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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】抵抗棒の支持構造及び歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A01B33/08 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021204576
(22)【出願日】2021-12-16
(65)【公開番号】P2023089830
(43)【公開日】2023-06-28
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】中島 雅大
(72)【発明者】
【氏名】平田 智也
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-197602(JP,A)
【文献】米国特許第04136983(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/08
A01B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗棒を支持する支持部と、
前記支持部よりも上方に配置され、前記抵抗棒に形成された被係合部と係合可能な係合部と、
前記抵抗棒を前記係合部に向かって押さえつける押さえ部と、
前記押さえ部を前記係合部に向かって付勢する第一付勢部と、
を具備する抵抗棒の支持構造。
【請求項2】
前記押さえ部は、
前記係合部よりも下方に配置される、
請求項1に記載の抵抗棒の支持構造。
【請求項3】
前記押さえ部は、
前記支持部に対して回動可能に支持される、
請求項1又は請求項2に記載の抵抗棒の支持構造。
【請求項4】
前記係合部を前記支持部に向かって付勢することで、前記係合部を前記支持部に保持する第二付勢部を具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の抵抗棒の支持構造。
【請求項5】
前記第一付勢部及び前記第二付勢部は、同一部材により構成されている、
請求項4に記載の抵抗棒の支持構造。
【請求項6】
駆動源と、
前記駆動源の駆動力によって駆動するロータリ耕耘装置と、
操縦ハンドルと、
前記ロータリ耕耘装置の後方に配置される前記抵抗棒と、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の抵抗棒の支持構造と、
を具備する歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗棒の支持構造及び抵抗棒の支持構造を備える歩行型管理機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行型管理機に設けられる抵抗棒の支持構造の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、抵抗棒の高さを調整可能な耕耘機の抵抗棒取付構造が開示されている。上記抵抗棒取付構造は、ハンドルポストの支持筒体に挿入された抵抗棒を保持するロック手段を備えている。抵抗棒には、複数の水平係止溝が所定間隔を空けて形成されており、上記水平係止溝にロック手段の係止ピンが係止されることで、抵抗棒は所定の高さ位置で保持される。上記抵抗棒取付構造は、ロック手段の係止ピンによる係止及び係止の解除の切り替えが行われることで、抵抗棒の高さの調整や脱着が可能となる。
【0004】
しかしながら、上記抵抗棒取付構造では、支持筒体の上下方向中央部に形成された開口部を介して、ロック手段の係止ピンが抵抗棒の水平係止溝に係止する構成とされている。このため、係止ピンと抵抗棒との係止部分が耕耘機の操作者から視認し難いことから、抵抗棒の位置調整や脱着作業が容易に行い難いと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4966914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、抵抗棒の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる抵抗棒の支持構造及び歩行型管理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、抵抗棒を支持する支持部と、前記支持部よりも上方に配置され、前記抵抗棒に形成された被係合部と係合可能な係合部と、前記抵抗棒を前記係合部に向かって押さえつける押さえ部と、前記押さえ部を前記係合部に向かって付勢する第一付勢部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記押さえ部は、前記係合部よりも下方に配置されるものである。
