(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20241209BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20241209BHJP
G02B 17/06 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/23
G02B17/06
(21)【出願番号】P 2021059579
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】村上 一臣
(72)【発明者】
【氏名】杉山 拓男
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-015132(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158333(WO,A1)
【文献】特開昭56-040807(JP,A)
【文献】国際公開第2020/021773(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0041790(US,A1)
【文献】国際公開第2018/061745(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23
G02B 17/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を含んだ照射光を照射する画像照射部と、前記画像照射部から入射した前記照射光を反射する第1自由曲面ミラーと、前記第1自由曲面ミラーから入射した前記照射光を反射して視点に到達させる第2自由曲面ミラーを備え、
前記画像照射部から前記視点までの前記照射光の光路を基準光線とし、
前記第1自由曲面ミラーにおける前記基準光線の反射方向をz軸とし、
前記第2自由曲面ミラーにおける前記基準光線および前記z軸を含む面内において前記z軸と垂直な方向をy軸とし、
前記y軸および前記z軸に垂直な方向をx軸としたとき、
前記第1自由曲面ミラーで反射された前記照射光は、x軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみが、前記第1自由曲面ミラーと前記第2自由曲面ミラーの間において結像されることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記y軸成分が、前記第1自由曲面ミラーと前記第2自由曲面ミラーの間において結像されることを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像投影装置であって、
前記第2自由曲面ミラーで反射された前記照射光の結像位置は、前記x軸成分および前記y軸成分で同じであることを特徴とする画像投影装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記画像照射部は、前記第1自由曲面ミラーと前記第2自由曲面ミラーの間において、前記照射光の伝搬する領域を避けた位置に配置されることを特徴とする画像投影装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
一方の面に入射した前記第2自由曲面ミラーからの前記照射光を前記視点の方向に対して反射し、他方の面に入射した外部からの光を前記視点の方向に対して透過する透過反射部を備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像投影装置であって、
前記透過反射部は、車両のウィンドシールドであることを特徴とする画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関し、特に画像照射部からの照射光を複数の自由曲面ミラーで反射して視点に到達させる画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内に各種情報を表示する装置として、アイコンを点灯表示する計器盤が用いられている。また、表示する情報量の増加とともに、計器盤に画像表示装置を埋め込むことや、計器盤全体を画像表示装置で構成することも提案されている。
【0003】
しかし、計器盤は車両のフロントガラス(ウィンドシールド)より下方に位置しているため、計器盤に表示された情報を運転者が視認するには、運転中に視線を下方に移動させる必要があるため好ましくない。そこで、フロントガラスに画像を投影して、運転者が車両の前方を視認したときに情報を読み取れるようにするヘッドアップディスプレイ(以下HUD:Head Up Display)のような画像投影装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このような従来技術の画像投影装置では、画像照射部が画像を含んだ照射光を照射し、1枚もしくは複数枚の自由曲面ミラーで照射光を反射させて、空間中に画像が結像するように運転者等の視点位置に到達させる。これにより、運転者等は視点に入射した照射光によって、奥行き方向における結像位置に画像が表示されているように認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の画像投影装置では、複数の自由曲面ミラーを交互に対向させて配置する必要があり、画像照射部等の部材が自由曲面ミラーで反射された光を遮らないように空間を確保する必要があり、省スペース化を図ることが困難であった。