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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】土壌分析の前処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20241209BHJP
   G01N 33/24 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G01N1/28 E
G01N1/28 X
G01N33/24 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021212831
(22)【出願日】2021-12-27
(65)【公開番号】P2023096820
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】志摩 秀和
(72)【発明者】
【氏名】佐野 愛樹
(72)【発明者】
【氏名】和栗 創一
(72)【発明者】
【氏名】大西 健司
【審査官】寺田 祥子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042631(JP,A)
【文献】特開2010-046568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
G01N 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をする前処理装置であって、
前記土壌を収容し且つ前記収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器と、
前記容器を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構と、
前記容器を振動させて前記容器内の土壌及び抽出液を攪拌する加振機構と、
を備え、
前記容器には、前記土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔と、前記液出孔の周囲にて前記容器の底部から立ち上がる筒状部が設けられており、
前記加振機構は、前記傾斜姿勢にある容器を振動させる土壌分析の前処理装置。
【請求項2】
圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をする前処理装置であって、
前記土壌を収容し且つ前記収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器と、
前記容器を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構と、
を備え、
前記容器には、前記土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔と、前記液出孔の周囲にて前記容器の底部から立ち上がる筒状部が設けられており、
前記土壌は、前記容器の上方から落下供給され、
前記容器は、前記傾斜姿勢において前記落下供給される土壌を受け入れる土壌分析の前処理装置。
【請求項3】
圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をする前処理装置であって、
前記土壌を収容し且つ前記収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器を備え、
前記容器には、前記土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔と、前記液出孔の周囲にて前記容器の底部から立ち上がる筒状部が設けられており、
前記液出孔は、円形孔であって、
前記筒状部は、円筒状に形成されており、
前記筒状部の内径は、前記円形孔の直径よりも大きい土壌分析の前処理装置。
【請求項4】
前記容器は、前記傾斜姿勢において、前記落下供給される土壌を前記筒状部の外側に受け入れる請求項に記載の土壌分析の前処理装置。
【請求項5】
前記容器は、前記底部の外縁から立ち上がる周壁部を有するとともに、前記傾斜姿勢において、前記土壌を前記周壁部の内面に当てて受け入れる請求項又はに記載の土壌分析の前処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前の処理をする土壌分析の前処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌分析の前処理を行うための技術として、特許文献1の開示技術が知られている。特許文献1には、土壌と水とを容器内で混合して、水の中へ土壌に含有される成分を抽出して抽出液を作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5964530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、土壌を通過した抽出液である通過液を取り出すための孔が容器に設けられていないため、容器からの土壌を通過した抽出液である通過液を容器から円滑に取り出すことができない。また、仮に容器の底に通過液を取り出すための孔を設けた場合、容器内に土壌を収容するときに土壌が孔から漏れ出してしまうという問題が生じる。そのため、特許文献1の開示技術は、容器内への土壌の収容から当該土壌を通過した抽出液である通過液の取り出しまでの処理を円滑に行うことができない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、容器内への土壌の収容から当該土壌を通過した抽出液である通過液の取り出しまでの処理を円滑に行うことができる土壌分析の前処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が上記課題を解決するために講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様に係る土壌分析の前処理装置は、圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をする前処理装置であって、前記土壌を収容し且つ前記収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器と、前記容器を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構と、前記容器を振動させて前記容器内の土壌及び抽出液を攪拌する加振機構と、を備え、前記容器には、前記土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔と、前記液出孔の周囲にて前記容器の底部から立ち上がる筒状部が設けられており、前記加振機構は、前記傾斜姿勢にある容器を振動させる
【0007】
本発明の一態様に係る土壌分析の前処理装置は、圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をする前処理装置であって、前記土壌を収容し且つ前記収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器と、前記容器を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構と、を備え、前記容器には、前記土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔と、前記液出孔の周囲にて前記容器の底部から立ち上がる筒状部が設けられており、前記土壌は、前記容器の上方から落下供給され、前記容器は、前記傾斜姿勢において前記落下供給される土壌を受け入れる。
【0008】
本発明の一態様に係る土壌分析の前処理装置は、圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をする前処理装置であって、前記土壌を収容し且つ前記収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器を備え、前記容器には、前記土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔と、前記液出孔の周囲にて前記容器の底部から立ち上がる筒状部が設けられており、前記液出孔は、円形孔であって、前記筒状部は、円筒状に形成されており、前記筒状部の内径は、前記円形孔の直径よりも大きい。
好ましくは、前記容器は、前記傾斜姿勢において、前記落下供給される土壌を前記筒状部の外側に受け入れる。
好ましくは、前記容器は、前記底部の外縁から立ち上がる周壁部を有するとともに、前記傾斜姿勢において、前記土壌を前記周壁部の内面に当てて受け入れる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る土壌分析の前処理装置によれば、容器の液出孔から土壌を通過した抽出液である通過液を取り出すことができるとともに、容器内に土壌を収容するときに土壌が液出孔からそのまま出てしまうことを筒状部により阻止することができる。そのため、容器内への土壌の収容から当該土壌を通過した抽出液である通過液の取り出しまでの処理を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】土壌分析の前処理装置の前方斜視図である。
図2】土壌分析の前処理装置の後方斜視図である。
図3】第1容器の斜視図である。
図4図3のX-X断面図である。
図5図3のY-Y断面図である。
図6A】計量部材の上方斜視図である。
図6B】計量部材の下方斜視図である。
図7A】計量部材の断面図であり、計量孔がテーパ孔である場合を示している。
図7B】計量部材の断面図であり、計量孔が円柱孔である場合を示している。
図8】第1支持部に支持された第1容器を示す断面図であって、計量部材が第1位置にあり、検出装置が土壌を検出していない状態を示している。
図9図8のメッシュ板及び覆い板の付近を拡大して示す図である。
図10】覆い板が中央位置にある状態を示す平面図である。
図11】覆い板を取り外してメッシュ板を示す平面図である。
図12】覆い板が中央位置から周辺位置に移動する様子を示す平面図である。
図13】検出装置が土壌を検出している状態を示す図である。
図14】計量部材が第2位置にある状態を示す図である。
図15】第1支持部に支持された第1容器を示す断面図であって、計量部材が第2位置にある状態を示している。
図16】乾燥装置、ふるい装置、第1加振機構等を示す斜視図である。
図17】第1容器及び加熱装置を示す水平断面図である。
図18】第1容器、第1加振機構等を示す一部断面平面図である。
図19】第1容器、乾燥装置等を示す一部断面正面図である。
図20】第1容器、第2容器、液供給装置等を示す側面図である。
図21】複数の第1容器に対応する複数の押し出し部材を有する移動機構の平面図である。
図22】第1容器、第2容器、第1加振機構、第2加振機構、防振機構等を示す側面図である。
図23】第1加振機構のスライダを示す斜視図である。
図24A】シャッタ及び重量計測装置を示す図であって、シャッタが許容位置にある状態を示している。
図24B】シャッタ及び重量計測装置を示す図であって、シャッタが阻止位置にある状態を示している。
図25】重量算出装置を示す正面図である。
図26】重量算出装置を示す平面図である。
図27】重量算出装置による土壌重量の算出方法を説明するための表である。
図28】抽出装置、第2加振機構等を示す斜視図である。
図29】第2容器の平面図である。
図30】第2容器の断面図である。
図31】第2容器、第2蓋体、傾動機構等を示す断面図であって、第2容器内に抽出液を供給している状態を示す。
図32】第2容器、第2蓋体、傾動機構等を示す断面図であって、第2容器内に空気を供給して通過液を取り出している状態を示す。
図33】第2容器を直立姿勢から傾斜姿勢に変更する様子を示す図である。
図34A】第2容器が直立姿勢にあるときの第1容器及び計量部材と第2容器との位置関係を示す平面図である。
図34B】第2容器が傾斜姿勢にあるときの第1容器及び計量部材と第2容器との位置関係を示す平面図である。
図35】計量部材から土壌を第2容器に供給している様子を示す図である。
図36】液供給部を示す平面図である。
図37】第2容器、第2加振機構等を示す平面図である。
図38】第2加振機構のスライダを示す斜視図である。
図39】第1防振機構の平面図である。
図40】第2防振機構の平面図である。
図41】液供給装置、タンク、三方切替弁等を示す図である。
図42】シリンダ装置、シリンジ、プランジャ等を示す平面図である。
図43】シリンダ装置、シリンジ、プランジャ等を示す斜視図である。
図44】複数のシリンダ装置を有する液供給装置を示す平面図である。
図45】前処理装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る土壌分析の前処理装置の好適な実施形態について説明する。
本発明に係る土壌分析の前処理装置1は、圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をするための装置である。つまり、前処理装置1によって前処理がなされた後の土壌が土壌分析装置による分析に供される。
図1図2は、本発明に係る土壌分析の前処理装置1の全体構成を示す図である。図1図2は、前処理装置1の全体構成を概略的に示した図であって、一部の構成を省略又は簡略化している。そのため、図1図2と他の図では、一部の構成が異なる形状や配置で示されている場合がある。異なる部分については、図1図2に示した構成と他の図に示した構成のいずれを採用してもよい。
【0012】
以下、図面に示した矢印A1の方向を前方、矢印A2の方向を後方、矢印B1の方向を左方、矢印B2の方向を右方、矢印C1の方向を上方、矢印C2の方向を下方という。また、矢印Aの方向を前後方向、矢印Bの方向を装置幅方向(又は左右方向)、矢印Cの方向を上下方向という。
前処理装置1は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4を備えている。
【0013】
乾燥装置2は、圃場で採取した土壌を乾燥させる装置である。ふるい装置3は、乾燥装置2により乾燥された土壌から異物を除去する装置である。抽出装置4は、ふるい装置3により異物が除去された土壌に対して当該土壌に含まれる成分を抽出するための抽出液を供給する装置である。
【0014】
<乾燥装置>
先ず、乾燥装置2について説明する。
乾燥装置2は、第1容器5、加熱装置6、通気装置7を有している。第1容器5は、採取した土壌を収容する容器である。加熱装置6は、第1容器5を加熱する装置である。通気装置7は、第1容器5に空気を通過させる装置である。
図3図4図5に示すように、第1容器5は、土壌を収容する収容部8と、土壌を計量して取り出す計量部9と、を有している。収容部8は、第1容器5の上部に設けられている。計量部9は、第1容器5の下部に設けられている。収容部8と計量部9とは一体化されて第1容器5を構成している。
【0015】
収容部8は、筒状(円筒状)に形成されている。収容部8の上部(第1容器5の上部)には、土壌を入れるための取入口10(以下、「第1取入口10」という)が設けられている。詳しくは、収容部8の上部は開口しており、この収容部8の上部の開口が第1取入口10を構成している。第1取入口10は、平面視にて円形である。
図4図5に示すように、収容部8の下部には、土壌を取り出すための取り出し孔11が設けられている。詳しくは、収容部8の下部は開口しており、この収容部8の下部の開口が取り出し孔11を構成している。取り出し孔11は、平面視にて円形である。
【0016】
第1容器5は、容器本体5aと、容器本体5aの上部に形成されたフランジ5bとを有している。容器本体5aは、収容部8と計量部9とを含む筒体(円筒体)であって、上述した第1取入口10と取り出し孔11とを有している。フランジ5bは、第1取入口10の周囲に円環状に形成されている。フランジ5bの上面は、平面である。
図3図4に示すように、第1容器5は、第1取入口10とは異なる位置に通気孔5cを有している。通気孔5cは、後述するファン27で発生させた空気を通過させるための孔である。通気孔5cは、第1容器5の側面に設けられている。具体的には、通気孔5cは、収容部8の側面に設けられており、収容部8の周壁を貫通している。これにより、収容部8の内部8aと外部とが通気孔5cを介して連通している。通気孔5cは、1つでもよいが、複数設けることが好ましい。本実施形態の場合、通気孔5cは、上下方向に間隔をあけて複数(2つ)設けられている。通気孔5cは、収容部8の周方向に間隔をあけて複数設けてもよいし、互いに対向する位置に設けてもよい。また、通気孔5cは、収容部8に収容される土壌の表面よりも低い位置に設けてもよいし、高い位置に設けてもよい。
【0017】
図4図5に示すように、第1容器5の上部には、被覆部材12が取り付けられている。被覆部材12は、フランジ5bの上面及び側面を被覆するように取り付けられている。被覆部材12は、平面視にて円環状であって、平面視の中心に円形の開口部12aを有している。開口部12aは、被覆部材12を第1容器5の上部に取り付けた状態において第1取入口10と重なる。被覆部材12の上面は平面である。被覆部材12は、例えば、ゴムや軟質樹脂等の弾性体から構成される。
【0018】
図3図4図5に示すように、計量部9は、計量部材13を有している。計量部材13は、第1容器5に収容された土壌から一定体積量の土壌を取り出す。計量部材13は、第1容器5に形成された貫通孔5dに嵌め入れられている。計量部材13は、後述する移動機構20により、貫通孔5dに沿って移動可能である。また、計量部材13は、貫通孔5dに対して着脱可能である。貫通孔5dは、第1容器5の下部を計量部材13の移動方向(本実施形態の場合、前後方向)に貫通している。貫通孔5dの前下部には、切り欠き部5eが形成されている。切り欠き部5eは、下方に向かうにつれて前方に移行する傾斜面を形成している。切り欠き部5eを設けることによって、貫通孔5dに対する計量部材13の着脱を容易に行うことができる。
【0019】
図6A図6Bに示すように、計量部材13は、上面13a、下面13b、側面13c、前面13g、後面13hを有している。上面13aと下面13bは、互いに平行に設けられた平面である。側面13cは、上面13aと下面13bとを連絡する円弧状の湾曲面である。前面13gと後面13hは、第1容器5の外周面に沿った形状の円弧状の湾曲面である。但し、側面13c、前面13g、後面13hは、平面であってもよい。計量部材13は、当該計量部材13を上下方向に貫通する計量孔13dを有している。計量孔13dは、上面13aから下面13bに向けて計量部材13を貫通している。計量孔13dは、一定体積量(例えば、1cm3)の土壌を収容することができる。つまり、計量孔13dの容積は、一定体積量の土壌を収容可能な容積に設定されている。
【0020】
図7Aに示すように、計量孔13dは、上部から下部に向けて次第に孔面積が拡がるテーパ状(円錐台状)に形成されている。計量孔13dがテーパ状に形成されていることによって、計量孔13d内に土壌が詰まりにくくなり、計量孔13dからの土壌の取り出し(落下)を円滑に行うことができる。但し、図7Bに示すように、計量孔13dは、上部から下部に向けて孔面積が一定の円柱状に形成されていてもよい。
【0021】