【0011】
請求項3においては、前記押さえ部は、前記支持部に対して回動可能に支持されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記係合部を前記支持部に向かって付勢することで、前記係合部を前記支持部に保持する第二付勢部を具備するものである。
【0013】
請求項5においては、前記第一付勢部及び前記第二付勢部は、同一部材により構成されているものである。
【0014】
請求項6においては、駆動源と、前記駆動源の駆動力によって駆動するロータリ耕耘装置と、操縦ハンドルと、前記ロータリ耕耘装置の後方に配置される前記抵抗棒と、本発明に係る抵抗棒の支持構造と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、抵抗棒の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる。また、抵抗棒との摩擦による第一付勢部の磨耗を抑制することができる。
【0018】
請求項2においては、係合部の視認性を向上させることができる。
【0019】
請求項3においては、抵抗棒の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる。
【0020】
請求項4においては、支持部に抵抗棒とは形状の異なる部材を設ける際に、係合部が当該部材と干渉しないように逃がすことができる。
【0021】
請求項5においては、押さえ部と係合部を同一部材で付勢することで、構成の簡素化を図ることができる。
【0022】
請求項6においては、係合部の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る歩行型管理機を示した側面図。
図2】抵抗棒及び支持構造を示した側面図。
図3】抵抗棒及び支持構造を示した斜視図。
図4】抵抗棒及び支持構造を示した分解斜視図。
図5】使用状態の抵抗棒及び支持構造を示した側面断面図。
図6】高さ位置を調整している状態の抵抗棒及び支持構造を示した側面断面図。
図7】支持構造の変形例を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0025】
以下では、図1を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0026】
歩行型管理機1は、機体フレーム2、車輪3、エンジン4、燃料タンク5、ボンネット6、ミッションケース7、ロータリ耕耘装置8、クラッチ機構9、ハンドルフレーム10、ハンドル連結部11、操縦ハンドル12、抵抗棒100及び支持構造200を具備する。
【0027】
図1に示す機体フレーム2は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。機体フレーム2は、左右一対の車輪3に支持される。エンジン4は、機体フレーム2に載置される。燃料タンク5は、エンジン4の後方に配置される。当該エンジン4及び燃料タンク5は、ボンネット6によって覆われる。
【0028】
図1に示すミッションケース7は、エンジン4からの動力を、車輪3やロータリ耕耘装置8に伝達する動力伝達機構(不図示)を収容するケースである。ミッションケース7の後部には、ロータリ耕耘装置8が設けられる。ロータリ耕耘装置8は、回転軸に固定される耕耘爪8aが固定される。耕耘爪8aの上部は、耕耘カバー8bで覆われる。耕耘カバー8bの後部には、耕耘爪8aにより攪拌された地面を整地する整地板8cが設けられる。整地板8cの耕耘カバー8b側の端部(上端部)は、左右方向に向く回動軸を介して耕耘カバー8bに接続されている。これにより、非使用時には整地板8cを上方へ回動させることができる。クラッチ機構9は、車輪3や耕耘爪8aの回転及び回転の停止を切り替えるためのものである。
【0029】
図1に示すように、耕耘カバー8bの上方には、ハンドルフレーム10が配置される。ハンドルフレーム10は、操縦ハンドル12を支持するためのフレームである。ハンドルフレーム10は、後上方へ延びるように形成される。ハンドルフレーム10の後上端部には、ハンドル連結部11を介して操縦ハンドル12が取り付けられる。操縦ハンドル12には、作業者が歩行型管理機1を操縦するためのスイッチやレバー等が設けられる。
【0030】
また、ミッションケース7や耕耘爪8aの後方には、歩行型管理機1の走行に抵抗を付与する抵抗棒100が配置される。抵抗棒100は、耕耘カバー8bに設けられた支持構造200により支持される。
【0031】
