(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241209BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241209BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
B41J29/38 303
B41J21/00 Z
(21)【出願番号】P 2021019228
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼崎 哲英
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-219884(JP,A)
【文献】特開2013-050925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
B41J 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて、特定の色の色材を用いて印刷を行うことが可能な画像出力装置に印刷を指示することが可能な印刷制御装置であって、
特定の色の色材を用いた印刷を有効にするか否かの設定を実行する設定手段と、
前記特定の色の色材を用いた印刷が有効に設定されているにもかかわらず、前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在しないことに基づいて、所定情報を通知する通知手段と、を備え
、
前記設定手段による設定が成された場合、印刷を行う前に印刷内容をプレビュー画面に表示するプレビュー設定をオンにすることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在するか否かを判定する判定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記所定情報は、警告を含む情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記判定手段による判定の後に、前記プレビュー画面で、前記設定手段による設定内容を変更可能であることを特徴とする請求項
2に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記プレビュー設定は、ユーザによる指定に応じてオンまたはオフに設定されており、
前記設定手段による設定が成された場合、前記ユーザに指定がオフであったとしても、前記プレビュー設定をオンにすることを特徴とする請求項
1に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記プレビュー画面は、前記特定の色の色材を用いて印刷される画像の表示と、前記特定の色の色材を用いず印刷される場合の画像の表示とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項
1ないし
5のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記所定データは、所定オブジェクトであることを特徴とする請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記所定オブジェクトは、細線オブジェクトであることを特徴とする請求項
7に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
前記所定オブジェクトが前記細線オブジェクトであるかを決定するための線幅を設定可能であることを特徴とする請求項
8に記載の印刷制御装置。
【請求項10】
前記所定オブジェクトは、極小オブジェクトであることを特徴とする請求項
7に記載の印刷制御装置。
【請求項11】
前記所定オブジェクトが前記極小オブジェクトであるかを決定するためのサイズを設定可能であることを特徴とする請求項
10に記載の印刷制御装置。
【請求項12】
印刷データに基づいて、特定の色の色材を用いて印刷を行うことが可能な画像出力装置に印刷を指示することが可能な印刷制御装置であって、
特定の色の色材を用いた印刷を有効にするか否かの設定を実行する設定手段と、
前記特定の色の色材を用いた印刷が有効に設定されているにもかかわらず、前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在しないことに基づいて、所定情報を通知する通知手段と、を備え
前記所定データは、所定オブジェクトであり、
前記所定オブジェクトは、細線オブジェクトであることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項13】
前記所定オブジェクトが前記細線オブジェクトであるかを決定するための線幅を設定可能であることを特徴とする請求項12に記載の印刷制御装置。
【請求項14】
印刷データに基づいて、特定の色の色材を用いて印刷を行うことが可能な画像出力装置に印刷を指示することが可能な印刷制御装置であって、
特定の色の色材を用いた印刷を有効にするか否かの設定を実行する設定手段と、
前記特定の色の色材を用いた印刷が有効に設定されているにもかかわらず、前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在しないことに基づいて、所定情報を通知する通知手段と、を備え、
前記所定データは、所定オブジェクトであり、
前記所定オブジェクトは、極小オブジェクトであることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項15】
前記所定オブジェクトが前記極小オブジェクトであるかを決定するためのサイズを設定可能であることを特徴とする請求項14に記載の印刷制御装置。
【請求項16】
印刷データに基づいて、特定の色の色材を用いて印刷を行うことが可能な画像出力装置に印刷を指示することが可能な印刷制御方法であって、
特定の色の色材を用いた印刷を有効にするか否かの設定を実行する設定工程と、
前記特定の色の色材を用いた印刷が有効に設定されているにもかかわらず、前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在しないことに基づいて、所定情報を通知する通知工程と、を備え、
前記設定工程における設定が成された場合、印刷を行う前に印刷内容をプレビュー画面に表示するプレビュー設定をオンにすることを特徴とする印刷制御方法。
【請求項17】
印刷データに基づいて、特定の色の色材を用いて印刷を行うことが可能な画像出力装置に印刷を指示することが可能な印刷制御方法であって、
特定の色の色材を用いた印刷を有効にするか否かの設定を実行する設定工程と、
前記特定の色の色材を用いた印刷が有効に設定されているにもかかわらず、前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在しないことに基づいて、所定情報を通知する通知工程と、を備え
前記所定データは、所定オブジェクトであり、
前記所定オブジェクトは、細線オブジェクトであることを特徴とする印刷制御方法。
【請求項18】
印刷データに基づいて、特定の色の色材を用いて印刷を行うことが可能な画像出力装置に印刷を指示することが可能な印刷制御方法であって、
特定の色の色材を用いた印刷を有効にするか否かの設定を実行する設定工程と、
前記特定の色の色材を用いた印刷が有効に設定されているにもかかわらず、前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在しないことに基づいて、所定情報を通知する通知工程と、を備え、
前記所定データは、所定オブジェクトであり、
前記所定オブジェクトは、極小オブジェクトであることを特徴とする印刷制御方法。
【請求項19】
請求項1から
15のいずれか1項に記載の印刷制御装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置で所望のスポットカラー印刷を行う印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷において特定の色の情報(RGB値)を予め指定した特色に置換して印刷する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スポットカラー印刷を行う際に、意図しない結果を生じさせないことが要望される。よって本発明は、意図しない印刷結果が生じるのを抑制することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため本発明の印刷制御装置は、印刷データに基づいて、特定の色の色材を用いて印刷を行うことが可能な画像出力装置に印刷を指示することが可能な印刷制御装置であって、特定の色の色材を用いた印刷を有効にするか否かの設定を実行する設定手段と、前記特定の色の色材を用いた印刷が有効に設定されているにもかかわらず、前記特定の色の色材によって印刷される色に対応する所定データが、前記印刷データに存在しないことに基づいて、所定情報を通知する通知手段と、を備え、前記設定手段による設定が成された場合、印刷を行う前に印刷内容をプレビュー画面に表示するプレビュー設定をオンにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、意図しない印刷結果が生じるのを抑制することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】印刷システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】スポットカラー印刷を行う印刷システムの構成を示した模式図である。
【
図5】描画オブジェクトと描画に指定された塗りつぶし色と線の色を表す表である。
【
図6】印刷設定チケットを模式的に表した図である。
【
図7】プレビュー表示処理を示したフローチャートである。
【
図8】印刷プレビュー表示部により表示されるプレビュー画面例である。
【
図9】スポットカラープレビュー表示処理を示したフローチャートである。
【
図12】スポットカラー失敗印刷防止処理を示したフローチャートである。
【
図13】スポットカラー印刷事前判定処理を示したフローチャートである。
【
図14】スポットカラー警告処理を示したフローチャートである。
【
図15】スポットカラー印刷警告アラートの例を示した図である。
【
図16】印刷指示時の処理を示すフローチャートである。
【
図18】印刷プレビュー表示部により表示されたプレビュー画面例である。
【
図19】印刷指示時に実行する処理を示したフローチャートである。
【
図20】各描画オブジェクトを模式的に表した図である。
【
図21】スポットカラー印刷事前判定処理を示したフローチャートである。
【
図22】スポットカラー印刷細線警告の設定ダイアログを示した図である。
【
図23】印刷警告アラートとスポットカラープレビュー表示を示した図である。
【
図24】各描画オブジェクトを模式的に表した図である。
【
図25】スポットカラー印刷事前判定処理を示すフローチャートである。
【
図26】スポットカラー印刷極小警告の設定ダイアログを示した図である。
【
