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特許7600134機能性消化管障害及び口腔乾燥症の治療剤及び予防剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】機能性消化管障害及び口腔乾燥症の治療剤及び予防剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20241209BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20241209BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20241209BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241209BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K31/497
A61K31/4545
A61P1/00
A61P1/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021556146
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2020042259
(87)【国際公開番号】W WO2021095805
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2019205436
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004156
【氏名又は名称】日本新薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】吉永 遼平
(72)【発明者】
【氏名】栗田 麻希
(72)【発明者】
【氏名】淺尾 靖仁
(72)【発明者】
【氏名】福井 智美
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7235047(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式[1]:
【化1】
[式中、Rは、水素原子、若しくはアルキルであるか、又は2つのRが隣接する炭素原子と一緒になって、3~7員のシクロアルキル、若しくは酸素を含有する非芳香族複素環を形成してもよく、
は水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルが置換したアルキル、又はアルコキシアルキルであり、
は水素原子、アルキル、又はアルコキシアルキルであり、
はアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の基で置換されていてもよいピリジル、又はトリハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個~3個の基で置換されていてもよいフェニルであり、
Aは、以下のA-1、A-2、A-3、A-4、又はA-5:
【化2】
(各基の左側の結合手は式[1]のアザベンゾイミダゾールの2位に結合し、右側の結合手は式[1]のWに結合し、R11は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、及びニトロから選択される基である。)で表される基であり、
Wは、結合手、又は以下のW-1、W-2、若しくはW-3:
【化3】
(R21は水素原子、又はアルキルである。)で表される基であり、
Bは、以下のB-1、B-2、B-3、又はB-4:
【化4】
(各基の左側の結合手は式[1]のWに結合し、右側の結合手は式[1]のYに結合し、Uは窒素原子、又はCR41であり、Uは窒素原子、又はCR42であり、R41及びR42はそれぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、又は水酸基であり、m、及びnはそれぞれ1、2又は3であり、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、若しくはアルコキシアルキルであるか、又はR31とR32は、隣接する炭素原子と一緒になって、アルキレン架橋を形成してもよく(R31及びR32は、U、及びU以外の置換可能な任意の位置に置換する。)、
Yは水素原子、又は以下のY-1~Y-4、若しくはY-11~Y-16:
【化5】
(R51はアルキルであり、pは1、2、又は3であり、qは0、1、又は2であり、rは1、2、又は3であり、TはO、S、SO、又はNR61であり、ここでR61は水素原子、アルキルであり、sは0、1、2、又は3であり、tは0、又は1である。)で表される基であり、以下の(a)~(d)のいずれかの場合から選択される。
(a)Wが結合手である場合
・BがB-1又はB-2であって、Uが窒素原子であるとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1、B-2であって、UがCR42であるとき(R42は前記と同義である)、
は窒素原子であり、
YはY-11、Y-12,Y-13、Y-14,Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3、又はB-4であるとき、
Yは水素原子であり、
(b)WがW-1である場合
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
・UがCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13,Y-14、Y-15、又はY-16であり、
(c)WがW-2である場合
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
がCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13、Y-14、Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3又はB-4のとき、Yは水素原子であり、
(d)WがW-3である場合、
・BはB-1であり、
はCR41であり(R41は前記と同義である)、
が窒素原子のとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4である。)]
で表されるアザベンゾイミダゾール化合物若しくはその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有する、機能性消化管障害の治療剤又は予防剤。
【請求項2】
Wが結合手である、請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項3】
以下の(1)、(2)、又は(3)の場合である;
(1)BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
YがY-1、Y-2、又はY-3であるか、
(2)Bが、B-1又はB-2であり、
がCR42であり、
YがY-11、Y-12、又はY-15であるか、
(3)Bが、B-4であり、Yが水素原子である、請求項1または請求項2に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項4】
がアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1つの基、並びにトリハロアルキルで置換されたピリジルである、請求項3に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項5】
AがA-4である、請求項4に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項6】
アザベンゾイミダゾール化合物が次の(1)~(15)のいずれかに記載の化合物である、請求項1~請求項5のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
(1)[4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]酢酸、
(2)4-フルオロ-1-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(3)1-(5-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(4)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(5){[1-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}酢酸、
(6)1-(4-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェニル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(7)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(8)1-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(9)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(10)3-[4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(11)[4-(4-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸、
(12)3-[(2S)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(13)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(14)3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(15)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸。
【請求項7】
前記機能性消化管障害が過敏性腸症候群(IBS)である、請求項1~請求項6のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
【請求項8】
前記機能性消化管障害が機能性便秘である、請求項1~請求項6のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
【請求項9】
次の式[1]
【化6】
[式中、Rは、水素原子、若しくはアルキルであるか、又は2つのRが隣接する炭素原子と一緒になって、3~7員のシクロアルキル、若しくは酸素を含有する非芳香族複素環を形成してもよく、
は水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルが置換したアルキル、又はアルコキシアルキルであり、
は水素原子、アルキル、又はアルコキシアルキルであり、
はアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の基で置換されていてもよいピリジル、又はトリハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個~3個の基で置換されていてもよいフェニルであり、
Aは、以下のA-1、A-2、A-3、A-4、又はA-5:
【化7】
(各基の左側の結合手は式[1]のアザベンゾイミダゾールの2位に結合し、右側の結合手は式[1]のWに結合し、R11は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、及びニトロから選択される基である。)で表される基であり、
Wは、結合手、又は以下のW-1、W-2、若しくはW-3:
【化8】
(R21は水素原子、又はアルキルである。)で表される基であり、
Bは、以下のB-1、B-2、B-3、又はB-4:
【化9】
(各基の左側の結合手は式[1]のWに結合し、右側の結合手は式[1]のYに結合し、Uは窒素原子、又はCR41であり、Uは窒素原子、又はCR42であり、R41及びR42はそれぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、又は水酸基であり、m、及びnはそれぞれ1、2又は3であり、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、若しくはアルコキシアルキルであるか、又はR31とR32は、隣接する炭素原子と一緒になって、アルキレン架橋を形成してもよく(R31及びR32は、U、及びU以外の置換可能な任意の位置に置換する。)、
Yは水素原子、又は以下のY-1~Y-4、若しくはY-11~Y-16:
【化10】
(R51はアルキルであり、pは1、2、又は3であり、qは0、1、又は2であり、rは1、2、又は3であり、TはO、S、SO、又はNR61であり、ここでR61は水素原子、アルキルであり、sは0、1、2、又は3であり、tは0、又は1である。)で表される基であり、以下の(a)~(d)のいずれかの場合から選択される。
(a)Wが結合手である場合
・BがB-1又はB-2であって、Uが窒素原子であるとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1、B-2であって、UがCR42であるとき(R42は前記と同義である)、
は窒素原子であり、
YはY-11、Y-12,Y-13、Y-14,Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3、又はB-4であるとき、
Yは水素原子であり、
(b)WがW-1である場合
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
・UがCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13,Y-14、Y-15、又はY-16であり、
(c)WがW-2である場合
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
がCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13、Y-14、Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3又はB-4のとき、Yは水素原子であり、
(d)WがW-3である場合、
・BはB-1であり、
はCR41であり(R41は前記と同義である)、
が窒素原子のとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4である。)]
で表されるアザベンゾイミダゾール化合物若しくはその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有する、口腔乾燥症の治療剤又は予防剤。
【請求項10】
Wが結合手である、請求項9に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項11】
以下の(1)、(2)、又は(3)の場合である;
(1)BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
YがY-1、Y-2、又はY-3であるか、
(2)Bが、B-1又はB-2であり、
がCR42であり、
YがY-11、Y-12、又はY-15であるか、
(3)Bが、B-4であり、Yが水素原子である、請求項9または請求項10に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項12】
がアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1つの基、並びにトリハロアルキルで置換されたピリジルである、請求項11に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項13】
AがA-4である、請求項12に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項14】
アザベンゾイミダゾール化合物が次の(1)~(15)のいずれかに記載の化合物である、請求項9~請求項13のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
(1)[4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]酢酸、
(2)4-フルオロ-1-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(3)1-(5-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(4)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(5){[1-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}酢酸、
(6)1-(4-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェニル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(7)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(8)1-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(9)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(10)3-[4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(11)[4-(4-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸、
(12)3-[(2S)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(13)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(14)3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(15)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性消化管障害(Functional Gastrointestinal Disorders:FGIDs)の治療剤及び予防剤に関する。また、本発明は口腔乾燥症(ドライマウス)の治療剤及び予防剤に関する。
【0002】
Rome IV diagnostic criteria(以下、「Rome IV」という場合がある。)によると、機能性消化管障害とは脳腸相関障害とも称され、消化管運動異常、内臓知覚過敏等に関連した消化管症状を呈する疾患群とされる(非特許文献1)。
【0003】
成人の機能性消化管障害には、機能性食道障害、機能性胃十二指腸障害、機能性腸障害、機能性腹痛症候群、機能性胆嚢・オッディ括約筋障害及び機能性直腸肛門症候群が含まれる(非特許文献1,2)。例えば、機能性食道障害には機能性胸やけが含まれ、機能性胃十二指腸障害には機能性ディスペプシアが含まれ、機能性腸障害には過敏性腸症候群(IBS)、機能性便秘やオピオイド誘発性便秘が含まれる。
【0004】
機能性消化管障害の発症や病態には、消化管運動能、知覚、腸内細菌叢といった生理機能、ストレスなどの心理的な素因、さらに、遺伝的素因や生活環境等が密接に関係していると考えられている(非特許文献1)。機能性消化管障害の患者は慢性又は再発性の消化器症状(例えば、胃のもたれ、胃の痛み、下痢又は便秘等)がみられ、患者は日常での活動が制限されることで生活の質(Quality of Life:QOL)は低下する。
【0005】
口腔乾燥症は種々の原因によって唾液の分泌量が低下して口腔内が乾燥する疾患である。唾液の分泌量が低下した場合、咀嚼障害、味覚異常、口渇といった不快な自覚症状のほか、口臭、等の他覚症状がみられ、舌苔、歯周病が認められる。唾液の分泌量の低下が重度の場合には、患者にはう蝕歯、口角炎等が認められる。このため、口腔乾燥症の患者のQOLは低下する(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Rome IV(Functional Gastrointestinal Disorders,4th Edition).2016.Rome Foundation,INC.