図4図6Bに示すように、計量部材13の後面13hには、第1窪み13eが設けられている。第1窪み13eは、前方に向けて略半球状に窪んでいる。第1窪み13eには、後述する押し出し部材21の先端が嵌まり込む(図14参照)。計量部材13の下面13bには、第2窪み13fが設けられている。第2窪み13fには、後述する位置決め機構23の球体24が嵌まり込む(図13参照)。
【0022】
図4図5図8図9に示すように、第1容器5の内部には、メッシュ板15と覆い板16が配置されている。メッシュ板15は、ふるい装置3の一部を構成する部材である。
図11は、メッシュ板15の平面図である。メッシュ板15は、平面視にて円形である。メッシュ板15は、所定大きさ未満の粒径の土壌の通過を許容する通過部15aを有している。通過部15aは、メッシュ板15の中心部に形成されている。通過部15aの外形は、平面視にて円形である。通過部15aの直径は、メッシュ板15の半径と略等しい。通過部15aの周囲は、土壌の通過を許容しない非通過部15bとなっている。非通過部15bは、平面視にて円環状に形成されている。
【0023】
図9に示すように、通過部15aは、非通過部15bに対して凹んで形成されており、通過部15aと非通過部15bとの境界には、傾斜面15cが設けられている。傾斜面15cは、非通過部15bから通過部15aに向けて下り勾配を有するテーパ面である。
図9図11に示すように、通過部15aは、複数(多数)の小孔15dを有している。小孔15dは、ふるい装置3によるふるい処理により砕かれた所定大きさ未満の粒径の土壌の通過を許容する。また、小孔15dは、所定大きさ以上の異物の通過を阻止する。つまり、所定大きさ以上の異物は小孔15dを通過することができない。そのため、メッシュ板15は、第1容器5に収容された土壌中に含まれる所定大きさ以上の異物の通過を阻止し、所定大きさ未満の粒径の土壌の通過を許容する。
【0024】
図9図10に示すように、メッシュ板15は、取り出し孔11を覆うように配置される。メッシュ板15の外径は、取り出し孔11の内径よりも大きい。メッシュ板15の通過部15aを通過した土壌は、取り出し孔11から取り出される。メッシュ板15の通過部15aを通過して取り出し孔11から取り出される土壌は、所定大きさ未満の粒径の土壌のみを含むものとなる。
【0025】
図9図10に示すように、メッシュ板15の上には覆い板16が載置される。覆い板16は、メッシュ板15の通過部15aを覆うように配置される。覆い板16の直径は、通過部15aの外形の直径と略一致している。覆い板16は、土壌が通過できる孔を有さない板(無孔板)である。覆い板16は、平面視にて円形である。覆い板16の直径は、メッシュ板15の半径と略等しい。
【0026】
図9及び図12の左部は、覆い板16が中央位置にある状態を示している。この状態では、覆い板16は、傾斜面15cの内側に入り込んでいる。覆い板16が中央位置にあるとき、通過部15aが覆い板16により覆われるため、土壌はメッシュ板15を通過することができない。
図12の右部は、覆い板16が周辺位置にある状態を示している。この状態では、覆い板16の少なくとも一部は、傾斜面15cの外側にはみ出ている。覆い板16が周辺位置にあるとき、通過部15aの少なくとも一部が覆い板16により覆われない。つまり、通過部15aの少なくとも一部(小孔15dを含む部分)が露出した状態となる。そのため、土壌はメッシュ板15を通過することができる。
【0027】
なお、上述した実施形態において、通過部15aの直径がメッシュ板15の半径と略等しく、覆い板16の直径が通過部15aの直径と略等しく且つメッシュ板15の半径と略等しい場合を例に説明した。しかし、覆い板16は、メッシュ板15の通過部15aを覆うことができ、メッシュ板15の通過部15aを覆う中央位置と、通過部15aの少なくとも一部を露出させる周辺位置とに移動可能であればよく、その大きさは、上述した大きさに限定されない。具体的には、覆い板16の直径(R3×2)は、メッシュ板15の半径R1と通過部15aの外形の半径R2との差(R1-R2)よりも大きく、メッシュ板15の半径R1と通過部15aの外形の半径R2との和(R1+R2)よりも小さい関係にあればよい(R1-R2<R3×2<R1+R2)。
【0028】
図3図4図5に示すように、第1容器5の下部には、計量部材13に向けて土壌を落下させる管路17が設けられている。管路17は、計量部材13の上方に設けられている。管路17は、透明な素材(例えば、ガラス)から構成されている。第1容器5は、管路17を第1容器5外部から視認可能とするための窓孔18を有している。窓孔18は、第1容器5の下部を前後方向に貫通している。窓孔18は、取り出し孔11の下方であって計量部材13の上方に設けられている。
【0029】
図4に示すように、管路17は、窓孔18の前後方向の中心を上下方向に貫通している。以下、窓孔18の管路17よりも前方にある部分を「窓孔前部18a」、窓孔18の管路17よりも後方にある部分を「窓孔後部18b」という。管路17は、窓孔前部18a又は窓孔後部18bを介して第1容器5の外部から視認可能である。
管路17は、収容部8の下方(取り出し孔11の下方)に配置されている。図4図5に示すように、収容部8の下部と管路17の上部とは、接続通路19によって接続されている。接続通路19は、下方に向かうにつれて内径が小さくなるテーパ状(円錐台状)に形成されている。
【0030】
図4図5図9に示すように、接続通路19の上端は、収容部8の下部の取り出し孔11と繋がっている。覆い板16が周辺位置(図12の右図参照)にあるとき、収容部8に収容された土壌は、取り出し孔11から落下して、メッシュ板15の通過部15aを通過した後、接続通路19へと導かれる。接続通路19へと導かれた土壌は、管路17に流入し、管路17を通って計量部材13に向けて落下する。
【0031】
図3図4図5に示すように、管路17は、計量部材13の計量孔13dの上方(直上方)に配置されている。これにより、管路17を通って落下した土壌は計量孔13dに入り、計量孔13dは土壌D1で満たされる(図13参照)。上述したように、計量孔13dに満たされる土壌は一定体積量である。そのため、計量部材13は、計量孔13dが土壌D1で満たされることによって、一定体積量の土壌を計量することができる。
【0032】
計量部材13は、移動機構20によって、第1位置(図8図13参照)と第2位置(図14図15参照)との間で移動可能である。第1位置は、第1容器5の内部であって計量部材13で一定体積量の土壌を計量する位置である。具体的には、第1位置は、計量部材13の計量孔13dが第1容器5の内部にあって、計量孔13dが管路17から落下する土壌の一定体積量を受け入れ可能となる位置である。第2位置は、計量部材13で計量した一定体積量の土壌を第1容器5の外部に取り出す位置である。具体的には、第2位置は、計量部材13の計量孔13dが第1容器5の外部にあって、計量孔13dに満たされた一定体積量の土壌を落下させることが可能な位置である。
【0033】
移動機構20は、計量部材13を第1位置から第2位置に移動させる機構である。移動機構20は、押し出し部材21を有している。押し出し部材21は、貫通孔5dに挿入可能な棒状の部材である。押し出し部材21は、シリンダ装置等の駆動装置(図示略)によって、水平方向に往復移動可能である。本実施形態の場合、押し出し部材21は、前後方向に往復移動可能である。
【0034】
図14図15に示すように、押し出し部材21は、第1容器5に形成された貫通孔5dに挿入されて、計量部材13の一部(前部)を貫通孔5dから押し出す。押し出し部材21の先端は、半球状に形成されており、計量部材13を押し出すときに計量部材13の第1窪み13eに嵌まる(図14図15参照)。これにより、計量部材13に対する押し出し部材21の先端位置が定まる。そのため、押し出し部材21の移動方向と計量部材13の移動方向とを確実に一致させることができ、計量部材13を貫通孔5dから円滑に押し出すことが可能となる。
【0035】
図14図15に示すように、押し出し部材21は、少なくとも計量孔13dが第1容器5の外部に出る位置(即ち、第2位置)まで、計量部材13の一部を貫通孔5dから押し出す。つまり、計量部材13は、押し出し部材21によって移動して第2位置まで押し出される。押し出し部材21は、計量部材13を水平方向に押し出す。本実施形態の場合、押し出し部材21は、計量部材13を前方に向けて押し出す。
【0036】
上述したように、計量部材13の第1位置から第2位置への移動は、押し出し部材21によって行われる。一方、計量部材13の第2位置から第1位置への移動は、計量部材13を指等で押して第1位置に戻してもよいし、押し出し部材21の先端を計量部材13に固定する等の方法により押し出し部材21の後退と共に計量部材13が第1位置に戻るようにしてもよい。
【0037】
図4等に示すように、第1容器5は、計量部材13を第1位置に位置決めする位置決め機構23を備えている。位置決め機構23は、計量部材13の底面に形成された第2窪み12fと、この第2窪み12fに嵌まり込む球体24とを有している。球体24は、ばね25によって上方に向けて付勢されている。計量部材13を貫通孔5dに嵌め入れて第1位置まで移動させると、球体24の上部が第2窪み12fに下方から嵌まり込むことにより、計量部材13が第1位置に位置決めされる。このとき、計量部材13の計量孔13dと管路17とが重なる位置(上下方向に並ぶ位置)となる。そのため、管路17を通って落下する土壌を確実に計量孔13dに導くことが可能となる。これにより、計量部材13による計量を正確に行うことができる。計量部材13を押し出し部材21によって押すと、ばね25が収縮して球体24が第2窪み12fから離脱する。これにより、計量部材13を第1位置から第2位置に向けて移動させることができる。
【0038】
次に、加熱装置6及び通気装置7について説明する。加熱装置6及び通気装置7は、いずれも第1容器5の収容部8に収容された土壌を乾燥させるための装置である。
加熱装置6は、第1容器5の収容部8を加熱する装置である。加熱装置6は、例えば、通電によって発熱するヒータから構成されている。収容部8は、金属等の熱伝導率の高い素材から構成されている。加熱装置6を作動させる(ヒータに通電する)ことによって、収容部8が加熱され、収容部8の温度が上昇する。これにより、収容部8に収容された土壌の乾燥を促進させることが可能となる。
【0039】
図1図16図17に示すように、加熱装置6は、容器本体5aの外周面(詳しくは、収容部8の外周面)を覆うように構成される。加熱装置6は、中心軸が上下方向を向く略円筒状に形成されている。そのため、加熱装置6の内部(内周側)に、上方から第1容器5の容器本体5aを挿入することができる。これにより、容器本体5aの周囲が加熱装置6により覆われる。
【0040】
図17図18に示すように、加熱装置6は、平面視にてC字状に形成されており、前部に閉じていない部分(開放部6a)を有している。第1容器5は、加熱装置6に挿入されたとき、通気孔5cが開放部6aに位置するように配置される。これにより、通気孔5cが加熱装置6により塞がれることがない。
図1図2に示すように、前処理装置1は、第1容器5を支持する第1支持部30を有している。第1支持部30は、第1支持板31と第1基部32とを有している。第1支持板31には、容器本体5aが挿入される挿入孔31aが形成されている。第1支持板31の上面は、フランジ5bを下方から支持する支持面31bを構成している。第1基部32は、第1支持板31の後部から下方に延びている。第1基部32に加熱装置6が取り付けられる。
【0041】
図15図16図17に示すように、加熱装置6は、第1基部32に設けられた第1取付部35に取り付けられている。加熱装置6は、第1容器5の容器本体5aの上部(収容部8)の周囲を覆うように配置されている。図16に示すように、容器本体5aの下部(計量部9)の周囲は、略円筒状の保持部37により保持されている。
図16図21に示すように。保持部37の前部には、押し出し部材21により押し出された計量部材13が通過する切り欠き37aが形成されている。図21に示すように、保持部37の後部には、押し出し部材21が挿入される開口37bが形成されている。
【0042】
図19に示すように、第1容器5のフランジ5bは、支持面31bと第1蓋体26の平面26aとの間に挟まれて保持される。これにより、第1容器5を第1支持部30に対して動かないように固定することができる。図4図5に示すように、フランジ5bが被覆部材12により被覆されている場合、支持面31bと第1蓋体26の平面26aとの間に被覆部材12が介在する。被覆部材12は弾性体から構成されているため、被覆部材12の上面と第1蓋体26の平面26aとが密接し、第1蓋体26によって第1取入口10を完全に覆うことができる。
【0043】
通気装置7は、第1容器5に空気を通過させる装置である。図2図19に示すように、通気装置7は、蓋体26(以下、「第1蓋体26」という)とファン27とを有している。第1蓋体26は、第1容器5の上部を覆うように配置される。詳しくは、第1蓋体26は、第1容器5の第1取入口10を覆う。第1蓋体26は、下側(第1容器5のフランジ5bの上面側)を向いて配置される平面26aを有している。
【0044】
第1蓋体26は、少なくとも平面26aがゴムや軟質樹脂等の弾性体から構成されることが好ましい。この場合、被覆部材12の上面と第1蓋体26の平面26aとを確実に密接させることができる。また、被覆部材12を省略してフランジ5bの上面と第1蓋体26の平面26aとを密接させることも可能となる。
図20に示すように、前処理装置1は、第1蓋体26を昇降させる蓋昇降機構29を備えている。蓋昇降機構29は、第1蓋体26を下降位置(図20の仮想線参照)と上昇位置(図20の実線参照)とに移動させる。第1蓋体26は、下降位置にあるときにフランジ5bの上面に当接して第1容器5の第1取入口10を塞ぐ。第1蓋体26は、上昇位置にあるとき第1容器5の第1取入口10から離反する。蓋昇降機構29は、例えば、シリンダ装置等から構成されるが、第1蓋体26を上昇位置と下降位置とに移動させることが可能なものであれば特に限定されない。
【0045】
図19に示すように、ファン27は、第1容器5の第1取入口10の上方に配置される。図2図19では、ファン27は第1蓋体26の内部に配置されている。但し、ファン27は、第1蓋体26の外部(例えば、第1蓋体26の上方等)に配置してもよい。
ファン27は、第1容器5に形成された通気孔5cと第1容器5の内部との間で空気を流通させるために設けられている。図19に示すように、本実施形態の場合、ファン27は、第1容器5に形成された通気孔5cから第1容器5の内部に向かう空気の流れを生じさせる吸気ファンである。但し、ファン27は、第1容器5の内部から通気孔5cに向かう空気の流れを生じさせる送気ファンであってもよい。
【0046】
図19の矢印に示すように、第1蓋体26の上部には排気口26bが設けられている。第1蓋体26の下部には吸気口26cが設けられている。
図19の矢印に示すように、ファン27が駆動すると、第1容器5の外部の空気が通気孔5cから第1容器5の収容部8の内部に取り入れられ、収容部8に収容された土壌内を通って第1取入口10から第1容器5の外部に取り出される。第1容器5の外部に取り出された空気は、第1蓋体26の吸気口26cから第1蓋体26の内部に入り、第1蓋体26の排気口26bから第1蓋体26の外部に排出される。
【0047】
このように、通気装置7のファン27の駆動により、収容部8に収容された土壌内を空気が通過する。これによって、土壌に含まれる水分が水蒸気となって空気と共に第1容器5の外部に取り出され、土壌の乾燥が促進される。
上記した通り、乾燥装置2は、加熱装置6と通気装置7の両方によって、第1容器5に収容された土壌の乾燥を促進することができる。そのため、第1容器5に収容された土壌を短時間で乾燥させることができる。
【0048】
前処理装置1は、第1支持部30が1つの第1容器5を支持する構成であってもよいが、第1支持部30が複数の第1容器5を支持する構成(図1図19参照)であることが好ましい。第1支持部30が複数の第1容器5を支持する構成である場合、乾燥装置2は、複数の第1容器5に収容された土壌の乾燥を促進することができる。
ここで、第1支持部30が複数の第1容器5を支持する構成について説明する。
【0049】
図1図2に示すように、第1支持部30の第1支持板31には、複数の挿入孔31aが形成されている。複数の挿入孔31aには、夫々第1容器5の容器本体5aを挿入することができる。これにより、図19に示すように、第1支持部30は、複数の第1容器5を支持することができる。
本実施形態の場合、第1支持部30は、5つの第1容器5を支持することができる。但し、第1支持部30に支持される第1容器5の数は、特に限定されず、6つ以上であってもよく、4つ以下であってもよい。
【0050】
図1図2に示すように、第1支持部30は、一列に並んだ複数の挿入孔31aを有している。そのため、図19に示すように、第1支持部30は、複数の第1容器5を一列に並べて支持することができる。但し、第1支持部30は、複数の第1容器5を二列又は三列以上に並べて支持するように構成してもよい。この構成によれば、第1支持部30によって多数の第1容器5を支持することができる。
【0051】
加熱装置6は、第1支持部30に支持された複数の第1容器5を加熱できるように構成される。具体的には、図1に示すように、加熱装置6は、複数の挿入孔31aの夫々の下方に複数配置される。複数の加熱装置6は、複数の挿入孔31aに夫々挿入された容器本体5aの収容部8の外周面を覆うように配置される。
通気装置7は、第1支持部30に支持された複数の第1容器5に空気を通過させるように構成される。具体的には、図19に示すように、通気装置7は、第1蓋体26が第1支持部30に並べて支持された複数の第1容器5を覆うように配置される。ファン27は、複数の第1容器5の夫々に対応する位置に配置される。本実施形態の場合、ファン27は、複数の第1容器5の上方に夫々配置されている。複数の第1容器5の夫々に対応する位置に配置されたファン27を駆動することにより、複数の第1容器5に収容された土壌に空気を確実に通過させることができる。
【0052】
計量部材13は、第1支持部30に支持された複数の第1容器5に夫々に対応するように複数設けられる。具体的には、計量部材13は、複数の収容部8の夫々の下方に配置される。これにより、複数の計量部材13によって、複数の第1容器5の収容部8の夫々から一定体積量の土壌を取り出すことができる。この場合、移動機構20は、複数の計量部材13の夫々に対応する複数の押し出し部材21を有するように構成される(図21参照)。
【0053】
また、この場合、複数の押し出し部材21は、複数の第1容器5の並び方向(左右方向)と直交する方向(前後方向)T1(図21参照)に移動する。複数の押し出し部材21は、個別に移動可能に構成することができる。この場合、移動機構20は、複数の計量部材13を個別に移動させることができる。また、複数の押し出し部材21は、一括して移動可能に構成することができる。この場合、移動機構20は、複数の計量部材13を一括して移動させることができる。
【0054】
<検出装置>
図15に示すように、前処理装置1は、計量部材13から(具体的には計量孔13dから)溢れた土壌を検出する検出装置33を備えている。前処理装置1が複数の第1容器5を備える場合、検出装置33は、複数の第1容器5の夫々の計量部材13に対応するように複数設けられる。これにより、検出装置33は、複数の第1容器5の夫々の計量部材13から(計量孔13dから)溢れた土壌を個別に検出することができる。
【0055】
検出装置33は、計量部材13の計量孔13dから溢れた土壌(計量孔13dに入りきらなかった土壌)を検出する。検出装置33は、光を照射する照射部33aと、照射部33aから照射された光を検出する受光部33bとを有している。照射部33aは、管路17に向けて光を照射する。受光部33bは、管路17を通過した光を検出する。
