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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】システム及びシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241209BHJP
   B41J 29/38 20060101ALN20241209BHJP
【FI】
G06F3/12 368
G06F3/12 320
G06F3/12 336
G06F3/12 303
G06F3/12 324
G06F3/12 387
B41J29/38 201
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021057435
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154408
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 紀子
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-066192(JP,A)
【文献】国際公開第2021/028589(WO,A1)
【文献】特開2020-187700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してクライアント端末と接続される第1のクラウドプリントサービスと、ネットワークを介して画像形成装置と接続される第2のクラウドプリントサービスと、を含むシステムであって、
前記第1のクラウドプリントサービスは、
前記クライアント端末から受信した印刷ジョブデータを保存する保存手段と、
前記第2のクラウドプリントサービスに対して、前記印刷ジョブデータのジョブコードの発行を要求する要求手段と、
前記第2のクラウドプリントサービスにより発行されたジョブコードと、前記印刷ジョブデータと、を関連付けて管理する第1管理手段と、
前記第2のクラウドプリントサービスから、前記保存される印刷ジョブデータを示す情報を受信した場合、当該保存される印刷ジョブデータを前記第2のクラウドプリントサービスに対して送信する第1送信手段と、を有し、
前記第2のクラウドプリントサービスは、
前記第1のクラウドプリントサービスの前記要求手段により、前記印刷ジョブデータのジョブコードの発行を要求された場合、当該印刷ジョブデータのジョブコードを発行する第1発行手段と、
前記発行したジョブコードと、前記第1のクラウドプリントサービスを示す情報と、を関連づけて管理する第2管理手段と、
前記画像形成装置からジョブコードを受信した場合、当該受信したジョブコードと関連づけて管理される前記第1のクラウドプリントサービスに対して、当該ジョブコードに対応する印刷ジョブデータを示す情報を送信する第2送信手段と、を有するシステム。
【請求項2】
前記受信した印刷ジョブデータには、パブリックスペースにおける印刷の許可に係る指示が含まれ、
前記要求手段は、前記受信した印刷ジョブデータに、前記パブリックスペースにおける印刷を許可する指示が含まれる場合に、前記第2のクラウドプリントサービスに対して、当該印刷ジョブデータのジョブコードの発行を要求することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のクラウドプリントサービスは、
前記保存手段に保存された前記印刷ジョブデータに基づく処理の実行に係る許可情報を発行し、前記第2のクラウドプリントサービスに当該許可情報を送信する第2発行手段を有し、
前記第2送信手段は、受信した前記ジョブコードに対応する印刷ジョブデータを示す情報を前記第1のクラウドプリントサービスへ送信する際に、さらに、発行された前記許可情報をあわせて送信し、
前記第1送信手段は、前記第2のクラウドプリントサービスから、前記保存される印刷ジョブデータを示す情報を受信した場合に、前記許可情報をあわせて受信して、当該許可情報を検証し、当該検証の結果に応じて、前記保存手段に保存された前記印刷ジョブデータを前記第2のクラウドプリントサービスに対して送信する、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2発行手段は、発行した前記許可情報に、前記保存手段に保存された前記印刷ジョブデータの有効期限に関する情報を埋め込み、前記第2のクラウドプリントサービスに当該許可情報を送信し、
前記第1送信手段は、前記第2のクラウドプリントサービスから受信した前記許可情報に埋め込まれた前記有効期限を示す情報に基づき、前記保存手段に保存された前記印刷ジョブデータの有効期限内か否かを検証し、当該検証の結果に応じて、前記保存手段に保存された前記印刷ジョブデータを前記第2のクラウドプリントサービスに対して送信する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
ネットワークを介してクライアント端末と接続される第1のクラウドプリントサービスと、ネットワークを介して画像形成装置と接続される第2のクラウドプリントサービスと、を含むシステムの制御方法であって、
前記第1のクラウドプリントサービスが、前記クライアント端末から受信した印刷ジョブデータを保存する保存工程と、
前記第1のクラウドプリントサービスが、前記第2のクラウドプリントサービスに対して、前記印刷ジョブデータのジョブコードの発行を要求する要求手段と、
前記第2のクラウドプリントサービスから、前記保存される印刷ジョブデータを示す情報を受信した場合、前記第1のクラウドプリントサービスが、当該保存される印刷ジョブデータを前記第2のクラウドプリントサービスに対して送信する第1送信工程と、
前記第1のクラウドプリントサービスの前記要求手段により、前記印刷ジョブデータのジョブコードの発行を要求された場合、前記第2のクラウドプリントサービスが、当該印刷ジョブデータのジョブコードを発行する第1発行手段と、
前記第2のクラウドプリントサービスが、前記発行したジョブコードと、前記第1のクラウドプリントサービスを示す情報と、を関連づけて管理する第2管理手段と、
前記第1のクラウドプリントサービスが、前記第2のクラウドプリントサービスにより発行されたジョブコードと、前記印刷ジョブデータと、を関連付けて管理する第1管理手段と、
前記画像形成装置からジョブコードを受信した場合、前記第2のクラウドプリントサービスが、当該受信したジョブコードと関連づけて管理される前記第1のクラウドプリントサービスに対して、当該ジョブコードに対応する印刷ジョブデータを示す情報を送信する第2送信工程と、を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム及びシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、クラウドと称されるネットワークサービスを介して印刷ジョブを投入し、画像形成装置に印刷ジョブを送信する、クラウドプリントサービスが普及し始めている。このようなクラウドプリントサービスを利用した印刷システムでは、画像形成装置がクラウドプリントサービスに対応するテナントに登録されたうえで、当該テナントに所属するユーザに対して当該画像形成装置の使用の許可に係る設定が行われる。
