(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】溶融金属を収容する容器のスライドクロージャ
(51)【国際特許分類】
B22D 41/40 20060101AFI20241209BHJP
B22D 41/38 20060101ALI20241209BHJP
B22D 11/10 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B22D41/40
B22D41/38
B22D11/10 340D
(21)【出願番号】P 2021576153
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020066653
(87)【国際公開番号】W WO2020254338
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500180226
【氏名又は名称】ベスビウス グループ,ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】マリアーノ コッルラ
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス シビエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン クィン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー バッツ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ.アダムス
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-532207(JP,A)
【文献】特表2018-506432(JP,A)
【文献】特開2016-097411(JP,A)
【文献】特表2003-528732(JP,A)
【文献】特開平10-128525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 41/22-41/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を操作可能に収容する容器(4)のスライドクロージャ(2)であって、
-第1のフロースルー開口部を有する第1の面を有する第1の耐火遮蔽板(8A)を受容する凹部を含む、スライドハウジング(6A)と、
-第2のフロースルー開口部を有する第2の面を有する第2の耐火遮蔽板(8B)を受容する開口部を含む、スライドユニット(6B)と、を備え、
-前記スライドクロージャ(2)は、前記スライドユニット(6B)が前記スライドハウジング(6A)に対して長手方向に変位するように配置されており、
-前記スライドクロージャ(2)は、前記第1および第2の耐火遮蔽板(8A、8B)の対向する第1および第2の面間の隙間または圧力を軸方向の平行変位によって調節することができるようにさらに配置されており、
-少なくとも1つのクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)が、前記スライドハウジング(6A)および/または前記スライドユニット(6B)中に配置されており、前記少なくとも1つのクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)が、対応する耐火遮蔽板(8A、8B)をクランプするように適合されており、
前記少なくとも1つのクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)は、前記スライドユニット(6B)が前記スライドハウジング(6A)に対して変位し、かつ前記第1および第2の耐火遮蔽板(8A、8B)が互いに遠く離れているときに、それぞれ前記第1および前記第2の耐火遮蔽板(8A、8B)の前記第1および前記第2の面が圧力下で接触する前に、前記少なくとも1つのクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)の作動を介して前記対応する耐火遮蔽板(8A、8B)の前記クランプを開始するように配置されている、スライドクロージャ(2)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)が、前記対応する耐火遮蔽板(8A、8B)の前記少なくとも1つのクランプ機構の前記作動を、それぞれ前記第1および前記第2の耐火遮蔽板(8A、8B)の前記第1および前記第2の面が圧力下で接触する前に終了させるように配置されている、請求項1に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項3】
前記スライドクロージャ(2)が、前記スライドユニット(6B)上に配置された少なくとも1つの対応するガイド要素(32)と係合する少なくとも1つのランプ(30)を備え、前記ランプ(30)および前記ガイド要素(32)が、前記スライドユニット(6B)が前記スライドユニット(6B)のストローク、特にエンドストロークの特定の部分に到達するときに、前記スライドユニット(6B)を前記スライドハウジング(6A)から離すように配置されている、請求項1~2のいずれかに記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)が、第1および第2のクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)を備え、前記第1のクランプ機構(22A、24A、26A、28A)が、前記スライドハウジング(6A)上に配置されており、かつ前記スライドユニット(6B)上に配置された第1の協働要素(40B)によって作動され、前記スライドユニット(6B)上に配置された前記第2のクランプ機構(22B、24B、26B、28B)が、前記スライドハウジング(6A)上に配置された第2の協働要素(40A)によって作動される、請求項1~3のいずれかに記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)が、少なくとも1つのばね要素(22A、24A、22B、24B)を備える、請求項1~4のいずれかに記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのばね要素(22A、24A、22B、24B)が、Uばねクリップとして形作られており、前記ばね要素(22A、24A、22B、24B)の2つの端部が、前記Uの2つの分岐に対応している、請求項5に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのばね要素(22A、24A、22B、24B)が、対応するスライドハウジング(6A)またはユニット(6B)に取り付けられたシャフト上で枢動可能であり、枢動部が、前記Uの頂点における前記ばね(22A、24A、22B、24B)の中央位置に位置する、請求項6に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項8】
前記スライドハウジング(6A)またはユニット(6B)の前記少なくとも1つのばね要素(22A、22B、24A、24B)が、前記対応する第1または第2の耐火遮蔽板(8A、8B)の側壁の一部に対して当接する対向端部のうちの一方の端部、および前記対応するスライドハウジング(6A)またはユニット(6B)上に配置されたプレテンション要素(26A、26B)に対して当接する前記対向端部のうちの他方の端部を有するばね要素(22A、22B)を含む、請求項6および7のいずれか一項に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項9】
前記スライドハウジング(6A)またはユニット(6B)の前記少なくとも1つのばね要素(24A、24B)が、前記対応する第1または第2の耐火遮蔽板(8A、8B)の前記側壁の別の部分に対して当接する対向端部のうちの一方の端部、および前記対応するスライドハウジング(6A)またはユニット(6B)に取り付けられた当接要素(28A、28B)に対して当接する前記対向端部のうちの他方の端部を有するさらなるばね要素(24A、24B)を備えるか、または前記対応する第1または第2の耐火遮蔽板(8A、8B)の前記側壁の別の部分が、前記対応するスライドハウジング(6A)またはユニット(6B)に取り付けられた当接要素(28A、28B)に対して直接当接する、請求項
8に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項10】
各プレテンション要素(26A、26B)が、前記スライドハウジング(6A)またはユニット(6B)の前記対応する少なくとも1つのばね要素(22A、22B)の他方の端部と摺動接触している側壁を備えるスライド要素(26A、26B)であり、前記側壁および前記ばね要素(22A、22B)の形状が、両方とも、前記スライド要素(26A、26B)の長手方向の変位が、その凹部内で前記
第1または第2の耐火遮蔽板(8A、8B)を圧迫するように配置されている、請求項8に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項11】
前記第1または第2の協働要素(40A、40B)の各々が、捕捉プロファイル要素(40A、40B)を含む、請求項4に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項12】
各捕捉プロファイル要素(40A、40B)が、少なくとも1つの
爪に隣接するランプを有する、請求項11に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項13】
各捕捉プロファイル要素(40A、40B)が、前記捕捉プロファイル要素(40A、40B)を軸方向に付勢することができるように、前記対応するスライドハウジング(6A)またはユニット(6B)に弾性的に連結されている、請求項11および12のいずれか一項に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項14】
前記スライドハウジング(6A)またはユニット(6B)
のスライド要素(26A、26B)は、対応する対向するスライドユニット(6B)またはハウジング(6A)上に配置された前記捕捉プロファイル要素(40A、40B)と協働するように適合された突起(42A、42B))を備え、各捕捉プロファイル要素(40A、40B)は、前記スライドユニット(6B)が前記スライドハウジング(6A)に対して変位する間に、前記長手方向に前記突起を介して対応する
前記スライド要素(26A、26B)を押すことができる、請求項11~13のいずれか一項に記載のスライドクロージャ(2)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のスライドクロージャ(2)内の耐火遮蔽板(8A、8B)の位置決め方法であって、
-スライドハウジング(6A)およびスライドユニット(6B)に第1および第2のクランプ機構(22A、24A、26A、28A、22B、24B、26B、28B)をそれぞれ提供するステップと、
-前記スライドクロージャ(2)がアクセス可能な位置にあるときに、第1の耐火遮蔽板(8A)および第2の耐火遮蔽板(8B)のそれぞれを前記スライドハウジング(6A)および前記スライドユニット(6B)の凹部内にそれぞれ挿入するステップと、
-前記スライドユニット(6B)が前記スライドハウジング(6A)に面するように、前記スライドクロージャ(2)を閉じるステップと、
-前記スライドユニット(6B)が前記スライドハウジング(6A)に対して変位し、かつ前記第1および第2の耐火遮蔽板(8A、8B)それぞれの第1および第2の表面が互いに遠く離れているときに、前記第1および第2の耐火遮蔽板(8A、8B)それぞれの前記第1および第2の表面が作動圧力下にある前に、前記第1および/または第2の耐火遮蔽板(8A、8B)のクランプを開始するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属を操作可能に収容する容器のスライドクロージャ、および当該スライドクロージャの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融金属を収容する容器のスライドクロージャには、スライドクランプ装置が高い頻度で設置されている。クランプ装置の目的は、極端な操作条件に起因してそれぞれの耐火遮蔽板に形成される可能性のある亀裂がこれ以上拡大しないように、所与のスライドハウジングに挿入された対向する耐火遮蔽板を事前に制約された状態に保つことである。
【0003】
スライドクランプ装置の例は、文書、米国特許第4,717,128号、欧州特許第587485号、独国特許第19615696C2号から知られている。事前に制約された耐火遮蔽板を使用することで、溶融金属が可能性のある亀裂を通って染み出るのを防ぎ、スライドクロージャの適正な密閉を保証する。一般に、各耐火遮蔽板の事前に制約された状態は、事前に制約されたばね要素によって得られる。この亀裂を防止するための既知の解決策の欠点は、メンテナンス作業中にしか、ばね要素を調節することができないことである。しかしながら、スライドクロージャの要素は、メンテナンス中に依然として非常に高温であり、ばね要素の事前設定を特に厄介なものにする。この偏見を克服するために、特許書類、欧州特許第2906376B1号は、スライドユニットのスライドハウジングに対する固定時の耐火遮蔽板の自動クランプであって、クランプ機構がスライドユニットとスライドハウジングとの間の協働によって作動される、自動クランプを提案している。この解決策の短所は、耐火遮蔽板が互いに対して押し付けられたときにクランプが起こることである。耐火遮蔽板間の相対変位に起因する剪断力は、耐火遮蔽板の付随する自動プレテンションを妨げる。
【0004】
発明の目的
本発明は、従来技術によって提供される教示の少なくとも1つの欠点に対する解決策を提供することを目的とする。
【0005】
より具体的には、本発明は、耐火遮蔽板のクランプ処理を改善するための解決策を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
上記の目的のために、本発明は、溶融金属を操作可能に収容する容器のスライドクロージャであって、第1のフロースルー開口部を有する第1の面を有する第1の耐火遮蔽板を受容する凹部を含む、スライドハウジングと、第2のフロースルー開口部を有する第2の面を有する第2の耐火遮蔽板を受容する開口部を含む、スライドユニットと、を備え、当該スライドクロージャが、スライドユニットがスライドハウジングに対して長手方向に変位するように配置されており、当該スライドクロージャが、第1および第2の耐火遮蔽板の対向する第1および第2の面間の隙間または圧力を軸方向の平行変位によって調節することができるようにさらに配置されており、少なくとも1つのクランプ機構が、スライドハウジングおよび/またはスライドユニット中に配置され、かつ少なくとも1つのクランプ機構が、対応する耐火遮蔽板をクランプするように適合されており、少なくとも1つのクランプ機構が、スライドユニットがスライドハウジングに対して変位し、かつ第1および第2の耐火遮蔽板が互いに遠く離れているときに、本質的に第1および第2の耐火遮蔽板それぞれの第1および第2の面が圧力下で接触する前に、少なくとも1つのクランプ機構の作動を介して対応する耐火遮蔽板のクランプを開始するように配置されている、スライドクロージャを対象とする。
【0007】
本発明の特定の実施形態によれば、装置は、単独で、またはそれらの任意の組み合わせで、1つ以上の以下の技術的特徴を備える:
-少なくとも1つのクランプ機構が、対応する耐火遮蔽板の少なくとも1つのクランプ機構の作動を、第1および第2の耐火遮蔽板それぞれの第1および第2の面が圧力下で接触する前に終了するように配置されている;
-当該スライドクロージャが、スライドユニット上に配置された少なくとも1つの対応するガイド要素と係合する少なくとも1つのランプを備え、当該ランプおよび当該ガイド要素は、スライドユニットがスライドユニットのストローク、特にエンドストロークの特定の部分に到達するときに、スライドユニットをスライドハウジングから離すように配置されている;
-少なくとも1つのクランプ機構が、第1および第2のクランプ機構を備え、第1のクランプ機構は、スライドハウジング上に配置されており、かつスライドユニット上に配置された第1の協働要素によって作動され、スライドユニット上に配置された第2のクランプ機構が、スライドハウジングに配置された第2の協働要素によって作動される;
-少なくとも1つのクランプ機構が、少なくとも1つのばね要素を備える;
-少なくとも1つのばね要素が、Uばねクリップとして形作られており、当該ばね要素の2つの端部が、Uの2つの分岐に対応している;
-スライドハウジングまたはユニットのうちの少なくとも1つのばね要素が、対応する第1または第2の耐火遮蔽板の側壁の一部に対して当接する対向端部のうちの一方の端部、および対応するスライドハウジングまたはユニット上に配置されたプレテンション要素に対して当接する対向端部のうちの他方の端部を有するばね要素を備える;
-スライドハウジングまたはユニットのうちの少なくとも1つのばね要素が、対応する第1または第2の耐火遮蔽板の側壁の別の部分に対して当接する対向端部のうちの一方の端部、および対応するスライドハウジングまたはユニットに取り付けられた当接要素に対して当接する対向端部のうちの他方の端部を有するさらなるばね要素を備えるか、または対応する第1または第2の耐火遮蔽板の側壁の別の部分が、対応するスライドハウジングまたはユニットに取り付けられた当接要素に対して直接当接する;
-各プレテンション要素が、スライドハウジングまたはユニットのうちの、対応する少なくとも1つのばね要素の他方の端部と摺動接触する側壁を備えるスライド要素であり、当該側壁および当該ばね要素の形状が、両方とも、当該スライド要素の長手方向の変位が、その凹部内で当該板を圧迫するように配置されている;
-第1または第2の協働要素の各々が、捕捉プロファイル要素を備える;
-各捕捉プロファイル要素が、少なくとも1つの爪、好ましくは2つの爪に隣接するランプを有する;
-各捕捉プロファイル要素が、当該捕捉プロファイル要素を軸方向に付勢することができるように、対応するスライドハウジングまたはユニットに弾性的に連結されている;
-スライドハウジングまたはユニットのスライド要素が、対応する対向するスライドユニットまたはハウジング上に配置された捕捉プロファイル要素と協働するように適合された突起を備え、各捕捉プロファイル要素が、スライドユニットがスライドハウジングに対して変位する間に、長手方向に当該突起を介して対応するスライド要素を押すことができる。
【0008】
本発明は、スライドクロージャ中の耐火遮蔽板の位置決め方法にも関し、方法は以下のステップを含む:
-スライドハウジングおよびスライドユニットに第1および第2のクランプ機構をそれぞれ提供するステップ;スライドクロージャがアクセス可能な位置にあるときに、第1の耐火遮蔽板および第2の耐火遮蔽板をそれぞれスライドハウジングおよびスライドユニットの凹部内に挿入するステップ;
-スライドユニットがスライドハウジングに面するように、スライドクロージャを閉じるステップ;
-スライドユニットがスライドハウジングに対して変位し、かつ第1および第2の耐火遮蔽板それぞれの第1および第2の表面が互いに遠く離れているときに、第1および第2の耐火遮蔽板それぞれの第1および第2の表面が作動圧力下になる前に、第1および/または第2の耐火遮蔽板のクランプを開始するステップ。
【0009】
本発明はまた、耐火遮蔽板の手動の締め付けを必要としないことにより、耐火遮蔽板を交換する時間を短縮するため、有利である。さらに、それぞれの凹部内の耐火遮蔽板のより良い締め付けのおかげで、耐火遮蔽板の使用を延ばすことができる。さらに、自動クランプ設計は、より体系的なクランプを可能にし、張力は繰り返し可能な方法で正確に調節することができる。本発明による装置は、最終的に、異なるサイズのスライドクロージャおよび/容器に適合することができる。
【0010】
一般に、本発明の各主題の好ましい実施形態は、本発明の他の主題にも適用可能である。可能な限り、本発明の各主題は、他の主題と組み合わせることができる。本発明の特徴はまた、当明細書の実施形態と組み合わせることもでき、これは、これに加えて、互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、本発明の好ましい態様は、添付の図面を参照してより詳細に説明され、同一の符号は、同一の特徴を示す。
【0012】
【
図4A】スライドハウジングに対するスライドユニットの変位の異なる段階の簡略化された図である。
【
図4B】スライドハウジングに対するスライドユニットの変位の異なる段階の簡略化された図である。
【
図4C】スライドハウジングに対するスライドユニットの変位の異なる段階の簡略化された図である。
【
図4D】スライドハウジングに対するスライドユニットの変位の異なる段階の簡略化された図である。
【
図4E】スライドハウジングに対するスライドユニットの変位の異なる段階の簡略化された図である。
【
図5A】2つのばね要素を有する第1の耐火遮蔽板を受容するスライドハウジングの第1の実施形態の概略正面図である。
【
図5B】1つの単一のばね要素を有する第1の耐火遮蔽板を受容するスライドハウジングの第2の実施形態の概略正面図である。
【
図6】協働要素および捕捉プロファイル要素の拡大概略図である。
【符号の説明】
【0013】
2 スライドクロージャ
6A スライドハウジング
6B スライドユニット
6C ガイドフレーム
8A、8B 耐火遮蔽板
22A、22B (第1の)ばね要素
24A、24B (第2の)ばね要素
26A、26B プレテンション要素、スライド要素
28A、28B 当接要素、当接挿入物
30 ランプ
32 ガイド要素
40A、40B 協働要素、捕捉プロファイル要素
42A、42B 突起
50 ローラ
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、溶融金属(図示せず)を収容する容器のスライドクロージャ2の斜視図である。スライドクロージャ2は、容器に取り付けられたスライドハウジング6A、および操作中にスライドハウジング6Aに対して変位可能なスライドユニット6Bを備える。スライドユニット6Bとスライドハウジング6Aとの間の相対変位は、溶融金属の流量制御を可能にする。
【0015】
図1では、スライドクロージャ2は、そのメンテナンスのために開いている、折り畳まれていない(アクセス可能)位置にあり、垂直方向に延在している。メンテナンスを容易にするために、容器を90°回転させることができ、これにより、通常は使用時に容器の底部に水平に配置されているスライドクロージャ2は、垂直に位置決めされる。スライドユニット6Aは、
図1に示すように、ヒンジを介してスライドハウジング6Aに連結することができるガイドフレーム6C内で、スライドすることができる。スライドハウジング6Aおよびスライドユニット6Bは、第1の耐火遮蔽板8Aおよび第2の耐火遮蔽板8Bを受容するための凹部を備える。第1の耐火遮蔽板8Aおよび第2の耐火遮蔽板8Bはそれぞれ、第1のフロースルー開口部を有する第1の面、および第2のフロースルー開口部を有する第2の面を有する。使用時、第1のフロースルー開口部の第2のフロースルー開口部に対する相対的な位置決めによって、排出される溶融金属の流れを制御することが可能になる。制御は、2つの開口部が互いに一致する全開位置と、2つの開口部が互いに完全にずらされる全閉位置との間で段階的に実行することができる。
【0016】
図2は、
図1に示すような、メンテナンスのためのその開位置からのガイドフレーム6Cの枢動後の、閉位置にあるスライドクロージャ2を示している。閉位置では、スライドユニット6Bは、スライドハウジング6Aに面している。ここで、当該第1および第2の耐火遮蔽板8A、8B間には隙間がある。この軸方向に延在する隙間は、スライドユニット6Bの平行変位によって調節することができる。
【0017】
ガイドフレーム6Cのスライドハウジング6Aに対する連結の選択肢は、ヒンジ配置に限定されず、任意の他の適切な配置を想定することができる。例えば、ガイドフレーム6Cは、スライドユニット6Bがスライドハウジング6A上に直接固定されている、ある適用例には必要ではない。
【0018】
スライドユニット6Bは、軸方向に加えて、長手方向に移動するように構成されている。長手方向に沿った変位は、容器が使用されているときに排出される溶融金属の流れを制御するために使用されるだけではなく、第1および第2の耐火遮蔽板8A、8B間の隙間または圧力を調節するためにも使用される。実際、
図3は、スライドユニット6B上に配置された対応するガイド要素32と係合する、例えばガイドフレーム6C上に配置された少なくとも1つのランプ30によって、スライドユニット6Bの平行変位を保証することができることを示している。スライドユニット6Bの、スライドハウジングに対する長手方向の変位は、油圧アクチュエータなどの駆動要素(図示せず)によって保証される。駆動要素は、ガイドフレーム上に配置することができる。駆動要素の移動端部は、形状適合方式でスライドユニット6Bに取り付けることができる(図示せず)。ランプ30およびガイド要素32は、スライドユニット6Bがスライドユニット6Bのストロークの特定の部分に到達したときに、スライドユニット6Bとスライドハウジング6Aとの間の隙間を増加させるように構成することができる。特定の部分は、
図3に示すように、スライドユニット6Bのエンドストローク(オーバーストローク)である。
【0019】
図4A~
図4Eは、容器(図示せず)に取り付けられたスライドハウジング6Aに対するスライドユニット6Bの変位の異なる段階の概略図を示している。
【0020】
図4Aは、互いに遠く離れており、スライドハウジング6Aがエンドストローク位置にある、スライドユニット6Bおよびスライドハウジング6Aを表している。この位置では、第1および第2の耐火板は、ばね要素22A、22Bがそれぞれの捕捉プロファイル要素40A、40Bとまだ協働していない、それらのそれぞれのプレテンション要素26A、26Bによる張力下にまだ置かれていない程度に緩んでいる。各部上のそれぞれのクランプ機構は、少なくとも1つのばね要素22A、22B、および対応するプレテンション要素26A、26Bを備える。
【0021】
第1および第2の耐火板8A、8Bが、それらのそれぞれの凹部に挿入されると、
図4Aの矢印によって示されているように、スライドハウジング6Bを右に移動させることによってクランププロセスが開始される。
【0022】
図4Bは、クランププロセスが終了する直前の瞬間を表している。ばね要素22A、22Bは、圧縮されているように象徴的に描かされており、第1および第2の耐火板8A、8Bがそれらのそれぞれの凹部にクランプされていることを示している。クランププロセスは、スライドユニット6Bとスライドハウジング6Aとが依然として互いに遠く離れているときに終了するのが好ましく、これにより、両方の耐火板8A、8B間の剪断力に打ち勝つ必要なく、各耐火板8A、8Bの適正な位置決めが可能になる。
図4Aおよび
図4Bに示す段階の間で、スライドユニット6Bは、スライドハウジング6Aに対して長手方向(矢印によって示されている)、および任意選択で軸方向に移動する。当業者は、例えば、ランプ30およびガイド要素32の傾斜を調節することによって、長手方向および/または軸方向を適合させる方法を知っている。
【0023】
第1および第2の耐火板8A、8Bのクランプの作動が達成されると、捕捉プロファイル要素40Aおよび40Bは、プレテンション要素26A、26Bから係脱され、その結果、さらなる圧力は加えられない(図示せず)。プレテンション要素26A、26Bは、それぞれの捕捉プロファイル要素40A、40Bとの協働が終了すると、それらは所定の位置にロックされるように構成されている。これを達成するために、プレテンション要素26A、26Bは、摩擦で、またはワンウェイクラッチシステムによって締まるようにすることができる。
【0024】
図4Cは、第1および第2の耐火板8A、8Bが、互いに直接接触しているにもかかわらず、依然として作動圧力を受けていない瞬間を示している。
図4Bおよび
図4Cに示す段階の間で、スライドユニット6Aは、スライドハウジング6Bに対して長手方向(矢印によって示されている)および軸方向に移動して、2つの耐火遮蔽板8A、8Bの間の隙間を閉じる。
【0025】
図4Dは、第1および第2の耐火板間の圧力が、スライドクロージャ2の適正な密閉を可能にするのに十分な操作レベル(作動圧力)に達するときの瞬間を示している。
図4Cおよび
図4Dに示す段階の間で、スライドユニット6Bは、スライドハウジング6Aに対して長手方向に移動する。この遷移の間、第1および第2の耐火板8A、8B間の圧力は、好ましくは、
図3に示すように、スライドユニット6Bに対して付勢された複数のローラ50を備える専用の機構によって増加する。ローラ50は、好ましくは、スライドユニット6Bの対向面と直接接触する。スライドユニット6Bの対向面のプロファイルは、作動圧力が所定の圧力範囲内に留まるように構成されている。この遷移の間、2つの耐火遮蔽板8A、8B間の剪断力も増加する。耐火遮蔽板8A、8Bのクランプの開始は、それらが互いに遠く離れているときに行われるため、各耐火遮蔽板の位置決めおよび締め付けは、剪断力下でも安定したままである。耐火遮蔽板8A、8Bの位置決めは、2つの板8A、8Bの両方が互いに接触する前にクランププロセスが終了する場合、容易になることに留意されたい。
【0026】
図4Eは、第1および第2の耐火遮蔽板8A、8Bの開口部が一致して、溶融金属の最大放出流が可能になる瞬間を示している。
【0027】
図5Aは、(第1の)耐火遮蔽板8A、クランプ機構22A、24A、26A、28A、およびスライドハウジング6Aの接触面上に配置された捕捉要素40Aを含む配置を開示している。クランプ機構22A、24A、26A、28Aは、好ましくは、プレテンション要素26A、第1のばね要素22A、第2のばね要素24A、および当接要素28Aを備える。スライドユニット6B(図示せず)の対向する接触面にも同一の配置が存在する。スライドユニット6Bおよびスライドハウジング6Aが協働し、互いに対して押し付けられることが目的とされている。例えば、スライドユニット6Bの捕捉プロファイル要素40B(図示せず)は、スライドハウジング6Aのプレテンション要素26Aを作動させることができ、その逆もまた同様である。
【0028】
さらに、
図5Aのスライドハウジングは、耐火遮蔽板8Aの両側に配置された第1および第2のばね要素22A、24Aを備える。各ばね要素22A、22Bは、好ましくは、Uばねクリップとして形作られる。各ばね要素22A、24Aは、言い換えれば、カニのはさみと同じように形作られていると説明することができる。各ばね要素22A、24Aは、対応するスライドハウジング6A上のシャフト上に枢動可能に配置されている。枢動部は、好ましくは対応するばね要素22A、24Aの中央位置に、U(カニのはさみ)の中央位置(頂点)に位置する。第1のばね要素22Aは、対応する第1の遮蔽板8Aの側壁の一部に対して置かれる一方の端部(Uの一方の分岐)、およびスライドハウジングユニット6Aにスライド可能に取り付けられている、プレテンション要素26A(例えば、スライド要素26A)に対して置かれる他方の端部(Uの他方の分岐)を有する。スライドユニット6Bがスライドハウジング6Aに対して変位すると、スライドユニット(図示せず)の捕捉要素40B(図示せず)は、スライド要素26A上に形成された突起42A、42Bと係合する。スライド要素26Aは、好ましくは、2つの当接端部間に延在するロッドによって少なくともガイドされる。ロッドは、スライド要素26A中に形成された開口部を通って延在することができる。スライド要素26Aは、好ましくは、ばね要素22Aの対応する分岐と摺動接触することが目的とされる1つの側面を有する。
【0029】
クランププロセス中、スライド要素26Aは、一方の当接端部から他方に向かって移動する。スライド要素26Aが第1のばね要素22Aの隣接する分岐に接触すると、第1のばね要素22Aは好ましくは回転を開始し、スライド要素26Aの並進運動は、第1のばね要素22Aのわずかな回転へと変換される。
【0030】
第1のばね要素22Aの他方の分岐が耐火遮蔽板8Aに対して当接すると、耐火板8Aは、ばね要素22Aの他方の分岐によって押される。スライド要素26Aがさらに移動されると、耐火遮蔽板は第2のばね要素24Aに対して押し付けられる。第2のばね要素24Aはまた、スライドハウジング6A上に枢動可能に配置することができる。第2のばね要素の回転の大きさは、当接要素28A(例えば、
図5Aに示すような挿入物、またはスライドハウジング6Aに一体的に形成される(図示せず))によって制限することができる。耐火板8Aの有効なクランプは、クランプ機構の要素間のすべての隙間がなくなったときに開始する。スライド要素26Aの長手方向の変位は、その凹部内の耐火遮蔽板を圧迫することを目的とする。この段階の後、スライド要素26Aのあらゆる追加的なストロークは、耐火遮蔽板8Aのプレストレスに変換される。クランププロセスの作動は、捕捉プロファイル要素40B(図示せず)が、スライド要素26A上に形成された突起42A、42Bから係脱されるときに達成される。係脱後、スライド要素26Aは、好ましくは、スライド要素26Aとばね要素22Aとの間の摩擦によって所定の位置に保持される。
【0031】
上述のスライドハウジング6Aの配置は、スライドユニット6Bに適用される。
【0032】
図5Aのクランプ機構に代わって、
図5Bのスライドハウジング6Aは、耐火遮蔽板8Aの一方の側にのみ配置された1つのばね要素22Aのみを備える。この代替案と前の実施形態との間の唯一の違いは、1つのばね要素22A、22Bのみが使用され、スライドハウジング6Aの、スライド要素26Aとは反対側に配置された当接要素28A(例えば、
図5Bに示すような挿入物、またはスライドハウジング6A内に一体的に形成される(図示せず))に対して耐火遮蔽板8Aが直接当接するという事実にある。この代替案のクランプ処理の間、ばね要素26Aの他方の分岐が耐火遮蔽板8Aに対して当接すると、耐火遮蔽板8Aは、耐火遮蔽板8Aが当接要素28Aに対して直接置かれるまで、ばね要素22Aの他方の分岐によって押されることに留意されたい。上述のスライドハウジング6Aの配置は、スライドユニット6Bに適用される。
【0033】
図6は、第1および第2の捕捉プロファイル要素(すなわち、協働要素)40A、40B間の協働を詳細に示し、
図3の拡大図として示される。各協働要素40A、40Bは、少なくとも1つの爪、好ましくは2つの爪に隣接するランプを備える。各捕捉プロファイル要素40A、40Bは、付勢要素(例えば、一対のコイルばね)を介して、対応するスライドハウジング6Aまたはユニット6Bに、弾性的に連結され、これにより対応する捕捉プロファイル要素40A、40Bを軸方向に付勢することができる。スライドユニット6Aがエンドストローク(
図3の左側)に位置決めされると、それぞれのスライド要素26A、26B上に形成された突起42A、42Bは、2つの隣接する爪によって形成された溝内に延在する。スライドユニット6Bがスライドハウジング6Aに対して変位すると、爪のうちの1つの側面は、それぞれのスライド要素26A、26Bが捕捉プロファイル要素40A、40Bの接触している爪によって長手方向に引っ張られるような方法で、突起42A、42Bの対応する側面と係合する。スライド要素26A、26Bが、第1または第2の耐火遮蔽板8A、8Bの締め付けの増加に続いてある程度のレベルの抵抗を示すと、捕捉プロファイル要素40A、40Bの付勢要素は、軸方向の捕捉プロファイル要素40、40B上の突起42A、42Bによって加えられる圧力からもたらされるもの以内の力によって圧縮される。軸方向の力は、突起42A、42B、および爪に対して選択されたプロファイルの形状に由来する。スライドハウジング6Bとスライドユニット6Aとの間の変位がある一定の大きさに達すると、突起42A、42Bは、捕捉プロファイル要素40A、40Bから係脱される。
【0034】
本発明は詳細に説明および例示されてきたが、これは例示のためであり、かつ実施例に過ぎず、また限定のために取り扱われるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の文言によってのみ限定されることが明確に理解される。