また、省スペース化を図るために自由曲面ミラーのサイズを小さくすると、自由曲面ミラーの曲率が大きくなって収差が大きくなるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、画像照射部からの照射光を複数の自由曲面ミラーで反射して視点に到達させても、空間を有効利用して省スペース化を図ることが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像投影装置は、画像を含んだ照射光を照射する画像照射部と、前記画像照射部から入射した前記照射光を反射する第1自由曲面ミラーと、前記第1自由曲面ミラーから入射した前記照射光を反射して視点に到達させる第2自由曲面ミラーを備え、前記画像照射部から前記視点までの前記照射光の光路を基準光線とし、前記第1自由曲面ミラーにおける前記基準光線の反射方向をz軸とし、前記第2自由曲面ミラーにおける前記基準光線および前記z軸を含む面内において前記z軸と垂直な方向をy軸とし、前記y軸および前記z軸に垂直な方向をx軸としたとき、前記第1自由曲面ミラーで反射された前記照射光は、x軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみが、前記第1自由曲面ミラーと前記第2自由曲面ミラーの間において結像されることを特徴とする。
【0009】
このような本発明の画像投影装置では、第1自由曲面ミラーが照射光のx軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみを第1自由曲面ミラーと第2自由曲面ミラーの間において結像することで、第1自由曲面ミラーと第2自由曲面ミラーの間の空間内に光学部材を配置するスペースを確保することができ、空間を有効利用して省スペース化を図ることが可能である。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記y軸成分が、前記第1自由曲面ミラーと前記第2自由曲面ミラーの間において結像される。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記第2自由曲面ミラーで反射された前記照射光の結像位置は、前記x軸成分および前記y軸成分で同じである
また、本発明の一態様では、前記画像照射部は、前記第1自由曲面ミラーと前記第2自由曲面ミラーの間において、前記照射光の伝搬する領域を避けた位置に配置される。
【0012】
また、本発明の一態様では、一方の面に入射した前記第2自由曲面ミラーからの前記照射光を前記視点の方向に対して反射し、他方の面に入射した外部からの光を前記視点の方向に対して透過する透過反射部を備える。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記透過反射部は、車両のウィンドシールドである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、画像照射部からの照射光を複数の自由曲面ミラーで反射して視点に到達させても、空間を有効利用して省スペース化を図ることが可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像投影装置の構成を示す模式図であり、
図1(a)は模式上面図であり、
図1(b)は模式側面図である。
【
図2】第1実施形態の画像投影装置における光学部材の配置と基準光線について示す模式図である。
【
図3】自由曲面ミラーにおける基準光線とローカル座標について示す模式図であり、
図3(a)は自由曲面ミラー20について示し、
図3(b)は自由曲面ミラー30について示している。
【
図4】第1実施形態における画像照射部10、自由曲面ミラー20,30の配置を示す模式図であり、
図4(a)は模式側面図であり、
図4(b)は模式上面図である。
【
図5】第2実施形態における画像照射部10、自由曲面ミラー20,30の配置を示す模式図であり、
図5(a)は模式側面図であり、
図5(b)は模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る画像投影装置の構成を示す模式図であり、
図1(a)は模式上面図であり、
図1(b)は模式側面図である。
図1に示すように画像投影装置は、画像照射部10と、自由曲面ミラー20,30と、ウィンドシールド40を備えており、視点50位置からウィンドシールド40を介して虚像60を視認させるものである。
【0017】
画像照射部10は、情報処理部(図示省略)から画像情報を含んだ信号が供給されることで画像情報を含んだ照射光を照射する装置である。画像照射部10から照射された照射光は自由曲面ミラー20に入射する。画像照射部10としては、液晶表示装置、有機EL表示装置、マイクロLED表示装置、レーザ光源を用いたプロジェクター装置等が挙げられる。
【0018】
自由曲面ミラー20は、画像照射部10から照射された照射光が入射し、自由曲面ミラー30方向に反射する凹面鏡であり、本発明における第1自由曲面ミラーに相当している。自由曲面ミラー20の反射面は、後述するように面内におけるx軸成分とy軸成分において焦点距離が異なっており、x軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみが自由曲面ミラー30に到達する前に中間結像するように設定されている。
【0019】
自由曲面ミラー30は、自由曲面ミラー20で反射された照射光が入射し、ウィンドシールド40方向に反射する凹面鏡であり、本発明における第2自由曲面ミラーに相当している。自由曲面ミラー30の反射面も、面内におけるx軸成分とy軸成分において焦点距離が異なっており、自由曲面ミラー30で反射された後に照射光のx軸成分とy軸成分が同じ位置で結像するように設定されている。
【0020】
ウィンドシールド40は、車両の運転席前方に設けられており、車両の内側面では自由曲面ミラー30から入射した照射光を視点50の方向に対して反射し、車両の外部からの光を視点50の方向に対して透過する光学部材としての機能を有している。したがって、ウィンドシールド40は本発明における透過反射部に相当している。ここでは透過反射部としてウィンドシールド40を用いた例を示したが、ウィンドシールド40とは別に透過反射部としてコンバイナーを用意し、自由曲面ミラー30からの光を視点50方向に反射するとしてもよい。また、車両の前方に位置するものに限定されず、搭乗者の視点50に対して画像を投影するものであれば側方や後方に配置するとしてもよい。
