(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】移動体管理装置、移動体管理方法、および移動体管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20241209BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021175493
(22)【出願日】2021-10-27
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 紀之
(72)【発明者】
【氏名】倉立 尚明
(72)【発明者】
【氏名】森屋 彰久
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-139874(JP,A)
【文献】特開2019-006187(JP,A)
【文献】特開2020-149255(JP,A)
【文献】特開2020-161143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得部と、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定部と、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定部と、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成部と、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成部と、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成部と、
を備え
、
前記第2設定部は、
前記仮想空間における前記第1ウェイポイントから所定距離の範囲内、および、前記第1ウェイポイントを中心とする1以上の同心円の円弧上の少なくとも一方に前記第2ウェイポイントを設定し、
前記局所的巡回ルート生成部は、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周囲の前記第2ウェイポイントの各々を1回以上順次経由する、前記局所的巡回ルートを生成する、
移動体管理装置。
【請求項2】
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得部と、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定部と、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定部と、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成部と、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成部と、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成部と、
を備え、
前記巡回ルート生成部は、
前記局所的巡回ルートごとに、前記大局的巡回ルートに含まれる複数の前記第3ウェイポイントの内、前記局所的巡回ルートに含まれる前記第1ウェイポイントとの距離が最小の2つの前記第3ウェイポイントの間に前記局所的巡回ルートを挿入した、前記巡回ルートを生成する、
移動体管理装置。
【請求項3】
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得部と、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定部と、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定部と、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成部と、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成部と、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成部と、
を備え、
前記大局的巡回ルート生成部は、
前記移動体が筒状の前記巡回対象施設の内部を該巡回対象施設の延伸方向の一端部側と他端部側との間で往復巡回する場合、
前記巡回対象施設の前記仮想モデル内を該巡回対象施設の延伸方向に沿って通る、前記延伸方向に交差する交差方向における位置の互いに異なる2つの仮想線の一方を往路、他方を復路とし、前記往路に沿って前記往路の前記延伸方向の一端部側から他端部側、および前記復路に沿って前記復路の前記延伸方向の他端部側から一端部側の各々に向かって、1以上の前記第3ウェイポイントを設定し、
前記巡回ルート生成部は、
前記往路の前記大局的巡回ルート、および、前記復路の前記大局的巡回ルート、の少なくとも一方に前記局所的巡回ルートを挿入した前記巡回ルートを生成する、
移動体管理装置。
【請求項4】
前記巡回ルートを出力する出力制御部、
を備える請求項1
~請求項3の何れか1項に記載の移動体管理装置。
【請求項5】
前記大局的巡回ルート生成部は、
前記第3ウェイポイントを1回以上経由する前記大局的巡回ルートを生成する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の移動体管理装置。
【請求項6】
前記仮想モデルの表面と前記第1ウェイポイントとの距離、前記仮想モデルの表面と前記第2ウェイポイントとの距離、および前記仮想モデルの表面と前記第3ウェイポイントとの間の距離の少なくとも1つは、前記移動体の移動体特性情報に応じた距離である、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の移動体管理装置。
【請求項7】
前記第1ウェイポイント、前記第2ウェイポイント、および前記第3ウェイポイントの少なくとも1つは、前記移動体が予め定めた処理を実行する対象となるウェイポイントである、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の移動体管理装置。
【請求項8】
ユーザによる操作入力を受付ける受付部を備え、
前記第1設定部は、
前記仮想モデルの表面における前記受付部で受付けた基準ポイントを基準として前記仮想モデルの表面から離れる方向に向かって所定距離の位置に前記第1ウェイポイントを設定する、
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の移動体管理装置。
【請求項9】
前記大局的巡回ルート生成部は、
前記移動体が筒状の前記巡回対象施設の内部を該巡回対象施設の延伸方向の一端部側から他端部側に向かって片道巡回する場合、
前記巡回対象施設の前記仮想モデル内を該巡回対象施設の延伸方向の一端部側から他端部側に向かって通る仮想線に沿って、1以上の前記第3ウェイポイントを設定する、
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の移動体管理装置。
【請求項10】
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得ステップと、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定ステップと、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定ステップと、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成ステップと、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成ステップと、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成ステップと、
を含
み、
前記第2設定ステップは、
前記仮想空間における前記第1ウェイポイントから所定距離の範囲内、および、前記第1ウェイポイントを中心とする1以上の同心円の円弧上の少なくとも一方に前記第2ウェイポイントを設定し、
前記局所的巡回ルート生成ステップは、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周囲の前記第2ウェイポイントの各々を1回以上順次経由する、前記局所的巡回ルートを生成する、
移動体管理方法。
【請求項11】
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得ステップと、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定ステップと、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定ステップと、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成ステップと、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成ステップと、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成ステップと、
を含み、
前記巡回ルート生成ステップは、
前記局所的巡回ルートごとに、前記大局的巡回ルートに含まれる複数の前記第3ウェイポイントの内、前記局所的巡回ルートに含まれる前記第1ウェイポイントとの距離が最小の2つの前記第3ウェイポイントの間に前記局所的巡回ルートを挿入した、前記巡回ルートを生成する、
移動体管理方法。
【請求項12】
