(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241209BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20241209BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241209BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B65H7/14
B41J29/38 301
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B41J2/01 451
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2021088475
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】柴田 龍一
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016418(JP,A)
【文献】特開2021-017338(JP,A)
【文献】特開2015-174701(JP,A)
【文献】特開2019-059076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0024313(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010001805(DE,A1)
【文献】中国実用新案第201062173(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65H 7/14
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送される搬送経路に沿って配置された発光部、および前記発光部が発した光を受光する受光部を有する粉塵検出部と、
前記搬送経路に沿って配置され、媒体を検出する複数の媒体検出部と、
媒体搬送動作により前記受光部の受光量が減衰した場合において、当該媒体搬送動作における前記受光部の受光量の減衰量および媒体が通過した前記媒体検出部の設置条件に基づき、媒体が通過した前記媒体検出部ごとの判定加算値を算出し、前記判定加算値を累積した判定値が所定の判定閾値を超えた前記媒体検出部の清掃が必要であると判定する判定部と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記設置条件は、前記媒体検出部の向きを含むことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記判定部は、清掃が行われた前記媒体検出部における前記判定値および媒体の通過枚数をリセットするものであり、それぞれの前記媒体検出部において、最初に前記判定値が前記判定閾値を超えたときの前記通過枚数を通過枚数閾値として設定し、前記通過枚数閾値の設定後、前記判定値が前記判定閾値を超えていなくても前記通過枚数が前記通過枚数閾値を超えると当該媒体検出部の清掃が必要であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記判定部は、それぞれの前記媒体検出部において、前記通過枚数閾値の設定後、前記判定値が前記判定閾値を超えたときの前記通過枚数が前記通過枚数閾値と異なる場合、当該通過枚数を新たな通過枚数閾値に設定することを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記判定部は、清掃が行われた前記媒体検出部における前記判定値をリセットするものであり、前記媒体検出部において前記判定値が前記判定閾値に到達する前に媒体の誤検出が発生した場合、媒体の誤検出が発生した時点での当該媒体検出部における前記判定値を、当該媒体検出部の新たな判定閾値に設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記粉塵検出部は、前記複数の媒体検出部のうちの1つを兼ねていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体である用紙を搬送しつつ、用紙に印刷を行う印刷装置が知られている。このような印刷装置において、用紙のジャムの検出等のため、用紙の搬送経路に沿って複数の用紙センサ(媒体検出部)が配置されている。
【0003】
このような印刷装置において、用紙の搬送により発生した紙粉が用紙センサに付着して堆積することがある。そして、このような紙粉の堆積により、用紙センサがオンの状態のままになったり、用紙センサのチャタリングが発生したりすることで、用紙センサによる用紙の誤検出が発生することがある。
【0004】
印刷装置における紙粉による不具合に対処する技術として、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1の技術では、用紙の搬送路に紙粉検出用のセンサを複数配置し、紙粉検出用のセンサで検出された紙粉堆積量に基づき、紙粉が堆積している場所の清掃を促すメッセージを操作パネルに表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術のように、複数の紙粉検出用のセンサを配置することで、複数の用紙センサのそれぞれにおける清掃が必要なタイミングを判定できるようにすることが可能である。これにより、適切なタイミングで用紙センサを清掃し、用紙センサによる用紙の誤検出を低減することができる。しかし、紙粉検出用のセンサを複数設けることは、装置の大型化や回路設計の複雑化を招く。
【0007】
一方、紙粉検出用のセンサを1つだけ設け、そのセンサで検出された紙粉の堆積量に基づきすべての用紙センサの清掃のタイミングを判定する構成とすると、清掃不要な用紙センサまで清掃が行われることになるおそれがある。各用紙センサにおける紙粉の堆積量は、各用紙センサの向き等の条件により異なることがあるからである。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、装置の大型化や回路設計の複雑化を抑えつつ、媒体検出部の不要な清掃を低減できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の搬送装置は、媒体が搬送される搬送経路に沿って配置された発光部、および前記発光部が発した光を受光する受光部を有する粉塵検出部と、前記搬送経路に沿って配置され、媒体を検出する複数の媒体検出部と、媒体搬送動作により前記受光部の受光量が減衰した場合において、当該媒体搬送動作における前記受光部の受光量の減衰量および媒体が通過した前記媒体検出部の設置条件に基づき、媒体が通過した前記媒体検出部ごとの判定加算値を算出し、前記判定加算値を累積した判定値が所定の判定閾値を超えた前記媒体検出部の清掃が必要であると判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の搬送装置によれば、装置の大型化や回路設計の複雑化を抑えつつ、媒体検出部の不要な清掃を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る印刷装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。
【
図4】印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】用紙センサの判定値の推移の一例を示す図である。
【
図11】用紙搬送動作において通紙があった用紙センサの判定値の算出結果の一例を説明するためのセンサテーブルを示す図である。
【
図12】用紙センサの判定値が最初に判定閾値を超えたときのセンサテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0013】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送装置が設けられた印刷装置の概略構成図である。
