(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 401
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2021038355
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】宇田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】種本 満
(72)【発明者】
【氏名】筒井 雄基
(72)【発明者】
【氏名】惠良 将輝
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144912(JP,A)
【文献】特開2017-065160(JP,A)
【文献】特開2008-137201(JP,A)
【文献】特開2009-285877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0253912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、
前記印刷媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送されている前記印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドの下流側にて前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるものであって、前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるための熱を発生させる熱源と、開放状態と閉止状態とに切り換えられるシャッターとを備え、前記開放状態では、前記熱源からの熱により、前記印刷媒体に吐出されたインクが乾燥される乾燥熱量を付与し、前記閉止状態では、前記熱源からの熱が前記乾燥熱量より少ない微小熱量で付与される乾燥部と、
前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、前記シャッターを前記開放状態とし、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、前記シャッターを前記閉止状態とする制御部と、
を備え
、
前記乾燥部は、前記シャッターの開閉速度を調節する開閉速度調節部をさらに備え、
前記制御部は、前記搬送部が所定の搬送速度から減速を開始した際には、搬送速度が閾値に達した時点で、前記開閉速度調節部を介して前記シャッターを低速で前記閉止状態とし、前記搬送部が極低速の搬送速度から加速を開始した際には、搬送速度が閾値に達した時点で、前記開閉速度調節部を介して前記シャッターを低速で前記開放状態とする
ことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、
前記印刷媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送されている前記印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドの下流側にて前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるものであって、前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるための熱を発生させる熱源と、開放状態と閉止状態とに切り換えられるシャッターとを備え、前記開放状態では、前記熱源からの熱により、前記印刷媒体に吐出されたインクが乾燥される乾燥熱量を付与し、前記閉止状態では、前記熱源からの熱が前記乾燥熱量より少ない微小熱量で付与される乾燥部と、
前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、前記シャッターを前記開放状態とし、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、前記シャッターを前記閉止状態とする制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記乾燥部より下流側に配置された後工程装置から一時停止の要求があった場合には、前記搬送部による搬送を減速しつつ極低速とする
ことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項3】
印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、
前記印刷媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送されている前記印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドの下流側にて前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるものであって、前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるための熱を発生させる熱源と、開放状態と閉止状態とに切り換えられるシャッターとを備え、前記開放状態では、前記熱源からの熱により、前記印刷媒体に吐出されたインクが乾燥される乾燥熱量を付与し、前記閉止状態では、前記熱源からの熱が前記乾燥熱量より少ない微小熱量で付与される乾燥部と、
