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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20241209BHJP
   F25D 27/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
F25D23/06 W
F25D27/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021146162
(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公開番号】P2023039143
(43)【公開日】2023-03-20
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 健一
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038713(JP,A)
【文献】特開2009-024922(JP,A)
【文献】特開2016-014484(JP,A)
【文献】特開2009-228917(JP,A)
【文献】特開2019-027723(JP,A)
【文献】特開2005-147591(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002345(WO,A1)
【文献】特開2014-006040(JP,A)
【文献】特開2013-224370(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F25D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口部を有する貯蔵室と、前記貯蔵室の天井と、前記天井より上の天井断熱部と、前記天井に設けられた照明装置と、前記天井断熱部に充填された発泡断熱材と、前記発泡断熱材と異なる部材であり前記天井断熱部に設けられた部材である断熱部材と、を有する冷蔵庫において、
前記照明装置は、光源と、前記光源より前記天井断熱部側に位置する覆い部とを含み、
前記天井断熱部において前記覆い部に前記断熱部材が取り付けられ
前記断熱部材の前記覆い部への取り付け部分より前に、前記覆い部に取り付けられたものと同一又はそれとは別の前記断熱部材と前記覆い部とが上下に離れた離隔部が存在し、前記離隔部と前記覆い部の下の空間とを連通する排気孔が前記覆い部に設けられ、
前記排気孔は、前記覆い部と、前記覆い部よりも下方に設けられた透光部材との間に形成された、前記照明装置の内部空間に連通する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記天井断熱部に複数の前記断熱部材が設けられた、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記天井断熱部に少なくとも2つの前記断熱部材が設けられ、2つの前記断熱部材が前記照明装置の上で重なりを有する、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記断熱部材として、前方の断熱部材と後方の断熱部材とが設けられ、
前記覆い部に前記後方の断熱部材が取り付けられ、前記後方の断熱部材の前部分の上に前記前方の断熱部材の後ろ部分が載ることにより、前記前方の断熱部材と前記後方の断熱部材とが上下方向に重なりを有し、
前記照明装置の後端が前記後方の断熱部材の後端よりも後方にある、
請求項2又は3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記断熱部材の前端が前記照明装置の前端より前に配置され、前記断熱部材が前記照明装置の上に載った、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
基板が収納される基板収納部が前記天井断熱部より上に設けられ、