図2は、
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。なお、以下の説明において、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0015】
図1において太線で示す経路が、用紙(媒体に相当)Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD1,RD2、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0016】
図1、
図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、給紙部2と、印刷搬送部3と、印刷部4と、第1排紙部5と、上面搬送部6と、第2排紙部7と、反転部8と、操作パネル9と、記憶部10と、制御部(判定部に相当)11と、各部を収納または保持する筐体12とを備える。なお、印刷装置1の印刷部4以外の各部により、搬送装置が構成される。
【0017】
給紙部2は、用紙Pの給紙を行う。給紙部2は、外部給紙台21と、外部給紙ローラ22と、内部給紙台23と、内部給紙ローラ24と、縦搬送ローラ25と、外部給紙モータ26と、内部給紙モータ27と、用紙センサ28A,28B(媒体検出部に相当)とを備える。なお、用紙センサ28A,28B等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0018】
外部給紙台21は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台21は、一部が筐体12の外部に露出して設置されている。
【0019】
外部給紙ローラ22は、外部給紙台21に積層された用紙Pを1枚ずつ取り出し、給紙経路RSに沿って後述のレジストローラ31へ向けて搬送する。
【0020】
内部給紙台23は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台23は、筐体12の内部に配置されている。
【0021】
内部給紙ローラ24は、内部給紙台23に積層された用紙Pを1枚ずつ取り出して給紙経路RSへと送り出す。
【0022】
縦搬送ローラ25は、内部給紙台23から取り出された用紙Pを給紙経路RSに沿って後述のレジストローラ31へ向けて搬送する。
【0023】
外部給紙モータ26は、外部給紙ローラ22および縦搬送ローラ25を回転駆動させる。外部給紙モータ26は、図示しないクラッチを介して外部給紙ローラ22および縦搬送ローラ25に接続/解除可能になっている。クラッチにより、外部給紙ローラ22と縦搬送ローラ25の駆動が切り替えられる。
【0024】
内部給紙モータ27は、内部給紙ローラ24および縦搬送ローラ25を回転駆動させる。
【0025】
用紙センサ28Aは、外部給紙台21から取り出されて給紙経路RSに沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28Bは、内部給紙台23から取り出されて給紙経路RSに沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28A,28Bは、反射型の光センサであり、用紙の有無を示す信号を出力するデジタルセンサからなる。用紙センサ28Aは、給紙経路RSにおける外部給紙ローラ22からレジストローラ31へ向かう経路と内部給紙ローラ24からレジストローラ31へ向かう経路との合流地点の上流側近傍において、給紙経路RSに沿って下向きに設置されている。用紙センサ28Bは、縦搬送ローラ25の上流側近傍において、給紙経路RSに沿って横向き(右向き)に設置されている。
【0026】
印刷搬送部3は、給紙部2または反転部8から搬送されてきた用紙Pを搬送する。印刷搬送部3は、レジストローラ31と、レジストモータ32と、ベルトプラテン部33と、ベルトプラテンモータ34と、用紙センサ28C,28Dとを備える。
【0027】
レジストローラ31は、給紙部2または反転部8から搬送されてきた用紙Pを一旦止めた後、ベルトプラテン部33に向けて搬送する。レジストローラ31は、給紙経路RSと反転経路RRとの合流地点の下流側近傍において、通常経路RCに沿って配置されている。
【0028】
レジストモータ32は、レジストローラ31を回転駆動させる。
【0029】
ベルトプラテン部33は、レジストローラ31から搬送されてきた用紙Pを、通常経路RCの上流域の水平部分に沿って搬送する。
【0030】
ベルトプラテンモータ34は、ベルトプラテン部33を駆動させる。
【0031】
用紙センサ28C(媒体検出部および粉塵検出部に相当)は、レジストローラ31からベルトプラテン部33へ向けて搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28Cは、用紙センサ28A~Dおよび後述の用紙センサ28E~Lにおける紙粉(粉塵)の堆積による清掃の要否を判定するためにも用いられる。用紙センサ28Cは、発光部28aと受光部28bとを有する透過型の光センサであり、受光部28bの受光量を示す信号を出力するアナログセンサからなる。
【0032】
発光部28aは、通常経路RCに向けて上向きに光を発する。受光部28bは、発光部28aが発した光を受光する。受光部28bは、通常経路RCを挟んで発光部28aに対向して下向きに設置されている。
【0033】
用紙センサ28Cは、レジストローラ31の下流側近傍において、通常経路RCに沿って配置されている。レジストローラ31の下流側近傍は、用紙Pの搬送経路において、最も紙粉が堆積しやすい位置である。
【0034】
用紙センサ28D(媒体検出部に相当)は、ベルトプラテン部33から後述の切替部36へ向けて搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28Dは、用紙センサ28A,28Bと同様のデジタルセンサからなる。用紙センサ28Dは、ベルトプラテン部33の下流側近傍において、通常経路RCに沿って下向きに設置されている。
【0035】
印刷部4は、複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有し、ベルトプラテン部33により搬送される用紙Pにインクジェットヘッドからインクを吐出して印刷を行う。印刷部4は、ベルトプラテン部33の上方に配置されている。
【0036】
第1排紙部5は、印刷装置1の下流側に接続された後処理装置(図示せず)へ排紙される印刷済みの用紙Pを後処理装置へ導く。第1排紙部5は、切替部36と、用紙センサ28E(媒体検出部に相当)とを備える。
【0037】
切替部36は、用紙Pの搬送経路を通常経路RCと排紙経路RD1との間で切り替える。切替部36は、通常経路RCと排紙経路RD1との分岐点に配置されている。
【0038】
用紙センサ28Eは、排紙経路RD1に沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28Eは、用紙センサ28A,28Bと同様のデジタルセンサからなる。用紙センサ28Eは、切替部36の下流側において、排紙経路RD1に沿って下向きに設置されている。
【0039】
上面搬送部6は、ベルトプラテン部33から搬送されてきた用紙Pを第2排紙部7または反転部8へ搬送する。上面搬送部6は、2対の上昇搬送ローラ41と、上昇搬送モータ42と、4対の水平搬送ローラ43と、水平搬送モータ44と、用紙センサ28F~28J(媒体検出部に相当)とを備える。
【0040】
上昇搬送ローラ41は、ベルトプラテン部33により搬送されてきた用紙Pを上方の水平搬送ローラ43へ搬送する。上昇搬送ローラ41は、通常経路RCの中流域の上昇部分に沿って配置されている。
【0041】
