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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】射出成形機、産業機械のコントローラ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
B29C45/76
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021133489
(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公開番号】P2023028046
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】有田 未来生
(72)【発明者】
【氏名】山口 朗
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7395572(JP,B2)
【文献】特開2020-049769(JP,A)
【文献】特開2009-279891(JP,A)
【文献】特開2013-244710(JP,A)
【文献】特開2014-137695(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208354(WO,A1)
【文献】特開平05-028281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 15/00-17/32
B29C 45/00-45/24
45/46-45/63
45/70-45/72
45/74-45/84
G06F 9/455-9/54
17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型装置を型締する型締装置と、
前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、
前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、
射出成形機の内部で出力される、射出成形機に関するデータを取得し記憶部に記録する取得部と、制御装置の処理の負荷状態に合わせて、前記取得部により取得される前記データの数を調整する調整部と、を有する制御装置と、を備える、
射出成形機。
【請求項2】
前記調整部は、前記制御装置の処理の負荷状態が所定の上限を超えないように、前記取得部により取得される前記データの数を調整する、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
ユーザからの入力を受け付ける第1の入力部と、
前記第1の入力部により受け付けられる所定の入力に応じて、前記所定の上限を設定する第1の設定部と、を備える、
請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記調整部は、前記制御装置の処理の負荷状態に合わせて、前記データごとに規定される優先度が相対的に高い前記データから優先的に前記取得部により取得される前記データに含めるように、前記取得部により取得される前記データの数を調整する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の射出成形機。
【請求項5】
ユーザからの入力を受け付ける第2の入力部と、
前記第2の入力部により受け付けられる所定の入力に応じて、前記データごとの前記優先度を設定する第2の設定部と、を備える、
請求項4に記載の射出成形機。
【請求項6】
ユーザからの入力を受け付ける第3の入力部と、
前記第3の入力部により受け付けられる所定の入力に応じて、複数の前記データの中から前記取得部により取得される候補の前記データを設定する第3の設定部と、を備え、
前記調整部は、前記第3の設定部により設定された前記候補の前記データの範囲で、前記取得部により取得される前記データの数を調整する、
請求項4又は5に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記制御装置の処理の負荷状態を推定する推定部を有し、
前記調整部は、前記推定部の推定結果に基づき、前記取得部により取得される前記データの数を調整する、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記推定部は、前記制御装置の処理の負荷状態を計測し、その時系列での計測結果に基づき、前記制御装置の処理負荷の状態を推定する、
請求項7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記推定部は、前記時系列での計測結果に基づき、前記制御装置の処理の負荷状態の時間変化のパターンを学習し、学習結果のパターンに基づき、前記制御装置の処理負荷の状態を推定する、
請求項8に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記推定部は、複数の工程で構成される射出成形機の動作パターンに関する情報と、前記複数の工程のうちの現在の工程に関する情報とに基づき、前記制御装置の処理負荷の状態を推定する、
請求項7に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記制御装置は、前記取得部による処理からの一連の処理として、前記取得部により取得され前記記憶部に記録された前記データを外部装置に送信する送信部を備え、
前記調整部は、前記制御装置の処理の負荷状態に合わせて、前記送信部による前記データの送信を前記一連の処理として実施させるか、前記取得部による前記データの取得後、前記一連の処理として実施される場合よりも後のタイミングで前記送信部による前記データの送信を実施させるかを調整する、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の射出成形機。
【請求項12】
産業機械の内部で出力される、産業機械の稼働状態に関するデータを取得し記憶部に記録する取得部と、コントローラの処理の負荷状態に合わせて、前記取得部により取得される前記データの数を調整する調整部と、を備える、
産業機械のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、射出成形機等の産業機械では、その内部で出力される各種のデータ(例えば、機械の動作状態を検出する各種センサの出力データ等)が収集される場合がある(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
特許文献1では、制御装置(コントローラ)の処理負荷の状態を見て、収集対象のデータの収集可否を判断し、ユーザに通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/213663号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術では、収集対象のデータの収集可否が通知されるだけであり、制御装置における処理負荷の許容範囲内で必要な種類のデータを収集させるには、ユーザ自らが通知内容を参照しながら、取得対象のデータを設定入力する必要がある。そのため、ユーザの利便性の観点で改善の余地がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、射出成形機等の産業機械で出力されるデータを制御装置の処理負荷の許容範囲内で収集させる際のユーザの利便性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
金型装置を型締する型締装置と、
前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、
前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、
射出成形機の内部で出力される、射出成形機に関するデータを取得し記憶部に記録する取得部と、制御装置の処理負荷の状態に合わせて、前記取得部により取得される前記データの種類数を調整する調整部と、を有する制御装置と、を備える、
射出成形機が提供される。
【0008】
また、本開示の他の実施形態では、
産業機械の内部で出力される、産業機械に関するデータを取得し記憶部に記録する取得部と、コントローラの処理負荷の状態に合わせて、前記取得部により取得される前記データの種類数を調整する調整部と、を備える、
産業機械のコントローラが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、射出成形機等の産業機械で出力されるデータを制御装置の処理負荷の許容範囲内で収集させる際のユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】射出成形機システムの構成の一例を示す図である。
図2】射出成形機システムの構成の一例を示す図である。
図3】管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】射出成形機システムにおける射出成形機に関するデータの収集に関する機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】コントローラのベースの処理負荷とその許容上限との関係を模式的に示す図である。
図6】コントローラのべースの処理負荷の時間変化の一例を示す図である。
図7】収集データ設定画面の一例を示す図である。
図8】収集データ設定画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0012】
以下、実施形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する場合がある。
【0013】
[射出成形機システムの概要]
図1図2を参照して、本実施形態に係る射出成形機システムSYSの概要について説明する。
【0014】
図1図2は、本実施形態に係る射出成形機システムSYSの構成の一例を示す図である。図1では、射出成形機1は、型開完了時の状態を表し、図2では、射出成形機1は、型締時の状態を表す。図1図2中において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに垂直であり、X軸の正負方向(以下、単に「X方向」)及びY軸の正負方向(以下、単に「Y方向」)は水平方向を表し、Z軸の正負方向(以下、単に「Z方向」)は鉛直方向を表す。
【0015】
射出成形機システムSYSは、射出成形機1と、管理装置2と、ユーザ端末3とを含む。
【0016】
本例では、射出成形機システムSYSに含まれる射出成形機1は、2台であるが、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。また、射出成形機システムSYSに含まれる管理装置2は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。また、射出成形機システムSYSに含まれるユーザ端末3は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0017】
<射出成形機の概要>
射出成形機1(産業機械の一例)は、射出成形によって成形品を得るための一連の動作を行う。
【0018】
また、射出成形機1は、所定の通信回線NWを通じて、管理装置2やユーザ端末3と通信可能に接続される。また、射出成形機1は、通信回線NWを通じて、他の射出成形機1と通信可能に接続されてもよい。
【0019】
通信回線NWは、例えば、射出成形機1が設置される工場内のローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)を含む。ローカルネットワークは、有線であってもよいし、無線であってよいし、その両方を含む態様であってもよい。また、通信回線NWは、例えば、射出成形機1が設置される工場の外部の広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)を含んでもよい。広域ネットワークには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網が含まれてよい。移動体通信網は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等に対応していてよい。また、広域ネットワークには、例えば、通信衛星を利用する衛星通信網が含まれてもよい。また、広域ネットワークには、例えば、インターネット網が含まれてもよい。また、通信回線NWは、例えば、ブルートゥース(登録商標)通信やWiFi通信等の無線通信方式に対応する近距離通信回線が含まれてもよい。
【0020】
例えば、射出成形機1は、周期的に出力される、射出成形機1(自機)の稼働状態に関するデータ(以下、「稼働データ」)を逐次取得し、通信回線NWを通じて、管理装置2に送信(アップロード)する。これにより、管理装置2(或いは、その管理者や作業者等)は、稼働状態を把握し、射出成形機1のメンテナンスのタイミングや射出成形機1の稼働スケジュール等を管理することができる。また、管理装置2は、射出成形機1の稼働データに基づき、射出成形機1の制御に関するデータ(例えば、成形条件等)を生成し、射出成形機1に送信することにより、外部から射出成形機1に関する制御を行うことができる。
