(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】レドックスフロー電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20241209BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20241209BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241209BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/0258
H01M8/04 N
(21)【出願番号】P 2021014838
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】境 君明
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-216994(JP,A)
【文献】特表2020-518951(JP,A)
【文献】特開2000-149975(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208431(WO,A1)
【文献】特開2020-183711(JP,A)
【文献】特開2011-131691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/18
H01M 8/02
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを、電解液
を収容可能
な電解液タンクに加工
する工程を含み、
前記電解液タンクは、
前記電解液タンクの内部に設けられ、正極または負極の一方の電解液が収容される第1収容部と、正極または負極の他方の電解液が収容される第2収容部とを区分する第1隔壁
と、
前記第1収容部および前記第2収容部の各々において設けられ、前記電解液タンク内に電解液を送入する入口と、
前記第1収容部および前記第2収容部の各々において設けられ、前記電解液タンク外に電解液を送出する出口と、
を有し、
前記第1隔壁は、前記入口から前記出口に至る電解液の流路の流路断面積を小さくするように設置される、
レドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項2】
既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを、電解液
を収容可能
な電解液タンクに加工
する工程を含み、
前記電解液タンクは、
前記電解液タンクの内部に設けられ、正極または負極の一方の電解液が収容される第1収容部と、正極または負極の他方の電解液が収容される第2収容部とを区分する第1隔壁
と、
前記第1収容部および前記第2収容部の各々において設けられ、前記電解液タンク内に電解液を送入する入口と、
前記第1収容部および前記第2収容部の各々において設けられ、前記電解液タンク外に電解液を送出する出口と、
を有し、
前記第1隔壁は、前記入口から前記出口に至る電解液の流れに垂直に交差する断面を通過する流速が前記断面内で均一になるように設置される、
レドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項3】
前記電解液タンクは、前記第1収容部または前記第2収容部において、内部の一部を仕切る補助隔壁を有する請求項1または2に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項4】
前記入口または前記出口の一方が他方より多く設けられる請求項1から
3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項5】
前記第1隔壁は、前記第1収容部および前記第2収容部を同心円状に区分する請求項1から
4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項6】
前記第1隔壁は、前記第1収容部の容積と前記第2収容部の容積とが等しくなるように設置される請求項1から
5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項7】
前記電解液タンクは、前記第1収容部または前記第2収容部に対して、電解液の収容が可能な中空の第3収容部を区分する第2隔壁を内部に有する請求項1から
6のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項8】
前記電解液タンクは、底面部の一部を相対的に高くする底上げ部を有する請求項1から
7のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項9】
前記電解液タンクに収容される電解液の容量は、前記電解液タンクに収容される電解液の比重に対する元の燃料タンクに収容可能な燃料の比重の比、または、前記電解液タンクに収容される電解液の比重に対する元の原料タンクに収容可能な原料の比重の比を示す比重比に基づいて制限される請求項1から
8のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項10】
前記電解液タンクは、電解液に対して耐性を有し、前記電解液タンクの内面にコーティング処理されるコーティング材を備え、
前記コーティング材は、前記比重比に基づいて決定される前記電解液タンク内の液面の高さの上限値以上の高さまでコーティング処理される請求項
9に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【請求項11】
前記コーティング材は、着脱可能にコーティング処理される請求項
10に記載のレドックスフロー電池
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レドックスフロー電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、レドックスフロー電池における電解液を収容する電解液タンクの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レドックスフロー電池では、電解液タンクの容量が多くなるに従って電池容量を多くすることが可能であるため、大型の電解液タンクを設置することが望まれる。しかし、大型の電解液タンクを建設するには、労力やコストなどの負担が大きい。
【0005】
そこで、本発明は、電解液タンクを簡易に設置可能なレドックスフロー電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のレドックスフロー電池の製造方法は、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを、電解液を収容可能な電解液タンクに加工する工程を含み、電解液タンクは、電解液タンクの内部に設けられ、正極または負極の一方の電解液が収容される第1収容部と、正極または負極の他方の電解液が収容される第2収容部とを区分する第1隔壁と、第1収容部および第2収容部の各々において設けられ、電解液タンク内に電解液を送入する入口と、第1収容部および第2収容部の各々において設けられ、電解液タンク外に電解液を送出する出口と、を有し、第1隔壁は、入口から出口に至る電解液の流路の流路断面積を小さくするように設置される。
上記課題を解決するために、本発明のレドックスフロー電池の製造方法は、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを、電解液を収容可能な電解液タンクに加工する工程を含み、電解液タンクは、電解液タンクの内部に設けられ、正極または負極の一方の電解液が収容される第1収容部と、正極または負極の他方の電解液が収容される第2収容部とを区分する第1隔壁と、第1収容部および第2収容部の各々において設けられ、電解液タンク内に電解液を送入する入口と、第1収容部および第2収容部の各々において設けられ、電解液タンク外に電解液を送出する出口と、を有し、第1隔壁は、入口から出口に至る電解液の流れに垂直に交差する断面を通過する流速が断面内で均一になるように設置される。