上昇搬送モータ42は、2対の上昇搬送ローラ41を回転駆動させる。
【0042】
水平搬送ローラ43は、上昇搬送ローラ41により搬送されてきた用紙Pを排紙部5または反転部8へ搬送する。最下流の水平搬送ローラ43は、反転経路RRの上流域に配置されている。他の水平搬送ローラ43は、通常経路RCの下流域の水平部分に配置されている。
【0043】
水平搬送モータ44は、4対の水平搬送ローラ43を回転駆動させる。
【0044】
用紙センサ28F~28Iは、通常経路RCの中流域の上昇部分および下流域の水平部分に沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28Jは、最下流の水平搬送ローラ43から後述の反転ローラ61へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28F~28Jは、用紙センサ28A,28Bと同様のデジタルセンサからなる。
【0045】
用紙センサ28Fは、上流側の上昇搬送ローラ41と下流側の上昇搬送ローラ41との間において、通常経路RCに沿って横向き(左向き)に設置されている。用紙センサ28Gは、下流側の上昇搬送ローラ41と最上流の水平搬送ローラ43との間において、通常経路RCに沿って下向きに設置されている。
【0046】
用紙センサ28Hは、最上流の水平搬送ローラ43と上流側から2つ目の水平搬送ローラ43との間において、通常経路RCに沿って下向きに設置されている。用紙センサ28Iは、上流側から3つ目の水平搬送ローラ43の下流側近傍において、通常経路RCに沿って下向きに設置されている。用紙センサ28Jは、最下流の水平搬送ローラ43の下流側近傍において、反転経路RRに沿って下向きに設置されている。
【0047】
第2排紙部7は、印刷済みの用紙Pを排紙する。第2排紙部7は、切替部51と、排紙ローラ52と、排紙モータ53と、排紙台54と、用紙センサ28K(媒体検出部に相当)とを備える。
【0048】
切替部51は、用紙Pの搬送経路を排紙経路RD2と反転経路RRとの間で切り替える。切替部51は、排紙経路RD2と反転経路RRとの分岐地点に配置されている。
【0049】
排紙ローラ52は、切替部51によって排紙経路RD2へと導かれた用紙Pを搬送して排紙台54へ排紙する。排紙ローラ52は、排紙経路RD2に沿って、切替部51と排紙台54との間に配置されている。
【0050】
排紙モータ53は、排紙ローラ52を回転駆動させる。
【0051】
排紙台54は、第2排紙部7において排紙された用紙Pが積載されるものである。排紙台54は、排紙経路RD2の下流端に配置されている。
【0052】
用紙センサ28Kは、排紙ローラ52により排紙台54へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28Kは、用紙センサ28A,28Bと同様のデジタルセンサからなる。用紙センサ28Kは、排紙ローラ52と排紙台54との間において、排紙経路RD2に沿って下向きに設置されている。
【0053】
反転部8は、両面印刷の際に、片面印刷された用紙Pを反転させて印刷搬送部3へ搬送する。反転部8は、反転ローラ61と、反転モータ62と、再給紙ローラ63と、再給紙モータ64と、切替ゲート65と、用紙センサ28L(媒体検出部に相当)とを備える。
【0054】
反転ローラ61は、水平搬送ローラ43により搬送されてきた用紙Pをスイッチバックして再給紙ローラ63へ搬送する。反転ローラ61は、反転経路RRに沿って、最下流の水平搬送ローラ43の下流側に配置されている。
【0055】
反転モータ62は、反転ローラ61を回転駆動させる。
【0056】
再給紙ローラ63は、反転ローラ61によりスイッチバックされて表裏反転された用紙Pをレジストローラ31へ搬送する。再給紙ローラ63は、反転ローラ61とレジストローラ31との間の反転経路RR上に配置されている。
【0057】
再給紙モータ64は、再給紙ローラ63を回転駆動させる。
【0058】
切替ゲート65は、水平搬送ローラ43により搬送されてきた用紙Pを反転ローラ61へとガイドする。また、切替ゲート65は、反転ローラ61によりスイッチバックされた用紙Pを再給紙ローラ63へとガイドする。切替ゲート65は、最下流の水平搬送ローラ43、反転ローラ61、および再給紙ローラ63の3個所の重心近傍に配置されている。
【0059】
用紙センサ28Lは、反転ローラ61によりスイッチバックされて再給紙ローラ63へ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ28Lは、用紙センサ28A,28Bと同様のデジタルセンサからなる。用紙センサ28Lは、再給紙ローラ63の上流側近傍において、反転経路RRに沿って横向き(左向き)に設置されている。
【0060】
操作パネル9は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の画面等を表示するものである。操作パネル9は、表示部71と、入力部72とを備える。
【0061】
表示部71は、各種の画面等を表示するものである。表示部71は、液晶表示パネル等を有する。
【0062】
入力部72は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部72は、各種の操作キー、タッチパネル等を有する。
【0063】
記憶部10は、
図3に示すセンサテーブル81を記憶している。記憶部10は、HDD(Hard Disk Drive)等からなる。
【0064】
センサテーブル81は、
図3に示すように、各用紙センサ28の向き(センサ向き係数K)、判定値H、判定閾値Ht、通紙枚数N(通過枚数に相当)、および通紙枚数閾値Ntを保持している。
【0065】
用紙センサ28の向きは、当該用紙センサ28が設置された位置において搬送経路を搬送される用紙Pを検出できるように設定されたものである。例えば、前述のように、用紙センサ28Aの向きは下向きである。
【0066】
センサ向き係数Kは、後述の判定加算値Cを算出する際に、用紙搬送動作(媒体搬送動作に相当)の前後における用紙センサ28Cの受光部28bの受光量の減衰量Dに乗算される係数である。センサ向き係数Kは、用紙センサ28に紙粉が堆積しやすい向きほど大きく設定されている。
図3の例では、上向き、横向き、下向きのセンサ向き係数Kは、それぞれ1.0,0.5,0.25に設定されている。
【0067】
なお、センサ向き係数Kの値は、上記の例に限らない、また、用紙センサ28の向きは、上向き、横向き、下向きに限らず、例えば、さらに細かく分類してもよい。
【0068】
判定値Hは、用紙センサ28の清掃が必要か否かを判定するための値である。判定値Hは、用紙センサ28の清掃後における最初の用紙搬送動作から直近の用紙搬送動作までの判定加算値Cを累積した値である。用紙センサ28の清掃がまだ1度も行われていない場合は、判定値Hは、当該用紙センサ28の使用開始後(印刷装置1の使用開始後)における最初の用紙搬送動作から直近の用紙搬送動作までの判定加算値Cを累積した値である。各用紙センサ28の判定値Hは、当該用紙センサ28の清掃が行われるとリセットされ、H=0とされる。
【0069】
判定加算値Cは、一連の用紙搬送動作による用紙センサ28の紙粉の堆積量の増加の度合いを示すものである。判定加算値Cは、用紙搬送動作により受光部28bの受光量が減衰した場合に、当該用紙搬送動作で通紙があった(用紙Pが通過した)用紙センサ28について、減衰量Dおよび用紙センサ28の設置条件である用紙センサ28の向き(センサ向き係数K)に基づき算出される。
【0070】
具体的には、受光部28bの受光量が減衰した用紙搬送動作において通紙があった(用紙Pが通過した)用紙センサ28の判定加算値Cは、下記の式(1)により算出される。
【0071】
C=K×D …(1)
各用紙センサ28に通紙があるか否かは、後述するように、用紙搬送動作(印刷動作)の際の片面/両面印刷、給紙元(外部給紙台21または内部給紙台23)、および排紙先(第1排紙部5、第2排紙部7のどちらにより用紙Pが排紙されるか)の設定によって決まる。
