(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】水性後処理組成物及び腐食保護のための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 22/30 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
C23C22/30
(21)【出願番号】P 2021550250
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2020055147
(87)【国際公開番号】W WO2020174047
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511188635
【氏名又は名称】アトテック ドイチェランド ゲーエムベーハー ウント コ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイク・クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】エルカン・カラピナー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・レンツ
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・アメル・トサス
(72)【発明者】
【氏名】デニス・シュトリッター
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特公平07-030457(JP,B2)
【文献】特表2002-531696(JP,A)
【文献】特表2005-508449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00-22/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄含有基材の少なくとも一部にある亜鉛層の少なくとも一部を覆う、不動態化層の少なくとも一部に後処理層をもたらすための水性後処理組成物であって、
前記水性後処理組成物が、少なくとも1種のクロム(III)イオン源、及び化学元素ケイ素を含有する少なくとも1種の化合物を含み、6価クロムを含まず、前記組成物において、ケイ素対クロムのモル比が、電解酸性亜鉛析出法によって得られる前記亜鉛層について、前記モル比が1700:1~1:1の範囲であるか、又は電解アルカリ性亜鉛析出法によって得られる前記亜鉛層について、前記モル比が450:1~1:1の範囲であるという条件で与えられ、
前記化学元素ケイ素を含有する化合物が、コロイド状シリカ、コロイド状ケイ酸塩及び/又はシランであり、
前記少なくとも1種のクロム(III)イオンの濃度が、0.005g/l~30g/lであることを特徴とする、水性後処理組成物。
【請求項2】
電解酸性亜鉛析出法によって得られる前記亜鉛層について、前記モル比が、270:1~1:1、好ましくは200:1~1:1の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の水性後処理組成物。
【請求項3】
電解酸性亜鉛析出法によって得られる前記亜鉛層について、前記モル比が、700:1~1:1、好ましくは450:1~1:1の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の水性後処理組成物。
【請求項4】
電解アルカリ性亜鉛析出法によって得られる前記亜鉛層について、前記モル比が、200:1~1:1の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の水性後処理組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のクロム(III)イオンの濃度が、0.008g/l~20g/l、好ましくは0.01g/l~10g/lの範囲であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の水性後処理組成物。
【請求項6】
この順序で、
i. 鉄含有基材を用意する工程
ii. 亜鉛析出浴を使用することによって、前記鉄含有基材の少なくとも一部に亜鉛層を電解析出させる工程
iii. 不動態化析出浴を使用することによって、前記鉄含有基材の少なくとも一部にある前記亜鉛層の少なくとも一部に不動態化層を析出させる工程
を含む、鉄含有基材の腐食保護のための方法であって、
前記方法が、方法工程iiiの後で引き続いて実施される、追加の方法工程iv、
iv. 少なくとも1種のクロム(III)イオン源、及び化学元素ケイ素を含有する少なくとも1種の化合物を含み、6価クロムを含まない水性後処理組成物であり、前記組成物において、ケイ素対クロムのモル比が、方法工程ii.の酸性亜鉛析出浴を使用することについて、前記モル比が1700:1~1:1の範囲であるか、又は方法工程ii.のアルカリ性亜鉛析出浴を使用することについて、前記モル比が450:1~1:1の範囲であるという条件で与えられる、水性後処理組成物を使用することによって、方法工程iii.の前記不動態化層の少なくとも一部に後処理層を析出させる工程によって特徴づけられ、
