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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/42 20230101AFI20241209BHJP
   H04N 25/00 20230101ALI20241209BHJP
   H04N 25/10 20230101ALI20241209BHJP
【FI】
H04N25/42
H04N25/00
H04N25/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021548852
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035160
(87)【国際公開番号】W WO2021060120
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2019173428
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰史
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-146904(JP,A)
【文献】特開2016-052041(JP,A)
【文献】特開2015-154153(JP,A)
【文献】特開2019-110471(JP,A)
【文献】特開2013-066146(JP,A)
【文献】特開2018-117220(JP,A)
【文献】特開2015-061260(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079071(WO,A1)
【文献】特開2015-089033(JP,A)
【文献】特開2012-253462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04N 9/00-9/898
H04N 23/00-25/79
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される撮像装置であって、
前記撮像装置は、
それぞれN個×N個(Nは2以上の整数)の画素を含む複数の画素グループを有する画素アレイを含み、各画素から読み出した画素信号を出力する撮像部と、
前記撮像部による前記画素それぞれから前記画素信号を読み出す読出モードを切り替える切替部と、
を備え、
前記切替部は、
前記車両から車両情報として取得される前記車両の周辺の明るさに応じて、前記読出モードを、
前記画素グループに含まれる前記N個×N個の各画素から読み出した前記画素信号それぞれを加算して1つの画素信号とする加算モードと、
前記画素グループに含まれる前記N個×N個の各画素から読み出した前記画素信号それぞれを個別に出力する個別モードと、
で切り替える、
撮像装置。
【請求項2】
前記切替部は、
前記車両情報として取得される前記車両の速度に応じて前記読出モードを切り替える、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記切替部は、
前記車両情報として取得される前記車両の速度が所定以上、且つ、前記車両情報として取得される前記車両の周辺の明るさが所定以上の場合に、前記読出モードを前記個別モードに切り替える、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記切替部は、
前記画素信号によるフレーム画像の領域に応じて前記読出モードを切り替える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記切替部は、
前記読出モードを、前記フレーム画像の中央部の所定領域で前記個別モードとし、該フレーム画像の該所定領域以外で前記加算モードとする、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記切替部は、
前記画素信号によるフレーム画像に含まれるオブジェクトに基づき前記読出モードを切り替える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記切替部は、
前記フレーム画像に特定のオブジェクトが含まれる場合に、該フレーム画像の該特定のオブジェクトが含まれる特定領域と、該特定領域以外の領域と、で前記読出モードを切り替える、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項8】
記切替部は、
信号機、交通標識、対向車および歩行者のうち少なくとも1つを前記特定のオブジェクトとして、該特定のオブジェクトが含まれる前記特定領域の前記読出モードを前記個別モードに切り替える、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記切替部は、
前記画素アレイに含まれる前記画素の読み出しを制御することで、前記読出モードを切り替える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記切替部は、
前記撮像部により出力された前記画素信号に対する画像処理を制御することで、前記読出モードを切り替える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
第1の露出時間で前記画素が露出された第1の画素信号による第1の画像と、該露出に続けて第2の露出時間で該画素が露出された第2の画素信号による第2の画像と、を合成する合成部をさらに備える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記画素アレイは、
前記複数の画素グループに、
第1の光学フィルタを透過した光を受光する第1の画素グループと、
第2の光学フィルタを透過した光を受光する第2の画素グループと、
第3の光学フィルタを透過した光を受光する第3の画素グループと、
を含み、
前記第1の画素グループと、前記第2の画素グループと、前記第3の画素グループと、が該第1の画素グループと該第2の画素グループと該第3の画素グループとのうち互いに異なる画素グループが隣接するように配置される、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記読出モードが前記個別モードである場合に、前記第1の画素グループ、前記第2の画素グループおよび前記第3の画素グループそれぞれに含まれる各画素を、それぞれの画素の位置に応じた特性の画素に変換するリモザイク処理を実行するリモザイク処理部をさらに備える、
請求項12に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像装置において、撮像素子により検知した被写体や撮像環境の明るさなどに基づき露出時間、画素信号に対するゲインなどを制御して撮像を行うようにした技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-066146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、例えば解像度が要求されない撮像対象であっても通常と同様の解像度での撮像となり、消費電力や画像処理のリソースの最適化が困難であった。
【0005】
本開示は、撮像画像を撮像条件に応じて適応的に取得可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る撮像装置は、車両に搭載される撮像装置であって、前記撮像装置は、それぞれN個×N個(Nは2以上の整数)の画素を含む複数の画素グループを有する画素アレイを含み、各画素から読み出した画素信号を出力する撮像部と、前記撮像部による前記画素それぞれから前記画素信号を読み出す読出モードを切り替える切替部と、を備え、前記切替部は、前記車両から車両情報として取得される前記車両の周辺の明るさに応じて、前記読出モードを、前記画素グループに含まれる前記N個×N個の各画素から読み出した前記画素信号それぞれを加算して1つの画素信号とする加算モードと、前記画素グループに含まれる前記N個×N個の各画素から読み出した前記画素信号それぞれを個別に出力する個別モードと、で切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】各実施形態に適用可能な撮像装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図2】ベイヤ配列の例を示す図である。
図3】各実施形態に適用可能なカラーフィルタ配列の例を示す図である。
図4】各実施形態に適用可能な撮像部の一例の構成を示すブロック図である。
図5】各実施形態に適用可能な撮像装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図6】実施形態に適用可能な同色間グラジエントの検出を説明するための模式図である。
図7】実施形態に適用可能な異色間グラジエントの検出を説明するための模式図である。
図8】実施形態に適用可能なグラジエント算出の方向の例を示す図である。
図9】実施形態に適用可能なグラジエント算出の方向の例を示す図である。
図10】分割ベイヤ型RGB配列における画素信号の読み出し方法の例を説明するための模式図である。
図11】HDR撮像の第1の例を説明するための模式図である。
図12】HDR撮像の第2の例を説明するための模式図である。
図13】HDR撮像の第2の例に対して加算モードを適用した場合の例を説明するための模式図である。
図14】HDR撮像の第2の例に対して個別モードを適用しリモザイク処理を施す場合の例を説明するための模式図である。
図15】第1の実施形態に係る撮像装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図16】第1の実施形態に係る画素処理部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図17】第1の実施形態に係る、2つの撮像条件に従い切替制御信号CNGを生成する例を説明するための模式図である。
図18A】第1の実施形態の第1の変形例に係る処理領域について説明するための模式図である。
図18B】第1の実施形態の第1の変形例に係る処理領域について説明するための模式図である。
図19】第1の実施形態の第1の変形例に適用可能な画像処理部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図20】第1の実施形態の第2の変形例に係る処理領域について説明するための模式図である。
図21】第1の実施形態の第2の変形例に適用可能な画像処理部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図22A】本開示に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。
図22B】本開示に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。
図22C】本開示に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。
図22D】本開示に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。
図22E】本開示に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。
図23A】第2の実施形態に係る、画素グループ内における個別モードおよび加算モードの切り替え方法の例を説明するための模式図である。
図23B】第2の実施形態に係る、画素グループ内における個別モードおよび加算モードの切り替え方法の例を説明するための模式図である。
図23C】第2の実施形態に係る、画素グループ内における個別モードおよび加算モードの切り替え方法の例を説明するための模式図である。
図24】第2の実施形態に適用可能な画像処理部の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
図25】第2の実施形態の変形例に係る撮像部の一例の構成を示すブロック図である。
図26】本開示に係る撮像装置の使用例を示す図である。
図27】本開示に係る撮像装置を搭載可能な車両のシステム構成例を示すブロック図である。
図28】車両システムのフロントセンシングカメラに係る一例の構成を示すブロック図である。
図29】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図30】撮像部の設置位置の例を示す図である。
図31】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図32】カメラヘッドおよびCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0009】
以下、本開示の実施形態について、下記の順序に従って説明する。
1.本開示の各実施形態に適用可能な技術
1-1.各実施形態に適用可能な構成
1-2.リモザイク処理についての概略的な説明
1-3.画素読み出し方法の例
2.第1の実施形態
2-1.第1の実施形態の第1の変形例
2-2.第1の実施形態の第2の変形例