【文献】Gastroenterology,2016,Vol.150,No.6,p.1257-1261
【文献】Advances in Clinical Experimental Medicine,2016,Vol.25,No.1,p.199-206
【文献】Pharmacolical Reviews,1998,Vol.50,No.2,p.279-290
【文献】British Journal of Pharmacology,2006,Vol.148,No.5,p.565-578
【文献】Trends in Pharmacological Sciences,2017,Vol.38,No.9,p.837-847
【文献】Nature,2012,Vol.482,p.552-556
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、機能性消化管障害及び口腔乾燥症によって患者のQOLは低下する。このため、機能性消化管障害及び口腔乾燥症の治療剤や予防剤が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、機能性消化管障害の新規の治療剤又は予防剤を提供することを目的とする。また本発明の目的は、口腔乾燥症の新規の治療剤又は予防剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、下記の式[1]で示されるアザベンゾイミダゾール化合物若しくはその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物(本明細書において、「本発明化合物」と称する場合がある。)が機能性消化管障害及び口腔乾燥症の予防及び治療に有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の(項1)~(項14)の発明を挙げることができる。
(項1)
次の式[1]
【化1】
[式中、Rは、水素原子、若しくはアルキルであるか、又は2つのRが隣接する炭素原子と一緒になって、3~7員のシクロアルキル、若しくは酸素を含有する非芳香族複素環を形成してもよく、
は水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルが置換したアルキル、又はアルコキシアルキルであり、
は水素原子、アルキル、又はアルコキシアルキルであり、
はアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の基で置換されていてもよいピリジル、又はトリハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個~3個の基で置換されていてもよいフェニルであり、
Aは、以下のA-1、A-2、A-3、A-4、又はA-5:
【化2】
(各基の左側の結合手は式[1]のアザベンゾイミダゾールの2位に結合し、右側の結合手は式[1]のWに結合し、R11は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、及びニトロから選択される基である。)で表される基であり、
Wは、結合手、又は以下のW-1、W-2、若しくはW-3:
【化3】
(R21は水素原子、又はアルキルである。)で表される基であり、
Bは、以下のB-1、B-2、B-3、又はB-4:
【化4】
(各基の左側の結合手は式[1]のWに結合し、右側の結合手は式[1]のYに結合し、Uは窒素原子、又はCR41であり、Uは窒素原子、又はCR42であり、R41及びR42はそれぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、又は水酸基であり、m、及びnはそれぞれ1、2又は3であり、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、若しくはアルコキシアルキルであるか、又はR31とR32は、隣接する炭素原子と一緒になって、アルキレン架橋を形成してもよく(R31及びR32は、U、及びU以外の置換可能な任意の位置に置換する。)、
Yは水素原子、又は以下のY-1~Y-4、若しくはY-11~Y-16:
【化5】
(R51はアルキルであり、pは1、2、又は3であり、qは0、1、又は2であり、rは1、2、又は3であり、TはO、S、SO、又はNR61であり、ここでR61は水素原子、アルキルであり、sは0、1、2、又は3であり、tは0、又は1である。)で表される基であり、以下の(a)~(d)のいずれかの場合から選択される。
(a)Wが結合手である場合
・BがB-1又はB-2であって、Uが窒素原子であるとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1、B-2であって、UがCR42であるとき(R42は前記と同義である)、
は窒素原子であり、
YはY-11、Y-12,Y-13、Y-14,Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3、又はB-4であるとき、
Yは水素原子であり、
(b)WがW-1である場合
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
・UがCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13,Y-14、Y-15、又はY-16であり、
(c)WがW-2である場合
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
がCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13、Y-14、Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3又はB-4のとき、Yは水素原子であり、
(d)WがW-3である場合、
・BはB-1であり、
はCR41であり(R41は前記と同義である)、
が窒素原子のとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4である。)]
で表されるアザベンゾイミダゾール化合物若しくはその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有する、機能性消化管障害の治療剤又は予防剤。
(項2)
Wが結合手である、項1に記載の治療剤又は予防剤。
(項3)
以下の(1)、(2)、又は(3)の場合である;
(1)BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
YがY-1、Y-2、又はY-3であるか、
(2)Bが、B-1又はB-2であり、
がCR42であり、
YがY-11、Y-12、又はY-15であるか、
(3)Bが、B-4であり、Yが水素原子である、項1または項2に記載の治療剤又は予防剤。
(項4)
がアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1つの基、並びにトリハロアルキルで置換されたピリジルである、項3に記載の治療剤又は予防剤。
(項5)
AがA-4である、項4に記載の治療剤又は予防剤。
(項6)
アザベンゾイミダゾール化合物が次の(1)~(15)のいずれかに記載の化合物である、項1~項5のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
(1)[4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]酢酸、
(2)4-フルオロ-1-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(3)1-(5-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(4)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(5){[1-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}酢酸、
(6)1-(4-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェニル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(7)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(8)1-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(9)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(10)3-[4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(11)[4-(4-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸、
(12)3-[(2S)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(13)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(14)3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(15)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸。
(項7)
上記機能性消化管障害が過敏性腸症候群(IBS)である、項1~項6のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
(項8)
上記機能性消化管障害が機能性便秘である、項1~項6のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
(項9)
次の式[1]
【化6】
[式中、Rは、水素原子、若しくはアルキルであるか、又は2つのRが隣接する炭素原子と一緒になって、3~7員のシクロアルキル、若しくは酸素を含有する非芳香族複素環を形成してもよく、
は水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルが置換したアルキル、又はアルコキシアルキルであり、
は水素原子、アルキル、又はアルコキシアルキルであり、
はアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の基で置換されていてもよいピリジル、又はトリハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個~3個の基で置換されていてもよいフェニルであり、
Aは、以下のA-1、A-2、A-3、A-4、又はA-5:
【化7】
(各基の左側の結合手は式[1]のアザベンゾイミダゾールの2位に結合し、右側の結合手は式[1]のWに結合し、R11は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、及びニトロから選択される基である。)で表される基であり、
Wは、結合手、又は以下のW-1、W-2、若しくはW-3:
【化8】
(R21は水素原子、又はアルキルである。)で表される基であり、
Bは、以下のB-1、B-2、B-3、又はB-4:
【化9】
(各基の左側の結合手は式[1]のWに結合し、右側の結合手は式[1]のYに結合し、Uは窒素原子、又はCR41であり、Uは窒素原子、又はCR42であり、R41及びR42はそれぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、又は水酸基であり、m、及びnはそれぞれ1、2又は3であり、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、若しくはアルコキシアルキルであるか、又はR31とR32は、隣接する炭素原子と一緒になって、アルキレン架橋を形成してもよく(R31及びR32は、U、及びU以外の置換可能な任意の位置に置換する。)、
Yは水素原子、又は以下のY-1~Y-4、若しくはY-11~Y-16:
【化10】
(R51はアルキルであり、pは1、2、又は3であり、qは0、1、又は2であり、rは1、2、又は3であり、TはO、S、SO、又はNR61であり、ここでR61は水素原子、アルキルであり、sは0、1、2、又は3であり、tは0、又は1である。)で表される基であり、以下の(a)~(d)のいずれかの場合から選択される。
(a)Wが結合手である場合
・BがB-1又はB-2であって、Uが窒素原子であるとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1、B-2であって、UがCR42であるとき(R42は前記と同義である)、
は窒素原子であり、
YはY-11、Y-12,Y-13、Y-14,Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3、又はB-4であるとき、
Yは水素原子であり、
(b)WがW-1である場合
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
・UがCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13,Y-14、Y-15、又はY-16であり、
(c)WがW-2である場合
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
がCR42のとき(R42は前記と同義である)、
YはY-11、Y-12、Y-13、Y-14、Y-15、又はY-16であり、
・BがB-3又はB-4のとき、Yは水素原子であり、
(d)WがW-3である場合、
・BはB-1であり、
はCR41であり(R41は前記と同義である)、
が窒素原子のとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4である。)]
で表されるアザベンゾイミダゾール化合物若しくはその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有する、口腔乾燥症の治療剤又は予防剤。
(項10)
Wが結合手である、項9に記載の治療剤又は予防剤。
(項11)
以下の(1)、(2)、又は(3)の場合である;
(1)BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
YがY-1、Y-2、又はY-3であるか、
(2)Bが、B-1又はB-2であり、
がCR42であり、
YがY-11、Y-12、又はY-15であるか、
(3)Bが、B-4であり、Yが水素原子である、項9または項10に記載の治療剤又は予防剤。
(項12)
がアルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1つの基、並びにトリハロアルキルで置換されたピリジルである、項11に記載の治療剤又は予防剤。
(項13)
AがA-4である、項12に記載の治療剤又は予防剤。
(項14)
アザベンゾイミダゾール化合物が次の(1)~(15)のいずれかに記載の化合物である、項9~項13のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