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得ステップと、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定ステップと、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定ステップと、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成ステップと、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成ステップと、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成ステップと、
を含み、
前記大局的巡回ルート生成ステップは、
前記移動体が筒状の前記巡回対象施設の内部を該巡回対象施設の延伸方向の一端部側と他端部側との間で往復巡回する場合、
前記巡回対象施設の前記仮想モデル内を該巡回対象施設の延伸方向に沿って通る、前記延伸方向に交差する交差方向における位置の互いに異なる2つの仮想線の一方を往路、他方を復路とし、前記往路に沿って前記往路の前記延伸方向の一端部側から他端部側、および前記復路に沿って前記復路の前記延伸方向の他端部側から一端部側の各々に向かって、1以上の前記第3ウェイポイントを設定し、
前記巡回ルート生成ステップは、
前記往路の前記大局的巡回ルート、および、前記復路の前記大局的巡回ルート、の少なくとも一方に前記局所的巡回ルートを挿入した前記巡回ルートを生成する、
移動体管理方法。
【請求項13】
コンピュータに実行させるための移動体管理プログラムであって、
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得ステップと、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定ステップと、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定ステップと、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成ステップと、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成ステップと、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成ステップと、
を含み、
前記第2設定ステップは、
前記仮想空間における前記第1ウェイポイントから所定距離の範囲内、および、前記第1ウェイポイントを中心とする1以上の同心円の円弧上の少なくとも一方に前記第2ウェイポイントを設定し、
前記局所的巡回ルート生成ステップは、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周囲の前記第2ウェイポイントの各々を1回以上順次経由する、前記局所的巡回ルートを生成する、
移動体管理プログラム。
【請求項14】
コンピュータに実行させるための移動体管理プログラムであって、
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得ステップと、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定ステップと、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定ステップと、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成ステップと、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成ステップと、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成ステップと、
を含み、
前記巡回ルート生成ステップは、
前記局所的巡回ルートごとに、前記大局的巡回ルートに含まれる複数の前記第3ウェイポイントの内、前記局所的巡回ルートに含まれる前記第1ウェイポイントとの距離が最小の2つの前記第3ウェイポイントの間に前記局所的巡回ルートを挿入した、前記巡回ルートを生成する、
移動体管理プログラム。
【請求項15】
コンピュータに実行させるための移動体管理プログラムであって、
移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する仮想モデル取得ステップと、
前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する第1設定ステップと、
前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する第2設定ステップと、
前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する局所的巡回ルート生成ステップと、
前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する大局的巡回ルート生成ステップと、
前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する巡回ルート生成ステップと、
を含み、
前記大局的巡回ルート生成ステップは、
前記移動体が筒状の前記巡回対象施設の内部を該巡回対象施設の延伸方向の一端部側と他端部側との間で往復巡回する場合、
前記巡回対象施設の前記仮想モデル内を該巡回対象施設の延伸方向に沿って通る、前記延伸方向に交差する交差方向における位置の互いに異なる2つの仮想線の一方を往路、他方を復路とし、前記往路に沿って前記往路の前記延伸方向の一端部側から他端部側、および前記復路に沿って前記復路の前記延伸方向の他端部側から一端部側の各々に向かって、1以上の前記第3ウェイポイントを設定し、
前記巡回ルート生成ステップは、
前記往路の前記大局的巡回ルート、および、前記復路の前記大局的巡回ルート、の少なくとも一方に前記局所的巡回ルートを挿入した前記巡回ルートを生成する、
移動体管理プログラム。
【請求項16】
前記巡回ルートを出力する出力制御ステップ、
を含む請求項13
~請求項15の何れか1項に記載の移動体管理プログラム。
【請求項17】
前記大局的巡回ルート生成ステップは、
前記第3ウェイポイントを1回以上経由する前記大局的巡回ルートを生成する、
請求項13~請求項16の何れか1項に記載の移動体管理プログラム。
【請求項18】
前記仮想モデルの表面と前記第1ウェイポイントとの距離、前記仮想モデルの表面と前記第2ウェイポイントとの距離、および前記仮想モデルの表面と前記第3ウェイポイントとの間の距離の少なくとも1つは、前記移動体の移動体特性情報に応じた距離である、
請求項13~請求項17の何れか1項に記載の移動体管理プログラム。
【請求項19】
前記第1ウェイポイント、前記第2ウェイポイント、および前記第3ウェイポイントの少なくとも1つは、前記移動体が予め定めた処理を実行する対象となるウェイポイントである、
請求項13~請求項18の何れか1項に記載の移動体管理プログラム。
【請求項20】
ユーザによる操作入力を受付ける受付ステップを含み、
前記第1設定ステップは、
前記仮想モデルの表面における前記受付ステップで受付けた基準ポイントを基準として前記仮想モデルの表面から離れる方向に向かって所定距離の位置に前記第1ウェイポイントを設定する、
請求項13~請求項19の何れか1項に記載の移動体管理プログラム。
【請求項21】
前記大局的巡回ルート生成ステップは、
前記移動体が筒状の前記巡回対象施設の内部を該巡回対象施設の延伸方向の一端部側から他端部側に向かって片道巡回する場合、
前記巡回対象施設の前記仮想モデル内を該巡回対象施設の延伸方向の一端部側から他端部側に向かって通る仮想線に沿って、1以上の前記第3ウェイポイントを設定する、
請求項13~請求項20の何れか1項に記載の移動体管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、移動体管理装置、移動体管理方法、および移動体管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体が巡回する巡回ルートを生成するシステムが知られている。例えば、複数のウェイポイントを設定し、これらの複数のウェイポイントを順次経由する巡回ルートを生成することが行われている。
【0003】
しかし、従来技術では、巡回対象の空間内に対象物に応じて一様にウェイポイントを設定し、複数のウェイポイントを単に巡回する巡回ルートを生成していた。このため、従来技術では、点検箇所の重要性に応じた移動の可能な巡回ルートが提供されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、点検箇所の重要性に応じた移動の可能な巡回ルートを提供することができる、移動体管理装置、移動体管理方法、および移動体管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の移動体管理装置は、仮想モデル取得部と、第1設定部と、局所的巡回ルート生成部と、大局的巡回ルート生成部と、巡回ルート生成部と、を備える。仮想モデル取得部は、移動体の巡回対象施設の仮想モデルを取得する。第1設定部は、前記仮想モデルの配置された仮想空間に前記移動体の必須経由ポイントである第1ウェイポイントを設定する。第2設定部は、前記第1ウェイポイントの周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定、および、前記第1ウェイポイントに前記第1ウェイポイントの周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行する。局所的巡回ルート生成部は、前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周辺の前記第2ウェイポイントを経由、および、前記第1ウェイポイントに前記周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートを生成する。大局的巡回ルート生成部は、前記仮想モデルの表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントを設定し、前記第3ウェイポイントを経由する大局的巡回ルートを生成する。巡回ルート生成部は、前記大局的巡回ルートに前記局所的巡回ルートを挿入した巡回ルートを生成する。前記第2設定部は、前記仮想空間における前記第1ウェイポイントから所定距離の範囲内、および、前記第1ウェイポイントを中心とする1以上の同心円の円弧上の少なくとも一方に前記第2ウェイポイントを設定し、前記局所的巡回ルート生成部は、前記第1ウェイポイントごとに、前記第1ウェイポイントおよび前記第1ウェイポイントの周囲の前記第2ウェイポイントの各々を1回以上順次経由する、前記局所的巡回ルートを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】大局的巡回ルートおよび巡回ルートの生成の説明図。
