(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】電動ベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 20/08 20060101AFI20241209BHJP
A47C 19/04 20060101ALI20241209BHJP
A61G 7/015 20060101ALI20241209BHJP
A61G 7/018 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A47C20/08 Z
A47C19/04 A
A61G7/015
A61G7/018
(21)【出願番号】P 2021192788
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2021-11-29
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】細川 雄史
(72)【発明者】
【氏名】下川 真人
(72)【発明者】
【氏名】島田 博
(72)【発明者】
【氏名】松本 孝樹
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】草野 顕子
【審判官】澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-135535(JP,A)
【文献】特開2012-040146(JP,A)
【文献】実開昭59-124082(JP,U)
【文献】特開2005-000411(JP,A)
【文献】特開2015-096201(JP,A)
【文献】特表2011-506048(JP,A)
【文献】特開2011-040883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00- 7/16
A47C 17/00-23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背ボトムと、膝ボトムと、脚ボトムと、を備えた電動ベッドにおいて、
前記背ボトム、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムのうち、第2速度で動かされるボトムを選択するためのアイコンを画面に表示する表示機能と、前記アイコンを選択する操作を受け付ける入力機能と、を含むタッチパネルと、
前記背ボトム、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムの少なくともいずれかが水平面に対して傾いた状態から、前記背ボトム、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムの全てを水平状態へ、前記第2速度より速い第1速度で動かすために押される、タッチパネル以外で実装された第1ボタンと、
を含む操作部と、
前記タッチパネルの状態に拘わらず、前記第1ボタンが押されている期間、前記背ボトム、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムの全てを前記水平状態に向けて動かす制御装置と、
をさらに備えた電動ベッド。
【請求項2】
前記操作部は、
処理部と、
前記タッチパネルと前記処理部とを電気的に接続する第1配線と、
前記第1ボタンと前記処理部とを電気的に接続する第2配線と、
をさらに含み、
前記処理部は、前記第1配線を介して前記入力機能の操作に対応する第1信号が入力されると、前記背ボトム、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムの少なくともいずれかを動作させるための第2信号を出力し、
前記処理部は、前記第2配線を介して前記第1ボタンの操作に対応する第3信号が入力されると、前記背ボトム、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムの全てを動作させるための第4信号を出力する、請求項1に記載の電動ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電動ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
高さや背もたれの角度を変更可能な電動ベッドがある。電動ベッドは、例えば、タッチパネル(入力機能と表示機能を含むパネル)を有する制御装置を用いて操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、より簡単に操作できる電動ベッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、電動ベッドは、背ボトムと、膝ボトムと、脚ボトムと、を備える。前記電動ベッドは、操作部及び制御装置をさらに備える。前記操作部は、タッチパネル及び第1ボタンを含む。前記タッチパネルは、入力機能と表示機能を含む。前記タッチパネルでは、前記電動ベッドの動作に対応する第1操作が行われる。前記第1ボタンは、心肺蘇生を行う際に、前記背ボトム、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムの全てを第1状態から水平状態へ動かすために押される。前記制御装置は、前記タッチパネルの状態に拘わらず、前記第1ボタンが押されている期間、前記膝ボトム、及び前記脚ボトムの全てを前記水平状態に向けて動かす。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態は、より簡単に操作できる電動ベッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、実施形態に係る電動ベッド及び制御装置を例示する模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電動ベッド及び制御装置を例示する模式図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(c)は、実施形態に係る電動ベッドの動作を例示する模式的側面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係る電動ベッド及び制御装置の構成を模式的に例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