【0008】
また、電解液タンクは、第1収容部または第2収容部において、内部の一部を仕切る補助隔壁を有するとしてもよい。
【0010】
また、入口または出口の一方が他方より多く設けられるとしてもよい。
【0011】
また、第1隔壁は、第1収容部および第2収容部を同心円状に区分するとしてもよい。
【0012】
また、第1隔壁は、第1収容部の容積と第2収容部の容積とが等しくなるように設置されるとしてもよい。
【0013】
また、電解液タンクは、第1収容部または第2収容部に対して、電解液の収容が可能な中空の第3収容部を区分する第2隔壁を内部に有するとしてもよい。
【0014】
また、電解液タンクは、底面部の一部を相対的に高くする底上げ部を有するとしてもよい。
【0015】
また、電解液タンクに収容される電解液の容量は、電解液タンクに収容される電解液の比重に対する元の燃料タンクに収容可能な燃料の比重の比、または、電解液タンクに収容される電解液の比重に対する元の原料タンクに収容可能な原料の比重の比を示す比重比に基づいて制限されるとしてもよい。
【0016】
また、電解液タンクは、電解液に対して耐性を有し、電解液タンクの内面にコーティング処理されるコーティング材を備え、コーティング材は、比重比に基づいて決定される電解液タンク内の液面の高さの上限値以上の高さまでコーティング処理されるとしてもよい。
【0017】
また、コーティング材は、着脱可能にコーティング処理されるとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電解液タンクを簡易に設置可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるレドックスフロー電池の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図5】
図5は、第4実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図6】
図6は、第5実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図7】
図7は、第6実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図8】
図8は、第7実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図9】
図9は、第8実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略図である。
【
図10】
図10は、第9実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略図である。
【
図11】
図11は、第10実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図12】
図12は、第11実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
【
図13】
図13は、第12実施形態にかかるレドックスフロー電池の概略図である。
【
図14】
図14は、第13実施形態のレドックスフロー電池の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるレドックスフロー電池1の構成を示す概略図である。レドックスフロー電池1は、セルスタック10、電解液タンク12、ポンプ14A、ポンプ14B、クーラー16A、クーラー16Bを含む。
【0023】
セルスタック10は、セル筐体20、イオン交換膜22、正極電極24および負極電極26を含む。セル筐体20は、中空の箱状に形成される。イオン交換膜22は、セル筐体20内を2分割するように設けられる。正極電極24は、セル筐体20内におけるイオン交換膜22で区分された一方側に収容される。負極電極26は、セル筐体20内におけるイオン交換膜22で区分された他方側に収容される。以後、セル筐体20内における正極電極24が収容されている方を正極室と呼び、セル筐体20内における負極電極26が収容されている方を負極室と呼ぶ場合がある。
【0024】
正極電極24および負極電極26は、電力変換装置30を介して電力系統32に接続される。セルスタック10は、電力系統32に接続される電源34で発電された電力によって充電が可能となっている。電力変換装置30は、セルスタック10の充電時において、電力系統32の交流電力を直流電力に変換してセルスタック10に供給する。また、セルスタック10は、蓄積した電力を電力系統32に放電することができる。電力変換装置30は、セルスタック10の放電時において、セルスタック10の直流電力を交流電力に変換して電力系統32に供給する。電力系統32に放電された電力は、電力系統32に接続される負荷36によって消費される。
【0025】
正極室には、正極の電解液が収容されており、負極室には、負極の電解液が収容されている。以後、正極の電解液および負極の電解液を総称して、単に電解液と呼ぶ場合がある。
図1のクロスハッチングは、電解液が収容されていることを示している。
【0026】
正極の電解液は、例えば、硫酸水溶液中に4価のバナジウムイオン(V4+)および5価のバナジウムイオン(V5+)を含む。負極の電解液は、例えば、硫酸水溶液中に3価のバナジウムイオン(V3+)および2価のバナジウムイオン(V2+)を含む。イオン交換膜22は、例えば、水素イオンの通過を許容し、硫酸水溶液およびバナジウムイオンの通過を遮断する。
【0027】
セルスタック10が放電する場合、正極電極24から電力系統32側に電流が流れる。つまり、この場合、正極電極24に電子が流入する。正極の電解液中の5価のバナジウムイオンは、正極電極24の電子と結合し、すなわち、正極電極24の電子によって還元され、4価のバナジウムイオンとなる。また、セルスタック10が放電する場合、負極電極26から電子が流出する。負極の電解液中の2価のバナジウムイオンは、負極電極26に電子を与え、すなわち、負極によって酸化され、3価のバナジウムイオンとなる。この酸化還元反応の際、負極の電解液中の水素イオンは、イオン交換膜22を通じて正極の電解液に移動する。これにより、電解液中の電荷のバランスが調整される。
【0028】
セルスタック10が充電される場合、電力系統32側から正極電極24に電流が流れる。つまり、この場合、正極電極24から電子が流出する。正極の電解液中の4価のバナジウムイオンは、正極電極24に電子を与え、すなわち、正極によって酸化され、5価のバナジウムイオンとなる。また、セルスタック10が充電される場合、負極電極26に電子が流入する。負極の電解液中の3価のバナジウムイオンは、負極電極26の電子と結合し、すなわち、負極電極26の電子によって還元され、2価のバナジウムイオンとなる。この酸化還元反応の際、正極の電解液中の水素イオンは、イオン交換膜22を通じて負極の電解液に移動する。これにより、電解液中の電荷のバランスが調整される。
【0029】
なお、セルスタック10は、バナジウムイオンを含む電解液を用いる態様に限らず、セルスタック10の充放電を適切に機能させることが可能な任意の電解液を用いてもよい。
【0030】
