(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】画像処理装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241209BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20241209BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241209BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241209BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 127B
G06F3/0482
B41J29/38 801
B41J29/42 F
G03G21/00 396
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2021076251
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】井戸 一彦
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-170404(JP,A)
【文献】特開2019-213087(JP,A)
【文献】特開2018-039143(JP,A)
【文献】特開2019-106709(JP,A)
【文献】特開2020-171021(JP,A)
【文献】特開2019-083376(JP,A)
【文献】特開2020-068507(JP,A)
【文献】特開2011-035709(JP,A)
【文献】特開2006-135570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 3/0482
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と通信し、グループの情報を含む宛先情報
と、前記端末装置の識別情報とを、前記端末装置から受信する受信部と、
記憶部に
前記識別情報と対応付けられた前記グループの情報が過去に選択されたことを示す選択グループ履歴が記憶されている場合、当該選択グループ履歴に基づき、
受信した前記識別情報と一致する前記宛先情報に含まれる前記グループの情報から1つのグループの情報を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された1つの前記グループの情報を含む宛先情報を表示部に表示する制御を行う画面表示部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記表示部に表示された宛先情報の中から選択された宛先情報に基づき宛先に画像データを送信する送信部と、
前記画像データを送信後、前記端末装置から受信した宛先情報を削除する削除部と、
を更に備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画面表示部は、前記宛先情報に含まれる前記グループの情報を選択するための画面を表示し、前記選択部によって選択されたグループの情報を選択状態にする制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、過去に選択された前記宛先情報を示す選択宛先履歴を更に記憶し、
前記画面表示部は、前記選択宛先履歴に基づき、前記宛先情報を表示することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画面表示部は、前記選択宛先履歴に基づき、前記宛先情報のうち、過去に選択された前記宛先情報を識別表示する制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画面表示部は、前記選択宛先履歴に基づき、過去に選択された前記宛先情報の選択回数によって、前記宛先情報を並び替えて表示する制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
端末装置と通信し、グループの情報を含む宛先情報
と、前記端末装置の識別情報とを、前記端末装置から受信する受信ステップと、
記憶部に
前記識別情報と対応付けられた前記グループの情報が過去に選択されたことを示す選択グループ履歴が記憶されている場合、当該選択グループ履歴に基づき、
受信した前記識別情報と一致する前記宛先情報に含まれる前記グループの情報から1つのグループの情報を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択した1つの前記グループの情報を含む宛先情報を表示部に表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コピー機能、印刷機能、スキャナ機能、メール送信機能等を有するデジタル複合機(MFP;Multi-Function Peripheral/Printer)が広く利用されている。また、複合機には、スキャナ機能により読み込まれた原稿の画像を、ユーザによって指定された宛先に送信する機能を有するものがある。
【0003】
また、宛先の情報を、他の装置から取得するための技術も提案されている。例えば、モバイル端末から宛先情報を取得し、取得した宛先情報に基づいて、実行する画像処理機能を切り替えるとともに画像処理機能の設定を行う画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理装置に宛先情報が転送(送信)されるとき、ユーザによって操作される装置(例えば、端末装置)に記憶されている宛先情報が一括して送信されることがある。また、画像処理装置が、画像を送信するジョブを実行した後、他の装置から取得した宛先情報を削除する場合がある。これは、他の装置から受信した宛先情報を、画像処理装置に記憶させ続けることは、セキュリティ等の関係から適切ではないからである。しかしながら、他の装置から取得した宛先情報に関する情報が画像処理装置に記憶されないため、画像処理装置には、ユーザによって入力された操作(例えば、宛先情報を絞り込むために選択したグループの情報)も記憶されない。したがって、ユーザは、画像処理装置に宛先情報を転送するたびに、宛先を絞り込む等して、選択し直す必要がある。この結果、宛先を選択するときに必要となる操作の数(操作ステップ数)が増え、ユーザの利便性を損ねているという課題があった。
【0006】