なお、本開示において、テナントとは、ユーザがクラウド上に展開するサービスシステムに相当し、アクセスが当該ユーザに制限される記憶領域を有する。例えば、会社Aで利用されるクラウドプリントサービスの会社Aテナントは、当該会社Aに勤務する社員がユーザとして登録され、会社Aの管理下にある画像形成装置が登録されて利用される。これにより、会社Aのユーザは、当該会社Aの管理下にある画像形成装置に対して社内のクライアント端末から印刷に係る指示を行うことで、当該画像形成装置に印刷を行わせることが可能となる。
【0003】
一方で、働き方の多様化に伴い、社内のクライアント端末に記憶された文書を、コンビニエンスストア、図書館、及び駅等の所謂パブリックスペースに設置されている画像形成装置を利用して印刷可能とする仕組みの導入が要望されている。このような要望を受けて、パブリックスペースでの印刷を可能とするクラウドプリントサービスも提供されている。このサービスは、一般的にはパブリッククラウドと称される構成を利用したクラウドプリントサービスであり、例えば、パブリックテナントに関連付けられる。なお、本開示では、このような印刷サービスを「パブリックプリントサービス」とも称する。パブリックプリントサービスでは、パブリックテナントに基づくユーザ管理が行われている場合もあり、ユーザ管理の有無に関わらずゲストとして印刷可能な機能が提供される場合もある。また、パブリックスペースで印刷を行うための画像形成装置は、パブリックプリントテナントに登録されて管理されている場合もある。
【0004】
パブリックプリントサービスにおけるゲスト印刷では、PCやモバイル端末等のクライアント端末から印刷ジョブが受け付けられた際に、印刷ジョブに対して一意となるジョブコードが発行され、クライアント端末に当該ジョブコードが通知される。ユーザがパブリックスペースで印刷を実行する場合には、画像形成装置に対して当該ジョブコードを入力することで、当該画像形成装置に対象となる印刷ジョブを特定させて印刷を実行させることが可能となる。また、パブリックプリントサービスが保持する印刷ジョブに対して有効期限を設定することで、有効期限が徒過したジョブを自動で削除する機能も提供されている。
【0005】
このように、クラウドプリントサービスでは、例えば、「社内に設置されている画像形成装置を利用した印刷」と「パブリックスペースに設置されている画像形成装置を利用した印刷」との2つのユースケースが想定され得る。これらのユースケースが適用され得る具体的な状況の一例として、パブリックスペースで印刷予定の資料を、事前に社内で印刷を実行することで印刷設定に不備がないかを確認するような状況が挙げられる。
【0006】
例えば、特許文献1には、ユーザアカウント情報や課金情報等の一部の情報を外部テナントに対して秘匿し、必要な情報のみをテナント間で共有することで、当該外部のテナントでの印刷を可能とするための技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-206278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方で、一般的には、パブリックプリントサービスは、印刷ジョブを、サーバーアドレスが公開されているパブリックプリントサービス上に保持する。テナントに属する画像形成装置がパブリックプリントサービスにアクセスすることが困難となり、結果として当該画像形成装置を利用して印刷を行うことが困難となる場合がある。
一方で、社内の画像形成装置およびパブリックスペースの画像形成装置のいずれにおいても印刷できるようにするために、それぞれの画像形成装置に対応するクラウドプリントサービス上で印刷データを重複して保持することはリソースの無駄遣いである。
【0009】
本発明は上記の問題を鑑み、テナント及びパブリックテナントそれぞれに係るクラウドプリントサービス間をより好適な態様で連携可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るシステムは、ネットワークを介してクライアント端末と接続される第1のクラウドプリントサービスと、ネットワークを介して画像形成装置と接続される第2のクラウドプリントサービスと、を含むシステムであって、前記第1のクラウドプリントサービスは、前記クライアント端末から受信した印刷ジョブデータを保存する保存手段と、前記第2のクラウドプリントサービスに対して、前記印刷ジョブデータのジョブコードの発行を要求する要求手段と、前記第2のクラウドプリントサービスにより発行されたジョブコードと、前記印刷ジョブデータと、を関連付けて管理する第1管理手段と、前記第2のクラウドプリントサービスから、前記保存される印刷ジョブデータを示す情報を受信した場合、当該保存される印刷ジョブデータを前記第2のクラウドプリントサービスに対して送信する第1送信手段と、を有し、前記第2のクラウドプリントサービスは、前記第1のクラウドプリントサービスの前記要求手段により、前記印刷ジョブデータのジョブコードの発行を要求された場合、当該印刷ジョブデータのジョブコードを発行する第1発行手段と、前記発行したジョブコードと、前記第1のクラウドプリントサービスを示す情報と、を関連づけて管理する第2管理手段と、前記画像形成装置からジョブコードを受信した場合、当該受信したジョブコードと関連づけて管理される前記第1のクラウドプリントサービスに対して、当該ジョブコードに対応する印刷ジョブデータを示す情報を送信する第2送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、テナント及びパブリックテナントそれぞれに係るクラウドプリントサービス間をより好適な態様で連携させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】印刷システムのシステム構成の一例を示した図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示した機能ブロック図である。
図4】クライアント端末の処理の一例を示したフローチャートである。
図5】UIとして提示される画面の一例を示した図である。
図6】印刷システムの処理シーケンスの一例を示したシーケンス図である。
図7】印刷システムの処理シーケンスの一例を示したシーケンス図である。
図8】印刷システムの処理シーケンスの一例を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る印刷システムのシステム構成の一例について説明する。図1に示すシステムは、CPS(Cloud Print Service)103、113、及び123を含む。
CPS103は、会社Aの管理下にあるユーザ(例えば、社員等)が利用することが可能なクラウドプリントサービスを模式的に示している。また、クライアント端末101及び画像形成装置102は、会社Aの管理下にあるクライアント端末及び画像形成装置を模式的に示している。換言すると、CPS103、クライアント端末101、及び画像形成装置102のそれぞれは、会社Aのテナントに関連付けられている。
同様に、CPS113、クライアント端末111、及び画像形成装置113のそれぞれは、会社Aのテナントとは異なる会社Bのテナントに関連付けられている。