【
図6】大局的巡回ルートおよび巡回ルートの生成の説明図。
【
図8】巡回ルートの生成処理の流れのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、移動体管理装置、移動体管理方法、移動体管理プログラム、および移動体管理システムを詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の移動体管理システム1の一例の模式図である。
【0010】
移動体管理システム1は、移動体管理装置10と、操作端末30と、移動体40と、を備える。移動体管理装置10と、操作端末30と、移動体40とは、ネットワークN等を介して通信可能に接続されている。なお、移動体管理装置10、操作端末30、および移動体40は、ネットワークNを介さずに直接通信可能な構成であってもよい。
【0011】
移動体管理装置10は、移動体40の巡回ルートを計算する情報処理装置である。
【0012】
移動体40とは、移動体管理装置10によって生成された巡回ルートに沿って移動する、移動可能な物である。移動体40は、例えば、飛翔体、船舶、車両、ロボットなどである。飛翔体は、例えば、ドローン(Drone)、飛行機、などである。車両は、例えば、自動四輪車、自動二輪車、などである。移動体40は、本体部の位置を固定とし、本体部に設けられた一部の機構が移動する構成であってもよい。例えば、移動体40は、ロボットアームであってもよい。移動体40は、人による運転操作を介して移動する移動体、および、人による運転操作を介さずに自律移動可能な移動体の何れであってもよい。自律移動可能な飛行機には、例えば、ドローンおよび無人航空機(UAV:unmanned aerial vehicle)などが含まれる。
【0013】
本実施形態では、移動体40が、ドローンである形態を一例として説明する。
【0014】
また、本実施形態では、移動体40には、各種のセンサが設けられている形態を一例として説明する。センサは、移動体40の外界および内界の少なくとも一方を観測可能な公知のセンサであればよい。センサは、具体的には、撮影によって画像データを取得する撮影装置、温度センサ、湿度センサ、位置センサ、においセンサ、マイク、などであるが、これらに限定されない。本実施形態では、移動体40には、少なくとも撮影装置が搭載されている形態を一例として説明する。撮影装置は、動画および静止画の少なくとも一方を撮影可能な撮影装置であればよい。
【0015】
操作端末30は、ユーザによって操作される情報処理装置である。操作端末30は、例えば、携帯端末、スマートフォン、タブレット端末、などであるが、これらに限定されない。
【0016】
操作端末30は、制御部30Aと、UI(ユーザ・インタフェース)部30Bと、を有する。制御部30Aは、操作端末30において情報処理を実行する。UI部30Bは、各種の情報を表示する表示機能、ユーザによる操作指示を受付ける入力機能、を有する。表示機能は、例えば、ディスプレイ等によって実現される。入力機能は、例えば、マウスおよびタッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、などによって実現される。UI部30Bは、表示機能と入力機能とを一体的に構成した、タッチパネルであってもよい。
【0017】
移動体管理装置10は、移動体40の巡回ルートを作成する情報処理装置である。
【0018】
移動体管理装置10は、記憶部12と、UI部14と、通信部16と、制御部20と、を備える。記憶部12と、UI部14と、通信部16と、制御部20とは、バス18等を介して通信可能に接続されている。
【0019】
記憶部12およびUI部14は、有線または無線で制御部20に通信可能に接続された構成であればよい。記憶部12およびUI部14の少なくとも一方と、制御部20とを、ネットワークNを介して接続してもよい。
【0020】
また、記憶部12、UI部14、および制御部20に含まれる1または複数の機能部の少なくとも1つを、ネットワークNなどを介して移動体管理装置10に通信可能に接続された外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。
【0021】
記憶部12は、各種のデータを記憶する。本実施形態では、記憶部12は、移動体特性情報12Aを予め記憶する。
【0022】
移動体特性情報12Aは、移動体40の特性を表す情報である。移動体特性情報12Aは、移動体40の移動可能な最大距離、移動体40の移動精度、移動体40の障害物回避能力有無、および移動体40の大きさ、の少なくとも1つを含む情報である。
【0023】
UI部14は、各種の情報を表示する表示機能、ユーザによる操作指示を受付ける入力機能、を有する。表示機能および入力機能は、上記と同様である。
【0024】
通信部16は、操作端末30、移動体40、および移動体管理装置10の外部の情報処理装置と通信するための通信インターフェースである。
【0025】
例えば、通信部16は、Ethernet(登録商標)等の有線またはWi-Fi(Wireless Fidelity)等の無線ネットワークにより操作端末30と通信する。また、通信部16は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の無線ネットワークにより移動体40と通信する。
【0026】
制御部20は、移動体管理装置10において情報処理を実行する。制御部20は、仮想モデル取得部20Aと、受付部20Bと、第1設定部20Cと、第2設定部20Dと、局所的巡回ルート生成部20Eと、大局的巡回ルート生成部20Fと、巡回ルート生成部20Gと、出力制御部20Hと、を備える。
【0027】
仮想モデル取得部20A、受付部20B、第1設定部20C、第2設定部20D、局所的巡回ルート生成部20E、大局的巡回ルート生成部20F、巡回ルート生成部20G、および出力制御部20Hは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0028】
仮想モデル取得部20Aは、移動体40の巡回対象施設の仮想モデルを取得する。
【0029】
図2Aは、仮想モデル50Aの一例の説明図である。仮想モデル50Aは、仮想モデル50の一例である。
【0030】
仮想モデル50は、巡回対象施設をモデル化したものである。
【0031】
巡回対象施設は、移動体40による巡回対象の施設である。巡回対象施設は、例えば、移動体40の巡回によって点検を行う対象の施設である。巡回対象施設の形状およびサイズは限定されない。巡回対象施設は、例えば、筒状、球状、多角形状、などの形状の施設である。
図2Aには、巡回対象施設が、筒状の施設、具体的にはトンネルである場合を一例として示す。すなわち、
図2Aには、巡回対象施設であるトンネルの仮想モデル50Aを一例として示す。
【0032】
仮想モデル50は、実空間における巡回対象施設の三次元情報を表すものである。仮想モデル50は、例えば、3D(three Dimensions)-CAD(Computer Aided Design)、3D点群、などによって表される。3D点群は、例えば、巡回対象施設の表面を複数領域に分割した各領域である点の各々の三次元位置座標を表す。
【0033】
図1に戻り説明を続ける。仮想モデル取得部20Aは、例えば、操作端末30から仮想モデル50を取得する。
【0034】
操作端末30を操作するユーザは、例えば、操作端末30に記憶されている複数の仮想モデル50から所望の仮想モデル50を選択することで、移動体40が巡回する対象の空間に存在する巡回対象施設の仮想モデル50を選択する。操作端末30の制御部30Aは、ユーザによるUI部30Bの操作指示によって選択された仮想モデル50を、巡回対象施設の仮想モデル50として移動体管理装置10へ送信する。移動体管理装置10の受付部20Bは、ユーザによる操作入力を受付ける。例えば、受付部20Bは、操作端末30のユーザによる操作入力を受付ける。仮想モデル取得部20Aは、操作端末30から受付部20Bを介して仮想モデル50を取得する。
【0035】
なお、操作端末30の制御部30Aは、ユーザによるUI部30Bの操作指示などに応じて仮想モデル50を生成し、移動体管理装置10へ送信してもよい。また、移動体管理装置10の記憶部12は、複数の仮想モデル50を予め記憶してもよい。そして、仮想モデル取得部20Aは、記憶部12に記憶されている複数の仮想モデル50の内、ユーザによるUI部30BまたはUI部14の操作指示によって選択された仮想モデル50を、巡回対象施設の仮想モデル50として取得してもよい。
【0036】
第1設定部20Cは、第1ウェイポイントを設定する。
【0037】
図2Aを用いて説明する。第1ウェイポイントP1とは、移動体40の必須経由ポイントである。第1ウェイポイントP1は、移動体40の経由ポイントであるウェイポイントPの一例である。詳細には、第1ウェイポイントP1は、移動体40が必ず経由する必須経由のウェイポイントPであり、重要箇所に存在するウェイポイントPである。重要箇所とは、実空間SBにおける、移動体40が所定時間以上滞在する対象となる地点または領域、および移動体40が巡回対象施設に対して予め定められた処理を行うときに位置する地点、の少なくとも一方である。巡回対象施設に対する予め定められた処理は、例えば、巡回対象施設の点検に関する処理である。巡回対象施設に対する予め定められた処理は、具体的には、移動体40に搭載された撮影装置による巡回対象施設の撮影、集音、観測、の少なくとも1つである。観測には、におい、温度、湿度、音、などのセンシングが含まれる。