【0072】
判定閾値Htは、判定値Hから用紙センサ28の清掃が必要か否かを判定するための閾値である。各用紙センサ28の判定閾値Htは、予め実験等に基づき設定されている。各用紙センサ28の判定閾値Htは、後述するように、当該用紙センサ28において判定値Hが判定閾値Htを超える前に用紙Pの誤検出が発生した場合には変更される。
【0073】
通紙枚数Nは、用紙センサ28の清掃後における最初の用紙搬送動作から直近の用紙搬送動作までの、当該用紙センサ28を通過した用紙Pの枚数である。用紙センサ28の清掃がまだ1度も行われていない場合は、通紙枚数Nは、当該用紙センサ28の使用開始後(印刷装置1の使用開始後)における最初の用紙搬送動作から直近の用紙搬送動作までの、当該用紙センサ28を通過した用紙Pの枚数である。各用紙センサ28の通紙枚数Nは、当該用紙センサ28の清掃が行われるとリセットされ、N=0とされる。
【0074】
通紙枚数閾値Ntは、通紙枚数Nから用紙センサ28の清掃が必要か否かを判定するための値である。各用紙センサ28において、当該用紙センサ28の使用開始後(印刷装置1の使用開始後)に最初に判定値Hが判定閾値Htを超えたときの通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntとして設定される。通紙枚数閾値Ntの設定後、判定値Hが判定閾値Htを超えていなくても通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えると当該用紙センサ28の清掃が必要であると判定される。
【0075】
制御部11は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。
【0076】
制御部11は、印刷搬送部3等により用紙Pを搬送しつつ、印刷部4により用紙Pに印刷を行う印刷動作を実行する。ここで、印刷動作には、用紙搬送動作が含まれる。制御部11は、用紙搬送動作により用紙センサ28Cの受光部28bの受光量が減衰した場合において、当該用紙搬送動作における減衰量Dおよび通紙があった用紙センサ28の向きに基づき、通紙があった用紙センサ28ごとの判定加算値Cを算出し、判定加算値Cを累積した判定値Hを算出する。そして、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28の清掃が必要であると判定する。
【0077】
次に、印刷装置1の動作について、
図4~
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
印刷ジョブが入力されると、
図4のステップS1において、制御部11は、用紙センサ28Cの受光部28bの受光量を取得する。ここで制御部11が取得する受光部28bの受光量は、一連の用紙搬送動作(印刷動作)の開始時の受光量であり、用紙センサ28Cが用紙Pを検出していない(発光部28aと受光部28bとの間に用紙Pがない)状態での受光量である。
【0079】
次いで、ステップS2において、制御部11は、印刷動作を開始させる。ここで、制御部11は、印刷ジョブにおける片面/両面印刷設定に応じて、片面印刷または両面印刷を実行する。
【0080】
片面印刷の場合、制御部11は、外部給紙台21または内部給紙台23から未印刷の用紙Pを順次取り出し、印刷搬送部3へ給紙するよう給紙部2を制御する。ここで、制御部11は、ベルトプラテン部33において所定の紙間で各用紙Pが搬送されるように各用紙Pを送り出すレジストローラ31の駆動タイミングに応じたタイミングで順次給紙するよう給紙部2を制御する。これにより、複数枚の用紙Pが搬送経路上で同時に搬送される。
【0081】
給紙された用紙Pは、レジストローラ31によりベルトプラテン部33へ送られ、ベルトプラテン部33により搬送される。この際、用紙Pは、印刷部4のインクジェットヘッドから吐出されるインクにより印刷される。
【0082】
片面印刷において、第1排紙部5により用紙Pを排紙する場合、印刷済みの用紙Pは、ベルトプラテン部33により搬送されつつ、切替部36により排紙経路RD1へ導かれ、排紙経路RD1に沿って搬送されて排紙される。
【0083】
片面印刷において、第2排紙部7により用紙Pを排紙する場合、印刷済みの用紙Pは、ベルトプラテン部33により搬送されつつ、切替部36により通常経路RCに沿って上面搬送部6へ導かれる。上面搬送部6において、用紙Pは、上昇搬送ローラ41および水平搬送ローラ43により搬送される。そして、用紙Pは、切替部51により排紙経路RD2へ導かれ、排紙ローラ52により排紙台54へ排紙される。
【0084】
両面印刷の場合、制御部11は、片面印刷時の給紙タイミングに対して、各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍となるタイミングで未印刷の用紙Pを順次給紙するよう給紙部2を制御する。
【0085】
給紙された用紙Pは、片面印刷時と同様に、ベルトプラテン部33により搬送されつつ、印刷部4により印刷される。片面印刷後の用紙Pは、ベルトプラテン部33から上面搬送部6へ搬送され、上面搬送部4において上昇搬送ローラ41および水平搬送ローラ43により搬送される。そして、用紙Pは、切替部51により反転経路RRへ導かれる。
【0086】
反転経路RRへ導かれた用紙Pは、反転部8において、切替ゲート65により反転ローラ61へ導かれ、反転ローラ61によりスイッチバックされるとともに、切替ゲート65により再給紙ローラ63へ導かれる。そして、用紙Pは、再給紙ローラ63により印刷搬送部3へ再給紙され、印刷搬送部3においてレジストローラ31によりベルトプラテン部33へ送られる。
【0087】
ここで、片面印刷後の用紙Pは、順次給紙される未印刷の用紙Pと交互にベルトプラテン部33へ送られるようなタイミングで再給紙される。上述のように、両面印刷では、片面印刷の場合の給紙タイミングに対して、各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍である。このため、未印刷の用紙Pの間に片面印刷後の用紙Pを挿入し、未印刷の用紙Pの給紙と交互に片面印刷後の用紙Pを再給紙することが可能になっている。
【0088】
片面印刷後の用紙Pは、反転部8により反転されたため、未印刷面を上向きにしてベルトプラテン部33へ送られる。そして、用紙Pは、ベルトプラテン部33により搬送されつつ、印刷部4により未印刷面が印刷される。両面印刷済の用紙Pは、上述した片面印刷時の印刷済みの用紙Pと同様にして第1排紙部5または第2排紙部7により排紙される。
【0089】
両面印刷では、上述のように未印刷の用紙Pの給紙と交互に片面印刷後の用紙Pの再給紙が行われることで、ベルトプラテン部33上で、未印刷の用紙Pの一方の面への印刷と、片面印刷後の用紙Pの未印刷面への印刷とが交互に行われる。これにより、片面印刷時と同等の片面あたりの生産性で両面印刷が行われる。
【0090】
ここで、上述のように印刷動作が行われるため、片面/両面印刷、給紙元(外部給紙台21または内部給紙台23)、および排紙先(第1排紙部5、第2排紙部7のどちらにより用紙Pが排紙されるか)の設定により、用紙Pが通過する経路が決まる。このため、一連の用紙搬送動作(印刷動作)において、用紙センサ28A~28Lのうちの一部の用紙センサ28を用紙Pが通過し、片面/両面印刷、給紙元、および排紙先の設定により、各用紙センサ28に通紙があるか否かが決まる。
【0091】
具体的には、片面印刷において、給紙元が外部給紙台21であり、第1排紙部5により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28A,28C~28Eに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。
【0092】