【0021】
稼働データには、例えば、射出成形機1の成形動作に関する制御状態を表すデータ(以下、「制御データ」)が含まれる。制御データは、後述のコントローラ700で出力される。また、稼働データには、例えば、射出成形機1の成形動作を実現する各種の電動アクチュエータを駆動するドライバ710(図4参照)の動作状態に関するデータ(以下、「ドライバ動作データ」)が含まれる。電動アクチュエータには、例えば、後述の型締モータ160、型厚調整モータ183、エジェクタモータ210、計量モータ340、射出モータ350、モータ420等である。ドライバ動作データは、各種のドライバ710で出力される。また、稼働データには、射出成形機1に関する稼働時における各種の検出データが含まれる。検出データは、例えば、センサ720(図4参照)で出力される。センサ720には、例えば、後述の型締モータエンコーダ161、型厚調整モータエンコーダ184、エジェクタモータエンコーダ211、計量モータエンコーダ341、射出モータエンコーダ351等が含まれる。また、センサ720には、例えば、後述のタイバー歪検出器141、温度検出器314、圧力検出器360等が含まれる。また、センサ720には、例えば、電動アクチュエータ等の電流や電圧を検出する各種の電流センサや電圧センサ等が含まれる。また、センサ720には、アナログ出力される検出データをデジタル変換し出力するAD(Analog-Digital)コンバータが含まれてもよい。
【0022】
また、例えば、射出成形機1は、周期的に出力される、射出成形機1(自機)の稼働データを逐次取得し、通信回線NWを通じて、ユーザ端末3に射出成形機1(自機)の稼働データを送信する。これにより、射出成形機1は、ユーザ端末3を通じて、ユーザに対して、射出成形機1の稼働状態に関する情報提供を行うことができる。
【0023】
また、例えば、射出成形機1は、マスタ機として、通信回線NWを通じて、スレーブ機としての他の射出成形機1の動作を監視したり、制御したりしてもよい。具体的には、射出成形機1(スレーブ機)は、通信回線NWを通じて、稼働データを射出成形機1(マスタ機)に送信してよい。これにより、射出成形機1(マスタ機)は、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を監視することができる。また、射出成形機1(マスタ機)は、稼働データに基づき、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作状態を把握しながら、動作に関する制御指令を、通信回線NWを通じて、他の射出成形機1(スレーブ機)に送信してもよい。これにより、射出成形機1(マスタ機)は、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を制御することができる。この場合、射出成形機1(マスタ機)は、自機の動作に同期させるように、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を制御してもよい。
【0024】
<管理装置の概要>
管理装置2は、上述の如く、通信回線NWを通じて、射出成形機1と通信可能に接続される。また、管理装置2は、通信回線NWを通じて、ユーザ端末3と通信可能に接続されてもよい。
【0025】
管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場の外部の管理センタ等の遠隔地に設置されるオンプレミスサーバやクラウドサーバである。また、管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場内部や工場に相対的に近い場所(例えば、工場の近くの無線基地局や局舎等の通信施設)に設置されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1が設置される工場内の端末装置(例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末)であってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1の管理者等が携帯可能な携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等)であってもよい。
【0026】
管理装置2は、例えば、射出成形機1から送信(アップロード)されるデータに基づき、射出成形機1の稼働状態を把握し、射出成形機1の稼働状態を管理(監視)してよい。また、管理装置2は、把握される射出成形機1の稼働状態に基づき、射出成形機1の異常診断等の各種診断を行ってもよい。
【0027】
また、管理装置2は、例えば、通信回線NWを通じて、射出成形機1に対する制御データ(例えば、成形条件に関するデータ)を送信してもよい。これにより、管理装置2は、射出成形機1の動作を制御することができる。
【0028】
また、管理装置2は、例えば、後述の入力装置2Gを通じて受け付けられるユーザからの所定の入力に応じて、射出成形機1に関する設定を行ってもよい。射出成形機1に関する設定には、例えば、射出成形機1の成形条件に関する設定が含まれる。また、射出成形機1に関する設定には、例えば、後述の射出成形機1に関するデータの収集に関する設定が含まれる。具体的には、管理装置2は、例えば、入力装置2Gを通じてユーザから受け付けられる、表示装置2Hの所定の設定画面に対する所定の入力に応じて、射出成形機1に関する設定を行ってよい。そして、ユーザ端末3は、確定された射出成形機1に関する設定内容を対象の射出成形機1に向けて送信してよい。これにより、射出成形機1は、受信される設定内容に応じて、自機の設定を行うことができる。そのため、管理装置2は、ユーザの操作に応じた設定内容を射出成形機1に反映させることができる。
【0029】
管理装置2は、例えば、表示装置2Hを通じて、射出成形機1に関する情報を射出成形機1や工場の管理者等に提供してよい。射出成形機1に関する情報には、例えば、射出成形機1の稼働状態に関する情報が含まれる。具体的には、管理装置2は、例えば、入力装置2Gを通じてユーザから受け付けられる所定の入力に応じて、射出成形機1から送信(アップロード)される各種のデータに基づく射出成形機1に関する情報を表示装置2Hに表示させる。これにより、管理装置2は、射出成形機1から受信されるデータに基づき、射出成形機1や工場の管理者等に射出成形機1に関する情報を提供することができる。
【0030】
ユーザ端末3は、上述の如く、通信回線NWを通じて、射出成形機1や管理装置2と通信可能に接続される。
【0031】
ユーザ端末3は、射出成形機システムSYSのユーザによって利用される。射出成形機システムSYSのユーザには、射出成形機1を操作する作業者や射出成形機1のメンテナンスを行うサービスマン等の射出成形機1のユーザが含まれる。また、射出成形機システムSYSのユーザには、射出成形機1や射出成形機1が設置される工場の管理者等の管理装置2のユーザが含まれる。
【0032】
ユーザ端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のPC(Personal Computer)等の可搬型の端末装置(即ち、携帯端末)である。また、ユーザ端末3は、例えば、デスクトップ型のPC等の定置型の端末装置であってもよい。
【0033】
ユーザ端末3は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置を有し、表示装置を通じて、射出成形機1に関する情報をユーザに提供してよい。射出成形機1に関する情報には、例えば、射出成形機1の稼働状態に関する情報が含まれる。具体的には、ユーザ端末3は、例えば、操作入力装置、音声入力装置、ジェスチャ入力装置等の入力装置を有し、入力装置を通じてユーザから受け付けられる所定の入力(即ち、ユーザからの要求)に応じて、情報提供の要求信号を射出成形機1や管理装置2に送信してよい。そして、射出成形機1や管理装置2は、ユーザ端末3から受信される要求信号に応じて、対象の情報を含むデータ(例えば、稼働状態に関する情報に対応する稼働データ等)を要求信号の送信元のユーザ端末3に配信してよい。これにより、ユーザ端末3は、射出成形機1や管理装置2から受信されるデータに基づき、ユーザに射出成形機1に関する情報を提供することができる。
【0034】
また、ユーザ端末3は、例えば、入力装置を通じて受け付けられるユーザからの所定の入力に応じて、射出成形機1に関する設定を行ってもよい。射出成形機1に関する設定には、例えば、射出成形機1の成形条件に関する設定が含まれる。また、射出成形機1に関する設定には、例えば、後述の射出成形機1に関するデータの収集に関する設定が含まれる。具体的には、ユーザ端末3は、例えば、入力装置を通じてユーザから受け付けられる、表示装置の所定の設定画面に対する所定の入力に応じて、射出成形機1に関する設定を行ってよい。そして、ユーザ端末3は、確定された射出成形機1に関する設定内容を対象の射出成形機1に向けて送信してよい。これにより、射出成形機1は、受信される設定内容に応じて、自機の設定を行うことができる。そのため、ユーザ端末3は、ユーザの操作に応じた設定内容を射出成形機1に反映させることができる。
【0035】
[射出成形機の基本構成]
次に、引き続き、図1図2を参照して、射出成形機1の基本構成について説明する。
【0036】
射出成形機1は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、コントローラ700と、入力装置750と、表示装置760とを含む。
【0037】
<型締装置>
型締装置100は、金型装置10の型閉、型締、及び型開を行う。型締装置100は例えば、横型であって、金型装置10を開閉させる方向(以下、「型開閉方向」)が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、及び型厚調整機構180等を有する。
【0038】
以下、型締装置100に関する説明では、金型装置10の型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1図2中の右方向)を前方とし、金型装置10の型開時の可動プラテン120の移動方向(図1図2中の左方向)を後方として説明する。後述のエジェクタ装置200に関する説明についても同様である。
【0039】
金型装置10は、固定金型11と、可動金型12とを含む。
【0040】
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面には、固定金型11が取付けられる。
【0041】
可動プラテン120は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面には、可動金型12が取付けられる。
【0042】
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、及び型開が行われる。
【0043】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。また、トグルサポート130は、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。この場合、トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通であってもよい。
【0044】
尚、本実施形態では、固定プラテン110がフレームFrに対し固定され、トグルサポート130がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレームFrに対し固定され、固定プラテン110がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
【0045】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば、4本)用いられてよい。それぞれのタイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられる。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出等に用いられる。
【0046】
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、既知の技術に基づく他の機器に置換されてもよい。例えば、型締力検出器は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式等でもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0047】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群等で構成される。各リンク群は、ピン等で屈伸自在に連結される第1リンク152及び第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピン等で揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピン等で揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152及び第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0048】