前記基板収納部と前記照明装置との間に前記天井断熱部が狭くなった狭隘部が形成され、前記狭隘部を避けて前記断熱部材が設けられた、請求項1~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記覆い部に取り付けられたものと同一又はそれとは別の前記断熱部材の下に、前記天井断熱部における前記覆い部より前の部分である覆い部前断熱部が存在し、前記覆い部前断熱部と前記貯蔵室とを連通する排気孔が前記天井に設けられた、請求項1~6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記天井断熱部への前記発泡断熱材の注入口が冷蔵庫の後部に設けられた、請求項1~のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記照明装置が、導光板と、前記導光板の一端側に設けられ前記導光板に向かって光を照射する光源とを有し、前記断熱部材が前記導光板に沿って設けられ、前記光源が前記断熱部材と前記導光板との間を避けて設けられた、請求項1~のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記光源が前記導光板よりも前に配置され後方へ光を照射する、請求項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の筐体では、庫外表面を形成する外箱と、庫内面を有する内箱との間に真空断熱材が配置されている。さらに、外箱と内箱との間に発泡断熱材が充填されている。
【0003】
冷蔵庫の天井部分には庫内を照らす照明装置が取り付けられている。照明装置は内箱に固定されている。照明装置の上に真空断熱材が配置されている場合には、外箱と真空断熱材との間に発泡断熱材が充填されると共に、真空断熱材と照明装置との間にも発泡断熱材が充填されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
冷蔵庫の製造工程においては、外箱、内箱、真空断熱材及び照明装置が組み立てられた後、外箱に形成された孔から外箱と内箱との間の空間に発泡断熱材が充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-14484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、真空断熱材と照明装置との隙間が狭いため、発泡断熱材が充填される際にその隙間において発泡断熱材の流動性が悪かった。
【0007】
そこで本発明は、外箱と内箱との間の空間での発泡断熱材の流動性が良くなる構造の冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前方に開口部を有する貯蔵室と、前記貯蔵室の天井と、前記天井より上の天井断熱部と、前記天井に設けられた照明装置と、前記天井断熱部に充填された発泡断熱材と、前記発泡断熱材と異なる部材であり前記天井断熱部に設けられた部材である断熱部材と、を有する冷蔵庫において、前記照明装置は、光源と、前記光源より前記天井断熱部側に位置する覆い部とを含み、前記天井断熱部において前記覆い部に前記断熱部材が取り付けられ、前記断熱部材の前記覆い部への取り付け部分より前に、前記覆い部に取り付けられたものと同一又はそれとは別の前記断熱部材と前記覆い部とが上下に離れた離隔部が存在し、前記離隔部と前記覆い部の下の空間とを連通する排気孔が前記覆い部に設けられ、前記排気孔は、前記覆い部と、前記覆い部よりも下方に設けられた透光部材との間に形成された、前記照明装置の内部空間に連通することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の冷蔵庫の縦断面図。
図2】冷蔵庫のブロック図。
図3】天井断熱部の前後方向の断面図。
図4】冷蔵室の天井の平面図(上から見た図)。
図5】冷蔵庫の背面図(後ろから見た図)。
図6】発泡断熱材が充填される時の、天井断熱部の前後方向の断面図。
図7】発泡断熱材の充填前の天井断熱部を前から見た図。
図8】変更例の天井断熱部の前後方向の断面図。
図9】別の変更例の天井断熱部の前後方向の断面図。
図10】さらに別の変更例の天井断熱部の前後方向の断面図。
図11】さらに別の変更例の天井断熱部の前後方向の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0011】
以下の説明において、貯蔵室を開閉する扉側を前、その反対側を後ろとする。また、左右とは、冷蔵庫の前に立った利用者から見た左右のことである。
【0012】
まず、冷蔵庫10の全体構成について説明する。図1に実施形態の冷蔵庫10を示す。冷蔵庫10の筐体11は、冷蔵庫10の庫外表面を形成する外箱12と、貯蔵室の内面を形成する内箱13とが組み合わされたものである。外箱12は内箱13を上下、左右及び後ろ側から覆っている。筐体11の内部(すなわち外箱12と内箱13との間)の要所には断熱部材としての真空断熱材46が設けられている。さらに、筐体11の内部における真空断熱材46のない場所には、発泡断熱材47が充填されている。真空断熱材46は発泡断熱材47よりも断熱性が高い。