2-3.第1の実施形態の第3の変形例
3.第2の実施形態
3-1.第2の実施形態の変形例
4.第3の実施形態
4-0.移動体への応用例
4-1.内視鏡手術システムへの応用例
【0010】
[1.本開示の各実施形態に適用可能な技術]
(1-1.各実施形態に適用可能な構成)
先ず、本開示の各実施形態に適用可能な技術について説明する。図1は、各実施形態に適用可能な撮像装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
【0011】
図1において、撮像装置1は、撮像部10と、光学部11と、画像処理部12と、出力処理部13と、制御部14と、を含む。また、撮像装置1が車載用途である場合には、撮像装置1は、車両情報取得部15をさらに含む。
【0012】
撮像部10は、それぞれ1以上の受光素子を含む複数の画素が行列状に配列された画素アレイを有する。また、光学部11は、レンズや絞り機構、フォーカス機構などを含み、被写体からの光を画素アレイの受光面に導く。
【0013】
撮像部10は、指定された露出時間で露出された各画素から画素信号を読み出して、読み出した画素信号に対してノイズ除去やゲイン調整といった信号処理を施すと共にデジタル方式の画素データに変換する。撮像部10は、この画素信号に基づく画素データを出力する。この、撮像部10による、露出および露出された画素から画素信号を読み出して画素データとして出力する一連の動作を、撮像と呼ぶ。
【0014】
画像処理部12は、撮像部10から出力された画素データに対して所定の画像処理を施し、例えばフレーム単位の画像データとして出力する。画像処理部12が画素データに対して施す画像処理は、例えば画素データの合成、変換処理、ホワイトバランス処理といった色調整処理を含む。
【0015】
出力処理部13は、画像処理部12から出力された画像データを、撮像装置1から出力するために適した形式に変換する。出力処理部13から出力された出力画像データは、例えば、図示されないディスプレイに供給され、画像として表示される。これに限らず、出力画像データが他の装置、例えば出力画像データに対して認識処理を行う装置や、出力画像データに基づき制御を行う制御装置に供給されてもよい。
【0016】
制御部14は、この撮像装置1の全体の動作を制御する。制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)と、撮像装置1の各部と通信を行うためのインタフェース回路とを含み、CPUが所定のプログラムに従い動作することで各種の制御信号を生成し、生成した制御信号により撮像装置1の各部を制御する。
【0017】
なお、上述した画像処理部12および出力処理部13は、例えば、所定のプログラムに従い動作するDSP(Digital Signal Processor)やISP(Image Signal Processor)により構成することができる。これに限らず、画像処理部12および出力処理部13のうち一方または両方を、制御部14と共にCPU上で動作するプログラムにより実現してもよい。これらのプログラムは、撮像装置1が有する不揮発性のメモリに予め記憶されていてもよいし、外部から撮像装置1に供給して当該メモリに書き込んでもよい。
【0018】
車両情報取得部15は、当該撮像装置1が車両に搭載されて用いられる場合に、当該車両から車両情報を取得する。車両情報取得部15は、車両情報として、車両の速度、車両前方の明るさ、などを取得する。車両情報取得部15により取得された車両情報は、制御部14に渡される。制御部14は、撮像部10や画像処理部12に対して、渡された車両情報に応じた処理を指示することができる。
【0019】
撮像部10が有する画素アレイに含まれる各画素は、それぞれ所定の波長領域の光を透過させる光学フィルタが設けられる。特に記載の無い限り、この所定の波長領域の光を透過させる光学フィルタを、カラーフィルタとして説明を行う。フルカラーの画像データを得る場合、一般的には、R(赤)色の波長帯域の光を透過させるカラーフィルタ(以下、R色のカラーフィルタ)と、G(緑)色の波長帯域の光を透過させるカラーフィルタ(以下、G色のカラーフィルタ)と、B(青)色の波長帯域の光を透過させるカラーフィルタ(以下、B色のカラーフィルタ)と、による3種のカラーフィルタが用いられる。これらR色、G色およびB色それぞれのカラーフィルタの配列は様々に考えられるが、一般的には、ベイヤ(Bayer)配列と呼ばれる配列が用いられる。
【0020】
図2は、ベイヤ配列の例を示す図である。図2において、ベイヤ配列120は、それぞれG色のカラーフィルタが配置される2つの画素100Gと、R色のカラーフィルタが配置される1つの画素100Rと、B色のカラーフィルタが配置される画素100Bと、を含む。ベイヤ配列においては、これら4つの画素が、2つの画素100Gが隣接しないように、2画素×2画素の格子状に配列されて構成される。換言すれば、ベイヤ配列は、同一波長帯域の光を透過させるカラーフィルタが配置された画素100が隣接しないような配列である。
【0021】
なお、以下では、特に記載の無い限り、「R色のカラーフィルタが配置される画素100R」を、「R色の画素100R」、あるいは、単に「画素100R」と呼ぶ。G色のカラーフィルタが配置される画素100G、および、B色のカラーフィルタが配置される画素100B、についても、同様である。また、カラーフィルタを特に問題にしない場合、各画素100R、100Gおよび100Bを、画素100で代表させて記述する。
【0022】
図3は、各実施形態に適用可能なカラーフィルタ配列の例を示す図である。図3の配列では、同一色による2画素×2画素が格子状に配列された画素ブロックを単位とし、4個のR色の画素100Rと、4個のG色の画素100Gと、4個のB色の画素100Bと、による各画素ブロックが、ベイヤ配列に準じた画素配列にて配置されて構成されている。以下では、特に記載の無い限り、このような画素配列を、4分割ベイヤ型RGB配列と呼ぶ。
【0023】
より具体的には、4分割ベイヤ型RGB配列は、R色の画素100R、G色の画素100G、および、B色の画素100Bによる各画素ブロックが、画素100R、画素100Gおよび画素100Bの数が1:2:1の割合となり、且つ、同一色の画素による画素ブロックが隣接しないように、2×2の格子状に配列される。図3の例では、R色の画素100Rによる画素ブロックの左および下にG色の画素100Gによる画素ブロックが配置され、R色の画素100Rによる画素ブロックの対角に、B色の画素100Bによる画素ブロックが配置されている。
【0024】
図4は、各実施形態に適用可能な撮像部10の一例の構成を示すブロック図である。図4において、撮像部10は、画素アレイ部110と、垂直走査部20と、水平走査部21と、制御部22と、を含む。
【0025】
画素アレイ部110は、それぞれ受光した光に応じた電圧を生成する受光素子を有する複数の画素100を含む。受光素子としては、フォトダイオードを用いることができる。画素アレイ部110において、複数の画素100は、水平方向(行方向)および垂直方向(列方向)に行列状に配列される。画素アレイ部110において、画素100の行方向の並びをラインと呼ぶ。この画素アレイ部110において所定数のラインから読み出された画素信号に基づき、1フレームの画像(画像データ)が形成される。例えば、3000画素×2000ラインで1フレームの画像が形成される場合、画素アレイ部110は、少なくとも3000個の画素100が含まれるラインを、少なくとも2000ライン、含む。
【0026】
また、画素アレイ部110には、各画素100の行および列に対し、行毎に画素信号線HCTLが接続され、列毎に垂直信号線VSLが接続される。
【0027】
画素信号線HCTLの画素アレイ部110と接続されない端部は、垂直走査部20に接続される。垂直走査部20は、例えば制御部14から供給される制御信号に従い、画素100から画素信号を読み出す際の駆動パルスなどの複数の制御信号を、画素信号線HCTLを介して画素アレイ部110へ伝送する。垂直信号線VSLの画素アレイ部110と接続されない端部は、水平走査部21に接続される。
【0028】
水平走査部21は、AD(Analog to Digital)変換部と、出力部と、信号処理部と、を含む。画素100から読み出された画素信号は、垂直信号線VSLを介してを水平走査部21のAD変換部に伝送される。
【0029】
画素100からの画素信号の読み出し制御について、概略的に説明する。画素100からの画素信号の読み出しは、露出により受光素子に蓄積された電荷を浮遊拡散層(FD;Floating Diffusion)に転送し、浮遊拡散層において転送された電荷を電圧に変換することで行う。浮遊拡散層において電荷が変換された電圧は、アンプを介して垂直信号線VSLに出力される。
【0030】
より具体的には、画素100において、露出中は、受光素子と浮遊拡散層との間をオフ(開)状態として、受光素子において、光電変換により入射された光に応じて生成された電荷を蓄積させる。露出終了後、画素信号線HCTLを介して供給される選択信号に応じて浮遊拡散層と垂直信号線VSLとを接続する。さらに、画素信号線HCTLを介して供給されるリセットパルスに応じて浮遊拡散層を電源電圧VDDまたは黒レベル電圧の供給線と短期間において接続し、浮遊拡散層をリセットする。垂直信号線VSLには、浮遊拡散層のリセットレベルの電圧(電圧Pとする)が出力される。その後、画素信号線HCTLを介して供給される転送パルスにより受光素子と浮遊拡散層との間をオン(閉)状態として、受光素子に蓄積された電荷を浮遊拡散層に転送する。垂直信号線VSLに対して、浮遊拡散層の電荷量に応じた電圧(電圧Qとする)が出力される。
【0031】
水平走査部21において、AD変換部は、垂直信号線VSL毎に設けられたAD変換器を含み、垂直信号線VSLを介して画素100から供給された画素信号は、AD変換器によりAD変換処理が施され、ノイズ低減を行う相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)処理のための2つのディジタル値(電圧Pおよび電圧Qにそれぞれ対応する値)が生成される。
【0032】
AD変換器により生成された2つのディジタル値は、信号処理部によりCDS処理が施され、ディジタル信号による画素信号(画素データ)が生成される。生成された画素データは、撮像部10から出力される。
【0033】
水平走査部21は、制御部22の制御の下、垂直信号線VSL毎のAD変換器を所定の順番で選択する選択走査を行うことによって、各AD変換器が一時的に保持している各ディジタル値を信号処理部へ順次出力させる。水平走査部21は、例えばシフトレジスタやアドレスデコーダなどを含む構成により、この動作を実現する。
【0034】
制御部22は、垂直走査部20、水平走査部21などの駆動制御を行う。制御部22は、垂直走査部20および水平走査部21の動作の基準となる各種の駆動信号を生成する。制御部22は、外部(例えば制御部14)から供給される垂直同期信号または外部トリガ信号と、水平同期信号とに基づき、垂直走査部20が画素信号線HCTLを介して各画素100に供給するための制御信号を生成する。制御部22は、生成した制御信号を垂直走査部20に供給する。
【0035】
垂直走査部20は、制御部22から供給される制御信号に基づき、画素アレイ部110の選択された画素行の画素信号線HCTLに駆動パルスを含む各種信号を、ライン毎に各画素100に供給し、各画素100から、画素信号を垂直信号線VSLに出力させる。垂直走査部20は、例えばシフトレジスタやアドレスデコーダなどを用いて構成される。
【0036】
このように構成された撮像部10は、AD変換器が列毎に配置されたカラムAD方式のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0037】
図5は、各実施形態に適用可能な撮像装置1のハードウェア構成の例を示すブロック図である。図5において、撮像装置1は、それぞれバス2020により接続される、CPU2000と、ROM(Read Only Memory)2001と、RAM(Random Access Memory)2002と、撮像部2003と、ストレージ2004と、データI/F2005と、操作部2006と、表示制御部2007と、を含む。また、撮像装置1は、それぞれバス2020により接続される、画像処理部2010と、出力I/F2012と、を含む。
【0038】
CPU2000は、ROM2001に予め記憶されたプログラムに従い、RAM2002をワークメモリとして用いて、この撮像装置1の全体の動作を制御する。
【0039】
撮像部2003は、図1の撮像部10に対応し、撮像を行い画素データを出力する。撮像部2003から出力された画素データは、画像処理部2010に供給される。画像処理部2010は、フレームメモリ2011を用いて、撮像部10から供給された画素データに対して所定の画像処理を施し、フレーム単位の画像データを生成する。
【0040】
出力I/F2012は、画像処理部2010で生成された画像データを外部に出力するためのインタフェースである。出力I/F2012は、画像処理部2010から供給された画像データを、所定の形式の画像データに変換して出力することができる。
【0041】
