(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】焼結炉
(51)【国際特許分類】
A61C 13/00 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A61C13/00 K
(21)【出願番号】P 2021546738
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 AT2020000004
(87)【国際公開番号】W WO2021127714
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】515233568
【氏名又は名称】アマン ギルバック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アクセル ライヘルト
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-249948(JP,A)
【文献】中国実用新案第207055563(CN,U)
【文献】特開2001-257056(JP,A)
【文献】特開昭53-073895(JP,A)
【文献】特開2008-296237(JP,A)
【文献】特開平09-115651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/20-5/35;5/70-5/88;8/00-13/38
H05B 3/02-3/18;3/40-3/82
F27B 5/00-7/42
F27B 17/00-19/04
G01N 25/00-25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用ワークピース(2)を焼結するための焼結炉(1)であって、
前記焼結炉(1)が、焼結プロセスに際してワークピース(2)を収容するための収容空間(4)を有する発熱要素(3)を備え、
前記収容空間(4)が前記発熱要素(3)の内側にある前記内部空間(5)の一部のエリアであり、
前記発熱要素(3)が炭化ケイ素を含むまたは炭化ケイ素からなり、
前記発熱要素(3)が少なくとも部分的にスリットが形成されている筒状部材として構成され、前記発熱要素(3)が前記収容空間(4)を取り囲む加熱エリア(7)において筒状部材を形成する前記発熱要素(3)におけるスリット(6)が螺旋状に形成されており、
前記発熱要素(3)が前記焼結炉(1)の動作位置に水平に配置されて
おり、
前記発熱要素(3)が、焼結される前記ワークピース(2)を前記収容空間(4)に導入するための導入開口部(19)を有し、前記導入開口部(19)が前記焼結炉(1)のファーネスドア(20)または直線状に変位可能なファーネスドア(20)により閉塞されるように構成されており、
ワークピース支持部材(21)または炭化ケイ素からなるワークピース支持部材(21)が前記ファーネスドア(20)に対して固定され、焼結される前記ワークピース(2)が、前記ワークピース支持部材(21)に載置されて前記収容空間(4)に導入され、焼結プロセスにおいて前記ワークピース支持部材(21)に載置可能である
焼結炉(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の焼結炉(1)において、
少なくとも、前記筒状部材における前記スリット(6)が螺旋状に形成されている前記加熱エリア(7)において、前記スリット(6)を介して隣接する2つのセクションの間に配置された前記筒状部材のブリッジ(10)の幅(9)に対する前記スリット(6)の幅(8)の比が、1:1~1:10の範囲または1:3~1:7の範囲に含まれている
焼結炉(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焼結炉(1)において、
前記収容空間(4)から離れた前記発熱要素(3)の内部空間(5)が、少なくとも部分的に断熱材(11)または耐火材により充填されている
焼結炉(1)。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の焼結炉(1)において、
前記発熱要素(3)が、前記加熱エリア(7)に加えて接続エリア(12)を有し、前記接続エリア(12)において、前記発熱要素(3)の長手方向(13)に延在するまたは直線状に延在するスリット(14)が、前記発熱要素(3)を形成する前記筒状部材に形成されている
焼結炉(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の焼結炉(1)において、