尚、トグル機構150の構成は、図1及び図2に示す構成に限定されない。例えば、図1及び図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0049】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152及び第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0050】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボール或いはローラが介在してもよい。
【0051】
型締装置100は、コントローラ700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程等を行う。
【0052】
型閉工程では、型締装置100は、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型12を固定金型11にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば、型締モータエンコーダ161等を用いて検出される。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。
【0053】
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器やクロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、既知の技術に基づく他の機器に置換されてもよい。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、及び可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、既知の技術に基づく他の機器に置換されてもよい。
【0054】
型締工程では、型締装置100は、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型12と固定金型11との間にキャビティ空間14が形成され、射出装置300がキャビティ空間14に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が冷却固化されることで、成形品が得られる。金型装置10内のキャビティ空間14の数は、複数であってもよい。この場合、複数の成形品が同時に得られる。
【0055】
型開工程では、型締装置100は、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型12を固定金型11から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型12から成形品を突き出す。
【0056】
型閉工程及び型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程及び型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(具体的には、型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、及び型締位置を含む)や型締力等は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、及び型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間ごとに、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、何れか一方のみが設定されてもよい。
【0057】
また、型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、及び型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、及び型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間ごとに、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0058】
尚、クロスヘッド151の速度や位置等の代わりに、可動プラテン120の速度や位置等が設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば、型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0059】
トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも称する)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0060】
金型装置10の交換や金型装置10の温度変化等により金型装置10の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば、可動金型12が固定金型11にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0061】
型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0062】
ねじ軸181及びねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。
【0063】
尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0064】
回転伝達部185は、例えば、歯車等で構成される。この場合、それぞれのねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車及び駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。
【0065】
尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリ等で構成されてもよい。
【0066】
型厚調整機構180の動作は、コントローラ700によって制御される。コントローラ700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0067】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出される。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。
【0068】
尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、及び間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、既知の技術に基づく他の機器に置換されてもよい。
【0069】
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
【0070】
尚、本例では、型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。また、本例では、型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0071】
<エジェクタ装置>
エジェクタ装置200は、射出装置300により金型装置10に充填された成形材料が冷却固化した後、金型装置10から成形品を突き出す(取り出す)。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、及びエジェクタロッド230等を有する。
【0072】
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構220に連結されてもよい。
【0073】
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボール或いはローラが介在してよい。
【0074】
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型12の内部に進退自在に配設される可動部材15と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材15と連結されていてもよいし、連結されていなくてもよい。
【0075】
エジェクタ装置200は、コントローラ700による制御下で、突き出し工程を行う。
【0076】
突き出し工程では、エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材15を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材15を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えば、エジェクタモータエンコーダ211を用いて検出される。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。
【0077】
尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器やエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、既知の技術に基づく他の機器に置換されてもよい。
【0078】
<射出装置>
射出装置300は、型締装置100により型締された金型装置10に成形材料を充填する。具体的には、射出装置300は、フレームFrに対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。そして、射出装置300は、金型装置10にタッチし、金型装置10内のキャビティ空間14に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360等を有する。
【0079】
以下、射出装置300の説明では、射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(図1図2中の左方向)を前方とし、射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(図1図2中の右方向)を後方として説明する。後述の移動装置400の説明についても同様である。
【0080】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば、樹脂等を含む。成形材料は、例えば、ペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダ等の冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータ等の加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0081】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(図1及び図2中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンには、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーンごとに、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、コントローラ700が加熱器313を制御する。
【0082】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、コントローラ700が加熱器313を制御する。
【0083】
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置10内に充填される。
【0084】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0085】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0086】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0087】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプであってもよいし、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプであってもよい。
【0088】