ストレージ2004は、例えばフラッシュメモリであって、画像処理部2010から出力された画像データを記憶、蓄積することができる。また、ストレージ2004は、CPU2000を動作させるためのプログラムを記憶させることもできる。さらには、ストレージ2004は、撮像装置1に内蔵される構成に限らず、撮像装置1に対して着脱可能な構成としてもよい。
【0042】
データI/F2005は、撮像装置1が外部機器とデータの送受信を行うためのインタフェースである。データI/F2005としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)を適用することができる。また、データI/F2005として、Bluetooth(登録商標)といった近距離無線通信を行うインタフェースを適用することもできる。
【0043】
操作部2006は、撮像装置1に対するユーザ操作を受け付ける。操作部2006は、ユーザ入力を受け付ける入力デバイスとして、ダイヤルやボタンなどの操作子を含む。操作部2006は、入力デバイスとして、接触した位置に応じた信号を出力するタッチパネルを含んでもよい。
【0044】
表示制御部2007は、CPU2000により渡された表示制御信号に基づき、ディスプレイ2008が表示可能な表示信号を生成する。ディスプレイ2008は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を表示デバイスとして用い、表示制御部2007により生成された表示信号に従った画面を表示させる。なお、撮像装置1の用途によっては、表示制御部2007およびディスプレイ2008を省略することができる。
【0045】
(1-2.リモザイク処理についての概略的な説明)
ここで、上述したリモザイク処理について概略的に説明する。4分割ベイヤ型RGB配列における各画素の画素信号の処理モードとして、画素グループに含まれる4つの画素の画素信号を加算して1つの画素信号として処理するモード(加算モードと呼ぶ)と、当該4つの画素の画素信号をそれぞれ処理するモード(個別モードと呼ぶ)とがある。これらのうち、個別モードにおいては、リモザイク処理により、4分割ベイヤ型RGB配列の各画素の画素値を例えばベイヤ型配列における各画素の画素値に変換することができる。
【0046】
画像処理部12は、注目画素の位置における画素値の傾斜(グラジエント)を各方向について検出し、検出されたグラジエントが最も小さい方向を判定する。画像処理部12は、検出された方向における画素の画素値に基づき、注目画素の位置に対応するベイヤ配列上の画素の画素値を予測し、予測した画素値により当該注目画素の画素値を置換する。これにより、4分割ベイヤ型RGB配列の各画素の画素値が、ベイヤ型配列における各画素の画素値に変換される。
【0047】
より具体的には、画像処理部12は、図6に示されるような、同一色の画素間のグラジエント(同色間グラジエント)と、図7に示されるような、異なる色の画素間のグラジエント(異色間グラジエント)と、を検出する。
【0048】
なお、図6および図7、ならびに、以下の同様の図面において、各マスは画素を示し、各マス内の文字(R、GおよびB)は、その画素に対応するカラーフィルタの色(R色、G色およびB色)を示している。ここでは、R色、G色およびB色のカラーフィルタが設けられる各画素を、それぞれ画素R、画素Gおよび画素Bと呼ぶ。また、格子の左上のマスを原点として、図面の横方向をx方向、縦方向をy方向とし、画素単位で座標(x,y)を表すものとする。例えば、図6において、原点の画素は、座標(0,0)の画素Rであり、画素(0,0)のように記述する。
【0049】
図6の例では、画素Gについて、x方向に沿って、画素G(0,2)および(1,2)、画素G(4,2)および(5,2)、画素G(0,3)および(1,3)、ならびに、画素G(4,3)および(5,3)の同色の各組について、それぞれグラジエントを検出している。また、画素Bについて、画素B(2,2)および(3,2)、ならびに、画素B(2,3)および(3,3)の同色の各組について、グラジエントを検出している。
【0050】
一方、図7の例では、x方向に沿って、画素G(1,2)および画素B(2,2)、画素G(1,3)および画素B(2,3)、画素B(3,2)および画素G(4,2)、ならびに、画素B(3,3)および画素G(4,3)の、異なる色による各組について、それぞれグラジエントを検出している。
【0051】
ここで、同色間グラジエントの検出は、感度が同一の画素同士のグラジエント算出となる。これに対して、異色間グラジエントの検出は、そのままでは、感度が異なる画素同士でのグラジエント算出となり、画素の色毎の感度差に依存したグラジエントが算出されてしまう。そのため、画像処理部12は、入力画像信号に含まれる画素Rおよび画素Bの各画素値に対して、それぞれ所定の係数を乗じてグラジエントの検出を行う。
【0052】
各実施形態に適用可能な画像処理部12の方向判定処理について、より詳細に説明する。画像処理部12は、局所領域において、複数の方向に対してグラジエントを算出する。図8および図9は、実施形態に適用可能なグラジエント算出の方向の例を示す図である。図8および図9、ならびに、以下の同様の図において、局所領域のサイズを6画素×6画素としている。
【0053】
画像処理部12は、図8に示されるように、水平方向(H)、垂直方向(V)、右上45°方向(A)、右下45°方向(D)の4方向に沿ってグラジエント算出を行う。さらに、画像処理部12は、図9に示されるように、右上22.5°方向(A2)、右上67.5°方向(A3)、右下22.5°方向(D2)および右下67.5°方向(D3)の4方向に沿ってグラジエント算出を行う。すなわち、実施形態では、画像処理部12は、22.5°ずつ角度の異なる8方向に沿って、グラジエント算出を行う。
【0054】
図3を用いて説明した4分割ベイヤ型RGB配列は、図2に示したベイヤ型配列と比較して、同色成分のサンプリング間隔が疎であるため、折返しが1/2ナイキスト周波数で発生してしまう。図8および図9に示すように、8方向に沿ってそれぞれグラジエント算出を行うことで、このような周波数の繰り返しパターンを高精度に検出可能となる。
【0055】
画像処理部12は、グラジエントの判定結果に基づき、ベイヤ配列における、注目画素の位置に対応する画素の画素値を予測し、予測した画素値により注目画素の画素値を置換する。
【0056】
(1-3.画素読み出し方法の例)
次に、4分割ベイヤ型RGB配列における画素信号の読み出しの例について説明する。図10は、分割ベイヤ型RGB配列における画素信号の読み出し方法の例を説明するための模式図である。図10において、配列121は、4分割ベイヤ型RGB配列による画素配列を示している。配列130は、この配列121に対して、上述した個別モードによる読み出しを行いリモザイク処理を施して、各画素の画素値をベイヤ配列による画素値に変換した画素データの配列の例を示している。
【0057】
配列131は、配列121に対して上述した加算モードによる読み出しを行った配列の例を示している。このように、加算モードでは、画素グループに含まれる4つの画素を纏めて1つの画素として扱う。図10の例では、配列131に示されるように、4分割ベイヤ型RGB配列(配列121)における画素Rによる画素グループに含まれる4つの画素Rが、画素値の加算により1つの画素R(+)として扱われる。同様に、配列121における画素Gによる画素グループに含まれる4つの画素Gが、画素値の加算により1つの画素G(+)として扱われ、画素Bによる画素グループに含まれる4つの画素Bが、画素値の加算により1つの画素B(+)として扱われる。
【0058】
配列132は、配列121に示す画素グループに含まれる4つの画素のうち少なくとも1つの画素の露出時間を、当該画素グループに含まれる他の画素の露出時間と異ならせた配列の例を示している。図10の例では、画素グループに含まれる4つの画素のうち1つの画素の露出時間を第1の露出時間とし、2つの画素の露出時間を第1の露出時間よりも長い第2の露出時間とし、残り1つの画素を第2の露出時間よりも長い第3の露出時間としている。以下、第1の露出時間での読み出しを短蓄、第2の露出時間での読み出しを中蓄、第3の露出時間での読み出しを長蓄、と呼ぶ。
【0059】
図10では、例えば画素Rの画素グループを例に取ると、左上が長蓄の画素R(L)、右上および左下が中蓄の画素R(M)、右下が短蓄の画素R(S)とされている。画素Gの画素グループも同様に、左上が長蓄の画素G(L)、右上および左下が中蓄の画素G(M)、右下が短蓄の画素G(S)とされ、画素Bの画素グループも、左上が長蓄の画素B(L)、右上および左下が中蓄の画素B(M)、右下が短蓄の画素B(S)とされている。
【0060】
配列132の場合、短蓄、中蓄および長蓄により読み出された画素データ(画像データ)を合成して、1つの画像データを生成する。異なる露出時間で露出された画素データに基づく画像データを合成することで、よりダイナミックレンジの広い画像データを生成することができる。このようにして生成された広ダイナミックレンジの画像を画像データをHDR(High Dynamic Range)画像と呼ぶ。また、このような撮像方法をHDR撮像と呼ぶ。
【0061】
図10の例では、配列131HDRに示されるように、HDR撮像により、例えば画素Rの画素グループの場合、画素R(L)と、2つの画素R(M)と、画素R(S)とが合成されて、画素グループのサイズを有する画素R(HDR)が生成される。画素GおよびBの各画素グループの場合も同様に、画素グループのサイズを有する画素G(HDR)およびB(HDR)が生成される。
【0062】
図11は、HDR撮像の第1の例を説明するための模式図である。図11および後述する図12において、右方向に時間の経過を示している。また、縦方向にラインを示し、フレームの上端のラインをラインLn#1とし、ラインLn#1からフレームの下端側に向けてライン順次で読み出しが行われることが示されている(ローリングシャッタ方式)。
【0063】
HDR撮像の第1の例では、長蓄、中蓄および短蓄の露出が並列的に実行され、長蓄、中蓄および短蓄それぞれの画素からの読み出しが同時に実行される。
【0064】
例えば、ラインLn#1において、1フレーム時間中の時間t0で長蓄による露出が開始され、時間t0から所定時間が経過した時間t1で中蓄による露出が開始される。さらに時間t1から所定時間が経過した時間t2で短蓄による露出が開始される。時間t2から所定時間の経過後の時間t3において、長蓄、中蓄および短蓄それぞれの露出が終了され、長蓄、中蓄および短蓄それぞれの画素からの読み出しを行う。
【0065】
図12は、HDR撮像の第2の例を説明するための模式図である。HDR撮像の第2の例では、長蓄、中蓄および短蓄の露出がシーケンシャルに実行され、各露出毎に画素からの読み出しが実行される。
【0066】
例えば、ラインLn#1において、1フレーム時間中の時間t0で長蓄による露出が開始され、時間t0から所定時間が経過した時間t1で、長蓄による露出が終了され、長蓄の画素から読み出しが行われる。次に、時間t1で中蓄による露出が開始され、時間t1から所定時間が経過した時間t2で、中蓄による露出が終了され、中蓄の画素から読み出しが行われる。さらに、時間t2で短蓄による露出が開始され、時間t2から所定時間が経過した時間t3で、短蓄による露出が終了され、短蓄の画素から読み出しが行われる。すなわち、このHDR撮像の第2の例では、各ラインにおいて、1フレーム時間内で長蓄、中蓄および短蓄の、3回の露出が行われる。
【0067】
このHDR撮像の第2の例では、上述した加算モードと個別モードとの何れも適用可能である。図13は、HDR撮像の第2の例に対して加算モードを適用した場合の例を説明するための模式図である。
【0068】
図13において、上段に示す配列131L、131Mおよび131Sは、それぞれ、配列121に対して、長蓄、中蓄および短蓄により露出を行い、加算モードによる読み出しを行った配列の例を示している。配列131L、131Mおよび131Sは、それぞれ、長蓄、中蓄および短蓄により露出を行い加算モードによる読み出しを行った配列の例を示している。一例として、画素Rによる画素グループについて説明すると、配列131Lにおいて、長蓄により露出された4つの画素R(L)が、画素値の加算により1つの画素R(L+)として扱われる。配列131Mにおいて、中蓄により露出された4つの画素R(M)が、画素値の加算により1つの画素R(M+)として扱われる。また、配列131Sにおいて、中蓄により露出された4つの画素R(M)が、画素値の加算により1つの画素R(M+)として扱われる。他の画素GおよびBにより画素グループについても、同様である。
【0069】
配列131HDR+は、これら配列131L、131Mおよび131Sによる各画素を合成した例を示している。配列131HDR+において、各画素R(L+)、R(M+)およびR(S+)が合成されて、広ダイナミックレンジの画素R(HDR+)が得られる。同様に、各画素G(L+)、G(M+)およびG(S+)、ならびに、各画素B(L+)、B(M+)およびB(S+)がそれぞれ合成されて、高ダイナミックレンジの画素R(HDR+)、G(HDR+)およびB(HDR+)が得られる。すなわち、配列131HDR+は、配列131L、131Mおよび131Sによる各画素を、各画素グループ単位で合成した配列となる。
【0070】