【0013】
ここで、真空断熱材46は、外装材とその内部に充填された繊維製芯材(例えばグラスウール繊維)とならなり、外装材の中が排気され略真空になったものである。また、発泡断熱材47は発泡合成樹脂(例えばウレタンフォーム)からなる。
【0014】
筐体11の内側は断熱仕切壁15によって上下に仕切られている。断熱仕切壁15の上側は冷蔵空間である。冷蔵空間は冷蔵保存に適した温度である冷蔵温度に維持される。また断熱仕切壁15の下側は冷凍空間である。冷凍空間は冷凍保存に適した温度である冷凍温度に維持される。冷蔵空間及び冷凍空間には食品を貯蔵する貯蔵室がそれぞれ複数設けられている。各貯蔵室は前方に開口部を有し、利用者はその開口部から食品を出し入れできる。
【0015】
冷蔵空間には上から順に貯蔵室としての冷蔵室20及び野菜室22が設けられている。冷蔵室20内は冷蔵温度の範囲内の例えば2~5℃に維持され、野菜室22内は冷蔵温度の範囲内の例えば4~7℃に維持される。冷蔵室20には複数の載置棚24が設けられている。一番下の載置棚24の下は、冷蔵室20の中でも特に低温に維持されるチルド室39となっている。また、野菜室22には、引き出し式容器40と、その上に載っている上側容器41が収納されている。
【0016】
冷蔵室20の前方開口部は、フレンチ式(観音式)の左右一対の冷蔵室扉21で開閉される。冷蔵室扉21には操作パネル45(図2参照)が設けられている。また、冷蔵室扉21の開閉を検知する扉センサ44(図2参照)が設けられている。
【0017】
野菜室22の前方開口部は、引き出し式の野菜室扉23で開閉される。上記の引き出し式容器40は野菜室扉23の庫内側の面に固定されている。そのため、利用者が野菜室扉23を開けると、引き出し式容器40と、引き出し式容器40の上に載っている上側容器41とが、一体となって引き出される。
【0018】
冷凍空間の上部には貯蔵室としての製氷室や小冷凍室26が設けられ、冷凍空間の下部には貯蔵室としての冷凍室28が設けられている。製氷室及び冷凍室28の内部は冷凍温度の範囲内の例えば-20~-18℃に維持される。また小冷凍室26内は、冷凍温度の範囲内の例えば-18~-16℃に維持される。小冷凍室26及び冷凍室28にはそれぞれ引き出し式の収納容器18、19が収納されている。
【0019】
小冷凍室26の前方開口部は引き出し式の収納室扉27で開閉される。収納室扉27の庫内側の面に上記の収納容器18が固定されている。また、冷凍室28の前方開口部は引き出し式の冷凍室扉29で開閉される。冷凍室扉29の庫内側の面に上記の収納容器19が固定されている。また、製氷室の前方開口部は引き出し式の製氷室扉(不図示)で開閉される。
【0020】
冷蔵空間の背後には、冷気を発生させる第1冷却器30と、発生した冷気を循環させる第1ファン32とが設けられている。第1冷却器30で発生した冷気は、第1冷却器30から上方へ向かって延びるダクト34を通って、複数の吹出口36から冷蔵空間へ吹き出る。冷蔵空間を循環した冷気は吸込口38から第1冷却器30へ向かって吸い込まれる。
【0021】
また、冷凍空間の背後には、冷気を発生させる第2冷却器31と、発生した冷気を循環させる第2ファン33とが設けられている。第2冷却器31で発生した冷気は、冷凍空間の奥面に形成されている吹出口35から冷凍空間へ吹き出て、冷凍空間を循環した後、冷凍空間の奥面に形成されている吸込口37から第2冷却器31へ向かって吸い込まれる。
【0022】
冷蔵庫10の下部後方には機械室16が設けられている。機械室16には圧縮機17や凝縮器(不図示)等が収納されている。
【0023】
冷蔵室20の天井42には照明装置50が設けられている。図示省略するが、冷蔵室20内には、奥面(後ろの面)等の場所にも照明装置が設けられている。
【0024】
圧縮機17、凝縮器、第1冷却器30、第2冷却器31等は周知の冷凍サイクル装置を構成している。圧縮機17で圧縮された冷媒が第1冷却器30及び第2冷却器31に交互に流れ、冷媒が流れたときにそれぞれの冷却器30、31で冷気が発生する。
【0025】
図2に示すように、冷蔵庫10には制御部43が設けられている。制御部43には、操作パネル45の他、扉センサ44等の各種センサや、照明装置50、圧縮機17、第1ファン32、第2ファン33等の各種機器が接続されている。制御部43は、操作パネル45からの指示や各種センサによる検出信号に基づき、各種機器を制御する。制御部43は、冷蔵室扉21が開いたことを扉センサ44が検知したときに照明装置50を点灯し、冷蔵室扉21が閉じたことを扉センサ44が検知したときに照明装置50を消灯する。