本開示は上述した課題に鑑み、端末装置から受信した宛先の情報を効率的にユーザに選択させることが可能な画像処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示に係る画像処理装置は、端末装置と通信し、グループの情報を含む宛先情報を、前記端末装置から受信する受信部と、記憶部に前記グループの情報が過去に選択されたことを示す選択グループ履歴が記憶されている場合、当該選択グループ履歴に基づき、前記宛先情報に含まれる前記グループの情報から1つのグループの情報を選択する選択部と、前記選択部によって選択された1つの前記グループの情報を含む宛先情報を表示部に表示する制御を行う画面表示部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本開示に係る制御方法は、端末装置と通信し、グループの情報を含む宛先情報を、前記端末装置から受信する受信ステップと、記憶部に前記グループの情報が過去に選択されたことを示す選択グループ履歴が記憶されている場合、当該選択グループ履歴に基づき、前記宛先情報に含まれる前記グループの情報から1つのグループの情報を選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択した1つの前記グループの情報を含む宛先情報を表示部に表示する表示ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、端末装置から受信した宛先の情報を効率的にユーザに選択させることが可能な画像処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態におけるシステムの全体構成を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態における端末装置の機能構成を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態における端末装置に記憶されるアドレス帳データのデータ構造の例を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態における画像処理装置の機能構成を説明するための図である。
【
図5】第1実施形態における像処理装置に記憶されるアドレス帳データのデータ構造の例を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態における選択グループ履歴のデータ構造の例を説明するための図である。
【
図7】第1実施形態における選択宛先履歴のデータ構造の例を説明するための図である。
【
図8】第1実施形態における端末装置が実行する処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図9】第1実施形態における第1実施形態における画像処理装置が実行する処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図10】第1実施形態における宛先選択処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図11】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
【
図12】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
【
図13】第1実施形態における動作例を説明するための図である。
【
図14】第1実施形態の応用例において端末装置に記憶されるアドレス帳データ構造の例を説明するための図である。
【
図15】第1実施形態の応用例における動作例を説明するための図である。
【
図16】第2実施形態における宛先選択処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図17】第2実施形態における動作例を説明するための図である。
【
図18】第2実施形態における動作例を説明するための図である。
【
図19】第3実施形態における宛先選択処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図20】第3実施形態における動作例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
【0012】
[1.第1実施形態]
[1.1 全体構成]
図1を参照して、本実施形態におけるシステム1について説明する。本実施形態のシステム1は、
図1に示すように、端末装置10と、画像処理装置20とを含んで構成される。また、端末装置10と、画像処理装置20とは、近距離無線通信を行う機能を有する。
【0013】
端末装置10は、ユーザによって携帯される情報処理装置である。端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレットといった装置である。なお、端末装置10は、スマートウォッチ、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)といった装置であってもよい。
【0014】
画像処理装置20は、コピー機能、印刷機能、スキャナ機能、メール送信機能等を有する装置であり、一般的にデジタル複合機(MFP)と呼ばれる装置である。なお、画像処理装置20は、画像を、電子写真方式等の手段を用いて、用紙やOHPフィルムといった記録用紙上に形成する手段を備えた画像形成装置であってもよい。
【0015】
[1.2 機能構成]
[1.2.1 端末装置]
図2を参照して、本実施形態の端末装置10の構成を説明する。
図2に示すように、端末装置10は、制御部100と、表示部140と、操作部150と、記憶部160と、近距離無線通信部180と、通信部190とを備えて構成される。
【0016】
制御部100は、端末装置10の全体を制御する。制御部100は、記憶部160に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、1又は複数の演算装置(例えば、CPU(Central Processing Unit))により構成されている。
【0017】
表示部140は、各種情報を表示する。表示部140は、例えば、LCD(Liquid crystal display)、有機EL(electro-luminescence)パネル、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置により構成される。
【0018】
操作部150は、端末装置10を使用するユーザの操作を受け付ける。操作部150は、タッチセンサ等の入力装置によって構成される。タッチセンサにおいて入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。なお、端末装置10には、表示部140と、操作部150とが一体に形成されたタッチパネルが搭載されてもよい。
【0019】
記憶部160は、端末装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部160は、例えば、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)や、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成される。