図14は、HDR撮像の第2の例に対して個別モードを適用しリモザイク処理を施す場合の例を説明するための模式図である。配列133L、133Mおよび133Sは、それぞれ図13の配列131L、131Mおよび131Sに対応するもので、各画素グループに含まれる4つの画素を分離して示している。配列134L、134Mおよび134Sは、これら配列133L、133Mおよび133Sの各画素に対してリモザイク処理を施し、各画素グループに含まれる4つの画素の画素値をベイヤ配列における各画素の画素値に変換した例を示している。この場合、配列134Lは、長蓄の画素データに基づく各画素値のみを含み、同様に、配列134Mおよび134Sは、それぞれ中蓄および短蓄の画素データに基づく各画素値のみを含む。
【0071】
図14の下段に示す配列135HDRは、これら配列134L、134Mおよび134Sを、位置が対応する画素同士で合成したものである。このように、HDR撮像の第2の例では、ベイヤ配列に対応する各画素において、高ダイナミックレンジを得ることができる。
【0072】
ここで、図10図13および図14を用いて、上述したHDR撮像の第1の例と第2の例との差異について説明する。HDR撮像の第1の例では、例えば長蓄(あるいは中蓄、短蓄)に割り当てられる画素が4分割ベイヤ型RGB配列に含まれる16画素のうち4画素である(図10の配列132参照)。これに対して、HDR撮像の第2の例では、16画素全てが長蓄(あるいは中蓄、短蓄)に割り当てられる(図13の配列131L、131Mおよび131S参照)。そのため、解像度を同一とした場合、SNR(Signal-Noise Ratio)の点で、第2の例が第1の例に対して有利である。
【0073】
また、HDR撮像の第1の例では、画素グループに含まれる4画素の露出時間が異なるため(図10の配列132参照)、リモザイク処理の適用が困難である。これに対して、HDR撮像の第2の例では、4分割ベイヤ型RGB配列に含まれる16画素の露出時間が同一であるため、リモザイク処理を容易に適用できる(図14参照)。したがって、解像度の点で、第2の例が第1の例に対して有利である。
【0074】
一方、加算モードと個別モードとを比較した場合、加算モードは、個別モードと比較して、画素の高速な読み出しが可能であると共に、SNRの点で有利である。また、個別モードではリモザイク処理が可能であるため、加算モードに対して解像度の点で有利である。各実施形態では、撮像部10における画素の読み出しを、加算モードと個別モードとを適応的に切り替えて実行する。これにより、撮像の目的や撮像環境など撮像条件に適応した撮像を実行することが可能となる。
【0075】
[2.第1の実施形態]
次に、本開示の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、加算モードと個別モードとの切り替えを、画像処理により実現する場合の例である。図15は、第1の実施形態に係る撮像装置1の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
【0076】
図15に示される撮像装置1は、上述したHDR撮像の第2の例による撮像を行う。すなわち、撮像部10において、画素アレイ部110の各画素100に対して4分割ベイヤ型RGB配列に従いR色、G色およびB色のカラーフィルタが設けられる。制御部14は、図12を用いて説明した、長蓄、中蓄および短蓄による各撮像を行うように、撮像部10を制御する。撮像部10は、長蓄、中蓄および短蓄それぞれの露出により撮像され各画素100から読み出された画素データを、画像処理部12に供給する。
【0077】
第1の実施形態に係る撮像装置1において、画像処理部12は、画素処理部1200と、HDR合成処理部1201と、WB(ホワイトバランス)処理部1202と、階調圧縮処理部1203と、デモザイク処理部1204と、ガンマ補正処理部1205と、出力処理部1206と、を含む。
【0078】
これら画素処理部1200、HDR合成処理部1201、WB処理部1202、階調圧縮処理部1203、デモザイク処理部1204、ガンマ補正処理部1205および出力処理部1206は、例えばDSP、ISP、CPUといったプロセッサ上で所定のプログラムが実行されることにより実現される。これに限らず、画素処理部1200、HDR合成処理部1201、WB処理部1202、階調圧縮処理部1203、デモザイク処理部1204、ガンマ補正処理部1205および出力処理部1206の一部または全部を、互いに協働して動作するハードウェア回路によって実現してもよい。
【0079】
画素処理部1200は、撮像部10から供給された画素データに対して、加算モードによる、画素グループに含まれる4画素の画素値を加算する加算処理と、個別モードによる、各画素データに基づくリモザイク処理とを実行する。画素処理部1200は、この加算処理およびリモザイク処理を、制御部14から供給される切替制御信号CNGに従い切り替えて実行する。画素処理部1200は、撮像部10から供給された長蓄、中蓄および短蓄それぞれの画素データに対して加算処理またはリモザイク処理を実行する。
【0080】
画素処理部1200で加算処理またはリモザイク処理された長蓄、中蓄および短蓄それぞれの画素データは、HDR合成処理部1201に供給される。なお、この時点での各画素データは、位置が対応するカラーフィルタの色、あるいは、リモザイク処理された位置の色に対応する、RAWデータである。
【0081】
HDR合成処理部1201は、画素処理部1200から供給された長蓄、中蓄および短蓄それぞれの画素データを合成してHDR画像を生成するHDR合成処理を実行する。HDR合成処理を施された画素データは、ビット深度が20~24ビット程度とされ、例えばビット深度が8~10ビット程度の通常の画素データに対してより広いダイナミックレンジを有している。
【0082】
HDR合成処理部1201は、例えば1フレーム分の画素データに対してHDR合成処理を実行すると、HDR合成処理により生成された1フレーム分の画素データをフレーム単位の画像データとして出力する。HDR合成処理部1201から出力された画像データ(HDR画像データ)は、WB処理部1202に供給され、WB処理部1202により既知のホワイトバランス処理を施され、階調圧縮処理部1203に供給される。階調圧縮処理部1203は、供給された画像データの階調を圧縮し、後段での処理に適した階調を有する画像データを生成する。例えば、階調圧縮処理部1203は、画像データに含まれる各画素データのビット深度を、HDR合成処理による20~24ビットのビット深度から例えば8ビット~10ビット程度のビット深度に変換し、階調の圧縮を行う。
【0083】
階調圧縮処理部1203は、階調圧縮処理した画像データをデモザイク処理部1204に供給する。デモザイク処理部1204は、供給された画像データに対して、既知のデモザイク処理を施し、各画素に対して、R色、G色およびB色それぞれの画素値を与える。デモザイク処理部1204が実行するデモザイク処理は、例えば、注目画素の画素値と、注目画素の近傍の各画素の画素値とを用いて、1つの注目画素に対してR色、G色およびB色それぞれの画素値を与える処理となる。
【0084】
デモザイク処理部1204は、デモザイク処理を施した画像データのR色、G色およびB色の各成分のデータをガンマ補正処理部1205に供給する。ガンマ補正処理部1205は、供給された各データに基づきガンマ補正処理を実行し、ガンマ補正されたR色、G色およびB色の各成分のデータを出力処理部13に供給する。出力処理部13は、ガンマ補正処理部1205から供給されたR色、G色およびB色の各成分のデータを、後段の処理に適した形式のデータに変換する。図15の例では、出力処理部13は、R色、G色およびB色の各成分のデータを、輝度成分Yと、各色差成分R-Y、B-Yとによる画像データに変換して出力する。
【0085】
図16は、第1の実施形態に係る画素処理部1200の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。図16の例では、画素処理部1200は、画素切替スイッチ210と、フレームメモリ200L、200Mおよび200Sと、処理切替スイッチ201L、201Mおよび201Sと、画素加算部202L、202Mおよび202Sと、リモザイク処理部203L、203Mおよび203Sと、セレクタ204L、204Mおよび204セレクタと、を含む。
【0086】
これらのうち、フレームメモリ200L、処理切替スイッチ201L、画素加算部202L、リモザイク処理部203Lおよびセレクタ204は、長蓄による画素データの処理に係る構成である。同様に、フレームメモリ200Mおよび200S、処理切替スイッチ201Mおよび201S、画素加算部202Mおよび202S、リモザイク処理部203Mおよび203S、ならびに、セレクタ204Mおよび204セレクタは、それぞれ中蓄および短蓄による画素データの処理に係る構成である。
【0087】
撮像部10から出力された画素データは、画素切替スイッチ210に入力される。画素切替スイッチ210は、例えば制御部14から供給される制御信号(図示しない)に応じて、第1、第2および第3の出力端を切り替える。ここで、第1の出力端は、長蓄の構成を選択するもので、フレームメモリ200Lに接続される。第2の出力端は、中蓄の構成を選択するもので、フレームメモリ200Mに接続される。また、第3の出力端は、短蓄の構成を選択するもので、フレームメモリ200Sに接続される。
【0088】
より具体的には、例えば制御部14は、撮像部10における長蓄、中蓄および短蓄それぞれの読み出しタイミングに同期して、画素切替スイッチ210の出力先を第1、第2および第3の出力端のうち読み出しに対応する出力端に切り替える。画素切替スイッチ210は、ライン毎に、例えば図12に示した時間t1、t2およびt3にそれぞれ対応するタイミングで、第1、第2および第3の出力端を切り替える。
【0089】
画素処理部1200の動作について、長蓄による画素データに係る処理を例にとって説明する。画素切替スイッチ210において第1の出力端に切り替えられると、フレームメモリ200Lに長蓄による1ライン分の画素データが書き込まれる。処理切替スイッチ201Lは、制御部14から供給される切替制御信号CNGに従い、フレームメモリ200Lから読み出された画素データの供給先を、画素加算部202Lおよびリモザイク処理部203Lの何れかに切り替える。
【0090】
なお、中蓄および短蓄に係る各構成における処理切替スイッチ201Mおよび201Mは、切替制御信号CNGに従い、処理切替スイッチ201Lと同期して、画素加算部202Mおよびリモザイク処理部203Mの何れか、ならびに、画素加算部202Sおよびリモザイク処理部203Sの何れかが切り替えられる。
【0091】
先ず、フレームメモリ200Lに1フレーム分の画素データが書き込まれ、処理切替スイッチ201Lにおいて、第1の出力端に切り替えられている場合について説明する。この場合、画素加算部202Lは、画素切替スイッチ210を介してフレームメモリ200Lから画素グループ単位で画素データを読み出して、読み出した各画素データによる画素値を、画素グループ毎に加算する。画素加算部202Lは、この画素グループ毎に加算された画素値による画素データの1フレーム分を、加算モードによる画像データとして出力する。画素加算部202Lから出力されたこの加算モードによる画像データは、セレクタ204Lの第1の入力端に供給される。
【0092】
次に、フレームメモリ200Lに1フレーム分の画素データが書き込まれ、処理切替スイッチ201Lにおいて、第1の出力端に切り替えられている場合について説明する。この場合、リモザイク処理部203Lは、フレームメモリ200Lからリモザイク処理の処理単位(例えば6画素×6画素)で画素データを読み出して、読み出した各画素データに基づき上述したようにしてリモザイク処理を実行する。リモザイク処理部203Lは、それぞれリモザイク処理された1フレーム分の画素データを、個別モードによる画像データとして出力する。リモザイク処理部203Lから出力されたこの個別モードによる画像データは、セレクタ204Lの第2の入力端に供給される。
【0093】
セレクタ204L、ならびに、セレクタ204Mおよび204Sは、切替制御信号CNGに従い、上述した処理切替スイッチ201L、201Mおよび201Sと同期して、第1および第2の入力端のうち一方を選択する。セレクタ204L、セレクタ204Mおよび204Sの出力は、長蓄、中蓄および短蓄の画像データとして、それぞれ画素処理部1200から出力される。
【0094】
なお、フレームメモリ200Mおよび200S、処理切替スイッチ201Mおよび201S、画素加算部202Mおよび202S、ならびに、リモザイク処理部203Mおよび203Sによる、中蓄および短蓄の画素データに関する処理は、上述したフレームメモリ200L、処理切替スイッチ201L、画素加算部202L、ならびに、リモザイク処理部203Lによる処理と同等であるので、ここでの説明を省略する。
【0095】
制御部14は、例えば所定の撮像条件に応じて、加算モードによる処理と、個別モードによる処理とのうち何れを実行するかを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。制御部14は、例えば、切替制御信号CNGを生成するための撮像条件として、撮像装置1の被写体に対する速度を適用することができる。別の例として、制御部14は、被写体の明るさ、あるいは、撮像環境の明るさを、切替制御信号CNGを生成するための撮像条件に適用することができる。
【0096】
撮像装置1が車両に搭載されて用いられる場合を例にとって、より具体的に説明する、撮像装置1は、車両情報取得部15(図1参照)により、当該車両から車両の走行に関する情報を含む車両情報を取得する。撮像装置1において、制御部14は、取得した車両情報から走行速度を示す情報を抽出し、抽出した走行速度と閾値vthとを比較する。制御部14は、走行速度が閾値vth以上であれば、個別モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。
【0097】
一方、走行速度が閾値vth未満であれば、制御部14は、加算モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。加算モードでは、画素処理部1200や、画素処理部1200の後段の各部における処理量が、個別モードに対して少ないため、省電力化を実現することが可能である。
【0098】
また、撮像装置1は、本撮像装置1、あるいは車両に搭載される例えば他のセンサの出力に基づき撮像環境の明るさを示す情報(例えば輝度値)を取得する。撮像装置1において、制御部14は、取得した明るさと、閾値Ythとを比較する。制御部14は、明るさが閾値Yth以上であれば、個別モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。一方、明るさが閾値Yth未満であれば、制御部14は、個別モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。
【0099】
上述では、制御部14が1つの撮像条件に従い切替制御信号CNGを生成しているが、これはこの例に限定されない。制御部14は、複数の撮像条件に従い切替制御信号CNGを生成してもよい。
【0100】
図17は、第1の実施形態に係る、2つの撮像条件に従い切替制御信号CNGを生成する例を説明するための模式図である。図17の例では、上述した、車両の走行速度と、撮像環境の明るさと、に基づき加算モードと個別モードとを切り替えている。すなわち、制御部14は、走行速度が閾値vth以上であって、且つ、明るさが閾値Yth以上である場合に、個別モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。一方、制御部14は、走行速度が閾値vth未満、または、明るさがYth未満である場合に、加算モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。
【0101】
このように、個別モードを指示するための切替制御信号CNGと、加算モードを指示するための切替制御信号CNGと、を撮像条件に基づき生成することで、撮像画像に基づくセンシングの性能を最適化することが可能となる。また、切替制御信号CNGを複数の撮像条件に基づき生成することで、よりきめ細かな制御が可能となる。
【0102】
なお、個別モードでは、加算モードと比較して、画素データに対して4倍の処理が必要となる。このとき、個別モードにおける撮像部10からの読み出しと、画像処理の対象となる領域と、を水平および垂直共に例えば1/2とすることが考えられる。これにより、省電力化が可能となり、また、画像処理部12における演算リソースの消費を抑制することが可能となる。
【0103】
上述では、第1の実施形態に適用される撮像方式がローリングシャッタ方式であるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、第1の実施形態に対して、全ラインで同時に露出を実行する撮像方式であるグローバルシャッタ方式を適用することもできる。
【0104】
また、上述では、画素処理部1200においてリモザイク処理された長蓄、中蓄および短蓄の各画素データがHDR合成処理部1201に供給されるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、HDR合成処理部1201におけるHDR合成処理の後に、画素処理部1200によるリモザイク処理を実行することも可能である。より具体的には、撮像部10から出力された長蓄、中蓄および短蓄の各画素データに対してHDR合成処理を実行し、HDR合成処理が施された例えば1フレーム分の画素データに対して、リモザイク処理を実行する。
【0105】
[2-1.第1の実施形態の第1の変形例]
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。上述の第1の実施形態では、加算モードおよび個別モードのうちフレームの全面に対して単一のモードによる読み出し処理を行っていた。これに対して、第1の実施形態の第1の変形例では、フレーム内に、個別モードによる処理を実行する処理領域と、加算モードによる処理を実行する処理領域と、を設定する。
【0106】
図18Aおよび図18Bは、第1の実施形態の第1の変形例に係る処理領域について説明するための模式図である。図18Aに示されるように、第1の実施形態の第1の変形例では、例えばフレーム300の中央部分に個別モードによる処理を実行する第1の処理領域301を設定し、フレーム300における第1の処理領域301以外の領域(フレーム300の周辺部)を、加算モードによる処理を実行する第2の処理領域302に設定する。第1の処理領域301は、例えば、水平および垂直方向のサイズをフレーム300の水平および垂直方向のサイズのそれぞれ1/2とすることが考えられる。
【0107】
図18Bに示されるように、例えば第1の実施形態の第1の変形例に係る撮像装置1が搭載される車両304から見たときに、フレーム300の中央部分の第1の処理領域301は、例えば車両304の走行方向に向けてより遠方の、車両の運転者が注視すべき注視領域303の画像を含む。そのため、第1の処理領域301は、より高解像度の個別モードによる画像処理を実行することが好ましい。一方、第1の処理領域301の外の第2の処理領域302は、第1の処理領域301と比較して低い解像度の加算モードによる画像処理を実行する。
【0108】
このように、第1の実施形態の第1の変形例は、フレーム内の領域を撮像条件として切替制御信号CNGを生成する。フレーム300の中央部と周辺部とで個別モードと加算モードとを分けて設定することで、出力される画像に必要な情報を含めつつ、省電力化が可能となる。
【0109】
図19は、第1の実施形態の第1の変形例に適用可能な画素処理部1200aの機能を説明するための一例の機能ブロック図である。なお、図19は、上述した図16と対応する図であって、長蓄に係る構成を抜き出して示し、中蓄および短蓄に係る構成を省略している。
【0110】
図19に示される画素処理部1200aは、上述した図16に示した画素処理部1200に対して、画素加算部202Lに接続されるフレームメモリ2020Lと、リモザイク処理部203Lに接続されるフレームメモリ2030Lと、が追加されている。
【0111】
制御部14は、切替制御信号CNGを第1の処理領域301と第2の処理領域302との境界で切り替えることで、第1の処理領域301において個別モードによる処理を実行し、第2の処理領域302において加算モードによる処理を実行するように、制御する。
【0112】
より具体的な例として、制御部14は、切替制御信号CNGをライン順次で画素処理部1200に供給し、各ラインにおいて、フレーム300の左端から右端に向けて、切替制御信号CNGを画素処理部1200に供給するものとする。
【0113】
制御部14は、フレーム300の上端から第1の処理領域301の上端の直前のラインまでは、加算モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。制御部14は、第1の処理領域301の上端から下端までのラインでは、ライン毎に、フレーム300の左端から第1の処理領域301の左端の直前までを加算モードを指示するための切替制御信号CNGを生成して画素処理部1200に供給する。制御部14は、第1の処理領域301の左端から右端までは、個別モードを指示するための切替制御信号CNGを生成して画素処理部1200に供給する。制御部14は、第1の処理領域301の右端の直後からフレーム300の右端までは、加算モードを指示するための切替制御信号CNGを生成して画素処理部1200に供給する。また、制御部14は、第1の処理領域301の下端直後のラインからフレーム300の下端のラインまでは、加算モードを指示するための切替制御信号CNGを生成し、画素処理部1200に供給する。
【0114】
画素加算部202Lは、加算モードを指示するための切替制御信号CNGが供給されている間、フレームメモリ200Lから第2の処理領域302に対応する画素データを例えばライン順次で読み出し、読み出した画素データをフレームメモリ2020Lに書き込む。このとき、画素加算部202Lは、第1の処理領域301を含むラインにおいては、例えば当該第1の処理領域301の内部の画素データをスキップする。画素加算部202Lは、フレームメモリ2020Lに書き込まれた画素データに対して画素グループ単位で加算処理を実行し、加算処理結果の画素値によって、フレームメモリ2020Lを更新する。
【0115】
リモザイク処理部203Lも同様に、個別モードを指示するための切替制御信号CNGが供給されている間、フレームメモリ200Lから第1の処理領域301に対応する画素データを読み出し、読み出した画素データをフレームメモリ2030Lに書き込む。このとき、リモザイク処理においては注目画素に対して数画素分の周辺画素を用いるため、リモザイク処理部203Lは、周辺画素分を見込んで、フレームメモリ200Lから画素データを読み出す。リモザイク処理部203Lは、フレームメモリ2030Lに書き込まれた画素データを用いてリモザイク処理を実行し、リモザイク処理結果の画素値によって、フレームメモリ2030Lを更新する。
【0116】
画素加算部202Lによる加算処理、および、リモザイク処理部203Lによるリモザイク処理が実行されてフレームメモリ2020Lおよび2030Lにそれぞれ書き込まれた、画素データは、切替制御信号CNGに応じて第1および第2の入力端が切り替えられるセレクタ204Lを介して出力されることで合成され、長蓄のフレーム画像として出力される。
【0117】
[2-2.第1の実施形態の第2の変形例]
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。上述した実施の第1の形態の第1の変形例では、個別モードの処理を実行する処理領域と、加算モードの処理を実行する処理領域とをそれぞれ固定的に設定していた。これに対して、第1の実施形態の第2の変形例は、個別モードの処理を実行する処理領域と、加算モードの処理を実行する処理領域とを、適応的に設定する。
【0118】
図20は、第1の実施形態の第2の変形例に係る処理領域について説明するための模式図である。第1の実施形態の第2の変形例では、撮像部10から読み出された画素データによる画像に含まれる特定のオブジェクトを検出し、検出された特定のオブジェクトに基づき、個別モードの処理を実行する処理領域と、加算モードの処理を実行する処理領域とを設定する。
【0119】
図20の例では、撮像部10より読み出された画素データによる画像310から、特定のオブジェクトとして2つの信号機、標識および2台の対向車がそれぞれ検出されている。特定のオブジェクトとしては、例えば路上を歩行する歩行者も含まれる。検出された標識を含む領域320と、検出された2つの信号機をそれぞれ含む領域321および322と、検出された2台の対向車をそれぞれ含む領域323および324と、が個別モードの処理を実行する処理領域とされ、画像310におけるこれら領域320~324以外の領域が、加算モードの処理を実行する処理領域とされている。
【0120】
このように、第1の実施形態の第2の変形例は、フレームの画像に含まれるオブジェクトおよび当該オブジェクトを含む領域を撮像条件として切替制御信号CNGを生成する。例えば車両の走行にとって重要なオブジェクトを含む領域に対して個別モードによる処理を実行し、高解像度の画像を生成する。一方、例えば車両の走行にとって重要性の低い領域に対して、加算モードにより個別モードと比較して低解像度の画像を生成する。これにより、車両の走行にとって重要なオブジェクトの認識が容易となり、走行の安全性を向上させることが可能となる。また、加算モードによる処理は、生成される画像の解像度の点では個別モードに劣るが、個別モードより処理の負荷が小さい。これにより、全体として、演算リソースおよび消費電力が抑制できる。
【0121】
図21は、第1の実施形態の第2の変形例に適用可能な画素処理部1200bの機能を説明するための一例の機能ブロック図である。なお、図19に示される画素処理部1200bは、上述した図16の構成に対して検出部220が追加され、処理切替スイッチ201L、201Mおよび201S、ならびに、セレクタ204L、204Mおよび204Sが、検出部220から出力される切替制御信号CNGに従い切り替えられる構成となっている。
【0122】
より具体的には、検出部220は、例えばフレームメモリ200Lに書き込まれた画素データによる1フレームの画像データに基づき、当該画像データによる画像に含まれる特定のオブジェクトを検出する。検出部220は、例えば予め登録されたパターンに基づくパターン認識によりオブジェクトの検出を行うことができる。これに限らず、検出部220は、所定の教師データを用いて予め学習された学習モデルを用いた機械学習処理によりオブジェクトの認識を行うようにしてもよい。