図27】印刷警告アラートとスポットカラープレビュー表示を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態における印刷システムのハードウェア構成を示すブロック図である。ホストコンピュータ101は、情報処理装置の一例であり、入力インタフェース110、CPU111、ROM112、RAM113、外部記憶装置114、出力インタフェース115および入出力インタフェース116を備える。また、入力インタフェース110には、キーボード118、ポインティングデバイス117などの入力デバイスが接続され、出力インタフェース115には、表示部119などの表示デバイスが接続されている。
【0010】
ROM112には、初期化プログラムが格納され、外部記憶装置114には、アプリケーションプログラム群、オペレーティングシステム(OS)、プリンタドライバ、その他の各種のデータが格納されている。RAM113は、外部記憶装置114にストアされる各種のプログラムの実行の際のワークメモリ等として使用される。
【0011】
デバイスである画像出力装置102は、入出力インタフェース116を介して、ホストコンピュータ101と接続されている。ここでは、ホストコンピュータ101と画像出力装置102が分かれて構成されているが、これらが一つの情報処理装置として構成されていてもよい。なお、画像出力装置は、インクを紙面上に吐出することで印刷するインクジェットプリンタを例に説明するが、他の方法(例えば電子写真方式)で印刷が実行されてもよい。
【0012】
本実施形態では、スポットカラーインクを備えたインクジェットプリンタを例に説明する。さらに本実施形態の画像出力装置は、A0やB0などの大きなサイズの記録媒体に印刷を行うことができる大判インクジェットプリンタを例に説明する。また、ホストコンピュータ101は、デスクトップパソコンでも、スマートフォンでも、ノートパソコンでもよい。
【0013】
図2は、スポットカラー印刷を行う印刷システムの構成を示した模式図である。スポットカラー印刷とは、一般的なインクであるCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)インク以外の特殊インク(スポットカラーインク)を用いた印刷である。特殊インクとはすなわち、CMYK以外の特定色のインクである。そして、スポットカラーとは、スポットカラーインクが用いられて印刷される色である。なおスポットカラーは本実施形態では、スポットカラーインクのみが用いられて印刷される色に限定されず、スポットカラーインクと他のインクが調合されて用いられて印刷される色であっても良い。本実施形態では、スポットカラーインクとして、蛍光ピンクのインクが用いられる。しかしながらこの形態に限定されず、特殊インクの数や色は任意のものであってよい。例えば、スポットカラーインクとして、ヴァイオレットのインク、グリーンのインク、オレンジのインクが用いられても良い。アプリケーション202は、印刷されるコンテンツを作成するソフトウェアであり、例えばポスターデータを作成する画像編集アプリケーションが相当する。ユーザは、アプリケーション202上で、後述するスポットカラー印刷を行いたい文字やグラフィックス画像データに関して特定のRGBデータ値を指定する。アプリケーション202は、ユーザから印刷要求を受けると、印刷指示をOS201に発行する。印刷指示を受けると、OS201はその後の印刷に関する処理を自身が備えるOS印刷システム(不図示)に委ねる。ここでは、OS印刷システムは、画像出力装置ベンダが提供するプリンタドライバ203と協調して動作を行うものとして以降の説明を行う。
【0014】
OS印刷システムは、アプリケーション202からの印刷要求を受けると、プリンタドライバ203に印刷設定画面の表示を要求し、プリンタドライバ203はユーザーインターフェース部204により印刷設定画面を表示する。印刷設定画面に関しては後述するが、用紙サイズや用紙の種類等の指定、スポットカラー印刷の指定を行うことができる。さらに、印刷設定画面に設けられた印刷プレビュー表示設定を行い、印刷設定画面から印刷指示を行うと、OS印刷システム、アプリケーション202、プリンタドライバ203が協調動作を行い、印刷前に印刷プレビューアプリケーション206が起動する。
【0015】
OS印刷システムを介し、アプリケーション202から印刷を行う印刷データがスプールファイルとして印刷プレビューアプリケーション206に渡る。本実施形態では、スプールファイルの形式としてPDFファイルが利用される例を示すが、スプールファイルの形式はこの限りでない。また、OS印刷システムを介し、印刷設定画面で設定された印刷設定がプリンタドライバ203から印刷プレビューアプリケーション206に渡る。本実施形態では、印刷設定の形式としてチケット形式の印刷設定が利用される例を示すが、印刷設定の形式はこの限りではない。
【0016】
その後、印刷プレビュー制御部208でスプールPDFファイルと印刷設定チケットとによりプレビュー印刷イメージと印刷レイアウト情報とが生成され、印刷プレビュー表示部207は、印刷データ1ページ分が1画面に収まるようプレビュー表示する。また、印刷プレビューアプリケーション206にはスポットカラー印刷部をプレビュー表示するスポットカラー印刷プレビュー機能も設けられており、スポットカラーインクが画像のどの部分に使用されるのかを印刷前に確認することができる。ユーザは印刷イメージと印刷レイアウトを確認し、所望の結果で印刷されることを確認すると、印刷プレビューアプリケーション206で印刷指示を行う。
【0017】
印刷設定画面あるいは印刷プレビューアプリケーション206からの印刷指示により、OS印刷システムを介し、アプリケーション202のスプールPDFファイルと印刷設定チケットがプリンタドライバ203のグラフィックス処理部205に渡る。グラフィックス処理部205は、これらデータを画像出力装置102が解釈できるデータ形式に変換し、画像出力装置102に送信する。本実施形態においては、スプールPDFファイルは印刷設定に応じ、OS印刷システムあるいはグラフィックス処理部205が備えるレンダリングエンジンを通し、画像出力装置102が解釈できる画像データ形式に変換される。
【0018】
その後、画像出力装置102に給紙された記録媒体に記録ヘッドからインクが吐出され画像が形成される。ここで、スポットカラー印刷が設定されている場合は、印刷データのスポットカラー印刷指定されているデータ部の画像形成には指定されたスポットカラーインクが吐出される。
【0019】
本実施形態においては、プリンタドライバ203にてスポットカラー印刷が設定された場合、画像出力装置102で2種類のスポットカラーインクを使用した印刷が可能な画像出力装置102の例を説明する。プリンタドライバ203にてスポットカラー印刷が設定された場合、印刷データのうち、設定されたスポットカラーに対応する特定のRBG値を持つ画素が、スポットカラーインクが用いられて印刷される。本実施形態では、特定のRGB値とは例えば、R=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)であり、該当するRBG値を持つ画素は、蛍光ピンクのインクが用いられることで、蛍光ピンクの色で印刷される。また特定のRGB値とは例えば、R=255(0xFF)、G=85(0x55)、B=0(0x00)であり、該当するRBG値を持つ画素は、蛍光ピンクのインクとMとYのインクが調合されて用いられることで、オレンジの色で印刷される。なお例えば、スポットカラーインクとしてオレンジインクが使用可能な形態であれば、オレンジインクのみが用いられることで、オレンジの色での印刷が行われても良い。すなわち、スポットカラーに対応する特定のRBG値の画素は、スポットカラーインクが少なくとも用いられて印刷されればよく、CMYKインクと調合されて印刷されてもされなくても良い。なおスポットカラー印刷においても、スポットカラーに対応する特定のRBG値の画素でない画素は、CMYKインクのみが用いられて印刷される。また、スポットカラー印刷が実行されるのは、ユーザ操作により、スポットカラー印刷が有効にされた場合である。すなわち、スポットカラー印刷設定が有効でない場合は、スポットカラーに対応する特定のRBG値の画素も、RBG値が通常通り参照されることでCMYKインクのみが用いられて印刷される。
【0020】
プリンタドライバ103がスポットカラー印刷設定を有効にし、印刷データに含まれる画素のRGB値がR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)である場合、画像出力装置102にて蛍光ピンクのインクを用いたスポットカラー印刷が可能である。また、プリンタドライバ103がスポットカラー印刷設定を有効にし、送信する印刷データに含まれる画素のRGB値がR=255(0xFF)、G=85(0x55)、B=0(0x00)である場合、蛍光オレンジのインクを用いたスポットカラー印刷が可能である。一方、プリンタドライバ103がスポットカラー印刷設定を有効にしたにもかかわらず、スポットカラー印刷に対応する上記の特定のRGB値を持つ画素が印刷データに含まれない場合、スポットカラー印刷が可能でない。スポットカラー印刷が可能でない場合には、本実施形態ではエラー(警告)が通知される。
【0021】
スポットカラー印刷を行う場合、ユーザはまずアプリケーション202上でコンテンツを作成し、スポットカラーインクを使用して印刷したい文字やグラフィックス画像データ上の特定の領域に、前述したスポットカラーインクに対応する特定のRGBデータ値を指定する。
【0022】
図3は、本実施形態におけるアプリケーション202の一例を示した図であり、ポスターデータ作成アプリケーション311の画面例を示した図である。ポスターデータ作成アプリケーション311は、ツールバーボタン300、画像データ表示領域301、画像データ編集領域302、オブジェクト選択枠303、オブジェクト色編集タブメニュー304、オブジェクトサイズ変更タブメニュー305を備えている。更に、ポスターデータ作成アプリケーション314は、R値変更コントロール306、G値変更コントロール307、B値変更コントロール308、印刷ボタン309、終了ボタン310を備えている。
【0023】
ツールバーボタン300では、編集操作の取消しとやり直し、テキストオブジェクト作成、グラフィックスオブジェクト作成、画像データオブジェクト作成、表示倍率変更、アプリケーションヘルプ表示、オブジェクト選択等のアプリケーション機能を選択する。画像データ表示領域301では、ユーザが作成した画像データが表示される。画像データ編集領域302では、ポインティングデバイス117を利用し、ユーザが任意のオブジェクトを選択したり、選択したオブジェクトを移動したり、画像データの編集ができる。オブジェクト選択枠303は、ユーザがオブジェクトを選択した場合にそのオブジェクトが選択されていることをユーザに示す。この例では、「SALE」というテキストオブジェクトが選択されていることを示す。
【0024】
オブジェクト色編集タブメニュー304が選択されると現在選択されているオブジェクトの色を変更するコントロールが表示される。オブジェクトサイズ変更タブメニュー305が選択されると現在選択されているオブジェクトのサイズを変更するコントロールが表示される。ここでは、オブジェクト色編集タブメニュー304が選択されており、オブジェクトのRGB値を変更するR値変更コントロール306、G値変更コントロール307、B値変更コントロール308が表示される。
【0025】