片面印刷において、給紙元が外部給紙台21であり、第2排紙部7により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28A,28C,28D,28F~28I,28Kに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。
【0093】
片面印刷において、給紙元が内部給紙台23であり、第1排紙部5により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28B~28Eに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。
【0094】
片面印刷において、給紙元が内部給紙台23であり、第2排紙部7により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28B~28D,28F~28I,28Kに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。
【0095】
両面印刷において、給紙元が外部給紙台21であり、第1排紙部5により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28A,28C~28J,28Lに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。用紙センサ28C,28Dは、1枚の用紙Pが2回通過する。
【0096】
両面印刷において、給紙元が外部給紙台21であり、第2排紙部7により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28A,28C,28D,28F~28Lに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。用紙センサ28C,28D,28F~28Iは、1枚の用紙Pが2回通過する。
【0097】
両面印刷において、給紙元が内部給紙台23であり、第1排紙部5により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28B~28J,28Lに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。用紙センサ28C,28Dは、1枚の用紙Pが2回通過する。
【0098】
両面印刷において、給紙元が内部給紙台23であり、第2排紙部7により用紙Pを排紙する場合、用紙センサ28B~28D,28F~28Lに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。用紙センサ28C,28D,28F~28Iは、1枚の用紙Pが2回通過する。
【0099】
印刷動作の開始後、
図4のステップS3において、制御部11は、用紙Pのジャムが検出されたか否かを判断する。具体的には、制御部11は、用紙センサ28A~28Lの少なくともいずれかにおいて、用紙Pの検出タイミングとその理論値との誤差が閾値以上の場合、ジャムが検出されたと判断する。
【0100】
ジャムが検出されていないと判断した場合(ステップS3:NO)、ステップS4において、制御部11は、印刷動作が終了したか否かを判断する。ここで、印刷ジョブの印刷枚数分の印刷および排紙が終了すると、印刷動作が終了し、用紙搬送動作も終了する。印刷動作が終了していないと判断した場合(ステップS4:NO)、制御部11は、ステップS3に戻る。
【0101】
印刷動作が終了したと判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、制御部11は、直近の用紙搬送動作において通紙があった各用紙センサ28の、センサテーブル81における通紙枚数Nを更新する。
【0102】
具体的には、制御部11は、直近の用紙搬送動作において通紙があった用紙センサ28ごとに、当該用紙搬送動作において通過した用紙Pの枚数を、当該用紙搬送動作の開始時の通紙枚数N(センサテーブル81における通紙枚数N)に加算することで、当該用紙搬送動作の終了時の通紙枚数Nを算出する。そして、制御部11は、通紙があった各用紙センサ28の、センサテーブル81における通紙枚数Nを、算出した通紙枚数Nに更新する。ここで、両面印刷において、1枚の用紙Pが2回通過する用紙センサ28については、それぞれの通過を1枚の通過として数える。
【0103】
次いで、ステップS6において、制御部11は、用紙センサ28Cの受光部28bの受光量を取得する。ここで制御部11が取得する受光部28bの受光量は、一連の用紙搬送動作の終了時の受光量であり、用紙センサ28Cが用紙Pを検出していない状態での受光量である。
【0104】
次いで、ステップS7において、制御部11は、用紙搬送動作により受光部28bの受光量が減衰したか否かを判断する。制御部11は、一連の用紙搬送動作の開始時の受光部28bの受光量より終了時の受光部28bの受光量の方が小さい場合、受光部28bの受光量が減衰したと判断する。
【0105】
受光部28bの受光量が減衰したと判断した場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、制御部11は、直近の用紙搬送動作において通紙があった各用紙センサ28の、当該用紙搬送動作の終了時の判定値Hを算出する。そして、制御部11は、通紙があった各用紙センサ28の、センサテーブル81における判定値Hを更新する。
【0106】
具体的には、制御部11は、直近の用紙搬送動作の開始時の受光部28bの受光量から終了時の受光部28bの受光量を減算して減衰量Dを算出する。次いで、制御部11は、通紙があった用紙センサ28ごとの判定加算値Cを前述の式(1)により算出する。そして、制御部11は、通紙があった用紙センサ28ごとに、算出した判定加算値Cを直近の用紙搬送動作の開始時の判定値H(センサテーブル81における判定値H)に加算して、当該用紙搬送動作の終了時の判定値Hを算出する。そして、制御部11は、通紙があった各用紙センサ28の、センサテーブル81における判定値Hを、算出した判定値Hに更新する。
【0107】
次いで、ステップS9において、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28があるか否かを判断する。
【0108】
判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28があると判断した場合(ステップS9:YES)、ステップS10において、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28のなかに通紙枚数閾値Ntが未設定の用紙センサ28があるか否かを判断する。ここで、用紙センサ28の使用開始時(印刷装置1の使用開始時)においては、通紙枚数閾値Ntは未設定である。
【0109】
判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28のなかに通紙枚数閾値Ntが未設定の用紙センサ28があると判断した場合(ステップS10:YES)、ステップS11において、制御部11は、当該用紙センサ28の通紙枚数Nを通紙枚数閾値Ntに設定する。
【0110】
これにより、制御部11は、それぞれの用紙センサ28において、当該用紙センサ28の使用開始後に最初に判定値Hが判定閾値Htを超えたときの通紙枚数Nを通紙枚数閾値Ntとして設定している。
【0111】
次いで、
図5のステップS12において、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28のなかに通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntと異なる用紙センサ28があるか否かを判断する。
【0112】