【0038】
第1設定部20Cは、仮想モデル取得部20Aで取得した仮想モデル50の配置された仮想空間Sに、1以上の第1ウェイポイントP1を設定する。仮想空間Sとは、実空間SBに対応する三次元空間であり、巡回対象施設の存在する実空間SBを仮想化して表した空間である。仮想空間Sのスケール(縮尺)は実空間と同じであるものとする。
図2Aには、ウェイポイントB1およびウェイポイントB2によって表される2つのウェイポイントPが第1ウェイポイントP1として設定された場面を一例として示す。詳細には、
図2Aには、仮想モデル50Aによって表される巡回対象施設の一例であるトンネル内に、2つの第1ウェイポイントP1が設定された場面を一例として示す。
【0039】
なお、第1設定部20Cは、1以上の第1ウェイポイントP1を設定すればよく、複数の第1ウェイポイントP1を設定する形態に限定されない。本実施形態では、第1設定部20Cが複数の第1ウェイポイントP1を設定する形態を一例として説明する。
【0040】
第1設定部20Cは、操作端末30から取得した複数の第1ウェイポイントP1を仮想空間Sに設定する。
【0041】
例えば、操作端末30の制御部30Aは、ユーザによるUI部30Bに操作指示によって巡回対象施設として選択された仮想モデル50をUI部30Bに表示する。ユーザは、表示された仮想モデル50を視認しながらUI部30Bを操作することで、仮想モデル50を含む仮想空間S内の所望の位置に、点検などの処理を行うときに移動体40が位置する複数の重要箇所の各々に第1ウェイポイントP1を設定する。そして、操作端末30の制御部30Aは、ユーザによって設定された複数の第1ウェイポイントP1を移動体管理装置10へ送信する。移動体管理装置10の第1設定部20Cは、操作端末30から受付部20Bを介して複数の第1ウェイポイントP1を受付け、仮想空間Sに設定する。
【0042】
なお、第1設定部20Cは、仮想モデル50の表面における、受付部20Bで受付けた基準ポイントを基準として、該仮想モデル50の表面から離れる方向に向かって所定距離の位置に第1ウェイポイントP1を設定してもよい。
【0043】
図2Bは、第1ウェイポイントP1の設定の他の例の説明図である。
図2Bには、ドーム形状の仮想モデル50Bを一例として示す。仮想モデル50Bは、仮想モデル50の一例である。
【0044】
例えば、操作端末30の制御部30Aは、ユーザによるUI部30Bに操作指示によって選択された仮想モデル50BをUI部30Bに表示する。ユーザは、表示された仮想モデル50Bを視認しながらUI部30Bを操作することで、巡回対象施設の仮想モデル50Bの表面の所望の位置に、基準ポイントP4を設定する。基準ポイントP4は、仮想モデル50の表面上の任意の位置であればよい。
図2Bには、一例として、ポイントC1~ポイントC3の各々の複数の基準ポイントP4が設定された場面を一例として示す。
【0045】
この場合、操作端末30の制御部30Aは、ユーザによって設定された複数の基準ポイントP4を移動体管理装置10へ送信する。移動体管理装置10の第1設定部20Cは、操作端末30から受付部20Bを介して複数の基準ポイントP4を受付ける。
【0046】
複数の基準ポイントP4を受付けた第1設定部20Cは、仮想モデル50Bの表面の基準ポイントP4を基準として仮想モデル50Bの表面から離れる方向に向かって所定距離の位置に、第1ウェイポイントP1を設定する。例えば、第1設定部20Cは、複数の基準ポイントP4の各々を基準として仮想モデル50Bの表面に対する法線に沿って所定距離の位置の各々に、第1ウェイポイントP1を設定する。
図2Bには、仮想モデル50Bの表面のポイントC1~ポイントC3である基準ポイントP4の各々から法線に沿って所定距離の位置の各々に、ウェイポイントB1~ウェイポイントB3の各々によって表される3つのウェイポイントPが第1ウェイポイントP1として設定された場面を一例として示す。
【0047】
基準ポイントP4と第1ウェイポイントP1との所定距離は、ユーザの任意の距離であってよく、また、移動体特性情報12Aに応じた距離であってよい。基準ポイントP4と第1ウェイポイントP1との所定距離である仮想モデル50の表面と第1ウェイポイントP1との距離を移動体特性情報12Aに応じた距離とする場合、第1設定部20Cは、以下の所定距離に第1ウェイポイントP1を設定すればよい。
【0048】
詳細には、第1設定部20Cは、移動体特性情報12Aに含まれる、移動体40の大きさ、および移動体40の移動精度を表す情報を読み取る。そして、第1設定部20Cは、移動体40の大きさの1/2のサイズと、移動精度と、の和に一定量のマージンを加えた値を、仮想モデル50の表面と第1ウェイポイントP1との所定距離として用いればよい。第1設定部20Cが、仮想モデル50の表面と第1ウェイポイントP1との所定距離を移動体特性情報12Aに応じた上記計算によって算出した値とすることで、実空間SBにおいて移動体40が実際に到達可能な位置に第1ウェイポイントP1を設置することができる。すなわち、第1設定部20Cは、移動体40の大きさなどの移動体特性情報12Aによる制約によって移動体40の到達不可能な位置に、第1ウェイポイントP1が設定されることを抑制することができる。また、第1設定部20Cは、移動体40の移動体特性情報12Aに応じた位置に第1ウェイポイントP1を設定することができる。
【0049】
なお、第1設定部20Cは、公知の画像認識処理を用いて仮想空間Sに含まれる仮想モデル50の表面の任意の位置に基準ポイントP4を設定し、該基準ポイントP4から所定距離の位置に第1ウェイポイントP1を設定してもよい。また、移動体40を実空間上で手動により移動させ、公知の位置推定処理により推定した現在位置に対応する仮想空間内の位置を第1ウェイポイントP1に設定してもよい。
【0050】
図1に戻り説明を続ける。第2設定部20Dは、仮想空間Sにおける第1ウェイポイントP1の周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定する。本実施形態では、第2設定部20Dは、1つの第1ウェイポイントP1に対して複数の第2ウェイポイントを設定する場合を一例として説明する。
【0051】
図2Cは、第2ウェイポイントP2の設定の一例の説明図である。第2ウェイポイントP2は、第1ウェイポイントP1に関するウェイポイントPであり、巡回対象施設に対する副次的な視点となるウェイポイントPである。
【0052】
第2設定部20Dは、第1ウェイポイントP1から所定距離の範囲内の位置に複数の第2ウェイポイントP2を設定する。詳細には、第2設定部20Dは、仮想空間Sにおける第1ウェイポイントP1から所定距離の範囲内、および、第1ウェイポイントP1を中心とする1以上の同心円の円弧上、の少なくとも一方に、第2ウェイポイントP2を設定する。
【0053】
第1ウェイポイントP1と第2ウェイポイントP2との距離は、予め定められた距離であればよい。第1ウェイポイントP1と第2ウェイポイントP2との距離は、ユーザによる操作指示などに応じて適宜変更可能としてもよい。
【0054】
なお、仮想空間Sに設定された第2ウェイポイントP2と、仮想空間Sに含まれる仮想モデル50の表面との最短距離は、移動体特性情報12Aに応じた仮想モデル50の表面と第1ウェイポイントP1との上述した所定距離以上の距離とすることが好ましい。すなわち、第2設定部20Dは、第2ウェイポイントP2と仮想モデル50の表面との最短距離を、移動体特性情報12Aに含まれる、移動体40の大きさの1/2のサイズと、移動精度と、の和に一定量のマージンを加えた値である所定距離以上に調整することが好ましい。この場合、第2設定部20Dは、移動体40の大きさなどの移動体特性情報12Aによる制約によって移動体40の到達不可能な位置に、第2ウェイポイントP2が設定されることを抑制することができる。また、第2設定部20Dは、移動体特性情報12Aに応じた位置に第2ウェイポイントP2を設定することができる。
【0055】
第2設定部20Dは、これらの条件を満たす1以上の第2ウェイポイントP2を、第1設定部20Cで設定された複数の第1ウェイポイントP1の各々ごとに設定する。
【0056】
図2Cには、ウェイポイントB1によって表される第1ウェイポイントP1に対して、ウェイポイントB1-1、ウェイポイントB1-2、ウェイポイントB1-3によって表されるウェイポイントPである第2ウェイポイントP2が設定された場面を一例として示す。また、
図2Cには、ウェイポイントB2によって表される第1ウェイポイントP1に対して、ウェイポイントB2-1、およびウェイポイントB2-2によって表されるウェイポイントPである第2ウェイポイントP2が設定された場面を一例として示す。
【0057】
図2Cに示すように、第1設定部20Cによって設定された第1ウェイポイントP1の各々ごとに、第2ウェイポイントP2が設定される。
【0058】
図1に戻り説明を続ける。局所的巡回ルート生成部20Eは、第1ウェイポイントP1ごとに、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺の第2ウェイポイントP2を経由する局所的巡回ルートを生成する。
【0059】
図2Cを用いて説明する。局所的巡回ルートR1は、第1ウェイポイントP1の各々ごとに生成される、第1ウェイポイントP1の周辺を局所的に巡回するためのルートである。
【0060】
本実施形態では、局所的巡回ルート生成部20Eは、第1ウェイポイントP1ごとに、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周囲の第2ウェイポイントP2の各々を1回以上順次経由する、局所的巡回ルートR1を生成する。