R値、G値、B値の各コントロールは、値をキーボード118で直接入力したり、ポインティングデバイス117でコントロール右側のボタンを選択したりすることにより、0から255までの値を設定可能である。また、入力された値は各コントロールの下に16進数としても併記されている。この例では、オブジェクト選択枠303で囲まれた「SALE」というテキストオブジェクトがRGB値として、R=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)が設定されている。前述したように、このRGB値は、特定色のインクが用いられ印刷される色を指定する値である。
【0026】
ここで本実施形態では、アプリケーション202のデータ生成色空間とプリンタドライバ203のレンダリングエンジンが生成する印刷データの色空間とを標準的なRGB色空間であるsRGB色空間とする。そして、説明簡略化のためカラーマッチング処理の影響はないものとする。また、アプリケーション202のデータ生成色空間とOS印刷システムのレンダリングエンジンが生成する印刷データの色空間も標準的なRGB色空間であるsRGB色空間とし、説明を簡略するためカラーマッチング処理の影響はないものとする。つまり、アプリケーション202で表現されるRGB値がプリンタドライバ203あるいはOS印刷システムのレンダリングエンジンが生成される印刷データに含まれる画素のRGB値と一致するものとする。これにより、R=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)の印刷データは画像出力装置102にて、スポットカラー印刷が指定されると蛍光ピンクのスポットカラーで印刷されるデータとなる。また、画像データ編集領域302に表示されている他の画像オブジェクトのRGB値はこの値以外のRGB値であるものとして、以降の説明を行う。
【0027】
印刷ボタン309は、ユーザが選択する押下することで、画像データ編集領域302に表示される画像データを印刷する。終了ボタン310は、ユーザが押下することで、ポスターデータ作成アプリケーションを終了する。
【0028】
図2に戻り、アプリケーション202(ポスターデータ作成アプリケーション311)は、ユーザから印刷要求を受けると、印刷指示をOS201に発行する。印刷指示を受けると、OS201は、その後の印刷に関する処理を自身が備えるOS印刷システム(図示せず)に委ねる。ここでは、OS印刷システムは、プリンタドライバ203と協調して動作を行う。
【0029】
図4は、本実施形態における印刷設定ダイアログ400を示した図である。プリンタドライバ203は、OS印刷システム経由でアプリケーション202から印刷指示を受けると、ユーザーインターフェース部204が印刷設定ダイアログ400を表示する。ユーザは、印刷設定ダイアログ400上で各種印刷設定を行うことにより、画像出力装置102から所望の印刷物を得ることができる。
【0030】
印刷設定ダイアログ400は、プリンタ設定401、部数設定402、印刷ページ設定403、コントロール404、用紙サイズ設定405、用紙種類設定406、印刷品質設定407、給紙方法設定408を備えている。更に印刷設定ダイアログ400は、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定409、オレンジスポットカラー印刷設定410、印刷プレビュー設定411、キャンセルボタン412、プリントボタン413を備えている。
【0031】
プリンタ設定401は、あらかじめOS印刷システムに登録されている画像出力装置102のプリントキューをリストから選択する。部数設定402は、印刷する部数を設定する。印刷ページ設定403は、ラジオボタンにより全ページの印刷か指定範囲ページの印刷を選ぶことができ、指定範囲ページの印刷を選択した場合、コントロール404で印刷するページ範囲を指定することができる。用紙サイズ設定405は、A1,A2といった画像出力装置102で印刷する用紙サイズをリストから選択することができ、選択された用紙サイズの外寸も合わせて表示される。用紙種類設定406はであり、普通紙、光沢紙といった画像出力装置102が対応する用紙の種類をリストから選択することができる。
【0032】
印刷品質設定407は、速い、標準、きれいといった画像出力装置102で印刷する際の印刷品質をリストから選択することができる。また、本実施形態においては、印刷品質設定407の設定値が、画像出力装置102で印刷を行う際の印刷解像度に対応し、速いが300dpi、標準が600dpi、きれいが600dpiの印刷解像度に対応するものとする。
【0033】
給紙方法設定408は、ロール紙、カット紙といった画像出力装置102で給紙する方法をリストから選択することができる。印刷設定ダイアログ400には、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定409とオレンジスポットカラー印刷設定410とが指定可能に設けられている。蛍光ピンクスポットカラー印刷設定409は、蛍光ピンクに対応するRGB値を有する画素を蛍光ピンクで印刷するためのスポットカラー印刷(蛍光ピンクスポットカラー印刷)を有効にするか否かの選択を受け付ける領域である。なお、蛍光ピンクスポットカラー印刷が有効にされていない場合、蛍光ピンクに対応するRGB値を有する画素は、蛍光ピンクでない色で印刷される。そのため当該領域は、特定のRGB値を有する画素を、蛍光ピンクで印刷するか蛍光ピンクとは異なる色で印刷するかに関する設定を受け付けるための領域ともいえる。また例えば、スポットカラーインクを用いて印刷するかスポットカラーインクを用いず、CMYKインク等の通常のインクを用いて印刷するかの設定を受け付けるための領域ともいえる。蛍光ピンクスポットカラー印刷設定409は、チェックボックスがオンの場合、プリンタドライバ203で生成される印刷データに含まれる画素に、蛍光ピンクに対応するRGB値を持つ画素がある場合に、画像出力装置102で蛍光ピンクのスポットカラーインクで印刷される。チェックボックスがオフの場合、プリンタドライバ203で生成される印刷データに含まれる画素に、蛍光ピンク対応するRGB値を持つ画素があってもCMYK等のプロセスカラーインクでRGB値を表現した画像が形成され、蛍光ピンクスポットカラーインク(色材)は使用されない。つまり、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定409のチェックボックスにチェックを入れてオンにすることで、蛍光ピンクに対応するRGB値の画素が、スポットカラーが用いられて印刷される色で印刷される。同様に、オレンジスポットカラー印刷設定410は、オレンジに対応するRGB値を有する画素をオレンジで印刷するためのスポットカラー印刷(オレンジスポットカラー印刷)を有効にするか否かの選択を受け付ける領域である。なお蛍光ピンクと同様に、オレンジスポットカラー印刷が有効にされていない場合、オレンジに対応するRGB値を有する画素は、オレンジでない色で印刷される。そのため当該領域は、特定のRGB値を有する画素を、オレンジで印刷するかオレンジとは異なる色で印刷するかに関する設定を受け付けるための領域ともいえる。オレンジスポットカラー印刷設定410は、チェックボックスがオンの場合、プリンタドライバ203で生成される印刷データに、オレンジに対応するRGB値を持つ画素がある場合に画像出力装置102でオレンジのスポットカラーインクが使用され印刷が行われる。チェックボックスがオフの場合、プリンタドライバ203で生成される印刷データに、オレンジに対応するRGB値を持つ画素があっても、CMYKといったプロセスカラーインクでそのRGB値を表現した画像が形成され、オレンジのスポットカラーインクは使用されない。なお上述では、スポットカラー印刷において用いられるスポットカラーを蛍光ピンクとオレンジのみ設定できるものとしたが、この形態に限定されない。スポットカラーを2以外の数設定可能な形態としても良い。
【0034】
なおスポットカラーに関する設定は、上述の方法に限定されない。例えば、画像出力装置102はまず、スポットカラー印刷を有効にするか否かの設定を受け付けるための領域をプリンタドライバ203に表示する。そして、当該領域に対する操作により、スポットカラー印刷を実行する設定が受け付けられた場合に、各色のスポットカラー印刷を有効にするか否かの設定を、上述の印刷設定409や410によって受け付けても良い。
【0035】
印刷プレビュー設定411は、チェックボックスがオン状態でプリントボタン413が選択されると、印刷プレビューアプリケーション206が起動する。キャンセルボタン412は、印刷を行わずに本印刷設定ダイアログ表示前の状態に戻る場合に選択する。プリントボタン413は、印刷プレビュー設定411がオフ状態で本ボタンが選択されると、OS印刷システム経由で、アプリケーション202の印刷を行う印刷データと本印刷設定ダイアログで設定された印刷設定値がグラフィックス処理部205に渡る。印刷設定ダイアログ400に示す各コントロールの状態で、プリントボタン413が押下されると、
図5に示すスプールPDFファイルと後述する
図6に示す印刷設定チケットとが、グラフィックス処理部205あるいは印刷プレビュー制御部208に送信される。
【0036】
図5(a)は、スプールPDFファイルに含まれる各描画オブジェクトを模式的に表した図であり、
図5(b)は各描画オブジェクトの描画に指定されている塗りつぶし色と線の色を表す表である。
図5の描画オブジェクトには、グラフィックスオブジェクトとテキストオブジェクトとの2種類の描画オブジェクトが含まれている。グラフィックスオブジェクトには、線と塗りつぶしとの描画命令が含まれ、線の色と塗りつぶしの色として、それぞれ色が指定される。テキストオブジェクトにはテキストの描画命令が含まれ、テキストの色が塗りつぶし色として指定される。
図5(b)は、このような各描画オブジェクトの塗りつぶし色と線の色とを表している。
【0037】
背景に相当するグラフィックスオブジェクト500は、塗りつぶしと線の色にR=0(0x00)、G=255(0xFF)、B=80(0xFF)の色が指定されている。グラフィックスオブジェクト501、502、503は、線の色としてR=0(0x00)、G=0(0x00)、B=0(0x00)が、塗りつぶしの色としてR=255(0xFF)、G=255(0xFF)、B=0(0x00)が指定されている。テキストオブジェクト504は、「SALE」といテキストがR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)の色で指定されている。グラフィックスオブジェクト505は、塗りつぶしと線の色にR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=0(0x00)が指定されている。
【0038】
テキストオブジェクト506は、グラフィックスオブジェクト505の前面に「UP TO 50% OFF」というテキストがR=255(0xFF)、G=255(0xFF)、B=255(0xFF)の色で指定されている。グラフィックスオブジェクト507は、線の色としてR=244(0xCC)、G=0(0x00)、B=244(0xCC)が、塗りつぶしの色としてR=255(0xFF)、G=255(0xFF)、B=0(0x00)が指定されている。また、このスプールPDFファイルのMediaBoxに幅420.0mm、高さ594.0mmが設定されているものとする。
