(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】基板作業装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
H05K13/08 A
(21)【出願番号】P 2021111344
(22)【出願日】2021-07-05
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中島 努
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-256809(JP,A)
【文献】特開2004-251781(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142248(WO,A1)
【文献】特開2020-187507(JP,A)
【文献】特開2019-105610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に接続される複数の電極を含む部品を撮像する撮像部と、
部品を撮像した撮像結果と、部品の複数の電極の位置および形状の情報を含むモデルデータとを比較して、部品の良否判定を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記撮像部により撮像した部品の各々の電極と、前記モデルデータの各々の電極とがマッチするように前記モデルデータを変形させるとともに、前記モデルデータの各々の電極に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品が不良であると判定するように構成されている、基板作業装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の電極を含む部品において、複数の電極の各々に対して、前記撮像部により撮像した部品の電極と、前記モデルデータの電極とがマッチするように前記モデルデータを変形させるとともに、少なくとも1つの電極について前記モデルデータの各々の電極に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品が不良であると判定するように構成されている、請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切った状態で複数の多角形形状の領域を変形させることにより、前記撮像部により撮像した部品の電極と、前記モデルデータの電極とがマッチするように前記モデルデータを変形させるように構成されている、請求項1または2に記載の基板作業装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記モデルデータの区切られた多角形形状の領域の頂点の移動量および移動方向を変えながら多角形形状の領域を変形させるように構成されている、請求項3に記載の基板作業装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定の閾値に基づいて、前記モデルデータの区切られた多角形形状の領域の頂点の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、前記モデルデータの多角形形状の領域を変形させるように構成されている、請求項4に記載の基板作業装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記モデルデータの電極の個数、形状および電極の種類の少なくとも1つに基づいて、前記モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切るように構成されている、請求項3~5のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項7】
前記制御部は、区切られる多角形形状の領域内には、複数の電極が含まれないように、前記モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切るように構成されている、請求項6に記載の基板作業装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記モデルデータの電極の輪郭線を変形させることにより、前記撮像部により撮像した部品の電極と、前記モデルデータの電極とがマッチするように前記モデルデータを変形させるように構成されている、請求項1または2に記載の基板作業装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記モデルデータの電極の輪郭線上の点の移動量および移動方向を変えながら電極の輪郭線を変形させるように構成されている、請求項8に記載の基板作業装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記所定の閾値に基づいて、前記モデルデータの電極の輪郭線上の点の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、前記モデルデータの電極の輪郭線を変形させるように構成されている、請求項9に記載の基板作業装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記モデルデータの電極の輪郭線上における複数の点のうち形状に特徴のある特徴点を先に移動させるように構成されている、請求項8~10のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項12】
前記制御部は、区切られる多角形形状の領域内には、複数の電極が含まれないように、前記モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切るように構成され、
前記制御部は、前記撮像部により撮像した部品の電極と前記モデルデータの電極とがマッチするように前記モデルデータを変形させることに代えて、前記モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切った状態で、各々の多角形形状の領域内において、前記撮像部により撮像した部品の電極と、前記モデルデータの電極とのパターンマッチングを行い、部品の良否判定を行うように構成されている、請求項1~
6、8~11のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項13】
基板に対して部品を実装する実装ヘッドを備え、
前記撮像部は、前記実装ヘッドに保持された部品を撮像するように構成されており、
