(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】保育施設
(51)【国際特許分類】
E04H 3/08 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
E04H3/08 Z
(21)【出願番号】P 2021122467
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 恵美
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-214229(JP,A)
【文献】特開2020-033827(JP,A)
【文献】特開2020-204198(JP,A)
【文献】田宮 由美,「保育園のスケジュール……0歳、1歳、2歳児クラスの1日の流れとは」,All About 暮らし [online],2020年09月26日,[2024年5月21日検索],<https://allabout.co.jp/gm/gc/197716/>
【文献】藤田 大輔,外1名,活動場所が緩やかに分かれた0~2歳児保育空間の設計意図とその活動実態,第39回地域施設計画研究シンポジウム,日本建築学会 建築計画委員会 施設計画運営委員会 地域施設計画小委員会,2021年07月16日,[2024年5月21日検索],<http://news-sv.aij.or.jp/chiiki-sympo/39/30.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昼食後にパジャマに着替え、排泄を済ませてから午睡を取る保育スケジュールに則して園児の保育が行われる保育施設であって、
食台が設置されて園児が昼食を取る第一保育室と、
前記第一保育室に隣接し、寝具が設置されて園児が午睡を取る第二保育室と、
前記第二保育室に隣接し、排泄用の器具が設置されて園児が排泄を行うトイレと、
前記第一保育室と前記第二保育室と前記トイレの三つの部屋に隣接し、パジャマを収納するロッカーが設置されて園児が着替えを行う更衣室と、を備えており、
前記更衣室と前記第一保育室は、第一
壁によって隔てられ、かつ、前記第一
壁に設けられて両室間を行き来可能とする第一出入口によって連通し、
前記更衣室と前記第二保育室は、第二
壁によって隔てられ、かつ、前記第二
壁に設けられて両室間を行き来可能とする第二出入口によって連通し、
前記更衣室と前記トイレは、第三
壁によって隔てられ、かつ、前記第三
壁に設けられて両室間を行き来可能とする第三出入口によって連通し、
前記第二保育室と前記トイレは、第四
壁によって隔てられ、かつ、前記第四
壁に設けられて両室間を行き来可能とする第四出入口によって連通し
ており、
前記第二壁と前記第四壁は、平面視において同一の方向に伸びて配置され、
前記第三壁は、平面視において前記第二壁及び前記第四壁と交差して配置されるとともに前記第四壁と一体的に設けられ、
平面視において、前記第二出入口は、前記第三壁に対して一方側に位置し、前記第四出入口は、前記第三壁に対して他方側に位置していることを特徴とする保育施設。
【請求項2】
請求項1に記載の保育施設において、
前記第一保育室と前記第二保育室は、第五
壁によって隔てられ、かつ、前記第五
壁に設けられて両室間を行き来可能とする第五出入口によって連通し、
前記第五出入口には、施錠可能に構成された建具が設けられていることを特徴とする保育施設。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の保育施設において、
前記第二保育室は、廊下が介在しない状態で前記第一保育室に隣接し、
前記トイレは、廊下が介在しない状態で前記第二保育室に隣接し、
前記更衣室は、廊下が介在しない状態で前記第一保育室と前記第二保育室と前記トイレの三つの部屋に隣接していることを特徴とする保育施設。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の保育施設において、
前記第三出入口は、前記第三
壁のうち前記第二
壁側の端部に設けられており、
前記第二出入口は、前記第二
壁のうち前記第三
壁側の端部に設けられていることを特徴とする保育施設。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の保育施設において、
前記第三出入口は、前記第三
壁のうち前記第二
