(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】一体型カテーテル用の安定化装置、システム、およびその方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A61M25/02 502
(21)【出願番号】P 2021556848
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(86)【国際出願番号】 US2020024010
(87)【国際公開番号】W WO2020198059
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-20
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ナイドゥ、ジテンドラ クマール サティヤナラヤナ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/134250(WO,A1)
【文献】特開平10-305103(JP,A)
【文献】特開平08-024344(JP,A)
【文献】特開2002-360705(JP,A)
【文献】特表2009-533085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型カテーテル用の安定化装置であって、
載置台であって、前記載置台の皮膚対面側および前記載置台のカテーテル固定側を有する前記載置台と、
前記載置台の前記カテーテル固定側に位置する一対のカテーテル保持部であって、前記一対のカテーテル保持部は、
互いに離間している第1のカテーテル保持部
および第2のカテーテル保持部を含んでおり、前記一対のカテーテル保持部は、延長ポートを有する一体型カテーテルのハブを固定するように構成されている、前記一対のカテーテル保持部と、
前記載置台の横軸から延出する一対の安定化翼部であって、当該一対の安定化翼部は、前記一体型カテーテルが前記一対のカテーテル保持部によって前記載置台上に固定されかつ前記安定化装置が患者に接着されるとき、その前記一体型カテーテルの長手軸の周りの前記一体型カテーテルの回転を減ずるように構成されている、前記一対の安定化翼部とを含む、安定化装置。
【請求項2】
前記載置台は、前記載置台が前記載置台の安定化部位において前記患者の輪郭に倣わせることを可能にする可撓度を有して構成されている請求項1に記載の安定化装置。
【請求項3】
前記載置台の前記皮膚対面側は、前記患者の皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する請求項1または2のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項4】
パッドであって、前記パッドの皮膚対面側および前記パッドの載置台対面側を有する発泡材料からなる前記パッドをさらに含み、前記パッドは、前記パッドが前記パッドの安定化部位において前記患者の輪郭に倣わせることを可能にする可圧縮度を有して構成される請求項1に記載の安定化装置。
【請求項5】
前記パッドの前記皮膚対面側は、前記患者の皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する請求項4に記載の安定化装置。
【請求項6】
前記第1のカテーテル保持部と前記第2のカテーテル保持部の離間は、前記一体型カテーテルが前記一対のカテーテル保持部によって前記載置台上に固定されるとき、前記一対のカテーテル保持部の間に前記一体型カテーテルの前記延長ポートを収容するように
構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項7】
前記一対のカテーテル保持部のうちの
前記第1のカテーテル保持部は、前記載置台の前記カテーテル固定側に連結されるC字クリップである請求項1~6のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項8】
前記一対のカテーテル保持部のうちの
前記第1のカテーテル保持部は、前記載置台の前記カテーテル固定側に連結された第1顎と、一体成形ヒンジによって前記第1顎に連結された第2顎とを有するクランプである請求項1~6のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項9】
前記載置台は、前記安定化装置が前記患者に接着されるとき、前記安定化装置と前記患者の皮膚との間の湿気が貫通孔を通って漏出することを可能にするよう構成される複数の前記貫通孔を含む請求項1~8のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項10】
前記載置台の前記横軸は、前記載置台の対称軸である請求項1~9のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項11】
一体型カテーテル用の安定化装置であって、
ポリマー系の載置台であって、前記載置台の皮膚対面側および前記載置台のカテーテル固定側を有する前記載置台と、
前記載置台の前記カテーテル固定側に位置する一対のカテーテル保持部であって、前記一対のカテーテル保持部は、
互いに離間している第1のカテーテル保持部