(1)[4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]酢酸、
(2)4-フルオロ-1-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(3)1-(5-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(4)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(5){[1-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}酢酸、
(6)1-(4-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェニル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(7)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(8)1-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(9)1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸、
(10)3-[4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(11)[4-(4-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸、
(12)3-[(2S)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(13)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(14)3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸、
(15)3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、上記の式[1]で示されるアザベンゾイミダゾール化合物若しくはその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有する、機能性消化管障害又は口腔乾燥症の新規の治療剤又は予防剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施例1~4の化合物を投与した便秘モデルマウスの糞数を示す。
図2図2は実施例6、7の化合物を投与した便秘モデルマウスの糞数を示す。
図3図3は実施例8~11の化合物を投与した便秘モデルマウスの糞数を示す。
図4図4は実施例12~15の化合物を投与した便秘モデルマウスの糞数を示す。
図5図5図1のときの糞乾燥重量を示す。
図6図6図2のときの糞乾燥重量を示す。
図7図7図3のときの糞乾燥重量を示す。
図8図8図4のときの糞乾燥重量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
【0014】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を表す。
【0015】
「アルキル」としては、例えば、直鎖又は分枝鎖の1個~10個の炭素原子、好ましくは1個~8個の炭素原子、より好ましくは1個~6個の炭素原子を有するアルキルを挙げることができる。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、tert-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル、1-エチルブチル、イソヘキシル、ネオヘキシル、1,1-ジメチルブチル、テキシル、2-エチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、2,2-ジメチルブチル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、及びイソオクチル等を挙げることができる。
【0016】
「アルコキシアルキル」、及び「シクロアルキルが置換したアルキル」のアルキル部分としては、上記と同様の「アルキル」を挙げることができる。
【0017】
「トリハロアルキル」は、上記「アルキル」に上記「ハロゲン」が3個置換した基を示す。具体的には、例えば、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、及びトリフルオロエチル等を挙げることができる。
【0018】
「アルコキシ」は、上記「アルキル」が酸素原子に結合した基を表す。例えば、直鎖又は分枝鎖の1個~8個の炭素原子、好ましくは1個~6個の炭素原子を有するアルコキシを挙げることができる。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、n-ヘプチルオキシ、及びn-オクチルオキシ等を挙げることができる。
【0019】
「アルコキシアルキル」のアルコキシ部分としては、上記と同様の「アルコキシ」を挙げることができる。
【0020】
「アルキレン」とは、炭素数1~6の直鎖又は分枝状の2価の炭化水素基を有するアルキレンを挙げることができる。具体的には、メチレン、エチレン、及びプロピレン等を挙げることができる。
【0021】
「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数が3個~10個であって、1~3環性の飽和炭化水素基を挙げることができる。炭素数3個~6個であって、単環のシクロアルキルが好ましい。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、及びビシクロ[2.2.2]オクチル等を挙げることができる。
【0022】
「シクロアルキルが置換したアルキル」のシクロアルキル部分としては、上記と同様の「シクロアルキル」を挙げることができる。
【0023】
「酸素を含有する非芳香族複素環基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子を含有する、3~8員の非芳香族複素環基、より好ましくは5~7員の非芳香族複素環基を挙げることができる。具体的には、オキソラニル(1-オキソラニル、2-オキソラニル)、オキサニル(1-オキサニル、2-オキサニル、3-オキサニル)、及びオキセパニル(1-オキセパニル、2-オキセパニル、3-オキセパニル)等を挙げることができる。
【0024】
以下、式[1]の各記号について説明する。
【0025】
式[1]におけるRは、水素原子、若しくはアルキルであるか、又は2つのRが隣接する炭素原子と一緒になって、3~7員のシクロアルキル、若しくは酸素を含有する非芳香族複素環を形成してもよい。
【0026】
にかかる「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチルが好ましく、メチル、エチルがより好ましい。
【0027】
にかかる「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが好ましく、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルがより好ましい。
【0028】
にかかる「酸素を含有する非芳香族複素環基」としては、1-オキサニル、2-オキサニル、3-オキサニルが好ましく、3-オキサニルがより好ましい。
【0029】
式[1]におけるRは、水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルが置換したアルキル、又はアルコキシアルキルである。
【0030】
にかかる「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチルが好ましく、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチルがより好ましい。
【0031】
にかかる「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチルが好ましい。
【0032】
にかかる、「シクロアルキルが置換したアルキル」のシクロアルキルとしては、シクロブチル、シクロペンチルが好ましく、シクロブチルがより好ましい。
【0033】
にかかる、「シクロアルキルが置換したアルキル」のアルキルとしてはメチル、エチルが好ましくメチルがより好ましい。
【0034】
にかかる「アルコキシアルキル」のアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシが好ましく、メトキシ、エトキシがより好ましい。
【0035】
にかかる「アルコキシアルキル」のアルキルとしては、メチル、エチル、プロピルが好ましく、メチル、エチルがより好ましい。
【0036】
式[1]におけるRは、水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルが置換したアルキル、又はアルコキシアルキルである。
【0037】
にかかる「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピルが好ましく、メチル、エチルがより好ましい。
【0038】
にかかる「アルコキシアルキル」のアルコキシとしては、メトキシ、エトキシが好ましく、メトキシがより好ましい。
【0039】
式[1]におけるRは、アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個若しくは2個の基で置換されていてもよいピリジル、又はトリハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1個~3個の基で置換されていてもよいフェニルである。
【0040】
にかかる、1個又は2個のアルキルで置換されていてもよいピリジルにおける「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピルが好ましい。
【0041】
にかかる、1個又は2個のアルキルで置換されていてもよいピリジルにおける「トリハロアルキル」としては、トリフルオロメチルが好ましい。
【0042】
にかかる、1個又は2個のアルコキシで置換されていてもよいピリジルにおける「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシが好ましく、エトキシがより好ましい。
【0043】
にかかる、1個又は2個のシクロアルキルで置換されていてもよいピリジルにおける「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチルが好ましく、シクロプロピルがより好ましい。
【0044】
にかかる、1個~3個のトリハロアルキルで置換されていてもよいフェニルにおける「トリハロアルキル」としては、トリフルオロメチルが好ましい。
【0045】
にかかる、1個~3個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルにおける「ハロゲン」としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0046】
にかかる、1個~3個のアルコキシで置換されていてもよいフェニルにおける「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシが好ましく、メトキシ、エトキシがより好ましい。
【0047】
にかかる、フェニルに置換していてもよい「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチルが好ましく、シクロプロピルがより好ましい。
【0048】
としては、上記アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、シアノ、及びシクロアルキルからなる群から選択される1つの基、並びにトリハロアルキルで置換されたピリジルが好ましい。
【0049】
式[1]におけるAは、下記A-1、A-2、A-3、A-4、又はA-5で表される基である。
【化11】
【0050】
式[1]におけるR11は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、及びニトロから選択される基である。
【0051】
11にかかる「ハロゲン」としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子が好ましく、塩素原子、フッ素原子がより好ましい。
【0052】
11にかかる「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピルが好ましく、メチル、エチルがより好ましい。
【0053】
11にかかる「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシが好ましく、メトキシがより好ましい。
【0054】
式[1]におけるAとしては、A-4が好ましい。
【0055】
式[1]におけるWは結合手(a bond)、又は以下のW-1、W-2、若しくはW-3から選択される。
【化12】
【0056】
W-1におけるR21は、水素原子、アルキルから選択される基である。
【0057】
21にかかる「アルキル」としてはメチル、エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
【0058】
式[1]におけるWとしては、結合手(a bond)が好ましい。
【0059】
Bは、以下のB-1、B-2、B-3、又はB-4から選択される。
【0060】
【化13】
(B-1~B-4各基の左側の結合手は式[1]のWに結合し、右側の結合手は式[1]のYに結合する。)
【0061】
は窒素原子、又はCR41を表し、Uは窒素原子、又はCR42を表す。
【0062】
41、及びR42はそれぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、又は水酸基を表す。
【0063】
m、及びnはそれぞれ1、2又は3である。
【0064】
31及びR32は、それぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロゲン、若しくはアルコキシアルキルであり、又はR31とR32は、隣接する炭素原子と一緒になって、アルキレン架橋を形成してもよい。
31、及びR32は、U、及びU以外の置換可能な任意の位置に置換する。
【0065】
31、及びR32にかかる「アルキル」としては、メチル、エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
【0066】
31、及びR32にかかる「ハロゲン」としては、フッ素原子が好ましい。
【0067】
31、及びR32にかかる「アルコキシアルキル」の「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピルが好ましく、メチル、エチルがより好ましい。
【0068】
31、及びR32にかかる「アルコキシアルキル」のアルコキシとしては、メトキシ、エトキシが好ましく、メトキシがより好ましい。
【0069】
31とR32が一緒になって形成するアルキレン架橋としては、炭素数1~3の直鎖のアルキレン架橋が好ましく、メチレン架橋、又はエチレン架橋がより好ましい。