壁側の端部から離間した位置に設けられていることを特徴とする保育施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、午睡を伴う保育が行われる保育施設に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、介護施設と保育施設を併設した施設について開示されており、介護室と保育室が、共用の事務室で仕切られた状態となっている。保育施設は、互いに隣接して園児の行き来が可能な一方の部屋と他方の部屋とを備えており、これら一方の部屋と他方の部屋はどちらも保育が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保育施設の多くは、昼食の後に午睡の時間を設けるスケジュールで保育が行われる。より具体的には、一方の部屋で園児たちが昼食を取っている間に、他方の部屋で寝具の設置が行われる。そして、昼食を取った後、園児たちはパジャマに着替えて排泄を済ませ、他方の部屋で午睡を取る、という流れでスケジュールが組まれる。
ところが、特許文献1における保育施設のレイアウトは、昼食後に排泄を済ませてから午睡を取るような保育スケジュールが想定されていない。
図3は、このような保育スケジュールが想定されていないレイアウトの保育施設の例を挙げたものであり、この例では、午睡を取る他方の部屋(12)とトイレ(13)との間の出入口で園児たちの動線が重複し、混乱が生じやすい。すなわち、出入口付近で、午睡中の園児、排泄待ちの園児、保育士等が混在し、静かで落ち着いた環境下での午睡が困難となる。また、どの園児が排泄を終えたのかそうでないのかの見分けもつきにくくなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、昼食後にパジャマに着替え、排泄を済ませてから午睡を取る保育スケジュールを想定し、園児たちを、午睡を取る部屋へと円滑に誘導できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、昼食後にパジャマに着替え、排泄を済ませてから午睡を取る保育スケジュールに則して園児の保育が行われる保育施設10であって、
食台11aが設置されて園児が昼食を取る第一保育室11と、
前記第一保育室11に隣接し、寝具12aが設置されて園児が午睡を取る第二保育室12と、
前記第二保育室12に隣接し、排泄用の器具13a,13bが設置されて園児が排泄を行うトイレ13と、
前記第一保育室11と前記第二保育室12と前記トイレ13の三つの部屋に隣接し、パジャマを収納するロッカー14aが設置されて園児が着替えを行う更衣室14,140と、を備えており、
前記更衣室14,140と前記第一保育室11は、第一
壁21
(第一壁体21)によって隔てられ、かつ、前記第一
壁21に設けられて両室間を行き来可能とする第一出入口21aによって連通し、
前記更衣室14,140と前記第二保育室12は、第二
壁22
(第二壁体22)によって隔てられ、かつ、前記第二
壁22に設けられて両室間を行き来可能とする第二出入口22aによって連通し、
前記更衣室14,140と前記トイレ13は、第三
壁23,230
(第三壁体23,230)によって隔てられ、かつ、前記第三
壁23,230に設けられて両室間を行き来可能とする第三出入口23aによって連通し、
前記第二保育室12と前記トイレ13は、第四
壁24
(第四壁体24)によって隔てられ、かつ、前記第四
壁24に設けられて両室間を行き来可能とする第四出入口24aによって連通し
ており、
前記第二壁22と前記第四壁24は、平面視において同一の方向に伸びて配置され、
前記第三壁23は、平面視において前記第二壁22及び前記第四壁24と交差して配置されるとともに前記第四壁24と一体的に設けられ、
平面視において、前記第二出入口22aは、前記第三壁23に対して一方側に位置し、前記第四出入口24aは、前記第三壁23に対して他方側に位置していることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第一保育室11で昼食を取った後、園児たちを、第一出入口21aから更衣室14,140へと誘導してパジャマに着替えさせ、午睡前に排泄の必要がない園児たちを、第二出入口22aから第二保育室12へと誘導して午睡を取らせる。また、午睡前に排泄が必要な園児たちを、第三出入口23aからトイレ13へと誘導して排泄させ、排泄を済ませた園児たちを、第四出入口24aから第二保育室12へと誘導して午睡を取らせるようにする。これにより、園児たちの動線が重複しにくくなるので、混乱が生じにくくなり、園児たちを、午睡を取る第二保育室12へと円滑に誘導できる。
また、平面視において、第二出入口22aは、第三壁23,230に対して一方側に位置し、第四出入口24aは、第三壁23,230に対して他方側に位置しているので、第三壁23,230によって、第二出入口22aと第四出入口24aを明確に分けて配置することができ、午睡を取る第二保育室12に向かう園児たちの動線が重複しにくくなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項1に記載の保育施設10において、
前記第一保育室11と前記第二保育室12は、第五
壁25
(第五壁体25)によって隔てられ、かつ、前記第五