【0039】
図6は、印刷設定チケット600を模式的に表した図である。印刷設定チケット600は、印刷設定ダイアログ400で設定された値が印刷設定チケットとして生成される。印刷設定チケット600において、プリンタ設定601は、プリンタ設定401に相当し、プリントキュー名「 Large Format Printer」が出力先として設定されていることを示す。部数設定602は、部数設定402に相当し、1部印刷が設定されていることを示す。印刷ページ設定603は、印刷ページ設定403に相当し、開始ページとして1ページが、終了ページとして1ページが設定されていることを示す。用紙種類設定604は、用紙種類設定406に相当し、Canonコート紙が設定されていることを示す。印刷品質設定605は、印刷品質設定407に相当し、印刷解像度600dpiが設定されていることを示す。
【0040】
給紙方法設定606は、給紙方法設定408に相当し、ロール紙給紙が設定されていることを示す。用紙サイズ設定607は、用紙サイズ設定405に相当し、用紙サイズ名称であるA2と、用紙の幅と高さ、上下左右の各余白が100分の1mm単位で設定されていることを示す。蛍光ピンクスポットカラー印刷設定608は、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定409に相当し、蛍光ピンクスポットカラー印刷が設定されていることを示す。オレンジスポットカラー印刷設定609は、オレンジスポットカラー印刷設定410に相当し、オレンジスポットカラー印刷が設定されていないことを示す。印刷プレビュー設定610は、印刷プレビュー設定411に相当し、印刷プレビューアプリケーション206が起動する設定がされていることを示す。
【0041】
図7は、本実施形態におけるプレビュー表示処理を示したフローチャートであり、
図8(a)、(b)は、印刷プレビュー表示部207により表示されるプレビュー画面例である。印刷プレビューアプリケーション206は、印刷プレビュー表示部207および印刷プレビュー制御部208から構成される。プレビューアプリケーション206は、印刷設定ダイアログ400の印刷プレビュー設定411がオン状態で、プリントボタン413が選択されると起動する。起動後、印刷プレビュー制御部208が後述する
図7のフローチャートに示すプレビュー表示処理を実行し、印刷プレビュー表示部207が印刷プレビューを表示する。
【0042】
図7のフローチャートの説明に先立って、まず、
図8のプレビュー画面を説明する。ツールバーボタン800は、表示倍率の変更を行う。印刷プレビューイメージ表示領域801は、印刷イメージが印刷レイアウトと共に表示される。プレビューロール紙幅設定802は、画像出力装置102が給紙可能なロール紙幅がリストされる。プレビューロール紙幅設定802で設定されるロール紙幅は、印刷プレビュー制御部208により、画像出力装置102で現在給紙されているロール紙幅を取得し、そのロール紙幅が選択されてもよく、ユーザがリストから任意のロール紙幅を選択してもよい。プレビューロール紙幅設定802で設定されたロール紙幅は、印刷プレビューイメージ表示領域801に表示される印刷レイアウトイメージに反映される。スポットカラープレビュー設定803は、チェックボックスがオンの場合、印刷プレビューイメージ表示領域801に、画像出力装置102にてスポットカラーインクが使用されるデータ領域が表示される。
【0043】
以下、
図7のフローチャートと
図8(a)の起動時画面とを用いて本実施形態におけるプレビュー表示処理を説明する。ここでは
図8(a)のように、スポットカラープレビュー設定803は、チェックボックスにはチェックが無くオフの場合である。ここでは、印刷プレビューアプリケーション206では、初期値としてスポットカラープレビュー設定803がオフの設定となっているものとして説明する。尚、初期値としてスポットカラープレビュー設定803がオフの設定となっていてもよい。また、初期値としてスポットカラープレビュー設定803がオフの設定となっている場合、ユーザによってチェックボックスからチェックが外れてオフになったときに、以降で説明する
図7の処理が行われることになる。尚、この初期値は、ユーザによって予め任意に設定されていてもよい。
【0044】
なお、
図7で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより行われる。あるいはまた、
図7におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0045】
プレビュー表示処理が開始されると、S701でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スプールファイルと印刷設定とを取得する。ここでは、
図5に示したスプールPDFファイルと
図6に示した印刷設定チケットとを取得する。次にS702でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、プレビューロール紙幅を取得する。ここでは、印刷プレビュー制御部208が、画像出力装置102が給紙しているロール紙幅が420.0mmである、A2/A3ロール(420.0mm)を取得したものとする。次にS703でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、取得した印刷設定を元に、スプールPDFファイルのレンダリングを行う。
【0046】
ここで、参照する印刷設定としては、印刷設定チケットの605に示す印刷解像度600dpiとなるが、プレビューイメージ生成に依存する印刷設定値はこの限りではない。印刷設定ダイアログ400には例示していないが、例えばモノクロ印刷が設定されている場合は、印刷プレビュー制御部208はスプールPDFファイルをモノクロ画像となるようレンダリングすることもある。
【0047】
またレンダリングに関しては、OS印刷システムのレンダリングエンジン、グラフィックス処理部205のレンダリングエンジン等、実際にプリンタドライバ203が画像出力装置102用の印刷データを生成する際に用いるレンダリングエンジンが使用される。また、先に述べたように、本実施形態においては、説明の簡略化のため、レンダリング時にカラーマッチングの影響は受けないものとして説明を行う。この場合、OS印刷システムのレンダリングエンジンにより、600dpiの解像度でプレビューイメージが生成される。
【0048】
ここで、本実施形態においては、印刷解像度に相当する600dpiでレンダリングを行ったが、印刷解像度よりも低い解像度でレンダリングを行うことにより、処理パフォーマンス、表示パフォーマンスの向上を図ってもよい。ただし、印刷解像度よりも低い解像度でレンダリングを行う場合、本来印刷される画像データの画素が印刷プレビュー上で確認できないことがある。次にS704でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、取得した印刷設定とプレビューロール紙幅から印刷レイアウト情報を生成する。ここでは、印刷設定チケットの607に示す用紙設定値であるA2サイズ(外寸420.0x594.0mm、上下左右余白3mm)がプレビューロール紙幅として取得した幅420.0mmのロール紙上に印字される場合の印刷レイアウト情報が生成される。
【0049】
次にS705でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208が生成した印刷プレビューイメージと印刷レイアウト情報とを用いて、印刷プレビュー表示部207が印刷プレビューイメージ表示領域801にプレビューイメージを表示する。その後、処理を終了する。このS705では、
図8(a)に示すように420.0mm幅のロール紙上に画像データ編集領域302で編集された印刷データがA2サイズ(外寸420x594mm、上下左右余白3mm)で印刷されることをユーザが認識できる印刷プレビューが表示される。この印刷プレビュー表示により、ユーザは印刷前に、アプリケーションから印刷を行おうとしたデータが、ロール紙上のどの位置にどのように印刷されるかを知ることができる。
【0050】
またユーザがプレビューロール紙幅設定802でプレビューするロール紙幅を変更した場合は、
図7に示すプレビュー表示処理のS702で取得するプレビューロール紙幅がプレビューロール紙幅設定802のロール紙幅となり、その後の表示処理を進める。これにより、ユーザはロール紙を変更した場合の印刷結果を印刷前に把握することができる。
【0051】
また、給紙方法設定408でカット紙が選択され、プレビューアプリケーション206が起動した場合は、プレビューロール紙幅設定802は表示されず、印刷プレビューイメージ表示領域801にはカット紙印刷時のプレビューが表示される。その際は、印刷プレビュー制御部208はS702の処理を行わず、S704の処理においてはロール紙幅を用いずにカット紙の印刷レイアウト情報を生成する。
【0052】
図9は、本実施形態におけるスポットカラープレビュー表示処理を示したフローチャートである。以下、スポットカラープレビュー設定803がオンになった場合、または、初期値としてオンが設定されていた場合のスポットカラープレビュー表示処理を
図9のフローチャートと
図8(b)のプレビュー画面例を用いて説明する。なお、
図9で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより行われる。あるいはまた、
図9におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0053】
S901からS903までの処理は、
図7におけるS701からS703までの処理と同様であるので説明を省略する。
【0054】
S904でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、印刷設定からスポットカラー印刷設定を取得する。ここでは、印刷プレビュー制御部208が印刷設定チケットの蛍光ピンクスポットカラー印刷設定値608とオレンジスポットカラー印刷設定値609とを取得し、蛍光ピンクスポットカラー印刷が有効に設定されていることを取得する。次にS905でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208はS903で生成したプレビューイメージ内のスポットカラー印刷画素を抽出したスポットカラープレビューイメージを生成する。
【0055】
ここでは、S903で生成されたプレビューイメージから蛍光ピンクスポットカラー印刷に対応する印刷画素の画素値(本実施形態では、RGB値)であるR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)の画素を抽出する。その後、抽出した画素以外を白色となるRGB値であるR=255(0xFF)、G=255(0xFF)、B=255(0xFF)としたイメージを生成する。これにより、蛍光ピンクスポットカラーインクが使用される印刷画素を表す、スポットカラープレビューイメージが生成される。また、S904にてオレンジスポットカラー印刷設定値が有効に設定されている場合は、同様の処理により対応する印刷画素のRGB値の画素以外を白色となるRGB値としたイメージを生成することでオレンジスポットカラーのプレビューイメージが生成される。
【0056】
