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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】受信回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20241209BHJP
   H03F 1/32 20060101ALI20241209BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20241209BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H04L25/02 R
H03F1/32
H03F3/45 110
H03K19/0175 240
H04L25/02 V
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021570685
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2020045981
(87)【国際公開番号】W WO2021145109
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2020005433
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】中尾 浩士
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 直人
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-012479(JP,A)
【文献】特開2011-044795(JP,A)
【文献】特開2017-038212(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0036982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
H03F 1/32
H03F 3/45
H03K 19/0175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力信号および第2入力信号をそれぞれ第1入力部および第2入力部で受け取り、該第1および第2入力信号のそれぞれに応じた第1および第2電流を流す第1差動段と、前記第1電流に応じた第1増幅信号を生成し出力する第1電流経路、および、前記第2電流に応じた第2増幅信号を生成し出力する第2電流経路を有する第2差動段と、
前記第1および第2差動段に電力を供給する電源線と、
前記第1または第2電流経路に設けられた少なくとも1つの可変抵抗部と、
前記第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、
前記第1および第2入力部に前記同一信号が入力されているときに、前記第1および第2増幅信号を比較する比較回路と、
前記比較回路の比較結果に基づいて前記第1および第2増幅信号の電圧差が小さくなるように前記可変抵抗部の抵抗値を段階的に変化させ、前記第1および第2増幅信号の電圧差の極性の反転に基づいて前記可変抵抗部の抵抗値を設定する抵抗制御回路と、
前記可変抵抗部の抵抗値を記憶する記憶部と、を備え
前記直流電源、前記比較回路、および、前記抵抗制御回路は、前記可変抵抗部の抵抗値を設定し、前記記憶部に該抵抗値を記憶した後、取り外される、受信回路。
【請求項2】
前記可変抵抗部は、
前記第1電流経路に設けられた第1可変抵抗器と、
前記第2電流経路に設けられた第2可変抵抗器とを含む、請求項1に記載の受信回路。
【請求項3】
前記可変抵抗部は、
並列接続された複数の第1抵抗素子と前記複数の第1抵抗素子間に設けられた第1スイッチとを含む第1抵抗ブロックと、
並列接続された複数の第2抵抗素子と前記複数の第2抵抗素子間に設けられた第2スイッチとを含む第2抵抗ブロックとを備え、
前記第1および第2抵抗ブロックは、前記電源線と前記第1または第2電流経路との間に直列に接続されている、請求項1に記載の受信回路。
【請求項4】
第1入力信号および第2入力信号をそれぞれ第1入力部および第2入力部で受け取り、該第1および第2入力信号のそれぞれに応じた第1および第2電流を流す第1差動段と、前記第1電流に応じた第1増幅信号を生成し出力する第1電流経路、および、前記第2電流に応じた第2増幅信号を生成し出力する第2電流経路を有する第2差動段と、
前記第1および第2差動段に電力を供給する電源線と、
前記第1または第2電流経路に設けられた少なくとも1つの可変抵抗部と、
前記第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、
前記第2差動段の出力に接続され、前記第1および第2増幅信号をさらに増幅して第3および第4増幅信号を出力する1または複数のバッファ回路と、
前記第1および第2入力部に前記同一信号が入力されているときに、前記第3および第4増幅信号を比較する比較回路と
前記比較回路の比較結果に基づいて前記第3および第4増幅信号の電圧差が小さくなるように前記可変抵抗部の抵抗値を段階的に変化させ、前記第3および第4増幅信号の電圧差の極性の反転に基づいて前記可変抵抗部の抵抗値を設定する抵抗制御回路と、
前記可変抵抗部の抵抗値を記憶する記憶部と、を備え、
前記直流電源、前記比較回路、および、前記抵抗制御回路は、前記可変抵抗部の抵抗値を設定し、前記記憶部に該抵抗値を記憶した後、取り外される、受信回路。
【請求項5】
前記直流電源と前記第1入力部との間に設けられた第1スイッチと、
前記直流電源と前記第2入力部との間に設けられた第2スイッチとをさらに備えている、請求項1に記載の受信回路。
【請求項6】
前記直流電源から前記第1および第2入力部に同一信号を入力する場合、前記第1および第2スイッチを導通状態とし、
互いに相補の高周波信号として前記第1および第2入力信号を前記第1および第2入力部に入力する場合、前記第1および第2スイッチは非導通状態となっている、請求項5に記載の受信回路。
【請求項7】
前記第1差動段、前記第2差動段、前記電源線および前記可変抵抗部をそれぞれ含む第1および第2増幅部を備え、
前記第1増幅部は、データを受け取り増幅し、
前記第2増幅部は、クロック信号を受け取り増幅する、請求項1に記載の受信回路。
【請求項8】
前記可変抵抗部は、前記電源線と前記第1または第2電流経路に設けられたトランジスタとの間に設けられている、請求項1に記載の受信回路。
【請求項9】
前記可変抵抗部は、前記第1または第2電流経路に設けられたトランジスタと接地端子との間に設けられている、請求項1に記載の受信回路。
【請求項10】
前記記憶部は、設定された前記可変抵抗部の抵抗値を書き換えできないように格納する、請求項1に記載の受信回路。
【請求項11】