【0026】
制御部43は制御基板60(図3参照)に設けられている。制御基板60の表面には不図示の回路パターンが設けられている。制御基板60は筐体11の上部の後部に設けられた基板収納部61に収納されている。
【0027】
図3に冷蔵室20の天井42付近の前後方向の断面図を示す。天井42は、内箱13のうち、冷蔵室20の上の面を形成する部分である。天井42は、前方の傾斜面42aと、前後方向中央付近から後方にかけての水平面42bとからなる面である。傾斜面42aは、前方が上で後方が下になる向きに傾斜している。
【0028】
天井42の水平面42bには照明装置50が設けられている。照明装置50は、天井42に開けられた開口58に嵌合され、天井42よりも上側にあたる筐体11の内部に入り込んでいる。なお、以下の説明において、天井42及び照明装置50と、外箱12との間の場所のことを「天井断熱部14」とする。照明装置50の天井断熱部14に入り込んだ部分は、天井断熱部14において、周囲の面(天井42の裏面)に対して上に凸となっている。照明装置50は、天井42の前後方向及び左右方向のそれぞれの中央を含む場所に設けられている。
【0029】
照明装置50は、少なくとも、下に開口した箱形の覆い部51と、覆い部51の内部の前方に配置された複数の光源52と、覆い部51の内部で光源52より後方に配置された導光板53と、光源52が接続された基板55と、覆い部51の開口を下から塞ぐ透光部材54とから構成されている。
【0030】
光源52は例えばLEDからなる。複数の光源52が左右方向(図3では紙面に垂直な方向)に並んでいる。これらの光源52は後方すなわち導光板53の方へ向かって光を照射する。導光板53はアクリル等で出来た透明な直方体のものである。導光板53は上から見て長方形で、その長方形の一辺に沿って複数の光源52が並んでいる。また、基板55は光源52を点灯及び消灯させるための回路を有している。
【0031】
覆い部51は、光源52及び導光板53より天井断熱部14側に位置している。また、覆い部51は光源52及び導光板53を収納している。また、覆い部51は、開口を下にして、天井42に空けられた開口58に嵌合されている。覆い部51の上部は、天井42よりも上に入り込んでいる。そのため、天井断熱部14において、覆い部51がその周囲よりも上に突出している。光源52の一部又は全部及び導光板53の一部又は全部も、天井42よりも上にある。また、透光部材54には透光性がある。
【0032】
光源52が発光すると、光が導光板53に入射して導光板53の全体が明るくなる。導光板53の全体が明るくなると、導光板53の光が透光性のある透光部材54を透過して冷蔵室20の内部を照らす。
【0033】
基板収納部61は、外箱12の上面の後部に形成された凹部62と、凹部62を上から覆う蓋63とによって囲まれた空間である。凹部62の底面は水平になっている。制御基板60は基板収納部61の内部に水平に配置されている。
【0034】
天井断熱部14内から見ると、外箱12の下面(天井断熱部14側の面)は、基板収納部61の下にあたる収納部下面64と、その周囲の周囲面65とを有している。そして、収納部下面64は周囲面65よりも低くなっている。換言すれば、外箱12は、基板収納部61の下にあたる部分が、基板収納部61の下以外の部分よりも、低くなっている。収納部下面64は、最も低い部分であり水平面である最下面64aと、最下面64aと周囲面65とを連結する傾斜した連結面64bとからなる。なお収納部下面64は外箱12の凹部62の裏面である。
【0035】
基板収納部61の前部分(基板収納部61のうちの前の部分)の下に照明装置50の後ろ部分(照明装置50のうちの後ろの部分)が配置されている。ここで、基板収納部61の前部分と照明装置50の後ろ部分との間は空いている。そして、基板収納部61の前部分と照明装置50の後ろ部分とは上下方向に対向している。基板収納部61の前部分と照明装置50の後ろ部分とが上下方向に対向している場所の、両者の間の部分を、対向場所66とする。対向場所66においては、収納部下面64の最下面64aと照明装置50とが最も近くなっている。そして、対向場所66においては、対向場所66より前後の場所よりも、天井断熱部14が上下に狭くなっている。このような対向場所66は、天井断熱部14における狭隘部である。
【0036】