以下では、図1から図6までを参照して抵抗棒100及び支持構造200の詳細な構成について説明する。
【0032】
図2図4及び図5に示す抵抗棒100は、地面と接触し、歩行型管理機1の走行に抵抗を付与することで、耕耘深さや速度を調整するものである。抵抗棒100は、上下に長尺な形状に形成される。抵抗棒100は、側面視において略L字形状に形成される。抵抗棒100は、本体部110及び突出部120を具備する。
【0033】
本体部110は、抵抗棒100の主たる構造体である。本体部110は、上下に長尺な形状に形成される。本体部110は、被係合部111を具備する。
【0034】
図4及び図5に示す被係合部111は、後述する支持構造200の係合部240と係合する部分である。被係合部111は、本体部110の前部において後方に凹むように形成される。被係合部111は、側面視において略半円形状に形成される。被係合部111は、上下方向に間隔を空けて複数設けられる。本実施形態では、被係合部111を6つ設けている。複数の被係合部111は、本体部110の上部に位置するように設けられる。
【0035】
図1及び図2に示す突出部120は、本体部110の下端部において、後方に突出するものである。突出部120は、板面を上下方向に向けた略板形状に形成される。
【0036】
なお、抵抗棒100の形状としては、上述した例に限られない。抵抗棒100の形状としては、種々の形状を採用可能である。
【0037】
図2から図4までに示す支持構造200は、抵抗棒100を支持するものである。支持構造200は、抵抗棒100の上下位置を調整可能に支持する。支持構造200は、ロータリ耕耘装置8の耕耘カバー8bに設けられる。支持構造200は、ミッションケース7や耕耘爪8aの後方に配置される。
【0038】
支持構造200は、抵抗棒100の被係合部111に係合部240を係合させた使用状態(図5を参照)と、被係合部111と係合部240との係合を解除した係合解除状態(図6を参照)と、に変位可能である。以下では、使用状態を基準として、支持構造200の構成を説明する。支持構造200は、支持部210、押さえ部220、回動軸230、係合部240、付勢部材250及び締結具260を具備する。
【0039】
支持部210は、支持構造200の主たる構造体である。支持部210は、上下方向に開口する収容空間210aを有する略筒形状に形成される(図4及び図5を参照)。収容空間210aには、抵抗棒100の本体部110が収容される。収容空間210aの形状は、本体部110を収容可能な形状に形成される。支持部210は、図5に示すように、耕耘カバー8bを上下に貫通するように設けられる。支持部210は、側面部211、後側面部212、前側面部213、凹部214及び係止部215を具備する。
【0040】
図2から図4までに示す側面部211は、支持部210の左右両側面を構成するものである。側面部211は、板面を左右方向に向けた略板形状に形成される。側面部211は、支持部210の上下方向の全体に亘って形成される。側面部211は、上下に長尺な略矩形状に形成される。側面部211は、軸孔部211aを具備する。
【0041】
図4及び図5に示す軸孔部211aは、後述する回動軸230が挿入されるものである。軸孔部211aは、側面部211の上部を左右方向に貫通するように形成される。より詳細には、軸孔部211aは、側面部211の上部において前方に突出する部分を左右方向に貫通するように形成される。図5に示すように、軸孔部211aは、収容空間210aに収容された抵抗棒100と側面視で重複しない位置に形成される。軸孔部211aは、左右の側面部211のそれぞれに形成される。
【0042】
図5及び図6に示す後側面部212は、支持部210の後側面を構成するものである。後側面部212は、板面を前後方向に向けた略板形状に形成される。後側面部212は、支持部210の下部(概ね下半部)に形成される。すなわち、支持部210の後側部分における上部には、後側面部212は形成されない。上記後側面部212よりも上方の部分には、後方に向けて開口する後切り欠き210bが形成される(図4及び図5を参照)。
【0043】
図3から図6までに示す前側面部213は、支持部210の前側面を構成するものである。前側面部213は、板面を前後方向に向けた略板形状に形成される。前側面部213は、支持部210の上端部に形成される。すなわち、支持部210の前側部分における上端部を除く部分には、前側面部213は形成されない。上記前側面部213よりも下方の部分には、前方に向けて開口する前切り欠き210cが形成される(図4及び図5を参照)。
【0044】
図4及び図5に示す凹部214は、支持部210の上端部における前側部分において、後方へ向けて凹む部分である。凹部214は、支持部210(側面部211及び前側面部213)の側面視における前上角部を切り欠くように形成される。凹部214は、側面視において、略円弧形状に形成される。