次にS906でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、印刷レイアウト情報を生成するが、この処理は
図7におけるS704と同様の処理のため、ここでは説明を省略する。次にS907でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷プレビューイメージと印刷レイアウト情報とを用いて、印刷プレビュー表示部207が印刷プレビューイメージ表示領域801にプレビューイメージを表示する。この場合、
図8(b)に示すように、印刷レイアウトに加え420.0mm幅のロール紙上に、画像データ編集領域302にて編集された印刷データのどの部分がスポットカラーインクを使用して印刷されるかをユーザが認識できる印刷プレビューが表示される。
【0057】
ここで、蛍光ピンクインクのような色は、sRGBやAdobe RGBといった色空間を再現する一般的なディスプレイのような表示部119で表示することが難しい。そのため、このようなスポットカラーインクのプレビュー表示時には、印刷プレビューイメージ表示領域801に近似色で表示を行うことができる。また、「蛍光ピンクインクが使用される領域が表示されています」といった使用されるインクの色を印刷プレビューイメージ表示領域801にイメージと一緒にテキスト表示することもできる。これにより、ユーザに実際に利用されるインクのイメージを伝えることが可能となる。
【0058】
これらの印刷プレビュー表示により、ユーザは印刷前に、アプリケーションから印刷を行おうとしたデータのどの部分にスポットカラーインクが使用されて印刷されるかを知ることができ、失敗印刷を防ぐことができる。
【0059】
ユーザは印刷プレビュー表示およびスポットカラー印刷プレビュー表示を確認し、所望の結果が得られることがわかると、印刷ボタン804を押下する。所望の結果が得られないことが分かった場合は、ユーザは終了ボタン805を押下し、印刷プレビューアプリケーション206を終了させ、アプリケーション202で印刷データの再編集あるいは印刷設定ダイアログ400上で印刷設定を変更し、再度印刷を行う。印刷ボタン804が選択された場合、前述した通り、OS印刷システムを介し、PDFファイルと印刷設定チケットがプリンタドライバ203のグラフィックス処理部205に渡る。そして、グラフィックス処理部205はこれらデータを画像出力装置102が解釈できるデータ形式に変換した後に、画像出力装置102に送信し、画像出力装置102は記録ヘッドからインクを吐出し、給紙された記録媒体に画像を形成する。
【0060】
このように、ポスターデータ作成アプリケーション311を用いて、スポットカラー印刷したい部分のデータにスポットカラーとするためのRGB値を設定する。更に、ポスターデータ作成アプリケーション311で、スポットカラーインクを使用する設定を行い、所望のオブジェクトに対してスポットカラーを用いた印刷を行うことができる。また、印刷プレビュー画面を表示することで、スポットカラープレビューの表示を切り替えることで、適切なスポットカラー設定になっているかをユーザが確認することができる。
【0061】
ここまで、ユーザはアプリケーション202でスポットカラー印刷したい部分のデータにスポットカラーインクを使用するためのRGB値を設定し、プリンタドライバ203にてスポットカラーインクを使用する設定を行い、所望の結果が得られる例を説明した。しかし、ポスターデータ作成アプリケーション311において、ユーザがRGB値を入力する際に設定値を間違えると、印刷結果において意図した結果が得られない。以下、ユーザがスポットカラー印刷設定を間違えた場合の動作について説明する。
【0062】
図3に示すポスターデータ作成アプリケーション311の画面において、オブジェクト選択枠303で選択されたテキストオブジェクトの色を、RGB値としてR=255(0xFF)、G=10(0x0A)、B=255(0xFF)が設定されたものとする。これは、ユーザがこのテキストオブジェクトを蛍光ピンクスポットカラーで印刷したいため、本来であればR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)と設定すべきところを、誤ったRGB値を設定したことを意味する。この状態ではユーザの意図した印刷結果は得られない。しかし、ユーザは間違えていることに気づいてなく、印刷ボタン309を押下し、表示される印刷設定ダイアログ400上で印刷プレビュー設定411をオフ状態でプリントボタン413を押下する。
【0063】
その結果、
図10に示すスプールPDFファイルと
図11に示す印刷設定チケットとが、OS印刷システム経由でグラフィックス処理部205に送信される。
図10に示すスプールPDFファイルは、前述の
図5に示すスプールPDFファイルのテキストオブジェクト504に対応するオブジェクト1004が、R=255(0xFF)、G=10(0x0A)、B=255(0xFF)の塗りつぶし色に設定されている。
【0064】
また、
図11に示す印刷設定チケットは前述の
図6に示す印刷設定チケットの印刷プレビュー設定610に対応する印刷プレビュー設定1110がOffに設定されている。また、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定1108は、Onに設定されている。グラフィックス処理部205は、これらデータを画像出力装置102が解釈できるデータ形式に変換し、画像出力装置102に送信する。しかし蛍光ピンクスポットカラー印刷設定がOnであるにも関わらず、印刷データには蛍光ピンクスポットカラーに対応するRGB値(R=255、G=0、B=255)の画素がなく、蛍光ピンクインクを使用したスポットカラー印刷は行われず失敗印刷となる。
【0065】
なお、印刷設定ダイアログ400上で、印刷プレビュー設定411をオンとし、スポットカラープレビュー設定803をオンとすることで、プレビュー表示画面によってスポットカラーインクが使用される領域を確認することは可能である。しかし、ユーザがこの動作を行わない場合、失敗印刷となる。
【0066】
そこで、本実施形態では、このような意図した結果が得られない失敗印刷の発生を抑制する方法について説明する。
【0067】
図12は、本実施形態におけるスポットカラー失敗印刷防止処理を示したフローチャートである。以下、
図12のフローチャートを用いて、本実施形態におけるスポットカラー失敗印刷防止処理を説明する。なお
図12で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより、グラフィックス処理部205あるいは印刷プレビュー制御部208で行われる。あるいはまた、
図12におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。また、OSの実行権限により、グラフィックス処理部205で本処理が実行できないOS210の場合は、印刷プレビュー制御部208でその実行を行うことが可能である。その場合は、ユーザーインターフェース部204とOS印刷システムが協調し、印刷設定ダイアログ400上のプリントボタン413が選択された際に、印刷プレビュー制御部208で本処理を実行するよう構成する。ここでは、印刷プレビュー制御部208で本処理が実行された場合を例に説明する。
【0068】
プリントボタン413が押下されると、S1201でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、
図10に示すスプールPDFファイルと
図11に示す印刷設定チケットとをOS印刷システム経由で取得する。次に、S1202でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、印刷設定チケットからスポットカラー印刷設定がされているかを判定する。この場合、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定1108がOnであるため、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定がされていると判定される。ここで、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定1108、オレンジスポットカラー印刷設定1109が共にOffの場合、スポットカラー印刷設定がされていないと判定され、本処理は終了する。次に、S1203でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷事前判定処理を行う。
【0069】
図13は、スポットカラー印刷事前判定処理を示したフローチャートである。ここで、スポットカラー印刷事前判定処理を説明する。なお
図13で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより、グラフィックス処理部205あるいは印刷プレビュー制御部208で行われる。あるいはまた、
図13におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0070】
スポットカラー印刷事前判定処理が開始されると、S1301でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、取得した印刷設定の解像度でスプールPDFファイルのレンダリングを行う。この場合、印刷プレビュー制御部208は、印刷解像度1106より600dpiで、スプールPDFファイルのレンダリングをOS印刷システムのレンダリングエンジンを用いて行う。次に、S1302でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、生成したレンダリング後のイメージ画素内の探索を行い、スポットカラー指定のRGB値が含まれているかどうかを確認する。ここでは、印刷プレビュー制御部208は、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定に対応するRGB値であるR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)が含まれているかどうかを確認する。この場合、前述の通りOSレンダリングエンジンのカラーマッチング影響がないため、レンダリング後のイメージ内の各画素のRGB値は、
図10(b)に示すRGB値のいずれかになる。つまり、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定に対応するRGB値であるR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)が含まれないことになる。次に、S1303でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208はスポットカラー指定RGB値が含まれるかどうかを判定する。この場合、含まれないためS1305に移行し、判定結果を失敗とし、本処理を終了する。また、スポットカラー指定RGB値が含まれる場合は、S1304に移行して、判定結果を成功とし、本処理を終了する。このようにして、スポットカラーと対応づけられた所定データの有無を判定することでスポットカラー印刷事前判定処理は終了し、再び
図12のフローチャートに戻る。
【0071】