電解液タンク12は、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを、電解液が収容可能となるように加工したものである。例えば、電解液タンク12は、既設の液化天然ガス(LNG)タンク、既設の液化プロパンガス(LPG)タンク、既設のガソリンタンク、化学プラントにおける既設の原料タンクなどを加工したものである。既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクは、それ自体が大型である場合が多い。このため、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを電解液タンクに加工することで、大型の電解液タンクを簡易に設置可能となる。
【0031】
電解液タンク12は、タンク筐体40、第1隔壁42、第2隔壁44、補助隔壁46および補助隔壁48を有する。第1隔壁42は、正極または負極の一方の電解液が収容される第1収容部60と、正極または負極の他方の電解液が収容される第2収容部62とを区分する。第2隔壁は、第1収容部60または第2収容部62に対して、電解液の収容が可能な中空の第3収容部64を区分する。補助隔壁46は、第1収容部60において内部の一部を仕切る。補助隔壁48は、第2収容部62において内部の一部を仕切る。第1隔壁42、第2隔壁44、補助隔壁46および補助隔壁48については、後に詳述する。
【0032】
タンク筐体40は、底面部50、側面部52および天面部54からなる。底面部50は円盤状に形成されている。側面部52は、底面部50の周縁から鉛直上方に起立しており、円筒状に形成されている。天面部54は、側面部52の上縁に接続され、円形のドーム状に形成されている。タンク筐体40は、中空に形成され、密閉される。
【0033】
第1隔壁42、第2隔壁44、補助隔壁46および補助隔壁48は、タンク筐体40の内部に設けられる。第1隔壁42、第2隔壁44、補助隔壁46および補助隔壁48は、板状に構成され、底面部50から鉛直上方に起立している。第1隔壁42、第2隔壁44、補助隔壁46および補助隔壁48の高さは、側面部52の高さより低く、電解液の液面よりも高くなっている。
【0034】
図2は、電解液タンク12の水平断面図である。第1隔壁42は、側面部52より直径が小さい円筒状に形成され、側面部52と同心円状に配置される。第2隔壁44は、第1隔壁42より直径が小さい円筒状に形成され、側面部52および第1隔壁42と同心円状に配置される。
【0035】
第1隔壁42、側面部52および底面部50は、第1収容部60を形成する。第1隔壁42、第2隔壁44および底面部50は、第2収容部62を形成する。第2隔壁44および底面部50は、第3収容部64を形成する。第1隔壁42は、第1収容部60と第2収容部62とを区分している。第2隔壁44は、第2収容部62と第3収容部64とを区分している。
【0036】
第1隔壁42および第2隔壁44は、第1収容部60の容積と、第2収容部62の容積と、第3収容部64の容積とが等しくなるように設置される。なお、第1隔壁42および第2隔壁44は、少なくとも第1収容部60の容積と第2収容部62の容積とが等しくなるように設置され、第3収容部64の容積が第1収容部60の容積および第2収容部62の容積と異なるように設置されてもよい。
【0037】
補助隔壁46は、第1収容部60の内部の一部を仕切る。具体的には、
図2に示すように、補助隔壁46は、円環状の第1収容部60における周方向の一箇所に設けられ、第1収容部60を周方向に区分する。補助隔壁48は、第2収容部62の内部の一部を仕切る。具体的には、
図2に示すように、補助隔壁48は、円環状の第2収容部62における周方向の一箇所に設けられ、第2収容部62を周方向に区分する。
【0038】
図1に戻って、第1収容部60には、正極または負極の一方の電解液が収容される。第2収容部62には、正極または負極の他方の電解液が収容される。
図1および
図2の例では、第1収容部60に正極の電解液が収容され、第2収容部62に負極の電解液が収容されている。なお、第1収容部60に負極の電解液が収容され、第2収容部62に正極の電解液が収容されてもよい。また、第3収容部64は、中空となっており、電解液が収容されていない。
【0039】
第1収容部60および第2収容部62の上方は、空間的に広がっており、窒素が充填される。第1収容部60内の電解液および第2収容部62内の電解液は、充填された窒素によって劣化が抑制される。
【0040】
このように、第1隔壁42を設けることで、1個の電解液タンク12内に正極の電解液および負極の電解液の双方を収容することができる。その結果、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクが1個以上あれば、電解液タンク12に加工して、レドックスフロー電池1を構成することが可能となる。
【0041】
電解液タンク12は既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを加工したものであるため、電解液タンク12の耐荷重は、電解液タンク12に加工する前の元の燃料タンクまたは元の原料タンクの耐荷重に依存する。また、電解液は、バナジウムイオンを含む硫酸水溶液であるため、元の燃料タンクに収容されていた燃料の一例であるLNG等と比べ、比重が大きい。元の燃料より比重が大きい電解液を元の燃料と同量だけ電解液タンク12に収容すると、電解液タンク12内の電解液の荷重が、電解液タンク12の耐荷重を超えるおそれがある。
【0042】
そこで、既設の燃料タンクを加工した場合、電解液タンク12に収容される電解液の容量を、電解液の比重に対する元の燃料タンクに収容可能な燃料の比重の比を示す比重比に基づいて制限する。また、既設の原料タンクを加工した場合、電解液タンク12に収容される電解液の容量を、電解液の比重に対する元の原料タンクに収容可能な原料の比重の比を示す比重比に基づいて制限する。なお、元の燃料タンクに複数種類の燃料が収容可能である場合、燃料の比重は、元の燃料タンクに収容可能な燃料のうち比重が最も高い燃料の比重を採用する。同様に、元の原料タンクに複数種類の原料が収容可能である場合、原料の比重は、元の原料タンクに収容可能な原料のうち比重が最も高い原料の比重を採用する。これにより、電解液タンク12内の電解液の荷重を電解液タンク12の耐荷重以下に抑制しつつ、電解液タンク12内の電解液の保有量を最大にすることができる。
【0043】
第1収容部60および第2収容部62には、電解液が収容されるため、電解液の収容を可能とするコーティング処理が施されている。なお、第3収容部64にも、電解液の収容を可能とするコーティング処理が施されてもよい。
【0044】
具体的には、電解液に対して耐性を有するコーティング材が、電解液タンク12の内面に塗布されている。なお、電解液タンク12の内面は、側面部52の側面、底面部50の上面、第1隔壁42の側面、第2隔壁44の側面、補助隔壁46の側面、補助隔壁48の側面を含む。コーティング材は、例えば、ゴム材などであるが、硫酸水溶液に耐性を有する任意の材料を用いることができる。また、コーティング材は、塗布される態様に限らず、例えば、ゴムなどから成る板材などが、電解液タンク12の内面に機械的に組み付けられてもよい。また、コーティング材は、着脱可能に取り付けられてもよい。
【0045】
上述のように、電解液の容量は、電解液の比重と、元の燃料または元の原料との比重比に基づいて制限される。これにより、電解液タンク12内の電解液における液面の高さの上限値が決定される。そこで、コーティング材は、上述の比重比に基づいて決定される電解液タンク12内の液面の高さの上限値以上の高さまでコーティング処理される。換言すると、コーティング材は、少なくとも液面の高さの上限値までコーティング処理されていればよく、必ずしも側面部52の上縁までコーティング処理されていなくともよい。これにより、電解液による電解液タンク12の劣化を抑制しつつ、電解液タンク12への加工作業の負担を軽減することができる。
【0046】
ポンプ14Aおよびポンプ14Bは、筒型に構成されている。ポンプ14Aは、第1収容部60において鉛直に配置されている。ポンプ14Bは、第2収容部62において鉛直に配置されている。以後、ポンプ14Aおよびポンプ14Bを総称して、単にポンプと呼ぶ場合がある。ポンプの下側端は、底面部50の近傍において底面部50から離隔して配置される。ポンプは、電解液タンク12の天面部54を貫通して設けられ、ポンプの上側端は、電解液タンク12外に位置する。