【0061】
すなわち、局所的巡回ルート生成部20Eは、1つの第1ウェイポイントP1と、該第1ウェイポイントP1に対して設定された1または複数の第2ウェイポイントP2の各々と、を1回以上順番に経由する局所的巡回ルートR1を、複数の第1ウェイポイントP1の各々毎に生成する。
【0062】
局所的巡回ルートR1によって規定される、第1ウェイポイントP1および複数の第2ウェイポイントP2の経由順序である巡回順序は、予め定められたアルゴリズムに沿った順序であればよい。
【0063】
例えば、局所的巡回ルート生成部20Eは、第1ウェイポイントP1を出発点とし、第1ウェイポイントP1に対して設定された複数の第2ウェイポイントP2を順に経由する局所的巡回ルートR1を生成する。具体的には、
図2Cに示すように、局所的巡回ルート生成部20Eは、ウェイポイントB1によって表される第1ウェイポイントP1を出発点とし、ウェイポイントB1-1、ウェイポイントB1-2、ウェイポイントB1-3によって表される第2ウェイポイントP2を順に経由する局所的巡回ルートR1を生成する。
【0064】
また、例えば、局所的巡回ルート生成部20Eは、第1ウェイポイントP1を出発点とし、第1ウェイポイントP1に対して設定された複数の第2ウェイポイントP2の各々を1つ経由するごとに第1ウェイポイントP1へ戻る局所的巡回ルートR1を生成する。具体的には、
図2Cに示すように、局所的巡回ルート生成部20Eは、ウェイポイントB2によって表される第1ウェイポイントP1を出発点とし、ウェイポイントB2-1によって表される第2ウェイポイントP2、ウェイポイントB2によって表される第1ウェイポイントP1、ウェイポイントB2-2によって表される第2ウェイポイントP2、およびウェイポイントB2によって表される第1ウェイポイントP1、のこの順に経由する局所的巡回ルートR1を生成する。
【0065】
図2Dは、局所的巡回ルートR1のデータ構成の一例を表す模式図である。例えば、局所的巡回ルートR1は、巡回順序と、コマンドと、パラメータと、を対応付けたデータによって表される。巡回順序は、ウェイポイントPの経由順序を表す。コマンドは、対応する巡回順序のウェイポイントPで移動体40が行う作業内容または処理内容を表す。パラメータは、ウェイポイントPの識別情報である。
図2Dに示す局所的巡回ルートR1を用いる場合、移動体40は、ウェイポイントPの識別情報と、ウェイポイントPの三次元位置座標と、移動体40の姿勢と、を対応付けたテーブルを予め記憶する。なお、局所的巡回ルートR1に含まれるパラメータには、ウェイポイントPの識別情報に替えて、ウェイポイントPの三次元位置情報および移動体40の姿勢を表す情報を用いてもよい。また、パラメータには、更に他の情報が含まれていてよい。
【0066】
図1に戻り説明を続ける。大局的巡回ルート生成部20Fは、大局的巡回ルートを生成する。
【0067】
図3Aは、大局的巡回ルートR2の生成の一例の説明図である。大局的巡回ルートR2は、仮想モデル50によって表される巡回対象施設を大局的に巡回するルートである。
【0068】
大局的巡回ルート生成部20Fは、仮想空間Sに配置された仮想モデル50の表面から所定距離離れた位置に、1以上の第3ウェイポイントP3を設定し、第3ウェイポイントP3を経由する大局的巡回ルートR2を生成する。大局的巡回ルート生成部20Fは、第3ウェイポイントP3を1回以上経由する大局的巡回ルートR2を生成する。
【0069】
例えば、移動体40がトンネル等の筒状の巡回対象施設の内部を、該巡回対象施設の延伸方向(矢印X方向参照、以下、延伸方向Xと称する)の一端部側から他端部側に向かって片道巡回する場合を想定する。
【0070】
大局的巡回ルート生成部20Fは、筒状の巡回対象施設の仮想モデル50Aの内側の、該巡回対象施設の延伸方向Xの一端部側から他端部側に向かって通る仮想線Lに沿って、1以上の第3ウェイポイントP3を設定する。
【0071】
この仮想線Lと仮想モデル50Aの表面との最短距離は、移動体特性情報12Aに応じた仮想モデル50の表面と第1ウェイポイントP1との上述した所定距離以上の距離とすることが好ましい。すなわち、大局的巡回ルート生成部20Fは、第3ウェイポイントP3と仮想モデル50の表面との最短距離を、移動体特性情報12Aに含まれる、移動体40の大きさの1/2のサイズと、移動精度と、の和に一定量のマージンを加えた値である所定距離以上に調整することが好ましい。この場合、大局的巡回ルート生成部20Fは、移動体40の大きさなどの移動体特性情報12Aによる制約によって移動体40の到達不可能な位置に、第3ウェイポイントP3が設定されることを抑制することができる。また、大局的巡回ルート生成部20Fは、移動体40の移動体特性情報12Aに応じた位置に第3ウェイポイントP3を設定することができる。
【0072】
トンネルなどの筒状の巡回対象施設を巡回対象とし、移動体40が片道巡回する場合を想定する。この場合、大局的巡回ルート生成部20Fは、この筒状の巡回対象施設の仮想モデル50Aの内側の延伸方向Xに交差する切断面の中心を該延伸方向Xに沿って通るラインを仮想線Lとし、第3ウェイポイントP3を仮想線Lの延伸方向Xに沿って所定間隔ごとに設定すればよい。大局的巡回ルート生成部20Fは、ユーザによって定められた任意の値を所定間隔として用いればよい。また、大局的巡回ルート生成部20Fは、移動体特性情報12Aに含まれる移動体40の移動精度に一定量のマージンを加算した値を所定間隔として用いてもよい。
【0073】
図3Aには、ウェイポイントA1~ウェイポイントA5の各々によって表される第3ウェイポイントP3が仮想線Lに沿って設定された場面を一例として示す。
【0074】
大局的巡回ルート生成部20Fは、例えば、巡回セールスマン問題の解法により、出発点を出発し、ウェイポイントA1~ウェイポイントA5を経由して終了地点に至る大局的巡回ルートR2を生成する。具体的には、大局的巡回ルート生成部20Fは、延伸方向Xの一端部側から他端部側に向かって設定されたウェイポイントA1~ウェイポイントA5の各々によって表される第3ウェイポイントP3を順に経由する大局的巡回ルートR2を生成する。
【0075】
すなわち、トンネルなどの筒状の巡回対象施設を巡回対象とし、移動体40が片道巡回する場合、大局的巡回ルート生成部20Fは、仮想モデル50Aの延伸方向Xに沿って所定間隔ごとに設定された第3ウェイポイントP3を出発点から近い順に仮想線Lに沿ってつなげることで、大局的巡回ルートR2を生成する。
【0076】
図3Bは、大局的巡回ルートR2のデータ構成の一例を表す模式図である。例えば、大局的巡回ルートR2は、巡回順序と、コマンドと、パラメータと、を対応付けたデータによって表される。巡回順序、コマンド、パラメータ、の意味は、上記と同様であるため説明を省略する。
【0077】
図1に戻り説明を続ける。巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成する。
【0078】
図4Aは、巡回ルートRの生成の一例の説明図である。巡回ルート生成部20Gは、局所的巡回ルート生成部20Eから局所的巡回ルートR1を取得する。また、巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルート生成部20Fから大局的巡回ルートR2を取得する。巡回ルート生成部20Gは、これらの局所的巡回ルートR1および大局的巡回ルートR2を用いて、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成する。
【0079】
巡回ルート生成部20Gは、局所的巡回ルート生成部20Eから取得した局所的巡回ルートR1ごとに、大局的巡回ルートR2に含まれる第3ウェイポイントP3の内、局所的巡回ルートR1に含まれる第1ウェイポイントP1との距離が最小の2つの第3ウェイポイントP3の間に、局所的巡回ルートR1を挿入する。
【0080】
詳細には、巡回ルート生成部20Gは、局所的巡回ルートR1に含まれる第1ウェイポイントP1と、大局的巡回ルートR2に含まれる複数の第3ウェイポイントP3の各々と、の距離を算出する。そして、大局的巡回ルートR2に含まれる複数の第3ウェイポイントP3の内、第1ウェイポイントP1との距離の和が最小となる2つの第3ウェイポイントP3の間に、局所的巡回ルートR1を挿入する。
【0081】
具体的には、巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルートR2を構成する第3ウェイポイントP3を、大局的巡回ルートR2に表される巡回順序に沿って順に抽出する。そして、巡回ルート生成部20Gは、抽出した第3ウェイポイントP3と第1ウェイポイントP1との距離と、次に抽出した第3ウェイポイントP3と第1ウェイポイントP1との距離と、の和を算出する。巡回ルート生成部20Gは、この算出処理を新たな第3ウェイポイントP3を抽出するごとに繰り返す。そして、巡回ルート生成部20Gは、算出した和が最小の2つの第3ウェイポイントP3の間に、該第1ウェイポイントP1を含む局所的巡回ルートR1を挿入する。
【0082】
巡回ルート生成部20Gは、複数の局所的巡回ルートR1の各々ごとに上記挿入処理を繰り返すことによって、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成する。
【0083】
図4Bは、巡回ルートRのデータ構成の一例を表す模式図である。例えば、巡回ルートRは、巡回順序と、コマンドと、パラメータと、を対応付けたデータによって表される。巡回順序、コマンド、パラメータ、の意味は、上記と同様であるため説明を省略する。
図4Bに示すように、巡回ルートRは、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRとなる。
【0084】
更に、巡回ルート生成部20Gは、巡回ルートRの最初に離陸命令、巡回ルートRの最後に着陸命令、などのコマンドを追加した巡回ルートRを生成してもよい(