図15図16に示すように、検出装置33は、第1支持部30の第1基部32に設けられた第2取付部36に取り付けられている。第2取付部36には、第1容器5の容器本体が挿入される貫通孔36aが形成されている。照射部33aは、貫通孔36aよりも前方にて第2取付部36に取り付けられている。受光部33bは、貫通孔36aよりも後方にて第2取付部36に取り付けられている。これにより、照射部33aと受光部33bは、貫通孔36aに挿入された第1容器5を挟んで配置される。尚、図示例では、照射部33aが第1容器5の前方、受光部33bが第1容器5の後方に配置されているが、照射部33aと受光部33bの前後の位置関係を反対にしてもよい。
【0056】
図8に示すように、管路17内に照射部33aから照射された光を遮る土壌が無い場合、照射部33aから照射された光は、窓孔前部18aを通って管路17に向かい(矢印L1参照)、管路17を通過した後、窓孔後部18bを通って受光部33bに到達する(矢印L2参照)。
一方、図13に示すように、管路17内に照射部33aから照射された光を遮る土壌が有る場合、照射部33aから照射された光は、窓孔前部18aを通って管路17に向かうが(矢印L1参照)、管路17内の土壌に遮られて受光部33bに到達することができない。そのため、受光部33bは光を検出することができない。
【0057】
図13に示すように、管路17内に照射部33aから照射された光を遮る土壌が有る状態は、計量孔13d内に土壌が満たされた状態である。計量孔13dに落下供給される土壌は、計量孔13dを満たした後、計量孔13dの上方に溢れる。計量孔13dから溢れた土壌は、計量孔13dの上方に位置する管路17内に溜まる。そのため、照射部33aから照射された光は、管路17内の土壌に遮られて受光部33bに到達しない。
【0058】
図13に示すように、検出装置33は、制御部34を有している。制御部34は、演算部(CPU等)と記憶部(RAM,ROM等)とを備えるコンピュータから構成されている。制御部34は、記憶部に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、演算部が各種の処理を実行する。制御部34は、照射部33aから照射された光が受光部33bに到達しない場合、計量部材13の計量孔13dに土壌が満たされた(計量孔13dから土壌が溢れた)と判断する。一方、制御部34は、照射部33aから照射された光が受光部33bに到達した場合、計量部材13の計量孔13dに土壌が満たされてない(計量孔13dから土壌が溢れていない)可能性があると判断する。
【0059】
制御部34は、計量部材13の計量孔13dが土壌にみたされたと判断したとき(検出装置33により土壌が検出されたとき)、移動機構20を駆動する。これにより、移動機構20は、計量部材13を第1位置(図13参照)から第2位置(図14参照)に移動させる。つまり、移動機構20は、検出装置33により土壌が検出されたとき、計量部材13を第1位置から第2位置に移動させる。
【0060】
貫通孔5dの上縁部(前側の上縁部)は、計量部材13が第1位置から第2位置に移動するとき、計量部材13の計量孔13dから溢れた土壌を第1容器5の内部に落とす摺り切り部5f(図3図14参照)を構成している。そのため、計量部材13が第1位置から第2位置に移動するとき、計量孔13dを満たしている一定体積量の土壌D1のみが第2位置に移動する(図14参照)。計量部材13が第2位置に移動すると、計量孔13dに満たされていた土壌は、第1容器5の外部に取り出され、矢印E1に示すように計量孔13dから落下する。
【0061】
前処理装置1が複数の第1容器5を備える場合、移動機構20は、複数の第1容器5の夫々の計量部材13を個別に第1位置から第2位置に移動させることができる。具体的には、移動機構20は、制御部34による制御に基づいて、複数の第1容器5のうち、検出装置33により土壌が検出された第1容器5の計量部材13のみを第1位置から第2位置に移動させることができる。これにより、複数の計量部材13のうち、計量孔13dに一定体積量の土壌が満たされた計量部材13のみを第2位置に移動させることができる。
【0062】
尚、検出装置33は、照射部33aと受光部33bとが一体化された反射型のセンサを有するものであってもよい。この場合、管路17の前方又は後方に反射型のセンサを配置し、照射部33aから照射された光が管路17内の土壌に反射した場合、この反射光を受光部33bで検出するように構成する。受光部33bが光を検出した場合、制御部34は、計量部材13の計量孔13dに土壌が満たされたと判断する。
【0063】
また、前処理装置1は、計量部材13から(計量孔13dから)溢れた土壌を検出するための装置として、検出装置33に代えて計時装置(タイマ)を備えるものであってもよい。この場合、計量部材13に所定体積量の土壌が溜まる(計量孔13dが満たされる)までの時間(以下、「所定時間」という)を予め計測し、この所定時間を制御部34の記憶部に記憶しておく。所定時間の始期は、例えば、後述する第1加振機構40による第1容器5の振動開始時とされる。制御部34は、振動開始時から所定時間がたつと、計量部材13の計量孔13dに土壌が満たされた(計量孔13dから土壌が溢れた)と判断し、移動機構20を駆動して計量部材13を第1位置から第2位置に移動させる。
【0064】
<ふるい装置>
次に、ふるい装置3について説明する。
ふるい装置3は、上述したメッシュ板15と、第1容器5を振動させる加振機構40(以下、「第1加振機構40」という)とを備えている。メッシュ板15の構成や配置は、上述した通りである。以下、第1加振機構40について説明する。
【0065】
第1加振機構40は、第1支持部30に支持された第1容器5を振動させる。
図16図18図22に示すように、第1加振機構40は、第1モータ41、動作変換部42、スライダ43を有している。図16図18図22では、第1支持部30が1つの第1容器5を支持する構成に対して第1加振機構40を適用した状態を示している。しかし、第1支持部30が複数の第1容器5を支持する構成(図1図2等参照)に対して第1加振機構40を適用することも勿論可能である。この場合、第1加振機構40は、第1支持部30に支持された複数の第1容器5を振動させる。
【0066】
図16に示すように、第1モータ41は、第1モータ台88上に固定されている。第1モータ台88は、第1支持脚89によって下方から支持されている。第1支持脚89は、後述する第1載置台154上に立設されている。図22に示すように、第1モータ41は、下向きに延びる第1回転軸41aを有している。
動作変換部42は、第1モータ41の第1回転軸41aの回転動作を装置幅方向(左右方向)Bの往復動作に変換する。図16図18図22に示すように、動作変換部42は、第1カム体46と第1規制板47とを有している。第1カム体46は、第1回転軸41aの下部に取り付けられており、第1回転軸41aと共に回転する。第1カム体46には、下方に向けて突出する突出部46aが設けられている。図18に示すように、突出部46aは、第1回転軸41aに対して偏心した位置(第1回転軸41aの軸心に対してズレた位置)に設けられている。そのため、突出部46aは、第1回転軸41aの回転に伴って、第1回転軸41aの軸心を中心とする平面視円形の軌跡を描くように回転する。
【0067】
第1規制板47は、第1容器5を支持する第1支持部30の移動方向を規制する。図16図22に示すように、第1規制板47は第1支持部30に固定されている。詳しくは、第1規制板47は、第1支持部30の第1基部32の下部に設けられた下板32aの上面に固定されている。第1規制板47は、前後方向Aに延びる第1溝47aを有している。第1溝47aには、第1カム体46の突出部46aが挿入されている。
【0068】
第1支持部30は、スライダ43に固定されている。スライダ43は、第1支持部30を装置幅方向Bに移動(スライド)可能としている。スライダ43は、基台50上に搭載されている。スライダ43が搭載されている面(基台50の上面)は、水平面である。図22に示すように、基台50は、第1支持台51、第2支持台52、ベース板53を有している。
【0069】
ベース板53は、第1支持台51と第2支持台52とを支持している。第1支持台51は、スライダ43等を介して第1支持部30を支持している。第2支持台52は、後述するスライダ140等を介して後述する第2支持部83を支持している。
図16図22図23に示すように、スライダ43は、固定部43Aと移動部43Bとを有している。固定部43Aは、後述する第1載置台154上に固定されている。固定部43Aの上面には、装置幅方向Bに延びる凸条43bが形成されている。移動部43Bの下面には、装置幅方向Bに延びる凹条43cが形成されている。固定部43Aの凸条43bは、移動部43Bの凹条43cに嵌まっている。これにより、移動部43Bは、固定部43Aに対して装置幅方向Bに移動(スライド)可能となっている。
【0070】
図18に示すように、第1モータ41の第1回転軸41aが矢印F1方向に回転すると、第1カム体46の突出部46aが第1回転軸41a回りに矢印F2で示すように回転する。すると、突出部46aが第1溝47a内を前後方向(矢印F3参照)に移動し、これに伴って第1支持部30がスライダ43の移動部43Bと共に装置幅方向(矢印F4参照)に往復移動する。
【0071】
このように、第1加振機構40は、第1モータ41の回転によって、第1支持部30を装置幅方向B(矢印F4参照)に往復移動させることができる。これにより、第1支持部30に支持された第1容器5が装置幅方向Bに往復移動して振動する。第1容器5の内部にある覆い板16は、初期状態(振動前の状態)では中央位置(図12の左図参照)にあるが、第1容器5が振動すると、覆い板16が中央位置から周辺位置へと移動する(図12の右図参照)。覆い板16が周辺位置に移動したとき、メッシュ板15の通過部15aの少なくとも一部が覆い板16に覆われない状態となる(図12の右図参照)。そのため、第1容器5の収容部8に収容された土壌は、通過部15aに形成された小孔15dを通って、計量部材13に向けて落下する。このように、第1加振機構40により第1容器5を振動させることによって、通過部15aを土壌が通過可能な状態となり、収容部8に収容された土壌を計量部材13に向けて落下させることができる。
【0072】
ここで、第1容器5内の土壌は、乾燥装置2によって乾燥されているため、振動によって砕かれやすくなっている。そのため、第1加振機構40によって第1容器5を振動させることにより、第1容器5内の土壌は砕かれて細かい粒子となる。これにより、第1容器5内の土壌の大部分は小孔15dを通過して落下することができる。一方、土壌に含まれる異物(例えば、プラスチック片やガラス片等)は、振動によって細かい粒子とはならないため、小孔15dを通過できない。そのため、小孔15dを通過して計量部材13に向けて落下する土壌は、異物を殆ど含まない所定粒径以下の土壌となる。
【0073】
<シャッタ>
図24A図24Bに示すように、前処理装置1は、シャッタ60及び重量計測装置61を備えることができる。シャッタ60及び重量計測装置61は、上述した検出装置33の代わりに備えることができるが、検出装置33と併用してもよい。
シャッタ60は、第1容器5の取り出し孔11と計量部材13との間に配置される。シャッタ60は、取り出し孔11から計量部材13への土壌の移動(落下)を許容する許容位置(図24Aに示す位置)と、取り出し孔11から計量部材13への土壌の移動(落下)を阻止する阻止位置(図24Bに示す位置)とに移動可能である。シャッタ60は、許容位置にあるとき、取り出し孔11の下方を覆う。シャッタ60は、阻止位置にあるとき、取り出し孔11の下方を覆わない。シャッタ60の移動は、シリンダ装置やモータ等の駆動機構(図示略)の駆動によって行われる。
【0074】
前処理装置1が複数の第1容器5を備える場合、シャッタ60は、複数の第1容器5に夫々対応するように複数設けられる。複数のシャッタ60は、個別に(独立して)移動することができる。
前処理装置1は、シャッタ60の駆動を制御する制御装置62を備えている。制御装置62は、CPU等を含む演算部とRAMやROM等を含む記憶部とを有するコンピュータから構成されている。制御装置62は、記憶部に記憶されたプログラム等に基づいて駆動機構を駆動してシャッタ60を移動させる。
【0075】
重量計測装置61は、計量部材13の重量を測定する。重量計測装置61は、例えば、ロードセルから構成される。制御装置62は、重量計測装置61による重量の測定値が所定値に達したときに、図示しない駆動機構を作動させて、シャッタ60を許容位置(図24A参照)から阻止位置(図24B参照)に移動させる。所定値は、計量孔13dが土壌により満たされた状態の計量部材13の重量である。この重量は、予め測定されて制御装置62の記憶部に所定値として記憶される。
【0076】
計量部材13の計量孔13dが土壌により満たされていないとき、重量計測装置61による計量部材13の重量の測定値は所定値に達しない。このとき、制御装置62は、シャッタ60を許容位置から阻止位置に移動させない。そのため、シャッタ60は許容位置(図24A参照)にとどまり、取り出し孔11から計量部材13への土壌の移動(落下)が許容される。
【0077】
計量部材13の計量孔13dが土壌により満たされたとき、重量計測装置61による計量部材13の重量の測定値が所定値に達する。このとき、制御装置62は、シャッタ60を許容位置(図24A参照)から阻止位置(図24B参照)に移動させる。そのため、取り出し孔11から計量部材13への土壌の移動(落下)がシャッタ60により阻止される。
【0078】
上述したようにシャッタ60の移動を制御することにより、計量部材13の計量孔13dに一定体積量の土壌を確実に満たすことができるとともに、一定体積量を超える余分な土壌が取り出し孔11から計量部材13に向けて供給されることが防がれる。
また、制御部34は、シャッタ60が許容位置から阻止位置に移動したとき、移動機構20を駆動する。これにより、移動機構20は、計量孔13dが土壌で満たされた計量部材13を第1位置(図13参照)から第2位置(図14参照)に移動させる。言い換えれば、移動機構20は、シャッタ60が許容位置から阻止位置に移動したとき、計量部材13を第1位置から第2位置に移動させる。
【0079】
前処理装置1が複数の第1容器5を備える場合、移動機構20は、制御部34による制御に基づいて、複数の第1容器5のうち、許容位置から阻止位置に移動したシャッタ60に対応する第1容器5の計量部材13のみを第1位置から第2位置に移動させることができる。これにより、計量孔13dに一定体積量の土壌が満たされた計量部材13のみを第1位置から第2位置に移動させて、計量孔13dから一定体積量の土壌を取り出すことが可能となる。
【0080】
また、前処理装置1が複数の第1容器5を備える場合、計量部材13も複数あるため、重量計測装置61は、複数の計量部材13の夫々に対応するように複数設けられる。この場合、複数の重量計測装置61によって、複数の計量部材13の夫々の重量を測定することができる。
また、前処理装置1が複数の第1容器5を備える場合、移動機構20は、制御部34による制御に基づいて、複数のシャッタ60の全てが許容位置から阻止位置に移動したとき、複数の計量部材13の全てを第1位置(図13参照)から第2位置(図14参照)に移動させることができる。この場合、複数のシャッタ60のうちの1つでも許容位置から阻止位置に移動していないときは、複数の計量部材13の全てが第1位置にとどまる。そして、複数のシャッタ60の全てが許容位置から阻止位置に移動したとき、複数の計量部材13の全てが第1位置から第2位置に移動する。複数の計量部材13の全ての第1位置から第2位置への移動は、移動機構20の複数の押し出し部材21を一括して移動させることにより行うことができる。
【0081】
<重量算出装置等>
上述したように、前処理装置1は、第1容器5(収容部8)に収容された土壌から一定体積量の土壌を取り出すことができる取り出し機構として、計量部材13と移動機構20を備えている。言い換えれば、計量部材13及び移動機構20は、第1容器5から一定体積量の土壌を取り出す取り出し機構70を構成している。
【0082】
前処理装置1は、取り出し機構70により取り出された一定体積量の土壌の重量を算出する重量算出装置71を備えていることが好ましい。ここでは、複数の第1容器5が装置幅方向Bに直線状に並べて配置されている場合(図1参照)を例に挙げて、重量算出装置71の構成を説明する。
図25図26に示すように、重量算出装置71は、計量台72、重量測定部73、算出部74を有している。
【0083】
計量台72は、取り出し機構70により取り出された土壌を載せる載置部75を有している。載置部75は、計量台72の上面に設けられている。計量台72の載置部75は、計量部材13が第2位置にある状態において、計量孔13dの下方に位置するように配置される。これにより、計量孔13dから落下した一定体積量の土壌を計量台72の載置部75に載せることができる。
【0084】
載置部75の数は、第1容器5の数と同じとなるように設定される。本実施形態の場合、第1容器5の数が5つであるため、載置部75の数も5つである。複数の載置部75は、連続した1つの平面として形成されてもよいし、夫々が凹部として形成されていてもよい。
計量台72は、複数の第1容器5の並び方向に沿って延びている。複数の載置部75は、第1容器5の並び方向に沿って並んでいる。本実施形態の場合、複数の第1容器5が装置幅方向Bに直線状に並べて配置されている。そのため、図25に示すように、計量台72は装置幅方向Bに沿って直線状に延びている。
【0085】
重量測定部73は、載置部75に土壌が載せられた計量台72の重量を測定する。重量測定部73は、例えばロードセルから構成される。本実施形態の場合、重量測定部73は、複数(2つ)のロードセル(以下、「ロードセル73」と表記する)から構成されている。複数のロードセル73は、計量台72を下方から支持している。
算出部74は、重量測定部73で測定された重量に基づいて一定体積量の土壌の重量を算出する。算出部74は、ロードセル73により測定された重量値が入力される入力部と、CPU等を含む演算部と、所定のプログラム等を記憶した記憶部とを有するコンピュータから構成されている。算出部74は、演算部が入力部から入力された重量値に基づいて所定のプログラムを実行することにより一定体積量の土壌の重量を算出する。例えば、算出部74は、ロードセル73により測定された重量値から予め記憶部に記憶された計量台72の重量値を差し引くことによって、計量台72の載置部75に載った一定体積量の土壌の重量を算出することができる。
【0086】
上述した構成によれば、取り出し機構70により取り出された一定体積量の土壌の重量を重量算出装置71により算出することができる。このことは、以下に説明する優れた利点がある。
取り出し機構70(計量部材13及び移動機構20)は、第1容器5内に収容された土壌から一定体積量の土壌を取り出すことができる。しかし、複数の第1容器5から取り出された一定体積量の土壌は、重量にバラつきがある場合があり、同じ重量であるとは限らない。何故なら、同じ一定体積量の土壌であっても、土壌の密度が大きい(空隙が少ない)場合と土壌の密度が小さい(空隙が多い)場合には、重量が異なるからである。
【0087】