【0047】
ポンプ14Aは、払出管70Aに接続されている。払出管70Aは、セルスタック10の正極室に接続されている。また、正極室は、払戻管72Aに接続されている。払戻管72Aは、電解液タンク12の第1収容部60に延びている。ポンプ14Aは、第1収容部60内の正極の電解液を吸い上げて、払出管70Aを通じてセルスタック10の正極室に供給する。正極室内の電解液は、払戻管72Aを通じて第1収容部60に戻される。
【0048】
ポンプ14Bは、払出管70Bに接続されている。払出管70Bは、セルスタック10の負極室に接続されている。また、負極室は、払戻管72Bに接続されている。払戻管72Bは、電解液タンク12の第2収容部62に延びている。ポンプ14Bは、第2収容部62内の負極の電解液を吸い上げて、払出管70Bを通じてセルスタック10の負極室に供給する。負極室内の電解液は、払戻管72Bを通じて第2収容部62に戻される。
【0049】
ポンプ14Aは、正極の電解液を電解液タンク12およびセルスタック10間で循環させる。ポンプ14Bは、負極の電解液を電解液タンク12およびセルスタック10間で循環させる。ポンプによって電解液を循環させることで、セルスタック10における充放電が促進される。なお、ポンプは、筒型で鉛直配置される態様に限らない。例えば、ポンプは、筒型であっても水平配置されてもよい。また、例えば、ポンプは、筒型以外の各種の形態となっていて、電解液タンク12外に配置されてもよい。
【0050】
クーラー16Aは、正極室から延びる払戻管72Aの途中に設けられる。クーラー16Aは、正極室から第1収容部60に流れる電解液を冷却する。クーラー16Bは、負極室から延びる払戻管72Bの途中に設けられる。クーラー16Bは、負極室から第2収容部62に流れる電解液を冷却する。
【0051】
払戻管72Aにおける正極室とクーラー16Aとの間には、流量調節弁74Aが設けられる。また、払出管70Aには、流量測定装置76Aが設けられる。流量測定装置76Aは、払出管70Aを流れる電解液の流量を測定する。不図示の流量制御装置は、流量測定装置76Aによって測定された流量に基づいて流量調節弁74Aの開度を制御する。
【0052】
また、払出管70Aにおける流量測定装置76Aと正極室との間には、ポンプミニマムフロー管78Aが接続される。ポンプミニマムフロー管78Aは、第1収容部60に延びている。ポンプミニマムフロー管78Aの途中には、ポンプミニマムフロー調節弁80Aが設けられる。不図示の流量制御装置は、流量測定装置76Aによって測定された流量に基づいてポンプミニマムフロー調節弁80Aの開度を制御する。
【0053】
払戻管72Bにおける負極室とクーラー16Bとの間には、流量調節弁74Bが設けられる。また、払出管70Bには、流量測定装置76Bが設けられる。流量測定装置76Bは、払出管70Bを流れる電解液の流量を測定する。不図示の流量制御装置は、流量測定装置76Bによって測定された流量に基づいて流量調節弁74Bの開度を制御する。
【0054】
また、払出管70Bにおける流量測定装置76Bと負極室との間には、ポンプミニマムフロー管78Bが接続される。ポンプミニマムフロー管78Bは、第2収容部62に延びている。ポンプミニマムフロー管78Bの途中には、ポンプミニマムフロー調節弁80Bが設けられる。不図示の流量制御装置は、流量測定装置76Bによって測定された流量に基づいてポンプミニマムフロー調節弁80Bの開度を制御する。
【0055】
ポンプミニマムフロー管78Aにおけるポンプミニマムフロー調節弁80Aよりも電解液タンク12側には、電解液供給管82Aが接続される。電解液供給管82Aの途中には、遮断弁84Aが設けられる。遮断弁84Aは、通常は閉状態となっている。遮断弁84Aが開かれると、電解液供給管82Aおよびポンプミニマムフロー管78Aを通じて正極の電解液が第1収容部60に供給される。
【0056】
ポンプミニマムフロー管78Bにおけるポンプミニマムフロー調節弁80Bよりも電解液タンク12側には、電解液供給管82Bが接続される。電解液供給管82Bの途中には、遮断弁84Bが設けられる。遮断弁84Bは、通常は閉状態となっている。遮断弁84Bが開かれると、電解液供給管82Bおよびポンプミニマムフロー管78Bを通じて負極の電荷液が第2収容部62に供給される。
【0057】
窒素供給管86は、電解液タンク12の外部から天面部54を貫通して電解液タンク12内に延びている。電解液タンク12内には、窒素供給管86を通じて窒素が供給される。窒素供給管86の途中には、窒素供給調節弁88が設けられる。窒素放出管90は、電解液タンク12の内部から天面部54を貫通して電解液タンク12外に延びている。電解液タンク12内に充填されている窒素を含む気体は、窒素放出管90を通じて電解液タンク12外に放出される。窒素放出管90の途中には、窒素放出調節弁92が設けられる。
【0058】
電解液タンク12の天面部54には、圧力測定装置94が設けられる。圧力測定装置94は、電解液タンク12内の圧力を測定する。不図示の圧力制御装置は、圧力測定装置94によって測定された電解液タンク12内の圧力が所定圧力に維持されるように、窒素供給調節弁88の開度および窒素放出調節弁92の開度を制御する。
【0059】
窒素放出管90における電解液タンク12と窒素放出調節弁92との間には、分岐管96が接続されている。分岐管96の途中には遮断弁98が設けられる。遮断弁98は、通常は閉状態となっている。遮断弁98が開かれると、電解液タンク12内の窒素を含む気体は、窒素放出管90および分岐管96を通じて、電解液タンク12外に放出される。
【0060】
ここで、払戻管72Aおよび払戻管72Bを流れる電解液は、電解液タンク12内において開口する払戻口100を通じて電解液タンク12内に流入する。つまり、払戻管72Aおよび払戻管72Bの払戻口100は、電解液タンク12内に電解液を送入する入口に相当する。また、電解液タンク12内の電解液は、ポンプ14Aおよびポンプ14Bの先端の吸込口102を通じて電解液タンク12から流出する。つまり、ポンプ14Bおよびポンプ14Bの吸込口102は、電解液タンク12外に電解液を送出する出口に相当する。この電解液の入口および出口は、第1収容部60および第2収容部62の各々において配置される。
図2では、入口に相当する払戻口100を「〇」で示しており、出口に相当する吸込口102を「◎」で示している。
【0061】
図2で示すように、第1収容部60の払戻口100は、補助隔壁46で仕切られた一方側(
図2では右側)において補助隔壁46の近傍に位置する。第1収容部60の吸込口102は、補助隔壁46で仕切られた他方側(
図2では左側)において補助隔壁46の近傍に位置する。そうすると、払戻口100から第1収容部60に送入された電解液は、
図2の一点鎖線の矢印A10で示すように、第1収容部60の吸込口102に向かって、円環状の第1収容部60を一方向(
図2では時計回り方向)に流れる。これにより、第1収容部60内の電解液を円滑に流通させることができる。
【0062】
また、比較例として、第1収容部60および第2収容部62の水平断面が半円状となるように、電解液タンク12内を単純に2分割することが考えられる。払戻口100および吸込口102は、払戻口100から吸込口102に至る電解液の流路が長くなるように互いに離隔して設けられる。この比較例では、電解液の流路の幅が比較的広くなっている。
【0063】