前記発熱要素(3)の電気コネクタ(16)が、前記加熱エリア(7)の反対側の前記接続エリア(12)の端部(15)に形成されている
焼結炉(1)。
【請求項6】
請求項4または5に記載の焼結炉(1)において、
前記発熱要素(3)の前記長手方向(13)について、前記接続エリア(12)の長さ(18)に対する前記加熱エリア(7)の長さ(17)の比率が1:1~1:5または1:2~1:4の範囲に含まれている
焼結炉(1)。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の焼結炉(1)において、
前記焼結炉(1)が、断熱材(11)または耐火材からなるチャンバウォール(22)と、前記チャンバウォール(22)に囲まれているファーネスチャンバ(23)とを有し、
前記発熱要素(3)が前記ファーネスチャンバ(23)に配置され、
前記チャンバウォール(22)が前記加熱エリア(7)において少なくとも部分的に前記発熱要素(3)から離間している
焼結炉(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用ワークピースを焼結するための焼結炉であって、焼結炉が焼結プロセスに際してワークピースを収容するための収容空間を有する発熱要素を備え、収容空間が発熱要素の内側にある内部空間の一部のエリアであり、発熱要素が炭化ケイ素を含むまたは炭化ケイ素からなる焼結炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において歯科用ワークピースを焼結するための様々な構成の焼結炉が知られている。焼結炉のさまざまな設計バリエーションが提案されている(特許文献1参照)。当該変形例では、例えば炭化ケイ素で作られたるつぼが提供され、回転コイルによって外部から誘導加熱される。特許文献1の
図5には、ワイヤ状の加熱スパイラルの形態の発熱要素が非常に概略的に示され、その内部に、焼結中にワークピースを収容するための収容空間が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、可能な限り高効率である前記タイプの焼結炉を設計することであり、それにより、それを用いて迅速な高温焼結を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題を解決するため、本発明は、発熱要素が少なくとも部分的にスリットが形成されている筒状部材として設計され、発熱要素を構成する筒状部材におけるスリットが、発熱要素が収容空間を取り囲む加熱エリアにおいて螺旋状に構成されており、発熱要素が動作位置に水平に配置されていることを提供する。
【0006】
発熱要素が、少なくとも部分的にスリットが形成され、当該スリットが加熱エリアで螺旋状である筒状部材として構成されていることにより、高温焼結に必要な非常に高い温度により非常に高速で焼結する高効率の焼結炉が実現される。これにより、適当なエネルギー消費量によって加熱時間を可能な限り短縮し、本発明に係る焼結炉により非常に高温かつ高速に歯科用ワークピースを焼結することができる。好ましくは、発熱要素の加熱エリアにより囲まれている収容空間において1600°Cまでの焼結温度が実現される。本発明に係る焼結炉の昇温速度は、好ましくは5℃/min~350℃/minの範囲に含まれている。本発明によれば、歯冠、アンレー、ブリッジ、人工歯などの多種多様な歯科用ワークピースが焼結炉で焼結されうる。発熱要素は、好ましくは、電気エネルギーから熱を生成する能動的な発熱装置または加熱装置である。発熱要素は、好ましくは、抵抗性の発熱要素、すなわち、電流が流れるときに熱を発生する発熱要素である。ワークピースを収容するための収容スペースは、焼結中にこの発熱要素の内部に配置されるため、当該収容スペースを全体的に必要な焼結温度に高速に昇温させることができる。
【0007】
発熱要素は、炭化ケイ素を含んでいてもよく、炭化ケイ素のみにより構成されていてもよい。加熱エリアにおいて螺旋状のスリットが形成されている筒状部材が使用されることにより、空間的に極めて均一で、相応する高温分布を収容空間に生成することができる点で、前記先行技術として知られている螺旋状ワイヤの形態の発熱要素よりも優れている。電気エネルギーが比較的少なくて済むため、ワークピースの急速な焼結に必要な高温が全体的に実現される。加熱エリアが螺旋状のスリットが形成されている筒状部材として設計されることにより、従来技術としての螺旋状ワイヤとして設計された発熱要素を使用する場合よりも、収容空間において著しく均一な高温分布が実現される。