【0045】
係止部215は、非使用時の整地板8cを係止するものである。係止部215は、右側の側面部211の上端部において、後方に突出するように形成される。係止部215の突出方向先端部は、下方に凹むフック形状に形成されている。係止部215のフック形状の部分に、整地板8cの先端部(下端部)に設けられた被係止部(不図示)が係止されることで、整地板8cは非使用時の姿勢で保持される。
【0046】
上述の如き支持部210の収容空間210aは、側面部211、後側面部212及び前側面部213によって区画される。図5及び図6に示すように、収容空間210aは、後切り欠き210b及び前切り欠き210cと連通している。
【0047】
図3から図5までに示すように、支持部210の収容空間210aに抵抗棒100が収容されている状態では、抵抗棒100の左右の両側面が、支持部210の側面部211に当接することで、抵抗棒100の左右の移動(回動)が規制される。
【0048】
また、図5に示すように、抵抗棒100の後面及び前面が、支持部210の後側面部212及び前側面部213に当接することで、抵抗棒100の左側面視反時計回りの回動が規制される。これにより、歩行型管理機1の走行時に抵抗棒100にかかる力によって、当該抵抗棒100が回動することが規制される。ここで、支持部210には、後切り欠き210b及び前切り欠き210cが形成されている。これにより、抵抗棒100は、左側面視時計回りの回動は許容される(図5及び図6を参照)。
【0049】
図2から図6までに示す押さえ部220は、後述する付勢部材250の付勢力により、収容空間210aに収容された抵抗棒100を、後述する係合部240に向かって押さえつけるものである。押さえ部220は、支持部210に対して、後述する回動軸230回りに回動可能に支持される。押さえ部220は、平面視において前方が開口する略U字形状に形成される。押さえ部220は、略板形状の部材を適宜折り曲げて形成される。
【0050】
図5に示すように、押さえ部220は、支持部210の上部(後側面部212よりも上側の部分)に配置される。押さえ部220は、支持部210及び抵抗棒100を後方から覆うように配置される。押さえ部220は、側面部221及び後側面部222を具備する。
【0051】
側面部221は、押さえ部220の左右両側面を構成するものである。側面部221は、板面を左右方向に向けた略板形状に形成される。図3及び図4に示すように、側面部221は、支持部210の側面部211の左右方向外側に位置する。側面部221は、軸孔部221aを具備する。
【0052】
図4に示す軸孔部221aは、後述する回動軸230が挿入されるものである。軸孔部221aは、側面部221の上部を左右方向に貫通するように形成される。より詳細には、軸孔部221aは、側面部221の上部において前方に突出する部分を左右方向に貫通するように形成される。軸孔部221aは、側面視において、支持部210の側面部211の軸孔部211aと重複するように形成される。
【0053】
図5及び図6に示す後側面部222は、押さえ部220の後側面を構成するものである。後側面部222は、板面を前後方向に向けた略板形状に形成される。図5に示すように、後側面部222は、後切り欠き210b内に位置する。後側面部222の前面は、支持部210の後側面部212の前面と略同一平面上に位置する。
【0054】
図3から図6までに示す回動軸230は、押さえ部220の回動中心となるものである。回動軸230は、支持部210の軸孔部211a及び押さえ部220の軸孔部221aに挿入される。回動軸230により、押さえ部220は、支持部210に対して回動可能に支持される。回動軸230は、軸部231、頭部232及び座金233を具備する。
【0055】
図4に示す軸部231は、軸孔部211a及び軸孔部221aに挿入される部分である。軸部231は、軸線方向を左右方向に向けた略円柱状に形成される。
【0056】
頭部232は、軸部231の左端部において拡径する部分である。頭部232の外径は、軸孔部211a及び軸孔部221aの内径よりも大きく形成される。
【0057】
座金233は、軸部231の右端部において拡径する部分である。座金233の外径は、軸孔部211a及び軸孔部221aの内径よりも大きく形成される。座金233は、軸部231及び頭部232とは別部材として形成され、軸部231に対して脱着可能に固定される。
【0058】