および第2のカテーテル保持部を含んでおり、前記一対のカテーテル保持部は、延長ポートを有する一体型カテーテルのハブを固定するように構成されている、前記一対のカテーテル保持部と、
前記載置台の横軸から延出する一対の安定化翼部であって、当該一対の安定化翼部は、前記一体型カテーテルが前記一対のカテーテル保持部によって前記載置台上に固定されかつ前記安定化装置が患者に接着されるとき、前記一体型カテーテルの長手軸の周りの前記一体型カテーテルの回転を減ずるように構成されている、前記一対の安定化翼部とを含み、前記載置台は、前記載置台の前記横軸に関して2回対称性を有する、安定化装置。
【請求項12】
前記載置台は、前記載置台が前記載置台の安定化部位において前記患者の輪郭に倣わせることを可能にする可撓度を有して構成されており、
前記載置台の前記皮膚対面側は、前記患者の皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する請求項11に記載の安定化装置。
【請求項13】
パッドであって、前記パッドの皮膚対面側および前記パッドの載置台対面側を有する発泡材料からなる前記パッドをさらに含み、前記パッドは、前記パッドが前記パッドの安定化部位において前記患者の輪郭に倣わせることを可能にする可圧縮度を有して構成され、前記パッドの前記皮膚対面側は、前記患者の皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する請求項11に記載の安定化装置。
【請求項14】
前記第1のカテーテル保持部と前記第2のカテーテル保持部の離間は、前記一体型カテーテルが前記一対のカテーテル保持部によって前記載置台上に固定されるとき、前記一対のカテーテル保持部の間に前記一体型カテーテルの前記延長ポートを収容するように
構成されている、請求項11~13のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項15】
前記第1のカテーテル保持部は、前記載置台の前記カテーテル固定側に連結されたC字クリップであり、
前記C字クリップは、前記一体型カテーテルの前記ハブが前記C字クリップの開口部に挿入されたとき、最初は前記C字クリップの前記開口部が拡張し、前記一体型カテーテルの前記ハブが前記開口部を越えて挿入されると、それに続いて前記C字クリップの前記開口部が収縮することを可能にする可撓度を有して構成されている、請求項11~14のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項16】
前記一対のカテーテル保持部のうちの
前記第1のカテーテル保持部は、前記載置台の前記カテーテル固定側に連結された第1顎と、一体成形ヒンジによって前記第1顎に連結された第2顎とを有するクランプであり、
前記クランプは、前記一体型カテーテルの前記ハブが前記クランプに挿入された後、前記第1顎と前記第2顎とを一緒にスナップするように構成された前記第1顎と前記第2顎との間のスナップで構成される、請求項11~
14のいずれか1項に記載の安定化装置。
【請求項17】
前記載置台は、前記安定化装置が前記患者に接着されるとき、前記安定化装置と前記患者の皮膚との間の湿気が貫通孔を通って漏出することを可能にするよう構成される複数の前記貫通孔を含む請求項11~16のいずれか1項に記載の安定化装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型カテーテル用の安定化装置、システム、およびその方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
末梢静脈カテーテル(「PIVC」)は、しばしば、意図したIV療法が完了する前に、患者から早めに取り除かれる必要がある。PIVCを早めに除去する必要性に寄与する主な要因は、機械的静脈炎であり、これは、PIVCが動いて、患者の内部の解剖学的構造を刺激したときに発生する。PIVCを早めに除去する必要性に寄与する副次的要因は、PIVCが患者内で動くときに微生物が導入される可能性があることである。PIVCの機械的安定化は、機械的静脈炎を減少させ、IV療法の滞留時間を増加させることが示されている。しかしながら、そのようなPIVC用の既存の安定化装置は、一体型PIVCと適合性がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、既存の安定化装置は、機械的静脈炎を減少させ、一体型PIVCを用いた意図されたIV療法を完了するために必要な滞留時間を増大させるために必要な機械的安定化を提供することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書には、一体型PIVCなどの一体型カテーテル用の安定化装置およびその方法が開示される。
本明細書には、一体型カテーテル用の安定化装置が開示され、いくつかの実施形態において、載置台と、載置台上の一対のカテーテル保持部と、載置台から延出する一対の安定化翼部とを含む。載置台は、載置台の皮膚対面側および載置台のカテーテル固定側を有する。一対のカテーテル保持部は、載置台のカテーテル固定側にある。一対のカテーテル保持部は、延長ポートを有する一体型カテーテルのハブを固定するように構成される。一対の安定化翼部は、載置台の横軸から延出する。一体型カテーテルが一対のカテーテル保持部によって載置台上に固定され、安定化装置が患者に接着されたとき、安定化翼部は、一体型カテーテルがその長手軸の周りで回転するのを減ずるように構成される。
