬送動作、画像形成動作、定着動作を含む全動作を停止する。ステップS301では、CPU114は、報知処理を実行し、図10に示す処理を終了する。具体的には、CPU114は、操作パネル120に図11に例示するエラー画面900を表示させる。これにより、ユーザに、ジョブを実行できない旨を知らせることができる。なお、エラー処理が実施された場合は、ユーザが印刷装置100の電源をOFFし、その後、電源をONにすることでエラーが解除される。
【0074】
本実施の形態によれば、第1モードが設定され、且つ、束後処理を含むジョブが指定された場合、CPU114は、当該ジョブの実行を中止するよう制御する(図10)。これにより、一部のシートが抜けた束が綴じられた成果物として出力されないようにすることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。一方、CPU114は、第2モードが設定された場合、束後処理を含むジョブであっても実行する(S203)。すなわち、CPU114は、第2モードが設定され且つ、束後処理を含むジョブが指定された場合、当該ジョブの実行を許可するよう制御する。
【0075】
また、CPU114は、束後処理を含むジョブの実行を中止する場合は、画像形成動作を含む全動作を中止するので、印刷処理やシートの無駄を抑制することができる。束後処理を含むジョブの実行を中止する場合は、その旨が報知されるので、第1モードでは今回のジョブが実行されないことをユーザに知らせることができる。
【0076】
また、第2モードでは、ジョブにおける全てのシートの排出が完了した後、不良シートに対応する時点からジョブ動作が再開されるので、再印刷によりシートの抜けがない成果物の出力を実現することができる。
【0077】
なお、束後処理を含むジョブの第1モードでの実行を中止するよう制御するためには、少なくとも画像形成ユニット200による画像形成動作を中止させてもよい。
【0078】
なお、上記各実施の形態において、検査装置150と印刷装置100とを一体に構成してもよく、例えば、検査装置150の機能を印刷装置100内に設けてもよい。例えば、検査手段としての検査装置150は、プリンタエンジン130に含まれてもよい。従って、カメラ231、232は検査装置150の一部を構成してもよい。印刷装置100が画像形成装置と呼称されてもよい。あるいは、画像形成システム1000が画像形成装置と呼称されてもよい。
【0079】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
114 CPU
120 操作パネル
150 検査装置
200 画像形成ユニット
230 カメラユニット
242 リフトテーブル
246 エスケープトレイ
250 フィニッシャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11