図4B参照)。これらの処理により、巡回ルート生成部20Gは、離陸命令、1以上のウェイポイントP(第1ウェイポイントP1、第2ウェイポイントP2、第3ウェイポイントP3)への移動命令、および着陸命令から構成される巡回ルートRを生成することができる。
【0085】
次に、移動体40がトンネル等の筒状の巡回対象施設の内部を、該巡回対象施設の延伸方向Xの一端部側と他端部側との間で往復巡回する場合を想定する。
【0086】
この場合、大局的巡回ルート生成部20Fおよび巡回ルート生成部20Gは、例えば、以下の方法で大局的巡回ルートR2および巡回ルートRを生成すればよい。
【0087】
図5は、大局的巡回ルートR2および巡回ルートRの生成の一例の説明図である。
図5には、移動体40がトンネル等の筒状の巡回対象施設の内部を、該巡回対象施設の延伸方向Xの一端部側と他端部側との間で往復巡回する場合の一例を示す。
【0088】
大局的巡回ルート生成部20Fは、上述したように、仮想空間Sに配置された仮想モデル50の表面から所定距離離れた位置に、1以上の第3ウェイポイントP3を設定し、第3ウェイポイントP3を経由する大局的巡回ルートR2を生成する。
【0089】
移動体40がトンネル等の筒状の巡回対象施設の内部を延伸方向Xに沿って往復巡回する場合、大局的巡回ルート生成部20Fは、この巡回対象施設の仮想モデル50A内を延伸方向Xに沿って通る、2つの仮想線Lを設定する。これらの2つの仮想線Lは、筒状の仮想モデル50A内の延伸方向Xに沿った仮想の線であり、延伸方向Xに交差する交差方向における位置の互いに異なる2つの仮想線Lである。
【0090】
大局的巡回ルート生成部20Fは、設定した2つの仮想線Lの一方を往路L1とし、他方を復路L2とする。そして、大局的巡回ルート生成部20Fは、往路L1に沿って該往路L1の延伸方向Xの一端部側から他端部側、および復路L2に沿って復路L2の延伸方向Xの他端部側から一端部側に向かって、1以上の第3ウェイポイントP3を設定する。
【0091】
大局的巡回ルート生成部20Fは、往路L1および復路L2の各々に沿って、所定間隔ごとに第3ウェイポイントP3を設定すればよい。この所定間隔は、上述した片道巡回時と同様である。
【0092】
図5には、ウェイポイントA1~ウェイポイントA9の各々によって表される第3ウェイポイントP3が往路L1に沿って設定され、ウェイポイントA10~ウェイポイントA18の各々によって表される第3ウェイポイントP3が復路L2に沿って設定された場面を一例として示す。
【0093】
そして、大局的巡回ルート生成部20Fは、片道巡回時と同様にして、設定した第3ウェイポイントP3を1回以上経由する大局的巡回ルートR2を生成する。例えば、大局的巡回ルート生成部20Fは、往路L1に設定された複数の第3ウェイポイントP3を出発点に近い順につなげ、更に、復路L2に設定された複数の第3ウェイポイントP3を往路L1から復路L2への折り返し点から順につなげることで、大局的巡回ルートR2を生成する。
【0094】
このため、トンネルなどの筒状の巡回対象施設を巡回対象とし、移動体40が往復巡回する場合、大局的巡回ルート生成部20Fは、仮想モデル50Aの延伸方向Xに沿って所定間隔ごとに設定された第3ウェイポイントP3を往路L1から復路L2に向かって出発点から近い順につなげることで、大局的巡回ルートR2を生成する。
【0095】
そして、巡回ルート生成部20Gは、往復巡回する大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成する。
【0096】
この場合、巡回ルート生成部20Gは、往路L1の大局的巡回ルートR2、および復路L2の大局的巡回ルートR2の少なくとも一方に局所的巡回ルートR1を挿入した、巡回ルートRを生成すればよい。巡回ルート生成部20Gによる、往路L1の大局的巡回ルートR2、および、復路L2の大局的巡回ルートR2、の少なくとも一方への局所的巡回ルートR1の挿入は、片道巡回の場合と同様にして行えばよい。
【0097】
なお、上述したように、巡回対象施設および巡回対象施設の仮想モデル50の形状は、トンネル状などの筒状に限定されない。
図2Bを用いて説明したように、仮想モデル50の形状は、ドーム形状などの仮想モデル50Bであってもよい。
【0098】
ドーム形状の仮想モデル50Bである場合についても、大局的巡回ルート生成部20Fおよび巡回ルート生成部20Gは、上記と同様にして大局的巡回ルートR2および巡回ルートRを生成すればよい。
【0099】
図6は、大局的巡回ルートR2および巡回ルートRの生成の一例の説明図である。
図6には、仮想モデル50がドーム形状の仮想モデル50Bである形態を示す。
【0100】
大局的巡回ルート生成部20Fは、上述したように、仮想空間Sに配置された仮想モデル50Bの表面から所定距離離れた位置に、1以上の第3ウェイポイントP3を設定し、第3ウェイポイントP3を経由する大局的巡回ルートR2を生成する。例えば、大局的巡回ルート生成部20Fは、ドーム状の仮想モデル50Bの表面に沿って仮想空間S内を大局的に巡回するように、複数の第3ウェイポイントP3を設定する。
図6には、一例として、仮想モデル50Bのドーム状の表面に沿ってS字状に巡回する複数のウェイポイントA1~ウェイポイントA10を、第3ウェイポイントP3として設定した場合を示す。
【0101】
そして、大局的巡回ルート生成部20Fは、これらの複数の第3ウェイポイントP3を経由する大局的巡回ルートR2を上記と同様にして生成する。そして、巡回ルート生成部20Gは、上記と同様にして、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成すればよい。
【0102】
【0103】
出力制御部20Hは、巡回ルート生成部20Gで生成された巡回ルートRを出力する。詳細には、出力制御部20Hは、巡回ルートRをUI部14、UI部30B、および移動体40の少なくとも1つへ出力する。
【0104】
例えば、出力制御部20Hは、巡回ルートRをUI部14またはUI部30Bへ出力することで、UI部14またはUI部30Bに巡回ルートRを表示する。出力制御部20Hは、巡回ルートRに含まれる局所的巡回ルートR1と大局的巡回ルートR2とを異なる表示形態で表示してよい。例えば、出力制御部20Hは、局所的巡回ルートR1と大局的巡回ルートR2とを、色および線種の少なくとも一方を異なるものとすることで、異なる表示形態で表示する。線種は、例えば、実線、点線、などの線の種類、および線の太さ、などによって規定される。
【0105】
また、出力制御部20Hは、第1ウェイポイントP1、第2ウェイポイントP2、および第3ウェイポイントP3を互いに異なる表示形態で表示してよい。例えば、出力制御部20Hは、第1ウェイポイントP1、第2ウェイポイントP2、および第3ウェイポイントP3を表す記号を、色および形の少なくとも一方を異なるものとすることで、異なる表示形態で表示する。
【0106】
例えば、出力制御部20Hは、
図4Aに示す巡回ルートRを配置された仮想モデル50Aを表示する。また、例えば、出力制御部20Hは、
図5または
図6に示す巡回ルートRを配置された仮想モデル50Aまたは仮想モデル50Bを表示する。
【0107】
出力制御部20Hが巡回ルートRを表示することで、巡回ルートRをユーザに視認可能に提供することができる。また、移動体40が巡回ルートRに沿った移動を開始する前に、出力制御部20Hが巡回ルートRを表示することで、可視化した巡回ルートRをユーザに対して事前に提供することができる。
【0108】
また、出力制御部20Hは、巡回ルートRを移動体40へ出力する。
【0109】
巡回ルートRを受付けた移動体40は、巡回ルートRに従って離陸し、巡回ルートRによって指定された巡回順序に従ってウェイポイントPへ順に移動し、着陸する。
【0110】
なお、移動体40は、移動体管理装置10から巡回ルートRを受付け、且つ操作端末30から点検開始指示などの移動開始を表す開始信号を受付けたときに、巡回ルートRに従って移動してもよい。
【0111】
移動体40にセンサの一例である撮影装置が搭載されている場合、移動体40は、巡回ルートRに沿った移動中、撮影を常時継続してよい。また、移動体40は、巡回ルートRに含まれる局所的巡回ルートR1を移動中の期間のみ、撮影を実行してよい。また、移動体40は、巡回ルートRに含まれる全てのウェイポイントP、または、局所的巡回ルートR1を構成する第1ウェイポイントP1および第2ウェイポイントP2の各々の位置で、移動を一時停止し、静止画像を撮影してよい。また、移動体40は、移動体40に設けられたセンサを用いて、においや温度などをセンシングしてよい。
【0112】
すなわち、巡回ルートRに含まれる第1ウェイポイントP1、第2ウェイポイントP2、および第3ウェイポイントP3の少なくとも1つは、移動体40が撮影、観測などの予め定めた処理を実行する対象となるウェイポイントPとして機能する。
【0113】
また、移動体40は、センサによる撮影画像などのセンシング結果を操作端末30へ送信してよい。
【0114】
移動体40は、巡回ルートRに沿った移動中に異常を検出した場合、異常検出を表す異常情報を、移動体管理装置10または操作端末30へ送信してよい。例えば、移動体40は、センサによるセンシング結果が異常を示す、または撮影画像に異常が含まれる、と判断した場合、異常情報および異常検出した位置を表す異常位置情報を移動体管理装置10または操作端末30へ送信する。
【0115】
異常情報および異常位置情報を受信した移動体管理装置10の制御部20は、例えば、以下の処理を実行すればよい。例えば、制御部20の局所的巡回ルート生成部20Eは、受信した異常位置情報を第1ウェイポイントP1または基準ポイントP4とした局所的巡回ルートR1を新たに生成する。そして、巡回ルート生成部20Gは、異常情報の送信元の移動体40の移動に用いた巡回ルートRに、新たに生成した局所的巡回ルートR1を更に挿入した巡回ルートRを再生成する。そして、出力制御部20Hは、再生成した巡回ルートRを該移動体40へ送信してよい。