また、CPS123は、パブリッククラウドを利用したクラウドプリントサービスを模式的に示している。また、画像形成装置122は、パブリックスペースで利用可能な画像形成装置を模式的に示している。換言すると、CPS123及び画像形成装置122のそれぞれは、パブリックテナントに関連付けられている。
なお、CPS103及びCPS113のそれぞれが、「第1のクラウドプリントサービス」の一例に相当する。また、CPS123が、「第2のクラウドプリントサービス」の一例に相当する。
【0015】
このような構成の元で、例えば、CPS103は、クライアント端末101から印刷ジョブのデータ(以降では、単に「印刷ジョブ」とも称する)の要求を受信すると、当該画像形成装置102に印刷ジョブを送信する。画像形成装置102は、CPS103から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブに基づき印刷を実行する。また、クライアント端末111、CPS113、及び画像形成装置112間についても同様の処理が適用され得る。
なお、以降の説明では、便宜上、会社Aのテナントと会社Bのテナントとを総じて「社内テナント」とも称する。また、クライアント端末101、クライアント端末111、画像形成装置102、及び画像形成装置112については、それぞれが複数台存在してもよい。
【0016】
また、CPS103は、クライアント端末101から「パブックスペースでの印刷」を許可するように指示された場合には、CPS123に対して、ジョブ情報及びテナント情報を送信し、印刷ジョブに対してユニークな識別式であるジョブコードの発行を要求する。当該ジョブ情報は、ジョブ(例えば、印刷ジョブ等)に関する情報である。当該テナント情報は、CPS103に関連付けられたテナントに関する情報(この場合には、会社Aに関する情報)である。また、クライアント端末111、CPS113、及びCPS123間についても同様の処理が適用され得る。
【0017】
CP123は、CPS103やCPS113から印刷ジョブに関連する情報を受信し、ジョブコードを発行する。印刷ジョブに関連する情報には、例えば、印刷ジョブの送信元となるCPS103やCPS113が関連付けられたテナントに関するテナント情報や、印刷ジョブに関連するジョブ情報(例えば、印刷ジョブの有効期限等)が含まれ得る。
その後、CPS123は、画像形成装置122から印刷ジョブの要求とジョブコードとを受信した場合に、CPS103やCPS113から当該ジョブコードに対応する印刷ジョブを取得し、当該印刷ジョブを画像形成装置122へと送信する。
【0018】
上述した各構成要素は所定のネットワーク100を介して相互に通信可能に接続されている。なお、ネットワーク100については、上述した各構成要素間においてデータの送受信が可能であればその種別は特に限定されない。具体的な一例として、インターネット、LAN、WAN、電話回線、専用デジタル回線、ATM等のいずれか、またはこれらの組み合わせが上記ネットワーク100として適用され得る。
【0019】
なお、本実施形態では、CPS103及び113のそれぞれが社内テナントに対応する役割を担い、CPS123がパブリックテナントに対応する役割を担うように、これらが別々のクラウドプリントサービスとして実現されている。一方で、図1に示す構成はあくまで一例であり、必ずしも本実施形態に係る印刷システムのシステム構成を限定するものではない。具体的な一例として、CPS103及び113の少なくともいずれかがCPS123の役割を兼任してもよい。また、他の一例として、CPS124がCPS103及び113の少なくともいずれかの役割を兼任してもよい。このように、図1に示す一連のクラウドプリントサービスのうちの2以上のクラウドプリントサービスの機能が、1つのクラウドプリントサービスにより実現されていてもよい。
【0020】
<ハードウェア構成>
図2を参照して、本開示の一実施形態に係るシステムを構成する情報処理装置200のハードウェア構成の一例について説明する。本実施形態に係る情報処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)201と、RAM(Random Access Memory)203と、ROM(Read Only Memory)202とを含む。また、情報処理装置200は、補助記憶装置204と、ネットワークI/F207とを含む。また、情報処理装置200は、入力装置205と、出力装置206とのうちの少なくともいずれかを含んでもよい。CPU201、RAM202、ROM203、補助記憶装置204、入力装置205、出力装置206、及びネットワークI/F207のそれぞれは、バス208を介して相互に接続される。
【0021】
CPU201は、情報処理装置200の各種動作を制御する中央演算装置である。例えば、CPU201は、情報処理装置200全体の動作を制御してもよい。
RAM202は、CPU201の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。
ROM203は、CPU201が情報処理装置200の動作を制御するためのプログラム(例えば、BIOS)等を記憶する。
【0022】
補助記憶装置204は、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や各種アプリケーション等のプログラムや、各種データを記憶する。補助記憶装置204は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SDD(Solid State Drive)に代表される不揮発性メモリ等により実現され得る。
【0023】
ネットワークI/F207は、所定のネットワーク(例えば、LANやインターネット等)に接続され、当該ネットワークを介して外部機器と通信を行うためのインタフェースである。
【0024】
入力装置205は、ユーザからの指示を受け付けるための装置である。入力装置205は、例えば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル等の操作デバイスにより実現され得る。
出力装置206は、ユーザに対して各種情報を提示するための装置である。出力装置206は、例えば、ディスプレイ等のように、各種表示情報や画面等を表示することでユーザに情報を提示する表示デバイスにより実現され得る。
【0025】
なお、上述した構成はあくまで一例であり、必ずしも情報処理装置200のハードウェア構成を限定するものではない。具体的な一例として、上述した情報処理装置200の一連の構成要素のうち一部の構成要素(例えば、入力装置205及び出力装置206の少なくともいずれか)が、当該情報処理装置200の外部に外付けされていてもよい。
また、図3を参照して後述する機能構成や図4図6図7、及び図8を参照して後述する処理は、所望の情報処理装置200が、ROM203や補助記憶装置204に記憶されたプログラムをRAM202に展開して実行することで実現される。
【0026】
<機能構成>
図3を参照して、本実施形態に係る印刷システムを構成する情報処理装置の機能構成の一例について、特に、CPS103、113、及び123それぞれの提供に係る構成に着目して説明する。なお、CPS103、113、及び123それぞれが互いに異なる情報処理装置により提供されてもよいし、複数のCPSが1つの情報処理装置により提供されてもよい。なお、以降の説明では、便宜上、情報処理装置300がCPS103の提供に係る各種処理を実行する場合に着目して説明を行うが、CPS113及びCPS123それぞれを提供する場合においても実質的には同様である。