前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、前記シャッターを前記開放状態とし、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、前記シャッターを前記閉止状態とする制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記乾燥部より下流側に配置された後工程装置から一時停止の要求が解除された場合には、前記搬送部による搬送を加速しつつ、極低速より速い所定の搬送速度とすることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載のインクジェット印刷装置において、
前記乾燥部は、前記熱源の発生熱量を調節する調節部をさらに備え、
前記制御部は、前記搬送部による搬送速度が速いほど高く、遅いほど低くなるように可変される前記熱源の発生熱量を表した、前記閉止状態における第1の数式及び前記開放状態における第2の数式を予め記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記シャッターを低速で前記閉止状態とする際と、前記シャッターを低速で前記開放状態とする際とにおいて、前記第1の数式及び前記第2の数式を結ぶように前記調節部を操作することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット印刷装置において、
前記乾燥部は、前記熱源から発生した熱を前記印刷媒体に向けて送る送風機構をさらに備え、前記閉止状態では前記微小熱量を前記送風機構によって付与することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを印刷媒体に吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置に係り、特に、印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、搬送部と、インクジェットヘッドと、乾燥部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置における搬送部は、連続紙を搬送する。インクジェットヘッドは、搬送部で搬送されている連続紙に対してインクを吐出して印刷を行う。乾燥部は、インクジェットヘッドの下流側において、連続紙に吐出されたインクを乾燥させる。乾燥部は、例えば、カーボンヒータと、シャッターとを備えている。カーボンヒータは、連続紙に吐出されたインクに熱を付与する。シャッターは、カーボンヒータの熱を付与する際に開放され、熱を付与しない際には閉止される。印刷処理が行われている間は、シャッターが開放されたままであり、装置に異常が発生した時にだけシャッターが閉止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-170573号公報(段落番号0024)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、下流側の後工程装置で処理が滞った際に、後工程装置から処理の一時停止が要求されることがある。この場合、インクジェット方式の印刷方式を採用している場合には、完全に搬送を停止することはせず、例えば、印刷条件で規定された搬送速度から減速して一定の極低速で搬送して印刷を継続し、後工程装置が一時停止の要求を解除した場合には、印刷条件で規定された搬送速度に向けて加速する。このように、印刷が継続的に行われるが、乾燥部は、搬送速度が0ではないので、シャッターが開放されたままとなる。そのため、連続紙に吐出されたインクが過乾燥となり、減速前の領域との間でインクの乾燥差が生じてインクの乾燥ムラとなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、極低速の印刷を行ってもインクの乾燥ムラを抑制できるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、前記印刷媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送されている前記印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドの下流側にて前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるものであって、前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるための熱を発生させる熱源と、開放状態と閉止状態とに切り換えられるシャッターとを備え、前記開放状態では、前記熱源からの熱により、前記印刷媒体に吐出されたインクが乾燥される乾燥熱量を付与し、前記閉止状態では、前記熱源からの熱が前記乾燥熱量より少ない微小熱量で