壁25に設けられて両室間を行き来可能とする第五出入口25aによって連通し、
前記第五出入口25aには、施錠可能に構成された建具25bが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、保育士やその他の大人の、第一保育室11と第二保育室12との間の移動を、第五出入口25aを通じて行うことができるので、保育スケジュールを円滑に進めやすくなる。さらに、昼食前や午睡後のスケジュールにおいては第五出入口25aを開放することで、第一保育室11と第二保育室12とを連結して広いスペースを確保できるので、イベント等を行いやすくなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項1又は2に記載の保育施設10において、
前記第二保育室12は、廊下が介在しない状態で前記第一保育室11に隣接し、
前記トイレ13は、廊下が介在しない状態で前記第二保育室12に隣接し、
前記更衣室14は、廊下が介在しない状態で前記第一保育室11と前記第二保育室12と前記トイレ13の三つの部屋に隣接していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の保育施設10において、
前記第三出入口23aは、前記第三
壁23のうち前記第二
壁22側の端部に設けられており、
前記第二出入口22aは、前記第二
壁22のうち前記第三
壁23側の端部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第三出入口23aは、第三壁23のうち第二壁22側の端部に設けられており、第二出入口22aは、第二壁22のうち第三壁23側の端部に設けられているので、第二出入口22aと第三出入口23aとを近づけて配置することができる。これにより、更衣室14から、第二保育室12にもトイレ13にも行きやすくなる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図2に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の保育施設10において、
前記第三出入口23aは、前記第三
壁230のうち前記第二
壁22側の端部から離間した位置に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、第三出入口23aは、第三壁230のうち第二壁22側の端部から離間した位置に設けられているので、第三出入口23aを、第二出入口22aから遠ざけて配置することができる。これにより、更衣室140から第二保育室12に向かうルート(第二ルート2)と、更衣室140からトイレ13に向かうルート(第三ルート3)を遠ざけることができるので、午睡を取る第二保育室12に向かう園児たちの動線が重複しにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、昼食後にパジャマに着替え、排泄を済ませてから午睡を取る保育スケジュールを想定し、園児たちを、午睡を取る部屋へと円滑に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】保育施設におけるレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図2】保育施設におけるレイアウトの他の一例を示す平面図である。
【
図3】従来の保育施設におけるレイアウトの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0019】
図1において符号10は保育施設を示す。この保育施設10は、保育所(いわゆる保育園)であり、保護者が働いているなどの何らかの理由によって保育を必要とする乳幼児を預かり、保育することを目的とする通所の施設を指す。また、乳幼児とは、0歳から小学校入学前までの乳児、幼児を指しており、以下、園児と称する。保育施設10での園児の保育は、保育士や保育補助等によって行われる。
【0020】
保育施設10は、第一保育室11と、第二保育室12と、トイレ13と、更衣室14と、廊下15と、を備える。保育施設10は、その他にも保育に必要な部屋や、保育士が保育以外の業務を行う部屋等を適宜備えるものとする。
そして、この保育施設1では、昼食後にパジャマに着替え、排泄を済ませてから午睡を取る保育スケジュールに則して園児の保育が行われる。
【0021】
第一保育室11は、保育施設10の北西に位置しており、食台11a(テーブル)及び椅子11bが設置されて、園児たちが昼食を取る部屋として利用される。また、昼食の他にも、おやつを食べたり、お絵かきを行ったり、その他の遊びを行ったり等、様々な用途で利用されてもよい。
また、第一保育室11の南側には、収納部11cや手洗い場11dが設けられている。
【0022】