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0089】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば、油圧ポンプ等でもよい。
【0090】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構等が設けられる。運動変換機構は、例えば、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラ等が設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば、油圧シリンダ等でもよい。
【0091】
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
【0092】
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力等の制御や監視に用いられる。
【0093】
射出装置300は、コントローラ700による制御下で、計量工程、充填工程、及び、保圧工程等を行う。
【0094】
計量工程では、射出装置300は、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば、計量モータエンコーダ341を用いて検出される。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。
【0095】
尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、既知の技術に基づく他の機器に置換されてもよい。
【0096】
計量工程では、射出装置300は、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば、圧力検出器360を用いて検出される。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0097】
充填工程では、射出装置300は、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間14に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば、射出モータエンコーダ351を用いて検出される。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも称する。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間等に応じて変更されてもよい。
【0098】
尚、充填工程において、スクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。また、V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器やスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、既知の技術に基づく他の機器に置換されてもよい。
【0099】
保圧工程では、射出装置300は、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。これにより、射出装置300は、金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば、圧力検出器360を用いて検出される。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間等に応じて変更されてもよい。
【0100】
保圧工程では、金型装置10内のキャビティ空間14の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間14の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間14からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間14内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてもよい。
【0101】
尚、本例では、射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式等であってもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。また、本例では、射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型であってもよいし、横型であってもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型であってもよいし、竪型であってもよい。
【0102】
<移動装置>
移動装置400は、金型装置10に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置10に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、及び液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430等を有する。
【0103】
尚、移動装置400は、図2では射出装置300のシリンダ310の片側に配置されるが、シリンダ310の両側に配置されてもよく、シリンダ310を中心に対称に配置されてもよい。
【0104】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向に回転可能であり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411及び第2ポート412の何れか一方から作動液(例えば、油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。
【0105】
尚、液圧ポンプ410は、タンクから作動液を吸引して第1ポート411及び第2ポート412の何れか一方から作動液を吐出することも可能である。
【0106】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、コントローラ700からの制御信号に応じた回転方向及び回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってもよい。
【0107】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、及びピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0108】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型11に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0109】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型11から離間される。
【0110】
尚、本例では、移動装置400は、液圧シリンダ430を含むが、当該構成に限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0111】
<コントローラ>
コントローラ700(制御装置の一例)は、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、及び移動装置400等に直接的に制御信号を送信し、射出成形機1の駆動制御を行う。
【0112】
コントローラ700の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。コントローラ700は、例えば、コンピュータを中心に構成され、CPU(Central Processing Unit)701と、メモリ装置702と、補助記憶装置703と、入出力用のインタフェース装置704とを有する。コントローラ700は、例えば、補助記憶装置703にインストールされるプログラムをメモリ装置702にロードしCPU701に実行させることにより、射出成形機1に関する各種の制御を行う。また、コントローラ700は、インタフェース装置704を通じて、外部の信号を受信したり、外部に信号を出力したりする。インタフェース装置704は、接続される通信回線に合わせて、互いに異なる複数の種類のインタフェース装置を含んでよい。
【0113】
尚、コントローラ700の機能は、複数のコントローラによって分担して実現されてもよい。例えば、コントローラ700の機能は、射出成形機1の各種アクチュエータの動作を制御するモーションコントローラ、射出成形機1の全体のシーケンスを制御するシーケンスコントローラ等によって分担して実現されてよい。
【0114】
コントローラ700で利用されるプログラムや各種のファイル及びデータは、インタフェース装置704を通じて、記録媒体5からコントローラ700の補助記憶装置703に読み込まれ、格納(インストール)される。記録媒体5は、例えば、SDカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の汎用の記録媒体である。また、記録媒体5は、例えば、射出成形機1の製造ラインの最終の検査工程で、射出成形機1(コントローラ700のインタフェース装置704)に所定の通信ケーブルにより通信可能に接続される専用ツールであってもよい。また、コントローラ700で利用されるプログラムや各種のファイル及びデータは、例えば、通信回線NWを通じて、外部のコンピュータ(例えば、管理装置2等)からコントローラ700にダウンロードされてもよい。
【0115】
コントローラ700は、射出成形機1(型締装置100等)に型閉工程、型締工程、及び型開工程等を繰り返し行わせることにより、成形品を繰り返し製造させる。また、コントローラ700は、型締工程の間に、射出装置300に計量工程、充填工程、保圧工程等を行わせる。
【0116】
尚、成形品を得るための射出成形機1の一連の動作、例えば、射出装置300による計量工程の開始から次の射出装置300による計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも称する。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも称する。
【0117】
1回の成形サイクルは、例えば、射出装置300による計量工程、型閉工程、型締工程、射出装置300による充填工程、射出装置300による保圧工程、冷却工程、型開工程、及び突き出し工程を有し、これらの工程はこの順で開始される。充填工程、保圧工程、及び冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。型締工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0118】
尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。射出装置300のノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320及びノズル520の流路を閉じていれば、ノズル320及びノズル520から成形材料が漏れないためである。
【0119】
コントローラ700は、例えば、一対一の通信線やローカルネットワークや近距離通信回線等を通じて、入力装置750及び表示装置760と通信可能に接続されている。
【0120】
入力装置750は、ユーザからの射出成形機1に関する入力を受け付け、その入力内容に応じた信号は、コントローラ700に取り込まれる。
【0121】
例えば、入力装置750は、ユーザからの手等を利用する操作入力を受け付ける操作入力装置を含む。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、ジョイスティック、キーボード、マウス、タッチパッド、表示装置760に実装されるタッチパネル等である。
【0122】
また、例えば、入力装置750は、ユーザからの音声入力やジェスチャ入力を受け付ける音声入力装置やジェスチャ入力装置を含んでもよい。
【0123】
また、例えば、入力装置750は、ユーザからの生体入力を受け付ける生体入力装置を含んでもよい。生体入力には、例えば、声紋入力、虹彩入力、指紋入力等を含む。
【0124】
表示装置760は、コントローラ700による制御下で、射出成形機1に関する各種の情報画面を表示する。例えば、表示装置760は、入力装置750で受け付けられる入力内容に応じた射出成形機1に関する操作画面を表示する。
【0125】