【0070】
式[1]におけるBとしては、B-1、B-2、B-4が好ましく、B-1、B-4がより好ましく、B-1がさらに好ましい。
【0071】
Yは水素原子、又は以下のY-1~Y-4、若しくはY-11~Y-16から選択される。
【化14】
【0072】
51はアルキルであり、pは1、2、又は3であり、qは0、1、又は2であり、rは1、2、又は3であり、TはO、S、SO、又はNR61であり、ここでR61は水素原子、アルキルであり、sは0、1、2、又は3であり、tは0、又は1である。
【0073】
51、及びR61にかかる「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピルが好ましく、メチル、エチルがより好ましい。
【0074】
式[1]におけるYとしては、Y-1、Y-2、Y-3、Y-11、Y-12、Y-15が好ましい。
【0075】
式[1]におけるW、B、及びYの組み合わせとしては、
(a)Wが結合手である場合
・BがB-1又はB-2であって、Uが窒素原子であるとき、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、Y-1、Y-2、Y-3が好ましい。
・BがB-1、B-2であって、UがCR42であるとき(R42は前記と同義である)、
は窒素原子であり、
YはY-11、Y-12、Y-13、Y-14、Y-15、又はY-16であり、Y-11、Y-12、Y-15が好ましい。
・BがB-3、又はB-4であるとき、
Yは水素原子であり、
(b)WがW-1である場合
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、Y-1、Y-2、Y-3が好ましい。
・BがB-1であり、
が窒素原子であり、
がCR42のとき(R42は前記と同義である)、YはY-11、Y-12、Y-13,Y-14、Y-15、又はY-16であり、Y-11、Y-12、Y-15が好ましい。
(c)WがW-2である場合
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
が窒素原子のとき、YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、Y-1、Y-2、Y-3が好ましい。
・BがB-1又はB-2であり、
が窒素原子であり、
がCR42のとき(R42は前記と同義である)、YはY-11、Y-12、Y-13、Y-14、Y-15、又はY-16であり、Y-11、Y-12、Y-15が好ましい。
・BがB-3又はB-4のとき、
Yは水素原子であり、
(d)WがW-3である場合、
・BはB-1であり、
はCR41であり(R41は前記と同義である)、
は窒素原子であり、
YはY-1、Y-2、Y-3、又はY-4であり、Y-1、Y-2、Y-3が好ましい。
【0076】
本発明化合物は、公知化合物又は容易に合成可能な中間体から、例えば、以下に述べる方法、後述する実施例又は公知の方法に準じて製造することができる。本発明化合物の製造において、原料が反応に影響を及ぼす置換基を有する場合には、原料をあらかじめ公知の方法により適当な保護基で保護した後に反応を行うのが一般的である。保護基は、反応後に、公知の方法により除去され得る。
【0077】
本発明にかかるアザベンゾイミダゾール化合物は、そのまま医薬として使用することができるが、公知の方法により医薬上許容される塩、溶媒和物、又は塩の溶媒和物の形にして使用することもできる。医薬上許容される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸などの鉱酸の塩、酢酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸の塩、若しくはリチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩などの有機塩基の塩を挙げることができる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0078】
例えば、本発明化合物が塩酸塩である場合、本発明にかかるアザベンゾイミダゾール化合物を塩化水素のアルコール溶液、塩化水素の酢酸エチル溶液、塩化水素の1,4-ジオキサン溶液、塩化水素のシクロペンチルメチルエーテル溶液、又は塩化水素のジエチルエーテル溶液に溶解することにより得ることができる。
【0079】
本発明化合物のうち、不斉炭素を有するものは、各立体異性体及びそれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。立体異性体は、例えば、ラセミ体から、その塩基性を利用して光学活性な酸(酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、10-カンファースルホン酸等)を用いて公知の方法により光学分割するか、予め調製した光学活性な化合物を原料に用いて製造することもできる。その他、キラルカラムを用いた光学分割や不斉合成により製造することもできる。
【0080】
本発明における式[1]は、特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体やラセミ体を含むものである。例えば、下記に示す通り、互変異性体[1Eq]や立体異性体も含有する。
【化15】
(式中、各記号は前記と同義である。)
【0081】
アセチルコリン(ACh)は、副交感神経や運動神経の末端から放出され、アセチルコリン受容体(AChR)に結合することで神経刺激を伝達する神経伝達物質である。アセチルコリン受容体はGタンパク質共役型のムスカリン受容体とイオンチャネル型のニコチン受容体とに大別される。ムスカリン受容体はM1~M5の5つのサブタイプに分類される。サブタイプM3のムスカリン受容体(以下、「M3受容体」という場合がある。)は主に膀胱、消化管、瞳孔、唾液腺、涙腺等で発現し、膀胱、消化管、瞳孔の収縮、唾液及び涙液の分泌等に関与することが報告されている(非特許文献4、5参照)。
【0082】
Gタンパク質共役型の受容体において、内因性のアゴニストが結合するオルソステリック部位とは異なるアロステリック部位の構造が多数報告されており、近年、このアロステリック部位に大きな注目が集まっている(非特許文献6参照)。アロステリック部位に結合するリガンドによっては、受容体の構造を変化させ、内因性のアゴニストと受容体との結合力を増加させる。これにより、受容体に対して内因性のアゴニスト刺激依存的なシグナルレベルを増強することができる。本明細書において、このようにアロステリック部位に結合することにより内因性のアゴニストに起因する受容体のシグナルレベルを増強するリガンドをポジティブアロステリックモジュレーター(Positive Allosteric Modulator:PAM)と呼ぶ。すなわち、ポジティブアロステリックモジュレーターとは、内因性のアゴニストが結合するオルソステリック部位とは異なるアロステリック部位に結合してアゴニストのシグナルを増強するリガンドを意味する。
【0083】
また近年、M3受容体についても内因性のアゴニスト(アセチルコリン、ムスカリン)が結合するオルソステリック部位とは異なるアロステリック部位が報告されている(非特許文献7参照)。M3受容体のPAM(以下、「M3 PAM」とする。)は、M3受容体に対して内因性のアゴニスト刺激依存的なシグナルレベルを増強できると考えられる。このため、M3 PAMはより生理的な条件の下でM3受容体のシグナルレベルを増強でき、M3受容体が関与する疾患に対する治療上有望であることが期待される。
【0084】
本発明化合物は、後述の試験例に示すように、M3 PAM活性を有し、消化管機能の改善作用及び唾液分泌促進作用を有する。ここで、M3 PAM活性とは、M3受容体において内因性活性化物質(アセチルコリンやムスカリン)の結合部位(オルソステリック部位)とは異なる部位(アロステリック部位)に結合してM3受容体機能を増強する作用を意味する。
【0085】
したがって、本発明化合物は、機能性消化管障害又は口腔乾燥症の治療剤又は予防剤として用いることができる。
【0086】
本発明化合物を医薬として投与する場合、本発明化合物をそのまま又は医薬的に許容される無毒性かつ不活性の担体中に、例えば、0.001%~99.5%、好ましくは0.1%~90%含有する医薬組成物として、人を含む哺乳動物に投与される。
【0087】
本発明化合物を適用できる疾患は機能性消化管障害である。機能性消化管障害には、機能性食道障害、機能性胃十二指腸障害、機能性腸障害、機能性腹痛症候群、機能性胆嚢・オッディ括約筋障害及び機能性直腸肛門症候群が含まれる。例えば、機能性食道障害には機能性胸やけが含まれ、機能性胃十二指腸障害には機能性ディスペプシアが含まれ、機能性腸障害には過敏性腸症候群(IBS)、機能性便秘やオピオイド誘発性便秘が含まれる。
【0088】
また、本発明化合物を適用できる疾患は口腔乾燥症である。口腔乾燥症としては、例えば、所定の疾患、加齢、放射線照射による唾液腺障害、精神的疲労又は薬物投与時の副作用を原因とする口腔乾燥症が挙げられる。上記所定の疾患としては、例えば、自己免疫疾患、ウイルス性疾患、糖尿病、貧血、高ナトリウム血症、腎障害などが挙げられる。
【0089】
本発明化合物をそのまま、または薬理学的に許容し得る担体等と混合して、例えば、0.001%~99.5%、好ましくは0.1%~90%含有する医薬組成物とすることにより、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サルなどの哺乳動物に対して、上記の各種疾患の治療剤として用いることができる。
【0090】
医薬としての用量は、年齢、体重、疾病の種類、程度等の患者の状態、投与経路、本発明化合物の種類、塩か否か、塩の種類などを考慮した上で調整することが望ましいが、通常は、成人に対して本発明化合物の有効成分量として、経口投与の場合、1日あたり、0.01 mg~5 g/成人の範囲内、好ましくは、1 mg~500 mg/成人の範囲内が適当である。場合によっては、これ以下でも足りるし、また逆にこれ以上の用量を必要とすることもある。通常、1日1回若しくは数回に分けて投与するか、又は静脈内投与の場合は、急速投与するか若しくは24時間以内で持続的に投与することができる。
【0091】
本発明化合物の一つ以上の水素、炭素及び/又は他の原子は、それぞれ水素、炭素及び/又は他の原子の同位体で置換され得る。そのような同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123I及び36Cl、すなわち水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素及び塩素が包含される。かかる同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用であり、本発明化合物のすべての放射性標識体を包含する。
【0092】
以下に、参考例、実施例、及び試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0093】
実施例中、以下の略号を使用する。
TFA:トリフルオロ酢酸
Pt-C:白金-炭素
Pd-C:パラジウム-炭素
Pd(dba)・CHCl:トリス(ジベンジリデンアセトン)ビスパラジウム・クロロホルム付加体
Pd(dba):トリス(ジベンジリデンアセトン)ビスパラジウム
Pd(dppf)Cl・CHCl:[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-ジクロロパラジウム(II)・ジクロロメタン付加体
Pd(OAc):酢酸パラジウム(II)
dppf:1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
XPhos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル
RuPhos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロピルビフェニル
PPh:トリフェニルホスフィン
Boc:tert-ブトキシカルボニル
Bn:ベンジル
Ts:4-トルエンスルホニル
SEM:2-(トリメチルシリル)エトキシメチル
DAST:(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
THF:テトラヒドロフラン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
TEA:トリエチルアミン
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
CDCl:重クロロホルム
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
TLC:薄層クロマトグラフィー
MS:マススペクトロメトリー
LCMS:高速液体クロマト質量分析
ESI:電子衝撃イオン化法(Electron Spray Ionization)
M:モル濃度(mol/L)
【0094】
MSは、LCMSにより測定した。イオン化法としては、ESI法を用いた。観測された質量分析の値をm/zで表す。
【0095】
LCMSの測定条件は以下の通りである。
分析機器:ACQUITY UPLC MS/PDA システム(ウォーターズ社製)質量分析計:Waters 3100 MS検出器
フォトダイオードアレイ検出器:ACQUITY PDA 検出器(UV検出波長:210~400 nm)
カラム:Acquity BEH C18,1.7 μm、2.1×50 mm
流速:0.5 mL/min
カラム温度:40 ℃
溶媒;
A液:0.1 %ギ酸/HO(v/v;以下、同様)
B液:0.1 %ギ酸/アセトニトリル
【0096】
H NMRスペクトルは、JNM-ECS400型核磁気共鳴装置(株式会社JEOL RESONANCE製)により測定した。観測されたピークを化学シフト値δ(ppm)で表す(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、brs=ブロードシングレット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット)。
【0097】
マイクロ波実験は、Initiator 60(Biotage製)を使用した。40-250℃の温度を達成でき、20バールまでの圧力に達しうる。
【0098】
本明細書における化合物名は、IUPACの規則に準拠した命名ソフトウェア、ACD/NAME(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.)を使用するか、ChemBioDraw(バージョン14.0、Cambridge Soft社製)を使用するか、又はIUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0099】
化合物名のr及びs(小文字)は、IUPAC規則に従って、擬似不斉炭素原子の立体化学を示す。
【0100】
参考例1 1-[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]-N-メチルメタンアミン 塩酸塩
[工程1] 1-(エトキシメチル)シクロペンタン-1-カルボニトリルの製造
1-(ヒドロキシメチル)シクロペンタン-1-カルボニトリル(43.1 g)のDMF(1150 mL)溶液に、氷冷撹拌下、60%水素化ナトリウム(16.5 g)を添加し、室温で1時間撹拌した。ここにヨウ化エチル(64.4 g)を氷冷下で加え、室温で撹拌した。TLCで原料の消失を確認後、反応混合物に水と酢酸エチルを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(48.0 g)を得た。
[工程2] tert-ブチル {[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}メチルカルバメートの製造
水素化アルミニウムリチウム(11.4 g)をTHF(800 mL)に懸濁し、氷冷撹拌下、工程1で得た、1-(エトキシメチル)シクロペンタン-1-カルボニトリル(46.0 g)のTHF(200 mL)溶液を滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷冷し、水(11.4 mL)、15 %水酸化ナトリウム水溶液(11.4 mL)、水(34.2 mL)を順次滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌し、不溶物をセライトで濾別し、THF(220 mL)で3回洗浄した。かかる濾液に、室温で撹拌しながら、トリエチルアミン(46.0 mL)、二炭酸ジ-tert-ブチル(72.1 g)を加え、同温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残留物をDMF(600 mL)に溶解し、氷冷撹拌下、60 %水素化ナトリウム(14.4 g)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物を氷冷し、ヨウ化メチル(22.5 mL)を滴下した。滴下終了後、室温で15時間撹拌した。反応混合物を氷冷し、水で希釈後、酢酸エチル-ヘキサン(1:2)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(71.2 g)を得た。
[工程3] 1-[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]-N-メチルメタンアミン 塩酸塩の製造
工程2で得た、tert-ブチル {[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}メチルカルバメート(71.2 g)の酢酸エチル(52.5 mL)溶液を室温で撹拌し、塩化水素(4 M 酢酸エチル溶液、328 mL)を加え、同温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、析出した固体を濾取、ヘキサンで洗浄後乾燥し、標記化合物(50.3 g)を得た。
参考例2 1-[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]-N-メチルメタンアミン 塩酸塩
[工程1] tert-ブチル {[1-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル]メチル}カルバメートの製造
[1-(アミノメチル)シクロペンチル]メタノール(50.7 g)のTHF(304mL)溶液に、氷冷撹拌下、トリエチルアミン(60.2 mL)を添加した。ここに、二炭酸ジ-tert-ブチル(94.2 g)のTHF(101 mL)溶液を滴下した。滴下終了後、室温で終夜撹拌した。反応混合物を水、酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物を酢酸エチル-ヘキサン(1:9)(700 mL)で希釈し、室温で3時間撹拌した。不溶物を濾取、ヘキサンで洗浄後、乾燥し、標記化合物(49.2 g)を得た。また、濾液について溶媒を減圧下留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、標記化合物(15.9 g)を得た。
[工程2] tert-ブチル {[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}メチルカルバメートの製造
工程1で得た、tert-ブチル {[1-(ヒドロキシメチル)シクロペンチル]メチル}カルバメート(58 g)のDMF(505 mL)溶液に、室温で撹拌しながら、ヨウ化メチル(47 mL)を添加した。続いて、氷冷撹拌下、60 %水素化ナトリウム(30 g)を分割添加した。氷冷下で30分間撹拌後、室温に昇温して終夜撹拌した。反応混合物に、氷冷下、水(800 mL)を滴下し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(68 g)を得た。
[工程3] 1-[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]-N-メチルメタンアミン 塩酸塩の製造
参考例1の工程3に準じた方法により、tert-ブチル {[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}メチルカルバメートの代わりに、工程2で得た、tert-ブチル {[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}メチルカルバメートを用いて、標記化合物(52 g)を得た。
参考例3 4-クロロ-6-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン-2-アミン
[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(0.6 g)、4,6-ジクロロピリジン-2-アミン(0.45 g)、炭酸カリウム(1.2 g)に1,4-ジオキサン(9.6 mL)、水(2.4 mL)を加え脱気後、アルゴン雰囲気下、室温で撹拌しながら、Pd(dppf)Cl・CHCl(118 mg)を添加し、80 ℃で3時間撹拌した。室温へ冷却後、反応混合物を水、酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(0.5 g)を得た。
参考例4 4-クロロ-6-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3-ニトロピリジン-2-アミン
4-クロロ-6-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジン-2-アミン(0.5 g)に氷冷下、濃硫酸(2.5 mL)を加え、ここに硝酸カリウム(165 mg)を分割添加した。氷冷下、15分間撹拌後、室温で4時間撹拌した。反応混合物を氷水中に注ぎ、4 M 水酸化ナトリウム水溶液(25 mL)を添加後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(0.35 g)を得た。
参考例5 6-クロロ-N -(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-N -メチル-3-ニトロピリジン-2,4-ジアミン
4,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(6.3 g)、3-メトキシ-N,2,2-トリメチルプロパン-1-アミン 塩酸塩(6.6 g)、DIPEA(16 mL)、及び2-プロパノール(100 mL)の混合物を60 ℃で1時間撹拌した。室温へ冷却後、水(50 mL)を加え、沈殿を濾取し、2-プロパノール、水で順次洗浄後、乾燥して標記化合物(8.0 g)を得た。
【0101】
参考例6 6’-シクロプロピル-N -{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N -メチル-5-ニトロ-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,6-ジアミン
6-クロロ-N-{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N-メチル-3-ニトロピリジン-2,4-ジアミン(2.5g)、2-シクロプロピル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2,-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン(2.7 g)、炭酸カリウム(3.0 g)、1,4-ジオキサン(29 mL)及び水(11 mL)の混合物を脱気し、アルゴン雰囲気下、室温で撹拌しながら、Pd(dppf)Cl・CHCl(0.24 g)を添加した。これを95 ℃で2時間撹拌した。室温へ冷却後、反応混合物を水、酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(3.5 g)を得た。
参考例7 2’-エトキシ-N -{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}-N -メチル-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン
2’-エトキシ-N-{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}-N-メチル-5-ニトロ-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,6-ジアミン(684 mg)、2-プロパノール(7.5 mL)、及び水(2.5 mL)の混合物に、室温で塩化アンモニウム(234 mg)、還元鉄(粉末状、244 mg)を加え、90 ℃で終夜撹拌した。反応液を室温に冷却後、酢酸エチル、水で希釈し、不溶物をセライトにて濾別した。濾液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(570 mg)を得た。
参考例8 6’-シクロプロピル-N -{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N -メチル-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン
6’-シクロプロピル-N-{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N-メチル-5-ニトロ-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,6-ジアミン(5.8 g)、塩化アンモニウム(1.9 g)、2-プロパノール(39 mL)、水(20 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、亜鉛粉末(3.9 g)を加え、50 ℃で4時間撹拌した。室温へ冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、不溶物をセライトで濾別した。濾液を減圧下濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(5.3 g)を得た。
参考例9 エチル 3-[(3R)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート
[工程1] tert-ブチル (3R)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの製造
5-クロロピラジン-2-カルバルデヒド(350 mg)、tert-ブチル (3R)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(541 mg)、DIPEA(1.28 mL)、及びTHF(4.9 mL)の混合物を70 ℃で3時間撹拌した。室温へ冷却後、反応混合物を水と酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(755 mg)を得た。
[工程2] エチル 3-[(3R)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエートの製造
tert-ブチル (3R)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(816 mg)を、酢酸エチル(5.3 mL)に溶解し、室温で撹拌しながら、塩化水素(4 M 酢酸エチル溶液、5.3 mL)を加え、同温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去後、残留物をアセトニトリル(5 mL)と混合し、室温で撹拌しながら、DIPEA(2.31 mL)、エチル 3-ブロモプロパノエート(0.442 mL)を加え、70 ℃で4時間撹拌した。室温へ冷却後、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(676 mg)を得た。
参考例10 エチル 1-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート
5-クロロピラジン-2-カルバルデヒド(0.49 g)、エチル ピペリジン-4-カルボキシレート(0.54 g)、DMSO(10 mL)、及び炭酸水素ナトリウム(1.4 g)の混合物を、70 ℃で17時間撹拌した。室温に冷却後、氷冷し、水、2 M 塩酸(6 mL)、酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(0.79 g)を得た。
【0102】
参考例11 エチル 3-[4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパノエート
エチル 3-(ピペラジン-1-イル)プロパノエート(0.142 mL)、5-クロロピラジン-2-カルバルデヒド(100 mg)、炭酸カリウム(485 mg)、DMSO(3.5 mL)の混合物を、90 ℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(138 mg)を得た。
参考例12 エチル {[1-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}アセテート
5-クロロピラジン-2-カルバルデヒド(0.55 g)、エチル [(ピペリジン-4-イル)オキシ]アセテート 塩酸塩(0.92 g)、THF(7.7 mL)、DIPEA(2.7 mL)の混合物を、70℃で4時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(1.0 g)を得た。
参考例13 2’-シクロプロピル-N -{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N -メチル-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン
6-クロロ-N-{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N-メチル-3-ニトロピリジン-2,4-ジアミン(1.0 g)、2-シクロプロピル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン(1.1 g)、炭酸カリウム(1.2 g)、Pd(dppf)Cl・CHCl(95 mg)、1,4-ジオキサン(12 mL)及び水(4.5 mL)の混合物を脱気し、アルゴン雰囲気下、90 ℃で2時間撹拌した。室温へ冷却後、反応混合物を水、酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2’-シクロプロピル-N-{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N-メチル-5-ニトロ-6’-(トリフルオロメチル)[[2,4’-ビピリジン]-4,6-ジアミンを得た。これを2-プロパノール(9.7 mL)、水(2.9 mL)、塩化アンモニウム(0.47 g)、亜鉛粉末(0.95 g)と混合し、室温で1時間撹拌した。不溶物をセライトで濾別し、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(1.2 g)を得た。
参考例14 エチル [4-(3-フルオロ-4-ホルミルフェノキシ)ピペリジン-1-イル]アセテート
[工程1] tert-ブチル 4-(3-フルオロ-4-ホルミルフェノキシ)ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
tert-ブチル 4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(400 mg)、2-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(175 mg)、THF(10 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、PPh(782 mg)を加え、氷冷下で、DEAD(1.4 mL)を添加し、室温まで昇温して撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、標記化合物(175 mg)を得た。
[工程2]エチル [4-(3-フルオロ-4-ホルミルフェノキシ)ピペリジン-1-イル]アセテートの製造
工程1で得た、tert-ブチル 4-(3-フルオロ-4-ホルミルフェノキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(175 mg)のメタノール(1.4 mL)溶液に、室温で撹拌しながら、塩化水素(4 M 酢酸エチル溶液、0.68 mL)を加え、同温で2時間、40 ℃で2時間、室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮後、乾燥して2-フルオロ-4-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]ベンズアルデヒド 塩酸塩を得た。これをアセトニトリル(2 mL)と混合し、室温で撹拌しながら、DIPEA(0.47 mL)、ブロモ酢酸エチル(0.078 mL)を加え、同温で3時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(130 mg)を得た。
参考例15 エチル [4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]アセテート
6-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-N-{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}-N-メチルピリジン-2,3,4-トリアミン(50 mg)、エチル [4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]アセテート(35 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(53 mg)及びDMF(1 mL)の混合物を100 ℃で4時間攪拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(21 mg)を追加し、100 ℃で3時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で希釈し、析出した沈殿を濾取し、水で洗浄して乾燥し、標記化合物(67 mg)を得た。
【0103】
参考例16 エチル 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート
2’-エトキシ-N-{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}-N-メチル-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(2.30 g)、エチル 1-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(1.45 g)、亜ジチオン酸ナトリウム(2.30 g)及びDMF(26 mL)の混合物を110 ℃で4.5時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(3.06 g)を得た。
参考例17 エチル {[1-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}アセテート
2’-シクロプロピル-N-{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N-メチル-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(115 mg)、エチル {[1-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}アセテート(79 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(112 mg)及びDMF(2.6 mL)の混合物を、100 ℃で5時間攪拌した。室温へ冷却後、水、飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、酢酸エチル-ヘキサンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(142 mg)を得た。
参考例18 エチル 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート
2’-エトキシ-N-(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-N-メチル-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(50 mg)、エチル 1-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(32 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(51 mg)及びDMF(1 mL)の混合物を100 ℃で8時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(75 mg)を得た。
参考例19 エチル 1-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート
6’-シクロプロピル-N-{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N-メチル-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(50 mg)、エチル 1-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(30 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(23 mg)及びDMF(0.72 mL)の混合物を100 ℃で8時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(76 mg)を得た。
参考例20 エチル 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート
2’-エトキシ-N-{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N-メチル-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(50 mg)、エチル 1-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(31 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(48 mg)及びDMF(1 mL)の混合物を100 ℃で8時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(75 mg)を得た。
【0104】
参考例21 エチル 3-[4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパノエート
6’-シクロプロピル-N-{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N-メチル-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(1.12 g)、エチル 3-[4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパノエート(0.742 g)、亜ジチオン酸ナトリウム(1.05 g)及びDMF(24 mL)の混合物を、110 ℃で4時間攪拌した。室温へ冷却後、亜ジチオン酸ナトリウム(1.05 g)を追加し、100 ℃で3時間撹拌した。室温へ冷却後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(1.24 g)を得た。
【0105】
参考例22 エチル [4-(4-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル]アセテート
6’-シクロプロピル-N-{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N-メチル-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(35.6 mg)、エチル [4-(3-フルオロ-4-ホルミルフェノキシ)ピペリジン-1-イル]アセテート(25.7 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(34.5 mg)及びDMF(0.79 mL)の混合物を110 ℃で終夜攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(40.7 mg)を得た。
参考例23 エチル 3-[(2S)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパノエート
6’-シクロプロピル-N-{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N-メチル-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(38 mg)、エチル 3-[(2S)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパノエート(29 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(36 mg)及びDMA(0.82 mL)の混合物を、110 ℃で11時間攪拌した。室温へ冷却後、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を減圧下濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(48 mg)を得た。
参考例24 エチル 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート
6’-シクロプロピル-N-{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N-メチル-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(1.5 g)、エチル 3-[(3R)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート(1.1 g)、亜ジチオン酸ナトリウム(1.1 g)及びDMF(15 mL)の混合物を110 ℃で3時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物を水、酢酸エチルで希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(1.9 g)を得た。
参考例25 エチル 3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート
2’-シクロプロピル-N-{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}-N-メチル-6’-(トリフルオロメチル)[2,4’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(50 mg)、エチル 3-[(3R)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート(36 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(47 mg)及びDMF(0.5 mL)の混合物を110℃で8時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(76 mg)を得た。
【0106】
実施例1 [4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]酢酸
エチル [4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]アセテート(67 mg)のエタノール(1 mL)溶液に、室温で撹拌しながら、1 M 水酸化ナトリウム水溶液(0.134 mL)を加え、同温で4時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、2 M 塩酸で中和した。析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥して標記化合物(60 mg)を得た。
実施例2 4-フルオロ-1-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸
実施例1に準じた方法により、エチル [4-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]アセテートの代わりに、エチル 4-フルオロ-1-(5-{5-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(77 mg)用いて、標記化合物(67 mg)を得た。
実施例3 1-(5-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸
エチル 1-(5-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(41 mg)のエタノール(1 mL)溶液に1 M 水酸化ナトリウム水溶液(0.30 mL)を加え、70 ℃で2時間撹拌した。室温へ冷却後、水で希釈し、1 M 塩酸で中和した。析出した沈殿を濾取、乾燥して標記化合物(30 mg)を得た。
実施例4 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸 2塩酸塩
[工程1] 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸の製造
エチル 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(285 mg)、エタノール(8 mL)、1 M 水酸化ナトリウム水溶液(2.1 mL)の混合物を50 ℃で1時間撹拌した。室温へ冷却後、溶媒を減圧下濃縮し、残留物を水で希釈し、1 M 塩酸で中和した。析出した沈殿を濾取し、乾燥して、標記化合物(245 mg)を得た。
[工程2] 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸 2塩酸塩の製造
工程1で得た、1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロブチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸(245 mg)を酢酸エチル(8 mL)で希釈し、室温で撹拌しながら、塩化水素(4 M 酢酸エチル溶液、0.47 mL)を加え、同温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物をジエチルエーテルで希釈して、不溶物を濾取、ジエチルエーテルで洗浄後、乾燥し、標記化合物(244 mg)を得た。
実施例5 {[1-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}酢酸
エチル {[1-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル]オキシ}アセテート(141 mg)、THF(0.78 mL)、メタノール(0.78 mL)、及び水(0.78 mL)の混合物に、水酸化リチウム一水和物(32.8 mg)を加え、室温で30分間撹拌後、50 ℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下濃縮し、残留物に水を加えて希釈した。ここに、室温で撹拌しながら、2 M 塩酸を加えて中和した。析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥して標記化合物(133 mg)を得た。
【0107】
実施例6 1-(4-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェニル)ピペリジン-4-カルボン酸
エチル 1-(4-{5-[6-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェニル)ピペリジン-4-カルボキシレート(58 mg)、THF(0.81 mL)、メタノール(0.81 mL)、及び水(0.81 mL)の混合物に、水酸化リチウム一水和物(15 mg)を加え、50 ℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下濃縮し、残留物に水を加えて希釈した。ここに、室温で撹拌しながら、2 M 塩酸を加えて中和した。析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥して標記化合物(53 mg)を得た。
【0108】
実施例7 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸
エチル 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[(3-メトキシ-2,2-ジメチルプロピル)(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(75 mg)のエタノール(1 mL)溶液に1 M 水酸化ナトリウム水溶液(0.56 mL)を加え、50 ℃で2時間撹拌した。室温へ冷却後、水で希釈し、1 M 塩酸で中和した。析出した沈殿を濾取、乾燥して標記化合物(62 mg)を得た。
【0109】
実施例8 1-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸
エチル 1-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(76 mg)、エタノール(0.54 mL)、THF(0.54 mL)、及び水(0.18 mL)の混合物に、水酸化リチウム一水和物(23 mg)を加え、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、水で希釈後、6 M 塩酸を加えて中和した。析出した沈殿を濾取し、標記化合物(40 mg)を得た。
実施例9 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸
エチル 1-(5-{5-[2-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボキシレート(75 mg)のエタノール(1 mL)溶液に1 M 水酸化ナトリウム水溶液(0.54 mL)を加え、50 ℃で2時間撹拌した。室温へ冷却後、水で希釈し、1M 塩酸で中和した。析出した沈殿を濾取、乾燥して標記化合物(63 mg)を得た。
実施例10 3-[4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸
エチル 3-[4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]プロパノエート(1.24 g)、THF(8.4 mL)、メタノール(8.4 mL)、及び水(8.4 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、水酸化リチウム一水和物(0.285 g)を加え、50 ℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下濃縮した。残留物を水で希釈し、室温で撹拌しながら、2 M 塩酸(3.4 mL)を加え中和した。析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥して標記化合物(1.14 g)を得た。
【0110】
実施例11 [4-(4-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸
エチル [4-(4-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}-3-フルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル]アセテート(39.5 mg)のエタノール(1.1 mL)溶液に、室温で撹拌しながら、2 M 水酸化ナトリウム水溶液(0.134 mL)を加え、同温で4時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、2 M 塩酸で中和した。析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥して標記化合物(35.6 mg)を得た。
実施例12 3-[(2S)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパン酸
エチル 3-[(2S)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-2-(メトキシメチル)ピペラジン-1-イル]プロパノエート(96.7 mg)、THF(0.74 mL)、メタノール(0.74 mL)、及び水(0.74 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、水酸化リチウム一水和物(21.8 mg)を加え、同温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物を水で希釈後、2 M 塩酸で中和した。析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥して標記化合物(76.3 mg)を得た。
実施例13 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸ナトリウム
[工程1] 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸の製造
エチル 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート(1.82 g)、エタノール(9 mL)、及び水(9 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら4 M 水酸化ナトリウム水溶液(3 mL)を加え、50 ℃で1時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、6 M 塩酸で中和した。反応混合物を室温で終夜撹拌後、析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後乾燥して、標記化合物(1.73 g)を得た。
[工程2] 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸ナトリウムの製造
工程1で得た、3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(エトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸(1.20 g)、及びメタノール(30 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、ナトリウムメトキシド(0.5 M メタノール溶液、3.32 mL)を加え、同温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物をジエチルエーテル(20 mL)で希釈して、室温で3時間撹拌した。ここにヘキサン(20 mL)を加え、室温で1時間撹拌した。不溶物を濾取し、ジエチルエーテル-ヘキサン(1:1)で洗浄後乾燥し、標記化合物(1.16 g)を得た。
実施例14 3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸ナトリウム
[工程1] 3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸の製造
エチル 3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート(76 mg)のエタノール(1 mL)溶液に、室温で撹拌しながら1 M 水酸化ナトリウム水溶液(0.50 mL)を加え、同温で1時間撹拌した。反応混合物に2 M 塩酸を加えて中和し、反応混合物を減圧下濃縮後、残留物を水で希釈した。析出した沈殿を濾取し、水で洗浄後、乾燥して標記化合物(68 mg)を得た。
[工程2] 3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸ナトリウムの製造
工程1で得た、3-[(3R)-4-(5-{5-[2-シクロプロピル-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロヘキシル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸(68 mg)、メタノール(1 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、ナトリウムメトキシド(0.5 M メタノール溶液、0.19 mL)を加え、同温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物をジエチルエーテル-ヘキサン(1:1)で希釈後、室温で1時間撹拌した。不溶物を濾取、ジエチルエーテル-ヘキサン(1:1)で洗浄後乾燥し、標記化合物(63 mg)を得た。
実施例15 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸ナトリウム
[工程1] エチル 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエートの製造
6’-シクロプロピル-N-{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}-N-メチル-5’-(トリフルオロメチル)[2,3’-ビピリジン]-4,5,6-トリアミン(50 mg)、エチル 3-[(3R)-4-(5-ホルミルピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート(38 mg)、亜ジチオン酸ナトリウム(39 mg)及びDMF(0.5 mL)の混合物を110 ℃で3時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(75 mg)を得た。
[工程2] 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸の製造
工程1で得た、エチル 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパノエート(75 mg)、THF(0.5 mL)、及び水(0.5 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、4 M 水酸化ナトリウム水溶液(0.127 mL)を加え、50 ℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温へ冷却後、水で希釈し、1 M 塩酸を加えて中和した。析出した沈殿を濾取、水で洗浄して乾燥し、標記化合物(66 mg)を得た。
[工程3] 3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸ナトリウムの製造
工程2で得た、3-[(3R)-4-(5-{5-[6-シクロプロピル-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-7-[{[1-(メトキシメチル)シクロペンチル]メチル}(メチル)アミノ]-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル}ピラジン-2-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]プロパン酸(65 mg)、メタノール(2 mL)の混合物に、室温で撹拌しながら、ナトリウムメトキシド(0.5 M メタノール溶液、0.184 mL)を加え、同温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、残留物をジエチルエーテル-ヘキサン(1:1)で希釈後、室温で1時間撹拌した。不溶物を濾取、ジエチルエーテル-ヘキサン(1:1)で洗浄後乾燥し、標記化合物(65 mg)を得た。
【0111】
以下に記載する表1~表10に、参考例及び実施例化合物を示す。なお、表中、PRExとは、当該化合物が、その番号に該当する参考例番号の化合物の製造法に準じた方法により、対応する原料を用いて製造したことを表す。例えば、PRExが1である参考例化合物は、参考例1に準じた方法によって製造したことを意味する。また、表中、化学名とは、当該参考例及び実施例の番号に対応する化合物の名称を表し、Dataとは、かかる化合物の機器分析データを表し、例えば、質量分析データ(m/z値)、H NMRデータ(ピークのδ(ppm))、元素分析データ(C、H、Nの組成(%))などが該当する。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】
【表7】
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
【表10】
【0122】
以下に、本発明に用いられる化合物の薬理試験(生物試験)例を示す。
【0123】
各実施例の化合物の薬理活性を以下の試験により調べた。なお、以下の説明で、各実施例の化合物を各「被験化合物」という場合がある。
【0124】
<試験例1:M3 PAM活性の評価>
ヒトムスカリンM3受容体遺伝子(GenBank登録番号:NM_000740.2)を導入してM3受容体を安定発現したCHO-K1細胞(以下、「M3R発現細胞」と称する場合がある)を37 ℃、5 % COの条件下で増殖用培地を用いて継代培養した。増殖用培地として、最終濃度10 %の非働化ウシ胎児血清(Cat.No.172012、Sigma社製)、最終濃度2 mMのGlutaMAX(登録商標)(Cat.No.35050、GIBCO社製)、最終濃度20 U/mLのペニシリン及び20 μg/mLのストレプトマイシン(ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液、Cat.No.26253-84、ナカライテスク株式会社製)、最終濃度0.2 mg/mLのG418(Cat.No.16513-26、ナカライテスク株式会社製)を含むalpha Modified Eagle Minimum Essential Medium(α-MEM、D8042、Sigma社製)を用いた。
【0125】
細胞内Ca2+濃度の測定の前日に、増殖用培地にM3R発現細胞を懸濁し、40,000個/ウェルとなるように黒色透明底の96ウェルプレート(Cat.No.215006、Porvair Sciences社製)に播種した。96ウェルプレートに播種したM3R発現細胞を37 ℃、5 % COの条件下で一晩培養した。
【0126】
カルシウム測定アッセイキット(Screen QuestFluo-8 Medium Removal Calcium Assay Kit、Cat.No.36309、AAT Bioquest社製)を用いて、添付説明書に準じてM3R発現細胞内のCa2+濃度を測定した。測定日に増殖用培地を除去し、96ウェルプレートに100 μL/ウェルのローディングバッファーを加え、37 ℃、5 % CO条件下で30分間培養した後に、室温で30分間静置した。これにより、可視光励起のカルシウム指示薬(Fluo-8(登録商標)、AAT Bioquest社製)をM3R発現細胞に負荷した。ローディングバッファーとして、カルシウム指示薬を含む緩衝液を用いた。緩衝液として、最終濃度20 mMのHEPES(Cat.No.340-01371、株式会社同仁化学研究所製)及び最終濃度2.5 mMのprobenecid(165-15472、和光純薬株式会社製)を含むpH7.4のハンクス平衡塩類溶液(HBSS緩衝液)を用いた。なお、ハンクス平衡塩類溶液は10×HBSS(Cat.No.14065-056、GIBCO社製)を超純水で10倍希釈して調製した。
【0127】
その後、96ウェルプレートを蛍光スクリーニングシステム(FLIPR TETRA(登録商標)、Molecular Devices社製)の中に移し、被験化合物による細胞内Ca2+濃度依存性の蛍光強度を測定した。なお、蛍光強度の測定において、励起波長を470-495 nmとし、蛍光波長を515-575 nmとした。
【0128】
96ウェルプレートに被験化合物を含む媒体又は媒体のみを添加し、2分間蛍光強度を測定した。媒体としてHBSS緩衝液を用いた。なお、被験化合物はジメチルスルホキシドに溶解させた後にHBSS緩衝液に加えた。この時、ジメチルスルホキシドの最終濃度を2.5 %にした。また、被験化合物の最終濃度を0~30 μMの範囲で可変した。その後に、最大活性の約20 %の作用を与えるEC20(20 % Effective Concentration)のアセチルコリンを添加し、蛍光強度を1分間測定した。この時、EC20は約10~30 nMの範囲であった。
【0129】
被験化合物に替えてHBSS緩衝液のみを添加して最終濃度100 μMのアセチルコリンを添加した場合の蛍光強度Lbを100 %とし、EC20のアセチルコリン存在下で被験化合物に替えてHBSS緩衝液のみを添加した場合の蛍光強度Laを0 %とした。また、被験化合物を添加した場合の蛍光強度をLcとし、被験化合物による蛍光強度の増強率Gr(単位:%)を下記の式(1)により算出した。増強率Grに基づいて被験化合物のM3 PAM活性を評価した。
【0130】
Gr=100×(Lc-La)/(Lb-La)・・・(1)
【0131】
被験化合物の各濃度における増強率Grに基づいて統計プログラム(SASシステム、SAS Institute Japan)を用いて、ロジスティック式より増強率GrのEC50(50 % Effective Concentration)を推定した。本試験の結果を表11に示す。増強率GrのEC50が低いほどM3 PAM活性が高いと判断した。
【0132】
【表11】
【0133】
表11に示すように、被験化合物(実施例1~15の化合物)はいずれも高いM3 PAM活性を示すことが判明した。
【0134】
なお、アセチルコリン非存在下で被験化合物単独の添加では蛍光強度は上昇しなかった。これにより、被験化合物はM3受容体アゴニスト活性を示さないことが判明した。
【0135】
上記のように、被験化合物は、in vitroにおいて、M3 PAM活性を有することが確認された。
【0136】
<試験例2:マグヌス試験における被験化合物の評価>
9~15週齢のSD系の雌性ラット(日本SLC社)をイソフルラン麻酔下にて、頚動脈切断により放血致死させた。その後、ラットから回腸を摘出し、腸間膜や結合組織を切除しながら長さが2 cmになるように切断して腸管の標本を作製した。マグヌス槽において、この標本を95 % O、5 % CO混合ガスを通気した37 ℃のクレブス液(118 mM NaCl、4.7 mM KCl、2.5 mM CaCl、1.2 mM MgSO、1.2 mM KHPO、11 mM D-glucose、20 mM NaHCO)20 mLに浸漬して懸垂した。その後、標本に1 gの負荷をかけ、張力を安定させた。
【0137】
標本の一端はアイソトニックトランスデューサー(IT-10、メディカルエイジェント社)に接続し、Power Lab(登録商標)(A&D instruments)を介して張力(収縮力)のデータをパーソナルコンピュータに取り込んだ。最終濃度が1000 nMになるようにカルバコール(Carbamylcholine Chloride、Cat.No.036-09841、富士フィルム和光純薬株式会社製)をマグヌス槽内のクレブス液中に添加して標本の収縮を確認した。この時の標本の収縮力Tbを100 %とした。その後、マグヌス槽をクレブス液で3回洗浄してカルバコールを洗い流し、最後にマグヌス槽を20 mLのクレブス液で満たした。
【0138】
次に、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide;DMSO、Cat.No.13445-74、ナカライテスク株式会社製)をマグヌス槽内のクレブス液中に添加した後に、最終濃度が50 nMになるようにカルバコールをマグヌス槽内のクレブス液中に添加して標本の収縮を確認した。この時の標本の収縮力Taを0 %とした。その後、マグヌス槽をクレブス液で3回洗浄してカルバコール及びDMSOを洗い流し、最後にマグヌス槽を20 mLのクレブス液で満たした。次に、DMSOに溶解した被験化合物を最終濃度が10 μMになるようにマグヌス槽内のクレブス液中に添加後に、最終濃度が50 nMになるようにカルバコールをマグヌス槽内のクレブス液中に添加して標本の収縮を確認した。
【0139】
上述のように、最終濃度1000 nMのカルバコールを添加した場合の標本の収縮力Tbを100 %とし、被験化合物に替えてDMSOを先に添加した条件で最終濃度50 nMのカルバコールを添加した場合の標本の収縮力Taを0 %とした。最終濃度が10 μMの被験化合物を先に添加した条件で最終濃度50 nMのカルバコールを添加した場合の標本の収縮力をTcとし、被験化合物による収縮力の増強率P(単位:%)を下記の式(2)により算出した。増強率Pに基づいて被験化合物による収縮力増加を評価した。なお、各添加群の例数は3~7とした。
【0140】
P=100×(Tc-Ta)/(Tb-Ta)・・・(2)
【0141】
【表12】
【0142】
マグヌス試験の結果を表12に示す。表12において、増強率Pを平均値±標準誤差で示す。被験化合物はいずれも増強率Pを上昇させた。これにより、被験化合物は消化管機能の亢進に有効であることが判明した。
【0143】
さらに、被験化合物は単独ではM3受容体に対するアゴニスト作用を示さず、カルバコール存在下で回腸収縮作用を有する。これにより、M3 PAM活性を有する被験化合物はより生理的な条件の下でM3受容体のシグナルレベルを増強でき、M3受容体が関与する疾患(特に消化管疾患)に対する治療上有望であることが期待される。また、被験化合物は、既存の薬剤(例えばジスチグミン臭化物)に報告されるコリン作動性由来の副作用(コリン作動性クリーゼ)を回避できる可能性があり、より安全性に優れた治療薬となり得る。
【0144】
<試験例3:マウス便秘モデルにおける被験化合物の評価>
μオピオイド受容体アゴニストであるロペラミドは腸管の収縮を抑制し、腸管輸送能の遅延を引き起こす。このため、ロペラミドを投与したマウスは便秘の実験モデル(以下、「便秘モデルマウス」と呼ぶ場合がある)として知られている(Acta gastroenterologica latinoamericana,1991,Vol.21,No.1,p.3-9.)。そこで、M3 PAM活性を示す被験化合物の便秘モデルマウスにおける有効性を検討した。
【0145】
7週齢の雄性のICRマウス(日本SLC社)を入荷時から幅20 cm×奥行23 cm×高さ15 cmの金網ケージで1週間以上飼育し、馴化させた。その後に、ロペラミド(Loperamide Hydrochloride、Cat.No.129-05721、富士フィルム和光純薬株式会社製)を5 mg/kgで経口投与した。ロペラミドの投与の20分後に10 mg/kgの被験化合物または媒体(0.5 %メチルセルロース溶液)を経口投与し、6時間後の糞数を数えた。このとき、ロペラミドは水(大塚蒸留水、株式会社大塚製薬工場製)に溶解し、被験化合物は0.5 %メチルセルロース溶液に懸濁し、投与容量は10 mL/kgとした。なお、ロペラミド非投与群(Normal群)では水のみを10 mL/kgで経口投与した。また、各投与群の例数は5~6とした。
【0146】
便秘モデルマウスの結果を図1図8に示す。図1及び図5は実施例1~4、図2及び図6は実施例6、7、図3及び図7は実施例8~11、図4及び図8は実施例12~15の化合物を投与した場合の結果を示す。図1図4の縦軸は1匹あたりの糞数(単位:個)を示し、図5図8の縦軸は1匹あたりの糞の乾燥後の総重量(単位:mg)を示す。図中の「N」及び「Vh」はそれぞれNormal群及びVehicle群を示す。また、図中の数字「1~4、6~15」はそれぞれ実施例1~4、6~15の化合物を示す。以下、糞の乾燥後の総重量を「乾燥重量」という場合がある。ロペラミド及び媒体のみを投与した群(Vehicle群)ではロペラミド非投与群(Normal群)と比較し、糞数及び乾燥重量が低下した。これにより、便秘モデルの成立を確認した。
【0147】
被験化合物投与群ではVehicle群に対して糞数及び乾燥重量が増加し、便秘が改善された。また、被験化合物投与群では糞数及び乾燥重量の両方がVehicle群に対して増加していた。したがって、被験化合物の投与によって単に小さい糞が数多く排出され排便回数だけが増えたわけではなく,排便量も増加していることが確認された。
【0148】
以上の結果より、被験化合物は過敏性腸症候群、機能性便秘、オピオイド誘発性便秘に対して有効性を示すことが判明した。なお、Normal群、Vehicle群及び被験化合物投与群のいずれにおいても下痢は認められなかったことを目視によって確認した。
【0149】
<試験例4:麻酔下マウスの唾液分泌量測定実験>
8週齢雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社)をウレタン(1650 mg/kg,腹腔内投与)にて麻酔した。その約1時間後、10 mg/kgの被験化合物または媒体(10 %のDMSOを含む生理食塩水(大塚生食注、株式会社大塚製薬工場製))を静脈内投与し、直後に口内に脱脂綿球(ローラーコットン(綿球)SS、株式会社ニチエイ製)1~2個(0.1~0.2 mg)を挿入した。挿入30分後の脱脂綿球の重量と挿入前の脱脂綿球の重量との差を唾液分泌量とした。このとき、被験化合物はDMSOに溶解した後、生理食塩水で10倍希釈した。被験化合物及び媒体の投与容量は5 mL/kgとした。実験は3回に分けて実施した。各投与群の例数は3~4とした。
【0150】
【表13】
【0151】
唾液分泌量の測定試験の結果を表13に示す。表13において、唾液分泌量(単位:mg)を平均値±標準誤差で示す。実験#1では実施例1~5、実験#2では実施例6~10、実験#3では実施例11~15の化合物を評価した。被験化合物投与群ではいずれもVehicle群(媒体のみ投与)よりも唾液分泌量が増加した。なお、Vehicle群及び被験化合物投与群では唾液の気管への誤嚥は認められなかった。また、本試験において、ピロカルピン(カルバコールと同様のムスカリン受容体作動薬)も唾液分泌促進作用を示した。
【0152】
上記の試験例1~試験例4で示したように、本発明化合物は、M3 PAM活性を示すとともにin vivoモデルにおいても有効性を示し、機能性消化管障害又は口腔乾燥症の治療剤又は予防剤として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は機能性消化管障害及び口腔乾燥症の治療剤及び予防剤に用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8