天井断熱部14には2つの真空断熱材46が設けられている。2つの真空断熱材46は前後に配置されている。そして、前方の真空断熱材46の後ろ部分(真空断熱材46のうちの後ろの部分)が、後方の真空断熱材46の前部分(真空断熱材46のうちの前の部分)の上に載っている。
【0037】
後方の真空断熱材46は照明装置50の覆い部51の上面51c(この上面が覆い部51の最上部である)に貼り付けられている。貼り付けには貼り付け手段(例えば、両面テープや接着剤)が使用されている。貼り付け手段は、発泡断熱材47とは別に設けられたものであり、真空断熱材46を照明装置50の覆い部51等に貼り付ける手段である。また、この貼り付け手段は、天井断熱部14への発泡断熱材47の充填の前に貼り付けられる手段である。後方の真空断熱材46は、その前端から後端までが照明装置50の裏面に貼り付けられている。後方の真空断熱材46は、照明装置50及びその内部の導光板53に沿って設けられていると言える。
【0038】
なお、沿うとは、近い(例えば、沿っているいずれかの物体の厚み以下の近さの)場所で平行になっていることを言う。真空断熱材46が導光板53に沿う形態としては、図示されているように真空断熱材46と導光板53との間に別の物体(覆い部51の一部)が挟まれている形態の他、真空断熱材46と導光板53とが密着した形態及び真空断熱材46と導光板53との間に空間がある形態もあり得る。これらの形態における真空断熱材46と導光板53との間隔(すなわち、真空断熱材46と導光板53との対向面に垂直な方向の距離)は、例えば、真空断熱材46及び導光板53のいずれか厚い方の厚み以下である。
【0039】
後方の真空断熱材46は、前方の真空断熱材46よりも基板収納部61に近い場所にある。しかし、後方の真空断熱材46は、基板収納部61と照明装置50との上下方向の対向場所66である狭隘部を避けて設けられている。また、後方の真空断熱材46は、基板収納部61の下にはなく、従って制御基板60の下にも収納部下面64の最下面64aの下にもない。
【0040】
また、後方の真空断熱材46の後端は照明装置50の後端よりも前にある。そして、上記の通り前方の真空断熱材46が後方の真空断熱材46よりも上であるため、前方の真空断熱材46の上面、後方の真空断熱材46の上面及び照明装置50の上面の順に徐々に低くなる階段が形成されている。
【0041】
前方の真空断熱材46は、後方の真空断熱材46と同じ形状及び大きさのものである。前方の真空断熱材46の後ろ部分は、貼り付け手段によって、後方の真空断熱材46の前部分に貼り付けられている。前方の真空断熱材46の前端は、天井42の傾斜面42aの上にあり、傾斜面42aに近接している。ただし、前方の真空断熱材46の前端と傾斜面42aとの間は空いている。
【0042】
また、図4のように、真空断熱材46、照明装置50、導光板53、基板収納部61及び制御基板60は上から見て略長方形である。左右方向の幅は、真空断熱材46、照明装置50、導光板53、基板収納部61、制御基板60の順に大きい。
【0043】
図3のように、照明装置50の覆い部51より前で、前方の真空断熱材46より下の部分(この部分を「覆い部前断熱部59」とする)では、内箱13に排気孔56が設けられている。排気孔56は、内箱13を上下に貫通し、覆い部前断熱部59と冷蔵室20とを連通している。ここで連通とは、気体が通過できるように通じさせることを意味する。
【0044】
天井断熱部14における、真空断熱材46のない場所の全体に、発泡断熱材47が充填されている。冷蔵庫10の背面の上部の左右両側において、外箱12に注入口48(図3及び図5参照)が設けられている。この注入口48から、発泡断熱材47の原料である液体が注入される。注入口48は不図示の蓋で閉塞される。なお、注入口48の前方には、筐体11の左右の壁部(貯蔵室の左右の側壁を形成する壁部)が芯材する。
【0045】
筐体11の製造工程においては、まず、内箱13に照明装置50が取り付けられる。次に、照明装置50の上面に1つ目の真空断熱材46が貼り付けられる。次に、1つ目の真空断熱材46の前方上面に、2つめの真空断熱材46が貼り付けられる。なお、1つ目の真空断熱材46と2つめの真空断熱材46が貼り付けられた後に、照明装置50に1つ目の真空断熱材46が貼り付けられても良い。いずれにしろ、これにより、照明装置50の上で、2つめの真空断熱材46が前方、1つ目の真空断熱材46が後方に配置される。
【0046】
このとき、図6及び図7のように、前方の真空断熱材46の前端部と天井42の傾斜面42aとの間に、固体の発泡合成樹脂片57が配置される。図7のように、真空断熱材46に対して十分小さな発泡合成樹脂片57が、真空断熱材46の左右方向の複数箇所(図7の場合は3箇所)に配置される。それにより、発泡断熱材47の充填前の段階で、真空断熱材46と傾斜面42aとの間隔が確保される。