これに対し、第1実施形態の電解液タンク12では、第1収容部60が円環状に形成されている。このため、第1実施形態の第1収容部60は、上記比較例の半円状の場合と比べ、払戻口100から吸込口102に至る電解液の流路が狭くなっている。その分、第1実施形態の第1収容部60では、流路が長くなっている。これは、第1実施形態では、上記比較例と比べ、第1収容部60の電解液の流路の流路断面積が小さくなっていることに相当する。換言すると、第1隔壁42は、入口から出口に至る電解液の流路の流路断面積を小さくするように設置されている。流路断面積は、流路における長手方向に垂直な断面積を示す。このため、第1実施形態の電解液タンク12では、第1収容部60を流通する電解液の流速を早くすることができ、第1収容部60内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0064】
また、第1収容部60は、円環状に形成されているため、電解液の流れに垂直に交差する断面を通過する流速を、その断面内で均一にさせることができる。つまり、第1隔壁42は、電解液の流れに垂直に交差する断面を通過する流速が、その断面内で均一になるように設置される。なお、ここでの均一は、流速が同じ態様に限定されず、流速が同程度であると認識できる所定範囲内で流速が異なってもよい態様を含む。この点からも、第1収容部60内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0065】
図2で示すように、第2収容部62の払戻口100は、補助隔壁48で仕切られた一方側(
図2では右側)において補助隔壁48の近傍に位置する。第2収容部62の吸込口102は、補助隔壁48で仕切られた他方側(
図2では左側)において補助隔壁48の近傍に位置する。そうすると、払戻口100から第2収容部62に送入された電解液は、
図2の二点鎖線の矢印A12で示すように、第2収容部62の吸込口102に向かって、円環状の第2収容部62を一方向(
図2では時計回り方向)に流れる。これにより、第2収容部62の電解液を円滑に流通させることができる。
【0066】
また、第2収容部62は、第1収容部60と同様に、払戻口100から吸込口102に至る電解液の流路の流路断面積が小さくなっている。このため、第2収容部62を流通する電解液の流速を早くすることができ、第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0067】
また、第2収容部62は、第1収容部60と同様に、電解液の流れに垂直に交差する断面を通過する流速を、その断面内で均一にさせることができる。このため、第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0068】
以上のように、第1実施形態のレドックスフロー電池1は、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを、電解液が収容可能となるように加工した電解液タンク12を備える。このため、第1実施形態のレドックスフロー電池1では、電解液タンク12を始めから建設する必要がなく、建設の労力やコストの負担を小さくすることができる。したがって、第1実施形態のレドックスフロー電池1によれば、電解液タンク12を簡易に設置可能となる。
【0069】
また、第1実施形態のレドックスフロー電池1は、第1収容部60と第2収容部62とを区分する第1隔壁42が電解液タンクの内部に有する。このため、第1実施形態のレドックスフロー電池1は、電解液タンク12を複数設ける必要がなく、電解液タンク12を簡易に設置可能となる。
【0070】
また、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクは、それ自体が大型であることが多い。第1実施形態のレドックスフロー電池1では、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを電解液タンク12に加工することで、大型の電解液タンク12を簡易に設置可能となる。
【0071】
また、既設のLNGタンク等は、例えば、発電事業者によって所有されていることがある。発電事業者は、将来、自然エネルギーによる発電の割合を増加させ、LNGを使用した火力発電の割合を減少させることが考えられる。その場合、LNGの使用量が減少することで、既設のLNGタンクが余剰となることがあり得る。このような余剰となった既設のLNGタンクを電解液タンク12に加工することで、不要となった資産を有意義に再活用することが可能となる。
【0072】
また、発電事業者の既設のLNGタンクを電解液タンク12に加工して、第1実施形態のレドックスフロー電池1を導入することで、発電事業者は、設備の増加を抑制しつつ、電力系統の安定化を図ることが可能となる。
【0073】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。第1実施形態では、電解液が収容されない第3収容部64が形成されていた。これに対して、第2実施形態は、第3収容部64が形成されていない点で第1実施形態と異なる。
【0074】
図3Aの電解液タンク212Aでは、側面部52と同心円の円筒状に形成される第1隔壁220によって電解液タンク212A内が2分割される。第1収容部60は、円環状に形成される。第1収容部60には、第1収容部60の一部を仕切る補助隔壁222が設けられる。つまり、第1収容部60は、第1実施形態の第1収容部60と同様の形状となっている。このため、
図3Aの電解液タンク212Aにおいても、第1収容部60内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0075】
第2収容部62は、円柱状に形成される。第2収容部62には、第2収容部62の一部を仕切る補助隔壁224が設けられる。補助隔壁224は、第1隔壁220における第1収容部60の補助隔壁222との交点から径方向に延びている。補助隔壁224における補助隔壁222とは反対側は、第1隔壁220から離隔している。第2収容部62の払戻口100は、補助隔壁224で仕切られた一方側(
図3Aでは右側)において補助隔壁224および第1隔壁220の近傍に位置する。第2収容部62の吸込口102は、補助隔壁224で仕切られた他方側(
図3Aでは左側)において補助隔壁224および第1隔壁220の近傍に位置する。
【0076】
第2収容部62の払戻口100から送入された電解液は、
図3Aの二点鎖線の矢印A22で示すように、補助隔壁224を迂回して第2収容部62の吸込口102に向かって流れる。
【0077】
図3Aの第2収容部62は、補助隔壁224が設けられているため、補助隔壁224が無い態様と比べ、電解液の流路の流路断面積が小さくなっている。このため、
図3Aの電解液タンク212Aにおいても、第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0078】
また、
図3Aの電解液タンク212Aでは、第3収容部64が形成されていない分、第1収容部60および第2収容部62の容積を大きくすることができ、レドックスフロー電池の容量を、より大きくすることが可能となる。
【0079】
図3Bの電解液タンク212Bは、第2収容部62の払戻口100および吸込口102の配置に関して
図3Aの電解液タンク212Aと異なる。
図3Bの電解液タンク212Bでは、第2収容部62内の補助隔壁224で仕切られた一方側および他方側の双方に払戻口100が配置される。また、補助隔壁224における補助隔壁222とは反対側の端部と、第1隔壁220との間に、第2収容部62の吸込口102が配置される。つまり、
図3Bの電解液タンク212Bでは、第2収容部62において、吸込口102の数よりも払戻口100の数が多くなっている。
【0080】
図3Bの電解液タンク212Bでは、
図3Bの二点鎖線の矢印A24で示すように、第2収容部62の一方の払戻口100から送入された電解液が吸込口102に向かって流れるとともに、第2収容部62の他方の払戻口100から送入された電解液が吸込口102に向かって流れる。
【0081】
図3Bの電解液タンク212Bでは、第2収容部62の払戻口100の数を多くすることで、補助隔壁224を迂回するような流れの方向の大きな変化を抑制することができる。このため、
