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特許7600063トンネル健全度判定装置及び点検支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】トンネル健全度判定装置及び点検支援システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20241209BHJP
   E21D 11/10 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G01N21/88 J
E21D11/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021156652
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023047631
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】野城 一栄
(72)【発明者】
【氏名】仲山 貴司
(72)【発明者】
【氏名】大原 勇
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-259656(JP,A)
【文献】特開2016-065809(JP,A)
【文献】特開2013-250059(JP,A)
【文献】特開2012-202859(JP,A)
【文献】特開2021-060656(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158726(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0150692(US,A1)
【文献】国際公開第2016/189764(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
E21D 11/00 - E21D 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内周面を検査することで健全度を判定するトンネル健全度判定装置であって、
前記トンネルの内周面の画像を取得する画像取得部と、
前記画像に基づいてひび割れを検出するひび割れ検出部と、
前記ひび割れ検出部で検出されたひび割れのパターンを判定するひび割れパターン判定部と、
前記画像に基づいて漏水状況を検出する漏水検出部と、
前記画像に基づいて鉄筋露出状況を検出する鉄筋露出検出部と、
前記ひび割れ検出部の検出結果に基づいて1次判定を行う1次判定処理部と、
前記1次判定処理部の結果を、前記ひび割れパターン判定部、漏水検出部及び鉄筋露出検出部の結果に基づいて調整することにより健全度の判定を行う2次判定処理部とを備えたことを特徴とするトンネル健全度判定装置。
【請求項2】
前記画像取得部で取得された画像を数値化処理する前処理部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のトンネル健全度判定装置。
【請求項3】
前記2次判定処理部による調整は、前記1次判定処理部の結果に対して、前記ひび割れパターン判定部、漏水検出部及び鉄筋露出検出部の結果から得られた重み付け処理を行うことによって実行されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル健全度判定装置。
【請求項4】
前記2次判定処理部による健全度の判定結果を、前記トンネルの内周面の分割された領域に当てはめるメッシュ変換部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル健全度判定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトンネル健全度判定装置と、
前記2次判定処理部による健全度の判定結果を前記トンネルの内周面に投影する投影装置とを備え、
前記投影装置は、投影部と、前記投影部を搭載して前記トンネルの延伸方向に移動させるための走行部と、前記投影部の姿勢を制御する姿勢制御部と、前記トンネルの内周面の形状に合わせて前記投影部の出力を調整する出力調整部とを備えていることを特徴とする点検支援システム。
【請求項6】
前記投影装置は、トンネルの内周面の形状を測定する形状測定部を備えていることを特徴とする請求項5に記載の点検支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内周面を検査することで健全度を判定するトンネル健全度判定装置、及びそれを備えた点検支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道トンネルでは、「鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編) トンネル」(公益財団法人鉄道総合技術研究所,2007.2)などの維持管理標準に基づき検査が実施され、延命化のための措置が講じられている。鉄道トンネルは、道路トンネルと比べ約2倍の経年を有しており、検査の体系化は鉄道分野が先行している。