付与される乾燥部と、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、前記シャッターを前記開放状態とし、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、前記シャッターを前記閉止状態とする制御部と、を備え、前記乾燥部は、前記シャッターの開閉速度を調節する開閉速度調節部をさらに備え、前記制御部は、前記搬送部が所定の搬送速度から減速を開始した際には、搬送速度が閾値に達した時点で、前記開閉速度調節部を介して前記シャッターを低速で前記閉止状態とし、前記搬送部が極低速の搬送速度から加速を開始した際には、搬送速度が閾値に達した時点で、前記開閉速度調節部を介して前記シャッターを低速で前記開放状態とすることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御部は、搬送部による印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、シャッターを開放状態とし、搬送部による印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、シャッターを閉止状態とする。そのため、搬送速度が所定の閾値より速い場合には、乾燥熱量による乾燥となり、搬送速度が所定の閾値以下の低速の場合には、乾燥熱量より熱量が少ない微小熱量による乾燥となる。したがって、極低速の印刷を行っても印刷媒体に吐出されたインクが過乾燥にならないので、印刷媒体に吐出されたインクの乾燥ムラを抑制できる。
【0010】
制御部は、搬送部が所定の搬送速度から減速を開始した際には、搬送速度が閾値に達した時点で、開閉速度調整部を介してシャッターを低速で閉止状態とする。また、制御部は、搬送部が極低速の搬送速度から加速を開始した際には、搬送速度が閾値に達した時点で、開閉速度調整部を介してシャッターを低速で開放状態とする。そのため、搬送速度が変位している間に、乾燥部から印刷媒体に付与される熱量を次第に減らしたり増やしたりすることができる。したがって、搬送速度が変位している間におけるインクの乾燥ムラも抑制できる。
【0011】
また、本発明において、前記乾燥部は、前記熱源から発生した熱を前記印刷媒体に向けて送る送風機構をさらに備え、前記閉止状態では前記微小熱量を前記送風機構によって付与することが好ましい(請求項5)。
【0012】
乾燥部の送風機構から送風を行うことにより、乾燥熱量より熱が少ない微小熱量を印刷媒体に付与できる。別の熱源を設ける必要がないので、コストを抑制できる。
【0013】
また、本発明において、前記乾燥部は、前記熱源の発生熱量を調節する調節部をさらに備え、前記制御部は、前記搬送部による搬送速度が速いほど高く、遅いほど低くなるように可変される前記熱源の発生熱量を表した、前記閉止状態における第1の数式及び前記開放状態における第2の数式を予め記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記シャッターを低速で前記閉止状態とする際と、前記シャッターを低速で前記開放状態とする際とにおいて、前記第1の数式及び前記第2の数式を結ぶように前記調節部を操作することが好ましい(請求項4)。
【0014】
制御部は、シャッターを低速で閉止状態にする際と、シャッターを低速で開放状態にする際とにおいて、記憶部の第1の数式及び第2の数式を結ぶように調節部を操作する。これにより、熱源の発生熱量を円滑に増やしたり減らしたりできる。したがって、シャッターを低速で開閉する際のインクの乾燥ムラをさらに抑制できる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、前記印刷媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送されている前記印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドの下流側にて前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるものであって、前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるための熱を発生させる熱源と、開放状態と閉止状態とに切り換えられるシャッターとを備え、前記開放状態では、前記熱源からの熱により、前記印刷媒体に吐出されたインクが乾燥される乾燥熱量を付与し、前記閉止状態では、前記熱源からの熱が前記乾燥熱量より少ない微小熱量で付与される乾燥部と、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、前記シャッターを前記開放状態とし、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、前記シャッターを前記閉止状態とする制御部と、を備え、前記制御部は、前記乾燥部より下流側に配置された後工程装置から一時停止の要求があった場合には、前記搬送部による搬送を減速しつつ極低速とすることを特徴とするものである。
【0016】