前処理装置1による処理(前処理)がなされた後の土壌は、分析装置により土壌に含まれる成分が分析されるが、一般的に、分析結果は「単位重量当たりの各成分の含有量」(例えば、「土壌1g当たりの窒素の含有量がAmg」)として算出される。そのため、正確な分析結果を得るためには、前処理装置1により処理がなされた一定体積量の土壌の重量を正確に把握する必要がある。従って、複数の第1容器5から取り出された一定体積量の土壌の重量を夫々正確に把握する必要がある。
【0088】
前処理装置1が上述した重量算出装置71を備えている場合、複数の第1容器5から取り出された複数の一定体積量の土壌の重量を夫々算出することができる。そのため、重量算出装置71により算出した土壌の重量を分析装置による分析結果に反映させることにより、正確な分析結果を得ることが可能となる。
また、前処理装置1は、複数の第1容器5から取り出される一定体積量の土壌の重量を連続的に算出するための装置(以下、「連続算出装置77」という)を備えていることが好ましい。
【0089】
図26に示すように、連続算出装置77は、取り出し機構70が複数の第1容器5に夫々対応して配置された複数の押し出し部材21を有する。これにより、取り出し機構70は、複数の第1容器5から夫々一定体積量の土壌を取り出すことができる。
複数の押し出し部材21は、複数の第1容器5から1つずつ順番に計量部材13を押し出す。言い換えれば、移動機構20は、複数の計量部材13を1つずつ順番に第1位置から第2位置に移動させる。図26では、最も左に位置する計量部材13が第2位置に移動し、その他の計量部材13が第1位置にある状態を示している。計量部材13は、第2位置に移動したとき、計量部材13に収容された土壌(計量孔13dに収容された土壌D1)が載置部75に向けて落下する。
【0090】
図25に示すように、計量台72は、複数の第1容器5から夫々取り出された土壌を載せる複数の載置部75を有している。取り出し機構70は、複数の第1容器5から1つずつ順番に一定体積量の土壌を取り出して(計量孔13dから落下させて)、夫々異なる載置部75に載せる。
例えば、第1容器5の数が5つである場合、計量台72には、先ず1つの第1容器5から取り出された一定体積量の土壌が載せられた状態となり、次に2つの第1容器5から取り出された一定体積量の土壌が載せられた状態となり、次に3つの第1容器5から取り出された一定体積量の土壌が載せられた状態となり、次に4つの第1容器5から取り出された一定体積量の土壌が載せられた状態となり、最後に5つ全ての第1容器5から取り出された一定体積量の土壌が載せられた状態となる。重量測定部73は、複数の載置部75に土壌が載せられる度に計量台72の重量を測定する。
【0091】
重量算出装置71は、N+1個(但し、Nは0以上の整数)の載置部75に土壌が載せられたときの重量の測定値からN個の載置部75に土壌が載せられたときの重量の測定値を差し引いた差分値を計算し、当該差分値を複数の載置部75の夫々に載せられた土壌の重量として算出する。以下、この算出方法を、図27に示す表を参照して詳しく説明する。尚、ここでは、第1容器5の数が5つである場合を例に挙げて説明する。
【0092】
先ず、重量算出装置71は、1番目の第1容器5から取り出されて載置部75に載った一定体積量の土壌(第1サンプル)の重量を算出する。この算出は、1番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値から計量台72の重量値を差し引くことにより行われる。図27に示した例では、1番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は110.01gである。一方、計量台72の重量値は、予め算出されており、この例では100.00gである。従って、第1サンプルの重量の算出値は、(110.01g-100.00g=10.01g)となる。この算出値は、1個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(110.01g)から、0個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(100.00g)を差し引いた差分値である。
【0093】
次に、重量算出装置71は、2番目の第1容器5から取り出されて載置部75に載った一定体積量の土壌(第2サンプル)の重量を算出する。この算出は、2番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値から、1番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値を差し引くことにより行われる。図27に示した例では、2番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は120.03gであり、1番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は110.01gである。従って、第2サンプルの重量の算出値は、(120.03g-110.01g=10.02g)である。この算出値は、2個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(120.03g)から、1個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(110.01g)を差し引いた差分値である。
【0094】
次に、重量算出装置71は、3番目の第1容器5から取り出されて載置部75に載った一定体積量の土壌(第3サンプル)の重量を算出する。この算出は、3番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値から、2番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値を差し引くことにより行われる。図27に示した例では、3番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は130.03gであり、2番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は120.03gである。従って、第3サンプルの重量の算出値は、(130.03g-120.03g=10.00g)である。この算出値は、3個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(130.03g)から、2個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(120.03g)を差し引いた差分値である。
【0095】
次に、重量算出装置71は、4番目の第1容器5から取り出されて載置部75に載った一定体積量の土壌(第4サンプル)の重量を算出する。この算出は、4番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値から、3番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値を差し引くことにより行われる。図27に示した例では、4番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は140.01gであり、3番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は130.03gである。従って、第4サンプルの重量の算出値は、(140.01g-130.03g=9.98g)である。この算出値は、4個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(140.01g)から、3個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(130.03g)を差し引いた差分値である。
【0096】
次に、重量算出装置71は、5番目の第1容器5から取り出されて載置部75に載った一定体積量の土壌(第5サンプル)の重量を算出する。この算出は、5番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値から、4番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値を差し引くことにより行われる。図27に示した例では、5番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は149.98gであり、4番目の第1容器5から取り出された土壌が載ったときの計量台72の重量の測定値は140.01gである。従って、第5サンプルの重量の算出値は、(149.98g-140.01g=9.97g)である。この算出値は、5個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(149.98g)から、4個の載置部75に土壌が載せられたときの計量台72の重量の測定値(140.01g)を差し引いた差分値である。
【0097】
以上説明したように、連続算出装置77によれば、複数の第1容器5から取り出される一定体積量の土壌の重量を連続的に算出することができる。そのため、複数の第1容器5から取り出される一定体積量の土壌の重量を、効率良く迅速に且つ正確に算出することが可能となる。
【0098】
<抽出装置>
次に、抽出装置4について説明する。
図1図20図22図28に示すように、抽出装置4は、第2容器80を備えている。
第2容器80は、ふるい装置3によって異物が除去された土壌を収容し、収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器である。抽出液が第2容器80に供給されることによって、第2容器80に収容された土壌に含まれる成分が抽出され、この成分を含んだ液が分析に供される。
【0099】
図28図29図30に示すように、第2容器80は、容器本体80aと、容器本体80aの上部に形成されたフランジ80bとを有している。第2容器80は、円板状の底部80cと、底部80cの外縁から立ち上がる筒状の周壁部80dとを有している。底部80cと周壁部80dとは、有底円筒状の容器本体80aを構成している。
図1図29図30に示すように、第2容器80の上部(容器本体80aの上部)には、土壌を入れるための取入口80e(以下、「第2取入口80e」という)が設けられている。フランジ80bは、第2取入口80eの周囲に形成されている。図29図30に示すように、第2容器80の底部には、土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔80fが形成されている。第2容器80には、液出孔80fの周囲にて底部80cから立ち上がる筒状部80gが設けられている。
【0100】
図29に示すように、液出孔80fは、底部80cの中心に形成されている。本実施形態の場合、液出孔80fは円形孔である。筒状部80gは、円筒状に形成されている。液出孔80fの中心と筒状部80gの中心(軸心)とは一致している。筒状部80gの内径は、液出孔(円形孔)80fの直径よりも大きい。本実施形態の場合、筒状部80gの内径は、液出孔80fの直径の2倍以上(具体的には3倍以上)である。筒状部80gの高さは、周壁部80dの高さよりも低い。本実施形態の場合、筒状部80gの高さは、周壁部80dの高さの半分以下(具体的には3分の1以下)である。
【0101】
図30に示すように、第2容器80は、底部80cから下方に突出する下方突出部80hを有している。下方突出部80hは、底部80cの中心から下方に突出している。液出孔80fは、下方突出部80hを貫通して形成されている。下方突出部80hは、下方に向かうにつれて外径が小さくなっている。
図31に示すように、下方突出部80hには、導液部材81を装着することができる。導液部材81は、筒状部81aと鍔部81bとを有している。筒状部81aは、導液孔81cを有している。鍔部81bは、筒状部81aの上下方向の中途部に設けられている。筒状部81aの上部は、下方突出部80hに外嵌することができる。筒状部81aを下方突出部80hに外嵌した状態で、液出孔80fと導液孔81cとが連通する。
【0102】
図28図31図22等に示すように、抽出装置4は、蓋体82(以下、「第2蓋体82」という)を備えている。第2蓋体82は、第2容器80の第2取入口80eを塞ぐ。第2蓋体82は、第2容器80のフランジ80bの上面に当接することにより、第2取入口80eを塞ぐ。
図31図32に示すように、第2蓋体82は、抽出液を第2容器80内に供給する液注入部82aと、空気を第2容器80内に供給する空気注入部82bと、を備えている。
【0103】
液注入部82aは、第2蓋体82を貫通する液注入孔82cと、液注入孔82cに接続された液注入用の管体82dとを有している。液注入用の管体82dには、液注入用のチューブ82eの一端部が接続される。図20に示すように、液注入用のチューブ82eの他端部は、液供給装置200に接続されている。液供給装置200の構成については、後ほど説明する。
【0104】
液供給装置200からチューブ82eを通って供給される抽出液は、管体82dを介して液注入孔82cから第2容器80内に注入される(図31の矢印G1参照)。第2容器80内に注入された抽出液は、第2容器80内に収容された土壌D1に含まれる成分を抽出する。
空気注入部82bは、第2蓋体82を貫通する空気注入孔82gと、空気注入孔82gに接続された空気注入用の管体82hとを有している。空気注入用の管体82hには、空気注入用のチューブ82iの一端部が接続される。空気注入用のチューブ82iの他端部は、エアシリンダやエアコンプレッサ等の空気供給装置(図示略)に接続されている。
【0105】
空気供給装置からチューブ82iを通って供給される空気は、管体82hを介して空気注入孔82gから第2容器80内に注入される(図32の矢印G2参照)。第2容器80内に注入された空気によって第2容器80内の圧力が上昇するため、抽出液が土壌に浸透して土壌を通過し、土壌を通過した抽出液である通過液が液出孔80fから押し出される(図32の矢印G3参照)。
【0106】
図32に示すように、液出孔80fから押し出された通過液は、第2容器80の下方に配置された受け容器96に収容される、受け容器96は、筒状部96aと底板部96bを有している。筒状部96aの上部は開放されている。底板部96bは、筒状部96aの下端を塞ぐように設けられている。図1に示すように、前処理装置1が複数の第2容器80を備える場合、受け容器96は第2容器80の夫々の下方に配置される。受け容器96は、基台50上に設置される。
【0107】
図20に示すように、抽出装置4は、第2蓋体82を移動させる蓋移動機構28を備えている。蓋移動機構28は、第2蓋体82を第1位置(図20の仮想線参照)と第2位置(図20の実線参照)とに移動させる。第2蓋体82は、第1位置にあるときに第2容器80の第2取入口80eを塞ぐ。第2蓋体82は、第2位置にあるとき第2容器80の第2取入口80eから離反する。蓋移動機構28は、例えば、シリンダ装置等から構成されるが、第2蓋体82を第1位置と第2位置とに移動させることが可能なものであれば特に限定されない。また、蓋移動機構28による第2蓋体82の移動方向は、上下方向C(図20参照)には限定されず、前後方向や装置幅方向等の他の方向であってもよい。
【0108】
図1図22図28図31等に示すように、抽出装置4は、第2容器80を支持する第2支持部83を有している。第2支持部83は、固定体84と可動体85とを有している。固定体84は、後述するスライダ140上に固定されている。可動体85は、固定体84に対して水平軸回りに傾動可能である。
固定体84は、第1部位84aと第2部位84bとを有している。第1部位84aは、可動体85を回動可能に支持している。第2部位84bは、第1部位84aを下方から支持している。
【0109】
可動体85は、第2支持板86と第2基部87とを有している。第2支持板86は、薄板状であってもよいし(図1参照)、厚板状(ブロック状)であってもよい(図22図28図31参照)。図1図22図31に示すように、第2支持板86には、第2容器80の筒状部80gが挿入される挿入孔86aが形成されている。第2支持板86の上面は、第2容器80のフランジ80bを下方から支持している。第2基部87は、第2支持板86の後部から下方に延びている。
【0110】
図33に示すように、抽出装置4は、第2容器80を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構90を備えている。図33において、直立姿勢にある第2容器80を仮想線で示し、傾斜姿勢にある第2容器80を実線で示している。第2容器80は、直立姿勢にあるとき、第2容器80の中心軸CL1が上下方向(鉛直方向)を向く。第2容器80は、傾斜姿勢にあるとき、第2容器80の中心軸CL1が上下方向を向く直線(鉛直線)に対して傾く。第2容器80が傾斜姿勢にあるときの傾斜角度(鉛直線に対する角度)は、例えば30°に設定される。但し、傾斜角度は、30°には限定されず、例えば20°~45°の範囲に設定される。
【0111】
傾動機構90は、第2支持部83の可動体85を動かすことによって、第2容器80を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更する。図20図28図33に示すように、傾動機構90は、可動体85を支持する支軸91と、可動体85を支軸91と共に回転させる回転操作部92と、を有している。支軸91は、水平方向に延びる軸心回りに回転可能である。本実施形態の場合、支軸91の軸心は、機体幅方向に延びている。支軸91は、固定体84の第1部位84aを貫通している。
図28図31に示すように、回転操作部92は、支軸91の一端部に装着された装着体93と、装着体93に取り付けられたハンドル94を有している。装着体93は、円筒状に形成されている。ハンドル94は、装着体93の外周面から上方に突出した突出体97に取り付けられている。
【0112】
ハンドル94を押し下げて支軸91を中心として回動させる(図31の矢印H1参照)と、装着体93が支軸91を中心として回動する。この装着体93の回動に伴って、支軸91が軸心CM回りに回転する(図31の矢印H2参照)。このように、支軸91が軸心CM回りに回転することによって、第2支持部83の可動体85が支軸91と共に回転する。これにより、可動体85と共に第2容器80が移動(傾動)するため、第2容器80を直立姿勢(図33の仮想線で示す姿勢)から傾斜姿勢(図33の実線で示す姿勢)に変更することができる。また、ハンドル94を反対方向(矢印H1と逆方向)に回動すると、第2容器80を傾斜姿勢から直立姿勢に変更することができる。
【0113】
図28図31に示すように、本実施形態の場合、装着体93は、複数(本実施形態の場合は2つ)のねじ95によって固定体84の第1部位84aに取り付けられている。2つのねじ95は、装着体93に形成された2つの貫通孔に挿通され、第1部位84aに形成された2つのねじ孔に螺合されている。2つの貫通孔と2つのねじ孔は、支軸91を中心とした円弧上に間隔をあけて形成されている。ねじ95をねじ孔から外した状態では、装着体93が回転可能となる。ねじ95をねじ孔に螺合した状態では、装着体93は回転不能となる。装着体93が回転不能となると、可動体85の傾きを変更することができる。装着体93が回転可能となると、可動体85の傾きが固定される。
【0114】
傾動機構90は、可動体85を第1位置(図33の仮想線位置)と第2位置(図33の実線位置)とに固定することができる。2つの貫通孔と2つのねじ孔を重ねて、2つのねじ95をねじ孔に螺合した状態では、可動体85が第1位置に固定される。上方の貫通孔と下方のねじ孔を重ねて、1つのねじ95を下方のねじ孔に螺合した状態では、可動体85が第2位置に固定される。