【0003】
一方において、鉄道トンネルや道路トンネルなどのトンネルの通常全般検査は、現地で現状を確認し、ひび割れやはく落などの変状箇所を抽出し、それらの調査資料に基づいて健全度を判定した後に、再度、要注意箇所の再確認が行われる。
【0004】
ここで、特許文献1に開示されているように、画像情報から抽出又は検査員によって入力されたひび割れ情報から、電子化された変状展開図を作成し、トンネルのはく落に対する健全度を診断するトンネル健全度診断システムが開発されている。
【0005】
また、特許文献2には、検査対象となるコンクリート構造物が撮影された画像データに基づいて、劣化要因を特定する際の推定精度を向上させるコンクリート構造物の点検支援装置が開示されている。この文献には、コンクリート床版のひび割れに関する損傷程度の評価区分なども開示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、計測部によって通路内構造を計測するとともに、計測部の計測結果を用いて補正した補正作業位置に、作業領域を示す光を照射部によって照射することができる作業支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-207044号公報
【文献】特開2016-65809号公報
【文献】特開2021-42073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2に開示されているように、ひび割れを画像解析によって抽出する技術は知られているが、トンネルの健全度は、ひび割れのみによって判定されるわけではなく、ひび割れのパターンや漏水の進行度合いなどによって、健全度の評価結果は影響を受ける。
【0009】
また、ひび割れの種類は、床版や建物やトンネル覆工といったコンクリート構造物の種類によって大差が生じないが、ひび割れパターンや漏水状況や鉄筋露出状況といった変状は、トンネル特有の形状や色合いが存在する。このため、従来から熟練技術者(検査員)により、個々の変状を総合的に勘案した健全度の判定が行われているが、検査員によってばらつきが生じている。
【0010】
そこで、本発明は、トンネル特有の変状を考慮した均質な健全度の判定が自動的に行えるトンネル健全度判定装置、及びそれを備えた点検支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明のトンネル健全度判定装置は、トンネルの内周面を検査することで健全度を判定するトンネル健全度判定装置であって、前記トンネルの内周面の画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいてひび割れを検出するひび割れ検出部と、前記ひび割れ検出部で検出されたひび割れのパターンを判定するひび割れパターン判定部と、前記画像に基づいて漏水状況を検出する漏水検出部と、前記画像に基づいて鉄筋露出状況を検出する鉄筋露出検出部と、前記ひび割れ検出部の検出結果に基づいて1次判定を行う1次判定処理部と、前記1次判定処理部の結果を、前記ひび割れパターン判定部、漏水検出部及び鉄筋露出検出部の結果に基づいて調整することにより健全度の判定を行う2次判定処理部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記画像取得部で取得された画像を数値化処理する前処理部を備えた構成とすることができる。また、前記2次判定処理部による調整は、前記1次判定処理部の結果に対して、前記ひび割れパターン判定部、漏水検出部及び鉄筋露出検出部の結果から得られた重み付け処理を行うことによって実行される構成とすることができる。さらに、前記2次判定処理部による健全度の判定結果を、前記トンネルの内周面の分割された領域に当てはめるメッシュ変換部を備えた構成とすることができる。
【0013】
また、点検支援システムの発明は、上記いずれかに記載のトンネル健全度判定装置と、前記2次判定処理部による健全度の判定結果を前記トンネルの内周面に投影する投影装置とを備え、前記投影装置は、投影部と、前記投影部を搭載して前記トンネルの延伸方向に移動させるための走行部と、前記投影部の姿勢を制御する姿勢制御部と、前記トンネルの内周面の形状に合わせて前記投影部の出力を調整する出力調整部とを備えていることを特徴とする。ここで、前記投影装置は、トンネルの内周面の形状を測定する形状測定部を備えている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された本発明のトンネル健全度判定装置は、ひび割れを検出するひび割れ検出部を備えているだけでなく、ひび割れのパターンを判定するひび割れパターン判定部と、漏水状況を検出する漏水検出部と、鉄筋露出状況を検出する鉄筋露出検出部とを備えている。
