IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レニショウ パブリック リミテッド カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
G01D5/245 110X
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022129628
(22)【出願日】2022-08-16
(62)【分割の表示】P 2018528969の分割
【原出願日】2016-12-01
(65)【公開番号】P2022159437
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】15275245.7
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】15275246.5
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンレイ ジョナサン エヴァンス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ レイノルズ ヘンショウ
(72)【発明者】
【氏名】ステフィン リンゼイ トックネル
(72)【発明者】
【氏名】リチャード デイビッド ジェームズ ギアリング
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-132735(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049176(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3192874(JP,U)
【文献】特開2014-202615(JP,A)
【文献】特表2014-501930(JP,A)
【文献】特開平5-133732(JP,A)
【文献】特開昭54-126566(JP,A)
【文献】実開昭59-113706(JP,U)
【文献】特開2014-182054(JP,A)
【文献】実開平5-92625(JP,U)
【文献】特開平1-267415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/38
G01B 21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の第1および第2の部分の相対的な変位を測定するように機械に取り付けるための密封エンコーダモジュールであって、
前記密封エンコーダモジュールは、
スケール、
スケール信号レシーバを備える読み取りヘッド、および
少なくとも前記スケールと前記スケール信号レシーバとをカプセル化する保護ハウジング、を備え、
前記スケール信号レシーバは、前記読み取りヘッドの1つ以上の構成要素が収容される剛性の外部ケースを備え
前記剛性の外部ケースは、前記保護ハウジング内に配置された任意のワイヤおよび任意のプリント回路基板を含む前記スケール信号レシーバの電子部品の少なくともすべてをカプセル化し、それにより、保護ハウジング内にある密閉エンコーダモジュールの保護ハウジングに侵入する汚染から保護され、
前記保護ハウジングが、前記スケール信号レシーバを前記保護ハウジングの外側の一部に接続できるシールを備え、
前記読み取りヘッドが、前記保護ハウジングの前記シールを通って延びるブレード状部材を備え、前記ブレード状部材が、任意のワイヤが前記保護ハウジングの内側および外側の間を通過するための内部通路を備える、ことを特徴とする密封エンコーダモジュール。
【請求項2】
当該スケール信号レシーバは、当該スケールを感知するための光学素子を備え、前記光学素子は、当該密封エンコーダモジュールの前記保護ハウジングに侵入する汚染物から保護されるように、当該外部ケースに収容されていることを特徴とする請求項1に記載の密封エンコーダモジュール。
【請求項3】
前記光学素子が、センサ、エミッタ、レンズ、回折格子、ビームステアリングデバイス、ビーム分割器、およびミラーのうちの少なくとも1つを備えた、請求項2に記載の密封エンコーダモジュール。
【請求項4】
前記外部ケースが、前記1つ以上の構成要素が配置される空間を提供する、請求項1-3のいずれかに記載の密封エンコーダモジュール。
【請求項5】
前記外部ケースが、前記1つ以上の構成要素が取り付けられる構造を提供する、請求項1-4のいずれかに記載の密封エンコーダモジュール。
【請求項6】
前記密封エンコーダモジュールは、前記スケールを照明するための光源と、および前記スケールと同じ側に位置する前記スケールを検出するための検出器とを備えた反射型光学式エンコーダ装置を備え、前記外部ケースが前記光源および前記検出器を備えた、請求項1-5のいずれかに記載の密封エンコーダモジュール。
【請求項7】
前記外部ケースが少なくともIP44のIP定格を有する、請求項1-6のいずれかに記載の密封エンコーダモジュール。
【請求項8】
前記外部ケースが少なくともIP65のIP定格を有する、請求項1-7のいずれかに記載の密封エンコーダモジュール。
【請求項9】
前記外部ケースが少なくともIP67のIP定格を有する、請求項1-8のいずれかに記載の密封エンコーダモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置に関する。例えば、本発明は、密封エンコーダとして一般に知られているもの、また、一般に、封入エンコーダとしても知られているものに関する。
【背景技術】
【0002】
エンコーダは、機械の制御システムに、位置(または、その派生物、例えば、速度および/または加速度)のフィードバック、例えば、機械の他の部分に対する機械の一の部分の位置/動作のためのフィードバック制御を提供するために、多くの産業において使用されている。理解されるように、典型的には、機械の一部分にはスケール(目盛り)が設けられ、スケールを読み取るための読み取りヘッドが機械の他の部分に設けられ、スケールと読み取りヘッドの相対位置、したがって、機械の部分の相対位置が、エンコーダの測定次元に沿って読み取りヘッドによって検出される。
【0003】
このようなエンコーダによって利用される技術は、それらが使用される環境がクリーンで、且つ、汚染物、例えば、ごみ、埃、および湿気(例えば、油および/または水をベースにし得る)のないことを要求する可能性がある。スケールおよび/または読み取りヘッドの汚染は、エンコーダの性能に悪影響を及ぼす可能性がある。多くの産業において、エンコーダを使用するこのような機械は、適切にクリーンな環境で動作し、その場合には、一般に、「露出エンコーダ」(または「開封エンコーダ」)と呼ばれるものを使用することができる。露出/開封エンコーダの読み取りヘッドは、視覚的セットアップインジケータ(例えば、本出願人(Renishaw plc.)から入手可能な「TONiC(登録商標)」および「RESOLUTE(登録商標)」エンコーダを参照、また、特許文献1(US 5241173)および特許文献2(US 8505210)を参照)を備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5241173号明細書
【文献】米国特許第8505210号明細書
【文献】米国特許公開第2012/072169号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、作業環境がクリーンでなく、流体および固体のデブリ(破片)が支配的である工作機械産業のような場合がある。このような場合、そのような有害な環境に対して、エンコーダのスケールおよび読み取りヘッドを保護する必要がある。知られているように、これは、スケールおよび読み取りヘッドをかかる汚染から保護する密封された障壁をもたらすべく、本出願人(Renishaw plc.)から入手可能な「TONiC(登録商標)」または「RESOLUTE(登録商標)」エンコーダを覆うように、設置された露出/開封エンコーダの上に、カバーを配置することによって達成される。しかしながら、典型的には、これらの状況では、一般に、密封型(封入型としても知られる)エンコーダと呼ばれる、異なるタイプのエンコーダが使用される。このような密封された/封入されたエンコーダは、スケールと読み取りヘッドと一体型の保護ハウジングとを備え、保護ハウジングがスケールおよび読み取りヘッドの少なくともスケール信号受信部分を封入し、そしてこれらが一緒に、単一のモジュールとして提供され且つ設置されている。
【0006】
本発明は、改良されたエンコーダ装置を提供する。特に、本発明は、密封エンコーダの改良に関する。例えば、本発明によれば、スケール、読み取りヘッド、および保護ハウジング(例えば、一体型の保護ハウジング)を備えている密封エンコーダモジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、測定次元/自由度(例えば、線形または回転式であり得る)における、機械の第1および第2の部分の相対的な変位を測定するべく、機械に取り付けるための密封エンコーダモジュールが提供される。密封エンコーダモジュールは、スケール、スケール信号レシーバを備えている読み取りヘッド、および、少なくともスケールとスケール信号レシーバとをカプセル化する保護ハウジングとを備えることができる。密封エンコーダモジュールは、測定し、そして診断情報を出力するように構成されてもよい。診断情報は、特に、エンコーダモジュールの測定次元/自由度以外の少なくとも1つの次元/自由度におけるスケールとスケール信号レシーバとの相対的配置を示すものであってもよい。したがって、診断情報は、特に、エンコーダモジュールの測定次元/自由度以外の少なくとも1つの次元/自由度において、スケールとスケール信号レシーバの相対配置に依存することができる。密封エンコーダモジュールは、読み取りヘッドによって検出されたスケール信号に関する診断情報を測定して出力するように構成されてもよい。
【0008】
したがって、以下でより詳細に説明されるように、読み取りヘッドによって検出されるスケール信号は、エンコーダモジュールの測定次元/自由度以外の少なくとも1つの次元/自由度における、スケールとスケール信号レシーバの相対的配置に依存することができる。理解されるように、エンコーダモジュール(例えば、読み取りヘッド)はまた、スケールと読み取りヘッドの相対位置(すなわち、測定次元/自由度における位置情報)に関する情報を測定し出力するようにも構成される。したがって、エンコーダモジュールは、位置および診断情報の両方を測定して出力するように構成することができる。
【0009】
測定および診断情報を出力することは、例えば、スケールとは独立して配置されているスケール信号レシーバを有する密封エンコーダモジュールについて、以下により詳細に説明されるように、密封エンコーダモジュールの性能を監視するため、および/または密封エンコーダモジュールの設置/セットアップを助けるのに特に有用であることが判明している。
【0010】
したがって、密封エンコーダモジュールは、前記診断情報を測定するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。理解されるように、プロセッサは、特定のアプリケーション(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ「FPGA」)用に構成される特注のプロセッサに加えて、用いられるアプリケーションのニーズに応じて(例えば、ソフトウェアを介して)プログラムされ得る、より一般的なプロセッサを備えていることができる。少なくとも1つのプロセッサは、前記診断情報を測定するべく、読み取りヘッドによって検出されたスケール信号を分析するように構成され得る。この、または、他の少なくとも1つのプロセッサは、前記診断情報の出力を制御するように構成されてもよい。例えば、この、または、他の少なくとも1つのプロセッサは、スケール信号の前記分析の結果に基づいて、出力装置(例えば、視覚出力装置)の動作を制御するように、構成されてもよい。位置および診断情報は、同じまたは異なるプロセッサによって測定されてもよい。
【0011】
理解されるように、エンコーダモジュールは、測定され出力される診断情報が読み取りヘッドによって検出されるスケール信号の品質に関する情報を備えていることができるように、構成され得る。診断情報は、(例えば、測定次元/自由度における)位置情報、および、特に、例えば、信頼できるおよび/または正確な位置情報を提供するために、表現の適合性の尺度を提供することができる。前記診断情報を出力することは、スケール信号の品質を分析するように構成されたプロセスの結果として測定される少なくとも1つのパラメータに少なくとも部分的に基づいて、出力を提供することを備えていてもよい。例えば、視覚出力装置などの出力装置の制御は、前記少なくとも1つのパラメータに基づくことができる。
【0012】
診断情報出力は、複数の所定のカテゴリのうちの1つに限定されてもよい。そのようなカテゴリは、検出されたスケール信号の異なるレベルの品質を表すことができる。例えば、診断情報は、検出されたスケール信号が不良であるか良好であるかを示すべく、制限されてもよい。理解されるように、許容可能、および/または最適であるというような、追加的/代替的なカテゴリも利用可能であろう。したがって、エンコーダモジュールは、スケール信号が含まれるカテゴリを決定して出力するように構成されてもよい。例えば、検出されたスケール信号の品質を分析するプロセスを介して、少なくとも1つのパラメータが測定される実施形態では、この方法は、(例えば、所定の閾値の使用を介して)パラメータがどのカテゴリに入るかを決定することを備えることができる。選択肢として、発光体などの1つ以上の視覚出力装置が、決定されたカテゴリを反映する(例えば、放射される光の色が、決定されたカテゴリに依存する)ように制御されてもよい。