前記化学元素ケイ素を含有する化合物が、コロイド状シリカ、コロイド状ケイ酸塩及び/又はシランであり、
前記少なくとも1種のクロム(III)イオンの濃度が、0.005g/l~30g/lである、方法。
【請求項7】
方法工程ivにおいて、方法工程ii.の酸性亜鉛析出浴を使用することについて、前記モル比が、270:1~1:1、好ましくは200:1~1:1の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の腐食保護のための方法。
【請求項8】
方法工程ivにおいて、方法工程ii.のアルカリ性亜鉛析出浴を使用することについて、前記モル比が、200:1~1:1の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の腐食保護のための方法。
【請求項9】
方法工程ivの後で引き続いて実施される、さらなる追加の方法工程v、
v. 方法工程ivの後で受け取る基材の熱処理を実施する工程であって、前記熱処理は210℃で6時間焼き鈍すことである、工程
によって特徴づけられる、請求項6に記載の腐食保護のための方法。
【請求項10】
方法工程ivにおいて、方法工程ii.の酸性亜鉛析出浴を使用することについて、前記モル比が、700:1~1:1、好ましくは450:1~1:1の範囲であることを特徴とする、請求項
9に記載の腐食保護のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄含有基材の少なくとも一部にある亜鉛層の少なくとも一部を覆う、不動態化層の少なくとも一部に後処理層をもたらすための水性後処理組成物に関連する。
【0002】
本発明は、この順序で、
i. 鉄含有基材を用意する工程
ii. 亜鉛析出浴を使用することによって、上記鉄含有基材の少なくとも一部に亜鉛層を電解析出させる工程、及び
iii. 不動態化析出浴を使用することによって、上記鉄含有基材の少なくとも一部にある上記亜鉛層の少なくとも一部に不動態化層を析出させる工程
を含む、鉄含有基材の腐食保護のための方法を更に対象とする。
【背景技術】
【0003】
腐食環境の影響に対して金属材料の表面を保護するための、当分野で既知のいくつかの方法がある。別の金属の被覆によって保護される、金属製ワークピースの被覆は、一般に使用され、先行技術の確立された方法である。腐食媒体において、被覆金属は、材料の卑金属よりも電気化学的に多かれ少なかれ貴であり得る。被覆金属は、あまり貴でない場合、腐食媒体において、卑金属に対して犠牲アノードとして機能する(カソード腐食保護)。被覆金属の腐食生成物の形成から得られる保護機能が望まれるが、被覆の腐食生成物は、しばしば、望ましくない装飾をもたらし、ときに、ワークピースの機能低下をもたらす。
【0004】
可能な限り、被覆金属の腐食を減らし、防ぐために、いわゆる変換層又は不動態化層が、しばしば、とりわけ、カソード保護する、あまり貴でない被覆金属、例えば、亜鉛又はアルミニウム及びその合金で使用される。
【0005】
これらの変換層又は不動態化層は、あまり貴でない被覆金属と水性後処理組成物との反応生成物であり、反応生成物は、広いpH範囲にわたって、水性媒体に不溶性である。これらのいわゆる変換層又は不動態化層の例は、いわゆるリン酸塩処理及びクロム酸塩処理である。
【0006】
リン酸塩処理の場合、保護されるべき層を、リン酸イオンを含有する酸性溶液に浸漬する(例えば、国際公開第00/47799号参照)。酸性媒体により、被覆から、亜鉛の部分的な溶解がもたらされる。こうして放出された亜鉛カチオンは、処理溶液のリン酸イオンと共に、表面に難溶性リン酸亜鉛層を形成する。リン酸亜鉛層それ自体は、それに塗布されるワニス及び塗料に対し優れた粘着表面であるが、腐食に対して比較的不十分な保護しか提供しないので、その用途の主な領域は、ワニス及び塗料の塗布のベース層としてのその機能にある。
【0007】
クロム酸塩処理の場合、処理されるべき表面を、クロム(VI)イオンを含有する酸性溶液に浸漬させる(欧州特許出願公開第0553164号参照)。例えば、亜鉛表面の場合、亜鉛の一部が溶解する。優勢である還元条件の下、クロム(VI)は、表面薄膜に沈殿されるクロム(III)に還元され、水素の発生によって、とりわけ、水酸化クロム(III)として、又は難溶性クロム(III)錯体として、よりアルカリ性となる。並行して、難溶性亜鉛クロム酸塩(VI)が形成される。結果として、亜鉛表面にしっかり閉じられた変換層又は不動態化層が形成され、電解質による腐食攻撃に対して良好な保護をもたらす。
【0008】
JPH0730457B2は、クロム酸塩薄膜が、亜鉛又は亜鉛合金のめっき鋼板に形成された表面処理鋼板を示す。耐腐食性及び耐指紋性を改善するために、第1のクロム酸塩層が形成され、続いて、クロム化合物及びシリカ化合物を含有する、第2のクロム酸塩層が形成される。