【0027】
情報処理装置300は、設定管理部301と、ジョブ管理部302と、通信部303と、認証制御部304と、記憶部305と、UI制御部306とを含む。
【0028】
設定管理部301は、CPS103の各種機能に関する設定情報を所定の記憶領域(例えば、RAM203、補助記憶装置204等)に記憶させることで保持し、所望の契機で当該記憶領域から当該設定情報を読み出す。当該設定情報には、例えば、テナント情報や、投入された印刷ジョブに関するジョブ情報(例えば、印刷ジョブの有効期限等)が含まれる。
【0029】
例えば、以下に示す表A及び表Bは、クラウドプリントサービスの設定情報の一例を示している。具体的には、表Aは、社内テナント(例えば、会社Aのテナント)の設定情報の一例を示している。また、表Bは、パブリックテナントの設定情報の一例を示している。
【0030】
【表1】
【0031】
まず、表Aとして示す、社内テナントの設定情報の一例について説明する。
「自テナント情報」は、社内テナント(例えば、会社Aのテナント)を特定するための情報であり、例えば、URL等の情報が設定され得る。表Aに示す例では、自テナント情報として「http://companyA.com」が設定されている。なお、自テナント情報として設定される情報の種別については、社内テナントを特定することが可能であれば特に限定はされず、例えば、テナントID等のような識別子が設定されてもよい。
【0032】
「パブリックテナント情報」は、社内テナントに関連付けられたクラウドプリントサービスがジョブの送信先等として利用されるパブリックテナントを特定するための情報であり、例えば、URL等の情報が設定され得る。表Aに示す例では、パブリックテナント情報として「http://public.com」が設定されている。なお、パブリックテナント情報として設定される情報の種別については、パブリックテナントを特定することが可能であれば特に限定はされず、例えば、テナントID等のような識別子が設定されてもよい。
【0033】
「ジョブの有効期限情報」は、ジョブ情報の一例であり、社内テナントが保持する印刷ジョブの有効期限を示す情報である。表Aに示す例では、ジョブの有効期限情報として「3日間」が設定されている。この設定値により、テナントごとに印刷ジョブを保持する期間を設定することが可能となる。
【0034】
次いで、表Bとして示す、パブリックテナントの設定情報の一例について説明する。
「自テナント情報」は、パブリックテナントを特定するための情報であり、例えば、URL等の情報が設定され得る。表Bに示す例では、自テナント情報として「http://public.com」が設定されている。なお、自テナント情報として設定される情報の種別については、表Aに示す社内テナントの例と同様に、パブリックテナントを特定することが可能であれば特に限定はされない。
【0035】
「ジョブの有効期限情報」は、ジョブ情報の一例であり、パブリックテナントが保持する印刷ジョブの有効期限を示す情報である。表Bに示す例では、ジョブの有効期限情報として「7日間」が設定されている。この設定値は、パブリックテナントに保持される印刷ジョブに関連する情報の有効期限であり、会社Aのテナントや会社Bのテナント等の各テナントに共通に適用される設定値である。
本実施形態では、社内テナントにおける印刷ジョブの有効期限が、パブリックテナントにおける印刷ジョブに関連する情報の有効期限よりも短く設定されることを想定している。
【0036】
ジョブ管理部302は、他の装置(例えば、クライアント端末101及び111等)からジョブ(例えば、印刷ジョブ等)に関連する情報を取得し、当該情報を所定の記憶領域(例えば、記憶部305等)に記憶させる。また、ジョブ管理部302は、クラウドプリントサービス(例えば、CPS103及び113等)からジョブ(例えば、印刷ジョブ等)に関連する情報を取得し、当該情報を所定の記憶領域に記憶させてもよい。
CPS103やCPS113に対応するジョブ管理部302は、他の装置(例えば、クライアント端末101及び111等)から受信した印刷ジョブが「パブリックスペースでの印刷」が許可されているか否かを判断してもよい。また、当該ジョブ管理部302は、ジョブの実行に係る許可情報を発行してもよい。
CPS123に対応するジョブ管理部302は、CPS103やCPS113からジョブ(例えば、印刷ジョブ等)に関連する情報を受信した場合に、ジョブコードを発行してもよい。また、当該ジョブ管理部302は、画像形成装置122からジョブコードを指定したジョブ(例えば、印刷ジョブ等)の要求を受け付けた場合に、CPS103やCPS113から該当するジョブを取得して画像形成装置122に送信してもよい。
【0037】
例えば、以下に示す表C及び表Dは、クラウドプリントサービスが所定の記憶領域に記憶させる印刷ジョブと印刷ジョブに関連する情報との一例を示している。具体的には、表Cは、社内テナントに対応するクラウドプリントサービス(例えば、CPS103やCPS113)が所定の記憶領域に記憶させる印刷ジョブと印刷ジョブに関連する情報との一例を示している。また、表Dは、パブリックテナントに対応するクラウドプリントサービス(例えば、CPS123)が所定の記憶領域に記憶させる印刷ジョブに関連する情報の一例を示している。
【0038】
【表2】
【0039】
まず、表Cとして示す、社内テナントに対応するクラウドプリントサービスが所定の記憶領域に記憶させる印刷ジョブと印刷ジョブに関連する情報との一例について説明する。表Cに示す一連の情報は、例えば、印刷ジョブ単位で生成されて、所定の記憶領域に記憶される。なお、以降では、便宜上、表Cとして示す情報の管理の主体がCPS103であるものとして、各情報の説明を行うものとする。
【0040】
「ジョブID」は、CPS103が、印刷ジョブと印刷ジョブに関連する情報とを管理するためにユニークに割り当てる識別情報(ID値)である。
【0041】
「パブリック印刷」は、社内において投入された印刷ジョブに対して、「パブリックスペースでの印刷」が許可されている否かを示す情報であり、ユーザからの指定に応じて設定される。表Cに示す例では、パブリック印刷として「許可」が設定されている。
【0042】
「ジョブコード」は、CPS103からCPS123に対して、表Cに例示したジョブに関連する一連の情報のうち少なくとも一部の情報が送信された場合に、応答としてCPS123からCPS103に送信されるジョブコードである。このジョブコードは、例えば、画像形成装置122による印刷の対象とする印刷ジョブの指定に使用される。
【0043】
「ジョブ実行許可情報」は、CPS103が、CPS123からジョブコードを受信した場合に発行する情報であり、当該ジョブコードが受信された後にCPS103からCPS123に通知される。ジョブ実行許可情報は、例えば、アクセストークンであり、CPS123がCPS103に対して印刷ジョブの取得要求を行う際に、当該CPS103にあわせて通知される。これにより、CPS103は、印刷ジョブの要求元としてCPS123が適切であるか否かを確認することが可能となる。
【0044】