判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28のなかに通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntと異なる用紙センサ28があると判断した場合(ステップS12:YES)、ステップS13において、制御部11は、当該用紙センサ28の通紙枚数閾値Ntを変更する。具体的には、制御部11は、当該用紙センサ28の通紙枚数Nを新たな通紙枚数閾値Ntに設定する。
【0113】
これにより、制御部11は、それぞれの用紙センサ28において、通紙枚数閾値Ntの設定後、判定値Hが判定閾値Htを超えたときの通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntと異なる場合、当該通紙枚数Nを新たな通紙枚数閾値Ntに設定している。
【0114】
次いで、ステップS14において、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28の清掃をユーザに指示する。具体的には、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28の清掃を促すメッセージ、および当該用紙センサ28の位置等を表示部71に表示させる。
【0115】
このように、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28の清掃が必要であると判定し、清掃をユーザに指示している。
【0116】
次いで、ステップS15において、制御部11は、用紙センサ28の清掃が終了したか否かを判断する。ここで、制御部11は、用紙センサ28の清掃終了を印刷装置1に通知するためのユーザ操作が入力部72に対して行われると、用紙センサ28の清掃が終了したと判断する。用紙センサ28の清掃が終了していないと判断した場合(ステップS15:NO)、制御部11は、ステップS15を繰り返す。
【0117】
用紙センサ28の清掃が終了したと判断した場合(ステップS15:YES)、ステップS16において、制御部11は、清掃が行われた用紙センサ28の、センサテーブル81における判定値Hおよび通紙枚数Nをリセットする。これにより、一連の処理が終了となる。
【0118】
ステップS10において、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28のなかに通紙枚数閾値Ntが未設定の用紙センサ28がないと判断した場合(ステップS10:NO)、制御部11は、
図5のステップS12へ進む。
【0119】
ステップS12において、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28のなかに通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntと異なる用紙センサ28がないと判断した場合(ステップS12:NO)、制御部11は、ステップS14へ進む。
【0120】
ステップS7において受光部28bの受光量が減衰していないと判断した場合(ステップS7:NO)、およびステップS9において判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28がないと判断した場合(ステップS9:NO)、ステップS17において、制御部11は、通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28があるか否かを判断する。
【0121】
通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28があると判断した場合(ステップS17:YES)、制御部11は、
図5のステップS14へ進み、通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28の清掃をユーザに指示する。
【0122】
このように、制御部11は、それぞれの用紙センサ28において、判定値Hが判定閾値Htを超えていなくても通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えると当該用紙センサ28の清掃が必要であると判定し、清掃をユーザに指示している。
【0123】
通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28がないと制御部11が判断した場合(ステップS17:NO)、一連の処理が終了となる。
【0124】
ステップS3において、ジャムが検出されたと判断した場合(ステップS3:YES)、
図6のステップS18において、制御部11は、印刷動作を停止させる。これにより、用紙搬送動作も停止される。
【0125】
次いで、ステップS19において、制御部11は、直近の用紙搬送動作において通紙があった各用紙センサ28の、センサテーブル81における通紙枚数Nを更新する。
【0126】
ここで、ジャムの検出により用紙搬送動作を停止した時点では、停止するまでの一連の用紙搬送動作が、直近の用紙搬送動作である。通紙枚数Nを算出する方法は、前述したステップS5で説明した方法と同様である。ジャムの検出により用紙搬送動作を停止した時点で用紙センサ28に検出される位置で停止している用紙Pは、当該用紙センサ28を通過した用紙Pに含めてもよいし、含めなくてもよい。
【0127】
ステップS19の後、制御部11は、ステップS20へ進む。ステップS20~S22の処理は、前述したステップS6~S8の処理と同様である。
【0128】
ステップS22の後、ステップS23において、制御部11は、ジャムの検出は用紙センサ28による用紙Pの誤検出によるものであるか否かを判断する。
【0129】
具体的には、制御部11は、ジャムを検出した用紙センサ28の位置に用紙Pがあるか否かの確認をユーザに指示するメッセージを表示部71に表示させる。そして、確認を指示された位置に用紙Pがないことを印刷装置1に通知するためのユーザ操作が入力部72に対して行われると、制御部11は、ジャムの検出は用紙センサ28による用紙Pの誤検出によるものであると判断する。なお、誤検出を判断する方法はこれに限らない。
【0130】
ジャムの検出は用紙センサ28による用紙Pの誤検出によるものであると判断した場合(ステップS23:YES)、
図7のステップS24において、制御部11は、用紙Pを誤検出した用紙センサ28の判定値Hが判定閾値Ht未満であるか否かを判断する。
【0131】
用紙Pを誤検出した用紙センサ28の判定値Hが判定閾値Ht未満であると判断した場合(ステップS24:YES)、ステップS25において、制御部11は、当該用紙センサ28の判定閾値Htを変更する。具体的には、制御部11は、当該用紙センサ28の判定値Hを新たな判定閾値Htに設定する。
【0132】
これにより、制御部11は、用紙センサ28において判定値Hが判定閾値Htに到達する前に用紙Pの誤検出が発生した場合に、用紙Pの誤検出が発生した時点での当該用紙センサ28における判定値Hを、当該用紙センサ28の新たな判定閾値Htに設定している。
【0133】
ステップS25の後、制御部11は、ステップS26へ進む。また、ステップS24において、用紙Pを誤検出した用紙センサ28の判定値Hが判定閾値Ht以上であると判断した場合(ステップS24:YES)、制御部11は、ステップS26へ進む。ステップS26~S34の処理は、前述したステップS9~S17の処理と同様である。
【0134】
ここで、ステップS31では、制御部11は、ユーザに用紙センサ28の清掃を指示する際、印刷動作の停止により印刷装置1内に残留している用紙Pの除去も指示する。これにより、用紙センサ28の清掃の際に、印刷装置1内に残留している用紙Pの除去も行われ、用紙センサ28の清掃終了時には、印刷装置1内に残留している用紙Pの除去も終了している。
【0135】
ステップS33の後、制御部11は、ステップS35へ進む。また、ステップS34において、通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28がないと判断した場合(ステップS34:NO)、制御部11は、ステップS35へ進む。