【0123】
なお、切替制御信号CNGによる処理切替スイッチ201L、201Mおよび201S、ならびに、セレクタ204L、204Mおよび204Sの切り替え制御は、上述の第1の実施形態の第1の変形例において図19を用いて説明した制御と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0124】
また、ここでは、検出部220がフレームメモリ200Lの画像データに基づき特定のオブジェクトを検出するように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、検出部220は、フレームメモリ200L、200Mおよび200Sのうち少なくとも1つに書き込まれた画像データに基づき特定のオブジェクトの検出を行ってもよい。また、図21では、画素処理部1200bが検出部220の機能を有しているように示されているが、これはこの例に限定されない。例えば、制御部14が検出部220の機能を有していてもよい。
【0125】
[2-3.第1の実施形態の第3の変形例]
次に、第1の実施形態の第3の変形例について説明する。上述した第1の実施形態、および、第1の実施形態の第1および第2の変形例では、撮像部10における画素配列が4分割ベイヤ型RGB配列であるものとして説明したが、本開示に適用可能な画素配列は、4分割ベイヤ型RGB配列に限定されない。すなわち、本開示は、同一波長帯域の光を透過させる光学フィルタが2画素×2画素で配列される画素配列であれば、4分割ベイヤ型RGB配列以外の画素配列にも適用可能である。
【0126】
図22A図22Eは、本開示に適用可能な画素配列の例を示す模式図である。図22Aは、4分割ベイヤ型RGB配列における画素Gの代わりに、可視光領域全域の光を透過させるフィルタを設けた画素Wを配置した画素配列の例である。図22Bは、4分割ベイヤ型RGB配列における画素Gの代わりに、黄色のカラーフィルタを設けた画素Yeを配置した画素配列の例である。また、図22Cは、図22Bの画素配列に対し、さらに、画素Bの代わりにシアン(Cyan)色のカラーフィルタを設けた画素Cyを配置した画素配列の例である。
【0127】
これら図22A図22Bおよび図22Cに示した画素配列は、4分割ベイヤ型RGB配列と比較して高い感度を得ることが可能である。また、画素Yeを含む図22Bおよび図22Cに示す画素配列は、レンズ収差の影響を受け難い特性を有する。一方、図22A図22Cの何れの画素配列も、加法混合における三原色のうちG(緑)色を含まずフルカラーの再現ができない。そのため、図22A図22Cに示す各画素配列は、センシング用途に用いて好適である。
【0128】
図22Dは、2画素×2画素の画素グループを、4列×4行に配置した画素配列の例を示している。図22Dに示される画素配列では、画素Rによる2つの画素グループと、画素Bによる2つの画素グループと、画素Gによる4つの画素グループと、画素Wによる8つの画素グループと、が同色の画素による画素グループが互いに隣接しないように配置されている。図22Dの画素配列では、画素Wによる8つの画素グループにより感度を稼ぐことができると共に、1:2:1の割合で配置された画素R、画素Gおよび画素Bそれぞれの画素グループによりフルカラーの再現が可能である。一方で、例えば4分割ベイヤ型RGB配列と比較して各色の画素グループの間隔が広いため、解像度の点では不利である。
【0129】
図22Eは、赤外領域の光を透過させるIR(Infrared)フィルタを設けた画素IRを含む画素配列の例である。画素IRを用いることで、赤外光の反射を利用した測距などが可能となる。図22Eの例では、4分割ベイヤ型RGB配列における画素Bの代わりに、画素IRを配置した例である。なお、図22Eでは、4分割ベイヤ型RGB配列における画素Bの画素グループに含まれる4つの画素Bを全て画素IRに置き換えているが、これはこの例に限定されない。例えば、当該画素B(あるいは画素R、または画素G)の画素グループに含まれる4つの画素のうち1~3の画素を画素IRと置き換えた画素配列でもよい。
【0130】
この図22Eに示される画素配列は、例えば4分割ベイヤ型RGB配列と組み合わせて用いることができる。例えば、フレームに対応して繰り返し配置された4分割ベイヤ型RGB配列に対して、所定間隔で図22Eの画素配列を挿入することが考えられる。また、フレームに対応して繰り返し配置された4分割ベイヤ型RGB配列に対して、図22Eの画素配列を所定数、配置することも考えられる。
【0131】
[3.第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態およびその各変形例では、加算モードによる画素グループに含まれる各画素の画素値の加算処理を、画像処理部12において実行している。これはこの例に限定されず、当該加算処理を、撮像部10において各画素アレイ部110の内部で実行することも可能である。
【0132】
図23A図23Bおよび図23Cは、第2の実施形態に係る、画素グループ内における個別モードおよび加算モードの切り替え方法の例を説明するための模式図である。
【0133】
図23Aは、第2の実施形態に係る、画素ブロックに含まれる各画素100から信号を読み出す方法を説明するための模式図である。ここでは、画素Gの画素ブロックを例に取って説明を行う。図23Aに示されるように、当該画素ブロックに含まれる画素100G1、100G2、100G3および100G4は、1つの浮遊拡散層を共有する構成となっている。
【0134】
先ず、切替制御信号CNGにより加算モードが指示された場合の読み出し方法の例について、図23Bのタイムチャートを参照しながら説明する。なお、図23Bおよび後述する図23Cにおいて、右方向に時間の経過を示し、画素100G1~100G4をそれぞれ画素G1、G2、G3およびG4として示している。
【0135】
加算モードでは、画素グループに含まれる画素100G1、100G2、100G3および100G4において各受光素子に蓄積された電荷を当該画素ブロック内部で加算して読み出す。
【0136】
例えば、制御部22の制御に従い、垂直走査部20は、図23Bの時間t00において、画素ブロックにおいて浮遊拡散層のリセットを行い、その後、画素100G1~100G4において各受光素子から電荷の読み出しを行い、読み出された電荷を浮遊拡散層に転送する。浮遊拡散層では、各受光素子から転送された電荷が加算部140において加算される。この場合、加算部140は、画素100G1~100G4に共通の浮遊拡散層に対応する。浮遊拡散層において、各受光素子から転送され加算された電荷が電荷量に応じた電圧に変換されて、各画素100G1~100G4の合計の画素信号として垂直信号線VSLに出力される。
【0137】
各画素100G1~100G4の合計の画素信号は、水平走査部21が有するAD変換器により画素データに変換されて画素処理部1200cに供給される。
【0138】
次に、切替制御信号CNGにより個別モードが指示された場合の読み出し方法の例について、図23Cのタイムチャートを参照しながら説明する。
【0139】
例えば、制御部22の制御に従い、垂直走査部20は、図23Cの時間t10において、画素ブロックにおいて浮遊拡散層のリセットを行い、その後、画素100G1において受光素子から電荷の読み出しを行い、読み出された電荷を浮遊拡散層に転送する。浮遊拡散層において、転送された電荷が電荷量に応じた電圧に変換されて、画素100G1から読み出された画素信号として垂直信号線VSLに出力される。なお、加算部140による加算処理は、行われない。
【0140】
次に、垂直走査部20は、図23Cの時間t11において、画素ブロックにおいて浮遊拡散層のリセットを行い、その後、画素100G2において受光素子から電荷の読み出しを行い、読み出された電荷を浮遊拡散層に転送する。浮遊拡散層において、転送された電荷が電荷量に応じた電圧に変換されて、画素100G2から読み出された画素信号として垂直信号線VSLに出力される。なお、加算部140による加算処理は、行われない。
【0141】
垂直走査部20は、画素100G3および100G4からの画素信号の読み出しも同様にして、それぞれ浮遊拡散層のリセットを行った後に、受光素子からの電荷の読み出しと、読み出した電荷の浮遊拡散層への転送とを実行する(図23Cの時間t12およびt13)。なお、それぞれ、加算部140による加算処理は、行われない。
【0142】
各画素100G1~100G4から読み出された各画素信号は、それぞれ水平走査部21が有するAD変換器により画素データに変換されて画素処理部1200cに供給される。
【0143】
図24は、第2の実施形態に適用可能な画素処理部1200cの機能を説明するための一例の機能ブロック図である。なお、図24は、上述した図16と対応する図であって、長蓄に係る構成を抜き出して示し、中蓄および短蓄に係る構成を省略している。
【0144】
図24に示される画素処理部1200cは、上述した図16に示した画素処理部1200に対して、画素加算部202Lの代わりにフレームメモリ240Lが設けられている。また、処理切替スイッチ230Lは、切替制御信号CNGに従い、撮像部10から加算モードにより画素データが出力される場合には、当該画素データの出力先をフレームメモリ240Lに切り替える。撮像部10から出力された画素データは、フレームメモリ240Lに書き込まれる。
【0145】
一方、撮像部10から個別モードにより画素データが出力される場合には、当該画素データの出力先をリモザイク処理部203Lに切り替える。撮像部10から出力された画素データは、リモザイク処理部203Lに供給され、フレームメモリ2030Lに書き込まれる。リモザイク処理部203Lは、フレームメモリ2030Lに書き込まれた画素データに基づきリモザイク処理を実行し、リモザイク処理された画素データにより、例えばフレームメモリ2030Lを更新する。
【0146】
このように、加算モードにおける画素値の加算処理を、撮像部10において各画素アレイ部110の内部で実行することで、画像処理部12(画素処理部1200c)の構成を軽減することができる。
【0147】
[3-1.第2の実施形態の変形例]
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態の変形例は、加算モードにおける画素値の加算処理を、撮像部10において各画素アレイ部110の内部で実行可能とした構成において、フレーム内に、個別モードによる処理を実行する処理領域と、加算モードによる処理を実行する処理領域と、を設定可能としたものである。
【0148】
図25は、第2の実施形態の変形例に係る撮像部10の一例の構成を示すブロック図である。図25において、画素アレイ部110aは、図4で説明した画素アレイ部110に対して、切替制御信号生成部(V)151Vと、切替制御信号生成部(H)151Hと、が追加されている。また、図25では、各画素が、画素1001、1002、1003および1004の4画素を含む画素グループ毎に纏められて示されている。さらに、画素グループ毎に、AND回路150が設けられている。
【0149】
なお、図25では、画素グループ毎に垂直信号線VSLに接続されるように示されているが、実際には、各画素グループの画素1001、1002、1003および1004のそれぞれが、垂直信号線VSLに接続される。
【0150】
切替制御信号生成部(V)151Vは、例えば制御部22から供給される制御信号に基づき、加算モードおよび個別モードを指示するための切替制御信号CNGVを、画素アレイ部110aに含まれる各画素グループの列毎に生成する。また、切替制御信号生成部(H)151Hは、例えば制御部22から供給される制御信号に基づき、加算モードおよび個別モードを指示するための切替制御信号CNGHを、画素アレイ部110aに含まれる各画素グループの行毎に生成する。
【0151】
各画素グループにおいて、AND回路の一方の入力端に切替制御信号CNGVが入力され、他方の入力端に切替制御信号CNGHが入力される。AND回路150において、切替制御信号CNGVおよびCNGHの論理積が取られる。AND回路150は、切替制御信号CNGVおよびCNGHの論理積の結果を切替制御信号CNGとして出力し、当該AND回路150が含まれる画素グループに供給される。
【0152】
画素アレイ部110aをこのような構成とすることで、上述した第1の実施形態の第1および第2の変形例と同様に、画素アレイ部110aに含まれる各画素グループにおける加算モードによる読み出しと、個別モードによる読み出しとを、1以上の画素グループを含む矩形領域で切り替えて指示することが可能となる。
【0153】
[4.第3の実施形態]
次に、本開示に係る技術を適用した撮像装置の使用例について説明する。図26は、上述した本開示に係る撮像装置1の使用例を示す図である。
【0154】
上述した撮像装置1は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0155】
・デジタルカメラや、撮影機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置。