図1(a)は、電動ベッドおよび制御装置を例示する斜視図である。
図1(b)は、制御装置を例示する正面図である。
【0010】
図1(a)に表したように、実施形態に係る制御装置110は、操作部10(例えば、「ナースコントロールパネル」)を含む。操作部10により、電動ベッド310の制御を操作できる。操作部10は、電動ベッド310の使用者の介護者(看護師及び医師などを含む)によって使用される。操作部10は、照明の入り切り機能、看護者または介護者の呼び出し機能、または、電源の入り切り機能などの種々の機能を有しても良い。制御装置110は、さらに手元スイッチ60(リモートコントローラ)を含んでいても良い。手元スイッチ60は、主に、電動ベッド310の使用者(電動ベッドに寝る人)によって操作される。
【0011】
電動ベッド310は、例えば、病院、または、介護施設などで使用される。電動ベッド310は、家庭などで使用されても良い。
【0012】
図1(a)に表したように、電動ベッド310は、ボトム70を有する。ボトム70は、例えば、背ボトム(Back section)70a、膝ボトム(upper leg section)70b、および脚ボトム(lower leg section)70cなどを含む。背ボトム70a、膝ボトム70b、および脚ボトム70cにおいて、互いの角度は変更可能である。
【0013】
例えば
図2に表したように、ボトム70は、背ボトム駆動部71a、膝ボトム駆動部71b、および高さ駆動部72を含む。例えば、背ボトム駆動部71a、膝ボトム駆動部71b、および高さ駆動部72のそれぞれは、アクチュエータを含む。背ボトム駆動部71aの駆動により、背ボトム70aが動作し、使用者P(電動ベッドに寝る人)の背の角度を変更できる。膝ボトム駆動部71bの駆動により、膝ボトム70bと脚ボトム70cが動作し、これらのボトムの間の角度を変更できる。これにより、使用者Pの膝の角度を変更できる。それぞれのボトム同士の間の角度は、連動して変化しても良い。高さ駆動部72を駆動させることで、ボトム70の高さ(床面とベッド面との間の距離)を変更できる。
【0014】
制御装置110は、駆動制御部120を含む。駆動制御部120は、ボトム制御部121および高さ制御部122を含む。背ボトム駆動部71aおよび膝ボトム駆動部71bは、ボトム制御部121と電気的に接続される。背ボトム駆動部71aおよび膝ボトム駆動部71bの動作は、ボトム制御部121から送信される信号に基づいて制御される。高さ駆動部72は、高さ制御部122と電気的に接続される。高さ駆動部72の動作は、高さ制御部122から送信される信号に基づいて制御される。
【0015】
操作部10には、
図1(a)に表したように、ケーブル15が接続される。ケーブル15は、操作部10と駆動制御部120との電気的接続に用いられる。操作部10の操作により、ケーブル15内の配線を通して、駆動制御部120に信号が送られる。駆動制御部120のボトム制御部121および高さ制御部122は、この信号に基づき、ボトム70の各駆動部を駆動させる。
【0016】
図1(b)に表したように、操作部10は、操作面10aを含む。操作面10aは、操作受付部20を含む。
例えば、操作受付部20は、パネル21と、複数のボタン22aおよび22bと、を含む。パネル21は、入力機能および表示機能を含む。制御装置110の使用者は、パネル21に触れることで、ボトム70の動作に対応する第1操作を行う。例えば
図1(b)に表したように、パネル21には、電動ベッド310の動作に対応する複数のアイコンIC1~IC4が表示される。例えば、第1操作は、複数のアイコンIC1~IC4の1つのタッチである。
【0017】
例えば、パネル21に表示された「頭」に関するアイコンIC1が選択され、上昇のボタン22aが押されると、水平面に対する背ボトム70aの角度θ1(
図1(a)に示す)が大きくなる。例えば、アイコンIC1が選択され、下降のボタン22bが押されると、水平面に対する背ボトム70aの角度θ1が小さくなる。例えば、「足」に関するアイコンIC2が選択され、上昇のボタン22aが押されると、水平面に対する膝ボトム70bの角度θ2が大きくなる。例えば、アイコンIC2が選択され、下降のボタン22bが押されると、水平面に対する膝ボトム70bの角度θ2が小さくなる。
【0018】
例えば、「高さ」に関するアイコンIC3が選択され、上昇のボタン22aが押されると、ボトム70が高くなる。例えば、アイコンIC3が選択され、下降のボタン22bが押されると、ボトム70が低くなる。例えば、「連動」に関するアイコンIC4が選択され、上昇のボタン22aまたは下降のボタン22bが押されると、角度θ1と角度θ2が同時に変化する。これらの変化は、ボトム70の動作により行われる。
【0019】
操作受付部20は、第1ボタン23をさらに含む。制御装置110の使用者は、第1ボタン23を押すことで、ボトム70を第1状態から第2状態へ動かすことができる。例えば第2状態において、ボトム70は水平である。第1ボタン23が押されると、例えば、
図3(a)に表した状態(第1状態の一例)から
図3(b)に表した状態へ、ボトム70の角度が変化して水平になる。または、
図3(c)に表したように、第2状態において、背ボトム70aは水平であり、脚ボトム70cは背ボトム70aよりも上方に位置しても良い。例えば、ボトム70が第1状態から第2状態へ動く際、ボトム70の高さは変化しない。
【0020】
例えば、ボタンを押し続けている期間に、上記の動作が行われる。これにより、安全な動作が得られる。
【0021】
パネル21は、例えば、電動ベッド310のボトム70に関する情報(ボトム70の角度や高さなど)を表示することができる。パネル21は、電動ベッド310を操作するための画面以外の別の画面を表示しても良い。例えば、電動ベッド310に寝ている人に取り付けられたセンサの情報やセンサが取得した生体情報がパネル21に表示されても良い。例えば、制御装置110の使用者は、パネル21に表示される画面を切り替えることができる。
【0022】
例えば緊急時に、ボトム70は第1状態から第2状態へ動かされる。例えば電動ベッド310の使用者に心肺蘇生を行う場合、電動ベッド310のボトム70は、
図3(b)に表した状態へ動かされる。例えば電動ベッド310の使用者にショック症状がある場合、電動ベッド310のボトム70は、
図3(c)に表した状態へ動かされる。
【0023】
ボトム70を第2状態へ動かすための操作は、より簡単であることが望ましい。より短い時間でボトム70の動作を開始させ、より早く処置を開始できるためである。本実施形態に係る制御装置110は、ボトム70を第2状態へ動かすための第1ボタン23を含む。これにより、処置を行う人は、パネル21の画面の起動や切替を行う必要が無く、画面上でアイコンを探す必要も無い。パネル21が故障し、アイコンが表示されない場合でも、第1ボタン23を押すことで、ボトム70を第2状態へ動かすことができる。実施形態に係る制御装置110によれば、ボトム70を第2状態へ動かすための操作をより簡単に行うことができる。
【0024】
パネル21は、第1期間の間、第1操作が行われなかった場合、表示機能をオフにしても良い。これにより、制御装置110の消費電力を低減することができる。パネル21の表示機能がオフの間でも、制御装置110の使用者は、第1ボタン23を押して、ボトム70を第2状態へ動かすことができる。
【0025】
第1ボタン23の操作によってボトム70が第2状態へ動く際、角度θ1および角度θ2のそれぞれは、第1速度で変化する。ボタン22aまたは22bの操作によってボトム70が動く際、角度θ1および角度θ2のそれぞれは、第2速度で変化する。第1速度は、例えば、第2速度よりも早い。これにより、より短い時間で、ボトム70を第2状態へ動かすことができる。
【0026】
操作部10は、例えば
図4(a)に表したように、第1配線31、第2配線32、および第1処理部41(例えば、マイコン)を含む。第1配線31は、パネル21と第1処理部41とを電気的に接続する。第2配線32は、第1ボタン23と第1処理部41とを電気的に接続する。第1処理部41と駆動制御部120は、第3配線33により電気的に接続される。駆動制御部120とボトム70とは、配線35により電気的に接続される。例えば、第3配線33は、ケーブル15内に設けられる。
【0027】
パネル21で第1操作が行われると、第1配線31を介して第1操作に対応する第1信号S1が処理部41に入力される。処理部41は、第1信号S1が入力されると、ボトム70を動作させるための第2信号S2を出力する。第2信号S2は、第3配線33を介して駆動制御部120へ送信される。駆動制御部120は、第2信号S2に応じて、背ボトム駆動部71a、膝ボトム駆動部71b、および高さ駆動部72の少なくともいずれかを駆動させ、ボトム70を動作させる。
【0028】
第1ボタン23が押されると、第2配線32を介してこの操作に対応する第3信号S3が処理部41に入力される。処理部41は、第3信号S3が入力されると、ボトム70を第1状態から第2状態へ動かすための第4信号S4を出力する。第4信号S4は、第3配線33を介して駆動制御部120へ送信される。駆動制御部120は、第4信号S4を受信すると、背ボトム駆動部71a、膝ボトム駆動部71b、および高さ駆動部72の少なくともいずれかを駆動させ、ボトム70を第1状態から第2状態へ動かす。
【0029】
第1配線31および第2配線32が設けられることで、第2配線32に不具合(例えば断線)が生じた場合でも、第1ボタン23を押してボトム70を第2状態へ動かすことができる。
【0030】
操作部10は、例えば
図4(b)に表したように、第1配線31、第2配線32、第3配線33、第4配線34、第1処理部41、第2処理部42(例えば、マイコン)、および駆動制御部120を含んでいても良い。第1配線31は、パネル21と第1処理部41とを電気的に接続する。第2配線32は、第1ボタン23と第2処理部42とを電気的に接続する。第3配線33は、第1処理部41と駆動制御部120とを電気的に接続する。第4配線34は、第2処理部42と駆動制御部120とを電気的に接続する。例えば、第3配線33および第4配線34は、ケーブル15内に設けられる。
【0031】
この例では、第1処理部41は、第1信号S1が入力されると、ボトム70を動作させるための第2信号S2を出力する。第2信号S2は、第3配線33を介して駆動制御部120へ送信される。第2処理部42は、第3信号S3が入力されると、ボトム70を動作させるための第4信号S4を出力する。第4信号S4は、第4配線34を介して駆動制御部120へ送信される。
【0032】
第1処理部41および第2処理部42が設けられることで、第1処理部41に不具合が生じた場合でも、第2処理部42から電動ベッド310に信号を送信することができる。
【0033】
実施形態によれば、より簡単に操作できる電動ベッドが提供できる。
【0034】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、電動ベッドに含まれる操作部、パネル、ボタン、処理部、配線、ボトム、駆動部、駆動制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0035】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0036】
その他、本発明の実施形態として上述した電動ベッドを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電動ベッドも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0037】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0038】
10…操作部
10a…操作面
15…ケーブル
20…操作受付部
21…パネル
22a、22b…ボタン
23…第1ボタン
31…第1配線
32…第2配線
33…第3配線
34…第4配線
35…配線
41…第1処理部
42…第2処理部
60…手元スイッチ
70…ボトム
70a…背ボトム
70b…膝ボトム
70c…脚ボトム
71a…背ボトム駆動部
71b…膝ボトム駆動部
72…高さ駆動部
θ1、θ2…角度
110…制御装置
120…駆動制御部
121…ボトム制御部
122…高さ制御部
310…電動ベッド
IC1~IC4…アイコン
S1…第1信号
S2…第2信号
S3…第3信号
S4…第4信号