【0005】
いくつかの実施形態において、載置台は、載置台がその載置台の安定化部位においてその患者の輪郭に倣わせることを可能にする可撓度を有して構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、載置台の皮膚対面側は、患者の皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する。
いくつかの実施形態において、安定化装置は、パッドの皮膚対面側およびパッドの載置台対面側を有する発泡材料からなるパッドをさらに含む。パッドは、パッドがそのパッドの安定化部位において患者の輪郭に倣わせることを可能にする可圧縮度を有して構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、パッドの皮膚対面側は、患者の皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する。
いくつかの実施形態において、一体型カテーテルが一対のカテーテル保持部によって載置台上に固定されるとき、一対のカテーテル保持部の間に一体型カテーテルの延長ポートを収容するように、一対のカテーテル保持部は互いに距離を置いて離れる。
【0008】
いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部のうちの少なくとも1つのカテーテル保持部は、載置台のカテーテル固定側に連結されたC字クリップである。
【0009】
いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部のうちの少なくとも1つのカテーテル保持部は、載置台のカテーテル固定側に連結された第1顎と、一体成形ヒンジによって第1顎に連結された第2顎とを有するクランプである。
【0010】
いくつかの実施形態において、載置台は、安定化装置が患者に接着されるとき、安定化装置と患者の皮膚との間の湿気が貫通孔を通って漏出することを可能にするよう構成される複数の貫通孔を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、載置台の横軸は、載置台の対称軸である。
本明細書にはまた、一体型カテーテル用の安定化装置が開示され、いくつかの実施形態において、載置台と、載置台上の一対のカテーテル保持部と、載置台から延出する一対の安定化翼部とを含む。載置台は、載置台の皮膚対面側およびカテーテル固定側を有するポリマー系載置台である。一対のカテーテル保持部は、載置台のカテーテル固定側にある。一対のカテーテル保持部は、延長ポートを有する一体型カテーテルのハブを固定するように構成される。一対の安定化翼部は、載置台の横軸から延出する。安定化翼部は、一体型カテーテルが一対のカテーテル保持部によって載置台上に固定されかつ安定化装置が患者に接着されるとき、一体型カテーテルの長手軸の周りの一体型カテーテルの回転を減ずるように構成されている。載置台は、載置台の横軸に関して2回対称性を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、載置台は、その安定化部位において載置台をその患者の輪郭に倣わせることを可能にする可撓度を有して構成されている。載置台の皮膚対面側は、患者の皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、安定化装置は、パッドの皮膚対面側および載置台対面側を有する発泡材料からなるパッドをさらに含む。パッドは、その安定化部位においてパッドを患者の輪郭に倣わせることを可能にする可圧縮度を有して構成される。パッドの皮膚対面側は、患者皮膚に接着するように構成された接着剤をその上に有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、一体型カテーテルがカテーテル保持部によって載置台上に固定されるとき、一対のカテーテル保持部の間に一体型カテーテルの延長ポートを収容するように、一対のカテーテル保持部は互いに距離を置いて離れる。
【0015】
いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部のうちの少なくとも1つのカテーテル保持部は、載置台のカテーテル固定側に連結されたC字クリップである。C字クリップは、一体型カテーテルのハブが開口部に挿入されると、最初はC字クリップの開口部が拡張し、一体型カテーテルのハブが開口部を越えて挿入されると、それに続いてC字クリップの開口部が収縮することを可能にする可撓度を有して構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部のうちの少なくとも1つのカテーテル保持部は、載置台のカテーテル固定側に連絡された第1顎と、一体成形ヒンジによって第1顎に連結された第2顎とを有するクランプである。クランプは、一体型カテーテルのハブがクランプに挿入された後、第1顎と第2顎とを一緒にスナップするように構成された第1顎と第2顎との間のスナップで構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、載置台は、安定化装置が患者に接着されるとき、安定化装置と患者の皮膚との間の湿気が貫通孔を通って漏出することを可能にするよう構成される複数の貫通孔を含む。