後工程装置から一時停止の要求があった場合には、制御部は、搬送部による搬送を減速しつつ極低速とする。これにより、後工程装置の要求に応えつつ、搬送速度を通常に戻した際の印刷品質を維持できる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、前記印刷媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送されている前記印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドの下流側にて前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるものであって、前記印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるための熱を発生させる熱源と、開放状態と閉止状態とに切り換えられるシャッターとを備え、前記開放状態では、前記熱源からの熱により、前記印刷媒体に吐出されたインクが乾燥される乾燥熱量を付与し、前記閉止状態では、前記熱源からの熱が前記乾燥熱量より少ない微小熱量で付与される乾燥部と、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、前記シャッターを前記開放状態とし、前記搬送部による前記印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、前記シャッターを前記閉止状態とする制御部と、を備え、前記制御部は、前記乾燥部より下流側に配置された後工程装置から一時停止の要求が解除された場合には、前記搬送部による搬送を加速しつつ、極低速より速い所定の搬送速度とすることを特徴とするものである。
【0018】
後工程装置から一時停止の要求が解除された場合には、制御部は、搬送部による搬送を加速しつつ極低速より速い所定の搬送速度とする。これにより、後工程装置の要求に答えつつ、印刷のスループットを元に戻すことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るインクジェット印刷装置によれば、制御部は、搬送部による印刷媒体の搬送速度が所定の閾値より速い場合には、シャッターを開放状態とし、搬送部による印刷媒体の搬送速度が所定の閾値以下となった場合には、シャッターを閉止状態とする。そのため、搬送速度が所定の閾値より速い場合には、乾燥熱量による乾燥となり、搬送速度が所定の閾値以下の低速の場合には、乾燥熱量より熱量が少ない微小熱量による乾燥となる。したがって、極低速の印刷を行っても印刷媒体に吐出されたインクが過乾燥にならないので、印刷媒体に吐出されたインクの乾燥ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例に係るインクジェット印刷システムの全体構成図である。
【
図2】乾燥部の構成を示す縦断面図であり、シャッターが閉止されている状態を示す図である。
【
図3】乾燥部の構成を示す縦断面図であり、シャッターが開放されている状態を示す図である。
【
図4】温度制御の一例を示すタイムチャートである。
【
図5】(a)は、搬送速度のタイムチャートであり、(b)は、シャッター状態を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷システムの全体構成図である。
【0022】
本実施例に係るインクジェット印刷システムは、給紙部1と、インクジェット印刷装置3と、排紙部5とを備えている。給紙部1は、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持している。給紙部1は、インクジェット印刷装置3に対して連続紙WPを巻き出して供給する。インクジェット印刷装置3は、連続紙WPに対してインクを吐出して画像を形成することによって印刷を行い、連続紙WPを排紙部5に対して送り出す。排紙部5は、インクジェット印刷装置3で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。
【0023】
ここでは、給紙部1によって連続紙WPが送り出されて搬送される方向を搬送方向Xとする。また、搬送方向Xに直交する水平方向を幅方向Yとする。上述した給紙部1は、搬送方向Xにおけるインクジェット印刷装置5の上流側に配置されている。上述した排紙部5は、搬送方向Xにおけるインクジェット印刷装置5の下流側に配置されている。
【0024】
なお、上述した連続紙WPが本発明における「印刷媒体」に相当する。
【0025】
インクジェット印刷装置3は、給紙部1からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ7を上流側に備えている。駆動ローラ7によって給紙部1から取り込まれた連続紙WPは、複数個の搬送ローラ9によって搬送方向Xに送られ、下流側の排紙部5に向かって搬送される。最下流の搬送ローラ9と排紙部5との間には、駆動ローラ11が配置されている。この駆動ローラ11は、搬送ローラ9上を搬送されている連続紙WPを排紙部5に向かって送り出す。
【0026】