表示装置760に表示される操作画面は、射出成形機1に関する設定等に用いられる。射出成形機1に関する設定には、例えば、射出成形機1に関する成形条件の設定(具体的には、設定値の入力)が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時のロギングデータとして記録される射出成形機1に関する各種センサ等の検出値の種類の選択に関する設定が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時の射出成形機1に関する各種センサ等の検出値(実績値)の表示装置760への表示仕様(例えば、表示する実績値の種類や表示のさせ方等)の設定が含まれる。操作画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりしてよい。ユーザは、表示装置760に表示される操作画面を見ながら、入力装置750を操作することにより、射出成形機1に関する設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。
【0126】
また、表示装置760は、コントローラ700による制御下で、操作画面上での操作に応じた各種情報(情報画面)を表示する。情報画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。例えば、表示装置760は、射出成形機1に関する設定内容(例えば、射出成形機1の成形条件に関する設定内容)を表示する。また、例えば、表示装置760は、管理情報(例えば、射出成形機1の稼働実績に関する情報等)を表示する。
【0127】
[管理装置のハードウェア構成]
次に、図3を参照して、管理装置2のハードウェア構成について説明する。
【0128】
図3は、管理装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0129】
管理装置2の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。例えば、図3に示すように、管理装置2は、外部インタフェース2Aと、補助記憶装置2Bと、メモリ装置2Cと、CPU2Dと、高速演算装置2Eと、通信インタフェース2Fと、入力装置2Gと、表示装置2Hとを含む。外部インタフェース2A、補助記憶装置2B、メモリ装置2C、CPU2D、高速演算装置2E、通信インタフェース2F、入力装置2G、及び表示装置2H等は、バスBにより接続される。
【0130】
尚、ユーザ端末3についても、管理装置2と同様のハードウェア構成を有してよい。そのため、以下、ユーザ端末3のハードウェア構成の図示や詳細な説明を省略する。
【0131】
外部インタフェース2Aは、記録媒体2AAからデータの読み取りや記録媒体2AAへのデータの書き込みのためのインタフェースとして機能する。記録媒体2AAには、例えば、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等が含まれる。これにより、管理装置2は、記録媒体2AAを通じて、処理で利用する各種データを読み込み、補助記憶装置2Bに格納したり、各種機能を実現するプログラムをインストールしたりすることができる。
【0132】
尚、管理装置2は、通信インタフェース2Fを通じて、外部装置から各種データやプログラムを取得してもよい。
【0133】
補助記憶装置2Bは、インストールされた各種プログラムを格納すると共に、各種処理に必要なファイルやデータ等を格納する。補助記憶装置2Bは、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリ等を含む。
【0134】
メモリ装置2Cは、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置2Bからプログラムを読み出して格納する。メモリ装置2Cは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)を含む。
【0135】
CPU2Dは、補助記憶装置2Bからメモリ装置2Cにロードされた各種プログラムを実行し、プログラムに従って管理装置2に関する各種機能を実現する。
【0136】
高速演算装置2Eは、CPU2Dと連動し、相対的に高い速度で演算処理を行う。高速演算装置2Eは、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含む。
【0137】
尚、高速演算装置2Eは、必要な演算処理の速度に応じて、省略されてもよい。
【0138】
通信インタフェース2Fは、外部機器と通信可能に接続するためのインタフェースとして用いられる。これにより、管理装置2は、通信インタフェース2Fを通じて、例えば、射出成形機1やユーザ端末3等の外部機器と通信することができる。また、通信インタフェース2Fは、接続される機器との間の通信方式等によって、複数の種類の通信インタフェースを有してよい。
【0139】
入力装置2Gは、ユーザから各種入力を受け付ける。
【0140】
入力装置2Gは、例えば、ユーザからの手等を用いた機械的な操作入力を受け付ける操作入力装置を含む。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、ジョイスティック、マウス、キーボード等を含む。また、操作入力装置は、例えば、表示装置2Hに実装されるタッチパネル、表示装置2Hとは別に設けられるタッチパッド等を含む。
【0141】
また、入力装置2Gは、例えば、ユーザからの音声入力を受付可能な音声入力装置を含む。音声入力装置は、例えば、ユーザの音声を集音可能なマイクロフォンを含む。
【0142】
また、入力装置2Gは、例えば、ユーザからのジェスチャ入力を受付可能なジェスチャ入力装置を含む。ジェスチャ入力装置は、例えば、ユーザのジェスチャの様子を撮像可能なカメラを含む。
【0143】
また、入力装置2Gは、例えば、ユーザからの生体入力を受付可能な生体入力装置を含む。生体入力装置は、例えば、ユーザの指紋や虹彩に関する情報を内包する画像データを取得可能なカメラを含む。
【0144】
表示装置2Hは、ユーザに向けて、情報画面や操作画面を表示する。表示装置2Hは、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等を含む。
【0145】
[射出成形機の稼働データの収集に関する機能構成]
次に、図4図5を参照して、射出成形機システムSYSにおける射出成形機1の稼働データの収集に関する機能構成について説明する。
【0146】
図4は、射出成形機システムSYSにおける射出成形機1に関するデータの収集に関する機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図5は、コントローラ700のベースの処理負荷とその許容される所定の上限(以下、「許容上限」)PL_limとの関係を模式的に示す図である。
【0147】
<射出成形機(コントローラ)の機能構成>
図4に示すように、射出成形機1のコントローラ700は、機能部として、処理負荷推定部7001と、処理負荷調整部7002と、データ取得部7003と、データ記憶部7004と、データ送信部7005とを含む。処理負荷推定部7001、処理負荷調整部7002、データ取得部7003、及びデータ送信部7005の機能は、例えば、補助記憶装置703にインストールされるプログラムをメモリ装置702にロードしCPU701で実行することにより実現される。データ記憶部7004の機能は、例えば、メモリ装置702や補助記憶装置703に規定される記憶領域により実現される。
【0148】
コントローラ700は、例えば、所定の処理周期ごとに、処理負荷推定部7001、処理負荷調整部7002、及びデータ取得部7003のそれぞれの処理をこの順序で一連の処理として実行する。この場合、取得された稼働データ(具体的には、データ記憶部7004に蓄積された稼働データ)は、所定のタイミングで、事後的にまとめて管理装置2に送信される。また、コントローラ700は、所定の処理周期ごとに、処理負荷推定部7001、処理負荷調整部7002、データ取得部7003、及びデータ送信部7005のそれぞれの処理をこの順序で一連の処理として実行してもよい。この場合、取得された稼働データは、基本的に、リアルタイムに管理装置2に送信される。
【0149】
処理負荷推定部7001(推定部の一例)は、コントローラ700で実行される処理による負荷状態(以下、「処理負荷」)を予測する。コントローラ700の処理負荷は、例えば、コントローラ700のCPU701における処理による負荷状態に相当し、例えば、コントローラ700(CPU701)の処理負荷の最大値(以下、「最大処理負荷」)に対する比率(負荷率)として表されてよい。具体的には、処理負荷推定部7001は、所定の処理周期ごとに、コントローラ700のベースの処理負荷(以下、「ベース処理負荷」)を推定してよい。
【0150】
コントローラ700のベース処理負荷とは、例えば、コントローラ700の処理負荷(全体)のうちの射出成形機1(自機)の稼働データの収集のための処理負荷(以下、「データ収集処理負荷」)を含まない(除く)処理負荷の部分を意味する。射出成形機1(自機)の稼働データの収集のための処理には、例えば、後述のデータ取得部7003による処理、即ち、稼働データを取得しデータ記憶部7004に記録する処理が含まれる。また、データ取得部7003及びデータ送信部7005のそれぞれの処理が一連の処理として実施される場合、射出成形機1の稼働データの収集のための処理には、例えば、データ送信部7005による処理、即ち、稼働データを管理装置2に送信する処理が含まれてもよい。
【0151】
例えば、処理負荷推定部7001は、射出成形機1の複数の工程ごとのコントローラ700のベース処理負荷に関する情報と、現在の射出成形機1の工程に関する情報とに基づき、コントローラ700のベース処理負荷を推定する。射出成形機1は、複数の工程で構成される成形サイクルを繰り返し実行し、同じ工程でのコントローラ700の処理負荷は、通常、同じようなレベル(ある一定の範囲)にあると考えられるからである。射出成形機1の複数の工程には、上述の如く、計量工程、型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、及び突き出し工程等が含まれる。射出成形機1の複数の工程ごとのコントローラ700のベース処理負荷は、例えば、射出成形機1に相当する実機での実験や射出成形機1(コントローラ700)に関するコンピュータシミュレーション等を通じて、予め規定されてよい。そして、その情報は、例えば、コントローラ700の補助記憶装置703の所定の記憶領域に格納されていてよい。現在の射出成形機1の工程に関する情報は、例えば、射出成形機1の複数の工程を順次実行させるためのシーケンス制御に関する制御データに基づき取得されてよい。これにより、処理負荷推定部7001は、複数の工程ごとのコントローラ700のベース処理負荷に関する情報の中の現在の工程に対応するベース処理負荷に関する情報を参照することで、コントローラ700のベース処理負荷を推定することができる。
【0152】
また、例えば、処理負荷推定部7001は、直近の過去の所定時間でのコントローラ700のベースの処理負荷の時間変化の傾向に基づき、コントローラ700のベースの処理負荷を予測する。
【0153】
具体的には、処理負荷推定部7001は、上述の一連の処理のバックグラウンド処理として、時系列でコントローラ700のベース処理負荷を計測してよい。バックグラウンド処理によるベース処理負荷の計測周期は、上述の一連の処理の処理周期よりも長く設定されてよい。これにより、バックグランド処理(ベース処理負荷の計測処理)によるコントローラ700の負荷状態を相対的に小さく(低く)することができる。そして、処理負荷推定部7001は、上述の一連の処理の中で、過去の直近の所定時間の計測データの時系列での変化の傾向に基づき、コントローラ700のベース処理負荷を外挿により予測してよい。
【0154】
また、例えば、処理負荷推定部7001は、コントローラ700のベース処理負荷の周期的な時間変化のパターンの計測結果に基づき、コントローラ700のベース処理負荷を予測してもよい。コントローラ700の処理負荷の時間変化のパターンは、例えば、成形サイクル時間Tcごとのコントローラ700のベース処理負荷の時間変化のパターンを表す(図5参照)。
【0155】
具体的には、処理負荷推定部7001は、時系列でコントローラ700の処理負荷を計測し、その計測データをそのときの射出成形機1の動作状態と対応付ける形でメモリ装置702や補助記憶装置703に記録してよい。射出成形機1の動作状態には、射出成形機1の工程やその工程の開始からの経過時間等が含まれる。コントローラ700のベース処理負荷の計測は、例えば、射出成形機1の製造時における最終検査工程での検査運転の際に実施される。また、コントローラ700のベース処理負荷の計測は、例えば、上述の一連の処理のバックグラウンド処理として、射出成形機1の起動(電源オン)から停止(電源オフ)までの間の通常運転時に実施されてもよい。バックグラウンド処理によるベース処理負荷の計測周期は、上述の場合と同様、上述の一連の処理の処理周期よりも長く設定されてよい。この場合、コントローラ700のベース処理負荷の計測は、例えば、射出成形機1の起動から停止までの間で常時実施されてもよいし、射出成形機1の起動から停止までの間の一部の期間で選択的に実施されてもよい。そして、処理負荷推定部7001は、その計測データの時間変化と、射出成形機1の動作状態の時間変化とに基づき、コントローラ700の処理負荷の時間変化を機械学習し、コントローラ700の処理負荷の時間変化のパターンに関する情報を取得してよい。これにより、処理負荷推定部7001は、上述の一連の処理の中で、コントローラ700の処理負荷の時間変化のパターンと、現在の射出成形機1の動作状態とに基づき、コントローラ700の処理負荷を推定することができる。現在の射出成形機1の動作状態は、例えば、射出成形機1の成形サイクルに相当する複数の工程を順次実行させるためのシーケンス制御に関する制御データに基づき判断されてよい。