【0018】
本明細書にはまた、一体型カテーテルを安定化するための方法が開示され、いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部において安定化装置の載置台のカテーテル固定側に一体型カテーテルのハブを固定することであって、一対のカテーテル保持部の間に一体型カテーテルの延長ポートを収容するように、一対のカテーテル保持部は互いに距離を置いて離れる;接着剤に曝露するために安定化装置の皮膚対面側から接着剤裏当てを除去すること;および、患者の経皮的挿入部位近くの安定化部位において皮膚に安定化装置を接着し、それによって一体型カテーテルを安定化し、機械的静脈炎のリスクを減少させることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部内に一体型カテーテルのハブを固定することは、C字クリップにハブが挿入されたとき、一対のカテーテル保持部の少なくとも1つのC字クリップの開口部を拡張することと、C字クリップの開口部を越えて挿入されたとき、C字クリップの開口部が収縮することを可能にすることとを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部内に一体型カテーテルのハブを固定することは、一対のカテーテル保持部の少なくとも1つのクランプ内にハブを囲うことと、ハブの周りでクランプを閉めるようにスナップすることとを含む。クランプは、載置台のカテーテル固定側に連結された第1顎と、一体成形ヒンジによって第1顎に連結された第2顎とを有する。
【0021】
いくつかの実施形態において、本方法は、載置台を患者の皮膚に接着する前に、脱脂ワイプで安定化部位において患者の皮膚を脱脂することをさらに含む。
本明細書に提供された概念のこれらの特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に開示する添付の図面および以下の記載の観点から、当業者にはより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】いくつかの実施形態による一体型カテーテルを含む一体型カテーテル用の安定化装置を示す図。
【
図2】いくつかの実施形態によるカテーテル保持部のためのC字クリップを含む安定化装置を示す図。
【
図3】いくつかの実施形態によるカテーテル保持部のためのクランプを含む安定化装置を示す図。
【
図4】いくつかの実施形態による安定化装置のための第1載置台を示す図。
【
図5】いくつかの実施形態による安定化装置のための第2載置台を示す図。
【
図6】いくつかの実施形態による安定化装置のための第3載置台を示す図。
【
図7】いくつかの実施形態による
図5の載置台を含む安定化装置を示す図。
【
図8】いくつかの実施形態による
図6の載置台を含む安定化装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択的に、本明細書に開示される他の複数の実施形態のうちのいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0024】
本明細書に使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態の説明の目的のためであり、それらの用語が本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、特徴またはステップの一群内の異なる複数の特徴またはステップを区別または識別するために使用され、シリアルまたは数的な限定を供給しない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「頂部」、「底部」、「前部」、「後部」などのラベルは、便宜上使用され、例えば、特定の任意の固定された位置、配向、または方向を含意することを意図していない。代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、配向、または方向を反映するために使用される。単数形の「a」、「an」、および「the」には、文脈で特に明確に指示されなければ、複数形の参照が含まれる。
【0025】
「一体型カテーテル」に関して、一体型カテーテルは、ハブを介して少なくとも1つの延長チューブに流体連結されたカテーテルチューブを含む、製造業者が組み立てた1ピースの装置である。そのような一体型カテーテルは、一体型カテーテル10によって
図1に示され一体型カテーテル10は、カテーテルチューブ12、ハブ14、ハブ14から延出する延長ポート16、および延長ポート16に連結された延長チューブ18を含む。一体型カテーテルは、使用前に臨床医などが組み立てなければならない非一体型カテーテルとは異なる。
【0026】