【0115】
図31図33に示すように、傾動機構90は、可動体85の傾動を規制するストッパ98を有している、ストッパ98は、可動体85を第1位置から第2位置に向けて傾動させたとき、第2位置に到達した可動体85に当接する。そのため、可動体85の第2位置を越える傾動が規制(阻止)される。これにより、第2容器80が傾斜姿勢にあるときの傾斜角度を一定とすることができる。
【0116】
図20に示すように、第2容器80は、第1容器5よりも下方に配置されている。そして、図34Aに示すように、第2容器80(具体的には、容器本体80a)は、直立姿勢にあるときは平面視にて第1容器5と重ならない位置にある。
図20に示すように、第2容器80は、直立姿勢から傾斜姿勢となるとき、第2容器80の上部が水平方向にて第1容器5に接近する方向に傾斜する。そして、図34Bに示すように、第1容器5の計量部材13が第2位置(図20に示す位置)にある状態にて、第2容器80が傾斜姿勢にあるとき、平面視にて第2容器80の上部(容器本体80aの上部)が第1容器5の計量部材13と重なる位置(計量孔13dと重なる位置)にある。
【0117】
そのため、図20図35の矢印J1に示すように、第1容器5の第2位置にある計量部材13の計量孔13dに満たされた土壌を第2容器80の上方から第2容器80内に落下供給することができる。つまり、第2容器80は、傾斜姿勢において、計量部材13から(計量孔13dから)落下供給される土壌を受け入れることができる。つまり、第2容器80は、傾斜姿勢において、ふるい装置3により異物が除去された一定体積量の土壌を受け入れることができる。
【0118】
図35に示すように、第2容器80が傾斜姿勢において計量部材13から落下供給される土壌を受け入れるとき、当該土壌を筒状部80gの外側(外周側)に受け入れる。詳しくは、第2容器80が傾斜姿勢において計量部材13から落下供給される土壌を受け入れるとき、当該土壌を周壁部80dの内面に当てて受け入れる(矢印J1参照)。このとき、周壁部80dの内面は、上下方向(鉛直方向)に対して傾斜した傾斜面となっている。そのため、計量部材13から落下供給される土壌は、周壁部80dの内面に沿って滑り落ち、筒状部80gの周面に当たって止められる。これにより、計量部材13から供給された土壌が、そのまま液出孔80fから落下してしまうことを防止できる。
【0119】
第2容器80は、傾斜姿勢において計量部材13から供給される土壌を受け入れた後、直立姿勢に戻される。図31に示すように、第2容器80は、直立姿勢に戻された後、第2蓋体82の液注入部82aから抽出液が供給される(矢印G1参照)。
尚、傾動機構90により第2容器80を直立姿勢から傾動姿勢に変更するとき、第2蓋体82を第2容器80から取り外して(図33の矢印N1参照)行ってもよいし、第2蓋体82を第2容器80に装着した状態で行ってもよい。第2蓋体82を取り外した状態で第2容器80を傾動させる場合、第2容器80を直立姿勢に戻した後、第2容器80に第2蓋体82を装着する。
【0120】
第2支持部83が1つの第2容器80を支持する構成である場合、傾動機構90は、1つの第2容器80を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更する。図1に示すように、抽出装置4の第2支持部83が複数の第2容器80を支持する構成を有している場合、傾動機構90は、複数の第2容器80を同時に直立姿勢と傾斜姿勢とに変更することができる。
第2支持部83が複数の第2容器80を支持する構成である場合、第2支持部83の第2支持板86には、複数の挿入孔86aが形成される。複数の挿入孔86aには、夫々第2容器80の容器本体80aを挿入することができる。これにより、第2支持部83は、複数の第2容器80を支持することができる。
【0121】
図1,図2に示す例では、第2支持部83は、一列に並んだ複数の挿入孔86aを有している。そのため、第2支持部83は、複数の第2容器80を一列に並べて支持することができる。第2容器80の数が多い場合、第2支持部83は、複数の第2容器80を二列又は三列以上に並べて支持するように構成してもよい。
第2支持部83が支持する第2容器80の数は、第1支持部30が支持する第1容器5の数と同じである。本実施形態の場合、第2支持部83は、5つの第2容器80を支持することができる。複数の第2容器80の夫々に対応して第2蓋体82が配置される。そのため、第2容器80の数と第2蓋体82の数は同じである。
【0122】
図36に示すように、抽出装置4は、第2支持部83に支持された複数の第2容器80の夫々に対して抽出液を供給することができる液供給部100を有している。液供給部100は、複数の第2蓋体82に夫々形成された液注入部82aを有している。液注入部82aの構成は、図31に示した通りである。即ち、図31に示したように、液注入部82aは、第2蓋体82を貫通する液注入孔82cと、液注入孔82cに接続された液注入用の管体82dとを有している。液注入用の管体82dには、液注入用のチューブ82eの一端部が接続される。
【0123】
図36に示すように、液注入孔82cは、複数の第2蓋体82の夫々に形成されている。管体82dは、複数の液注入孔82cに夫々接続されている。チューブ82eの一端部は、複数の管体82dに夫々接続されている。複数のチューブ82eの他端部は、後述する液供給装置200のシリンジ204の吐出ノズル204aに接続されている。
上記構成の液供給部100を備えた抽出装置4によれば、矢印K1に示すように、第2支持部83に支持された複数の第2容器80の夫々に対して抽出液を供給することが可能となる。
【0124】
抽出装置4は、第2支持部83に支持された複数の第2容器80の夫々に対して空気を供給することができる空気供給部110を有している。空気供給部110は、複数の第2蓋体82に夫々形成された空気注入部82bを有している。空気注入部82bの構成は、図32に示した通りである。即ち、図32に示したように、空気注入部82bは、第2蓋体82を貫通する空気注入孔82gと、空気注入孔82gに接続された空気注入用の管体82hとを有している。空気注入用の管体82hには、空気注入用のチューブ82iの一端部が接続される。
【0125】
図36に示すように、空気注入孔82gは、複数の第2蓋体82の夫々に形成されている。管体82hは、複数の空気注入孔82gに夫々接続されている。チューブ82iは、複数の管体82hに夫々接続されている。複数のチューブ82iは、エアシリンダやエアコンプレッサ等の空気供給装置(図示略)に接続されている。
上記構成の空気供給部110を備えた抽出装置4によれば、矢印K2に示すように、第2支持部83に支持された複数の第2容器80の夫々に対して空気を供給することが可能となる。
【0126】
<第2加振機構>
図22図28図37に示すように、抽出装置4は、第2容器80を振動させる加振機構130(以下、「第2加振機構130」という)を備えている。
第2加振機構130は、第2支持部83に支持された第2容器80を振動させる。
第2加振機構130は、第2モータ131、動作変換部132、スライダ140を有している。尚、図22図28図37では、第2支持部83が1つの第2容器80を支持する構成に対して第2加振機構130を適用した状態を示している。しかし、第2支持部83が複数の第2容器80を支持する構成(図1図2等参照)に対して第2加振機構130を適用することも勿論可能である。この場合、第2加振機構130は、第2支持部83に支持された複数の第2容器80を振動させる。
【0127】
図22に示すように、第2モータ131は、下向きに延びる第2回転軸131aを有している。図28に示すように、第2モータ131は、第2モータ台135上に固定されている。第2モータ台135は、第2支持脚136によって下方から支持されている。第2支持脚136は、後述する第2載置台163上に立設されている。
動作変換部132は、第2モータ131の第2回転軸131aの軸心回りの回転動作を円運動の動作に変換する。動作変換部132は、第2カム体137と第2規制板138とを有している。第2カム体137は、第2回転軸131aの下部に取り付けられており、第2回転軸131aと共に回転する。第2カム体137には、下方に向けて突出する突出部137aが設けられている。図37に示すように、突出部137aは、第2回転軸131aに対して偏心した位置に設けられている。そのため、突出部137aは、第2回転軸131aの回転に伴って、第1回転軸41aの軸心を中心とする平面視円形の軌跡を描くように回転する。
【0128】
第2規制板138は、第2容器80を支持する第2支持部83の移動方向を規制する。第2規制板138は、厚みのある円版状に形成されている。第2規制板138は第2支持部83に固定されている。詳しくは、第2規制板138は、第2支持部83の固定体84の上面(第2部位84bの上面)に固定されている。図28図37に示すように、第2規制板138は、円形孔138aを有している。円形孔138aには、第2カム体137の突出部137aが挿入されている。
【0129】
図22に示すように、第2支持部83(固定体84、可動体85)は、スライダ140上に配置されている。第2支持部83の固定体84は、スライダ140上に固定されている。スライダ140は、基台50の第2支持台52上に配置されている。スライダ140は、第2支持部83を装置幅方向及び前後方向に移動(スライド)可能としている。
図22図28図38に示すように、スライダ140は、第1スライダ141と第2スライダ142とを含む。
【0130】
図38に示すように、第1スライダ141は、第1固定部141Aと第1移動部141Bとを有している。第1固定部141Aは、後述する第2載置台163上に固定されている。第1固定部141Aの上面には、前後方向に延びる凸条141cが形成されている。第1移動部141Bの下面には、前後方向A(基台50の上面に平行な第3方向)に延びる凹条141dが形成されている。第1固定部141Aの凸条141cは、第1移動部141Bの凹条141dに嵌め入れられている。これにより、第1移動部141Bは、第1固定部141Aに対して前後方向Aに移動(スライド)可能となっている。
【0131】
図38に示すように、第2スライダ142は、第2固定部142Aと第2移動部142Bとを有している。第2固定部142Aは、第1移動部141Bの上部に固定されている。第2固定部142Aの上面には、装置幅方向Bに延びる凸条142cが形成されている。第2移動部142Bの下面には、装置幅方向(基台50の上面に平行で且つ第3方向と直交する第4方向)に延びる凹条142dが形成されている。第2固定部142Aの凸条142cは、第2移動部142Bの凹条142dに嵌め入れられている。これにより、第2移動部142Bは、第2固定部142Aに対して装置幅方向Bに移動(スライド)可能となっている。
【0132】
このように、スライダ140が前後方向Aに移動可能な第1スライダ141と装置幅方向Bに移動可能な第2スライダ142とを含むことにより、第2支持部83は前後方向及び装置幅方向(左右方向)に移動可能となる。
尚、図示していないが、上述した第1加振機構40のスライダ43を、スライダ140と同様の構成としてもよい。即ち、スライダ43を第1スライダ141と第2スライダ142とを含むものとしてもよい。この場合、第1支持部30も前後方向及び装置幅方向に移動可能となる。
【0133】
図37に示すように、第2モータ131の第2回転軸131aが矢印M1方向に回転すると、第2カム体137の突出部137aが第2回転軸131a回りに矢印M2で示すように回転する。すると、第2規制板138が、円形孔138aに挿入された突出部137aによって押されるため、突出部137aと共に回転移動する。ここで、第2支持部83は、スライダ140によって装置幅方向及び前後方向に移動可能となっているため、回転移動が可能である。そのため、第2規制板138の回転移動に伴って第2支持部83が回転移動する(矢印M3参照)。
【0134】
このように、第2加振機構130は、第2モータ131の回転によって、第2支持部83を回転移動させることができる。これにより、第2支持部83に支持された第2容器80が振動(円運動)する。第2容器80が振動することにより、第2容器80内の抽出液及び土壌が攪拌される。これにより、土壌中に抽出液を満遍なく行き渡らせることができる。
【0135】
第2加振機構130は、傾斜姿勢(図33の実線で示す姿勢)にある第2容器80を振動させる。直立姿勢にある第2容器80を振動させた場合、第2容器80内にある土壌が遠心力によって周壁側に偏るため、抽出液と混ざりにくい。一方、傾斜姿勢にある第2容器80を振動させた場合、土壌が第2容器80内にて複雑な動きで大きく移動し、周壁側に偏らないため、抽出液と混ざりやすくなる。
【0136】
第2取入口80eから抽出液や土壌が溢れ出ることを防止するために、第2加振機構130による第2容器80の振動は、第2蓋体82により第2取入口80eを塞いだ状態で行うことが好ましい。但し、第2取入口80eから抽出液や土壌が溢れ出ない条件(傾斜角度や振動の強さ等)で第2容器80を振動させる場合は、第2蓋体82を第2容器80から取り外した状態で第2容器80を振動させてもよい。
【0137】
第2加振機構130による第2容器80の振動は、液出孔80f(図29図30参照)を塞いだ状態で行うことが好ましい。図33に示すように、抽出装置4は、液出孔80fからの通過液(土壌を通過した抽出液)の漏出を防ぐキャップ149を有している。キャップ149は、柔軟性を有する素材(例えば、ゲル材や軟質ゴム等)から構成されている。キャップ149は、第2容器80の下方突出部80hに装着される導液部材81の下端部に当接することにより、液出孔80fを塞ぐ(液出孔80fが外部と連通しない状態とする)。尚、導液部材81を装着しない場合、キャップ149は下方突出部80hの下端部に当接することにより液出孔80fを塞ぐ。
【0138】
図33に示すように、キャップ149は、第2容器80が傾斜姿勢となったときに、導液部材81又は下方突出部80hの下端部に当接する位置に配置される。これにより、第2容器80が傾斜姿勢となったときに、液出孔80fがキャップ149により塞がれる。第2加振機構130による第2容器80の振動は第2容器80を傾斜姿勢として行うため、第2加振機構130が第2容器80を振動させるときに液出孔80fはキャップ149により塞がれる。そのため、第2加振機構130による第2容器80の振動の最中に、液出孔80fから通過液が漏れ出すことが防がれる。
【0139】
図33に示すように、抽出装置4は、第2容器80内の圧力を調整可能な圧力調整装置120を備えていてもよい。圧力調整装置120は、真空ポンプ等の負圧発生装置121と、負圧発生装置121に接続されたチューブ122とを備えている。チューブ122は、第2蓋体82に設けられた空気注入孔82gに接続された管体82hに接続することができる。負圧発生装置121を駆動してチューブ122から第2容器80内の空気を吸引することにより、第2容器80内を負圧とすることができる。
【0140】
圧力調整装置120は、第2加振機構130が第2容器80を振動させるときに、第2容器80内を負圧とする。これにより、キャップ149を使用せずとも、第2加振機構130による第2容器80の振動の最中に液出孔80fから通過液が漏れ出すことを防ぐことができる。
【0141】
<防振機構>
図22等に示すように、前処理装置1は、支持部(第1支持部30、第2支持部83)から基台50へと伝播する振動を低減させる防振機構150を備えている。以下の説明において、第1支持部30と第2支持部83とを纏めて「支持部153」という場合がある。防振機構150は、支持部153と基台50との間に介装されている。
【0142】
防振機構150は、第1防振機構151と第2防振機構152とを含む。第1防振機構151は、第1支持部30から基台50へと伝播する振動を低減させる。第2防振機構152は、第2支持部83から基台50へと伝播する振動を低減させる。尚、図1図2では、第1防振機構151のみを簡略化して示しており、第2防振機構152は省略している。
【0143】
先ず、第1防振機構151について説明する。
図22に示すように、第1防振機構151は、載置台154(以下、「第1載置台154」という)と、介装体155(以下、「第1介装体155」という)を有している。第1載置台154は、基台50上(詳しくは、第1支持台51上)に載置される。第1載置台154には、第1支持部30がスライダ43を介して載置される。第1介装体155は、基台50と第1載置台154との間に介装される。
【0144】
第1介装体155は、基台50と第1載置台154とを連結するスプリング156を含む。スプリング156は、基台50の第1支持台51と第1載置台154とを連結している。第1支持台51には、スプリング156の一端部を固定する固定部51aが設けられている。
図39に示すように、スプリング156は、一対の第1スプリング157,157を含む。第1スプリング157は、第1載置台154の左部と右部とに夫々取り付けられている。第1スプリング157は、基台50の上面に平行な第1方向に延びている。第1方向は、第1加振機構40のスライダ43の移動部43Bの移動方向と一致している。本実施形態の場合、第1方向は、装置幅方向Bである。これにより、一対の第1スプリング157,157は、装置幅方向Bの振動を減衰させることができる。これにより、スプリング156は、第1支持部30から基台50へと伝播する装置幅方向(左右方向)の振動を低減させることができる。
【0145】
図22図39に示すように、第1介装体155は、基台50と第1載置台154との間に介装されたボールローラ160(以下、「第1ボールローラ160」という)を含む。第1ボールローラ160は、基台50の第1支持台51と第1載置台154との間に配置されている。第1ボールローラ160は、球形のボール161と、ボール161を回転可能に保持するボール保持部162とを有している。ボール保持部162は、基台50の第1支持台51の上面に固定されている。ボール161は、ボール保持部162から上部の表面を露出させた状態で保持されている。ボール161は、ボール保持部162に保持された状態で360°任意の方向に回転可能である。ボール161の上部(頂点)は、第1載置台154の下面(水平面)に当接している。
【0146】
第1ボールローラ160は、基台50の上面と平行な同一面内の少なくとも3箇所に配置されて第1載置台154を支持している。これにより、第1載置台154が少なくとも3点で第1ボールローラ160により支持されるため、第1載置台154が安定した状態で支持される。図22に示すように、本実施形態の場合、第1ボールローラ160は、基台50の上面と平行な同一面内に3箇所(3つ)配置されている。また、図39に示すように、3つの第1ボールローラ160は、平面視にて正三角形状に配置されている。
【0147】
上記した第1防振機構151によれば、基台50と第1載置台154との間に第1ボールローラ160が介装されているため、第1載置台154は基台50(第1支持台51)上で基台50に対して動くことができる。そのため、第1加振機構40によって第1支持部30を振動させたとき、第1支持部30の振動はスライダ43を介して第1載置台154に伝播されるが、この振動は第1載置台154が基台50に対して動くことで、直接的に基台50に伝播しない。また、第1載置台154の動き(振動)は、スプリング156を介して基台50に伝播される。そのため、第1載置台154から基台50に伝播する振動は、スプリング156により減衰する。
【0148】