図3Bの電解液タンク212Bでは、第2収容部62内の電解液のよどみを、より抑制することが可能となる。
【0082】
図3Cの電解液タンク212Cは、第1収容部60の払戻口100および吸込口102の配置に関して、
図3Bの電解液タンク212Bと異なる。
図3Cの電解液タンク212Cでは、第1収容部60内の補助隔壁222で仕切られた一方側および他方側の双方に払戻口100が配置される。また、第1収容部60の吸込口102は、第1収容部60における補助隔壁222の位置から円周方向の最も遠い位置に配置される。つまり、
図3Cの電解液タンク212Cでは、第1収容部60において、吸込口102の数よりも払戻口100の数が多くなっている。
【0083】
図3Cの電解液タンク212Cでは、
図3Cの一点鎖線の矢印A26で示すように、第1収容部60の一方の払戻口100から送入された電解液が吸込口102に向かって流れるとともに、第1収容部60の他方の払戻口100から送入された電解液が吸込口102に向かって流れる。
【0084】
図3Cの電解液タンク212Cでは、第1収容部60の払戻口100の数を多くすることで、払戻口100から吸込口102までの距離が短くなり、第1収容部60に送入された電解液を早期に送出することができ、電解液の循環効率を向上させることが可能となる。
【0085】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。第2実施形態では、電解液タンク内が同心円状に2分割されていた。これに対し、第3実施形態では、電解液タンク内が半円状に2分割される。
【0086】
図4Aの電解液タンク312Aでは、径方向に延びる第1隔壁320によって電解液タンク312A内が2分割される。第1収容部60は、第1隔壁320で仕切られた一方側(
図4Aの左側)において水平断面が半円となるように形成される。第2収容部62は、第1隔壁320で仕切られた他方側(
図4Aの右側)において水平断面が半円となるように形成される。
【0087】
第1収容部60の払戻口100は、第1隔壁320における電解液タンク312Aの径方向の一端(
図4Aの下側)の近傍に配置される。第1収容部60の吸込口102は、第1隔壁320における電解液タンク312Aの径方向の他端(
図4Aの上側)の近傍に配置される。第2収容部62の払戻口100は、第1隔壁320における電解液の径方向の一端(
図4Aの下側)の近傍に配置される。第2収容部62の吸込口102は、第1隔壁320における電解液タンク312Aの径方向の他端(
図4Aの上側)の近傍に配置される。
【0088】
図4Aの例では、平板の第1隔壁320で第1収容部60および第2収容部62を区分することができ、電解液タンク312Aを簡易に構成することができる。
【0089】
図4Bの電解液タンク312Bは、払戻口100および吸込口102の配置に関して
図4Aの電解液タンク312Aと異なる。
図4Bの電解液タンク312Bの第1収容部60では、側面部52の近傍に複数の払戻口100が配置される。複数の払戻口100は、側面部52の周方向に分散して配置される。例えば、第1収容部60の払戻口100は、側面部52の周方向に等間隔で5個設けられる。なお、払戻口100は、5個に限らず、複数個が側面部52の近傍に分散配置されていればよい。また、第1収容部60の吸込口102は、電解液タンク312Bの中央の近傍に配置される。
【0090】
図4Bの電解液タンク312Bの第2収容部62では、第1収容部60と同様に、複数の払戻口100が側面部52の近傍に分散配置されている。また、第2収容部62の吸込口102は、電解液タンク312Bの中央の近傍に配置される。このように、
図4Bでは、払戻口100の数が吸込口102の数より多く配置される。
【0091】
図4Bの電解液タンク312Bでは、
図4Bの一点鎖線の矢印で示すように、第1収容部60の各々の払戻口100から送入された電解液が、第1収容部60の吸込口102に向かって流れる。また、
図4Bの電解液タンク312Bでは、
図4Bの二点鎖線の矢印で示すように、第2収容部62の各々の払戻口100から送入された電解液が、第2収容部62の吸込口102に向かって流れる。
【0092】
図4Bの電解液タンク312Bでは、払戻口100の数を多くすることで、払戻口100から吸込口102に至る電解液の流れに垂直に交差する断面積を通過する流速を、その断面内で均一にさせることができる。このため、
図4Bの電解液タンク312Bでは、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0093】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。第3実施形態では、電解液タンク内が半円状に2分割されていた。これに対し、第4実施形態では、電解液タンク内が巴のような形状に2分割される。
【0094】
図5の電解液タンク412では、S字に曲げられた曲板からなる第1隔壁420によって電解液タンク412内が2分割される。第1収容部60は、第1隔壁420で仕切られた一方側(
図5の左側)に形成され、第2収容部62は、第1隔壁420で仕切られた他方側(
図5の右側)に形成される。第1収容部60および第2収容部62は、水平断面の形状が二つ巴のようになっている。
【0095】
第1収容部60の払戻口100は、第1収容部60の水平断面の断面積が広い部分において、第1隔壁420と側面部52との接続部の近傍に配置される。第1収容部60の吸込口102は、第1収容部60の水平断面の断面積が狭い部分において、第1隔壁420と側面部52との接続部の近傍に配置される。第2収容部62の払戻口100は、第2収容部62の水平断面の断面積が広い部分において、第1隔壁420と側面部52との接続部の近傍に配置される。第2収容部62の吸込口102は、第2収容部62の水平断面の断面積が狭い部分において、第1隔壁420と側面部52との接続部の近傍に配置される。
【0096】
図5の一点鎖線の矢印で示すように、第1収容部60の払戻口100から送入された電解液は、水平断面積が広い部分から水平断面積が狭い部分に進むように流れる。また、
図5の二点鎖線の矢印で示すように、第2収容部62の払戻口100から送入された電解液は、水平断面積が広い部分から水平断面積が狭い部分に進むように流れる。
【0097】
図5の電解液タンク412では、払戻口100から吸込口102に至る電解液の流れに垂直に交差する断面積を通過する流速を、その断面内で均一にさせることができる。このため、
図5の電解液タンク412では、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0098】
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。第3実施形態では、電解液タンク内が半円状に2分割されていた。第4実施形態では、半円状に形成された第1収容部60内および第2収容部62内がさらに仕切られる。
【0099】
図6Aの電解液タンク512Aにおいて、補助隔壁522は、第1隔壁320と平行となるように第1収容部60内に配置される。補助隔壁522の水平方向の一端(
図6Aの上端)は、側面部52に接続され、補助隔壁522の水平方向の他端(
図6Aの下端)は、側面部52から離隔している。また、補助隔壁524は、第1隔壁320と平行となるように第2収容部62内に配置される。補助隔壁524の水平方向の一端(
図6Aの上端)は、側面部52に接続され、補助隔壁524の水平方向の他端(
図6Aの下端)は、側面部52から離隔している。補助隔壁522および補助隔壁524は、第1隔壁320に対して線対称となるように配置される。
【0100】
