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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】ゴム組成物、及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20241209BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20241209BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
C08L7/00
C08K3/04
C08L9/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022509896
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2021009642
(87)【国際公開番号】W WO2021193076
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2020051631
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】水戸 京
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 達
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-230079(JP,A)
【文献】特開2008-088311(JP,A)
【文献】特開2014-009243(JP,A)
【文献】特開2011-026392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、カーボンブラックとを含有するゴム組成物であって、
前記ゴム成分は、天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、前記天然ゴムの割合が80質量%未満であり、
前記カーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対して46質量部以上100質量部以下であり、
ここで、窒素吸着比表面積が125m/g以上200m/g以下であり、且つ、トルエン着色透過度が80%以上であるカーボンブラックをカーボンブラックAとし、
窒素吸着比表面積が90m/g以上124m/g以下であるカーボンブラックをカーボンブラックBとし、
カーボンブラックA及びカーボンブラックB以外のカーボンブラックをカーボンブラックCとしたときに、
前記カーボンブラックは、少なくとも前記カーボンブラックA及び前記カーボンブラックBを含み、且つ、前記カーボンブラックCの含有量が0であるか又は前記カーボンブラックA~Cの中で最も少ない、ことを特徴とする、ゴム組成物。
【請求項2】
前記カーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対して65質量部以下である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記カーボンブラックA及び前記カーボンブラックBの合計含有量における前記カーボンブラックAの含有量の割合が、30質量%以上70質量%以下である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、及びタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等のゴム物品において、耐摩耗性に対する要求が年々増加している。耐摩耗性を向上させる手法として、例えば、上記ゴム物品に用いられるゴム組成物にカーボンブラックを多量に配合したり、ゴム組成物に配合するカーボンブラックを小粒径化したりすることがこれまで検討されてきた。
【0003】
しかしながら、上述した手法は、低発熱性の悪化をもたらすという課題がある。耐摩耗性及び低発熱性は、一般に二律背反の関係にあることから、これらの性能を高いレベルで両立させることができる技術の開発が望まれている。
【0004】
例えば、特許文献1には、2種類のカーボンブラックを用いるとともに、これらの窒素吸着比表面積や、圧縮ジブチルフタレート吸収量や、ヨウ素吸着量などを所定範囲内にすることにより、優れた耐摩耗性を確保しながら低発熱性を向上できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-164985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においても性能が十分であるとは言い難く、低発熱性と耐摩耗性とを一層高いレベルで両立させることが、依然として求められている。
【0007】
そこで、本発明は、良好な低発熱性を有しつつ、耐摩耗性に優れたゴム組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、低発熱性及び耐摩耗性に優れたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
【0009】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、カーボンブラックとを含有するゴム組成物であって、
前記ゴム成分は、天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、前記天然ゴムの割合が80質量%未満であり、
前記カーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上100質量部以下であり、
ここで、窒素吸着比表面積が125m/g以上200m/g以下であり、且つ、トルエン着色透過度が80%以上であるカーボンブラックをカーボンブラックAとし、
窒素吸着比表面積が90m/g以上124m/g以下であるカーボンブラックをカーボンブラックBとし、
カーボンブラックA及びカーボンブラックB以外のカーボンブラックをカーボンブラックCとしたときに、
前記カーボンブラックは、少なくとも前記カーボンブラックA及び前記カーボンブラックBを含み、且つ、前記カーボンブラックCの含有量が0であるか又は前記カーボンブラックA~Cの中で最も少ない、ことを特徴とする。
【0010】
本発明のタイヤは、上述したゴム組成物に用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、良好な低発熱性を有しつつ、耐摩耗性に優れたゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、低発熱性及び耐摩耗性に優れたタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明のゴム組成物及びタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
【0013】
<ゴム組成物>
本発明の一実施形態のゴム組成物(以下、「本実施形態のゴム組成物」と称することがある。)は、ゴム成分と、カーボンブラックとを含有する。また、本実施形態のゴム組成物における上記ゴム成分は、天然ゴム及びブタジエンゴムを含み、上記天然ゴムの割合が80質量%未満である。また、本実施形態のゴム組成物は、上記カーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上100質量部以下である。
【0014】
更に、本実施形態のゴム組成物においては、窒素吸着比表面積(NSA)が125m/g以上200m/g以下であり、且つ、トルエン着色透過度が80%以上であるカーボンブラックをカーボンブラックAとし、窒素吸着比表面積が90m/g以上124m/g以下であるカーボンブラックをカーボンブラックBとし、カーボンブラックA及びカーボンブラックB以外のカーボンブラックをカーボンブラックCとしたときに、上記カーボンブラックは、少なくとも上記カーボンブラックA及び上記カーボンブラックBを含み、且つ、上記カーボンブラックCの含有量が0であるか又は上記カーボンブラックA~Cの中で最も少ない、ことを一特徴とする。
【0015】
本実施形態のゴム組成物においては、上述の通りにゴム成分及び少なくとも2種のカーボンブラックの適正化が図られているため、良好な低発熱性を有しつつ、耐摩耗性にも優れる。
【0016】
なお、本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2に準拠して測定されるものとする。
また、本明細書において、カーボンブラックのトルエン着色透過度は、JIS K6218-4に準拠して測定されるものとする。
【0017】
本実施形態のゴム組成物には、ウェットマスターバッチや被覆フィラー等が含まれないこととする。
【0018】
(ゴム成分)
本実施形態のゴム組成物におけるゴム成分は、少なくとも天然ゴム(NR)及びブタジエンゴム(BR)を含むことを要する。これにより、本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性を向上させることができる。
【0019】
上記ゴム成分における天然ゴムの割合は、80質量%未満である。天然ゴムの割合が80質量%以上であると、耐摩耗性が悪化する虞がある。同様の観点から、上記ゴム成分における天然ゴムの割合は、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
上記ゴム成分におけるブタジエンゴムの割合は、20質量%超である。ブタジエンゴムの割合が20質量%以下であると、耐摩耗性を向上させる効果を十分に得ることができない。同様の観点から、上記ゴム成分におけるブタジエンゴムの割合は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
【0021】
また、本実施形態のゴム組成物におけるゴム成分は、天然ゴム及びブタジエンゴム以外のゴム成分を含んでもよい。天然ゴム及びブタジエンゴム以外のゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。これらのゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、上記ゴム成分は、耐摩耗性及び低発熱性をバランスよく向上させる観点から、天然ゴム及びブタジエンゴムのみからなることが好ましい。
【0022】
(カーボンブラック)
本実施形態のゴム組成物は、上述の通り、カーボンブラックA、即ち、窒素吸着比表面積が125m/g以上200m/g以下であり、且つ、トルエン着色透過度が80%以上であるカーボンブラックを必須成分として含有する。換言すると、本実施形態のゴム組成物におけるカーボンブラックは、少なくともカーボンブラックAを含む。カーボンブラックAは、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0023】
ここで、カーボンブラックAの窒素吸着比表面積を125m/g以上と設定したのは、後述のカーボンブラックBとの併用により、本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性を効果的に向上させるようにするためである。また、カーボンブラックAの窒素吸着比表面積を200m/g以下と設定したのは、本実施形態のゴム組成物の低発熱性を良好に保持させるようにするためである。同様の観点から、本実施形態で用いる、カーボンブラックAに該当するカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、130m/g以上であることが好ましく、また、160m/g以下であることが好ましく、145m/g以下であることがより好ましい。
【0024】
更に、カーボンブラックAのトルエン着色透過度を80%以上と設定したのは、後述のカーボンブラックBとの併用により、本実施形態のゴム組成物の低発熱性を良好に保持しながらも、耐摩耗性を効果的に向上させるようにするためである。同様の観点から、本実施形態で用いる、カーボンブラックAに該当するカーボンブラックのトルエン着色透過度は、83%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0025】
本実施形態のゴム組成物は、上述の通り、カーボンブラックB、即ち、窒素吸着比表面積が90m/g以上124m/g以下であるカーボンブラックを必須成分として含有する。換言すると、本実施形態のゴム組成物におけるカーボンブラックは、少なくともカーボンブラックBを含む。カーボンブラックBは、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0026】
ここで、カーボンブラックBの窒素吸着比表面積を90m/g以上と設定したのは、前述のカーボンブラックAとの併用により、本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性を効果的に向上させるようにするためである。また、カーボンブラックBの窒素吸着比表面積を124m/g以下と設定したのは、本実施形態のゴム組成物の低発熱性を良好に保持させるようにするためである。同様の観点から、本実施形態で用いる、カーボンブラックBに該当するカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、100m/g以上であることが好ましく、また、120m/g以下であることが好ましい。
【0027】
なお、本実施形態で用いる、カーボンブラックBに該当するカーボンブラックのトルエン着色透過度は、特に限定されないが、耐摩耗性を一層向上させる観点から、70%以上であることが好ましい。
【0028】
本実施形態のゴム組成物においては、カーボンブラックA及びカーボンブラックBの合計含有量におけるカーボンブラックAの含有量の割合が、30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。上記割合が30質量%以上であると、耐摩耗性をより向上させることができる。また、上記割合が70質量%以下であると、低発熱性の悪化をより効果的に抑制することができる。同様の観点、並びに、ポリマーとカーボンブラックの補強性及び分散性向上の観点から、カーボンブラックA及びカーボンブラックBの合計含有量におけるカーボンブラックAの含有量の割合は、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、55質量%以上であることが一層好ましく、また、60質量%以下であることがより好ましい。
【0029】
更に、本実施形態のゴム組成物は、上述したカーボンブラックA及びカーボンブラックB以外のカーボンブラック、即ち、カーボンブラックCを含有してもよく、含有しなくてもよい(含有量が0であってもよい)。カーボンブラックCとしては、例えば、窒素吸着比表面積が200m/g超のカーボンブラック、窒素吸着比表面積が90m/g未満のカーボンブラック、窒素吸着比表面積が125m/g以上200m/g以下だがトルエン着色透過度が80%未満のカーボンブラック、等が挙げられる。
【0030】
本実施形態のゴム組成物がカーボンブラックCを含有する場合、当該カーボンブラックCの含有量は、カーボンブラックA~Cの中で最も少ないことを要する。換言すると、本実施形態のゴム組成物がカーボンブラックCを含有する場合、当該カーボンブラックCの含有量は、カーボンブラックAの含有量よりも少なく、且つ、カーボンブラックBの含有量よりも少ないことを要する。これは、カーボンブラックA及びカーボンブラックBを併用することの効果を確実に発現させるためである。同様の観点から、本実施形態のゴム組成物は、カーボンブラックCを含有しない(即ち、カーボンブラックがカーボンブラックA及びカーボンブラックBのみからなる)ことが好ましい。
【0031】
本実施形態のゴム組成物は、カーボンブラックの含有量(即ち、カーボンブラックA、カーボンブラックB及び任意のカーボンブラックCの合計含有量)が、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上100質量部以下である。上記含有量が40質量部未満であると、カーボンブラックA及びカーボンブラックBを併用することの効果が十分に発現されず、低発熱性及び耐摩耗性をバランスよく向上させることができない。また、上記含有量が100質量部を超えると、低発熱性が悪化する。また、本実施形態のゴム組成物におけるカーボンブラックの含有量は、低発熱性と耐摩耗性とを一層バランスよく向上させる観点から、50質量部以上であることが好ましく、また、65質量部以下であることが好ましい。
【0032】
(その他の成分)
本実施形態のゴム組成物は、上述したもののほか、目的を損なわない範囲で、カーボンブラック以外の充填剤、硫黄等の加硫剤、ステアリン酸等の加硫助剤、加硫促進剤、亜鉛華等の加硫促進助剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、加工性改良剤などの各種配合剤を適宜含有することができる。但し、軟化剤及び可塑剤は、低発熱性と耐摩耗性とをバランスよく向上させる観点から、その含有量が10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、また、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0033】
本実施形態のゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、例えば、常法に従って、上述したゴム成分及びカーボンブラックを含む各成分を配合して混練することにより、本実施形態のゴム組成物を得ることができる。なお、配合及び混練に際しては、全ての成分を一度に配合して混練してもよく、2段階又は3段階等の多段階に分けて各成分を配合して混練してもよい。なお、混練に際しては、ロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。また、本実施形態のゴム組成物は、架橋物(加硫物)とすることができる。
【0034】
<タイヤ>
本発明の一実施形態のタイヤ(以下、「本実施形態のタイヤ」と称することがある。)は、上述したゴム組成物を用いたことを特徴とする。換言すると、本実施形態のタイヤは、上述したゴム組成物を備えることを特徴とする。本実施形態のタイヤは、上述したゴム組成物を備えるため、低発熱性及び耐摩耗性に優れる。
【0035】
一実施形態において、タイヤは、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラー等の部位を備える。そして、上述したゴム組成物を、タイヤにおける上述した部位の少なくともいずれかに用いることができ、特に、低発熱性及び耐摩耗性の両方がより求められるトレッドに用いることが好ましい。
【0036】
本実施形態のタイヤは、上述の通り低発熱性及び耐摩耗性に優れることから、空気入りタイヤ、特に重荷重用タイヤ、小型トラック用タイヤなどとして好ましく用いることができる。
【0037】
なお、本実施形態のタイヤは、上述したゴム組成物を用いること以外、特に制限はなく、常法に従って製造することができる。また、本実施形態のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例
【0038】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
(ゴム組成物の調製)
表1に示す配合処方に従い、一次練り(ノンプロ練り、NR)を行い、次いで、二次練り(プロ練り、P)を行って、ゴム組成物を調製した。かかるゴム組成物を、145℃で33分間加硫し、得られた加硫ゴム組成物のサンプルについて、以下の手順に従い、低発熱性の評価を行った。また、調製したゴム組成物を用い、以下の手順に従い、耐摩耗性の評価を行う。
【0040】
<低発熱性>
加硫ゴム組成物のサンプルについて、粘弾性測定装置(GABO社製)を用い、周波数15Hz、歪み1%にて、50℃におけるtanδを測定した。比較例4のtanδの測定値を100として、各例におけるtanδの測定値を指数化した。結果を表1に示す。指数値が小さいほど、低発熱性に優れることを示す。
【0041】
<耐摩耗性>
調製したゴム組成物をトレッドに適用して、常法に従って試験用のタイヤ(サイズ:195/85R16)を作製する。該試験用のタイヤを配設した実車にて、舗装路面を1万km走行し、残溝量を測定する。比較例4の残溝量の指数値を100として、各例における残溝量の測定値を指数化する。結果を表1に示す。指数値が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
【0042】
【表1】
【0043】
*1 ブタジエンゴム:宇部興産株式会社製、「UBEPOL BR150L」
*2 CB1:キャボット社製、「N234」、NSA=117m/g、トルエン着色透過度:80%以上
*3 CB2:旭カーボン株式会社製、NSA=139m/g、トルエン着色透過度:90%
*4 CB3:キャボット社製、「ショウブラックS118」、NSA=144m/g、トルエン着色透過度:75%
*5 老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製、「ノクラック6C」、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン
*6 加硫促進剤:大内新興化学工業社株式会社製、「ノクセラーCZ-G」、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
【0044】
表1より、天然ゴム及びブタジエンゴムを所定比で含むゴム成分と、所定量のカーボンブラックA及びカーボンブラックBとを含有する実施例のゴム組成物は、比較例のゴム組成物に比べ、低発熱性及び耐摩耗性の両方がバランスよく向上していることが分かる。
【0045】
なお、表1におけるCB3は、窒素吸着比表面積が125m/g以上200m/g以下であるものの、トルエン着色透過度が80%未満である。そして、表1より、CB3を主原料の一つとして用いたとしても、低発熱性及び耐摩耗性のバランスよい向上に寄与できていないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、良好な低発熱性を有しつつ、耐摩耗性に優れたゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、低発熱性及び耐摩耗性に優れたタイヤを提供することができる。