上述した第1ボールローラ160とスプリング156の作用によって、、第1防振機構151は、第1支持部30から基台50へと伝播する振動を低減させることができる。
次に、第2防振機構152について説明する。
図22に示すように、第2防振機構152は、載置台163(以下、「第2載置台163」という)と、介装体164(以下、「第2介装体164」という)を有している。第2載置台163は、基台50上(詳しくは、第2支持台52上)に載置される。第2載置台163には、第2支持部83がスライダ140を介して載置される。第2介装体164は、基台50と第2載置台163との間に介装される。
【0149】
第2介装体164は、基台50と第2載置台163とを連結するスプリング166を含む。スプリング166は、基台50の第2支持台52と第2載置台163とを連結している。第2支持台52には、スプリング166の一端部を固定する固定部52aが設けられている。
図40に示すように、スプリング166は、第1スプリング167と第2スプリング168とを含む。第1スプリング167と第2スプリング168は、夫々一対のスプリングから構成されている。第1スプリング167は、第2載置台163の左部と右部とに夫々取り付けられている。第2スプリング168は、第2載置台163の前部と後部とに夫々取り付けられている。
【0150】
第1スプリング167は、基台50の上面に平行な第1方向に延びている。第1方向は、第2加振機構130のスライダ140の第2移動部142Bの移動方向と一致している。本実施形態の場合、第1方向は、装置幅方向Bである。第2スプリング158は、基台50の上面に平行で且つ第1方向と直交する第2方向に延びている。第2方向は、第2加振機構130のスライダ140の第1移動部141Bの移動方向と直交する方向である。本実施形態の場合、第2方向は、前後方向Aである。
【0151】
第1スプリング167は、装置幅方向の振動を減衰させることにより、第2支持部83から基台50へと伝播する装置幅方向(左右方向)の振動を低減させる。第2スプリング168は、前後方向の振動を減衰させることにより、第2支持部83から基台50へと伝播する前後方向の振動を低減させる。
第2介装体164は、基台50と第2載置台163との間に介装されたボールローラ170(以下、「第2ボールローラ170」という)を含む。第2ボールローラ170は、基台50の第2支持台52と第2載置台163との間に配置されている。第2ボールローラ170は、球形のボール171と、ボール171を回転可能に保持するボール保持部172とを有している。第2ボールローラ170の構成は、第1ボールローラ160と同様である。ボール171の上部(頂点)は、第2載置台163の下面(水平面)に当接している。
【0152】
第2ボールローラ170は、基台50の上面と平行な同一面内の少なくとも3箇所に配置されて第2載置台163を支持している。図22に示すように、本実施形態の場合、第2ボールローラ170は、基台50の上面と平行な同一面内に3箇所(3つ)配置されている。また、図40に示すように、3つの第2ボールローラ170は、平面視にて正三角形状に配置されている。
【0153】
上記した第2防振機構152によれば、基台50と第2載置台163との間に第2ボールローラ170が介装されているため、第2載置台163は基台50(第2支持台52)上で基台50に対して動くことができる。そのため、第2加振機構130によって第2支持部83を振動させたとき、第2支持部83の振動はスライダ140を介して第2載置台163に伝播されるが、この振動は第2載置台163が基台50に対して動くことで、直接的に基台50に伝播しない。また、第2載置台163の動き(振動)は、スプリング156を介して基台50に伝播される。そのため、第2載置台163から基台50に伝播する振動は、スプリング156により減衰する。
【0154】
上述した第2ボールローラ170とスプリング156の作用によって、第2防振機構152は、第2支持部83から基台50へと伝播する振動を低減させることができる。
前処理装置1は、、上述した第1防振機構151と第2防振機構152とを備えている。これにより、第1加振機構40を作動させた場合と第2加振機構130を作動させた場合の両方において、支持部153(第1支持部30、第2支持部83)から基台50へと伝播する振動を低減させることができる。そのため、前処理装置1によって前処理(ふるい装置3によるふるい処理、抽出装置4による抽出前の攪拌処理)を行ったときに、前処理装置1が設置された机や台等が振動してしまうことを防止できる。その結果、前処理装置1が設置された机や台に載せた物が落下することや、机や台で他の作業を行うことに支障をきたすことを防ぐことができる。
【0155】
<液供給装置>
図1図2に示すように、前処理装置1は、抽出装置4に抽出液を供給する液供給装置200を備えている。液供給装置200は、基台50上に配置されている。図1図2では、液供給装置200は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4の下方に配置されている。但し、液供給装置200が配置される位置は、図1図2に示した位置には限定されない。例えば、液供給装置200は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4に対して前後方向又は左右方向にズレた位置の基台50上に配置してもよい。また、液供給装置200の全部又は一部(例えば後述するタンク201)を基台50から離れた位置に配置してもよい。
【0156】
図41に示すように、液供給装置200は、抽出液を貯蔵するタンク201を備えている。また、図41図42図43に示すように、液供給装置200は、複数の第2容器80の夫々に個別に抽出液を供給可能な複数の供給具202を有している。また、図41に示すように、液供給装置200は、複数の供給具202の夫々と複数の第2容器80の夫々とを繋ぐ複数の供給管203を有している。
【0157】
図42図43に示すように、複数の供給具202は、固定部材223A,223Bによって基板224に固定されている。固定部材223Aは、供給具202の前部を基板224の表面に固定している。固定部材223Bは、供給具202の前後方向の中途部を基板224の表面に固定している。図42に仮想線で示すように、固定部材223Aの上部と固定部材223Bの上部とは、板材225により接続される。板材225は、複数の供給具202の前部の上方を覆う。
【0158】
複数の供給具202は、互いに平行に並べて配置されている。本実施形態の場合、複数の供給具202は、水平方向に一列に並んで配置されている。但し、複数の供給具202は、二列以上に並べて配置してもよいし、上下方向に並べて配置してもよい。
複数の供給具202の夫々は、抽出液を入れるシリンジ204と、シリンジ204に入った抽出液を押し出すプランジャ205とを有している。シリンジ204の先端には、吐出ノズル204aが設けられている。
【0159】
複数の供給管203は、複数の供給具202のシリンジ204の夫々と複数の第2容器80の夫々とを繋いでいる。供給管203の一端部は、吐出ノズル204aに接続される。供給管203の他端部は、第2蓋体82に設けられた液注入部82aの管体82dに接続される。供給管203は、上述した液注入用のチューブ82e(図20図31参照)を含む。供給管203は、チューブ82eのみから構成されていてもよいし、チューブ82eと他の管とを連結したものであってもよい。
【0160】
図41に示すように、複数の供給管203の中途部には、夫々三方切替弁206が設けられている。三方切替弁206は、第1ポート207と第2ポート208と第3ポート209とを有している。第1ポート207には、シリンジ204と接続される第1管210が接続されている。第2ポート208には、タンク201と接続される第2管211が接続されている。第3ポート209には、第2容器80と接続される第3管212が接続されている。第1管210は、供給管203の一部(シリンジ204側の部分)を構成している。第3管212は、供給管203の残りの一部(第2容器80側の部分)を構成している。
【0161】
三方切替弁206は、第1の状態と第2の状態とに切り替え可能である。
三方切替弁206を第1の状態に切り替えると、第1ポート207と第2ポート208とが連通状態となる。この状態において、プランジャ205を引く(後退させる)と、タンク201に入った抽出液が吸い出され(矢印P1参照)、第2管211を通って第2ポート208に入り、第1ポート207から出て第1管210を通ってシリンジ204内に供給される。
【0162】
三方切替弁206を第2の状態に切り替えると、第1ポート207と第3ポート209とが連通状態となる。この状態において、プランジャ205を押す(前進させる)と、シリンジ204に入った抽出液が第1管210を通って第1ポート207に入り、第3ポート209から出て第3管212を通って第2容器80内に供給される(矢印P2参照)。
図42図43に示すように、液供給装置200は、複数の供給具202のプランジャ205を同時に移動させるシリンダ装置220を有している。シリンダ装置220は、固定部226により基板224に固定されている。シリンダ装置220のロッド221は、シリンジ204の長手方向に延びており、シリンジ204の長手方向に進退する。
【0163】
基板224の表面には、リニアガイド227が取り付けられている。リニアガイド227は、基板224の表面に固定されたガイドレール227aと、ガイドレール227aに沿って移動可能な移動部材227bとを有している。ガイドレール227aは、シリンジ204の長手方向(ロッド221の進退方向)に延びている。ガイドレール227aは、複数の供給具202の並び方向の一端側と他端側に夫々配置されている。
【0164】
複数の供給具202のプランジャ205は、連結部材222により連結されている。連結部材222は、複数の供給具202の並び方向に延びている。連結部材222は、移動部材227bと連結されている。連結部材222の一端側は、一方の移動部材227bと連結されている。連結部材222の他端側は、他方の移動部材227bと連結されている。連結部材222は、移動部材227bと共にガイドレール227aに沿って移動可能である。
【0165】
シリンダ装置220のロッド221は、連結部材222と接続されている。これにより、シリンダ装置220を駆動してロッド221を進退させると、複数の供給具202のプランジャ205が同時に移動する。これにより、複数のシリンジ204内にタンク201から同時に抽出液を取り入れることができる。また、複数のシリンジ204から同時に複数の第2容器80に同時に抽出液を供給することができる。そのため、タンク201から複数の第2容器80への抽出液の供給に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0166】
尚、図44に示すように、液供給装置200は、複数の供給具202のプランジャ205の夫々を個別に移動させる複数のシリンダ装置220を有しているものであってもよい。この場合、複数の第2容器80に対して時間をずらして或いは選択的に抽出液を供給することができる。
【0167】
<基台>
図1図2図22に示すように、基台50は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4を支持している。前処理装置1は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4が、共通の基台50によって支持されている。言い換えれば、前処理装置1は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4が、基台50を介して一体化された装置である。そのため、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4を複数の別体の装置から構成した場合に比べて前処理装置1を小型化することができる。また、土壌分析に必要な複数の前処理(乾燥処理、ふるい処理、抽出処理)を1つの前処理装置1で行うことができるため、作業効率を向上させることができる。
【0168】
また、図1図2に示すように、基台50は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4に加えて、液供給装置200を支持するように構成してもよい。この場合、前処理装置1は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4、液供給装置200が、共通の基台50によって支持されている構成となる。言い換えれば、前処理装置1は、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4、液供給装置200が、基台50を介して一体化された装置となる。この場合、液供給装置200のうち、タンク201以外の構成を基台50上に配置することが好ましい。
【0169】
乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4、液供給装置200が基台50を介して一体化された装置とすることによって、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4、液供給装置200を夫々別体の装置から構成した場合に比べて前処理装置1を小型化することができる。また、土壌分析に必要な複数の前処理(乾燥処理、ふるい処理、液供給及び抽出処理)を1つの前処理装置1で行うことができるため、作業効率を向上させることが可能となる。
【0170】
<前処理方法>
次に、前処理装置1による前処理の方法について説明する。
先ず、圃場から採取した土壌を第1容器5の収容部8に収容する。収容部8に収容された土壌は、乾燥装置2によって乾燥される。具体的には、加熱装置6により収容部8を加熱し、通気装置7により収容部8に空気を通過させることによって、収容部8に収容された土壌を乾燥させる。その後、ふるい装置3の第1加振機構40を作動することにより、第1容器5を振動させる。このとき、収容部8内の土壌は乾燥装置2によって乾燥しているため、振動によって砕けやすくなっている。そのため、収容部8内の土壌は、振動によって所定大きさ未満の粒径の細かい粒子となり、メッシュ板15を通過する。土壌に含まれる異物は、メッシュ板15を通過できずに収容部8内に残る。メッシュ板15を通過した土壌は、管路17を通って計量部材13に向けて落下する。
【0171】
管路17を通って落下した土壌は、計量部材13の計量孔13dに入り、計量孔13dを満たす。計量孔13dに土壌が満たされると、移動機構20が駆動されて押し出し部材21が計量部材13を押す。これにより、計量部材13は、計量孔13dが第1容器5の外部に出る第2位置まで押し出される。計量部材13が第2位置まで押し出されると、計量孔13dに満たされた土壌が落下する。落下した土壌は、傾斜姿勢にある第2容器80に受け入れられる。
【0172】
計量孔13dに満たされた土壌(一定体積量の土壌)の全量が第2容器80内に受け入れられた後、第2容器80は直立姿勢とされる。直立姿勢とされた第2容器80は、第2取入口80eが第2蓋体82により塞がれる。次いで、第2蓋体82に設けられた液注入部82aから抽出液が第2容器80内に供給される。この抽出液の供給は、液供給装置200の駆動により行われる。
【0173】
第2容器80は、抽出液が供給された後、第2取入口80eが第2蓋体82により塞がれた状態で傾斜姿勢とされる。そして、第2容器80は、傾斜姿勢にて第2加振機構130により振動される。これにより、第2容器80内の土壌と抽出液が攪拌され、土壌内に抽出液が均一に行き渡る。
次いで、第2容器80は直立姿勢とされ、第2蓋体82に設けられた空気注入部82bから空気が第2容器80内に供給される。これにより、土壌に浸透していた抽出液が空気圧によって押し出され、土壌を通過した抽出液である通過液として液出孔80fから取り出される。液出孔80fから取り出された通過液は、受け容器96に収容される。
【0174】
受け容器96に収容された通過液は、土壌に含まれる成分を含む液である。この通過液は、土壌分析装置による土壌分析に供される。使用される土壌分析装置の種類は特に限定されず、一般的に圃場等の土壌を分析するために使用される各種の分析装置を使用することできる。
【0175】
<変形例>
図45は、前処理装置1の変形例を示している。
変形例の前処理装置1は、ふるい装置3と抽出装置4が、共通の載置台184に対して着脱可能である。ふるい装置3と抽出装置4は、載置台184上に選択的に載置可能である。詳しくは、ふるい装置3と抽出装置4は、スライダ180を介して載置台184上に選択的に載置可能である。スライダ180は、載置台184の上面に取り付けられている。
【0176】
上述した実施形態の場合、基台50は第1支持台51と第2支持台52を有していたが、変形例の場合、基台50は単一の支持台182を有している。支持台182の上には、単一の載置台184が配置されている。載置台184の上には、スライダ180が配置されている。
スライダ180の構成は、上述したスライダ140の構成と同じである。そのため、スライダ180は、第1スライダ141と第2スライダ142とを含む。第1スライダ141及び第2スライダ142の構成は、上述した通りである。
【0177】
第1スライダ141の第1固定部141Aは、載置台184の上面に固定されている。第1移動部141Bは、第1固定部141Aの上方に配置され、第1固定部141Aに対して前後方向Aに移動(スライド)可能となっている。第2スライダ142の第2固定部142Aは、第1移動部141Bの上部に固定されている。第2移動部142Bは、第2固定部142Aの上方に配置され、第2固定部142Aに対して装置幅方向Bに移動(スライド)可能となっている。
【0178】
スライダ180の上面(第2移動部142Bの上面)には、ふるい装置3と抽出装置4が選択的に取り付け可能となっている。より詳しくは、スライダ180の上面(第2移動部142Bの上面)には、第1容器5を支持する第1支持部30と、第2容器80を支持する第2支持部83とを選択的に取り付け可能である。
ここで、図16及び図45に示すように、第1支持部30は、乾燥装置2とふるい装置3を支持している。そのため、変形例の前処理装置1では、乾燥装置2及びふるい装置3と、抽出装置4とを共通の載置台184に対して着脱可能となる。
【0179】
第2移動部142Bと第1支持部30又は第2支持部83とは、ボルト等の固定具により着脱可能に固定される。固定具を取り外すことによって、第2移動部142Bと第1支持部30又は第2支持部83とを分離することができる。そのため、前処理装置1は、第2移動部142Bと第1支持部30とを固定した状態(矢印Q1参照)と、第2移動部142Bと第2支持部83とを固定した状態(矢印Q2参照)とを選択することができる。
【0180】
第2移動部142Bと第1支持部30とを固定した状態では、第1支持脚89が載置台184の上面に固定される。第2移動部142Bと第2支持部83とを固定した状態では、第2支持脚136が載置台184の上面に固定される。
前処理装置1は、第2移動部142Bと第1支持部30とを固定した状態(矢印Q1参照)では、乾燥装置2及びふるい装置3が載置台184に対して載置された状態となる。前処理装置1は、第2移動部142Bと第2支持部83とを固定した状態(矢印Q2参照)では、抽出装置4が載置台184に対して載置された状態となる。
【0181】