【0015】
そして、ひび割れ検出部の検出結果に基づいて行われた1次判定の結果を、ひび割れパターン判定部、漏水検出部及び鉄筋露出検出部の結果に基づいて調整することにより、2次判定処理部で健全度の判定が行われる。
【0016】
このため、ひび割れパターン、漏水状況及び鉄筋露出状況といったトンネル特有の変状を考慮した均質な健全度の判定を、自動的に行うことができる。ここで、ひび割れパターン、漏水状況及び鉄筋露出状況の検出は、画像からひび割れを検出する際に画像を数値化処理する前処理部の処理結果を利用することで、効率的に行うことができる。
【0017】
また、2次判定処理部による調整を、ひび割れパターン判定部、漏水検出部及び鉄筋露出検出部の結果から得られた重み付けで処理するのであれば、より合理的で総合的な判断を精度よく行うことができる。
【0018】
さらに、2次判定処理部による健全度の判定結果を、トンネルの内周面の分割された領域に当てはめるメッシュ変換部を備えていれば、健全度の判定後に行われる要注意箇所などの再点検が必要となる箇所の把握がしやすく、効率的に再点検作業を進めることが可能になる。
【0019】
また、点検支援システムの発明は、トンネル健全度判定装置による健全度の判定結果を、トンネルの内周面の適切な箇所に投影可能な投影装置を備えている。このため、列車の運転終了後など短い時間に行わなければならない再点検作業を、少ない検査員の数で、効率よく実施することができるようになる。
【0020】
また、投影装置がトンネルの内周面の形状を測定する形状測定部を備えていれば、トンネルの内周面が定形断面から外れた形状になっていたり、投影装置とトンネルの内周面との位置関係がトンネルの延伸方向の位置によって変化したりするような場合でも、内周面の適切な位置に健全度の判定結果を投影させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態の点検支援システムの全体構成を説明するブロック図である。
図2】本実施の形態の点検支援システムによる処理の流れを説明するフローチャートである。
図3】ひび割れの検出状況の一例を示した説明図である。
図4】ひび割れのパターンを説明する図であって、(a)は閉合の説明図、(b)は交差と平行の説明図である。
図5】鉄筋露出状況の一例を説明する図であって、(a)はボックスカルバート型のトンネルの全体図、(b)は鉄筋露出箇所を拡大した説明図である。
図6】2次判定処理に使用する変状の重み付けの一例を示した説明図である。
図7】ひび割れの検出結果に基づいて行われた1次判定の結果を、他の変状による重み付けで補正する一例を示した説明図である。
図8】撮影画像や健全度の判定結果が画像として表示される画像画面と、健全度の判定結果が表示されるメッシュ画面の一例を示した説明図である。
図9】投影装置の構成を説明する斜視図である。
図10】投影装置の動作を説明する図であって、(a)は傾き調整時の説明図、(b)はトンネル内周面の測量時の説明図、(c)は投影時の説明図である。
図11】投影装置を使用した再点検作業を説明する図であって、(a)は再点検の開始地点での説明図、(b)は移動時及び投影時の説明図、(c)はトンネル延伸方向の位置調整時の説明図、(d)は点検再開後の移動及び投影の説明図である。
図12】トンネルの内周面に投影装置によって健全度の判定結果を投影する状況を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の点検支援システム1の全体構成を説明するブロック図である。また、図2は、本実施の形態の点検支援システム1による処理の流れを説明するフローチャートである。
【0023】
本実施の形態の点検支援システム1は、鉄道トンネルや道路トンネルなどのトンネルTの覆工などによって形成される内周面T1(図3図4(a)など参照)を検査するためのシステムである。要するに、鉄筋コンクリートや無筋コンクリートなどによって構築される覆工などのコンクリート構造物に対して、内周面T1を検査することで健全度を判定するという、全般検査などのトンネルの維持管理に伴う作業を支援するためのシステムである。
【0024】
本実施の形態の点検支援システム1は、図1に示すように、トンネル健全度判定装置となる判定装置3と、判定装置3によって得られた健全度の判定結果をトンネルTの内周面T1に投影する投影装置6とを備えている。
【0025】