「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部」のように、「近位」は、カテーテルが患者に使用されるとき、臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの部分を指す。同様に、例えば、カテーテルの「近位長」は、カテーテルが患者に使用されるとき、臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるとき、臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの一端を含む。カテーテルの近位部分、近位端部、または近位長は、カテーテルの近位端を含み得る。しかしながら、カテーテルの近位部分、近位端部、または近位長は、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、特に文脈が示唆しなければ、カテーテルの近位部分、近位端部、または近位長は、カテーテルの末端部または末端長ではない。
【0027】
「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部」のように、「遠位」は、カテーテルが患者に使用されるとき、患者の近くまたは患者内にあることが意図されるカテーテルの部分を指す。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長」は、カテーテルが患者に使用されるとき、患者の近くまたは患者内にあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるとき、患者の近くまたは患者内にあることが意図されるカテーテルの一端を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含み得る。しかしながら、カテーテルの遠位部分、遠位端部、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、特に文脈が示唆しなければ、カテーテルの遠位部分、遠位端部、または遠位長は、カテーテルの末端部または末端長ではない。
【0028】
特に定義されなければ、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されていることと同じ意味を有する。
また、PIVCは、しばしば、意図したIV療法が完了する前に、患者から早めに除去される必要がある。PIVCを早めに除去する必要性に寄与する主な要因は、機械的静脈炎であり、これは、PIVCが動いて、患者の内部の解剖学的構造を刺激したときに発生する。PIVCを早めに除去する必要性に寄与する副次的要因は、PIVCが患者内で動くときに微生物が導入される可能性があることである。PIVCの機械的安定化は、機械的静脈炎を減少させ、IV療法の滞留時間を増加させることが示されている。しかしながら、そのようなPIVC用の既存の安定化装置は、一体型PIVCと適合性がない。したがって、既存の安定化装置は、機械的静脈炎を減少させ、一体型PIVCを用いた意図されたIV療法を完了するために必要な滞留時間を増大させるために必要な機械的安定化を提供することができない。本明細書には、一体型PIVCなどの一体型カテーテル用の安定化装置およびその方法が開示される。
【0029】
例えば、一体型カテーテル用の安定化装置が開示され、いくつかの実施形態において、載置台、載置台上の一対のカテーテル保持部、および、載置台から延出する一対の安定化翼部を含む。載置台は、載置台の皮膚対面側およびカテーテル固定側を有する。一対のカテーテル保持部は、載置台のカテーテル固定側にある。カテーテル保持部は、延長ポートを有する一体型カテーテルのハブを固定するように構成される。一対の安定化翼部は、載置台の横軸から延出する。一体型カテーテルがカテーテル保持部によって載置台上に固定され、安定化装置が患者に接着されるとき、安定化翼部は、一体型カテーテルの長手軸の周りの一体型カテーテルの回転を減ずるように構成されている。また、安定化装置を用いて一体型カテーテルを安定化するための方法が開示される。
【0030】
安定化装置
図1は、いくつかの実施形態による一体型カテーテル10などの一体型カテーテル用の安定化装置100を示す。
【0031】
図1に示されるように、いくつかの実施形態の安定化装置100は、載置台110、載置台110上の一対のカテーテル保持部120、および載置台110から延出する一対の安定化翼部130を含む。安定化装置100、またはその載置台110は、皮膚対面側102およびカテーテル固定側104を有する。一対のカテーテル保持部120は、載置台110のカテーテル固定側104上にある。カテーテル保持部120は、一体型カテーテル10のハブ14を延長ポート16と(またはなしに)固定するように構成される。
図4~6を参照して以下により詳細に示され、説明されるように、一対の安定化翼部130は、載置台110の横軸412から延出する。一体型カテーテル10の両方がカテーテル保持部120によって載置台110上に固定され、安定化装置100が患者に接着されるとき、安定化装置100の遠位端部分から近位端部分に後退するように示されているそれら安定化翼部130は、一体型カテーテルの長手軸の周りの一体型カテーテル10の回転を減ずるように構成されている。
【0032】
図1にまた示されるように、いくつかの実施形態の安定化装置100はまた、載置台110に接着されたパッド130と、安定化装置100をその安定化部位において患者に接着するためにパッド130(またはいくつかの実施形態において、載置台110、または同様のもの)から接着剤裏当ての除去を容易にするように構成された任意選択的翼部142を有する接着剤裏当て140とを含む。
【0033】
説明の便宜のために、
図1の「安定化装置100」は本明細書において時々、開示された安定化装置のいくつかまたはすべてを一般的に指すように使用される。そのような例において、安定化装置100のある構成要素(例えば、「載置台110」)は本明細書において時々、開示された同種の安定化装置構成要素のいくつかまたは全部を一般的に参照するように使用される。安定化装置100およびその構成要素は、特有の特徴(例えば、載置台110の高さh
1は、載置台510の高さh
2より高い)を有し得るので、文脈が「安定化装置100」およびその構成要素がどのように使用されるのか決定する。
【0034】
図2は、いくつかの実施形態によるカテーテル保持部120のカテーテル保持部のための少なくとも1つのC字クリップ222を含む安定化装置200を示す。
図3は、いくつかの実施形態によるカテーテル保持部120のカテーテル保持部のための少なくとも1つのクランプ322を含む安定化装置300を示す。
【0035】
図2および3に示されるように、安定化装置200および300などの安定化装置100のいくつかの実施形態におけるカテーテル保持部120は、一体型カテーテル10がカテーテル保持部120によって、載置台110上に固定されるとき、カテーテル保持部120の間に一体型カテーテル10の延長ポート16を収容するように、互いに距離を置いて離れる。カテーテル保持部120間に、安定化装置100は任意選択的に、一体型カテーテル10がカテーテル保持部120によって載置台110上に固定されるとき、カテーテル保持部120間の一体型カテーテル10のハブ14を支持するように構成されるハブ支持部112を含む。
【0036】
図2に示されるように、安定化装置200の一対のカテーテル保持部120のうちの少なくとも1つのカテーテル保持部は、載置台110のカテーテル固定側104に連結されたC字クリップ222である。C字クリップ222は、一体型カテーテル10のハブ14がC字クリップの開口部に挿入されると、最初はC字クリップの開口部が拡張できる可撓度を有して構成されている。一体型カテーテル10のハブ14が開口部を越えて挿入され、C字クリップ222内に取り付けられると、それに続いてC字クリップ222は収縮するように構成される。
【0037】
図3に示されるように、安定化装置300の一対のカテーテル保持部120のうちの少なくとも1つのカテーテル保持部は、載置台110のカテーテル固定側104に連結された第1顎324と、一体成形ヒンジ325によって第1顎324に連結された第2顎326とを有するクランプ322である。クランプ322は、一体型カテーテル10のハブ14がクランプ322内に取り付けられたとき、第1顎324と第2顎326とを一緒にスナップするように構成された第1顎324と第2顎326との間のスナップ328で構成される。
【0038】
図4は、いくつかの実施形態による安定化装置100のための第1載置台(すなわち、載置台110)を示す。
図5は、いくつかの実施形態による安定化装置100のための第2載置台510を示す。
図6は、いくつかの実施形態による安定化装置100のための第3載置台610を示す。
図7は、いくつかの実施形態による
図5の載置台510を含む安定化装置700を示す。
図8は、いくつかの実施形態による
図6の載置台610を含む安定化装置800を示す。
【0039】
図4、5、および6に示されるように、載置台110、510、および610の各載置台は、それから一対の安定化翼部130が延出する横軸412を含む。横軸412は、載置台110、510、または610が2回対称である(すなわち、C
2対称)対称軸である。
【0040】
図5に示されるように、載置台510は、載置台110の高さh
1未満である高さh
2を有する。以下に説明されるように、載置台510は比較的薄く、医学的に許容可能なポリマーで形成されるので、載置台510は、載置台510が一体型カテーテル10のための経皮的挿入部位近くに載置台510の安定化部位において患者の輪郭(例えば、体の輪郭)に倣わせることを可能にする可撓度を有して構成されている。対照的に、載置台110は載置台510と同じポリマーから形成され得るが、載置台110の高さh
1は載置台510の高さh
2より大きいため、載置台110は感知できる可撓性をほとんどまたはまったく有さない。この理由により、載置台110はしばしば、本明細書に記載されるような可圧縮度を有するパッド130とともに使用される。いくつかの実施形態において、載置台510はまた、パッド130と使用され、それによって、患者の輪郭(例えば、体の輪郭)に対する安定化装置100の適合が増加する。
【0041】
載置台510の皮膚対面側104は、
図7の安定化装置700と同様に、患者の皮膚に接着するように構成された接着剤(例えば、感圧接着剤)をその上に含み、接着剤裏当て140は明確にするために
図7から除去されている。あるいは、載置台110と同様、載置台510の皮膚対面側104はパッド130に接着し、ひいては、パッド130は、接着剤裏打ち140の除去時に患者の皮膚に接着するように構成されたパッド130の皮膚対面側104上に接着剤(例えば、感圧接着剤)を含む。パッド130と載置台510とを一緒に接着する、パッド130と載置台510との間の接着剤は、安定化装置を患者に接着する接着剤と同じか、または異なり得る。
【0042】
パッド130に関して、安定化装置100のパッド130は、また、パッド130を一体型カテーテル10のための経皮的挿入部位近くにその安定化部位において患者の輪郭(例えば、体の輪郭)に倣わせることを可能にする可圧縮度を有し、医学的に許容可能な発泡材料から形成される。また、パッド130の皮膚対面側104は、患者の皮膚に接着するように構成された接着剤(例えば、感圧接着剤)をその上に含む。(例えば、
図2の安定化装置200、
図3の安定化装置300、または
図8の安定化装置800を参照。)
図6に示されるように、載置台610は、例えば、安定化装置800が患者に接着されたとき、
図8の安定化装置800と患者の皮膚との間の湿気が貫通孔612を通って漏出することを可能にするよう構成される、複数の貫通孔612、すなわち通気孔を含む。示されていないが、載置台510はまた、複数の貫通孔612を含み得る。
【0043】
載置台110、510、または610は、射出成形などによって、ポリマー材料から形成される。例えば、載置台110と比較して、比較的薄く可撓性がある載置台510は、薄肉成形を含む射出成形によって形成され得る。一対のカテーテル保持部120は、載置台110、510、または610と一緒に成形され得るか、または一対の保持部120および載置台110、510、または610のそれぞれが成形された後、載置台110、510、または610と結合され得る。
【0044】
前述の説明の観点から、パッド130上に配置されたかまたはされていない任意の載置台110、510、または610、またはそれらの組み合わせは、安定化装置200、300、700、または800などの安定化装置を形成するように、本明細書に記載される任意の対のカテーテル保持部120を含み得ることが理解されたい。
【0045】
キット
安定化装置100と、安定化装置100の使用説明書と、一体型カテーテル10、抗菌パッド(例えば、BIOPATCH(登録商標)、GuardIVa(登録商標))、任意選択的に抗菌剤を含む局所薬、任意選択的に抗菌剤を含む皮膚接着剤、および脱脂ワイプから選択される任意の1つ以上の追加の構成要素とは、すぐに使用できる安定化キットとしてパッケージ化され得る。
【0046】
方法
一体型カテーテル10などの一体型カテーテルを安定化するための方法は、いくつかの実施形態において、一対のカテーテル保持部120内において、安定化装置100の載置台110のカテーテル固定側104上に一体型カテーテル10のハブ14を固定することであって、カテーテル保持部120の間に一体型カテーテル10の延長ポート16を収容するように、カテーテル保持部120は互いに距離を置いて離れる;接着剤に曝露するために安定化装置100の皮膚対面側102から接着剤裏当て140を除去すること;および経皮的挿入部位近くのその安定化部位において、患者の皮膚に安定化装置100を接着し、それによって一体型カテーテル10を安定化し、機械的静脈炎のリスクを減少させることとを含む。
【0047】
一対のカテーテル保持部120内の一体型カテーテル10のハブ14を固定することは、ハブ14をC字クリップ222内に挿入したときに一対のカテーテル保持部120のC字クリップ222の開口部を拡張することと、C字クリップ222の開口部を越えてハブ14が挿入されたとき、C字クリップ222の開口部を収縮可能にすることとを含む。あるいは、一対のカテーテル保持部120内の一体型カテーテル10のハブ14を固定することは、一対のカテーテル保持部120のクランプ322内にハブ14を囲うことと、ハブ14の周りでクランプ322を閉めるようにスナップすることとを含む。
【0048】
本方法は、一体型カテーテル10のカテーテルチューブ12を挿入部位内に通すなど、挿入部位にアクセスする1つ以上の方法で、経皮的挿入部位にアクセスすることをさらに含み得る。
【0049】
本方法は、挿入部位にアクセスした後に、経皮的挿入部位を治療することをさらに含むことができる。挿入部位の処置は、挿入部位に感染がないままにするために、挿入部位の周りに抗菌パッド(例えば、BIOPATCH(登録商標)、GuardIVa(登録商標))を配置することをさらに含み得る。挿入部位の処置は、任意選択的に抗菌剤を含む局所薬を挿入部位の周りに適用すること、または、任意選択的に同じかまたは異なる抗菌剤を含む皮膚接着剤で挿入部位を密閉することを含み得る。皮膚接着剤で挿入部位を密閉することは微生物が挿入部位に侵入することを防ぐだけでなく、挿入部位を密閉することは、一体型カテーテル10を患者にさらに安定化する追加の効果を有し、それによって機械的静脈炎をさらに減少させる。
【0050】
本方法は、安定化装置100を患者の皮膚に接着する前に脱脂ワイプで安定化部位において患者の皮膚を脱脂することをさらに含み得る。
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示され、特定の実施形態は、いくらか詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。追加の適応および/または修正は、当業者に明白であり得、より広い態様においては、これらの適応および/または修正もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱し得る。