【0136】
ステップS35では、制御部11は、用紙センサ28Cの受光部28bの受光量を取得する。ここで制御部11が取得する受光部28bの受光量は、印刷動作の再開後における一連の用紙搬送動作(印刷動作)の開始時の受光量であり、用紙センサ28Cが用紙Pを検出していない状態での受光量である。
【0137】
次いで、ステップS36において、制御部11は、ジャムの検出により停止した印刷ジョブに基づく印刷動作を再開させる。この後、制御部11は、
図4のステップS3に戻る。
【0138】
図6のステップS21において、受光部28bの受光量が減衰していないと判断した場合(ステップS21:NO)、
図8のステップS37において、制御部11は、ジャムの検出は用紙センサ28による用紙Pの誤検出によるものであるか否かを判断する。
【0139】
ジャムの検出は用紙センサ28による用紙Pの誤検出によるものであると判断した場合(ステップS37:YES)、
図8のステップS38において、制御部11は、用紙Pを誤検出した用紙センサ28の判定閾値Htを変更する。具体的には、制御部11は、当該用紙センサ28の判定値Hを新たな判定閾値Htに設定する。この後、制御部11は、
図7のステップS31へ進む。
【0140】
ここで、
図6のステップS21で「NO」と判断され、
図8のステップS37で「YES」と判断された場合、用紙Pを誤検出した用紙センサ28の判定値Hは、直近の用紙搬送動作の開始時の判定値Hのままである。このため、当該用紙センサ28の判定値Hが判定閾値Htを超える前に用紙Pの誤検出が発生したことになる。上述のステップS38の処理により、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超える前に用紙Pを誤検出した用紙センサ28の誤検出が発生した時点での判定値Hを、当該用紙センサ28の新たな判定閾値Htに設定している。
【0141】
ステップS37において、ジャムの検出は用紙センサ28による用紙Pの誤検出によるものではないと判断した場合(ステップS37:NO)、ステップS39において、制御部11は、通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28があるか否かを判断する。
【0142】
通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28があると判断した場合(ステップS39:YES)、制御部11は、
図7のステップS31へ進む。
【0143】
通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28がないと判断した場合(ステップS39:NO)、ステップS40において、制御部11は、ジャム解除(印刷装置1内に残留している用紙Pの除去)をユーザに指示する。具体的には、制御部11は、ジャム解除を指示するメッセージ、および印刷装置1内に残留している用紙Pの位置等を表示部71に表示させる。
【0144】
次いで、ステップS41において、制御部11は、ジャム解除が終了したか否かを判断する。ここで、制御部11は、ジャム解除の終了を印刷装置1に通知するためのユーザ操作が入力部72に対して行われると、ジャム解除が終了したと判断する。ジャム解除が終了していないと判断した場合(ステップS41:NO)、制御部11は、ステップS41を繰り返す。ジャム解除が終了したと判断した場合(ステップS41:YES)、制御部11は、
図7のステップS35へ進む。
【0145】
ステップS23において、ジャムの検出は用紙センサ28による用紙Pの誤検出によるものではないと判断した場合(ステップS23:NO)、制御部11は、
図9のステップS42へ進む。ステップS42~S47の処理は、前述したステップS9~S13,S17の処理と同様である。
【0146】
ステップS45において、通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28がないと判断した場合(ステップS45:NO)、制御部11は、
図7のステップS31へ進む。また、ステップS46の後、制御部11は、
図7のステップS31へ進む。
【0147】
ステップS47において、通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28があると判断した場合(ステップS47:YES)、制御部11は、
図7のステップS31へ進む。通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28がないと判断した場合(ステップS47:NO)、制御部11は、
図8のステップS40へ進む。
【0148】
上記のような
図4~
図9のフローチャートの処理により、前述のように、用紙搬送動作により用紙センサ28Cの受光部28bの受光量が減衰した場合において、当該用紙搬送動作において通紙があった用紙センサ28ごとの判定加算値Cが算出され、判定加算値Cを累積した判定値Hが算出される。
【0149】
このように算出される用紙センサ28の判定値Hの推移の一例を
図10に示す。
図10において、減衰量Dが正の値であることは受光部28bの受光量が減衰したことを示し、減衰量Dが負の値であることは受光部28bの受光量が増大したことを示す。
【0150】
1回の用紙搬送動作は、連続した一連の用紙搬送動作からなる。例えば、印刷ジョブの印刷枚数分の用紙搬送動作が途中で停止することなく行われた場合は、その一連の用紙搬送動作が1回の用紙搬送動作であるとする。また、例えば、印刷ジョブの途中でジャムの検出により用紙搬送動作が途中で1回停止した場合は、その停止までの一連の用紙搬送動作が1回の用紙搬送動作であり、再開から終了までの一連の印刷搬送動作も1回の用紙搬送動作であるとする。用紙搬送動作が途中で複数回停止した場合も同様である。
【0151】
図10の例では、28回目の用紙搬送動作の終了時に判定値Hが判定閾値Htを超えているため、この時点で
図10の例の用紙センサ28の清掃が必要であると判定される。
【0152】
ここで、用紙搬送により発生する搬送気流等の影響により、用紙センサ28Cに堆積した紙粉が減少し、用紙搬送動作の前後で受光部28bの受光量が増大することがある。すなわち、前述のように減衰量Dが負の値となることがある。しかし、用紙センサ28Cに堆積した紙粉が減少していたとしても、それ以外の用紙センサ28においても紙粉が減少しているとは限らない。このため、印刷装置1では、受光部28bの受光量が減衰した場合のみ、通紙があった各用紙センサ28の判定加算値Cを算出し、判定加算値Cを累積した判定値Hを算出するようにしている。用紙センサ28Cの判定値Hも同様にして算出するようにしている。これにより、用紙センサ28の清掃が必要であると判定される時期が遅れることを抑えることができる。
【0153】
次に、ある用紙搬送動作において通紙があった各用紙センサ28の判定値Hの算出結果の一例を説明する。
【0154】
この例の用紙搬送動作は、片面印刷において、給紙元が外部給紙台21であり、第2排紙部7により用紙Pを排紙する印刷動作における用紙搬送動作である。この場合、前述のように、用紙センサ28A,28C,28D,28F~28I,28Kに通紙があり、それ以外の用紙センサ28には通紙がない。
【0155】
また、この例における印刷枚数は、10枚である。この例の用紙搬送動作の開始時における各用紙センサ28の判定値Hは、
図3に示したものであるとする。この用紙搬送動作による減衰量D=15であるとする。
【0156】
この例において、前述の式(1)により、用紙センサ28Aの判定加算値C=3.75と算出される。そして、
図3における用紙センサ28Aの判定値H=5に判定加算値C=3.75を加算して、
図11に示すように、用紙センサ28Aの判定値H=8.75が算出される。
【0157】
用紙センサ28C,28D,28F~28I,28Kについても同様にして、それぞれの判定値Hが
図11に示すように算出される。また、
図3における用紙センサ28A,28C,28D,28F~28I,28Kの通紙枚数Nに「10」がそれぞれ加算され、
図11に示す通紙枚数Nの値となる。
【0158】
次に、用紙センサ28の判定値Hが最初に判定閾値Htを超えたときのセンサテーブル81の一例を
図12に示す。
【0159】
この例では、ある用紙搬送動作の終了時において、用紙センサ28G~28Iのそれぞれの判定値Hが、用紙センサ28G~28Iの使用開始後において最初にそれぞれの判定閾値Htを超えた。これにより、用紙センサ28G~28Iは清掃が必要であると判定される。また、用紙センサ28G~28Iのいずれにおいても、この用紙搬送動作の終了時における通紙枚数N=10000である。
【0160】
この例では、用紙搬送動作の終了後、
図12に示すように、センサテーブル81における用紙センサ28G~28Iの判定値Hおよび通紙枚数Nがリセットされる(H=0,N=0とされる)。また、用紙センサ28G~28Iのそれぞれの通紙枚数閾値Nt=10000と設定される。
【0161】
なお、この例では、用紙センサ28G~28I以外の用紙センサ28では、それぞれの使用開始から判定値Hが判定閾値Htを超えたことがなく、
図12に示すように、通紙枚数閾値Ntは未設定である。
【0162】
以上説明したように、印刷装置1では、制御部11は、用紙搬送動作により用紙センサ28Cの受光部28bの受光量が減衰した場合において、当該用紙搬送動作における減衰量Dおよび通紙があった用紙センサ28の向きに基づき、通紙があった用紙センサ28ごとの判定加算値Cを算出し、判定加算値Cを累積した判定値Hを算出する。そして、制御部11は、判定値Hが判定閾値Htを超えた用紙センサ28の清掃が必要であると判定する。これにより、紙粉の堆積の度合いを計測するためのアナログセンサが用紙センサ28Cの1つだけの構成で、複数の用紙センサ28のそれぞれにおける清掃が必要なタイミングを判定することが可能である。このため、装置の大型化や回路設計の複雑化を抑えつつ、用紙センサ28の不要な清掃を低減できる。また、用紙センサ28の不要な清掃を低減できるため、メンテナンス時間を短縮できる。
【0163】
また、印刷装置1では、判定値Hを算出するための用紙センサ28の設置条件として用紙センサ28の向きを用いるので、さまざまな向きに設置された複数の用紙センサ28を備える印刷装置1において、各用紙センサ28の清掃が必要なタイミングを判定できる。
【0164】
また、印刷装置1では、制御部11は、それぞれの用紙センサ28において、最初に判定値Hが判定閾値Htを超えたときの通紙枚数Nを通紙枚数閾値Ntとして設定する。そして、制御部11は、通紙枚数閾値Ntの設定後、判定値Hが判定閾値Htを超えていなくても通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntを超えた用紙センサ28の清掃が必要であると判定する。このように、用紙センサ28の清掃の要否の判定に通紙枚数閾値Ntも用いることで、各用紙センサ28の清掃が必要なタイミングをより高精度で判定できる。
【0165】
また、印刷装置1では、制御部11は、それぞれの用紙センサ28において、通紙枚数閾値Ntの設定後、判定値Hが判定閾値Htを超えたときの通紙枚数Nが通紙枚数閾値Ntと異なる場合、当該通紙枚数Nを新たな通紙枚数閾値Ntに設定する。このように通紙枚数閾値Ntを更新することで、各用紙センサ28の清掃が必要なタイミングの判定精度をより高めることができる。
【0166】
また、印刷装置1では、制御部11は、用紙センサ28において判定値Hが判定閾値Htに到達する前に用紙Pの誤検出が発生した場合に、用紙Pの誤検出が発生した時点での当該用紙センサ28における判定値Hを、当該用紙センサ28の新たな判定閾値Htに設定する。このように判定閾値Htを更新することで、各用紙センサ28の清掃が必要なタイミングの判定精度をより高めることができる。
【0167】
また、印刷装置1では、紙粉の堆積の度合いを計測するためのセンサとして機能する用紙センサ28Cが、用紙Pを検出するセンサを兼ねている。これにより、用紙センサ28の数を低減できるので、装置構成の複雑化を抑制できる。
【0168】
なお、用紙センサ28Cを、紙粉の堆積の度合いを計測するための専用のセンサとしてもよい。
【0169】
判定値Hを算出するための用紙センサ28の設置条件として、用紙センサ28の向き以外の条件を用いてもよい。例えば、搬送経路における用紙センサ28の位置によって搬送気流の発生の度合い等が異なり、紙粉の堆積しやすさが異なる場合には、判定値Hを算出するための用紙センサ28の設置条件として、搬送経路における用紙センサ28の位置を用いてもよい。判定値Hを算出するための用紙センサ28の設置条件として、用紙センサ28の向きとそれ以外の条件とを組み合わせてもよい。
【0170】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0171】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0172】
(付記1)
媒体が搬送される搬送経路に沿って配置された発光部、および前記発光部が発した光を受光する受光部を有する粉塵検出部と、
前記搬送経路に沿って配置され、媒体を検出する複数の媒体検出部と、
媒体搬送動作により前記受光部の受光量が減衰した場合において、当該媒体搬送動作における前記受光部の受光量の減衰量および媒体が通過した前記媒体検出部の設置条件に基づき、媒体が通過した前記媒体検出部ごとの判定加算値を算出し、前記判定加算値を累積した判定値が所定の判定閾値を超えた前記媒体検出部の清掃が必要であると判定する判定部と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【0173】
(付記2)
前記設置条件は、前記媒体検出部の向きを含むことを特徴とする付記1に記載の搬送装置。
【0174】
(付記3)
前記判定部は、清掃が行われた前記媒体検出部における前記判定値および媒体の通過枚数をリセットするものであり、それぞれの前記媒体検出部において、最初に前記判定値が前記判定閾値を超えたときの前記通過枚数を通過枚数閾値として設定し、前記通過枚数閾値の設定後、前記判定値が前記判定閾値を超えていなくても前記通過枚数が前記通過枚数閾値を超えると当該媒体検出部の清掃が必要であると判定することを特徴とする付記1または2に記載の搬送装置。
【0175】
(付記4)
前記判定部は、それぞれの前記媒体検出部において、前記通過枚数閾値の設定後、前記判定値が前記判定閾値を超えたときの前記通過枚数が前記通過枚数閾値と異なる場合、当該通過枚数を新たな通過枚数閾値に設定することを特徴とする付記3に記載の搬送装置。
【0176】
(付記5)
前記判定部は、清掃が行われた前記媒体検出部における前記判定値をリセットするものであり、前記媒体検出部において前記判定値が前記判定閾値に到達する前に媒体の誤検出が発生した場合、媒体の誤検出が発生した時点での当該媒体検出部における前記判定値を、当該媒体検出部の新たな判定閾値に設定することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の搬送装置。
【0177】
(付記6)
前記粉塵検出部は、前記複数の媒体検出部のうちの1つを兼ねていることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の搬送装置。
【符号の説明】
【0178】
1 印刷装置
2 給紙部
3 印刷搬送部
4 印刷部
5 第1排紙部
6 上面搬送部
7 第2排紙部
8 反転部
9 操作パネル
10 記憶部
11 制御部
28A~28L 用紙センサ
28a 発光部
28b 受光部
81 センサテーブル
P 用紙
RC 通常経路
RD1,RD2 排紙経路
RR 反転経路
RS 給紙経路