前記記憶部は、設定された前記可変抵抗部の抵抗値の設定を書き換え可能に格納する、請求項1に記載の受信回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LVDS(Low Voltage Differential Signaling)またはMIPI(Mobile Industry Processor Interface )等の高速インタフェースでは、送信器と受信器との間において、小振幅の差動信号が伝搬される。受信回路は、このような小振幅の差動信号を増幅器でロジック信号に増幅する。データおよびクロックを別々に伝送して受信回路で同期をとる場合、データおよびクロックのそれぞれに対して増幅器が設けられている。このようなデータ用増幅器とクロック用増幅器とは、同一構成を有するように製造されるものの、実際にはプロセスばらつき等によって、幾分の特性ばらつきが生じる。データ用増幅器とクロック用増幅器との間の特性ばらつきは、データとクロックとの間の遅延差に現れ、ロジック信号の波形の歪み(スキュー)に繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-078511号公報
【文献】特開2000-022677号公報
【文献】特開2012-028943号公報
【文献】特開2011-044795号公報
【文献】特開2014-192588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信号の波形のスキューを抑制し、高速データ通信を可能とする受信回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による受信回路は、第1入力信号および第2入力信号をそれぞれ第1入力部および第2入力部で受け取り、該第1および第2入力信号のそれぞれに応じた第1および第2電流を流す第1差動段と、第1電流に応じた第1増幅信号を生成し出力する第1電流経路、および、第2電流に応じた第2増幅信号を生成し出力する第2電流経路を有する第2差動段と、第1および第2差動段に電力を供給する電源線と、第1または第2電流経路に設けられた少なくとも1つの可変抵抗部と、を備える。
【0006】
可変抵抗部は、第1電流経路に設けられた第1可変抵抗器と、第2電流経路に設けられた第2可変抵抗器とを含でもよい。
【0007】
可変抵抗部の抵抗値を記憶する記憶部をさらに備えてもよい。
【0008】
可変抵抗部は、並列接続された複数の第1抵抗素子と複数の第1抵抗素子間に設けられた第1スイッチとを含む第1抵抗ブロックと、並列接続された複数の第2抵抗素子と複数の第2抵抗素子間に設けられた第2スイッチとを含む第2抵抗ブロックとを備え、第1および第2抵抗ブロックは、電源線と第1または第2電流経路との間に直列に接続されてもよい。
【0009】
本開示の受信回路は、第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、第1および第2入力部に同一信号が入力されているときに、第1および第2増幅信号を比較する比較回路とをさらに備え、可変抵抗部は、第1および第2増幅信号の電圧差が小さくなるように設定されてもよい。
【0010】
本開示の受信回路は、第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、第2差動段の出力に接続され、第1および第2増幅信号をさらに増幅して第3および第4増幅信号を出力する1または複数のバッファ回路と、第1および第2入力部に同一信号が入力されているときに、第3および第4増幅信号を比較する比較回路とをさらに備え、可変抵抗部は、第3および第4増幅信号の電圧差が小さくなるように設定されてもよい。
【0011】
本開示の受信回路は、第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、直流電源と第1入力部との間に設けられた第1スイッチと、直流電源と第2入力部との間に設けられた第2スイッチとをさらに備えてもよい。
【0012】
直流電源から第1および第2入力部に同一信号を入力する場合、第1および第2スイッチを導通状態とし、互いに相補の高周波信号として第1および第2入力信号を第1および第2入力部に入力する場合、第1および第2スイッチは非導通状態となっていてもよい。
【0013】
本開示の受信回路は、第1差動段、第2差動段、電源線および可変抵抗部をそれぞれ含む第1および第2増幅部を備え、第1増幅部は、データを受け取り増幅し、第2増幅部は、クロック信号を受け取り増幅してもよい。
【0014】
可変抵抗部は、電源線と第1または第2電流経路に設けられたトランジスタとの間に設けられていてもよい。
【0015】
可変抵抗部は、第1または第2電流経路に設けられたトランジスタと接地端子との間に設けられていてもよい。
【0016】
本開示の受信回路は、比較回路の比較結果に基づいて第1および第2増幅信号の電圧差が小さくなるように可変抵抗部の抵抗値を段階的に変化させ、第1および第2増幅信号の電圧差の極性の反転に基づいて可変抵抗部の抵抗値を設定する抵抗制御回路と、可変抵抗部の抵抗値を記憶する記憶部とをさらに備えていてもよい。
【0017】
記憶部は、設定された可変抵抗部の抵抗値を書き換えできないように格納してもよい。
【0018】
記憶部は、設定された可変抵抗部の抵抗値の設定を書き換え可能に格納してもよい。
【0019】
抵抗制御回路は、画像の或る走査線の走査において、第1および第2入力部が互いに相補の第1および第2入力信号を受け取った後、次の走査線の走査の開始までの期間において、可変抵抗部の抵抗値の設定を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態による受信回路の構成例を示す図。
図2】可変抵抗器の構成の一例を示す回路図。
図3】第1実施形態による受信回路のスキュー補正処理の様子を示す図。
図4】直列に多段接続された複数の受信回路の具体例を示す図。
図5A】スキュー補正処理の一例を示すタイミング図。
図5B】出荷前にスキュー補正処理を実行する場合のタイミング図。
図6】直流電源の接続構成の一例を示す図。
図7】直流電源の接続構成の一例を示す図。
図8】MIPIの受信回路部分を示すブロック図。
図9】比較回路、調整信号生成部、参照電圧生成回路およびスイッチを内蔵する受信回路の構成例を示すブロック図。
図10図9の受信回路の動作の一例を示すタイミング図。
図11】ブランキング期間にスキュー補正処理を実行する場合のタイミング図。
図12】変形例1に従った多段接続型受信回路の構成例を示す図。
図13】変形例2に従った多段接続型受信回路の構成例を示す図。
図14】MIPI D-PHYの規格に本開示の受信回路を適応した具体例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による受信回路の構成例を示す図である。受信回路1は、第1差動段10と、第2差動段20と、電源線PLと、可変抵抗器VR1、VR2と、電流源CS1と、記憶部MEMとを備えている。受信回路1は、例えば、LVDSまたはMIPI等の高速インタフェースに用いられる。
【0023】
電源線PLは、図示しない電源に接続されており、受信回路1の第1および第2差動段10、20に電力供給するために設けられた配線である。電流源CS1は、電源線PLと第1差動段10との間に設けられており、所定の定電流を第1差動段10に供給するように構成されている。
【0024】
第1差動段10は、電流源CS1と第2差動段20との間に接続されたP型トランジスタTP1、TP2を備える。P型トランジスタTP1のソースは電流源CS1に接続されており、そのドレインは第2差動段20のノードN1に接続されている。P型トランジスタTP1のゲートは、第1入力部として機能し、第1入力信号INNを受け取る。P型トランジスタTP2のソースは電流源CS1に接続されており、そのドレインは第2差動段20のノードN2に接続されている。P型トランジスタTP2のゲートは、第2入力部として機能し、第2入力信号INPを受け取る。P型トランジスタTP1、TP2の構成および電気的特性はほぼ同一となるように形成されている。即ち、P型トランジスタTP1、TP2は、構成および電気的特性においてほぼ対称となるように形成されている。第1および第2入力信号INN、INPは、通常動作においては、高周波信号であり、互いに相補の信号である。従って、第1および第2入力信号INN、INPの一方がハイレベル電圧の信号である場合、他方がロウレベル電圧の信号となる。