【0020】
記憶部160は、記憶領域として、アドレス帳データ記憶領域162を確保する。アドレス帳データ記憶領域162は、ユーザの名前や会社名といった情報や、データの宛先、当該ユーザが所属するグループといった、宛先に関する情報(宛先情報)が記憶される。宛先情報は、一般的に、アドレス帳や電話帳と呼ばれる機能により表示されたり管理されたりする情報である。なお、本実施形態では、宛先情報を、アドレス帳データとして記載する。
【0021】
アドレス帳データ記憶領域162に記憶されるアドレス帳データのデータ構成の例を、
図3に示す。アドレス帳データ記憶領域162に記憶されるアドレス帳データには、
図3に示すように、ユーザの名前(例えば、「取引先1」)と、当該ユーザの電話番号(例えば、「03-1111-2222」)と、当該ユーザの電子メールアドレス(例えば、「info@a-sha.com」)と、グループ名(例えば、「取引先」)とが記憶される。
【0022】
グループ名とは、アドレス帳データに記憶されるユーザに対する属性の情報であり、具体的には、ユーザを分類するために用いられる属性である「グループ」の値(属性値)である。例えば、
図3に示す例では、アドレス帳データ毎に、「グループ」という属性(属性名)に対して、当該属性の具体的な値(属性値)として「取引先」や「社員」といったグループ名が記憶されることを示す。
【0023】
なお、属性は、例えば、ラベルや、タグや、カテゴリや、いわゆるお気に入りであるか否かといった情報であってもよい。ラベル、タグ、お気に入り等の情報は、ユーザやアドレス帳データを分類(グループ化)するために用いられる情報である。つまり、ラベル、タグ、お気に入り等の情報はグループの情報の一種である。
【0024】
属性がラベルやお気に入りである場合、属性として、以下の情報が記憶される。
・ラベル(タグ・カテゴリ)
属性値として、1又は複数の分類情報が記憶される。分類情報とは、ラベル(タグ・カテゴリ)を識別するための情報である。分類情報は、ラベル等の名称(ラベル名)や、ラベル名を特定するための識別情報(ラベルID)等である。なお、分類情報として識別情報が記憶される場合、記憶部160は、当該識別情報とラベル等の名称とを対応付けた情報を記憶する。このようにすることで、端末装置10が、識別情報からラベル等の名称を特定可能にする。
・お気に入り
属性値として、アドレス帳データがユーザによってお気に入りであることを指定されたか否かを区別可能な情報が記憶される。具体的には、属性値として「はい」や「いいえ」といった情報が記憶されてもよいし、フラグが記憶されてもよい。また、お気に入りであることを指定されたアドレス帳データの属性値には所定の情報が記憶され、お気に入りであることを指定されていないアドレス帳データの属性値には一切の情報が記憶されなくてもよい。この場合、属性値の有無により、お気に入りであるか否かが判別される。
【0025】
なお、1つのアドレス帳データに記憶される属性は複数であってもよい。例えば、1つのアドレス帳データに、グループの属性と、ラベルの属性とが記憶されてもよい。
【0026】
また、アドレス帳データ記憶領域162に記憶されるアドレス帳データには、複数の電話暗号や電子メールアドレスが記憶されてもよい。また、アドレス帳データ記憶領域162に記憶されるアドレス帳データには、上述した情報以外にも、名前のふりがな、ファクシミリ番号、住所、会社名、所属部署名、メモ等の情報が記憶されてもよい。
【0027】
近距離無線通信部180は、端末装置10の周囲に位置する他の装置と無線通信を行う。近距離無線通信部180は、例えば、アンテナを備えた通信装置により構成される。近距離無線通信部180が用いる無線通信の方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、ZigBee(登録商標)、ワイヤレスUSBといった、一般的に近距離の通信に用いられる無線通信の方式であれば、何れの方式であってもよい。
【0028】
通信部190は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を介して外部の装置と通信を行う。通信部190は、例えば、有線/無線LANで利用されるNIC(Network Interface Card)や、LTE(Long Term Evolution)/LTE-A(LTE-Advanced)/LAA(License-Assisted Access using LTE)/5G回線に接続可能な通信モジュールにより構成される。
【0029】
[1.2.2 画像処理装置]
図4を参照して、本実施形態の画像処理装置20の構成を説明する。
図4に示すように、画像処理装置20は、制御部200と、画像入力部220と、画像形成部230と、表示部240と、操作部250と、記憶部260と、近距離無線通信部280と、通信部290とを備えて構成される。
【0030】
制御部200は、画像処理装置20の全体を制御する。制御部200は、記憶部260に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、1又は複数の演算装置(例えば、CPU)により構成されている。
【0031】
画像入力部220は、原稿を読み取り、読み取った画像のデータを入力する。例えば、画像入力部220は、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の光学情報を電気信号に変換する機器を備えたスキャン装置等により構成され、画像処理装置20の載置台に載置された原稿を読み取る。なお、画像入力部220は、USB(Universal Serial Bus)メモリに記憶された画像を読み出すためのインターフェイス(端子)により構成されてもよい。
【0032】
画像形成部230は、記録用紙等の記録媒体に対して画像を形成(印刷)する。画像形成部230は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成される。
【0033】
表示部240は、各種情報を表示する。表示部240は、例えば、LCD、有機ELパネル、マイクロLEDディスプレイ等の表示装置により構成される。
【0034】
操作部250は、画像処理装置20を使用するユーザの操作を受け付ける。操作部250は、ハードウェアキー(物理キー、テンキー)や、タッチセンサ等の入力装置によって構成される。タッチセンサにおいて入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。なお、画像処理装置20には、表示部240と、操作部250とが一体に形成されたタッチパネルが搭載されてもよい。
【0035】
記憶部260は、画像処理装置20の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部260は、例えば、半導体メモリであるSSDや、HDD等の記憶装置により構成される。