【0156】
処理負荷調整部7002(調整部の一例)は、コントローラ700の処理負荷が許容される所定の上限(許容上限)PL_limを超えないように、コントローラ700による稼働データの収集のための処理負荷(以下、「データ収集処理負荷」)を調整する。例えば、図5に示すように、処理負荷調整部7002は、データ収集処理負荷が許容上限PL_limとコントローラ700のベース処理負荷501との差分の範囲(図5中の梨地模様の部分)に収まるように、コントローラ700のデータ収集処理負荷を調整する。許容上限PL_limは、例えば、予め規定されていてもよいし、ユーザからの所定の入力(要求)に応じて管理装置2の設定部22によって設定可能であってもよい。
【0157】
例えば、処理負荷調整部7002は、収集候補の全ての稼働データのうちの実際に収集(取得)する稼働データの数を調整することにより、コントローラ700のデータ収集処理負荷を調整する。収集対象のデータの数が多くなるほど、データ取得部7003の処理負荷(処理時間)やデータ送信部7005の処理負荷(処理時間)が増加するからである。
【0158】
尚、実際に収集される稼働データ(収集対象の稼働データ)の数とは、同じタイミング(即ち、同じ処理周期の中)で収集(取得)される稼働データの数を意味する。
【0159】
処理負荷調整部7002は、例えば、処理負荷推定部7001により推定されるベース処理負荷と、許容上限PL_limとに基づき、収集可能な稼働データの数を決定する。具体的には、処理負荷調整部7002は、収集対象のデータの数とデータ収集処理負荷との関係に関する情報に基づき、許容上限PL_limとベース処理負荷の推定値との差分に相当する処理負荷でコントローラ700が収集可能な稼働データの数を決定してよい。収集対象のデータの数とデータ収集処理負荷との関係は、例えば、射出成形機1に相当する実機での実験や射出成形機1(コントローラ700)に関するコンピュータシミュレーション等を通じて予め規定され、その情報は、補助記憶装置703に格納されてよい。収集対象のデータの数とデータ収集処理負荷との関係に関する情報は、例えば、収集対象のデータの数ごとのデータ収集処理負荷を表すテーブル情報であってよい。
【0160】
そして、処理負荷調整部7002は、収集候補の稼働データの中から決定した数の稼働データを選択する。収集候補の稼働データは、射出成形機1の内部で出力され、コントローラ700により取得可能な全ての稼働データであってもよいし、その全ての稼働データの中から選択された一部の稼働データであってもよい。後者の場合、コントローラ700により取得可能な全ての稼働データの中から選択される収集候補の稼働データは、例えば、管理装置2の設定部22により設定される。収集候補の稼働データの中から決定した数の稼働データを選択する方法は、任意であってよい。
【0161】
処理負荷調整部7002は、例えば、予め規定された選択順番のリスト情報に基づき、収集候補の稼働データの中から決定した数の収集対象の稼働データを選択する。
【0162】
また、処理負荷調整部7002は、例えば、収集候補の稼働データごとに規定される、データ収集の優先度に基づき、収集候補の稼働データの中から決定した数の収集対象の稼働データを選択する。具体的には、処理負荷調整部7002は、収集候補の稼働データのうちの優先度が高い方の稼働データから順に取得対象の稼働データを選択してよい。収集候補の稼働データごとの優先度は、予め規定されていてもよいし、ユーザからの所定の入力(要求)に応じて管理装置2の設定部22によって設定可能であってもよい。例えば、指令値等の制御データ、異常を表す検出データ、ドライバ710のドライバ動作データ、センサ720の検出データのように、射出成形機1の稼働状態に応じて、内容(値)の更新頻度が相対的に高い稼働データほど、その優先度は高く設定されてよい。一方、例えば、指令値のプロファイル(波形)に関するデータのように、一度設定されると、射出成形機1の稼働中に変更される可能性が低い稼働データ等、内容(値)の更新頻度が相対的に低い稼働データほど、その優先度は低く設定されてよい。
【0163】
また、例えば、データ取得部7003及びデータ送信部7005のそれぞれの処理が一連の処理として実施される前提の場合、処理負荷調整部7002は、コントローラ700のベース処理負荷に合わせて、その前提を保持するか解除するかを切り換えてもよい。具体的には、処理負荷調整部7002は、データ送信部7005の処理を上述の一連の処理として実施する場合と、データ送信部7005の処理を上述の一連の処理から切り離し、一連の処理の場合より後のタイミングで実施する場合とを切り換えてよい。これにより、処理負荷調整部7002は、コントローラ700のベース処理負荷に合わせて、コントローラ700の全体の処理負荷が許容上限PL_limを超えないように、コントローラ700のデータ収集処理負荷を調整することができる。例えば、処理負荷調整部7002は、処理負荷推定部7001により推定されるコントローラ700のベース処理負荷が許容上限PL_limより小さい所定基準を超えている場合、データ取得部7003の処理のみを実施させる。一方、処理負荷調整部7002は、処理負荷推定部7001により予測されるコントローラ700のベース処理負荷が当該所定基準以下である場合、データ取得部7003及びデータ送信部7005の双方の処理を実施させてよい。これにより、コントローラ700は、ベース処理負荷が相対的に大きくなると、稼働データの送信を一時停止してデータ収集処理負荷を抑制し、その結果、コントローラ700の処理負荷を許容上限PL_lim以下に抑制することができる。そして、コントローラ700は、ベース処理負荷が相対的に小さくなると、稼働データの送信を再開し、最新の稼働データに加えて未送信の稼働データを管理装置2に送信(追送)することができる。所定基準は、例えば、収集対象のデータの数に応じて可変される。具体的には、所定基準は、収集対象のデータの数が多くなるほど小さく(低く)設定されてよい。収集対象のデータの数が多くなるほど、データ取得部7003が収集対象のデータを全て取得するために要する処理負荷(処理時間)が大きくなるからである。
【0164】
また、例えば、処理負荷調整部7002は、処理負荷推定部7001により推定されるコントローラ700の処理負荷に合わせて、収集対象のデータの数、及びデータ送信部7005の処理の双方を調整することで、コントローラ700のデータ収集負荷を調整する。例えば、処理負荷調整部7002は、コントローラ700の処理負荷に合わせて、上述の同様の方法で、収集対象のデータの数を所定の下限以上の範囲で調整する。そして、処理負荷調整部7002は、収集対象のデータの数を所定の下限に合わせても、コントローラ700の全体の処理負荷を許容上限PL_lim以下に調整できない場合、更に、データ送信部7005の処理を上述の一連の処理から切り離してよい。収集対象のデータの数の所定の下限は、例えば、予め規定されていてもよいし、ユーザからの所定の入力(要求)に応じて管理装置2の設定部22によって設定可能であってもよい。
【0165】
尚、処理負荷調整部7002は、処理負荷推定部7001の予測結果を用いる代わりに、現在のコントローラ700のベース処理負荷の計測値に基づき、コントローラ700のデータ収集処理負荷を調整してもよい。この場合、処理負荷推定部7001は省略される。また、コントローラ700は、その処理負荷が許容上限PL_limを超えないように、データ収集処理負荷を自動で調整する代わりに、データ収集処理負荷を手動で調整するようにユーザに促してもよい。例えば、コントローラ700は、管理装置2で設定されるようとしている取得対象の稼働データが採用されたときの射出成形機1の複数の工程ごとのコントローラ700の処理負荷を試算し、許容上限PL_limとの関係を、管理装置2を通じてユーザに提示してよい。また、例えば、コントローラ700は、射出成形機1の複数の工程ごとに、コントローラ700の処理負荷が許容上限PL_limを超えない範囲で取得可能な稼働データの数(の範囲)や稼働データの具体的な名称等を、管理装置2を通じてユーザに提示してもよい。これにより、ユーザは、後述の設定部22の機能を用いて、複数の工程ごとの取得対象の稼働データを管理装置2に設定させ、複数の工程ごとの処理負荷の変化に合わせて、手動でデータ収集処理負荷を調整することができる。
【0166】
データ取得部7003(取得部の一例)は、取得対象の稼働データを取得し、データ記憶部7004に記録する。例えば、処理負荷調整部7002により取得対象の稼働データの数が調整される場合、データ取得部7003は、処理負荷調整部7002による選択済の取得対象の稼働データを取得する。例えば、ドライバ710の出力やセンサ720の出力のように、取得対象の稼働データがコントローラ700に外部から取り込まれる場合、データ取得部7003は、インタフェース装置704により受信済みの最新の稼働データを受信バッファから取得する。また、例えば、制御データのように、取得対象の稼働データがコントローラ700の内部で出力される場合、データ取得部7003は、最新の稼働データをメモリ装置702等から取得する。
【0167】
データ記憶部7004(記憶部の一例)には、データ取得部7003により取得された稼働データが履歴的に記憶される。また、データ記憶部7004の稼働データは、データ送信部7005により管理装置2に送信された後も保持し続けられてもよいし、データ送信部7005により管理装置2に送信されると、消去されてもよい。
【0168】
データ送信部7005(送信部の一例)は、データ記憶部7004に記憶される稼働データを管理装置2に送信する。例えば、データ送信部7005は、データ取得部7003による稼働データの取得からの一連の処理として、リアルタイムに稼働データを管理装置2に送信する。また、例えば、データ送信部7005は、データ取得部7003により取得され、データ記憶部7004に蓄積される稼働データをまとめて事後的に管理装置2に送信してもよい。
【0169】
<管理装置の機能構成>
図4に示すように、管理装置2は、機能部として、設定画面表示処理部21と、設定部22と、データ取得部23と、データ記憶部24と、データ表示処理部25とを含む。設定画面表示処理部21、設定部22、データ取得部23、及びデータ表示処理部25の機能は、例えば、補助記憶装置2Bにインストールされるプログラムをメモリ装置2CにロードしCPU2Dで実行することにより実現される。また、データ記憶部24の機能は、例えば、補助記憶装置2B等に規定される記憶領域により実現される。
【0170】
設定画面表示処理部21は、入力装置2Gを通じて受け付けられる所定の入力に応じて、コントローラ700での稼働データの収集に関する各種の設定を支援する設定画面(以下、「データ収集設定画面」)を表示装置2Hに表示させる。
【0171】
設定部22は、入力装置2Gを通じて受け付けられる、データ収集設定画面上での所定の入力に応じて、コントローラ700でのデータ収集に関する設定を行う。これにより、ユーザは、入力装置2Gを通じて、射出成形機1(コントローラ700)におけるデータ収集に関する設定を管理装置2に実施させることができる。具体的には、設定部22は、コントローラ700でのデータ収集に関する設定を行い、その設定内容を含む指令信号を送信してよい。これにより、管理装置2は、指令信号で指定される設定内容をコントローラ700でのデータ収集に関する処理に反映させることができる。
【0172】
例えば、設定部22は、上述の如く、入力装置2Gを通じて受け付けられる、データ収集設定画面上での所定の入力に応じて、許容上限PL_limを設定する。
【0173】
また、例えば、設定部22は、上述の如く、入力装置2Gを通じて受け付けられる、データ収集設定画面上での所定の入力に応じて、収集候補の稼働データごとの優先度を設定する。
【0174】
また、例えば、設定部22は、上述の如く、入力装置2Gを通じて受け付けられる、データ収集設定画面上での所定の入力に応じて、収集候補の稼働データを設定する。
【0175】
また、例えば、設定部22は、上述の如く、入力装置2Gを通じて受け付けられる、データ収集設定画面上での所定の入力に応じて、収集対象のデータの数の所定の下限を設定する。
【0176】
尚、設定画面表示処理部21及び設定部22の機能は、射出成形機1(例えば、コントローラ700)に追加或いは移管されてもよい。これにより、ユーザは、射出成形機1の入力装置750(第1の入力部、第2の入力部、及び第3の入力部の一例)を通じて、表示装置760に表示されるデータ収集設定画面上での各種入力を行うことができる。そして、ユーザは、表示装置760のデータ収集設定画面を通じて、コントローラ700のデータ収集に関する設定を射出成形機1の設定部(第1の設定部~第3の設定部の一例)に実施させることができる。同様に、設定画面表示処理部21及び設定部22の機能は、ユーザ端末3に追加或いは移管されてもよい。これにより、ユーザは、ユーザ端末3の入力装置を通じて、その表示装置に表示されるデータ収集設定画面上での各種入力を行い、コントローラ700のデータ収集に関する設定をユーザ端末3の設定部に実施させることができる。