【0025】
第1差動段10は、第1および第2入力信号INN、INPのそれぞれに応じた第1および第2電流をノードN1、N2へ流す。例えば、第1入力信号INNがハイレベルであり、第2入力信号INPがロウレベルである場合、第1差動段10は、ノードN1よりもノードN2に大きな電流を流す。逆に、第1入力信号INNがロウレベルであり、第2入力信号INPがハイレベルである場合、第1差動段10は、ノードN2よりもノードN1に大きな電流を流す。
【0026】
このように、第1差動段10は、所謂、フォールデッドカスコード型増幅回路である。しかし、フォールデッド型以外の差動増幅回路であってもよい。また、第1差動段10は、P型トランジスタTP1、TP2で構成されているが、N型トランジスタで構成されていてもよい。
【0027】
第2差動段20は、電源線PLとグランドGNDとの間にそれぞれ接続された第1および第2電流経路CP1、CP2を含む。第1電流経路CP1は、電源線PLとグランドGNDとの間に直列に接続された第1可変抵抗器VR1、N型トランジスタTN1およびN型トランジスタTN3を有する。第1可変抵抗器VR1は、電源線PLとN型トランジスタTN1のドレインとの間に接続されている。第1可変抵抗器VR1は、記憶部MEMに格納された抵抗値に設定されている。可変抵抗器VR1、VR2は、例えば、半導体基板に形成される金属配線、ポリシリコン配線、拡散層等で構成してよい。
【0028】
N型トランジスタTN1のソースは、N型トランジスタTN3のドレインに接続されている。N型トランジスタTN3のソースは、グランドGNDに接続されている。N型トランジスタTN1とN型トランジスタTN3との間のノードN1は、第1差動段10のP型トランジスタTP1からの第1電流を受ける。第1可変抵抗器VR1とN型トランジスタTN1との間のノードN3は、第1入力信号INNに対応する出力信号OUT1を出力する出力ノードとして機能する。
【0029】
第2電流経路CP2は、電源線PLとグランドGNDとの間に直列に接続された第2可変抵抗器VR2、N型トランジスタTN2およびN型トランジスタTN4を有する。第2可変抵抗器VR2は、電源線PLとN型トランジスタTN2のドレインとの間に接続されている。第2可変抵抗器VR2は、記憶部MEMに格納された抵抗値に設定されている。ただし、第2可変抵抗器VR2の抵抗値は、第1可変抵抗器VR1の抵抗値と異なる場合がある。これは、上述するように、第1電流経路CP1、CP2の電気的特性の対称性を適切に補正するためである。
【0030】
N型トランジスタTN2のソースは、N型トランジスタTN4のドレインに接続されている。N型トランジスタTN4のソースは、グランドGNDに接続されている。N型トランジスタTN2とN型トランジスタTN4との間のノードN2は、第1差動段10のP型トランジスタTP2からの第1電流を受ける。第2可変抵抗器VR2とN型トランジスタTN2との間のノードN4は、出力ノードとして機能し、出力信号OUT2を出力する。第2入力信号INPに対応する出力信号OUT2を出力する出力ノードとして機能する。
【0031】
N型トランジスタTN1、TN2の構成および電気的特性はほぼ同一となるように形成されている。また、N型トランジスタTN3、TN4の構成および電気的特性はほぼ同一となるように形成されている。
【0032】
N型トランジスタTN1、TN2の各ゲートには、所定電圧VB2が印加されている。N型トランジスタTN3、TN4の各ゲートには、所定電圧VB1が印加されている。これにより、N型トランジスタTN1、TN2は、互いに同じタイミングで導通状態または非導通状態になる。N型トランジスタTN3、TN4も、互いに同じタイミングで導通状態または非導通状態になる。
【0033】
記憶部MEMは、第1および第2可変抵抗器VR1、VR2のそれぞれ抵抗値を格納する。記憶部MEMは、揮発性メモリ、不揮発性メモリのいずれでもよい。また、記憶部MEMは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等のように電気的に書き換え可能なメモリであってもよく、フューズ等のように書き換え不可能なメモリやレジスタであってもよい。
【0034】
第1電流経路CP1は、入力信号INNに依存する第1電流に応じた第1増幅信号を出力信号OUT1として生成し出力する。第2電流経路CP2は、入力信号INPに依存する第2電流に応じた第2増幅信号を出力信号OUT2として生成し出力する。入力信号INN、INPは、第1および第2差動段10、20において増幅されて出力信号OUT1,OUT2として出力されるので、出力信号OUT1、OUT2は、入力信号INN、INPと同様に互いに相補の信号となる。
【0035】
ここで、可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値は、電流経路CP1、CP2の電気的特性を互いにほぼ等しくするために設定されている。
【0036】
一般に、互いに等しく設計され製造された複数の半導体素子は、プロセスばらつき等によって電気的特性にばらつきを有する。例えば、P型トランジスタTP1とTP2、N型トランジスタTN1とTN2、および、N型トランジスタTN3とTN4は、それぞれ互いに等しく設計され製造されているものの、プロセスばらつき等によって、或る程度、電気的特性にばらつきを有する。このような第1差動段10のトランジスタTP1、TP2間のばらつき、あるいは、第2差動段20の電流経路CP1、CP2のばらつきは、対称性を劣化させ、出力信号OUT1、OUT2の波形の歪みの原因となる。即ち、出力信号OUT1、OUT2が理想的な立ち上がり時点または立ち下がり時点からずれる。この波形の歪みや立ち上がり時点または立ち下がり時点のずれをスキュー(Skew)と呼ぶ。
【0037】
本開示は、このような受信回路を構成する半導体素子の相対ばらつきを検知するために、直流電源から受信回路1の第1および第2入力部に同一信号を供給する。即ち、高周波信号に代えて、直流電源は、同一の直流信号を第1および第2入力信号INN、INPとして受信回路1の第1および第2入力部に入力する。これにより、直流電力による受信回路1の動作点を補正すれば、高周波信号におけるスキューも小さくすることができる。
【0038】
受信回路の動作点を補正するために、本開示では、図1のように、定電流源に代えて可変抵抗器VR1、VR2を電流経路CP1、CP2にそれぞれ設けている。可変抵抗器VR1、VR2のそれぞれの抵抗値は、直流電力を供給した受信回路1から出力される出力信号OUT1、OUT2の電圧差が最小となるように設定される。例えば、同一の直流電圧を第1入力信号INN、INPとして入力し、電流経路CP1、CP2から出力される出力信号OUT1、OUT2を検出する。このとき、第1差動段10のトランジスタTP1、TP2が対称であり(ばらつきがなく)、かつ、第2差動段20の電流経路CP1、CP2が対称である(ばらつきがなく)場合、出力信号OUT1、OUT2の電圧差はゼロになるはずである。即ち、受信回路1の対称性に問題が無い場合には、出力信号OUT1、OUT2の電圧差はゼロになる。しかし、実際には、第1差動段10のトランジスタTP1、TP2には幾分のばらつきがあり、かつ、第2差動段20の電流経路CP1、CP2にも幾分のばらつきがある。このため、出力信号OUT1、OUT2の電圧差は、そのばらつきに応じた大きさとなる。