【0009】
JPH01177378(A)は、亜鉛めっきされた亜鉛層又は亜鉛合金層、続いて、2つのクロム酸塩層を含む鋼板を示す。第1の層は、クロム、リン、及び場合によりケイ素を含み、第2の層は、主成分として有機樹脂を含む。
【0010】
しかし、クロム(VI)化合物は、急性毒性であり、強い発がん性であるので、これらの化合物を使用する方法の代替法を見つけねばならない。
【0011】
現在、6価クロム化合物を使用するクロム酸塩処理法の代替法として、3価クロム化合物の様々な錯体を使用する、多くの方法が確立されてきた(独国特許出願公開第19638176号参照)。
【0012】
それで実現され得る、腐食に対する保護は、通常、6価クロムを使用する方法で実現されるものよりも劣り、多くの場合、追加の有機シーリング層を、通常、水性ポリマー分散からの析出によってワークピース表面に付着させる。殊の外、いわゆる黒色変換又は不動態化、すなわち、3価クロム化合物を用いることによって、黒色層が亜鉛含有表面に形成される方法を使用する場合、先行技術によれば、腐食に対する保護を改善するために、この第1の変換層又は不動態化層の後処理が不可欠である(国際公開第02/07902A2号参照)。
【0013】
この追加の、ポリマー分散を使用する方法工程の欠点は、ラックで被覆されたワークピースとのドレイン線の形成及び/又はバルクで被覆されたピースの癒着である。更に、こうした有機シーリングの厚さから得られる、ネジ山等の寸法精度に関する問題がある。こうしたシーリングが、強い腐食に対する保護をもたらす場合、被覆表面への粘着もまた、大抵極めて強い。これは、被覆装置の部品への粘着も極めて良好であり、その洗浄を難しくすることを意味する。その上、全体の被覆方法を通してリサイクルされるべき、被覆不良を有する任意の品目は、相当な努力で被覆除去せねばならず、通常、追加の方法工程を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第00/47799号
【文献】欧州特許出願公開第0553164号
【文献】JPH0730457B2
【文献】JPH01177378(A)
【文献】独国特許出願公開第19638176号
【文献】国際公開第02/07902A2号
【非特許文献】
【0015】
【文献】DIN EN ISO10289
【文献】DIN EN ISO9227
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、先行技術を考慮して、本発明の目的は、変換層又は不動態化層を備えた金属製表面、特に、亜鉛含有表面の、腐食に対する保護を改善するために後処理層をもたらすための、既知の先行技術の組成物の前述された短所を表すことのない、水性後処理組成物を提供することであった。
【0017】
更に、目的は、後処理層により、最終的に実現される、基材の腐食保護が強化される、鉄含有基材の腐食保護のための方法を提供することであった。
【0018】
同時に、表面の装飾特性及び機能特性は、維持されるか、又は改善されることになる。
【0019】
更に、クロム(VI)含有化合物の使用、又はポリマー分散による後処理に起因する、前述された問題は避けられることになる。
【0020】
特に、本発明の目的は、同時に、基材の白色又は赤色のサビ腐食の発生を最小化するか、又は理想的には完全に避けながら、腐食保護を強化することが可能になる、水性後処理組成物及び腐食保護のための方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらの目的、及び明確に述べられていないが、序論によって、本明細書で議論された関連から即座に導き出せるか、又は認識される、さらなる目的もまた、請求項1の全ての特徴を有する水性後処理組成物によって成し遂げられる。本発明の水性後処理組成物に対する適切な改変は、従属請求項2から8において保護される。更に、請求項9は、鉄含有基材の腐食保護のための方法を含む。本発明の方法に対する適切な改変は、従属請求項10から15において保護される。
【0022】
したがって、本発明は、鉄含有基材の少なくとも一部にある亜鉛層の少なくとも一部を覆う、不動態化層の少なくとも一部に後処理層をもたらすための水性後処理組成物であって、
水性後処理組成物が、少なくとも1種のクロム(III)イオン源、及び化学元素ケイ素を含有する少なくとも1種の化合物を含み、上記組成物において、ケイ素対クロムのモル比が、電解酸性亜鉛析出法によって得られる亜鉛層について、上記モル比が2600:1~1:1の範囲であるか、又は電解アルカリ性亜鉛析出法によって得られる亜鉛層について、上記モル比が5200:1~1:1の範囲であるという条件で与えられることを特徴とする、水性後処理組成物を提供する。
【0023】
したがって、予測できない方法で、変換層又は不動態化層を備えた金属製表面、特に、亜鉛含有表面の、腐食に対する保護を改善するために後処理層をもたらすための、既知の先行技術の組成物の前述された短所を表すことのない、水性後処理組成物を提供することが可能である。