第二保育室12は、第一保育室11の東側に隣接して配置されており、寝具12aが設置されて、園児たちが午睡を取る部屋として利用される。また、午睡の他にも、体操を行ったり、遊具で遊んだり等、様々な用途で利用されてもよい。
なお、寝具12aは、積み重ねての収納が容易な午睡用のスタッキングベッドが採用されるが、布団でもよい。
また、第二保育室12の東側には、寝具12aや遊具等を収納できる収納部12bが設けられている。
【0023】
トイレ13は、第二保育室12の南側に隣接して配置されており、排泄用の複数種類の器具13a,13bが設置されて、園児が排泄を行う部屋として利用される。一の器具13aは、男女共に利用できる便器であり、他の器具13bは、男児が利用できる小便器である。また、トイレ13には、手洗い場13cやオムツ替え台13dが設けられている。
【0024】
更衣室14は、第一保育室11及び第二保育室12の南側に隣接するとともに、トイレ13の西側に隣接して配置されており、パジャマを収納するロッカー14aが設置されて、園児たちが着替えを行う部屋として利用される。
ロッカー14aには、平面視コ字型に形成されており、パジャマの他にも、園児たち個人の持ち物が適宜収納される。
更衣室14は、ロッカー14aが設置された着替えエリアA1と、人が通行する通行エリアA2に領域分けされている。
【0025】
廊下15は、更衣室14の南側に隣接するとともに、トイレ13の西側に隣接して配置されている。
【0026】
また、第一保育室11の床と、第二保育室12の床と、トイレ13の床と、更衣室14の床と、廊下15の床は等しい高さに設定されているが、トイレ13の床は、他の部屋の床より低くても、高くてもよい。
【0027】
以上のような各部屋は、耐力壁や間仕切り壁等の壁体によって隔てられている。
更衣室14と第一保育室11は、第一壁体21(すなわち、第一壁21)によって隔てられている。
更衣室14と第二保育室12は、第二壁体22(すなわち、第二壁22)によって隔てられている。
更衣室14とトイレ13は、第三壁体23(すなわち、第三壁23)によって隔てられている。
第二保育室12とトイレ13は、第四壁体24(すなわち、第四壁24)によって隔てられている。
第一保育室11と第二保育室12は、第五壁体25(すなわち、第五壁25)によって隔てられている。
更衣室14と廊下15も、他の壁体26によって隔てられている。
さらに、保育施設10の外周には外壁27が設けられており、各部屋11~15は、この外壁27によって屋外と隔てられている。
【0028】
第二壁体22と第四壁体24は、平面視において同一直線上に配置されるとともに一体的に設けられている。本実施形態においては、第一壁体21も、第二壁体22及び第四壁体24と、平面視において同一直線上に配置されるとともに一体的に設けられている。
【0029】
第三壁体23は、平面視において第二壁体22及び第四壁体24と直交して配置されるとともに第四壁体24と一体的に設けられている。すなわち、第三壁体23と第四壁体24によってトイレ13が囲まれており、第二壁体22は、トイレ13には面していない状態となっている。さらに、第三壁体23は、第五壁体25よりも東側(トイレ13側)に配置されている。
【0030】
第五壁体25は、平面視において第一壁体21及び第二壁体22と直交して配置されるとともに第一壁体21及び第二壁体22と一体的に設けられている。第三壁体23と第五壁体25は、平面視において同一直線上に配置されず、平行する位置関係(延長しても交差しない位置関係)で配置されている。
【0031】
更衣室14と第一保育室11は、第一壁体21に設けられて両室間を行き来可能とする第一出入口21aによって連通している。第一出入口21aには、当該第一出入口21aを開閉する建具21b(引戸や開戸等)が設けられている。
【0032】
更衣室14と第二保育室12は、第二壁体22に設けられて両室間を行き来可能とする第二出入口22aによって連通している。第二出入口22aには、当該第二出入口22aを開閉する建具22b(引戸や開戸等)が設けられている。
第二出入口22aは、平面視において、第三壁体23に対して西側に位置している。
また、第二出入口22aは、第二壁体22のうち第三壁体23側の端部に設けられている。本実施形態においては、第二壁体22の幅寸法(東西方向の寸法)と、第二出入口22aの幅寸法は略等しく設定されている。すなわち、本実施形態の第二壁体22は、開口部である第二出入口22aと、第二出入口22aの上方に位置する小壁(垂れ壁)と、からなる。第二出入口22aの西側には、第一壁体21又は第五壁体25の側端部があり、第二出入口22aの東側には、第四壁体24の側端部があって第二出入口22aを形成している。
【0033】
更衣室14とトイレ13は、第三壁体23に設けられて両室間を行き来可能とする第三出入口23aによって連通している。第三出入口23aには、当該第三出入口23aを開閉する建具23b(引戸や開戸等)が設けられている。