【0008】
この意味で、少なくとも筒状部材におけるスリットが螺旋状に形成される加熱エリアにおいて、スリットが形成されているパイプにおけるスリットの幅と2つの隣接するスリットの間に配置されたブリッジの幅との比が、好ましくは1:1~1:10の範囲、さらに好ましくは1:3~1:7の範囲に含まれている。言い換えれば、加熱エリア、すなわち、筒状部材のスリットが螺旋状に形成されているエリアでは、スリットが形成されている筒状部材の2つの隣接するスリットの間のブリッジは、一または複数のスリットと幅が同じであり、当該スリットよりも幅が広いことが好ましい。ブリッジはスリットが形成されている筒状部材の壁の一部であり、発熱要素が作動しているときに発熱し、収容スペースに必要な温度を生成する。
【0009】
焼結に必要な温度または熱を収容空間に集中させるため、本発明の好ましい変形例では、収容空間から離間して、発熱要素の内側にある内部空間が少なくとも部分的に断熱材、好ましくは耐火材により充填されている。
【0010】
絶対に必要ではない場合でも、本発明の好ましい変形例では、発熱要素が焼結炉の動作位置に水平に横たわって配置されている。したがって、発熱要素を形成する筒状部材の縦軸線は、操作位置で水平方向に延在している。筒状部材は、好ましくは円形状の基部エリアを有する中空シリンダであり、シリンダジャケットウォールに相応する一または複数のスリットが形成されている。
【0011】
発熱要素は、加熱エリアに加えて接続エリアを備え、当該接続エリアにおいて発熱要素の長手方向に延在する、好ましくは直線状の細長いスリットが、発熱要素を構成する筒状部材に形成されている。発熱要素を構成する筒状部材のスリットが螺旋状に形成されている加熱エリアは、動作中に発熱する発熱要素の一部である。いわゆるホットゾーンとも呼ばれる。好ましい実施形態では、発熱要素の接続エリアは、焼結炉の運転中であっても発熱しない。むしろ、接続エリアは、発熱要素が焼結炉の内側に保持され、電気的に接続されることができる発熱要素のエリアである。この意味で、発熱要素の電気的接続が、加熱エリアの反対側の接続エリアの端部において実現されることが好ましい。接続エリアに細長く形成されているスリットは、接続エリアの筒状の発熱要素を2つの電気的に分離されたエリアに分割し、電気コネクタはこれらのエリアのそれぞれに接続されてもよい。接続エリアに形成された細長いスリットは、直線状に、線形状に延在していてもよいは、異なる形状で延在していてもよい。いずれの場合も、接続エリアのスリットは螺旋状ではないので、接続エリアの発熱要素は、加熱エリアのように電流が流れるときにそれほど加熱されない。電流は、発熱要素の電気コネクタを介して発熱要素に適当に供給され、その結果として、必要な温度または熱を生成するためにこの電流は接続エリアおよび加熱エリアにおける発熱要素を流れ、それによって加熱エリアを相応に加熱することができる。接続エリアは、焼結炉の運転中に加熱エリアほどには加熱されないので、当該接続エリアは、発熱要素を焼結炉に固定するため、および、電気コネクタを取り付けるための両方に用いられる。接続エリアは、好ましくは加熱エリアと少なくとも同じ長さであり、好ましくは加熱エリアよりも長い。これに関連して、発熱要素の長手方向について、接続エリアの長さに対する加熱エリアの長さの比率は、1:1~1:5の範囲、好ましくは1:2~1:4の範囲に含まれていることが好ましい。発熱要素の全長は、好ましくは150mm~300mmの範囲に含まれている。
【0012】
本発明の焼結炉において、発熱素子が、焼結対象であるワークピースを収容空間に導入するための導入開口部を備えていることが好ましく、導入開口部が、好ましくは直線的に変位可能に設けられている、焼結炉のファーネスドアによって閉塞可能であることが好ましい。これに関連して、ワークピース支持部材がファーネスドアに対して固定され、焼結対象であるワークピースがワークピース支持部材に支持されて収容スペースに導入され、焼結プロセスにおいてワークピース支持部材に保持されることが好ましい。ワークピース支持部材は、好ましくはファーネスドアから突出している舌片状の細長い部材であってもよい。ワークピース支持部材は、炭化ケイ素からなることが好ましい。ワークピース支持部材は、その上に載置されたワークピースが収容スペースにおいて可能な限り中央に位置するように、ファーネスドアの閉位置に適当に配置される。
【0013】