インクジェット印刷装置3は、駆動ローラ7と駆動ローラ11との間に、印刷ユニット13と、乾燥部15と、検査部17とを上流側から搬送方向Xに沿ってその順に備えている。印刷ユニット12は、連続紙WPにインクを吐出して印刷を行う。乾燥部15は、印刷ユニット13によって連続紙WPに吐出されたインクの乾燥を行う。検査部17は、連続紙WPに印刷された部分に汚れや抜け等がないかを検査する。
【0027】
印刷ユニット13は、インクを連続紙WPに対して吐出する複数個のノズルを有するインクジェットヘッド19を備えている。インクジェットヘッド19は、一般的に、連続紙WPの搬送方向Xに沿って複数個配置されている。例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の合計4個の印刷ユニット13を備えている。但し、以下の説明においてはインクジェット印刷装置3が、1個の印刷ユニット13だけを備えている構成を例にとって説明する。また、印刷ユニット13は、連続紙WPの幅方向Yに、連続紙WPの幅を超える長さを有する。印刷ユニット13は、幅方向Yに移動することなく連続紙WPの幅方向における印刷領域を印刷できるだけのインクジェットヘッド19を備えている。
【0028】
インクジェット印刷装置3は、駆動ローラ7,11、印刷ユニット13、乾燥部15、検査部17を統括的に制御する制御部25を備えている。制御部25には、調節部27と、記憶部29と、演算部31とが直接的あるいは間接的に接続されている。制御部25は、例えば、CPUやメモリによって構成されている。
【0029】
調節部27は、制御部25によって操作され、乾燥部15における熱量を調節する。記憶部29は、後述する電力の制御に必要な第1の数式と第2の数式とを予め記憶している。演算部31は、記憶部29に記憶されている第1の数式と第2の数式と、連続紙WPの搬送速度と、後述する乾燥部15の状態とに基づいて、調節部27での操作に必要な演算を行う。制御部25は、ホストコンピュータ(不図示)から印刷データを受け取って、上述した各部を操作して連続紙WPに対して印刷を行う。制御部25は、このインクジェット印刷システムの下流側に配置された、例えば、裁断装置や製本装置などの後工程装置と連動して動作する。そのため、制御部25は、後工程装置からの信号を受信する。
【0030】
なお、上述した搬送ローラ9及び駆動ローラ7,11が本発明における「搬送部」に相当する。
【0031】
次に、
図2及び
図3を参照して乾燥部15について詳細に説明する。
図2は、乾燥部の構成を示す縦断面図であり、シャッターが閉止されている状態を示す図である。
図3は、乾燥部の構成を示す縦断面図であり、シャッターが開放されている状態を示す図である。
【0032】
乾燥部15は、例えば、2個の筐体41が一対となって構成されている。一対の筐体41のそれぞれの内部構成は、同じである。一対の筐体41は、連結枠43によって互いに固定されている。筐体41は、ファン45と、ヒータ47と、シャッターユニット49とを備えている。
【0033】
筐体41は、上下方向に貫通した筒状を呈する。ファン45は、筐体41の上部に取り付けられている。ファン45は、上方から下方に向かって空気の流れを形成する。ファン45の下方には、ヒータ47が取り付けられている。ファン45は、ヒータ47により温められた空気を連続紙WPに向かって供給する。ヒータ47は、搬送方向Xの上流側と下流側に相当する、筐体41の内壁との間に隙間を空けて筐体41に取り付けられている。この隙間には、ファン45からの空気が下方に向かって流通する。ヒータ47は、例えば、ハロゲンヒータで構成されている。ハロゲンヒータは、ハロゲン電球が放射する赤外域の光を効率よく取り出して物質を乾燥させるための熱を発生する。ヒータ47は、放射する赤外域の光がシャッターユニット49の上面に向けられている。
【0034】
シャッターユニット49は、例えば、固定枠51と、可動枠53と、エアシリンダ55とを備えている。固定枠51は、貫通した複数個の開口を有し、筐体41の下部に取り付けられている。可動枠53は、固定枠51と同様に、貫通した複数個の開口を有し、固定枠51の上面に取り付けられている。可動枠53は、固定枠51の上面において搬送方向Xに沿って摺動自在に取り付けられている。可動枠53は、その一部位にエアシリンダ55の作動軸が連結されている。エアシリンダ55は、例えば、筐体41の側方に、作動軸が水平方向に進退する姿勢で取り付けられている。エアシリンダ55は、空気が供給・排気されることにより、その作動軸が進退駆動される。作動軸の進退速度は、供給される空気の流量によって調整される。
【0035】
エアシリンダ55には、供給管57の一端側が連通接続されている。供給管57の他端側は、エア供給源に連通接続されている。エア供給源は、所定圧力のエアを供給する。供給管57は、その一部に開閉弁59が取り付けられている。供給管57には、開閉弁59をバイパスするように分岐管61が取り付けられている。分岐管61は、開閉弁63が取り付けられている。分岐管61は、供給管57よりも流路断面積が小さい。そのため、分岐管61だけにエアを流通させたときの流量は、供給管57だけにエアを流通させたときの流量よりも小さい。開閉弁59,61は、制御部25によって開閉が操作される。
【0036】