前記制御部は、部品を撮像した撮像結果と、部品の電極の位置および形状の情報を含む前記モデルデータとを比較して、前記実装ヘッドに保持された部品の良品判定を行うように構成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板作業装置に関し、特に、部品を撮像する撮像部を備える基板作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を撮像する撮像部を備える検査装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に実装するウェハ(部品)を撮像する撮像部と、撮像部により撮像したウェハとウェハの設計データに基づくテンプレートとをマッチングさせて、ウェハ(部品)の欠陥を検出する制御部と、を備える検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、上記特許文献1のように撮像した部品とテンプレートとをマッチングさせて欠陥を検出する場合には、画像における全体のマッチ率に基づいて、マッチ率が所定の値より小さい場合に、不良であると判定されている。このため、部品の複数の電極のうち1つの電極が大きく変形しており不良の部品である場合において、他の電極のマッチ率が高く全体的にマッチ率が高い場合には、不良であるにもかかわらず不良と判定されない場合がある。また、部品の複数の電極について不良とはならない小さな変形や膨張や収縮などがあり、全体的にマッチ率が小さくなる場合には、良品である(使用可能な部品)にもかかわらず不良と判定されてしまう場合がある。このため、部品の複数の電極を撮像して部品の良否判定を行う際の精度が低下する場合がある。そこで、部品の複数の電極を撮像して部品の良否判定を行う際の精度が低下するのを抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品の複数の電極を撮像して部品の良否判定を行う際の精度が低下するのを抑制することが可能な基板作業装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による基板作業装置は、基板に接続される複数の電極を含む部品を撮像する撮像部と、部品を撮像した撮像結果と、部品の複数の電極の位置および形状の情報を含むモデルデータとを比較して、部品の良否判定を行う制御部とを備え、制御部は、撮像部により撮像した部品の各々の電極と、モデルデータの各々の電極とがマッチするようにモデルデータを変形させるとともに、モデルデータの各々の電極に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品が不良であると判定するように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による基板作業装置では、上記のように、撮像部により撮像した部品の各々の電極と、モデルデータの各々の電極とがマッチするようにモデルデータを変形させるとともに、モデルデータの各々の電極に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品が不良であると判定する制御部を設ける。これにより、複数の電極の各々について変形量を取得することができるので、全体的なマッチ率に基づいて良否判定を行う場合と異なり、複数の電極の各々について良否を精度よく判定することができる。これにより、部品の複数の電極を撮像して部品の良否判定を行う際の精度が低下するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、複数の電極を含む部品において、複数の電極の各々に対して、撮像部により撮像した部品の電極と、モデルデータの電極とがマッチするようにモデルデータを変形させるとともに、少なくとも1つの電極についてモデルデータの各々の電極に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品が不良であると判定するように構成されている。このように構成すれば、複数の電極のうち1つの電極が大きく変形して、変形した電極が基板に対して接続不良となる場合に、部品として不良であることを判定することができる。これにより、不良の部品を良品と判定することを抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切った状態で複数の多角形形状の領域を変形させることにより、撮像部により撮像した部品の電極と、モデルデータの電極とがマッチするようにモデルデータを変形させるように構成されている。このように構成すれば、様々な大きさおよび形状の部品の各々について、良否を判定する際に、多角形形状の領域を変形させる同様の処理を行うことができるので、様々な部品について容易に良否判定の処理を行うことができる。
【0011】
上記モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切った状態で複数の多角形形状の領域を変形させる構成において、好ましくは、制御部は、モデルデータの区切られた多角形形状の領域の頂点の移動量および移動方向を変えながら多角形形状の領域を変形させるように構成されている。このように構成すれば、多角形形状の領域の頂点を移動させることにより多角形形状の領域を変形させるので、多角形形状の領域の頂点の数だけ変形処理を行えばよい。これにより、頂点以外の多角形形状の領域の辺上の点を個別に移動させる必要がないので、多角形形状の領域の変形処理が煩雑化するのを抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、所定の閾値に基づいて、モデルデータの区切られた多角形形状の領域の頂点の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、モデルデータの多角形形状の領域を変形させるように構成されている。このように構成すれば、変形量が大きくなり所定の閾値よりも大きくなる場合に、撮像部により撮像した部品の電極とモデルデータの電極とがマッチするまで多角形形状の領域を変形する処理を継続しないので、多角形形状の領域の変形処理を効率的に終了させることができる。
【0013】