「ジョブデータ」は、印刷ジョブそのもののデータであり、例えば、バイナリデータである。具体的な一例として、印刷ジョブのデータとしては、PDL(Page Description Language)やPDF(Portable Document Format)に準拠したデータである。また、「ジョブデータ」として、印刷ジョブそのもののデータに替えて、外部ストレージに記憶された文書にアクセスするための情報(例えば、アドレス等)が設定されてもよい。
【0045】
「ジョブ実行結果」は、印刷ジョブが画像形成装置102または122で実行された結果に応じた情報である。表Cに示す例では、ジョブ実行結果として正常に印刷が実行されたことを示す「OK」が設定されている。このジョブ実行結果は、例えば、CPS103が、ジョブコードとあわせてCPS123から受信する情報である。印刷の実行時にエラーが発生した場合には、ジョブ実行結果として、例えば、エラーコード等が設定されてもよい。また、カラー印刷及びモノクロ印刷のいずれか、ページ数及び部数、並びに課金情報等が、ジョブ実行結果に含まれてもよい。また、印刷が実行された日時や場所等に関する情報が、ジョブ実行結果に含まれてもよい。
【0046】
次いで、表Dとして示す、パブリックテナントに対応するクラウドプリントサービスが所定の記憶領域に記憶させる印刷ジョブに関連する情報の一例について説明する。表Dに示す一連の情報は、例えば、CPS123が受信した印刷ジョブに関連する情報の単位(換言すると、印刷ジョブ単位)で生成された、所定の記憶領域に記憶される。
【0047】
「ジョブID」は、CPS123が、印刷にジョブに関連する情報を管理するためにユニークに割り当てる識別情報(ID値)である。
【0048】
「ジョブ送信元」は、CPS123に対して印刷ジョブに関する情報を送信したクラウドプリントサービス(例えば、CPS103)を特定するための情報であり、例えば、URL等の情報が設定され得る。表Dに示す例では、ジョブ送信元として「http://companyA.com」が設定されている。
【0049】
「ジョブコード」は、CPS123がCPS103から印刷ジョブに関連する情報を受信した場合に、当該CPS123が発行するジョブコードである。CPS123は、発行したジョブコードをCPS103へ送信する。このジョブコードは、表Cに示すジョブコードに対応している。すなわち、このジョブコードは、例えば、画像形成装置122による印刷の対象とする印刷ジョブの指定に使用される。
【0050】
「ジョブ実行許可情報」は、CPS123がCPS103にジョブコードを送信した後に、CPS103からCPS123に通知されるジョブ実行許可情報である。ジョブ実行許可情報は、例えば、アクセストークンである。このジョブ実行許可情報は、表Cに示すジョブ実行許可情報に対応している。すなわち、このジョブ実行許可情報は、CPS123がCPS103に対して印刷ジョブの取得要求を行う際に、当該CPS103にあわせて通知される。
【0051】
「ジョブ実行結果」は、印刷ジョブが画像形成装置102または122で実行された結果に応じた情報である。表Dに示す例では、ジョブ実行結果として正常に印刷が実行されたことを示す「OK」が設定されている。このジョブ実行結果は、表Cに示すジョブ実行結果に対応している。例えば、CPS123は、画像形成装置122からジョブ実行結果を受信し、当該ジョブ実行結果をジョブコードとともにCPS103に送信する。
【0052】
通信部303は、他の装置(例えば、クライアント端末101及び111や、画像形成装置102、112、及び122等)との間で各種データの送受信を行う。例えば、通信部303は、他の装置から印刷ジョブやジョブの実行要求等を受信してもよい。また、通信部303は、他のクラウドプリントサービスからの各種の処理要求を受信し、処理結果に応じた情報を当該クラウドプリントサービスに送信してもよい。
【0053】
認証制御部304は、ユーザの管理に係る各種処理を実行する。認証制御部304は、テナントの管理者からの指示に応じて追加されたユーザに関する情報を、所定の記憶領域(例えば、後述する記憶部305等)に記憶させてもよい。また、他の一例として、認証制御部304は、外部の認証サービスと連携することでユーザに関する情報の管理を行ってもよい。
【0054】
記憶部305は、各種データを記憶する。例えば、記憶部305は、ジョブ管理部302や認証制御部304からの要求に応じて、各種データを記憶してもよい。
【0055】
UI制御部306は、他の装置(例えば、クライアント端末101及び111や、画像形成装置102、112、及び122等)からの要求に応じて、ユーザからの入力の受け付けや、ユーザへの各種情報の提示を実現するためのUIの出力に係る処理を実行する。具体的な一例として、UI制御部306は、クライアント端末101で動作するブラウザからの要求に応じて、図5を参照して別途後述する画面を生成し、通信部303を介して当該画面(もしくは、当該画面の出力に係るデータ)を当該クライアント端末101に送信してもよい。これにより、UI制御部306により生成された上記画面が、上記クライアント端末101で動作するブラウザを介してユーザに提示される。
【0056】
<処理>
図4図8を参照して、本実施形態に係る印刷システムの処理の一例について説明する。
まず、図4及び図5を参照して、クライアント端末(例えば、クライアント端末101、111等)による印刷ジョブの投入に係る処理の一例について説明する。なお、以降では、便宜上、会社Aのテナントに着目して、クライアント端末101がCPS103に印刷ジョブを送信する場合における、当該クライアント端末101の処理の一例について説明する。
【0057】
図4に示す一連の処理は、例えば、クライアント端末101の表示装置や入力装置等を介したユーザからの指示や、クライアント端末101にインストールされたアプリケーションが受け付けたユーザからの指示等に応じて実行される。なお、以降の説明では、ゆーーざからの指示の受け付けにブラウザが利用さるものとする。具体的には、ブラウザのURL入力欄に対して入力された、CPS103に対応するURL「http://companyA.com」に基づき、CPS103の利用に係るUIのトップ画面が表示される。
【0058】
例えば、図5(A)に示す画面500は、当該トップ画面の一例を示している。画面500は、ユーザの認証に係る情報の入力を受け付ける画面である。
入力領域501は、ユーザを識別するためのユーザ名(識別情報)の入力をユーザから受け付ける領域である。入力領域502は、ユーザの認証に利用されるパスワードの入力をユーザから受け付ける領域である。
ボタン503は、入力領域501に入力されたユーザ名と、入力領域502に入力されたパスワードと、に基づくユーザの認証の実行に係る指示をユーザから受け付けるためのボタンである。これに対して、ボタン504は、CPS103の利用の中止に係る指示をユーザから受け付けるためのボタンである。
【0059】
S401において、クライアント端末101は、画面500の入力領域501及び502に対してユーザ名及びパスワードが入力され、ボタン503が押下されると、当該ユーザ名及び当該パスワードをCPS103へ送信する。CPS103の認証制御部304は、クライアント端末101から送信されたユーザ名及びパスワードに基づき、当該ユーザ名に対応するユーザの認証に係る処理を実行する。この際に、認証制御部304は、当該ユーザの認証を所定の認証サービスに依頼してもよい。S401の処理においてユーザの認証が成功すると、上記ブラウザを介して、図5(B)に示す画面510が提示される。具体的には、クライアント端末101は、CPS103にアクセスして画面510のデータを取得し、当該データに基づき当該画面510をユーザに提示する。