【0013】
理解されるように、診断情報は、必ずしも複数の所定のカテゴリのうちの1つに限定される必要はない。むしろ、例えば、少なくとも1つのパラメータが、検出されるスケール信号の品質を分析するプロセスを介して測定される実施形態では、測定された未加工のパラメータが診断情報として出力されてもよい。
【0014】
上述したように、診断情報は、特に、エンコーダモジュールの測定次元のもの以外の少なくとも1つの次元/自由度において、スケールとスケール信号レシーバの相対的配置に依存する(したがって、それを示している)。例えば、診断情報は、スケールおよびスケール信号レシーバの横方向の位置、ライドハイト、ピッチ、ロールまたはヨーのうちのいずれか1つ、任意の組み合わせ、またはすべてに互いに依存する(したがって、それらを示している)。したがって、例えば、診断情報は、スケールおよびスケール信号レシーバが、測定次元のそれ以外の少なくとも1つの自由度において、所望の相対的配置にあるときか、またはそうでないときかに依存する(したがって、それを示している)。そのような配置情報は、以下により詳細に説明されるように、スケールとは独立して配置されるスケール信号レシーバを有している実施形態にとって、特に有用である。
【0015】
選択肢として、スケールに関して移動可能なエンコーダモジュールの部分は、前記診断情報を測定して出力するように構成されてもよい。例えば、選択肢として、読み取りヘッドは、前記診断情報を測定して出力するように構成されてもよい。したがって、選択肢として、読み取りヘッドは前記少なくとも1つのプロセッサを備えていることができる。
【0016】
選択肢として、エンコーダモジュールは、1つ以上の人間が検知可能な信号の形態で、診断情報を出力するように構成される。密封エンコーダモジュールは、人間が検知可能な信号として前記診断情報を出力するための少なくとも1つの出力装置を備えることができる。前記出力装置は、前記診断情報を示している信号を出力してもよい。前記出力装置は、視覚的出力装置を備えることができる。前記出力装置は、光信号を放射するように構成されてもよい。選択肢として、少なくとも1つの出力装置が前記読み取りヘッドに設けられる。選択肢として、前記少なくとも1つの出力装置は、前記保護ハウジングに設けられる。以下でより詳細に説明されるように、読み取りヘッドは、読み取りヘッドを機械の第1および第2の可動部分のうちの1つに取り付けるために、前記保護ハウジングの外側の取り付け用ブロックを備え、そして前記出力装置は前記取り付け用ブロックに設けられてもよい。
【0017】
選択肢として、エンコーダモジュールは、診断情報を1つ以上の電子信号の形態で出力するように構成されている。例えば、エンコーダモジュールは、診断情報を外部装置に出力するように構成されてもよい。したがって、エンコーダモジュールは、前記電子信号をワイヤレスで、またはワイヤに沿って送信するためのインターフェースを備えることができる。
【0018】
スケール信号は、機械(測定次元/自由度において)の第1および第2の部分の相対変位の前記尺度を測定するために、スケールを検出するように構成されている(使用中には、使用されている)1つ以上の(例えば、読み取りヘッド内の)センサによって検出された信号であってもよい。スケール信号は、機械の第1および第2の部分の相対変位の前記尺度を測定するために用いられる、スケールからの検出信号であってもよい。スケール信号は、増分(インクリメンタル、incremental)スケール信号であってもよい。したがって、診断情報は、読み取りヘッドの増分(インクリメンタル)信号センサの出力から測定されてもよい。増分スケール信号は、干渉縞であり得る。スケール信号は、基準マーク信号であってもよい。したがって、診断情報は、読み取りヘッドの基準マーク信号センサの出力から測定されてもよい。スケール信号は、絶対(アブソリュート)スケール信号であってもよい。スケール信号は、スケールの画像(例えば、スケールの1次元または2次元の画像)であってもよい。したがって、診断情報は、読み取りヘッドの画像センサの出力から測定されてもよい。言い換えると、診断情報は、スケールの画像(例えば、1次元または2次元の画像)から測定されてもよい。
【0019】
選択肢として、診断情報を測定するために使用されるスケール信号は、相対変位の前記尺度を測定するために使用される信号ではない。選択肢として、診断情報が測定されるスケール信号は、その出力が機械の第1および第2の部分の相対変位の前記尺度を測定するために使用されるように構成されているセンサ以外の、少なくとも1つのセンサによって検出される。そのようなセンサは、「診断センサ」と呼ぶことができる。したがって、換言すれば、エンコーダモジュールは、機械の第1および第2の部分の相対変位の前記尺度を測定するためには、診断センサの出力が使用されないように構成されてもよい。
【0020】
理解されるように、保護ハウジングは、密封エンコーダモジュールの一体部分とされてもよい。スケールと読み取りヘッドの少なくとも1つは、保護ハウジングに取り付けられてもよい。密封エンコーダモジュールは、スケールおよびスケール信号レシーバの少なくとも1つが、保護ハウジングを介して、機械の一部分(その位置が密封エンコーダモジュールによって測定される)に取り付けられるように構成されてもよい。ハウジングは、機械の一部分に取り付けられるように構成されてもよい。保護ハウジングは、スケールおよび/またはスケール信号レシーバが、機械の一部分に取り付けられるように構成されている、1つ以上の取り付け用特徴部を備えることができる。したがって、選択肢として、保護ハウジングは、スケールと、エンコーダモジュールが取り付けられるように構成されている機械の部分との間に位置されてもよい。任意選択的に、保護ハウジングは、スケール信号レシーバと、エンコーダモジュールが取り付けられるように構成されている機械の部分との間に位置されてもよい。
【0021】
シール(例えば、少なくとも1つのシール用リップ)が、密封エンコーダモジュールの相対的に可動な部分の間に設けられてもよい。例えば、保護ハウジングと相対的に移動可能な読み取りヘッドとの間である(以下により詳細に説明される)。選択肢として、保護ハウジングは、複数の(例えば、第1および第2の)相対的に移動可能な部分を備えている。選択肢として、前記ハウジングの前記複数の(例えば、第1および第2の)相対的に可動な部分は、密封エンコーダモジュールによって相対位置が測定される、機械のそれぞれの異なる部分に取り付けられるように構成されている。シール(例えば、少なくとも1つのシール用リップ)が、保護ハウジングの相対的に可動な部分の間に設けられ得る。選択肢として、スケールは保護ハウジングの第1の部分に取り付けられ、そして読み取りヘッドは保護ハウジングの第2の部分に取り付けられてもよい。
【0022】
選択肢として、スケールまたはスケール信号レシーバは、機械のシャフトに取り付けられるように構成された保護ハウジングの第1の部分(例えば、シャフト部分)に取り付けられ、そしてスケールおよび信号レシーバの他方が取り付けられる保護ハウジングの第2の部分に対して回転可能に構成されている。選択肢として、少なくとも1つのコンプライアント(従順)な(compliant)シール用リングが、保護ハウジングの第1の部分と第2の部分との間に設けられる。選択肢として、第1および第2のコンプライアント(従順)なシール用リングが、保護ハウジングの第1の部分と第2の部分との間に設けられる。前記第1および第2のシール用リングは、スケール/スケール信号レシーバの反対側に設けられてもよい。
【0023】
スケール信号レシーバは、スケールおよび/またはスケールが取り付けられている保護ハウジングの部分に対して付勢され/支持するように構成されてもよい。したがって、密封エンコーダモジュールは、「一体型ベアリング」(したがって、「一体型ベアリング」または「ガイド型」のエンコーダモジュールとして知られているもの)を備えていることができる。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。例えば、保護ハウジング内へのスケール信号レシーバの配列は、スケールおよび保護ハウジングから独立していてもよい。したがって、エンコーダモジュールは、「一体型ベアリングなし」である、すなわち、「ベアリングレス」のエンコーダモジュールであると説明されてもよい。したがって、理解されるように、スケール信号レシーバはまた、「外部的に制約されている」または「案内されていない」とも説明されることもできる。これを見るもう1つの方法は、スケール信号レシーバが、保護ハウジングの内部に懸架保持されている(換言すれば、懸架された状態にある)ということである。
【0024】
選択肢として、スケール信号レシーバおよび保護ハウジングは、スケールの測定次元に沿って互いに対して移動可能である。選択肢として、スケール信号レシーバは、保護ハウジングの内部に配置されて(そして、それにより保護され)てもよいが、保護ハウジングには取り付けられない。選択肢として、シールは、スケール信号レシーバと保護ハウジングとのスケールの測定次元に沿う相対移動を可能にする。したがって、以下により詳細に説明されるように、シールは測定次元に沿って延在していてもよい。シールはまた、スケール信号レシーバと保護ハウジングとのいくらかの相対運動を他の次元でも受容することができる。
【0025】
選択肢として、(エンコーダの測定次元に沿う以外の少なくとも1つの自由度における)スケールおよびスケール信号レシーバの配列は、選択的に調整可能である。例えば、選択肢として、スケールとスケール信号レシーバの横方向の位置、ライドハイト、互いに関してのピッチ、ロールまたはヨーのうちの少なくとも1つまたは任意の組合せは、選択的に調整されてもよい。したがって、選択肢として、エンコーダモジュールは、そのような調整を容易にする調整機構を備えることができる。追加的または代替的に、このような調整は、スケールおよび/または読み取りヘッドが機械のそれぞれの部分に取り付けられる特徴部によって容易にされてもよい。例えば、スケールおよび/または読み取りヘッドが機械のそれぞれの部分に取り付けられる特徴部は、スケールおよびスケール信号レシーバの前記少なくとも1つの自由度における位置関係において、いくらかの柔軟性を可能にし得る。このような調整可能性は、保護ハウジング内のスケール信号レシーバの配列が、スケールおよび保護ハウジングとは独立している(例えば、「一体型ベアリングなし」/「案内されていない」/「ベアリングレス」/「外部から制約されている」など)実施形態において特に有用である。
【0026】
選択肢として、スケール信号レシーバは、保護ハウジングの内部に配置され(そして、保護され)るが、保護ハウジングには取り付けられない。この場合、保護ハウジングはシールを備えることができ、それを通して保護ハウジングの外側の部分にスケール信号レシーバが接続され得る。理解されるように、スケール信号レシーバが接続されるべく構成され得る保護ハウジングの外側の部分は、機械の一部分であってもよく、機械の(スケールが固定されている)他の部分に相対する位置/移動が測定される。スケール信号レシーバは、マウント部材を介して、保護ハウジングの外側に位置されている機械の一部分に接続されてもよい。保護ハウジング内のスケール信号レシーバの配列がスケールおよび保護ハウジングから独立している実施形態では、スケール信号レシーバは、保護ハウジングの外側に位置される機械の一部分に堅固に接続されてもよい。したがって、マウント部材は、剛性のマウント部材とされてもよい。したがって、前記剛性の接続/剛性のマウント部材は、保護ハウジング内のスケール信号レシーバの位置および向きが、6つの自由度のすべてにおいて、スケール信号レシーバが取り付けられるべく構成されている保護ハウジングの外側の部分によって指示され得る(および、習得される)。例えば、読み取りヘッドが(以下に説明する)取り付け用特徴部を備える実施形態では、保護ハウジング内のスケール信号レシーバの位置および向きは、6自由度のすべてで、取り付け用特徴部によって指示され得る(および習得される)(例えば、前記取り付け用特徴部が設けられている取り付け用ブロックによって指示される/習得される)。例えば、スケール信号レシーバは、シールを通過する剛性の読み取りヘッドマウント部材に堅固に固定されてもよい。したがって、スケール信号レシーバのシールの第1の側(保護ハウジング内)の位置および向きは、読み取りヘッドマウントによって指示され(および、習得される)得る。
【0027】
選択肢として、保護ハウジングは、スケール信号レシーバを介して機械の一部分に取り付けることができる、少なくとも1つの(例えば、細長い、選択肢として、線形の)コンプライアント(従順)なシール部材を備えている。
【0028】