【0024】
更に、後処理層により、最終的に実現される、基材の腐食保護が強化される、鉄含有基材の腐食保護のための方法が提供される。
【0025】
同時に、表面の装飾特性及び機能特性は、維持されるか、又は改善される。
【0026】
更に、クロム(VI)含有化合物の使用、又はポリマー分散による後処理に起因する、前述された問題は避けられる。
【0027】
特に、同時に、基材の白色又は赤色のサビ腐食の発生を最小化するか、又は理想的には完全に避けながら、腐食保護を強化することが可能である、水性後処理組成物及び腐食保護のための方法が提供された。
【0028】
表の簡単な説明
本発明の目的、特徴、及び利点はまた、表と併せて以下の説明を読むと明らかになるであろう。
【0029】
表1は、本発明の、本発明の実施形態及び比較の実施形態に従って、実験で使用された、調製された水性後処理組成物を表す。
【0030】
表2は、本発明の、本発明の実施形態及び比較の実施形態に従って、実験の耐腐食性結果を評価するために使用された、耐腐食性結果評価スキームを表す。
【0031】
表3は、本発明の、本発明の実施形態及び比較の実施形態に従って、亜鉛層が、アルカリ性亜鉛析出浴を使用する電解アルカリ性亜鉛析出法によって得られた、最終的に獲得された基材の耐腐食性結果を表す。
【0032】
表4は、本発明の、本発明の実施形態及び比較の実施形態に従って、亜鉛層が、酸性亜鉛析出浴を使用する電解酸性亜鉛析出法によって得られた、最終的に獲得された基材の耐腐食性結果を表す。
【0033】
表5は、本発明の、本発明の実施形態及び比較の実施形態に従って、亜鉛層が、アルカリ性亜鉛析出浴を使用する電解アルカリ性亜鉛析出法によって得られ、基材の熱処理が、追加の方法工程vとして実施される、最終的に獲得された基材の耐腐食性結果を表す。
【0034】
表6は、本発明の、本発明の実施形態及び比較の実施形態に従って、亜鉛層が、酸性亜鉛析出浴を使用する電解酸性亜鉛析出法によって得られ、基材の熱処理が、追加の方法工程vとして実施される、最終的に獲得された基材の耐腐食性結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明による上記水性後処理組成物は、水性浴であり、水含有量は、使用される全ての溶媒の、65体積%よりも多く、好ましくは75体積%よりも多く、より好ましくは85体積%よりも多い。
【0036】
本明細書において、特に、上記水性後処理組成物が、少なくとも1種の、コロイド状ケイ酸、コロイド状シリカ、及び/又はコロイド状ケイ酸塩を含む場合、本発明による上記水性後処理組成物は、溶液又は懸濁液、好ましくは懸濁液であることができる。
【0037】
少なくとも1種のクロム(III)イオン源は、無機クロム(III)塩、例えば、塩基性硫酸クロム(III)、水酸化クロム(III)、リン酸二水素クロム(III)、塩化クロム(III)、硝酸クロム(III)、硫酸カリウムクロム(III)、若しくは有機酸のクロム(III)塩、例えば、メタンスルホン酸クロム(III)、クエン酸クロム(III)の形態のいずれかで水性後処理組成物に添加することができるか、又は好適な還元剤の存在下で、好適なクロム(VI)化合物の還元によって形成することができる。
【0038】
好適なクロム(VI)化合物は、例えば、酸化クロム(VI)、クロム酸塩、例えば、クロム酸カリウム又はクロム酸ナトリウム、二クロム酸塩、例えば、二クロム酸カリウム又は二クロム酸ナトリウムである。
【0039】
クロム(III)イオンのin situ形成に好適な還元剤は、例えば、亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、亜リン酸塩、例えば、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、過酸化水素、及びメタノールである。
【0040】
既に述べたように、本発明は、クロム(VI)含有化合物の使用により、又はポリマー分散を用いた後処理により、前述された問題を避ける。したがって、好ましいものは、6価クロムを含まない(すなわち、6価クロムが無い)水性後処理組成物である。これは、水性後処理組成物が、酸化状態(VI)のクロムを含む、任意のクロム化合物及び/又はクロムイオンを含まないことを意味する。
【0041】
好ましいものは、少なくとも1種のクロム(III)イオン源が、クロムイオン源のみであり、最も好ましくはクロム源のみである、本発明の水性後処理組成物である。
【0042】
水性後処理組成物は、pH2.5からpH7までの間、好ましくはpH3からpH6までの間、より好ましくはpH3.5からpH5までの間のpHを有する。
【0043】