なお、エアシリンダ55の作動軸を伸長・収縮させる際の排気に係る機構については図示及びその説明を省略する。そのため、説明上、エアシリンダ55にエアを供給すると作動軸が伸長し、その後、開閉弁59,63を閉止してもその状態が維持される。その状態において、エアシリンダ55にエアを供給すると作動軸が収縮するものとする。つまり、エアシリンダ55にエアを供給するごとに、作動軸の伸長動作と収縮動作とが切り替わるものとして説明する。
【0037】
ここでは、シャッターユニット49は、通常時に
図2に示す状態になっているものとする。換言すると、通常時には、エアシリンダ55の作動軸が収縮した状態である。この状態では、可動枠53の開口と固定枠51の開口とが縦方向において不一致となり、可動枠53の枠が固定枠51の開口を閉塞した状態となる。ここで、固定枠51と可動枠53とを合わせてシャッター65と呼ぶことにすると、シャッター65は閉止状態となる。この状態において制御部25がエアシリンダ55の作動軸を伸長させると、
図3に示すように、可動枠53の開口が固定枠51の開口とが縦方向において一致する。つまり、シャッター65が開放状態となる。
【0038】
このように構成されている乾燥部15は、シャッター65が開放された状態と、シャッター65が閉止された状態とで大きく二段階に熱量が可変できる。しかも、二段階の熱量は、短時間で切り換えることができる。なお、細かく熱量を制御するには、ヒータ47に付与する電力を操作すればよい。
【0039】
まず、熱量が大きいものを「乾燥熱量」と称する。この乾燥熱量は、シャッター65を開放した状態である。この状態は、
図3に示す状態となる。そのため、ヒータ47による赤外域の光照射と、ファン45による熱せられたエアの送風とが同時に行われる。これにより、熱量が大きな乾燥熱量を連続紙WPに付与できる。
【0040】
次に、上述した乾燥熱量よりも熱量が小さいものを「微小熱量」と称する。この微小熱量は、シャッター65を閉止した状態である。この状態は、
図2に示す状態となる。そのため、ヒータ47による赤外域の光照射が連続紙WPに対して直接的には行われず、ファン45により熱せられたエアの送風だけが行われる。
【0041】
制御部25は、シャッターユニット49を操作してシャッター65の開閉を行わせる。その際には、開閉弁59及び/または開閉弁63を操作する。制御部25は、図示しない温度センサにより、乾燥部15に異常が生じたことを検出した場合には、開閉弁59及び開閉弁63を同時に開放する。これにより、シャッター65が瞬時に閉止される。制御部25は、シャッター65を第1の速度で開閉させる際には、開閉弁59と開閉弁63とをともに開放する。制御部25は、第1の速度より遅い第2の速度でシャッター65を開閉させる際には、開閉弁59だけを開放する。第2の速度より遅い第3の速度でシャッター65を開閉させるには、開閉弁64だけを開放する。
【0042】
なお、上述したヒータ47が本発明における「熱源」に相当し、ファン45が本発明における「送風機構」に相当し、供給管57と、分岐管61と、開閉弁59,63とが本発明における「開閉速度調整部」に相当する。
【0043】
制御部25は、調節部27を介して乾燥部15を操作する。調節部27は、制御部25の指示に応じてヒータ47に付与する電力を調節する。つまり、調節部27は、ヒータ47に付与する電力を調節して、乾燥部17が発生する熱量を調節する。ここで、
図4を参照する。
図4は、温度制御の一例を示すタイムチャートである。
【0044】
制御部25は、後述する印刷処理中において、シャッター65の開閉を操作するとともに、次にように熱量制御を行うことが好ましい。
【0045】
記憶部29は、例えば、
図4に示すような第1の数式FM1と第2の数式FM2とをそれぞれ予め記憶している。第1の数式FM1は、シャッター65が閉止された状態においてヒータ47に与える電力を求める数式である。第2の数式FM2は、シャッター65が開放された状態においてヒータ47に与える電力を求める数式である。第1の数式FM1及び第2の数式FM2は、それぞれ搬送速度に応じて付与する電力が高くなるように設定されている。搬送速度は、ある一定の速度の上限が設定されているので、例えば、印刷速度Vpに応じてヒータ出力も一定となるように第1の数式FM1及び第2の数式FM2が設定されている。
【0046】
例えば、
図4において横軸である搬送速度の下部に記載のように、ある搬送速度の時点でシャッター65の状態が閉止状態であったものが、搬送速度を上げつつシャッター65の状態が開放状態とされた場合について説明する。この場合には、演算部31は、第1の数式FM1と第2の数式FM2とから、シャッター65の状態に応じて第1の数式FM1と第2の数式FM2とを結ぶような線分(
図4中の実線)を演算により求める。そして、演算部31は、その線分に応じたヒータ出力を制御部25に与える。制御部25は、求められたヒータ出力に応じて調節部27を操作する。
【0047】
なお、この
図4は、搬送速度が高くなっていく際に、シャッター65が閉止状態から開放状態にされる場合である。しかしながら、搬送速度が低くなっていく際に、シャッター65が開放状態から閉止状態にされる場合は、第1の数式FM1と第2の数式FM2の傾きが逆方向になるものの、第2の数式FM2から第1の数式FM1とを結ぶような線分を演算部31が演算により求め、その線分に応じたヒータ出力を制御部25に与える。
【0048】