【0039】
従って、本開示では、可変抵抗器VR1、VR2の一方または両方を出力信号OUT1、OUT2の電圧差を小さくするように変化させる。例えば、OUT1>OUT2の場合、可変抵抗器VR1の抵抗値を上昇させ、および/または、可変抵抗器VR2の抵抗値を低下させる。OUT1<OUT2の場合、可変抵抗器VR1の抵抗値を低下させ、および/または、可変抵抗器VR2の抵抗値を上昇させる。このように可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値を変化させると、出力信号OUT1、OUT2の電圧が接近し、それらの大小関係がいずれ逆転する。出力信号OUT1、OUT2の電圧の大小関係が逆転した前/後における可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値が記憶部MEMに格納される。これにより、出力信号OUT1、OUT2の電圧差が最小となるように可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値が設定される。その結果、第1差動段10のトランジスタTP1、TP2のばらつき、および、第2差動段20の電流経路CP1、CP2のばらつきがほぼキャンセルされ、受信回路1の対称性が補正される。
【0040】
可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値の設定後、受信回路1は、通常動作に入り、高周波信号を第1および第2入力信号INN、INPとして受け取る。このとき、受信回路1の対称性は補正されているので、出力信号OUT1、OUT2のスキューは小さくなっている。
【0041】
このように、本開示では、同一の直流電圧によって受信回路1の動作点のずれを補正することによって、高周波信号による受信回路1の出力信号OUT1、OUT2のスキューを抑制することができる。出力信号OUT1、OUT2のスキューを抑制することによって、受信回路1は高速データ通信することができる。
【0042】
図1に示す受信回路1は、可変抵抗器VR1、VR2の両方を有する。しかし、受信回路1の動作点のずれを補正することができれば、可変抵抗器VR1、VR2のいずれか少なくとも一方のみが設けられていてもよい。
【0043】
図2は、可変抵抗器VR1、VR2の構成の一例を示す回路図である。可変抵抗器VR1、VR2は、電源線PLとノードN3、N4との間にそれぞれ接続されており、抵抗素子RS0~RSnおよびスイッチSW0~SWn(nは0以上の整数)によって構成された複数の抵抗ブロックRB0~RBnを含む。
【0044】
抵抗ブロックRB0は、互いに並列接続された複数の抵抗素子RS0と複数の抵抗素子RS0間に設けられたスイッチSW0とを含む。抵抗素子RS0の数およびスイッチSW0の位置は特に限定しない。抵抗ブロックRB1は、互いに並列接続された複数の抵抗素子RS1と任意の複数の抵抗素子RS1間に設けられたスイッチSW1とを含む。抵抗素子RS1の数およびスイッチSW1の位置も特に限定しない。抵抗ブロックRBnは、互いに並列接続された複数の抵抗素子RSnと任意の複数の抵抗素子RS2間に設けられたスイッチSWnとを含む。抵抗素子RSnの数およびスイッチSWnの位置も特に限定しない。
【0045】
抵抗素子RS0~RSn、RSmは、それぞれ異なる抵抗値を有する。例えば、抵抗素子RS0~RSn、RSmは、この順番に抵抗値が高くなるように構成してもよい。また、各抵抗ブロックRB0~RBn内においてもそれぞれの抵抗素子の抵抗値を変化させてもよい。
【0046】
抵抗ブロックRB0~RBnおよび抵抗素子Rmは、電源線PLとノードN3またはN4との間に直列に接続されている。
【0047】
このような構成により、スイッチSW0~SWnをオン(導通状態)またはオフ(非導通状態)にすることによって、可変抵抗器VR1またはVR2の抵抗値を段階的に変化させることができる。例えば、スイッチSW0~SWnを全てオンすると、可変抵抗器VR1またはVR2抵抗値は、最も低くなる。可変抵抗器VR1またはVR2の抵抗値を1段階上昇させるためには、スイッチSW0をオフにする。同様に、スイッチSW1~SWnのいずれか1つをオフにすることによって、可変抵抗器VR1またはVR2の抵抗値は段階的に上昇する。さらに、スイッチSW0~SWnのいずれか2つ以上を同時にオフすることによって、可変抵抗器VR1またはVR2の抵抗値はさらに上昇する。このように、可変抵抗器VR1またはVR2の抵抗値は、2段階に可変であり、nビット信号で制御することができる。スイッチSW0~SWnのオン/オフの状態は、記憶部MEMにnビット信号として格納すればよい。
【0048】
また、高速インタフェースの受信回路1は、高速動作が求められるので、可変抵抗器VR1、VR2の容量性負荷はできるだけ小さく、かつ、抵抗値の調整範囲を細かく設定できることが好ましい。図2に示す可変抵抗器VR1、VR2の構成は、容量性負荷が小さく、かつ、抵抗値の調整範囲を細かく設定できる点で優れている。
【0049】
図3は、第1実施形態による受信回路のスキュー補正処理の様子を示す図である。尚、図3には、直列に多段接続された複数の受信回路1_1~1_m(mは1以上の整数)のスキュー補正処理の様子が示されている。直列に接続された複数の受信回路1_1~1_mは、大きな利得を得ることができるが、出力信号OUT1、OUT2のスキューも大きくなり易い。勿論、スキュー補正処理は、単一の受信回路(m=1)に対して実行されてもよい。
【0050】
このような受信回路1_1~1_mのスキュー補正処理では、直流電源DCが受信回路1の2つの入力部に共通に接続され、ほぼ同一電圧の直流信号を入力信号INN、INPとして入力する。比較回路CMPは、最終段の受信回路1_mの2つの出力部に接続され、同一の直流信号が入力部に入力されているときに出力信号OUT1、OUT2を比較する。抵抗制御回路としての調整信号生成回路LGは、比較回路CMPの比較結果として出力信号OUT1とOUT2との電圧差を受け取り、この電圧差に応じて調整信号(nビット信号)を生成し受信回路1_1へ出力する。調整信号生成回路LGは、出力信号OUT1とOUT2との電圧差に基づいて、nビット信号をインクリメントあるいはデクリメントするロジック回路である。受信回路1_1は、調整信号に従って可変抵抗器VR1またはVR2の抵抗値を調整する。可変抵抗器VR1またはVR2は、出力信号OUT1、OUT2の電圧差が小さくなるように段階的に調整される。調整信号生成回路LGは、出力信号OUT1、OUT2の電圧差の極性の反転に基づいて可変抵抗器VR1またはVR2の抵抗値を設定(固定)する。これにより、直流電源DCと比較回路CMPとの間にある受信回路1_1~1_mのスキューを補正すことができる。
【0051】
直流電源DCおよび比較回路CPMの接続位置を変更することによって、スキューの補正を実行する受信回路を変更することができる。例えば、比較回路CMPを受信回路1_1の出力部に接続すれば、受信回路1_1のみのスキューを補正することができる。比較回路CMPを受信回路1_3の出力部に接続すれば、受信回路1_1~1_3のスキューを補正することができる。このように、比較回路CPMの接続位置を変更することによって、直流電源DCと比較回路CMPとの間にある受信回路1_1~1_mのうち任意の受信回路のスキューを選択的に補正すことができる。同様に、直流電源DCの接続位置を変更しても、任意の受信回路のスキューを選択的に補正すことができる。
【0052】
また、図3では、受信回路1_1の可変抵抗器VR1、VR2を変更しているが、受信回路1_1~1_mのうち任意の受信回路の可変抵抗器VR1、VR2を補正してもよい。
【0053】
スキュー補正処理後、直流電源DC、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGは、受信回路1から取り外してもよい。受信回路1は、記憶部MEMに可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値の設定を格納している。よって、その後、受信回路1は、補正後の状態で高周波信号を受信することができる。
【0054】
尚、直流電源DCが接続される受信回路よりも後段にある受信回路(例えば、図3の受信回路1_2~1_m)は、バッファ回路として考えてよい。従って、図3では、受信回路1_2およびその後段に接続される1または複数のバッファ回路(1_2~1_m)のスキューが補正されると言ってもよい。また、出力信号OUT1、OUT2は、第3および第4増幅信号の一例である。
【0055】
図4は、図3のように直列に多段接続された複数の受信回路の具体例を示す図である。受信回路1_1は、図1に示す受信回路1と同じ構成を有する。受信回路1_2~1_mは、それぞれ前段の受信回路からの出力信号を入力信号として受け取り、その入力信号を増幅して後段の受信回路へ出力する。尚、受信回路1_2~1_mの構成は同じでよいので、受信回路1_2の構成を説明し、その他の受信回路1_3~1_mの構成の説明は省略する。
【0056】
受信回路1_2は、定電流源CS2と、N型トランジスタTN1_2、TN2_2と、抵抗器R2a、R2bとを備えている。電流源CS2は、グランドGNDに接続され、所定の定電流を流すように構成されている。抵抗器R2aおよびN型トランジスタTN1_2は、電源線PLと電流源CS2との間に直列接続されている。抵抗器R2bおよびN型トランジスタTN2_2は、抵抗器R2aおよびN型トランジスタTN1_2に対して並列接続され、かつ、電源線PLと電流源CS2との間に直列接続されている。
【0057】
N型トランジスタTN1_2とTN2_2は同一特性を有するように構成されていることが好ましい。また、抵抗器R2aとR2bは、同一抵抗値を有する固定抵抗器で構成されていることが好ましい。これにより、抵抗器R2aおよびN型トランジスタTN1_2で構成される電流経路と、抵抗器R2bおよびN型トランジスタTN2_2で構成される電流経路とは電気的にほぼ対称となる。このとき受信回路1_2は、出力信号にオフセットを有さない理想に近い増幅回路になる。出力信号にオフセットが無いとは、入力信号が同一信号である場合に出力信号の電圧差がほぼゼロになることを意味する。
受信回路1_3~1_mについても、受信回路1_2と同様に構成することによって出力信号のオフセットがほとんど無い理想に近い増幅回路になる。尚、受信回路1_2~1_mは、それぞれ同一利得を有してもよく、それぞれ異なる利得を有していても構わない。
【0058】
例えば、m=4として、受信回路1_1の利得をα1a、受信回路1_2の利得をα1b、受信回路1_3の利得をα1c、受信回路1_4の利得をα1dとする。さらに、受信回路1_1の出力信号のオフセット(出力信号OUT1_1とOUT2_1との電圧差)をΔVとすると、最終段の受信回路1_4の出力電圧差ΔVout(出力信号OUT1とOUT2との電圧差)は式1で表される。ただし、ΔVは十分小さい値であるとする。
ΔVout = ΔV×α1a×α1b×α1c×α1d (式1)
【0059】
理想的にはΔVはゼロであるが、実際にはプロセスばらつき等によって、ΔVはゼロではない値を持つ。従って、ΔVを増幅したΔVoutは、当然にΔVよりも大きな値となる。そこで、ΔVoutをゼロにするように可変抵抗器VR1、VR2を調整すれば、受信回路1_1~1_4全体のオフセットがキャンセルされ、理想に近い受信回路になる。
【0060】
これは、受信回路1_2~1_4がそれぞれ入力信号に対して出力信号のオフセットを有していたとしても、ΔVoutをゼロにするように可変抵抗器VR1、VR2を調整すれば、受信回路1_1~1_4全体のオフセットがキャンセルされる。このようにオフセットが受信回路1_1~1_4でキャンセルされれば、受信回路1_1~1_4全体のスキューも補正される。
【0061】
図5Aは、スキュー補正処理の一例を示すタイミング図である。スキュー補正処理は、受信回路が半導体チップに個片化される前の半導体ウェハ状態の試験において実行されてよい。
【0062】
例えば、t1において、図3の比較回路CMPのイネーブル信号EN_CMPおよび調整信号生成回路LGのイネーブル信号EN_LGが活性化されて、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGが駆動される。これにより、受信回路1_mの出力信号OUT1、OUT2の比較動作および調整信号生成動作が開始される。その後、t2において、比較回路CMPの出力信号OUT_CMPが活性化される。出力信号OUT_CMPが活性化されている期間において、調整信号生成回路LGは、調整信号の調整を継続する。
【0063】
比較動作および調整信号生成動作は、システムクロックに基づいて周期的に実行される。
【0064】
t3の比較動作においてOUT1>OUT2である場合、可変抵抗器VR1の抵抗値を上昇させるために、調整信号生成回路LGは、調整信号を1ビットインクリメントする。例えば、調整信号を初期状態“5’h0”から“5’h1”へインクリメントする。これにより、OUT1とOUT2との電圧差が小さくなる。
【0065】
次のt4の比較動作において、OUT1>OUT2である場合、比較回路CMPは、調整信号をさらに1ビットインクリメントする。例えば、調整信号を初期状態“5’h1”から“5’h2”へインクリメントする。これにより、OUT1とOUT2との電圧差がさらに小さくなる。
【0066】
これを繰り返し、OUT1とOUT2の大小関係が逆転した時点(OUT1≦OUT2となった時点)t5で、比較回路CMPの出力信号OUT_CMPが不活性化され、比較動作および調整信号生成動作が終了される。
【0067】
OUT1≦OUT2となった時点の調整信号“5’h4”が受信回路1_1の記憶部MEMに書き込まれる。あるいは、OUT1≦OUT2となった時点の1つ前の周期の調整信号“5’h3”が受信回路1_1の記憶部MEMに書き込まれてもよい。尚、OUT1とOUT2の大小関係が反転した時点は、ノイズの影響を考慮して、出力信号OUT_CMPの反転が2周期以上継続した時点としてもよい。
【0068】
記憶部MEMに調整信号が格納されると、スキュー補正処理が完了する。その後、直流電源DC、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGは受信回路1_1~1_mから取り外してもよい。受信回路1_1~1_mは、通常動作において、高周波信号を低スキューで増幅することができる。
【0069】
なお、t3の比較動作においてOUT1<OUT2である場合には、可変抵抗器VR1の抵抗値を低下させるために、調整信号生成回路LGは、調整信号を1ビットデクリメントすればよい。これを繰り返し、OUT1とOUT2の大小関係が逆転した時点(OUT1≧OUT2となった時点)で、比較動作および調整信号生成動作を終了する。このように、OUT1とOUT2との電圧差が正または負のいずれの極性であっても、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGは、可変抵抗器VR1、VR2を調整することができる。
【0070】
スキュー補正処理の完了後、通常動作において、スキュー補正処理を実行しない場合、直流電源DC、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGは受信回路内に設ける必要はない。この場合、スキュー補正処理は、出荷前に1度実行すればよい。例えば、図5Bは、出荷前にスキュー補正処理を実行する場合のタイミング図である。t1以前において、受信回路1_1~1_mは、特定の入力信号を受けていない。スキュー補正処理がt1において開始されると、図5Aで説明したt1~t6のスキュー補正処理が実行される。t5において、調整信号が記憶部MEMに書き込まれる。この場合、記憶部MEMは、書き換えできない不揮発性メモリであることが好ましく、フューズ等であってもよい。その後、受信回路_1~1_mは、通常動作に入り、高周波信号を入力し増幅する。
【0071】
図6および図7は、直流電源DCの接続構成の一例を示す図である。図6では、直流電源DCは、送信回路40に接続されており、図7では、直流電源DCは、受信回路1に接続されている。尚、図6および図7では、受信回路1は、代表的に1つだけ示しており、直流電源DCは、図3の複数の受信回路のいずれに対して直流電力を供給してもよい。
【0072】
図6において、直流電源DCは、送信回路40の2つの出力部に共通に接続されており、ケーブル50を介して受信回路1の2つの入力部に同一の直流信号を入力する。第1スイッチSW1は、直流電源DCと送信回路40の一方の出力部との間に接続されており、直流電源DCと送信回路40の一方の出力部との間を電気的に接続または切断することができる。第2スイッチSW2は、直流電源DCと送信回路40の他方の出力部との間に接続されており、直流電源DCと送信回路40の他方の出力部との間を電気的に接続または切断することができる。
【0073】
図7において、直流電源DCは、受信回路1の2つの入力部に共通に接続されており、受信回路1の2つの入力部に同一の直流信号を入力する。第1スイッチSW1は、直流電源DCと受信回路1の一方の入力部との間に接続されており、直流電源DCと受信回路1の一方の入力部との間を電気的に接続または切断することができる。第2スイッチSW2は、直流電源DCと受信回路1の他方の入力部との間に接続されており、直流電源DCと受信回路1の他方の入力部との間を電気的に接続または切断することができる。
【0074】
このように、第1スイッチSW1は、直流電源DCと受信回路1の一方の入力部との間に設けられ、直流電源DCと受信回路1の一方の入力部との間を電気的に接続または切断することができる。第2スイッチSW2は、直流電源DCと受信回路1の他方の入力部との間に設けられ、直流電源DCと受信回路1の他方の入力部との間を電気的に接続または切断することができる。
【0075】
スキュー補正処理において直流電源DCから受信回路1の2つの入力部に同一の直流信号を入力する場合、スイッチSW1、SW2は、両方ともオンになる。一方、通常動作において互いに相補の高周波信号を2つの入力部に入力する場合、スイッチSW1、SW2は、両方ともオフになる。これにより、スキュー補正処理において、受信回路1は、直流電源DCから同一の直流信号を受け取ることができ、通常動作において受信回路1は高周波信号を正常に受け取り増幅することができる。
【0076】
スキュー補正処理後、送信回路40およびケーブル50は、受信回路1から取り外してもよい。受信回路1は、記憶部MEMに可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値の設定を格納している。よって、受信回路1は、補正後の状態で高周波信号を受信することができる。
【0077】
以上のように、本開示では、同一の直流電圧によって受信回路1の動作点のずれ(オフセット)を抑制することによって、高周波信号による受信回路1の出力信号OUT1、OUT2の波形のスキューを補正することができる。これにより、受信回路1は、さらに高速なデータ通信を可能とする。
【0078】
また、多段接続された受信回路1_1~1_4であっても、受信回路1_1の可変抵抗器VR1、VR2を調整すれば、受信回路1_1~1_4全体のオフセットがキャンセルされ、受信回路1_1~1_4全体のスキューも補正することができる。
【0079】
第1実施形態では、スキュー補正処理の後、直流電源DC、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGは受信回路1から取り外してよい。従って、受信回路1は、小型化に適している。また、通常動作における定常的なスキュー補正処理が不要となる。これは、消費電力の削減に繋がる。
【0080】
また、本開示によれば、直流電源DCを用いた動作点の補正でスキュー補正処理を行うので、送信回路やテスト回路からのテストパターンが不要であり、補正時間を短縮することができる。
【0081】
(第2実施形態)
第2実施形態は、本開示による受信回路をMIPIへ適用した例である。
【0082】
図8は、MIPIの受信回路部分を示すブロック図である。MIPIでは、図8に示すように、データを受信し増幅する第1増幅部としてのデータ受信回路1Dおよびクロック信号を受信し増幅する第2増幅部としてのクロック受信回路1Cが設けられている場合がある。例えば、データ受信回路1Dの入力部IND1、IND2は、送信回路40から互いに相補のデータを受け取る。クロック受信回路1Cの入力部INC1、INC2は、送信回路40から互いに相補のクロック信号を受け取る。TR1は、入力部IND1とIND2との間に設けられた終端抵抗である。TR2は、入力部INC1とINC2との間に設けられた終端抵抗である。データ受信回路1Dおよびクロック受信回路1Cの出力の各一方は、Dフリップフロップ30に入力される。Dフリップフロップ30は、クロック信号CLKの立ち上がり/立ち下がり時点でデータの論理を出力信号OUT30として出力する。
【0083】
このような受信回路において、データ受信回路1Dおよびクロック受信回路1Cは、それぞれ同じ増幅回路を有する。しかし、データ受信回路1Dとクロック受信回路1Cとの構成のばらつきによって、データを増幅した出力信号(データ出力信号OUT1D)とクロック信号を増幅した出力信号(クロック出力信号OUT1C)との間にスキューが生じる。即ち、同期したデータおよびクロック信号が入力されても、データ受信回路およびクロック受信回路から出力されるデータ出力信号およびクロック出力信号は、相対ばらつきによって時間軸方向におけるスキューとして表れる。これは、フリップフロップのセットアップ/ホールドタイミングマージンを悪化させ、動作速度低下を引き起こす。
【0084】
そこで、本開示では、図8の受信回路1D、1Cのそれぞれについて、上記実施形態と同様に可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値を調整する。これにより、受信回路1D、1Cのそれぞれについて高周波信号におけるスキューを小さくすることができる。また、受信回路1D、1Cに同一の直流信号を供給して可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値を調整することによって、受信回路1D、1Cからの出力信号OUT1Dと出力信号OUR1Cとの間のスキューも抑制される。