S1204でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208はスポットカラー印刷事前判定処理の結果を判定する。この場合、判定結果は失敗であったため、S1205に移行し、印刷プレビュー制御部208は設定されたスポットカラー印刷が行えないことを警告(通知)する。また、判定結果が成功であった場合は、所望のスポットカラー印刷結果が得られるものとし、本処理を終了し、その後のグラフィックス処理部205での処理が行われ、画像出力装置102からスポットカラー印刷された出力物を得ることができる。
【0072】
図14は、本実施形態におけるスポットカラー警告処理を示したフローチャートであり、
図15(a)から(c)は、スポットカラー印刷警告アラートの例を示した図である。ここで、スポットカラー警告処理を説明する。なお
図14で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより、グラフィックス処理部205あるいは印刷プレビュー制御部208で行われる。あるいはまた、
図14におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0073】
スポットカラー警告処理が開始されると、S1401でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷警告アラート(所定情報)を表示する。
図15(a)は、ユーザ所望のスポットカラー印刷が行えない警告メッセージを表示したスポットカラー印刷警告アラート1500である。本実施形態のように、ユーザ所望のスポットカラー印刷が行えない場合に、スポットカラー印刷警告アラート1500を印刷プレビュー制御部208が表示する。ユーザはこのメッセージを確認し、印刷をキャンセルする場合は、キャンセルンボタン1501を押下し、印刷を続行する場合は印刷続行ボタン1502を押下する。
【0074】
また、本実施形態のように、印刷設定として設定されたスポットカラーインクに対応する印刷データのRGB値がアプリケーションの印刷データに含まれていない場合は、
図15(b)に例示するスポットカラー印刷警告アラート1503を表示してもよい。スポットカラー印刷警告アラート1503の警告メッセージを表示することにより、ユーザが所望の結果を得るために、何をすればよいかが明確にわかる。
【0075】
また複数のスポットカラー印刷設定が行われたが、設定された全てのスポットカラーインクに対応する印刷データのRGB値がアプリケーションの印刷データに含まれない場合は、
図15(c)に示すスポットカラー印刷警告アラート1505を表示してもよい。この場合、ユーザがプレビュー画面で印刷内容を確認して確認ボタン1506を押下すると、印刷プレビューアプリケーション206でスポットカラーインクが使用される領域が確認できる。このようにしてスポットカラーインクが使用される領域を確認することで、ユーザが所望の結果を得るために、アプリケーションでどの部分を再編集すればよいかが明確にわかる。
【0076】
ユーザがスポットカラー印刷警告アラートでいずれかのボタンを押下すると、S1402でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、押下されたボタンが印刷キャンセルボタンかどうかを判定する。押下されたボタンが印刷キャンセルボタンの場合はS1403へ移行し、印刷プレビュー制御部208は現在の印刷ジョブをキャンセルし本処理を終了する。ここで、押下されたボタンが印刷キャンセルボタンでない場合はS1404に移行し、印刷プレビュー制御部208は、押下されたボタンが印刷続行ボタンかどうかを判定する。
【0077】
押下されたボタンが印刷続行ボタンの場合は、S1405でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、グラフィックス処理部205で印刷を通常実行するようOS印刷システムに印刷指示を行い本処理を終了する。ここで、押下されたボタンが印刷続行ボタンでない場合は、S1406でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、印刷プレビューを起動時に、前述の
図9に示すスポットカラープレビュー表示を行う処理を行って本処理を終了する。尚、ここでは、S1406では、
図9に示す処理を行い、その結果、
図8(b)に示すようなプレビュー画面が表示されるものとして説明したが、これに限られない。S1406で
図7に示す処理を行い、その結果、
図8(a)に示すようなプレビュー画面が表示されてもよい。この場合でも、ユーザは、スポットカラープレビュー設定803のオン・オフを切り替えることで、スポットカラー印刷のプレビューを確認することができる。このように、スポットカラー印刷設定がされている場合には、イメージ画素内にスポットカラー指定RGB値が含まれるかどうかを判定し、含まれていない場合には、スポットカラー印刷が行えないことを警告する。これによって、意図しない印刷結果が生じるのを抑制することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムを提供することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。実施形態1では、ユーザがアプリケーションでスポットカラー印刷したい部分のRGB値を間違えた場合に、失敗印刷を防ぎ、所望の結果でスポットカラー印刷を行うための修正方法を案内する例を示した。本実施形態では、ユーザが印刷プレビュー設定を行わなくても、印刷プレビューアプリケーションを起動させ、プレビュー上でRGB値を変更する構成の例を説明する。
【0079】
本実施形態において、ユーザは第1の実施形態と同様に、アプリケーション202上で、スポットカラー印刷したいデータに誤ったRGB値を指定し、印刷指示を行ったものとする。そしてユーザは、その後表示される
図4に例示する印刷設定ダイアログで印刷プレビュー設定411をオフ状態で、プリントボタン413を押下する。その後、本実施形態では、ユーザーインターフェース部204は、後述する
図16に示す印刷指示時の処理を実行する。
【0080】
図16は、本実施形態における印刷指示時の処理を示すフローチャートである。以下、
図16のフローチャートを用いて、本実施形態における印刷指示時の処理を説明する。なお、
図16で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより、ユーザーインターフェース部204が実行する。あるいはまた、
図14におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0081】
印刷指示時の処理が開始されると、S1601でCPU111の制御によって、ユーザーインターフェース部204は、印刷設定ダイアログ400上で設定された印刷設定を取得する。次に、S1602でCPU111の制御によって、ユーザーインターフェース部204は、印刷設定でスポット印刷カラーが設定されているかを判定し、設定されていない場合はS1606へ移行する。ここでは、蛍光ピンクスポットカラー印刷設定が設定されているので、S1603へ移行する。次に、S1603でCPU111の制御によって、ユーザーインターフェース部204は、印刷設定チケットにスポットカラー印刷判定設定をオンとして記載する。
【0082】
図17は、本実施形態における印刷設定チケットを例示した図である。本実施形態の印刷設定チケットには、
図6、
図11で説明した項目に加えて、スポットカラー印刷判定設定1711が含まれている。
図17では、スポットカラー印刷判定設定1711はオンであることを示す。スポットカラー印刷判定設定がオンの場合、印刷プレビューアプリケーション206は起動時に、印刷プレビュー制御部208が前述の
図12に示す、スポットカラー失敗印刷防止処理が実行されることになる。尚、本実施形態のスポットカラー失敗印刷防止処理では、後述するように、第1の実施形態とは異なり、警告表示の代わりにスポットカラープレビュー表示を行う。
【0083】
次に、S1604でCPU111の制御によって、ユーザーインターフェース部204は、印刷設定で印刷プレビュー設定がオンに設定されているかを判定し、設定されている場合はS1606へ移行する。この場合、印刷プレビュー設定が設定されていないので、S1605へ移行する。次に、S1605でCPU111の制御によって、ユーザーインターフェース部204は、印刷設定チケットに印刷プレビュー設定をオンとして記載する。つまり、本実施形態では、印刷設定でスポット印刷カラーが設定されている場合には、印刷プレビュー設定がユーザによってなされていない場合であっても、印刷プレビュー設定をオンにする。
図17の印刷プレビュー設定1710は、このようにしてオンに変更されていることを示す。次に、S1606でCPU111の制御によって、ユーザーインターフェース部204は、通常時の印刷指示処理を実行し、本処理を終了する。
【0084】
このように、ユーザがスポットカラー印刷設定を行い、印刷指示を行うと、ユーザが印刷プレビュー設定を行わなくても、印刷プレビューアプリケーション206が起動し、印刷プレビュー制御部でスポットカラー印刷判定処理を行うことができる。また、スポットカラー印刷設定を行っていない場合は、通常の印刷指示時の処理を行う。
【0085】
本実施形態においては、ユーザーインターフェース部204による
図16の処理の実行が完了した後に、印刷プレビュー制御部208の処理が行われる。印刷プレビュー制御部208は、前述の
図12に示す、スポットカラー失敗印刷防止処理を実行する。S1201からS1204までの処理は第1の実施形態と同じため説明を省略する。本実施形態においては、印刷プレビュー制御部208がS1205にて、警告表示の代わりにスポットカラープレビュー表示を行う。
【0086】
図18は、本実施形態で印刷プレビュー表示部207により表示されたプレビュー画面例である。
図18(a)は、印刷プレビュー制御部208が起動時にスポットカラープレビュー表示を行う画面例である。このプレビュー画面は、スポットカラーの設定内容を変更可能に設けられている。
図18(a)では、スポットカラー印刷される部分がないため、印刷プレビューイメージ表示領域801には何も表示されていない。また、
図18(a)では、「現在蛍光ピンクスポットカラーで印刷される部分が表示されています。「スポットカラープレビュー」をオフにすると印刷データのスポットカラー指定が可能になります。」といった案内メッセージが表示されている。
【0087】
その後、ユーザはスポットカラープレビュー設定803をオフ状態にすると、印刷プレビュー制御部208は、
図18(b)に示す画面を表示する。色選択ボタン1602が選択されると、印刷プレビューイメージ表示領域801内の印刷プレビューイメージ内の画素を選択する色選択スポイトカーソル1604が表示される。ユーザが印刷プレビューイメージ内で色選択スポイトカーソル1604を選択すると、1601の色選択ボタン横に選択色のRGB値が表示される。また、選択されたRGB値と同じ印刷プレビューイメージ内の画素がパターン表示され、選択中であることをユーザに知らせる。ここでは、「SALE」というテキストの色のR=255(0xFF)、G=10(0x0A)、B=255(0xFF)が選択されるものとする。
【0088】