変形例の前処理装置1によれば、乾燥装置2及びふるい装置3と、抽出装置4とを載置台184上に選択的に載置可能であるため、乾燥処理及びふるい処理を行うときには、乾燥装置2及びふるい装置3を載置台184上に載置してふるい処理を行い、抽出処理を行うときには抽出装置4を載置台184上に載置して抽出処理を行うことができる。そのため、各処理時における前処理装置1の大きさを小さくすることができ、前処理装置1の設置スペースを削減することが可能となる。
【0182】
また、上述した変形例において、第1加振機構40の第1モータ41と第2加振機構130の第2モータ131とを兼用化する構成を採用することもできる。この場合、1つのモータを、第1加振機構40の第1モータ41として使用したり、第2加振機構130の第2モータ131として使用したりすることができる。
【0183】
<効果>
上記実施形態の土壌分析の前処理装置1によれば、以下の効果を奏する。
前処理装置1は、圃場で採取した土壌に含まれる成分を分析する前に処理をする前処理装置であって、採取した土壌を乾燥させる乾燥装置2と、乾燥装置2により乾燥された土壌から異物を除去するふるい装置3と、異物が除去された土壌に対して当該土壌に含まれる成分を抽出するための抽出液を供給する抽出装置4と、乾燥装置2、ふるい装置3、及び抽出装置4を支持する基台50と、を備えている。
【0184】
この構成によれば、乾燥装置2、ふるい装置3、抽出装置4が共通の基台50に支持されているため、土壌分析装置により土壌を分析する前に必要な複数の前処理を効率良く行うことが可能であり、設置スペースを削減することもできる。
また、乾燥装置2は、土壌を収容する第1容器5と、第1容器5を加熱する加熱装置6と、第1容器5に空気を通過させる通気装置7と、有している。
【0185】
この構成によれば、第1容器5内に収容された土壌に対して、通気装置7による通気及び加熱装置6による加熱を行うことができるため、土壌を短時間で確実に乾燥させることができる。
また、第1容器5は、収容された土壌を取り出すための取り出し孔11を有し、ふるい装置3は、取り出し孔11を覆うように配置され、異物の通過を阻止するメッシュ板15と、第1容器5を振動させる第1加振機構40と、備えている。
【0186】
この構成によれば、第1加振機構40により第1容器5を振動させることにより、第1容器5に収容された土壌をほぐしながらメッシュ板15を通過させて、取り出し孔11から取り出すことができる。そのため、土壌に含まれる異物をメッシュ板15により除去して、異物が含まれない所定粒径未満の土壌のみを取り出し孔11から取り出すことができる。
【0187】
また、抽出装置4は、異物が除去された土壌を収容する第2容器80と、第2容器80の土壌を入れるための取入口(第2取入口80e)を塞ぐ蓋体(第2蓋体82)と、を備え、第2容器80の底部には、土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔80fが形成され、蓋体(第2蓋体82)は、抽出液を第2容器80内に供給する液注入部82aと、空気を第2容器80内に供給する空気注入部82bと、を備えている。
【0188】
この構成によれば、第2容器80の取入口(第2取入口80e)を蓋体(第2蓋体82)により塞いだ状態で、液注入部82aから抽出液を第2容器80内に供給し、空気注入部82bから空気を第2容器80内に供給することができる。そのため、第2容器80内に収容された土壌に対して、抽出液及び空気を容易に且つ確実に供給することができる。また、空気注入部82bから供給される空気によって、第2容器80に収容された土壌に対して空気圧を加えることができるため、土壌に対して抽出液を短時間で確実に浸透させることが可能となる。
【0189】
また、抽出装置4は、第2容器80を振動させて第2容器80内の抽出液及び土壌を攪拌する第2加振機構130を備えている。
この構成によれば、第2容器80を振動させることによって、第2容器80内に収容された土壌に対して満遍なく抽出液を行き渡らせることができる、そのため、第2容器80内に収容された土壌に含まれる成分を確実に抽出することができる。
【0190】
また、乾燥装置2は、複数の第1容器5を支持する第1支持部30を有し、加熱装置6は、第1支持部30に支持された複数の第1容器5を加熱し、通気装置7は、第1支持部30に支持された複数の第1容器5に空気を通過させる。
この構成によれば、複数の第1容器5に収容された土壌に対して、通気装置7による通気及び加熱装置6による加熱を行うことができるため、複数の第1容器5内の土壌を同時に短時間で確実に乾燥させることができる。
【0191】
また、乾燥装置2は、複数の第1容器5を支持する第1支持部30を有し、第1加振機構40は、第1支持部30に支持された複数の第1容器5を振動させる。
この構成によれば、複数の第1容器5に収容された土壌を同時にほぐしながら、当該土壌に含まれる異物をメッシュ板15により除去して取り出し孔11から取り出すことができる。
【0192】
また、抽出装置4は、複数の第2容器80を支持する第2支持部83を有し、第2加振機構130は、第2支持部83に支持された複数の第2容器80を振動させる。
この構成によれば、複数の第2容器80を同時に振動させることができるため、複数の第2容器80内に収容された土壌に対して、短時間で満遍なく抽出液を行き渡らせることができる、
また、抽出装置4は、第2支持部83に支持された第2容器80の夫々に対して抽出液を供給する液供給部100を有している。
【0193】
この構成によれば、複数の第2容器80の夫々に対して抽出液を供給することができるため、複数の第2容器80に収容された土壌に含まれる成分を効率良く抽出することが可能となる。
また、前処理装置1は、第2容器80を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構90を備え、第2容器80は、第1容器5よりも下方に配置されるとともに、直立姿勢にあるときは平面視にて第1容器5と重ならない位置にあり、直立姿勢から傾斜姿勢となるとき、第2容器80の上部が水平方向にて第1容器5に接近する方向に傾斜する。
【0194】
この構成によれば、第2容器80を直立姿勢としたときには、第1容器5により妨げられることなく第2容器80の上方から抽出液や空気を供給することができ、第2容器80を傾斜姿勢としたときには、第1容器5に収容された土壌を第2容器80へと供給しやすくなる。
また、前処理装置1は、採取した土壌を収容する収容部8を有する第1容器5と、収容部8に収容された土壌から一定体積量の土壌を取り出す計量部材13と、計量部材13を移動させる移動機構20と、を備え、移動機構20は、計量部材13を、第1容器5の内部であって計量部材13で一定体積量を計量する位置である第1位置から、計量部材13で計量した一定体積量の土壌を第1容器5の外部に取り出す位置である第2位置に移動させる。
【0195】
この構成によれば、第1位置で一定体積量を計量した計量部材13を移動機構20により第2位置に移動させることによって、採取した土壌を収容する収容部8から一定体積量の土壌を取り出すことができる。また、収容部8に一定体積量の土壌を収容する操作と、当該土壌を収容部8から取り出す操作とを、一連の動作として効率良く行うことが可能となる。
【0196】
また、第1容器5は、当該第1容器5を計量部材13の移動方向に貫通する貫通孔5dを有し、計量部材13は貫通孔5dに嵌め入れられ、移動機構20は、貫通孔5dに挿入されて、計量部材13の一部を貫通孔5dから押し出す押し出し部材21を有している。
この構成によれば、第1容器5の貫通孔5dに計量部材13が嵌め入れられているため、計量部材13に異物が侵入しにくくなり、計量を精度良く行うことができる。また、計量部材13の一部を貫通孔5dから押し出すことにより、計量部材13にて計量された一定体積量の土壌を第1容器5の外部に取り出すことができる。
【0197】
また、貫通孔5dの上縁部は、計量部材13が第1位置から第2位置に移動するとき、計量部材13から溢れた土壌を第1容器5の内部に落とす摺り切り部5fを構成している。
この構成によれば、計量部材13が第1位置から第2位置に移動するときに、余分な土壌を摺り切り部5fによって第1容器5の内部に落とすことができるため、必要な体積量の土壌のみを第1容器5の外部に取り出すことができる。
【0198】
また、計量部材13は、当該計量部材13を上下方向に貫通する計量孔13dを有しており、押し出し部材21は計量部材13を水平方向に押し出す。
この構成によれば、土壌を上方から落下させて計量孔13dの内部に容易に入れることができるとともに、計量部材13を押し出すことによって計量孔13dに入った土壌を落下させて容易に取り出すことができる。
【0199】
また、計量孔13dは、上部から下部に向けて次第に孔面積が拡がるテーパ状に形成されている。
この構成によれば、計量孔13dの内部で土壌がブリッジしにくくなるため、計量孔13dから土壌を円滑に且つ確実に落下させて取り出すことができる。
また、前処理装置1は、計量部材13から溢れた土壌を検出する検出装置33を備え、移動機構20は、検出装置33により土壌が検出されたとき、計量部材13を第1位置から第2位置に移動させる。
【0200】
この構成によれば、計量部材13に必要な量の土壌が溜まった状態で、計量部材13を第1位置から第2位置に移動させることができる。そのため、必要な一定体積量の土壌を確実に確保した状態の計量部材13により第1位置から第2位置に移動させることができる。
また、第1容器5の下部には、計量部材13に向けて土壌を落下させる透明な管路17が設けられ、検出装置33は、管路17に向けて光を照射する照射部33aと、管路17を通過した光を検出する受光部33bとを有している。
【0201】
この構成によれば、管路17内に土壌が溜まっている場合、照射部33aから照射された光が土壌により遮られるため、受光部33bにより光を検出することができない。管路17内に土壌が溜まっているとき、計量部材13に必要量(一定体積量)の土壌が溜まった状態にある。そのため、検出装置33が受光部33bにより光が検出されない状態を検出することにより、計量部材13に必要量(一定体積量)の土壌が溜まった状態を検出することができる。
【0202】
また、前処理装置1は、土壌から異物を除去するふるい装置3を備え、ふるい装置3により異物が除去された後の土壌が計量部材13に供給される。
この構成によれば、異物が除去された後の土壌を計量部材13により計量できるため、計量部材13によって土壌の体積量を正確に計量することができる。
また、第1容器5は、収容された土壌を取り出すための取り出し孔11を有し、ふるい装置3は、取り出し孔11を覆うように配置されるとともに、第1容器5に収容された土壌中に含まれる所定大きさ以上の異物の通過を阻止するメッシュ板15と、第1容器5を振動させる加振機構(第1加振機構40)と、を備えている。
【0203】
この構成によれば、第1容器5に収容された土壌中に含まれる異物をメッシュ板15により除去した後、取り出し孔11から取り出すことができる。
また、メッシュ板15は、所定大きさ未満の粒径の土壌の通過を許容する通過部15aを有し、第1容器5の内部には、通過部15aを覆う中央位置と、通過部15aの少なくとも一部を露出させる周辺位置とに移動可能な覆い板16が配置され、覆い板16は、第1容器5が振動したときに中央位置から周辺位置に移動する。
【0204】
この構成によれば、第1容器5を振動させる前には、覆い板16を中央位置に配置することにより、土壌が通過部15aを通過することを防いで、土壌を第1容器5内に溜めることができる。また、第1容器5を振動させることにより、覆い板16を中央位置から周辺位置に移動させて、所定大きさ未満の粒径の土壌が通過部15aを通過させて取り出し孔11から取り出すことができる。
【0205】
また、前処理装置1は、シャッタ60と、シャッタ60の駆動を制御する制御装置62と、計量部材13に土壌が収容された状態の計量部材13の重量を測定する重量計測装置61と、を備え、第1容器5は、収容された土壌を取り出すための取り出し孔11を有し、シャッタ60は、取り出し孔11と計量部材13との間に配置されるとともに、取り出し孔11から計量部材13への土壌の移動を許容する許容位置と、取り出し孔11から計量部材13への土壌の移動を阻止する阻止位置とに移動可能であって、制御装置62は、重量計測装置61による重量の測定値が所定値に達したときに、シャッタ60を許容位置から阻止位置に移動させる。
【0206】
この構成によれば、重量計測装置61による重量の測定値が所定値に達したときに、シャッタ60を許容位置から阻止位置に移動させることにより、一定体積量の土壌を確実に取り出し孔11から計量部材13へと移動させることができるとともに、過剰な土壌が計量部材13へと移動することを防ぐことができる。
また、第1容器5は複数設けられており、計量部材13は、複数の第1容器5の収容部8の夫々に対応するように複数設けられており、重量計測装置61は、複数の計量部材13の夫々に対応するように複数設けられており、シャッタ60は、複数の計量部材13の夫々に対応するように複数設けられており、制御装置62は、複数のシャッタ60のうち、重量計測装置61で計測された重量の測定値が所定値に達した計量部材13に対応するシャッタ60を許容位置から阻止位置に移動させ、移動機構20は、複数のシャッタ60の全てが許容位置から阻止位置に移動したとき、複数の計量部材13の全てを第1位置から第2位置に移動させる。
【0207】
この構成によれば、複数の第1容器5の全てに必要な一定体積量の土壌が溜まったときに、シャッタ60を許容位置から阻止位置に移動させることができる。そのため、複数の第1容器5の全てにおいて、一定体積量の土壌を確実に計量部材13へと移動させることができるとともに、過剰な土壌が計量部材13へと移動することを防ぐことができる。
また、前処理装置1は、土壌を入れるための取入口(第1取入口10)を有する第1容器5と、取入口(第1取入口10)を覆う蓋体(第1蓋体26)とファン27とを有する通気装置7と、を備え、第1容器5は、取入口(第1取入口10)とは異なる位置に、ファン27で発生させた空気を通過させる通気孔5cを有している。
【0208】
この構成によれば、通気装置7のファン27を駆動すると、通気孔5cと取入口(第1取入口10)との間で空気の流れが発生するため、第1容器5内に収容された土壌を効率良く確実に乾燥させることが可能となる。
また、ファン27は、通気孔5cから第1容器5の内部に向かう空気の流れを生じさせる吸気ファンである。
【0209】
この構成によれば、通気孔5cから土壌が収容された第1容器5内を通って取入口(第1取入口10)に向かう空気の流れが形成されるため、第1容器5内の土壌が通気孔5cから排出されることを防ぎつつ、土壌を効率良く確実に乾燥させることが可能となる。
また、取入口(第1取入口10)は、第1容器5の上部に設けられ、蓋体(第1蓋体26)は、第1容器5の上部を覆うように配置され、通気孔5cは、第1容器5の側面に設けられている。
【0210】
この構成によれば、第1容器5の側面から空気を取り入れて第1容器5の上方へと抜くことができるため、第1容器5内に収容された土壌の内部に満遍なく空気を通すことができる。
また、前処理装置1は、第1容器5を加熱する加熱装置6を備え、加熱装置6は、第1容器5の周囲を覆うように配置されている。
【0211】
この構成によれば、第1容器5に収容された土壌を周囲から加熱することができるため、当該土壌を短時間で乾燥させることが可能となる。
また、前処理装置1は、第1容器5を支持する第1支持部30を備え、第1支持部30は、複数の第1容器5を並べて支持し、通気装置7は、蓋体(第1蓋体26)が第1支持部30に並べて支持された複数の第1容器5を覆うように配置され、複数の第1容器5に収容された土壌に空気を通過させる。
【0212】
この構成によれば、単一の通気装置7により複数の第1容器5に収容された土壌に空気を通過させて当該土壌を乾燥させることができる。
また、ファン27は、複数の第1容器5の夫々に対応する位置に配置されている。
この構成によれば、複数の第1容器5の夫々に収容された土壌に対して、ファン27により生じる気流を作用させることができるため、複数の第1容器5に収容された土壌を均等に乾燥させることができる。
【0213】
また、第1容器5は、取入口(第1取入口10)と通気孔5cを有する容器本体5aと、取入口(第1取入口10)の周囲に形成されたフランジ5bと、を有し、第1支持部30は、容器本体5aが挿入される挿入孔86aと、フランジ5bを下方から支持する支持面31bと、を有している。
この構成によれば、第1支持部30により第1容器5を一定の姿勢で安定して支持することができる。
【0214】
また、蓋体(第1蓋体26)は、フランジ5bの上面側を向いて配置される平面26aを有し、フランジ5bは、支持面31bと平面26aとの間に挟まれて保持される。
この構成によれば、第1容器5のフランジ5bを挟んで保持することにより、第1容器5をより安定して支持することができる。
また、蓋体(第1蓋体26)は、平面26aが弾性体から構成されている。
【0215】
この構成によれば、蓋体(第1蓋体26)の平面26aを第1容器5のフランジ5bに密接させることができるため、第1容器5をより安定して支持することができる。
また、前処理装置1は、第1容器5を振動させる加振機構(第1加振機構40)を備え、第1容器5は、収容された土壌を取り出すための取り出し孔11を有し、第1容器5の内部には、取り出し孔11を覆うように、第1容器5に収容された土壌中に含まれる所定大きさ以上の異物の通過を阻止するメッシュ板15が配置されている。
【0216】
この構成によれば、第1加振機構40により第1容器5を振動させることにより、第1容器5に収容された土壌をほぐしながらメッシュ板15を通過させて、取り出し孔11から取り出すことができる。そのため、土壌をほぐしながら当該土壌に含まれる異物をメッシュ板15により除去して取り出し孔11から取り出すことができる。
また、前処理装置1は、基台50と、基台50上に配置され且つ土壌を収容する容器(第1容器5、第2容器80)を支持する支持部153(第1支持部30、第2支持部83)と、支持部153を振動させる加振機構(第1加振機構40、第2加振機構130)と、支持部153と基台50との間に介装されて支持部153から基台50へと伝播する振動を低減させる防振機構150と、を備えている。
【0217】
この構成によれば、支持部153と基台50との間に支持部153から基台50へと伝播する振動を低減させる防振機構150が介装されているため、土壌を収容する支持部153を振動させたときに、当該振動が支持部153から基台50へと伝播することが抑制される。そのため、前処理装置1によって前処理(ふるい処理等)を行ったときに、前処理に伴って発生する振動が前処理装置1の設置された机や台等に伝播することを抑制できる。
【0218】
また、防振機構150は、基台50上に配置され且つ支持部153が載置される載置台(第1載置台154、第2載置台163)と、基台50と載置台(第1載置台154、第2載置台163)との間に介装された介装体(第1介装体155、第2介装体164)と、を有している。
この構成によれば、載置台(第1載置台154、第2載置台163)によって支持部153を基台50上に設置することができるともに、介装体(第1介装体155、第2介装体164)によって基台50と載置台(第1載置台154、第2載置台163)との間の振動の伝播を抑制することができる。
【0219】
また、介装体(第1介装体155、第2介装体164)は、基台50と載置台(第1載置台154、第2載置台163)とを連結するスプリング156,166を含み、スプリング156,166は、基台50の上面に平行な第1方向に延びる第1スプリング157,167を含む。