判定装置3は、撮影装置2などによって撮影されたトンネルTの内周面T1の画像に基づいて、トンネルTの内周面T1の健全度を判定する。撮影装置2には、エリアセンサカメラやラインセンサカメラ等のデジタルカメラなどの撮像機器が使用できる。撮影装置2によって撮影された画像は、フラッシュメモリ(SDメモリーカードなど)、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶部21に保存される。
【0026】
判定装置3は、トンネルTの内周面T1の画像を取り込んで利用する。図1では、判定装置3と撮影装置2とが接続されている例示としたが、記憶部21と判定装置3とが接続される構成であってもよい。例えば、撮影装置2で撮影を行いながら、その都度、判定装置3に画像データを取得させることもできるし、撮影時期とは関係なく記憶部21に保存されている画像データを判定装置3によって取得させることもできる。
【0027】
本実施の形態の判定装置3は、トンネルTの内周面T1の画像を取得する画像取得部31と、画像データの前処理部32と、ひび割れを検出するひび割れ検出部33と、ひび割れパターン判定部34と、漏水状況を検出する漏水検出部35と、鉄筋露出状況を検出する鉄筋露出検出部36と、1次判定処理部37と、健全度の判定を行う2次判定処理部38とを備えている。
【0028】
また、判定装置3における処理によって生成されたデータや演算処理に必要なデータを記録させる記憶媒体となる記憶部5を、判定装置3に接続させる。記憶部5としては、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ(SDメモリーカードなど)、磁気ディスク、光ディスクなどが該当する。また、クラウドサーバを記憶部5として使用することもできる。
【0029】
また、判定装置3には、ディスプレイなどの表示装置4が接続される。判定装置3と表示装置4の構成は、パーソナルコンピュータなどに搭載される判定装置3とそれに接続される液晶ディスプレイなどの表示装置4とすることができる。また、ノートパソコンやタブレット端末などのように、判定装置3と表示装置4とが一体であってもよい。
【0030】
前処理部32では、画像取得部31で取得された画像を数値化処理する。例えば、RGB画像データを数値化することで、ひび割れの検出、漏水箇所(漏水状況)の検出、及び鉄筋露出箇所(鉄筋露出状況)の検出のための検出用データを生成させる。
【0031】
ひび割れ検出部33は、前処理部32によって数値化処理されたデータから、トンネルTの内周面T1に現れたひび割れ箇所を検出する。このような検出器には、例えばディープラーニング(多階層型のニューラルネットワーク)などの機械学習によって生成されたものを利用することができる。要するに、ひび割れ検出部33の検出器として組み込まれる前に、良質な教師データを使って機械学習させることで生成された成果物が使用できる。良質な教師データには、日本全国の鉄道トンネルの変状画像(約1万枚以上)を使用することができる。
【0032】
ひび割れ検出部33によって、画像データの中から、ひび割れの位置、長さ、角度、幅などの個別情報が得られることになる。ひび割れパターン判定部34では、ひび割れ検出部33によって検出されたひび割れ情報を使ってひび割れ群の展開図を作成し、展開図に現れたひび割れのパターンを判定する。
【0033】
ひび割れパターンについては、詳細は図4を参照しながら後述するが、閉合、交差、平行、目地跨ぎなどのパターンがある。このひび割れパターンの判定にも、ディープラーニングなどの機械学習によって生成された成果物を利用することができる。
【0034】
漏水検出部35は、前処理部32によって数値化処理されたデータから、トンネルTの内周面T1の漏水状況を検出する。この検出器にも、ディープラーニングなどの機械学習によって生成された成果物を利用することができる。判別される漏水状況については、詳細は図6を参照しながら後述するが、初期、エフロあり、錆汁あり、漏水跡などの状態がある。
【0035】
鉄筋露出検出部36は、前処理部32によって数値化処理されたデータから、トンネルTの内周面T1の鉄筋露出状況を検出する。この検出器にも、ディープラーニングなどの機械学習によって生成された成果物を利用することができる。検出される鉄筋露出状況については、詳細は図5を参照しながら後述するが、鉄筋露出の有無や露出範囲などがある。
【0036】
1次判定処理部37は、ひび割れ検出部33の検出結果に基づいて1次判定を行う。詳細は図7を参照しながら後述するが、ひび割れ検出部33によって得られたひび割れの個別情報を使用して、ひび割れの幅や長さを積算することで、ひび割れの多寡を数値化(TCI値)する。
【0037】
そして、数値化されたひび割れの多寡の値(TCI値)を、経験値などに基づいて設定された閾値と比較することで、最終的な健全度の判定時に着目すべきひび割れの発生箇所を、1次判定結果として出力する。
【0038】