【0116】
次に、本実施形態の移動体管理装置10が実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0117】
図7は、本実施形態の移動体管理装置10が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0118】
仮想モデル取得部20Aは、移動体40の巡回対象施設の仮想モデル50を取得する(ステップS100)。
【0119】
第1設定部20Cは、ステップS100で取得した仮想モデル50の配置された仮想空間Sに、1以上の第1ウェイポイントP1を設定する(ステップS102)。
【0120】
第2設定部20Dは、仮想空間SにおけるステップS102で設定された第1ウェイポイントP1の周辺に1以上の第2ウェイポイントP2を設定する(ステップS104)。
【0121】
局所的巡回ルート生成部20Eは、ステップS102で設定された第1ウェイポイントP1ごとに、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺の第2ウェイポイントP2を経由する局所的巡回ルートR1を生成する(ステップS106)。
【0122】
大局的巡回ルート生成部20Fは、仮想空間Sに配置された仮想モデル50の表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントP3を設定する(ステップS108)。そして、大局的巡回ルート生成部20Fは、設定した第3ウェイポイントP3を経由する大局的巡回ルートR2を生成する(ステップS110)。
【0123】
次に、巡回ルート生成部20Gが、ステップS110で生成された大局的巡回ルートR2に、ステップS106で生成された局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成する(ステップS112)。
【0124】
出力制御部20Hは、ステップS112で生成された巡回ルートRを出力する(ステップS114)。そして、本ルーチンを終了する。
【0125】
次に、巡回ルート生成部20Gによる巡回ルートRの生成処理(
図7中のステップS112参照)の流れの一例を説明する。
【0126】
図8は、巡回ルート生成部20Gによる巡回ルートRの生成処理の流れの一例を表すフローチャートである。
【0127】
巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルート生成部20Fから大局的巡回ルートR2を取得する(ステップS200)。
【0128】
巡回ルート生成部20Gは、局所的巡回ルート生成部20Eで生成された複数の局所的巡回ルートR1の内、後述するステップS208の処理を未処理の1つの局所的巡回ルートR1を取得する(ステップS202)。
【0129】
巡回ルート生成部20Gは、ステップS202で取得した局所的巡回ルートR1に含まれる第1ウェイポイントP1と、ステップS200で取得した大局的巡回ルートR2に含まれる複数の第3ウェイポイントP3の各々と、の距離を算出する(ステップS204)。
【0130】
巡回ルート生成部20Gは、ステップS204の距離の算出結果に基づいて、大局的巡回ルートR2に含まれる複数の第3ウェイポイントP3の内、第1ウェイポイントP1との距離の和が最小となる2つの第3ウェイポイントP3の間を挿入箇所として特定する(ステップS206)。詳細には、巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルートR2を構成する第3ウェイポイントP3を、大局的巡回ルートR2に表される巡回順序に沿って順に抽出する。そして、巡回ルート生成部20Gは、抽出した第3ウェイポイントP3と第1ウェイポイントP1との距離と、次に抽出した第3ウェイポイントP3と第1ウェイポイントP1との距離と、の和を算出する。巡回ルート生成部20Gは、この算出処理を新たな第3ウェイポイントP3を抽出するごとに繰り返す。そして、巡回ルート生成部20Gは、算出した和が最小の2つの第3ウェイポイントP3の間を、挿入箇所として特定する。
【0131】
巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルートR2におけるステップS206で特定した挿入箇所に、ステップS202で取得した局所的巡回ルートR1を挿入する(ステップS208)。
【0132】
次に、巡回ルート生成部20Gは、局所的巡回ルート生成部20Eで生成された複数の局所的巡回ルートR1の全てを大局的巡回ルートR2に挿入済か否かを判断する(ステップS210)。ステップS210で否定判断すると(ステップS210:No)、上記ステップS202へ戻る。ステップS210で肯定判断すると(ステップS210:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0133】
以上説明したように、本実施形態の移動体管理装置10は、仮想モデル取得部20Aと、第1設定部20Cと、第2設定部20Dと、局所的巡回ルート生成部20Eと、大局的巡回ルート生成部20Fと、巡回ルート生成部20Gと、を備える。仮想モデル取得部20Aは、移動体40の巡回対象施設の仮想モデル50を取得する。第1設定部20Cは、仮想モデル50の配置された仮想空間Sに移動体40の必須経由ポイントである第1ウェイポイントP1を設定する。第2設定部20Dは、第1ウェイポイントP1の周辺に1以上の第2ウェイポイントP2を設定する。局所的巡回ルート生成部20Eは、第1ウェイポイントP1ごとに、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周囲の第2ウェイポイントP2を経由する局所的巡回ルートR1を生成する。大局的巡回ルート生成部20Fは、仮想モデル50の表面から所定距離離れた位置に1以上の第3ウェイポイントP3を設定し、第3ウェイポイントP3を経由する大局的巡回ルートR2を生成する。巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成する。
【0134】
ここで、従来技術では、巡回対象の空間内に対象物に応じて一様にウェイポイントを設定し、複数のウェイポイントを単に巡回する巡回ルートを生成していた。このため、従来技術では、巡回対象の空間内に点検対象などの重要箇所が含まれる場合であっても、移動体は巡回ルートに沿ったウェイポイントを単になぞって巡回して移動するため、重要箇所に応じた移動は困難であった。例えば、移動体40の一例であるドローンに搭載されたカメラで点検対象の施設を撮影する場面を想定する。この場合、従来技術では、ドローンは一様に配置された複数のウェイポイントを単に巡回するため、ドローンに搭載されたカメラのぶれなどによりメータ等の重要設備やひび割れなどの異常発生箇所などの重要箇所を正しく撮影できない場合があった。すなわち、従来技術では、点検箇所の重要性に応じた移動の可能な巡回ルートが提供されていなかった。
【0135】
一方、本実施形態の移動体管理装置10は、必須経由ポイント、すなわち、重要箇所に存在するウェイポイントPである第1ウェイポイントP1の周辺を重点的に巡回する局所的巡回ルートR1を大局的巡回ルートR2に挿入することで、巡回ルートRを生成する。
【0136】
このため、本実施形態の移動体管理装置10は、重要箇所を重点的に巡回する巡回ルートRを生成することができる。
【0137】
従って、本実施形態の移動体管理装置10は、点検箇所の重要性に応じた移動の可能な巡回ルートRを提供することができる。
【0138】
また、本実施形態の移動体管理装置10の巡回ルート生成部20Gは、大局的巡回ルートR2に含まれる第3ウェイポイントP3の内、局所的巡回ルートR1に含まれる第1ウェイポイントP1との距離が最小の2つの第3ウェイポイントP3の間に、局所的巡回ルートR1を挿入する。
【0139】
このため、本実施形態の移動体管理装置10は、上記効果に加えて、巡回中の移動体40が重要箇所に近づいたときに重要箇所を重点的に巡回可能な、巡回ルートRを生成することができる。言い換えると、本実施形態の移動体管理装置10は、効率よく巡回可能な巡回ルートRを提供することができる。
【0140】
(第2の実施形態)
上記実施形態では、第2設定部20Dは、仮想空間Sにおける第1ウェイポイントP1の周辺に1以上の第2ウェイポイントを設定し、局所的巡回ルート生成部20Eは、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺の第2ウェイポイントP2を経由する局所的巡回ルートR1を生成する形態を一例として説明した。
【0141】
しかし、局所的巡回ルートR1は、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺を重点的に巡回可能なルートであればよく、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺の第2ウェイポイントP2を巡回するルートに限定されない。
【0142】
本実施形態では、第1ウェイポイントP1に周辺滞在時間情報を設定することで局所的巡回ルートR1を生成する形態を説明する。なお、本実施形態において、上記実施形態と同一の構成および機能には、同一の符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0143】
図1は、本実施形態の移動体管理システム1Bの一例の模式図である。
【0144】
移動体管理システム1Bは、移動体管理装置10Bと、操作端末30と、移動体40と、を備える。移動体管理装置10Bと、操作端末30と、移動体40とは、通信可能に接続されている。移動体管理システム1Bは、移動体管理装置10に替えて移動体管理装置10Bを備えた構成である点以外は、上記実施形態の移動体管理システム1と同様である。
【0145】