【0060】
図5(B)に示す画面510は、各種機能を利用するためのユーザインタフェースとなる画面の表示に係る指示をユーザから受け付けるためのメニュー画面の一例を示している。項目511は、印刷ジョブの登録に係る機能に対応付けられた画面の表示に指示をユーザから受け付けるための項目である。項目512は、登録された印刷ジョブの確認に係る機能に対応付けられた画面の表示に指示をユーザから受け付けるための項目である。項目513は、各種設定の確認及び変更に係る機能に対応付けられた画面の表示に指示をユーザから受け付けるための項目である。
【0061】
S402において、クライアント端末101は、ユーザから印刷対象となる文書の指定を受け付ける。具体的には、クライアント端末101は、S401において表示された画面510において項目511が指定されると、CPS103にアクセスしてジョブの登録に係る画面520のデータを取得し、当該データに基づき当該画面520をユーザに提示する。そして、クライアント端末101は、ユーザから画面520を介して印刷対象となる文書の指定を受け付ける。
【0062】
図5(C)に示す画面520は、印刷対象となる文書の指定に係る指示をユーザから受け付けるための画面の一例を示している。
入力領域521は、印刷対象となる文書の指定をユーザから受け付けるための入力領域である。文書の指定に係る指示は、例えば、マウスポインタ等の入力装置を利用して、対象となる文書のデータ(ファイル等)が入力領域521にドラッグ&ドロップされることで受け付けられる。もちろん、対象となる文書のデータを特定することが可能であれば、当該データの指定方法は限定されない。
チェックボックス522は、パブリックスペースでの印刷の許可に係る指示をユーザから受け付けるためのユーザインタフェースである。
ボタン503は、入力領域521に入力された情報と、チェックボックス522の入力状態と、に基づく印刷のジョブの登録に係る指示をユーザから受け付けるためのボタンである。ボタン504は、印刷ジョブの登録の中止に係る指示をユーザから受け付けるためのボタンである。
【0063】
S403において、クライアント端末101は、ユーザから画面520を介して「パブリックスペースでの印刷」を許可するか否かに係る指示を受け付ける。具体的な一例として、クライアント端末101は、チェックボックス522に対してチェックが入力された場合には、パブリックスペースでの印刷が許可されたものと認識してもよい。これに対して、クライアント端末101は、チェックボックス522に対するチェックが外された場合には、パブリックスペースでの印刷が制限されたものと認識してもよい。
【0064】
S404において、クライアント端末101は、画面520に入力された情報に基づくジョブの登録に係る指示を受け付ける。具体的には、クライアント端末101は、ボタン523が押下された場合に、入力領域521に入力された情報と、チェックボックス522の入力状態に応じた情報と、をCPS103に送信する。これにより、CPS103に対してジョブの登録が依頼される。なお、チェックボックス522にチェックが入力されることでパブリックスペースでの印刷が許可されている場合には、図6に示す一連の処理が実行される。これに対して、チェックボックス522からチェックが外されることでパブリックスペースでの印刷が制限されている場合には、図7に示す一連の処理が実行される。
【0065】
図5(D)に示す画面530は、後述するジョブコードの通知に係る画面の一例を示しており、後述するS608またはS708の処理においてクライアント端末101によりユーザに提示される。画面530の提示は、例えば、メール等の媒体を介してユーザへの提示が行われてもよい。画面530には、発行されたジョブコードが提示される。また、画面530には、当該ジョブコードに加えて、例えば、印刷ジョブの有効期限や、画面520を介して指定された文書のファイル名等が提示されてもよい。有効期限には、例えば、図4に示すジョブの登録に係る処理が実行された日から、表Aまた表Bにおける「ジョブの有効期限情報」のうちより短い方の日数が経過した日付が提示される。具体的な一例として、図5(D)に示す例では、印刷ジョブの投入が2020年12月1日に行われ、その3日後(表Aに示された有効期限)の2020年12月4日が当該印刷ジョブの有効期限として設定されている。
【0066】
次いで、図6を参照して、パブリックスペースでの印刷が許可された場合における、クライアント端末101、CPS103、CPS123、及び画像形成装置122間における処理シーケンスの一例について説明する。図6に示す一連の処理は、例えば、S405において画面520のボタン523が押下された場合に実行される、「パブリックスペースに設置されている画像形成装置を利用した印刷」に係る処理シーケンスの一例を示している。
【0067】
S601において、クライアント端末101は、画面520に入力された情報をCPS103に送信することで、当該情報に基づくジョブを当該CPS103に登録する。
【0068】
S602において、CPS103のジョブ管理部302は、クライアント端末101から印刷ジョブに関する情報を受信し、当該情報に基づき、パブリックスペースでの印刷が許可されているか否かを確認する。なお、前述したように図6に示す例では、パブリックスペースでの印刷が許可されているものとする。
CPS103のジョブ管理部302は、ジョブコードの発行要求を、要求元の情報とともにCPS123に送信する。なお、送信先としてCPS123を特定するための情報としては、例えば、表Aに「パブリックテナント情報」としてあらかじめ設定された情報(例えば、アドレス等)が挙げられる。また、上記した要求元の情報とは、例えば、送信先としてCPS103を特定するための情報に相当し、当該CPS103のURL「http://companyA.com」が挙げられる。また、この際に、CPS103のジョブ管理部302は、クライアント端末101から受信した印刷ジョブに関連する情報をCPS123にあわせて送信してもよい。
【0069】
S603において、CPS123のジョブ管理部302は、CPS103からジョブコードの発行要求を受信し、ジョブコードを発行する。この際に、CPS123のジョブ管理部302は、CPS103から要求元の情報や印刷ジョブに関連する情報を受信し、発行したジョブコードを、受信したこれらの情報と関連付けて記憶部305に記憶させる。例えば、表Dに示す情報が、上記印刷ジョブに関連する情報の一例に相当する。
【0070】
S604において、CPS123のジョブ管理部302は、S603において発行したジョブコードをCPS103に送信する。
S605において、CPS103のジョブ管理部302は、CPS123から上記ジョブコードを受信し、当該ジョブコードに対応するジョブ実行許可情報を発行する。例えば、表Cに示す情報が、受信されたジョブコード及び発行されたジョブ実行許可情報の一例に相当する。また、CPS103のジョブ管理部302は、ジョブ実行許可情報に対象となる印刷ジョブの有効期限に関する情報を埋め込んでもよい。印刷ジョブの有効期限に関する情報については、例えば、表Aに示す社内テナントの設定情報に含まれるジョブの有効期限情報に基づき設定することが可能である。CPS103のジョブ管理部302は、これらの情報を記憶部305に記憶させる。