2次判定処理部38は、1次判定処理部37による1次判定の結果を、ひび割れパターン判定部34、漏水検出部35及び鉄筋露出検出部36の結果に基づいて調整することにより、最終的な健全度の判定を行う。詳細については後述するが、ひび割れパターン判定部34、漏水検出部35及び鉄筋露出検出部36の結果を重み付け処理して、1次判定処理部37の判定結果を補正する。
【0039】
2次判定処理部38による健全度の判定結果は、メッシュ変換部39によってトンネルTの内周面T1の分割された領域に当てはめられる。詳細については後述するが、投影装置6で投影するためのデータが、メッシュ変換部39によって生成される。なお、投影装置6の詳細については、後述する。
【0040】
図2は、本実施の形態の点検支援システム1の処理の流れを説明するフローチャートである。以下では、このフローチャートに従って、図3図12の例示を参照しながら、詳細について説明する。
【0041】
まずステップS1では、トンネルTの内周面T1を撮影した撮影画像を取得する。トンネルTの内周面T1の撮影は、デジタルカメラなどの撮影装置2で行って、リアルタイムに判定装置3に取り込ませることもできるし、一旦、撮影装置2の記憶部21に保存された画像データを、その後、判定装置3に取り込ませる方法であってもよい。また、判定装置3がカメラ付きのタブレット端末に組み込まれている場合は、そのカメラで撮影することで撮影画像の取得を同時に行わせることもできる。
【0042】
判定装置3の画像取得部31によって取得された画像データは、前処理部32で画像の数値化処理が行われる(ステップS2)。例えば、RGBの画像データを、R=256,G=256,B=256,pixel数(画素数)の4次元配列化させる。こうして数値化処理されたデータは、ひび割れ検出部33、漏水検出部35及び鉄筋露出検出部36の入力データとなる。
【0043】
ステップS3では、ひび割れ検出部33によってひび割れの検出を行う。数値化処理されたデータがひび割れ検出部33に入力されると、その検出器によって、自動的に個々のひび割れ情報が出力される。ひび割れ情報には、トンネルTの内周面T1における位置に関するデータ、並びにひび割れの長さ、角度及び幅に関するデータが含まれる。
【0044】
ひび割れ検出部33によって自動的に検出されたひび割れは、位置情報を有しているので、トンネルTの内周面T1の展開図に出力することができる。図3は、表示装置4に表示されたひび割れの検出状況の一例を示している。この図には、複数の検出されたひび割れ線Kが、トンネルTの内周面T1の撮影画像に重ねて表示されている。この撮影画像には、ステップS32で検出させる漏水箇所Wも撮影されている。
【0045】
ステップS31では、ひび割れパターン判定部34によって、ひび割れ群の展開図からひび割れのパターンを判定させる。図4は、ひび割れのパターンを説明する図である。図4(a)は、閉合というパターンに判定される状態を例示している。閉合には、複数のひび割れ線Kによって囲まれた領域が形成される形態、トンネルTの覆工の施工目地と複数のひび割れ線Kによって囲まれた領域が形成される形態(目地跨ぎ)などがある。閉合と判定されるような内周面T1を打音検査すると、濁音が発生し、熟練した検査員(熟練技術者)であれば、周囲の清音が発生する領域と区別することができる。
【0046】
図4(b)は、交差と平行の形態を説明する図である。交差は、複数のひび割れ線Kが十字状などに交わる形態を示し、平行は、隣接するひび割れ線Kが交わらずに並んで延びている形態を示す。また、ひび割れ線Kの幅が3mm以上あるものを抽出して、交差や平行の判定を行うこともできる。ここでは、交差と平行は、1つのパターンとして判定させる。
【0047】
ステップS32では、漏水検出部35によって、漏水箇所とその状態を漏水状況として検出させる。図3に示された漏水箇所Wは、「錆汁あり」と判定される。また、白華現象(エフロレッセンス)が現れている漏水箇所Wは、「エフロあり」と判定される。漏水箇所Wの状態には、この他に、図4(b)や図5(b)に図示したような「初期」、「漏水跡」などの判定結果がある。
【0048】
ステップS33では、鉄筋露出検出部36によって、鉄筋露出が有る箇所を鉄筋露出状況として検出させる。図5は、鉄筋露出箇所Rの露出状況の一例を示した説明図である。図5(a)では、ボックスカルバート型のトンネルBTの全体図を例示し、その上部隅角部の内周面BT1に出現した鉄筋露出箇所Rを、図5(b)に拡大して示している。鉄筋露出箇所Rは、位置と長さが情報として記憶される。
【0049】
ステップS31からステップS33で検出されたひび割れパターン、漏水状況及び鉄筋露出状況は、後述するステップS5で出力された1次判定処理の結果の調整(補正)に利用される。図6は、2次判定処理に使用する変状の重み付けの一例を示した説明図である。
【0050】
