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▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】バルブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20241209BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20241209BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A61M5/20 550
A61M5/142 520
A61M5/32 510H
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021571364
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 US2020035058
(87)【国際公開番号】W WO2020243387
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】62/854,587
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルガリータ ファルコヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテーシュワラン サンダーナム
(72)【発明者】
【氏名】ピーター スクトニク
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500996(JP,A)
【文献】国際公開第2018/151890(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/142
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス用のバルブアセンブリであって、
第1の側と前記第1の側とは反対側に配置された第2の側とを有するバルブハウジングと、
第1の端部および前記第1の端部の反対側に配置された第2の端部を有するカニューレであって、中央通路を規定する前記カニューレと、
本体および前記本体から延びるピアシング部材を含むピアスプレートであって、前記本体がコイル状の細長い部材を含み、前記ピアシング部材が前記カニューレを受け入れるように構成された中央通路を規定する前記ピアスプレートと、
前記バルブハウジングに接続され、内部空間を規定するバルブブーツであって、前記カニューレの前記第1の端部および前記ピアスプレートの前記ピアシング部材が前記内部空間内に受け入れられる使用前位置から、前記ピアスプレートの前記ピアシング部材と前記カニューレの前記第1の端部が前記バルブブーツと前記内部空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成される、前記バルブブーツと、
カニューレ空間を規定するバルブスリーブであって、前記バルブスリーブは、前記カニューレの前記第1の端部が前記カニューレ空間内に収容される使用前位置から、前記カニューレの前記第1の端部が前記バルブスリーブおよび前記カニューレ空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成され、前記バルブスリーブは、前記バルブブーツによって画定される内部空間内に配置される、前記バルブスリーブと、
を含む、バルブアセンブリ。
【請求項2】
前記バルブスリーブは、凸状の先端を有する第1の円筒形部分、前記第1の部分から延びる第2の部分、および前記第2の部分から延びる第3のフルストコニカル部分を備える、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項3】
前記バルブブーツが、半径方向内側に延びる突起を含み、前記ピアスプレートが前記バルブブーツの前記突起と係合する、請求項1または2のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項4】
前記コイル状の細長い部材は、第1の端部および前記第1の端部から軸方向に離間した第2の端部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項5】
前記コイル状の細長い部材を含む前記本体がフルストコニカル形状を有する、請求項4に記載のバルブアセンブリ。
【請求項6】
前記コイル状の細長い部材を含む前記本体は、第1のフルストコニカル部分および第2のフルストコニカル部分を含み、前記第1のフルストコニカル部分は、前記第2のフルストコニカル部分よりも大きい角度を有する、請求項5に記載のバルブアセンブリ。
【請求項7】
前記ピアシング部材は、前記コイル状の細長い部材の前記第2の端部に接続されている、請求項4~6のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項8】
前記コイル状の細長い部材が金属ワイヤを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項9】
前記金属ワイヤが形状記憶合金を含む、請求項8に記載のバルブアセンブリ。
【請求項10】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたカートリッジであって、薬剤を収容するように構成された前記カートリッジと、
前記ハウジング内に受け入れられ、前記カートリッジに係合するように形成され、前記カートリッジから薬剤を分配する、駆動アセンブリと、
前記ハウジング内に受けいれられた針アクチュエータアセンブリであって、患者の皮膚を突き刺すように構成された患者針を含む前記針アクチュエータアセンブリと、
請求項1~9のいずれかのバルブアセンブリと、
を含む、ドラッグデリバリーデバイス。
【請求項11】
薬剤送達デバイス用のバルブアセンブリであって、
第1の側と前記第1の側とは反対側に配置された第2の側とを有するバルブハウジングと、
第1の端部および前記第1の端部の反対側に配置された第2の端部を有するカニューレであって、中央通路を規定する前記カニューレと、
前記バルブハウジングに接続され、内部空間を規定するバルブブーツであって、前記カニューレの前記第1の端部が前記内部空間内に受け入れられる使用前位置から、前記カニューレの前記第1の端部が前記バルブブーツおよび前記内部空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成される前記バルブブーツと、
カニューレ空間を規定するバルブスリーブであって、前記カニューレの前記第1の端部が前記カニューレ空間内に受け入れられる使用前位置から、前記カニューレの前記第1の端部が前記バルブスリーブおよび前記カニューレ空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成される前記バルブスリーブと、
を含み、
前記バルブスリーブは、前記バルブブーツによって画定される内部空間内に配置される、バルブアセンブリ。
【請求項12】
前記バルブスリーブがエラストマー材料を含む、請求項11に記載のバルブアセンブリ。
【請求項13】
前記バルブスリーブは、凸状の先端を有する第1の円筒形部分、前記第1の部分から延びる第2の部分、および前記第2の部分から延びる第3のフルストコニカル部分を備える、請求項11または請求項12に記載のバルブアセンブリ。
【請求項14】
前記バルブスリーブの前記第2の部分が、フルストコニカル部分(セクション)および円筒部分を含む、請求項13に記載のバルブアセンブリ。
【請求項15】
前記バルブスリーブの前記第3の部分が、前記バルブスリーブの崩壊および変形を容易にするように構成された少なくとも1つの凹んだ部分を含む、請求項13または請求項14に記載のバルブアセンブリ。
【請求項16】
前記バルブスリーブがゴム材料を含む、請求項11~15のいずれかに記載のバルブアセンブリ。
【請求項17】
前記バルブブーツがエラストマー材料を含む、請求項11~16のいずれかに記載のバルブアセンブリ。
【請求項18】
本体と、前記本体から延びるピアシング部材とを備えるピアスプレートをさらに備え、前記ピアスプレートの前記ピアシング部材は、前記バルブブーツが使用前位置にあるときに、前記バルブブーツの前記内部空間内に受け入れられ、前記ピアスプレートの前記ピアシング部材は、前記バルブブーツが使用位置にあるときに、前記バルブブーツおよび前記内部空間の外側に延びる、請求項11~17のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項19】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたカートリッジであって、薬剤を収容するように構成された前記カートリッジと、
前記ハウジング内に受け入れられ、前記カートリッジに係合するように形成され、前記カートリッジから薬剤を分配する駆動アセンブリと、
前記ハウジング内に受けいれられた針アクチュエータアセンブリであって、患者の皮膚を突き刺すように構成された患者針を含む前記針アクチュエータアセンブリと、
請求項11~18のいずれかのバルブアセンブリと、
を含むドラッグデリバリーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送達デバイス(drug delivery device)のためのバルブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2019年5月30日に出願された米国仮出願シリアル番号62/854,587の優先権を主張する。
【0003】
様々な種類の自動注射または薬剤送達デバイスは、薬液および他の液体治療製剤が訓練されていない人員によって投与され、または自己注射されることを可能にするために開発されてきた。概して、これらの装置は、液体治療製剤で事前充填されたリザーバ、および使用者によってトリガされることが可能ないくつかのタイプの自動針注射機構を含む。投与される流体または薬剤の容積が概して1mLのような特定の容積未満であるとき、自動注射装置が典型的には使用され、これは典型的には約10秒から15秒の注射時間を有する。投与される流体または薬剤の容積が1mLを超えるとき、注射時間は、概して、より長くなり、結果的に、患者にとってデバイスと患者の皮膚の対象領域との間の接触を維持することが困難になる。さらに、投与されるべき薬剤の容積が大きくなるにつれて、注射のための時間の増大が望ましくなる。患者にゆっくりと注射されるべき薬剤のための従来の方法は、IVを開始しおよび薬剤を患者の体内にゆっくりと注射することである。そのような手順は、典型的には、病院または外来診療の場で行われる。
【0004】
特定のデバイスは、家庭の場における自己注射を可能にし、および患者の皮膚内に液体治療製剤を徐々に注射することができる。いくつかの場合において、これらのデバイスは、液体治療製剤が患者に注入されている間に、それらが患者によって「装着(worn)」されるのを可能にするのに十分に小さい(高さおよび全体的サイズの両方において)。これらのデバイスは、典型的には、液体治療製剤をリザーバの中から注射針内に流れさせるためのポンプまたは他の種類の排出機構を含む。そのようなデバイスは、また、典型的には、液体治療製剤を適時に流れ始めさせるためのバルブまたは流量制御機構(flow control mechanism)、および注射を開始するためのトリガ機構を含む。
【発明の概要】
【0005】
一態様または実施形態では、薬剤送達デバイス用のバルブアセンブリは、第1の側および第1の側とは反対側に配置された第2の側とを有するバルブハウジングと、第1の端部および第1の端部の反対側に配置された第2の端部とを有するカニューレであって、中央通路を規定するカニューレと、本体および本体から延びるピアシング(貫通)部材を含むピアスプレートであって、本体がコイル状の細長い部材によって形成されて、ピアシング部材がカニューレを受け入れるように構成された中央通路を規定するピアスプレートと、バルブハウジングに接続され、内部空間を規定するバルブブーツと、を含む。バルブブーツは、カニューレの第1の端部およびピアスプレートのピアシング部材が内部空間内に受け入れられる使用前位置から、ピアスプレートのピアシング部材およびカニューレの第1の端部がバルブブーツおよび内部空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成される。
【0006】
バルブアセンブリは、カニューレ空間を規定するバルブスリーブを含み、バルブスリーブは、カニューレの第1の端部がカニューレ空間内に受け入れられる使用前位置から、カニューレの第1の端部がバルブスリーブおよびカニューレ空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成される。バルブスリーブは、エラストマー材料から形成することができる。弁スリーブは、凸状の先端を有する第1の円筒形部分、第1の部分から延びる第2の部分、および第2の部分から延びる第3のフルストコニカル部分(frustoconical portion)を含む。バルブブーツは、エラストマー材料から形成することができる。バルブブーツは、ピアスプレートがバルブブーツの突起と係合した状態で、半径方向内側に延びる突起を含み得る。コイル状の細長い部材は、第1の端部および第1の端部から軸方向に離間した第2の端部を有し、コイル状の細長い部材の第2の端部が、コイル状の細長い部材の第1の端部に向かって移動するように構成される。コイル状の細長い部材は、フルストコニカルであり得る。コイル状の細長い部材は、第1のフルストコニカル部分および第2のフルストコニカル部分を含み得、第1のフルストコニカル部分は、第2のフルストコニカル部分よりも大きな角度を有する。ピアシング部材は、コイル状の細長い部材の第2の端部に接続することができる。ピアシング部材は、接着剤または溶接を介してコイル状の細長い部材の第2の端部に接続することができる。コイル状の細長い部材は、金属ワイヤから形成することができる。金属ワイヤは、形状記憶合金から形成することができる。形状記憶合金はニチノールであり得る。
【0007】
さらなる態様または実施形態では、薬剤送達デバイスは、ハウジングと、ハウジング内に受け入れられたカートリッジであって、薬剤を受け入れるように構成されたカートリッジと、ハウジング内に受け入れられ、カートリッジと係合してカートリッジから薬剤を分配するように構成された駆動アセンブリと、ハウジング内に受け入れられた針アクチュエータアセンブリであって、患者の皮膚を貫通するように構成された患者の針を含む針アクチュエータアセンブリと、第1の側および第1の側とは反対側に配置された第2の側を有するバルブハウジングを含むバルブアセンブリと、第1の端部および第1の端部の反対側に配置された第2の端部を有するカニューレであって、中央通路を規定するカニューレと、本体および本体から延びるピアシング部材を含むピアスプレートであって、本体はコイル状の細長い部材から形成され、ピアシング部材はカニューレを受け入れるように構成された中央通路を規定するピアスプレートと、バルブハウジングに接続されて内部空間を規定するバルブブーツとを含む。バルブブーツは、カニューレの第1の端部およびピアスプレートのピアシング部材が内部空間内に受け入れられる使用前位置から、ピアスプレートのピアシング部材およびカニューレの第1の端部がバルブブーツおよび内部空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成される。
【0008】
薬剤伝達デバイスは、カニューレ空間を規定するバルブスリーブを含み、バルブスリーブは、カニューレの第1の端部がカニューレ空間内に受け入れられる使用前位置から、カニューレの第1の端部がバルブスリーブおよびカニューレ空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成される。コイル状の細長い部材は、第1の端部および第1の端部から軸方向に離間した第2の端部を有し、コイル状の細長い部材の第2の端部が、コイル状の細長い部材の第1の端部に向かって移動するように構成されてもよい。ピアシング部材は、コイル状の細長い部材の第2の端部に接続することができる。ピアシング部材は、接着剤または溶接を介してコイル状の細長い部材の第2の端部に接続することができる。コイル状の細長い部材は、形状記憶合金ワイヤであり得る。
【0009】
別の態様または実施形態では、薬剤送達デバイス用のバルブアセンブリは、第1の側および第1の側と反対側に配置された第2の側を有するバルブハウジングと、第1の端部および第1の端部と反対側に配置された第2の端部を有するカニューレであって、中央通路を規定するカニューレと、バルブハウジングに接続され、内部空間を規定するバルブブーツであって、カニューレの第1の端部が内部空間内に受け入れられる使用前位置から、カニューレの第1の端部がバルブブーツおよび内部空間の外側に延びる使用位置に移動するように構成されているバルブブーツと、カニューレ空間を規定するバルブスリーブであって、カニューレの第1の端部がカニューレ空間内に受け入れられる使用前位置から、カニューレの第1の端部がバルブスリーブおよびカニューレ空間の外側に延びる使用位置まで移動するように構成されたバルブスリーブとを含む。
【0010】
バルブスリーブは、エラストマー材料から形成することができる。バルブスリーブは、凸状の先端を有する第1の円筒形部分、第1の部分から延びる第2の部分、および第2の部分から延びる第3のフルストコニカル部分を含む。バルブスリーブの第2の部分は、フルストコニカルセクションおよび円筒セクションを含み得る。バルブスリーブの第3の部分は、バルブスリーブの崩壊および変形を容易にするように構成された少なくとも1つの凹んだ部分を含み得る。バルブスリーブはゴム材料で形成することができる。バルブブーツは、エラストマー材料から形成することができる。バルブアセンブリは、本体と、本体から延びるピアシング部材とを含むピアスプレートをさらに含むことができ、ピアスプレートのピアシング部材は、バルブブーツが使用前位置にあるときに、前記バルブブーツの内部空間内に受け入れられ、ピアスプレートのピアシング部材は、バルブブーツが使用位置にあるとき、バルブブーツおよび内部空間の外側に延びる。
【0011】
さらなる態様または実施形態では、薬剤送達デバイスは、ハウジングと、ハウジング内に受容されるカートリッジであって、薬剤を受容するように構成されたカートリッジと、ハウジング内に受容された駆動アセンブリであって、カートリッジと係合するように形成され、カートリッジから薬剤を分配するように構成された駆動アセンブリと、ハウジング内に収容された針アクチュエータアセンブリであって、患者の皮膚を突き刺すように構成された患者針を含む針アクチュエータアセンブリと、上記の態様または実施形態のいずれかに記載されているバルブアセンブリと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の上述およびその他の特徴および利点、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて取られた本開示の実施形態の以下の説明を参照することにより、より明らかになり、本開示自体もよりよく理解されるであろう。
図1図1は、本発明の1つの態様または実施形態による薬剤送達システムの斜視図である。
図2図2は、図1の薬剤送達システムの斜視断面図である。
図3図3は、図1の薬剤送達システムの正面断面図である。
図4図4は、図1の薬剤送達システムの上面図であり、ハウジングの上部が取り外され、薬剤送達システムが使用前位置にあることを示している。
図5図5は、図1の薬剤送達システムの上面断面図であり、使用前位置にある薬剤送達システムを示している。
図6図6は、図1の薬剤送達システムの正面断面図であり、使用前位置にある薬剤送達システムを示している。
図7図7は、図1の薬剤送達システムの上面図であり、ハウジングの上部が取り外され、初期作動位置にある薬剤送達システムを示している。
図8図8は、図1の薬剤送達システムの上面断面図であり、初期作動位置にある薬剤送達システムを示している。
図9図9は、図1の薬剤送達システムの正面断面図であり、初期作動位置にある薬剤送達システムを示している。
図10図10は、図1の薬剤送達システムの上面図であり、ハウジングの上部が取り外され、薬剤送達システムが使用位置にあることを示している。
図11図11は、図1の薬剤送達システムの上面断面図であり、使用位置にある薬剤送達システムを示している。
図12図12は、図1の薬剤送達システムの正面断面図であり、使用位置にある薬剤送達システムを示している。
図13図13は、図1の薬剤送達システムの上面図であり、ハウジングの上部が取り外され、使用後の位置にある薬剤送達システムを示している。
図14図14は、図1の薬剤送達システムの上面断面図であり、使用後の位置にある薬剤送達システムを示している。
図15A図15Aは、図1の薬剤送達システムの正面断面図であり、使用後の位置にある薬剤送達システムを示している。
図15B図15Bは、図1の薬剤送達システムの正面断面図であり、使用前位置にある薬剤送達システムのパッドを示している。
図15C図15Cは、図1の薬剤送達システムの斜視断面図であり、使用前位置にある薬剤送達システムのパッドを示している。
図15D図15Dは、図1の薬剤送達システムの斜視断面図であり、使用前位置にある薬剤送達システムのパッドを示している。
図16図16は、図1の薬剤送達システムの部分断面図であり、バルブアセンブリを示している。
図17図17は、図1の薬剤送達システムのバルブアセンブリの斜視断面図である。
図18図18は、図1の薬剤送達システムのバルブアセンブリの正面断面図である。
図19図19は、本出願の一態様または一実施形態による、図17のバルブアセンブリのピアスプレート(pierce plate)の斜視図である。
図20A図20Aは、図19のピアスプレートの断面図である。
図20B図20Bは、図19のピアスプレートの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成及び使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、及び、代替物は、当業者に容易に明らかなことである。任意の、及び、全てのそのような修正、変形、等価物、及び代替物は、本発明の主旨および範囲の中に入ることが意図されたものである。
【0014】
以下、説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横」、「縦」、及び、それらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、及び、以下の明細書に記載される具体的な装置は、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、及び、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0015】
図1~16を参照すると、薬剤送達システム10は、駆動アセンブリ12、容器(container)14、バルブアセンブリ16、および針アクチュエータアセンブリ18を含む。駆動アセンブリ(drive assembly)12、容器14、バルブアセンブリ16、および針アクチュエータアセンブリ18は、少なくとも部分的にハウジング20内に配置されている。ハウジング20は上部(top portion)22および下部(bottom portion)24を含むが、ハウジング20のための他の適当な配置が利用され得る。1つの態様において、薬剤送達システム10は、使用者に着用されまたは固定され、使用者への注射を介して容器14内部に供給される薬剤の所定の投与量を送達するように構成される注射器デバイスである。システム10は、薬剤が設定時間内に送達される「ボーラス注入(bolus injection)」を行うために利用され得る。薬剤は、45分に至るまでの時間にわたって送達され得るが、他の適当な注射の量および持続時間が利用され得る。ボーラス投与または送達は、律速(rate controlling)を用いて実行されることができ、または具体的な律速を有さなくてもよい。システム10は、速度を可変として固定圧力(fixed pressure)で使用者に薬剤を送達し得る。システム10の概括的な操作(general operation)は、図1から図16に関連して下述される。
【0016】
図1から図16を再度参照すると、システム10は、使用者による作動ボタン26の係合を通して機能(operate)するように構成され、針アセンブリ18の針28が使用者の皮膚を貫通して、駆動アセンブリ12が作動して、針28を容器14と流体連通状態に置き、容器14から流体または薬剤を放出し、そして薬剤の注射後の針28の引き抜きは完了される。薬剤送達システムの概括的な操作は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2013/155153号および国際公開第2014/179774号に示されおよび記載されている。システム10の動作はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国公開第2017/0354788号に示され、記載されている。システム10のハウジング20は、システム10の状態に関する表示を使用者に提供するように構成される表示器配置(indicator arrangement)32を見るための表示器窓(indicator window)30と、容器14を見るための容器窓31と、を含む。表示器窓30は、表示器配置32の鮮明なビューを提供するための拡大レンズであってもよい。表示器配置32は、システム10の使用前状態、使用状態、および使用後状態を示すように、システム10の使用の間、針アクチュエータアセンブリ18に沿って移動する。表示器配置32は、状態に関する視覚的表示(visual indicia)を提供するが、聴覚的または触覚的のような他の適当な表示が、代替的または付加的な表示として設けられ得る。
【0017】
図4から図6を参照して、システム10の使用前位置の間、容器14は、駆動アセンブリ12およびバルブアセンブリ16から間隔が空けられて、針28は、格納位置(retracted position)にある。システム10の初期作動の間、図7から図9に示されるように、駆動アセンブリ12は、バルブアセンブリ16に向かって容器14を移動させるように容器14と係合し、バルブアセンブリ16は、容器14のクロージャ36を貫通し、およびチューブ(不図示)または他の適当な配置を介して針28と流体連通する容器14の内部に薬剤を配置するように構成される。駆動アセンブリ12は、容器14のストッパ34と係合するように構成され、ストッパ34は、当初、容器14内部の流体または薬剤の非圧縮性によって、容器14全体をバルブアセンブリ16と係合するように移動させることとなる。システム10の初期作動は、使用者による作動ボタン26の係合によって引き起こされ、使用者による作動ボタン26の係合は、以下により詳細に記載されるように、針アクチュエータアセンブリ18および駆動アセンブリ12を解放する。初期作動の間、針28は、依然として格納位置にあり、システム10の使用者に注射するための延展位置(extended position)に今にも移動しようとしている。
【0018】
システム10の使用位置の間、図10から図12に示されるように、針28は、ハウジング20の少なくとも部分的に外側の延展位置にあり、駆動アセンブリ12は、容器14から針28を通して使用者に薬剤を送達するように、容器14内部でストッパ34を移動させる。使用位置において、バルブアセンブリ16は、針28を容器14との流体連通状態に置くように、容器14のクロージャ36を既に貫通しており、これはまた、流体は容器14から分注されることができるので、駆動アセンブリ12が容器14に対してストッパ34を移動させることを可能にする。図13から図15に示されるシステム10の使用後位置において、針28は、格納位置にあり、ならびに針28を密封しおよび容器14からの流体または薬剤の何らかの残留流を防止するように、パッド38と係合する。
【0019】
図17~20Bを参照すると、上記のように、バルブアセンブリ16は、容器14と針アクチュエータアセンブリ18との間の流体連通を容易にするように動作する。バルブアセンブリ16は、バルブハウジング52、カニューレ54、ピアスプレート56、およびバルブブーツ58を含む。以下で論じられるように、バルブアセンブリ16はまた、バルブスリーブ60を含み得る。バルブハウジング52は、第1の側面62と、第1の側面62とは反対側に配置された第2の側面64とを有する。バルブハウジング52は、システム10のハウジング20と一体的に形成され得るか、または別個の構成要素として形成され得る。カニューレ54は、第1の端部66と、第1の端部66とは反対側に配置された第2の端部68とを有する。カニューレ54は、中央通路70を規定する。カニューレ54の第1の端部66は鋭利であり、容器14の隔壁を貫通するように構成されている。カニューレ54の第2の端部68は、バルブハウジング52によって受け入れられ、バルブハウジング52に固定される。バルブハウジング52は、チューブ(図示せず)を介して針アクチュエータアセンブリ18と流体連通しており、カニューレ54から針アクチュエータアセンブリ18への流体流路を形成している。
【0020】
再び図17~20Bを参照すると、ピアスプレート56は、本体74と、本体74から延びるピアシング部材76とを含む。本体74は、コイル状の細長い部材78から形成され、ピアシング部材76は、カニューレ54を受け入れるように構成された中央通路80を規定している。バルブブーツ58は、バルブハウジング52に接続され、内部空間82を規定する。バルブブーツ58は、エラストマー材料から形成することができるが、他の適切な材料または材料の組み合わせを利用することができる。バルブブーツ58は、カニューレ54の第1の端部66およびピアスプレート56のピアシング部材76が内部空間82内に受け入れられる使用前位置から、カニューレ54のピアスプレート56および第1の端部66は、バルブブーツ58および内部空間82の外側に延びる。バルブブーツ58およびバルブアセンブリ16の使用前位置が図18に示されている。図示されていないが、バルブブーツ58およびバルブアセンブリ16の使用位置は、図16に示されているバルブアセンブリ16の使用位置と同様である。使用位置では、ピアスプレート56は、バルブハウジング52と係合し、ピアシング部材76は、バルブブーツ58および容器14上のフォイルシール(図示せず)を貫通し、カニューレ54は、容器14の内部およびカニューレ54との流体連通を提供するために容器14の隔壁を貫通する。バルブブーツ58は、ピアスプレート56が突起84と係合した状態で半径方向内側に延びる突起84を含む。突起84は、突起84がピアスプレート56の本体74と係合する環状であり得る。バルブブーツ58の使用前位置では、図17に示されるように、ピアスプレート56は、バルブブーツ58の突起84とピアスプレート56との係合を介して、バルブハウジング52から離間されている。カートリッジ14との係合中、バルブブーツ58は、ピアスプレート56がバルブハウジング52に向かって下向きに移動することで崩壊(collapse)する。
【0021】
図17および18を参照すると、バルブスリーブ60は、バルブブーツ58によって規定される内部空間82内に配置されている。バルブスリーブ60は、カニューレ空間86を規定し、カニューレ54の第1の端部66がカニューレ空間86内に受け入れられる使用前位置から、カニューレ54の第1の端部66がバルブスリーブ60およびカニューレ空間86の外側に延びる使用位置に移動するように構成される。バルブスリーブ60は、ゴム材料などのエラストマー材料から形成することができるが、他の適切な材料または材料の組み合わせも利用することができる。一態様または一実施形態では、バルブスリーブ60は、非ゴム材料の薄膜である。バルブスリーブ60は、凸状先端90を有する第1の円筒形部分88、第1の部分88から延びる第2の部分92、および第2の部分92から延びる第3のフルストコニカル部分(frustoconical portion)94を含む。第2の部分92は、フルストコニカルで円筒形である。バルブスリーブ60の第3の部分94は、バルブスリーブ60の崩壊および変形を容易にするために、1つまたは複数の凹んだ部分96を含み得る。バルブアセンブリ16が容器14と係合すると、バルブスリーブ60は、カニューレ54の第1の端部66がバルブスリーブ60を通って延びるように収縮する。
【0022】
バルブスリーブ60は、システム10の動作中にカニューレ54およびシステム10の流路が汚染されないままであることを保証するように構成される。システム10の動作中、上記のように、容器14は、バルブブーツ58と係合するように動かされ、バルブブーツ58を折りたたんで、ピアスプレート56のピアシング部材76が、容器14およびバルブのフォイルシールを穿刺して、それぞれのチャドまたはフラップ(図示しない)を形成する。バルブスリーブ60は、容器14およびバルブブーツ58上に存在する汚染が、容器14またはバルブブーツ58からカニューレ54上またはカニューレ54内に排出または飛ばされるのを防止する。バルブスリーブ60はまた、ピアシング部材76によって形成されるチャドまたはフラップとの接触からカニューレ54を保護し、カニューレ54が通過しなければならない容器14の閉鎖部36の表面積を最小化する。バルブスリーブ60はまた、カニューレ54の外面および内面への同伴汚染(entrained contamination)の沈降(settling)を防止することにより、バルブブーツ58が圧縮され、続いてピアシング部材76によって穿刺されたときに、バルブブーツ58の減圧によって引き起こされる汚染を防止するように構成される。
【0023】
再び図17~20Bを参照すると、上記のように、コイル状の細長い部材78は、第1の端部102から軸方向に離間した第1の端部102および第2の端部104を有し、コイル状の細長い部材78の第2の端部104は、コイル状の細長い部材78の第1の端部102に向かって移動するように構成される。コイル状の細長い部材78は、フルストコニカルである。より特別には、コイル状の細長い部材78は、第1のフルストコニカル部分106および第2のフルストコニカル部分108を含む。第1のフルストコニカル部分106は、第2のフルストコニカル部分108よりも大きな角度を有することができる。ピアシング部材76は、コイル状の細長い部材78の第2の端部104に接続されている。ピアシング部材76は、接着剤または溶接を介してコイル状の細長い部材78の第2の端部104に接続することができるが、他の適切な固定構成を利用することができる。コイル状の細長い部材78は、マンドレル(mandrel)の周りにコイル状に巻かれ、ピアスプレート56の本体74の形状を形成する金属ワイヤであり得る。一態様では、金属ワイヤは、それ自体への崩壊(collapse)を防ぎながら、制御された崩壊を可能にする材料で形成され得る。金属線は低荷重条件下で変形し、元の形状に戻ることができる。
【0024】
一態様では、金属ワイヤは、ニチノールなどの形状記憶合金から形成することができるが、他の適切な材料または材料の組み合わせを利用することができる。形状記憶合金は、工具に大きなコストをかけることなく、形状、サイズ、および寸法を容易に変更できる、所望の形状または構成に容易に形成される。ピアスプレート56の本体74は、カートリッジ14がバルブアセンブリ16と係合する間、ばねおよび衝撃吸収材として機能し、バルブアセンブリ16に接触するカートリッジ14の力をより効率的に放散する。しかしながら、コイル状の細長い部材78の強度のために、ピアシング部材76の貫通機能は損なわれない。ピアスプレート56の本体74の強度および剛性は、コイル状の細長い部材78の回転数を変更することによって容易に調整することができる。ピアスプレート56のコイル状の細長い部材78は、約22回転またはコイルを含むが、他の任意の適切な構成を利用することができる。
【0025】
1つの開示された態様(aspect)の要素は、1つまたは複数の他の開示された態様の要素と組み合わせて、異なる組み合わせを形成することができ、そのすべてが本発明の範囲内であると考えられる。
【0026】
本開示は例示的な構造を有するように記載されてきたが、本開示は、本開示の精神および範囲の中でさらに修正され得るものである。したがって、本願は、その一般原則を用いた本開示のあらゆる変形、使用、または適応を包含することを意図している。さらに、本願は、本開示が関連する技術分野における既知または慣例の範囲内で、添付の請求項の範囲内に収まるような本開示からの逸脱をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18
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図20A
図20B