図3から図6までに示す係合部240は、抵抗棒100(本体部110)の被係合部111と係合可能なものである。係合部240は、軸線方向を左右方向に向けた略円柱状に形成される。係合部240の外径は、被係合部111の内径に応じて形成される。係合部240は、後述する付勢部材250の付勢力により支持部210に向かって付勢されることで、支持部210に保持される。より詳細には、係合部240は、図5に示すように、支持部210の凹部214に当接するように前側から付勢される。
【0059】
係合部240は、支持部210よりも上方に配置される。より詳細には、係合部240は、上端部が支持部210の上端部よりも上方に位置するように配置される。また、係合部240は、略上半部が、支持部210の上端部よりも上方に位置している。また、係合部240は、押さえ部220よりも上方に配置される。
【0060】
図3から図6までに示す付勢部材250は、押さえ部220及び係合部240を付勢するものである。付勢部材250は、回動軸230を介して、支持部210に設けられる。付勢部材250は、素線を適宜屈曲させて形成されるねじりばね(トーションばね)である。付勢部材250は、正面視において上方が開口する略U字形状に形成される。付勢部材250は、コイル部251、第一付勢部252及び第二付勢部253を具備する。
【0061】
図3から図5までに示すコイル部251は、素線をコイル状に巻回して形成された部分である。コイル部251は、回動軸230を外側から囲むように配置される。コイル部251は、左右に一対設けられる。左右のコイル部251は、図3に示すように、押さえ部220の側面部221の左右方向外側に位置する。
【0062】
第一付勢部252は、押さえ部220を左側面視反時計回りに付勢する部分である。第一付勢部252は、左右のコイル部251からそれぞれ下方へ延びる延出部252aと、延出部252aの下端部同士を連結する連結部252bと、を有する。
【0063】
第一付勢部252は、連結部252bにより、押さえ部220の下部(軸孔部221aよりも下方の部分)における前端部を、コイル部251の付勢力により後方へ押圧する。付勢力が付与された押さえ部220は、回動軸230を回動中心として左側面視反時計回りに回動して、抵抗棒100を係合部240に向かって押さえつける。このようにして、第一付勢部252は、押さえ部220を係合部240に向かって付勢する。
【0064】
第二付勢部253は、係合部240を支持部210に向かって付勢する部分である。第二付勢部253は、左右のコイル部251からそれぞれ上方へ延びるように形成される。すなわち、第二付勢部253は、左右に一対形成される。第二付勢部253は、挿通部253aを有する。
【0065】
挿通部253aは、係合部240が挿通される部分である。挿通部253aは、係合部240を外側から囲む輪形状に形成される。挿通部253aに挿通された係合部240は、付勢部材250及び回動軸230を介して支持部210に支持される。係合部240の外周部には、挿通部253aに対する抜けを抑制する所定の抜け止めが設けられる。
【0066】
第二付勢部253は、挿通部253aに挿通された係合部240を、支持部210の凹部214に押し付けるように付勢する。これにより、係合部240は支持部210に保持される。
【0067】
図2に示す締結具260は、支持部210に、抵抗棒100とは異なる各種アタッチメント(不図示)を取り付けるためのものである。締結具260は、アタッチメントを支持部210に締結により固定するための所定のボルトや、締結の操作に用いられる所定のレバー等を有する。締結具260は、支持部210の右側の側面部211に設けられる。なお、図3から図6までの図面では、締結具260の図示を省略している。締結具260によれば、上記アタッチメントを、抵抗棒100に替えて、若しくは抵抗棒100と共に設けることができる。
【0068】
上記アタッチメントとしては、歩行型管理機1による作業に用いられる種々の部材を採用可能である。なお、アタッチメントは、締結具260により支持部210に取り付けられるだけでなく、抵抗棒100と同様の方法で支持部210に取り付けることも可能である。
【0069】
以下では、上述の如き支持構造200を用いて抵抗棒100の上下位置を調整する操作について説明する。
【0070】
図5は、使用状態の支持構造200及び抵抗棒100を示している。この状態では、抵抗棒100の被係合部111は、係合部240に係合している。図5に示す例では、複数の被係合部111のうち最も上の被係合部111に係合部240を係合させている。被係合部111に係合部240を係合させることで、抵抗棒100は、上下方向の移動(収容空間210aに沿う移動)が規制される。
【0071】
また、抵抗棒100は、押さえ部220を介した付勢部材250(第一付勢部252)の付勢力により、係合部240側に付勢されている。より詳細には、押さえ部220には、付勢部材250(第一付勢部252)の付勢力により、回動軸230を回動中心として、左側面視反時計回りの付勢力が付与されている。上記押さえ部220の後側面部222が抵抗棒100の後面に当接することで、抵抗棒100は、被係合部111が係合部240に係合する方向に常時付勢される。