また、第三出入口23aは、第三壁体23のうち第二壁体22側の端部に設けられている。
【0034】
第二保育室12とトイレ13は、第四壁体24に設けられて両室間を行き来可能とする第四出入口24aによって連通している。第四出入口24aには、当該第四出入口24aを開閉する建具24b(引戸や開戸等)が設けられている。
第四出入口24aは、平面視において、第三壁体23に対して東側に位置している。また、この第四出入口24aは、同一直線上に位置する第二出入口22aと、東西方向に離間して配置されている。
【0035】
第一保育室11と第二保育室12は、第五壁体25に設けられて両室間を行き来可能とする第五出入口25aによって連通している。第五出入口25aには、当該第五出入口25aを開閉する建具25bが設けられている。
建具25bは、図示しないレールに沿ってスライド移動する複数枚の仕切板によって構成されており、第一保育室11と第二保育室12とを仕切る仕切り体としても機能する。この建具25bは、複数枚の仕切板のうちいずれか又は全てが施錠可能に構成され、乳幼児である園児には開けられないようになっている。
なお、本実施形態における建具25bは、複数枚の仕切板によって構成されて仕切り体としても機能するものとしたが、他の建具21b~24bと同様に、引戸や開戸によって構成されてもよい。その場合、把手やドアノブが、乳幼児である園児の手が届かない高さに設けられており、園児には開けられないようになっている。なお、園児の手が届かない高さとは、本実施形態においては、床から1500mm程度の高さを指すものとする。
第五出入口25aは、大人は開けられるため、第一保育室11と第二保育室12との間を必要に応じて行き来できる。
【0036】
以上のように構成された保育施設10で、昼食後にパジャマに着替え、排泄を済ませてから午睡を取る保育スケジュールに則して園児の保育が行われる場合、まずは、建具25bによる第五出入口25aの閉塞が行われる。
そして、第一保育室11では昼食のスケジュールが進められ、その間に、第二保育室12では寝具12aの設置が行われる。
【0037】
昼食が済んだら園児たちを、第一出入口21aを通じて更衣室14へと誘導し、ロッカー14aからパジャマを出して着替えをさせる(
図1中の矢印1:第一ルート1)。
保育士は、着替えが済んだ園児に排泄の要否を確認し、排泄が必要ないと判断された園児たちを、第二出入口22aを通じて第二保育室12へと誘導し、寝具12aで午睡を取るように促す(
図1中の矢印2:第二ルート2)。
一方、排泄が必要であると判断された園児たちを、第三出入口23aを通じてトイレ13へと誘導し、所定の排泄用器具13a,13bで排泄させる(
図1中の矢印3:第三ルート3)。そして、排泄が終わった園児たちを、第四出入口24aを通じて第二保育室12へと誘導し、寝具12aで午睡を取るように促す(
図1中の矢印4:第四ルート4)。
【0038】
園児たちが午睡を取った後は、園児たちに排泄の要否を確認し、排泄が必要であると判断された園児たちを、第二保育室12から第二出入口22a及び更衣室14を介し、第三出入口23aを通じてトイレ13へ誘導する。もしくは、第二保育室12から直接、第四出入口24aを通じてトイレ13へ誘導する。そして、排泄を済ませた園児たちを、第三出入口23aを通じて更衣室14へ誘導する。
また、排泄が必要ないと判断された園児たちを、第二保育室12から第二出入口22aを通じて更衣室14へと誘導する。
その後、寝具12aの片づけを行う。園児たちは、更衣室14でパジャマから着替えて、その後の保育スケジュールを進めていく。なお、更衣室14でパジャマから衣服を着替えた後は、第一保育室11に移動するように誘導する(第二出入口22aを建具22bで閉塞してもよい)。
園児たちが午睡を取った後もこのような流れを組むことができれば、次の保育に円滑に移行することができる。すなわち、上記のような更衣室14が設けられることで、排泄が済んだ園児とそうでない園児が混在せず、例えば園児たちが布団(寝具12a)の周りを走り回るような、次の保育への移行に支障が出やすい事態の発生を防ぐ効果が期待される。
以上のような流れで、昼食から午睡までの保育スケジュールを進めることができる。
【0039】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、更衣室14と第一保育室11は、第一壁体21によって隔てられ、かつ、第一壁体21に設けられて両室間を行き来可能とする第一出入口21aによって連通し、更衣室14と第二保育室12は、第二壁体22によって隔てられ、かつ、第二壁体22に設けられて両室間を行き来可能とする第二出入口22aによって連通し、更衣室14とトイレ13は、第三壁体23によって隔てられ、かつ、第三壁体23に設けられて両室間を行き来可能とする第三出入口23aによって連通し、第二保育室12とトイレ13は、第四壁体24によって隔てられ、かつ、第四壁体24に設けられて両室間を行き来可能とする第四出入口24aによって連通しているので、まずは、第一保育室11で昼食を取った後、園児たちを、第一出入口21aから更衣室14へと誘導してパジャマに着替えさせ、午睡前に排泄の必要がない園児たちを、第二出入口22aから第二保育室12へと誘導して午睡を取らせる。また、午睡前に排泄が必要な園児たちを、第三出入口23aからトイレ13へと誘導して排泄させ、排泄を済ませた園児たちを、第四出入口24aから第二保育室12へと誘導して午睡を取らせるようにする。これにより、園児たちの動線が重複しにくくなるので、混乱が生じにくくなり、園児たちを、午睡を取る第二保育室12へと円滑に誘導できる。