【0071】
S606において、CPS103のジョブ管理部302は、S605において発行したジョブ実行許可情報をCPS123に送信する。
S607において、CPS123のジョブ管理部302は、CPS103からジョブ実行許可情報を受信し、当該ジョブ実行許可情報を記憶部305に記憶させる。
【0072】
S608において、CPS103のジョブ管理部302は、CPS123から発行されたジョブコードをユーザに通知する。S608の処理は、例えば、S402において認証が行われたユーザに関連付けられたメールアドレスへのメール通知により実現されてもよい。また、他の一例として、クライアント端末101を介してジョブコードが表示された画面がユーザに提示されることで、当該ジョブコードが当該ユーザに通知されてもよい。
【0073】
S609において、画像形成装置122は、ユーザから所望の印刷ジョブに対応するジョブコードの入力を受け付ける。ここで入力されるジョブコードとしては、例えば、S608においてCPS103から通知されたジョブコードが挙げられる。なお、このジョブコードは、CPS123が印刷ジョブを特定するために利用される。そのため、必ずしも、ジョブコードの入力の受け付けに係る処理が実行されなくてもよい。具体的な一例として、画像形成装置122は、ユーザから認証に係る入力を受け付けることで当該ユーザの認証を行い、当該ユーザに関連付けられたジョブのリストから所望の印刷ジョブの指定をユーザから受け付けてもよい。
【0074】
S610において、画像形成装置122は、S609において入力を受け付けたジョブコード(換言すると、ジョブを特定するための情報)をCPS123に送信して、当該CPS123に印刷ジョブの送信を要求する。
S611において、CPS123のジョブ管理部302は、S610において画像形成装置122から送信されたジョブコードと、当該ジョブコードに対応するジョブ実行許可情報と、をCPS103に送信する。
【0075】
S612において、CPS103のジョブ管理部302は、S611においてCPS123から送信されたジョブ実行許可情報の検証を行う。具体的には、CPS103のジョブ管理部302は、記憶部305に記憶されたジョブ関連情報(表C参照)からジョブコードが一致する印刷ジョブに関連する情報を検索する。そのうえで、例えば、CPS103のジョブ管理部302は、検索された印刷ジョブに関連する情報に含まれるジョブ実行許可情報と、CPS123から受信したジョブ実行許可情報と、が一致するか否かを検証してもよい。また、他の一例として、CPS103のジョブ管理部302は、外部の認可サービス等を利用して認可を行い、その結果を利用して検証を行ってもよい。
また、CPS103のジョブ管理部302は、ジョブ実行許可情報に印刷ジョブの有効期限に関する情報が埋め込まれている場合には、ジョブ実行許可情報の検証に際して、有効期限内か否かを検証してもよい。
なお、図6に示す例では、S612における検証に問題が無かったものとして、以降の処理について説明を行うものとする。
【0076】
S613において、CPS103のジョブ管理部302は、CPS123から受信したジョブコードに対応する印刷ジョブを当該CPS123に送信する。なお、対象となる印刷ジョブは、例えば、表Cにおいてジョブデータとして示されたデータが該当する。
なお、CPS103のジョブ管理部302が、CPS123に送信する印刷ジョブを特定することが可能であれば、S611においてCPS123のジョブ管理部302からCPS103に通知される情報は、必ずしもジョブコードには限定されない。すなわち、CPS103のジョブ管理部302は、ジョブコードに替えて、対象となる印刷ジョブに関する情報(例えば、印刷ジョブを一意に特定可能な識別情報等)をCPS103に送信してもよい。
S614において、CPS123のジョブ管理部302は、CPS103から印刷ジョブを受信し、当該印刷ジョブを画像形成装置122に送信する。
S615において、画像形成装置122は、CPS123から印刷ジョブを受信し、当該印刷ジョブを実行する。この際に、画像形成装置122は、ユーザに対して印刷設定の変更に係る画面を提示し、当該画面を介して印刷設定の変更に係る指示をユーザから受け付けてもよい。
【0077】
S616において、画像形成装置122は、S615における印刷ジョブの実行結果と、当該印刷ジョブに対応するジョブコードと、をCPS123に送信する。
S617において、CPS123のジョブ管理部302は、画像形成装置122から印刷ジョブの実行結果とジョブコードとを受信し、当該印刷ジョブの実行結果と当該ジョブコードとをCPS103に送信する。この際に、CPS123のジョブ管理部302は、受信した印刷ジョブの実行結果を記憶部305に記憶させることで保持してもよい。具体的には、CPS123のジョブ管理部302は、記憶部305に記憶されたジョブ関連情報(表D参照)から、受信したジョブコードに対応するジョブ関連情報を検索する。そして、CPS123のジョブ管理部302は、検索されたジョブ関連情報に対して受信した印刷ジョブの実行結果を関連付けることで当該実行結果を記憶部305に記憶させてもよい。
【0078】
S618において、CPS103のジョブ管理部302は、CPS123から印刷ジョブの実行結果とジョブコードとを受信し、当該印刷ジョブの実行結果と当該ジョブコードとを記憶部305に記憶させる。具体的には、CPS103のジョブ管理部302は、記憶部305に記憶されたジョブ関連情報(表C参照)から、受信したジョブコードに対応するジョブ関連情報を検索する。そして、CPS103のジョブ管理部302は、検索されたジョブ関連情報に対して受信した印刷ジョブの実行結果を関連付けることで当該実行結果を記憶部305に記憶させてもよい。
【0079】
なお、図6に示す例のようにパブリックスペースでの印刷が許可された状態で投入された印刷ジョブは、社内テントに登録された画像形成装置による印刷に利用することが可能である。具体的な一例として、S601~S608の処理に基づき登録された印刷ジョブを指定して、画像形成装置102がユーザからの指示に基づき印刷を実行する場合には、図7を参照して後述するS704~S710の処理が実行されればよい。これにより、「社内に設置されている画像形成装置を利用した印刷」と「パブリックスペースに設置されている画像形成装置を利用した印刷」との2つのユースケースを実現することが可能となる。
【0080】
次いで、図7を参照して、パブリックスペースでの印刷が制限された場合における、クライアント端末101、CPS103、及び画像形成装置102間における処理シーケンスの一例について説明する。図6に示す一連の処理は、例えば、S405において画面520のボタン523が押下された場合に実行される、「社内に設置されている画像形成装置を利用した印刷」に係る処理シーケンスの一例を示している。
【0081】
S701の処理は、S601の処理と同様である。