【0072】
このように、使用状態において、抵抗棒100は、押さえ部220により被係合部111が係合部240に係合する方向に押し付けられる。これにより、抵抗棒100(被係合部111)と係合部240との係合を解除され難くすることができ、作業中など意図しないタイミングで係合が解除されるのを抑制することができる。
【0073】
上述の如き抵抗棒100の位置調整や脱着等を行う際には、作業者は抵抗棒100の上部を持ち、後方へ傾斜させるように操作して、支持構造200を使用状態から係合解除状態に変位させる。
【0074】
具体的には、図6に示すように、押さえ部220を介して付与される付勢力に抗して、左側面視時計回りに傾斜するように抵抗棒100を移動(回動)させれば、使用状態の支持構造200を係合解除状態に変位させることができる。この状態では、抵抗棒100(被係合部111)と係合部240との係合は解除される。
【0075】
この際には、押さえ部220の回動によって、抵抗棒100が傾斜するように案内することができる。これにより、抵抗棒100の動作方向を規定する(意図しない方向に動くのを防止する)ことができる。また、押さえ部220は、後側面部222における下部が、支持部210の後切り欠き210bに当接することで、所定量以上の回動が規制される(図6を参照)。係合解除状態においては、抵抗棒100を傾斜させた状態で、当該抵抗棒100を押さえ部220の後側面部222に沿って上下方向に移動させることができる。
【0076】
次に、抵抗棒100を所望の上下位置に位置させた状態で、当該抵抗棒100を左側面視反時計回りに回動させて、任意の被係合部111に係合部240を係合させるように支持構造200を再び使用状態に変位させる(図5を参照)。これにより、抵抗棒100の上下位置が調整される。この際には、作業者は、係合部240に対する被係合部111の係合を目視により確認しながら抵抗棒100を回動することができる。なお、この際には、抵抗棒100の回動に伴って、付勢部材250(第一付勢部252)の付勢力により押さえ部220が左側面視反時計回りに回動する。このようにして、抵抗棒100の上下位置を調整する操作が完了する。
【0077】
なお、支持構造200を係合解除状態に変位させた状態では、抵抗棒100の位置調整だけでなく、支持構造200に対する抵抗棒100の脱着も行うことができる。また、支持構造200の支持部210は、抵抗棒100だけでなく、抵抗棒100とは異なる他のアタッチメント等も支持することができる。
【0078】
上述の如き支持構造200によれば、抵抗棒100の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる。すなわち、係合部240を支持部210より上方に配置することで、当該係合部240の視認性を向上させることができる。これによって、抵抗棒100の被係合部111と係合部240との係合及び係合の解除を容易に行うことができ、ひいては抵抗棒100の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる。
【0079】
また、被係合部111と係合部240との間で土等が噛み込まれた場合、被係合部111と係合部240との係合が不十分になるおそれがある。本実施形態によれば、係合部240の視認を行い易いため、土等が噛み込まれていないかを目視により容易に確認することができる。
【0080】
以上の如く、本実施形態に係る抵抗棒100の支持構造200は、
抵抗棒100を支持する支持部210と、
前記支持部210よりも上方に配置され、前記抵抗棒100に形成された被係合部111と係合可能な係合部240と、
を具備するものである。
【0081】
このように構成することにより、抵抗棒100の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる。すなわち、抵抗棒100と係合可能な係合部240を、抵抗棒100を支持する支持部210より上方に配置することで、当該係合部240の視認性を向上させることができる。これによって、抵抗棒100(被係合部111)と係合部240との係合及び係合の解除を容易に行うことができ、ひいては抵抗棒100の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる。
【0082】
また、抵抗棒100の支持構造200は、
前記抵抗棒100を前記係合部240に向かって押さえつける押さえ部220と、