焼結炉は、断熱材で作製されたチャンバウォールと、当該チャンバウォールによって囲まれたファーネスチャンバと、を備え、発熱要素は、ファーネスチャンバの内側に配置され、チャンバウォールは、加熱エリアにおいて少なくとも部分的に発熱要素から離間されていることが好ましい。発熱要素の加熱エリアとファーネスチャンバのチャンバウォールとの間隙は、発熱要素およびチャンバウォールの双方に支障が生じることを防ぐ。ただし、発熱要素がチャンバウォールに直接的に接触していてもよい。チャンバウォールと発熱要素との間隔は、加熱エリアにおいて少なくとも部分的に0mm~30mmの範囲に含まれていることが好ましい。
【0014】
本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴および詳細は、本発明に係る焼結炉の実施形態に基づいて、以下の図を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】開状態における本発明に係る焼結炉の一実施形態の概略断面図。
【
図2】閉状態における本発明に係る焼結炉の一実施形態の概略断面図。
【
図4】導入開口部のエリアにおける発熱要素の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および
図2には、本発明に係る焼結炉1の一実施形態の概略的な垂直断面図が示されている。焼結炉1は、ここでは概略的に示されているハウジング30と、ファーネスチャンバ23を取り囲むチャンバウォール22と、を備えている。チャンバウォール22は、例えば、耐火レンガまたは他の適当な断熱材から構成されていてもよい。焼結炉1の発熱要素3は、ファーネスチャンバ23の内側に配置されている。本発明に係る発熱要素3は、少なくとも部分的にスリットが形成されている筒状部材として設計されている。発熱要素3を形成する筒状部材のスリット6は、加熱エリア7において螺旋状に形成されている。加熱エリア7は、焼結プロセスにおいてワークピース2を収容するための収容空間4を取り囲む発熱要素3の一部である。収容空間4は、発熱要素3の内部の内部空間5の一部のエリアである。本実施形態では、発熱要素3は、電気コネクタ16を除いて全体的に炭化ケイ素により構成されている。パイプにおけるスリット6が螺旋状に形成されている加熱エリア7において、好ましくはスリット6が2mm~10mmの範囲の幅8を有している。本発明の好ましい変形例では、スリットが形成されている筒状部材の2つの隣接するスリット6の間に配置されたブリッジ10は、好ましくは2mm~25mmの幅9を有する。ブリッジ10(ウェブ)の幅9は、好ましくは螺旋状のスリット6の幅8と少なくとも同じであり、より好ましくは螺旋状のスリット6の幅8よりも大きい。前述したように、加熱エリア7においてスリット6の幅8と、2つの隣接するスリット6の部分の間のブリッジ10の幅9との比率は、好ましくは1:1~1:10の範囲、より好ましくは1:3~1:7の範囲に含まれている。スリット6に対して比較的幅広のブリッジ10は、焼結プロセスにおいて収容空間4の内部で均一な空間熱分布を保証する。
図1および
図2から、発熱要素3が焼結炉1の動作位置に水平に配置されていることがわかる。本発明の好ましい実施形態は、加熱エリア7の外側の発熱要素3のエリアにおいて、発熱要素3の内側の内部空間5が少なくとも部分的に断熱材11により充填されている。断熱材11は、好ましくは耐火粘土または耐火レンガである。収容空間4から離れて発熱要素3の内部空間5に断熱材11が充填されていることにより、発熱要素3の加熱エリア7で発生した焼結プロセスに必要な熱は、当該エリア、すなわち収容空間4に集中する。
【0017】
本実施形態では、発熱要素3は、加熱エリア7に加えて接続エリア12を備えている。接続エリア12において、発熱要素3の長手方向13に、好ましくは直線状に延在しているスリット14が形成されている。電気エネルギーまたは電流を発熱要素3に対して供給するための当該発熱要素3のコネクタ16は、加熱エリア7の反対側にある接続エリア12の端部15に配置されている。接続エリア12は、焼結炉1が作動しているときに加熱エリア7よりも著しく低温であり、発熱要素3をそこで焼結炉1に固定するために使用されていてもよい。さらに、接続エリア12は、電気コネクタ16が加熱エリア7から十分に離間していることを保証し、当該電気コネクタ16が損傷したり破壊されたりしないようにする。発熱要素3の長手方向13について、接続エリア12は、加熱エリア7と少なくとも同じ長さである、または、より長いことが好ましい。好ましい実施形態では、前述したように、発熱要素3の長手方向13について、接続エリア12の長さ18に対する加熱エリア7の長さ17の比率は、1:1~1:5の範囲、好ましくは1:2~1:4の範囲に含まれている。