前記マウントは、スケール信号レシーバが取り付けられる機械の部分によって提供され得る。例えば、機械自体は、保護ハウジングに挿入され、スケール信号レシーバに接続される(剛性の)取り付け用ブラケットを備えることができる。選択肢として、読み取りヘッドは、読み取りヘッドを機械の一部分に固定するために、保護ハウジングの外側に配置された1つ以上の取り付け用特徴部を備えている読み取りヘッドマウントを備えることができる。理解されるように、読み取りヘッドは、機械の一部分に解放可能に固定されるように構成されてもよい。1つ以上の取り付け用特徴部は、取り付け用ブロックに設けられ得る。取り付け用特徴部は、例えば、解放可能な締結具(例えば、ボルト)が中へおよび/またはそこを通過する(および任意選択的には係合する)孔を備えていることができる。理解されるように、読み取りヘッドのスケール信号レシーバは、読取りヘッドマウント(これは、上述のように、スケール信号レシーバと保護ハウジングの外側の部分との間の堅固な接続を保証するようにされてもよい)に堅固に接続されてもよい。理解されるように、スケール信号レシーバ、読み取りヘッドマウントおよびブレードは、単一のモノリシック構造として形成されてもよく、または互いに強固に接続された複数の別個に形成されたユニットを備えていてもよい。
【0029】
マウントは、シールを通って延びるように構成された(例えば、剛性の)ブレード状部材を備えることができる。読み取りヘッドが上記のような読み取りヘッドマウントを備える実施形態では、ブレード状部材は、保護ハウジングの内側に配置されているスケール信号レシーバと保護ハウジングの外側に配置されている取り付け用特徴部との間のシールを通って延在することができる。ブレード状部材は、第1および第2の縁部(換言すると、前縁および後縁)を備えることができる。ブレード状部材は、第1および第2の端部に向かって先細りになっていてもよい。ブレード状部材は、保護ハウジングの内側と外側との間を、例えば、スケール信号レシーバと、1つ以上の取り付け用特徴部が設けられている取り付け用ブロックとの間を通過するワイヤおよび/または空気用の内部の通路/チャネルを備えることができる。
【0030】
保護ハウジングは、保護ハウジングを機械の一部分(例えば、スケール信号レシーバが取り付けられるように構成されている機械の異なる部分に、機械の前記部分は互いに対して相対的に移動可能である)に取り付けるための1つ以上の取り付け用特徴部を備えてもよい。前記1つ以上の取り付け用特徴部は、保護ハウジングの取り外し可能な取り付けを容易にするように構成されてもよい。取り付け用特徴部は、解放可能な締結具(例えば、ボルト)が中へおよび/またはそこを通って延在する(および選択肢として、係合する)ことができる孔であってもよい。
【0031】
理解されるように、スケール信号レシーバは、スケールから信号を受信する、保護ハウジングの内側に配置された読取りヘッドの一部分であってもよい。スケール信号レシーバは、スケール信号と相互作用する、例えば、スケール信号を検出し、および/またはスケール信号が検出される前にスケール信号を操作するように、1つ以上の構成要素を備えていることができる。例えば、光学式エンコーダの場合、スケール信号レシーバは、回折光学素子および/または屈折光学素子などの1つ以上の光学素子を備えることができる。例えば、スケール信号レシーバは、1つ以上のレンズおよび/または1つ以上の回折格子を備えることができる。スケール信号レシーバは、スケール信号を別の構成要素に導くための1つ以上の信号ガイドを備えることができる。例えば、光学式エンコーダの場合、スケール信号レシーバは、ウエーブガイド、例えば、光ガイド(例えば、光ファイバー)備えてもよい。信号ガイドは、スケール信号と相互作用する、例えば、スケール信号を操作する、次の構成要素にスケール信号を搬送するように構成されてもよい。信号ガイドは、スケール信号を検出するように構成されている1つ以上の検出器/センサ、例えば、トランスデューサに、スケール信号を搬送するように構成されてもよい。
【0032】
選択肢として、読み取りヘッドは、スケール信号(上述したように、読み取りヘッドの1つ以上の構成要素によって操作されたものであるか、そうでなくてもよい)を感知するための1つ以上のセンサを備えている。センサは、複数のセンサ素子、例えば、センサ素子のアレイを備えていてもよい。スケール信号レシーバは、センサを備えることができる。選択肢として、センサは、読み取りヘッドの他の場所に配置されていてもよい。例えば、センサは、保護ハウジングの外側に配置されている読み取りヘッドの一部分に配置されてもよい。例えば、読み取りヘッドが取り付け用ブロックを備えている(以下に詳細に説明される)実施形態では、センサ(および実際には、上述の他の任意の構成要素)は、取り付け用ブロックに配置されてもよい。
【0033】
スケール信号レシーバが外部ケーシングを備える実施形態(以下により詳細に記載される)では、スケール信号レシーバは、スケールからの信号をスケール信号レシーバに入力させるのを可能にする1つ以上の特徴部を備えることができる。例えば、光学式エンコーダの場合、スケール信号レシーバはウィンドウを備えることができる。
【0034】
読み取りヘッドは、スケールに向かってエネルギーを放出するための1つ以上のエミッタを備えることができる。例えば、読み取りヘッドは、スケールを(例えば、赤外線範囲から紫外線範囲の光で)照らすように構成された少なくとも1つの光源を備えていることができる。スケール信号レシーバは、前記1つ以上のエミッタを備えることができる。選択肢として、前記1つ以上のエミッタは、読み取りヘッドの別の部分(例えば、取り付け用ブロックによるなどの保護ハウジングの外側)によって提供されてもよい。
【0035】
選択肢として、読み取りヘッド、例えば、スケール信号レシーバ(例えば、そのセンサ(単数または複数))が、スケールから来る光によって生成された信号を検出するように構成される。選択肢として、光はスケールを通って透過される。選択肢として、光はスケールから反射される。したがって、選択肢として、読み取りヘッド、例えば、スケール信号レシーバは、エミッタ(例えば、光源)およびセンサを備えている。エミッタおよびセンサは、スケールの同じ側に配置されてもよい。したがって、エンコーダは、反射エンコーダ装置であってもよい。
【0036】
理解されるように、スケールは、変位、位置(または、その派生物、例えば、速度および/または加速度)を測定するために、読取りヘッドによって読み取られ得るいくつかの形態の特徴部/マーキングを有するであろう。そのような特徴部は、パターンを画定してもよい。例えば、増分(インクリメンタル)スケールは、周期的なパターンを画定し、そして、(例えば、スケールと読み取りヘッドとの間に相対的な動きが生じたとき)読み取りヘッドで周期的な信号を発生させるために使用され得る、スケール特徴部/マークを備えることができる。スケールは、細長くてもよい。スケールは、特徴部/マーキングがその内部および/またはその上部に形成される基板を備えることができる。
【0037】
選択肢として、エンコーダ装置は、回折ベースのエンコーダ装置である。選択肢として、スケールは、(紫外から赤外の範囲の)光を回折するように構成された特徴部を備え、それは次に、読み取りヘッド内のセンサに結果の信号を形成するために使用される。選択肢として、読み取りヘッドは、読み取りヘッドアセンブリ内のセンサに信号を形成するために、スケールの前および/または後で、光と相互作用するように構成された1つ以上の光学素子を備えている。選択肢として、読み取りヘッドは、1つ以上のレンズおよび/または1つ以上の回折格子を備えている。選択肢として、読み取りヘッドは、読み取りヘッド内のセンサに干渉縞を形成するために、スケールからの光と相互作用するように構成された回折格子を備えている。選択肢として、センサは、各組が干渉縞の異なる位相を検出するように構成されている、2つ以上の互いに組み合わされた(interdigitated)センサの組を備える電子格子(electrograting)を備えている。
【0038】
選択肢として、スケールは、スケールの長さに沿う一連の(例えば、連続した)一意的に識別可能な、位置を画定する絶対スケール特徴部を備えている。
【0039】
選択肢として、読み取りヘッドは、スケールの画像を検出するように構成されている。選択肢として、読み取りヘッド(例えば、スケール信号レシーバ)は、センサにスケールの画像を形成するように構成された少なくとも1つの結像光学素子を備えている。選択肢として、読み取りヘッドは、画像を取り込むのに適した少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのCCD(Charge-Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサを備えている。
【0040】
理解されるように、本出願における光学への言及および光への言及は、紫外から赤外線の範囲(包括的)の電磁放射(EMR)を指すものとする。
【0041】
理解されるように、読取りヘッドは、スケール信号レシーバとスケールの相対位置に関する情報(本明細書では「位置情報」と呼ぶ)を測定して出力するように構成されてもよい。選択肢として、読み取りヘッドは、例えば、前記位置情報を形成するために、1つ以上の検出器/センサからの出力を処理するように構成された1つ以上のプロセッサ装置を備えている。位置信号は、増分位置情報とされてもよい。例えば、位置信号は直角位相(quadrature)信号を備えることができる。選択肢として、位置信号は、絶対位置情報を備えている。前記1つ以上のプロセッサ装置は、スケール信号レシーバおよび/または読取りヘッドアセンブリの別の部分(例えば、読み取りヘッドマウント内)に配置されてもよい。
【0042】
エンコーダ装置は、磁気式、誘導式、容量式、および/または光学式のエンコーダ装置から成ってもよい。したがって、スケールは、磁気的、誘導的、容量的、および/または光学的スケールを備えることができる。選択肢として、エンコーダ装置は、光学式エンコーダ装置から成ってもよい。
【0043】
スケールは、ロータリスケールであってもよい。ロータリスケールは、一般にディスクスケール(スケール特徴部がディスクの面に設けられているもの)と呼ばれるものであってもよい。ロータリスケールは、一般にリングスケールと呼ばれるもの(スケール特徴部がディスクの周縁部に設けられているもの)であってもよい。選択肢として、スケールは円弧状である。選択肢として、スケールは線形スケールを備えていることができる。
【0044】
選択肢として、エンコーダモジュールは、0.1mm以上、例えば0.2mm以上、例えば0.5mm以上の公称ライドハイト(ride-height)を有している。選択肢として、エンコーダ装置は、5mm以下、例えば2mm以下、例えば1mm以下の公称ライドハイトを有する。選択肢として、エンコーダモジュールの許容されるライドハイト変動(「公差」)は、+/-50μm(ミクロン)以上、選択肢として、+/-75μm(ミクロン)以上、例えば、少なくとも+/-100μm(ミクロン)である。
【0045】
保護ハウジングは、細長くてもよい。保護ハウジングは実質的に真っ直ぐであってもよい。保護ハウジングは、実質的に管状の形態を備えていることができる。前記管状の保護ハウジングの断面形状は、必ずしも円形である必要はなく、例えば他の規則的または不規則な形状を備えていることもできる。例えば、前記管状の保護ハウジングの断面形状は、実質的に長方形であってもよい。任意選択的に、保護ハウジングは円形、例えば環状、例えばリング形状である。
【0046】
前記シールは、エンコーダ装置の測定次元に沿って延在することができる。選択肢として、シールは、例えば、保護ハウジングのギャップにわたる、および/または、例えば、保護ハウジング内の正の(例えば、空気の)圧力を介してのガスの流れによってもたらされる。選択肢として、シールは物理的バリアを備えている。シールは、複数の、例えば、一対のシール部材を備えることができる。例えば、シールは、複数の(例えば、1対の)シール用リップ(例えば、細長いまたは環状/リング状であり得る)を備えることができる。スケール信号レシーバが、マウント部材を介して、保護ハウジングの外側に配置される、機械の一部分に接続されるように構成され得る実施形態では、マウント部材は、シールを、例えば、シール用リップの間を通過することもでき得る。例えば、上述のブレード状部材は、当該シールを、例えば、シール用リップの間を通過し得る。
【0047】
選択肢として、シール(例えば、シール用リップ)はコンプライアント(従順)である。選択肢として、シール(例えば、シール用リップ)は、弾性的である。例えば、シール(例えば、シール用リップ))は、エンコーダモジュールの相対的に可動な部分の相対的な動きを可能にするように、十分にコンプライアント(従順)である。例えば、シールは、例えば、部材、例えば、ブレード状部材と保護ハウジング/シールとが互いに相対的に移動することを可能にすることによって、スケール/保護ハウジングとスケール信号レシーバとの相対的な移動を可能にし得る。選択肢として、シール(例えば、シール用リップ)は、シールされた構成に向けてそれらの弾力によって付勢されている。シール(例えば、シール用リップ))は、例えば、熱可塑性ポリウレタンのようなポリウレタン、および/またはフッ素化エラストマーから成ってもよい。
【0048】
読み取りヘッドは、少なくとも1つの振動制御装置を備えることができる。そのような装置は、スケール信号レシーバがスケールとは独立に(例えば、「外部的に制約されている」)配列されている、以下でより詳細に説明される実施形態に対し、特に、有益であり得る。理解されるように、そのような振動制御装置は、(例えば、スケール信号レシーバの)読み取りヘッドの振動に対する感受性を低減するように構成されてもよい。振動制御装置は、外部励振のせいで、システムの少なくとも一部分(例えば、読み取りヘッドのスケール信号レシーバ)の応答を低減するように構成された装置とされてもよい。振動制御装置は、読み取りヘッドとは独立して、例えば、スケール信号レシーバとは独立して振動するように、構成された少なくとも1つの部材を備えることができる。振動制御装置は、保護ハウジングの内部に配置された、読取りヘッドアセンブリの部分(例えば、スケール信号レシーバm)とは独立した共振周波数で構成されている、少なくとも1つの部材を備えることができる。選択肢として、振動制御装置は、保護ハウジングの内部に配置された読み取りヘッドの部分とは異なる、(例えば、スケール信号レシーバのものとは異なる)共振周波数で構成された少なくとも1つの部材を備えている。
【0049】
振動制御装置は、同調質量ダンパを備えることができる。同調質量ダンパは、それが設置されている読み取りヘッドアセンブリの少なくとも一部分(例えば、少なくともスケール信号レシーバの部分)の振動の大きさを、その部品の共振周波数およびその周辺で低減するように調整されてもよい。同調質量ダンパは、少なくとも1つのばね要素を備えることができる。同調質量ダンパは、少なくとも1つのダンパ要素を備えることができる。同調質量ダンパは、少なくとも1つの質量要素を備えることができる。少なくとも1つのばねの剛性「k」、少なくとも1つのダンパの減衰係数「c」および少なくとも1つの質量の質量「m」は、それが設置されている読み取りヘッドアセンブリの少なくとも部分(例えば。少なくともスケール信号レシーバの)振動の大きさを、その部分の共振周波数およびその周りで低減するように選択(換言すると、調整)されてもよい。
【0050】
スケール信号レシーバは、外部ケースを備えていることができる。外部ケースは、保護ハウジングの内部に配置されるスケール信号レシーバの構成要素を、保護ハウジングにたまたま侵入する汚染物(例えば、切粉や冷却液などの固体または流体、または例えば、水分)から保護するように構成されてもよい。特に、外部ケースは、流体、例えば、液体に対して保護を提供するように構成されてもよい。前記外部ケースは、前記構成要素をカプセル化してもよい。前記構成要素は、任意のワイヤおよび/または任意のプリント回路基板を含む電気的構成要素を備えることができる。前記構成要素は、スケール信号と相互作用するように構成されている上述の構成要素を備えていることができる。外部ケースは、密封された本体、例えば、密封されたケースとされてもよい。
【0051】
したがって、スケール信号レシーバのセンサ構成要素は、密封された本体/外部ケース内に収容され得る。換言すれば、例えば、スケール信号の検出に使用されるスケール信号レシーバの電気的構成要素および/または他の構成要素は、密封された本体/外部ケース内に収容され得る。例えば、光学式エンコーダ装置の場合には、レンズ、回折格子、ビームステアリング装置、またはビームディバイダなどの光学素子が、密封された本体/外部ケースに収容されてもよい。読み取りヘッドのエミッタ(例えば、発光体)は、密封された本体/外部ケース内に収容され得る。密封された本体/外部ケースのウィンドウ(例えば、密封ウィンドウ)が、スケール信号が密封された本体/外部ケースに入ることを可能にするために設けられてもよい。
【0052】
外部ケースのさらなる任意選択的な特徴が、本発明の第2の態様に関連して以下に説明される。簡潔化のためにここでは繰り返されないが、本発明の第1の態様および他の態様に等しく適用可能であり、逆もまたしかりである。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、機械の第1および第2の部分の相対変位を測定するために、機械に取り付ける密封エンコーダモジュールが提供され、密封エンコーダモジュールは、スケールと、スケール信号レシーバを備える読み取りヘッドと、少なくともスケールおよび前記スケール信号レシーバをカプセル化する保護ハウジングとを備え、スケール信号レシーバは、読み取りヘッドの1つ以上の構成要素が内部に収容される外部ケースを備えている。
【0054】
スケール信号レシーバに外部ケースを設けることは、スケール信号検出器の1つ以上の構成要素(すなわち、スケール信号の検出に効果的な構成要素、例えば、電子構成要素および/またはスケールからの信号を感知および/または操作するような、生成および/または相互作用のために使用される他の構成要素)が、喩え汚染物が保護ハウジングの内部に入ることができるとしても、保護されるのを保証する助けとなる。特に、外部ケースは、流体、例えば、液体に対して保護を提供するように構成されてもよい。これにより、エンコーダ装置の信頼性および寿命を向上させることができる。そのような構成要素は、任意のワイヤおよび/または任意のプリント回路基板を含んでいる電子構成要素を備えることができる。そのような構成要素はセンサを備えることができる。そのような構成要素は、スケール信号と相互作用する(例えば、読み取りヘッドのセンサによって感知される前にスケールから信号を操作するために使用される)構成要素を備えることができる。そのような構成要素は、エミッタ、例えば、スケールを照らすための発光体を備えることができる。エンコーダ装置が光学式エンコーダ装置を備えている場合、スケール信号レシーバの光学的な構成要素もまた、前記外部ケース内に配置されてもよい。
【0055】
外部ケースは、剛性のケースとされてもよい。このような剛性のケースは、保護ハウジングに入る固体物に対して、(任意のワイヤおよび/または任意のプリント回路基板を含む)1つ以上の構成要素を保護するように構成されてもよい。外部ケースは、実質的に箱状であってもよい。例えば、それは、概略的に、長方形断面輪郭を有していてもよい。外部ケースは、スケール信号レシーバの1つ以上の構成要素が配置される空間/内部容積を提供することができる。外部ケースは、スケール信号レシーバの1つ以上の構成要素が取り付けられる構造体(例えば、耐力構造体)を提供することができる。外部ケースは、機械の第1および第2の部分のうちの一方に取り付けられ得る(構成され得る)。これは、保護ハウジングを介して行うことができる。これは、読み取りヘッドマウントを介して、例えば、本発明の他の態様に関連して上述された通りである。例えば、外部ケースは、機械の第1および第2の部分のうちの一方に、取り付け用ブロックを介して取り付けられ得る。保護ハウジングがシールを備え、それを通して、スケール信号レシーバが保護ハウジングの外側の部分に接続され得る実施形態では、外部ケースは、シールを通って延在する部分を備えることができる。例えば、(上述したような)ブレード状部材が存在する実施形態においては、ブレード状部材は、外部ケースの一部分とされてもよい。特に、ブレード状部材は、ワイヤまたは他の電気的/光学的な構成要素を含み、保護ハウジングに入る汚染物から保護することができる。
【0056】
理解されるように、外部ケースは、複数の構成要素、例えば、本体および蓋を備え、これらは共に、読取りヘッドの1つ以上の構成要素が内部に収容される内部容積を画定している。
【0057】
外部ケースは、保護ハウジング内に配置されるスケール信号レシーバの任意のワイヤおよび任意のプリント回路基板を含む、少なくともすべての電子部品をカプセル化できる。光学式エンコーダの場合、外部ケースは、スケール信号がそこを通ってケーシングに入り、および/または発光体からの光が外部ケースからスケールに向かってそこを通って出て行く、1つ以上のウィンドウの外側を除いて、スケール信号の検出に使用される光学素子のすべて(例えば、1つ以上のレンズ、回折格子、ビームスプリッタ、光源、およびビームステアラの任意の組み合わせ)をカプセル化してもよい。したがって、理解されるように、このようなウィンドウはいずれも、外部ケースの一部分を形成することができる。選択肢として、(例えば、電子部品の裸の電子機器を遮蔽する)保護シェルまたは本体を備えている任意の電子部品は、それ自体が、外部ケースの一部分を形成することができる。
【0058】
エンコーダ装置は、反射光学式エンコーダ装置から成ることができる。そのような実施形態では、スケールを照らすための光源と、スケールを検出するための検出器が、スケールの同じ側に配置されてもよい。そのような実施形態では、同じ(例えば、単一の)外部ケースが、光源と検出器とを備えることができる。
【0059】
好ましくは、外部ケースは、国際保護マーキング(また、進入保護マーキングとして知られている)、国際電子工学委員会(International Electrotechnical Commission(IEC)の規格60529に従って、少なくともレベル4の固体粒子保護と、少なくともレベル4の液体進入保護とを提供する。言い換えれば、好ましくは、外部ケースは、少なくともIP44のIP定格を有している。外部ケースは、少なくともレベル5、任意選択的に、少なくともレベル6までの固体粒子保護を提供してもよい。外部ケースは、少なくともレベル5、任意選択的に、少なくともレベル6、例えば、少なくともレベル7までの液体進入保護を提供してもよい。換言すると、外部ケースは、IPxyのIP定格を有することができ、ここで、x(固体粒子保護に関連する)は、少なくとも4(例えば4~6)であり、且つ、y(液体進入保護に関連する)は、少なくとも4(例えば、4~7)である。理解されるように、本発明の他の態様に関連して、上記および下記で説明された特徴は、本発明のこの態様にも等しく適用可能であり、逆もまた同様である。
【0060】
本発明の第3の態様によれば、互いに相対的に移動可能なスケールおよび読み取りヘッドアセンブリを備え、読み取りヘッドアセンブリは、スケール信号レシーバを備え、スケールおよびスケール信号レシーバは、保護ハウジングの外側に配置される汚染物からそれらを保護するように構成されている保護ハウジング内に配置されており、且つ保護ハウジングはシールを備えており、これを通して、スケール信号レシーバが保護ハウジングの外側の部分に接続され得、保護ハウジングの内部のスケール信号レシーバの配列は、スケールおよび保護ハウジングとは独立であることを特徴とするエンコーダ装置が提供される。理解されるように、本発明の他の態様に関連して、上記および下記で説明された特徴は、本発明のこの態様に等しく適用可能であり、逆もまた同様である。
【0061】
本発明の第4の態様によれば、読み取りヘッドアセンブリの少なくとも1つの部分(例えば、スケール信号レシーバ部分)の振動に対する感受性を低減するように構成された少なくとも1つの振動制御装置を備える、エンコーダ装置用の読み取りヘッドアセンブリ(例えば、スケール特徴部を検出するための少なくとも1つのセンサを備えている)が提供される。したがって、本出願は、スケール特徴部を検出するための少なくとも1つのセンサと、読み取りヘッドの残部とは独立して振動するように構成された少なくとも1つの振動制御装置とを備えるエンコーダ装置用の読み取りヘッドを記載している。少なくとも1つの振動制御装置を読み取りヘッドに設けることにより、それが取り付けられている機械から伝達される振動を制御することができる。これは、読み取りヘッドが、振動の影響を受け易い構造体を介して(例えば、細長い部材を介して)、機械に取り付けられている場合に特に有用である。理解されるように、本発明の他の態様に関連して上記および下記で説明される特徴は、本発明のこの態様に等しく適用可能であり、逆もまた同様である。したがって、例えば、読み取りヘッドは、スケール信号レシーバを備えることができる。スケール信号レシーバは、少なくとも1つの振動制御装置を備えることができる。スケール信号レシーバが、細長いブレードを介して取り付けられる実施形態では、スケール信号レシーバおよび/または細長いブレードは、少なくとも1つの振動制御装置を備えることができる。
【0062】
本発明の第5の態様によれば、上述したような、エンコーダ装置および/または読み取りヘッドを備える機械が提供される。
【0063】
本発明の別の態様によれば、第1の自由度で機械の2つの相対的に可動な部分の相対的位置を測定するための密封エンコーダモジュールをセットアップする方法が提供され、密封エンコーダモジュールは、スケールと、スケール信号レシーバを備える読み取りヘッドと、少なくともスケールと前記スケール信号レシーバをカプセル化する一体型保護ハウジングとを備え、密封エンコーダモジュールは、診断情報を測定して出力するように構成されており、当該方法は、スケールとスケール信号レシーバが第1の自由度以外の少なくとも1つの自由度で所望の相対位置関係にあるかを測定するために、前記診断情報を使用することを備えている。当該方法は、スケールとスケール信号レシーバが第1の自由度以外の少なくとも1つの自由度で所望の相対位置関係にないという指示に応答して、スケールとスケール信号レシーバの相対位置を調整するオペレータを備えることができる。上記および下記の説明によれば、診断情報は、発光体を介してオペレータに提示される。したがって、本方法は、発光体の出力に応答して、例えば、発光体によって放出された光の色に応答して、スケールおよびスケール信号レシーバの相対位置を調整するオペレータを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明の実施形態が、添付の図面を参照して、単なる例として説明される。
図1a図1aは、本発明の一態様による密封エンコーダを概略的に示されている。
図1b図1bは、図1aの密封されたエンコーダを模式的に示しており、保護ハウジングの内部に配置されたスケールおよびスケールセンサアセンブリを示すために、保護ハウジングの一部が切り欠かれている。
図1c図1cは、図1aの密封エンコーダ装置を通る断面図である。
図1d図1dは、図1aの密封エンコーダを模式的に示しており、保護ハウジングの内部に配置されたスケールおよびスケールセンサアセンブリを示すために、保護ハウジングの一部が切り欠かれている。
図2a図2aは、本発明の一態様による密封エンコーダ装置の別の実施形態の概略図であり、保護ハウジングの内部に配置されたスケールおよびスケールセンサアセンブリを示すために、保護ハウジングの一部が切り欠かれている。
図2b図2bは、本発明の一態様による密封エンコーダ装置の別の実施形態の概略図であり、保護ハウジングの内部に配置されたスケールおよびスケールセンサアセンブリを示すために、保護ハウジングの一部が切り欠かれている。
図2c図2cは、図2aおよび図2bの密封エンコーダ装置の断面図である。
図2d図2dは、密封エンコーダ装置の別の実施形態の断面図である。
図3図3は、密封エンコーダと共に使用するのに適した読取りヘッドアセンブリの別の代替実施形態の図であり、その内部の構成要素を露出させるべく、信号受信モジュールの一部が切り取られている。
図4図4は、図3の密封エンコーダ装置の信号受信モジュールの図である。
図5図5は、図3および図4の信号受信モジュールに使用される、同調質量ダンパ(tuned mass damper)の図である。
図6a図6aは、読取りヘッドアセンブリに振動制御装置を実装する別の方法を示している。
図6b図6bは、読取りヘッドアセンブリに振動制御装置を実装する別の方法を示している。
図7a図7aは、読取りヘッドアセンブリに振動制御装置を実装するさらに別の方法を示している。
図7b図7bは、読取りヘッドアセンブリに振動制御装置を実装するさらに別の方法を示している。
図8a図8aは、振動制御装置を実装するさらなる方法を概略的に示す図である。
図8b図8bは、振動制御装置を実装するさらなる方法を概略的に示す図である。
図8c図8cは、振動制御装置を実装するさらなる方法を概略的に示す図である。
図9a図9aは、本発明の回転式の実施形態を概略的に示す図である。
図9b図9bは、本発明の回転式の実施形態を概略的に示す図である。
図10a図10aは、本発明によるロータリエンコーダ実装の別の実施形態を示している。
図10b図10bは、本発明によるロータリエンコーダ実装の別の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0065】
最初に図2aないし図2dを参照するに、本発明による密封エンコーダモジュール102が示されている。密封エンコーダモジュール102は、複数の特徴部(図示せず)を有するスケール104と、スケールから信号を受信するスケール信号レシーバ106を備える読み取りヘッドアセンブリ103とを備えている。記載された実施形態では、密封エンコーダモジュール102は、読取りヘッドアセンブリ103がスケール104を読み取るために赤外線~紫外線範囲の電磁放射(EMR)を利用するという点で、光学式エンコーダである。特に、この記載された実施形態では、位置測定エンコーダ装置は光学式アブソリュートエンコーダである。したがって、スケールは、一連の一意に識別可能な特徴部、例えば、読取りヘッドアセンブリ103が読取り且つスケール104の長さに沿った固有の位置を測定すべく処理することができるコード、を備えている。しかしながら、理解されるように、位置測定エンコーダ装置は、必ずしもアブソリュートエンコーダである必要はない。例えば、それは、増分(インクリメンタル)光学式エンコーダであってもよい。さらに、エンコーダ装置は、光学式エンコーダである必要はなく、例えば、エンコーダ装置は、磁気(magnetic)エンコーダ、または例えば、誘導(inductive)エンコーダであってもよい。
【0066】
読取りヘッドアセンブリ103は、外部プロセッサ装置(図示せず)と通信する。例えば、説明される実施形態では、無線接続ではなく物理的接続(例えば、ケーブル105)から成る通信チャネルを介しての、コントローラである。通信チャネルは、読取りヘッドアセンブリ103が外部プロセッサ装置からデータ(例えば、インストラクション)を受信するのみならず、外部プロセッサ装置にデータ(例えば、位置情報/信号)を送信することができるような、双方向であってもよい。読取りヘッドアセンブリ103への電力は、物理的接続を介して、例えば、ケーブル105を介して供給されてもよい。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。例えば、読取りヘッドアセンブリ103は、電池などの内部電源を備えることができる。
【0067】
スケール104およびスケール信号レシーバ106は、保護ハウジング108の内側に配置され、保護ハウジング108は保護ハウジング108の外部の汚染物質からそれらを保護する。スケール104は保護ハウジング108に固定されており、一方、スケール信号レシーバ106は保護ハウジング108内でスケール104の長さに沿って移動し得る。使用時には、保護ハウジング108は機械(図示せず)の第1の部分に固定され、スケール信号レシーバ106は機械(図示せず)の第2の部分に固定される。理解されるように、機械の第1および第2の部分は、互いに対して相対的に移動可能である。読取りヘッドアセンブリは、(例えば、孔115を通るねじ付きボルトのような1つ以上の解放可能な締結具を介して)機械の第2の部分に直接的に固定されている取り付け用ブロック114と、取り付け用ブロック114とスケール信号レシーバ106との間に接続され、それらの間に延在しているブレード116とをさらに備えている。光源113は、取り付け用ブロック114の一端部に設けられ、エンコーダに関する診断情報をオペレータ/インストーラに中継するべく(本発明の他の実施形態に関連してより詳細に後述されるように)使用される。
【0068】
保護ハウジング108は、スケール104とスケール信号レシーバ106が存在する保護ハウジング108の内部を外部汚染物からシールする一対のシール用リップ112の形態のシール111をさらに備えている。ブレード116は、一対のシール用リップ112の間を通過する。シール用リップ112は、ブレード116、ひいては、スケール信号レシーバ106が、保護ハウジング108、ひいては、スケール104の長さに沿って動くのを許容するように分かれることができるようにコンプライアント(従順)であるが、ブレード116の周りでは一緒に閉じるように十分に弾性的でもあり、それによって、固体および流体(特に、液体および水分)の汚染物質に対する物理的な障壁を形成する。言い換えれば、ブレード116は、シール用リップ112の間でシールの長さに沿って移動するときに、シール用リップ112を分離させ、そして、シール用リップは、ブレード116が存在しない場合には一緒に閉じるのに十分な弾性を有する。
【0069】
保護ハウジング内のスケール信号レシーバ106の配置は、スケール104または保護ハウジング108から独立している。それは、取り付け用ブロック114にしっかりと接続されている。特に、スケール信号レシーバ106は、ブレード116にしっかりと接続され、ブレード116は、順に、取り付け用ブロック114にしっかりと接続されている。したがって、すべての自由度におけるスケール信号レシーバ106の位置は、取り付け用ブロック114の位置によって検出され、したがって、使用中に取り付け用ブロック114が固定されている機械の第2の部分の位置によって検出され、スケール104または保護ハウジング108の内部の他の部分によってではない。
【0070】
記載された実施形態では、スケール信号レシーバ106の位置および動作は、スケール104または保護ハウジング108によっては、いずれの形でも制約または案内されない。スケール信号レシーバ106と取り付け用ブロック114との間の剛性の取り付けの故に、スケール信号レシーバ106の6つの自由度の全てでの位置および動作は、取り付け用ブロック114、したがって、取り付け用ブロック114が固定されている機械の部分の位置および動きによって制約、且つ案内される。したがって、スケール信号レシーバ106の位置および動きは、「外部的に制約されている」と記述されてもよい。また、スケール信号レシーバ106は、スケール104にもたれていない。したがって、このような密封エンコーダは、「一体型ベアリング無し」、すなわち、「ベアリングレス」と記述されてもよい。我々は、この「ベアリングレス」は、(本願と同じ優先日および優先権主張の「エンコーダ装置」と題された同時係属のPCT特許出願の主題である)密封エンコーダについて新規な配置であり、そして、スケール信号レシーバをスケールに対して付勢し/もたれさせ、スケール信号レシーバとその取り付け用ブロックとの間にコンプライアント(従順)な結合をもたらす、密封された「一体型ベアリング」のリニアエンコーダの既知の構成とは対照的であると考えている。このような「一体型ベアリング」構成の例は、図1a~1dに示されている実施形態に関連して以下に説明される。このような構成は、「内部的に制約されている」と記述されてもよい。
【0071】
理解されるように、所望であれば、取り付け用ブロック114に対するスケール信号レシーバ106の相対的なセットアップ位置を調整するための調整機構が設けられてもよい(例えば、スケール信号レシーバがブレード116に接続され、および/またはブレード116が、例えばマイクロ/グラブスクリューの操作によって、少なくとも1つの線形および/または1つの回転の自由度における、それらの相対位置の選択的調整を容易にするジョイントを介して、取り付け用ブロック114に取り付けられてもよい。このような選択的調整機構は、エンコーダ装置のセットアップ/アライメントを補助するために有用であり得る。しかしながら、理解されるように、このような選択的調整機構は、スケール信号レシーバ106と読み取りヘッドマウント114との間の堅固な接続、したがって、スケール信号レシーバ106とそれが取り付けられる機械の部分との間の堅固な接続をもたらす(すなわち、使用/操作中に、スケール信号レシーバ106のすべての自由度における位置/向きが、依然として、取り付け用ブロック114が取り付けられている機械の第2の部分によって征服/指示される)。
【0072】
記載された実施形態では、スケール信号レシーバ106は、スケール104または保護ハウジング108に全く接触しない。したがって、スケール信号レシーバ106の周りには、それとスケール104および保護ハウジング108の内部との間に隙間が存在する。記載された実施形態において実際には、図示されているように、(スケール信号レシーバ106と読み取りヘッドマウント110を備えている)読み取りヘッドアセンブリ103と保護ハウジング108との間の唯一の接触は、ブレード116と一対のシール用リップ112との間である。理解されるように、シール用リップ112の一対は、ブレード116を収容するための挙動および収縮において可撓性および弾性を有し、それによって、スケール信号レシーバ106の位置を制約すなわち制御しない。
【0073】
さらに、記載された実施形態では、スケール信号レシーバ106は、内部にスケール信号レシーバの電気部品が配置される外部ケース107を備えている。スケール104から来るスケール信号を検出するためのスケール信号レシーバ106のセンサ、およびセンサにスケール信号を形成するための任意の関連する構成要素(例えば、レンズ、回折格子および/またはミラーなどの光学素子)もまた、スケール信号レシーバの外部ケース107の内部に設けられてもよい。外部ケース107は、汚れが不注意にリップシール112を通過した場合、外部ケース107の内部のスケール信号レシーバ106の構成部品(特に、電気的および光学的部品)が保護されるように、構成されている(例えば、密封されている)。
【0074】
理解されるように、外部ケース107が設けられている実施形態では、外部ケース107の内部に配置されているセンサにスケール信号が到達することを可能にするべく、ウィンドウ(例えば、図3および図4のウィンドウ232)が設けられてもよい。選択肢として、ウィンドウは、スケール信号に影響を与える材料を有さない(例えば、その唯一の目的が、スケールからの信号が読み取りヘッドのセンサで受信される信号の形態に寄与せずに、外部ケース107に入ることを単に許容することである)。選択肢として、ウィンドウは、スケールから来る信号を、向きを変えるべく構成されてもよい(例えば、ミラーを備えてもよい)。選択肢として、ウィンドウは、センサで検出される所望の信号を生成するように、スケールからの信号と相互作用するように構成されてもよい。例えば、それは、回折格子および/またはレンズを備えてもよい。いずれにしても、理解されるように、ウィンドウ232の外側は、保護ハウジング108に入る汚染からシールされない。ウィンドウは外部ケース107の一部を形成するが、ウィンドウの内側と、スケール104から来る信号を操作するべく構成されている他の構成要素(例えば、光学素子)とは、汚染から保護されているからである。
【0075】
スケール信号レシーバ106に外部ケース107を設ける利点は、スケール信号レシーバ106がスケールに対して独立して配置される(例えば、「ベアリングレス」または「外部的に制約されている」)実施形態に対して有益であるだけではなく、スケール信号レシーバがスケールに対してバイアスされている(「一体型のベアリング」を備えている)、例えば、関節式リンケージを介して読み取りヘッドマウントに取り付けられ、その位置が「内部的に制約されている」実施形態にもまた有益であり得る(例えば、図1a~図1dに関連して以下に記載されるタイプの封入エンコーダにおいても有益であり得る)。したがって、理解されるように、この態様に関連して、図1a~1dに関連して記載されたような関節式リンケージが提供されてもよい。しかしながら、外部ケース107を設けることは、「一体型のベアリング」を備える封入エンコーダ(例えば、の復元力を改善させることはできるが、汚染物がシール用リップ12を通過しスケールに上陸したような場合に、これは、エンコーダ装置の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、十分な汚染物がスケール特徴部に上陸した場合には、これは、スケールから来る信号に悪影響を及ぼす可能性がある。また、削りくずのような固体汚染物が保護ハウジングに入り、読み取りヘッドのベアリング20が走行するトラック上に落ちると、これは、スケール信号レシーバが汚れを乗り越えるとき、スケール信号レシーバとスケールの相対位置/向きに悪影響を及ぼす可能性がある。もちろん、スケールとは独立して配置されたスケール信号レシーバを有する封入エンコーダ(例えば、「外部から制約された」)は、このような問題に悩まされないという追加の利点を有している。
【0076】
本発明の他の実施形態に関連して以下により詳細に説明されるように、スケール信号レシーバ106は、(機械コントローラのような)外部装置に、例えば、位置信号を、ケーブル105を介して提供するために処理される信号をスケールから受け取る。例えば、位置を測定するための処理は、スケール信号レシーバ106内の1つ以上のプロセッサ装置によって、および/または取り付け用ブロック114などの読み取りヘッドアセンブリの別の部分の1つ以上のプロセッサ装置によって実行されてもよい。選択肢として、ブレード116が、スケール信号レシーバ106と取り付け用ブロック114との間にワイヤを通過させるのを可能にするための1つ以上のチャネルを備えてもよい。あるいは、無線通信が使用されるか、または、ブレード116への外部の有線接続が使用されてもよい。ブレード116が1つ以上のチャネルを備えている場合には、空気(例えば、空気供給ライン109を介して供給される)がブレード116(例えば、ブレード116の孔)を介して、保護ハウジング108の内部のスケール信号レシーバに通され得る。
【0077】
理解されるように、図2aないし図2dは概略的であり、典型的には、スケール104とスケール信号レシーバ106との間の分離(しばしば、ライドハイト(ride-height)と呼ばれる)は、図示されたものよりずっと小さい。所望のライドハイトはエンコーダに依存するが、例えば、光学式エンコーダの典型的なライドハイトは、0.24mm~2mmの範囲にあることができる。記載された特定の例では、公称ライドハイトは、+/-0.15mmの公差で0.8mmである。
【0078】
図2aないし図2dに示される密封エンコーダモジュール102は、任意の向きで使用されてもよい。図2aないし図2dにおいて、取り付け用ブロック114は、スケール信号レシーバ106および保護ハウジング108の真上に位置されるべく示されている。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。例えば、密封エンコーダモジュール102は、その側面に、または逆さまにさえ(取り付け用ブロック114がスケール信号レシーバ106および保護ハウジング108の真下に位置されるように)取り付けられ得る。実際、そのような配列は、外部の汚染物が重力のために、保護ハウジング108のリップシール112から落ちる傾向があるため、有利である。
【0079】
同様に、一対のシール用リップ112は、スケールが位置されている保護ハウジング108の側の反対である保護ハウジング108の側に直接に設けられる必要はない。例えば、図2cに示されている向きを参照すると、シール用リップ112は、ブレード116が垂直に対向して水平に延在するように、保護ハウジングの垂直側面の1つに設けられる。あるいは、それらは、(本実施形態に示されているように、シール111が2対のシール用リップ112を含んでいる)図2dに示されているように、保護ハウジングのコーナー/エッジの1つに沿って2つの側面の間に設けることができる。
【0080】
さて、図3ないし図5を参照するに、別の読取りヘッドアセンブリ203が示されている。図3ないし図5の読取りヘッドアセンブリ203は、図2の読取りヘッドアセンブリ103と多くの類似点を共有し、例えば、スケール信号レシーバ206、取り付け用ブロック214、発光体213、およびスケール信号レシーバ206と取り付け用ブロック214との間に剛性の接続を提供するブレード216を備えている(したがって、スケール信号レシーバ206は「外部的に制約されている」)。図3は、読取りヘッドアセンブリ203を単独で示されているが、理解されるように、読取りヘッドアセンブリ203は、図2aないし図2dに示されているような保護ハウジングの内部に配置されているスケールを読み取るために使用されるべく意図されている。したがって、スケール信号レシーバ206もまた保護ハウジングの内部に配置され、そしてブレード216は、一対のシール用リップなどの保護ハウジング内の細長いシールを通過することも意図されている。図2aないし図2dの実施形態と同様に、スケール信号レシーバ206は光学式読取りヘッドであるが、必ずしもそうである必要はない。
【0081】
図2のスケール信号レシーバ106と同様に、図3および図4のスケール信号レシーバ206は、保護外部ケース207を備えている。この場合、スケール信号レシーバ206内の構成要素は、保護外部ケース207と、スケール信号レシーバ206に近接したブレード216の端部に設けられ、スケール信号レシーバ206がブレード216に取り付けられる取り付け面217とによって保護(例えば、シール)される。外部ケース207と取り付け面217との間の界面には、シール部材が設けられてもよい(例えば、ガスケットが、外部ケース207とブレード216の取り付け面217との間に挟み込まれてもよい)。
【0082】
図示されているように、(図2の構成のように)スケール信号レシーバ206と取り付け用ブロック214との間に垂直に延びるブレード216ではなく、この実施形態では、ブレードは、垂直でない角度、例えば、約45度でスケール信号レシーバ206と取り付け用ブロック214との間に延在している。これは、密封エンコーダモジュールが垂直または水平に取り付けられているか否かにかかわらず、ブレードの上に落下するあらゆる液体がシール用リップから離れて落下するように、ブレードが向けられることができるようにするためである。
【0083】
図3および図4に示されているように、スケール信号を検出するためのスケール信号レシーバの構成要素を備えている光学ユニット230が示されている。具体的には、光学ユニットは、スケールを照明する光源252と、スケールを画像化するように構成されたレンズ254と、前記画像が収まり、前記画像を検出するように構成されたセンサ256(例えば、1次元または2次元のCCDまたはCMOSセンサ)と、光源からの光をスケールに向けるように構成されたビームステアラ(steerer)258とを備えている。図示されているように、センサ256は、プリント回路基板(PCB)240上に搭載されてもよい。ケーブル(図示せず)が、PCB240を取り付け用ブロック214内のプロセッサ装置に接続している。画像がセンサによって得られると、画像は、取り付け用ブロック214内に配置されたプロセッサ装置に渡され、これは、位置を測定すべく、(既知の方法、例えば、特許文献3(US2012 / 072169)に説明されているような方法で)画像を処理する。特許文献3の内容は、この参照によって本明細書に組み込まれている。測定された位置は、例えば、ケーブル205に沿って送信される1つ以上の信号を介して、(例えば、機械コントローラなどの)外部装置に伝達される。理解されるように、他の構成(配列)も可能である。例えば、すべての処理は、スケール信号レシーバ206に配置されている1つ以上のプロセッサ装置によって実行されてもよい。別の代替実施形態では、センサ装置(例えば、CCDまたはCMOS)が、取り付け用ブロック内に配置され、そしてブレード216を通って延在する光ガイド(例えば、光ファイバ)を介して、スケール信号を受け取ることができる。したがって、この場合、スケール信号レシーバ206は、スケールからの信号/光を単に収集し、読取りヘッドアセンブリの他の場所に配置されているセンサに通過させるだけである。
【0084】
上述したように、診断情報を中継するための発光体213(図2aないし図2dの実施形態では、113)が、エンコーダモジュール、例えば、読み取りヘッドアセンブリによって提供されてもよい。そのような発光体は、オペレータ/インストーラへの診断情報を中継するために使用されてもよい。例えば、光源によって放射される光の色および/または明るさが、診断情報を再生するべく制御される。選択肢として、発光体は、診断情報を中継するように、特定の方法で点滅するように構成されてもよい。したがって、例えば、設置時または後続の時点(例えば、後続の時点でエンコーダを再びセットアップする必要がある場合など)に生じる、エンコーダのセットアップ中に、診断情報(例えば、発光体の出力)が、エンコーダが適切にセットアップ(設定)されていることを確認するべく、オペレータ/インストーラによって使用されてもよい。特に、スケール信号レシーバがスケールとは独立して配置されている実施形態の場合、オペレータは、スケール信号レシーバがスケールに対して(測定次元以外の自由度において)所望の位置に配置されているかどうかを調べるのに、診断情報を使用することができ、そして、そうでない場合は、それに応じて位置関係を調整することができる。
【0085】
例えば、発光体は、読み取りヘッド(例えば、スケール信号レシーバ)とスケールとの相対的なセットアップに依存する視覚信号を、放射するように制御されてもよい。これは、エンコーダモジュールの設置中、読み取りヘッドがスケールから良好な信号を受信していることを確認するために、特に有用である。例えば、エンコーダモジュールは、発光体213の色が相対的なセットアップに依存するように構成されてもよい(例えば、読み取りヘッドが良好/強いスケール信号を受信しているときには緑色光が放射され、且つ読み取りヘッドが乏しい/弱いスケール信号を受信しているときには赤色光が放射されてもよい)。このような読み取りヘッドとスケールの相対的なセットアップを示すための視覚的な指示は、「独立して配置されている」および「内部的に制約されている」エンコーダ装置の両方にとって有用である。このような読み取りヘッドとスケールの相対的なセットアップを示すための視覚的な指示は、(上述のように)取り付け用ブロックに対するスケール信号レシーバの相対的なセットアップ位置を調整するための調整機構が設けられている場合に、特に有用である。
【0086】
記載された実施形態では、位置を測定するために使用される取り付け用ブロック214内のプロセッサもまた、診断情報を測定するためにセンサ256によって検出される画像を処理するように構成されている(しかしながら、理解されるように、これは必ずしもそうである必要はなく、別のプロセッサが使用されてもよい)。記載された実施形態では、プロセッサは、センサによって検出された信号の品質に基づいて、診断情報を測定するように構成されている。この特定の実施形態では、(エンコーダモジュールのセットアップ中に、または画像の解析によって提供され得る)スケールの特徴部の基本の空間周波数ωで、センサによって取得された画像をフーリエ変換するように構成されている。フーリエ変換の大きさ(magnitude) Aが、次いで、確立される。理解されるように、フーリエ変換は、実数部Rおよび虚数部τを提供し、大きさAは、以下の式(1)から計算されてもよい。
A = √[R(F(ω)]2 + [τ(F(ω)]2 または
2 = [R(F(ω)]2 + [τ(F(ω)]2 (1)
ここで、F(ω)は、空間周波数ωにおける表現のフーリエ変換を表す。
【0087】
平方根を計算することは計算集約的であるので、セットアップ指示出力を測定するため、Aの代わりにA2を使用することが好ましいことが理解されよう。この方法は、次いで、発光体213をどのように制御するかを決定するべくA(またはA2)を閾値と比較することを備えている。例えば、A(またはA2)が閾値以下の値を有する場合、発光体は赤色光を出力するように制御され、A(またはA2)が閾値を超える値を有する場合には、発光体は緑色の光を出力するように制御される。
【0088】
理解されるように、A(またはA2)は、表現において得られるような特徴部の大きさに依存する。これは、順に、(測定されるべきものである)スケールに対する読み取りヘッドのセットアップ(設定)によって影響される。A(またはA2)はまた、表現における特徴部の数に依存する。したがって、スケールに沿う特徴部の密度に著しい変動がある場合、この方法は、これを補償するためのステップを備えることができる。例えば、この補償は、A(またはA2)を表現における特徴部の数で除算することによって達成されてもよい。
【0089】
記載された実施形態では、この方法は、特徴部の実質的に基本空間周波数での表現をフーリエ変換することを含んでいる。フーリエ変換は、それが共に使用されているスケールに基づく、特徴部の仮定された基本空間周波数を使用してもよい。仮定された基本周波数が正確に正しくない場合であっても、この方法は依然として表現の質の有用な指標を提供することができる。選択肢として、特徴部の基本空間周波数は、フーリエ変換を実行する前に画像を分析することによって決定されてもよい。これは、画像化されるとき特徴部の実際の基本空間周波数が、ライドハイト/倍率作用のせいで著しく変化する実施形態において、有用であり得る。
【0090】
さらに、理解されるように、フーリエ変換が、特徴部の基本空間周波数において実質的に実行されるということは、必ずしも、必要ではない。例えば、この方法は、何らかの他の周波数、例えば、空間周波数の高調波でフーリエ変換を実行することを含むことができる。選択肢として、この方法は、1つ以上の周波数でフーリエ変換を実行し、異なる空間周波数でフーリエ変換の大きさを比較することを含むことができる。