前記押さえ部220を前記係合部240に向かって付勢する第一付勢部252と、
を具備するものである。
【0083】
このように構成することにより、抵抗棒100(被係合部111)と係合部240との係合を解除され難くすることができ、作業中など意図しないタイミングで係合が解除されるのを抑制することができる。また、位置調整等の際に移動する可能性がある抵抗棒100に対して、第一付勢部252が直接接することがないため、抵抗棒100との摩擦による第一付勢部252の磨耗を抑制することができる。
【0084】
また、前記押さえ部220は、
前記係合部240よりも下方に配置されるものである。
【0085】
このように構成することにより、押さえ部220を係合部240よりも下方に配置することで、当該係合部240の視認性を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、押さえ部220を係合部240の後方(作業者側)に配置している。このような構成の支持構造200において、押さえ部220を係合部240よりも下方に配置したことで、作業者が後方から係合部240を視認する際に、押さえ部220が視界を遮ることを抑制することができる。
【0087】
また、前記押さえ部220は、
前記支持部210に対して回動可能に支持されるものである。
【0088】
このように構成することにより、抵抗棒100の位置調整や脱着の際、押さえ部220の回動によって、抵抗棒100が傾斜するように案内することができる。これによって抵抗棒100の動作方向を規定する(意図しない方向に動くのを防止する)ことができ、抵抗棒100の位置調整や脱着作業を容易に行うことができる。また、作業者は抵抗棒100の操作のみで位置調整が行えるため、例えば片手での作業が可能となり、位置調整を容易に行うことができる。
【0089】
また、抵抗棒100の支持構造200は、
前記係合部240を前記支持部210に向かって付勢することで、前記係合部240を前記支持部210に保持する第二付勢部253を具備するものである。
【0090】
このように構成することにより、係合部240を第二付勢部253の付勢力に抗して支持部210から離間するように移動させることができる。これによって、支持部210に抵抗棒100とは形状の異なる部材(例えば、他のアタッチメント等)を設ける際に、係合部240が当該部材と干渉しないように逃がすことができる。
【0091】
また、前記第一付勢部252及び前記第二付勢部253は、同一部材により構成されているものである。
【0092】
このように構成することにより、押さえ部220と係合部240を同一部材(付勢部材250)で付勢することで、構成の簡素化を図ることができる。
【0093】
また、本実施形態に係る歩行型管理機1は、
駆動源(エンジン4)と、
前記駆動源(エンジン4)の駆動力によって駆動するロータリ耕耘装置8と、
操縦ハンドル12と、
前記ロータリ耕耘装置8の後方に配置される前記抵抗棒100と、
本実施形態に係る抵抗棒100の支持構造200と、
を具備するものである。
【0094】
このように構成することにより、抵抗棒100と係合可能な係合部240を、抵抗棒100を支持する支持部210より上方に配置することで、当該係合部240の視認性を向上させることができる。
【0095】
なお、本実施形態に係る支持構造200は、抵抗棒の支持構造の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るエンジン4は、駆動源の一形態である。
【0096】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、本実施形態では、第一付勢部252及び第二付勢部253は、同一部材(付勢部材250)により構成したが、このような態様に限られない。例えば、第一付勢部252及び第二付勢部253を、それぞれ別部材としてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、第二付勢部253(付勢部材250)の付勢力により係合部240を支持部210に保持する構成としたが、このような態様に限られない。例えば、係合部240を支持部210に対して脱着不能に固定するようにしてもよい。
【0099】
また、本実施形態では、付勢部材250(第一付勢部252及び第二付勢部253)を、ねじりばね(トーションばね)とした例を示したが、このような態様に限られない。例えば、図7に示す変形例のように、他のばねを採用可能である。
【0100】
図7に示す変形例では、引張りばねである付勢部材250Aを用いて、押さえ部220を左側面視反時計回りに付勢した例を示している。本変形例では、押さえ部220の左右両側に位置するように設けられた一対の付勢部材250Aにより、押さえ部220を付勢している。なお図7では、一対の付勢部材250Aのうち、一方(左側)の250Aのみを図示している。また図7では、説明の便宜ため、一部の部材(後述する第一係止部216や第二係止部221b等)にハッチングを付している。