【0036】
記憶部260は、記憶領域として、画像データ記憶領域262、アドレス帳データ記憶領域264、受信アドレス帳データ記憶領域266、選択グループ履歴記憶領域268、選択宛先履歴記憶領域270とが確保される。
【0037】
画像データ記憶領域262は、画像入力部220によって入力された画像の画像データを記憶する。画像データは、例えば、画像形成部230によって形成される画像を表現したデータ(印刷データ)であったり、他の装置によって読み取り可能な形式のファイルであったりする。
【0038】
アドレス帳データ記憶領域264は、一般的に、アドレス帳や電話帳と呼ばれる機能により表示されたり管理されたりするデータ(アドレス帳データ)を記憶する。アドレス帳データ記憶領域264に記憶されるアドレス帳データのデータ構成の例を、
図5に示す。アドレス帳データ記憶領域264に記憶されるアドレス帳データには、
図5に示すように、ユーザの名前(例えば、「高木○○」)と、当該ユーザのファクシミリ番号(例えば、「03-0987-6543」)と、当該ユーザの電子メールアドレス(例えば、「takagi@example.com」)とが記憶される。
【0039】
アドレス帳データ記憶領域264に記憶されるアドレス帳データには、複数の電子メールアドレスやファクシミリ番号が記憶されてもよい。また、アドレス帳データ記憶領域264に記憶されるアドレス帳データには、上述した情報以外にも、住所、会社名、所属部署名、メモ等の情報や、属性の情報が記憶されてもよい。
【0040】
受信アドレス帳データ記憶領域266は、端末装置10から受信したアドレス帳データを記憶する。受信アドレス帳データ記憶領域266に記憶されるアドレス帳データのデータ構成は、
図3に示したアドレス帳データ記憶領域162に記憶されるアドレス帳データと同様である。
【0041】
選択グループ履歴記憶領域268は、端末装置10から受信したアドレス帳データを絞り込むときにユーザによって選択されたグループ名の情報(選択グループ履歴)を記憶する。具体的には、選択グループ履歴は、端末装置10から受信したアドレス帳データに含まれるグループ名等のグループの情報であって、過去に当該端末装置10から受信したアドレス帳データを絞り込む操作がされたときに選択されたグループを示す情報である。
【0042】
選択グループ履歴のデータ構成の例を、
図6に示す。選択グループ履歴には、
図6に示すように、端末装置10を識別するための端末装置ID(例えば、「35-123456-789012-3」)と、ユーザによって選択されたグループ名(例えば、「取引先」)とが記憶される。
【0043】
端末装置IDは、端末装置10に関連する固有の情報である。例えば、端末装置IDは、端末装置10に装着されるSIM(Subscriber Identity Module)カードに対応付けられたIMEI(International Mobile Equipment Identifier)や、製造番号、電話番号といった情報である。
【0044】
選択宛先履歴記憶領域270は、ユーザによって選択された宛先の履歴(選択宛先履歴)を記憶する。選択宛先履歴のデータ構成の例を、
図7に示す。選択宛先履歴には、
図7に示すように、端末装置10を識別するための端末装置ID(例えば、「35-123456-789012-3」)と、宛先(例えば、「eigyo@b-sha.com」)と、送信日時(例えば、「2021年1月15日 19:02:21」)とが記憶される。
【0045】
宛先とは、画像データの送信先を示す情報であり、例えば、電子メールアドレスやファクシミリ番号が記憶される。
【0046】
なお、選択宛先履歴には、端末装置IDが記憶されない場合がある。具体的には、宛先が端末装置10から取得したアドレス帳データから選択された宛先であれば、端末装置IDとして、当該端末装置10の識別情報が記憶される。一方、宛先が、画像処理装置20に記憶されたアドレス帳データから選択された宛先であれば、端末装置IDが記憶されない。
【0047】
近距離無線通信部280は、画像処理装置20の周囲に位置する他の装置と無線通信を行う。近距離無線通信部280は、例えば、アンテナを備えた通信装置により構成される。近距離無線通信部280が用いる無線通信の方式は、例えば、Bluetooth、NFC、ZigBee、ワイヤレスUSBといった、一般的に近距離の通信に用いられる無線通信の方式であれば、何れの方式であってもよい。
【0048】
通信部290は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部290は、例えば、有線/無線LANで利用されるNIC等の通信装置や通信モジュールにより構成され、LANやWANを介して外部の装置と通信を行う。また、通信部290は、公衆回線網、LAN又はインターネット等の通信ネットワークに接続可能であり、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により、通信ネットワークを介して外部の装置と画像データを送受信できるように構成されてもよい。
【0049】
[1.3 処理の流れ]
[1.3.1 端末装置]
図8を参照して、端末装置10が実行する処理について説明する。
図8に示した処理は、制御部100が、記憶部160に記憶されたプログラムを読み出すことにより実行される。また、端末装置10と画像処理装置20とは、ペアリング若しくはペアリングに相当する動作により、予め通信可能な状態であるとする。
【0050】
はじめに、制御部100は、近距離無線通信部180を介して、画像処理装置20から、アドレス帳データを転送する要求(アドレス帳データ転送要求)を受信したか否かを判定する(ステップS100)。
【0051】
制御部100は、アドレス帳データ転送要求を受信したと判定した場合、アドレス帳データ記憶領域162に記憶されたアドレス帳データを全て読み出す。つづいて、制御部100は、アドレス帳データ転送要求を送信した画像処理装置20に、端末装置ID(例えば、IMEIや製造番号や電話番号)と、読み出したアドレス帳データとを、近距離無線通信部180を介して送信する(ステップS100;Yes→ステップS102)。
【0052】
例えば、制御部100は、OPP(Object Push Profile)や、PBAP(Phone Book Access Profile)等のBluetoothプロファイルを用いて、アドレス帳データ記憶領域162に記憶されたアドレス帳データを一括して画像処理装置20に送信(転送)する。
【0053】
なお、制御部100は、アドレス帳データ転送要求を受信していないと判定した場合、ステップS100の処理を繰り返す(ステップS100;No)。
【0054】
[1.3.2 画像処理装置]
図9及び
図10を参照して、画像処理装置20が実行する処理について説明する。
図9及び
図10に示した処理は、制御部200が、記憶部260に記憶されたプログラムを読み出すことにより実行され、特に、画像データを他の装置に送信するジョブの実行が指示されたときに実行される。なお、画像処理装置20と端末装置10とは、ペアリング若しくはペアリングに相当する動作により、予め通信可能な状態であるとする。
【0055】
はじめに、
図9に記載した処理について説明する。まず、制御部200は、画像入力部220を介して、画像データを取得する(ステップS110)。なお、制御部200は、S110において取得した画像の画像データを、画像データ記憶領域262に記憶してもよい。
【0056】
つづいて、制御部200は、端末装置10に記憶されているアドレス帳データを使用するか否かを判定する(ステップS112)。例えば、制御部200は、表示部240に「外部デバイスの電話帳を参照」といったボタンを表示し、当該ボタンがユーザによって選択された場合、アドレス帳データを使用すると判定する。
【0057】
制御部200は、端末装置10に記憶されているアドレス帳データを使用することを判定した場合、近距離無線通信部280を介して、端末装置10に対して、アドレス帳データ転送要求を送信する(ステップS112;Yes→ステップS114)。その後、制御部200は、近距離無線通信部280を介して、端末装置10から、アドレス帳データと、当該端末装置10の端末装置IDとを受信する(ステップS116)。
【0058】
つづいて、制御部200は、端末装置10から受信したアドレス帳データを、受信アドレス帳データ記憶領域266に記憶する(ステップS118)。このとき、制御部200は、受信した受信アドレス帳データから、グループ名を抽出する(ステップS120)。例えば、制御部200は、ステップS118において、
図3に示したアドレス帳データを受信した場合、当該受信したアドレス帳データに記憶されているグループ名である「取引先」「社員」を抽出する。
【0059】
つづいて、制御部200は、宛先選択画面を表示部240に表示する(ステップS122)。宛先選択画面とは、ステップS110において取得された画像データの宛先(送信先)をユーザに選択させるための画面である。例えば、制御部200は、ステップS118において記憶したアドレス帳データを選択可能なリストや、ステップS120において抽出したグループ名を選択可能なリストを含んだ画面を生成し、表示部240に表示する処理を実行する。
【0060】
なお、制御部200は、ステップS120において抽出したグループ名を選択可能なリストに、何れのグループ名も選択しないことを示す項目(例えば、「指定なし」)を更に追加してもよい。
【0061】
つづいて、制御部200は、ステップS122において表示した画面を介して入力されるユーザの操作に基づき、画像データの宛先を選択するための処理(宛先選択処理)を実行する(ステップS124)。宛先選択処理について、
図10を参照して説明する。
【0062】
はじめに、制御部200は、アドレス帳データを送信した端末装置10に対応した選択グループ履歴があるか否かを判定する(ステップS160)。例えば、制御部200は、ステップS116において受信した端末装置IDと同じ情報が記憶された選択グループ履歴を、選択グループ履歴記憶領域268から検索する。制御部200は、選択グループ履歴を検索できた場合、アドレス帳データを送信した端末装置10に対応した選択グループ履歴があると判定する。
【0063】
制御部200は、選択グループ履歴があると判定した場合、当該選択グループ履歴に基づき、グループ名を選択する(ステップS160;Yes→ステップS162)。例えば、制御部200は、ステップS122において表示した宛先選択画面に含まれるグループ名を選択可能なリストから、ステップS160において検索した選択グループ履歴に記憶されたグループ名に対応する項目を選択した状態にする。
【0064】
一方、制御部200は、選択グループ履歴がないと判定した場合、所定の方法により、1のグループ名(例えば、デフォルトグループ名)を選択する(ステップS160;No→ステップS164)。例えば、制御部200は、デフォルトグループ名として、ステップS120において抽出したグループ名のうち、1番目に抽出したグループ名を選択する。なお、制御部200は、デフォルトグループ名として、何れのグループ名も選択しないことを示す項目(例えば、「指定なし」)を選択してもよい。
【0065】
つづいて、制御部200は、選択したグループ名が記憶されたアドレス帳データを表示する(ステップS166)。例えば、制御部200は、ステップS162又はステップS164において選択したグループ名と同じグループ名が記憶されたアドレス帳データをアドレス帳データ記憶領域264から読み出す。そして、制御部200は、読み出したアドレス帳データを、アドレス帳データを選択可能なリストに表示する。なお、本実施形態では、アドレス帳データを表示するとは、アドレス帳データに記憶されたデータに基づく表示を行うことをいう。例えば、制御部200は、アドレス帳データを表示する処理として、アドレス帳データに記憶されている名前を、文字として、表示部240における所定の位置(例えば、アドレス帳データを選択可能なリスト)に表示する処理を実行する。
【0066】
つづいて、制御部200は、ユーザによってグループ名が選択されたか否かを判定する(ステップS168)。例えば、制御部200は、ユーザによって、宛先選択画面に表示されたグループ名を選択可能なリストから、選択されている項目を変更する操作がされたとき、ユーザによってグループ名が選択されたと判定する。
【0067】
制御部200は、ユーザによってグループ名が選択されたと判定した場合、ステップS166における処理により表示されているアドレス帳データを、当該選択されたグループ名が記憶されたアドレス帳データの表示に更新する(ステップS168;Yes→ステップS170)。ステップS170における処理は、ステップS166における処理と同様である。このように、制御部200は、ステップS168及びステップS170における処理を実行することで、端末装置10から受信したアドレス帳データの絞り込みを実行し、絞り込んだ結果を、宛先選択画面に表示することができる。
【0068】
一方、制御部200は、グループ名が選択されなかったと判定した場合、アドレス帳データが選択されたか否かを判定する(ステップS168;No→ステップS172)。なお、本実施形態において、アドレス帳データが選択されるとは、表示されたアドレス帳データのうち、1のアドレス帳データが選択されることをいう。例えば、アドレス帳データに記憶されている名前が、文字として、表示部240における所定の位置に表示されているとき、当該表示されている文字をユーザによって選択されたとき、制御部200は、アドレス帳データが選択されたと判定する。
【0069】
制御部200は、アドレス帳データが選択されたと判定した場合、当該選択されたアドレス帳データに対応するアドレスを、画像データの宛先として選択する(ステップS172;Yes→ステップS174)。アドレスとは、ファクシミリ番号や電子メールアドレスである。制御部200は、ファクシミリ回線を介して他の装置にステップS110において取得した画像データを送信する場合、ファクシミリ番号を宛先として選択する。一方、制御部200は、電子メールにステップS110において取得した画像データを添付して他の装置に送信する場合、電子メールアドレスを宛先として選択する。
【0070】
つづいて、制御部200は、選択グループ履歴を記憶する(ステップS176)。例えば、ステップS116において受信した端末装置IDと、宛先選択画面において選択されているグループ名とを含む選択宛先履歴を、選択グループ履歴記憶領域268に記憶する。なお、制御部200は、ステップS116において受信した端末装置IDと同じ情報が記憶された選択宛先履歴が選択グループ履歴記憶領域268に記憶されている場合、当該記憶されている選択宛先履歴に含まれるグループ名を、宛先選択画面において選択されているグループ名に更新する。
【0071】
なお、制御部200は、ステップS172において、アドレス帳データが選択されなかったと判定した場合、ステップS168に戻る(ステップS172;No→ステップS168)。
【0072】
上述した処理により、ユーザによって選択されたアドレス帳データに対応する宛先が、画像データの送信先として選択され、そのときに宛先選択画面において選択されていたグループ名が、選択グループ履歴として記憶される。
【0073】
図9に戻り、制御部200は、通信部290を介して、ステップS110において取得した画像データを、ステップS124において選択した宛先に送信する(ステップS126)。
【0074】
つづいて、制御部200は、選択宛先履歴を記憶する(ステップS128)。例えば、制御部200は、ステップS116において受信した端末装置IDと、ステップS174において選択した宛先と、画像データを送信した日時とを含む選択宛先履歴を、選択宛先履歴記憶領域270に記憶する。
【0075】
つづいて、制御部200は、ステップS118において記憶したアドレス帳データ(端末装置10から受信したアドレス帳データ)を、受信アドレス帳データ記憶領域266から削除する(ステップS130)。
【0076】
[1.4 動作例]
つづいて、
図11から
図13までを参照して、本実施形態における動作例を説明する。
図11は、ある端末装置10(対象端末装置)から、初めてアドレス帳データが画像処理装置20に転送された場合について示した図である。
【0077】
図11(a)は、対象端末装置に記憶されたアドレス帳データT100が、画像処理装置20に転送されるときに表示部240に表示される表示画面W100を示した例である。表示画面W100には、アドレス帳データが転送されていることを示すメッセージM100が表示される。
【0078】
図11(b)は、対象端末装置から画像処理装置20へのアドレス帳データの転送が完了したときに表示部240に表示される表示画面W110を示した例である。
図11(b)に示すように、表示画面W110には、対象端末装置から受信されたアドレス帳データを選択するためのリストE110や、グループ名を選択するためのリストE112が含まれる。
【0079】
ここで、対象端末装置から初めてアドレス帳データが転送されていることから、対象端末装置から受信したアドレス帳データに記憶されているグループ名は、画像処理装置20において選択されたことがない。つまり、画像処理装置20には対象端末装置に対応する選択グループ履歴が記憶されていない。その結果、グループ名を選択するためのリストE112において、デフォルトグループ名(例えば、「指定なし」)が選択される。
【0080】
図12は、表示画面W110においてグループ名が選択された場合について示した図である。
図12(a)は、ユーザによって、1のグループ名が選択されたときに表示部240に表示される表示画面W120を示した例である。例えば、
図12(a)は、ユーザによって、グループ名として「取引先」が選択された場合を示している。
図12(a)に示すように、グループ名を選択するためのリストE122において、「取引先」が選択される。また、アドレス帳データを選択するためのリストE120には、グループ名として「取引先」が記憶されているアドレス帳データ(例えば、アドレス帳データに記憶されている名前)が表示される。
【0081】
図12(b)は、ユーザによってアドレス帳データが選択された場合に、表示部240に表示される表示画面W130を示した例である。
図12(b)に示すように、例えば、ユーザは、アドレス帳データを選択するためのリストE130からアドレス帳データ(例えば、「取引先2」)の項目E132を選択する。この場合、
図12(b)は、項目E132が強調して表示される。
【0082】
また、このとき、画像データが送信されると、画像処理装置20には、ユーザによって選択されたグループ名である「取引先」が、対象端末装置に対応する選択グループ履歴として記憶される。
【0083】
図13は、対象端末装置から、再度アドレス帳データが画像処理装置20に転送された場合について示した図である。
図13(a)は、対象端末装置に記憶されたアドレス帳データT140が、画像処理装置20に転送されるときに表示部240に表示される表示画面W140を示した例である。表示画面W140には、アドレス帳データが転送されていることを示すメッセージM140が表示される。
【0084】
図13(b)は、対象端末装置から画像処理装置20へのアドレス帳データの転送が完了したときに表示部240に表示される表示画面W150を示した例である。
図11(b)に示すように、表示画面W150には、対象端末装置から受信されたアドレス帳データを選択するためのリストE150や、当該アドレス帳データに記憶されたグループ名から1のグループ名を選択するためのリストE152が含まれる。
【0085】
ここで、画像処理装置20には、対象端末装置に対応する選択グループ履歴が記憶されている。例えば、対象端末装置に対応する選択グループ履歴に、グループ名「取引先」が記憶されている場合、リストE152において「取引先」が選択され、リストE150においてグループ名として「取引先」が記憶されているアドレス帳データが表示される。これにより、ユーザは、予め、「取引先」というグループ名が選択されていることを確認できる。また、ユーザは、リストE152から「取引先」を選択する操作をすることなく、リストE150から、グループ名として「取引先」が記憶されているアドレス帳データを選択することが可能となる。
【0086】
なお、実施形態では、1の端末装置10に対して1の選択グループ履歴を記憶することとして説明した。このようにすることで、画像処理装置20は、端末装置10から画像処理装置20にアドレス帳データが転送されたとき、送信日が最も新しいグループ(ユーザによって最後に選択されたグループ名)が予め選択された状態で宛先選択画面を表示することができる。つまり、画像処理装置20は、送信日が最も新しいグループを優先的に表示することができる。しかし、1の端末装置10に対して、複数の選択グループ履歴を記憶するようにしてもよい。
【0087】
この場合、制御部200は、
図10のステップS176において、選択グループ履歴情報として、端末装置IDとグループ名とに加え、ユーザによって当該グループ名が選択された日時の情報も記憶する。
【0088】
また、制御部200は、
図10のステップS162において、アドレス帳データを送信した端末装置10に対応する選択グループ情報のうち、日付が新しい方から所定の数の選択グループ情報を抽出し、グループ名を集計する。そして、制御部200は、最も多く記憶されているグループ名を選択する。このようにすることで、制御部200は、送信頻度が最も高いグループ(ユーザによって多く選択されているグループ名)を選択することができる。
【0089】
なお、制御部200は、グループ名を集計した結果、複数のグループ名が送信頻度の高いグループとなった場合、当該複数のグループ名のうち、ユーザによって最後に選択されたグループ名を選択する。なお、制御部200は、当該複数のグループ名のうち、最近の送信頻度が最も高いグループ(例えば、所定の期間に選択された回数が多いグループ名や、選択された日時の間隔が最も短いグループ名)を選択してもよい。
【0090】
[1.5 応用例]
本実施形態の応用例を
図14及び
図15を参照して説明する。応用例は、端末装置10が記憶するアドレス帳データに、複数のグループの属性が割り当てられる場合の例である。
【0091】
応用例におけるアドレス帳データのデータ構成の例を、
図14に示す。アドレス帳データ記憶領域162に記憶されるアドレス帳データには、
図3と同様に、ユーザの名前と、当該ユーザの電話番号と、当該ユーザの電子メールアドレスと、グループ名(例えば、「取引先」)とが記憶される。ここで、応用例においては、グループ名には「取引先、製品A」のように、複数のグループ名が記憶可能である。
【0092】
また、応用例では、
図10のステップS176において、制御部200は、ユーザによって選択されたグループ名を選択グループ履歴として記憶する。また、
図10のステップS162において、制御部200は、アドレス帳データを転送した端末装置10に対応する選択グループ履歴に記憶されたグループ名を選択する。このようにすることで、制御部200は、ユーザによって最後に選択されたグループ名を予め選択された状態で、宛先選択画面を表示することができる。
【0093】
応用例における動作例を、
図15を参照して説明する。
図15(a)は、端末装置10から画像処理装置20へのアドレス帳データの転送が完了したときに表示部240に表示される表示画面W160を示した例である。表示画面W160には、当該端末装置10から受信されたアドレス帳データを選択するためのリストE160や、0以上のグループ名を選択するためのボタンE162が含まれる。
【0094】
図15(a)は、グループ名として「取引先、製品A」が選択されている場合を示す。この場合、リストE160には、グループ名として、「取引先」及び「製品A」が記憶されているアドレス帳データが表示される。なお、制御部200は、複数のグループ名が選択されているとき、選択された全てのグループ名が記憶されたアドレス帳データをリストE160に表示してもよいし、選択された何れかのグループ名が記憶されたアドレス帳データをリストE160に表示してもよい。
【0095】
図15(b)は、ボタンE162が選択された場合に、表示部240に表示される表示画面W170を示した例である。表示画面W170には、0以上のグループを選択することが可能なダイアログD170が表示される。ダイアログD170には、例えば、
図9のステップS120において抽出されたグループ名と、当該グループ名と対応付けられたチェックボックスが一覧で表示される。ユーザは、チェックボックスを操作することで、0以上のグループ名を選択する。
【0096】
なお、本実施形態では、アドレス帳データに記憶されるユーザに対する属性としてグループ名を記憶することとして説明したが、属性は、ラベルや、タグ、カテゴリ、お気に入りであってもよい。例えば、アドレス帳データには、属性名「お気に入り」に対して、属性値「はい」又は「いいえ」といった情報が記憶されてもよい。この場合、画像処理装置20は、宛先選択画面において、お気に入りの属性値として「はい」が記憶されているアドレス帳データだけ表示するか、全てのアドレス帳データを表示するかを選択可能にし、選択された内容に基づきアドレス帳データを表示する。また、制御部200は、選択された内容を選択グループ情報に記憶する。このようにすることで、制御部200は、再度端末装置10からアドレス帳データが転送されたとき、お気に入りの属性値として「はい」が記憶されているアドレス帳データだけ又は全てのアドレス帳データの何れかを表示することができる。
【0097】
このように、本実施形態における画像処理装置によれば、ユーザによって2回目以降に選択される宛先が、過去にユーザによって選択されたグループ(グループ名)に含まれる宛先であれば、当該グループが優先的に表示される。したがって、ユーザは、表示するグループを変更する操作が不要となり、操作ステップ数が軽減される。これにより、本実施形態における画像処理装置は、端末装置から転送されたアドレス帳データに基づく宛先であっても、効率的にユーザに選択させることが可能となる。
【0098】
[2.第2実施形態]
つづいて第2実施形態について説明する。第2実施形態は、画像処理装置が、ユーザによって選択されたことのある宛先を強調して(識別して)表示する実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の
図10を
図16に置き換えたものである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0099】
図16を参照して、本実施形態における宛先選択処理の流れを説明する。制御部200は、ステップS166においてアドレス帳データの表示又はステップS170において表示されているアドレス帳データの更新をした後、選択宛先履歴を取得する(ステップS260)。例えば、制御部200は、ステップS116において受信した端末装置IDと同じ情報が記憶された選択宛先履歴を、選択宛先履歴記憶領域270から検索する。制御部200は、選択宛先履歴を検索できた場合、当該検索した選択宛先履歴を取得する。
【0100】
つづいて、制御部200は、ステップS260において取得した選択宛先履歴に記憶された宛先と同じ宛先が記憶されたアドレス帳データを識別表示する(ステップS262)。例えば、制御部200は、ステップS166又はステップS170において表示したアドレス帳データのうち、ステップS260において取得した選択宛先履歴に記憶された宛先と同じ情報が記憶されたアドレス帳データを識別表示する、これにより、制御部200は、選択宛先履歴に記憶された宛先と同じ情報が記憶されたアドレス帳データを、他のアドレス帳データと異ならせて表示することができる。