図6の一覧表に例示したように、ひび割れパターンは、「閉合」、「交差・平行」、「目地跨ぎ」、「なし」に分類される。一方、漏水状況は、「漏水跡」、「錆汁」、「エフロ」、「初期」、「なし」に分類される。また、鉄筋露出状況については、「鉄筋露出あり」と「鉄筋露出なし」とで重みを変えることができる。なお、トンネルTの覆工が無筋コンクリートで構築されている場合は、「鉄筋露出あり」の場合と同じ重みを採用する。
【0051】
重みの付け方には様々な手法が考えられるが、例えば、1次判定処理の結果を、2ランクアップ(◎)、1ランクアップ(〇)、1ランクダウン(△)などとする重み付け処理ができる(ステップS34)。ここで、ランクアップとは、健全度が低くなる、換言すると要注意箇所に近づくことを意味する。この重み付けは、地域や環境に応じて補正することもできる。
【0052】
一方、ステップS4では、ひび割れ検出部33によって得られたひび割れ情報を数値化する処理を行う。具体的は、図7に示すように、ひび割れの幅と長さの情報を積算することで、ひび割れの多寡を表すTCI値を算出する。
【0053】
ステップS5では、ステップS4で算出されたTCI値に基づいて、健全度の1次判定を行う。ここで、健全度は、健全度が最も低い状態をAとし、健全度に問題がない状態をSとして、A,B,C,Sというように段階的に分類される。そして、ひび割れの多寡の数値化された値(TCI値)の範囲が、どの健全度に判定されるかの閾値を、予め設定しておく。図7は、TCI値が3.1で、健全度がBであると1次判定された例示である。
【0054】
ステップS6では、1次判定処理の結果を、ひび割れパターン、漏水状況及び鉄筋露出状況の検出結果によって補正して、最終的な健全度の判定とする2次判定処理が行われる。図7は、ステップS34の重み付け処理によって得られた結果(2ランクアップ、1ランクアップ、1ランクダウンなど)に基づいて、健全度を「1ランクアップ」させた例示である。健全度がAに変更されたことにより、当該箇所は、最終的には「要注意箇所」と判定されたことになる。
【0055】
ステップS7では、2次判定処理部38で行われた健全度の判定結果が、メッシュ変換部39に送られて、メッシュデータに変換される。図8は、撮影画像や健全度の判定結果が画像として表示される画像画面M1と、健全度の判定結果が表示されるメッシュ画面M2の一例を示した説明図である。
【0056】
画像画面M1及びメッシュ画面M2は、いずれも表示装置4に表示され、切り替えて表示させることができる。画像画面M1には、画像取得部31で取得された撮影画像をそのまま表示させたり、検出されたひび割れ線Kを重ねて表示させたり、健全度の判定結果を併せて表示させたりすることができる。
【0057】
一方、メッシュ画面M2は、覆工などのトンネルTの内周面T1を、例えば1m×1mのメッシュ領域に分割した表示となる。この分割されたメッシュ領域に対して、2次判定処理部38によって与えられた健全度を表示させる。ここで、すべての健全度を表示させると分かり難くなるので、例えば健全度A(要注意箇所)と判定されたメッシュ領域だけを、濃い塗りつぶしの表示などにすることもできる。
【0058】
ステップS8以降は、ステップS7までと一連の流れで行ってもよいし、一旦、2次判定処理部38による健全度の判定結果やそのメッシュデータを記憶部5に保存させて、トンネルTの再点検を行うタイミングに合わせて実行してもよい。
【0059】
図9は、投影装置6の構成を説明する斜視図である。投影装置6によってトンネルTの内周面T1に健全度の判定結果を投影させるためには、メッシュデータを投影装置6に送信しておく必要がある(ステップS8)。
【0060】
投影装置6は、投影部61と、投影部61を搭載して移動するための走行部62と、投影部61の姿勢を制御する姿勢制御部63と、投影部61の出力を調整する出力調整部64と、トンネルTの内周面T1の形状を測定する形状測定部65とを備えている。
【0061】
投影部61は、メッシュ変換部39で変換された健全度の判定結果を、レーザ光によりトンネルTの内周面T1に投影させるレーザ照射器である。すなわち、投影部61から照射されたレーザ光は、図12に示すような投影光PLとなって、トンネルTの内周面T1に投影される。
【0062】
一方、走行部62は、図9に示すように、トンネルTの延伸方向に移動するための複数の車輪621を有する台車である。走行部62に設けられた架台622には、投影部61が取り付けられる。走行部62の車輪621には、ロータリエンコーダが設置されており、車輪621の回転によって走行部62が移動した距離が、測定できるようになっている。
【0063】