【0085】
尚、図8のデータ受信回路およびクロック受信回路は、それぞれ図3の多段接続された複数の受信回路1_1~1_mであってもよい。
【0086】
図9は、比較回路CMP、調整信号生成回路LG、参照電圧生成回路VREFGENおよびスイッチSW1、SW2を内蔵する受信回路1の構成例を示すブロック図である。コントローラCONTは、スイッチSW1、SW2、XSW1、XSW2のオン/オフ制御、および、イネーブル信号EN_CMP、EN_LG、EN_WRITE、EN_RX等の全体制御を行う。
【0087】
スキューの補正処理は、例えば、受信回路1の製造後、出荷前の試験の際に実行し、出荷後には実行しなくてもよい。しかし、スキューの補正処理は、受信回路1の出荷後であっても、通常動作において高周波信号を入力していない期間(例えば、MIPIのブランキング期間等)ごとに実行することも考えられる。この場合、受信回路1は、比較回路CMP、調整信号生成回路LG、参照電圧生成部VREFGENおよびスイッチを内蔵する必要がある。尚、参照電圧生成部VREFGENは、直流電源DCであってもよく、あるいは、受信回路1の外部の電力を受けて直流電力を生成する変換回路であってもよい。また、スイッチXSW1、XSW2は、高周波信号の2つの入力部と受信回路1との間に設けられており、高周波信号が受信回路1に入力されることを許可または禁止することができる。スイッチXSW1、XSW2は、スイッチSW1、SW2と相補に動作し、スイッチSW1、SW2がオンしているときにはオフとなり、スイッチSW1、SW2がオフしているときにはオンとなる。
【0088】
イネーブル信号EN_CMPは、比較回路CMPの比較動作を開始または停止させる信号である。イネーブル信号EN_LGは、調整信号生成回路LGの信号生成動作を開始または停止させる信号である。イネーブル信号EN_WRITEは、可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値を記憶部MEMに格納し、抵抗値の設定を一時的に固定する信号である。イネーブル信号EN_RXは、受信回路1の増幅動作を開始または停止させる信号である。
【0089】
図10は、図9の受信回路1の動作の一例を示すタイミング図である。
【0090】
まず、t11において、参照電圧生成部VREFGENが駆動され、直流電力を生成し出力する。
【0091】
次に、t12において、イネーブル信号EN_RXが活性化され、受信回路1が駆動される。
【0092】
次に、t13において、コントローラCONTがスイッチSW1、SW2をオンするとともに、スイッチXSW1、XSW2をオフする。これにより、高周波信号の入力は禁止され、参照電圧生成部VREFGENからの直流電力が受信回路1に入力される。また、このとき、イネーブル信号EN_CMPおよびEN_LGも活性化され、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGが駆動される。これにより、スキュー補正処理が開始される。
【0093】
従って、比較回路CMPの出力信号OUT_CMPは、受信回路1の出力信号OUT1、OUT2の電圧差に基づいて出力信号OUT_CMPを出力する。調整信号生成回路LGは、出力信号OUT_CMPの論理に基づいて調整信号(nビットデータ)をインクリメントあるいはデクリメントする。この調整信号は、出力信号OUT_LGとして出力される。記憶部MEMは、イネーブル信号EN_WRITEが非活性状態である場合、出力信号OUT_LGを固定せずに、そのまま出力信号OUT_MEMとして出力する。これにより、受信回路1の可変抵抗器VR1、VR2が調整される。
【0094】
可変抵抗器VR1、VR2の調整は、図5Aを参照して説明したように、システムクロック(図10では図示せず)ごとに実行される。受信回路1の出力信号OUT1、OUT2の電圧差が反転するまで(出力信号OUT_CMPの論理が反転するまで)、調整信号生成回路LGは、調整信号のインクリメントを繰り返す、あるいは、デクリメントを繰り返す。
【0095】
t14において、比較回路CMPの出力信号OUT_CMPの論理が反転したときに、イネーブル信号EN_WRITEを活性化させて、記憶部MEMがそのときの(あるいは、その1周期前の)調整信号を一時的に固定(記憶)する。これにより、可変抵抗器VR1、VR2の調整が完了する。
【0096】
t15において、スイッチSW1、SW2をオフにして、スイッチXSW1、XSW2をオンにする。また、イネーブル信号EN_CMP、EN_LG等を非活性状態にして、比較回路CMPによる比較動作を終了する。これにより、受信回路1のスキュー補正処理が終了し、受信回路1は高周波信号を入力可能になる。
【0097】
図示しないが、再度、スキュー補正処理を実行する場合には、t11~t14を繰り返せばよい。t14において、イネーブル信号EN_WRITEが再度活性化されときには、記憶部MEMは、調整信号を書き換え、更新された調整信号を一時的に固定(記憶)すればよい。
【0098】
このように、受信回路1がスキュー補正処理を繰り返し実行する場合、そのスキュー補正処理は、MIPIのブランキング期間に実行される。例えば、図11は、ブランキング期間にスキュー補正処理を実行する場合のタイミング図である。例えば、t11以前において、受信回路1は、画像のN番目のラインのデータを増幅処理しており、その増幅処理が終了した後のブランキング期間BLKにスキュー補正処理を実行する。図10で説明したt11~t15のスキュー補正処理が実行された後、受信回路1は、画像のN-1番目のラインのデータを増幅処理する。このように、受信回路1は、ブランキング期間BLKごとにスキュー補正処理を実行してもよい。ブランキング期間BLKとは、画像上で1本の走査線の走査後、次の走査線の走査開始までの期間、あるいは、一つのラスタ走査の後、次のラスタ走査の開始までの期間である。即ち、調整信号生成回路LGは、画像の或る走査線の走査において、2つの入力部が互いに相補の高周波信号を入力信号INP、INNとして受け取った後、次の走査線の走査の開始までのブランキング期間において、可変抵抗器VR1、VR2の抵抗値の設定を行う。尚、図11では、ブランキング期間BLKにスキュー補正処理を実行しているが、スキュー補正処理は、出荷前の試験の際に実行後、出荷後には実行しなくてもよい。この場合、記憶部MEMは、書換え不可能なフューズ等であってもよい。
【0099】
第2実施形態では、直流電源DC、比較回路CMPおよび調整信号生成回路LGは受信回路1に内蔵されているので、出荷後であっても、スキュー補正処理の実行が可能である。例えば、表示デバイス等において、ブランキング期間中にスキュー補正処理を実施することによって、過渡的な電源変動や温度変動に対してスキュー補正処理を行うことができる。
【0100】
第2実施形態は、その他、第1実施形態の効果も有する。
【0101】
(変形例1)
図12は、変形例1に従った多段接続型受信回路の構成例を示す図である。変形例1では、受信回路1_1が図4に示すそれと異なる。受信回路1_1において、N型トランジスタTN3に代えて、可変抵抗器VR1がN型トランジスタTN1とグランドGNDとの間に接続されている。N型トランジスタTN4に代えて、可変抵抗器VR2がN型トランジスタTN2とグランドGNDとの間に接続されている。可変抵抗器VR1、VR2には、記憶部MEMが設けられている。また、電源線PLとN型トランジスタTN1との間の抵抗器R1aおよび電源線PLとN型トランジスタTN2との間の抵抗値T1bは、抵抗値の変わらない固定抵抗器である。抵抗値T1a、T1bは等しくてよい。変形例1のその他の受信回路1_2~1_mの構成は、図4のそれらと同様でよい。