【0047】
この間隔が確保されるため、発泡断熱材47の原料である液体が、発泡合成樹脂片57と発泡合成樹脂片57との間を通過することができる。そのため、前記液体が、真空断熱材46よりも前方から、真空断熱材46と天井42の傾斜面42aとの間の空間へ侵入することができる。また、前記液体は、真空断熱材46の左右両側からも、真空断熱材46と天井42の傾斜面42aとの間の空間へ侵入することができる。
【0048】
なお、発泡合成樹脂片57が発泡断熱材47と同じ原料からなる場合等は、天井断熱部14への発泡断熱材47の充填後、発泡合成樹脂片57の存在がわからなくなる場合がある。
【0049】
次に、内箱13に対して外箱12が取り付けられ、それらが筐体11となる。次に、筐体11が、前方(貯蔵室の開口側)が下になり後方(冷蔵庫10の背面側)が上になるように配置される。それにより外箱12の2つの注入口48が上を向く。次に、外箱12の2つの注入口48から発泡断熱材47の原料である液体(ここでは、この液体及びこの液体が発泡中のもののことをまとめて「発泡合成樹脂」とする)が注入される。例えば、発泡断熱材47がウレタンフォームからなる場合には、ウレタンフォームの原料であるポリオールとイソシアネートが注入口48から注入される。
【0050】
注入口48から注入された発泡合成樹脂は、発泡しながら筐体11の内部を流動する。発泡合成樹脂は、まずは下になっている貯蔵室の開口側の部分に溜まり、次第に冷蔵庫10の背面側へ上昇して来る。図6(なお、発泡合成樹脂の注入中、図6の左側が下になっている)の矢印Aのように、天井断熱部14では、前方の真空断熱材46、後方の真空断熱材46及び照明装置50が形成する上記の階段に沿って発泡合成樹脂が流れていく。天井断熱部14にあった空気は、上昇する発泡合成樹脂によって徐々に押し上げられて、注入口48から排出される。
【0051】
また、図6の矢印Bのように、発泡合成樹脂は、前方の真空断熱材46の前端と天井42の傾斜面42aとの間を通過して覆い部前断熱部59へも入り込む。覆い部前断熱部59にあった空気は、内箱13に開けられた上記の排気孔56から排出される。ここで、前方の真空断熱材46の前端と天井42の傾斜面42aとの間が狭いため、覆い部前断熱部59に発泡合成樹脂が侵入しにくいかに思われる。しかし、排気孔56からの排気に伴い、発泡合成樹脂が真空断熱材46の前端と天井42の傾斜面42aとの間等を通過して覆い部前断熱部59に侵入するように誘導される。
【0052】
そして、発泡合成樹脂が天井断熱部14に充填され、注入口48及び排気孔56にまで到達すると、発泡断熱材47の充填が完了する。その後、注入口48が蓋で閉塞される。排気孔56用の蓋がある場合は、排気孔56も蓋で閉塞される。
【0053】
その後、機械室16内の機器等が取り付けられて冷蔵庫10が完成する。
【0054】
以上の構成の冷蔵庫10は次のような効果を奏する。まず、冷蔵庫10は、冷蔵室20の天井42に設けられた照明装置50と、天井42より上の天井断熱部14と、天井断熱部14に設けられた真空断熱材46と、天井断熱部14に充填された発泡断熱材47とを有している。そして、天井断熱部14において照明装置50の覆い部51に真空断熱材46が取り付けられている。
【0055】
そのため、照明装置50と真空断熱材46との間に狭くて発泡合成樹脂の流動性の悪い隙間が形成されず、また真空断熱材46の上の場所が広く確保されている。そのため、天井断熱部14での発泡合成樹脂の流動性が良い。
【0056】
また、照明装置50に断熱性の高い真空断熱材46が貼り付けられているため、照明装置50の結露を防ぐことができる。ここで、照明装置50は導光板53を備えるものだが、真空断熱材46が導光板53に沿って設けられているため、導光板53の結露を防ぐことができる。
【0057】
また、天井断熱部14への発泡断熱材47の充填前に照明装置50の覆い部51に真空断熱材46が取り付けられていれば、真空断熱材46の位置や姿勢を安定させることができ、その安定した状態を保ちながら天井断熱部14へ発泡断熱材47を充填することができる。
【0058】
また、天井断熱部14に複数の真空断熱材46が設けられることにより、発泡合成樹脂の流動性が悪い場所を避けつつ広い範囲に真空断熱材46を設けることが可能となっている。また、天井断熱部14に2つの真空断熱材46が設けられ、それら2つの真空断熱材46が照明装置50の上で重なりを有しているため、照明装置50の結露防止の効果が高くなっている。
【0059】
また、真空断熱材と46して、前方の真空断熱材46と後方の真空断熱材46とが設けられ、後方の真空断熱材46の前部分の上に前方の真空断熱材46の後ろ部分が載ることにより、2つの真空断熱材46が上下方向に重なりを有している。さらに、照明装置50の後ろ部分が後方の真空断熱材46の後ろ部分よりも後方にある。それにより、上記のように2つの真空断熱材46と照明装置50とからなる階段が形成され、発泡合成樹脂が前方から後方へ流動しやすくなっている。
【0060】
また、天井断熱部14の上面が基板収納部61の下の場所においてその周囲の場所よりも低くなり、基板収納部61の前部分と照明装置50の後ろ部分とが上下方向に間を空けつつ対向した対向場所66が形成されている。この対向場所66は狭隘部となっているが、真空断熱材46がこの狭隘部を避けて設けられているため、発泡合成樹脂の流動性が阻害されない。
【0061】
また、前方の真空断熱材46の下で照明装置50の覆い部51の前である覆い部前断熱部59と、冷蔵室20とを連通する排気孔56が天井42に形成されている。そのため、筐体11の内部に発泡合成樹脂が充填されるときに、照明装置50、前方の真空断熱材46及び天井42の傾斜面42aによって囲まれた場所の空気が照明装置50の前端付近の場所で滞留しそうになっても排気孔56から排出される。また、前方の真空断熱材46の前端と天井42の傾斜面42aとの間隔が狭いために発泡合成樹脂が覆い部前断熱部59に侵入しにくいように思われるが、排気孔56から空気が排出されることにより発泡合成樹脂が覆い部前断熱部59に誘導されやすくなる。
【0062】
また、照明装置50が、導光板53と、導光板53に光を照射する光源52とを有するものであるため、導光板53の全体が光ることにより広い範囲を明るくすることができる。また、光源52が導光板53よりも前に配置され後方へ光を照射するため、冷蔵庫10の利用者に光源52が見えず、照明装置50の見栄えが良い。
【0063】
次に、変更例について説明する。
【0064】
図8の変更例においては、前方と後方にそれぞれ1つずつ真空断熱材46が設けられている。前方の真空断熱材46は、照明装置50の上に載って照明装置50と上下方向に重なりを有し、照明装置50に貼り付けられている。ここで、前方の真空断熱材46の前端は照明装置50の前端より前に配置されている。また、前方の真空断熱材46の後端が照明装置50の後端より前に配置されている。そして、前方の真空断熱材46の上面と照明装置50の上面とが、後方に向かって低くなる階段を形成している。
【0065】
また、図8の変更例において、後方の真空断熱材46は照明装置50より後方に配置されている。そのため、真空断熱材46は、基板収納部61と照明装置50との対向場所66を避けて配置されていることになる。後方の真空断熱材46の前端は照明装置50の後端と接触している。
【0066】
また、図9のように、天井断熱部14の真空断熱材46の数は1つでも良い。図9の変更例において、真空断熱材46は前後に長く、その前端は照明装置50の前端より前方にあり、その後端は照明装置50の後端より後方にある。真空断熱材46の後ろ部分は、基板収納部61及びその内部の制御基板60と上下方向に重なりを有している。このように重なりを有することにより、基板収納部61で発熱が生じたとしても、その熱が真空断熱材46の後ろ部分によって断熱される。
【0067】
また、図示省略するが、天井断熱部14の真空断熱材46は3つ以上でも良い。
【0068】
また、図10では、図3の場合と同様に、照明装置150の上部が天井断熱部14に入り込んでいる。そして、照明装置150のうち天井断熱部14に入り込んだ部分が、天井断熱部14において、周囲の面に対して上に凸となっている。
【0069】
ただし、図3の場合と異なり、照明装置150の覆い部151には、覆い部151の下端の縁から水平方向へ延長されたフランジ形状の延長部152が設けられている。覆い部151は、天井断熱部14に入り込み、天井断熱部14において周囲の面に対して上に凸となっている。また、覆い部151から前方に向かって上記の延長部152が延長されている。そして延長部152が内箱13と上下方向に重なりを有している。
【0070】
この、延長部152と内箱13とが上下方向に重なっている部分に、延長部152と内箱13とを上下に貫通する排気孔156が設けられている。この排気孔156は、発泡断熱材47の天井断熱部14への充填時の排気孔として利用される。排気孔156は、覆い部151より前にあるため、照明装置150の場所で空気が滞留しにくく排出されやすい。