【0091】
診断情報を測定するために絶対スケールの画像をどのように処理されてもよいかについてのさらなる詳細は、特許文献2(米国特許第8505210号)に記載されており、その内容は、この参考によって本明細書に組み込まれている。理解されるように、診断情報が測定され得る他の方法も存在する。例えば、特許文献2(米国特許第8505210号)に記載されているように、画像化されるとき異なるタイプのスケールの特徴部の相対的な大きさが測定されてもよく、それは検出されたスケール信号の品質を示し得る。
【0092】
図示されているように、この実施形態においては、スケール信号レシーバ206はまた、この特定の実施形態では同調質量ダンパ260から成る(実際には、この実施形態は複数の振動制御装置から成る)振動制御装置を備えている。発明者らは、少なくとも1つの振動制御装置の使用が、エンコーダ装置の寿命および/または計量性能を改善させ得ることを見出した。これは、特に、スケール信号レシーバがしっかりと取り付けられている細長いアームまたは薄いブレードのような、振動に敏感な部材(例えば、振動を伝達および/または増幅する部材)を介して、スケール信号レシーバが構造体にしっかりと取り付けられている場合である。例えば、上述の実施形態の「外部に制約された」スケール信号レシーバの場合には、振動は、剛性の取り付け配列を経由してスケール信号レシーバへと通過される。振動制御装置は、スケール信号レシーバが曝されるそのような望ましくない振動を制御する方法を提供する。
【0093】
理解されるように、振動制御装置は、外部励振によるシステム(例えば、スケール信号レシーバ)の応答を低減するように構成された装置とされてもよい。上述したように、この特定の例では、振動制御装置は、それが設置されているシステムの振動の大きさをシステムの共振周波数およびその付近で低減するように調整されている同調質量ダンパ260を備えている。理解されるように、同調質量ダンパは、ばね、ダンパおよび質量を備えている。ばねの剛性「k」、ダンパの減衰係数「c」および質量の質量「m」は、それが取り付けられているシステムの振動の大きさをシステムの共振周波数の周りに減少させるように選択される(換言すれば「調整」される)。この実施形態では、同調質量ダンパは、ばねおよびダンパ要素を提供する一対のエラストマーリング262(例えば、ゴムリング)と、質量要素を提供する本体264とを備えている。したがって、各エラストマーリング262は、エネルギーを吸収し、エネルギーを熱に変換することによって、ばねおよびダンパとして作用する。本体264は、適切な高質量を提供しながら本体264が十分に小さいサイズを有してもよいように、十分に稠密な材料(例えば黄銅)から成っている。
【0094】
典型的には、調整された質量ダンパの質量は、減衰させようとするシステムの質量のかなりの割合である必要がある(この場合、保護ハウジングの内側に配置される読取りヘッドアセンブリの部分、特にスケール信号レシーバ206)。例えば、この場合、同調質量ダンパ260の質量は、スケール信号レシーバ206の質量の少なくとも1%、選択肢としては、スケール信号レシーバ206の質量の少なくとも2%、例えば、スケール信号レシーバ206の質量の約5%である。例えば、この場合、同調質量ダンパ260の質量は、スケール信号レシーバ206の質量の30%未満、選択肢としては、スケール信号レシーバ206の質量の25%未満になるように構成されてもよい。
【0095】
図4に示されているように、同調質量ダンパ260は、スケール信号レシーバ206によって提供される円筒形の孔の内側に配置されている。上述の特定の実施形態では図示されていないが、円筒状の孔の側面は複数の細長い軸方向に延びる隆起部(または「スプライン」)を備え、その結果、エラストマーリング262の外周が前記隆起部に係合し、それにより、エラストマーリング262と孔の内側との間の接触面積を低減させるようにしている。これは、エラストマーリング262の剛性を低く維持するのを助け、それは次に、同調質量ダンパ260の固有振動数を減少させるのに役立っている。かかる構成が、所望の減衰効果を得るために、より大きな質量264またはより柔らかいエラストマーリング262を使用する必要性を回避させている。
【0096】
理解されるように、エラストマーリング262および同調質量ダンパ260が配置される円筒状の孔は、エラストマーリング262が孔内で圧潰/圧縮されるような形状および大きさにされてもよい。理解されるように、このような場合であっても、質量要素264は、スケール信号レシーバ206とは独立して運動/振動する。あるいは、エラストマーリング262、および同調質量ダンパ260が配置されている円筒状の孔は、エラストマーリング262が孔の中で圧潰/圧縮されないような形状および大きさにされてもよい。したがって、エラストマーリング262および同調質量ダンパ260が配置されている円筒形の孔は、エラストマーリング262が孔内で揺れ動く/跳ね返るような形状および大きさにされてもよい。
【0097】
図6a、図6b、図7aおよび図7bは、適切な振動制御装置のさらなる代替実施形態を示している。図6aおよび図6bに関して、振動制御装置は、ばねおよびダンパ要素362を介して、スケール信号レシーバ206の外部ケース207に接続された質量要素364を備えている。この場合、ばねおよびダンパ要素362は、ゴムなどのエラストマー材料のブロックである。したがって、質量要素364は、ばねおよびダンパ要素362の柔軟性のために、スケール信号レシーバ206とは独立して振動することが可能である(エネルギーを吸収し、エネルギーを熱に変換することによって、ばねとダンパとして作用する)。
【0098】
図7aおよび図7bは、同調質量ダンパ460を備えている別の代替実施形態を示している。この場合、同調質量ダンパ460は、スケール信号レシーバ206の外部ケース207の一体部分(例えば、単一の成形品を介する)として形成された質量464を備えている。同調質量ダンパはまた、スケール信号レシーバ206の外部ケース207の一体部分として形成されているばね要素466を備えている。図7bの断面図に示されているように、外部ケース207によって提供されるばね要素466の材料は、質量464がスケール信号レシーバ206の残りに対して相対的に移動および振動することを可能にするのに十分なほど柔軟であるように十分に薄い。この実施形態では、一体的に形成されたばね要素466の存在の結果として、外部ケース207のトラフ(溝)の周りに延在しているエラストマーリング462から成る、別個の減衰要素462(図7bに示されている)が設けられている。
【0099】
理解されるように、図6bおよび図7bはまた、ブレード216がワイヤ(図示せず)および/または空気(上述した通り)の通過のために、如何に中空であり得るかの方法を示している。これらの図はまた、取り付け用ブロック214が少なくとも1つのプロセッサ装置242のような構成要素のための空間を、(上により詳細に説明されているように)どのようにして備えることができるかを示している。
【0100】
図8aに概略的に示されているように、同調質量ダンパのばね部分およびダンパ部分は、共通の部品によって提供される必要はない。例えば、同調質量ダンパ560の一例は、質量562と、1つ以上の(この場合は4つの)ばね566(実質的な減衰作用をほとんどまたは全く有さない)と1つ以上(この場合は4つ)の減衰要素564とを備えることができる。
【0101】
上述の実施形態では、振動制御装置は、同調質量ダンパを備えている。しかしながら、理解されるように、必ずしもそうである必要はない。例えば、振動制御装置は、振動吸収装置660を備えることができ、その一例が図8bに示されている。概略的に示されているように、振動吸収装置660は、質量要素662と、質量662が外部ケース207および他のスケール信号受信ユニット206とは独立して運動/振動することを可能にする1つ以上のばね666(この例では4つのばね666)とを備えることができる。
【0102】
図8aおよび図8bに示されている実施形態においては、振動コントローラ560、660が、スケール信号レシーバ206の外部ケース207に設けられた凹部内に配置されているが、理解されるように、他の配置も可能である。例えば、図8cに示されているように、振動コントローラ770(質量要素762、ばね766、および任意選択的にダンパ要素764を備えている)が、スケール信号受信ユニット206の外部ケース207の側部に接続されてもよい。
【0103】
上述の実施形態では、エンコーダおよびスケールは線形である。しかしながら、理解されるように、本発明は、例えば、ディスクおよび/またはリングエンコーダのようなロータリエンコーダの非線形のエンコーダ/スケールにも等しく適用可能である。図9a、図9b、図10aおよび図10bは、そのような実施形態の例示的な実装を概略的に示している。図9aの実施形態では、スケール804がディスクの面(破線で示されている)上に設けられ、円筒形の保護ハウジング808内に収容されている。読取りヘッドアセンブリのブレード216が通過することができる円形のシール811が円筒形の保護ハウジング808の端面に設けられている(ただし、理解されるように、必要に応じて、円筒形の保護ハウジング808の円筒状の側面に設けられてもよい)。図9bの実施形態では、スケール904は、リングの周側面(破線で示されている)に設けられ、円筒状の保護ハウジング908内に収容されている。読取りヘッドアセンブリのブレード216が通過することができる。円形のシール911が、円筒形の保護ハウジング908の円筒状の側面に設けられている(ただし、理解されるように、必要に応じて、円筒状の保護ハウジング908の端面に設けられてもよい)。これらの実施形態において、(スケール信号レシーバ207、取り付け用ブロック214、およびブレード216を備えている)読取りヘッドアセンブリは、上述のものと同一のものであってもよい(ただし、これらの中で図9aの実施形態では、ブレードがシール811の曲率に従うべく湾曲されることが有益であろう)。これらの実施形態の両方において、発光体213が取り付け用ブロック214に設けられ、そしてエンコーダは、診断情報を中継するべく発光体を制御するように構成されている。
【0104】
図10aおよび図10bは、本発明による密封回転式エンコーダモジュール302の代替の実施形態を示している。この実施形態では、密封回転式エンコーダモジュール302が、(図10bの断面図に最もよく示されているように)複数の特徴部(図示せず)を有するスケール304と、スケール304からの信号を受け取るスケール信号レシーバ306を備える読み取りヘッドとを備えている。
【0105】
スケール304およびスケール信号レシーバ306は、保護ハウジング308の内側に配置されており、保護ハウジング308は、保護ハウジングの外部の汚染物質からそれらを保護する。この実施形態では、保護ハウジングは、第1の部分308aおよび第2の部分308bを備えている。スケール信号レシーバ306は、保護ハウジングの第1の部分308aに取り付けられ、そしてスケール304は、保護ハウジングの第2の部分308bに取り付けられている。第1および第2のシール用リップ312は、第1の部分308aと第2の部分308bとの間にシールを提供する一方で、保護ハウジングの第1の部分308aおよび第2の部分308bの回転軸Aの周りの相対的な運動を可能にする。したがって、例えば、保護ハウジングの第2の部分308bは機械(図示せず)の回転可能なシャフトに取り付けられ(例えばクランプされ)、そして保護ハウジングの第1の部分308aは、機械(図示せず)の固定部分に取り付けられる(例えばクランプされる)ことができる。
【0106】
上述した実施形態の場合と同様に、スケール信号レシーバ306は、スケール信号レシーバの光学的および電気的な構成要素が内部に収容され且つ保護される外部ケース307を備えている。また、上述した実施形態と同様に、エンコーダモジュール302は、上述した実施形態では物理的接続(例えば、ケーブル305)を備えている通信チャネルを介して、外部のプロセッサ装置(図示せず)、例えば、コントローラと通信する。特に、位置信号は、ケーブルを介して外部プロセッサ装置に送信されてもよい。この実施形態では、スケール信号レシーバ306は、位置情報を形成するために、スケール信号を検出して処理するためのセンサおよびプロセッサを備えている。しかしながら、理解されるように、エンコーダモジュール302の別の部分が、センサおよび/またはプロセッサ(例えば、保護ハウジングの第1の部分308aに沿った別の場所に配置された別個の構成要素)を備えていてもよい。
【0107】
上述した実施形態と同様に、密封回転式モジュール302は、診断情報をオペレータ/インストーラに中継する発光体313を備えている。そのような発光体313は、本発明の他の実施形態に関連して上述した方法に従って、プロセッサ(例えば、検出されたスケール信号を処理するためのと、同じプロセッサ)によって制御されてもよい。
【0108】
上述の実施形態の場合と同様に、エンコーダモジュール302は、光学式アブソリュートエンコーダを備えるが、必ずしもそうである必要はない。
【0109】
図1ないし図9に関連して上述した実施形態では、読取りヘッドアセンブリは、スケール信号レシーバ106、206、取り付け用ブロック114、214およびブレード116、216を備えている。しかしながら、理解されるように、読取りヘッドアセンブリは、スケール信号レシーバのみを備えることができる。例えば、ブレードが、スケール信号レシーバが取り付けられる機械によって提供されてもよい。例えば、上述の実施形態に関連して、密封エンコーダモジュールが、取り付け用ブロックおよび/またはブレードなしで供給され得るだけでなく、むしろ、保護ハウジングの内部に配置された(または配置される)スケール信号レシーバだけが供給され得る。セットアップの間、スケール信号レシーバは、エンコーダ装置が設置されている機械によって提供されるブレードまたは等価物に接続されてもよい。