【0102】
このように、N型トランジスタTN3,TN4に代えて、可変抵抗器VR1、VR2がグランドGNDとN型トランジスタTN1、TN2との間にそれぞれ設けられていてもよい。スキュー補正処理における可変抵抗器VR1、VR2の調整方法は、第1または第2実施形態と同様でよい。よって、変形例1は、第1または第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
(変形例2)
図13は、変形例2に従った多段接続型受信回路の構成例を示す図である。変形例2では、可変抵抗器VR1がN型トランジスタTN1とグランドGNDとの間に接続されている。N型トランジスタTN4に代えて、可変抵抗器VR2がN型トランジスタTN2とグランドGNDとの間に接続されている。変形例2はこの点で図12の変形例1と同様である。
【0104】
しかし、変形例2では、電源線PLとノードN3との間に、定電流源CS1aが設けられており、電源線PLとノードN4との間に、定電流源CS1bが設けられている。変形例2のその他の受信回路1_2~1_mの構成は、図4のそれらと同様でよい。
【0105】
スキュー補正処理における可変抵抗器VR1、VR2の調整方法は、第1または第2実施形態と同様でよい。よって、変形例2は、第1または第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
図14は、MIPI D-PHYの規格(mipi_D-PHY_specification_v2-0_r08)に本開示の受信回路を適応した具体例を示すブロック図である。図14のHS-RXに、本開示による受信回路1または1_1~1_mを適用すればよい。これにより、MIPI D-PHYのレーンモジュールにおいて、高周波信号のスキュー補正処理が可能となる。
【0107】
例えば、MIPIでは、1Gbpsの伝送レートの場合に、出力信号のスキューは、±0.15UI(±150ps)以下である必要がある。本開示による受信回路を用いれば、このような仕様の要件を満たすことができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0109】
(付記)
本技術は、以下の構成もとり得る。
(1)
第1入力信号および第2入力信号をそれぞれ第1入力部および第2入力部で受け取り、該第1および第2入力信号のそれぞれに応じた第1および第2電流を流す第1差動段と、
前記第1電流に応じた第1増幅信号を生成し出力する第1電流経路、および、前記第2電流に応じた第2増幅信号を生成し出力する第2電流経路を有する第2差動段と、
前記第1および第2差動段に電力を供給する電源線と、
前記第1または第2電流経路に設けられた少なくとも1つの可変抵抗部と、を備えた受信回路。
(2)
前記可変抵抗部は、
前記第1電流経路に設けられた第1可変抵抗器と、
前記第2電流経路に設けられた第2可変抵抗器とを含む、(1)に記載の受信回路。
(3)
前記可変抵抗部の抵抗値を記憶する記憶部をさらに備えた、(1)または(2)に記載の受信回路。
(4)
前記可変抵抗部は、
並列接続された複数の第1抵抗素子と前記複数の第1抵抗素子間に設けられた第1スイッチとを含む第1抵抗ブロックと、
並列接続された複数の第2抵抗素子と前記複数の第2抵抗素子間に設けられた第2スイッチとを含む第2抵抗ブロックとを備え、
前記第1および第2抵抗ブロックは、前記電源線と前記第1または第2電流経路との間に直列に接続されている、(1)に記載の受信回路。
(5)
前記第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、
前記第1および第2入力部に前記同一信号が入力されているときに、前記第1および第2増幅信号を比較する比較回路とをさらに備え、
前記可変抵抗部は、前記第1および第2増幅信号の電圧差が小さくなるように設定される、(1)から(4)のいずれか一項に記載の受信回路。
(6)
前記第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、
前記第2差動段の出力に接続され、前記第1および第2増幅信号をさらに増幅して第3および第4増幅信号を出力する1または複数のバッファ回路と、
前記第1および第2入力部に前記同一信号が入力されているときに、前記第3および第4増幅信号を比較する比較回路とをさらに備え、
前記可変抵抗部は、前記第3および第4増幅信号の電圧差が小さくなるように設定される、(1)から請求項4のいずれか一項に記載の受信回路。
(7)
前記第1および第2入力部に同一信号を入力する直流電源と、
前記直流電源と前記第1入力部との間に設けられた第1スイッチと、
前記直流電源と前記第2入力部との間に設けられた第2スイッチとをさらに備えている、(1)から(6)のいずれか一項に記載の受信回路。
(8)
前記直流電源から前記第1および第2入力部に同一信号を入力する場合、前記第1および第2スイッチを導通状態とし、
互いに相補の高周波信号として前記第1および第2入力信号を前記第1および第2入力部に入力する場合、前記第1および第2スイッチは非導通状態となっている、(7)に記載の受信回路。
(9)
前記第1差動段、前記第2差動段、前記電源線および前記可変抵抗部をそれぞれ含む第1および第2増幅部を備え、
前記第1増幅部は、データを受け取り増幅し、
前記第2増幅部は、クロック信号を受け取り増幅する、(1)から(8)のいずれか一項に記載の受信回路。
(10)
前記可変抵抗部は、前記電源線と前記第1または第2電流経路に設けられたトランジスタとの間に設けられている、(1)から(9)のいずれか一項に記載の受信回路。
(11)
前記可変抵抗部は、前記第1または第2電流経路に設けられたトランジスタと接地端子との間に設けられている、(1)から(9)のいずれか一項に記載の受信回路。
(12)
前記比較回路の比較結果に基づいて前記第1および第2増幅信号の電圧差が小さくなるように前記可変抵抗部の抵抗値を段階的に変化させ、前記第1および第2増幅信号の電圧差の極性の反転に基づいて前記可変抵抗部の抵抗値の設定する抵抗制御回路と、
前記可変抵抗部の抵抗値を記憶する記憶部とをさらに備えている、(5)に記載の受信回路。
(13)
前記記憶部は、設定された前記可変抵抗部の抵抗値を書き換えできないように格納する、請求項3または(13)に記載の受信回路。
(14)
前記記憶部は、設定された前記可変抵抗部の抵抗値の設定を書き換え可能に格納する、請求項3または(13)に記載の受信回路。
(15)
前記抵抗制御回路は、画像の或る走査線の走査において、前記第1および第2入力部が互いに相補の前記第1および第2入力信号を受け取った後、次の走査線の走査の開始までの期間において、前記可変抵抗部の抵抗値の設定を行う、(13)に記載の受信回路。
【符号の説明】
【0110】
1 受信回路、10 第1差動段、20 第2差動段、PL 電源線、VR1,VR2 可変抵抗部、CS1 電流源、MEM 記憶部、CS1 電流源、TP1,TP2 P型トランジスタ、CP1、CP2 電流経路、MEM 記憶部、TN1~TN4 N型トランジスタ
図1
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