蛍光ピンクインク印刷設定ボタン1602は、現在選択中の色が、印刷時に蛍光ピンクスポットカラーに対応するR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)となる指定を行う。また、オレンジインク印刷設定ボタン1603は、現在選択中の色が、印刷時にオレンジスポットカラーに対応するR=255(0xFF)、G=85(0x55)、B=0(0x00)となる指定を行う。ここでは、ユーザが蛍光ピンクインク印刷設定ボタン1602を選択したものとする。
【0089】
次に、ユーザがスポットカラープレビュー設定803をオン状態にすると、印刷プレビュー制御部208は、
図18(c)に示す画面を表示する。
図18(a)ではなにも表示されていなかったが、ここでは「SALE」というテキストの色を蛍光ピンクインク印刷設定ボタン1602により蛍光ピンクスポットカラー印刷する指定を行った。そのため、テキストが印刷プレビューイメージ表示領域801に表示される。ユーザがこの結果を確認し、所望の印刷結果が得られることがわかり、印刷ボタン804を押下すると、印刷プレビュー制御部208は後述する
図19に示す処理を実行する。
【0090】
図19は、印刷プレビュー制御部208が印刷指示時に実行する処理のフローチャートである。以下、
図19のフローチャートを用いて、本実施形態における印刷指示時の処理を説明する。なお、
図19で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより、印刷プレビュー制御部208が実行する。あるいはまた、
図19におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0091】
印刷指示時に実行する処理が開始されると、S1901でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208が
図18(b)の画面で蛍光ピンク印刷指定を行ったかを判定する。つまり、印刷プレビュー画面において、スポットカラーとして印刷を行う色を選択したかを判定する。ここでは、スポットカラーごとに判定を行い、S1901では、蛍光ピンクを対象とした処理を行っている。蛍光ピンク印刷指定を行っている場合は、S1902に移行し、行っていない場合はS1904に移行する。ここでは、蛍光ピンク印刷指定を行ったものとしS1902へ移行する。S1902でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、
図18(b)の画面で行った、蛍光ピンク印刷指定の際の選択色を取得する。
【0092】
この場合、R=255(0xFF)、G=10(0x0A)、B=255(0xFF)を取得する。次に、S1903でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、プレビューイメージ内に含まれる選択色の色と同じ画素を蛍光ピンクスポットカラーに対応するRGB値に置き換える(設定内容を変更する)。ここでは、プレビューイメージ内に含まれるR=255(0xFF)、G=10(0x0A)、B=255(0xFF)を蛍光ピンクスポットカラーに対応するR=255(0xFF)、G=0(0x00)、B=255(0xFF)に置き換える。
【0093】
次に、S1904でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208が
図18(b)の画面でオレンジ印刷指定を行ったかを判定する。オレンジ印刷指定を行っている場合は、S1905に移行し、行っていない場合はS1907に移行する。ここでは、S1907へ移行するが、オレンジ印刷指定を行っている場合は、印刷プレビュー制御部208は、
図18(b)の画面で行った、オレンジ印刷指定の際の選択色を取得する。また、その場合はS1906にて、プレビューイメージ内に含まれる選択色の色と同じ画素をオレンジスポットカラーに対応するRGB値に置き換える。
【0094】
次に、S1907でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、
図18(b)の画面で蛍光ピンク印刷指定あるいはオレンジインク印刷指定を行ったかを判定し、行った場合はS1908へ移行し、行っていない場合はS1909へ移行する。ここでは、S1908に移行する。次に、S1908でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、選択色をスポットカラー対応色に置き換えたプレビューイメージからPDFファイルを生成し、生成したPDFファイルをスプールPDFファイルとして置き換える。
【0095】
次に、S1909でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、通常時の印刷指示処理を行う。
【0096】
このように、ユーザがアプリケーション202上で、スポットカラー印刷したいデータに誤ったRGB値を指定し印刷を行う場合でも、印刷プレビューアプリケーション206で誤った印刷データのRGB値を編集する。これによって、意図しない印刷結果が生じるのを抑制することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムを提供することができる。
【0097】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0098】
ポスターデータは、第三者によって作成され、ユーザは自身が必要とするテキストオブジェクトを編集し、編集したデータをポスターとして印刷する場合が多くある。このような場合、ポスターデータ内のグラフィックスオブジェクト自体を編集することは少なく、第三者が作成したグラフィックスオブジェクトがどのような要素で構成されているかを把握することは少ない。また蛍光ピンク等の蛍光色を用いたスポットカラー印刷では、印刷データに細線(所定オブジェクト)が含まれている場合、これらオブジェクトが意図せずにスポットカラーインクで印刷されると、周囲の画像との繋がりに不自然な印象を与え失敗印刷が発生する。
【0099】
そこで本実施形態では、このような失敗印刷の発生を事前に防ぐ方法について説明を行う。本実施形態においてユーザは、
図3に示すアプリケーション202上で第三者が作成した印刷データを編集し、スポットカラー印刷したいテキストをオブジェクト選択枠303で選択し、蛍光ピンクスポットカラー印刷されるRGB値を指定し、印刷指示を行う。その後表示される
図4に例示する印刷設定ダイアログで印刷プレビュー設定411をオフ状態で、プリントボタン413を押下する。その後、ユーザーインターフェース部204は、
図16に示すフローチャートの印刷指示時処理を実行し、その後に印刷プレビュー制御部208が
図12に示すフローチャートのスポットカラー失敗印刷防止処理を実行する。ここで、印刷プレビュー制御部208に渡る、スプールPDFファイルは
図20に示すものであり、印刷設定チケットは
図17に示すものである。
【0100】
図20は、本実施形態におけるスプールPDFファイルに含まれる各描画オブジェクトを模式的に表した図である。グラフィックスオブジェクト2007は、3つの閉じたパスで構成されるオブジェクトであり、その内側から外側に向かい、オブジェクト2007-1、2007-2、2007-3の順のオブジェクトで構成されている。
図12に示すフローチャートのスポットカラー失敗印刷防止処理にあたり、S1201からS1202までの処理は第1の実施形態および第2の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0101】
図21は、本実施形態におけるスポットカラー印刷事前判定処理を示したフローチャートであり、
図22は、スポットカラー印刷細線警告の設定ダイアログを示した図である。本実施形態では、印刷プレビュー制御部208が
図12のS1203にて、
図21に示すスポットカラー印刷事前判定処理を行う。以下、
図21のフローチャートを用いて、本実施形態におけるスポットカラー印刷事前判定処理を説明する。なお、
図21で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより、印刷プレビュー制御部208が実行する。あるいはまた、
図21におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0102】
スポットカラー印刷事前判定処理が開始されると、S2101でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷細線警告設定に設定されている線幅を取得する。ここで、スポットカラー印刷細線警告設定は、印刷プレビュー制御部208内部に持つ値であり、印刷プレビュー制御部208が保持する任意の値でもよい。また、
図22に例示する設定ダイアログを印刷プレビューアプリケーション206が設定項目として表示させユーザに設定させてもよい。
【0103】
図22において、線幅設定リスト2200は、0.125pt刻みで1ptから0.125ptまでリストされる。キャンセルボタン2201は、押下されると線幅設定を更新せず、設定ダイアログが表示される前の状態に戻る。OKボタン2202は、押下されると線幅設定リスト2200の選択値が、スポットカラー印刷細線警告設定値として決定され設定される。本実施形態においては、リストコントロールにてユーザに線幅を設定させる例を示すが、線幅を任意の数値入力できるコントロールを設けることにより、ユーザに任意の線幅を設定させることも可能である。ここでは、ユーザが0.5pt以下の線幅をスポットカラー印刷細線警告設定値として設定しているものとし、S2101にて印刷プレビュー制御部208がこの値を取得する。
【0104】
次にS2102でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208はスプールPDFファイルのグラフィックスオブジェクトからスポットカラー印刷細線警告設定に設定された線幅以下のオブジェクトを抽出する。ここでは、オブジェクト2007-3が0.5ptの線幅を持つオブジェクトとして抽出される。次にS2103でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スプールPDFファイルに細線オブジェクトが存在するかを判定し、細線オブジェクトが存在する場合はS2104へ移行する。存在しない場合はS2106に移行して判定結果を成功として、本処理を終了する。
【0105】
ここでは、細線オブジェクトが抽出され、S2104へ移行する例で説明する。S2104で、印刷プレビュー制御部208が細線オブジェクトの線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値か否かを判定する。判定の結果、細線オブジェクトの線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値である場合はS2105へ移行し、判定結果を失敗とし、対応するRGB値でない場合はS2106へ進み判定結果を成功とし本処理を終了する。
【0106】
次に、印刷プレビュー制御部208は
図12のS1204で、スポットカラー印刷事前判定結果が失敗かどうかを判定し、成功の場合は処理を終了し、失敗の場合はS1205のスポットカラー印刷警告処理を実行する。ここでは、判定結果が失敗であるためS1205へ移行する。
【0107】
ここで。