場合により、水性後処理組成物は、追加で、1種又は複数の錯化剤を含有することができる。好適な錯化剤は、特に、有機キレート配位子である。好適な錯化剤の例は、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシポリカルボン酸、アミノカルボン酸、又はヒドロキシホスホン酸である。好適なカルボン酸の例は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、イソクエン酸、没食子酸、グリコール酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、4-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ニコチン酸、アラニン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、及びリシンである。好適なヒドロキシホスホン酸は、例えば、Dequest 2010(商標)(Solutia Inc.社より利用可能)であり、好適なアミノホスホン酸は、例えば、Dequest 2000(商標)(Solutia Inc.社より利用可能)である。
【0044】
一般に、腐食に対する保護を増大させるために、例えば、Sc、Y、Ti、Zr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、B、Al、Si、P等の、少なくとも1種の金属又は半金属を水性後処理組成物に添加する。これらの元素は、その塩の形態で、或いは錯アニオン又はこれらのアニオンの対応する酸、例えば、ヘキサフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、若しくはヘキサフルオロジルコニウム酸、テトラフルオロホウ酸若しくはヘキサフルオロリン酸、又はその塩の形態で添加することができる。
【0045】
特に好ましくは、例えば、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、又は水酸化亜鉛等の、亜鉛(II)塩の形態で添加され得る、亜鉛が添加される。
【0046】
好ましくは、0.5g/lから25g/lまでの間、特に好ましくは1g/lから15g/lまでの間の亜鉛イオンが、水性後処理組成物に添加される。
【0047】
亜鉛化合物の列挙は、本発明に好適な化合物の例を詳述するのみであるが、好適な亜鉛化合物の群は、詳細に挙げられた物質に限定されない。
【0048】
追加的に(場合により)、処理される表面での薄膜形成を改善するために、且つ表面の疎水性を増すために、水性後処理組成物は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリイタコン酸、ポリアクリレート、及びそれぞれの構成モノマーのコポリマーからなる群から選択される、1種又は複数の水溶性ポリマー又は水分散性ポリマーを含有することができる。
【0049】
少なくとも1種のポリマーの濃度は、好ましくは50mg/lから20g/lまでの間の範囲にある。前述されたポリマーの水性後処理組成物への添加により、こうして析出される腐食保護層の特性において有意な改善がもたらされる。
【0050】
追加的に(場合により)、水性後処理組成物は、1種又は複数の界面活性剤を含有することができる。とりわけ、錯体部分又は難湿潤性の表面の場合、これにより、被覆層の均一な組成及び改善された排水挙動を確実なものにする。
【0051】
好ましくは、水性後処理組成物は、追加で1種又は2種以上のリン酸塩化合物、最も好ましくは、酸化状態+Vのリンから誘導されたオキソ化合物、及び最大で12個までの炭素原子を有する有機残基を含むそのエステル、及び好ましくは2~10個の炭素原子を有する、モノエステル及びジエステルの塩を含む。
【0052】
好適なリン酸塩化合物は、特に、最大で12個までの炭素原子を有する、好ましくは2~10個の炭素原子を有する、アルキル基を含む、リン酸のアルキルエステルである。
【0053】
好適なリン酸塩化合物の例は、オルトリン酸(H3P04)及びその塩、ポリリン酸及びその塩、メタリン酸及びその塩、リン酸メチル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステル)、リン酸エチル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステル)、リン酸n-プロピル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステル)、リン酸i-プロピル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステル)、リン酸n-ブチル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステル)、リン酸2-ブチル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステル)、リン酸tert.-ブチル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステル)であり、前述されたモノエステル及びジエステルの塩、並びに五酸化二リン、並びにその混合物である。