S702において、CPS103のジョブ管理部302は、CPS103のジョブ管理部302は、クライアント端末101から印刷ジョブに関する情報を受信し、当該情報に基づき、パブリックスペースでの印刷が許可されているか否かを確認する。なお、前述したように図7に示す例では、パブリックスペースでの印刷が制限されているものとする。この場合には、CP103のジョブ管理部302は、ジョブコードを発行する。この際に、CPS103のジョブ管理部302は、受信した印刷ジョブと発行したジョブコードとを関連付けて、当該印刷ジョブと当該ジョブコードとを記憶部305に記憶させる。例えば、表Cに示す印刷ジョブ関連情報が、記憶部305に記憶される情報の一例に相当する。
なお、S703の処理は、S608の処理と同様である。
【0082】
S704において、画像形成装置102は、ユーザから所望の印刷ジョブに対応するジョブコードの入力を受け付ける。なお、同処理については、主体が画像形成装置102である点を除けば、S609の処理と実質的に同様である。また、ここで入力されるジョブコードとしては、例えば、S703においてCPS103から通知されたジョブコードが挙げられる。
【0083】
S705において、画像形成装置102は、S704において入力を受け付けたジョブコードをCPS103に送信して、当該CPS103に印刷ジョブを要求する。
S706において、CPS103のジョブ管理部302は、画像形成装置102からジョブコードと印刷ジョブとを受信し、当該ジョブコードの確認を行う。具体的には、CPS103のジョブ管理部302は、記憶部305に記憶されたジョブ関連情報(表C参照)から、画像形成装置102から受信したジョブコードと一致するジョブコードを含む印刷ジョブに関連する情報を検索する。
【0084】
S707において、CPS103のジョブ管理部302は、ジョブコードに関連付けられた印刷ジョブを画像形成装置102に送信する。
S708において、画像形成装置102は、CPS103から印刷ジョブを受信し、当該印刷ジョブを実行する。
【0085】
S709において、画像形成装置102は、S708における印刷ジョブの実行結果と、当該印刷ジョブに対応するジョブコードと、をCPS103に送信する。
S710において、CPS103のジョブ管理部302は、画像形成装置102から印刷ジョブの実行結果とジョブコードとを受信し、当該印刷ジョブの実行結果と当該ジョブコードとを記憶部305に記憶させる。
【0086】
次いで、図8を参照して、CPS103またはCPS123に保持された印刷ジョブの削除に係る、クライアント端末101、CPS103、及びCPS123間における処理シーケンスの一例について説明する。図8に示す一連の処理シーケンスは、例えば、ユーザから印刷ジョブの削除に係る指示が受け付けられた場合、または表Aに示された有効期限が経過することで印刷ジョブの削除が自動で行われる場合に実行される。また、印刷が実行されることで印刷ジョブの削除があわせて実行される場合においても、図8に示す一連の処理シーケンスが実行されてもよい。なお、図8に示す例では、CPS103を起点としてCPS123に対して印刷ジョブの削除要求を行っているが、CPS123からCPS103に対して印刷ジョブの削除要求が行われてもよい。
【0087】
S801において、クライアント端末101は、ユーザからの指示に応じて、CPS103に対して印刷ジョブの削除要求を行う。
具体的な一例として、クライアント端末101は、ブラウザ等を介して印刷ジョブの削除要求に係る画面をユーザに提示し、当該画面を介して削除対象となる印刷ジョブに関する情報(例えば、ジョブコード)の指定を受け付けてもよい。
また、他の一例として、クライアント端末101は、投入済みの印刷ジョブのリストをユーザに提示し、当該リスト中における削除対象となる印刷ジョブの指定をユーザから受け付けてもよい。この場合には、クライアント端末101は、例えば、CPS501から投入済みの印刷ジョブに関する情報を取得し、当該情報に基づき上記リストを作成してもよい。また、当該画面については、例えば、画面510に示す項目512が指定された場合にユーザに提示されてもよい。
【0088】
S802において、CPS103のジョブ管理部302は、削除要求を受け付けた印刷ジョブに対応するジョブ関連情報(表C参照)を記憶部305から検索し、当該情報に基づき、パブリックスペースでの印刷が許可されているか否かを確認する。CPS103のジョブ管理部302は、パブリックスペースでの印刷が許可されている場合には処理をS803に進め、パブリックスペースでの印刷が制限されている場合には処理をS807に進める。
【0089】
S803において、CPS103のジョブ管理部302は、CPS123に対して、削除の対象となる印刷ジョブに対応するジョブコード及びジョブ実行許可情報を送信し、
当該印刷ジョブの削除要求を行う。なお、S803の処理においてCPS123に送信されるジョブ実行許可情報は、S802で検索されたジョブ関連情報に含まれるジョブ実行許可情報である。
【0090】
S804において、CPS123のジョブ管理部302は、CPS103から印刷ジョブの削除要求とともにジョブコード及びジョブ実行許可情報を受信する。CPS123のジョブ管理部302は、受信したジョブコードに対応するジョブ関連情報(表D参照)を記憶部305から検索する。そのうえで、CPS123のジョブ管理部302は、受信したジョブ実行許可情報と、検索された当該印刷ジョブ関連情報に含まれるジョブ実行許可情報と、が一致するか否かを検証してもよい。
また、他の一例として、CPS123のジョブ管理部302は、外部の認可サービスを利用して認可を行い、当該認可の結果に基づき、印刷ジョブ関連情報の検証を行ってもよい。
なお、図8に示す例では、S804における検証が問題なかったものとして、以降の処理について説明を行うものとする。
【0091】
S805において、CPS123のジョブ管理部302は、S804において検索されたジョブ関連情報(表D参照)を削除する。この際に、CPS123のジョブ管理部302は、対象となる印刷ジョブに関する情報を履歴として所定の記憶領域に記憶させてもよい。具体的な一例として、CPS123のジョブ管理部302は、画像形成装置122からの印刷要求に応答をしない(エラーを応答する)ための、フラグ等のような設定値を保持してもよい。また、当該ジョブ関連情報のうち、履歴として利用される情報を対象として、当該情報の複製を所定の記憶領域(例えば、記憶部305)に記憶させてもよい。
【0092】
S806において、CPS123のジョブ管理部302は、CPS103に対して印刷ジョブの削除が完了したことを通知する。
【0093】
S807において、CPS103のジョブ管理部302は、削除対象として指定された印刷ジョブに対応するデータを削除する。この際に、CPS103のジョブ管理部302は、対象となる印刷ジョブに関する情報を履歴として所定の記憶領域に記憶させてもよい。具体的な一例として、CPS103のジョブ管理部302は、削除対象となる印刷ジョブに対応するジョブ関連情報(表C参照)のうち、履歴として利用される情報を対象として、当該情報の複製を所定の記憶領域(例えば、記憶部305)に記憶させてもよい。
【0094】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記録媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0095】
101 クライアント端末
102 画像形成装置
103 CPS
122 画像形成装置
123 CPS
302 ジョブ管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8