上記モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切った状態で複数の多角形形状の領域を変形させる構成において、好ましくは、制御部は、モデルデータの電極の個数、形状および電極の種類の少なくとも1つに基づいて、モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切るように構成されている。このように構成すれば、多角形形状の領域を複数の電極の各々に合わせた大きさに区切ることができるので、過度に小さく区切ることに起因して処理が煩雑になるのを抑制することができるとともに、過度に大きく区切ることに起因して判定精度が低下するのを抑制することができる。また、多角形形状の領域を複数の電極の各々に合わせた形状に区切ることができるので、電極の変形に応じて多角形形状の領域を追従するように容易に変形させることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、区切られる多角形形状の領域内には、複数の電極が含まれないように、モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切るように構成されている。このように構成すれば、複数の電極のうち1つの電極が含まれるように多角形形状の領域を区切ることができるので、1つの電極に合わせて多角形形状の領域を変形させることができる。これにより、複数の電極に合わせて多角形形状の領域を変形させる場合に比べて、多角形形状の領域の変形処理をより容易に行うことができる。
【0015】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、モデルデータの電極の輪郭線を変形させることにより、撮像部により撮像した部品の電極と、モデルデータの電極とがマッチするようにモデルデータを変形させるように構成されている。このように構成すれば、複数の電極の各々について、モデルデータの輪郭線を変形させることができるので、複数の電極の各々についての変形を容易に判定することができる。
【0016】
上記モデルデータの電極の輪郭線を変形させる構成において、好ましくは、制御部は、モデルデータの電極の輪郭線上の点の移動量および移動方向を変えながら電極の輪郭線を変形させるように構成されている。このように構成すれば、モデルデータの電極の輪郭線が、撮像した部品の電極にマッチするように、モデルデータを容易に変形させることができる。
【0017】
この場合、好ましくは、制御部は、所定の閾値に基づいて、モデルデータの電極の輪郭線上の点の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、モデルデータの電極の輪郭線を変形させるように構成されている。このように構成すれば、変形量が大きくなり所定の閾値よりも大きくなる場合に、撮像部により撮像した部品の電極とモデルデータの電極とがマッチするまでモデルデータの電極の輪郭線を変形する処理を継続しないので、モデルデータの電極の輪郭線の変形処理を効率的に終了させることができる。
【0018】
上記モデルデータの電極の輪郭線を変形させる構成において、好ましくは、制御部は、モデルデータの電極の輪郭線上における複数の点のうち形状に特徴のある特徴点を先に移動させるように構成されている。このように構成すれば、モデルデータの輪郭線上の角部、交点、曲面などの形状に特徴がある特徴点を先に移動させることができるので、直線上の点などの一意に移動位置が決定しにくい部分についても、先に移動させた特徴点の移動に基づいて、移動位置を容易に決定することができる。
【0019】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、区切られる多角形形状の領域内には、複数の電極が含まれないように、モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切るように構成され、制御部は、撮像部により撮像した部品の電極とモデルデータの電極とがマッチするようにモデルデータを変形させることに代えて、モデルデータを複数の多角形形状の領域に区切った状態で、各々の多角形形状の領域内において、撮像部により撮像した部品の電極と、モデルデータの電極とのパターンマッチングを行い、部品の良否判定を行うように構成されている。このように構成すれば、部品の全体にわたってパターンマッチングを行う場合と比べて、パターンマッチングの処理を迅速に行うことができる。また、区切られた多角形形状の領域ごとに電極の良否を判定することができるので、より精度よく部品の良否判定を行うことができる。
【0020】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、基板に対して部品を実装する実装ヘッドを備え、撮像部は、実装ヘッドに保持された部品を撮像するように構成されており、制御部は、部品を撮像した撮像結果と、部品の電極の位置および形状の情報を含むモデルデータとを比較して、実装ヘッドに保持された部品の良品判定を行うように構成されている。このように構成すれば、部品を基板に実装する際に、部品の複数の電極の状態を確認して部品の良否判定を行うことができるので、不良部品が基板に実装されるのを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、部品の複数の電極を撮像して部品の良否判定を行う際の精度が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態による部品実装装置の概略を示した平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による部品実装装置の撮像した部品とモデルデータとのマッチングを説明するための図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による部品実装装置のモデルデータの格子の変形を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による部品実装装置のモデルデータの格子の設定を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による部品実装装置のモデルデータの格子の頂点の移動を説明するための図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による部品実装装置の格子毎のマッチングを説明するための図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による部品実装装置のモデルデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の第1実施形態による部品実装装置の部品実装処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の第1実施形態による部品実装装置の部品の良否判定処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本発明の第2実施形態による部品実装装置の撮像した部品とモデルデータとのマッチングを説明するための図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による部品実装装置のモデルデータの輪郭線上の点の移動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1~
図9を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板SをX方向に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Sに部品31を実装する部品実装装置である。
【0026】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、移動機構5と、移動機構6と、部品認識撮像部7と、制御部8とを備えている。なお、部品認識撮像部7は、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。また、部品実装装置100は、特許請求の範囲の「基板作業装置」の一例である。
【0027】
一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板SをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2には、搬送中の基板Sを実装作業位置Mで停止させた状態で保持する保持機構が設けられている。また、一対のコンベア2は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0028】
部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、実装ヘッド42に部品31を供給するテープフィーダ30が配置される。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ30が配置可能に構成されている。
【0029】
テープフィーダ30は、部品31を保持した部品供給テープを送り出しながら部品31を供給する。具体的には、テープフィーダ30は、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープが巻き付けられたリールを保持している。また、テープフィーダ30は、リールの部品供給テープを部品供給位置に向けて送り出すように構成されている。テープフィーダ30は、Y方向の先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、IC、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、コネクタなどの電子部品を含む。
【0030】
図1に示すように、ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41が下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43とを含んでいる。
【0031】
実装ヘッド42は、基板Sに部品31を実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、部品供給部3に配置されたテープフィーダ30から供給される部品31を吸着して、実装作業位置Mに配置された基板Sに対して吸着した部品31を装着するように構成されている。また、実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成されている。また、実装ヘッド42は、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ30から供給される部品31を吸着して保持し、基板Sにおける実装位置に部品31を装着(実装)するように構成されている。
【0032】
基板認識カメラ43は、基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板SのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品31の実装位置を正確に取得することが可能である。
【0033】
移動機構5は、モータ51を含んでいる。移動機構5は、モータ51を駆動させることにより、移動機構5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。移動機構5は、両端部が移動機構6により支持されている。
【0034】
移動機構6は、基台1上に固定されている。X1側の移動機構6は、モータ61を含んでいる。移動機構6は、モータ61を駆動させることにより、移動機構5を移動機構6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が移動機構5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、移動機構5が移動機構6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4は水平方向(XY方向)に移動可能である。つまり、移動機構5および6は、実装ヘッド42を水平方向に移動させるように構成されている。
【0035】
部品認識撮像部7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識撮像部7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部8により取得することが可能である。また、部品認識撮像部7は、基板Sに接続される複数の電極31aを含む部品31を撮像する。部品31には、
図2に示すように、複数の電極31aが設けられている。電極31aは、基板Sに設けられた電極、または、基板Sに接続される配線に接続される。また、電極31aは、部品31の外表面に設けられている。また、電極31aは、リード状、ボール状、平板状の電極を含む。
【0036】
制御部8は、CPU、メモリを含んでおり、一対のコンベア2による基板Sの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、部品認識撮像部7および基板認識カメラ43による撮像動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。
【0037】
ここで、第1実施形態では、制御部8は、部品31を撮像した撮像結果と、部品31の複数の電極31aの位置および形状の情報を含むモデルデータ9とを比較して、部品31の良否判定を行うように構成されている。具体的には、
図2に示すように、制御部8は、部品認識撮像部7により撮像した部品31の画像71中の各々の電極31aと、モデルデータ9の各々の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させる。また、制御部8は、モデルデータ9の各々の電極91に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品31が不良であると判定する。また、制御部8は、実装ヘッド42に保持された部品31の良品判定を行うように構成されている。
【0038】
また、制御部8は、複数の電極31aを含む部品31において、複数の電極31aの各々に対して、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータを変形させるとともに、少なくとも1つの電極についてモデルデータ9の各々の電極91に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品31が不良であると判定するように構成されている。
【0039】
また、
図2および
図3に示すように、制御部8は、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域92に区切った状態で複数の多角形形状の領域92を変形させることにより、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させるように構成されている。具体的には、制御部8は、モデルデータ9を、四角形形状(格子状)の複数の多角形形状の領域92に区切る。
【0040】
図2に示すように、制御部8は、基準P1を決定するために、画像71中の部品31と、モデルデータ9とのパターンマッチングを行う。これにより、部品31の中心などに設定された基準P1が決定される。制御部8は、基準P1に基づいて、画像71中の部品31の位置および姿勢(傾き)を検出する。
【0041】
制御部8は、画像71中の部品31とモデルデータ9とを比較して、画像71中の部品31の各々の電極31aと、モデルデータ9の各々の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させる。
【0042】
制御部8は、
図3に示すように、モデルデータ9の区切られた多角形形状の領域92の頂点の移動量および移動方向を変えながら多角形形状の領域92を変形させるように構成されている。具体的には、
図5に示すように、制御部8は、所定の閾値に基づいて、モデルデータ9の区切られた多角形形状の領域92の頂点の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、モデルデータ9の多角形形状の領域92を変形させるように構成されている。たとえば、移動量の上限値は、所定の閾値にわずかなマージンを加えた量が設定される。
【0043】
また、所定の閾値は、部品31の寸法データに基づいて算出される。たとえば、所定の閾値は、部品31のカタログや仕様書に電極間隔(ピッチ)の公差が記載されている場合、(電極数-1)×公差として算出される。この場合、公差としてずれる最大の量を基準として所定の閾値が設定される。
【0044】
また、制御部8は、多角形形状の領域92の格子の頂点(角)の位置を、上限値の範囲内の円内において、半径と角度を微小刻みずつ変化させながら移動させて、多角形形状の領域92の格子の形状を変形させる。そして、制御部8は、変形させて多角形形状の領域92内の電極91と、画像71中の電極31aとをマッチングさせる。そして、制御部8は、マッチングのスコアが最も良い場合の多角形形状の領域92の変形を採用する。そして、制御部8は、採用した多角形形状の領域92のマッチングのスコアが一定値に満たない場合(マッチしなかった場合)は、部品31の電極31aの変形量が閾値より大きいと判断する。
【0045】
また、制御部8は、
図4に示すように、モデルデータ9の電極91の個数、形状および電極91の種類の少なくとも1つに基づいて、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域92に区切るように構成されている。制御部8は、区切られる多角形形状の領域92内には、複数の電極91が含まれないように、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域92に区切るように構成されている。なお、1つの多角形形状の領域92内に複数の電極91が含まれなければよいので、1つの電極91が複数の多角形形状の領域92にまたがる様に、多角形形状の領域92が分割されてもよい。また、モデルデータ9の多角形形状の領域92の分割は、オペレータが指定することにより行ってもよい。また、モデルデータ9を所定の大きさの多角形形状の領域92に区切ったのちに、各多角形形状の領域毎に多角形形状の領域内での電極91の輪郭要素の個数、輪郭形状の凸性(領域の凸面度に対する形状係数)に応じてさらに多角形形状の領域を区切って細分化してもよい。
【0046】
また、制御部8は、電極91のリードピッチやボールピッチなどの電極間隔や電極形状を構成する要素に基づいて多角形形状の領域92を決定してもよい。たとえば、制御部8は、多角形形状の領域の長さを、電極間隔の半分に設定してもよい。
【0047】
また、制御部8は、
図6に示すように、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aとモデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させることに代えて、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域93に区切った状態で、各々の多角形形状の領域93内において、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とのパターンマッチングを行い、部品31の良否判定を行うように構成されている。
【0048】
つまり、制御部8は、基準P1を決定するマッチングを行ったのち、格子状の多角形形状の領域93にモデルデータ9を区切った状態で、各々の多角形形状の領域93単位でのマッチングスコアを算出する。そして、制御部8は、マッチングスコアが所定値以上であれば、部品31の電極31aの変形はないと判定する。また、制御部8は、スコアが所定値よりも小さい多角形形状の領域93について、この多角形形状の領域93内において、パターンマッチングを実行し、位置の変位量を変形量として閾値に基づいて判定する。なお、この多角形形状の領域93内においてマッチするものが見つからない場合には、隣接する多角形形状の領域93も探索範囲に含めてパターンマッチングを実行してもよい。
【0049】
(モデルデータ作成処理)
次に、
図7を参照して、部品実装装置100の制御部8によるモデルデータ9の作成処理について説明する。なお、モデルデータ9は、部品実装装置100以外の装置の制御部により行ってもよい。
【0050】
図7のステップS1において、制御部8は、部品認識撮像部7により良品の部品31の撮像を行う。ステップS2において、制御部8は、撮像した画像から、エッジ検出により輪郭線を抽出し、輪郭モデルのデータを作成する。輪郭線は、部品31の輪郭線、および、部品31の電極31aの輪郭線を含んでいる。
【0051】
ステップS3において、制御部8は、輪郭モデルの中心基準(基準P1)を設定する。ステップS4において、制御部8は、輪郭モデルを区切り、格子状の多角形形状の領域92を設定する。
【0052】
ステップS5において、制御部8は、良否判定に用いる変形量の所定の閾値を設定する。ステップS6において、制御部8は、作成したモデルデータ9を記憶部に保存する。
【0053】
(部品実装処理)
次に、
図8を参照して、部品実装装置100の制御部8による部品実装処理について説明する。
【0054】
図8のステップS11において、制御部8は、作成して保存したモデルデータ9を読み込む。ステップS12において、制御部8は、実装ヘッド42により、部品供給部3から部品31を吸着する。また、制御部8は、実装ヘッド42に吸着された部品31を、部品認識撮像部7により撮像する。
【0055】
ステップS13において、制御部8は、パターンマッチングにより部品31の吸着姿勢を取得する。ステップS14において、制御部8は、実装ヘッド42に吸着された部品31の良否判定を行う。
【0056】
ステップS15において、制御部8は、部品31が不良の判定か否かを判断する。部品31が不良でなければ(良品であれば)ステップS16に進み、部品31が不良であれば、ステップS17に進む。
【0057】
ステップS16において、制御部8は、実装ヘッド42に吸着された部品31を基板Sに実装する。その後、他の部品31の実装処理が繰り返される。また、ステップS17において、制御部8は、不良と判定した部品31を廃棄する。その後、ステップS12に戻る。
【0058】
(部品の良否判定処理)
次に、
図9を参照して、
図8のステップS14の部品の良否判定処理について説明する。
【0059】
ステップS21において、制御部8は、1つ目の格子状の多角形形状の領域92を変形させる対象にする。ステップS22において、制御部8は、多角形形状の領域92の1つ目の頂点を変形させる(移動させる)対象とする。
【0060】
ステップS23において、制御部8は、変形の半径を初期化する。ステップS24において、制御部8は、変形の角度を0度に初期化する。
【0061】
ステップS25において、制御部8は、頂点の位置を移動させて変形させた多角形形状の領域92において、画像71内の部品31の電極31aと、多角形形状の領域92内の電極91とをマッチングさせてマッチングスコアを算出する。
【0062】
ステップS26において、制御部8は、変形の角度を刻み分増加させる。ステップS27において、制御部8は、変形の角度が360度に到達したか否かを判断する。つまり、ある半径において多角形形状の領域92の頂点を1周分移動させて多角形形状の領域92を変形させたか否かを判断する。360度に到達していれば、ステップS28に進み、360度に到達していなければ、ステップS25に戻る。
【0063】
ステップS28において、制御部8は、変形の半径を刻み分増加させる。ステップS29において、制御部8は、変形の半径が上限を超えたか否かを判断する。なお、変形の半径の上限は、所定の閾値にわずかなマージンを加えた量(所定の閾値+α)が設定されている。上限を超えていれば、ステップS30に進み、上限を超えていなければ、ステップS24に戻る。
【0064】
ステップS30において、制御部8は、マッチングスコアが最大値の変形量をこの頂点の変形量として採用する。ステップS31において、制御部8は、スコアが一定値未満または変形量が閾値より大きいか否かを判断する。スコアが一定値未満または変形量が閾値より大きい場合は、ステップS32に進み、スコアが一定値以上かつ変形量が閾値以下であれば、ステップS33に進む。
【0065】
ステップS32において、制御部8は、部品31を不良であると判定する。その後、部品の良否判定処理が終了される。
【0066】
ステップS33において、制御部8は、多角形形状の領域92の次の頂点を変形させる(移動させる)対象とする。なお、隣接する多角形形状の領域92と重複する頂点で、既に対象とされた頂点については、既に移動済みであるため、対象から除外される。ステップS34において、対象の多角形形状の領域92の全ての頂点について変形させる(移動させる)処理が終了したか否かが判断される。処理が終了していれば、ステップS35に進み、処理が終了していなければ、ステップS23に戻る。
【0067】
ステップS35において、制御部8は、次の多角形形状の領域92を変形させる対象とする。ステップS36において、モデルデータ9における全ての多角形形状の領域92について変形させる処理が終了したか否かが判断される。処理が終了していれば、ステップS37に進み、処理が終了していなければ、ステップS22に戻る。
【0068】
ステップS37において、制御部8は、部品31を良品であると判定する。その後、部品の良否判定処理が終了される。
【0069】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
第1実施形態では、上記のように、部品認識撮像部7により撮像した部品31の各々の電極31aと、モデルデータ9の各々の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させるとともに、モデルデータ9の各々の電極91に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品31が不良であると判定する制御部8を設ける。これにより、複数の電極の各々について変形量を取得することができるので、全体的なマッチ率に基づいて良否判定を行う場合と異なり、複数の電極の各々について良否を精度よく判定することができる。これにより、部品31の複数の電極31aを撮像して部品31の良否判定を行う際の精度が低下するのを抑制することができる。
【0071】
第1実施形態では、上記のように、制御部8は、複数の電極31aを含む部品31において、複数の電極31aの各々に対して、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータを変形させるとともに、少なくとも1つの電極についてモデルデータ9の各々の電極91に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品31が不良であると判定するように構成されている。これにより、複数の電極31aのうち1つの電極31aが大きく変形して、変形した電極31aが基板Sに対して接続不良となる場合に、部品31として不良であることを判定することができる。これにより、不良の部品31を良品と判定することを抑制することができる。
【0072】
第1実施形態では、上記のように、制御部8は、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域92に区切った状態で複数の多角形形状の領域92を変形させることにより、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させるように構成されている。これにより、様々な大きさおよび形状の部品31の各々について、良否を判定する際に、多角形形状の領域92を変形させる同様の処理を行うことができるので、様々な部品31について容易に良否判定の処理を行うことができる。
【0073】
第1実施形態では、上記のように、制御部8は、モデルデータ9の区切られた多角形形状の領域92の頂点の移動量および移動方向を変えながら多角形形状の領域92を変形させるように構成されている。これにより、多角形形状の領域92の頂点を移動させることにより多角形形状の領域92を変形させるので、多角形形状の領域92の頂点の数だけ変形処理を行えばよい。これにより、頂点以外の多角形形状の領域92の辺上の点を個別に移動させる必要がないので、多角形形状の領域92の変形処理が煩雑化するのを抑制することができる。
【0074】
第1実施形態では、上記のように、制御部8は、所定の閾値に基づいて、モデルデータ9の区切られた多角形形状の領域92の頂点の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、モデルデータ9の多角形形状の領域92を変形させるように構成されている。これにより、変形量が大きくなり所定の閾値よりも大きくなる場合に、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aとモデルデータ9の電極91とがマッチするまで多角形形状の領域92を変形する処理を継続しないので、多角形形状の領域92の変形処理を効率的に終了させることができる。
【0075】
第1実施形態では、上記のように、制御部8は、モデルデータ9の電極91の個数、形状および電極91の種類の少なくとも1つに基づいて、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域92に区切るように構成されている。これにより、多角形形状の領域92を複数の電極91の各々に合わせた大きさに区切ることができるので、過度に小さく区切ることに起因して処理が煩雑になるのを抑制することができるとともに、過度に大きく区切ることに起因して判定精度が低下するのを抑制することができる。また、多角形形状の領域92を複数の電極91の各々に合わせた形状に区切ることができるので、電極31aの変形に応じて多角形形状の領域92を追従するように容易に変形させることができる。
【0076】
第1実施形態では、上記のように、制御部8は、区切られる多角形形状の領域92内には、複数の電極91が含まれないように、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域92に区切るように構成されている。これにより、複数の電極91のうち1つの電極91が含まれるように多角形形状の領域92を区切ることができるので、1つの電極31aに合わせて多角形形状の領域92を変形させることができる。これにより、複数の電極31aに合わせて多角形形状の領域92を変形させる場合に比べて、多角形形状の領域92の変形処理をより容易に行うことができる。
【0077】
第1実施形態では、上記のように、制御部8は、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aとモデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させることに代えて、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域93に区切った状態で、各々の多角形形状の領域93内において、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とのパターンマッチングを行い、部品31の良否判定を行うように構成されている。これにより、部品31の全体にわたってパターンマッチングを行う場合と比べて、パターンマッチングの処理を迅速に行うことができる。また、区切られた多角形形状の領域93ごとに電極31aの良否を判定することができるので、より精度よく部品31の良否判定を行うことができる。
【0078】
第1実施形態では、上記のように、基板Sに対して部品31を実装する実装ヘッド42を備え、部品認識撮像部7は、実装ヘッド42に保持された部品31を撮像するように構成されており、制御部8は、部品31を撮像した撮像結果と、部品31の電極31aの位置および形状の情報を含むモデルデータ9とを比較して、実装ヘッド42に保持された部品31の良品判定を行うように構成されている。これにより、部品31を基板Sに実装する際に、部品31の複数の電極31aの状態を確認して部品31の良否判定を行うことができるので、不良部品が基板Sに実装されるのを確実に抑制することができる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、
図10および
図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、モデルデータ9を複数の多角形形状の領域92に区切って、多角形形状の領域92を変形させることにより、モデルデータ9を変形させる構成の上記第1実施形態とは異なり、モデルデータ9の電極91の輪郭線上の点を移動させることにより、モデルデータ9を変形させる構成の例について説明する。
【0080】
ここで、第2実施形態では、制御部8は、部品31を撮像した撮像結果と、部品31の複数の電極31aの位置および形状の情報を含むモデルデータ9とを比較して、部品31の良否判定を行うように構成されている。また、制御部8は、部品認識撮像部7により撮像した部品31の画像71中の各々の電極31aと、モデルデータ9の各々の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させる。また、制御部8は、モデルデータ9の各々の電極91に対応する変形量が所定の閾値より大きい場合に、部品31が不良であると判定する。
【0081】
また、制御部8は、
図10に示すように、モデルデータ9の電極91の輪郭線を変形させることにより、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させるように構成されている。また、制御部8は、
図5に示すように、モデルデータ9の電極91の輪郭線上の点94の移動量および移動方向を変えながら電極91の輪郭線を変形させるように構成されている。
【0082】
つまり、第2実施形態では、制御部8は、輪郭線を構成する点94を様々に移動させて、点94が画像71中の部品31の電極31aのエッジ(輪郭)に重なる位置を求める。また、制御部8は、全ての点94について、画像71中の部品31の電極31aのエッジ(輪郭)に重なる位置を求める。なお、制御部8は、1点ずつ移動させて位置を決める場合に、一意に位置が決まらない場合は、複数の点94をまとめて移動させて位置を決めるようにしてもよい。
【0083】
また、制御部8は、所定の閾値に基づいて、モデルデータ9の電極91の輪郭線上の点94の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、モデルデータ9の電極91の輪郭線を変形させるように構成されている。たとえば、移動量の上限値は、所定の閾値にわずかなマージンを加えた量が設定される。
【0084】
また、制御部8は、
図11に示すように、モデルデータ9の電極91の輪郭線上における複数の点94のうち形状に特徴のある特徴点94aを先に移動させるように構成されている。具体的には、制御部8は、角部、交点、曲面などの形状に特徴がある特徴点94aを先に移動させる。その後、制御部8は、直線部などのその他の点94bを移動させる。制御部8は、基準P1を求めるためのパターンマッチングから、変形量を求め、変形量に基づいて良否を判定する。ここで、輪郭線は、点94を結んで表される。そして、制御部8は、全ての点94について変形量(移動量)を求め、変形量(移動量)が所定の閾値を超える場合には、部品31が不良であると判定する。
【0085】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0086】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0087】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、部品31の複数の電極31aを撮像して部品31の良否判定を行う際の精度が低下するのを抑制することができる。
【0088】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部8は、モデルデータ9の電極91の輪郭線を変形させることにより、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aと、モデルデータ9の電極91とがマッチするようにモデルデータ9を変形させるように構成されている。これにより、複数の電極の各々について、モデルデータ9の輪郭線を変形させることができるので、複数の電極31aの各々についての変形を容易に判定することができる。
【0089】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部8は、モデルデータ9の電極91の輪郭線上の点94の移動量および移動方向を変えながら電極91の輪郭線を変形させるように構成されている。これにより、モデルデータ9の電極91の輪郭線が、撮像した部品31の電極31aにマッチするように、モデルデータ9を容易に変形させることができる。
【0090】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部8は、所定の閾値に基づいて、モデルデータ9の電極91の輪郭線上の点94の移動量の上限値を予め設定し、上限値の範囲内において、モデルデータ9の電極91の輪郭線を変形させるように構成されている。これにより、変形量が大きくなり所定の閾値よりも大きくなる場合に、部品認識撮像部7により撮像した部品31の電極31aとモデルデータ9の電極91とがマッチするまでモデルデータ9の電極91の輪郭線を変形する処理を継続しないので、モデルデータ9の電極91の輪郭線の変形処理を効率的に終了させることができる。
【0091】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部8は、モデルデータ9の電極91の輪郭線上における複数の点94のうち形状に特徴のある特徴点94aを先に移動させるように構成されている。これにより、モデルデータ9の輪郭線上の角部、交点、曲面などの形状に特徴がある特徴点94aを先に移動させることができるので、直線上の点94bなどの一意に移動位置が決定しにくい部分についても、先に移動させた特徴点94aの移動に基づいて、移動位置を容易に決定することができる。
【0092】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0093】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0094】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の基板作業装置を部品実装装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の基板作業装置を、部品が実装された基板を検査する基板検査装置に適用してもよい。この場合、基板に実装された部品の良否判定を行ってもよい。
【0095】
また、上記第1および第2実施形態では、実装ヘッドに吸着された部品の良否判定を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装ヘッドに吸着される前の部品の良否判定を行ってもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態では、モデルデータを四角形の多角形形状の領域に区切る構成の例を示したが、本発明はれこに限られない。本発明では、モデルデータを三角形または五角以上の多角形形状の領域に区切ってもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、ヘッドユニットが1つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットを複数設けてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、基板を搬送するコンベアが一対設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板を搬送するコンベアが複数対設けられていてもよい。たとえば、並行して基板を搬送可能であり、並行して基板に部品を実装可能な部品実装装置に本発明を適用してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0100】
7 部品認識撮像部(撮像部)
8 制御部
9 モデルデータ
31 部品
31a 電極
42 実装ヘッド
92 多角形形状の領域
94a 特徴点
100 部品実装装置(基板作業装置)
S 基板