姿勢制御部63は、投影部61の姿勢を制御するためのアクチュエータを備えている。例えば鉄道トンネルに敷設されているレールは、曲線区間においてカントで外側のレールが内側のレールよりも高い位置に設置されていることがある。また、レールに軌道不整や軌道狂いなどの軌道変位がある場合もある。このような場合には、レールに車輪621を載せて移動させる走行部62の上面を、水平に保つことができない。
【0064】
そこで、走行部62の架台622と投影部61との間に姿勢制御部63を介在させることで、走行部62が傾いたりしても、投影部61を所望する姿勢に調整できるようにする。投影部61は、下側の姿勢制御部63と上側の上部支持部631とに挟まれた状態で、上下左右に可動できるように取り付けられる。
【0065】
姿勢制御部63による投影部61の向きの調整は、検査員が操作端末66(図10(b)参照)を使って行うこともできるが、例えば自動で水平が維持できるような制御を行わせることもできる。例えば、投影部61の姿勢を9軸(ジャイロ、加速度、地軸の各々3軸)で計測するセンサ部632を取り付け、そこから得られる信号により、姿勢制御部63のアクチュエータ(モータ)を駆動させることで、走行部62が傾いても、投影部61の水平を常に保持させることができる。
【0066】
出力調整部64は、投影するトンネルTの内周面T1の形状に合わせて、投影部61の出力を調整する。すなわち、メッシュ変換部39から送信されるメッシュデータは、内周面T1の展開図に合わせた平面用のデータである。一方、トンネルTの内周面T1は、曲率を有するなど平面でないことが多いので、内周面T1の形状に合わせた出力となるように、出力調整部64において投影メッシュ(メッシュデータ)を補正する調整が行われる。
【0067】
さらに、トンネルTの内周面T1は、延伸方向のすべての地点において、設計断面である定形断面となっているとは限らない。また、建設年代の古いトンネルTでは、正確な設計図面が残っていないこともある。さらに、上述したカントなどの影響で、投影装置6と内周面T1との位置関係(距離)が、トンネルTの延伸方向の位置によって変化することもある。
【0068】
そこで、投影装置6にトンネルTの内周面T1の形状を測定する形状測定部65を搭載し、健全度を投影させる前に、投影装置6と内周面T1との距離測量を行わせることが好ましい。形状測定部65によって行われるレーザ測量の結果は、そのまま出力調整部64に入力され、投影メッシュの調整に利用される。
【0069】
図10は、投影装置6の動作を説明する図である。図10(a)は、傾き調整時の説明図である。上述したように、トンネルTの曲線区間では、カントによって走行部62に傾きが生じるので、センサ部632で検知した傾きの情報に基づいて、姿勢制御部63のアクチュエータを駆動させて、投影部61を水平に保持させる。
【0070】
一方、図10(b)は、トンネルTの内周面T1の測量時の説明図である。投影装置6の形状測定部65による測量は、例えば検査員が携行する操作端末66から測量範囲を示す角度を入力することで行われる。この操作端末66は、判定装置3が組み込まれたものであってもよいし、投影装置6の専用の操作機であってもよい。
【0071】
操作端末66から測量範囲を指示された投影装置6は、測量用レーザ光SLをトンネルTの内周面T1に照射させながら、設定された角度の範囲に対して、姿勢制御部63の駆動によってレーザ測量を行う。レーザ測量の計測値は、出力調整部64で利用されることになるが、一旦、操作端末66に送信され、演算処理された結果を投影装置6の出力調整部64が受信するという構成であってもよい。
【0072】
図10(c)は、投影時の説明図である。設定された投影装置6の傾きに応じて、投影先の内周面T1の曲率に合わせて出力調整部64で補正されたメッシュデータが、投影装置6の投影部61から投影光PLとして照射される。
【0073】
図11は、投影装置6を使用した再点検作業を説明する図である。図11(a)は、再点検の開始地点における説明図で、開始地点となる目地T2には、位置合わせ用の標識T3が貼られている。このトンネルTの目地間隔は、10m-20m程度である。
【0074】
図11(b)に示すように、開始地点で位置合わせを行った投影装置6を、トンネルTの延伸方向に移動させる。開始地点からの移動距離は、投影装置6の車輪621の回転量によって計測されているので、投影装置6のトンネルTの延伸方向の位置情報は、常に既知となる。
【0075】
そこで、投影を行いたい位置で投影装置6を停止させ、投影光PLをトンネルTの内周面T1に照射させる。図12は、トンネルTの内周面T1に、投影装置6によって健全度の判定結果を投影する状況を説明する斜視図である。
【0076】
この図に示すように、再点検時の投影装置6による投影は、「要注意箇所」となる健全度がAと判定された箇所だけで行われればよい。要するに、走行部62によって「要注意箇所」がある位置まで投影装置6を自動で移動させ、停止後に姿勢制御部63によって「要注意箇所」がある向きに投影部61を向けたのちに、判定装置3で求められた健全度に基づく「要注意箇所」をトンネルTの内周面T1に投影させる(ステップS9)。