このような熱量制御を行うことにより、乾燥部15の発生熱量を円滑に増やしたり減らしたりできる。したがって、以下に説明するように、シャッター65を低速で開放したり閉止したりする際の乾燥ムラをさらに抑制できる。
【0049】
ここで、
図5を参照する。
図5(a)は、搬送速度のタイムチャートであり、
図5(b)は、シャッター状態を示すタイムチャートである。
【0050】
本実施例では、
図5(a)に示すように、搬送速度が操作されつつ連続紙WPに対する印刷処理が行われるものとする。そして、t5時点において、後工程装置(不図示)から一時停止要求があったものとし、t9時点において、後工程装置(不図示)から一時停止要求解除があったものとする。また、印刷条件として、通常時の搬送速度として印刷速度Vpが設定され、一時停止要求があった場合の搬送速度として印刷速度Vpより極めて低い印刷速度の極低速度Veに設定されているものとする。また、シャッター65の開閉を切り換えるための閾値として、印刷速度Vpより低く、極低速度Veより高い搬送速度V1が設定されているものとする。
【0051】
制御部25は、印刷処理の開始指示に応じて、t1時点からt3時点に向かって搬送速度を印刷速度Vpに向けて高めていく。そして、例えば、搬送速度Vpに達して一定速度となったt3時点から印刷ユニット13を操作して、搬送速度Vpに応じた印刷を行う。このとき、制御部25は、調節部27を介して搬送速度に応じた操作を乾燥部15に対して行う。
【0052】
具体的には、搬送速度Vpへ向けて加速を開始したt1時点において、ヒータ47に対して電力の供給を開始する。このとき、シャッター65は閉止状態であるので、演算部31が第1の数式FM1に基づいて搬送速度に応じた電力を算出し、その結果に応じて制御部25が調節部27を介してヒータユニット49の操作を行う。搬送速度が閾値V1に達したt2時点では、制御部25がシャッター65を開放状態にする。このとき、制御部25は、開閉弁59,63を同時に開放してシャッター65を高速に開放状態とする。すると、演算部31は、第2の数式FM2に基づいて搬送速度に応じた電力を算出し、その結果に応じて制御部25が調節部27を介してヒータユニット49を操作する。このとき、乾燥部15からは乾燥熱量が印刷媒体WPに付与される。
【0053】
なお、シャッター65を操作するために開放された開閉弁59,63は、その後に閉止される。しかし、シャッター65は開放状態が維持される。
【0054】
t3時点からは、搬送速度が印刷速度Vpで一定となる。その後、t5時点において、例えば、後工程装置において処理が滞ったので、後工程装置が制御部25に対して一時停止要求を出力したとする。
【0055】
この場合、制御部25は、その所定時間後のt6時点において、所定の減速度で減速を開始し、t8時点で搬送速度が極低速度Veに達するように搬送制御を行う。このとき、t7時点において、搬送速度が閾値V1に達したとする。すると、制御部25は、シャッター65を閉止状態にする。制御部25は、開閉弁63だけを開放してシャッター65をt7時点から低速で閉止し始め、t8時点において完全に閉止状態とする。このとき、演算部31は、第2の数式FM2と第1の数式FM1とを結ぶ線分を求め、この線分に基づいてヒータ47に付与する電力を求める。制御部25は、求められた電力に基づいて調節部27を介して乾燥部15を操作する。また、乾燥部15のシャッター65は閉止状態であるが、乾燥部15からは微小熱量が印刷媒体WPに付与されて、印刷媒体WPに吐出されたインクが乾燥される。
【0056】
t8時点からt10時点までは、搬送速度が極低速度Veとされる。制御部25は、その間であっても印刷ユニット13を操作して、極低速ながら印刷処理を継続している。このとき、乾燥部15は、演算部31が第1の数式FM1に基づいて算出した電力によって調節部27を介して操作されている。
【0057】
極低速度Veでの印刷処理中、例えば、t9時点において、制御部25は、後工程装置から一時停止要求解除の信号を受信したとする。すると、制御部25は、その所定時間後のt10時点から搬送速度を極低速度Veから印刷速度Vpに加速させ、t12時点において搬送速度が印刷速度Vpとなるように制御する。このとき、t11時点では、搬送速度が閾値V1に達したとする。すると、制御部25は、t11時点においてシャッター65を開放状態にする。詳細には、制御部25は、開閉弁63だけを開放してシャッター65をt11時点から低速で開放し始め、t12時点において完全に開放状態とする。これにより、連続紙WPには、乾燥部12において乾燥熱量が付与されて、連続紙WPに吐出されたインクが乾燥される。このとき、演算部21は、
図4に示したように、第1の数式FM1と第2の数式FM2とを結ぶ線分を求める。そして、演算部21は、この線分に基づいてヒータ47に付与するための電力を算出する。制御部25は、このようにして算出された電力に応じて調節部27を操作する。
【0058】
t12時点において、搬送速度が印刷速度Vpに達すると、制御部25は、t3時点からt6時点と同様に印刷処理を行う。
【0059】