【0018】
発熱要素3の構成する筒状部材のすべてのスリットエリアは、単一の連続スリット6または14により構成されている。ただし、筒状部材に複数のスリット6または14が設けられていてもよい。
【0019】
断熱材からなる焼結炉1のチャンバウォール22は、本実施形態では、加熱エリア7において少なくとも部分的に発熱要素3から離間され、発熱要素3およびチャンバウォール22の双方に支障が生じることが防がれている。前述したように、チャンバウォール22に発熱要素3が直接的に接触していてもよい。発熱要素3またはその加熱エリア7とチャンバウォール22との間隔24は、好ましくは0mm~30mmの範囲に含まれている。
【0020】
本実施形態では、接続エリア12の反対側の加熱エリア7の端部に、焼結対象であるワークピース2が発熱要素3の内側の収容空間4に導入される導入開口部19が設けられ、焼結プロセスの完了後、再び当該ワークピース2を収容空間4から取り出すことができる。導入開口部19は、焼結炉1のファーネスドア20によって閉塞可能であることが好ましい。焼結炉1のハウジング30に対して直線的に変位可能に取り付けられたファーネスドア20であることが好ましい。
図1では、焼結炉1は、ファーネスドア20が導入開口部19を露出している開状態にある。
図2では、焼結炉1は閉状態にあり、焼結工程も実施されている。
図2に示されている閉状態では、ファーネスドア20は導入開口部19を閉塞している。
図1に示されている開位置および
図2に示されている閉位置の間でファーネスドア20を前進または後進させる本実施形態におけるリニアガイド26は、
図1において概略的にのみ示され、従来技術でそれ自体が知られている形態で実現可能である。
【0021】
本実施形態では、他の好ましい変形例と同様に、ワークピース支持部材21がファーネスドア20に固定されている。これは、ファーネスドア20が閉位置と開位置との間で前後に移動する際に、ワークピース支持部材21がファーネスドア20と一緒に移動するという結果をもたらす。焼結対象であるワークピース2は、焼結プロセスのために収容空間4に導入される際にワークピース支持部材21によって支持される。焼結プロセスにおいて、ワークピース2はワークピース支持部材21に載置される。前述したように、ワークピース支持部材21は、
図1および
図2に示されているように、舌片状に細長く形成されていることが好ましい。ワークピース支持部材21もまた、炭化ケイ素からなることが好ましい。
図2に明示されているように、焼結プロセスの間、焼結対象であるワークピース2は、発熱要素3または加熱エリア7の内側の収容空間4のおおよそ中央位置にワークピース支持部材21によって保持される。
【0022】
図3には、
図1および
図2で用いられている発熱要素3が、焼結炉1の他の構成要素が省略された形で示されている。筒状に形成されている発熱要素3の加熱エリア7のスリット6の螺旋状の構成が示されている。接続エリア12において、スリット14は、両側に直線的に延在するスリットとして設計され、後部または加熱エリア7の反対側の接続エリア12の端部15にある2つの電気コネクタ16の間の短絡を生じさせない。
【0023】
図4には、導入開口部19のエリアにおける筒状の発熱要素3の正面図、すなわち、発熱要素3の内部空間5または加熱エリア7に配置された収容空間4が示されている。
【0024】
本発明の好ましい変形例では、発熱要素3、特に
図4に示されている加熱エリア7の内径27は、20mm~70mmの範囲に含まれている。特に加熱エリア7における発熱要素3の壁の厚さは、2mm~7mmの範囲に含まれていることが好ましい。特に、加熱エリア7における、発熱要素3の外径28に対する発熱要素3の内径27の比率は、好ましくは1:1.2~1:1.5の範囲に含まれている。発熱要素3の長手方向13について加熱エリア7の長さは、好ましくは20mm~70mmの範囲、特に好ましくは30mm~60mmの範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0025】
1‥焼結炉、2‥ワークピース、3‥発熱要素、4‥収容空間、5‥内部空間、6‥スリット、7‥加熱エリア、8‥幅、9‥幅、10‥ブリッジ、11‥断熱材、12‥接続エリア、13‥長手方向、14‥スリット、15‥端部、16‥電気コネクタ、17‥長さ、18‥長さ、19‥導入開口部、20‥ファーネスドア、21‥ワークピース支持部材、22‥チャンバウォール、23‥ファーネスチャンバ、24‥間隔、26‥リニアガイド、内径‥27、外径‥28、29‥壁厚、30‥ハウジング。