【0054】
用語「塩」は、完全に脱プロトン化された酸の塩だけでなく、全ての可能な、脱プロトン化度の塩、例えば、リン酸水素及びリン酸二水素も含む。
【0055】
本明細書において、用語「鉄含有基材」は、本発明の意味において、鉄含有合金、例えば、鋳鉄(好ましくは炭素及び/又はケイ素を主な合金化元素として含む、鉄及び第一鉄の合金)製の基材を示す。典型的な基材は、例えば、ブレーキキャリパー及び締め具である。基材は、当分野で既知の標準的な方法について、任意のめっき手順の前で洗浄される。例えば、表面活性剤、酸性クリーナー等を含むクリーナー、及び洗浄中の超音波放射又は電流の適用を、本発明による方法によってめっきされる基材に適応させることができる。
【0056】
本明細書において、用語「不動態化層」は、本明細書の意味において、変換層又は不動態化層、好ましくは、表面を黒色にする、亜鉛層に広く施される、いわゆる黒色変換層又は不動態化層を示す。
【0057】
亜鉛層に施された変換層又は不動態化層は、当分野で一般的なものであり、酸性溶液中に塩基性クロム(III)錯体及び酸化剤を含む。これらの配合物は、クロム(III)ベースの変換層又は不動態化層、好ましくは、in situ発生する黒色顔料粒子を含む黒色変換層又は不動態化層を形成する。クロム(III)錯体ベース層は、亜鉛層によって既にもたらされた腐食保護を増強する。上記の層によってもたらされる、追加の腐食保護は、いずれの腐食性溶液も亜鉛層へ接近することを遅らせるバリア機能によって生じる。
【0058】
一実施形態において、電解酸性亜鉛析出法によって得られる亜鉛層について、上記モル比は、2550:1~1:1、好ましくは270:1~1:1、より好ましくは200:1~1:1の範囲である。
【0059】
その代替の実施形態において、電解酸性亜鉛析出法によって得られる亜鉛層について、上記モル比は、1700:1~1:1、好ましくは700:1~1:1、より好ましくは450:1~1:1の範囲である。
【0060】
一実施形態において、電解アルカリ性亜鉛析出法によって得られる亜鉛層について、上記モル比は、5150:1~1:1、好ましくは2600:1~1:1、より好ましくは450:1~1:1の範囲である。
【0061】
その代替の実施形態において、電解アルカリ性亜鉛析出法によって得られる亜鉛層について、上記モル比は、1200:1~1:1、好ましくは450:1~1:1、より好ましくは200:1~1:1の範囲である。
【0062】
一実施形態において、少なくとも1種のクロム(III)イオン源の濃度は、0.005g/l~30g/l、好ましくは0.008g/l~20g/l、より好ましくは0.01g/l~10g/lの範囲である。
【0063】
一実施形態において、水性後処理組成物は、少なくとも1種の、コロイド状ケイ酸、コロイド状シリカ、及び/又はコロイド状ケイ酸塩を含む。
【0064】
その好ましい一実施形態において、水性後処理組成物は、好ましくはpH安定性であり、酸性pH値を有する、少なくとも1種のアニオン性コロイド状シリカを含む。
【0065】
こうしたコロイド状ケイ酸は、ゾル又はゲルの形態で、特に、ゾルの形態で提供することができ、例えば、商品名「Ludox」又は「Levasil」で市販されている。コロイド状ケイ酸は、ケイ酸塩、好ましくは「ポリケイ酸リチウム」として既知であるリチウム塩である。これらのコロイド状ケイ酸リチウム塩のSiO2/Li2Oモル比は、4.5~5.5の範囲、好ましくは4.8~5.2の範囲である。
【0066】
コロイド状材料を使用して、pHを調節することができ、適切に混合することによって所望のpHに到達することができる。ポリケイ酸リチウム又は他のアニオン性ポリケイ酸塩、ゾル又はゲルの使用により、例えば、9~11の範囲のアルカリ性pHをもたらし、その一方で、コロイド状カチオン性SiO2を使用することにより、酸性pHを生じる。ポリケイ酸リチウム又は他のアニオン性ポリケイ酸塩、ゾル又はゲル及びコロイド状カチオン性シリカゲルを混合することによって、任意の所望の中間のpH値を生じることができる。
【0067】
一実施形態において、水性後処理組成物は、少なくとも1種のシランを含む。
【0068】
好ましくは、上記シランは以下の一般式を有し:
【0069】
【0070】
式中、Aは以下の残基であり、
【0071】
【0072】
式中、xは整数1~6であり、yは0又は整数1~6であり、同じであっても、異なってもよいRは、水素又はC1~C6アルキル基であり、zは整数1~4である。
【0073】
より好ましくは、上記の式において、x及びyは、独立して整数1~4であり、最も好ましくは、xは1であり、yは2~4、特に3である。より好ましくは、Rは水素原子又はメチル基である。より好ましくは、AはCH2OH-CHOH-基である。
【0074】
最も好ましくは、シランは、3-グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、グリシジルオキシトリメトキシシラン、又はその混合物の加水分解生成物である。