図23(a)は、スポットカラー印刷警告アラートを示した図であり、
図23(b)は、スポットカラープレビュー表示の例を示した図である。本実施形態においては、印刷プレビュー制御部208は、S1205にて、
図23(a)に例示するスポットカラー印刷警告アラートを表示する。ユーザがこの警告を確認し、プレビューで確認ボタン1506を押下すると、印刷プレビュー制御部208は、
図23(b)に例示する、スポットカラープレビュー表示を行う。この場合、印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷される細線をユーザが確認できる表示倍率で表示する。これにより、ユーザがスポットカラー印刷される細線を確認することが可能となり、意図したスポットカラーとして指定している場合は印刷を行い、意図せずスポットカラーとして指定している場合はアプリケーションで印刷データを再編集する。
【0108】
これにより、意図せず細線オブジェクトがスポットカラー印刷され、細線が周囲の画像とのつながりに不自然な印象を与える失敗印刷を事前に防ぐことが可能となる。これにより、第三者が作成した印刷データを編集しスポットカラー印刷を行う場合に発生する、失敗印刷を事前に防ぐことができる。
【0109】
なお、本実施形態においては、スプールPDFファイルのグラフィックスオブジェクトから細線を持つオブジェクトの抽出を行ったが、レンダリング後のイメージデータから線を認識し、その線幅を算出することにより、細線検出してもよい。
【0110】
このように、スポットカラー印刷設定がされている場合には、イメージ画素内に細線オブジェクトが含まれるかどうかを判定し、細線オブジェクトの線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値か否かを判定する。判定の結果、細線オブジェクトの線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値である場合は、スポットカラー印刷警告アラートを表示し、印刷データを編集可能とする。これによって、意図しない印刷結果が生じるのを抑制することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムを提供することができる。
【0111】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0112】
ポスターデータはベクターデータ描画を行うドローイングアプリケーションと呼ばれる種類のアプリケーションで作成される。このドローイングアプリケーションを利用して作成されたデータは、スケーラブルな出力が可能であり、1点のイラストが数百、数千の極小オブジェクトから構成されることが少なくない。このような極小オブジェクトがスポットカラー印刷する印刷データに含まれている場合、これら極小オブジェクトが意図せずにスポットカラーインクで印刷されると、周囲の画像とのつながりに不自然な印象を与える失敗印刷が発生する。
【0113】
そこで、本実施形態では、極小オブジェクトがスポットカラーで印刷される失敗印刷を事前に防ぐ印刷方法の説明を行う。本実施形態において、ユーザはアプリケーション202上で第三者が作成した印刷データを編集し、スポットカラー印刷したいテキストを蛍光ピンクスポットカラーで印刷されるRGB値で指定し印刷指示を行う。以降、第3の実施形態と同じ手順で同じ処理が進み、印刷プレビュー制御部208が
図12に示すフローチャートのスポットカラー失敗印刷防止処理を実行する。
【0114】
図24は、本実施形態におけるスプールPDFファイル2400に含まれる各描画オブジェクトを模式的に表した図である。本実施形態ではスプールPDFファイル2400が印刷プレビュー制御部208に送信される。スプールPDFファイルは
図24に示すものであり、印刷設定チケットは
図17に示すものとする。
【0115】
本実施形態のスプールPDFファイル2400において、グラフィックスオブジェクト2407は千を超える極小オブジェクトから構成されるオブジェクトである。このオブジェクトの中央部の一部分は、
図24(a)に模式的に図示する通りオブジェクト2407-1から2407-11の極小オブジェクトから構成されている。また、
図24(b)にはこれらのオブジェクトの描画サイズを示す。印刷設定チケットに関しては、第2の実施形態および第3の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0116】
図25は、本実施形態におけるスポットカラー印刷事前判定処理を示すフローチャートであり、
図26は、スポットカラー印刷極小警告の設定ダイアログを示した図である。本実施形態においても、印刷プレビュー制御部208は、
図12におけるS1201からS1202までの処理を実行し、S1203にて
図25に示すスポットカラー印刷事前判定処理を行う。以下、
図25のフローチャートを用いて、本実施形態におけるスポットカラー印刷事前判定処理を説明する。なお、
図25で示される一連の処理は、ホストコンピュータ101のCPU111がROM112に記憶されているプログラムコードを外部記憶装置114に展開し実行することにより、印刷プレビュー制御部208が実行する。あるいはまた、
図25におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0117】
スポットカラー印刷事前判定処理が開始されると、S2501でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷極小オブジェクト警告設定に設定されている割合を取得する。ここで、スポットカラー印刷極小警告設定は印刷プレビュー制御部208内部に持つ値であり、印刷プレビュー制御部208が保持する任意の値でもよい。更に、
図26に例示する設定ダイアログを印刷プレビューアプリケーション206が設定項目として表示させユーザに設定させてもよい。
【0118】
図26において、極小オブジェクト設定割合リスト2600は、極小オブジェクトの大きさを0.05%刻みで0.05%から0.20%までリストする。キャンセルボタン2601は、選択されると極小オブジェクト設定割合を更新せず、設定ダイアログが表示される前の状態に戻る。OKボタン2602は、選択されると極小オブジェクト設定割合リスト2600の選択値が、スポットカラー印刷極小オブジェクト警告設定値として設定される。本実施形態においては、リストコントロールにてユーザに割合を設定させる例を示すが、設定割合を任意の数値入力できるコントロールを設けることにより、ユーザに任意の割合を設定させてもよい。ここでは、ユーザがスポットカラー印刷極小オブジェクト警告の設定割合として0.1%を設定し、S2501にて印刷プレビュー制御部208がこの値を取得する。
【0119】
次にS2502でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スプールPDFファイルのグラフィックスオブジェクトからスポットカラー印刷極小オブジェクト警告設定に設定された割合以下のオブジェクトを抽出する。対象となるオブジェクトサイズは、印刷設定チケットの印刷解像度1705、用紙サイズ設定1707および取得した割合から求める。まず、600dpiの解像度で、用紙サイズの幅420.00mm、高さ594.00mmにオブジェクトを描画するサイズを求める。この場合、用紙全体に描画するサイズは、幅:1190pt、高さ:1684ptとなる。次に、取得した割合0.1%より、幅:1.19pt以下のオブジェクトあるいは高さ:1.684pt以下のオブジェクトが対象となる極小オブジェクトとなり、スプールPDFファイルの中からこれらオブジェクトを抽出する。ここでは、
図24(b)よりオブジェクト2407-1から2407-11までが極小オブジェクトとして抽出される。
【0120】
次にS2503でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スプールPDFファイルに極小オブジェクトが存在するかを判定し、極小オブジェクトが存在する場合はS2504へ移行する。極小オブジェクトが存在しない場合は、S2506に移行し、判定結果を成功とし、本処理を終了する。ここでは、極小オブジェクトが抽出されたとしてS2504へ移行する。次にS2504でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、極小オブジェクトの塗りつぶしあるいは線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値かどうかを判定する。判定の結果、極小オブジェクトの塗りつぶしあるいは線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値である場合はS2505へ移行し、判定結果を失敗とする。対応するRGB値でない場合はS2506へ移行して判定結果を成功とし本処理を終了する。ここでは、極小オブジェクトの塗りつぶしの色と線の色が蛍光ピンクスポットカラー印刷に対応するRGB値であるものとしS2505へ移行して、判定結果を失敗として本処理を終了する。
【0121】
次に、
図12のS1204でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷事前判定結果が失敗かどうかを判定し、成功の場合は処理を終了する。判定結果が失敗の場合はS1205のスポットカラー印刷警告処理を実行する。この場合、判定結果は失敗であるためS1205へ移行する。本実施形態においては、S1205でCPU111の制御によって、印刷プレビュー制御部208は、
図27(a)に例示するスポットカラー印刷警告アラートを表示する。ユーザがこの警告を確認し、プレビューで確認ボタン1506を押下すると、CPU111の制御によって印刷プレビュー制御部208は、
図27(b)に例示するスポットカラープレビュー表示を行う。この場合、CPU111の制御によって印刷プレビュー制御部208は、スポットカラー印刷される極小オブジェクトをユーザが確認できる表示倍率で表示する。これにより、ユーザがスポットカラー印刷される極小オブジェクトを確認することが可能となり、意図したスポットカラー指定である場合は印刷を行い、意図しないスポットカラー指定である場合はアプリケーションで印刷データを再編集する。
【0122】
このように、スポットカラー印刷設定がされている場合には、イメージ画素内に極小オブジェクトが含まれるかどうかを判定し、極小オブジェクトの線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値か否かを判定する。判定の結果、極小オブジェクトの線の色がスポットカラー印刷に対応するRGB値である場合は、スポットカラー印刷警告アラートを表示し、印刷データを編集可能とする。これによって、意図しない印刷結果が生じるのを抑制することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムを提供することができる。
【0123】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0124】
102 画像出力装置
111 CPU
112 ROM
202 アプリケーション
203 プリンタドライバ
206 印刷プレビューアプリケーション
208 印刷プレビュー制御部
400 印刷設定ダイアログ