【0040】
また、第一保育室11と第二保育室12は、第五壁体25によって隔てられ、かつ、第五壁体25に設けられて両室間を行き来可能とする第五出入口25aによって連通し、第五出入口25aには、施錠可能に構成された建具25bが設けられているので、保育士やその他の大人の、第一保育室11と第二保育室12との間の移動を、第五出入口25aを通じて行うことができることとなり、保育スケジュールを円滑に進めやすくなる。さらに、昼食前や午睡後のスケジュールにおいては第五出入口25aを開放することで、第一保育室11と第二保育室12とを連結して広いスペースを確保できるので、イベント等を行いやすくなる。
【0041】
また、第二壁体22と第四壁体24は、平面視において同一直線上に配置されるとともに一体的に設けられ、第三壁体23は、平面視において第二壁体22及び第四壁体24と直交して配置されるとともに第四壁体24と一体的に設けられ、平面視において、第二出入口22aは、第三壁体23に対して一方側に位置し、第四出入口24aは、第三壁体23に対して他方側に位置しているので、第三壁体23によって、第二出入口22aと第四出入口24aを明確に分けて配置することができ、午睡を取る第二保育室12に向かう園児たちの動線が重複しにくくなる。
【0042】
また、第三出入口23aは、第三壁体23のうち第二壁体22側の端部に設けられており、第二出入口22aは、第二壁体22のうち第三壁体23側の端部に設けられているので、第二出入口22aと第三出入口23aとを近づけて配置することができる。これにより、更衣室14から、第二保育室12にもトイレ13にも行きやすくなる。
【0043】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下の変形例において、上記の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0044】
本変形例における更衣室140は、
図2に示すように、平面視において略L字型に形成されて、通行エリアA2が、東西方向よりも南北方向に長く形成されている。ただし、着替えエリアA1の南北方向の長さを、通行エリアA2に合わせて更衣室140を平面視矩形状に形成してもよい。
【0045】
また、第三出入口23aは、第三壁体230のうち第二壁体22側の端部から離間した位置に設けられている。本変形例においては、第三出入口23aは、第三壁体230のうち第二壁体22側の端部とは反対側の端部に設けられているが、第三壁体23における幅方向(南北方向)の中央部に設けられてもよい。
【0046】
本変形例の保育施設10では、昼食後、パジャマに着替えた園児に排泄の要否を確認し、排泄が必要ないと判断された園児たちを、第二出入口22aを通じて第二保育室12へと誘導し、寝具12aで午睡を取るように促す(
図2中の矢印2:第二ルート2)。
一方、排泄が必要であると判断された園児たちを、第二出入口22aから離間する第三出入口23aを通じてトイレ13へと誘導し、所定の排泄用器具13a,13bで排泄させる(
図2中の矢印3:第三ルート3)。そして、排泄が終わった園児たちを、第四出入口24aを通じて第二保育室12へと誘導し、寝具12aで午睡を取るように促す(
図1中の矢印4:第四ルート4)。
【0047】
本変形例によれば、第三出入口23aは、第三壁体230のうち第二壁体22側の端部から離間した位置に設けられているので、第三出入口23aを、第二出入口22aから遠ざけて配置することができる。これにより、更衣室14から第二保育室12に向かうルート(第二ルート2)と、更衣室14からトイレ13に向かうルート(第三ルート3)を遠ざけることができるので、午睡を取る第二保育室12に向かう園児たちの動線が重複しにくくなる。
【符号の説明】
【0048】
10 保育施設
11 第一保育室
11a 食台
12 第二保育室
12a 寝具
13 トイレ
13a 器具
13b 器具
14 更衣室
A1 着替えエリア
A2 通行エリア
14a ロッカー
21 第一壁体
21a 第一出入口
22 第二壁体
22a 第二出入口
23 第三壁体
23a 第三出入口
24 第四壁体
24a 第四出入口
140 更衣室
230 第三壁体