【0110】
上述した実施形態では、エンコーダは、反射光学式エンコーダであり(例えば、読み取りヘッドがスケールから反射された光によってスケールを検出し、読み取りヘッドの光源および検出器/センサがスケールの同じ側に配置されている)。理解されるように、エンコーダは、透過型光学式エンコーダ(この場合、読み取りヘッドの光源および検出器/センサがスケールの反対側にある)であってもよい。理解されるように、本発明は、非光学式エンコーダ(例えば、磁気式、誘導式および/または容量式エンコーダ)にも適用可能である。
【0111】
上述したように、スケールは、読み取りヘッドアセンブリのセンサによって検出可能な信号を提供するために使用される特徴部を備えている。上述の実施形態では、エンコーダ/スケールは、アブソリュートエンコーダ/スケールから成る。読取りヘッドは、得られた画像を解読して絶対位置を測定する。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。例えば、エンコーダ/スケールは、インクリメンタル(相対値)エンコーダ/スケール(基準マーク有り/無し)とされてもよい。よく知られているように、読み取りヘッドは、スケールおよび読み取りヘッドの相対的な動きおよび/または位置を測定するために使用され得る直角位相(quadrature)信号を出力するように構成されてもよい。この場合、発光体13、113、213をどのように制御するかを決定するために使用されてもよい診断情報を測定するために、代替技術が使用されてもよい。例えば、エンコーダモジュール(例えば、読み取りヘッド)は、発光体13、113、213をどのように制御するかを決定するために、直角位相信号レベルが所与の閾値レベルを上回るか下回るかを判定するように構成されてもよい。このような方法(プロセス)のさらなる詳細は、特許文献1(米国特許第5241 173号)に記載されており、その内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0112】
エンコーダは回折ベースであってもよい。例えば、スケールセンサアセンブリのセンサによって検出された信号は、光を回折するスケール(およびスケールセンサアセンブリ内の1つ以上の回折格子)によって形成される(例えば、スケールセンサアセンブリのセンサにおける干渉縞を形成する)。
【0113】
理解されるように、本出願における光への言及は、紫外線から赤外線の範囲内の電磁放射(EMR)を含んでいる。
【0114】
上述した図2ないし図9の実施形態では、振動に対するスケール信号レシーバの感受性を低減するために振動制御装置が使用されている。しかしながら、理解されるように、振動制御装置は任意選択的である。例えば、図10の実施形態は、振動制御装置を備えていない。振動制御装置を必要としない理由は数多くある。例えば、振動制御装置は、エンコーダが曝されるべき振動の周波数およびスケール信号レシーバの共振周波数に依存して、不必要であり得る。選択肢として、スケール信号レシーバに誘起される振動は、スケール信号レシーバの構造的安定性に影響を及ぼさないように、および/または所望の許容誤差内にある測定誤差を生じないように、十分に小さくされてもよい。さらに、エンコーダ装置がスケールに対して独立して配置されていない(例えば、「一体型ベアリング」を備えている)本発明の実施形態では、スケール信号レシーバがスケールに対して付勢されているせいで、振動制御装置が必要とされる蓋然性は低い。本発明のこのような例示的な実施形態が、図1aないし1dに関連して以下に説明される。
【0115】
上記の図2ないし10の実施形態は、スケールとは独立して配置されるスケール信号レシーバを備えている。しかしながら、理解されるように、本発明はまた、スケール信号レシーバがスケールに対して独立して配置されていない密封エンコーダモジュール(例えば、「一体型のベアリング」を備えている)にも等しく適用可能である。本発明のそのような実施形態は、図1aないし1dに関連して、以下に説明される。
【0116】
上述の実施形態において、スケール信号レシーバは、スケール信号レシーバの構成要素をカプセル化する外部ケーシングを備えている。しかしながら、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、電子的および/または他の(例えば光学的な)構成要素は露出されてもよい。例えば、PCB240は保護ハウジング108内に露出されてもよい。本発明のこのような例示的な実施形態が、図1aないし1dに関連して以下に説明される。
【0117】
上記の実施形態は、スケール信号に関する診断情報を測定して出力するように構成された密封エンコーダ装置の発明が、(特に、スケール信号レシーバがスケールとは独立して保護ハウジングの内部に配置されている、換言すれば、「外部的に制約されている」)新規なタイプの密封エンコーダに関連して実施され得る方法を示している。しかしながら、理解されるように、スケール信号に関する診断情報を測定して出力するように構成された密封エンコーダ装置の発明はまた、「内部的に制約されている」(例えば、特許文献2(US4595991)に記載されているようなエンコーダ)として説明され得る、読み取りヘッドがスケールに対して拘束されているような伝統的に構成された密封エンコーダ装置にも用いられ得る。
【0118】
本発明の一態様による「内部的に制約されている」、「一体型ベアリング」の密封エンコーダモジュール2の例が、図1aないし図1dに概略的に示されている。図示されているように、密封エンコーダモジュール2は、スケール4と、スケール信号レシーバ6を備えている読み取りヘッドアセンブリとを備えている。スケール4およびスケール信号レシーバ6は、保護ハウジング8の内側に配置され、保護ハウジング8は、保護ハウジングの外部の汚染物質からそれらを保護する。スケール4は保護ハウジング8に固定され、一方、読み取りヘッドアセンブリのスケール信号レシーバ6が、保護ハウジング8内のスケール4の長さに沿って移動することができる。使用時には、保護ハウジング8が機械(図示せず)の第1の部分に固定され、読取りヘッドアセンブリは、機械の第1の部分に対して、x軸に沿って移動可能な第2の部分に固定されている。実際には、使用中、機械の第1の部分(したがって、保護ハウジング/スケール)が移動するように構成され、および/または機械の第2の部分(したがって、読み取りヘッド)が移動するように構成されてもよい。
【0119】
読取りヘッドアセンブリは、機械の第2の部分に直接的に(例えば、取り付け用ブロック14のボルト孔15を通るボルトを介して)固定される取り付け用ブロック14と、ブレード16と、スケール信号レシーバ6をブレード16に接続する関節式リンケージ18とを備えている(詳細は後述する)。上述の実施形態との関連で説明したのと同様に診断情報を中継する発光体13が、取り付け用ブロックに設けられている。
【0120】
保護ハウジング8は、スケール4およびスケール信号レシーバ6が存在する保護ハウジング8の内部を、外部汚染物質からシールする一対のシール用リップ12の形態のシールをさらに備えている。ブレード16はシール(一対のシール用リップ12の間)を通過し、シール用リップ12は、ブレード16の移動、したがって、保護ハウジング8/スケール4の長さに沿うスケール信号レシーバ6の移動を可能にする。
【0121】
スケールの長さに沿う以外のすべての自由度におけるスケール4に対するスケール信号レシーバ6の位置は、スケール4に係合し支持する、スケール信号レシーバ6内のベアリング20(例えば、ローラーベアリング)によってしっかりと制御されている(しかし、理解されるように、保護ハウジングの内側に対して付加的に/代替的に支持し得るであろう)。ばね(図示せず)が、スケール信号レシーバのベアリング20をスケール4に対して付勢している。機械の第1および第2の部分の軸線のずれは、関節式リンケージ18によって調節される。この実施形態において、関節式リンケージ18は、少なくとも1つの枢動連結部を含んでいる継ぎ手によって提供されている。関節式リンケージは、取り付け用ブロック14に対するスケール信号レシーバ6のピッチング、ローリングおよびヨーイング(すなわち、相互に直交する3つの軸の回りの回転運動)、並びに、取り付け用ブロック14に対するスケール信号レシーバ6の測定次元(スケールの長さ)に直交する方向の横方向の動きを可能にする。したがって、測定次元に沿う(図示の実施形態では、x軸に沿う)以外の、スケール信号レシーバ6の位置および動作が、スケール4によって制約される。換言すると、スケール信号レシーバ6は、スケール4によって案内される。それ故に、関節式リンケージ18は、図1に示されている実施形態ではx軸に沿っている、エンコーダ装置の測定次元(機械の第1および第2の部分の運動方向と一致していなければならない)に沿った以外の全ての自由度において、スケール信号レシーバ6と取り付け用ブロック14とを切り離す。当業者には理解されるように、読み取りヘッドがスケールに対して拘束される方法は、例えば公知である。
【0122】
また、図1bに示されているように、読み取りヘッドアセンブリが電力を受け、読み取りヘッドアセンブリと外部プロセッサ装置(例えば、機械コントローラ)との間の通信を容易にすべく、電力/通信ケーブル5が設けられてもよい。さらに、保護ハウジング8内に空気を供給するための空気供給ライン9を設けて、保護ハウジング8内に正圧を生成させてもよい。したがって、シール用リップ12が完全なシールを形成しない場合(特に、リップシールがブレード16によって分離される場合)、正圧のせいで、保護ハウジング8から空気が流出する傾向がある。それにより、正の圧力は、保護ハウジング8内に侵入しようとする物理的汚染物に対してさらなる抵抗を提供する。理解されるように、このような汚染物は、固体および/または流体の汚染物を備えていることがで、それらの例は、削りくず、液体(例えば、冷却剤)および/または空気含有水分を含んでいる。また、図示のように、読み取りヘッドアセンブリを介して(例えば、取り付け用ブロック14およびブレード16を通る導管を介して)保護ハウジングの内部に空気を供給する別の空気供給ライン7が設けられてもよい。
【0123】
記載された実施形態では、診断情報を中継するための発光体13、113、213、313がエンコーダモジュールに設けられている。他の実施形態では、このような発光体が追加または代替として提供される場合、エンコーダモジュールは、1つ以上の電子信号の形態の診断情報を測定して外部装置(例えば、コントローラ)に、例えばケーブル105、205、305を介して出力すべく構成され得る。例えば、読み取りヘッドによって検出されたスケール信号の品質に関する診断情報が、エンコーダモジュールによって測定され、出力されてもよい。この情報を受信する外部装置は、例えば、この情報をオペレータに表示することができる。このような診断情報は、オペレータがエンコーダモジュールの状態を判断する、例えば、エンコーダモジュールが適切に動作しているかどうかを判定し、もしそうでなければ、処置をする(エンコーダモジュールが取り付けられている機械を停止させる、および/またはエンコーダモジュールを交換する)のを助けるのに有用であり得る。
【0124】
上述の実施形態の大部分においては、発光体13、113、213が読み取りヘッドに設けられている。しかしながら、理解されるように、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、図1a、1bおよび1dに示されているように、発光体13’は保護ハウジング8に設けられてもよい。この場合、保護ハウジング8は、発光体に電力を供給するための内部電源(例えば、バッテリ)を備えることができ、および/または外部電源に接続されてもよい。さらに、保護ハウジング8は、発光体をどのように制御するかを測定するために、読み取りヘッドから診断情報を受け取るように構成されてもよい。選択肢として、保護ハウジング8は、読み取りヘッドによって検出されたスケール信号を受信するように構成され、そして発光体をどのように制御するかを決定するために、診断情報自体を測定するように構成されている。いずれにしても、保護ハウジングは、(例えば、受信された診断に応答して、および/または診断情報自体を測定した後に)発光体をどのように制御するかを測定するように構成された、それ自体のプロセッサ装置を備えてもよい。
【0125】
理解されるように、保護ハウジング上に発光体を設けることは、図1aから図1dに示されるタイプのエンコーダ装置に独占的ではなく、他の図に関連して上述された実施形態にも等しく適用可能である。例えば、図2a、図2b、図9aおよび図9bに示されているように、発光体113’、213’は、読取りヘッドに加えてまたは読取りヘッドの代わりに、保護ハウジング108、808、908に設けられてもよい。また、上述のように、実施形態の図10は、保護ハウジング308に発光体313を備えている。
【0126】
また理解されるように、読み取りヘッドアセンブリおよび保護ハウジングを、それらが機械に取り付けられていないときなどに、所定の物理的関係に保つために、ブラケット(例えば、「トランジットブラケット」)などが使用されてもよい。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図10a
図10b