【0077】
再点検では、全般検査で健全度がAと判定された箇所に対して、変状原因の推定、将来予測及び措置の要否の判断などが実施される個別検査の事前確認作業が行われる。なお、個別検査では、計測器等も用いて詳細な調査を行い、さらに詳細な健全度(AA,A1,A2)の判定が行われる。
【0078】
図11(c)は、目地T2の位置で、再度、投影装置6の位置合わせを行っている状況を示している。車輪621のロータリエンコーダによる距離計測だけでなく、目地T2の位置ごとにレーザ照射器を使った位置調整を行うことで、トンネル延伸方向の位置を正確に把握することができるようになる。位置調整後は、図11(d)に示すように、点検を再開させて、投影装置6の移動及び投影が行われる。
【0079】
次に、本実施の形態のトンネル健全度の判定装置3、及びそれを備えた点検支援システム1の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態のトンネル健全度の判定装置3は、ひび割れを検出するひび割れ検出部33を備えているだけでなく、ひび割れのパターンを判定するひび割れパターン判定部34と、漏水状況を検出する漏水検出部35と、鉄筋露出状況を検出する鉄筋露出検出部36とを備えている。
【0080】
そして、ひび割れ検出部33の検出結果に基づいて行われた1次判定の結果を、ひび割れパターン判定部34、漏水検出部35及び鉄筋露出検出部36の結果に基づいて調整することにより、2次判定処理部38で最終的な健全度の判定が行われる。
【0081】
このため、ひび割れパターン、漏水状況及び鉄筋露出状況といったトンネル特有の変状を考慮した均質な健全度の判定を、自動的に行うことができる。ここで、ひび割れパターン、漏水状況及び鉄筋露出状況の検出は、画像からひび割れを検出する際に画像を数値化処理する前処理部32の処理結果を利用することで、効率的に行うことができる。
【0082】
また、2次判定処理部38による調整を、ひび割れパターン判定部34、漏水検出部35及び鉄筋露出検出部36の結果から得られた重み付けで処理するのであれば、熟練した検査員(熟練技術者)の判定に匹敵する、より合理的で総合的な判断を精度よく行うことができる。
【0083】
さらに、2次判定処理部38による健全度の判定結果を、トンネルTの内周面T1の分割された領域に当てはめるメッシュ変換部39を備えていれば、健全度の判定後に行われる要注意箇所などの再点検が必要となる箇所の把握がしやすく、効率的に再点検作業を進めることが可能になる。
【0084】
また、点検支援システム1の発明は、判定装置3による健全度の判定結果を、トンネルTの内周面T1の適切な箇所に投影可能な投影装置6を備えている。このため、列車の運転終了後など短い時間に行わなければならない再点検作業を、少ない検査員の数で、効率よく実施することができるようになる。試算によれば、従来、検査員4名で400mを再点検するのに1晩を要していたのに対して、同じ時間で検査員3名で1kmの再点検が行えるようになる。
【0085】
また、投影装置6がトンネルTの内周面T1の形状を測定する形状測定部65を備えていれば、トンネルTの内周面T1が定形断面から外れた形状になっていたり、投影装置6とトンネルTの内周面T1との位置関係がトンネルの延伸方向の位置によって変化したりするような場合でも、内周面T1の適切な位置に健全度の判定結果を投影させることができる。
【0086】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0087】
例えば、前記実施の形態では、メッシュ変換部39でメッシュデータに変換された健全度の判定結果をトンネルTの内周面T1に投影させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、メッシュデータに変換する前の判定結果を投影させることもできる。また、投影させる健全度も要注意箇所となる「A」だけでなく、それ以外の判定結果も内周面T1に投影させることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 :点検支援システム
3 :判定装置(トンネル健全度判定装置)
31 :画像取得部
32 :前処理部
33 :ひび割れ検出部
34 :ひび割れパターン判定部
35 :漏水検出部
36 :鉄筋露出検出部
37 :1次判定処理部
38 :2次判定処理部
39 :メッシュ変換部
6 :投影装置
61 :投影部
62 :走行部
63 :姿勢制御部
64 :出力調整部
65 :形状測定部
T,BT:トンネル
T1,BT1:内周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12