【0071】
また、図11では、照明装置250の覆い部251の前部分(詳細には、覆い部251のうち、後方の真空断熱材46の前端より前の部分)の上に前方の真空断熱材46がある。覆い部251の前部分と前方の真空断熱材46とが上下方向に離れており、覆い部251の前部分と前方の真空断熱材46との間の部分である離隔部255が形成されている。そして、覆い部251の前端の上部に傾斜面251aが形成されている。その傾斜面251aに、天井断熱部14の離隔部255から覆い部251の下の空間(具体的には照明装置250の内部)まで貫通する排気孔256が設けられている。
【0072】
図11の変更例においては、天井断熱部14に発泡断熱材47が充填されるときに、天井断熱部14の空気が排気孔256を通って排出される。このとき、発泡断熱材47が排気孔256から照明装置250の内部に漏れることがあるが、冷蔵室20の内部と違って漏れた発泡断熱材47が利用者に目視されるおそれがないので、漏れた発泡断熱材47を除去しなくても良い。また、この排気孔256があるため、照明装置250の場所で空気が滞留しにくく排出されやすい。
【0073】
なお、図8~10の変更例においても、図11と同様に、覆い部51、151の前端上部に傾斜面が形成され、その傾斜面に天井断熱部14と覆い部51、151の下の空間とを連通する排気孔が設けられても良い。
【0074】
また、照明装置50において、光源52の場所は導光板53より前に限定されない。光源52は導光板53のいずれか一端側に設けられていれば良い。ただし、光源52は、導光板53と真空断熱材46との間の場所でもある導光板53より上の場所は避けて設けられる。また、光源52は、導光板53より下の場所も避けて設けられる。
【0075】
また、真空断熱材46の代わりに別の断熱部材が使用されても良い。断熱部材は、発泡断熱材47とは別の断熱部材である。
【0076】
また、照明装置50の覆い部51への真空断熱材46の取り付けには、貼り付け手段以外の取り付け手段が用いられても良い。取り付け手段としては、ネジや、覆い部51と真空断熱材46との両方に形成された係合形状部等が挙げられる。そのような取り付け手段で真空断熱材46が覆い部51に取り付けられることにより、発泡断熱材47の充填前や充填中に、真空断熱材46の位置及び姿勢を安定させることができる。また、真空断熱材46同士も、貼り付け手段以外の取り付け手段によって取り付けられても良い。
【0077】
また、上記実施形態では天井42は内箱13の一部であったが、内箱13とは別の部材で天井が形成されても良い。
【0078】
また、基板収納部61と照明装置50との位置関係は上記実施形態の関係に限定されない。例えば、基板収納部61が筐体11の前後方向の中央に設けられ、基板収納部61の真下に照明装置50が設けられても良い。いずれにしろ、基板収納部61と照明装置50との間の場所において天井断熱部14がその周囲の場所よりも狭くなっており(具体例としては上下方向の長さが短くなっており)、その場所が狭隘部として形成されている場合は、その狭隘部を避けて真空断熱材46が設けられることが好ましい。
【符号の説明】
【0079】
10…冷蔵庫、11…筐体、12…外箱、13…内箱、14…天井断熱部、15…断熱仕切壁、16…機械室、17…圧縮機、18…収納容器、19…収納容器、20…冷蔵室、21…冷蔵室扉、22…野菜室、23…野菜室扉、24…載置棚、26…小冷凍室、27…収納室扉、28…冷凍室、29…冷凍室扉、30…第1冷却器、31…第2冷却器、32…第1ファン、33…第2ファン、34…ダクト、35…吹出口、36…吹出口、37…吸込口、38…吸込口、39…チルド室、40…引き出し式容器、41…上側容器、42…天井、42a…傾斜面、42b…水平面、43…制御部、44…扉センサ、45…操作パネル、46…真空断熱材、47…発泡断熱材、48…注入口、50…照明装置、51…覆い部、51c…上面、52…光源、53…導光板、54…透光部材、55…基板、56…排気孔、57…発泡合成樹脂片、58…開口、59…覆い部前断熱部、60…制御基板、61…基板収納部、62…凹部、63…蓋、64…収納部下面、64a…最下面、64b…連結面、65…周囲面、66…対向場所、150…照明装置、151…覆い部、152…延長部、156…排気孔、250…照明装置、251…覆い部、251a…傾斜面、255…離隔部、256…排気孔
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