【0021】
視点50は、車両の運転者または搭乗者の目(アイボックス)であり、照射光がアイボックスに入射して網膜に光が到達することで、運転者または搭乗者は結像された虚像60を視認する。
【0022】
虚像60は、ウィンドシールド40で反射された照射光が運転者等の視点(アイボックス)50に到達した際に、空間中に結像されたように表示される。虚像60が結像される位置は、画像照射部10から照射された光が、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30で反射された後に視点50方向に進行する際の拡がり角度によって決まる。
図1(a)(b)に示したように、自由曲面ミラー30で反射された照射光は、ウィンドシールド40で反射された後に光束が拡大しながら視点50に到達する。
【0023】
このとき、視点50の運転者または搭乗者は、ウィンドシールド40よりも遠方の結像位置に虚像60が存在するように認識する。ここで、虚像60の結像位置は、主として自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の合成焦点距離に依存する。ウィンドシールド40が平坦面ではなく曲面形状であったとしても、曲率半径が自由曲面ミラー20および自由曲面ミラー30と比較して大きいため、ウィンドシールド40による光学的パワーの影響は無視できる程度である。
【0024】
図2は、実施形態の画像投影装置における光学部材の配置と基準光線について示す模式図である。
図2に示したように、画像照射部10から照射された照射光は、自由曲面ミラー20,30およびウィンドシールド40で反射されて視点50に到達する。このとき、虚像60を視認する方向から視点50に到達する光の軌跡を基準光線とし、
図2中に破線で示している。換言すると、この基準光線は画像照射部10において、光が出射する有効領域の中央から照射された光が視点50まで到達する際の軌跡とほぼ同じと見做せる。実際の照射光は、画像照射部10から所定の面積で照射され、表示面の各位置から光束が拡がる光であり、自由曲面ミラー20および自由曲面ミラー30の反射面による正のパワーで集光される。よって、
図2に示した基準光線は、画像照射部10の全領域での照射光が進行する経路を示しているものではない。また、基準光線に沿った自由曲面ミラー20から自由曲面ミラー30の距離をDとする。
【0025】
図3は、自由曲面ミラーにおける基準光線とローカル座標について示す模式図であり、
図3(a)は自由曲面ミラー20について示し、
図3(b)は自由曲面ミラー30について示している。
図3(a)(b)に示した破線は、
図2において破線で示した照射光の基準光線である。また、基準光線のうち自由曲面ミラー20および自由曲面ミラー30に照射光が入射する方向を入射光線とし、反射する方向を反射光線としている。
【0026】
図3(a)(b)に示すように、自由曲面ミラー20における基準光線の反射方向をz軸と定義する。また、自由曲面ミラー30における基準光線の反射方向およびz軸を含む面内において、z軸と垂直な方向をy軸と定義する。また、y軸およびz軸に垂直な方向をx軸と定義する。
【0027】
自由曲面ミラー20は、x軸方向とy軸方向で異なる曲率を有する曲面を有しており、反射された照射光はx軸成分とy軸成分で異なる焦点距離に集光され、x軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみが、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間において中間結像される。
図1に示した例では、車両の略水平方向がx軸方向であり、略垂直方向がy軸となる。したがって照射光は、車両の水平方向であるx軸成分、または垂直方向であるy軸成分のどちらか一方のみが中間結像される。
【0028】
ここで、画像照射部10から自由曲面ミラー20に対して平行光が入射した場合に、自由曲面ミラー20による正のパワーを受けた光が焦点を結ぶ位置までの距離を焦点距離f1とすると、x軸成分における焦点距離はfx1であり、y軸成分における焦点距離はfy1である。よって、基準光線に沿った自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の距離Dと比較すると、0<fy1≦D≦fx1または0<fx1≦D≦fy1の関係式を満たしている。
【0029】
同様に、自由曲面ミラー30も、x軸方向とy軸方向で異なる曲率を有する曲面を有しており、反射された照射光はx軸成分とy軸成分で異なる焦点距離を有している。ここで、自由曲面ミラー30に対して平行光が入射した場合に、自由曲面ミラー30による正のパワーを受けた光が焦点を結ぶ位置までの距離を焦点距離f2とすると、x軸成分における焦点距離はfx2であり、y軸成分における焦点距離はfy2である。
【0030】
上述したように自由曲面ミラー20での焦点距離fx1と焦点距離fy1は、どちらか一方のみが自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間で中間結像するように設定されている。自由曲面ミラー30での焦点距離fx2と焦点距離fy2は、自由曲面ミラー30で反射された後の照射光がx軸成分とy軸成分で同じ位置に結像されるように設定されている。これにより、視点50で視認する虚像60は、x軸成分とy軸成分で同じ位置に結像されたものとなり、虚像60を結像位置に存在する画像として適切に認識することができる。また、自由曲面ミラー30の曲面形状を適切に設定することで、自由曲面ミラー20で反射された照射光に生じた収差を補正することもできる。
【0031】
図4は、本実施形態における画像照射部10、自由曲面ミラー20,30の配置を示す模式図であり、
図4(a)は模式側面図であり、
図4(b)は模式上面図である。