移動体管理装置10Bは、記憶部12と、UI部14と、通信部16と、制御部21と、を備える。記憶部12と、UI部14と、通信部16と、制御部21とは、バス18等を介して通信可能に接続されている。移動体管理装置10Bは、制御部20に替えて制御部20を備える点以外は、上記実施形態の移動体管理装置10と同様である。
【0146】
制御部21は、移動体管理装置10Bにおいて情報処理を実行する。制御部21は、仮想モデル取得部20Aと、受付部20Bと、第1設定部20Cと、第2設定部21Dと、局所的巡回ルート生成部21Eと、大局的巡回ルート生成部20Fと、巡回ルート生成部20Gと、出力制御部20Hと、を備える。仮想モデル取得部20A、受付部20B、第1設定部20C、大局的巡回ルート生成部20F、巡回ルート生成部20G、および出力制御部20Hは、上記実施形態と同様である。
【0147】
すなわち、制御部21は、第2設定部20Dに替えて第2設定部21Dを備え、局所的巡回ルート生成部20Eに替えて局所的巡回ルート生成部21Eを備える点以外は、上記実施形態の制御部20と同様の構成である。
【0148】
第2設定部21Dは、第1設定部20Cによって設定された1以上の第1ウェイポイントP1の各々に、第1ウェイポイントP1の周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報を設定する。
【0149】
周辺滞在時間情報とは、移動体40が第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺領域を含む領域に滞在する滞在時間を表す情報である。
【0150】
周辺滞在時間情報は、予め定められた所定時間を表す情報であればよい。周辺滞在時間情報は、ユーザによるUI部30BまたはUI部14などの操作指示などによって適宜変更可能としてもよい。
【0151】
第2設定部21Dは、第1設定部20Cによって設定された第1ウェイポイントP1の各々に、周辺滞在時間情報を設定する。
【0152】
局所的巡回ルート生成部21Eは、第2設定部21Dによって設定された周辺滞在時間情報を第1ウェイポイントP1に付与することで、局所的巡回ルートR1を生成する。なお、第2設定部21Dは、複数の第1ウェイポイントP1の各々ごとに、異なる周辺滞在時間情報を設定してもよい。局所的巡回ルート生成部21Eは、第2設定部21Dによって設定された周辺滞在時間情報を、対応する第1ウェイポイントP1に付与することで、局所的巡回ルートR1を生成すればよい。
【0153】
そして、巡回ルート生成部20Gは、上記実施形態と同様にして、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルート生成部21Eによって生成された局所的巡回ルートR1を挿入することで、巡回ルートRを生成すればよい。
【0154】
図9Aおよび
図9Bは、本実施形態による巡回ルートRの一例の説明図である。
【0155】
図9Aには、複数の矩形状の物体の群からなる仮想モデル50Cを一例として示す。仮想モデル50Cは、仮想モデル50の一例である。
【0156】
図9Aには、ウェイポイントB1~ウェイポイントB5の各々によって表される5つのウェイポイントPが第1ウェイポイントP1として設定された場面を一例として示す。この場合、第2設定部21Dは、第1ウェイポイントP1の各々に第1ウェイポイントP1の周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報を設定し、局所的巡回ルート生成部21Eは第1ウェイポイントP1に設定された周辺滞在時間情報を付与した局所的巡回ルートR1を生成する。例えば、局所的巡回ルート生成部21Eが、ウェイポイントB1~ウェイポイントB5の各々によって表される複数の第1ウェイポイントP1の各々に、周辺滞在時間情報“10秒”を付与した局所的巡回ルートR1を生成した場面を想定する。
【0157】
そして、大局的巡回ルート生成部20Fが、ウェイポイントA1~ウェイポイントA8の各々によって表される第3ウェイポイントP3を経由する大局的巡回ルートR2を生成した場面を想定する。例えば、大局的巡回ルート生成部20Fが、巡回セールスマン問題の解法により、ウェイポイントA1を出発し、ウェイポイントA2~ウェイポイントA8を経由してウェイポイントA1に戻る大局的巡回ルートR2を生成した場面を想定する。
【0158】
この場合、巡回ルート生成部20Gは、上記実施形態と同様にして、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルートR1を挿入した巡回ルートRを生成する。
【0159】
図9Bは、巡回ルートRのデータ構成の一例を示す模式図である。例えば、局所的巡回ルート生成部21Eは、ウェイポイントB1~ウェイポイントB5の各々によって表される第1ウェイポイントP1の各々に、“停止”を表すコマンドを付与し、パラメータとして周辺滞在時間情報“10秒”を付与することで、局所的巡回ルートR1を生成する。このため、第1ウェイポイントP1の各々に周辺滞在時間情報が付与された巡回ルートRが生成される。
【0160】
以上説明したように、本実施形態の移動体管理装置10Bでは、第2設定部21Dが、第1設定部20Cによって設定された第1ウェイポイントP1の各々に周辺滞在時間情報を設定する。局所的巡回ルート生成部21Eは、第2設定部21Dによって設定された周辺滞在時間情報を第1ウェイポイントP1に付与することで、局所的巡回ルートR1を生成する。そして、巡回ルート生成部20Gは、上記実施形態と同様にして、大局的巡回ルートR2に局所的巡回ルート生成部21Eによって生成された局所的巡回ルートR1を挿入することで、巡回ルートRを生成する。
【0161】
このため、本実施形態の移動体管理装置10Bは、必須経由ポイント、すなわち、重要箇所に存在するウェイポイントPである第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺を重点的に巡回する局所的巡回ルートR1を大局的巡回ルートR2に挿入した巡回ルートRを生成することができる。
【0162】
このため、本実施形態の移動体管理装置10Bは、上記実施形態と同様に、点検箇所の重要性に応じた移動の可能な巡回ルートRを提供することができる。
【0163】
なお、本実施形態の移動体管理装置10Bは、上記実施形態の第2設定部20Dおよび局所的巡回ルート生成部21Eの機能を更に備えた構成であってもよい。
【0164】
すなわち、移動体管理装置10Bの第2設定部21Dは、第1ウェイポイントP1の周辺に1以上の第2ウェイポイントP2を設定、および、第1ウェイポイントP1に第1ウェイポイントP1の周辺滞在時間を表す周辺滞在時間情報の設定、の少なくとも一方を実行してよい。
【0165】
そして、移動体管理装置10Bの局所的巡回ルート生成部21Eは、第1ウェイポイントP1ごとに、第1ウェイポイントP1および第1ウェイポイントP1の周辺の第2ウェイポイントP2を経由、および、第1ウェイポイントP1に周辺滞在時間情報の付与、の少なくとも一方を行った局所的巡回ルートR1を生成してよい。
【0166】
次に、上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30のハードウェア構成の一例を説明する。
【0167】
図10は、上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30の一例のハードウェア構成図である。
【0168】
上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30は、CPU(Central Processing Unit)90Dなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)90EやRAM(Random Access Memory)90FやHDD(ハードディスクドライブ)90Gなどの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部90Bと、各種情報を出力する出力部90Aと、ユーザによる操作を受付ける入力部90Cと、各部を接続するバス90Hとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0169】
上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30では、CPU90Dが、ROM90EからプログラムをRAM90F上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
【0170】
なお、上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD90Gに記憶されていてもよい。また、上記実施形態の10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM90Eに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0171】
また、上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の移動体管理装置10、移動体管理装置10B、および操作端末30で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0172】
なお、上記実施形態の移動体管理装置10および移動体管理装置10Bの適応対象は限定されない。例えば、上記実施形態の移動体管理装置10および移動体管理装置10Bは、移動体40を活用した点検システム等に好適に適用可能である。
【0173】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0174】
10、10B 移動体管理装置
20A 仮想モデル取得部
20B 受付部
20C 第1設定部
20D、21D 第2設定部
20E、21E 局所的巡回ルート生成部
20F 大局的巡回ルート生成部
20G巡回ルート生成部
20H 出力制御部
40 移動体