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置。
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置。
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置。
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置。
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置。
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置。
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置。
【0156】
(4-0.移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、上述のように様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0157】
(本開示の撮像装置を車両に搭載する場合のより具体的な例)
本開示に係る撮像装置1の応用例として、当該撮像装置1を車両に搭載して使用する場合のより具体的な例について説明する。
【0158】
(第1の搭載例)
先ず、本開示に係る撮像装置1の第1の搭載例について説明する。図27は、本開示に係る撮像装置1を搭載可能な車両のシステム構成例を示すブロック図である。図27において、車両システム13200は、車両13000に対して設けられるCAN(Controller Area Network)に対して接続される各ユニットを含む。
【0159】
フロントセンシングカメラ(Front Sensing camera)13001は、車両進行方向の前方を撮像するカメラである。一般的には、画像表示用には用いられず、センシングに特化したカメラである。フロントセンシングカメラ13001は、例えばウィンドシールドの内側のルームミラー近傍に配置される。
【0160】
フロントカメラECU(Front camera ECU)13002は、フロントセンシングカメラ13001で撮像された画像データを受信し、画質の向上や、物体検知などの画像認識処理を含む画像信号処理を実行する。フロントカメラECUによる画像認識結果は、CAN通信に送られる。
【0161】
なお、ECUは、「Electronic Control Unit」の略である。
【0162】
セルフドライビングECU(Self-driving ECU)13003は、自動運転を司るECUであり、例えばCPU、ISP、GPU(Graphics Processing Unit)などで構成される。GPUで画像認識した結果をサーバへ送り、サーバは、ディープニューラルネットなどのディープラーニングを実行して学習した結果を当該セルフドライビングECU13003に戻す。
【0163】
GPS(Global Positioning System)13004は、GPSによる電波を受信して現在位置を求める位置情報取得部である。GPS13004で取得された位置情報は、CAN通信に送られる。
【0164】
ディスプレイ(Display)13005は、車体13000内に配置される表示装置である。ディスプレイ13005は、車体13000におけるインストルメントパネルの中央部や、ルームミラー内部などに配置される。ディスプレイ13005は、車両13000が搭載するカーナビゲーション装置と一体的に構成されていてもよい。
【0165】
コミュニケーションユニット(Communication Unit)13006は、車車間通信、歩車間通信、路車間通信において、データの送受信を担う。コミュニケーションユニット13006は、サーバとの送受信も行う。コミュニケーションユニット13006は、種々の無線通信を適用可能である。
【0166】
インテグレーテッドECU(Integrated ECU)13007は、種々のECUが集められた統合ECUである。この例では、インテグレーテッドECU13007は、ADAS ECU13008と、セルフドライビングECU13003と、バッテリECU(Battery ECU)13010を含んでいる。バッテリECU13010は、バッテリ(200Vバッテリ13023、12Vバッテリ13024など)を制御する。インテグレーテッドECU13007は、例えば車体13000の中央部に配置される。
【0167】
ターンシグナル(Turn Signal)13009は、方向指示器であって、インテグレーテッドECU13007により点灯を制御される。
【0168】
ADAS ECU(Advanced Driver Assistance System ECU)13008は、ドライバ操作や画像認識結果などに応じて、車両システム13200のコンポーネントを制御するための制御信号を生成する。ADAS ECU13008は、CAN通信を通じて各部と信号の送受信を行う。
【0169】
車両システム13200において、駆動源(エンジン、モータ)の制御は、図示しないパワートレインECU(Power Train ECU)により行われる。パワートレインECUは、クルーズコントロールの際は、画像認識結果に応じて駆動源を制御する。
【0170】
ステアリング(Steering)13011は、画像認識により白線から逸脱しそうになったら、ADAS ECU13008により生成された制御信号に応じて電子パワーステアリングモータを駆動する。
【0171】
スピードセンサ(Speed sensor)13012は、車両13000の走行速度を検出する。スピードセンサ13012は、走行速度から、加速度や加速度の微分(ジャーク)を算出する。加速度情報は、物体との衝突までの推定時間の算出に用いられる。ジャークは乗員の乗り心地に影響を与える指数である。
【0172】
レーダ(Radar)13013は、ミリ波などの長めの波長の電磁波を用いて測距を行うセンサである。ライダー(Lidar)13014は、光を用いて測距を行うセンサである。
【0173】
ヘッドランプ(Head lamp)13015は、ランプとランプの駆動回路とを含み、画像認識により検知した対向車のヘッドライトの有無に応じて、ハイビームとロービームの切り替えを行う。または、ヘッドランプ13015は、対向車を避けるようなハイビームを照射する。
【0174】
サイドビューカメラ(Side View camera)13016は、サイドミラーの筐体内またはサイドミラー近傍に配置されるカメラである。サイドビューカメラ13016から出力される画像データはm画像表示用に用いられる。サイドビューカメラ13016は、例えば運転者の死角領域を撮像する。また、サイドビューカメラ13016は、アラウンドビューモニタの左右領域に用いられる画像を撮像する。
【0175】
サイドビューカメラECU(Side View camera ECU)13017は、サイドビューカメラ13016で撮像された画像の信号処理を行う。サイドビューカメラECU13017は、ホワイトバランスなどの画質を向上させる。サイドビューカメラECU13017で信号処理された画像データは、CANとは異なるケーブルで送られる。
【0176】
フロントビューカメラ(Front View camera)13018は、フロントグリル近傍に配置されるカメラである。フロントビューカメラ13018で撮像された画像データは、画像表示用に用いられる。フロントビューカメラ13018は、車両前方の死角領域を撮像する。また、フロントビューカメラ13018は、アラウンドビューモニタの上方領域に用いられる画像を撮像する。フロントビューカメラ13018は、上述したフロントセンシングカメラ13001とは枠割が異なる。
【0177】
フロントビューカメラECU(Front View camera ECU)13019は、フロントビューカメラ13018で撮像された画像の信号処理を行う。フロントビューカメラECU13019は、ホワイトバランスなどの画質を向上させる。フロントビューカメラECU13019で信号処理された画像データは、CANとは異なるケーブルで送られる。
【0178】
車体13000は、エンジン(ENG)13020、発電機(GEN)13021および駆動用モータ(MOT)13022を含む。エンジン13020、発電機13021および駆動用モータ13022は、図示されないパワートレインECUにより制御される。
【0179】
200Vバッテリ(200V Battery)13023は、駆動用およびエアコン用の電源である。12Vバッテリ(12V Battery)13024は、駆動用とエアコン用以外の電源である。12Vバッテリ13024は、車体13000に搭載される各カメラや各ECUの電源を供給する。
【0180】
リアビューカメラ(Rear View camera)13025は、例えばテールゲートのナンバープレート近傍に配置されるカメラである。リアビューカメラ13025で撮像された画像データは、画像表示用に用いられる。リアビューカメラ13025は、後方の死角領域を撮像する。また、リアビューカメラ13025は、アラウンドビューモニタの下方領域に用いられる画像を撮像する。リアビューカメラ13025は、例えばシフトレバーを「R(後退)」に入れることで起動する。
【0181】
リアビューカメラECU(Rear View camera ECU)13026は、リアビューカメラ13025で撮像された画像の信号処理を行う。リアビューカメラECU13026は、ホワイトバランスなどの画質を向上させる。リアビューカメラECU13026で信号処理された画像データは、CANとは異なるケーブルで送られる。
【0182】
図28は、車両システム13200のフロントセンシングカメラ13001に係る一例の構成を示すブロック図である。
【0183】
フロントカメラモジュール(Front Camera Module)13100は、レンズ(Lens)13101と、イメージャ(Imager)13102と、フロントカメラECU13002と、MCU(Micro Controller Unit)13103と、を含む。レンズ13101およびイメージャ13102により、上述したフロントセンシングカメラ13001が構成される。フロントカメラモジュール13100は、例えばウィンドシールドの内側のルームミラー近傍に配置される。
【0184】
イメージャ13102は、本開示による撮像部10を適用することができ、画素に含まれる受光素子により前方画像を撮像し、画素データを出力する。画素のカラーフィルタ配列は、例えばベイヤ配列が用いられる。イメージャ13102は、単層のチップにて形成されてもよいし、2以上のチップを積層させた積層型イメージャでもよい。イメージャ13102は、画素データを例えばRAWデータとして出力する。フロントカメラECU13002は、例えば本開示による画像処理部12、出力処理部13および制御部14を含む。すなわち、イメージャ13102とフロントカメラECU13002とを含んで、本開示に係る撮像装置1が構成される。
【0185】
なお、イメージャ13102と、フロントカメラECU13002との間のデータ伝送は、シリアル伝送およびパラレル伝送の何れを適用してもよい。また、イメージャ13102は、イメージャ13102自身の故障を検知する機能を有すると、好ましい。
【0186】
MCU13103は、CANバス(CAN Bus)13104とのインタフェースの機能を有する。CANバス13104に対して、図27示した各部(セルフドライビングECU13003、コミュニケーションユニット13006、ADAS ECU13008、ステアリング13011、ヘッドランプ13015、エンジン13020、駆動用モータ13022、…)が接続される。また、CANバス13040に対して、ブレーキシステム(Brake)13030も接続される。
【0187】
フロントカメラモジュール13100は、CANバス13040から、車両13000の車両情報(走行速度、周囲の明るさ、など)を取得できる。例えば、フロントカメラモジュール13100においてフロントカメラECU13002は、取得した車両情報に基づき、イメージャ13102における画素の読み出しを、加算モードおよび個別モードの何れで実行するかを指示することができる。これにより、走行速度や明るさなどに応じた画像データを出力でき、また、省電力化が可能となる。
【0188】
なお、上述では、本開示に係る撮像装置1がフロントセンシングカメラ13001に適用されるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、本開示に係る撮像装置1を、フロントビューカメラ13018やサイドビューカメラ13016、リアビューカメラ13025に適用してもよい。
【0189】
(第2の搭載例)