【0101】
なお、制御部200は、ステップS260において取得した選択宛先履歴のうち、1又は所定の数の選択宛先履歴に基づいて、アドレス帳データを識別表示してもよい。このように、識別表示の処理に用いる選択宛先履歴を限定することで、制御部200は、識別表示されるアドレス帳データを限定することができる。
【0102】
識別表示の方法は、例えば、通常の背景色とは異なる背景色を表示する、アドレス帳データに基づく文字(例えば、名前)を装飾したり点滅させたりする、アドレス帳データに基づく文字の横にマーク(アイコン)を表示するといった方法である。なお、上述した方法以外の方法を、識別表示の方法として選択してもよい。
【0103】
つづいて、
図17及び
図18を参照して、本実施形態における動作例を説明する。
図17(a)は、端末装置10から画像処理装置20へのアドレス帳データの転送が完了したときに表示部240に表示される表示画面W200を示した例である。
図17(a)に示すように、表示画面W200には、端末装置10から受信されたアドレス帳データを選択するためのリストE200が含まれる。
【0104】
ここで、リストE200に表示されたアドレス帳データに、以前にユーザによって選択された宛先に対応するアドレス帳データがある場合、当該アドレス帳データが識別表示される。例えば、領域E202に示すように、識別表示として、他の項目と異なる背景色が表示されたり、名前を示す文字が太字で表示されたりする。
【0105】
ユーザは、リストE200から、アドレス帳データを選択することができる。
図17(b)は、ユーザによってアドレス帳データが選択された場合に、表示部240に表示される表示画面W210を示した例である。
図17(b)の項目E212に示すように、ユーザによって選択されたアドレス帳データは、強調して表示される。なお、
図17(b)に示すように、ユーザによって以前に選択されたアドレス帳データと、今回ユーザによって選択されたアドレス帳データとは、表示態様を異ならせてもよい。これにより、ユーザは、以前に選択したアドレス帳データと、今回選択したアドレス帳データとを区別することが可能となる。
【0106】
なお、識別表示は、
図17において示した方法以外の方法であってもよい。例えば、
図18に示す宛先選択画面W220のように、ユーザによって以前に選択されたアドレス帳データには、マークM220が表示されてもよい。
【0107】
本実施形態の画像処理装置によれば、選択宛先情報に基づいてアドレス帳データを表示することにより、ユーザに対して、画像データの送信先として選択したことのある宛先を、他の宛先よりも選択しやすい表示にすることができる。これにより、本実施形態の画像処理装置は、利便性の高い宛先選択画面を表示することができる。
【0108】
[3.第3実施形態]
つづいて第3実施形態について説明する。第3実施形態は、画像処理装置が、端末装置から受信した宛先を並び替えて表示する実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の
図10を
図19に置き換えたものである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0109】
図19を参照して、本実施形態における宛先選択処理の流れを説明する。制御部200は、ステップS166においてアドレス帳データの表示又はステップS170において表示されているアドレス帳データの更新をした後、選択宛先履歴を取得する(ステップS360)。ステップS360における処理は、
図16におけるステップS260と同様の処理である。
【0110】
つづいて、制御部200は、宛先毎にユーザによって選択された回数を集計する(ステップS362)。つづいて、制御部200は、宛先選択画面に表示したアドレス帳データを、ステップS362における集計の結果に基づいて並び替える(ステップS364)。例えば、制御部200は、ステップS166又はステップS170において表示したアドレス帳データに対して、ユーザによって選択された回数が多い宛先を含むアドレス帳データがリストの上位に表示されるように並べ替える。このようにすることで、制御部200は、ユーザによって頻繁に選択される宛先を含むアドレス帳データほど、リストの上位に、規定の表示列数分、表示させることができる。
【0111】
つづいて、
図20を参照して、本実施形態における動作例を説明する。
図20は、端末装置10から画像処理装置20へのアドレス帳データの転送が完了したときに表示部240に表示される表示画面W300を示した例である。
図20に示すように、表示画面W300には、端末装置10から受信されたアドレス帳データを選択するためのリストE300が含まれる。
【0112】
ここで、リストE300に表示されるアドレス帳データは、ユーザによって選択された回数が多い宛先の情報を含むものほど上位に表示される。つまり、リストE300の上位に表示されるアドレス帳データほど、ユーザによって選択される回数が多いアドレス帳データである。
【0113】
このように、本実施形態の画像処理装置によれば、送信履歴情報に基づきアドレス帳データが並び替えられる。これにより、ユーザは、スクロールなどの操作をすることなく、選択する頻度が高いアドレス帳データを容易に選択することが可能となる。
【0114】
[4.変形例]
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0115】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせてもよい。この場合、宛先選択画面に表示されるアドレス帳データは、選択された回数が多いほど上位に表示され、さらに、頻繁に選択されるアドレス帳データが識別表示されることになる。
【0116】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0117】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray Disc (登録商標)) 等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0118】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0119】
1 システム
10 端末装置
100 制御部
140 表示部
150 操作部
160 記憶部
162 アドレス帳データ記憶領域
180 近距離無線通信部
190 通信部
20 画像処理装置
200 制御部
202 画像処理部
220 画像入力部
230 画像形成部
240 表示部
250 操作部
260 記憶部
262 画像データ記憶領域
264 アドレス帳データ記憶領域
266 受信アドレス帳データ記憶領域
268 選択グループ履歴記憶領域
270 選択宛先履歴記憶領域
280 近距離無線通信部
290 通信部