図4(a)(b)に示したように本実施形態では、自由曲面ミラー20によって反射された照射光は、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間において、y軸成分がfの位置に結像されx軸成分は結像されない。
【0032】
したがって、
図4(a)に破線で示したように、画像照射部10の表示面全体から照射された照射光は、自由曲面ミラー20で反射された後にy軸方向では位置fに集光され、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間においてy軸方向の空間内に光学部材を配置するスペースが存在する。これにより、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間において照射光の伝搬する領域を避けた位置に画像照射部10を配置することが可能である。また、
図4(a)に示したように、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間に画像照射部10を部分的に割り込ませることで、空間を有効利用して省スペース化を図ることができる。
【0033】
仮に画像投影装置において、照射光のx軸成分およびy軸成分の両者を中間結像させた場合には、x軸成分およびy軸成分の両者で収差が大きくなり、自由曲面ミラー30で収差を補正するための難易度が高くなってしまう。また、x軸成分およびy軸成分の両者を中間結像させるためには、自由曲面ミラー20のx軸方向およびy軸方向での曲率半径を小さくする必要があるため、自由曲面ミラー20での厚さ方向の変位が大きくなり、画像投影装置の小型化が困難になる。
【0034】
それに対して本実施形態では、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間において、照射光のx軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみを中間結像させる構成としている。これにより、自由曲面ミラー20の正のパワーで生じる収差についても、x軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみが大きくなり、自由曲面ミラー30で収差を補正するための光学的設計が簡便になる。また、自由曲面ミラー20のx軸方向またはy軸方向では曲率半径を大きくすることができるため、自由曲面ミラー20での厚さ方向の変位を小さくして、画像投影装置の小型化を図ることができる。
【0035】
また
図4(b)に示すように、本実施形態では画像照射部10と自由曲面ミラー20はx軸方向での中心位置を略一致させており、照射光の基準光線はyz平面内でのみの経路となり、x軸方向での変位は無い。これにより、自由曲面ミラー20でのx軸成分の収差を小さくすることができる。また、自由曲面ミラー30からウィンドシールド40までの基準光線もyz平面内でのみの経路であり、y軸成分の変位を考慮するだけでよいため収差補正が容易となる。
【0036】
上述したように、本実施形態の画像投影装置では、自由曲面ミラー20が照射光のx軸成分またはy軸成分のどちらか一方のみを自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間において結像することで、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間の空間内に光学部材を配置するスペースを確保することができ、空間を有効利用して省スペース化を図ることが可能である。また、画像投影装置の収差補正が容易になり、小型化を図ることも可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図5を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図5は、本実施形態における画像照射部10、自由曲面ミラー20,30の配置を示す模式図であり、
図5(a)は模式側面図であり、
図5(b)は模式上面図である。
【0038】
図5(a)(b)に示したように本実施形態では、自由曲面ミラー20によって反射された照射光は、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間において、x軸成分がfの位置に結像されy軸成分は結像されない。
【0039】
したがって、
図5(a)に破線で示したように、画像照射部10の表示面全体から照射された照射光は、自由曲面ミラー20で反射された後にx軸方向では位置fに集光され、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間においてx軸方向の空間内に光学部材を配置するスペースが存在する。これにより、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間において照射光の伝搬する領域を避けた位置に画像照射部10を配置することが可能である。また、
図5(b)に示したように、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間に画像照射部10を部分的に割り込ませることで、空間を有効利用して省スペース化を図ることができる。
【0040】
本実施形態では、画像照射部10から自由曲面ミラー20までの間で基準光線がx軸方向で変位し、自由曲面ミラー20から自由曲面ミラー30、ウィンドシールド40および視点50までの間はx軸方向で変位しない。したがって、第1実施形態の場合よりも、自由曲面ミラー30でのx軸成分の収差補正が困難になるが、一般的に画像投影装置は横長の画像を投影する場合が多いため、自由曲面ミラー20と自由曲面ミラー30の間に確保できるスペースを大きくすることができる。
【0041】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
10…画像照射部
20,30…自由曲面ミラー
40…ウィンドシールド
50…視点
60…虚像