【0075】
更に、本発明の目的はまた、この順序で、
i. 鉄含有基材を用意する工程
ii. 亜鉛析出浴を使用することによって、上記鉄含有基材の少なくとも一部に亜鉛層を電解析出させる工程
iii. 不動態化析出浴を使用することによって、上記鉄含有基材の少なくとも一部にある上記亜鉛層の少なくとも一部に不動態化層を析出させる工程
を含む、鉄含有基材の腐食保護のための方法であって、
方法が、方法工程iiiの後で引き続いて実施される、追加の方法工程iv、
iv. 少なくとも1種のクロム(III)イオン源、及び化学元素ケイ素を含有する少なくとも1種の化合物を含む水性後処理組成物であり、ケイ素対クロムのモル比が、方法工程ii.の酸性亜鉛析出浴を使用することについて、上記モル比が2600:1~1:1の範囲であるか、又は方法工程ii.のアルカリ性亜鉛析出浴を使用することについて、上記モル比が5200:1~1:1の範囲であるという条件で与えられる、水性後処理組成物を使用することによって、方法工程iii.の上記不動態化層の少なくとも一部に後処理層を析出させる工程
によって特徴づけられる、方法によっても解決される。
【0076】
本発明の水性後処理組成物に関して前述されたものは、好ましくは、本発明の方法にも同様に適用される。
【0077】
好ましいものは、工程iii.において、不動態化層が黒色不動態化層である、本発明の方法である。これは、好ましくは、工程iii.において、不動態化析出浴が黒色不動態化析出浴であることを意味する。
【0078】
本発明による方法において、不動態化層の少なくとも一部での水性後処理層の析出は、そのように既知である方法によって、特に、浸漬によって行うことができる。
【0079】
水性後処理組成物の温度は、好ましくは10℃から80℃までの間、より好ましくは20℃から60℃までの間、最も好ましくは30℃から50℃までの間である。
【0080】
上記析出方法工程ivの時間長は、好ましくは0.5秒から180秒までの間、より好ましくは20秒から100秒までの間、最も好ましくは40秒から80秒までの間である。
【0081】
本発明による方法を実行する前に、水性後処理組成物は、対応する、より濃縮された組成物濃縮液を希釈することによって製造することができる。
【0082】
一実施形態において、本発明の、発明の方法を実施した後、最終的に獲得された基材は、洗い流されないが、好ましくは、例えば、80℃、10分間で、より好ましくはこうした時間及び温度で、最も好ましくは750回転毎分(rpm)で遠心分離を施すことによって乾燥させる。
【0083】
一実施形態で、方法工程ivにおいて、方法工程ii.の酸性亜鉛析出浴を使用することについて、上記モル比は、2550:1~1:1、好ましくは270:1~1:1、より好ましくは200:1~1:1の範囲である。
【0084】
一実施形態で、方法工程ivにおいて、方法工程ii.のアルカリ性亜鉛析出浴を使用することについて、上記モル比は、1200:1~1:1、好ましくは450:1~1:1、より好ましくは200:1~1:1の範囲である。
【0085】
一実施形態において、方法工程ivを実行した後、その後の熱処理工程は実施されない。
【0086】
それによって、本発明は、選択できる方法工程として上記に記載された一般的な乾燥工程と、最終的に獲得された基材が、所定のより長い期間で焼き鈍されて、最終の基材特性に影響を及ぼす、いわゆる熱処理工程とを明確に区別する。乾燥工程は、予測されるならば、熱処理工程とは対照的に、実施されて、上記基材表面上にある、液体薄膜からの、基材表面上の乾燥薄膜層を得る。
【0087】
その代替の一実施形態において、方法工程ivの後で引き続いて実施される、さらなる追加の方法工程v.、
v. 方法工程ivの後で受け取る基材の熱処理を実施する工程
が含まれる。
【0088】
意外なことに、こうした追加の、引き続き実施された方法工程は、鉄含有基材の表面が、亜鉛層、不動態化層、及び後処理層によって覆われ、鉄含有基材の腐食保護に有利であることが明らかになった。最終基材の実現される耐腐食性は、本明細書の請求項に記載の、こうした水性後処理組成物を使用しない、従来の方法よりも、より良好な塩水噴霧試験の結果を与える。
【0089】
本発明の好ましい一実施形態で、方法工程ivにおいて、上記モル比は、方法工程ii.の酸性亜鉛析出浴を使用することについて、1700:1~1:1、好ましくは700:1~1:1、より好ましくは450:1~1:1の範囲である。
【0090】
本発明の別の好ましい実施形態で、方法工程ivにおいて、上記モル比は、方法工程ii.のアルカリ性亜鉛析出浴を使用することについて、5150:1~1:1、好ましくは2600:1~1:1、より好ましくは450:1~1:1の範囲である。
【0091】
本発明の別の実施形態において、方法は、分散ワックス及び/又は潤滑剤を含むトップコート組成物を使用することによって、トップコート層が、後処理層の少なくとも一部に堆積する、更に引き続いて用意される方法工程を含むことができる。