【0177】
データ取得部23は、射出成形機1(データ送信部7005)から送信され、通信インタフェース2Fで受信済の稼働データを受信バッファ等から取得し、データ記憶部24に登録する。
【0178】
データ記憶部24には、データ取得部23により取得される、射出成形機1の稼働データを履歴的に記憶する。例えば、データ記憶部24には、射出成形機1の稼働データの取得タイミングごとのレコードで構成されるレコード群(稼働データのデータベース)が構築される。また、例えば、射出成形機システムSYSに複数の射出成形機1が含まれる場合、複数の射出成形機1ごとの稼働データのデータベースがデータ記憶部24に構築される。
【0179】
データ表示処理部25は、入力装置2Gで受け付けられるユーザからの所定の入力に応じて、表示装置2Hにデータ記憶部24の稼働データを表示させる。稼働データは、例えば、時系列のリスト形式で表示されてもよいし、時系列のグラフ形式で表示されてもよい。また、稼働データがリアルタイムに管理装置2に送信される形態の場合、データ記憶部24に新たな稼働データが登録されるたびに、表示装置2Hの稼働データの表示を逐次更新させる。これにより、ユーザは、射出成形機1の稼働状態をリアルタイムに監視することができる。
【0180】
尚、データ表示処理部25の機能は、射出成形機1(例えば、コントローラ700)に追加或いは移管されてもよい。この場合、データ記憶部7004に稼働データが蓄積され、例えば、上述のデータ記憶部24の場合と同様、稼働データのデータベースが構築されてよい。これにより、ユーザは、射出成形機1の表示装置760を通じて、稼働データを確認することができる。また、データ表示処理部25の機能は、ユーザ端末3に追加或いは移管されてもよい。この場合、例えば、ユーザ端末3は、その入力装置を通じて受け付けられるユーザからの所定の入力に応じて、稼働データの表示の要求信号を送信する。これにより、ユーザ端末は、管理装置2から稼働データの表示画面のデータが返信され、その表示画面をその表示装置に表示させるができ、ユーザは、ユーザ端末3を通じて、稼働データを確認することができる。
【0181】
[コントローラのベース処理負荷の時間変化の具体例]
次に、図6を参照して、コントローラ700のベース処理負荷の時間変化の具体例について説明する。
【0182】
図6は、コントローラ700のベース処理負荷の時間変化の一例を示す図である。具体的には、図6は、射出成形機1の型閉工程の開始を起点とし、突き出し工程の終了を終点とする1回の成形サイクルでのコントローラ700のベース処理負荷の時間変化の具体例を示す。
【0183】
尚、本例では、型閉工程及び型締工程を一連の工程として説明する。また、本例では、冷却工程の最中に、次回の成形サイクルで使用される成形材料に関する計量工程が実施される。
【0184】
図6に示すように、時刻t0にて、型閉工程が開始される。
【0185】
型閉工程が開始されると、型締装置100の型閉動作及び型締動作に関する制御開始に応じて、コントローラ700のベース処理負荷は、非常に低いレベルから急激に(パルス状に)増大する(図中の矢印A1参照)。その後、型閉工程から型締工程に亘る型締装置100の型閉動作及び型締動作の一連の動作の最中において、コントローラ700のベース処理負荷は、ある程度の変動を伴いながら、制御開始時のパルス状の極大値よりも低い所定のレベルで推移する。そして、型締装置100の型締動作が完了すると、時刻t1にて、型締工程が終了し、充填工程に移行する。このとき、コントローラ700のベース処理負荷は、一旦、非常に低いレベルまで下がる。
【0186】
充填工程が開始されると、射出装置300及び移動装置400の充填動作に関する制御開始に応じて、コントローラ700のベース処理負荷は、非常に低いレベルから急激に(パルス状)に増大する(図中の矢印A2参照)。この際のコントローラ700のベース処理負荷の極大値は、成形サイクル全体でのコントローラ700のベース処理負荷の最大値に相当する。その後、充填工程中において、コントローラ700のベース処理負荷は、ある程度の変動を伴いながら、制御開始時のパルス状の極大値よりも低い所定のレベルで推移する。そして、射出装置300及び移動装置400充填動作が完了すると、時刻t2にて、充填工程が終了し、保圧工程に移行する。
【0187】
保圧工程が開始されると、射出装置300の保圧動作に関する制御開始に応じて、コントローラ700のベース処理負荷は、充填工程の終了時のレベルから急激に(パルス状に)増大する(図中の矢印A3参照)。その後、保圧工程において、コントローラ700のベース処理負荷は、ある程度の変動を伴いながら、充填工程と同等のレベルで推移する。そして、保圧動作が完了すると、時刻t3にて、保圧工程が終了し、冷却工程及び計量工程に移行する。このとき、コントローラ700のベース処理負荷は、一旦、非常に低いレベルまで下がる。
【0188】
計量工程が開始されると、射出装置300の計量動作に関する制御開始に応じて、コントローラ700のベース処理負荷は、非常に低いレベルから急激に(パルス状に)増大する(図中の矢印A4参照)。その後、計量工程において、コントローラ700のベース処理負荷は、ある程度の変動を伴いながら、制御開始時のパルス状の極大値よりも低い所定のレベルで推移する。そして、射出装置300の計量動作が完了すると、時刻t4にて、保圧工程が終了する。
【0189】
保圧工程の終了後も、冷却工程は継続する。冷却工程では、射出成形機1の各種アクチュエータの動作がないことから、コントローラ700のベース処理負荷は、ある程度の変動を伴いながら、非常に低いレベルで推移する。そして、時刻t5にて、冷却工程は終了し、型開工程に移行する。
【0190】
型開工程が開始されると、型締装置100の型開動作に関する制御開始に応じて、コントローラ700のベース処理負荷は、非常に低いレベルから急激に(パルス状に)増大する(図中の矢印A5参照)。その後、コントローラ700のベース処理負荷は、制御開始時のパルス状の極大値よりも低い所定のレベルに低下する。そして、型開動作が完了すると、時刻t6にて、型開工程が終了し、突き出し工程に移行する。このとき、コントローラ700のベース処理負荷は、一旦、非常に低いレベルまで下がる。
【0191】
突き出し工程が開始されると、エジェクタ装置200の突き出し動作に関する制御開始に応じて、コントローラ700のベース処理負荷は、非常に低いレベルから急激に(パルス状に)増大する(図中の矢印A6参照)。その後、コントローラ700のベース処理負荷は、制御開始時のパルス状の極大値よりも低い所定のレベルに低下する。そして、突き出し動作が完了すると、コントローラ700のベース処理負荷は、一旦、非常に低いレベルまで下がる。
【0192】
突き出し動作が完了すると、エジェクタ装置200は、待機状態に戻る動作に移行する。エジェクタ装置200の待機状態に戻る動作に関する制御開始に応じて、コントローラ700のベース処理負荷は、非常に低いレベルから急激に(パルス状に)増大する(図中の矢印A7参照)。その後、コントローラ700のベース処理負荷は、制御開始時のパルス状の極大値よりも低い所定のレベルに低下する。そして、エジェクタ装置200の待機状態に戻る動作が完了すると、突き出し工程が終了し、成形サイクルが完結する。このとき、コントローラ700のベース処理負荷は、非常に低いレベルまで下がる。
【0193】
例えば、処理負荷調整部7002は、時系列で、許容上限PL_limとコントローラ700のベース処理負荷との差分の範囲(図6中の梨地模様の部分)にデータ収集処理負荷が収まるように、コントローラ700のデータ収集処理負荷を調整してよい。
【0194】
また、例えば、処理負荷推定部7001は、本例(図6)のようなコントローラ700のベース処理負荷の時間変化のパターン(計測結果)に基づき、コントローラ700のベース処理負荷を予測してもよい。
【0195】
[データ収集設定画面]
次に、図7図8を参照して、データ収集設定画面の具体例について説明する。
【0196】
図7図8は、表示装置2Hに表示されるデータ収集設定画面の一例(データ収集設定画面70)及び他の例(データ収集設定画面80)を示す図である。具体的には、図7は、取得候補の稼働データ、及びその優先度の設定を行うためのデータ収集設定画面の具体例であり、図8は、許容上限PL_limの設定を行うためのデータ収集設定画面の具体例である。
【0197】
尚、図7のデータ収集設定画面70の表示内容と、図8のデータ収集設定画面80の表示内容とは、一つのデータ収集設定画面として同時に表示されてもよい。例えば、データ収集設定画面が上下或いは左右に2つの表示領域に分割され、それぞれの表示領域にデータ収集設定画面70の表示内容と、データ収集設定画面80の表示内容とが表示されてもよい。この場合、2つの表示領域の少なくとも一方は、必要に応じて、全ての表示内容を表示可能なようにスクロール表示が可能であってよい。これにより、ユーザは、一つのデータ収集設定画面を通じて、取得候補の稼働データの設定、取得候補の稼働データごとの優先度の設定、及び許容上限PL_limの設定を行うことができる。
【0198】
<取得候補の稼働データ及びその優先度の設定>
図7に示すように、本例では、取得候補として設定可能なそれぞれの稼働データが相対的に大きい分類(以下、「大分類」)、及び大分類に含まれる相対的に小さい分類(以下、「小分類」)に分類され、大分類及び小分類に紐付けられる形で階層的に表示される。
【0199】
本例では、"コマンドログ"、"診断データ"、"型締装置"、"エジェクタ装置"、"移動装置"、及び"射出装置"等の大分類が予め規定されている。"コマンドログ"は、制御機器(例えば、コントローラ700)と被制御機器(例えば、ドライバ710やセンサ720)との間のコマンドのやり取りのログに関するデータに対応する大分類である。"診断データ"は、コントローラ700、ドライバ710、センサ720等の各種機器の稼働中における自己診断の結果に関するデータに対応する大分類である。"型締装置"は、型締装置100に関する稼働データに対応する大分類である。"エジェクタ装置"は、エジェクタ装置200に関する稼働データに対応する大分類である。"移動装置"は、移動装置400に関する稼働データに対応する大分類である。"射出装置"は、射出装置300に関する稼働データに対応する大分類である。
【0200】
"射出装置"の大分類には、"射出モータ"、"計量モータ"、及び"保持圧力"等の小分類が予め規定されている。
【0201】
"射出モータ"は、射出モータ350に関する稼働データに対応する小分類である。"射出モータ"の小分類には、図6に示すように、設定可能稼働データとして、位置指令値データ、位置実績値データ、速度指令値データ、速度実績値データ、電流指令値データ、及び電流実績値データが含まれる。また、"射出モータ"の小分類には、設定可能稼働データとして、電圧実績値データやPWM(Pulse Width Modulation)指令値データが含まれてもよい。位置指令値データ及び速度指令値データは、それぞれ、射出モータ350の回転位置(回転角度)及び回転速度に関する指令値を表すデータであり、コントローラ700から出力されてよい。位置実績値データ及び速度実績値データは、それぞれ、射出モータ350の回転位置及び回転速度の実績値(検出値)を表すデータであり、射出モータ350の位置及び速度を検出するセンサ720(射出モータエンコーダ351)から出力されてよい。電流指令値データは、射出モータ350の電流に関する指令値を表すデータであり、コントローラ700から出力されてよい。また、電流実績値データは、射出モータ350の電流の実績値(検出値)を表すデータであり、射出モータ350の電流を検出するセンサ720から出力されてよい。また、電圧実績値データは、射出モータ350の電圧の実績値(検出値)を表すデータであり、射出モータ350の印加電圧を検出するセンサ720から出力されてよい。また、PWM指令値データは、ドライバ710に含まれるスイッチング素子を駆動する指令値を表すデータであり、ドライバ710から出力されてよい。
【0202】
"計量モータ"は、計量モータ340に関する稼働データに対応する小分類である。"計量モータ"の小分類には、例えば、計量モータ340に関する位置指令値データ、位置実績値データ、速度指令値データ、速度実績値データ、電流指令値データ、電流実績値データ、電圧実績値データ、PWM指令値データ等が含まれてよい。
【0203】
"保持圧力"は、スクリュ330の前端における成形材料の圧力(保持圧力)に関する小分類である。"保持圧力"の小分類には、例えば、保持圧力に関する指令値データ、及び保持圧力に関する実績値データ等が含まれてよい。
【0204】
データ収集設定画面70において、ユーザは、入力装置2Gを用いて、大分類を表す文字情報の左に隣接するアイコン("+"或いは"-"の記号を内包する正方形)を操作することができる。これにより、ユーザは、大分類の下位の階層(小分類)を展開して表示させたり、折り畳んで非表示にさせたりすることができる。本例では、"射出装置"の大分類だけが展開され、その下位の小分類が表示されている。
【0205】