次に、本開示に係る撮像装置1の第2の搭載例について説明する。図29は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0190】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図29に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0191】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0192】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0193】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0194】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0195】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0196】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0197】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0198】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0199】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図29の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0200】
図30は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0201】
図30では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0202】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0203】
なお、図30には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0204】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0205】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0206】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0207】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0208】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、本開示の第1および第2の実施形態、ならびに、それらの各変形例の何れかに係る撮像装置1を、撮像部12031に適用できる。
【0209】
この場合、撮像部12031は、通信ネットワーク12001から車両の車両情報(走行速度、周囲の明るさ、など)を取得できる。例えば、撮像部12031は、取得した車両情報に基づき、撮像部12031が有する画素アレイにおける画素の読み出しを、加算モードおよび個別モードの何れで実行するかを指示することができる。これにより、走行速度や明るさなどに応じた画像データを出力でき、また、省電力化が可能となる。
【0210】
(4-1.内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る撮像装置1のさらなる応用例として、当該撮像装置1を内視鏡手術システムに適用する場合のより具体的な例について説明する。
【0211】
図31は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0212】
図31では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0213】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0214】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0215】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)11201に送信される。
【0216】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0217】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0218】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0219】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0220】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0221】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0222】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0223】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0224】
図32は、図31に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0225】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0226】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0227】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0228】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0229】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0230】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0231】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0232】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0233】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0234】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0235】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0236】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0237】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0238】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0239】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0240】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0241】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、上述した撮像素子を撮像部10112に適用することができる。
【0242】
本開示に係る撮像素子が適用された撮像部10112は、撮像部12031が有する画素アレイにおける画素の読み出しを、高速読み出しが可能でSNRに優れた加算モードと、解像度の点で優れた個別モードと、の何れで実行するかを指示することができる。これにより、例えば術者11131は、術部および術部の状況に応じた撮像画像を得ることができる。これにより、例えば術者11131は、より確実に手術を進めることが可能となり、また、省電力化が可能となる。
【0243】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0244】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0245】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
それぞれN個×N個(Nは2以上の整数)の画素を含む複数の画素グループを有する画素アレイを含み、各画素から読み出した画素信号を出力する撮像部と、
前記撮像部による前記画素それぞれから前記画素信号を読み出す読出モードを切り替える切替部と、
を備え、
前記切替部は、
前記読出モードを、
前記画素グループに含まれる前記N個×N個の各画素から読み出した前記画素信号それぞれを加算して1つの画素信号とする加算モードと、
前記画素グループに含まれる前記N個×N個の各画素から読み出した前記画素信号それぞれを個別に出力する個別モードと、
で切り替える、
撮像装置。
(2)
当該撮像装置は、車両に搭載され、
前記切替部は、
前記車両から取得される車両情報に基づき前記読出モードを切り替える、
前記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記切替部は、
前記車両情報として取得される前記車両の速度に応じて前記読出モードを切り替える、
前記(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記切替部は、
前記車両情報として取得される前記車両の周辺の明るさに応じて前記読出モードを切り替える、
前記(2)または(3)に記載の撮像装置。
(5)
前記切替部は、
前記車両情報として取得される前記車両の速度が所定以上、且つ、前記車両情報として取得される前記車両の周辺の明るさが所定以上の場合に、前記読出モードを前記個別モードに切り替える、
前記(2)乃至(4)の何れかに記載の撮像装置。
(6)
前記切替部は、
前記画素信号によるフレーム画像の領域に応じて前記読出モードを切り替える、
前記(1)乃至(5)の何れかに記載の撮像装置。
(7)
前記切替部は、
前記読出モードを、前記フレーム画像の中央部の所定領域で前記個別モードとし、該フレーム画像の該所定領域以外で前記加算モードとする、
前記(6)に記載の撮像装置。
(8)
前記切替部は、
前記画素信号によるフレーム画像に含まれるオブジェクトに基づき前記読出モードを切り替える、
前記(1)乃至(7)の何れかに記載の撮像装置。
(9)
前記切替部は、
前記画像に特定のオブジェクトが含まれる場合に、該画像の該特定のオブジェクトが含まれる特定領域と、該特定領域以外の領域と、で前記読出モードを切り替える、
前記(8)に記載の撮像装置。
(10)
当該撮像装置は、車両に搭載されて用いられ、
前記切替部は、
信号機、交通標識、対向車および歩行者のうち少なくとも1つを前記特定のオブジェクトとして、該特定のオブジェクトが含まれる前記特定領域の前記読出モードを前記個別モードに切り替える、
前記(9)に記載の撮像装置。
(11)
前記切替部は、
前記画素アレイに含まれる前記画素の読み出しを制御することで、前記読出モードを切り替える、
前記(1)乃至(10)の何れかに記載の撮像装置。
(12)
前記切替部は、
前記撮像部により出力された前記画素信号に対する画像処理を制御することで、前記読出モードを切り替える、
前記(1)乃至(10)の何れかに記載の撮像装置。
(13)
第1の露出時間で前記画素が露出された第1の画素信号による第1の画像と、該露出に続けて第2の露出時間で該画素が露出された第2の画素信号による第2の画像と、を合成する合成部をさらに備える、
前記(1)乃至(12)の何れかに記載の撮像装置。
(14)
前記画素アレイは、
前記複数の画素グループに、
第1の光学フィルタを透過した光を受光する第1の画素グループと、
第2の光学フィルタを透過した光を受光する第2の画素グループと、
第3の光学フィルタを透過した光を受光する第3の画素グループと、
を含み、
前記第1の画素グループと、前記第2の画素グループと、前記第3の画素グループと、が該第1の画素グループと該第2の画素グループと該第3の画素グループとのうち互いに異なる画素グループが隣接するように配置される、
前記(1)乃至(13)の何れかに記載の撮像装置。
(15)
前記読出モードが前記個別モードである場合に、前記第1の画素グループ、前記第2の画素グループおよび前記第3の画素グループそれぞれに含まれる各画素を、それぞれの画素の位置に応じた特性の画素に変換するリモザイク処理を実行するリモザイク処理部をさらに備える、
前記(14)に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0246】
1 撮像装置
10 撮像部
12 画像処理部
13 出力処理部
14,22 制御部
15 車両情報取得部
110,110a 画素アレイ部
201L,201M,201S 処理切替スイッチ
202L,202M,202S 画素加算部
203L,203M,203S リモザイク処理部
204L,204M,204S セレクタ
220 検出部
1200,1200a,1200b 画素処理部
1201 HDR合成処理部
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