t13時点の直前において、印刷処理の終了となった場合には、制御部25は、t13時点から減速を開始し、t15において搬送速度が0となるように搬送を制御する。このとき、搬送速度が閾値V1に達したt14時点において、制御部25は、開閉弁59,63を開放して、シャッター65を高速に閉止状態にする。t15時点は、印刷処理も終了し、搬送速度も0となっているので、例えば、制御部25は、調節部27を操作して、ヒータ47に付与する電力を0として、乾燥部15からの熱量を0とする。
【0060】
上述したように各部を操作して連続紙WPに対して印刷処理が行われる。
【0061】
本実施例によると、制御部25は、連続紙WPの搬送速度が所定の閾値V1より速い場合には、シャッター65を開放状態とし、連続紙WPの搬送速度が所定の閾値V1以下となった場合には、シャッター65を閉止状態とする。そのため、搬送速度が所定の閾値V1より速い場合には、乾燥熱量による乾燥となり、搬送速度が所定の閾値V1以下の低速の場合には、乾燥熱量より熱量が少ない微小熱量による乾燥となる。したがって、極低速度Veによる印刷を行っても連続紙WPに吐出されたインクが過乾燥にならないので、連続紙WPに吐出されたインクの乾燥ムラを抑制できる。
【0062】
制御部25は、所定の搬送速度から減速を開始した際には、搬送速度が閾値V1に達した時点で、調節部27を介してシャッター65を低速で閉止状態とする。また、制御部25は、極低速の搬送速度から加速を開始した際には、搬送速度が閾値V1に達した時点で、調節部27を介してシャッター65を低速で開放状態とする。そのため、搬送速度が変位している間に、乾燥部15から連続紙WPに付与される熱量を次第に減らしたり増やしたりすることができる。したがって、搬送速度が変位している間におけるインクの乾燥ムラも抑制できる。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0064】
(1)上述した実施例では、乾燥部15がシャッター65を閉止すると、ファン45による送風で微小熱量を付与する構成としている。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、大電力のヒータと小電力のヒータを筐体41に収めておき、シャッター65が閉止されると、大電力のヒータからの熱だけが遮断され、小電力のヒータからの熱だけが付与されるようにして、乾燥熱量と微小熱量とを切り換える構成としてもよい。
【0065】
(2)上述した実施例では、搬送速度が変位している際は、シャッター65の開閉速度を低速としている。しかしながら、本発明は、このような開閉操作に限定されるものではない。つまり、搬送速度が変位している際のインクの乾燥ムラの影響が小さい場合には、ヒータ47に付与する電力を調整するだけで熱量を調整するだけとし、シャッター65については高速で開閉するようにしてもよい。
【0066】
(3)上述した実施例では、シャッター65の開閉速度を変えるために、供給管57と、分岐管61と、開閉弁59,63とを用いた。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、分岐管61を省略して、供給管57に電空レギュレータを設けた構成としてもよい。この構成では、電空レギュレータに入力する信号に応じてエアの流量を可変させることにより、エアシリンダ55における作動軸の伸縮速度を変えることができる。また、シャッター65の駆動源として、エアシリンダ55に代えてモータ等の他のアクチュエータを採用してもよい。
【0067】
(4)上述した実施例では、後工程装置からの信号により極低速の印刷処理に移行した。しかしながら、本発明は後工程装置からの信号を必須とするものではない。また、本発明は、装置内において何らかの障害が生じてその回復処理を稼ぐために印刷処理を極低速度Veで行う場合にも適用できる。
【0068】
(5)上述した実施例では、乾燥部15が2個のヒータ47を備える構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。つまり、乾燥部15が少なくとも1個のヒータ47を備える構成や、3個以上のヒータ47を備える構成であってもよい。
【0069】
(6)上述した実施例では、印刷媒体として連続紙を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、印刷媒体として、例えば、枚葉の印刷用紙やプラスチック製のフィルムなどでもあっても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明は、インクを印刷媒体に吐出して印刷を行い、印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させるインクジェット印刷装置に適している。
【符号の説明】
【0071】
1 … 給紙部
3 … インクジェット印刷装置
5 … 排紙部
WP … 連続紙
7,11 … 駆動ローラ
13 … 印刷ユニット
15 … 乾燥部
17 … 検査部
19 … インクジェットヘッド
25 … 制御部
27 … 調節部
29 … 記憶部
31 … 演算部
45 … ファン
47 … ヒータ
49 … シャッターユニット
55 … エアシリンダ
57 … 供給管
61 … 分岐管
59,63 … 開閉弁
65 … シャッター
FM1 … 第1の数式
FM2 … 第2の数式