第1収容部60の吸込口102は、第1隔壁320と補助隔壁522との間において側面部52の近傍に配置される。第1収容部60の払戻口100は、補助隔壁522に対して第1隔壁320とは反対側において、側面部52と補助隔壁522の接続部の近傍に配置される。第2収容部62の吸込口102は、第1隔壁320と補助隔壁524との間において側面部52の近傍に配置される。第2収容部62の払戻口100は、補助隔壁524に対して第1隔壁320とは反対側において、側面部52と補助隔壁524との接続部の近傍に配置される。
【0101】
図6Aの電解液タンク512Aでは、
図4Aの電解液タンク312Aと比べ、第1収容部60および第2収容部62の各々の電解液の流路の流路断面積が小さくなっている。このため、
図6Aの電解液タンク512Aでは、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0102】
図6Bの電解液タンク512Bは、補助隔壁522および補助隔壁524が、電解液タンク512Bの中央に対して点対象となるように配置されている。
図6Bの電解液タンク512Bにおいても、
図6Aの電解液タンク512Aと同様に、第1収容部60および第2収容部62の各々の電解液の流路の流路断面積が小さくなっている。このため、
図6Bの電解液タンク512Bは、
図6Aの電解液タンク512Aと同様に、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0103】
図6Cの電解液タンク512Cは、第1収容部60に2個の補助隔壁532および補助隔壁534が設けられ、第2収容部62に2個の補助隔壁536および補助隔壁538が設けられる。第1収容部60の2個の補助隔壁532および補助隔壁534は、第1隔壁320と平行に配置される。補助隔壁532の水平方向の一端(
図6Cの上端)は、側面部52に接続され、補助隔壁532の水平方向の他端(
図6Cの下端)は、側面部52から離隔している。補助隔壁534の水平方向の一端(
図6Cの上端)は、側面部52から離隔しており、補助隔壁534の水平方向の他端(
図6Cの下端)は、側面部52に接続されている。
【0104】
第1収容部60の吸込口102は、第1隔壁320と補助隔壁532との間において側面部52の近傍に配置される。第1収容部60の払戻口100は、補助隔壁534に対して第1隔壁320とは反対側において、側面部52と補助隔壁534との接続部の近傍に配置される。つまり、第1収容部60は、ラビリンス構造となっている。また、第2収容部62の補助隔壁536、補助隔壁538、払戻口100および吸込口102は、第1収容部60の補助隔壁532、補助隔壁534、払戻口100および吸込口102が第1隔壁320に対して左右反転されたように配置される。
【0105】
図6Cの電解液タンク512Cでは、
図6Aの電解液タンク512Aおよび
図6Bの電解液タンク512Bと比べ、第1収容部60および第2収容部62の各々の電解液の流路の流路断面積が、より小さくなっている。このため、
図6Cの電解液タンク512Cでは、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを、より抑制することが可能となる。
【0106】
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
図7の電解液タンク612では、第1収容部60および第2収容部62が渦巻き状に形成されるように第1隔壁620が設けられる。
【0107】
図7の電解液タンク612では、
図5の電解液タンク412と比べ、第1収容部60および第2収容部62の各々の電解液の流路の流路断面積が、より小さくなっている。このため、
図7の電解液タンク612では、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを、より抑制することが可能となる。
【0108】
(第7実施形態)
図8は、第7実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。
図8の電解液タンク712では、第1隔壁720が、円筒状の第1ピース722と、平板状の第2ピース724と、平板状の第3ピース726とから構成されている。第1ピース722は、側面部52と同心円状に配置される。第2ピース724は、側面部52の径方向に沿って配置され、第1ピース722および側面部52に接続される。第3ピース726は、第1ピース722に対して第2ピース724とは反対側において、側面部52の径方向に沿って配置され、第1ピース722および側面部52に接続される。第1収容部60および第2収容部62は、第1隔壁720によって半円環状に形成される。
【0109】
第1収容部60には、補助隔壁730が設けられる。補助隔壁730は、第1ピース722から第1収容部60の周方向に延びており、第1収容部60を内周側と外周側とに仕切る。補助隔壁730の第1ピース722とは反対側端は、第2ピース724から離隔しており、内周側および外周側は、連通している。第1収容部60の払戻口100は、内周側における第1ピース722の近傍に配置される。第1収容部60の吸込口102は、外周側における第1ピース722の近傍に配置される。第1収容部60の払戻口100から流入した電解液は、第1収容部60の内周側から外周側の順に流通する。
【0110】
また、第2収容部62には、補助隔壁732が設けられる。第2収容部62の補助隔壁732、払戻口100および吸込口102は、第1収容部60の補助隔壁730、払戻口100および吸込口102が第1隔壁720に対して左右反転されたように配置される。第2収容部62の払戻口100から流入した電解液は、第2収容部62の内周側から外周側の順に流通する。
【0111】
図8の電解液タンク712は、
図4Aの電解液タンク312Aと比べ、第1収容部60および第2収容部62の各々の電解液の流路の流路断面積が小さくなっている。
図8の電解液タンク712では、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0112】
(第8実施形態)
図9は、第8実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略図である。
図9Aは、概略水平断面図である。
図9Bは、
図9AのIX-IX線断面図である。第8実施形態の電解液タンク812は、
図4Aの電解液タンク312Aの底面部50に底上げ部830を設けたものである。
【0113】
底上げ部830は、底面部50の一部の高さを底面部50の他の部分に対して相対的に高くする。底上げ部830は、例えば、四角錐状に形成される。底上げ部830は、電解液タンク812の中央に設けられ、側面部52から離隔している。底上げ部830は、電解液タンク812の中央の位置が最も高い位置となっている。第1隔壁320は、底上げ部830の底面における一方の対角線の上方に位置する。底上げ部830の底面における他方の対角線は、電解液タンク812の中央から第1隔壁320に垂直に延びる。底上げ部830は、電解液タンク812の中央から側面部52に進むに従って底面部50側に傾斜するように設けられる。底上げ部830の頂点は、電解液の液面の高さの上限値よりも低い位置にある。
【0114】
払戻口100から流入した電解液は、底上げ部830を回避するように吸込口102へ流れる。このため、第8実施形態の電解液タンク812では、第1収容部60および第2収容部62の各々において、電解液の流れに垂直に交差する断面を通過する流速を、その断面内で均一にさせることができる。このため、第8実施形態の電解液タンク812では、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0115】
(第9実施形態)
図10は、第9実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略図である。
図10Aは、概略水平断面図である。
図10Bは、
図10AのX-X線断面図である。第9実施形態の電解液タンク912は、