【0101】
付勢部材250Aの一端部は、支持部210に設けられた第一係止部216に係止される。第一係止部216は、軸線方向を左右方向に向けた略円柱状に形成される。第一係止部216は、支持部210の前側部分における上部(前側面部213の下方)に設けられる。第一係止部216は、左右両端部が、側面部211に対して左右方向に突出するように設けられる。第一係止部216は、例えば溶接により支持部210に固定される。
【0102】
また、付勢部材250Aの他端部は、押さえ部220に設けられた第二係止部221bに係止される。第二係止部221bは、側面部221の上部(後上部)から左右方向に突出する略円柱状に形成される。第二係止部221bは、左右の側面部221にそれぞれ設けられる。
【0103】
一対の付勢部材250Aは、第一係止部216の左右両端部及び左右の第二係止部221bにそれぞれ係止されることで、第一係止部216と第二係止部221bを連結する。第一係止部216及び第二係止部221bには、付勢部材250Aの脱落を抑制する適宜の抜け止めを取付可能である。
【0104】
上述の如き変形例によれば、付勢部材250Aの付勢力により、押さえ部220の上部を前方に向けて引っ張ることができる。これにより、抵抗棒100を係合部240に向かって押さえつけるように、押さえ部220を付勢することができる。
【0105】
本変形例では、係合部240を、付勢部材250(第二付勢部253)を介さずに支持部210に対して直接固定している。上記固定の方法は、例えば溶接を採用可能である。
【0106】
なお、付勢部材250Aの取りつけ箇所としては、上述した例に限られず、押さえ部220を付勢可能な種々の箇所を採用可能である。例えば上記変形例では、付勢部材250Aの一端部を第一係止部216に係止した例を示したが、上記態様に代えて、付勢部材250Aの一端部を係合部240に係止してもよい。この場合は、第一係止部216を設けないようにしてもよい。
【0107】
また、上記変形例では、押さえ部220の左右両側に位置するように一対の付勢部材250Aを設けた例を示したが、上記態様に代えて、押さえ部220の左右いずれか一方に、1つの付勢部材250Aを設けるようにしてもよい。
【0108】
また、上記変形例では、引張りばねである付勢部材250Aを用いて、押さえ部220を付勢した例を示したが、上記態様に代えて、例えば圧縮ばねを用いて押さえ部220を付勢するようにしてもよい。この場合は、例えば押さえ部220の下部を後方へ向けて押すように、支持部210の適宜の箇所と押さえ部220の下部とを圧縮ばねによって連結する構成を採用可能である。
【0109】
また、上記変形例では、付勢部材250に代えて、付勢部材250Aを設けた例を示したが、このような態様に限られず、付勢部材250に加えて、付勢部材250Aを設けるようにしてもよい。
【0110】
また、付勢部材250及び付勢部材250Aとしては、上述した例に限られず、例えば板ばねや空気ばね等、押さえ部220を付勢可能な種々の部材を採用可能である。
【0111】
また、本実施形態では、押さえ部220を支持部210に対して回動可能に設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、押さえ部220を前後にスライド可能に設けてもよい。
【0112】
また、本実施形態では、押さえ部220を、係合部240よりも下方に配置した例を示したが、このような態様に限られない。例えば、押さえ部220を、係合部240と同高さ或いは係合部240よりも上方に配置してもよい。
【0113】
また、本実施形態では、抵抗棒100を係合部240に向かって押さえつける押さえ部220を設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、押さえ部220を設けなくてもよい。この場合は、例えば、付勢部材250により直接抵抗棒100を付勢するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施形態では、車輪3やロータリ耕耘装置8を駆動する駆動源を、エンジン4とした例を示したが、このような態様に限られない。駆動源としては、例えばモータ等を採用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 歩行型管理機
100 抵抗棒
200 支持構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7