この構成によれば、第1スプリング157,167によって、基台50の上面に平行な第1方向の振動を低減させることができる。
【0220】
また、スプリング166は、基台50の上面に平行で且つ第1方向と直交する第2方向に延びる第2スプリング168を含む。
この構成によれば、第2スプリング168によって、基台50の上面に平行で且つ第1方向と直交する第2方向の振動を低減させることができる。
また、介装体(第1介装体155、第2介装体164)は、基台50と載置台(第1載置台154、第2載置台163)との間に介装されたボールローラ(第1ボールローラ160、第2ボールローラ170)を含み、ボールローラ(第1ボールローラ160、第2ボールローラ170)は、基台50と載置台(第1載置台154、第2載置台163)との間であって且つ基台50の上面と平行な同一面内の少なくとも3箇所に配置されて載置台(第1載置台154、第2載置台163)を支持している。
【0221】
この構成によれば、基台50と載置台(第1載置台154、第2載置台163)との間にボールローラ(第1ボールローラ160、第2ボールローラ170)が介装されているため、載置台(第1載置台154、第2載置台163)は基台50上にて、当該基台50に対して動くことができる。そのため、支持部153を振動させたとき、この振動が直接的に基台50に伝播するのを防ぐことができる。
【0222】
また、前処理装置1は、載置台(第1載置台154、第2載置台163)と支持部153との間に介装されたスライダを備え、スライダは、第1スライダ141と第2スライダ142とを含み、第1スライダ141は、基台50に固定された第1固定部141Aと、第1固定部141Aに対して基台50の上面に平行な第3方向に移動可能な第1移動部141Bとを有し、第2スライダ142は、第1移動部141Bに固定された第2固定部142Aと、第2固定部142Aに対して基台50の上面に平行で且つ第3方向と直交する第4方向に移動可能な第2移動部142Bとを有している。
【0223】
この構成によれば、支持部153を振動させたとき、支持部153を載置台(第1載置台154、第2載置台163)に対して第3方向と第4方向とに移動させることができる。そのため、支持部153を単純な往復運動ではなく円運動させることも可能となる。
また、前処理装置1は、土壌から異物を除去するふるい装置3を備え、加振機構は、ふるい装置3に設けられた第1加振機構40を含み、容器は、第1加振機構40により振動される第1容器5を含み、支持部153は、第1容器5を支持する第1支持部30を含み、防振機構150は、第1支持部30から基台50へと伝播する振動を低減させる第1防振機構151を含む。
【0224】
この構成によれば、第1加振機構40により第1支持部30に支持された第1容器5を振動させてふるい装置3によるふるい処理を行うとき、第1防振機構151により第1支持部30から基台50へと伝播する振動を低減させることができる。
また、前処理装置1は、土壌に含まれる成分を抽出するための抽出液を供給する抽出装置4を備え、加振機構は、抽出装置4に設けられた第2加振機構130を含み、容器は、第2加振機構130により振動される第2容器80を含み、支持部153は、第2容器80を支持する第2支持部83を含み、防振機構150は、第2支持部83から基台50へと伝播する振動を低減させる第2防振機構152を含む。
【0225】
この構成によれば、抽出装置4により第2容器80内に抽出液を供給した後、第2加振機構130により第2支持部83に支持された第2容器80を振動させて処理を行うとき、第2防振機構152により第2支持部83から基台50へと伝播する振動を低減させることができる。
また、前処理装置1は、土壌から異物を除去するふるい装置3と、土壌に含まれる成分を抽出するための抽出液を供給する抽出装置4と、を備え、ふるい装置3と抽出装置4は、載置台184に対して着脱可能であって、載置台184上に選択的に載置可能である。
【0226】
この構成によれば、ふるい装置3によるふるい処理を行う場合には、ふるい装置3を載置台184に載置し、抽出装置4による抽出液の供給を行う場合には、抽出装置4を載置台184に載置することができる。そのため、前処理装置1を処理の工程に応じて最適な形態とすることができる。
また、前処理装置1は、土壌を入れるための取入口(第2取入口80e)を有する容器(第2容器80)と、取入口(第2取入口80e)を塞ぐ蓋体(第2蓋体82)と、を備え、蓋体(第2蓋体82)は、容器(第2容器80)内に、容器(第2容器80)内の土壌の成分を抽出するために用いる抽出液を供給する液注入部82aを有している。
【0227】
この構成によれば、容器(第2容器80)に設けられた土壌を入れるための取入口(第2取入口80e)を蓋体(第2蓋体82)で塞いだ状態で、蓋体(第2蓋体82)に設けられた液注入部82aから容器(第2容器80)内に抽出液を供給することができる。そのため、容器(第2容器80)内に収容された土壌に対して、当該土壌内の成分の抽出に必要な量の抽出液を漏らさずに確実に供給することができる。
【0228】
また、蓋体(第2蓋体82)は、容器(第2容器80)内に供給した抽出液を容器(第2容器80)外に向けて押し出すための空気を容器(第2容器80)内に供給する空気注入部82bを有している。
この構成によれば、容器(第2容器80)に設けられた土壌を入れるための取入口(第2取入口80e)を蓋体(第2蓋体82)で塞いだ状態で、蓋体(第2蓋体82)に設けられた空気注入部82bから容器(第2容器80)内に空気を供給することができる。これにより、容器(第2容器80)内部に収容された土壌に対して高い空気圧を付与し、この空気圧によって土壌に供給された抽出液を押し出すことができる。そのため、土壌に含まれる成分を抽出した抽出液を効率良く確実に土壌から取り出すことができる。
【0229】
また、抽出装置4は、容器(第2容器80)を振動させて容器(第2容器80)内の土壌及び抽出液を攪拌する加振機構(第2加振機構130)を有している。
この構成によれば、第2容器80を振動させることによって、第2容器80内に収容された土壌に対して満遍なく抽出液を行き渡らせることができる、そのため、第2容器80内に収容された土壌に含まれる成分を確実に抽出することができる。
【0230】
また、前処理装置1は、蓋体(第2蓋体82)を第1位置と第2位置とに移動させる蓋移動機構28を備え、蓋体(第2蓋体82)は、第1位置にあるときに容器(第2容器80)の取入口(第2取入口80e)を塞ぎ、第2位置にあるときに容器(第2容器80)の取入口(第2取入口80e)から離反する。
この構成によれば、取入口(第2取入口80e)を蓋体(第2蓋体82)で塞ぐ操作と、取入口(第2取入口80e)を開放する操作とを容易に行うことができる。
【0231】
また、前処理装置1は、容器(第2容器80)を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構90を備え、加振機構(第2加振機構130)は、傾斜姿勢にある容器(第2容器80)を振動させる。
この構成によれば、傾斜姿勢にある容器(第2容器80)を振動させることができるため、容器(第2容器80)内にある土壌と抽出液とを攪拌するときの攪拌効果を向上させることが可能となる。
【0232】
また、前処理装置1は、キャップ149を備え、容器(第2容器80)は、容器(第2容器80)内で土壌を通過した後の抽出液である通過液を容器(第2容器80)外で取り出す液出孔80fを有し、キャップ149は、加振機構(第2加振機構130)が容器(第2容器80)を振動させるときに液出孔80fを塞ぐ。
この構成によれば、容器(第2容器80)を振動させたときに、液出孔80fから通過液が漏出することをキャップ149により防ぐことができる。
【0233】
また、前処理装置1は、容器(第2容器80)内の圧力を調整可能な圧力調整装置120を有し、圧力調整装置120は、加振機構(第2加振機構130)が容器(第2容器80)を振動させるときに容器(第2容器80)内を負圧とする。
この構成によれば、容器(第2容器80)を振動させたときに、液出孔80fから通過液が漏出することをキャップ149を用いずに防ぐことができる。
【0234】
また、前処理装置1は、土壌から異物を除去するふるい装置3を備え、容器(第2容器80)は、傾斜姿勢においてふるい装置3により異物が除去された土壌を受け入れる。
この構成によれば、異物が除去された土壌を受け入れる際に、容器(第2容器80)を傾斜させることにより、土壌を確実に容器(第2容器80)内に受け入れることができる。
【0235】
また、容器(第2容器80)は、直立姿勢において、液注入部82aから抽出液が供給されて液出孔80fから濾過液が取り出される。
この構成によれば、液注入部82aからの抽出液の供給と、液出孔80fからの濾過液の取り出しとを容易に且つ確実に行うことができる。
また、前処理装置1は、土壌を収容し且つ収容された土壌の成分を抽出するために用いる抽出液が供給される容器(第2容器80)を備え、容器(第2容器80)には、土壌を通過した抽出液である通過液を取り出す液出孔80fと、液出孔80fの周囲にて底部80cから立ち上がる筒状部80gが設けられている。
【0236】
この構成によれば、容器(第2容器80)の液出孔80fから土壌を通過した抽出液である通過液を取り出すことができるとともに、容器(第2容器80)内に土壌を収容するときに土壌が液出孔80fからそのまま出てしまうことを筒状部80gにより阻止することができる。そのため、容器(第2容器80)内への土壌の収容から容器(第2容器80)内の土壌を通過した抽出液である通過液の取り出しまでの一連の処理を円滑に行うことができる。
【0237】
また、前処理装置1は、容器(第2容器80)を直立姿勢と傾斜姿勢とに変更可能な傾動機構90を備えている。
この構成によれば、容器(第2容器80)の姿勢を変更可能であることによって、容器(第2容器80)に土壌を収容して行う様々な処理を最適な姿勢で行うことができる。
また、前処理装置1は、容器(第2容器80)を振動させて容器(第2容器80)内の土壌及び抽出液を攪拌する加振機構(第2加振機構130)を備え、加振機構(第2加振機構130)は、傾斜姿勢にある容器(第2容器80)を振動させる。
【0238】
この構成によれば、傾斜姿勢にある容器(第2容器80)を振動させることによって、容器(第2容器80)内にある土壌と抽出液とを攪拌するときの攪拌効果を向上させることができる。
また、土壌は、容器(第2容器80)の上方から落下供給され、容器(第2容器80)は、傾斜姿勢において落下供給される土壌を受け入れる。
【0239】
この構成によれば、上方から落下供給され土壌を受け入れる際に、容器(第2容器80)を傾斜させることにより、土壌を確実に容器(第2容器80)内に受け入れることができる。
また、容器(第2容器80)は、傾斜姿勢において、落下供給される土壌を筒状部80gの外側に受け入れる。
【0240】
この構成によれば、容器(第2容器80)内に落下供給される土壌がそのまま液出孔80fから排出されることを防ぐことができる。
また、容器(第2容器80)は、底部80cの外縁から立ち上がる周壁部80dを有するとともに、傾斜姿勢において、土壌を周壁部80dの内面に当てて受け入れる。
この構成によれば、容器(第2容器80)内に落下供給される土壌は、傾斜した周壁部80dの内面に沿って滑り落ち、筒状部80gの周面に当たって止められる。そのため、供給された土壌がそのまま液出孔80fから落下してしまうことを防止できる。
【0241】
また、液出孔80fは円形孔であって、筒状部80gは円筒状に形成されており、筒状部80gの内径は、円形孔(液出孔80f)の直径よりも大きい。
この構成によれば、液出孔80fの外縁と筒状部80gの内周面との間に空間ができるため、容器(第2容器80)内に落下供給された土壌が筒状部80gの内側に入り込んだとしても、すぐに液出孔80fから排出されることがない。
【0242】
また、前処理装置1は、採取された土壌を収容する容器(第1容器5)と、容器(第1容器5)から一定体積量の土壌を取り出す取り出し機構70と、取り出し機構70により取り出された土壌の重量を算出する重量算出装置71と、を備えている。
この構成によれば、取り出し機構70により容器(第1容器5)から一定体積量の土壌を取り出し、取り出された一定体積量の土壌の重量を重量算出装置71により算出することができる。そのため、前処理装置1により前処理されて分析に供される土壌の重量を正確に把握することができ、正確な土壌分析が可能となる。
【0243】
また、重量算出装置71は、取り出し機構70により取り出された土壌を載せる載置部75を有する計量台72と、載置部75に土壌が載せられた計量台72の重量を測定する重量測定部73と、重量測定部73で測定された重量に基づいて一定体積量の土壌の重量を算出する算出部74と、を有している。
この構成によれば、計量台72の載置部75に土壌を載せるだけで、容器(第1容器5)から取り出された一定体積量の土壌の重量を算出することができるため、重量の算出を効率良く行うことができる。
【0244】
また、複数の容器(第1容器5)を備え、取り出し機構70は、複数の容器(第1容器5)から夫々一定体積量の土壌を取り出し、計量台72は、複数の容器(第1容器5)から夫々取り出された土壌を載せる複数の載置部75を有し、取り出し機構70は、複数の容器(第1容器5)から1つずつ順番に一定体積量の土壌を取り出して夫々異なる載置部75に載せ、重量測定部73は、載置部75に土壌が載せられる度に計量台72の重量を測定する。
【0245】
この構成によれば、複数の容器(第1容器5)から取り出された一定体積量の土壌の重量を連続的に算出することができる。そのため、複数の容器(第1容器5)から取り出された一定体積量の土壌の重量の算出を効率良く短時間で行うことができる。
また、重量算出装置71は、N+1個(但し、Nは0以上の整数)の載置部75に土壌が載せられたときの重量の測定値からN個の載置部75に土壌が載せられたときの重量の測定値を差し引いた差分値を計算し、当該差分値を複数の載置部75の夫々に載せられた土壌の重量として算出する。
【0246】
この構成によれば、複数の容器(第1容器5)から取り出された一定体積量の土壌の重量を連続的に効率良く算出することができる。
また、取り出し機構70は、複数の容器(第1容器5)に対して夫々装着されて一定体積量の土壌を収容する複数の計量部材13と、複数の計量部材13を個別に移動させる移動機構20と、を備え、移動機構20は、複数の計量部材13を順番に、計量部材13が容器(第1容器5)の内部にある第1位置から計量部材13が第1容器(第1容器5)の外部にあり且つ計量部材13に収容された土壌が載置部75に向けて落下する第2位置に移動させる。
【0247】
この構成によれば、複数の容器(第1容器5)から一定体積量の土壌を連続的に取り出して載置部75に供給することができる。
また、容器(第1容器5)は、当該容器(第1容器5)を計量部材13の移動方向に貫通する貫通孔5dを有し、計量部材13は貫通孔5dに嵌め入れられ、移動機構20は、貫通孔5dに挿入されて、計量部材13の一部を貫通孔5dから押し出す押し出し部材21を有し、押し出し部材21は、複数の容器(第1容器5)に夫々対応して配置され、複数の容器(第1容器5)から1つずつ順番に計量部材13を押し出す。
【0248】
この構成によれば、押し出し部材21により複数の計量部材13を順番に押し出すことにより、複数の容器(第1容器5)から一定体積量の土壌を連続的に取り出して載置部75に供給することができる。
また、複数の容器(第1容器5)は直線状に並べて配置され、計量台72は、複数の容器(第1容器5)の並び方向に沿って延びており、押し出し部材21は、複数の容器(第1容器5)の並び方向と直交する方向に移動する。
【0249】
この構成によれば、複数の容器(第1容器5)の並び方向と押し出し部材21の移動方向とが直交して配置されることにより、装置が一方向に長くなることが防がれ、装置をコンパクトに構成することが可能となる。
また、前処理装置1は、土壌に含まれる成分を抽出するための抽出液を供給する抽出装置4と、抽出装置4に抽出液を供給する液供給装置200と、を備え、抽出装置4は、土壌を収容し且つ抽出液が供給される複数の容器(第2容器80)を有し、液供給装置200は、複数の容器(第2容器80)の夫々に個別に抽出液を供給可能な複数の供給具202を有している。
【0250】
この構成によれば、液供給装置200によって複数の容器(第2容器80)の夫々に個別に抽出液を供給可能であるため、複数の容器(第2容器80)に収容された土壌に対して効率良く確実に抽出液を供給することができる。
また、液供給装置200は、複数の供給具202の夫々と複数の容器(第2容器80)の夫々とを繋ぐ複数の供給管203を有し、複数の供給具202の夫々は、抽出液を入れるシリンジ204と、シリンジ204に入った抽出液を押し出すプランジャ205とを有し、複数の供給管203は、複数の供給具202のシリンジ204の夫々と複数の容器(第2容器80)の夫々とを繋いでいる。
【0251】
この構成によれば、液供給装置200により複数の容器(第2容器80)に対して夫々抽出液を供給することができる。
また、液供給装置200は、複数の供給具202のプランジャ205を同時に移動させるシリンダ装置220を有している。
この構成によれば、液供給装置200により複数の容器(第2容器80)に対して同時に抽出液を供給することができる。
【0252】
また、複数の供給具202は、互いに平行に並べて配置されており、複数の供給具202のプランジャ205の後端部は連結部材222により連結されており、シリンダ装置220のロッド221は、連結部材222と接続されている。
この構成によれば、複数の容器(第2容器80)に対して同時に抽出液を供給することができる液供給装置200を簡易でコンパクトな構造とすることができる。
【0253】
また、液供給装置200は、複数の供給具202のプランジャ205の夫々を個別に移動させる複数のシリンダ装置220を有している。
この構成によれば、液供給装置200により複数の容器(第2容器80)に対して個別に抽出液を供給することができる。
また、前処理装置1は、抽出液を貯蔵するタンク201を備え、複数の供給管203の中途部には、夫々三方切替弁206が設けられており、三方切替弁206は、第1ポート207と第2ポート208と第3ポート209とを有し、第1ポート207には、シリンジ204と接続される第1管210が接続され、第2ポート208には、タンク201と接続される第2管211が接続され、第3ポート209には、容器(第2容器80)と接続される第3管212が接続されている。
【0254】
この構成によれば、タンク201に入った抽出液がシリンジ204内に供給される状態と、シリンジ204に入った抽出液が第2容器80内に供給される状態とを三方切替弁206によって切り替えることができる。そのため、タンク201内に入った抽出液を複数の第2容器80に供給する作業を効率良く行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0255】
1 前処理装置
80 容器(第2容器)
80c 底部
80d 周壁部
80f 液出孔
80g 筒状部
90 傾動機構
130 加振機構(第2加振機構)
図1
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図6A
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図7B
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