図4Aの電解液タンク312Aの底面部50に底上げ部930を設けたものである。第9実施形態の電解液タンク912は、底上げ部930の形状が第8実施形態の電解液タンク812と異なる。
【0116】
底上げ部930は、底面部50における側面部52の内側に設けられ、側面部52の周方向に亘って形成される。底上げ部930は、円環状のバンクのように形成される。底上げ部930は、側面部52に接続される周縁部の位置が最も高い位置となっている。底上げ部930は、側面部52から電解液タンク912の中央に進むに従って底面部50側に傾斜するように設けられ、電解液タンク912の中央に至る前に底面部50に接続される。底上げ部930の側面部52との接続部は、電解液の液面の高さの上限値よりも低い位置にある。
【0117】
払戻口100から流入した電解液は、底上げ部930を回避するように吸込口102へ流れる。このため、第9実施形態の電解液タンク912では、第1収容部60および第2収容部62の各々において、電解液の流れに垂直に交差する断面を通過する流速を、その断面内で均一にさせることができる。このため、第9実施形態の電解液タンク912では、第1収容部60内および第2収容部62内の電解液のよどみを抑制することが可能となる。
【0118】
(第10実施形態)
図11は、第10実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。第10実施形態の電解液タンク1012では、第1実施形態の電解液タンク12の第3収容部64に、補助隔壁1030、払戻口100および吸込口102が設けられている。
【0119】
第3収容部64の補助隔壁1030は、第2隔壁44と第2収容部62の補助隔壁48との交点から径方向に延びている。補助隔壁1030における第2収容部62の補助隔壁48とは反対側は、第2隔壁44から離隔している。第3収容部64の払戻口100は、補助隔壁1030で仕切られた一方側(
図11Aでは右側)において補助隔壁1030および第2隔壁44の近傍に位置する。第3収容部64の吸込口102は、補助隔壁1030で仕切られた他方側(
図11Aでは左側)において補助隔壁1030および第2隔壁44の近傍に位置する。
【0120】
第10実施形態の電解液タンク1012では、
図11Aで示すように、第1収容部60および第2収容部62に電解液がそれぞれ収容される。第3収容部64は、電解液が収容されず、検査または補修のための予備スペースとして確保される。
【0121】
そして、第10実施形態の電解液タンク1012では、
図11A、
図11Bおよび
図11Cで示すように、検査または補修のための予備スペースが、第3収容部64、第2収容部62、第1収容部60の順にシフトされる。なお、シフト順は、この順に限らず、検査または補修のスケジュールなどによって任意に決めることができる。
【0122】
例えば、
図11Aの状態において、第2収容部62の検査または補修を行う場合、第2収容部62の電解液が排出されるとともに、第3収容部64に電解液が収容される。これにより、第1収容部60および第3収容部64の電解液によってレドックスフロー電池を稼働させつつ、第2収容部62の検査または補修を行うことができる。
【0123】
(第11実施形態)
図12は、第11実施形態にかかるレドックスフロー電池の電解液タンクの概略水平断面図である。第11実施形態の電解液タンク1112では、中央から径方向に延びる3個の隔壁1120が設けられている。3個の隔壁1120は、電解液タンク1112の周方向に120度間隔に設けられ、電解液タンク1112内を周方向に3分割している。第1収容部60、第2収容部62および第3収容部64は、扇形に形成される。
【0124】
第11実施形態の電解液タンク1112では、
図12A、
図12Bおよび
図12Cで示すように、検査または補修のための予備スペースが、第3収容部64、第2収容部62、第1収容部60の順にシフトされる。このため、第11実施形態の電解液タンク1112では、第10実施形態と同様に、レドックスフロー電池を稼働させつつ、予備スペースの検査または補修を行うことができる。
【0125】
(第12実施形態)
図13は、第12実施形態にかかるレドックスフロー電池の概略図である。第12実施形態のレドックスフロー電池1201では、正極の電解液タンク1212Aと負極の電解液タンク1212Bとが独立して設けられる。正極の電解液タンク1212Aおよび負極の電解液タンク1212Bの少なくとも一方は、既設の燃料タンクまたは既設の原料タンクを加工したものである。
【0126】
第12実施形態のレドックスフロー電池1201では、正極の電解液と負極の電解液とを区切る隔壁を設ける必要がないため、電解液タンクを、より簡易に構成することができる。また、第12実施形態のレドックスフロー電池1201は、電解液タンクが複数あるため、第1実施形態のレドックスフロー電池1と比べ、電池容量をより多くすることができる。
【0127】
(第13実施形態)
図14は、第13実施形態のレドックスフロー電池1301の概略図である。第13実施形態のレドックスフロー電池1301は、既設の地下ガソリンタンクを電解液タンク1312に加工したものである。
【0128】
第13実施形態の電解液タンク1312のタンク筐体1314は、例えば、円筒部1316および端面部1318からなる。円筒部1316は、径方向よりも軸方向が長い円筒状に形成されている。円筒部1316の軸方向の両端には、ドーム状の端面部1318が接続されている。タンク筐体1314は、中空に形成され、密閉される。タンク筐体1314は、軸方向が水平方向となるようにして地下に埋設される。
【0129】
電解液タンク1312の軸方向の中央には、電解液タンク1312内を軸方向に区分する第1隔壁1320が設けられる。第1隔壁1320で仕切られた一方側(
図14の左側)には、正極の電解液が収容される第1収容部60が形成される。第1隔壁で仕切られた他方側(
図14の右側)には、負極の電解液が収容される第2収容部62が形成される。
【0130】
第13実施形態のレドックスフロー電池1301では、第1実施形態と同様に、電解液タンクを始めから建設する必要がなく、建設の労力やコストの負担を小さくすることができる。したがって、第13実施形態のレドックスフロー電池1301では、電解液タンク1312を容易に設置可能となる。
【0131】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0132】
例えば、各実施形態の特徴を任意に組み合わせてもよい。また、各実施形態において、払戻口100の位置と吸込口102の位置とを逆にしてもよい。
【0133】
また、上記第1実施形態、第10実施形態、および、第11実施形態では、電解液タンク12内を、3個の収容部に区分しており、第2実施形態~第9実施形態、および、第13実施形態では、電解液タンク12内を、2個の収容部に区分していた。しかし、電解液タンク12内を、4個以上の収容部に区分してもよい。この場合、電解液タンク12には、複数の独立した第1収容部60と、複数の独立した第2収容部62とが形成されてもよい。つまり、第1収容部60と第2収容部62とのペアが複数形成されてもよい。この複数のペアは、それぞれ異なるセルスタック10に対応付けられてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1、1201、1301 レドックスフロー電池
12、212A、212B、212C、312A、312B、412、512A、512B、512C、612、712、812、912、1012、1112、1212A、1212B、1312 電解液タンク
42、220、320、420、620、720、1320 第1隔壁
44 第2隔壁
46、48、222、224、522、524、532、534、536、538、730、732、1030 補助隔壁
50 底面部
60 第1収容部
62 第2収容部
64 第3収容部
100 払戻口
102 吸込口
830、930 底上げ部