同様に、データ収集設定画面70において、ユーザは、入力装置2Gを用いて、展開されている小分類を表す文字情報の左に隣接するアイコンを操作することができる。これにより、ユーザは、小分類の下位の階層(小分類に含まれる稼働データ)を展開して表示させたり、折り畳んで非表示にさせたりすることができる。
【0206】
データ収集設定画面70には、展開されている稼働データの右に隣接してチェックボックス61が配置される。データ収集設定画面70において、ユーザは、入力装置2Gを用いて、展開されている稼働データの右に隣接するチェックボックス71を操作し、チェックマークを入力したり、チェックマークを削除したりすることができる。これにより、ユーザは、展開されている小分類に含まれている一又は複数の稼働データのそれぞれについて、チェックボックス71にチェックマークを入力し、取得候補の稼働データとして(追加)設定することができる。また、ユーザは、展開されている小分類に含まれている一又は複数の稼働データのそれぞれについて、チェックボックス71のチェックマークを削除し、取得候補の稼働データから除外させることができる。また、ユーザは、展開されている小分類に含まれている一又は複数の稼働データごとのチェックボックス71の内容を確認することにより、どの種類の稼働データが取得候補の稼働データとして設定されているかを把握することができる。
【0207】
本例では、"射出モータ"の小分類に含まれる位置指令データ、位置実績値データ、速度指令値データ、速度実績値データ、電流指令値、及び電流実績値に対応するチェックボックス61にチェックマークが入っており、取得候補の稼働データとして設定されている。
【0208】
また、データ収集設定画面70には、展開されている稼働データの右のチェックボックス61の更に右に隣接して、取得候補の稼働データの優先度の3つの選択肢("高"、"中"、"低")を表すラジオボタン72が配置される。稼働データの優先度は、"低"、"中"、及び"高"の順序で高くなる。データ収集設定画面70において、ユーザは、入力装置2Gを用いて、3つのラジオボタン72のうちの何れか一つを選択することで、チェックボックスにチェックマークが入力されている稼働データの優先度を設定することができる。また、ユーザは、展開されている小分類に含まれている一又は複数の稼働データごとのラジオボタン72の選択内容を確認することにより、取得候補の稼働データごとの優先度の設定内容を把握することができる。
【0209】
本例では、"射出モータ"の小分類に含まれる位置指令データ、位置実績値データ、速度指令値データ、及び速度実績値データについて、"高"のラジオボタンが選択され、電流指令値、及び電流実績値について、"中"のラジオボタンが選択されている。
【0210】
尚、本例では、優先度が3段階で設定されるが、数値の入力やバーグラフ上でのスライド入力等によって、3段階以上、或いは、連続的に変化させることが可能な態様で、優先度が設定可能であってもよい。
【0211】
<コントローラの処理負荷の許容上限の設定>
図8に示すように、本例では、コントローラ700のベース処理負荷の時間変化を模擬する時系列のグラフ81が表示され、グラフ81の処理負荷を表す縦軸上に許容上限を表す入力ボックス82及びアイコン83が配置される。これにより、ユーザは、入力ボックス82の値やアイコン83の上下方向の位置から、許容上限PL_limの設定状況を確認することができる。
【0212】
入力ボックス82及びアイコン83の位置は、許容上限PL_limとして設定される値に応じて上下する。具体的には、許容上限PL_limとして現在の値より大きな値が設定される場合、入力ボックス82及びアイコン83の位置は、上に移動し、許容上限PL_limとして現在の値より小さい値が設定される場合、下に移動する。
【0213】
例えば、ユーザは、入力装置2Gを用いて、入力ボックス82に許容上限PL_limとして設定したいパーセント値を入力することで、許容上限PL_limを管理装置2に設定させることができる。また、例えば、ユーザは、入力装置2Gを用いて、アイコン83を上下移動させることにより、許容上限PL_limを管理装置2に設定させることが可能であってもよい。
【0214】
[作用]
次に、本実施形態に係る射出成形機システムSYSの作用について説明する。
【0215】
本実施形態では、射出成形機1は、型締装置100と、射出装置300と、エジェクタ装置200と、コントローラ700と、を備える。具体的には、型締装置100は、金型装置10を型締する。また、射出装置300は、型締装置100により型締された金型装置10に成形材料を充填する。また、エジェクタ装置200は、射出装置300により充填された成形材料が冷却固化した後、金型装置10から成形品を取り出す。また、コントローラ700は、データ取得部7003と、処理負荷調整部7002と、を有する。また、データ取得部7003は、射出成形機1の内部で出力される、射出成形機1の稼働データを取得しデータ記憶部7004に記録する。そして、処理負荷調整部7002は、コントローラ700の処理負荷に合わせて、データ取得部7003により取得される稼働データの数を調整する。
【0216】
これにより、コントローラ700は、コントローラ700の処理負荷に合わせて、収集対象の稼働データの数を自動で調整することで、データ収集処理負荷を自動で調整することができる。そのため、コントローラ700は、例えば、処理負荷に余裕がない状況では、収集の優先度が相対的に高い稼働データだけを収集しつつ、処理負荷に余裕がある状況では、更に、収集の優先度が相対的に低いデータまで収集することができる。よって、射出成形機システムSYSは、射出成形機1で出力されるデータをコントローラ700の処理負荷の許容範囲内で収集させる際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0217】
また、本実施形態では、処理負荷調整部7002は、コントローラ700の処理負荷が許容上限PL_limを超えないように、データ取得部7003により取得される稼働データの数を調整してよい。
【0218】
これにより、射出成形機システムSYSは、収集対象の稼働データの数を調整することで、コントローラ700のデータ収集処理負荷を自動で調整し、コントローラ700の処理負荷が許容上限PL_limを超えないようにすることができる。
【0219】
また、本実施形態では、管理装置2は、設定部22を備えてもよい。具体的には、設定部22は、入力装置2Gにより受け付けられる所定の入力に応じて、許容上限PL_limを設定してもよい。
【0220】
これにより、射出成形機システムSYSは、許容上限PL_limをユーザに決定してもらうことができる。
【0221】
また、本実施形態では、処理負荷調整部7002は、コントローラ700の処理負荷に合わせて、取得候補の稼働データの中から稼働データごとに規定される優先度が相対的に高いデータから優先的にデータ取得部7003により取得されるデータに含めるように、データ取得部7003により取得される稼働データの数を調整してもよい。
【0222】
これにより、射出成形機システムSYSは、コントローラ700の処理負荷に合わせて、具体的に、取得対象のデータの数を調整することができると共に、処理負荷に余裕がない状況であっても、取得の優先度が相対的に高いデータを収集することができる。
【0223】
また、本実施形態では、管理装置2は、設定部22を備えてもよい。具体的には、設定部22は、入力装置2Gにより受け付けられる所定の入力に応じて、取得候補のデータごとの優先度を設定してもよい。
【0224】
これにより、射出成形機システムSYSは、取得候補のデータごとの取得の優先度をユーザに決定してもらうことができる。
【0225】
また、本実施形態では、管理装置2は、設定部22を備えてもよい。具体的には、設定部22は、入力装置2Gにより受け付けられる所定の入力に応じて、複数の稼働データの中からデータ取得部7003により取得される候補の稼働データを設定してもよい。そして、処理負荷調整部7002は、設定部22により設定された取得候補の稼働データの範囲で、データ取得部7003により取得される稼働データの数を調整してもよい。
【0226】
これにより、射出成形機システムSYSは、取得候補の稼働データをユーザに決定してもらうことができる。
【0227】
また、本実施形態では、コントローラ700は、処理負荷推定部7001を有してもよい。具体的には、処理負荷推定部7001は、コントローラ700の処理負荷を推定してよい。そして、処理負荷調整部7002は、処理負荷推定部7001の推定結果に基づき、データ取得部7003により取得される稼働データの数を調整してもよい。
【0228】
これにより、射出成形機システムSYSは、コントローラ700の処理負荷の推定結果を利用することで、コントローラ700の処理負荷に合わせて、稼働データの数を調整することができる。
【0229】
また、本実施形態では、処理負荷推定部7001は、コントローラ700の処理負荷を計測し、その時系列での計測結果に基づき、コントローラ700の処理負荷の状態を推定してもよい。
【0230】
これにより、射出成形機システムSYS(コントローラ700)は、コントローラ700処理負荷の時系列での計測結果から、例えば、その処理負荷の時間変化の傾向やパターンを見出すことで、その処理負荷を推定することができる。
【0231】
また、本実施形態では、処理負荷推定部7001は、時系列での計測結果に基づき、コントローラ700の処理負荷の時間変化のパターンを学習し、学習結果のパターンに基づき、コントローラ700の処理負荷の状態を推定してもよい。
【0232】
これにより、射出成形機システムSYS(コントローラ700)は、具体的に、コントローラ700の処理負荷を推定することができる。
【0233】
また、本実施形態では、処理負荷推定部7001は、複数の工程で構成される射出成形機1の動作パターンに関する情報と、複数の工程のうちの現在の工程に関する情報とに基づき、コントローラ700の処理負荷の状態を推定してもよい。
【0234】
これにより、射出成形機システムSYS(コントローラ700)は、例えば、射出成形機1の複数の工程ごとの処理負荷に関する実験やシミュレーション結果に基づく情報を用いて、現在の工程でのコントローラ700の処理負荷を推定することができる。
【0235】
また、本実施形態では、コントローラ700は、データ送信部7005を備えてもよい。具体的には、データ送信部7005は、データ取得部7003による処理からの一連の処理として、データ取得部7003により取得されデータ記憶部7004に記録されたデータを管理装置2に送信してよい。そして、処理負荷調整部7002は、コントローラ700の処理負荷に合わせて、データ送信部7005による稼働データの送信を一連の処理として実施させるか、データ取得部7003による稼働データの取得後、一連の処理として実施される場合よりも後のタイミングでデータ送信部7005による稼働データの送信を実施させるかを調整してもよい。
【0236】
これにより、コントローラ700は、稼働データの取得と連動して、管理装置2への稼働データの送信がリアルタイムに実施される前提の下、処理負荷に余裕がない状況では、例外として、処理負荷に余裕ができるまで稼働データの送信を遅らせることができる。そのため、射出成形機システムSYS(コントローラ700)は、データ収集処理負荷の調整の自由度をより高め、例えば、取得対象の稼働データの数をある一定水準以上に保持することができる。よって、射出成形機システムSYSは、より適切にデータ収集処理負荷を調整することができる。
【0237】
[変形・変更]
以上、実施形態等について説明したが、本開示は上術の実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0238】
例えば、上述した実施形態では、射出成形機1に関するデータの収集方法等について説明したが、同様の方法は、他の産業機械に適用されてもよい。他の産業機械には、例えば、工作機械や生産ロボット等、工場に定置される定置型の機械が含まれる。また、他の産業機械には、例えば、移動式の作業機械が含まれる。移動式の作業機械には、例えば、ショベルやブルドーザ等の建設機械、コンバイン等の農業機械、移動式クレーンやフォークリフト等の運搬機械等が含まれる。
【符号の説明】
【0239】
1 射出成形機(産業機械)
2 管理装置(外部装置)
2A 外部インタフェース
2B 補助記憶装置
2C メモリ装置
2D CPU
2E 高速演算装置
2F 通信インタフェース
2G 入力装置
2H 表示装置
3 ユーザ端末
21 設定画面表示処理部
22 設定部
23 データ取得部
24 データ記憶部
25 データ表示処理部
100 型締装置
200 エジェクタ装置
300 射出装置
400 移動装置
700 コントローラ
701 CPU
702 メモリ装置
703 補助記憶装置
704 インタフェース装置
710 ドライバ
720 センサ
750 入力装置(第1の入力部、第2の入力部、第3の入力部)
760 表示装置
7001 処理負荷推定部(推定部)
7002 処理負荷調整部(調整部)
7003 データ取得部(取得部)
7004 データ記憶部(記憶部)
7005 データ送信部(送信部)
SYS 射出成形機システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8