【0092】
したがって、本発明は、こうした鉄含有基材の少なくとも一部にある亜鉛層の少なくとも一部を覆う、不動態化層の少なくとも一部に後処理層をもたらすことによって、基材の腐食保護を改善する問題に対処する。上記本発明の後処理組成物は、ラック用途及びバレル用途に好適であることが分かった。
【0093】
以下の非限定的な実施例は、本発明の実施形態を説明するために、且つ本発明を容易に理解するために提供されるが、本明細書に添付の特許請求の範囲に規定の、本発明の範囲を限定しようというものではない。
【実施例】
【0094】
全ての実験は、本明細書において、M8*70 8.8鋼のネジであった鉄含有基材を用いて実施した。上記ネジは、Protolux3000S(市販のAtotech Deutschland GmbH社のアルカリ性亜鉛析出浴)を使用するアルカリ方法工程(表3及び表5に列挙された実験)によって、又はZylite HT Plus(市販のAtotech Deutschland GmbH社の酸性亜鉛析出浴)を使用する酸性方法工程(表4及び表6に列挙された実験)によって、電解析出させた、全て、10マイクロメートルの亜鉛層を含む。
【0095】
その後、黒色不動態化層は、無電解の方法工程によってそれぞれの亜鉛層の表面に析出された。アルカリ性析出浴によって先に析出された亜鉛層について、Tridur Zn H11(市販のAtotech Deutschland GmbH社の黒色不動態化析出浴)が使用された(表3及び表5で列挙された実験)。酸性析出浴によって先に析出された亜鉛層について、Tridur Zn H2(市販のAtotech Deutschland GmbH社の黒色不動態化析出浴)が使用された(表4及び表6で列挙された実験)。
【0096】
最後に、後処理層は、無電解の方法工程によって、それぞれの黒色不動態化層の表面に析出され、表1に列挙された、それぞれの水性後処理組成物が使用された。それぞれの実験において、水性後処理組成物のpH値は4であり、温度は40℃であり、浸漬時間は60秒であった。
【0097】
上記の後処理層は、80℃で、750回転毎分(rpm)の遠心分離を10分間施すことによって乾燥させた。
【0098】
本明細書において、表5及び表6は、追加の熱処理工程(210℃で6時間焼き鈍し)を追加の方法工程として加え、行われた実験を表す。
【0099】
表1は、表3~表6に示された実験に用いられる、20種の様々な調製された水性後処理組成物を表す。本明細書において、ケイ素及びクロムのそれぞれの濃度(化学元素として計算される)グラム毎リットル並びにケイ素及びクロムのそれぞれのモル量が、それぞれの調製された水性後処理組成物について与えられる。
【0100】
ケイ素対クロムの化学元素の、それぞれの得られたモル比は、表3~表6の様々な実験間の比較を容易にするために、太字の強調された値として与えられる。
【0101】
【0102】
表2は、最終的に獲得された基材の耐腐食性の品質を評価するために、本発明の出願人によって使用された耐腐食性結果評価スキームを表す。上記の評価スキームは、最終的に獲得された基材の表面の領域の、腐食欠陥を示す目盛付けに関するDIN EN ISO10289に基づく。白色サビ及び赤色サビの腐食のそれ自体の目盛付けは、出願人によって、欠陥の領域のパーセンテージに基づいた、それぞれの耐腐食性の基準として適用された。塩水噴霧試験はそれ自体、DIN EN ISO9227に従って実施された。
【0103】
白色サビ耐腐食性少なくともw4(白色腐食5%未満を意味する)は、一般に、顧客側で、例えば、自動車業界で要求される。赤色サビは、一般に、顧客企業のそれぞれの仕様において完全に禁じられている。したがって、ケイ素対クロムのモル比が上記の産業界の要求を満たす分析を容易にするために、表3~表6の本発明の実施例は、太字で強調される。
【0104】
この本発明の選択は、単独で少なくとも1種のクロム(III)イオン源、又は化学元素ケイ素を含有する少なくとも1種の化合物のいずれかが提供される水性後処理組成物と明らかに差別化されることが明らかに分かる。更に、少なくとも1種のクロム(III)イオン源、及び化学元素ケイ素を含有する少なくとも1種の化合物が提供される場合でさえ、見出されたモル比は、本発明の目的を満たすために選択的であることが容易に分かる。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
本発明の原理は、ある特定の実施形態に関連して説明されており、説明の目的で提供されるが、本明細書を読むと、その様々な改変が、当分野の技術者に明らかになることを理解されたい。したがって、本明細書で開示された本発明は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内にあるものとして、こうした改変を含めることを意図すると理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲によってのみ限定される。