(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】重量物搬送装置、重量物搬送方法、制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B66F 3/24 20060101AFI20241209BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20241209BHJP
E04G 21/16 20060101ALN20241209BHJP
【FI】
B66F3/24 B
E01D21/00
E04G21/16
(21)【出願番号】P 2021102697
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390027513
【氏名又は名称】大瀧ジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小熊 貴則
(72)【発明者】
【氏名】岩松 聖
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-112572(JP,A)
【文献】特開平08-028053(JP,A)
【文献】特開平01-288598(JP,A)
【文献】特開平10-330099(JP,A)
【文献】特公昭57-012770(JP,B2)
【文献】特開昭62-201796(JP,A)
【文献】米国特許第04277052(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 3/24
E01D 21/00
E04G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行可能に設置された移動台車を水平ジャッキで移動させることにより、前記移動台車上に載置された重量物を搬送するように構成された重量物搬送装置であって、
前記水平ジャッキは、前記移動台車の進行方向の前方部分に対して押圧力又は引張力を加えるように前記前方部分に一端が連結された前方ジャッキと、前記移動台車の進行方向の後方部分に対して押圧力又は引張力を加えるように前記後方部分に一端が連結された後方ジャッキと、を有し、
前記前方ジャッキの他端には、前記レールに対する固定及び固定解除を実現させる前方クランプが取り付けられており、
前記後方ジャッキの他端には、前記レールに対する固定及び固定解除を実現させる後方クランプが取り付けられており、
前記前方及び後方ジャッキは、前記一端側に配置された油圧ジャッキと、前記他端側に配置された空圧ジャッキと、を有している、重量物搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重量物搬送装置を用いて重量物を搬送する方法であって、
前記前方クランプの前記レールに対する固定と前記後方クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記前方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
前記第一工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方及び後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記前方部分及び前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
前記第二工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、前記前方ジャッキの前記空圧ジャッキを伸長させつつ前記移動台車の前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
前記第三工程を経た後に、前記前方クランプの前記レールに対する固定解除と前記後方クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
前記第四工程を経た後に、前記前方クランプの前記レールに対する固定解除と前記後方クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させるとともに前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
前記第五工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方及び後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記前方部分及び前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
前記第六工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、前記後方ジャッキの前記空圧ジャッキを伸長させつつ前記移動台車の前記前方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
前記第七工程を経た後に、前記前方クランプの前記レールに対する固定と前記後方クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記前方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含む、重量物搬送方法。
【請求項3】
請求項1に記載の重量物搬送装置を用いて重量物を搬送する方法であって、
前記後方クランプの前記レールに対する固定と前記前方クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記後方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
前記第一工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方及び後方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記前方部分及び前記後方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
前記第二工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに収縮させることにより、前記後方ジャッキの前記空圧ジャッキを収縮させつつ前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
前記第三工程を経た後に、前記後方クランプの前記レールに対する固定解除と前記前方クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
前記第四工程を経た後に、前記後方クランプの前記レールに対する固定解除と前記前方クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させるとともに前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
前記第五工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方及び後方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記前方部分及び前記後方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
前記第六工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキの収縮を停止させつつ前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに収縮させることにより、前記前方ジャッキの前記空圧ジャッキを収縮させつつ前記移動台車の前記後方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
前記第七工程を経た後に、前記後方クランプの前記レールに対する固定と前記前方クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記後方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含む、重量物搬送方法。
【請求項4】
レール上を走行可能に設置された移動台車を水平ジャッキで移動させることにより、前記移動台車上に載置された重量物を搬送するように構成された重量物搬送装置であって、
前記水平ジャッキは、前記移動台車の進行方向の前方部分に対して引張力を加えるように前記前方部分に一端が連結された前方ジャッキと、前記移動台車の進行方向の後方部分に対して押圧力を加えるように前記後方部分に一端が連結された後方ジャッキと、を有し、
前記前方ジャッキの他端には、前記レールに対する固定及び固定解除を実現させる前方クランプが取り付けられており、
前記後方ジャッキの他端には、前記レールに対する固定及び固定解除を実現させる後方クランプが取り付けられており、
前記前方及び後方ジャッキは、前記一端側に配置された油圧ジャッキと、前記他端側に配置された空圧ジャッキと、を有している、重量物搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の重量物搬送装置を用いて重量物を搬送する方法であって、
前記前方クランプの前記レールに対する固定と前記後方クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
前記第一工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させる一方、前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えるとともに前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
前記第二工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキの収縮を停止させつつ前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、前記前方ジャッキの前記空圧ジャッキを収縮させつつ前記移動台車の前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
前記第三工程を経た後に、前記前方クランプの前記レールに対する固定解除と前記後方クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
前記第四工程を経た後に、前記前方クランプの前記レールに対する固定解除と前記後方クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させるとともに前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
前記第五工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させる一方、前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えるとともに前記後方部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
前記第六工程を経た後に、前記前方及び後方クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記後方ジャッキの前記油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに収縮させることにより、前記後方ジャッキの前記空圧ジャッキを伸長させつつ前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
前記第七工程を経た後に、前記前方クランプの前記レールに対する固定と前記後方クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記前方ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させることにより、前記移動台車の前記前方部分に引張力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含む、重量物搬送方法。
【請求項6】
レール上を走行可能に設置された移動台車を水平ジャッキで移動させることにより、前記移動台車上に載置された重量物を搬送するように構成された重量物搬送装置であって、
前記水平ジャッキは、前記移動台車の第一部分に対して押圧力を加えるように前記第一部分に一端が連結された第一ジャッキと、前記移動台車の第二部分に対して押圧力を加えるように前記第二部分に一端が連結された第二ジャッキと、を有し、
前記第一ジャッキの他端には、前記レールに対する固定及び固定解除を実現させる第一クランプが取り付けられており、
前記第二ジャッキの他端には、前記レールに対する固定及び固定解除を実現させる第二クランプが取り付けられており、
前記第一及び第二ジャッキは、前記一端側に配置された油圧ジャッキと、前記他端側に配置された空圧ジャッキと、を有している、重量物搬送装置。
【請求項7】
前記第一部分は、前記移動台車の後方部分の下部であり、
前記第二部分は、前記移動台車の後方部分の上部であり、
前記第一ジャッキは、前方ジャッキであり、
前記第二ジャッキは、前記前方ジャッキよりも進行方向後方に配置された後方ジャッキであり、
前記第一クランプは、前方クランプであり、
前記第二クランプは、前記前方クランプよりも進行方向後方に配置された後方クランプである、請求項6に記載の重量物搬送装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の重量物搬送装置を用いて重量物を搬送する方法であって、
前記第一クランプの前記レールに対する固定と前記第二クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記第一ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記第一部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
前記第一工程を経た後に、前記第一及び第二クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記第一及び第二ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記第一及び第二部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
前記第二工程を経た後に、前記第一及び第二クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記第一ジャッキの前記油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前記第二ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、前記第一ジャッキの前記空圧ジャッキを伸長させつつ前記移動台車の前記第二部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
前記第三工程を経た後に、前記第一クランプの前記レールに対する固定解除と前記第二クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記第二ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記第二部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
前記第四工程を経た後に、前記第一クランプの前記レールに対する固定解除と前記第二クランプの前記レールに対する固定とを実現させた状態で前記第一ジャッキの前記油圧ジャッキを収縮させるとともに前記第二ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記第二部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
前記第五工程を経た後に、前記第一及び第二クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記第一及び第二ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記第一及び第二部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
前記第六工程を経た後に、前記第一及び第二クランプの双方の前記レールに対する固定を実現させた状態で前記第二ジャッキの前記油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前記第一ジャッキの前記油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、前記第二ジャッキの前記空圧ジャッキを伸長させつつ前記移動台車の前記第一部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
前記第七工程を経た後に、前記第一クランプの前記レールに対する固定と前記第二クランプの前記レールに対する固定解除とを実現させた状態で前記第一ジャッキの前記油圧ジャッキを伸長させることにより、前記移動台車の前記第一部分に押圧力を加えて前記移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含む、重量物搬送方法。
【請求項9】
請求項1に記載の重量物搬送装置におけるジャッキ及びクランプを制御することにより、請求項2又は3に記載の重量物搬送方法における第一乃至第八工程を実行するように構成された、制御装置。
【請求項10】
請求項4に記載の重量物搬送装置におけるジャッキ及びクランプを制御することにより、請求項5に記載の重量物搬送方法における第一乃至第八工程を実行するように構成された、制御装置。
【請求項11】
請求項6又は7に記載の重量物搬送装置におけるジャッキ及びクランプを制御することにより、請求項8に記載の重量物搬送方法における第一乃至第八工程を実行するように構成された、制御装置。
【請求項12】
請求項2、3、5又は8に記載の重量物搬送方法における第一乃至第八工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物搬送装置、重量物搬送方法、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、橋桁等の大型構造物(重量物)を所定の方向にスライド移動させるための技術が種々提案されている。例えば、軌道クランプと、軌道クランプに取り付けられた水平ジャッキと、水平ジャッキに取り付けられて仮設軌道上をスライドするスライドベースと、を用いて、スライドベース上に載置した重量物を移動させる技術が提案されている(特許文献1参照)。かかる技術においては、軌道クランプを仮設軌道に固定し、軌道クランプの固定位置で反力を取りながら水平ジャッキを伸長させることによりスライドベースを押して移動させ、その後、軌道クランプの仮設軌道への固定を解除して水平ジャッキを収縮させ、その収縮位置で軌道クランプを仮設軌道に固定し、再び水平ジャッキを伸長させる、という手順を繰り返すことにより、スライドベースを移動させることができる、とされている。
【0003】
また、現在においては、移動台車と、移動台車の一端に連結された水平ジャッキと、水平ジャッキの他端に連結された反力クランプと、移動台車の他端に連結された惜しみクランプと、を用いて、移動台車上に搭載した重量物を移動させる技術が提案されている(特許文献2参照)。かかる技術においては、反力クランプをレールに固定して水平ジャッキの反力を取った状態で水平ジャッキを伸長させることにより、移動台車を移動させることができ、伸長した水平ジャッキを収縮させるとき(停止時)に惜しみクランプをレールに固定することにより、移動台車の逸走を防止することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-59705号公報
【文献】特開2007-112572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、近年においては、移動台車の前方及び後方に各々取り付けられた二つの水平ジャッキ(前方ジャッキ及び後方ジャッキ)と、これら二つの水平ジャッキに各々取り付けられた二つのクランプ(前方クランプ及び後方クランプ)と、を用いて、移動台車上に搭載した重量物を搬送する技術が提案されている。かかる技術を採用すると、二つの水平ジャッキを交互に使用して重量物を搬送することができるが、クランプの掴み替えの際(すなわち一方のクランプをレールに固定した状態から他方のクランプをレールに固定した状態へと移行させる際)に、移動台車への押圧力を解除して移動台車を一度停止させる必要があった。このため、移動台車の平均移動速度が比較的低くなり重量物を効率良く搬送することができない上に、移動台車の停止や再始動に伴う煩雑な減速操作や加速操作を行う必要がある、という問題があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなく、移動台車の平均移動速度を高めて重量物を効率良く搬送することができる重量物搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る第一の重量物搬送装置は、レール上を走行可能に設置された移動台車を水平ジャッキで移動させることにより、移動台車上に載置された重量物を搬送するように構成されたものであって、水平ジャッキは、移動台車の進行方向の前方部分に対して押圧力又は引張力を加えるように前方部分に一端が連結された前方ジャッキと、移動台車の進行方向の後方部分に対して押圧力又は引張力を加えるように後方部分に一端が連結された後方ジャッキと、を有し、前方ジャッキの他端には、レールに対する固定及び固定解除を実現させる前方クランプが取り付けられており、後方ジャッキの他端には、レールに対する固定及び固定解除を実現させる後方クランプが取り付けられており、前方及び後方ジャッキは、一端側に配置された油圧ジャッキと、他端側に配置された空圧ジャッキと、を有しているものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、油圧ジャッキに加えて「空圧ジャッキ」を有する前方・後方ジャッキを用いることにより、クランプの掴み替えの際にも移動台車に押圧力を加え続けることができる。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなくなるため、移動台車の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る第一の重量物搬送方法は、第一の重量物搬送装置を用いて重量物を搬送する方法である。
第一の重量物搬送装置を用いて、移動台車の前方部分及び後方部分の双方に「押圧力」を加える方法は、
前方クランプのレールに対する固定と後方クランプのレールに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の前方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
第一工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の前方部分及び後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
第二工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキの伸長を停止させつつ後方ジャッキの油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、前方ジャッキの空圧ジャッキを伸長させつつ移動台車の後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
第三工程を経た後に、前方クランプのレールに対する固定解除と後方クランプのレールに対する固定とを実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
第四工程を経た後に、前方クランプのレールに対する固定解除と後方クランプのレールに対する固定とを実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させるとともに後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
第五工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の前方部分及び後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
第六工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前方ジャッキの油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、後方ジャッキの空圧ジャッキを伸長させつつ移動台車の前方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
第七工程を経た後に、前方クランプのレールに対する固定と後方クランプのレールに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の前方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含むものである。
【0010】
一方、第一の重量物搬送装置を用いて、移動台車の前方部分及び後方部分の双方に「引張力」を加える方法は、
後方クランプのレールに対する固定と前方クランプのレールに対する固定解除とを実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の後方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
第一工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の前方部分及び後方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
第二工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前方ジャッキの油圧ジャッキをさらに収縮させることにより、後方ジャッキの空圧ジャッキを収縮させつつ移動台車の前方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
第三工程を経た後に、後方クランプのレールに対する固定解除と前方クランプのレールに対する固定とを実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の前方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
第四工程を経た後に、後方クランプのレールに対する固定解除と前方クランプのレールに対する固定とを実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させるとともに前方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の前方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
第五工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の前方部分及び後方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
第六工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキの前記油圧ジャッキの収縮を停止させつつ後方ジャッキの油圧ジャッキをさらに収縮させることにより、前方ジャッキの空圧ジャッキを収縮させつつ移動台車の後方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
第七工程を経た後に、後方クランプのレールに対する固定と前方クランプのレールに対する固定解除とを実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の後方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含むものである。
【0011】
かかる方法を採用すると、第一工程から第八工程までの全工程にわたって常に移動台車に押圧力又は引張力を加え続けることができるため、移動台車の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。従来は、クランプの掴み替えの際に、移動台車への押圧力又は引張力を解除して移動台車を一度停止させる必要があった。これに対し、本方法においては、油圧ジャッキに加えて「空圧ジャッキ」を有する前方・後方ジャッキを採用していることから、双方のクランプをレールに固定した状態で一方の油圧ジャッキの伸長(収縮)を停止させてからも一方の空圧ジャッキを若干伸長(収縮)させることができるため、他方の油圧ジャッキをその分伸長(収縮)させて移動台車に押圧力(引張力)を加えることができる(第三・第七工程)。その後、一方のジャッキ側のクランプをレールから取り外しつつ、他方の油圧ジャッキを伸長(収縮)させて移動台車に押圧力(引張力)を加えることができる(第四・第八工程)。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなくなり、移動台車の停止(及び再始動)に伴う煩雑な減速操作や加速操作も不要となるという利点がある。
【0012】
本発明に係る第二の重量物搬送装置は、レール上を走行可能に設置された移動台車を水平ジャッキで移動させることにより、移動台車上に載置された重量物を搬送するように構成されたものであって、水平ジャッキは、移動台車の進行方向の前方部分に対して引張力を加えるように前方部分に一端が連結された前方ジャッキと、移動台車の進行方向の後方部分に対して押圧力を加えるように後方部分に一端が連結された後方ジャッキと、を有し、前方ジャッキの他端には、レールに対する固定及び固定解除を実現させる前方クランプが取り付けられており、後方ジャッキの他端には、レールに対する固定及び固定解除を実現させる後方クランプが取り付けられており、前方及び後方ジャッキは、一端側に配置された油圧ジャッキと、他端側に配置された空圧ジャッキと、を有しているものである。
【0013】
かかる構成を採用すると、油圧ジャッキに加えて「空圧ジャッキ」を有する前方・後方ジャッキを用いることにより、クランプの掴み替えの際にも移動台車に押圧力又は引張力を加え続けることができる。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなくなるため、移動台車の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る第二の重量物搬送方法は、第二の重量物搬送装置を用いて重量物を搬送する方法であって、
前方クランプのレールに対する固定と後方クランプのレールに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の前方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
第一工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させる一方、後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の前方部分に引張力を加えるとともに後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
第二工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキの収縮を停止させつつ後方ジャッキの油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、前方ジャッキの空圧ジャッキを収縮させつつ移動台車の後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
第三工程を経た後に、前方クランプのレールに対する固定解除と後方クランプのレールに対する固定とを実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
第四工程を経た後に、前方クランプのレールに対する固定解除と後方クランプのレールに対する固定とを実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させるとともに後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
第五工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させる一方、後方ジャッキの油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の前方部分に引張力を加えるとともに後方部分に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
第六工程を経た後に、前方及び後方クランプの双方のレールに対する固定を実現させた状態で後方ジャッキの油圧ジャッキの伸長を停止させつつ前方ジャッキの油圧ジャッキをさらに収縮させることにより、後方ジャッキの空圧ジャッキを伸長させつつ移動台車の前方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
第七工程を経た後に、前方クランプのレールに対する固定と後方クランプのレールに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキの油圧ジャッキを収縮させることにより、移動台車の前方部分に引張力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含むものである。
【0015】
かかる方法を採用すると、第一工程から第八工程までの全工程にわたって常に移動台車に押圧力や引張力を加え続けることができるため、移動台車の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。従来は、クランプの掴み替えの際に、移動台車への押圧力や引張力を解除して移動台車を一度停止させる必要があった。これに対し、本方法においては、油圧ジャッキに加えて「空圧ジャッキ」を有する前方・後方ジャッキを採用していることから、双方のクランプをレールに固定した状態で前方の油圧ジャッキの収縮を停止させてからも前方の空圧ジャッキを若干収縮させることができるため、後方の油圧ジャッキをその分伸長させて移動台車に押圧力を加えることができる(第三工程)。また、双方のクランプをレールに固定した状態で後方の油圧ジャッキの伸長を停止させてからも後方の空圧ジャッキを若干伸長させることができるため、前方の油圧ジャッキをその分収縮させて移動台車に押圧力を加えることができる(第七工程)。その後、一方のジャッキ側のクランプをレールから取り外しつつ、他方の油圧ジャッキを伸長・収縮させて移動台車に押圧力を加えることができる(第四・第八工程)。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなくなり、移動台車の停止(及び再始動)に伴う煩雑な減速操作や加速操作も不要となるという利点がある。
【0016】
本発明に係る第三の重量物搬送装置は、レール上を走行可能に設置された移動台車を水平ジャッキで移動させることにより、移動台車上に載置された重量物を搬送するように構成されたものであって、水平ジャッキは、移動台車の第一部分に対して押圧力を加えるように第一部分に一端が連結された第一ジャッキと、移動台車の第二部分に対して押圧力を加えるように第二部分に一端が連結された第二ジャッキと、を有し、第一ジャッキの他端には、レールに対する固定及び固定解除を実現させる第一クランプが取り付けられており、第二ジャッキの他端には、レールに対する固定及び固定解除を実現させる第二クランプが取り付けられており、第一及び第二ジャッキは、一端側に配置された油圧ジャッキと、他端側に配置された空圧ジャッキと、を有しているものである。この際、第一部分として「移動台車の後方部分の下部」を採用し、第二部分として「移動台車の後方部分の上部」を採用することができる。また、第一ジャッキとして「前方ジャッキ」を採用し、第二ジャッキとして(前方ジャッキよりも進行方向後方に配置された)「後方ジャッキ」を採用することができる。また、第一クランプとして「前方クランプ」を採用し、第二クランプとして(前方クランプよりも進行方向後方に配置された)「後方クランプ」を採用することができる。
【0017】
かかる構成を採用すると、油圧ジャッキに加えて「空圧ジャッキ」を有する第一・第二ジャッキを用いることにより、クランプの掴み替えの際にも移動台車に押圧力を加え続けることができる。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなくなるため、移動台車の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る第三の重量物搬送方法は、第三の重量物搬送装置を用いて重量物を搬送する方法であって、
第一クランプ(前方クランプ)のレールに対する固定と第二クランプ(後方クランプ)のレールに対する固定解除とを実現させた状態で第一ジャッキ(前方ジャッキ)の油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の第一部分(後方部分の下部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第一工程と、
第一工程を経た後に、第一及び第二クランプ(前方及び後方クランプ)の双方のレールに対する固定を実現させた状態で第一及び第二ジャッキ(前方及び後方ジャッキ)の油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の第一及び第二部分(後方部分の下部及び上部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第二工程と、
第二工程を経た後に、第一及び第二クランプ(前方及び後方クランプ)の双方のレールに対する固定を実現させた状態で第一ジャッキ(前方ジャッキ)の油圧ジャッキの伸長を停止させつつ第二ジャッキ(後方ジャッキ)の油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、第一ジャッキ(前方ジャッキ)の空圧ジャッキを伸長させつつ移動台車の第二部分(後方部分の上部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第三工程と、
第三工程を経た後に、第一クランプ(前方クランプ)のレールに対する固定解除と第二クランプ(後方クランプ)のレールに対する固定とを実現させた状態で第二ジャッキ(後方ジャッキ)の油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の第二部分(後方部分の上部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第四工程と、
第四工程を経た後に、第一クランプ(前方クランプ)のレールに対する固定解除と第二クランプ(後方クランプ)のレールに対する固定とを実現させた状態で第一ジャッキ(前方ジャッキ)の油圧ジャッキを収縮させるとともに第二ジャッキ(後方ジャッキ)の油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の第二部分(後方部分の上部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第五工程と、
第五工程を経た後に、第一及び第二クランプ(前方及び後方クランプ)の双方のレールに対する固定を実現させた状態で第一及び第二ジャッキ(前方及び後方ジャッキ)の油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の第一及び第二部分(後方部分の下部及び上部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第六工程と、
第六工程を経た後に、第一及び第二クランプ(前方及び後方クランプ)の双方のレールに対する固定を実現させた状態で第二ジャッキ(後方ジャッキ)の油圧ジャッキの伸長を停止させつつ第一ジャッキ(前方ジャッキ)の油圧ジャッキをさらに伸長させることにより、第二ジャッキ(後方ジャッキ)の空圧ジャッキを伸長させつつ移動台車の第一部分(後方部分の下部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第七工程と、
第七工程を経た後に、第一クランプ(前方クランプ)のレールに対する固定と第二クランプ(後方クランプ)のレールに対する固定解除とを実現させた状態で第一ジャッキ(前方ジャッキ)の油圧ジャッキを伸長させることにより、移動台車の第一部分(後方部分の下部)に押圧力を加えて移動台車を進行方向に移動させる第八工程と、
を含むものである。
【0019】
かかる方法を採用すると、第一工程から第八工程までの全工程にわたって常に移動台車に押圧力を加え続けることができるため、移動台車の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。従来は、クランプの掴み替えの際に、移動台車への押圧力を解除して移動台車を一度停止させる必要があった。これに対し、本方法においては、油圧ジャッキに加えて「空圧ジャッキ」を有する第一・第二ジャッキ(前方・後方ジャッキ)を採用していることから、双方のクランプをレールに固定した状態で一方の油圧ジャッキの伸長を停止させてからも一方の空圧ジャッキを若干伸長させることができるため、他方の油圧ジャッキをその分伸長させて移動台車に押圧力を加えることができる(第三・第七工程)。その後、一方のジャッキ側のクランプをレールから取り外しつつ、他方の油圧ジャッキを伸長させて移動台車に押圧力を加えることができる(第四・第八工程)。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなくなり、移動台車の停止(及び再始動)に伴う煩雑な減速操作や加速操作も不要となるという利点がある。
【0020】
本発明に係る第一の制御装置は、第一の重量物搬送装置におけるジャッキ及びクランプを制御することにより、第一の重量物搬送方法における第一乃至第八工程を実行するように構成されたものである。
【0021】
本発明に係る第二の制御装置は、第二の重量物搬送装置におけるジャッキ及びクランプを制御することにより、第二の重量物搬送方法における第一乃至第八工程を実行するように構成されたものである。
【0022】
本発明に係る第三の制御装置は、第三の重量物搬送装置におけるジャッキ及びクランプを制御することにより、第三の重量物搬送方法における第一乃至第八工程を実行するように構成されたものである。
【0023】
本発明に係るプログラムは、第一、第二又は第三の重量物搬送方法における第一乃至第八工程をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、クランプの掴み替えの際に移動台車を一度停止させる必要がなく、移動台車の平均移動速度を高めて重量物を効率良く搬送することができる重量物搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置の側面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置の移動台車の前方部分及び後方部分に各々接続された前方ジャッキ及び後方ジャッキの平面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置を後方から見た場合の斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置を前方から見た場合の斜視図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置を前方から見た場合の部分透過斜視図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置の平面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置の底面図である。
【
図8a】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置を用いた重量物搬送方法(移動台車を押す場合)を説明するためのステップ図である。
【
図8b】本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置を用いた重量物搬送方法(移動台車を引く場合)を説明するためのステップ図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る重量物搬送装置の側面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係る重量物搬送装置の平面図である。
【
図11】本発明の第二実施形態に係る重量物搬送装置を後方から見た場合の斜視図である。
【
図12】本発明の第二実施形態に係る重量物搬送装置を前方から見た場合の斜視図である。
【
図13】本発明の第二実施形態に係る重量物搬送装置を前方から見た場合の部分透過斜視図である。
【
図14】本発明の第二実施形態に係る重量物搬送装置の底面図である。
【
図15】本発明の第二実施形態に係る重量物搬送装置を用いた重量物搬送方法を説明するためのステップ図である。
【
図16】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置の側面図である。
【
図17】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置のジャッキの構成を説明するための説明図である。
【
図18】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置を前方から見た場合の斜視図である。
【
図19】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置を前方かつ若干上方から見た場合の一部切欠斜視図である。
【
図20】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置を前方かつ若干下方から見た場合の一部切欠斜視図である。
【
図21】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置の平面図である。
【
図22】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置の底面図である。
【
図23】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置のフレーム及び後方ジャッキを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図24】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置のフレーム及び後方ジャッキを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【
図25】本発明の第三実施形態に係る重量物搬送装置を用いた重量物搬送方法を説明するためのステップ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれらに限定されるものではない。
【0027】
<第一実施形態>
まず、
図1~
図7を用いて、本発明の第一実施形態に係る重量物搬送装置1の構成について説明する。
【0028】
本実施形態に係る重量物搬送装置1は、レールR上を走行可能に設置された移動台車10を水平ジャッキで移動させることにより、移動台車10上に載置された図示されていない重量物(橋桁等の大型構造物)を搬送するように構成されたものである。
【0029】
移動台車10は、
図1、
図3~
図7に示すように、その進行方向(例えば移動台車10を押す
図8aの方法で搬送される場合は、
図1の矢印Dの方向)の前方に配置される第一部分11と、その進行方向の後方に配置される第二部分12と、第一部分11と第二部分12とを連結する連結梁13と、を有している。第一部分11は、比較的大型の略直方体状の筐体であり、その内部には、車軸A1を介して、レールR上を走行可能な比較的大径の車輪W1が2つ取り付けられている。第二部分12は、比較的小型の略直方体状の筐体であり、その内部には、車軸A2を介して、レールR上を走行可能な比較的小径の車輪W2が2つ取り付けられている。連結梁13の一端は、第一部分11の後端上部に取り付けられており、連結梁13の他端は、第二部分12の上部に取り付けられている。移動台車10は、かかる構成を有することにより、第一部分11と第二部分12とが一体的にレールR上を走行することができるようになっている。
【0030】
水平ジャッキは、
図2等に示すように、移動台車10の第一部分11に対して押圧力又は引張力を加えるように第一部分11に一端20aが連結された第一ジャッキ20と、移動台車10の第二部分12に対して押圧力又は引張力を加えるように第二部分12に一端30aが連結された第二ジャッキ30と、から構成されている。第一ジャッキ20の他端20bには、レールRに対する固定及び固定解除を実現させる第一クランプ40が取り付けられており、第二ジャッキ30の他端30bには、レールRに対する固定及び固定解除を実現させる第二クランプ50が取り付けられている。
【0031】
第一ジャッキ20は、
図2等に示すように、その一端20a側に配置された油圧ジャッキ21と、その他端20b側に配置された空圧ジャッキ22と、油圧ジャッキ21と空圧ジャッキ22とを連結する連結ナット23と、を有している。油圧ジャッキ21は、油圧シリンダ21a及びロッド21b(
図8a(A)等参照)を有し、油圧によるロッド21bの伸長又は収縮により移動台車10に進行方向への押圧力又は引張力を加えるものである。空圧ジャッキ22は、空圧シリンダ22a及びロッド22b(
図8a(C)等参照)を有し、空圧(空気やガス(窒素ガス等)の圧力)によるロッド22bの伸長又は収縮により移動台車10に進行方向への押圧力又は引張力を加えるものである。空圧ジャッキ22は、油圧シリンダ21aのロッド21bが最大限伸長又は収縮してからも、そのロッド22bを伸長又は収縮させることができるように構成されている。このため、第一ジャッキ20は、後に詳述するように、クランプの掴み替えの際にも移動台車10に押圧力又は引張力を加え続けることができる。油圧ジャッキ21のストロークは800mm程度(出力500kN)に設定することができ、空圧ジャッキ22のストロークは150mm程度に設定することができる。
【0032】
第二ジャッキ30の構成(油圧ジャッキ31、空圧ジャッキ32、連結ナット33)は、第一ジャッキ20の構成と実質的に同一であるので、詳細な説明を省略することとする。
【0033】
第一クランプ40及び第二クランプ50は、レールRにおける上フランジの幅方向端面を両側から挟んで締め付けることにより、レールRに対する固定を実現させることができる一方、締め付けを緩めることにより、レールRに対する固定解除を実現させることができるようになっている。
【0034】
第一ジャッキ20及び第二ジャッキ30の油圧ジャッキ21・31及び空圧ジャッキ22・32の操作や、第一クランプ40及び第二クランプ50の操作は、現場で作業者が行ってもよく、外部から作業者が無線で制御信号を送出することにより遠隔的に行ってもよい。また、各ジャッキ20・30及び各クランプ40・50の状態を検出するセンサを設けておき、センサで検出した状態に基づいて制御装置が自動的に制御信号を送出して各ジャッキ20・30及び各クランプ40・50の動作を制御することにより、後述する重量物搬送方法の各工程を実行することもできる。制御装置は、各種制御プログラムや各種データを格納したメモリと、各種制御プログラムを実行する中央演算装置と、を備えるコンピュータによって構成されることができる。
【0035】
次に、
図8aを参照しつつ、本実施形態に係る重量物搬送装置1を用いて移動台車10及びその上に載置された重量物を「押して」搬送する方法(重量物搬送方法)について説明する。
【0036】
なお、
図8aの方法を実施するときは、移動台車10の第一部分11が「前方部分」に、第二部分12が「後方部分」に、各々相当することとなり、重量物搬送装置1の第一ジャッキ20が「前方ジャッキ」として、第二ジャッキ30が「後方ジャッキ」として、第一クランプ40が「前方クランプ」として、第二クランプ50が「後方クランプ」として、各々機能する。このため、
図8aの説明においては、移動方向の前後を分かり易くするために、第一部分11を「前方部分11」と、第二部分12を「後方部分12」と、第一ジャッキ20を「前方ジャッキ20」と、第二ジャッキ30を「後方ジャッキ30」と、第一クランプ40を「前方クランプ40」と、第二クランプ50を「後方クランプ50」と、各々称することとする。
【0037】
まず、
図8a(A)に示すように、重量物搬送装置1の前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させることにより、移動台車10の前方部分11に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm伸長させることにより、移動台車10を進行方向に500mm移動させることができる。
【0038】
次いで、
図8a(B)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキ20・30の各々の油圧ジャッキ21・31を伸長させることにより、移動台車10の前方部分11及び後方部分12に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第二工程)。第二工程においては、前方及び後方の油圧ジャッキ21・31を例えば75mmずつ伸長させることにより、移動台車10を進行方向に75mm移動させることができる。なお、第二工程においては、後方クランプ50をレールRに対して固定する動作と同時に、第一工程からレールRに固定されている前方クランプ40から反力をとって前方の油圧ジャッキ21を伸長させる動作を行う。後方クランプ50をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、後方クランプ50のレールRに対する固定を開始すると同時に後方クランプ50からも反力をとって後方の油圧ジャッキ31を伸長させる。
【0039】
続いて、
図8a(C)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21の伸長を停止させつつ後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31をさらに伸長させることにより、前方ジャッキ20の空圧ジャッキ22を伸長させつつ移動台車10の後方部分12に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第三工程)。第三工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31を例えば50mm伸長させる(この際、前方の空圧ジャッキ22が50mm伸長する)ことにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。
【0040】
次いで、
図8a(D)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定解除と後方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を伸長させることにより、移動台車10の後方部分12に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第四工程)。第四工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31を例えば50mm伸長させることにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。なお、第四工程においては、前方クランプ40のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第三工程からレールRに固定されている後方クランプ50から反力をとって後方の油圧ジャッキ31を伸長させる動作を行うことができる。前方クランプ40の固定が解除されるまでの間は前方の空圧ジャッキ22が伸長するため、後方の油圧ジャッキ31の伸長による移動台車10の進行方向への移動が妨げられることはない。
【0041】
続いて、
図8a(E)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定解除と後方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させるとともに後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を伸長させることにより、移動台車10の後方部分12に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第五工程)。第五工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31を例えば500mm伸長させることにより、移動台車10を進行方向に500mm移動させることができる。この間に、前方の油圧ジャッキ21及び空圧ジャッキ22の双方を全収縮させるようにする。
【0042】
次いで、
図8a(F)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキ20・30の各々の油圧ジャッキ21・31を伸長させることにより、移動台車10の前方部分11及び後方部分12に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第六工程)。第六工程においては、前方及び後方の油圧ジャッキ21・31を例えば75mmずつ伸長させることにより、移動台車10を進行方向に75mm移動させることができる。なお、第六工程においては、前方クランプ40をレールRに対して固定する動作と同時に、第五工程からレールRに固定されている後方クランプ50から反力をとって後方の油圧ジャッキ31を伸長させる動作を行う。前方クランプ40をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、前方クランプ40のレールRに対する固定を開始すると同時に前方クランプ40からも反力をとって前方の油圧ジャッキ21を伸長させる。
【0043】
続いて、
図8a(G)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31の伸長を停止させつつ前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21をさらに伸長させることにより、後方ジャッキ30の空圧ジャッキ32を伸長させつつ移動台車10の前方部分11に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第七工程)。第七工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21を例えば50mm伸長させる(この際、後方の空圧ジャッキ32が50mm伸長する)ことにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。
【0044】
次いで、
図8a(H)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させることにより、移動台車10の前方部分11に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第八工程)。第八工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21を例えば50mm伸長させることにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。なお、第八工程においては、後方クランプ50のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第七工程からレールRに固定されている前方クランプ40から反力をとって前方の油圧ジャッキ21を伸長させる動作を行うことができる。後方クランプ50の固定が解除されるまでの間は後方の空圧ジャッキ32が伸長するため、前方の油圧ジャッキ21の伸長による移動台車10の進行方向への移動が妨げられることはない。
【0045】
図8a(H)に示す第八工程を経た後には、第一工程に戻る。すなわち、
図8a(A)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させることにより、移動台車10の前方部分11に押圧力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm伸長させることにより、移動台車10を進行方向に500mm移動させることができる。この間に、後方の油圧ジャッキ31及び空圧ジャッキ32の双方を全収縮させるようにする。
【0046】
続いて、
図8bを参照しつつ、本実施形態に係る重量物搬送装置1を用いて移動台車10及びその上に載置された重量物を「引いて」搬送する方法(重量物搬送方法)について説明する。
【0047】
なお、
図8bの方法を実施するときは、移動台車10の第一部分11が「後方部分」に、第二部分12が「前方部分」に、各々相当することとなり、重量物搬送装置1の第一ジャッキ20が「後方ジャッキ」として、第二ジャッキ30が「前方ジャッキ」として、第一クランプ40が「後方クランプ」として、第二クランプ50が「前方クランプ」として、各々機能する。このため、
図8bの説明においては、移動方向の前後を分かり易くするために、第一部分11を「後方部分11」と、第二部分12を「前方部分12」と、第一ジャッキ20を「後方ジャッキ20」と、第二ジャッキ30を「前方ジャッキ30」と、第一クランプ40を「後方クランプ40」と、第二クランプ50を「前方クランプ50」と、各々称することとする。
【0048】
まず、
図8b(A)に示すように、重量物搬送装置1の後方クランプ40のレールRに対する固定と前方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で後方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させることにより、移動台車10の後方部分11に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、後方クランプ40から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm収縮させることにより、移動台車10を進行方向(
図8aの方向とは反対方向)に500mm移動させることができる。
【0049】
次いで、
図8b(B)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキ20・30の各々の油圧ジャッキ21・31を収縮させることにより、移動台車10の後方部分11及び前方部分12に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第二工程)。第二工程においては、前方及び後方の油圧ジャッキ21・31を例えば75mmずつ収縮させることにより、移動台車10を進行方向に75mm移動させることができる。なお、第二工程においては、前方クランプ50をレールRに対して固定する動作と同時に、第一工程からレールRに固定されている後方クランプ40から反力をとって後方の油圧ジャッキ21を収縮させる動作を行う。前方クランプ50をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、前方クランプ50のレールRに対する固定を開始すると同時に前方クランプ50からも反力をとって前方の油圧ジャッキ31を収縮させる。
【0050】
続いて、
図8b(C)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で後方ジャッキ20の油圧ジャッキ21の収縮を停止させつつ前方ジャッキ30の油圧ジャッキ31をさらに収縮させることにより、後方ジャッキ20の空圧ジャッキ22を収縮させつつ移動台車10の前方部分12に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第三工程)。第三工程においては、前方クランプ50から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ31を例えば50mm収縮させる(この際、後方の空圧ジャッキ22が50mm収縮する)ことにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。
【0051】
次いで、
図8b(D)に示すように、後方クランプ40のレールRに対する固定解除と前方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で前方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を伸長させることにより、移動台車10の前方部分12に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第四工程)。第四工程においては、前方クランプ50から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ31を例えば50mm収縮させることにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。なお、第四工程においては、後方クランプ40のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第三工程からレールRに固定されている前方クランプ50から反力をとって前方の油圧ジャッキ31を収縮させる動作を行うことができる。後方クランプ40の固定が解除されるまでの間は後方の空圧ジャッキ22が収縮するため、前方の油圧ジャッキ31の収縮による移動台車10の進行方向への移動が妨げられることはない。
【0052】
続いて、
図8b(E)に示すように、後方クランプ40のレールRに対する固定解除と前方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で後方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させるとともに前方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を収縮させることにより、移動台車10の前方部分12に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第五工程)。第五工程においては、前方クランプ50から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ31を例えば500mm伸長させることにより、移動台車10を進行方向に500mm移動させることができる。この間に、後方の油圧ジャッキ21及び空圧ジャッキ22の双方を全伸長させるようにする。
【0053】
次いで、
図8b(F)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキ20・30の各々の油圧ジャッキ21・31を収縮させることにより、移動台車10の前方部分11及び後方部分12に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第六工程)。第六工程においては、前方及び後方の油圧ジャッキ21・31を例えば75mmずつ収縮させることにより、移動台車10を進行方向に75mm移動させることができる。なお、第六工程においては、後方クランプ40をレールRに対して固定する動作と同時に、第五工程からレールRに固定されている前方クランプ50から反力をとって前方の油圧ジャッキ31を収縮させる動作を行う。後方クランプ40をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、後方クランプ40のレールRに対する固定を開始すると同時に後方クランプ40からも反力をとって後方の油圧ジャッキ21を収縮させる。
【0054】
続いて、
図8b(G)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキ30の油圧ジャッキ31の収縮を停止させつつ後方ジャッキ20の油圧ジャッキ21をさらに収縮させることにより、前方ジャッキ30の空圧ジャッキ32を収縮させつつ移動台車10の後方部分11に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第七工程)。第七工程においては、後方クランプ40から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ21を例えば50mm収縮させる(この際、前方の空圧ジャッキ32が50mm収縮する)ことにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。
【0055】
次いで、
図8b(H)に示すように、後方クランプ40のレールRに対する固定と前方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で後方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させることにより、移動台車10の後方部分11に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第八工程)。第八工程においては、後方クランプ40から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ21を例えば50mm収縮させることにより、移動台車10を進行方向に50mm移動させることができる。なお、第八工程においては、前方クランプ50のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第七工程からレールRに固定されている後方クランプ40から反力をとって後方の油圧ジャッキ21を収縮させる動作を行うことができる。前方クランプ50の固定が解除されるまでの間は前方の空圧ジャッキ32が収縮するため、後方の油圧ジャッキ21の収縮による移動台車10の進行方向への移動が妨げられることはない。
【0056】
図8b(H)に示す第八工程を経た後には、第一工程に戻る。すなわち、
図8b(A)に示すように、後方クランプ40のレールRに対する固定と前方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で後方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させることにより、移動台車10の後方部分11に引張力を加えて移動台車10を進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、後方クランプ40から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm収縮させることにより、移動台車10を進行方向に500mm移動させることができる。この間に、前方の油圧ジャッキ31及び空圧ジャッキ32の双方を全伸長させるようにする。
【0057】
以上説明した実施形態に係る重量物搬送方法においては、第一工程から第八工程までの全工程にわたって常に移動台車10に押圧力又は引張力を加え続けることができるため、移動台車10の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。従来は、クランプの掴み替えの際に、移動台車10への押圧力を解除して移動台車10を一度停止させる必要があった。これに対し、本方法においては、油圧ジャッキ21・31に加えて「空圧ジャッキ22・32」を有する第一・第二ジャッキ20・30を採用していることから、双方のクランプ40・50をレールRに固定した状態で一方の油圧ジャッキの伸長(収縮)を停止させてからも一方の空圧ジャッキを若干伸長(収縮)させることができるため、他方の油圧ジャッキをその分伸長(収縮)させて移動台車10に押圧力(引張力)を加えることができる(第三・第七工程)。その後、一方のジャッキ側のクランプをレールRから取り外しつつ、他方の油圧ジャッキを伸長(収縮)させて移動台車10に押圧力(引張力)を加えることができる(第四・第八工程)。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車10を一度停止させる必要がなくなり、移動台車10の停止(及び再始動)に伴う煩雑な減速操作や加速操作も不要となるという利点がある。
【0058】
また、以上説明した実施形態に係る重量物搬送装置1においては、油圧ジャッキ21・31に加えて「空圧ジャッキ22・32」を有する第一・第二ジャッキ20・30を用いることにより、クランプの掴み替えの際にも移動台車10に押圧力又は引張力を加え続けることができる。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車10を一度停止させる必要がなくなるため、移動台車10の平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。
【0059】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。本実施形態に係る重量物搬送装置1Aは、第一実施形態に係る重量物搬送装置1の移動台車10の構成やジャッキの配置を変更したものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0060】
まず、
図9~
図14を用いて、本実施形態に係る重量物搬送装置1Aの構成について説明する。
【0061】
本実施形態に係る重量物搬送装置1Aは、第一実施形態と同様に、レールR上を走行可能に設置された移動台車10Aを水平ジャッキで移動させることにより、移動台車10A上に載置された図示されていない重量物(橋桁等の大型構造物)を搬送するように構成されたものである。
【0062】
本実施形態における移動台車10Aは、
図9~
図14に示すように、略直方体状の単一の筐体であり、その内部に、車軸Aを介して取り付けられたレールR上を走行可能な2つの車輪Wを有している。移動台車10Aは、かかる構成を有することにより、レールR上を走行して所定の進行方向(
図9の矢印Dの方向)に移動することができるようになっている。
【0063】
本実施形態における水平ジャッキは、
図9~
図14に示すように、移動台車10Aの前方部分11Aに対して引張力を加えるように前方部分11Aに一端20aが連結された前方ジャッキ20と、移動台車10の後方部分12に対して押圧力を加えるように後方部分12Aに一端30aが連結された後方ジャッキ30と、から構成されている。前方ジャッキ20の他端20bには、レールRに対する固定及び固定解除を実現させる前方クランプ40が取り付けられており、後方ジャッキ30の他端30bには、レールRに対する固定及び固定解除を実現させる後方クランプ50が取り付けられている。
【0064】
すなわち、第一実施形態においては、移動台車10の第一部分11及び第二部分12を、第一ジャッキ20及び第二ジャッキ30の双方で「押す」こと、又は、双方で「引く」ことにより移動台車10を移動させているのに対し、本実施形態においては、移動台車10Aの前方部分11Aを前方ジャッキ20で「引き」、移動台車10Aの後方部分11Bを後方ジャッキ20で「押す」ことにより、移動台車10Aを移動させている。前方ジャッキ20、後方ジャッキ30、前方クランプ40及び後方クランプ50の各々の構成は、第一実施形態における第一ジャッキ20、第二ジャッキ30、第一クランプ40及び第二クランプ50と各々実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0065】
次に、
図15を参照しつつ、本実施形態に係る重量物搬送装置1Aを用いて移動台車10A及びその上に掲載置された重量物を搬送する方法(重量物搬送方法)について説明する。
【0066】
まず、
図15(A)に示すように、重量物搬送装置1Aの前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させることにより、移動台車10Aの前方部分11Aに引張力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm収縮させることにより、移動台車10Aを進行方向に500mm移動させることができる。
【0067】
次いで、
図15(B)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で、前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させる一方、後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を伸長させることにより、移動台車10Aの前方部分11Aに引張力を加えるとともに後方部分12Aに押圧力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第二工程)。第二工程においては、前方の油圧ジャッキ21を例えば75mm収縮させる一方、後方の油圧ジャッキ31を例えば75mm伸長させることにより、移動台車10Aを進行方向に75mm移動させることができる。なお、第二工程においては、後方クランプ50をレールRに対して固定する動作と同時に、第一工程からレールRに固定されている前方クランプ40から反力をとって前方の油圧ジャッキ21を収縮させる動作を行う。後方クランプ50をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、後方クランプ50のレールRに対する固定を開始すると同時に後方クランプ50からも反力をとって後方の油圧ジャッキ31を伸長させる。
【0068】
続いて、
図15(C)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21の収縮を停止させつつ後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31をさらに伸長させることにより、前方ジャッキ20の空圧ジャッキ22を収縮させつつ移動台車10Aの後方部分12Aに押圧力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第三工程)。第三工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31を例えば50mm伸長させる(この際、前方の空圧ジャッキ22が50mm収縮する)ことにより、移動台車10Aを進行方向に50mm移動させることができる。
【0069】
次いで、
図15(D)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定解除と後方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を伸長させることにより、移動台車10Aの後方部分12Aに押圧力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第四工程)。第四工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31を例えば50mm伸長させることにより、移動台車10Aを進行方向に50mm移動させることができる。なお、第四工程においては、前方クランプ40のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第三工程からレールRに固定されている後方クランプ50から反力をとって後方の油圧ジャッキ31を伸長させる動作を行うことができる。前方クランプ40の固定が解除されるまでの間は前方の空圧ジャッキ22が収縮するため、後方の油圧ジャッキ31の伸長による移動台車10Aの進行方向への移動が妨げられることはない。
【0070】
続いて、
図15(E)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定解除と後方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させるとともに後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を伸長させることにより、移動台車10Aの後方部分12Aに押圧力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第五工程)。第五工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31を例えば500mm伸長させることにより、移動台車10Aを進行方向に500mm移動させることができる。この間に、前方の油圧ジャッキ21及び空圧ジャッキ22の双方を全伸長させるようにする。
【0071】
次いで、
図15(F)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で、前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させる一方、後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31を伸長させることにより、移動台車10Aの前方部分11Aに引張力を加えるとともに後方部分12Aに押圧力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第六工程)。第六工程においては、前方の油圧ジャッキ21を例えば75mm収縮させる一方、後方の油圧ジャッキ31を例えば75mm伸長させることにより、移動台車10Aを進行方向に75mm移動させることができる。なお、第六工程においては、前方クランプ40をレールRに対して固定する動作と同時に、第五工程からレールRに固定されている後方クランプ50から反力をとって後方の油圧ジャッキ31を伸長させる動作を行う。前方クランプ40をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、前方クランプ40のレールRに対する固定を開始すると同時に前方クランプ40からも反力をとって前方の油圧ジャッキ21を収縮させる。
【0072】
続いて、
図15(G)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で後方ジャッキ30の油圧ジャッキ31の伸長を停止させつつ前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21をさらに収縮させることにより、後方ジャッキ30の空圧ジャッキ32を伸長させつつ移動台車10Aの前方部分11Aに引張力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第七工程)。第七工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21を例えば50mm収縮させる(この際、後方の空圧ジャッキ32が50mm伸長する)ことにより、移動台車10Aを進行方向に50mm移動させることができる。
【0073】
次いで、
図15(H)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させることにより、移動台車10Aの前方部分11Aに引張力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第八工程)。第八工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21を例えば50mm収縮させることにより、移動台車10Aを進行方向に50mm移動させることができる。なお、第八工程においては、後方クランプ50のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第七工程からレールRに固定されている前方クランプ40から反力をとって前方の油圧ジャッキ21を収縮させる動作を行うことができる。後方クランプ50の固定が解除されるまでの間は後方の空圧ジャッキ32が伸長するため、前方の油圧ジャッキ21の収縮による移動台車10Aの進行方向への移動が妨げられることはない。
【0074】
図15(H)に示す第八工程を経た後には、第一工程に戻る。すなわち、
図15(A)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させることにより、移動台車10Aの前方部分11Aに引張力を加えて移動台車10Aを進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm収縮させることにより、移動台車10Aを進行方向に500mm移動させることができる。この間に、後方の油圧ジャッキ31及び空圧ジャッキ32の双方を全収縮させるようにする。
【0075】
以上説明した実施形態に係る重量物搬送方法においては、第一工程から第八工程までの全工程にわたって常に移動台車10Aに押圧力や引張力を加え続けることができるため、移動台車10Aの平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。従来は、クランプの掴み替えの際に、移動台車10Aへの押圧力や引張力を解除して移動台車10Aを一度停止させる必要があった。これに対し、本方法においては、油圧ジャッキ21・31に加えて「空圧ジャッキ22・32」を有する前方・後方ジャッキ20・30を採用していることから、双方のクランプ40・50をレールRに固定した状態で前方の油圧ジャッキ21の収縮を停止させてからも前方の空圧ジャッキ22を若干収縮させることができるため、後方の油圧ジャッキ31をその分伸長させて移動台車10Aに押圧力を加えることができる(第三工程)。また、双方のクランプ40・50をレールRに固定した状態で後方の油圧ジャッキ31の伸長を停止させてからも後方の空圧ジャッキ22を若干伸長させることができるため、前方の油圧ジャッキ21をその分収縮させて移動台車10Aに押圧力を加えることができる(第七工程)。その後、一方のジャッキ側のクランプをレールから取り外しつつ、他方の油圧ジャッキを伸長・収縮させて移動台車10Aに押圧力を加えることができる(第四・第八工程)。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車10Aを一度停止させる必要がなくなり、移動台車10Aの停止(及び再始動)に伴う煩雑な減速操作や加速操作も不要となるという利点がある。
【0076】
また、以上説明した実施形態に係る重量物搬送装置1Aにおいては、油圧ジャッキ21・31に加えて「空圧ジャッキ22・32」を有する前方・後方ジャッキ20・30を用いることにより、クランプの掴み替えの際にも移動台車10Aに押圧力を加え続けることができる。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車10Aを一度停止させる必要がなくなるため、移動台車10Aの平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。
【0077】
<第三実施形態>
続いて、本発明の第三実施形態について説明する。本実施形態に係る重量物搬送装置1Bは、第一実施形態に係る重量物搬送装置1の移動台車10の構成やジャッキの配置を変更したものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0078】
まず、
図16~
図24を用いて、本実施形態に係る重量物搬送装置1Bの構成について説明する。
【0079】
本実施形態に係る重量物搬送装置1Bは、第一実施形態と同様に、レールR上を走行可能に設置された移動台車10Bを水平ジャッキで移動させることにより、移動台車10B上に載置された図示されていない重量物(橋桁等の大型構造物)を搬送するように構成されたものである。
【0080】
本実施形態における移動台車10Bは、
図25(A)等に示すように、略直方体状を有する筐体であって、その内部に、車軸Aを介して取り付けられたレールR上を走行可能な2つの車輪Wを有しており、所定の進行方向(
図16の矢印Dの方向)に移動することができるようになっている。
【0081】
本実施形態においては、
図16及び
図18~
図24に示すように、移動台車10Bの進行方向の後方部分12Bに、折畳式のフレーム60Bを取り付けている。フレーム60Bは、移動台車10Bと後方ジャッキ30B(後述)とを連結するための部材であり、展開状態(
図16、
図18、
図21、
図22等参照)と折畳状態(
図23、
図24参照)との間で自在に変形することができるように構成されている。
【0082】
フレーム60Bは、
図16、
図18、
図21、
図22等に示すように、移動台車10Bの後方部分12Bに前端(進行方向前方側の端部)が固定される前方連結梁61Bと、前方連結梁61Bの後端(進行方向後方側の端部)に取り付けられる二個一組の後方連結梁62Bと、を有している。前方連結梁61Bの後端には、移動台車10Bの進行方向に直交する幅方向に沿って二つのヒンジ部61BHが設けられており、各ヒンジ部61BHに後方連結梁62Bの前端(進行方向前方側の端部)が回動可能に取り付けられている。
【0083】
本実施形態における水平ジャッキは、移動台車10Bの後方部分12Bの下部(第一部分)12BLに対して押圧力を加えるように後方部分12Bの下部12BLに一端20aが連結された前方ジャッキ(第一ジャッキ)20と、移動台車10の後方部分12Bの上部(第二部分)12BUに対して押圧力を加えるように後方部分12Bの上部12BUにフレーム60Bを介して一端30Baが連結された後方ジャッキ(第二ジャッキ)30Bと、から構成されている。前方ジャッキ20の他端20bには、レールRに対する固定及び固定解除を実現させる前方クランプ(第一クランプ)40が取り付けられており、後方ジャッキ30Bの他端30Bbには、レールRに対する固定及び固定解除を実現させる後方クランプ(第二クランプ)50が取り付けられている。
【0084】
なお、本実施形態においては、移動台車10Bの後方部分12Bの下部12BLを「第一部分」とし、後方部分12Bの上部12BUを「第二部分」とした例を示したが、上部12BUを「第一部分」とし、下部12BLを「第二部分」とすることもできる。また、移動台車10Bの他の部分を「第一部分」及び「第二部分」としてもよい。例えば、移動台車10Bの(図示されていない)前方部分を「第一部分」とし、移動台車10Bの後方部分12Bの一部を「第二部分」とすることもできる。逆に、移動台車10Bの(図示されていない)前方部分を「第二部分」とし、移動台車10Bの後方部分12Bの一部を「第一部分」としてもよい。
【0085】
前方ジャッキ20、前方クランプ40及び後方クランプ50の各構成は、第一実施形態における第一ジャッキ20、第一クランプ40及び第二クランプ50の各構成と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0086】
本実施形態における後方ジャッキ30Bは、二個一組の油圧ジャッキ31Bと、一個の空圧ジャッキ32Bと、で構成されている。油圧ジャッキ31Bの各々の前端(進行方向前方側の端部)は、フレーム60Bの後方連結梁62Bの長手方向略中央部に設けられた回動軸62BA(
図22参照)を介して、後方連結梁62Bの各々に回動可能に取り付けられている。油圧ジャッキ31Bの各々の後端(進行方向後方側の端部)同士は、
図17~
図19等に示すように連結部材33Bによって連結されている。そして、この連結部材33Bの中央には一個の空圧ジャッキ32Bが設けられており、空圧ジャッキ32Bの後端が後方ジャッキ30Bの他端30Bbを構成している。
【0087】
すなわち、第一実施形態においては、移動台車10の「第一部分11」及び「第二部分12」の各々を、第一ジャッキ20及び第二ジャッキ30の双方で「押す」こと、又は、双方で「引く」ことにより移動台車10を移動させているのに対し、本実施形態においては、移動台車10Bの後方部分12Bの「下部12BL」及び「上部12BU」を前方ジャッキ20及び後方ジャッキ30Bで各々「押す」ことにより移動台車10Bを移動させている。
【0088】
また、本実施形態においては、フレーム60Bの前方連結梁61Bに対して回動可能に二つの後方連結梁62Bが取り付けられており、フレーム60Bの各後方連結梁62Bに対して回動可能に後方の油圧ジャッキ31Bが取り付けられているため、
図23及び
図24に示すようにフレーム60Bと後方の油圧ジャッキ31Bとを折り畳むことができる。
【0089】
折り畳む際には、まず、
図16、
図18、
図21、
図22等に示すような展開状態において二つの油圧ジャッキ31Bから連結部材33B及び空圧ジャッキ32Bを取り外す。次いで、前方連結梁61Bの二つのヒンジ部61BHを中心に二つの後方連結梁62Bを外側に開くように180°回動させながら、各後方連結梁62Bの回動軸62BA(
図22参照)を中心に各油圧ジャッキ31Bを逆方向に180°回動させて、最終的に
図23及び
図24に示すような折畳状態へと移行させる。このように、本実施形態に係る重量物搬送装置1Bはフレーム60Bと後方の油圧ジャッキ31Bとを折り畳んで全長を短縮することができるため、輸送し易いという利点がある。
【0090】
次に、
図25を参照しつつ、本実施形態に係る重量物搬送装置1Bを用いて移動台車10B及びその上に掲載置された重量物を搬送する方法(重量物搬送方法)について説明する。
【0091】
まず、
図25(A)に示すように、重量物搬送装置1Bの前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させることにより、移動台車10Bの後方部分12Bの下部12BLに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm伸長させることにより、移動台車10Bを進行方向に500mm移動させることができる。
【0092】
次いで、
図25(B)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキ20・30Bの各々の油圧ジャッキ21・31Bを伸長させることにより、移動台車10Bの後方部分12Bの下部12BL及び上部12BUに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第二工程)。第二工程においては、前方及び後方の油圧ジャッキ21・31Bを例えば75mmずつ伸長させることにより、移動台車10Bを進行方向に75mm移動させることができる。なお、第二工程においては、後方クランプ50をレールRに対して固定する動作と同時に、第一工程からレールRに固定されている前方クランプ40から反力をとって前方の油圧ジャッキ21を伸長させる動作を行う。後方クランプ50をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、後方クランプ50のレールRに対する固定を開始すると同時に後方クランプ50からも反力をとって後方の油圧ジャッキ31Bを伸長させる。
【0093】
続いて、
図25(C)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21の伸長を停止させつつ後方ジャッキ30Bの油圧ジャッキ31Bをさらに伸長させることにより、前方ジャッキ20の空圧ジャッキ22を伸長させつつ移動台車10Bの後方部分12Bの上部12BUに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第三工程)。第三工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31Bを例えば50mm伸長させる(この際、前方の空圧ジャッキ22が50mm伸長する)ことにより、移動台車10Bを進行方向に50mm移動させることができる。
【0094】
次いで、
図25(D)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定解除と後方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で後方ジャッキ30Bの油圧ジャッキ31Bを伸長させることにより、移動台車10Bの後方部分12Bの上部12BUに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第四工程)。第四工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31Bを例えば50mm伸長させることにより、移動台車10Bを進行方向に50mm移動させることができる。なお、第四工程においては、前方クランプ40のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第三工程からレールRに固定されている後方クランプ50から反力をとって後方の油圧ジャッキ31Bを伸長させる動作を行うことができる。前方クランプ40の固定が解除されるまでの間は前方の空圧ジャッキ22が伸長するため、後方の油圧ジャッキ31Bの伸長による移動台車10Bの進行方向への移動が妨げられることはない。
【0095】
続いて、
図25(E)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定解除と後方クランプ50のレールRに対する固定とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を収縮させるとともに後方ジャッキ30Bの油圧ジャッキ31Bを伸長させることにより、移動台車10Bの後方部分12Bの上部12BUに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第五工程)。第五工程においては、後方クランプ50から反力をとっており、後方の油圧ジャッキ31Bを例えば500mm伸長させることにより、移動台車10Bを進行方向に500mm移動させることができる。この間に、前方の油圧ジャッキ21及び空圧ジャッキ22の双方を全収縮させるようにする。
【0096】
次いで、
図25(F)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で前方及び後方ジャッキ20・30Bの各々の油圧ジャッキ21・31Bを伸長させることにより、移動台車10Bの後方部分12Bの下部12BL及び上部12BUに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第六工程)。第六工程においては、前方及び後方の油圧ジャッキ21・31Bを例えば75mmずつ伸長させることにより、移動台車10Bを進行方向に75mm移動させることができる。なお、第六工程においては、前方クランプ40をレールRに対して固定する動作と同時に、第五工程からレールRに固定されている後方クランプ50から反力をとって後方の油圧ジャッキ31Bを伸長させる動作を行う。前方クランプ40をレールRに対して固定する動作は固定開始から固定完了まで2~3秒程度を要するが、前方クランプ40のレールRに対する固定を開始すると同時に前方クランプ40からも反力をとって前方の油圧ジャッキ21を伸長させる。
【0097】
続いて、
図25(G)に示すように、前方及び後方クランプ40・50の双方のレールRに対する固定を実現させた状態で後方ジャッキ30Bの油圧ジャッキ31Bの伸長を停止させつつ前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21をさらに伸長させることにより、後方ジャッキ30Bの空圧ジャッキ32Bを伸長させつつ移動台車10Bの後方部分12Bの下部12BLに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第七工程)。第七工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21を例えば50mm伸長させる(この際、後方の空圧ジャッキ32Bが50mm伸長する)ことにより、移動台車10Bを進行方向に50mm移動させることができる。
【0098】
次いで、
図25(H)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させることにより、移動台車10Bの後方部分12Bの下部12BLに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第八工程)。第八工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21を例えば50mm伸長させることにより、移動台車10Bを進行方向に50mm移動させることができる。なお、第八工程においては、後方クランプ50のレールRに対する固定を解除する動作と同時に、第七工程からレールRに固定されている前方クランプ40から反力をとって前方の油圧ジャッキ21を伸長させる動作を行うことができる。後方クランプ50の固定が解除されるまでの間は後方の空圧ジャッキ32Bが伸長するため、前方の油圧ジャッキ21の伸長による移動台車10Bの進行方向への移動が妨げられることはない。
【0099】
図25(H)に示す第八工程を経た後には、第一工程に戻る。すなわち、
図25(A)に示すように、前方クランプ40のレールRに対する固定と後方クランプ50のレールRに対する固定解除とを実現させた状態で前方ジャッキ20の油圧ジャッキ21を伸長させることにより、移動台車10Bの後方部分12Bの下部12BLに押圧力を加えて移動台車10Bを進行方向に移動させる(第一工程)。第一工程においては、前方クランプ40から反力をとっており、前方の油圧ジャッキ21のロッド21bを例えば500mm伸長させることにより、移動台車10Bを進行方向に500mm移動させることができる。この間に、後方の油圧ジャッキ31B及び空圧ジャッキ32Bの双方を全収縮させるようにする。
【0100】
以上説明した実施形態に係る重量物搬送方法においては、第一工程から第八工程までの全工程にわたって常に移動台車10Bに押圧力を加え続けることができるため、移動台車10Bの平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。従来は、クランプの掴み替えの際に、移動台車10Bへの押圧力を解除して移動台車10Bを一度停止させる必要があった。これに対し、本方法においては、油圧ジャッキ21・31Bに加えて「空圧ジャッキ22・32B」を有する前方・後方ジャッキ20・30Bを採用していることから、双方のクランプ40・50をレールRに固定した状態で一方の油圧ジャッキの伸長を停止させてからも一方の空圧ジャッキを若干伸長させることができるため、他方の油圧ジャッキをその分伸長させて移動台車10Bに押圧力を加えることができる(第三・第七工程)。その後、一方のジャッキ側のクランプをレールRから取り外しつつ、他方の油圧ジャッキを伸長させて移動台車10Bに押圧力を加えることができる(第四・第八工程)。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車10Bを一度停止させる必要がなくなり、移動台車10Bの停止(及び再始動)に伴う煩雑な減速操作や加速操作も不要となるという利点がある。
【0101】
また、以上説明した実施形態に係る重量物搬送装置1Bにおいては、油圧ジャッキ21・31Bに加えて「空圧ジャッキ22・32B」を有する前方・後方ジャッキ20・30Bを用いることにより、クランプの掴み替えの際にも移動台車10Bに押圧力を加え続けることができる。従って、クランプの掴み替えの際に移動台車10Bを一度停止させる必要がなくなるため、移動台車10Bの平均移動速度を高める(すなわち移動時間を短縮する)ことができ、効率良く重量物を搬送することが可能となる。
【0102】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0103】
1・1A・1B…重量物搬送装置
10・10A・10B…移動台車
11…第一部分(前方部分、後方部分)
11A…前方部分
12…第二部分(前方部分、後方部分)
12A…後方部分
12BL…後方部分の下部(第一部分)
12BU…後方部分の上部(第二部分)
20…第一ジャッキ(前方ジャッキ、後方ジャッキ、水平ジャッキ)
21…油圧ジャッキ
22…空圧ジャッキ
30…第二ジャッキ(前方ジャッキ、後方ジャッキ、水平ジャッキ)
30B…後方ジャッキ(第二ジャッキ、水平ジャッキ)
31・31B…油圧ジャッキ
32・32B…空圧ジャッキ
40…第一クランプ(前方クランプ、後方クランプ)
50…第二クランプ(前方クランプ、後方クランプ)
R…レール